説明

白髪染め用染毛剤組成物

【課題】直接染料を用い、安全性に優れ、皮膚に染着しにくく、染色性に優れ、ムラ染めになりにくく、経時的な染色性の劣化が少なく、色落ちしにくい染毛剤組成物を提供すること。
【解決手段】直接染料、グリシン及びpH調整剤を含有する染毛剤組成物であって、前記直接染料が少なくとも2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び/又は4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールからなり、pHが6.0〜9.0である染毛剤組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色性に優れ、安全性及び経時安定性に優れた染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛行為は、白髪染めをはじめおしゃれ染めまで幅広い年代で実施され定着している。主に使用されている染毛剤は、酸化染料と酸化剤を組み合わせて使用する所謂ヘアダイである。
ヘアダイは、色調が豊富であり、良く染まる、明るく染毛できる、色持ちが良い、簡単に施術できる等の利点がある反面、毛髪を損傷する、アレルギー等の皮膚刺激がある等の欠点もある。
【0003】
上記したようなヘアダイの欠点を解消する目的で、酸性染料を用いた所謂ヘアマニキュアや、直接染料(HC染料、塩基性染料、分散染料など)を用いた染毛剤が、毛髪を損傷せず安全性が高いことを謳い文句に上市されている。
しかしながら、前者は、皮膚に染着しやすく染着すると除去することが難しいため、ヘアサロン等のプロ用としては定着しているが、一般用としてはあまり普及していない。
一方、後者は、皮膚への染着性が少なく安全性も高いという利点があるが、染色性が弱い、経時的に染色性が劣化する、ムラ染めになりやすい、洗髪時色落ちしやすい等の欠点があり、消費者を満足させるに至っていない。
【0004】
直接染料を用いた染毛剤については、上記したような欠点を改良すべく様々な工夫が検討されている。
染色性を高める方法及びムラ染めを解消する方法としては、ベンジルオキシエタノールを用いる方法(特許文献1)、有機カルボン酸、ベンジルオキシエタノール及びカチオン界面活性剤を用いる方法(特許文献2)、タンニン酸等のポリフェノールを用いる方法(特許文献3)、カチオン性植物蛋白加水分解物を用いる方法(特許文献4)、蛍光増白剤を用いる方法(特許文献5)、シスチンビスPG−プロピルシラントリオールを用いる方法(特許文献6)等が開示されている。
経時的な変色や退色防止の方法として、カチオン界面活性剤、リン酸塩、アルカノールアミン等を用いる方法(特許文献7)が開示されている。
【0005】
しかしながら、直接染料を用いた染毛剤の、染色性が弱い、経時的に染色性が劣化する、ムラ染めになりやすい、洗髪時色落ちしやすい等の欠点は、特にこげ茶〜黒系の白髪染めで顕著であり、この点において上記文献の染毛剤は満足のいくものではない。
直接染料を用いた染毛剤は、特に水系のクリームやゲルにした場合、経時的に染色性が劣化、変色する欠点があり、この点においても上記文献の染毛剤は満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4490701号公報
【特許文献2】特許第4509462号公報
【特許文献3】特許第4133785号公報
【特許文献4】特開平11−92348号公報
【特許文献5】特開2001−294519号公報
【特許文献6】特開2004−75630号公報
【特許文献7】特開平9−100224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、直接染料を用い、安全性に優れ、皮膚に染着しにくく、染色性に優れ、ムラ染めになりにくく、経時的な染色性の劣化が少なく、色落ちしにくい染毛剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、直接染料、グリシン及びpH調整剤を含有する染毛剤組成物であって、前記直接染料が少なくとも2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び/又は4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールからなり、pHが6.0〜9.0であることを特徴とする染毛剤組成物に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記pH調整剤が、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノメチルプロパノール(AMP)、アミノメチルプロパンジオール(AMPD)、アルギニン、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムの混合物及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される1以上であることを特徴とする請求項1記載の染毛剤組成物に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記グリシンを0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の染毛剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、直接染料、グリシン及びpH調整剤を含有する染毛剤組成物であって、前記直接染料が少なくとも2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び/又は4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールからなり、pHが6.0〜9.0である染毛剤組成物であることにより、安全性に優れ、皮膚への染着性が少なく、染色性に優れ、ムラ染めになりにくく、経時的な染色性の劣化が少なく、色落ちしにくい染毛剤組成物を提供することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、前記pH調整剤が、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノメチルプロパノール(AMP)、アミノメチルプロパンジオール(AMPD)、アルギニン、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムの混合物及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される1以上である染毛剤組成物であることにより、染毛組成物のpHを6.0〜9.0に調整することができ、これにより、直接染料の安定性を保つことができ、優れた染色性と色落ち防止効果を有する染毛剤組成物を提供することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、グリシンを0.1〜10重量%含有する染毛剤組成物であることにより、直接染料の安定性を保つことができ、より優れた染色性と色落ち防止効果を有する染毛剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る染毛剤組成物について説明する。
【0015】
本発明に係る染毛剤組成物は、直接染料、グリシン及びpH調整剤を含有するものである。
本発明において、直接染料は、少なくとも2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び/又は4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールからなる。
【0016】
2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノールは、こげ茶〜黒系の白髪染めに必須染料として汎用されている青色の直接染料であり、一般的にはHC青2と呼ばれ、下式(化1)に示す構造を有している。
【0017】
【化1】

【0018】
4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールは、茶〜黒系の白髪染めに汎用される赤色の直接染料であり、下式(化2)に示す構造を有している。
【0019】
【化2】

【0020】
直接染料は、上記の直接染料以外の直接染料を含んでもよく、HC黄2,HC黄4等の黄色系染料、塩基性青99等の青系染料、塩基性赤76等の赤系染料、分散黒やHC紫1等の他、酸性橙色3、紫401号、黒色401号等の酸性染料を含んでもよい。
【0021】
本発明に係る染毛剤組成物はグリシンを含有する。グリシンを含有することで、直接染料である2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールの安定性を向上させることができる。その配合量は0.1〜10重量%が好ましい。配合量が0.1重量%未満であると、直接染料の充分な安定性が得られず、配合量が10重量%を超えると、皮膚刺激を起こし好ましくない。
【0022】
本発明に係る染毛剤組成物はpH調整剤を含有し、このpH調整剤によりpH6.0〜9.0に調整される。pHが6.0未満であると充分な染毛効果が得られない。pHが9.0を超えると皮膚刺激を引き起こし好ましくない。
pH調整剤としては、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノメチルプロパノール(AMP)、アミノメチルプロパンジオール(AMPD)、アルギニン、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムの混合物及び炭酸水素アンモニウムが好適に用いられる。
【0023】
一般的に、水溶液やクリーム、ジェル状の状態では2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノールはpH3.0〜10の範囲で染色性が経時的に劣化、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールはpH6.0〜9.0の範囲で染色性が経時的に劣化する。
しかしながら、本発明の染毛剤組成物はグリシンを好ましくは0.1〜10重量%含有し且つpH調整剤によってpH6.0〜9.0に保つことにより、2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールの染色性の経時的な劣化を防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る染毛剤組成物には、上記成分の他、化粧料の配合成分として一般に用いられる界面活性剤、油脂類、保湿剤、増粘剤、キレート剤、防腐剤、抗炎症剤、エキス類、酸化防止剤、溶剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を適宜配合することができる。
これら配合成分の具体例を以下に示す。
【0025】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アミドアミン型界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられ、市販のものでもよいが、化粧品又は医薬品グレードとして販売されているカチオン界面活性剤、アミドアミン型界面活性剤、ノニオン界面活性剤より選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。
【0026】
油脂類としては、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボカド油等の植物油脂類、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び高級アルコール類、ミリスチル酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類が例示できる。
【0027】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類及びその重合体、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10エステル等の水溶性エステル類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及び誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、フコイダン、チューベロース多糖体、尿素、ヒドロキシウレア、2−ピロリドン−5−カルボン酸及びそのナトリウム、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、パルミトイルオリゴペプチド等のアシル化ペプチド類、シリル化ペプチド類、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、アルブミン、乳清、塩化コリン、ホスホリルコリン、胎盤抽出液、エラスチン、コラーゲン、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド及び糖セラミド含有エキス等のセラミド類が例示できる。
【0028】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、珪酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、トラガントガム、デンプン等の天然高分子物質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等が例示できる。
【0029】
キレート剤としては、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩;EDTA、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA3Na等)、ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩)、フィチン酸、エチドロン酸等(ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩)、シュウ酸ナトリウム、ポリアミノ酸類(ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸等)、アスパラギン酸二酢酸及びその塩、グルタミン酸二酢酸及びその塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、コハク酸、酒石酸等が挙げられる。中でも、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、アスパラギン酸二酢酸及びその塩、グルタミン酸二酢酸及びその塩が好適に用いられる。
【0030】
防腐剤としては亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト、安息香酸、安息香酸パントテニルエチルエーテル、安息香酸塩、イソプロピルメチルフェノール、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸MEA、塩酸アルキルシアミノエチルグリシン、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム塩、塩化セチルピリジニウム、塩化デリカニウム、塩酸クロルヘキシジン、オクタンジオール、オクトキシグリセリン、感光素101.201.301.401、d−カンフル、dl−カンフル、グルクロン酸クロルヘキシジン、クロルクレゾール、クロロブタノール、クロルキシレノール、クロルヘキシジン、クレゾール、シコニン、スコルジニン、チアントール、チオキソロン、チモール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルフェノール、パラフェノールスルホン酸Na(2水和物)、ピリチオン亜鉛、フェノキシエタノール、フェノール、ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、l.dl−メントール、ヨウ化パラジメチルアミノスチリルペプチルメチルチアゾリニウム、オクトキシグリセリン等が例示できる。
【0031】
抗炎症剤としてはグリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、グアイアズレン、アラントイン、インドメタシン、酸化亜鉛、酢酸ヒドロコーチゾン、酸性キシロオリゴ糖、プレドニゾン、塩酸ジフェドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンが例示できる。
【0032】
エキス類としては、アイリスエキス、アシタバエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、インチコウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、ウワウルシエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、カキ葉エキス、カキョクエキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カッコンエキス、カモミラエキス、油溶性カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カラスムギエキス、カルカデエキス、カンゾウエキス、油溶性カンゾウエキス、キウイエキス、キオウエキス、キクラゲエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キリ葉エキス、グアノシン、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、クリエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、黒米エキス、黒砂糖抽出物、黒酢、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、酵母エキス、コウボクエキス、コーヒーエキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サフランエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ジャトバエキス、シャクヤクエキス、ショウキュウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、白キクラゲエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、西河柳エキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、地衣類エキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、ティートリー油、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ヒノキエキス、ビフィズス菌エキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マイカイカエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、卵殻膜エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキスが例示できる。
【0033】
酸化防止剤としては、BHT,BHA,アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸誘導体、亜硫酸Na、亜硫酸水素Na,没食子酸エステル、トコフェロール類、システイン類、チオグリコール酸塩、ノルジヒドログアヤレチン酸、エリソルビン酸及びその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、トリルビグアナイド、オルトトリビグアナイド、茶エキス、リンゴエキスが例示できる。
【0034】
溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、エチレングリコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−オクチルピロリドン、N−ブチルピロリドン、POE−2ベンジルエーテル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が例示できる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラメトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ブチルメトキシベンゾイルメタン、グリセリル−モノ−2−エチルヘキサノイル−ジ−パラメトキシベンゾフェノン、ジガロイルトリオレエート、2−2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−ビスヒドロキシプロピルアミノベゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3、3’−ジフェニルアクリレート、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸−2−エチルヘキシル、グリセリルパラアミノベンゾエート、サリチル酸ホモメチル、オルトアミノ安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、アミル−パラ−ジメチルアミベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルフォン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸等が例示できる。
【0036】
本発明に係る染毛剤組成物の剤型には限定がなく、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状あるいは泡沫状等、通常知られている形態とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明に係る染毛剤組成物は、これらに限定されるものではない。
【0038】
染毛剤組成物サンプルの調製1
直接染料COLOREX HCB2(ケミカルコンパウンド社製、表示名称:HC青2、化学名称:2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール)に、pH調整剤としてクエン酸及びクエン酸ナトリウム、並びに精製水を加えてpHを3.2〜10.2に調整し、クリーム状の染毛剤組成物サンプル(比較例1〜8)を調製した。pHは、pHメーターF−22型(堀場製作所社製)を用いてサンプル原液を測定した。以下の実施例及び比較例においてもpHは同様の方法で測定した。
【0039】
染毛剤組成物サンプルの調製2
直接染料TMレッドNo.2(癸巳化成社製、表示名称:4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、化学名称:4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール)に、pH調整剤としてクエン酸及びクエン酸ナトリウム、並びに精製水を加えてpHを6.1〜10.1に調整し、クリーム状のサンプル(比較例9〜13)を調製した。
【0040】
試験例1
次いで、JISL0803に準拠した染色堅牢度試験用添付白布(呼び番号1、5cm×5cm)に上記で調製した比較例1〜13のクリーム状の染毛剤組成物サンプル2.0gを夫々塗布し、20℃で10分間放置後、水洗し風乾した。
白布の染色部のLabを、風乾直後及び50℃で1ヶ月放置後において、カラーリーダーCR−13型(コニカミノル社製)を用いて測定した。色味の特性評価は色差ΔEで評価した。
◎:ΔE0.0以上5.0未満(変色・退色なし〜わずかに変色・退色)
○:ΔE5.0以上〜8.0未満(やや変色・退色)
△:ΔE8.0以上〜10.0未満(かなり変色・退色)
×:ΔE10.0以上(変色・退色が著しい)
で評価した。結果を表1及び2に示す。以下、表において組成は重量%で示す。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
比較例1〜13の染毛剤組成物は、いずれも変色・退色度が大きいことがわかる。
【0044】
染毛剤組成物サンプルの調製3
下記の表4に示す組成にてクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例1〜6、比較例14〜16)、及び表5に示す組成にてクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例7〜12、比較例17,18)を調製した。
以下の実施例及び比較例において使用する直接染料を表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
試験例2
試験例1と同様の方法で、実施例1〜12及び比較例14〜18の染毛剤組成物サンプルの変色・退色度を評価した。
【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
グリシンを含有しない比較例14,17及びpH6.0〜9.0の範囲外である比較例15,16,18の染毛剤組成物サンプルと比較して、実施例の染毛剤組成物サンプルは、高温(50℃)での過酷試験において染色性の劣化は認められなかった。
【0050】
染毛剤組成物サンプルの調製4
下記の表6に示す組成にて茶色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例13〜21)、及び表7に示す組成にて茶色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例22,23及び比較例19〜21)を調製した。
【0051】
試験例3
試験例1と同様の方法で、実施例13〜23及び比較例19〜21の茶色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプルの変色・退色度を評価した。結果を表6,7に示す。
【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
試験例4
人毛白毛BM−W−A(ビューラックス社製)8cm(0.4g)に、上記で調製した実施例13〜23及び比較例19〜21のクリーム状の染毛剤組成物サンプル2.0gを夫々塗布し、20℃で10分間放置後、水洗し風乾した。
人毛白毛の染色部のLabを、風乾直後及び50℃で1ヶ月放置後において、目視にて以下の4段階で評価した。
1 変色・退色なし
2 わずかに変色・退色あり
3 変色・退色あり
4 変色・退色が著しい
結果を表8,9に示す。
【0055】
【表8】

【0056】
【表9】

【0057】
グリシンを含有しない比較例19及びpH6.0〜9.0の範囲外である比較例20,21の染毛剤組成物サンプルと比較して、実施例13〜21の茶色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプルは、高温(50℃)での過酷試験において染色性の劣化は認められなかった。実施例22,23の染毛剤組成物サンプルも、比較例と比較すると、高温(50℃)での過酷試験において染色性の劣化は少なかった。
【0058】
染毛剤組成物サンプルの調製5
下記の表10に示す組成にて黒色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例24〜31)、及び表11に示す組成にて黒色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプル(実施例32,33及び比較例22〜24)を調製した。
【0059】
試験例5
試験例1と同様の方法で、実施例24〜33及び比較例22〜24の黒色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプルの変色・退色度を評価した。結果を表10,11に示す。
【0060】
【表10】

【0061】
【表11】

【0062】
試験例6
試験例4と同様の方法で、実施例24〜33及び比較例22〜24の黒色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプルの変色・退色度を評価した。結果を表12,13に示す。
【0063】
【表12】

【0064】
【表13】

【0065】
グリシンを含有しない比較例22及びpH6.0〜9.0の範囲外である比較例23,24の染毛剤組成物サンプルと比較して、実施例24〜31の黒色系白髪染めのクリーム状の染毛剤組成物サンプルは、高温(50℃)での過酷試験において染色性の劣化は認められなかった。実施例32,33の染毛剤組成物サンプルも、比較例と比較すると、高温(50℃)での過酷試験において染色性の劣化は少なかった。また、pH値の低い比較例23のサンプルは染色直後の色が薄い黒色であるが、実施例のサンプルは、染色直後の色が黒色であり、直後の染色性も良好であることがわかる。
【0066】
試験例7 耐洗浄性試験
実施例26、比較例22及び23の染毛剤組成物サンプルの染色布を用い、下記の条件で耐洗浄性試験を行った。
(試験条件)
洗浄液:3%POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液
温度:40℃
洗浄条件:各染色布を30mL洗浄液に10分間浸漬後水洗し風乾。
以上の操作を3回、及び5回繰り返した時の色差ΔEを試験例1と同様の方法で評価した。
結果を表14に示す。
【0067】
【表14】

【0068】
実施例26の染色布は洗浄操作を5回繰り返しても殆ど変色退色せず、耐洗浄性が優れていることがわかる。
【0069】
試験例8 安全性評価試験
20〜50代男女20名の内腕に茶色系クリーム(実施例13〜23、比較例19〜21)を適量塗布し、開放状態で24時間放置後、精製水で濡らした脱脂綿で拭き取った。放置時及び放置後48時間の状態を被験者の申告及び目視にて評価した。評価は下記の5段階で行なった。
0:違和感、刺激性なし
1:わずかに違和感、刺激性あり
2:かゆみ
3:痛み
4:激しい痛み、かゆみ
結果を表15,16に示す。
【0070】
【表15】

【0071】
【表16】

【0072】
実施例では、若干違和感を感じる被験者が認められたが、痛みなどの刺激はなく安全性に優れた染毛剤であると言える。
【0073】
以上の結果より、本発明の染毛剤組成物は、安全性に優れ、染色性に優れ、経時的な染色性の劣化が少なく、色落ちしにくいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、白髪染め用の染毛剤に好適に利用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接染料、グリシン及びpH調整剤を含有する染毛剤組成物であって、前記直接染料が少なくとも2,2'-[[4-[2-ヒドロキシエチル]アミノ]-3-ニトロフェニル]ビスエタノール及び/又は4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールからなり、pHが6.0〜9.0であることを特徴とする染毛剤組成物。
【請求項2】
前記pH調整剤が、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノメチルプロパノール(AMP)、アミノメチルプロパンジオール(AMPD)、アルギニン、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムの混合物及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される1以上であることを特徴とする請求項1記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
前記グリシンを0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。

【公開番号】特開2012−246229(P2012−246229A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117423(P2011−117423)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【特許番号】特許第4891449号(P4891449)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(399091120)株式会社ピカソ美化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】