説明

皮膚、粘膜、頭皮、及び/若しくは毛髪の処置及び/若しくはケアに有用なペプチド並びに/又は化粧品組成物若しくは医薬組成物におけるその使用

一般式(I):R−AA−AA−AA−AA−Rで表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、及びその化粧品学的又は薬学的に許容される塩、製造方法、それらを含む化粧品組成物又は医薬組成物、並びに皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭素種(RCS)の活性を抑制できるペプチド、並びにそれらのペプチドを含む化粧品組成物及び医薬組成物、並びに皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の処置及び/又はケアにおけるそれらの使用、好ましくは、RCS生成の結果生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の前記状態、障害、及び/又は疾患を処置及び/又はケアするためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞の老化、特に皮膚細胞の老化が広く研究されてきた。細胞老化の最も重要な要因の1つは、細胞内でのフリーラジカルの形成及び蓄積である。細胞老化は、通常、UVA/UVB照射に対する機構並びに日光及び酸素への露出により生成される活性酸素種(ROS)又は酸素フリーラジカルに対する機構をブロックして皮膚を保護することで食い止められる。ROSや酸素フリーラジカルの形成は汚染物質により触媒され、微量のオゾンが存在することで促進される。フリーラジカルの重要なグループに、脂質過酸化等の酸化的な生物学的プロセスで生成する活性炭素種(RCS)があり、これは皮膚老化の加速、UV照射による皮膚老化、及び皮膚の紅斑に関与する要因の1つである。本発明において、「老化」という用語は、加齢に伴い生じる皮膚の変化(経年的老化)、日光への露出により生じる皮膚の変化(光老化)、又はたばこの煙等の環境要因、天候若しくは風の極端な寒冷条件、化学汚染物質若しくは化学汚染により生じる皮膚の変化を意味し、目に見える全ての外観的変化及び触ることで知覚可能な変化、例えば、限定されるものではないがとりわけ、皮膚の割れ目(discontinuity)の発達、例えばシワ、細い線、ひび割れ、変形、又は荒れ等、毛穴の拡大、弾力性の消失、ハリ(firmness)の消失、潤滑性の消失、変形からの回復の消失、皮膚のタルミ、例えばとりわけ、頬のタルミ、目の下のタルミの出現、又はあごの垂れ肉の出現等、皮膚の色の変化、例えばとりわけ、斑点(spot)、発赤、目の周りのくま、目の下のタルミ、又は染み(age spot)若しくはそばかす等の色素過剰領域の出現など、異常分化、過剰角質化、弾力線維症、角化症、脱毛、橙皮状皮膚又はセルライトの出現、コラーゲンの構造の消失、及び角質層、真皮、表皮、脈管系におけるその他の組織学的変化、例えばくも状静脈若しくは毛細血管拡張症の発生、又は皮膚に近い組織におけるその他の組織学的変化を含む。
【0003】
分子レベルでは、RCSは、他のプロセスの中でも、DNAの損傷、プロテアソームの分解、並びに細胞間タンパク質及び細胞外タンパク質の変化に関与する[Degenhardt TP,Brinkmann−Frye SR,Thorpe SR and Baynes J.W.(1998)in The Maillard Reaction in Foods and Medicine,J.O’Brien,Nursten HE,Crabbe MJC and Ames JM,eds,pp 3−10,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,UK]。RCSには、不飽和アルデヒド及びαアルデヒド、β不飽和の形態のポリ不飽和脂肪酸の過酸化、有害且つ毒性の細胞が含まれる。アルデヒドは、糖化反応においても形成され、種々の汚染物質の影響によっても形成される。脂質過酸化によって形成される主要なアルデヒドの例として、種々の汚染物質、ホルムアルデヒド、アクロレイン、及びクロトンアルデヒドの影響により形成される、マロンジアルデヒド(MDA)、アクロレイン、4−ヒドロキシ2−ノネナール(HNE)、2−ノネナール(NE)、グリオキサール、及びメチルグリオキサールが挙げられる。これらのアルデヒドは求電子性であるため、グルタチオン、システイン、リジン、及びヒスチジンのタンパク質側鎖、及び核酸等の細胞求核剤との反応性が大きい[Liu Q,Raina AK,Smith MA,Sayre LM and Perry G.(2003)“Hydroxynonenal,toxic carbonyls,and Alzheimer disease”Mol.Aspects Med 24:305−313]。これらのアルデヒドは細胞DNA等の主要成分を分解するだけでなく、内因性のDNA修復機構に関与するタンパク質にも損傷を与えてその機能性を消失させるため、その影響は複合的である。
【0004】
特に、HNEは準安定種であり、生物組織中に比較的高濃度で存在し、元の場所から容易に拡散し得るため、毒性二次伝達物質として作用することで酸化的損傷を拡大させ得る[Uchida K.,Shiraishi M.,Naito Y.,Torii Y.,Nakamura Y.and Osawa T.(1999)“Activation of stress signaling pathways by the end product of lipid peroxidation.4−hydroxynonenal is a potential inducer of intracellular peroxide production”J.Biol Chem 274:2234−2242]。次に、アクロレインは、有機物質の過熱により生じる望ましくない不安定な副産物であり、例えばプラスチックの不完全燃焼及びたばこの消費により形成される環境中の汚染物質として存在する[Uchida K.,Kanematsu M.,Morimitsu Y.,Osawa T.,Noguchi N.and Niki E.(1998)“Acrolein is a product of lipid peroxidation reaction.Formation of free acrolein and its conjugate with lysine residues in oxidized low density lipoproteins”,J.Biol Chem 273:16058−16066]。細胞が本来有する保護機構では、細胞への毒性の又は有害な影響を回避するため、特にタンパク質及び細胞DNAへの損傷を回避するために、グルタチオン等の細胞中の特定のスカベンジャー物質にRCSは捕捉される。しかし、この天然機構によるRCS細胞の消去は、細胞に紫外線が照射されると適切に起こらず、このような状況は例えば真皮細胞で一般的である。この天然保護機構の変化においても、DNA修復プロセスに関わるタンパク質が損傷を受けるため、修復機構の効果が低下する。したがって、紫外線照射に曝されている細胞においてRCSの消去を補助する必要がある。この点で、これらのRCSを捕捉して細胞生存の必須成分である細胞のタンパク質及びDNAの分解を防ぐため及びDNA修復機構の効果を高めるために、金属イオン封鎖物質の投与が示唆されてきた。したがって、この消去は、老化及び/又は光老化の症状を低減、遅延、及び/又は防止する。
【0005】
脂肪分解剤を用いたセルライト処置は、副次的効果で脂肪酸の急速な酸化を引き起こし、最終的に皮膚のRCSを増加させる。このRCSの毒作用により、処置にも関わらず、セルライト患部の持続的な橙皮的外観を伴う弾力性の消失と共に、処置された皮膚の早期老化が引き起こされる。この点から、これらのRCSを消去してその毒作用又は有害な作用を防ぐために、金属イオン封鎖物質の投与が示差されてきた。したがって、この消去は、セルライトを患った皮膚の見た目を改善し、セルライトの防止及び/又は処置の助けとなる。
【0006】
細胞中のRCSを消去する能力に関して、特定の物質の投与、特にカルノシン及びグリシル−ヒスチジル−リジン(GHK)トリペプチドの投与について複数の研究がなされている。カルノシンは、2種類のアルデヒド、HNE及びアクロレインについて一応の消去効果が実証されている。しかし、カルノシンは、カルノシン等の特定の酵素の酵素作用に対して非常に不安定であるという欠点がある[Pegova A.,Abe H.and Boldyrev A.(2000)“Hydrolysis of carnosine and related compounds by mammalian carnosine”Comp.Biochem.Physiol.B.Biochem.Mol.Bio.127:443−446]。更に、カルノシンの直接分解産物の1つにヒスチジンがあり、これは体内で容易にヒスタミンに変化し得、アレルギープロセスに関与する。
【0007】
GHKトリペプチドに関しては、金属、特に銅との錯体の形態での適用がいくつか報告されている。したがって、そのような錯体が、哺乳動物のある種の組織の再生及び修復、特に創傷修復の促進、皮膚の再上皮化の促進、皮膚の肥厚化、皮下脂肪層の増加、毛包のサイズの増加、胃潰瘍の治癒等に関与することが分かっている。そのRCS消去効率及びRCSへの暴露により誘導される細胞死の抑制[Cebrian J.,Messeguer A.,Facino RM and Garcia Anton J.M.(2005)“New anti−RNS and−RCS products for cosmetic treatment”lnt J.Cosmet.Sci 27:271−278]及びセルライトの処置及び/又は防止における補助剤としてのその利点[欧州特許第1611898(B1)号明細書 リポテック社]も報告されている。しかし、トリペプチドは化学的安定性が低く、溶液中で急速に分解され、化粧品及び医薬品の配合中に活性な安定化プロトコールが必要である。
【0008】
したがって、カルノシン及びGHKよりも安定な新規のRCSスカベンジャーを見出す必要がある。
【0009】
体臭
人体から発せられる臭気(odor)の性質は、遺伝的体質又はその人体が患っている病態等の内的要因だけでなく、ライフスタイル、食物摂取、喫煙、入浴頻度等の要因にも影響を受ける[Labows JN(1979)“Human odors”Perf.4:12−17 flavor,Senol M.and Fireman P.(1999)“Body odor in dermatologic diagnosis”Cutis 63:107−111]。人体が放つにおい(scent)の成分は特定されており、主に、ヒトの種々の臓器及び/又は細胞から分泌される脂肪酸から形成される揮発性アルデヒド及びそのエステルである。体臭の成分は、人生の種々の段階を通して一定ではない。特に中高年のにおい(smell)の主な原因は、中高年の皮脂腺分泌物に主に見られ且つ加齢に伴う脂肪性の鼻をつく不快な体臭の原因である9−ヘキサデセン酸(9−hexacedenoic acid)から形成される2−ノネナール又は2−オクテナール等の不飽和脂肪酸のアルデヒドである[S.Haze,Y.Gozu,S.Nakamura,Y.Kohno,K.Sawano,H.Ohta and K.Yamazaki(2001)“2−Nonenal newly found in human body odor tends to increase with aging”,J.Invest.Dermatol.116:520−524]。これらのα及びβ不飽和アルデヒドは、酸化ストレス状況下で脂肪酸が受ける脂質過酸化プロセス中に脂肪及び皮膚中で生成する活性炭素種(RCS)である。
【0010】
化粧品業界は、この臭気を軽減するために種々の戦略を用いてきた。そのような戦略は、フレグランス若しくは芳香剤(perfume)による体臭のマスキング又はにおい(scent)の分散を防ぐための物理的吸収剤の使用に基づいている。これらの戦略はどちらも、臭気自体の形成を抑制せず、更に、同時に、芳香剤を使用することで種々の芳香化合物が混ざった時に更に強い臭気が発生し、シクロデキストリンや炭等の吸収剤の使用では即効性の結果が得られないため、体臭問題を解決していない。別の戦略は、体臭の発生抑制に基づくものであり、酸化防止剤及び/又は抗菌剤を使用する。これらの剤は、臭気の発生抑制に効果的であるが、連続して使用するとアレルギーを引き起こし得ることが知られている。
【0011】
したがって、体臭を抑制できる新規な物質、特にRCSの生成により生じる加齢に伴う体臭を抑制できる新規な物質が必要とされている。ドイツ特許出願公開第10237458(A1)号明細書は、RCSの生成により生じる体臭の抑制剤としてカルノシンの使用を記載している。欧州特許第0955035(B1)号明細書は、RCSの生成により生じる体臭をマスクできる物質と一緒に酸化防止剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、及び/又は抗菌剤を使用することを記載している。特開2001−254274号公報は、RCSにより生じる体臭の抑制剤で機能化した繊維を記載している。米国特許第6,497,862(B1)号明細書は、RCSの生成により生じる体臭の抑制剤としてトレハロース及び/又はマルチトールを使用することを記載している。GHKトリペプチド及びカルノシン及びその誘導体は、RCSを消去できる唯一のペプチドであるので、強力な老化防止剤及び体臭抑制剤である。しかし、これら2種類のペプチドには前述した安定性の問題がある。
【0012】
したがって、RCSを消去し、当該技術分野で知られる安定性の問題を解決できる新規の効果的なペプチドが必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は上記の問題を解決するものである。驚くべきことに、本発明の出願者は、天然産物に由来しない特定のペプチドが、活性炭素種(RCS)の消去に大きな効果を示し、したがって、RCSの生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は疾患の処置及び/又はケアに有用であることを見出した。
【0014】
定義
本発明を理解し易くするために、本発明において使用されるいくつかの用語の定義を記載する。
【0015】
本明細書において、アミノ酸に用いる略語は、Eur J.Biochem.(1984)138:9−37及びJ.Chem(1989)264:633−673に詳説されているIUPAC−IUB生化学命名法委員会の規則に従う。
【0016】
したがって、例えば、GlyはNH−CH−COOHを表し、Gly−はNH−CH−CO−を表し、−Glyは−NH−CH−COOHを表し、−Gly−は−NH−CH−CO−を表す。したがって、ペプチド結合を表すハイフンは、記号の右側に置かれた場合、アミノ酸基の1カルボキシル(ここでは従来の非イオン化形態で表している)のOHを取り除き、記号の左側に置かれた場合、アミノ酸基の2アミノのHを取り除く。同じ記号に両方の修飾が適用されてもよい(表1参照)。
【0017】

【0018】
本明細書において、略語「Ac−」は、アセチル基(CH−CO−)を指して使用され、略語「Palm−」は、パルミトイル基(CH−(CH14−CO−)を指して使用されている。
【0019】
本発明において、「非環式脂肪族基」という用語は、例えば、限定されるものではないが、線状又は分枝のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基を包含して用いられる。
【0020】
「アルキル基」という用語は、1〜24、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜14、より好ましくは1〜12、更により好ましくは1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している線状又は分枝の飽和基を意味し、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ラウリル、ヘキサデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、5−メチルヘキシル基等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
「アルケニル基」という用語は、共役又は非共役の1又は複数の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2、又は3個の炭素−炭素二重結合と共に2〜24、好ましくは2〜16、より好ましくは2〜14、より好ましくは2〜12、更により好ましくは2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している線状又は分枝の基を意味し、例えば、ビニル、オレイル、リノレイル基等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
「アルキニル基」という用語は、共役又は非共役の1又は複数の炭素−炭素三重結合、好ましくは1、2、又は3個の炭素−炭素三重結合と共に2〜24、好ましくは2〜16、より好ましくは2〜14、より好ましくは2〜12、更により好ましくは2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している線状又は分枝の基を意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル基、例えば1−ペンチニル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、「脂環基(alicyclyl)」という用語は、例えば、限定されるものではないが、シクロアルキル、シクロアルケニル、又はシクロアルキニル基を包含して用いられる。
【0024】
「シクロアルキル」という用語は、3〜24、好ましくは3〜16、より好ましくは3〜14、より好ましくは3〜12、更により好ましくは3、4、5、又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している、飽和した単環式又は多環式の脂肪族基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフェナレン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
「シクロアルケニル」という用語は、共役又は非共役の1又は複数の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2、又は3個の炭素−炭素二重結合と共に5〜24、好ましくは5〜16、より好ましくは5〜14、より好ましくは5〜12、更により好ましくは5又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している、非芳香族である単環式又は多環式の脂肪族基を意味し、例えば、シクロペンタ−1−エン−1−イル基等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
「シクロアルキニル」という用語は、共役又は非共役の1又は複数の炭素−炭素三重結合、好ましくは1 、2、又は3個の炭素−炭素三重結合と共に5〜24、好ましくは5〜16、より好ましくは5〜14、より好ましくは5〜12、更により好ましくは5又は6個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している、非芳香族である単環式又は多環式の脂肪族基を意味し、例えば、シクロヘキサ−1−イン−1−イル基等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
「アリール基」という用語は、6〜30、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜10、より好ましくは6又は10個の炭素原子を有し、1、2、3、又は4個の芳香環を含み、炭素−炭素結合で結合されているか縮合されている、芳香族基を意味し、例えば、限定されるものではないが、とりわけ、フェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリル、又はアントラニルを含み、あるいはアラルキル基を意味する。
【0028】
「アラルキル基」という用語は、7〜24個の炭素原子を有する芳香族基で置換されたアルキル基を意味し、例えば、−(CH1−6−フェニル、−(CH1−6−(1−ナフチル)、−(CH1−6−(2−ナフチル)、−(CH1−6−CH(フェニル)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
「ヘテロシクリル基」という用語は、環の1又は複数の原子、好ましくは環の1、2、又は3個の原子が炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、又は硫黄である3〜10員の炭化水素環を意味し、飽和であっても不飽和であってもよい。本発明の目的のためには、複素環は、単環系、二環系、又は三環系であってよく、縮合環系を含んでもよく;窒素、炭素、又は硫黄原子がヘテロシクリルラジカル中で酸化されていてもよく;窒素原子が四級化されていてもよく;ヘテロシクリルラジカルが部分的に又は完全に飽和してもよく芳香族であってもよい。更に好ましくは、ヘテロシクリルという用語は5又は6員環の環を意味する。
【0030】
「ヘテロアリールアルキル基」という用語は、2〜24個の炭素原子及び1〜3個の炭素以外の原子を有する置換又は未置換の芳香族ヘテロシクリル基で置換された、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例えば、−(CH1−6−イミダゾリル、−(CH1−6−トリアゾリル、−(CH1−6−チエニル、−(CH1−6−フリル、−(CH1−6−ピロリジニル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本技術分野で使用されているように、上記に定義した基にある程度の置換があってもよい。したがって、本発明の基の全てが置換を有し得る。本明細書において、本発明の基中の置換基への言及は、その特定のラジカルが、1又は複数の利用可能な位置、好ましくは1、2、又は3ヶ所、より好ましくは1又は2ヶ所、更により好ましくは1ヶ所で、1又は複数の置換基により置換されてもよいことを示している。これらの置換基としては、例えばC〜Cアルキル;ヒドロキシル;C〜Cアルコキシ;アミノ;C〜Cアミノアルキル;C〜Cカルボニルオキシル;C〜Cオキシカルボニル;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;シアノ;窒素;アジド;C〜Cアルキルスルホニル;チオール;C〜Cアルキルチオ;フェノキシル等のアリールオキシル;−NR(C=NR)NR(式中、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C18アリール、C〜C17アラルキル、3〜10員のヘテロシクリル、又はアミノ基の保護基により形成される群から選択される)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の化合物
本発明の化合物は、一般式(I)
−AA−AA−AA−AA−R (I)
その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩で定義され:
AAが、−Lys−、−Orn−、−Dab−、−Dpr−、−Agl−、−3,4−デヒドロリジン、及び−4,5−デヒドロリジンにより形成される群から選択され;
AAが−Ala−であり;
AAが−Asp−、−Ala−、−Asn−、−Glu−、及び−Pro−からなる群から選択され;
AAが−His−であり;
がH、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のヘテロシクリル、置換又は未置換のヘテロアリールアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のアラルキル、及びR−COからなる群から選択され;
が−NR、−OR、及び−SRからなる群から選択され;
及びRが、独立して、H、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のヘテロシクリル、置換又は未置換のヘテロアリールアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のアラルキルからなる群から選択され;
がH、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のアラルキル、置換又は未置換のヘテロシクリル、及び置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択されることを特徴とする。
【0033】
基及びR基は、それぞれ、ペプチド配列のアミノ末端(N末端)及びカルボキシ末端(C末端)に結合している。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、RはH又はR−CO−(式中、Rは、置換又は未置換のC〜C24アルキル、置換又は未置換のC〜C24アルケニル、置換又は未置換のC〜C24アルキニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルケニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキニル、置換又は未置換のC〜C30アリール、置換又は未置換のC〜C24アラルキル、置換又は未置換の3〜10環員ヘテロシクリル、並びに2〜24個の炭素原子及び1〜3個の炭素以外の原子及び炭素数1〜6のアルキル鎖を有する置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択される。より好ましくは、RはH、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2 メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、及びリノレオイルから選択される。更により好ましくは、RはH、アセチル、ラウロイル、又はパルミトイルミリストイルから選択される。更により好ましい実施形態では、ラジカルR1はHである。
【0035】
別の好ましい実施形態では、Rは、−NR、−OR、又は−SR(式中、R及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC〜C24アルキル、置換又は未置換のC〜C24アルケニル、置換又は未置換のC〜C24アルキニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルケニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキニル、置換又は未置換のC〜C30アリール、置換又は未置換のC〜C24アラルキル、置換又は未置換の3〜10環員ヘテロシクリル、並びに2〜24個の炭素原子及び1〜3個の炭素以外の原子及び炭素数1〜6のアルキル鎖を有する置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される)である。場合によっては、R及びRは、炭素−炭素結合により結合されていてよく、飽和であっても不飽和であってもく、窒素原子と一緒に環を形成してもよい。より好ましくは、Rは−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC〜C24アルキル、置換又は未置換のC〜C24アルケニル、置換又は未置換のC〜C24アルキニル、置換又は未置換のC〜C10シクロアルキル、置換又は未置換のC〜C15アリール、及び置換又は未置換の3〜10環員ヘテロシクリル、及び炭素数1〜6のアルキル鎖を有する置換又は未置換の3〜10環員ヘテロアリールアルキルからなる群から選択される)である。より好ましくは、R及びRはH、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、又はヘキサデシルからなる群から選択される。更により好ましくは、RはHであり、RはH、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、又はヘキサデシルにより形成される群から選択される。より好ましい実施形態によれば、Rは−OH及び−NHから選択される。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、AAは−Dpr−であり、AAは−Ala−及び−Pro−からなる群から選択される。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、RはH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルから形成される群から選択され、AAは−L−Dpr−であり、AAは−D−Ala−であり、AAは−L−Ala−であり、AAは−L−His−であり、Rは−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であり、好ましくは、Rは−OH又は−NHである。更により好ましくは、RはHであり、Rは−NHである。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、RはH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルにより形成される群から選択され、AAは−L−Dpr−であり、AAは−D−Ala−であり、AAは−L−Pro−であり、AAは−L−His−であり、Rは−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であり、好ましくは、Rは−OH又は−NHである。更により好ましくは、RはHであり、Rは−OHである。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、RはH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルにより形成される群から選択され、AAは−L−Dpr−であり、AAは−L−Ala−であり、AAは−L−Pro−であり、AAは−L−His−であり、Rは−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であり、好ましくは、Rは−OH又は−NHである。更により好ましくは、RはHであり、Rは−OHである。
【0040】
好ましくは、式(I)の化合物は以下からなる群から選択される:
H−Dpr−Ala−Ala−His−OH、
H−Dpr−Ala−Ala−His−NH
H−Dpr−Ala−Asn−His−OH、
H−Dpr−Ala−Asn−His−NH
H−Dpr−Ala−Asp−His−OH、
H−Dpr−Ala−Asp−His−NH
H−Dpr−Ala−Glu−His−OH、
H−Dpr−Ala−Glu−His−NH
H−Dpr−Ala−Pro−His−OH、
H−Dpr−Ala−Pro−His−NH
Palm−Dpr−Ala−Ala−His−OH、
Palm−Dpr−Ala−Ala−His−NH
Palm−Dpr−Ala−Asn−His−OH、
Palm−Dpr−Ala−Asn−His−NH
Palm−Dpr−Ala−Asp−His−OH、
Palm−Dpr−Ala−Asp−His−NH
Palm−Dpr−Ala−Glu−His−OH、
Palm−Dpr−Ala−Glu−His−NH
Palm−Dpr−Ala−Pro−His−OH、
Palm−Dpr−Ala−Pro−His−NH
H−Orn−Ala−Pro−His−OH、
H−Lys−Ala−Pro−His−OH、
H−Dab−Ala−Pro−His−OH、
H−Agl−Ala−Pro−His−OH、
H−Orn−Ala−Ala−His−OH、
H−Lys−Ala−Ala−His−OH、
H−Dab−Ala−Ala−His−OH、
H−Agl−Ala−Ala−His−OH、
H−Dpr−Ala−Pro−His−CONH−(CH15−CH
H−Dpr−Ala−Ala−His−CONH−(CH15−CH
H−4,5−デヒドロLys−Ala−Pro−His−OH、
H−3,4−デヒドロLys−Ala−Pro−His−OH、
Ac−Dpr−Ala−Pro−His−OH、及び
Ac−Dpr−Ala−Ala−His−OH;
これらの立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩。
【0041】
本発明のペプチドは、立体異性体又は立体異性体の混合物として存在してもよく、例えば構成アミノ酸がL体とD体を有してよく、互いに独立してラセミであってよい。したがって、不斉炭素の数及びどの異性体又は異性体混合物が存在するかに応じて、異性体混合物及びラセミ混合物又はジアステレオマー混合物、又は純粋なジアステレオマー若しくはエナンチオマーとして得ることができる。本発明のペプチドの好ましい構造は、純粋な異性体、すなわちエナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0042】
例えば、AAが−Dpr−であり得ると言う場合、AAは−L−Dpr−、−D−Dpr−、又はラセミ体であっても非ラセミ体であってもよい両方の混合物から選択されると理解される。同様に、AAが−Ala−であり得ると言う場合、AAは−L−Ala−、−D−Ala−、又はラセミ体であっても非ラセミ体であってもよい両方の混合物であり得ると理解される。本明細書に記載の製造方法により、適切な立体配置のアミノ酸を選択することで、当業者は本発明のペプチドの各立体異性体を得ることができる。
【0043】
本発明により提供されるペプチドの化粧品学的又は薬学的に許容される塩も本発明の範囲に含まれる。「化粧品学的又は薬学的に許容される塩」という用語は、動物での使用、より具体的にはヒトでの使用が許容される塩を意味し、塩基付加塩の形成に用いられる塩(例えば、限定されるものではないがとりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム等の無機塩であってもよく、例えば、限定されるものではないがとりわけ、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、又はピペラジン等の有機塩であってもよい)又は酸付加塩の形成に用いられる塩(例えば、限定されるものではないがとりわけ、アセタート、シトラート、ラクタート、マロナート、マレアート、タルトラート、フマラート、ベンゾアート、アスパルタート、グルタマート、スクシナート、オレアート、トリフルオロアセタート、オキサラート、パモアート、グルコナート等の有機塩であってもよく、例えば、限定されるものではないがとりわけ、塩化物塩、硫酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩等の無機塩であってもよい)が含まれる。化粧品学的又は薬学的に許容されれば、塩の性質は重要ではない。本発明のペプチドの化粧品学的又は薬学的に許容される塩は、先行技術中で周知の常法により得ることができる[SM Berge,LD Bighley and Monkhouse D.C.(1977)“Pharmaceutical Salts”J.Pharm.Sci 66:1−19]。
【0044】
本発明の別の態様は、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪を処置及び/又はケアするための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0045】
特に1つの態様では、本発明は、活性炭素種(RCS)、特に皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪で生成されるRCSの生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0046】
特に1つの態様では、本発明は、RCSを消去するための、好ましくは皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪で生成されるRCSを消去するための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0047】
特に1つの態様では、本発明の処置及び/又はケアは、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪における、光保護、細胞DNAの保護、及び/又は細胞DNAの修復からなる。
【0048】
特に1つの態様では、本発明の処置及び/又はケアは、局所又は経皮適用によりなされ、好ましくは、局所又は経皮適用は、イオントフォレーシス、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法(occlusive treatment)、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、微小電気パッチ(microelectric patch)、又はこれらの任意の組合せによりなされる。
【0049】
別の態様では、より具体的には、処置及び/又はケアは経口投与により行われる。
【0050】
特に別の態様では、本発明は、老化、光老化、セルライト、及び/又は体臭の徴候を低減、遅延、及び/又は防止する目的で皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪を処置及び/又はケアするための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0051】
特に別の態様では、本発明は、毛髪処置又は毛髪衛生のための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0052】
特に別の態様では、本発明は、身体皮膚の処置及び/若しくはケア又は身体衛生のための、本発明に記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0053】
製造プロセス
本発明のペプチド、その立体異性体、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の合成は、先行技術に公知の常法、例えば固相ペプチド合成法[Stewart JM and Young J.D.(1984)“Solid Phase Peptide Synthesis,2nd edition”Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois;Bodanzsky M.and Bodanzsky A.(1984)“The practice of Peptide Synthesis”Springer Verlag,New York,Lloyd Williams P.,Albericio F.and Giralt E.(1997)“Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins”CRC,Boca Raton,FL,USA]、溶液中での合成、固相合成法と酵素的合成溶液法の組合せ、又は[Kullmann W.(1980)“Proteases as catalysts for enzymic syntheses of opioid peptides”J.Biol.Chem.255:8234−8238]に従って行うことができる。ペプチドの獲得は、所望の配列を生産するための遺伝子操作されていてもいなくてもよい菌種の発酵、あるいは、少なくとも所望の配列を含むペプチド断片を放出させる動物タンパク質又は植物タンパク質の制御加水分解、好ましくは植物タンパク質の制御加水分解でも可能である。
【0054】
例えば、式(I)の本発明のペプチドを得る方法は:
N末端が保護されてC末端がフリーのアミノ酸をN末端がフリーでC末端が保護されているか固体支持体に結合されているアミノ酸上でカップリングさせる工程;
N末端の保護基を除去する工程;
カップリング及びN末端保護基の除去の連続操作を繰り返して所望のペプチド配列を得る工程;
C末端の保護基を除去するか固体支持体から切断する工程;
を含む。
【0055】
好ましくは、C末端は固体支持体に結合されており、プロセスは固相で行われ、そのためプロセスは、N末端が保護されてC末端がフリーのアミノ酸をN末端がフリーでC末端が高分子支持体に結合しているアミノ酸上でカップリングさせること、N末端保護基の除去;及びテトラペプチドを得るのに必要な回数この連続操作を繰り返し、その後、最後に、合成されたペプチドを元の高分子支持体から切断することを含む。
【0056】
アミノ酸側鎖の官能基は、合成中、一時的又は永久的な保護基で適切に保護されたままであり、高分子支持体からのペプチドの切断プロセスと並行して又は独立して(orthogonally)脱保護され得る。
【0057】
あるいは、固相合成は、高分子支持体又は高分子支持体に予め連結させたジペプチド若しくはアミノ酸上でジペプチド又はトリペプチドをカップリングさせる収束的戦略により行ってもよい。収束的な合成戦略は当業者に広く知られており、Lloyd Williams P.,Albericio F.and Giralt E.on“Convergent solid phase peptide synthesis”(1993)Tetrahedron 49:11065−11133に記載されている。
【0058】
プロセスは、当該技術分野で公知の標準的な条件及びプロセスを用いてN末端及びC末端を脱保護する並びに/又は不明確な順序(indistinct order)で高分子支持体からをペプチドを切断する更なる工程を含んでもよく、その後、それらの官能基は極端に変わってもよい。高分子支持体に固定したまま又はペプチドを高分子支持体から切断した後に、必要に応じて式(I)で表されるペプチドのN末端及びC末端の修飾を行ってもよい。
【0059】
あるいは、塩基及び好適な溶媒の存在下での求核置換反応により本発明のペプチドのN末端を化合物R−X(式中、Rは上記した通りであり、Xは脱離基であり、例えば、限定されるものではないがとりわけ、トシル基、メシル基、及びハロゲン基である)と反応させることでRを導入してもよく、この断片は、一時的又は永久的な保護基で適切に保護されているN−C結合の形成に関与しない官能基を有する。
【0060】
必要に応じて、且つ/又はそれに加えて、Rラジカルを導入してもよく、導入は、好適な溶媒及び塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン若しくはトリエチルアミン等、又は添加剤、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)若しくは1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)等、及び脱水剤、例えばとりわけカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩、若しくはアミジニウム塩等の存在下で、化合物HR(式中、Rは−OR、−NR、又は−SRである)と、Rが−OHである式(I)で表されるペプチドに対応する更なる断片との反応によってなされるか、あるいは、予めハロゲン化アシルを例えば塩化チオニルと形成することで、断片がN−C結合の形成に関与しない官能基を有し一時的又は永久的な保護基で適切に保護された一般式(I)の本発明に係るペプチドを得ることでなされる。あるいは、高分子支持体からのペプチド切断プロセスと同時に取り込ませることで他のRラジカルを導入してもよい。
【0061】
当業者であれば、C末端及びN末端の脱保護/切断段階並びにその後の誘導体化が当該技術分野で公知のプロセスに従って不明確な順序で行われ得ることが容易に理解できるであろう[Smith,M.B.and March,J.(1999)“March’s Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure”,5th Edition,John Wiley & Sons,2001]。
【0062】
「保護基」という用語は、有機官能基をブロックする基を意味し、これは制御条件下で除去することができる。保護基、その相対反応性、及びそれらが不活性である条件は当業者に公知である。
【0063】
アミノ基の保護基の代表例としては、とりわけ、アミドアセタート、アミドベンゾアート、アミドピバラート等のアミド;ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)、2−クロロベンジル(ClZ)パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル(Teoc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)等のカルバマート;トリチル(Trt)、メトキシトリチル(Mtt)、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)エチル(Dde)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル(ivDde)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシ−カルボニル(Adpoc)、好ましくはBoc又はFmocが挙げられる。
【0064】
とりわけ、tert−ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(トリチルエステル、Trt)、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト−ニトロベンジルエステル、パラ−ニトロベンジルエステル、パラ−メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチニルエステル、2−フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4−(N−[1−(4、4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)等のカルボキシル−エステルの保護基の代表例;本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHex、Bzl、及びTrtのエステルである。
【0065】
三官能性アミノ酸は、合成プロセス中、N末端及びC末端の保護基とは独立した一時的又は永久的な保護基で保護することができる。
【0066】
リジン側鎖のアミノ基の保護には、オルニチン、ジアミノ酪酸、ジアミノプロピオン酸、アミノグリシン、3,4−デヒドロリジン及び4,5−デヒドロリジンのアミド、例えば、とりわけ、アミドアセタート、アミドベンゾアート、アミドピバラート;ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)、2−クロロベンジル(ClZ)パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル(Teocar)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)等のカルバマート;トリチル(Trt)、メトキシトリチル(Mtt)、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)エチル(Dde)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル(ivDde)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル(ivDde)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシ−カルボニル(Adpoc)を用いることができる。アスパラギン酸及びグルタミン酸の側鎖のカルボキシル基の保護には、とりわけ、tert−ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(トリチルエステル、Trt)、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト−ニトロベンジルエステル、パラ−ニトロベンジルエステル、パラ−メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2−フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジル(Dmab)等のエステルを用いることができる。ヒスチジンのイミダゾリル基は、とりわけ、トシル基(Tos)、tert−ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ベンジル基(Bzl)、ベンジルオキシメチル基(Bom)、トリチル(Trt)基、メチルトリチル(Mtt)基、2−メシチレンスルホニル(Mts)基、又は2,4−ジニトロフェニル(Dnp)で保護することができ、アスパラギンのアミド基は、トリチル(Trt)基、メチルトリチル(Mtt)基、又はキサンチル(Xan)基で保護することができ、あるいはアミド基を保護せずに用いることもできる。
【0067】
好ましい実施形態で使用する保護基の戦略は、アミノ基をBocで保護し、カルボキシル基をBzl、Chex、又はAllで保護し、アスパラギンの側鎖は保護せず、ヒスチジンをTos又はDnpで保護するという戦略である。
【0068】
別の好ましい実施形態で使用する保護基の戦略は、アミノ基をFmocで保護し、カルボキシル基をtBu、All、又はTrtで保護し、アスパラギンの側鎖をTrtで保護し、ヒスチジンをTrt又はMttで保護する戦略である。
【0069】
これら及びその他の更なる保護基、その導入、及びその除去の例は、文献[Greene TW and PGM Wuts,(1999)“Protective groups in Organic Synthesis”John Wiley & Sons,New York,Atherton B.and Sheppard R.C.(1989)“Solid Phase Peptide Synthesis:A practical approach”IRL Oxford University Press]に記載されている。「保護基」という用語は、固相合成法に用いられる高分子支持体も含む。
【0070】
合成が、完全に又は一部、固相で行われる場合、本発明の方法で用いるための固体支持体としては、ポリスチレン支持体、ポリスチレン上にグラフトされたポリエチレングリコール等、例えば、限定されるものではないが、p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(MBHA)[Matsueda GR and Stewart J.M.(1981)“A p−methylbenzhydrylamine resin for improved solid phase synthesis of peptide amides”Peptides 2:45−50]、2クロロトリチル樹脂[Barlos K.,Gatos D.,Kallitsis J.Papaphotiu G.,Sotiriu P.,Wenqing Y.and W.Schafer(1989)“Darstellung geschutzter Peptid substituierter Fragmente unter Einsatz Triphenylmethyl Harze”Tetrahedron Lett.30:3943−3946;Barlos K.,Gatos D.,Kapolos S.,Papaphotiu G.,Schafer W.and Wenqing Y.(1989)“Veresterung von partiell geschutzten Peptid fragment mit Harz.Einsatz von 2−Chlorotritylchlorid zur Synthese von Leu1−Gastrin I”Tetrahedron Lett.30:3947−3951]、TentaGela樹脂(ラップ・ポリマー社(Rapp Polymere GmbH)製)、ChemMatrix(登録商標)樹脂(マトリックス・イノベーション社(Matrix Innovation、Inc)製)等を挙げることができ、5−(4−−アミノメチル−3,5−ジメトキシ−フェノキシ)−吉草酸(PAL)[Albericio F.,Kneib Cordonier N.,Biancalana S.,Gera L.,Masada Rl,Hudson D.and Barany G.(1990)“Preparation and application of the 5−(4−(9−fluorenylmethyloxycarbonyl)aminomethyl−3,5−dimethoxy−phenoxy)−valeric acid(PAL)handle for the solid phase synthesis of C−terminal peptide amides under mild conditions”J.Org.Chem 55:3730 3743]、2−[4−アミノメチル−(2,4−ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸(AM)[Rink H.(1987)“Solid phase synthesis of protected peptide fragments using a diphenyl trialkoxy−methylester−resin”Tetrahedron Lett.28:3787 3790]、Wang[Wang S.S.(1973)“p−Alkoxybenzyl Alcohol Resin and p Alkoxybenzyloxycarbonylhydrazide Resin for Solid Phase Synthesis of Protected Peptide Fragments”J.Am.Chem.Soc.95:1328−1333]等の不安定スペーサー(labile spacer)を含んでも含まなくてもよく、これは、脱保護と高分子支持体からのペプチド切断を同時に行うことを可能にする。
【0071】
化粧品組成物又は医薬組成物
本発明のペプチドは、ペプチド含有組成物の形態でペプチドを哺乳動物、好ましくはヒト、の体におけるその作用部位と接触させる任意の手段により、RCSを捕捉するように投与され得る。
【0072】
この点で、本発明の別の態様は、少なくとも1つの一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの化粧品学的又は薬学的に許容されるアジュバントと一緒に含む、化粧品組成物又は医薬組成物である。そのような組成物は、当業者に公知の常法により製造することができる[“Harry’s Cosmeticology”,Eight Edition(2000)Rieger MM,ed.,New York Chemical Pub,NY,U.S.;“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Twentieth Edition(2003)Gennaro AR,ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,U.S.]。
【0073】
本発明のペプチドの水への溶解性はその配列の性質又はそのN末端及び/若しくはC末端にあり得る修飾に応じて様々である。したがって、本発明のペプチドは、水溶液によって組成物中に導入してもよく、水溶性でないものは従来の化粧品学的又は薬学的に許容される溶媒に可溶化してもよく、そのような溶媒としては、例えば、限定されるものではないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール、又はこれらの任意の組合せが含まれる。
【0074】
投与する本発明のペプチドの化粧品学的又は薬学的有効量及びその用量は、年齢、患者の状態、障害又は病態の重症度、投与の経路及び頻度、使用されるペプチドの特定の性質等の多くの要因に依存する。
【0075】
「化粧品学的又は薬学的有効量」とは、毒性はないが所望の効果が得られるのに十分な量の本発明のペプチドを意味する。本発明のペプチドは、本発明の化粧品組成物又は医薬組成物中で、所望の効果が得られる化粧品学的又は薬学的に有効な濃度で使用され、これは好ましい形態では組成物の全重量に対して0.00000001〜20%(重量)、好ましくは0.000001〜20%(重量)、より好ましくは0.0001〜10%(重量)、更により好ましくは0.0001〜5%(重量)である。
【0076】
本発明のペプチドは、化粧品学的又は薬学的な送達系及び/又は徐放系に組み込んでもよい。
【0077】
「送達系」という用語は、本発明のペプチドと一緒に投与される希釈剤、アジュバント、補形剤(excipient)、キャリアを意味する。これらの化粧品学的又は薬学的キャリアは、水、油、界面活性剤等の液体であってよく、これには石油起源、動物起源、植物起源、又は合成起源のもの、例えば、限定されるものではないが、ピーナッツ油、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油、ひまし油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテルスルファート、スルファート、ベタイン、グルコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキストロース、グリセロール、ジギトニン等が含まれる。E.W.Martin著の“Remington’s Pharmaceutical Sciences”に適切なキャリアとしての希釈剤、アジュバント、又は補形剤が記載されている。
【0078】
「徐放」という用語は、ある期間、必須ではないが好ましくはその期間を通して一定の化合物放出レベルで、化合物を徐々に放出する化合物の送達系を指して通常の意味で使用される。
【0079】
送達系又は徐放系の例としては、マイクロエマルション及びナノエマルションの形態だけでなく、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、及び固体脂質ナノ粒子、スポンジ、シクロデキストリン、小胞、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリスフェア(milliesphere)、マイクロスフェア、及びナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセル、及びナノカプセルが挙げられ、これらは活性成分の浸透を促進するため及び/又はその薬物動態学的特性及び薬力学的特性を向上させるために添加され得る。
【0080】
徐放系は、先行技術中に公知の方法で調製することができ、それらを含む組成物は例えば、接着パッチ、非接着パッチ、微小電気パッチ等の局所投与により投与してもよく、あるいは全身投与、例えば、限定されるものではないが、経鼻、直腸内、又は皮下への移植若しくは注射、又は特定の身体部位への直接の移植若しくは注射等の経口若しくは非経口で投与してもよく、好ましくは、本発明のペプチドを比較的一定量放出しなければならない。徐放系に含まれるペプチドの量は、例えば投与部位、本発明のペプチドの放出の動態及び期間、並びに処置又は防止する状態、障害、及び/又は病態の性質に応じて変わる。
【0081】
本発明のペプチドは、例えば、限定されるものではないがとりわけ、タルク、ベントナイト、シリカ、でんぷん、マルトデキストリン等の固体有機ポリマー又は固体無機支持体に吸着させてもよい。
【0082】
本発明のペプチドを含む組成物は、皮膚、粘膜、及び/又は頭皮に直接接触する布地、不織布、及び医療器具に組み込んで、布地、不織布、若しくは医療器具に固定する系の生分解によって、又は身体と後者の摩擦、身体の水分、皮膚のpH、若しくは体温によってこれらから本発明のペプチドが放出されるようにしてよい。更に、布地及び不織布は、身体に直接接触する衣服の製造に用いることもできる。好ましくは、本発明のペプチドを含む布地、不織布、及び医療器具はRCSの生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態の処置及び/又はケアに用いられる。
【0083】
前述した送達系及び/又は徐放系を含む布地、不織布、衣服、医療器具、及びそれらにペプチドを不動化する手段の例は文献に記載されており、当該技術分野で公知である[Schaab C.K.(1986)“Impregnating Fabrics With Microcapsules”,HAPPI May 1986;Nelson G.(2002)“Application of microencapsulation in textiles”Int.J.Pharm.242:55−62;“Biofunctional Textiles and the Skin”(2006)Curr.Probl.Dermatol,v.33,Hipler U.C.and Elsner P.,eds.S.Karger AG,Basel,Switzerland;Malcom R.K.;McCullagh S.D.,Woolfson A.D.,Gorman S.P.,Jones D.S.and Cuddy J.(2004)“Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self−lubricating silicone biomaterial”J.Cont.Release 97:313−320]。好ましい布地、不織布、衣服、及び医療器具は、包帯、ガーゼ、シャツ、ソックス、ストッキング、下着、ガードル、手袋、おむつ、生理用ナプキン(sanitary towel)、包帯材(dressing)、ベッドスプレッド、拭き取り用の布(wipe)、ハイドロゲル、接着パッチ、非接着パッチ、微小電気パッチ、及び/又はパック(facial mask)である。
【0084】
本発明のペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を含む化粧品組成物及び医薬組成物は、所望の剤形に製剤するために必要な化粧品学的又は薬学的に許容される補形剤を含んでいてもよい局所又は経皮適用用の様々な種類の組成物に用いることができる[Fauli i Trillo C.(1993)in“Tratado de Farmacia Galenica”,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid]。
【0085】
局所又は経皮適用用の組成物は、任意の固体、液体、半固体製剤の形態で存在し得、そのような製剤には、例えば、限定されるものではないが、クリーム、複合エマルション、例えば、限定されるものではないが、水中油及び/又はシリコーン型のエマルション、油及び/又はシリコーン中水型のエマルション、水/油/水型又は水/シリコーン/水型のエマルション、並びに油/水/油型又はシリコーン/水/シリコーン型のエマルション、無水組成物、水性分散液、油、乳液、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、ヒドロアルコール溶液、ハイドログリコリック溶液、リニメント、血清、石けん、シャンプー、コンディショナー、血清、多糖膜、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー(bar)、ペンシル、スプレーが含まれ、これには「つけたままにしておく(leave on)」製剤及び「洗い流す(rinse off)」製剤が含まれる。これらの局所又は経皮適用のための製剤は、当業者に公知の技術を用いて、例えば、限定されるものではないが、拭き取り用の布、ハイドロゲル、接着パッチ、非接着パッチ、微小電気パッチ、パック等の種々の固体付属品に組み込んでもよく、あるいはとりわけ、メイクアップファンデーション、例えば液体ファンデーション及びコンパクトファンデーション、メイク落とし用ローション、メイク落とし用乳液、コンシーラー、アイシャドー、口紅、リッププロテクター、リップグロス、パウダー等の種々のメイクアップ用品に組み込んでもよい。
【0086】
本発明の化粧品組成物又は医薬組成物は、本発明のペプチドの経皮吸収を促進する剤、例えば、限定されるものではないがとりわけ、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、アルコール、尿素、エトキシジグリコール、アセトン、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールを含んでもよい。更に、本発明の化粧品組成物及び医薬組成物は、本発明のペプチドを浸透し易くするために、イオントフォレーシス、超音波導入、エレクトロポレーション、微小電気パッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、マイクロインジェクション、又は例えば酸素圧による注射等の圧力による無針注射、又はこれらの任意の組合せによって、処置する局所部位に適用され得る。適用部位は、防止又は処置する状態、障害、及び/又は病態の性質によって決められる。
【0087】
更に、本発明のペプチド、その立体異性体、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を含む化粧品組成物は、経口投与用の種々の製剤に使用することができ、好ましくは飲む化粧品(oral cosmetic)の形態、例えば、限定されるものではないが、ゼラチンカプセル等のカプセル剤、糖衣錠等の錠剤、パウダー、顆粒形態、チューインガム、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ剤、多糖膜、ゼリー、又はゼラチン、及び当業者に公知の任意のその他の形態で使用できる。特に、本発明のペプチドは、任意の形態の機能性食品又は栄養強化食品に組み込むことができ、そのようなものとしては、例えば、限定されるものではないが、棒状食品(dietary bar)又はコンパクトな若しくはコンパクトでないパウダーが含まれる。これらのパウダーは、水、ソーダ、乳製品、大豆由来物中に可溶化されるか、棒状食品中に組み込むことができる。本発明のペプチドは、経口組成物又は栄養補助食品用の一般的な補形剤及びアジュバントと一緒に処方してよく、そのようなものとしては、例えば、限定されるものではないが、食品業界で一般的な脂肪成分、水性成分、湿潤剤、保存剤、粘着防止剤、矯味剤(flavor)、香料(aroma)、酸化防止剤、及び着色剤が含まれる。
【0088】
本発明のペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を含む化粧品組成物及び医薬組成物は、局所又は経皮経路、任意のその他の適切な経路、例えば経口経路又は非経口経路により投与してもよく、そのために、所望の剤形を処方するために必要な薬学的に許容される補形剤を含む。本発明において、「非経口」という用語は、鼻腔、耳、目、直腸経路、皮下注射、皮内注射、血管内注射、例えば静脈内、筋肉内、硝子体内、脊髄内、頭蓋内、関節内、鞘内、及び腹腔内注射、並びに任意のその他の同様な注射又は注入技術を含む。活性成分の種々の薬剤の剤形及びそれを得るための補形剤の概括は、例えば“Tratado de Farmacia Galenica”,C.Fauli i Trillo,1993,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madridに記載されている。
【0089】
本発明に記載の化粧品組成物及び医薬組成物に含まれる化粧品学的又は薬学的に許容されるアジュバントには、組成物のその他の成分、特に本発明の組成物に含まれる一般式(I)で表されるペプチドと物理的及び化学的に共存可能であれば、皮膚、粘膜、及び/又は頭皮の処置及び/又はケアのための組成物に一般的に用いられる更なる原料、例えば、限定されるものではないがとりわけ、他のRCSスカベンジャー、MMP抑制剤、メラニン合成の刺激剤又は抑制剤、美白剤又は脱色剤(depigmenting agent)、着色促進剤(propigmenting agent)、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO合成阻害剤、5α還元酵素阻害剤、リジルヒドロキシラーゼ及び/又はプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー及び/又は大気汚染に対する剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、制吐薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、乳化剤、皮膚軟化剤、有機溶媒、液体推進薬、湿潤剤等のスキンコンディショナー、水分保持物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、モイスチャライザー、表皮加水分解酵素、ビタミン、顔料又は着色剤、色素、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、柔軟剤、抗シワ剤、目の下のタルミを低減又は処置できる剤、剥脱剤、抗微生物剤、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮又は表皮の巨大分子合成を刺激する且つ/又はその分解を阻害若しくは防止できる剤、例えばコラーゲン合成刺激剤、エラスチン合成刺激剤、デコリン合成刺激剤、ラミニン合成刺激剤、デフェンシン合成刺激剤、シャペロン合成刺激剤、アクアポリン合成刺激剤、ヒアルロン酸合成刺激剤、フィブロネクチン合成刺激剤、サーチュイン合成刺激剤、角質層の脂質及び成分(セラミド、脂肪酸等)の合成刺激剤、コラーゲン分解を抑制するその他の剤、エラスチン分解抑制剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、例えば白血球エラスターゼ又はカテプシンG、線維芽細胞増殖刺激剤、ケラチノサイト増殖刺激剤、脂肪細胞増殖刺激剤、メラノサイト増殖刺激剤、ケラチノサイト分化刺激剤、脂肪細胞分化刺激剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、皮膚弛緩剤、グリコサミノグリカン合成刺激剤、抗過角化症剤、コメド溶解剤(comedolytic agent)、抗乾癬剤、DNA修復剤、DNA保護剤、安定剤、抗掻痒剤、敏感肌を処置及び/又はケアするための剤、固化剤(firming agent)、抗皮膚線条剤、結合剤、皮脂生成制御剤、脂肪分解剤又はリポリーシス刺激剤、抗セルライト剤、制汗剤、治癒刺激剤、コアジュバント治癒剤、再上皮化刺激剤、コアジュバント再上皮化剤、サイトカイン増殖因子、鎮静剤(calming agent)、抗炎症薬、麻酔薬、毛細血管循環及び/又は微小循環に作用する剤、血管新生刺激薬、血管透過性抑制剤、静脈強壮剤(venotonic agent)、細胞代謝に作用する剤、真皮−表皮接合部改善剤、発毛・育毛誘導剤、発毛・育毛を抑制又は遅延する剤、保存剤、芳香剤、キレート化剤、植物エキス、精油、海洋エキス、バイオ発酵プロセスから得られる剤、鉱物塩、細胞抽出物、並びに日焼け止め(紫外線A及び/又はBに有効な有機又は無機光保護剤)が含まれる。更に、これら更なる原料の性質は、本発明のペプチドの利点を許容できないほどに変えるべきではない。これら更なる原料は本質的に、植物エキスのように天然であっても合成であってもよく、バイオ発酵プロセス由来であってもよい。更なる例は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook,12th Edition(2008)に記載されている。
【0090】
本発明の別の態様は、化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの本発明のペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に加えて、活性炭素種スカベンジャー、フリーラジカルスカベンジャー、及び/又は抗糖化剤である化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの合成又は天然化合物、天然抽出物、又はバイオ発酵プロセスにより得られる産物、例えば、限定されるものではないがとりわけ、カルノシン及びその誘導体、GHK[INCI:トリペプチド−1]及びその塩及び/若しくは誘導体、又はリポテック社(Lipotec)から販売されているAldenine(登録商標)[INCI:加水分解コムギタンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−1]を含む化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【0091】
本発明の別の態様は、化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に加えて、(i)抗シワ剤及び/又は老化防止剤である化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの抽出物、例えば、限定されるものではないがとりわけ、ブドウ(Vitis vinifera)、ローザ・カニーナ(Rosa canina)、ウコン(Curcuma longa)、イリスパリーダ(Iris pallida)、カカオ(Theobroma cacao)、イチョウ(Ginkgo biloba )、レオントポジウム・アルピヌム(Leontopodium Alpinum)、又はドナリエラサリナ(Dunaliella salina)の抽出物、あるいは、(ii)抗シワ剤又は老化防止剤である少なくとも1つの合成化合物又はバイオ発酵産物、例えば、限定されるものではないがとりわけ、セダーマ社から販売されているMatrixyl(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド−3]又はMatrixyl 3000(登録商標)[INCI:パルミトイルテトラペプチド−3パルミトイルオリゴペプチド];ペンタファーム/DSM社から販売されているVialox(登録商標)[INCI:ペンタペプチド−3]、Syn−ake(登録商標)[INCI:ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセタート]、又はPreregen(登録商標)[INCI:大豆グリシン(大豆)タンパク質、オキシドレダクターゼ];ラボラトワール・セロビオロジック社(Laboratoires Serobiologiques)/コグニス社から販売されているMyoxinol(商標)[INCI:加水分解オクラ(Hibiscus Esculentus)エキス]又はDN−AGE(商標) LS[INCI:ハネセンナ(Cassia Alata)葉エキス];エクシモール社(Exsymol)から販売されているAlgisum C(登録商標)[INCI:メチルシラノールマンヌロナート]又はHydroxyprolisilane CN(登録商標)[INCI:メチルシラノールヒドロキシプロリンアスパルタート];Argireline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド−8]、SNAP−7[INCI:アセチルヘプタペプチド−4]、SNAP−8[INCI:アセチルオクタペプチド−3]、Leuphasyl(登録商標)[INCI:ペンタペプチド−18]、Aldenine(登録商標)[INCI:加水分解コムギタンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−1]、Trylagen(商標)[INCI:シュードアルテロモナス(Pseudoalteromonas)発酵エキス、加水分解コムギタンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−10シトルリン、トリペプチド−1];リポテック社から販売されているアイセリル(登録商標)[INCI:アセチルテトラペプチド−5]、Lipochroman−6[INCI:ジメチルメトキシクロマノール]、Chromabright(商標)[INCI:ジメチルメトキシクロマニルパルミタート]、又はAntarcticine(登録商標)[INCI:シュードアルテロモナス発酵エキス];アンスティチュ・ユロペアン・ドゥ・ビオロジー・セリュレール社(lnstitut Europeen de Biologie Cellulaire)から販売されているKollaren(登録商標)[INCI:トリペプチド−1、デキストラン];Vincience社から販売されているCollaxyl(登録商標)IS[INCI:ヘキサペプチド−9]、Orsirtine(商標)GL[INCI:イネ(Oryza Sativa(Rice))抽出物]、D’Orientine(商標) IS[INCI:ナツメヤシ(Phoenix Dactylifera(Date))種子抽出物]、Phytoquintescine(商標)[INCI:ヒトツブコムギ(Einkorn(Triticum monococcum)エキス]、又はQuintescine(商標) IS[INCI:ジペプチド−4];インフィニテック・アクチボス社(lnfinitec Activos)から販売されているBONT−L−ペプチド[推定INCI:パルミトイルヘキサペプチド;Ca2+チャネルアンタゴニスト、例えば、限定されるものではないが、アルベリン、マンガン若しくはマグネシウム塩、特定の第二級又は第三級アミン、レチノール及びその誘導体、イデベノン及びその誘導体、コエンザイムQ10及びその誘導体、ボスウェル酸及びその誘導体、GHK及びその誘導体及び/若しくは塩、カルノシン及びその誘導体、DNA修復酵素、例えば、限定されるものではないが光回復酵素若しくはT4エンドヌクレアーゼV、又は塩素イオンチャネルアゴニスト、を含む、化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【0092】
本発明の別の態様は、少なくとも化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩に加えて、抗セルライト剤、脂肪分解剤、及び/又は静脈強壮剤である化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つの合成又は天然抽出物、例えば、限定されるものではないがとりわけ、マンシュウミシマサイコ(Bupleurum Chinensis)、セクロピア・オブツシフォリア(Cecropia Obtusifolia)、ケイトウ(Celosia Cristata)、センテラ・アジアティカ(Centella Asiatica)、キノア(Chenopodium Quinoa)、クリサンテルム・インジクム(Chrysanthellum Indicum)、シトラス・オーランティアム・アマーラ(Citrus Aurantium Amara)、コーヒーノキ(Coffea Arabica)、コレウス・フォルスコリ(Coleus Forskohlii)、コミフォーラ・ミーラ(Commiphora Myrrha)、クリスムム・マリティムム(Crithmum Maritimum)、クローブ(Eugenia Caryophyllus)、イチョウ(Ginkgo Biloba)、ヘデラ・ヘリックス(Hedera Helix)(アイビーエキス)、ハイビスカス・サブダリッファ(Hibiscus Sabdariffa)、マテチャ(Ilex Paraguariensis)、ラミナリア(Laminaria Digitata)、ネルンビウム・スペシオサム(Nelumbium Speciosum)、ガラナ(Paullinia Cupana)、ボルドア樹(Peumus Boldus)、フィラカンタ・フィブロサ(Phyllacantha Fibrosa)、ウツボグサ(Prunella Vulgaris)、アーモンド(Prunus Amygdalus Dulcis)、ルスクス・アクレアツス(Ruscus Aculeatus)(ナギイカダエキス)、セイヨウニワトコ(Sambucus Nigra)、スピルリナ(Spirulina Platensis Algae)、キャッツクロー(Uncaria Tomentosa)、又はクマツヅラ(Verbena Officinalis)の抽出物又は抽出物の加水分解産物、あるいは、それに加えて、少なくとも、抗セルライト剤、脂肪分解剤、及び/又は静脈強壮剤である合成化合物、バイオ発酵の抽出物又は産物、例えば、限定されるものではないがとりわけ、ジヒドロミリセチン、コエンザイムA、リパーゼ、グラウシン、エスクリン、ビスナジン、ペンタファーム社/DSM社から販売されているRegu(登録商標)−Shape[INCI:異性化リノール酸、レシチン、グリセリン、ポリソルベート80];Vincience社/ISP社から販売されているUCペプチド(商標)V[INCI:ペンタペプチド]又はATペプチド(商標)IS[INCI:トリペプチド−3];SEPPIC社から販売されているアディポスリム[INCI:ソルビタンラウラート、ラウロイルプロリン];カフェイン、カルニチン、エスチン、及び/又はトリエタノールアミンヨウ化物、を含む、化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【0093】
応用
本発明の別の態様は、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪を処置及び/又はケアするための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0094】
更に、本発明は、RCS、好ましくは皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪で生成したRCSを消去するための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0095】
更に、本発明の別の態様は、RCSの生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。好ましくは、化粧品組成物又は医薬組成物は、老化、光老化、セルライト、及び/又は体臭の徴候を示す皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪部位を処置及び/又はケアするために製造される。更により好ましくは、処置及び/又はケアは、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪における、光保護、細胞DNAの保護、及び/又は細胞DNAの修復からなる。
【0096】
好ましくは、RCSの生成により処置及び/又はケアする皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態には、老化、光老化、セルライト、及び体臭が含まれる。
【0097】
好ましくは、本発明は、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪を処置して老化及び/又は光老化の徴候を低減、遅延、及び/又は防止するための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、式(I)で表されるペプチドの使用に関する。
【0098】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、毛髪処置又は毛髪衛生のための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。毛髪処置又は毛髪衛生のための化粧品組成物又は医薬組成物の例としては、とりわけ、シャンプー、コンディショナー、ヘアローション、ヘアトニック、及びスカルプマスクが含まれる。
【0099】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、身体皮膚の処置又は身体衛生のための化粧品組成物又は医薬組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。身体皮膚の処置又は身体衛生のための化粧品組成物又は医薬組成物の例としては、クリーム、複合エマルション、例えば、限定されるものではないが、水中油及び/又はシリコーン型のエマルション、油及び/又はシリコーン中水型のエマルション、水/油/水型又は水/シリコーン/水型のエマルション、及び油/水/油型又はシリコーン/水/シリコーン型のエマルション、無水組成物、水性分散液、油、乳液、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、ゲルクリーム、ヒドロアルコール溶液、ハイドログリコリック溶液、リニメント、血清、石けん、血清、多糖膜、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー、ペンシル、スプレー(「つけたままにしておく」製剤及び「洗い流す」製剤を含む)、拭き取り用の布、ハイドロゲル、接着パッチ、非接着パッチ、微小電気パッチ、又はパック、メイクアップ化粧品ラインの製品、例えばとりわけ、液体ファンデーション及びコンパクトファンデーション等のメイクアップファンデーション、メイク落とし用ローション、メイク落とし用乳液、コンシーラー、アイシャドー、口紅、リッププロテクター、リップグロス、及びパウダーが含まれる。
【0100】
本発明のペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を含む組成物は、状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするために必要なように、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪に適用されるか、経口又は非経口で投与され得る。
【0101】
本発明が想定する化粧品組成物又は医薬組成物は、本発明のペプチドの浸透性が高まるようにイオントフォレーシス、超音波導入、エレクトロポレーション、微小電気パッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、マイクロインジェクション、又は酸素圧による注射等の圧力による無針注射、又はこれらの任意の組合せにより、皮膚及び/又は頭皮に適用され得る。
【0102】
本発明の別の態様は、RCSの消去が有益な、哺乳動物、好ましくはヒト、の状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするための化粧的又は薬学的方法であって、少なくとも1つの一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を好ましくはそれを含む化粧品組成物又は医薬組成物の形態で有効量投与することを含む、方法に関する。本発明はまた、RCS、好ましくは皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪で生成するRCSを消去するための化粧的又は薬学的方法も提供する。
【0103】
更に、本発明は、RCSの生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態を化粧的又は薬学的に処置及び/又はケアする方法であって、皮膚、粘膜、頭皮、及び/若しくは毛髪への局所若しくは経皮適用又は少なくとも1つの本発明のペプチド、その立体異性体、それらの混合物、若しくはその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩を含む化粧品組成物若しくは医薬組成物の経口若しくは非経口投与を含む方法を提供する。
【0104】
適用又は投与の頻度は、各対象の必要性に応じて広く変わり得、適用又は投与の推奨範囲は月1回から1日10回、好ましくは週1回から1日4回、より好ましくは、週3回から1日3回、更により好ましくは1日1回又は2回である。
【0105】
以下に具体例を用いて本発明の性質を説明する。これらの例は説明のみを目的とするものであり、本明細書に記載の発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0106】
一般的方法
全ての試薬及び溶媒は合成用の品質であり、更なる処理をせずに用いる。
【0107】
略語
アミノ酸に用いる略語は、Eur J.Biochem.(1984)138:9−37及びJ.Chem(1989)264:633−673に詳説されているIUPAC−IUB生化学命名法委員会の規則に従う。
【0108】
Ac、アセチル;DNA、デオキシリボ核酸;Adpoc、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシ−カルボニル;Agl、アミノグリシン又はジアミノ酸(diaminoacidic acid);Ala、アラニン; All、アリル;Alloc、アリルオキシカルボニル;AM、2−[4アミノメチル−(2,4−ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸;Asn、アスパラギン;Asp、アスパラギン酸;Boc、tert−ブチルオキシカルボニル;Bom、ベンジルオキシメチル;Cbz、ベンジルオキシカルボニル;cHx、シクロヘキシル;ClTrt樹脂、2−クロロトリチル;CLZ、2−クロロベンジル;cps、センチポイズ;C末端、カルボキシ末端;Dab、1,4−ジアミノ酪酸;DCM、ジクロロメタン;Dde、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)エチル;DIEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDI、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;Dmab、4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジル;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;DNP、2,4−ジニトロフェニル;DPPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン;Dpr、1,3−ジアミノプロパン酸;equiv、当量;ESI−MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;Fm、フルオレニルメチル;Fmoc、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル;Glu、グルタミン酸;His、ヒスチジン;HNE、4−ヒドロキシ−2ノネナール;HOAt、1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール;HOBt、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;INCI、化粧品原料の国際命名法;ivDde、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル;Lys、リジン;MBHA、p−メチルベンズヒドリルアミン;MDA、マロンジアルデヒド;MeCN、アセトニトリル;MeOH、メタノール;MLV、多層小胞(multilaminar vesicle);MMP、マトリックスメタロプロテイナーゼ;Mts、2−メシチレンスルホニル(Mts);Mtt、メチルトリチル又はメトキシトリチル;NE、2−ノネナール;N末端、アミノ末端;Orn、オルニチン;PAL、5−(4−アミノメチル−3,5−ジメトキシフェノキシ)吉草酸;Palm、パルミトイル;PBS、リン酸緩衝生理食塩水;pNZ、パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル;Pro、プロリン;RCS、活性炭素種;樹脂;ROS、活性酸素種;tBu、tert−ブチル;Teoc、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン;TIS、トリイソプロピルシラン;Tos、トシル;Troc、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル;Trt、トリチル;ULV、単層小胞(unilaminar vesicle);UV、紫外線;Xan、キサンチル;Z、ベンジルオキシカルボニル。
【0109】
化学合成
全ての合成プロセスを、多孔性ポリエチレンのディスクを備えたポリプロピレンシリンジ中又は多孔板を備えたパイレックス(登録商標)製反応器中で行う。溶媒及び可溶性試薬は吸引により除去する。Fmoc基は、ピペリジン−DMF(2:8、v/v)(1×1分、1×5分、5mL/g樹脂)を用いて取り除く[Lloyd Williams P., Albericio F. and Giralt E.(1997) “Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins” CRC, Boca Raton, FL, USA]。脱保護段階、カップリング段階、及び再脱保護段階の間での洗浄は、DMFを各回10mL溶媒/g樹脂で用いて行った(3×1分)。カップリング反応は、3mL溶媒/g樹脂で行った。カップリングの調節はニンヒドリン試験[E. Kaiser, RL Colescott, CD Bossing and Cook P.I.(1970) “Color test for detection of free terminal amino groups in the solid phase synthesis of peptides” Anal. Biochem. 34:595−598]又はクロラニル[Christensen T.(1979) “A qualitative test for monitoring coupling completeness in solid−phase peptide synthesis using Chloranil” Acta Chem Scand. 33B:763−766]を用いて行った。全ての合成変換及び洗浄は室温で行った。
【0110】
実施例1
Fmoc−AA−AA−AA−AA−O−2−ClTrt樹脂の調製
5.45gのFmoc−L−His(Trt)−OH又は5.45gのFmoc−D−His(Trt)−OH(8.8mmol;1equiv)を、55mlのDCMに投入して溶解させ、そこに乾燥2クロロトリチル樹脂(5.5g、8.8mmol)上で1.3mLのDIEA(7.6mmol、0.86equiv)を添加した。これらを5分間撹拌した後、2.5mLのIDEA(14.6mmol、1.66equiv)を添加した。これを40分間反応させた。残りの4.4mLのMeOHで処理して塩化物基をブロックした。
【0111】
FmocN末端基を、一般的方法に記載したようにして脱保護し、このペプチジル樹脂上に、DMFを溶媒として用いて1時間、DIPCDI(3.39mL、22mmol、2.5equiv)及びHOBt(3.37g;22mmol、2.5equiv)の存在下で、7.25gのFmoc−L−Ala−OH、13.13gのFmoc−L−Asn(Trt)−OH、9.05gのFmoc−L−Asp(OtBu)−OH、9.05gのFmoc−D−Asp(OtBu)−OH、9.76gのFmoc−L−Glu(OtBu)−OH、及び7.42gのFmoc−L−Pro−OH(22mmol、2.5equiv)を導入した。次いで、一般的方法に記載したように樹脂を洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返し、次のアミノ酸を導入した。記載したプロトコールに従い、本発明者らは、順番に、7.25gのFmoc−L−Ala−OH又は7.25gのFmoc−D−Ala−OH(22mmol、2.5equiv)、次いで10.31gのFmoc−L−Lys(Boc)−OH、10.00gのFmoc−L−Orn(Boc)−OH、9.69gのFmoc−L−Dab(Boc)−OH、9.38gのFmoc−L−Dpr(Boc)−OH、9.07gのFmoc−L−Agl(Boc)−OH、10.26gのFmoc−L−3,4−デヒドロLys(Boc)−OH、又は10.26gのFmoc−L−4,5−デヒドロLys(Boc)−OH(22mmol、2.5equiv)をカップリングさせた。各カップリングは、3.37gのHOBt(22mmol、2.5equiv)及び3.39mLのDIPCDI(22mmol、2.5equiv)存在下で行った。
【0112】
合成後、ペプチジル樹脂をDCMで洗浄し(5×3分)、窒素流を用いて乾燥させた。
【0113】
実施例2
Fmoc−AA−AA−AA−AA−AM−MBHA樹脂の調製
官能化されたFmoc−AM−MBHA樹脂6.85g(0.73mmol/g;5mmol)を、Fmoc基を除去するために、記載されている一般的プロトコールに従いピペリジン−DMFで処理した。この脱保護した樹脂に、DMFを溶媒として用いて1時間、DIPCDI(3.85mL、25mmol;5equiv)及びHOBt(3.85g、25mmol;5equiv)存在下で15.49gのFmoc−L−His(Trt)−OH又は15.49gのFmoc−D−His(Trt)−OH(25mmol;5equiv)を導入した。
【0114】
次いで、この樹脂を、一般的方法に記載されているように洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返し、次のアミノ酸を導入した。記載のプロトコールに従い、順番に、8.23gのFmoc−L−Ala−OH、14.92gのFmoc−L−Asn(Trt)−OH、10.29gのFmoc−L−Asp(OtBu)−OH、10.29gのFmoc−D−Asp(OtBu)−OH、11.09gのFmoc−L−Glu(OtBu)−OH、又は8.44gのFmoc−L−Pro−OH(25mmol;5equiv)、8.23gのFmoc−L−Ala−OH又は8.23gのFmoc−D−Ala−OH(25mmol;5equiv)及び11.72gのFmoc−L−Lys(Boc)−OH、11.36gのFmoc−L−Orn(Boc)−OH、11.01gのFmoc−L−Dab(Boc)−OH、10.66gのFmoc−L−Dpr(Boc)−OH、10.31gのFmoc−L−Agl(Boc)−OH、11.67gのFmoc−L−3,4−デヒドロLys(Boc)−OH、又は11.67gのFmoc−L−4,5−デヒドロLys(Boc)−OH(25mmol;5equiv)をカップリングさせた。各カップリングは3.85gのHOBt(25mmol;5equiv)及び3.85mLのDIPCDI(25mmol;5equiv)存在下で行った。
【0115】
合成後、ペプチジル樹脂をDCMで洗浄し(5×3分)、窒素流で乾燥させた。
【0116】
実施例3
N末端Fmoc保護基を切断するための一般的プロセス
実施例1及び2で得られたペプチジル樹脂のFmocN末端基を、一般的方法に記載したように脱保護した(20%ピペリジンを含むDMF、1×5分+1×20分)。ペプチジル樹脂の洗浄をDMF(5×1分)、DCM(4×1分)、ジエチルエーテル(4×1分)を用いて行い、真空下で乾燥させた。
【0117】
実施例4
パルミトイル基の導入プロセス:Palm−AA−AA−AA−AA−O−2−ClTrt樹脂及びPalm−AA−AA−AA−AA−AM−MBHA樹脂の調製
実施例3で得た約1mmolのペプチジル樹脂を、1.53gのHOBt(10mmol;10equiv)及び1.54mLのDIPCDI(10mmol;10equiv)存在下で、DMF(1mL)に予め溶解させた2.56gのパルミチン酸(10mmol;10equiv)に添加した。これを15時間反応させ、その後、樹脂の洗浄をTHF(5×1分)、DCM(5×1分)、DMF(5×1分)、MeOH(5×1分)、DMF(5×1分)、THF(5×1分)、DMF(5×1分)、DCM(4×1分)、エーテル(3×1分)を用いて行い、真空下で乾燥させた。
【0118】
実施例5
アセチル基Rの導入プロセス:Ac−AA−AA−AA−AA−O−2−ClTrt樹脂及びAc−AA−AA−AA−AA−AM−MBHA樹脂の誘導
実施例3で得た1mmolのペプチジル樹脂を、5mLのDMFを溶媒として用いて25equivのIDEA存在下で、25equivの無水酢酸で処理した。これを30分間反応させ、その後、このペプチジル樹脂の洗浄をDMF(5×1分)、DCM(4×1分)、ジエチルエーテル(4×1分)を用いて行い、真空下で乾燥させた。
【0119】
実施例6
高分子支持体からの切断プロセス:AA−AA−AA−AA−OH、Ac−AA−AA−AA−AA−OH、Palm−AA−AA−AA−AA−OH、H−AA−AA−AA−AA−NH、Ac−AA−AA−AA−AA−NH、及びPalm−AA−AA−AA−AA−NHの調製
実施例3、4、及び5で得た乾燥ペプチジル樹脂200mgを、室温で撹拌しながら2時間、5mlのTFA−TIS−HO(90:5:5)で処理した。ろ液を50mlの冷ジエチルエーテルに回収し、多孔性ポリエチレンディスクを付けたポリプロピレン製シリンジを用いて濾過し、50mLのジエチルエーテルで5回洗浄した。最終沈殿物を真空下で乾燥させた。
【0120】
得られたペプチドを、MeCN(+0.07%TFA)を含むHO(+0.1%TFA)のグラジエントを用いてHPLC分析した結果、全ての場合で85%を超える純度が示された。得られたペプチドをES−MSにより確認した。
【0121】
実施例7
高分子支持体からの切断及びR置換アミンでの官能化プロセス:Ac−AA−AA−AA−AA−NH−(CH15−CHの調製
KOH存在下で予め真空下で乾燥させた実施例6のペプチジル樹脂Ac−AA−AA−AA−AA−O−2−ClTrt樹脂150mgを、3%TFAを含むDCM3mLで5分間処理することで、完全に保護された側鎖を有するペプチドAc−AA−AA−AA−AA−OHを得た。ろ液を50mLの冷ジエチルエーテルに回収し、この処理を3回繰り返した。このエーテル溶液を、室温にて真空下で蒸発させて乾燥させ、沈殿を50%MeCN水溶液中に再懸濁し、凍結乾燥した。得られた粗ペプチド10mgをフラスコ中で計量し、3equivのヘキサデシルアミン及び25mLの無水DMFに添加した。2equivのDIPCDIを添加し、47℃で磁気撹拌しながら反応させた。HPLCで初期産物の消失により反応をモニタリングし、これは24〜48時間後に完了した。溶媒を蒸発させて乾燥させ、DCMと一緒に2回共蒸発させた。得られた残渣[側鎖が完全に保護されたAc−AA−AA−AA−AA−NH−(CH15−CH]を25mLのTFA−DCM−アニソール混合物(49:49:2)に再懸濁し、室温で30分間反応させた。これを250mLの冷ジエチルエーテルに添加し、減圧下で溶媒を蒸発させ、更に2回エーテルとの共蒸発を行った。残渣を50%MeCN水溶液に溶解し、凍結乾燥した。
【0122】
得られたペプチドを、MeCN(+0.07%TFA)を含むHO(+0.1%TFA)のグラジエントを用いてHPLC分析した結果、全ての場合で70%を超える純度が示された。得られたペプチドをES−MSにより確認した。
【0123】
実施例8
4−ヒドロキシ−2−ノネナールの消去アッセイ
ペプチドから濃度2mMの溶液を10mMのPBS緩衝液中に調製し、濃度100μMのアルデヒドを含むアセトニトリル溶液も調製した。同じ体積のペプチド溶液及びアルデヒドを混合し、37℃で24時間反応させた。反応混合物中に残ったアルデヒドの含有量をHPLC分析することでRCSの消去効率を測定した。
【0124】
85%を超えるHNEアルデヒド捕捉レベルを示したペプチドを表2に詳細に示す。
【0125】

【0126】
実施例9
2−ノネナール消去アッセイ
ペプチドから濃度2mMの溶液を10mMのPBS緩衝液中に調製し、濃度100μMのアルデヒドを含むアセトニトリル溶液も調製した。同じ体積のペプチド溶液及びアルデヒドを混合し、37℃で24時間反応させた。反応混合物中に残ったアルデヒドの含有量をHPLC分析することでRCSの消去効率を測定した。
【0127】
65%を超えるNEアルデヒド捕捉レベルを示したペプチドを表3に示す。
【0128】

【0129】
実施例10
H−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH、H−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OH、及びH−L−Dp− L−Ala−L−Pro−L−His−OHの培養ヒトケラチノサイトにおける光保護効率試験
ヒトのケラチノサイトを96ウェルプレートで24時間培養液中に維持して単層を形成させ、1mg/mlのH−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH、H−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OH、H−L−Dpr−L−Ala−L−Pro−L−His−OH、又はリン酸緩衝生理食塩水(対照)と共に37℃にて1時間、湿った5%CO空気下で暗黒下にて細胞をプレインキュベートした。その後、室温で150分間、37J/cmのエネルギーで太陽をシミュレートしたランプを細胞に照射した。対照プレートは同じ時間、室温で暗黒下に維持した。照射期間後、細胞培地を新鮮な培地と交換し、細胞を更に24時間インキュベートした。
【0130】
ニュートラルレッド色素を用い、分光光度計で540nmの吸収を測定することで細胞生存率を求めた。
【0131】
照射及び非照射の対照細胞に対してH−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH、H−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OH、又はH−L−Dpr−L−Ala−L−Pro−L−His−OHで処理した細胞の生存率を比較することで、光保護効率を決定した。
【0132】

【0133】
実施例11
DNA分解保護能力の試験
ヒトメラノサイトの一次培養物(10細胞/プレート)を、37℃で2時間、1.0μg/mLのH−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH又はH−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OHで処理した。その後、培養物に、4℃で3分以下、1.0J/cmのUVAを照射し、DNAに誘導された損傷の程度をアルカリコメットアッセイ[De Meo M.,Laget M.,Castegnaro M.and Dumenil G.(1991)“Genotoxic activity of potassium permanganate in acidic solutions”Mutat.Res 260:295−306]で決定した。
【0134】
H−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH及びH−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OHについて決定したDNA分解に対する保護効率の値を表5に示す。
【0135】

【0136】
実施例12
DNA分解修復能力の試験
ヒト線維芽細胞の一次培養物(10細胞/プレート)に、0.4J/cmのUVBを30秒間照射した。その後、培養物を37℃で3時間、0.25mg/mL又は0.5mg/mLのH−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OHで処理し、DNA損傷の程度をアルカリコメットアッセイで決定した。
【0137】
細胞に本来備わる修復効率に対する、H−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OHでの処理によって誘導されたDNA分解修復効率の値を表6に示す。
【0138】

【0139】
実施例13
Palm−L−Dpr−Ala−L−Pro−L−His−OHを含む化粧品組成物の製造
本発明に記載されているように、以下の製剤を製造した。
【0140】

【0141】
十分に大きな反応器で、相Aの成分を計量し、混合物を80℃に加熱してロウを溶融させた。内容物全体に適した容器で、相Bの成分を計量し、70℃に加熱した。強く撹拌しながら相Bに相Aを徐々に添加し、その後、先ほどの混合物に撹拌しながら相Cを添加した。添加完了後、穏やかに撹拌しながら冷却し、混合物が室温になった時点で、Palm−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OH及びレシチンの水溶液を添加し、pHを均一にしてトリエタノールアミンで修正した。
【0142】
得られたクリームのpHは6.7であり、粘度は10,000〜15,000cps(6/50)であった。
【0143】
実施例14
H−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OHを含むリポソームの製造
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)を計量し、クロロホルムに溶解した。この溶媒を、リン脂質の薄層が得られるまで真空下で蒸発させ、この層を、55℃にて所望の濃度までペプチド水溶液(Phenonip(登録商標)を含む)で処理することで水和させ、MLVリポソームを得た。MLVリポソームを、5分置きに2分間、8サイクル分、55℃の超音波浴に浸漬することで、ULVリポソームを得た。ULVリポソームは、高圧で押出システムに通すことで、サイズを小さくした。
【0144】

【0145】
実施例15
H−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−OHを含むフェイシャルクリーム組成物
製造
・相Aの原料を混合して70℃に加熱する。
・相Bの原料を混合して70℃に加熱する。
・ホモジナイザー(シルバーソン社(Silverson)製)で5分間撹拌しながら、相Cを相Bに添加する。
・均質化しながら、相B及びCの混合物に徐々に相Aを添加し、均質化を15分間維持する。
・穏やかに撹拌しながら30〜35℃に冷却し始める。50℃の時に相Dを添加する。撹拌を続ける。35〜38℃の時、予め可溶化させた相E及びFを添加する。
【0146】

【0147】
実施例16
H−L−Dpr−D−Ala−L−Pro−L−His−OHを含むリポソームゲル形態の組成物の製造
実施例14のリポソームを、穏やかに撹拌しながら保存剤(EDTA、イミダゾリジニル尿素及びPhenonip(登録商標))と共に水に分散させた。Hispagel(登録商標)200[INCI:アクア、グリセリン、グリセリルポリアクリラート]を添加し、均質な混合物が得られるまで穏やかに撹拌した。
【0148】

【0149】
実施例17
H−L−Dpr−L−Ala−L−Pro−L−His−OH含有ボディーローション組成物
【0150】

【0151】
製造
・相Aの原料を混合して70℃に加熱する。
・相Bの原料を混合して70℃に加熱する。
・ホモジナイザー(シルバーソン社製)で5分間均質化しながら、相Bに相Cを添加する。
・相B及びCの混合物に、ホモジナイザーと共に徐々に相Aを添加し、15分間均質化を維持する。
・穏やかに撹拌しながら30〜35℃に冷却し始める。50℃の時に相Dを添加する。撹拌を続ける。35〜38℃の時、予め可溶化した相E及びFを添加する。
【0152】
実施例18
H−L−Dpr−D−Ala−L−Ala−L−His−CONH−(CH15−CH含有ヘアローション組成物
【0153】

【0154】
製造:
・相Aの原料を混合する。
・相Bの原料を混合する。
・完全に均質化するまで撹拌しながら相Aに相Bを徐々に添加する。
【0155】
実施例19
アルデヒド2−ノネナールから発せられる臭気の低減
本発明者らは、3人の独立した熟練者からなるパネルによる嗅覚検査(「においかぎ試験」)を行うことで、0.05%のH−L−Dpr−L−Ala−L−Ala−L−His−OHを含む溶液を添加した後のアルデヒド2−ノネナールから発せられる臭気の低減を評価した。
【0156】
本発明者らは、2−ノネナールを0.00089%含むアセトニトリル溶液を調製し、それに、同じ体積の、10mMリン酸緩衝液(pH7〜7.5)又は0.05%のH−L−Dpr−L−Ala−L−Ala−L−His−OHを含む10mMリン酸緩衝液(pH7〜7.5)を添加した。本発明者らは、アルデヒドとペプチドの混合物を作製してから0及び24時間後に発せられる臭気の強度を評価した。測定は、湿度を60%に調節して24℃に加熱した部屋で行い、得られた値を対応のあるウィルコクソン検定を用いて統計解析した。
【0157】
ペプチドH−L−Dpr−L−Ala−L−Ala−L−His−OHは、2−ノネナールから発せられる臭気を15.6%低減することができた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
−AA−AA−AA−AA−R (I)
で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩であって:
AAが−Lys−、−Orn−、−Dab−、−Dpr−、−Agl−、−3,4−デヒドロリジン、及び−4,5−デヒドロリジンからなる群から選択され;
AAが−Ala−であり;
AAが−Asp−、−Ala−、−Asn−、−Glu−、及び−Pro−からなる群から選択され;
AAが−His−であり;
がH、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のヘテロシクリル、置換又は未置換のヘテロアリールアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のアラルキル、及びR−CO−からなる群から選択され;
が−NR、−OR、及び−SRからなる群から選択され;
及びRが、独立して、H、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のヘテロシクリル、置換又は未置換のヘテロアリールアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のアラルキルからなる群から選択され;
がH、置換又は未置換の非環式脂肪族基、置換又は未置換の脂環基、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のアラルキル、置換又は未置換のヘテロシクリル、及び置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される;
ことを特徴とする、ペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がH又はR−CO(式中、Rは、置換又は未置換のC〜C24アルキル、置換又は未置換のC〜C24アルケニル、置換又は未置換のC〜C24アルキニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルケニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキニル、置換又は未置換のC〜C30アリール、置換又は未置換のC〜C24アラルキル、置換又は未置換の3〜10環員ヘテロシクリル、並びに2〜24個の炭素原子及び炭素以外の1〜3個の原子及び炭素数1〜6のアルキル鎖を有する置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
がH、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノニル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、及びリノレオイルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
が−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC〜C24アルキル、置換又は未置換のC〜C24アルケニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルケニル、置換又は未置換のC〜C24シクロアルキニル、置換又は未置換のC〜C30アリール、置換又は未置換のC〜C24アラルキル、3〜10環員の置換又は未置換のヘテロシクリル、並びに2〜24個の炭素原子及び炭素以外の1〜3個の原子及び炭素数1〜6のアルキル鎖を有する置換又は未置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
及びRが、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
AAが−Dpr−であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
AAが−Ala−及び−Pro−からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項8】
がH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルであり、AAが−L−Dpr−であり、AAが−D−Ala−であり、AAが−L−Ala−であり、AAが−L−Hisであり、Rが−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項9】
がH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルであり、AAが−L−Dpr−であり、AAが−D−Ala−であり、AAが−L−Pro−であり、AAが−L−Hisであり、Rが−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項10】
がH、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、又はパルミトイルであり、AAが−L−Dpr−であり、AAが−L−Ala−であり、AAが−L−Pro−であり、AAが−L−His−であり、Rが−NR又は−OR(式中、R及びRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、及びヘキサデシルから選択される)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項11】
がH、アセチル、及びパルミトイルからなる群から選択され、Rが−OH及び−NHからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項12】
皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪を処置及び/又はケアするための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項13】
RCS生成により生じる皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪の状態、障害、及び/又は病態を処置及び/又はケアするための、請求項12に記載のペプチド。
【請求項14】
前記RCSが、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪で生成される、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
前記処置及び/又はケアが、皮膚、粘膜、頭皮、及び/又は毛髪における、光保護、細胞DNAの保護、及び/又は細胞DNAの修復である、請求項12〜14のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項16】
前記処置及び/又はケアが、前記ペプチドの局所又は経皮適用により行われる、請求項12〜15のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項17】
前記局所又は経皮適用が、イオントフォレーシス、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、又は微小電気パッチ、又はこれらの任意の組合せにより行われる、請求項16に記載のペプチド。
【請求項18】
前記処置及び/又はケアがペプチドの経口投与によるものである、請求項12〜15のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項19】
前記処置及び/又は皮膚のケアが、老化、光老化、セルライト、及び/又は体臭の徴候を低減、遅延、及び/又は防止するためになされる、請求項12〜18のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項20】
毛髪処置又は毛髪衛生のための、請求項12〜18のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項21】
身体皮膚の処置及び/若しくはケアのため又は身体衛生のための、請求項12〜18のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項22】
固相又は液相で行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩の製造プロセス。
【請求項23】
フリーのアミノ基の保護基が、Boc、Fmoc、Trt、Alloc、Mtt、Z、ClZ、Dnp、Dde、ivDde、及びAdpocからなる群から選択され、フリーのカルボキシル基の保護基が、tBu、Bzl、Chx、All、Dmab、2フェニルイソプロピル、Fm、及びTrtのエステルからなる群から選択され、ヒスチジン側鎖が、Trt、Dnp、Boc、Bom、Bzl、Mtt、Mts、及びTosからなる群から選択される保護基で保護され、アスパラギン側鎖が、フリーであるか、Mtt、Trt、及びXanからなる群から選択される保護基で保護されていることを特徴とする、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
化粧品学的又は薬学的有効量の、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩及び少なくとも1つの化粧品学的又は薬学的に許容される補形剤又はアジュバントを含む、化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項25】
前記一般式(I)で表されるペプチドが組成物の全重量に対して0.000001〜20重量%の濃度であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記一般式(I)で表されるペプチドが組成物の全重量に対して0.0001〜5重量%の濃度であることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩が、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、スポンジ、シクロデキストリン、小胞、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェア、ナノスフェア、リポスフェア、マイクロエマルション、ナノエマルション、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、及び固体脂質ナノ粒子からなる群から選択される送達系又は化粧品学的若しくは薬学的に許容される徐放系に組み込まれることを特徴とする、請求項24〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又はその化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩が、タルク、ベントナイト、シリカ、でんぷん、及びマルトデキストリンからなる群から選択される化粧品学的又は薬学的に許容される固体有機ポリマー又は固体支持体に吸着されることを特徴とする、請求項24〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
クリーム、複合エマルション、無水組成物、水性分散液、油、乳液、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、ヒドロアルコール溶液、ハイドログリコリック溶液、リニメント、血清、石けん、シャンプー、コンディショナー、血清、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー、ペンシル、スプレー、カプセル、ゼラチンカプセル、錠剤、糖衣錠、顆粒形態、チューインガム、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤、多糖膜、ゼリー、及びゼラチンからなる群から選択される製剤の形態であることを特徴とする、請求項24〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
コンシーラー、メイクアップファンデーション、メイクアップ落とし用ローション、メイクアップ落とし用乳液、アイシャドー、口紅、リップグロス、リッププロテクター、及びパウダーからなる群から選択される製品に組み込まれることを特徴とする、請求項24〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、又は化粧品学的若しくは薬学的に許容される塩が、布地、不織布、又は医療器具に組み込まれることを特徴とする、請求項24〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記布地、不織布、又は医療器具が、包帯、ガーゼ、シャツ、ストッキング、ソックス、下着、ガードル、手袋、おむつ、生理用ナプキン、包帯材、ベッドスプレッド、拭き取り用の布、ハイドロゲル、接着パッチ、非接着パッチ、微小電気パッチ、及びパックからなる群から選択されることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
他のRCSスカベンジャー、MMP抑制剤、メラニン合成の刺激剤又は抑制剤、美白剤又は脱色剤(depigmenting agent)、着色促進剤(propigmenting agent)、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO合成阻害剤、5α還元酵素阻害剤、リジルヒドロキシラーゼ及び/又はプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー及び/又は大気汚染に対する剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、制吐薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、乳化剤、皮膚軟化剤、有機溶媒、液体推進薬、スキンコンディショナー、湿潤剤、水分保持物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、モイスチャライザー、表皮加水分解酵素、ビタミン、顔料又は着色剤、色素、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、柔軟剤、抗シワ剤、目の下のタルミを低減又は処置できる剤、剥脱剤、抗微生物剤、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮又は表皮の巨大分子合成を刺激する且つ/又はその分解を阻害若しくは防止できる剤、コラーゲン合成刺激剤、エラスチン合成刺激剤、デコリン合成刺激剤、ラミニン合成刺激剤、デフェンシン合成刺激剤、シャペロン合成刺激剤、アクアポリン合成刺激剤、ヒアルロン酸合成刺激剤、フィブロネクチン合成刺激剤、サーチュイン合成刺激剤、角質層の脂質及び成分の合成刺激剤、コラーゲン分解抑制剤、エラスチン分解抑制剤、セリンプロテアーゼ阻害剤(例えば白血球エラスターゼ又はカテプシンG)、線維芽細胞増殖刺激剤、ケラチノサイト増殖刺激剤、脂肪細胞増殖刺激剤、メラノサイト増殖刺激剤、ケラチノサイト分化刺激剤、脂肪細胞分化刺激剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、皮膚弛緩剤、グリコサミノグリカン合成刺激剤、抗過角化症剤、コメド溶解剤(comedolytic agent)、抗乾癬剤、DNA修復剤、DNA保護剤、安定剤、抗掻痒剤、敏感肌を処置及び/又はケアするための剤、固化剤、抗皮膚線条剤、結合剤、皮脂生成制御剤、脂肪分解剤又はリポリーシス刺激剤、抗セルライト剤、制汗剤、治癒刺激剤、コアジュバント治癒剤、再上皮化刺激剤、コアジュバント再上皮化剤、サイトカイン増殖因子、鎮静剤、抗炎症薬、麻酔薬、毛細血管循環及び/又は微小循環に作用する剤、血管新生刺激薬、血管透過性抑制剤、静脈強壮剤、細胞代謝に作用する剤、真皮−表皮接合部改善剤、発毛・育毛誘導剤、発毛・育毛を抑制剤又は遅延する剤、保存剤、芳香剤、キレート化剤、植物エキス、精油、海洋エキス、バイオ発酵プロセスから得られる剤、鉱物塩、細胞抽出物、並びに日焼け止め、紫外線A及び/又はBに有効な有機又は無機光保護剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される化粧品学的又は薬学的有効量の少なくとも1つのアジュバントを更に含むことを特徴とする、請求項24〜32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
活性薬剤が、合成起源であるか、植物エキスであるか、バイオ発酵プロセスにより得られることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記アジュバントがRCSスカベンジャー、フリーラジカルスカベンジャー、及び/又は抗糖化剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項33〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記RCSスカベンジャー、フリーラジカルスカベンジャー、及び/又は抗糖化剤がGHK又はカルノシンであることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記アジュバントが抗シワ剤及び/又は老化防止剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項33〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記抗シワ剤及び/又は老化防止剤がペンタペプチド−18、アセチルヘキサペプチド−8、アセチルヘプタペプチド−4、アセチルオクタペプチド−3、アセチルテトラペプチド−5、ジメチルメトキシクロマノール、ジメチルメトキシクロマニルパルミタート、及びシュードアルテロモナス発酵エキスからなる群から選択されることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記アジュバントが抗セルライト剤、脂肪分解剤、及び/又は静脈強壮剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項33〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記抗セルライト剤、脂肪分解剤、及び/又は静脈強壮剤が、カフェイン、エスチン、ナギイカダのエキス、アイビーエキス、トリエタノールアミンヨウ化物、及びカルニチンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項39に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。


【公表番号】特表2012−504566(P2012−504566A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529482(P2011−529482)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007075
【国際公開番号】WO2010/037553
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510230218)
【氏名又は名称原語表記】LIPOTEC,S.A.
【Fターム(参考)】