説明

皮膚および身体の外観を改善するための方法および組成物

少なくとも1種の脂質形成阻害剤(adipogenesis inhibitor)および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤(adipocyte lipolytic agent)ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤(skin tightening agent)を含む局所用組成物;顔および身体の皮膚の外観を改善する方法、セルライトの外観を処置する方法、または顔もしくは身体を処置して皮膚および不均一な皮膚表面の外観を改善する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚のくぼみ、セルライト、不均一な皮膚表面、脂肪沈着などの皮膚の欠点の外観を改善するか、または顔もしくは身体の表面を整える(sculpt)ための、皮膚および身体を処置するための方法および組成物の分野にある。
【背景技術】
【0002】
女性は、加齢とともに、セルライトと称される状態を、特に下腿後部、骨盤領域、または腹部に来たすことが多い。セルライトの原因はほとんど解明されていない。それは、ほとんどの場合女性に見られ、男性にはめったに見られない。それは、女性の結合組織の柔軟性のない性質に起因し、女性が太り、脂肪細胞が膨張すると、柔軟性のない結合組織を押し、一般にカッテージチーズ皮膚とも称される皮膚のくぼみを形成すると一部の人は信じている。セルライトの効果的な処置はわかっていない。厳しいダイエットと運動を提案する人がいる。化粧品会社は、長期間にわたって使用した場合にセルライトを減少させる特性を有すると主張する様々な種類のクリームを提供する。しかし、これらのアプローチの全てには問題があり、現在存在する市販の製品には、原因ではなく症状を処置する成分が含まれている。
【0003】
望ましくない脂肪沈着は、目の下(一般に目の下のたるみと称される)、上腕の下、顎の下、および顔の一部の領域にも見られる。多くの場合、消費者は頬が「太り過ぎている」と感じ、トップファッションモデルの整った、頬骨の高い外観を望む。
【0004】
科学研究により、皮下脂肪組織は、脂肪細胞に分化する能力がある細胞集団を含むことが示されている。成熟脂肪細胞は、通常トリグリセリドの形態で脂肪を貯蔵する。脂肪細胞はまた、脂肪の貯蔵が増えるにつれ、大きさを増すことができる。例えば、体重増加は、脂質形成と既存の脂肪細胞中の脂肪貯蔵の増加の組み合わせであり得る。個体の体重が減少する場合、脂肪細胞中の脂肪貯蔵は減少し、該細胞は小さくなる。
【0005】
具体的には、脂肪細胞は前脂肪細胞から生じ、前脂肪細胞は、同様にいくつかの種類の幹細胞から生成する。その過程は、時には過剰な食物摂取による、体内のトリグリセリドの蓄積によって引き起こされる。脂肪は現在存在している脂肪細胞に貯蔵される。トリグリセリドの量が、現在存在している脂肪細胞の貯蔵容量に対して多すぎる場合は、前駆細胞の遺伝的シグナル伝達経路が発動され、それらは小さいトリグリセリド小球を貯蔵し始めるようになる。非脂肪細胞または前脂肪細胞から脂肪細胞への変化は、多くのステップで生じる。成熟脂肪細胞は、寿命が非常に長い傾向があり、アポトーシスに比較的耐性である。
【0006】
したがって、全身または顔におけるセルライトの外観、不均一な皮膚表面、または脂肪沈着の外観を改善するのに最大の効果を有するためには、脂質形成と既存の脂肪細胞に見られる脂肪貯蔵の増加の両方を考慮することが望ましい。したがって、脂質形成阻害活性および(既存の脂肪細胞に見られる脂肪貯蔵を減少させる能力である)脂質溶解活性を有する成分を含む局所投与組成物が、最も効果的な製品を提供する可能性が高い。
【0007】
したがって、少なくとも1種の脂質形成阻害剤(adipogenesis inhibitor)および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤(adipocyte lipolytic agent)ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤(skin tightening agent)を含む局所投与用組成物が、改善のための顔および全身の皮膚の処置において高い効果を提供することが発見された。成分の組み合わせは、セルライト、不均一な皮膚表面の外観を改善し、そうでなければ、顔および全身の輪郭を整えることを促進するだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、セルライトを処置するか、または顔もしくは全身の輪郭を整えるための局所用組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、本発明の組成物を投与することにより、顔または全身の表面、例えば目の下、腕の下、首、または顔の一部の領域における認識される脂肪沈着の外観を改善するための局所用組成物および方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する組成物を投与することにより、皮膚のくぼみまたは不均一な皮膚表面の外観を改善するための身体の処置方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する組成物を局所投与することにより、セルライトの外観を改善する方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する組成物を局所投与することにより、顔または全身の表面を整える方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する組成物を局所投与することにより、身体の外観を改善するための方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含む局所用組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含む組成物を局所投与することによる、セルライトの処置方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含む組成物を投与することによる、顔または全身の表面を整える方法に関する。
【0017】
本発明はさらに、少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含む組成物を投与することによる、皮膚の外観を改善する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、フォルスコリンおよび抱合リノール酸の脂肪細胞脂質溶解活性の一覧にした測定結果を示す。
【図2】図2は、レスベラトロール、レスベラトレート(resveratrate)、フェルラ酸レスベラトロール(resveratryl ferulate)およびロンジェビセル(Longevicell)TMの脂肪細胞分化阻害特性の一覧にした測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「脂肪細胞」とは、分化し、脂肪の合成および貯蔵に特化した結合組織細胞を意味する。
【0020】
「脂質形成阻害剤」とは、結合組織細胞から脂肪細胞への分化を阻害するか、または脂質形成経路の任意の1つ以上のステップを阻害することが可能な成分を意味する。例として、脂質形成阻害剤は、前脂肪細胞から脂肪細胞への分化を完全に阻害し得るか、または脂質形成過程を既に開始しているが、まだ成熟脂肪細胞の形成までの1つ以上の途中の段階にいる細胞を阻害し得る。
【0021】
「脂肪細胞脂質溶解剤」とは、脂肪細胞の脂肪貯蔵の減少を引き起こすことが可能な成分を意味する。
【0022】
「セルライト」とは、腰、もも、または尻における皮下脂肪に関連したくぼんだ、膨らんだ、または波形の外観を意味する。
【0023】
「整える」とは、目立たなくまたは気づかれないようにすることにより、顔または全身の皮膚における脂肪沈着の外観を改善することを含む、顔または全身の皮膚に関して、皮膚の外観を改善する能力を意味する。
【0024】
「皮膚緊密化剤」とは、皮膚に投与したとき、皮膚の張りをよく見せ、および/または皮膚の緩みを改善する成分を意味する。
【0025】
本発明の組成物
本発明の組成物は、局所用であり、かつ少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含んでおり、これらは1種以上の成分を含む好適な局所用担体中に見出すことができる。
【0026】
脂質形成阻害剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の脂質形成阻害剤を含む。それは、該組成物が投与される領域において脂肪細胞の生成になんらかの阻害作用を及ぼすのに十分な量で該組成物中に存在すべきである。一般に、脂質形成阻害剤の好適な範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.001〜60%、好ましくは約0.05〜55%、好ましくは約0.1〜50%であり得る。一般に、好適な脂質形成阻害剤は、ゼン・バイオ社(Zen-Bio, www.zen-bio.com)から購入される脂質形成アッセイ検査キットを用いた簡単な試験を行うことにより判定することができる。1つの好ましいキットは、ゼン・バイオ社から購入されるカタログ番号DIF−AGを有する脂質形成アッセイキット(Adipogenesis Assay Kit)、PPARγアゴニスト(試薬+細胞)である。
【0027】
好適な脂質形成阻害剤としては、レスベラトロール、レスベラトロールと無機酸、例えばリン酸、硫酸、塩酸などとのエステル;レスベラトロールとカルボン酸、例えばフェルラ酸とのエステル、加水分解マータス・コミュニス(Myrtus Communis)葉抽出物(シラブ社(Silab)から商標ロンジェビセル(Longevicell)(登録商標)で市販されている)などが挙げられるが、それらに限定されない。特に好適なのは、レスベラトロール三リン酸三ナトリウム(trisodium resveratrol triphosphate)、レスベラトロール、フェルラ酸レスベラトロール(resveratrol ferulate)、およびマータス・コミュニス葉抽出物である。様々な他の成分も脂肪細胞分化活性を有することが知られており、そのようなものとしては、COX−2(シクロオキシゲナーゼ−2)阻害剤(例えばアカシア属の植物の抽出物、カルーナ・ブルガリス(Calluna Vulgaris)、ロサ・カニナ(Rosa Canina)果実抽出物、イラクサ葉抽出物、ポリポラス・ウンベラタス(Polyporus Umbellatus)、カモミラ・レクティタ(Chamomilla Recutita)(マトリカリア(Matricaria))花油、コレウス・フォルスコリ(Coleus Forskohlii)抽出物、ルスペリン(Rusperin)C(登録商標)(ナギイカダ抽出物とヘペリジンメチルカルコン(heperidin methyl chalcone)の混合物)、ホップのβ酸、およびそれらの混合物);TRB3すなわちTribble 3、キナーゼ;カルシニューリン;C75、脂肪酸合成阻害剤;配列Val−Tyr−ProまたはVal−Thr−Leuのトリペプチド;A型ラミニン(lamnin);様々な種類のカルパイン阻害剤;ミフェプリストン;プロテインキナーゼC活性化因子;リポオキシゲナーゼ阻害剤、例えばハプロフィラム・ヒスパニクム・スパック(Haplophyllum hispanicum Spach)、スクテラリア・リブラリス(Scutellaria Rivularis)抽出物およびその活性成分、αケトボスウェル酸、ジロートン(Zileutone)(登録商標)(1−(1−ベンゾチオフェン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ−ウレア)、ケンタウリウム(Centaurium)抽出物、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジンジャー油、レスベラトロール、レチノール、ポリゴナム・カスピダタム(Polygonum Cuspidatum)抽出物、ヒマラヤスギ抽出物、テトラヒドロクルクミノイド、ニゲラ・サティバ(Nigella Sativa)精油、コパイバ・バルサム(copaiba balsam)、オーストラリアンサンダルウッド、ロディオラ・ロセア(Rhodiola Rosea)、フランキンセンス、ブルーサイプレス油、ブルーカモミール油、抗炎症性油のブレンド、ベチバー・マダ(vetiver mada)、ブルガリアンローズ油、フェルラ酸レスベラトロール、ヘリクリサム油、ロスマリン酸、レスベラトロール三リン酸、ノニ葉抽出物;ストロメリシン−3;エンドリン;グルココルチコイド;カラルマ・フィンブリアータ(Caralluma Fimbriata)抽出物、ムクナ抽出物、バカナ(Bacana)抽出物、G−α13阻害剤、例えばWO/2003/10449号(参照によりその全体が本明細書中に組み入れられる)に開示されているものが挙げられるが、それらに限定されない。そのようなG−α13阻害剤としては、抗体、ペプチド(ドミナントネガティブペプチドを含む)およびアンチセンス化合物、例えばリボザイム、阻害性RNA分子(siRNA分子とアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)などが挙げられる。
【0028】
脂肪細胞脂質溶解剤
本発明の組成物はまた、少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤を含む。好ましくは、それは、該組成物が投与される領域中の脂肪細胞にその脂肪貯蔵の減少を引き起こすのに十分な量で存在する。脂肪細胞脂質溶解剤の推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.01〜50%、好ましくは約0.05〜45%、より好ましくは約0.1〜40%である。
【0029】
好適な脂質溶解剤は、ゼン・バイオ社から購入される脂質溶解アッセイキットを用いた簡単な試験を行うことにより特定することができる。1つの好適なキットは、カタログ番号LIP−3でゼン・バイオ社(www.zen-bio.com)から購入される脂質溶解アッセイキット(Lypolysis Assay Kit)(グリセロールと遊離脂肪酸の二重検出、試薬+細胞)である。
【0030】
好適な脂質溶解剤としては、抱合リノール酸;フォルスコリンが挙げられる。他の成分、例えばニコチン;デオキシコール酸塩;テオフィリン;カフェイン;テオブロミン;マグノロール(マグノリア(Magnolia)抽出物の一画分);イソプロテレノール;ケンペロール−7−O−ネオヘスピリドシド;サルビア(Clary)抽出物;クリサンテルム(Chrystanthellum)抽出物、具体的にはクリサンテルム・インディクム(Chrysanthellum Indicum)などが、同様に脂質溶解剤であることが知られている。
【0031】
皮膚緊密化剤
本組成物は、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する。いくつかの好ましい実施形態においては、この薬剤が存在する。推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.01〜70%、好ましくは約0.05〜65%、より好ましくは約0.1〜60%である。好適な皮膚緊密化剤には、皮膚に投与したとき、収縮効果を有する成分、例えばシリコーンエラストマー、様々なポリマーまたはコポリマーなどがある。
【0032】
ポリマーまたはコポリマー成分としては、長鎖アルキル、エーテル、またはアルコキシ基によりコポリマー化または誘導体化されていてもよい、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ウレタンなどのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。例としては、アクリルアミドコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、アクリレーツアクリル酸アルキル(C10〜30)クロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25コポリマー、アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルコポリマー、アクリレーツイタコン酸セテス−20コポリマー、アクリレーツメタクリル酸セテス−20コポリマー、アクリレーツメタクリル酸ステアレス−20コポリマー、アクリレーツメタクリル酸ステアレス−50コポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸ステアレス−8コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸パルメス−25コポリマー、アクリレーツ/アクリル酸パルメス−25コポリマーなどが挙げられる。
【0033】
また、ビニル基末端シロキサンとメチルヒドロキシジメチルシロキサンとの反応によって形成される架橋シリコーンである様々な種類のシリコーンエラストマーが皮膚緊密化剤として好適である。そのようなシリコーンエラストマーの例としては、、グラント・インダストリーズ社(Grant Industries)から商標グランシル(Gransil)TM、ボタニジェニクス社(Botanigenics)からボタニシル(Botanisil)TM、アクティブ・オーガニクス社(Active Organics)からアクティプライム(Actiprime)TM、信越シリコーン社からKSGもしくはUSGで市販されているもの、またはダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)から9040、9044シリコーンエラストマーもしくはそれらの混合物として市販されているものが挙げられる。そのようなエラストマーとしては、セテアリルジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー、ステアリルジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー、セチルジメチコーンビス−ビニルジメチコーンクロスポリマー、ジメチコーンクロスポリマー−3、ジメチコーン/ジビニルジメチコーン/シルセスキオキサンクロスポリマー、ジフェニルジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー、ポリジメチルシロキシエチルジメチコーン/ビス−ビニルジメチコーンクロスポリマーなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
他の成分
脂質形成阻害剤および脂肪細胞脂質溶解剤のための化粧用に許容されるビヒクルを提供するために、本組成物に様々な他の成分を組み込むことができる。化粧用に許容されるビヒクルは、エマルジョン(油中水型または水中油型エマルジョン)の形態であり得る。あるいは、本組成物は、水性懸濁液、ゲル、もしくは溶液であってよく、または無水であってもよい。本組成物は、液体、固体、または半固体形態であってもよい。水が存在する場合、本組成物は、全組成物の重量に基づいて約0.1〜99%、好ましくは約0.5〜95%、より好ましくは約1〜90%の水を含み得る。組成物がエマルジョンの形態である場合、水に加えて、本組成物は、全組成物の重量に基づいて約0.1〜90%、好ましくは約0.5〜85%、より好ましくは約1〜80%の油を含み得る。本組成物はさらに、1種以上の湿潤剤、増粘剤または構造剤(structuring agent)、界面活性剤、植物成分、保存料、油などを含んでもよい。
【0035】

好適な油は、揮発性もしくは不揮発性、シリコーン、または有機油であり得る。油は、好ましくは、室温で流動性(pourable)である。
【0036】
「揮発性」という用語は、油が、20℃で少なくとも約2mmHgの蒸気圧を有することを意味する。「不揮発性」という用語は、油が、20℃で約1mmHg未満の蒸気圧を有することを意味する。好適な揮発性シリコーン油としては、直鎖、分岐、または環状シリコーン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(25℃で約0.65センチストークの粘度を有する);オクタメチルトリシロキサン(25℃で約1.0センチストークの粘度を有する);デカメチルテトラシロキサン(25℃で約1.5センチストークの粘度を有する);ドデカメチルペンタシロキサン(25℃で約2.0センチストークの粘度を有する);オクタメチルシクロテトラシロキサン;デカメチルシクロペンタシロキサン;ドデカメチルシクロヘキサシロキサン;または分岐揮発性シリコーン、メチルトリメチコーン(25℃で約1.5センチストークの粘度を有する)が挙げられる。
【0037】
また、パラフィン系炭化水素、例えばイソドデカン、イソヘキサデカンまたはそれらの混合物をはじめとする揮発性炭化水素油が好適である。
【0038】
不揮発性油はシリコーンまたは有機油であり得る。好適な不揮発性シリコーン油の例としては、ジメチコーン;低級アルキル鎖ジメチコーン、例えばセチルジメチコーン;フェニルトリメチコーン;フェニルジメチコーン;トリメチルシロキシフェニルジメチコーン;アモジメチコーン;セテアリルジメチコーン;ジメチコノール;ラウリルジメチコーン;フェネチルジメチコーン;ジエチルシロキサン(diethysiloxane)などがある。
【0039】
好適な有機油には、エステルおよび炭化水素が含まれる。好適なエステルは、酸が1つ以上のカルボン酸基を含み得るか、またはアルコールが1つ以上の水酸基を含み得る、C1〜40脂肪族または芳香族アルコールのC1〜40カルボン酸エステルである、モノ−、ジ−、またはトリエステルであり得る。エステルはまた、グリセリンまたは短鎖C1〜6モノ−、ジ−、もしくは多価アルコール、例えばエチルヘキシルアルコール、またはC6〜30アルキル鎖を有する脂肪アルコール、例えばセチル、ステアリル、イソステアリル、ベヘニル、ミリスチルアルコールの脂肪族C6〜30カルボン酸エステルであり得る。ここで、脂肪族または芳香族カルボン酸としては、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、リンゴ酸、アジピン酸、セバシン酸、安息香酸、ラウリン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、リノール酸、パルミチン酸、リノレン酸などがある。そのようなエステルの例としては、ステアリン酸エチルヘキシル;グリセロールまたはトリグリセリドのエステル、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;ステアリン酸グリセリル;イソノナン酸イソノニル;イソノナン酸エチルヘキシル;リンゴ酸ジイソステアリル;リンゴ酸イソステアリル;パルミチン酸イソステアリル;イソノナン酸イソステアリルなどが挙げられる。また、コレステロールおよびその誘導体などの油が好適である。
【0040】
好適な炭化水素は、特にパラフィン系炭化水素、例えばポリブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、またはそれらの水素化誘導体である。
【0041】
また、フッ素化シリコーンまたはフッ素化エーテルのようないくつかの種類のフッ素化油が好適である。例としては、トリフルオロプロピルポリジメチルシロキサン、またはパーフルオロイソプロピルエーテルのような過フッ素化(perfluorinated)エーテルがある。
【0042】
湿潤剤
化粧用に許容される担体はまた、1種以上の湿潤剤を含むこともできる。存在する場合には、推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.1〜50%、好ましくは約0.5〜45%、より好ましくは約1〜40%である。好適な湿潤剤としては、C1〜6アルキレングリコール、例えばプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレングリコールなど、または多価アルコール、例えばグリセリン、または糖類、例えばショ糖、フルクトース、リボース、トレハロース、ガラクトース、ラクトースなどが挙げられる。また、ヒアルロン酸、またはヒアルロン酸ナトリウムなどのその中性化誘導体のような湿潤剤が好適である。
【0043】
構造剤
化粧用に許容される組成物はまた、1種以上の構造剤、すなわち粘度を増加させるか、またはそうでなければ組成物にとろみをつける成分を含むこともできる。存在する場合には、推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.01〜75%、好ましくは約0.05〜70%、より好ましくは約0.1〜50%である。好適な構造剤は、親油性または親水性であってよく、かつワックス、脂肪酸などを含み得る。
【0044】
好適なワックスの例としては、動物、植物、鉱物、シリコーン、または合成のワックス、例えばポリエチレン、キャンデリラ、オゾケライト、蜜ろう、合成ろう、ミモザワックス、ヤマモモ、花ろう、植物ろうがある。好適なシリコーンワックスとしては、アルキルまたはアルコキシジメチコーン、例えばステアリルジメチコーン、ステアロキシジメチコーン、ベヘニルジメチコーン、ベヘノキシジメチコーンなどが挙げられる。
【0045】
また、室温で固体または半固体の脂肪酸、例えばリノール酸、ステアリン酸などが構造剤として好適である。
【0046】
また、様々な種類の単糖類および多糖類、例えばセルロースおよびアルキルセルロース、サッカリド、異性化糖(saccharide isomerate)などが構造剤として好適である。
【0047】
界面活性剤
本組成物はまた、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、またはベタイン界面活性剤を含み得る。存在する場合には、推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.01〜45%、好ましくは約0.05〜40%、より好ましくは約0.1〜35%である。有機性またはシリコーンである非イオン性界面活性剤が特に好ましい。好適な非イオン性シリコーン界面活性剤としては、ジメチコーンコポリオール、セチルジメチコーンコポリオールと一般に称されるもの;または酸化エチレン基で置換されている直鎖もしくは架橋シリコーン、例えばPEG−10ジメチコーン、PEG、PPG、またはそれらの組み合わせのジメチコーンクロスポリマー、例えばPEG/PPG 10/1ジメチコーンクロスポリマー、PEG−10ラウリルジメチコーンクロスポリマー、PEG−15ラウリルジメチコーンクロスポリマーなどが挙げられる。
【0048】
好適な有機非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルコール、特に脂肪族C6〜30アルコキシル化アルコール、例えばステアレス、ベヘネス、セテス、セテアレス、イソステアレス、ラウレス、ミリステスがあり、ここで反復する酸化アルキレン単位の数は約2〜200にわたり、例えばラウレス−7などである。
【0049】
また好適なのは、C6〜30脂肪酸または脂肪アルコールと反応させた酸化アルキレン、ならびに酸化アルキレン基を含むシリコーン、例えばPEG−(2〜200)ジメチコーンをはじめとするPEG置換シリコーンであり、ここで括弧内の数字は反復する酸化エチレン基の数を示している。
【0050】
微粒子
本組成物中に顔料、粉末、またはそれらの混合物の形態で微粒子を含むことも望ましい場合がある。存在する場合には、推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.1〜60%、好ましくは約0.5〜50%、より好ましくは約1〜45%である。好適な粉末としては、二酸化チタン、窒化ホウ素、マイカ、ナイロン、シリカ、タルク、PMMA、アクリレーツコポリマーなどがある。
【0051】
本組成物中に顔料または着色料を含むことも望ましい場合がある。好適な顔料としては、有機顔料、例えばD&CおよびFD&Cカラーまたはそれらのレーキ、例えば赤色、黄色、緑色、茶色などがある。また、例えば黄色、赤色、黒色、またはそれらの混合物の酸化鉄のような無機顔料も好適である。
【0052】
植物成分
本組成物中に1種以上の植物抽出物を含むことも望ましい場合がある。存在する場合には、推奨範囲は、全組成物の重量に基づいて約0.001〜45%、好ましくは0.005〜40%、より好ましくは約0.01〜35%である。そのような抽出物の例としては、穀類、花、根、種子、茎、皮、または葉からの抽出物がある。好適な穀類抽出物には、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシなどからの抽出物が含まれる。例えばカモミール、ケシ(poppy)、バラ、ヒマワリ、パンジーなどの様々な花抽出物を使用することができる。種子からの抽出物の例としては、ブドウ種子、ヒマワリ種子などがある。皮からの抽出物の例としては、オレンジ、レモン、ライム、マンゴー、パパイヤなどが挙げられる。葉抽出物としては、アロエ、スペアミント、ヤマモモなどを挙げることができる。
【0053】
ビタミン
また、様々なビタミン類、例えばA、E、C、D、Kおよびそれらの誘導体が本組成物中での使用に好適である。例としては、レチノール、パルミチン酸レチニル、アスコルビン酸レチニル、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビルなどが挙げられる。
【0054】
本発明の組成物は、クリーム、ローション、溶液、懸濁液、ジェル、ムース、スプレーの形態であり得る。それは、液体、固体、または半固体;無水、水性(aqueous based)、またはエマルジョン(油中水型もしくは水中油型エマルジョン)の形態であり得る。
【0055】
一形態において、本組成物はエマルジョン形態であってよく、1種以上の上記他の成分に加えて上記水と油の量を含み得る。
【0056】
本組成物は、腰、尻またはももにおける皮膚であり得る身体の罹患領域に投与される。本組成物が、顔または身体の表面を整えるために望まれる場合には、余分な外観を最小限にすることが望まれる表面に投与される。例えば、ユーザーが、「太りすぎている」と考えている顔または身体の領域の外観を改善することを望むなら、問題があると考えている顔または身体の領域に本発明の組成物を投与することを望むと考えられる。本組成物は、1日に1回、2回、またはより多く投与することができる。投与は、朝、晩、または運動後に行なうことができる。
【0057】
本発明は、例示のためだけに記載されている以下の実施例に関連してさらに説明される。
【実施例】
【0058】
実施例1
成分の脂肪細胞脂質溶解活性を、ゼン・バイオ社(www.zen-bio.com)からカタログ番号LIP−3で購入される脂質溶解アッセイキット(グリセロールと遊離脂肪酸の二重検出、試薬+細胞)を用いて試験した。フォルスコリンおよび抱合リノール酸の連続希釈を、1重量%の遊離脂肪酸ウシ血清アルブミンを含有するクレブス・リンガー緩衝液中に調製した。プレートウェルから培養培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。フォルスコリン試験材料を、試験ウェルに加え、ウェルを総濃度25、2.5、および0.25μMにした。抱合リノール酸試験材料を、試験ウェルに加え、濃度10、1、および0.1μMにした。プレートを37℃で5時間インキュベートした。50マイクロリットルの試験材料を各プレートから取り出し、きれいなウェルに移した。トリグリセリド分解を、グリセロールまたはNEFA(非エステル化脂肪酸)の存在について測定することによって試験した。グリセロールについて試験しているウェルへ、キットから、ウェルあたり50マイクロリットルのグリセロールアッセイ試薬を加え、プレートを25℃で15分間インキュベートした。NEFAについて試験しているウェルへ、キットから、ウェルあたり50マイクロリットルのNEFA溶液Aを加え、プレートを37℃で10分間インキュベートした。次いで、ウェルあたり100マイクロリットルのNEFA溶液Bをウェルに加え、プレートを37℃でさらに10分間インキュベートした。NEFA試験ウェルのあるプレートを5分間室温に冷却させた。グリセロールおよびNEFAプレートウェルの各ウェルの光学密度を540ナノメートルで測定した。結果を図1の表に示す。
【0059】
フォルスコリンおよび抱合リノール酸の両方が脂肪細胞の脂質溶解の増大に影響を及ぼしたことが分かる。
【0060】
実施例2
様々な成分の脂肪細胞分化阻害特性を、脂質蓄積キット、ゼン・バイオ社から購入されるカタログ番号DIF−AGを有する脂質形成アッセイキット、PPARγアゴニスト(試薬+細胞)を用いて試験した。レスベラトロール、レスベラトロール三リン酸三ナトリウム、フェルラ酸レスベラトロール、およびシラブ社から購入されるギンバイカ(myrtle)の抽出物であるロンジェビセルTMを使用した。キットを用いて、与えられた指示に従い、試験を行った。濃度25および100μMのレスベラトロール;濃度1、10、および100μMのレスベラトロール三リン酸三ナトリウム;濃度6.25および25μMのフェルラ酸レスベラトロール;ならびに濃度0.03%および0.125%のロンジェビセルを試験した。結果を図2の表に示す。
【0061】
結果から、4種全ての試験材料は脂肪細胞分化阻害活性をもたらすことが示される。
【0062】
実施例3
身体を処置するためのクリームを以下のように調製した:
【表1】

【0063】
水相成分を別に混ぜ、よく混合することによって組成物を調製した。油相成分を混合した。水相成分を油相中に混合して分散させ、エマルジョンを調製した。組成物を瓶に保存した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の脂質形成阻害剤(adipogenesis inhibitor)および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤(adipocyte lipolytic agent)ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤(skin tightening agent)を含む局所用組成物。
【請求項2】
脂質形成阻害剤および脂肪細胞脂質溶解剤が、前記組成物を投与する顔または身体の皮膚の外観を改善するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含有する油水エマルジョンの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のシリコーン界面活性剤をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
穀類由来の少なくとも1種の植物性抽出物をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
グリセリンと脂肪族C6〜30カルボン酸との少なくとも1種のエステルをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種のPEGジメチコーンをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
脂質形成阻害剤が、レスベラトロール、レスベラトロールとカルボン酸とのエステル、レスベラトロールと無機酸とのエステル、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
脂肪細胞脂質溶解剤が、フォルスコリン、抱合リノール酸、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
脂質形成阻害剤が、レスベラトロール、フェルラ酸レスベラトロール(resveratrol ferulate)、レスベラトロール三リン酸、レスベラトロール三リン酸三ナトリウム、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含む組成物を罹患領域に局所投与するステップを含む、セルライトの外観を処置する方法。
【請求項12】
組成物をクリームまたはローションの形態で投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組成物を少なくとも1日2回投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含む組成物を、改善が所望される領域に局所投与するステップを含む、顔もしくは身体の皮膚表面または不均一な皮膚表面の外観を改善する方法。
【請求項15】
少なくとも1種の脂質形成阻害剤および少なくとも1種の脂肪細胞脂質溶解剤ならびに、任意により、少なくとも1種の皮膚緊密化剤を含有する局所用組成物を投与することによる、不均一な脂肪沈着により引き起こされる皮膚のくぼみの外観を改善するための身体の処置方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525921(P2011−525921A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516450(P2011−516450)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/047620
【国際公開番号】WO2009/158248
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】