皮膚に当てる器具
本発明は、皮膚または唇に当てる器具に関し、前記器具は、・少なくとも一端が開口している熱可塑性材料製の本体と;・板金を塑性変形することによって、特にスタンピングすることによって成形されている金属壁(4)と、ここで板金は本体の開口端に埋入され、皮膚または唇との接触面(5)を画成する;・金属壁(4)と熱接触するのに適した冷却剤(R)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚または唇に作用を及ぼす器具、より詳細には冷感をもたらす器具に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2003/0100936A1号明細書は、皮膚を冷却するローラーを含む器具を記載している。
【0003】
米国特許第4,745,909号明細書、米国特許第3,752,155号明細書、米国特許出願公開第2006/0058714号明細書および米国特許第5,217,395号明細書は、皮膚に冷感をもたらすことができる他の器具を開示している。
【0004】
欧州特許第1797847号明細書および米国特許出願公開第2007/186951号明細書は、使用前に冷蔵された冷却剤で充填された空洞を少なくとも部分的に画成する金属壁を含む様々な器具を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような器具をさらに改善する必要がある。
【0006】
特に、適宜、快適に使用でき、持ち運びが容易な、十分に保冷できる器具の恩恵を受けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の例示的実施形態は、皮膚に当てる器具を提供し、前記器具は、
・少なくとも一端が開口している熱可塑性材料製の本体と;
・板金を塑性変形することによって、特にスタンピングすることによって成形された金属壁と、ここで該板金は本体の開口端に埋入され、皮膚との接触面を画成する;
・金属壁と熱接触するのに適した冷却剤と;
を備える。
【0008】
熱可塑性材料製の本体が、前記器具の使用中に器具を保持するための把持面を画成してもよく、本体は、前記把持面を少なくとも部分的に、例えば、その大部分、あるいは前記把持面全体を画成してもよい。熱可塑性材料の使用により、冷却剤と器具を保持する使用者の指との間を断熱することができる。
【0009】
さらに、板金から製造される金属壁を使用して皮膚との接触面を画成すると、製造コストが低減すると共に、熱的に言えば、信頼性があり高性能を提供する構造を得ることができる。
【0010】
「埋入」という用語は、熱可塑性材料が金属壁の一部の内側と外側の両方を被覆し、それと接触することを意味するものと理解すべきである。
【0011】
「塑性変形」という用語は、スタンピング加工によりまたは他の何らかの手段により、特に鍛造、エンボス加工、プレス加工、絞り加工、または押出加工により、冷間または熱間変形を行うことを意味するものと理解すべきである。
【0012】
金属壁は、一定の厚さの平面状板金から製造されてもよい。スタンピング作業により、板金の厚さを変えてもよい。器具の金属壁の厚さは、例えば、0.1ミリメートル(mm)〜3mmの範囲、より望ましくは0.2mm〜2mmの範囲である。
【0013】
壁は、艶出しされていても、もしくはワニス塗布されていてもよく、保護膜を備えても、または陽極酸化されていてもよい。金属壁は、スタッド、球体、または波状起伏を有してもよく、これらは、任意選択により同心円状になっていてもよい。壁は、凸状であっても、または凹状であってもよい。壁は、摺動を促進する微細層、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子または皮膜で被覆されていてもよい。
【0014】
熱可塑性材料製の本体は金属壁上に成形されてもよく、従って、熱可塑性材料は金属壁の周縁の内側と外側の両方を被覆してもよい。
【0015】
金属壁は、様々な形状を有してもよく、例えば、冷却剤の方に向かって凹状になっている皿または環の形状を有してもよい。従って、金属壁は皮膚との接触面を有してもよく、接触面は略ドーム状であるが他の形状も可能である。金属壁は、任意選択により、円状に対称の形状を有してもよい。同様に、金属壁の形状は、管状で、柄部分に対して回転可能であってもよい。器具の長手方向軸に沿って測定される金属壁の軸方向の寸法は、例えば、30mm以下である。熱可塑性材料製の本体を超えて延在する金属壁の高さは、実質的に0〜20mmの範囲であってもよい。
【0016】
器具の側面は、金属壁によって画成される必要はない。従って、使用者は、通常、指を金属壁に接触させながら、器具を把持することはできない。
【0017】
金属壁は、周縁の突出部、例えば、半径方向外側を向いており、熱可塑性材料への固定を改善することを可能にする縁部を備えてもよい。突出部は、角度が連続していてもよく、完全に1回転して延在していてもよい。
【0018】
皮膚または唇と接触する金属壁の外面は、正面から器具の長手方向軸に沿って観察したとき、様々な形状、例えば、円形または楕円形の輪郭を有してもよい。
【0019】
器具は、接触面から離れた側に、別個の密閉部材によって画成される底壁、例えば、熱可塑性材料製の本体にスナップ止めにより固定される底壁を備えてもよい。密閉部材は、器具に冷却剤を充填した後、所定の位置に配置されてもよい。
【0020】
金属壁が埋入される本体は、施与される組成物を収容するリザーバを少なくとも部分的に画成してもよい。
【0021】
本発明の例示的実施形態では、熱可塑性材料製の本体は、使用中に施与されない冷却剤を収容する第1のリザーバと、第1のリザーバと連通せず、施与される組成物を収容する第2のリザーバの両方を、少なくとも部分的に画成する。
【0022】
器具は、任意選択により取り外し可能に器具に固定され得る振動源を備えてもよい。
【0023】
前述のように、熱可塑性材料製の本体は、使用中に器具を保持するための把持面の全部または一部を画成してもよい。本体の側壁は、例えば、少なくとも実質的にその高さの中間部に、保持を容易にする窪みを有してもよい。
【0024】
器具は、使用者の身体または使用者の頭皮の処置に使用されてもよい。器具は、特に身体の処置用に、接触面にニップルを備えてもよい。器具は、特に頭皮の処置用に、フロックに覆われた歯、またはフロックに覆われていない歯を備えてもよい。フロックは、冷感に影響を及ぼすことなく組成物を保持することを可能にすることができる。
【0025】
本発明の他の例示的実施形態は、また、前述の器具を、例えば、冷蔵庫または冷凍庫に貯蔵することにより予め冷却した後、皮膚または唇と接触させる化粧処置方法も提供する。適宜、冷却剤が凍結して金属壁と接触した氷になるように、器具を上下反対に配置して、冷凍庫内で冷却してもよい。
【0026】
本発明の器具で、連続的に冷却しても、または、皮膚もしくは唇を周期的に、例えば1分以上再加熱して交互に冷却してもよい。軽く叩くことにより器具を皮膚と接触させてもよい。
【0027】
本発明の他の例示的実施形態は、また、前述の器具と、器具を併用して皮膚に施与される組成物、例えば、器具で皮膚を冷却した後に、または組成物を皮膚に施与するために器具を使用することによって、皮膚に施与される組成物とを含むキットも提供する。
【0028】
器具と組成物は単一の包装に収容されてもよく、その包装はどのようなタイプのものであってもよい。
【0029】
器具は、施与される組成物を収容する容器に永久的にまたは取り外し可能に取り付けられてもよい。例として、器具は、例えば、管、ポット、缶、ポンプを備える容器、またはエアゾール缶などの、組成物を分配するための包装および/または分配器具の保護および/または密閉部材の一部を形成し得る。
【0030】
器具と併用される組成物は、ポマード、オイル、クリームもしくはジェル、または液体(乳液もしくはローション)の形態であってもよい。適宜、組成物は、比較的速く蒸発することによって使用中にさらなる冷感を与える少なくとも1種類の揮発性溶媒、例えば、アルコールまたはガスを含有してもよい。
【0031】
また、組成物は、場合によっては冷蔵庫または冷凍庫に入れることによって冷却されてもよい。
【0032】
本発明の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を考察すると、本発明をさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の器具の一実施例を示す、概略立面図である。
【図2】図1の器具の組立分解斜視図である。
【図3】図1および図2の器具の軸方向半断面図である。
【図4A】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図4B】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図4C】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図5】本発明の器具の異なる実施形態の軸方向概略断面図である。
【図6】異なる実施形態の細部を示す図である。
【図7】他の異なる実施形態を示す図である。
【図8】他の異なる実施形態を示す図である。
【図9】他の異なる実施形態を示す図である。
【図10】他の異なる実施形態を示す図である。
【図11】他の異なる実施形態を示す図である。
【図12】図11のXIIに沿って見た平面図である。
【図13】他の異なる実施形態を示す図である。
【図14】他の異なる実施形態を示す図である。
【図15】異なる器具の部分図である。
【図16】図11のXVI−XVIに沿った軸方向の概略部分断面図である。
【図17A】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17B】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17C】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17D】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図18】器具の異なる実施形態の概略部分縦断面図である。
【図19A】熱可塑性材料製の本体上の金属壁の高さが様々になり得ることを示す図である。
【図19B】熱可塑性材料製の本体上の金属壁の高さが様々になり得ることを示す図である。
【図20】器具の異なる実施形態の概略部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1〜図3に示す、本発明の器具10は、冷却剤Rを収容するリザーバ3を少なくとも部分的に画成する、熱可塑性材料製の本体2を備える。
【0035】
図示した実施形態では、本体2は、その頂部と底部の両方が開口している。本体2の頂部の開口部は、接触面5を画成する金属壁4によって密閉される。底部開口部は、別個の密閉部材7によって密閉される。
【0036】
本発明に従って、金属壁4は、板金を変形させることによって製造される。図示した実施形態では、壁4は、周縁に管状の直立部9を含む皿の形状をしており、直立部9の終端は半径方向外側を向いた縁部10になっている。
【0037】
管状の直立部9は、例えば、軸Xを中心とする円筒状であり、接触面5の頂部は、例えば、軸Xに対して実質的に垂直になっている。
【0038】
壁4の軸方向の寸法hは、例えば、10mm〜15mmの範囲である。
【0039】
例として、密閉部材7はスナップ止めにより本体2に固定されるが、本体2に圧着、熱融着、または接着されてもよい。本体2は、内面にスナップファスナビード14が設けられている第1の取り付けスカート部13を含んでもよく、密閉部材7は、ビード14にスナップ止めされることになる溝を含む第2の取り付けスカート部15を含んでもよい。
【0040】
図示するように、密閉部材7は、本体2の内面に当接して支持されることになる環状のシールリップ17を含んでもよい。
【0041】
密閉部材7の底壁18は、本体2の内側に延在し、前記本体の底端部に対して後退していてもよい。
【0042】
環状隆起部19が、軸Xを中心として同心円状に、底壁18の下側から突出して延在してもよい。図示するように、隆起部19は、場合によっては、底壁18が取り付けスカート部15に連接するように壁20の高さより少し下に軸方向に延在してもよい。
【0043】
図示した実施形態では、リザーバ3内で冷却剤Rの液面が比較的低いことが示されているが、冷却剤Rはリザーバ3の全容積を占めてもよいことを理解すべきである。
【0044】
一般に、冷却剤Rは、保冷に適した、状態変化するまたは状態変化しない化合物から選択されてもよい。例として、それは、0℃〜−18℃の範囲の温度で状態が変化する化合物、例えば、水、場合によっては凝固点を低下させることができる添加剤(例えば、グリコール)が混合された水であってもよい。
【0045】
例として、金属壁4は、鋼(特に、ステンレス鋼)、アルミニウム、銅、真鍮、ブリキ、または他の任意の金属で製造される。金属壁4は、任意選択により1種類の材料であってもよく、特に、コーティング(例えば、PTFEまたは他の何らかの材料のコーティング)を含んでもよく、または処理(例えば、陽極酸化処理)が施されたものであってもよい。例として、コーティングは、皮膜、金属被覆、または不連続な堆積物(例えば、スプレーによって形成される堆積物)の形態である。
【0046】
熱可塑性材料製の本体2は、直立部9の外側を被覆する外側部分23と、直立部9の内側を被覆する内側部分24を有するように金属壁4上に成形されてもよい。図示するように、内側部分24は、外側部分23に隣接する金属壁4の傾斜部分26と接触するように延在してもよい。
【0047】
金属壁4は、様々な形状、例えば、波状起伏、例えば、図4Bに示すような同心円状の波状起伏を有する形状を有してもよく、または、例えば、図4Aに示すような内側に向かって収束する円錐状の中心部を有する凹状、もしくは図4Cに示すような凹状の丸みのある中心部を有する凹状であってもよい。凹状の中心部は、軸方向の断面が凸状である環状のビード4iを介して周縁直立部9に連接していてもよい。
【0048】
金属壁4の下に延在する本体2の側壁28は、図1〜図3に示すように中実であってもよく、器具の把持面の大部分あるいは全部を画成してもよい。側壁28は、図示するように、その高さの中間部に管状の溝28dの形態の窪みを画成してもよい。
【0049】
一変形例では、側壁は、図5に示すような、2つの同心円状の厚み28aと28bの間に環状の間隙30を有する二重壁であってもよく、この間隙によってさらに断熱される。環状の間隙30の底部は、密閉部材7に形成された環状の突出部133によって密閉されてもよい。環状の間隙30は、金属壁4の底端部から、軸Xに沿って測定されるゼロでないある一定の距離にわたって延在してもよい。
【0050】
金属壁4上に成形されている本体2は様々な形状を有してもよく、例として、図6に示すように、例えば、図示するようなスナップ止めによりポット35に固定できるようにする取り付けスカート部33を有するように製造されてもよい。本体2は、ポット35の内面に当接して支持する内側シールリップ36を含んでもよい。
【0051】
図7に示すように、冷却剤Rを収容するリザーバ3の底部は、施与される組成物を収容する容器45の端部壁40も画成し得る底壁7によって密閉されてもよく、容器45には、例えば、密閉キャップ48と嵌合する分配開口部が設けられていてもよい。例として、密閉キャップは、容器45の本体に蝶番式に結合している蓋を備える。
【0052】
図7の実施形態では、このようにして、組成物が器具の一端を介して分配され、他端は皮膚を局所的に冷却する接触面5を画成する。
【0053】
図8の実施形態では、金属壁4上に成形されている熱可塑性材料製の本体2は、缶60、例えば、ポンプまたは弁などの分配手段が設けられた缶に固定される支持片55上に取り付けられる。
【0054】
支持片55は、使用していない時に分配手段の押しボタン62を保護する保護キャップを画成する。支持片55は、また、冷却剤Rを収容するリザーバ3の底壁7も画成する。
【0055】
本体2は、様々な方法で、例えば、図示するようなスナップ止めにより、また熱融着により、または接着により支持片55に固定されてもよい。
【0056】
図9の実施形態では、器具10は細長い柄70を含み、接触面5は、柄70の長手方向軸Yとゼロでない角度をなす方向Dを向いている。
【0057】
図10は、器具を垂直に保持したとき、金属壁4が側面上に斜めに延在する変形例を示す。
【0058】
図11、図12、および図16は、金属壁4が、例えば、ポンプまたは弁などの分配手段が設けられた缶から放出される組成物などの、組成物の分配を可能にする通路85が中心を通っている略環形状の施与面を画成し得ることを示す。例として、金属壁4を支持する本体2は、組成物を分配するポンプまたは弁棒98に作用するように作動する分配ヘッド96の一部を形成する。
【0059】
使用中、器具を皮膚に当ててもよく、その後、場合によっては器具を取り去った後、化粧品またはスキンケア製品を皮膚に施与する。適宜、器具を皮膚に戻し、のばすために、または処置される皮膚の領域をマッサージするために使用してもよい。同様に、金属壁によって画成される接触面に組成物を堆積させてもよく、前記金属壁を使用して組成物を処置される部位に施与してもよい。同様に、組成物を処置される部位に堆積させてもよく、その後、このようにして堆積された組成物と接触面を接触させてもよい。
【0060】
本発明は、複数の化粧または皮膚処置に使用されてもよい。特に、本発明は、座瘡、疱疹、セリュライト、皺、伸展線の処置、または腹部、脚、もしくは臀部のマッサージに使用されてもよい。比較的厚い組成物層を皮膚または唇に施与してもよく、その上を器具を通過させ、特に、組成物をのばし、冷却して微小循環が改善するようにし、かつ組成物の皮膚または唇への浸透を促進するようにしてもよく、あるいは生じ得る痛みを抑えるようにしてもよい。同様に、少量の組成物を表面に堆積させてもよく、器具を使用して組成物をのばしてもよい。適宜、組成物を表皮にのばしてもよく、皮膚の温度を低温にするのと通常の温度に戻すのとを交互に行うため、低温の金属壁で皮膚を軽く叩くことによって本発明の器具を使用してもよい。
【0061】
勿論、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。
【0062】
金属壁4の形状、特に、本体2の熱可塑性材料に固定される前記金属壁部分の形状は、変更されてもよい。
【0063】
上から観察したとき、金属壁の見える部位の輪郭は、図17Aに示すように円形であっても、図17Bに示すように完全な楕円形であっても、図17Cに示すように端部が切り取られた楕円形であっても、または図17Dに示すように多角形(例えば、正方形)であってもよい。
【0064】
本体は様々な形状であってもよく、前記本体が画成し得る、使用時に把持される器具の表面の割合は、比較的大きくてもまたは比較的小さくてもよい。金属壁は、決して把持面を画成する必要はない。
【0065】
適宜、金属壁は、その一面または両面が陽極酸化されていても、またはワニス塗布されていてもよい。金属壁は、その摺動能力を向上させる処置が施されたものであってもよく、例えば、PTFE、カーボン、グラファイト、シリコーンゴム、またはフロックでコーティングされていてもよい。
【0066】
金属壁は、特に接触面を画成する部分が平滑であってもよく、または小さい突出部(例えば、スタッド)を有してもよい。
【0067】
変形後、金属壁4の厚さは任意選択により一定であってもよい。
【0068】
図1〜図3の実施形態では、密閉部材7はスナップ止めにより本体2に固定されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、それを他の何らかの方法で、例えば、熱融着、接着、ねじ固定、またはオーバーモールドにより固定してもよい。
【0069】
熱可塑性材料で本体2を製造するために、既知の任意の材料、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、RILSAN(登録商標)を使用することができる。
【0070】
図示していない一変形例では、金属壁は、皮膚または唇に施与される組成物の出口開口部の周囲が環形状をしており、組成物はエアゾール缶または缶に備えられたポンプから放出されるのではなく、組成物が重力によりおよび/またはその壁の少なくとも1つに加えられる圧力により流出し得る容器から放出される。従って、金属壁は、組成物を分配し得る開放導管を包囲してもよい。
【0071】
本発明の器具は、組成物なしで使用されてもよい。
【0072】
適宜、図13に示すように、金属壁4は管形状を有するように製造され、その軸方向の端部が、その上に成形されている熱可塑性材料製の2つの本体2aおよび2bに受容されるようになっていてもよい。本体2aおよび2bはそれぞれ、金属壁4によって形成されるアセンブリ103と本体2aおよび2bが支持部110上で回転することを可能にする短軸100を有するように製造され、前記支持部は、例えば、施与される化粧組成物Pを収容する容器115に取り付けられてもよい。支持部110によって、前記金属壁の回転中に組成物Pが金属壁4と接触することが可能になるため、組成物はアセンブリ103の回転により接触面5に運ばれる。図示するように、金属壁4は、長さの短い管を塑性変形することによって得られる凸形状を有するように製造されてもよい。
【0073】
図14に示すように、器具は振動源200を受容してもよく、振動源200は、例えば、器具の接触面5から離れた側に固定されてもよい。本発明の複数の実施形態では、密閉部材7は、器具に任意選択により取り外し可能に固定され得る振動源を受容するハウジングを含む。例として、振動源は、仏国特許出願公開第0806489号明細書に記載されているようなものであってもよい。
【0074】
同様に、振動源は器具に取り付けられてもよい。図20は、振動源200が、金属壁4を含む器具に取り外しできないように固定されている器具10を示す。この実施形態では、本体2は、施与される組成物を収容する容器222の密閉部材221に固定されている。
【0075】
例として、密閉部材221は、容器本体にねじ固定されるように構成されている取り付けスカート部223、および本体2が固定される首部225を備え、それによって、振動源200のモーターを収納するチャンバ228が画成される。この実施形態に示すように、本体2は金属壁4と協働して、冷却剤Rを収容するリザーバ3全体を画成してもよいが、同様に、これは他の構成になっていてもよい。
【0076】
適宜、例えば、振動源200のモーターに動力を提供するのに使用される電池を1本以上交換できるように、本体2は首部225に取り外し可能に固定されてもよい。例として、振動源は、偏心調速機おもりを毎分2000回転(rpm)〜20,000rpmの範囲の回転速度で回転させる。
【0077】
図18の実施形態は、金属壁4が、例えば、分配カニューレ242を含むペン240の形態の容器の密閉キャップの一部を形成してもよいことを示す。適宜、図示するように、本体2は、カニューレの分配開口部を密閉する密閉ピン261を有するように製造されてもよい。
【0078】
図15の異なる実施形態では、壁4の中心部は、本体2の残りの部分と一体成形されている部分2fで被覆されている。
【0079】
壁4は、部分2fを包囲し、それを超えて上方に延在する環状のビードを有してもよい。
【0080】
図示していない変形例では、図1〜図13を参照して記載した器具は、振動源が一体化されるように変更されている。
【0081】
「1つの〜を備える」という表現は、特記しない限り、「少なくとも1つの〜を備える」と同義であるものと理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚または唇に作用を及ぼす器具、より詳細には冷感をもたらす器具に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2003/0100936A1号明細書は、皮膚を冷却するローラーを含む器具を記載している。
【0003】
米国特許第4,745,909号明細書、米国特許第3,752,155号明細書、米国特許出願公開第2006/0058714号明細書および米国特許第5,217,395号明細書は、皮膚に冷感をもたらすことができる他の器具を開示している。
【0004】
欧州特許第1797847号明細書および米国特許出願公開第2007/186951号明細書は、使用前に冷蔵された冷却剤で充填された空洞を少なくとも部分的に画成する金属壁を含む様々な器具を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような器具をさらに改善する必要がある。
【0006】
特に、適宜、快適に使用でき、持ち運びが容易な、十分に保冷できる器具の恩恵を受けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の例示的実施形態は、皮膚に当てる器具を提供し、前記器具は、
・少なくとも一端が開口している熱可塑性材料製の本体と;
・板金を塑性変形することによって、特にスタンピングすることによって成形された金属壁と、ここで該板金は本体の開口端に埋入され、皮膚との接触面を画成する;
・金属壁と熱接触するのに適した冷却剤と;
を備える。
【0008】
熱可塑性材料製の本体が、前記器具の使用中に器具を保持するための把持面を画成してもよく、本体は、前記把持面を少なくとも部分的に、例えば、その大部分、あるいは前記把持面全体を画成してもよい。熱可塑性材料の使用により、冷却剤と器具を保持する使用者の指との間を断熱することができる。
【0009】
さらに、板金から製造される金属壁を使用して皮膚との接触面を画成すると、製造コストが低減すると共に、熱的に言えば、信頼性があり高性能を提供する構造を得ることができる。
【0010】
「埋入」という用語は、熱可塑性材料が金属壁の一部の内側と外側の両方を被覆し、それと接触することを意味するものと理解すべきである。
【0011】
「塑性変形」という用語は、スタンピング加工によりまたは他の何らかの手段により、特に鍛造、エンボス加工、プレス加工、絞り加工、または押出加工により、冷間または熱間変形を行うことを意味するものと理解すべきである。
【0012】
金属壁は、一定の厚さの平面状板金から製造されてもよい。スタンピング作業により、板金の厚さを変えてもよい。器具の金属壁の厚さは、例えば、0.1ミリメートル(mm)〜3mmの範囲、より望ましくは0.2mm〜2mmの範囲である。
【0013】
壁は、艶出しされていても、もしくはワニス塗布されていてもよく、保護膜を備えても、または陽極酸化されていてもよい。金属壁は、スタッド、球体、または波状起伏を有してもよく、これらは、任意選択により同心円状になっていてもよい。壁は、凸状であっても、または凹状であってもよい。壁は、摺動を促進する微細層、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子または皮膜で被覆されていてもよい。
【0014】
熱可塑性材料製の本体は金属壁上に成形されてもよく、従って、熱可塑性材料は金属壁の周縁の内側と外側の両方を被覆してもよい。
【0015】
金属壁は、様々な形状を有してもよく、例えば、冷却剤の方に向かって凹状になっている皿または環の形状を有してもよい。従って、金属壁は皮膚との接触面を有してもよく、接触面は略ドーム状であるが他の形状も可能である。金属壁は、任意選択により、円状に対称の形状を有してもよい。同様に、金属壁の形状は、管状で、柄部分に対して回転可能であってもよい。器具の長手方向軸に沿って測定される金属壁の軸方向の寸法は、例えば、30mm以下である。熱可塑性材料製の本体を超えて延在する金属壁の高さは、実質的に0〜20mmの範囲であってもよい。
【0016】
器具の側面は、金属壁によって画成される必要はない。従って、使用者は、通常、指を金属壁に接触させながら、器具を把持することはできない。
【0017】
金属壁は、周縁の突出部、例えば、半径方向外側を向いており、熱可塑性材料への固定を改善することを可能にする縁部を備えてもよい。突出部は、角度が連続していてもよく、完全に1回転して延在していてもよい。
【0018】
皮膚または唇と接触する金属壁の外面は、正面から器具の長手方向軸に沿って観察したとき、様々な形状、例えば、円形または楕円形の輪郭を有してもよい。
【0019】
器具は、接触面から離れた側に、別個の密閉部材によって画成される底壁、例えば、熱可塑性材料製の本体にスナップ止めにより固定される底壁を備えてもよい。密閉部材は、器具に冷却剤を充填した後、所定の位置に配置されてもよい。
【0020】
金属壁が埋入される本体は、施与される組成物を収容するリザーバを少なくとも部分的に画成してもよい。
【0021】
本発明の例示的実施形態では、熱可塑性材料製の本体は、使用中に施与されない冷却剤を収容する第1のリザーバと、第1のリザーバと連通せず、施与される組成物を収容する第2のリザーバの両方を、少なくとも部分的に画成する。
【0022】
器具は、任意選択により取り外し可能に器具に固定され得る振動源を備えてもよい。
【0023】
前述のように、熱可塑性材料製の本体は、使用中に器具を保持するための把持面の全部または一部を画成してもよい。本体の側壁は、例えば、少なくとも実質的にその高さの中間部に、保持を容易にする窪みを有してもよい。
【0024】
器具は、使用者の身体または使用者の頭皮の処置に使用されてもよい。器具は、特に身体の処置用に、接触面にニップルを備えてもよい。器具は、特に頭皮の処置用に、フロックに覆われた歯、またはフロックに覆われていない歯を備えてもよい。フロックは、冷感に影響を及ぼすことなく組成物を保持することを可能にすることができる。
【0025】
本発明の他の例示的実施形態は、また、前述の器具を、例えば、冷蔵庫または冷凍庫に貯蔵することにより予め冷却した後、皮膚または唇と接触させる化粧処置方法も提供する。適宜、冷却剤が凍結して金属壁と接触した氷になるように、器具を上下反対に配置して、冷凍庫内で冷却してもよい。
【0026】
本発明の器具で、連続的に冷却しても、または、皮膚もしくは唇を周期的に、例えば1分以上再加熱して交互に冷却してもよい。軽く叩くことにより器具を皮膚と接触させてもよい。
【0027】
本発明の他の例示的実施形態は、また、前述の器具と、器具を併用して皮膚に施与される組成物、例えば、器具で皮膚を冷却した後に、または組成物を皮膚に施与するために器具を使用することによって、皮膚に施与される組成物とを含むキットも提供する。
【0028】
器具と組成物は単一の包装に収容されてもよく、その包装はどのようなタイプのものであってもよい。
【0029】
器具は、施与される組成物を収容する容器に永久的にまたは取り外し可能に取り付けられてもよい。例として、器具は、例えば、管、ポット、缶、ポンプを備える容器、またはエアゾール缶などの、組成物を分配するための包装および/または分配器具の保護および/または密閉部材の一部を形成し得る。
【0030】
器具と併用される組成物は、ポマード、オイル、クリームもしくはジェル、または液体(乳液もしくはローション)の形態であってもよい。適宜、組成物は、比較的速く蒸発することによって使用中にさらなる冷感を与える少なくとも1種類の揮発性溶媒、例えば、アルコールまたはガスを含有してもよい。
【0031】
また、組成物は、場合によっては冷蔵庫または冷凍庫に入れることによって冷却されてもよい。
【0032】
本発明の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を考察すると、本発明をさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の器具の一実施例を示す、概略立面図である。
【図2】図1の器具の組立分解斜視図である。
【図3】図1および図2の器具の軸方向半断面図である。
【図4A】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図4B】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図4C】接触面を画成するのに適した金属壁の2つの例を単独で示す軸方向断面図である。
【図5】本発明の器具の異なる実施形態の軸方向概略断面図である。
【図6】異なる実施形態の細部を示す図である。
【図7】他の異なる実施形態を示す図である。
【図8】他の異なる実施形態を示す図である。
【図9】他の異なる実施形態を示す図である。
【図10】他の異なる実施形態を示す図である。
【図11】他の異なる実施形態を示す図である。
【図12】図11のXIIに沿って見た平面図である。
【図13】他の異なる実施形態を示す図である。
【図14】他の異なる実施形態を示す図である。
【図15】異なる器具の部分図である。
【図16】図11のXVI−XVIに沿った軸方向の概略部分断面図である。
【図17A】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17B】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17C】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図17D】金属壁の見える部位の形状を示す平面図である。
【図18】器具の異なる実施形態の概略部分縦断面図である。
【図19A】熱可塑性材料製の本体上の金属壁の高さが様々になり得ることを示す図である。
【図19B】熱可塑性材料製の本体上の金属壁の高さが様々になり得ることを示す図である。
【図20】器具の異なる実施形態の概略部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1〜図3に示す、本発明の器具10は、冷却剤Rを収容するリザーバ3を少なくとも部分的に画成する、熱可塑性材料製の本体2を備える。
【0035】
図示した実施形態では、本体2は、その頂部と底部の両方が開口している。本体2の頂部の開口部は、接触面5を画成する金属壁4によって密閉される。底部開口部は、別個の密閉部材7によって密閉される。
【0036】
本発明に従って、金属壁4は、板金を変形させることによって製造される。図示した実施形態では、壁4は、周縁に管状の直立部9を含む皿の形状をしており、直立部9の終端は半径方向外側を向いた縁部10になっている。
【0037】
管状の直立部9は、例えば、軸Xを中心とする円筒状であり、接触面5の頂部は、例えば、軸Xに対して実質的に垂直になっている。
【0038】
壁4の軸方向の寸法hは、例えば、10mm〜15mmの範囲である。
【0039】
例として、密閉部材7はスナップ止めにより本体2に固定されるが、本体2に圧着、熱融着、または接着されてもよい。本体2は、内面にスナップファスナビード14が設けられている第1の取り付けスカート部13を含んでもよく、密閉部材7は、ビード14にスナップ止めされることになる溝を含む第2の取り付けスカート部15を含んでもよい。
【0040】
図示するように、密閉部材7は、本体2の内面に当接して支持されることになる環状のシールリップ17を含んでもよい。
【0041】
密閉部材7の底壁18は、本体2の内側に延在し、前記本体の底端部に対して後退していてもよい。
【0042】
環状隆起部19が、軸Xを中心として同心円状に、底壁18の下側から突出して延在してもよい。図示するように、隆起部19は、場合によっては、底壁18が取り付けスカート部15に連接するように壁20の高さより少し下に軸方向に延在してもよい。
【0043】
図示した実施形態では、リザーバ3内で冷却剤Rの液面が比較的低いことが示されているが、冷却剤Rはリザーバ3の全容積を占めてもよいことを理解すべきである。
【0044】
一般に、冷却剤Rは、保冷に適した、状態変化するまたは状態変化しない化合物から選択されてもよい。例として、それは、0℃〜−18℃の範囲の温度で状態が変化する化合物、例えば、水、場合によっては凝固点を低下させることができる添加剤(例えば、グリコール)が混合された水であってもよい。
【0045】
例として、金属壁4は、鋼(特に、ステンレス鋼)、アルミニウム、銅、真鍮、ブリキ、または他の任意の金属で製造される。金属壁4は、任意選択により1種類の材料であってもよく、特に、コーティング(例えば、PTFEまたは他の何らかの材料のコーティング)を含んでもよく、または処理(例えば、陽極酸化処理)が施されたものであってもよい。例として、コーティングは、皮膜、金属被覆、または不連続な堆積物(例えば、スプレーによって形成される堆積物)の形態である。
【0046】
熱可塑性材料製の本体2は、直立部9の外側を被覆する外側部分23と、直立部9の内側を被覆する内側部分24を有するように金属壁4上に成形されてもよい。図示するように、内側部分24は、外側部分23に隣接する金属壁4の傾斜部分26と接触するように延在してもよい。
【0047】
金属壁4は、様々な形状、例えば、波状起伏、例えば、図4Bに示すような同心円状の波状起伏を有する形状を有してもよく、または、例えば、図4Aに示すような内側に向かって収束する円錐状の中心部を有する凹状、もしくは図4Cに示すような凹状の丸みのある中心部を有する凹状であってもよい。凹状の中心部は、軸方向の断面が凸状である環状のビード4iを介して周縁直立部9に連接していてもよい。
【0048】
金属壁4の下に延在する本体2の側壁28は、図1〜図3に示すように中実であってもよく、器具の把持面の大部分あるいは全部を画成してもよい。側壁28は、図示するように、その高さの中間部に管状の溝28dの形態の窪みを画成してもよい。
【0049】
一変形例では、側壁は、図5に示すような、2つの同心円状の厚み28aと28bの間に環状の間隙30を有する二重壁であってもよく、この間隙によってさらに断熱される。環状の間隙30の底部は、密閉部材7に形成された環状の突出部133によって密閉されてもよい。環状の間隙30は、金属壁4の底端部から、軸Xに沿って測定されるゼロでないある一定の距離にわたって延在してもよい。
【0050】
金属壁4上に成形されている本体2は様々な形状を有してもよく、例として、図6に示すように、例えば、図示するようなスナップ止めによりポット35に固定できるようにする取り付けスカート部33を有するように製造されてもよい。本体2は、ポット35の内面に当接して支持する内側シールリップ36を含んでもよい。
【0051】
図7に示すように、冷却剤Rを収容するリザーバ3の底部は、施与される組成物を収容する容器45の端部壁40も画成し得る底壁7によって密閉されてもよく、容器45には、例えば、密閉キャップ48と嵌合する分配開口部が設けられていてもよい。例として、密閉キャップは、容器45の本体に蝶番式に結合している蓋を備える。
【0052】
図7の実施形態では、このようにして、組成物が器具の一端を介して分配され、他端は皮膚を局所的に冷却する接触面5を画成する。
【0053】
図8の実施形態では、金属壁4上に成形されている熱可塑性材料製の本体2は、缶60、例えば、ポンプまたは弁などの分配手段が設けられた缶に固定される支持片55上に取り付けられる。
【0054】
支持片55は、使用していない時に分配手段の押しボタン62を保護する保護キャップを画成する。支持片55は、また、冷却剤Rを収容するリザーバ3の底壁7も画成する。
【0055】
本体2は、様々な方法で、例えば、図示するようなスナップ止めにより、また熱融着により、または接着により支持片55に固定されてもよい。
【0056】
図9の実施形態では、器具10は細長い柄70を含み、接触面5は、柄70の長手方向軸Yとゼロでない角度をなす方向Dを向いている。
【0057】
図10は、器具を垂直に保持したとき、金属壁4が側面上に斜めに延在する変形例を示す。
【0058】
図11、図12、および図16は、金属壁4が、例えば、ポンプまたは弁などの分配手段が設けられた缶から放出される組成物などの、組成物の分配を可能にする通路85が中心を通っている略環形状の施与面を画成し得ることを示す。例として、金属壁4を支持する本体2は、組成物を分配するポンプまたは弁棒98に作用するように作動する分配ヘッド96の一部を形成する。
【0059】
使用中、器具を皮膚に当ててもよく、その後、場合によっては器具を取り去った後、化粧品またはスキンケア製品を皮膚に施与する。適宜、器具を皮膚に戻し、のばすために、または処置される皮膚の領域をマッサージするために使用してもよい。同様に、金属壁によって画成される接触面に組成物を堆積させてもよく、前記金属壁を使用して組成物を処置される部位に施与してもよい。同様に、組成物を処置される部位に堆積させてもよく、その後、このようにして堆積された組成物と接触面を接触させてもよい。
【0060】
本発明は、複数の化粧または皮膚処置に使用されてもよい。特に、本発明は、座瘡、疱疹、セリュライト、皺、伸展線の処置、または腹部、脚、もしくは臀部のマッサージに使用されてもよい。比較的厚い組成物層を皮膚または唇に施与してもよく、その上を器具を通過させ、特に、組成物をのばし、冷却して微小循環が改善するようにし、かつ組成物の皮膚または唇への浸透を促進するようにしてもよく、あるいは生じ得る痛みを抑えるようにしてもよい。同様に、少量の組成物を表面に堆積させてもよく、器具を使用して組成物をのばしてもよい。適宜、組成物を表皮にのばしてもよく、皮膚の温度を低温にするのと通常の温度に戻すのとを交互に行うため、低温の金属壁で皮膚を軽く叩くことによって本発明の器具を使用してもよい。
【0061】
勿論、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。
【0062】
金属壁4の形状、特に、本体2の熱可塑性材料に固定される前記金属壁部分の形状は、変更されてもよい。
【0063】
上から観察したとき、金属壁の見える部位の輪郭は、図17Aに示すように円形であっても、図17Bに示すように完全な楕円形であっても、図17Cに示すように端部が切り取られた楕円形であっても、または図17Dに示すように多角形(例えば、正方形)であってもよい。
【0064】
本体は様々な形状であってもよく、前記本体が画成し得る、使用時に把持される器具の表面の割合は、比較的大きくてもまたは比較的小さくてもよい。金属壁は、決して把持面を画成する必要はない。
【0065】
適宜、金属壁は、その一面または両面が陽極酸化されていても、またはワニス塗布されていてもよい。金属壁は、その摺動能力を向上させる処置が施されたものであってもよく、例えば、PTFE、カーボン、グラファイト、シリコーンゴム、またはフロックでコーティングされていてもよい。
【0066】
金属壁は、特に接触面を画成する部分が平滑であってもよく、または小さい突出部(例えば、スタッド)を有してもよい。
【0067】
変形後、金属壁4の厚さは任意選択により一定であってもよい。
【0068】
図1〜図3の実施形態では、密閉部材7はスナップ止めにより本体2に固定されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、それを他の何らかの方法で、例えば、熱融着、接着、ねじ固定、またはオーバーモールドにより固定してもよい。
【0069】
熱可塑性材料で本体2を製造するために、既知の任意の材料、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、RILSAN(登録商標)を使用することができる。
【0070】
図示していない一変形例では、金属壁は、皮膚または唇に施与される組成物の出口開口部の周囲が環形状をしており、組成物はエアゾール缶または缶に備えられたポンプから放出されるのではなく、組成物が重力によりおよび/またはその壁の少なくとも1つに加えられる圧力により流出し得る容器から放出される。従って、金属壁は、組成物を分配し得る開放導管を包囲してもよい。
【0071】
本発明の器具は、組成物なしで使用されてもよい。
【0072】
適宜、図13に示すように、金属壁4は管形状を有するように製造され、その軸方向の端部が、その上に成形されている熱可塑性材料製の2つの本体2aおよび2bに受容されるようになっていてもよい。本体2aおよび2bはそれぞれ、金属壁4によって形成されるアセンブリ103と本体2aおよび2bが支持部110上で回転することを可能にする短軸100を有するように製造され、前記支持部は、例えば、施与される化粧組成物Pを収容する容器115に取り付けられてもよい。支持部110によって、前記金属壁の回転中に組成物Pが金属壁4と接触することが可能になるため、組成物はアセンブリ103の回転により接触面5に運ばれる。図示するように、金属壁4は、長さの短い管を塑性変形することによって得られる凸形状を有するように製造されてもよい。
【0073】
図14に示すように、器具は振動源200を受容してもよく、振動源200は、例えば、器具の接触面5から離れた側に固定されてもよい。本発明の複数の実施形態では、密閉部材7は、器具に任意選択により取り外し可能に固定され得る振動源を受容するハウジングを含む。例として、振動源は、仏国特許出願公開第0806489号明細書に記載されているようなものであってもよい。
【0074】
同様に、振動源は器具に取り付けられてもよい。図20は、振動源200が、金属壁4を含む器具に取り外しできないように固定されている器具10を示す。この実施形態では、本体2は、施与される組成物を収容する容器222の密閉部材221に固定されている。
【0075】
例として、密閉部材221は、容器本体にねじ固定されるように構成されている取り付けスカート部223、および本体2が固定される首部225を備え、それによって、振動源200のモーターを収納するチャンバ228が画成される。この実施形態に示すように、本体2は金属壁4と協働して、冷却剤Rを収容するリザーバ3全体を画成してもよいが、同様に、これは他の構成になっていてもよい。
【0076】
適宜、例えば、振動源200のモーターに動力を提供するのに使用される電池を1本以上交換できるように、本体2は首部225に取り外し可能に固定されてもよい。例として、振動源は、偏心調速機おもりを毎分2000回転(rpm)〜20,000rpmの範囲の回転速度で回転させる。
【0077】
図18の実施形態は、金属壁4が、例えば、分配カニューレ242を含むペン240の形態の容器の密閉キャップの一部を形成してもよいことを示す。適宜、図示するように、本体2は、カニューレの分配開口部を密閉する密閉ピン261を有するように製造されてもよい。
【0078】
図15の異なる実施形態では、壁4の中心部は、本体2の残りの部分と一体成形されている部分2fで被覆されている。
【0079】
壁4は、部分2fを包囲し、それを超えて上方に延在する環状のビードを有してもよい。
【0080】
図示していない変形例では、図1〜図13を参照して記載した器具は、振動源が一体化されるように変更されている。
【0081】
「1つの〜を備える」という表現は、特記しない限り、「少なくとも1つの〜を備える」と同義であるものと理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚または唇に当てる器具であって、前記器具は、
・少なくとも一端が開口している熱可塑性材料製の本体(2;2a;2b)と;
・板金を塑性変形することによって、特にスタンピングすることによって成形された金属壁(4)と、ここで前記板金は前記本体の開口端に埋入され、皮膚または唇との接触面(5)を画成する;
・前記金属壁(4)と熱接触するのに適した冷却剤(R)と;
を備える、器具。
【請求項2】
前記壁(4)の厚さが、0.1mm〜3mmの範囲である、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記本体(2)が前記金属壁上に成形されている、請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記金属壁(4)が、冷却剤(R)の方に向かって凹状になっている皿形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記金属壁(4)が、周縁の縁部(10)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記接触面(5)が、正面から前記器具の長手方向軸(X)に沿って観察したとき、円形または楕円形の輪郭を呈する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記接触面(5)から離れた側に、別個の密閉部材(7)を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記本体(2)が、施与される組成物(P)を収容するリザーバ(115)を少なくとも部分的に画成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記本体(2)が、前記器具の使用中に前記器具を保持するための把持面の大部分を画成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の器具。
【請求項10】
前記本体が、冷却剤(R)を収容するリザーバ(3)を少なくとも部分的に画成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の器具。
【請求項11】
前記器具の使用中に把持される前記器具の表面が、二重壁(28a、28b)によって少なくとも部分的に画成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
前記二重壁(28a、28b)が、前記本体(2)と一体成形されている、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
振動源(200)を備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の器具。
【請求項14】
・請求項1〜13のいずれか一項に記載の器具(10)と、
・皮膚または唇に施与される組成物(P)と、
を備える、キット。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の器具の前記接触面(5)を、冷却後、皮膚または唇に当てる、ヒトの皮膚または唇を処置するための非治療的化粧処置方法。
【請求項1】
皮膚または唇に当てる器具であって、前記器具は、
・少なくとも一端が開口している熱可塑性材料製の本体(2;2a;2b)と;
・板金を塑性変形することによって、特にスタンピングすることによって成形された金属壁(4)と、ここで前記板金は前記本体の開口端に埋入され、皮膚または唇との接触面(5)を画成する;
・前記金属壁(4)と熱接触するのに適した冷却剤(R)と;
を備える、器具。
【請求項2】
前記壁(4)の厚さが、0.1mm〜3mmの範囲である、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記本体(2)が前記金属壁上に成形されている、請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記金属壁(4)が、冷却剤(R)の方に向かって凹状になっている皿形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記金属壁(4)が、周縁の縁部(10)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記接触面(5)が、正面から前記器具の長手方向軸(X)に沿って観察したとき、円形または楕円形の輪郭を呈する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記接触面(5)から離れた側に、別個の密閉部材(7)を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記本体(2)が、施与される組成物(P)を収容するリザーバ(115)を少なくとも部分的に画成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記本体(2)が、前記器具の使用中に前記器具を保持するための把持面の大部分を画成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の器具。
【請求項10】
前記本体が、冷却剤(R)を収容するリザーバ(3)を少なくとも部分的に画成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の器具。
【請求項11】
前記器具の使用中に把持される前記器具の表面が、二重壁(28a、28b)によって少なくとも部分的に画成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
前記二重壁(28a、28b)が、前記本体(2)と一体成形されている、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
振動源(200)を備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の器具。
【請求項14】
・請求項1〜13のいずれか一項に記載の器具(10)と、
・皮膚または唇に施与される組成物(P)と、
を備える、キット。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の器具の前記接触面(5)を、冷却後、皮膚または唇に当てる、ヒトの皮膚または唇を処置するための非治療的化粧処置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【公表番号】特表2013−509231(P2013−509231A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535990(P2012−535990)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054832
【国際公開番号】WO2011/051878
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054832
【国際公開番号】WO2011/051878
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
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