説明

皮膚に潤いを与えるための、ヤブツバキアルバプレナ(CamelliaJaponicaAlbaPlena)の花の少なくとも1つの抽出物の使用

本発明は、ヒト皮膚に潤いを与えるおよび/または乾燥からヒト皮膚を保護するための、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物を含有する化粧用組成物、ならびにその化粧用の使用に関する。本発明はまた、少なくとも1つのアルコール溶媒による花の抽出によって得ることができることを特徴とする、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト皮膚に潤いを与えるおよび/または乾燥からヒト皮膚を保護するための、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物を含有する化粧用組成物およびその化粧用の使用に関する。本発明はまた、少なくとも1つのアルコール溶媒による花の抽出によって得ることができることを特徴とする、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物にも関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表面から、3つの主な層:表皮、真皮、および皮下組織から構成される。
【0003】
表皮は、特に、ケラチノサイト(主として)、メラノサイト(皮膚色素沈着に関与)、およびランゲルハンス細胞から構成される。その機能は、環境から体を保護し、その完全性を確実にし、特に、微生物または化学物質の侵入をブロックし、皮膚に含有される水分の蒸発を防止することである。
【0004】
この機能を実行するために、ケラチノサイトは特異的成熟(directed maturation)の連続的なプロセスを受け、この間に、表皮の基底層に位置するケラチノサイトは、それらの分化の最終ステップにおいて、タンパク質およびセラミドなどの脂質から構成される角化膜の形態の完全に角質化された死細胞である角質細胞を形成する。この分化プロセスの間に、角質細胞間(intercorneocytic)表皮脂質もまた形成され、次いで、角質層において二重層(シート)の形態で組織化される。それらは、前述の角化膜と共に表皮のバリア機能に関与する。
【0005】
しかしながら、表皮のバリア機能は、ある種の気候条件において(たとえば寒さおよび/または風の作用下で)または特にストレスもしくは疲労の結果として妨害されることがあり、したがって、アレルゲン、刺激物、または微生物の侵入を促進し、したがって、皮膚の乾燥を引き起こすことがあり、このことは、つっぱりまたは赤みなどの不快な感覚をもたらすことがあるだけでなく、皮膚の明るさおよびしなやかさにも影響する。
【0006】
この現象を防止し、補正するために、皮膚に存在する水分を閉じ込め、したがってその蒸発を妨げることを目的とした、皮膚に対する、糖またはポリオールなどの吸湿剤を含有する化粧用組成物の適用が知られている。また、皮膚上に閉鎖性の被膜を形成するために脂肪が従来から使用されており、これは、水分の蒸発を妨げるのを助ける。さらに、これらの組成物は、皮膚の再生のプロセス、特にケラチノサイトの分化、表皮脂質の合成、および角質細胞の結合または皮膚の自然保湿因子(NMF)の構成要素の内因性の合成、特に、プロテオグリカンの合成に関与する様々な生物学的標的の1つまたは複数に作用する活性物質を組み込むことが多い。
【0007】
これらの活性物質の例は、特に、α−およびβ−ヒドロキシ酸、特に乳酸、グリコール酸およびサリチル酸;尿素;またはアミノスルホン化合物である。
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、皮膚の乾燥に対抗するのに、より有効な新しい化粧用活性物質がなお必要である。
【0009】
さらに、可能な限り少ない合成成分を含有する天然産物に対する消費者の要求は絶えず増しており、化学工業由来の化合物が満たさなければならない規制がますます厳しくなっていることを踏まえれば、これらの化粧用活性成分が、植物性起源であることが望ましいであろう。
【0010】
ここで、本出願人は、植物の抽出物、すなわちヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物を使用して皮膚の乾燥に有効に対抗することができることを示すことができた。
【0011】
実際、本出願人は、出願人らの知る限りでは以前に化粧品に使用されたことがないヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物が、皮膚に対する局所適用の後に、バイオマーカーHSP27、HSP32、およびPPAR−β/δを同時に刺激することが可能であることを実証した。
【0012】
ストレスタンパク質とも呼ばれる熱ショックタンパク質(HSP)は、1962年に研究者RitossaによるHSP原理の解説に続いて、徐々に発見された。それらは、非常に古くからの生物学的ツールであり、これは、種の進化の間に保存されてきた。
【0013】
HSPは、長い鎖および複雑な構造を有する、ポリペプチド型の大きな分子である。様々な空間的立体構造を有する、様々な質量のHSPがあり(それらは分子量に従って分類される、たとえばHSP27(27kDa)、HSP70(70kDa)など)、これがタンパク質の活性を決定し、影響を及ぼす。それらの役割は、感染および化学的または毒性ストレスとの戦い、ならびに低酸素状態からの保護において、ある種の型の細胞の分化において示される。HSPは、熱変性および凝集から他のタンパク質を保護するいわゆる「シャペロン」タンパク質である。ストレスタンパク質は、したがって、有害なラジカルを抑制することができ、特に、細胞の機能を維持し、代謝機能を基本値まで回復させることを可能にする。そのため、HSPの役割は、変性剤に対して細胞の完全性を持続させるための、タンパク質ホメオスタシスの維持である。
【0014】
タンパク質HSP27およびHSP32は、ヒト表皮の角質層において発現される。
【0015】
様々なストレス現象の結果としてだけでなく分化または細胞増殖の間でもHSP27の発現のレベルが増加したことが観察された。HSP27は、特に皮膚の刺激の間のバイオマーカーとしての役目を果たす(Boxman Il.ら 2002、Exp Dermatol、11(6): 50917)。HSP27は、角質層の角質化およびフィラグリンの成熟のプロセスに関与することが最近示された(O’Shaughnessyら J Biol Chem、2007、282: 17297-305)。さらに、HSP27をコードするmRNAの発現の減少は、皮膚老化の間に観察された(US2004/0142335)。
【0016】
HSP−32はまた、ヘムオキシゲナーゼ−1としても知られている。ヘムオキシゲナーゼは、脂質の過酸化および遊離基の形成の促進剤であるヘムの分解に役立つ。HSP32は、組織修復およびケラチノサイトの分化において重要な役割を果たすことが観察された(Hanselmannら 2001、Biochem J.、353、459-466;Clark ら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、241、215-220)。HSP32は、紫外線の有害な影響(酸化)からの皮膚の保護に関与するある種の分子の効果を検出するために、その本質的な酸化防止剤の機能のため多く使用されるバイオマーカーである(FR2787996、FR2813525)。
【0017】
PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)は、核受容体のスーパーファミリーのメンバーである。それらは、多くの代謝および細胞プロセスに関与する。現在、PPARの3つのアイソフォームが、多数の脊椎動物において同定されており、それらの特異な組織分布は、特異的な機能を反映している:PPAR−α(NR1C1とも呼ばれる)、PPAR−β/δ(またはNR1C2)、およびPPAR−γ(NR1C3)。ケラチノサイトの脂質代謝、増殖、および分化の制御因子としてのその役割を通して、PPAR−β/δは、皮膚浸透性を制御することが知られている(Callejaら、2006、Genes Dev 20、1525-1538)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、したがって、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の少なくとも1つの抽出物を生理学的に許容される媒体中に含有する化粧用組成物に関する。
【0019】
本発明はまた、ヒト皮膚に潤いを与えるおよび/または乾燥からヒト皮膚を保護するための、この組成物の化粧用の使用に関する。
【0020】
本発明はまた、少なくとも1つのアルコール溶媒による花の抽出によって得ることができることを特徴とする、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物にも関する。
【0021】
ツバキ属は、ヒマラヤ山脈から日本およびインドネシアまでの東アジアおよび東南アジアを起源とする、ツバキ科の顕花植物の属である。日本および中国では、ツバキ属の花は、それらの抗菌性、酸化防止、止血性、抗炎症性/鎮静、収斂性、胃保護、および強壮性の特性で認識されている。ゴマ油と混合して、それらは、熱傷の治療ならびに内出血および外出血および炎症の治療における軟膏として使用されてきた。植物学者らは、この属において異なる数の種を提示しており、これは100〜250種の間で変動するが、これらの種の中で、本出願人は、特に、それ自体、ドクターティンスレイ(Dr Tinsley)、ブロセリアンド(Broceliande)、またはファイアーフォールズ(Fire Falls)などの多くの異なる品種を含有するヤブツバキ(Camellia japonica)に非常に関心を持った。本発明は、特に品種ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)に関し、これは、同じ種の他の品種よりもPPARβ/δおよびHSP−27の発現の強い刺激を示した。この植物抽出物は、フランスの南西で採取される。
【0022】
本発明において使用可能なヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、任意選択で水と混合されている、エタノール、メタノール、もしくはイソプロパノールなどの少なくとも1つの一価アルコールならびに/またはプロピレングリコールもしくはジプロピレングリコールなどの少なくとも1つのグリコールによるアルコール抽出によって得ることができる。抽出は、水およびアルコール以外の溶媒の非存在下において実行される。本発明に従って使用される溶媒は、好ましくは、たとえば96%(容量/容量)のエタノールである。
【0023】
一般に、抽出は、任意選択で粉砕された、新鮮なまたは乾燥した花に対して実行することができる。抽出は、約30分〜12時間、好ましくは1〜8時間の時間、たとえば室温〜100℃、有利には30〜70℃の範囲の温度で前述の溶媒の1つまたは複数中で花を浸すことによってまたは穏やかに撹拌することによって一般に実行される。次いで、溶液は、好ましくはろ過されて、植物の不溶性物質を除去する。適用可能な場合、溶媒がたとえばエタノール、メタノール、またはイソプロパノールなどの揮発性溶媒である場合、溶媒もまた除去される。
【0024】
溶媒/物質比(容量/重量で)は、たとえば、1:1から100:1の間、好ましくは3:1から30:1の間とすることができる。
【0025】
この抽出ステップは、植物抽出物の分野において通常のものであり、当業者は、当業者の一般知識に基づいて反応パラメーターを調節することができる。
【0026】
この抽出ステップの終わりに、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物が得られ、次いでこれを、特に、溶媒の存在下において活性炭によって、本発明の有利な態様に従って、脱色ステップにかけることができる。活性炭の重量は、好ましくは、抽出物の重量の0.5から50%の間である。特に、水、メタノール、エタノール、もしくはイソプロパノールなどのC〜C一価アルコール、プロピレングリコールもしくはジプロピレングリコールなどの極性有機溶媒、またはこの分野において通常用いられる任意の他の溶媒から選択される1つまたは複数の溶媒の使用が可能である。次いで、揮発性溶媒は、減圧で除去することができる。
【0027】
次いで、上記のように得られたヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、組成物の全重量に対して0.00001〜10重量%の割合で、好ましくは0.0001〜5重量%の割合で、より好ましくは0.001〜1重量%の割合で、さらにより好ましくは0.05〜0.1重量%の割合で、本発明に従って使用される前に、適した化粧用溶媒中に、特に、任意選択で水と混合されている一価アルコール、グリコール、またはグリセロール中に希釈することができる。
【0028】
ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、ヒト皮膚に潤いを与えるまたは乾燥からそれを保護するために、化粧用の目的のために本発明に従って使用される。それはまた、肌荒れ、赤み、つっぱり、ピリピリ感、およびかゆみを含む不快、明るさの損失または血色の悪い肌色、皮膚のしなやかさの損失、ならびにあかぎれを含むバリア機能の妨害に起因する皮膚の徴候と戦うために使用されてもよい。
【0029】
本発明に従って使用される組成物の水和作用は、特に、当業者によってよく知られている通常の技術に従ってコルネオメトリー(corneometry)によって測定することができる。
【0030】
好ましくは、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物を含有する本発明による組成物は、乾燥した、好ましくは病的でない皮膚に対して適用される。それは、顔、首、および任意選択で胸元(cleavage)の皮膚に対してまたは変形として体の任意の部分に対して有利に適用することができる。
【0031】
この抽出物を含有する組成物は、顔、首、および任意選択で胸元のすべてにまたはさらには体に、午前および/または午後に適用することができる。
【0032】
本発明に従って使用される組成物は、一般に、既に記載された抽出物に加えて、生理学的に許容される、好ましくは、化粧用に許容される媒体、すなわち、毒性、不適合性、不安定性、アレルギー応答の危険性を有さず、ヒト皮膚に接する使用に適しており、特に、使用者に許容されない不快(赤み、つっぱり、ピリピリ感など)の感覚を引き起こさない媒体を含む。
【0033】
この媒体は、一般に水および任意選択で、エタノールなどの他の溶媒を含有する。
【0034】
本発明に従って使用される組成物は、皮膚に対する局所適用に適している任意の形態であってよく、特に、任意選択でマイクロエマルションもしくはナノエマルションであり得る水中油型、油中水型、もしくは多層(W/O/WもしくはO/W/O)乳剤の形態であってよく、または水性分散剤、液剤、水性ゲル剤、もしくは散剤の形態であってよい。この組成物は、水中油型乳剤の形態であることが好ましい。
【0035】
この組成物は、好ましくは、顔および/または体の皮膚のケアまたは洗浄のための製品として使用され、特に、たとえばポンプ式スプレーボトル、エアロゾル、もしくはチューブ中に包装された、またはたとえばポット中に包装されたクリームとしての、流体、ゲル、もしくはムースの形態であってよい。変形として、この組成物は、化粧製品、特にファンデーションまたはルースパウダーもしくは圧縮成型された粉末の形態を有することができる。
【0036】
上記に記載されているヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物とは別に、本発明による組成物はまた、化粧用分野において通常のものである、少なくとも1つの添加剤、たとえば、ゲル化剤および/または増粘剤、界面活性剤またはコサーファクタント、液体脂肪または油、ろう、シリコーンエラストマー、日焼け止め剤、染料、艶消剤または増量剤、色素、リフティング剤(lifting agent)、防腐剤、金属イオン封鎖剤、香料、ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含むことができる。
【0037】
特に、本発明による組成物は、網羅的ではないが、以下の添加剤の1つまたは複数を含有することができる:
− たとえばアクリロイルメチルプロパンスルホン酸(AMP)ならびに/またはアクリルアミドおよび/もしくはアクリル酸および/もしくはアクリル酸の塩またはエステルの架橋または非架橋の親水性または両親媒性のホモポリマーならびにコポリマー、たとえばアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/VPコポリマーおよびアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートコポリマーなど、特に、Clariantの名称Aristoflex(登録商標)AVCおよびHMBで販売されているものまたは会社Noveonによって、商品名PEMULEN(登録商標)TR−1もしくはTR−2、Carbopol(登録商標)1382、Carbopol(登録商標)Ultrez20で販売されているアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、セルロース誘導体、植物性起源(アカシアゴムもしくはアラビアゴム、寒天、ガウア、イナゴマメ、アルギナート、カラギナン、ペクチン)または微生物起源(キサンタン、プルラン)のゴム、粘土(laponite)から選択される、水相をゲル化および/または増粘するための1つまたは複数の作用物質。前記ゲル化剤および/または増粘剤は、組成物の全重量に対して約0.01〜5重量%程度の含有量で組成物において存在することができる;
− 非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性かどうかに関わらず、1つまたは複数の界面活性剤、好ましくは乳化剤、特に、脂肪酸およびグリセロールのアルコキシ化(特にポリエトキシ化)エステル、脂肪酸およびソルビタンのアルコキシ化エステル、たとえば、名称Arlacel(登録商標)165の下で会社Croda Inc.によって売られている混合物PEG−100ステアレート/ステアリン酸グリセリルなどの、脂肪酸のアルコキシ化(エトキシ化および/またはプロポキシル化)エステル、ならびに脂肪酸およびスクロースステアレートなどのスクロースのエステルなどの、脂肪酸およびポリオールのエステル;脂肪族アルコールおよび糖のエーテル、特に、たとえば、それぞれの名称Plantaren(登録商標)2000およびPlantaren(登録商標)1200の下で会社Henkelによって売られているデシルグルコシドおよびラウリルグルコシドなどのアルキルポリグルコシド(APG)、たとえば、会社Seppicによって名称Montanov(登録商標)68の下で売られている、任意選択でセテアリールアルコールと混合されたセテアリールグルコシド、ならびにたとえばアラキジルおよびベヘニルアルコールの混合物の形態ならびに会社Seppicによって名称Montanov(登録商標)202の下で売られているアラキジルグルコシドの形態のアラキジルグルコシド;脂肪族アルコールおよびポリエチレングリコールのエーテル;ポリシロキサン修飾ポリエーテル;ベタインおよびその誘導体;ポリクアテルニウム;脂肪族アルコールのエトキシ化硫酸塩;スルホサクシネート;サルコシネート;アルキルおよびジアルキルホスフェートならびにそれらの塩;ならびに脂肪酸のセッケン。前記界面活性剤は、組成物の全重量に対して0.1〜8%、好ましくは0.5〜3重量%の程度の含有量で組成物において存在することができる;
− 長い炭素鎖(C14〜C20)を有する直鎖脂肪族アルコール、特にセチルおよびステアリルアルコールなどの、1つまたは複数のコサーファクタント、前記界面活性剤は、組成物の全重量に対して0.1〜5%、好ましくは0.5〜2重量%の割合で組成物において存在する;
− 室温で液体であり、一般に、揮発性または不揮発性の、炭化水素油、シリコーン油、直鎖油、環状油、または分岐油と呼ばれる、1つまたは複数の脂肪、たとえば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ポリアルキルシクロシロキサン(シクロメチコン)、およびポリアルキルフェニルシロキサン(フェニルジメチコン)などのシリコーン油;フッ化油、アルキルベンゾエート、およびポリイソブチレンなどの分岐炭化水素、イソドデカンなどの合成油;鉱油(パラフィン);植物油(スイートアーモンド油、マカダミア油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、または会社Unipexによって商品名Lipex(登録商標)Omega3/6の下で販売されている油などのナガミノアマナズナ(camelina sativa)油);脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸、または会社Innospecによって商品名Finsolv(登録商標)TNの下で販売されているC12〜C15アルコールのベンゾエートもしくは会社Alzo Inc.によって商品名Wickenol(登録商標)151の下で販売されているイソノニルイソノナノエート、オクチルパルミテート、イソプロピルラノレート、カプリン/カプリル酸のトリグリセリドを含むトリグリセリド、会社Cognisによって名称Cetiol(登録商標)CCの下で販売されているジカプリリルカーボネートなどのエステル;好ましくは、組成物の全重量に対して0.1〜約10%、好ましくは0.5〜5重量%の割合;
− オゾケライト、ポリエチレンワックス、みつろう、またはカルナウバろうなどの、1つまたは複数のろう(室温で固体であり、または実質的に固体であり、その融点が一般に35℃を超える化合物)、好ましくは、組成物の全重量に対して0.01〜約5%、好ましくは0.5〜5重量%の割合;
− 少なくとも1つの反応性基(特に水素またはビニル)を有し、少なくとも1つのアルキル(特にメチル)またはフェニル末端および/または側鎖基を有するポリシロキサンの、有機水素ポリシロキサンなどの有機シリコーンとの、触媒の存在下における、反応によって特に得られる1つまたは複数のシリコーンエラストマー、好ましくは、組成物の全重量に対して0.1〜約20%、好ましくは0.25〜15重量%の割合;
− 1つまたは複数の日焼け止め剤、特に、ジベンゾイルメタンの誘導体(特に、商品名Parsol(登録商標)1789の下でDSMによって売られているブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む)、ケイ皮酸の誘導体(特に、商品名Parsol(登録商標)MCXの下でDSMによって売られているエチルヘキシルメトキシシンナメートを含む)、サリチレート、パラアミノ安息香酸、β−β’−ジフェニルアクリレート、ベンゾフェノン、ベンジリデンショウノウの誘導体、フェニルベンゾイミダゾール、トリアジン、フェニルベンゾトリアゾール、およびアントラニル酸誘導体などの有機フィルター;または色素もしくはナノ色素の形態の鉱物酸化物ベースの、被覆されたまたは被覆されていない、特に、二酸化チタンまたは酸化亜鉛ベースの無機フィルター;好ましくは、組成物の全重量に対して0.1〜約30%、より好ましくは0.5〜20重量%の割合;
− たとえばポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーン、キノリンイエローの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タルトラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシンまたはキサントフィルの二ナトリウム塩などの1つまたは複数の水溶性染料、好ましくは、組成物の全重量に対して0.1〜約2重量%の割合;
− 1つまたは複数の増量剤、特に艶消剤の増量剤またはかすみ効果を有する増量剤、特に、ソフトフォーカス効果を有する粉末。
「増量剤」は、無色または白色で、鉱物または合成の、層状または非層状で、適用の際、組成物に粘りもしくは剛性および/または柔軟性、マットな外観、ならびに即時の均一性を与えるのに適している粒子を意味する。これらの増量剤は、特に、カモフラージュ効果またはぼかし効果によってしわを修正するまたはさらにマスクすることができる。
艶消剤は、艶消ポリマー(溶液中、分散液中、または粒子の形態の)および皮膚の光沢を低下させ、肌色をより一様にする無機粒子から選択することができる。
艶消剤は、特に、デンプン、タルク、セルロースマイクロビーズ、植物繊維、合成繊維、特にポリアミド(ナイロン12(会社Atochemによって売られているOrgasol(登録商標))などのNylon(登録商標)の粉末)、特にポリメタクリル酸メチルのアクリルコポリマーのマイクロスフェア(PMMA粒子または会社Seppicによって販売されているMicropearl(登録商標)M310粒子)、シリカ粉末、シリコーン樹脂粉末、アクリルポリマー粉末、ポリエチレン粉末、架橋エラストマー有機ポリシロキサン(特に、会社Shin−Etsuによって名称KSG(登録商標)の下で、会社Dow Corningによって名称Trefil(登録商標)、BY29(登録商標)、もしくはEPSX(登録商標)の下で、または会社Grant Industriesによって名称Gransil(登録商標)の下で売られている)、タルク/二酸化チタン/アルミナ/シリカの複合粉、ケイ酸塩粉末、およびそれらの混合物から選択することができる。
「ソフトフォーカス」効果を有する増量剤は、肌色に対して透明度およびぼかし効果を与えることができる。好ましくは、「ソフトフォーカス」増量剤は、30ミクロン以下、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒度を有する。これらの「ソフトフォーカス」増量剤は、任意の形状のものであることができ、特に球状または非球状であることができる。それらは、シリカおよびケイ酸塩の、特にアルミナの粉末、ポリメタクリル酸メチルタイプ型の粉末(PMMAまたはMicropearl(登録商標)M310)、タルク、シリカ/TiOまたはシリカ/酸化亜鉛複合体、ポリエチレン粉末、デンプン粉末、ポリアミド粉末、スチレン/アクリルコポリマーの粉末、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択することができる。
好ましくは、ソフトフォーカス効果を有するこれらの艶消剤または増量剤は、組成物の全重量に対して0.1〜約10重量%の割合で、好ましくは0.1〜約7重量%の割合で使用される。
− 1つまたは複数の色素、白色または有色で、真珠光沢のまたはそうではない、鉱物および/または有機の、被覆されたまたは被覆されていない、媒体に不溶性の、組成物を着色するおよび/または不透明にするための色素。それらは、通常のサイズまたはナノメートルとすることができる。本発明者らは、鉱物顔料の中でも、任意選択で表面処理された二酸化チタン、鉄またはクロムの酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム、およびアイアンブルー(ferric blue)を挙げることができる。有機顔料の中でも、本発明者らは、カーボンブラック、D&C型の色素、カルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウムベースのレーキを挙げることができる。真珠光沢顔料または真珠層は、光を反射する虹色の粒子である。これらの真珠光沢顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスにより覆われた雲母などの白色の真珠光沢顔料、酸化鉄を有するチタン雲母などの有色の真珠光沢顔料から選択することができる。色素は、表面処理を受けることができる。好ましくは、これらの色素は、組成物の全重量に対して0.1〜約10重量%の割合で、好ましくは、0.1〜約5重量%の割合で使用される。
− 1つまたは複数のリフティング剤。「リフティング剤」は、皮膚を伸ばし、この伸ばし効果によって、皮膚を滑らかにし、しわおよびラインの即時の減少またはさらに消失を引き起こすのに適している化合物を意味する。リフティング剤として、本発明者らは、天然起源のポリマー;混合ケイ酸塩;無機増量剤のコロイド粒子;合成ポリマー;およびそれらの混合物を挙げることができる。本発明者らは、特に、植物性または微生物起源のポリマー、外皮付属物に由来するポリマー、卵タンパク質、および天然起源のラテックスを挙げることができる。これらのポリマーは、好ましくは、親水性である。植物性起源のポリマーとして、本発明者らは、特に、タンパク質およびタンパク質の加水分解物ならびに特に、トウモロコシ、ライ麦、小麦、ソバ、ゴマ、スペルトコムギ、エンドウ、タピオカ、豆、レンズマメ、大豆、およびルピナスの抽出物などの穀物、豆科植物、および油性植物の抽出物を挙げることができる。本発明に従って使用することができる他のリフティング剤は、天然起源の多糖、特に、特にコメ、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、キャッサバ、エンドウから得られるデンプン;有利にはゲルの微粒子の水性分散液中のカラギナン、アカシアゴム(アラビアゴム)、アルギナート、寒天、ジェラン、キサンタンガム、セルロースポリマー、およびペクチン、セルロース誘導体、ならびにそれらの混合物である。合成ポリマーは、一般に、ラテックスもしくは偽ラテックス(pseudolatex)の形態であり、重縮合物型のものとすることができるまたはラジカル重合によって得ることができる。本発明者らは、特に、ポリエステル/ポリウレタンおよびポリエーテル/ポリウレタンの分散液を挙げることができる。好ましくは、リフティング剤は、PVP/ジメチコニルアクリレートおよび親水性ポリウレタンのコポリマーである(会社HydromerのAquamere(登録商標)S−2011(登録商標))。
− 1つまたは複数の防腐剤;
− EDTAの塩などの金属イオン封鎖剤;
− 香料;
− ならびにそれらの混合物。
【0038】
そのような添加剤の例は、特に、本発明による組成物におけるさらなる成分として使用に適している、スキンケア産業において通常用いられる多種多様の化粧用および医薬成分を限定せずに記載しているCTFA Dictionary(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association出版, 11th Edition, 2006)において言及されている。
【0039】
当業者は、これらの可能な添加剤のすべてから、組成物および組成物に添加するそれらの量の両方を、後者がその特性をすべて保持するように選択することができる。
【0040】
さらに、本発明による組成物は、任意選択で、ビタミン、酸化防止剤、水和剤、汚染防止剤、角質溶解薬、収斂剤、抗炎症薬、漂白剤、および微小循環を促進する作用物質を含む群から選択することができる様々な活性剤を含有することができる。
【0041】
ビタミンの例は、ビタミンA、B1、B2、B6、C、およびEならびにそれらの誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ならびにビオチンを含む。
【0042】
酸化防止剤の例は、アスコルビン酸ならびにパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、およびアスコルビルソルベートなどのその誘導体;トコフェロールならびに酢酸トコフェロール、トコフェロールソルベート、およびトコフェロールの他のエステルなどのその誘導体;BHTおよびBHA;没食子酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタホスフェート、フィチン酸のエステル、ならびにたとえば、会社BIOLANDESによって売られているBlue Malagasy Gingerなどのショウガ(Zingiber officinale)(ショウガ)の根からの、ヤハズツノマタ(Chondrus crispus)、イワベンケイ属、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、マテチャノキの葉、オーク材、ラペカユ(Rapet Kayu)の樹皮、サクラの葉、およびイランイランの葉の植物抽出物を含む。
【0043】
水和剤の例は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖、高分子量もしくは低分子量のヒアルロン酸、または会社Exymolによって売られている活性物質Epidermosil(登録商標)などのシラノール誘導体によって強化されたヒアルロン酸、ならびにムコイチン硫酸;カロン酸;アテロコラーゲン;コレステリル−12−ヒドロキシステアレート;胆汁塩、ピロリドンカルボン酸の塩および乳酸の塩などのNHF(天然水和因子)の主要な構成要素、尿素、システイン、およびセリンなどのアミノ酸アナログ;短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセロールPPG、NOFのLipidure HMおよびLipidure PBMなどの2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマーおよびコポリマー;アラントイン;商品名Wilbride(登録商標)S753の下で販売されているNOFのPEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセロールまたは商品名Lubragel(登録商標)MSの下で販売されているSedermaのグリセリルポリメタクリレートなどのグリセロール誘導体;会社Asahi Kasei Chemicalsによって商品名Aminocoat(登録商標)の下で販売されているトリメチルグリシン、ならびにヨーロッパグリ(Castanea sativa)の抽出物、加水分解されたヘーゼルナッツタンパク質、チューベローザ・ポリアンテス(Tuberosa polyanthes)の多糖、アルガニア・スピノサ(Argania spinosa)の核由来の油などの様々な植物抽出物および特に商品名Pearl Extract(登録商標)の下で会社Maruzen(Japan)によって販売されている、コンキオリン(conchyoline)を含有する真珠層の抽出物を含む。
【0044】
水和剤の他の例は、イナゴマメ果肉(carob pulp)の抽出物などの、マトリプターゼMT/SP1の発現を刺激する化合物およびCERTの、ARNT2の、またはFN3KもしくはFN3K RPの発現を刺激する作用物質;サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)のまたはカカオ(Theobroma cacao)の豆の殻の抽出物などの、たとえばβ−エンドルフィンの産生を刺激することによって直接または間接的にケラチノサイトの増殖または分化を増加させる作用物質、トウモロコシの水可溶性抽出物、バンバラマメ(Voandzeia subterranea)のペプチド抽出物、およびナイアシンアミド;表皮脂質ならびに直接表皮脂質の合成を増加させる、またはリン脂質、セラミド、ルピナス属タンパク質の加水分解物、およびジヒドロジャスモン酸の誘導体などの、セラミドへのグルコシルセラミドなどの、脂質前駆物質の脱グリコシルを調整する、ある種のβ−グルコシダーゼを刺激することによって表皮脂質の合成を増加させる作用物質を含む。
【0045】
汚染防止剤の例は、ワサビノキ(Moringa pterygosperma)の種子の抽出物(たとえばLSNのPurisoft(登録商標));カリテバター(karite butter)の抽出物(たとえばSilabのDetoxyl(登録商標))、アイビーの抽出物と、フィチン酸と、ヒマワリ種子の抽出物との混合物(たとえばSedermaのOsmopur(登録商標))を含む。
【0046】
角質溶解薬の例は、α−ヒドロキシ酸(たとえばグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、または酒石酸)およびβ−ヒドロキシ酸(たとえばサリチル酸)およびC12〜13乳酸アルキルなどのそのエステルおよびハイビスカス・サブドリファ(Hibiscus sabdriffa)の抽出物などのこれらのヒドロキシ酸を含有する植物抽出物を含む。
【0047】
収斂剤の例は、ハマメリスの抽出物を含む。
【0048】
抗炎症薬の例は、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、硫黄酸化物およびその誘導体、コンドロイチン硫酸塩、グリチルリチン酸およびグリチルリチン酸塩などのその誘導体を含む。
【0049】
漂白剤の例は、アルブチンおよびその誘導体、フェルラ酸(BASFによって売られているCytovector(登録商標):水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロースなど)およびその誘導体、麹酸、レゾルシノール、リポ酸および特許出願WO2006134282において記載されているレスベラトロールジアセテート(resveratrol diacetate)のモノリポエートなどのその誘導体、エラグ酸、ロイコドーパクロムおよびその誘導体、ビタミンB3、リノール酸およびその誘導体、セラミドおよびそれらの相同体、特許出願WO2009010356において記載されているなどのペプチド、特許出願WO2006134282において記載されているバイオ前駆物質またはトラネキサム酸セチルの塩酸塩などのトラネキサム酸塩、特に商品名Licorice extract(登録商標)の下で会社Maruzenによって販売されているカンゾウの抽出物(カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)の抽出物)、アスコルビン酸塩、脂肪酸もしくはソルビン酸のアスコルビルエステル、ならびにアスコルビン酸の他の誘導体、たとえば、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびリン酸アスコルビルナトリウムなどのリン酸アスコルビルまたはたとえば、アスコルビル−2−グルコシド、2−O−アルファ−D−グルコピラノシルのL−アスコルビン酸エステル、もしくは6−O−ベータ−D−ガラクトピラノシルのL−アスコルビン酸エステルを含む、アスコルビン酸の糖エステルを含む、ビタミンCの化合物などの、酸化防止効果をも有する漂白剤を含む。このタイプの活性剤は、特に、商品名Ascorbyl glucoside(登録商標)の下で会社DKSHによって販売されている。
【0050】
微小循環を促進する作用物質の例は、ルピナス属(SilabのEclaline(登録商標)など)、ナギイカダ属、セイヨウトチノキ、アイビー、チョウセンニンジン、またはシナガワハギの抽出物、カフェイン、ニコチネートおよびその誘導体、CODIFによって売られているものなどのサンゴモ(Corallina officinalis)の藻類の抽出物;ならびにそれらの混合物を含む。皮膚の微小循環に対して作用する作用物質は、肌色の曇りを防止するならびに/または均一性および明るさを改善するために使用することができる。
【0051】
本発明に従って使用される組成物は、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物に加えて、エレミの抽出物などの、テンシン1の発現を刺激する作用物質;ツルハナモツヤクノキ(Butea frondosa)の抽出物などの、FN3Kおよび/またはFN3K RPの発現を刺激する作用物質;CERTまたはARNT2の発現を刺激する作用物質;増殖因子の産生を刺激する作用物質;抗糖化剤または脱糖化剤(deglycant);コラーゲンの合成を増加させるまたはその分解を防止する作用物質(抗コラゲナーゼ作用物質、特に、マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤)、特に、少なくとも1つのアシル化オリゴペプチド、特に商品名Matrixyl(登録商標)3000の下で会社SEDERMAによって売られているものなどの、コラーゲンIVおよび/またはヒアルロナンおよび/またはフィブロネクチンの合成を増加させる作用物質;エラスチンの合成を増加させるまたはその分解を防止する作用物質(抗エラスターゼ作用物質);会社Exsymolによって売られている活性物質Epidermosil(登録商標)(メチルシラントリオールと組み合わせられたヒアルロン酸)などの、グリコサミノグリカンもしくはプロテオグリカンの合成を増加させるまたはそれらの分解を防止する作用物質(抗プロテオグリカナーゼ作用物質);線維芽細胞によるインテグリンの合成を刺激する作用物質;線維芽細胞の増殖を増加させる作用物質;アルコール、脂肪族アルコールおよび脂肪酸、ならびにそれらのエステルまたはエーテル誘導体、ピロリドン、4−デシルオキサゾリジノン−2−オンなどの4−アルキル−オキサゾリジノン−2−オンなどの経皮吸収を容易にする作用物質;テルペン、精油、およびα−ヒドロキシ酸;ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性物質をさらに含むことができるが、このリストは網羅的ではない。
【0052】
ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の少なくとも1つの抽出物の、上記に記載される活性成分の1つまたは複数との組合せが、活性物質のこれらの組合せの効果を有利には1つの同一の配合において組み合わせ、したがって、最大の持続性の皮膚の水和を得ると共に、肌色の明るさおよび/または一様性を改善し、色が悪い肌色の外観を減少させることを可能にすることが本出願人に明らかになった。
【0053】
そのため、本発明による化粧用組成物は、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の少なくとも1つの抽出物ならびに水和剤、酸化防止剤、微小循環を促進する作用物質、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性物質を有利には含有する。
【0054】
特に、それは、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)の発酵抽出物;ショウガ(Zingiber officinale)(ショウガ)の根の抽出物;ヒアルロン酸およびその誘導体;イナゴマメ果肉の抽出物;ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性物質を含有することができる。
【0055】
本発明を、次に、以下の非限定的な実施例によって示す。
【実施例1】
【0056】
ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の抽出物の調製
1)アルコール抽出
500リットルのステンレス鋼リアクター中にヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花35kgを入れる。
【0057】
215lの96%エタノール(容量/容量)を添加する。
【0058】
65℃までリアクターを加熱し、6時間、この温度で保つ。
【0059】
次いで、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花を除去するために材料をろ過する。
【0060】
ろ液を収集する。
【0061】
次いで、真空下で回転蒸発装置において溶媒を蒸発させる。
【0062】
これにより、ジャポニカアルバプレナ(Japonica Alba Plena)の花の1.78kgの抽出物が生じる。
【0063】
この作業における収率は、5.1%である。
【0064】
2)抽出物の脱色
熱い96%エタノール(容量/容量)および活性炭を用いて抽出物を洗浄する。このために、1.78kgの抽出物を14lの96%エタノールおよび1.75kgの活性炭と混合する。
【0065】
室温で2時間力強く撹拌し、次いで、2時間、そのまま置いておく。ブフナー上での溶液のろ過の後に、第1のろ液を回収する。
【0066】
円錐形フィルターでこのろ液を再びろ過して、活性炭の最後の残留物を除去し、次いで、真空下で回転蒸発装置においてエタノールを蒸発させる。
【0067】
プロセスの全収率は、3.5%である。
【0068】
下記実施例2〜5において記載されているように皮膚の細胞に対して試験する前に、抽出物をグリセロール中で25%まで希釈する。
【実施例2】
【0069】
ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物を用いて処理したケラチノサイトに対するHSP32のmRNAの発現の刺激についての試験(RT−PCR)
プロトコール:
実施例1の抽出物の効果は、未処理試料と比べて、処理試料におけるHSP32のメッセンジャーRNAの発現を定量するために、RT−PCR(リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応)によって評価した。結果を、これらの試料における自己の遺伝子の発現と比べて、標準化した。
【0070】
結果は、処理試料における標的遺伝子(HSP32)の発現の増加または減少が何倍であるかによって表現する。
【0071】
調査した遺伝子のcDNA/mRNA配列は、Jonak C.ら(2005、Hum.Patol)の研究に従って得た。
− 標的遺伝子:HSP32(HO−1)
− 自己の遺伝子:GAPDH
【0072】
mRNAは、メーカーの推奨に従って、Qiagen RNeasyキット(QIAGEN)を使用して単離した。cDNAへの逆転写は、メーカーの推奨に従って、キットgene Amp RNA PCR(Applied Biosystems)によって実行した。
【0073】
新生児包皮に由来するケラチノサイト(Cascade Biologics、Invitrogen、CA)を6ウェルプレートに接種し、ケラチノサイト用の増殖培地(Epilife(登録商標)+EDGS、Cascade Biologics、Invitrogen、CA)において培養した。
【0074】
37℃でのストーブ中での24時間の培養の後に、コンフルエントな細胞を、PBS緩衝液(Invitrogen、CA)を用いて洗浄し、24時間、試験抽出物を含有する基礎特異的培地(Epilife(登録商標)、Cascade Biologics、Invitrogen、CA)と共にインキュベートした。抽出物の細胞傷害性を調査した後に、その活性を評価した。
【0075】
リアルタイムPCRによる測定は、SYBR Green I検出を用いて装置iCYCLER IQ(Biorad)を使用して実行した。すべての試験において、cDNAは、標準化プログラムを使用して増幅させた。それぞれの試料に、Supermixe IQ SYBR Green I、水、およびプライマー(ストック)をロードした;反応当たりのcDNAの最終量は、逆転写に使用した全RNAの75ngに相当した。
【0076】
標的遺伝子の発現の相対的な定量は、Pfafflの数理モデルを使用して実行した(Pfaffl, MW、Nucleic Acids Res. 29(9)、E45ページ、2001)。
【0077】
試験は、三通り培養した正常ヒトケラチノサイトに対して実行した。得られた結果は、3人の異なるドナー由来の細胞を使用して確認した。
【0078】
結果:
【0079】
【表1】

【0080】
0.05%で試験したヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、未処理対照と比べて、2.8倍のHSP32のmRNAの発現を刺激する。
【実施例3】
【0081】
ヤブツバキ(Camellia Japonica)の花の様々な抽出物を用いて処理したケラチノサイトに対するHSP27タンパク質の発現の刺激についての試験
プロトコール:
HSP27タンパク質の発現の刺激は、ツバキ属の花の様々な抽出物、すなわち、実施例1に従って得た抽出物ならびにすべて、実施例1において記載されているものと同一の抽出プロセスに従って得たヤブツバキドクターティンスレイ(Camellia japonica Dr Tinsley)、ヤブツバキブロセリアンド(Camellia japonica Broceliande)、およびヤブツバキファイアーフォールズ(Camellia japonica Fire Falls)の花の抽出物を用いて調査した。実験は、実施例2において記載されているものと同一の条件で培養したケラチノサイトの培養物に対して実行した。
【0082】
試験は、三通り培養した正常ヒトケラチノサイトに対して実行し、24時間、処理した。得られた結果は、2人の異なるドナー由来の細胞を使用して確認した。
【0083】
細胞培養物中のHSP27の濃度の定量的評価は、免疫学的キット試験DuoSet_IC(登録商標)(DYC1580−2、R&D Systems、MN、USA)を使用して、メーカーによって記載されているプロトコールに従って、ELISA法によって実行した。溶解した細胞は、96ウェルマイクロタイトレーションプレート上に配置した。次いで、それらを、ビオチン化抗HSP27モノクローナル抗体の溶液を用いて処理した。4℃での一晩のインキュベーションの後に、プレートを数回すすぎ、次いで、試験試料およびプロトコールにおいて記載されている他の試薬の存在下においてインキュベートした。検出は、マイクロプレートリーダーを使用して、450/540nm(ストレプトアビジンHRP方式)で実行し、結果は、曲線の4ロジスティックパラメーター(4−PL)を使用して計算した。
【0084】
結果:
【0085】
【表2】

【0086】
試験したヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、未処理対照と比べてHSP27のmRNAの発現を有意に刺激し、また、この刺激は、試験した濃度で、ヤブツバキ(Camellia japonica)の他の抽出物よりも強い。
【実施例4】
【0087】
ヤブツバキ(Camellia Japonica)の花の様々な抽出物を用いて処理されたケラチノサイトに対するタンパク質PPAR−β/δの発現の刺激についての試験
プロトコール:
タンパク質PPAR−β/δの発現の刺激は、ツバキ属の花の様々な抽出物、すなわち、実施例1に従って得た抽出物ならびにすべて、実施例1において記載されているものと同一の抽出プロセスに従って得たヤブツバキドクターティンスレイ(Camellia japonica Dr Tinsley)、ヤブツバキブロセリアンド(Camellia japonica Broceliande)、およびヤブツバキファイアーフォールズ(Camellia japonica Fire Falls)の花の抽出物を用いて調査した。実験は、実施例2において記載されているものと同一の条件で培養したケラチノサイトの培養物に対して実行した。
【0088】
試験は、三通り培養した正常ヒトケラチノサイトに対して実行した。得られた結果は、ツバキ属ファイアーフォールズ(Fire Falls)については3人のドナー由来の細胞を使用したことを除いて、2人の異なるドナー由来の細胞を使用して確認した。
【0089】
細胞培養物中のPPAR−β/δの濃度の定量的評価は、免疫酵素アッセイまたは特にウエスタンブロット解析などの従来の方法によって実行した。
【0090】
PPAR−β/δタンパク質は、micro−BCAタンパク質定量キット(Pierce、NY、USA)を用いる定量の後に、4〜12%ゲルSDS−PAGE(Invitrogen、CA、USA)上で電気泳動によって分離する。標準的なプロトコールに従ってPVDF膜(GE Healthcare、NJ、USA)上に移した後に、PPAR−β/δタンパク質は、4℃で一晩、抗PPAR−β/δ一次抗体(Cayman、MI、USA)と共にインキュベートする。次いで、第2のインキュベーションは、一般に室温で1時間一次抗体に対して特異的な二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG−HRPコンジュゲート;GE Healthcare)と共に行なう。膜上のPPAR−β/δの存在は、メーカー(Pierce、NY、USA)の使用説明書に従って、化学発光検出キットによって、免疫検出によって検出する。バンドは、Alphalnnotechイメージャー(San Leandro、CA、USA)によって定量する。
【0091】
結果:
【0092】
【表3】

【0093】
試験したヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物は、未処理対照と比べてPPAR−β/δの発現を有意に刺激し、また、この刺激は、試験した濃度で、ヤブツバキ(Camellia japonica)の他の抽出物よりもはるかに強い。
【実施例5】
【0094】
化粧用組成物(セラムO/W)
当業者は、以下の組成物を従来法で調製することができる。下記に示す量は、重量パーセントで表現する。大文字の成分は、INCI名に従って同定される。
【0095】
【表4】

【0096】
この組成物は、心地よさを改善し、肌色を均一にするために、特に、水分を失ったおよび/または環境の攻撃的な因子に曝露された皮膚に対して、午前および/または午後に、毎日適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の少なくとも1つの抽出物を生理学的に許容される媒体中に含有する化粧用組成物。
【請求項2】
前記抽出物が、任意選択で水と混合されている一価アルコールおよび/またはグリコールによるアルコール抽出によって得ることができることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出溶媒が、エタノールを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
水和剤、酸化防止剤、微小循環を促進する作用物質、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性物質をさらに含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性物質が、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)の発酵抽出物;ショウガ(Zingiber officinale)の根の抽出物;ヒアルロン酸およびその誘導体;イナゴマメ果肉の抽出物;ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ヒト皮膚に潤いを与えるおよび/または乾燥からヒト皮膚を保護するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物の化粧用の使用。
【請求項7】
前記組成物が、乾燥した病的でない皮膚に対して適用されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
少なくとも1つのアルコール溶媒による花の抽出によって得ることができることを特徴とする、ヤブツバキアルバプレナ(Camellia Japonica Alba Plena)の花の抽出物。
【請求項9】
任意選択で水と混合されている一価アルコールおよび/またはグリコールによるアルコール抽出によって得ることができることを特徴とする、請求項8に記載の抽出物。
【請求項10】
前記抽出溶媒が、エタノールを含むことを特徴とする、請求項9に記載の抽出物。

【公表番号】特表2013−516441(P2013−516441A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547499(P2012−547499)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050053
【国際公開番号】WO2011/083110
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508283406)シャネル パフュームズ ビューテ (23)
【Fターム(参考)】