皮膚の清浄化及び他の応用のための疑似胎脂組成物
天然の胎脂の水和、清浄化、及び他の特性を模する組成物及び前記組成物の製造方法。前記組成物は、天然の胎脂を模する水蒸気輸送及び蒸発水分損失特性、レオロジー、触覚、清浄化、並びに他の特性をもたらす水和性油中水型乳化粒子を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の胎脂を模した組成物及び前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの実施態様は合成胎脂組成物であって、脂質が実質的に生理学的脂質である連続脂質相と、組成物全体の約60重量%より多量の水を保持可能な水相とを有し、該組成物を経る水蒸気輸送が実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の範囲であり、該組成物からの蒸発水分損失の割合が、時間0から0.5時間までは1時間あたり組成物の−38%乃至1時間あたり組成物の0%、すなわち最初の0.5時間は上限約38%の水分損失であり、0.5時間から3時間までは1時間あたり組成物の−8%乃至1時間あたり組成物の0%、すなわち最初の0.5時間後の2.5時間に亘っては上限8%の水分損失である、組成物である。
【0003】
別の実施態様は、脂質相と水相とを有する合成胎脂組成物であって、前記脂質相は水和性油中水型乳化粒子を形成するための少なくとも一つの乳化剤を有する。前記乳化剤は、該乳化剤が実質的に水相中に溶解しないような親水性−親油性バランス(HLB)を有する。例えば、HLB値は約3乃至約6の範囲をとってよい。
【0004】
一つの実施態様において、合成胎脂組成物は水和性油中水型乳化粒子を含み、ラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミドIII、ワックス、カプリン/カプリルトリグリセリド、コレステロールサルフェートを含む脂質相;PEG30ジポリヒドロキシステアレート及びソルビタンセスキオレエートの乳化剤;及びメチルパラベン及び/またはプロピルパラベン、硫酸マグネシウム、グリセリン、及び水を含む水相を、天然の胎脂を模した水蒸気輸送、蒸発水分損失、触覚及びレオロジー特性をもたらすために十分な濃度で含む。
【0005】
別の実施態様において、合成胎脂組成物は、ラノリン、ステアリルアルコール、ワックス、鉱物油、及びワセリンを含む脂質相;セチルジメチコーンコポリオール及びAbil WE09(ポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート)乳化剤、及び水を有する水和性油中水型乳化粒子を含む。
【0006】
別の実施態様は、皮膚表面から汚れを除去するための合成胎脂の使用方法である。前記組成物を汚れた表面に適用した後、汚れ物質と共に除去する。該方法は早産児もしくは満期出産乳児、小児、成人、高齢の患者に使用して良く、該組成物は完全もしくは損傷表面、例えば創傷または潰瘍に使用して良い。該方法は石鹸及び/または界面活性剤を更に含む合成胎脂組成物を用いて利用して良い。
【0007】
別の実施態様は、誕生直後の新生児(満期もしくは早産)を、羊水、内因性胎脂、胎便、血液、及び他の液体を除去するための合成胎脂を含む組成物を用い、前記組成物の除去と共に完全もしくは部分的に清浄化する方法である。
【0008】
別の実施態様は、本質的に合成胎脂からなる組成物を、前記胎脂中に汚れ物質を乳化する条件下で適用した後、前記胎脂及び乳化した汚れ物質を除去することによる、汚れた皮膚表面の清浄化方法である。合成胎脂の量は、上限約16mg/cm2である。
【0009】
別の実施態様は、上限約16mg/cm2の厚さを有し、本質的に合成胎脂からなる無毒性フィルムを上皮細胞の層に適用して皮膚清浄化作用を付与することによる、皮膚の清浄化方法である。前記フィルムは、前記表面に直接的または間接的に適用して良く、例えばこれはウォッシュクロス、ワイプ、包帯、パッド等に適用しても良い。別の実施態様は、上限約16mg/cm2の厚さを有し、本質的に合成胎脂からなる無毒性フィルムを表皮層に適用した後に清浄化された組織から前記フィルムを除去することによる、上皮層の清浄化方法である。
【0010】
別の実施態様は、市販の清浄化製品に対して敏感な、もしくは敏感でありうる(例えばある種の市販の石鹸または清浄化剤にアレルギーのある)個人の皮膚表面の保護方法である。前記方法においては、本質的に合成胎脂からなる組成物をこうした個人の皮膚表面に、前記製品に皮膚表面をさらす前に上限約16mg/cm2の量で適用する。
【0011】
別の実施態様は、皮膚表面での汚れの凝集及び剥離をもたらす条件下にて合成胎脂及び少なくとも一つの石鹸または界面活性剤を汚れた表面に供給することによって皮膚表面からの汚れ物質の除去方法である。
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明、図面、及び実施例に関連していっそう理解されるであろう。
【0013】
本明細書中で合成胎脂とも呼称される無毒性疑似胎脂組成物は、疑似細胞の成分及び少なくとも一つの脂質の成分を含む。本発明の組成物は、天然の胎脂の水和、バリアー、レオロジー、触覚、及び他の特性を模する。その水和特性に関しては、天然の胎脂はその細胞成分に関連する水由来の親水性特性と、その脂質成分由来の疎水性特性との両方を示す。本発明の組成物は、水和状態においてはその内部(水)相中に組成物の少なくとも65重量%の水を保持する性能を有する、本明細書中では乳化粒子と呼称する水和乳化液滴によって、天然の胎脂の親水性特性を模する。本発明の組成物は、疑似細胞がその中に分散した、天然の胎脂中に存在する1つ以上の脂質のマトリックスによって天然の胎脂の疎水性特性を模する。ある実施態様においては、前記脂質は実質的に生理学的である。然るに本発明の組成物は、天然の胎脂を模する濃度で水を保持するかまたは保持可能であり、且つ天然の胎脂を模する割合で水蒸気を輸送する。
【0014】
本明細書中では、天然の胎脂とは、ここに各々の全体を参照のために取り込むこととする米国特許第5989577号、同6113932号、同6333041号;及び米国特許出願公報09/850844(現米国特許第6562358号);同10/241184;60/377430、及び60/439966;及びPCT出願公報PCT/US03/13612、現米国特許出願公報10/512933に開示されるように、新生児から得られたままの胎脂並びに、新生児から得られ、扱いやすくした胎脂を包含する。
【特許文献1】米国特許第5989577号
【特許文献2】米国特許第6113932号
【特許文献3】米国特許第6333041号
【特許文献4】米国特許出願公報09/850844(現米国特許第6562358号)
【特許文献5】米国特許出願公報10/241184
【特許文献6】米国特許出願公報60/377430
【特許文献7】米国特許出願公報60/439966
【特許文献8】PCT出願公報PCT/US03/13612
【特許文献9】米国特許出願公報10/512933
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の組成物においては、天然の胎脂の細胞成分は細胞の水和機能を果たす水和性乳化粒子によって代替されるが、これらの構造は、「疑似細胞」もしくは「合成細胞」と呼称して良い。前記「細胞」成分は、本明細書中では疑似細胞とも呼称され、本発明の組成物を適用しようとする表面を水和する。これは、細胞が天然の胎脂中で行うのと同様にゆっくりと水を放出すること及び水蒸気を輸送することによって行われる。小粒子の形態の疑似細胞は、脂質マトリックス中に混合される。脂質マトリックスは、天然の胎脂中に存在する市販の脂質を少なくとも一つ含む。
【0016】
それぞれが天然の胎脂中に見い出され、且つそれぞれが市販されている(例えばSigma製(St. Louis MO))、以下:コレステロールエステル類、セラミド類、トリグリセリド類、コレステロール、遊離脂肪酸類、リン脂質類、ワックスエステル類、スクアレン、ワックスジエステル類、及びコレステロールサルフェートの脂質のいずれかまたは全てを使用して良い。
【0017】
脂質相の組成は、最終組成物に所望される塗布特性及び粘度をもたらすために変化して良い。例えば、比較的に高いワックス含量は、比較的に低いワックス含量の場合よりも塗布性の低い、より粘性の組成物をもたらし、比較的に高い遊離脂肪酸及び/またはトリグリセリド含量は、比較的に低い遊離脂肪酸及び/またはトリグリセリド含量の場合よりも塗布がより容易な、粘性の低い組成物をもたらす。
【0018】
脂質マトリックス中の小粒子の形態である相安定油中水型エマルションが、天然の胎脂を模した組成物をもたらした。これは図1に図示されており、ここでは脂質マトリックス20中に液滴10が存在しており、液滴10はエマルションとして粒子30内に封入されている。合成胎脂組成物は実質的に天然の胎脂の特性を再現した。乳化粒子は、水輸送、浸透性、保護、水分損失、及び水の挙動に関する別の特性に関して天然の胎脂中の生物学的細胞の機能を果たした。エマルションにより、水は液滴として有効に、すなわち液滴として封入されて存在していた。
【0019】
乳化剤は一般的に界面活性剤であると見なされる。界面活性剤なる語が清浄化性能を意味しうる一方で、本発明の組成物の場合には親水性−親油性バランス(HLB)が乳化剤の性質を説明するために使用される。乳化剤のHLBは、当該製剤の特定のマトリックス中に保持した水を維持するように選択される。HLBが高すぎると、乳化剤は水中に溶解し、よって水を脂質マトリックス中の液滴として保持しないことになる。
【0020】
HLBは、非イオン性界面活性剤については0乃至20の任意のスケールで表され、ここではより大きな数が最も親水性の界面活性剤を示し、小さな数が最も疎水性の界面活性剤を示す。非イオン性界面活性剤のHLBは、界面活性剤中のエチレンオキシドのおよその重量を5で割ったものである。例えば、Spans(Tweens)のポリオキシエチレン誘導体は、約9.6乃至約16.7の範囲の比較的に高いHLB値を有する一方、ソルビタンエステル類(Spans)は約1.8乃至約8.6の範囲の比較的に低いHLBを有する。別の例としては、オレイン酸のHLBは1;グリセリルモノステアレート(Span 80)のHLBは3.8;ソルビタンモノオレエート(Span 20)のHLBは4.3;トリエタノールアミンオレエートのHLBは12.0;ポリオキシエチレンソルビタンのHLBは15;モノオレエート(Tween 80)ポリオキシエチレンソルビタンのHLBは16.7;モノラウレート(Tween 20)ナトリウムオレエートのHLBは18.0;ナトリウムラウリルサルフェートのHLBは40である。
【0021】
本発明の組成物においては、乳化剤のHLB値は4未満から約6までの範囲であった。一つの実施態様においては、HLBは3.8乃至6.0の範囲であった。一つの実施態様においては、HLBは約3.8であった。これらの乳化剤は、その全量の約65重量%よりも多量の水を含む高内部相(すなわち水相)系をもたらし、天然の胎脂を模した水分損失プロフィールをもたらした。
【0022】
一つの実施態様において、乳化剤はポリヒドロキシ炭化水素である。別の実施態様では、乳化剤は、非イオン性PEG−7水添ひまし油(Cremophore WO7(登録商標))(4重量%)、またはポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE09)(5重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤は、Cremophore WO7(登録商標)(0.8重量%)及びセチルジメチコーンコポリオール(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はセチルジメチコーンコポリオール(1重量%)及びAbil WE09(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はAbil WE09(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はPEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標)、Uniquema製、USA)(約1.5重量%)及びソルビタンセスキオレエート(Uniquema製)(約0.5重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−3−ジイソステアレート(Uniquema製, Gouda, NL)及びセチルジメチコーンコポリオールである。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−3−オレエート(Danisco A/S製, Copenhagen DK)である。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−4−イソステアレート(約2.5乃至約4重量%)(ISOLAN GI 34, Goldschmidt製, Mannheim, DE)である。別の実施態様では、乳化剤は共乳化剤としてのメチルグルコースイソステアレート(約2乃至約5重量%)(ISOLAN IS, Goldschmidt製)と共に使用される。
【0023】
一つの実施態様においては、乳化剤は、本発明の組成物が皮膚表面に適用された際の刺激を最小化するように選択された。当業者には既知の通り、「低刺激性」物質とは、皮膚刺激性試験において、且つ炎症を起こした皮膚または反応性の皮膚状態を有するかまたは皮膚刺激を起こしやすい個人において、反応性皮膚状態をほとんどもしくは全く刺激性を引き起こさない。したがって、スキンケア製品成分は、標準試験におけるその皮膚への効果によって分類される。一つの刺激性試験は、Human Patch Testである。評価しようとする物質を閉塞パッチの下に適用し、上限24時間に亘って放置する。適用後、皮膚状態を、目視スケールまたは皮膚バリア完全性及び機能の計器測定を使用する、乾燥および紅斑スコア等の定法によって評価する。低刺激物質は、比較的に低いPatch Testスコア、例えば0-4のスケール上で0.2-0.5を有し、且つ/または多数の健常な被験者において実質的に刺激を全く引き起こさない。本発明の組成物の一つの実施態様において、低刺激性の乳化剤は、安定な製品をもたらすが炎症を起こした皮膚の持ち主においては低レベルの刺激を引き起こす可能性のある乳化剤から選択された。
【0024】
天然の胎脂中に見いだされる生理学的脂質を脂質マトリックスを構成するための処方中に導入した。これらにはコレステロール及びスクアレン(いずれもSigma Aldrich製、St. Louis, MO)、セラミドIII(Cosmoferm製, NL)、コレステロールサルフェート(Acros Organics製, Leicesterchire, UK)、リノール酸(Henkel Corporation-Emery Group製, Cincinnati OH)、ラノリン(Amerchol製、Midland MI)、トリグリセリド(例えばカプリンカプリルトリグリセリド)(Henkel製)、及びワックス(たとえばミツロウUSP)が含まれた。別の生理学的に許容される脂質、たとえばPetrolatum(登録商標)(CVS製, Woonsocket, RI)及び/または鉱物油を含んでよい処方もある。
【0025】
本発明の疑似胎脂組成物は、その内部(水)相中に該組成物全重量の少なくとも65重量%より多量の水を保持したかまたは保持可能であった。付加的な成分はエマルションの保持に関与し、水和などをもたらしうる。例えば、水相は電解質を含んでよい。一つの実施態様において、水相は、水と結合し、合成細胞の水放出特性に関与し、且つ油中水型エマルションを安定化する硫酸マグネシウム(The PQ Corp製, Berwyn, PA)を含んでいた。別の実施態様において、水相はグリセリン(Cognis製,Cincinnati, OH)を含んでいた。グリセリンは水に対する高い親和性を有し、これにより水のゆっくりとした放出に関与し、さらに皮膚表面に水を結合させる。別の実施態様においては、水相はメチルパラベン及び/またはプロピルパラベン(Chatham ISP Sutton Laboratories製,Wayne NJ)等の保存料を含んでいた。
【0026】
一つの実施態様においては、本発明の組成物は液体形態の生理学的に許容される支持体構造に適用されてフィルムを形成する。これは支持体と接触すると合着してフィルムを形成する液滴として存在する。本明細書中では、フィルムは、温度依存特性を有して液体または固体状態である界面被覆として定義される。フィルム形成技術には、スプレー、押出、吹き付け、注入、蒸発、被覆、及び塗装が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
別の実施態様では、本発明の組成物の予め形成したフィルムを生理学的に許容される支持体に適用する。生理学的に許容される支持体は、好ましくは当業者に既知の標準的滅菌技術、たとえばガンマ線への暴露、オートクレーブ等による滅菌に耐えうるものである。支持体は、特段の組成または形状に限定されず、その使用によって滅菌されてもされていなくてもよく、また様々な形態をとりうる。一つの実施態様では、フィルムは皮膚細胞成熟の促進に使用され、またフィルター、膜、ビーズ、粒子等の構造に応用してよい。同様に、支持体構造は、物質の特段の状態に限定されず、固体、半固体、ゲルなどであってよい。一つの実施態様では、支持体は、ナイロン単繊維挿入仕上げ剤、たとえばN-terface(登録商標)パッド(Winfield Laboratories, Inc., Richardson TX)、Biobrane II(登録商標)(Sterling Drug Inc., New York NY)または適切な多孔性の環状ナイロンフィルター(Micron Separations Inc., Westboro MA)からなる。しかしながら、別の支持体物質もまた本発明の実施に使用してよい。
【0028】
別の実施態様において、本発明の組成物のフィルムは、創傷治癒及び/または組織修復の促進に使用される。これは治療を要する完全または損傷した皮膚部位、例えば創傷、表皮剥離、潰瘍、火傷領域、感染または炎症部位、疣等と直接的または間接的に接触する配置向けに様々な物質に応用してよい。支持体は物理的及び/または化学的作用剤に対して透過性であってよく、その目的及び包帯もしくは治療を要する領域の範囲によって、様々な形態をとってよい。フィルムは、様々な合成物、例えば熱可塑性物質フィルム、吹き付けフィルム、及び通気性フィルム等に、また様々な天然及び合成生地組成物、例えば織物、不織布、糸、縫い合わせた生地に適用してよい。本発明は、例としては皮膚に短期もしくは長期に亘って適用される包帯、テープ、ガーゼ、粘着製品等の創傷包帯剤及び被膜剤、及び造瘻ケア製品、病院内パッド、例えば失禁パッド、吸収パッド、及び検査用パッド、使い捨て及び布のおむつ、並びに女性用衛生製品、たとえば陰唇内装置等の、様々な製品において使用してよい。
【0029】
本発明の組成物は、皮膚成長、皮膚成熟、皮膚バリア形成、創傷治癒、皮膚柔軟性、及び組織修復を促進するために治療のために使用してよい。これは皮膚バリア形成、皮膚の水分保持、及び皮膚の柔軟性の促進のための皮膚保護剤として使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
一つの実施態様では、下記の一般合成胎脂組成物Aを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物A
脂質相
ラノリン 1.5-2
スクアレン 3.2-5.8
リノール酸 0.8-1.5
鉱物油 0-5
コレステロール 4-6
セラミドIII 0.7-1.5
ミツロウ 3-4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1-2
コレステロールサルフェート 0-3
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標)) 1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 2.5-5
水(脱塩) 70.5-75
【0031】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Bを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物B
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 3.5
リノール酸 0.8
コレステロール 6
セラミドIII 1.5
ミツロウ 4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1
コレステロールサルフェート 1
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 2.5
水(脱塩) 75
【0032】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Cを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物C
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 5
コレステロール 4
セラミドIII 1
ミツロウ 3
カプリル/カプリントリグリセリド 2
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0033】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Dを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物D
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 3.5
コレステロール 5.5
セラミドIII 1
ミツロウ 3
カプリル/カプリントリグリセリド 2
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0034】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Eを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物E
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 3
コレステロール 5.5
セラミドIII 1
ミツロウ 4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1.5
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0035】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Fを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物F
脂質相
ラノリン 2-3
ステアリルアルコール 3-4
ミツロウ 1-2
鉱物油 6-7
ワセリン 4-6
ポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE09) 2
セチルジメチコーンコポリオール 1
水相
プロピルパラベン 適量
塩化ナトリウム 0.7
グリセリン 7
水(脱塩) 70
【0036】
組成物Fの一つの実施態様では、特定の濃度は2.7重量%のラノリン、3.5重量%のステアリルアルコール、1.7重量%のミツロウ、6.4重量%の鉱物油、及び5重量%のワセリンである。
【0037】
ラノリンは、化学的にはワックスに分類され、33の高分子量アルコール(主としてステロール)と36の脂肪酸との、天然のエステル及びポリエステルの複合混合物である。これは、最低でも98%がエステルであり、その脂肪アルコール及び脂肪酸がおよそ50/50の比を有する。ラノリンの典型的な組成は、ステロール及びトリテルペンアルコールのエステル(35.4%)、脂肪族アルコールのエステル(23.7%)、ステロールとトリテルペン及び脂肪族アルコールとのモノヒドロキシエステル(20.0%)、ジ−及びポリ−ヒドロキシエステル及び遊離ジオール(7.9%)、遊離脂肪アルコール(5.6%)、遊離ステロール(4.1%)、遊離炭化水素(0.6%)、遊離脂肪酸(0.5%)、及び不明成分(2.2%)を含む。
【0038】
本発明の組成物の処方においては、組成物A−E中のスクアレン、Arlacel P135(登録商標)、及びソルビタンセスキオレエート以外の脂質相成分、及び組成物F中のAbil WE09(登録商標)及びセチルジメチコーンコポリオールを混合した。混合物を軟化して流動性となるまで水浴上で加熱した。混合物の温度は、約70℃乃至約75℃の範囲であった。脂質相の残りの成分を、混合物が完全に溶解するまで水浴上での加熱を継続しつつ添加した。混合物の温度は約70℃乃至約75℃の範囲であった。
【0039】
水相の成分を混合した。生じる混合物を、該混合物の温度が約70℃乃至約75℃の範囲となるまで水浴上で加熱した。
【0040】
水相は、約3乃至約5分間かけてゆっくりと、融解した脂質相に激しく撹拌しつつ加えた。水相が添加され、混合物が均質になった後に、該混合物をBioSpec Productsホモジェナイザー(Bartlesville OK)を15000回転(スピードを1乃至1.5に設定;設定範囲1乃至5は5000乃至30000回転を生じる)で粘性のエマルションを形成するために十分な約4-5分間に亘り使用して均質化した。混合物を放冷した後に周囲条件(すなわち約20℃乃至約22℃)下の密閉容器中に貯蔵した。
【0041】
この操作は本発明の組成物の10グラムを調製するために利用されており、然るに当業者には既知の通り、別の量については混合時間などのパラメータは相違して良い。
【0042】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに理解されるであろう。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
組成物中に経時的に保持される水の割合(%)で表しても良い、組成物からの経時的な蒸発水分損失を評価した。これは、30分間隔で(図2A)、3時間(180分)まで(図2B及び2C)の組成物中の水を測定し、本発明の組成物(組成物B、C、D、E、F)の実施態様、天然の胎脂、及び市販の作用剤Eucerin(登録商標)(Beiersdorf AG製, Hamburg Germany)(油中水型エマルション;成分は以下の通り:水、ワセリン、鉱物油、セレシン、ラノリンアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン)、及びCurel(登録商標)(Andrew Jergens Co., Cincinnati, OH)(水中油型エマルション;成分は以下の通り:水、グリセリン、ジステアリルジモニウムクロライド、ワセリン、イソプロピルパルミテート、セチルアルコール、ジメチコーン、香料、塩化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン)について水の割合(%)を算出することによって行わる。
【0044】
該組成物のそれぞれからの蒸発水分損失を評定するために、該組成物をアルミニウム鍋(直径14mm)計量皿上に薄いフィルム(3.28mg/cm2)として塗布し、即座にCahn C-31ミクロバランス(登録商標)(Cahn Instruments, Inc., Cerritos CA)で計量した。この初期重量をWintと表した。最初の30分間に亘って2分毎に、その後3時間(180分間)に亘っては30分毎に重量測定を行った。その後計量皿及び組成物を減圧デシケーター内に置き、該組成物中の水を全て除去した。水分含量が未知のサンプルについては、最長で7日間から10日間に亘って毎日、または一定の重量が得られるまで計量した。この最終重量をWendと表した。実験期間中の部屋の温度及び相対湿度に注意した。相対湿度が約41%乃至約45%を外れた場合は、実験は湿度制御チャンバー内で実行した。実験毎の環境湿度(部屋の条件)における差異を説明するために全ての実験においてコントロール物質を使用し、データの比較ができるようにした。WintとWendとの差異を、組成物中の総水分含量と呼称した。
【0045】
これらのデータを、組成物中の当初水分含量割合(%)を算出し、各時点での水分含量割合(%)を得るために使用した。これらのデータを、経時的に組成物中に残っている水分含量割合(%)についてプロットした。
【0046】
天然の胎脂が、その高い水分保持及び低率の水分損失においても、最良の水分保持をもたらした。天然の胎脂は0時点では約81重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、天然の胎脂は約78重量%の水分を含んでいた(約3重量%の水分損失)。180分の時点では天然の胎脂は約75重量%の水分を含んでいた(約6重量%の水分損失)。
【0047】
Curel(登録商標)は、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。180分の時点では、Curel(登録商標)は約14重量%の水分を含んでいた(約56重量%の水分損失)。
【0048】
Eucerin(登録商標)は、0時点では約39重量%の水分を含んでいた。180分の時点では、Eucerin (登録商標)は約36重量%の水分を含んでいた(約3重量%の水分損失)。
【0049】
組成物Bは、0時点では約73重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Bは約67重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約6重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Bは約59重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約14重量%の水分損失)。
【0050】
組成物Cは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Cは約50重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約20重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Cは約33重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約37重量%の水分損失)。
【0051】
組成物Dは、0時点では約68重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Dは約55重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約13重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Dは約37重量%の水分を含んでいた(約31重量%の水分損失)。
【0052】
組成物Eは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Eは約61重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約9重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Eは約48重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約22重量%の水分損失)。
【0053】
組成物Fは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Fは約57重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約13重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Fは約39重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約31重量%の水分損失)。
【0054】
最初の30分間の間(0乃至0.5時間)、これに続く2.5時間の間(0.5乃至3時間)の組成物からの蒸発水分損失の割合を、上記各組成物について下記の表にまとめる。
【0055】
【表1】
【0056】
前記割合は、180分(3時間)に亘って折々に収集されたデータから算出された。この計算を行って、図2A−Cに示されるように蒸発水分損失の曲線の形状を定量化した。
【0057】
このデータは、一つは0-0.5時間(0-30分間)について、今ひとつは0.5-3時間(30-180分間)について、回帰分析を行うことによって得た。前記割合を、該組成物中の水分(%)の変化/時間の変化として表される回帰直線の傾斜とした。当初の割合は最初の0.5時間に亘る変化であり、第2の割合は0.5-3時間での変化であった。従って、前記割合は水分変化(%)/時間(時)であった。前記割合は、水の損失を表すために負の表示となっている。
【0058】
天然の胎脂については、第1及び第2の割合がそれぞれ1時間毎の組成物中の水分は-5.2%、及び1時間当たりの組成物中の水分は-1.5%であった。Eucerin(登録商標)は胎脂と同様に非常に遅い蒸発水分損失を示すが、この後説明するようにずっと低い出発水分レベルを示した。
【0059】
本発明の組成物は、0-0.5時間の間の蒸発水分損失の割合が1時間当たり組成物中の水分約-38%から1時間当たり組成物中の水分0%までであり、0.5-3時間の間の蒸発水分損失の割合が1時間当たり組成物中の水分約-8%から0%までであった。一つの実施態様においては、0-0.5時間の間の蒸発水分損失の割合の上限は1時間当たり組成物中の水分約-1%であり、0.5-3時間の間の蒸発水分損失の割合の上限は1時間当たり組成物中の水分約-0.2%であった。
【0060】
組成物を経る水蒸気輸送(WVT)もまた本発明の組成物、並びに天然の胎脂、Curel(登録商標)、及びEucerin(登録商標)について評価した。以下に説明するASTM E96Eの変更、操作Bを、クリーム形態の組成物をフィルム形状に調製し、37-38%の相対湿度にて高度多孔性及び透過性の合成基体上に適用する際に使用した。浸透性基体のため、該組成物の透過特性を基体の干渉無しに測定することができた。これらのフィルムを経る水蒸気輸送を、以下の通り測定した。
【0061】
とりわけ、4gの蒸留水を六角形のポリスチレン使い捨て計量皿(長さ20mm×幅20mm×高さ10mm)に加えた。この皿をN-terface(登録商標)(Winfield Laboratories, Inc., Richardson TX)(50mm×50mm)を例とする実質的に高度透過性の基体によって完全に覆い、これを皿の縁に適用したシアノアクリレートでのり付けして防水の密閉を形成した。評価しようとする組成物を、スパチュラで基体の外部表面に25mg/cm2の濃度で均一に適用した。前記装置を既述の相対湿度の下に維持した。定常状態の条件下での試験を、2時間の平衡の後に行った。重量損失を時間0にて、2時間の時点にて、及び4時間の時点にて測定した。重量損失の割合、すなわち、水蒸気輸送(WVT)を、単位時間当たり、単位面積当たりの重量(g/m2/h)について、各組成物について算出した。実験期間中の部屋の温度及び相対湿度を記録した。
【0062】
2時間の時点でのWVTの結果を、以下の表に示す。
【表2】
【0063】
比較のために、皿のみ(基体無し)の水蒸気輸送は150±4g/m2/hであり、基体のみについては132±9 g/m2/hであった。胎脂を経る水蒸気輸送は、約19.2±4.9g/m2/hであった。油中水型エマルション(Eucerin(登録商標))を経る水蒸気輸送は2.6±0.2g/m2/hであった。水中油型エマルション(Curel(登録商標))を経る水蒸気輸送は72.0±3.0g/m2/hであった。組成物Bを経る水蒸気輸送は21.6±3.0g/m2/hであった。組成物Cを経る水蒸気輸送は20.0±0.4g/m2/hであった。組成物Dを経る水蒸気輸送は13.4±0.4g/m2/hであった。組成物Eを経る水蒸気輸送は13.2±0.8g/m2/hであった。組成物Fを経る水蒸気輸送は18.9±1.3g/m2/hであった。本発明の合成胎脂組成物を経る水蒸気輸送は、実質的に高度透過性のフィルム、例えばN-terface(登録商標)を経る水蒸気輸送割合と、実質的に高度閉塞性のフィルム、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))またはサランラップ(登録商標)を経る水蒸気輸送割合との間の範囲であった。一つの実施態様においては、本発明の合成胎脂組成物の水蒸気輸送は、実質的に高度透過性のフィルムを経る水蒸気輸送割合である約85%と、実質的に高度閉塞性のフィルムを経る水蒸気輸送割合である約5%との間であった。すなわち、合成胎脂フィルムを経る水蒸気輸送は、高度透過性フィルムを経る水蒸気輸送よりも少なくとも15%少なく、高度閉塞性フィルムを経る水蒸気輸送よりも少なくとも5%高い範囲内であった。
【0064】
全ての組成物は、室温(約20℃)にて少なくとも2ヶ月に亘って相分離を起こさず(すなわちこれらは相安定性)、水の離漿(サンプル表面における水滴の発生)を起こさず、安定であった。色の変化は無かった。前記組成物は経時的に内部相の水が徐々に蒸発するにしたがい薄くなった。該組成物が覆われていない場合は蒸発が促進された。
【0065】
凍結融解データを、組成物安定性の評価方法として得た。前記組成物を、-20±5℃にて凍結させ、+20±5℃にて融解させて、このサイクルを3回繰り返した。凍結/融解サイクル試験を、温度ストレス、例えば輸送、貯蔵等の間の相安定性を示すために行った。組成物を冷温(-20±5℃)に置いた後、暖かな温度(+20±5℃)の下に置き、その後冷温に戻した。冷温から暖かな温度へのサイクルを3回繰り返した。前記組成物は分離も粘度変化も起こさず、様々な気候条件下における貯蔵、輸送などに対して安定であると見なされた。
【0066】
本発明の組成物は、天然の胎脂と類似の触覚特性を有していた。触覚特性は触覚特性の評定の経験を積んだ個人により、例えば指の間で該組成物を擦り合わせる場合などの当業者には既知の方法及び該組成物を適用した皮膚の感触を利用して評定した。該組成物の感触をさらに特徴付けるために、その触覚特性を標準的水中油型及び油中水型エマルションの触覚特性と比較した(データ未表示)。本発明の組成物は、皮膚の表面にローション又はクリームを適用して皮膚表面に塗るために利用されるような僅かな力で塗布可能な、クリームの特性を有して濃くまた粘性であり、且つ皮膚にべたつく感触を残さなかった。
【0067】
前記組成物は、天然の胎脂に類似のレオロジー特性を有していた。これらは通常の重力の下では流動性ではなかった。取り扱い、塗布等の際に観察された特徴を、粘度の評価に利用した。粘度は内部相(水)の増大に伴って増大したが、これは内部相の増大及び内部相の各液滴の減少のために組成物の充填をもたらした。内部相(水相)を例えば約70重量%から約75重量%に増大させても、該組成物は既に粘性であるために粘度を変化させることにはならない。しかしながら内部相(水相)を約30重量%から約70重量%に増大させると、目視によっても確認しうる粘度の増大をもたらした。本発明の組成物の粘度は、内部相(水相)の量、外部相(脂質)の種類及び量に基づくものであった。
【0068】
本発明の組成物は、全般に中性のpHを有していた。該組成物は多量且つ均一な水含量(例えば約65重量%乃至約82重量%の水)を有していた。これは室温(約20℃乃至約22℃)にて高度に粘性であった。これは高度に水透過性であるが、非常にゆっくりと水を放出するのみである。本発明の組成物は、実質的に天然の胎脂に類似した粘性プロフィール、レオロジープロフィール、浸透性、触覚特性、透過性、及び水蒸気輸送特性を有する。
【0069】
外部適用された合成胎脂は、定量的に市販の皮膚清浄化剤と少なくとも同等であって、より良好でありうる有効性をもって皮膚から汚れを除去する。皮膚表面の合成胎脂は外的な清浄化剤、例えば石鹸及び/または界面活性剤等と相互作用し、その後、誕生時の外部皮膚洗浄剤としての胎脂の機能と一致する凝集及び剥離をもたらす。本明細書中で使用する石鹸とは、長鎖の脂肪酸、典型的にはC12乃至C18の脂肪酸のナトリウム塩の混合物である。本明細書中で使用する界面活性剤とは、界面活性物質である。石鹸と界面活性剤とのいずれもが、清浄化剤である。
【0070】
合成胎脂組成物Bの清浄化態様を、清浄化アッセイにおいて評価した。合成胎脂は使用時まで室温で貯蔵した。均一なブラックカーボン粒子の形態の汚れ物質(コピー機のトナー)10mgを健常な成人の前腕内側の皮膚(面積=16cm2)に適用した。幾つかの実施態様においては、予め汚した皮膚の写真画像を記録した。これに次いで約12.5mg/cm2の合成胎脂または選択された皮膚清浄化剤(Pond’s Cold Cream(登録商標)及びJohnson & Johnson Baby Wash(登録商標))の手動適用及び除去(乾燥した4インチ×4インチのガーゼパッドで前記領域を穏やかに拭う)を行った。汚れの除去を、清浄化した皮膚のデジタル画像のL-スケール分析を利用し、光強度の変化として定量化した。
【0071】
成人の前腕内側のデジタル画像を、10倍乃至700倍でデジタル画像を捉え、2つの異なる照明モードで作動可能なSkin Surface Analyzer (Moritex USA, Inc.,)を使用して30倍で記録した。一つのモードでは「en faces」光が供給され、正確な表面の細部が表示される。第二のモードでは、皮膚を黒色散乱光で照射することにより光源の偏光を生じたが、これは皮膚表面からの鏡面反射光が画像分析を妨げる場合に有用である。
【0072】
清浄化アッセイのために、前述の汚れ物質10mgを予め清浄化した健常な成人の前腕内側皮膚(面積=16cm2)に均一に適用した。これに次いで12.5mg/cm2の合成胎脂、12.5mg/cm2の照射及び単離した天然の胎脂、Pond’s Cold Cream(登録商標)、Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標))、水、またはAquaphorの手動適用及び除去を行った。全ての適用及び除去にはルーチン条件下で手の圧力を利用した。汚れの適用前後及び清浄化後にKodak DCS 420Cデジタルカメラを用いて高解像度デジタル写真を得た。
【0073】
清浄化の間に得たデジタル画像を、胎脂及び二種類の市販の局所清浄化調剤の有効性を評定するために分析した。汚れ除去を、二通りの方法で画像を処理することによって定量化した。一つの方法では、光強度の変化をAdobe Photoshop L-スケール分析を利用して定量化した。別の方法では、Matlab技術計算ソフトウェア(The Math Works, Natick MA)を使用してプログラムを書き、これにより元のデジタル画像をまず16の同サイズの領域に分け、次いでグレイスケールに変換した。閾値アルゴリズムを各領域に行って汚れ物質と皮膚のバックグラウンド特徴とを識別した。この方法により、汚れ物質で覆われた領域の割合(%)を算出するために使用される白黒の画像が得られた。
【0074】
図3は、合成胎脂の清浄化性能を示す。図3A、3B、及び3Cは汚れ前の、カーボンで汚した、及び合成胎脂で清浄化した、それぞれの皮膚を、上方からの光源を使用した写真に示す。
【0075】
皮膚表面上の汚れ物質の量を定量化するために、前腕内側のL-スコア値を得た。成人の前腕内側を、デジタル画像のAdobe Photoshop L-スケール分析を利用して評定した。図3を参照して汚れ前(基線)、汚れ物質が手動で皮膚に擦りつけられた後(汚れ済み)、及び清浄化後(清浄化済み)についてデータを収集した。清浄化処理は、Aquaphor、Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標)、Pond’s Cold Cream(登録商標)、または胎脂で行った。結果を、天然胎脂と比較して合成胎脂を用いた試験について図4A、4B、4C、4D、4E、及び4Fに示す。データは、試験した清浄化剤の全てが皮膚を基線L-スケールレベル近傍に戻すことを示した。
【0076】
図5は、清浄化の前後のL-スケールスコアにおける差異として図3の結果を定量化する。図5及び5Aのデータ(清浄化後のL値−汚す前のL値)。負の値は皮膚が幾分かの汚れ物質を保持していたことを示し、負の値が大きいほどより多量の汚れ物質が保持されていたことを示す。正の値は皮膚が清浄化操作の後により清浄であったことを示す。
【0077】
図5に示される通り、天然胎脂と比して合成胎脂を使用する試験(図4A−4F)における各処理についてのおよその値は、以下の通りであった:Aquaphor -2;合成胎脂 -5.8;Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標) +2.1;Pond’s Cold Cream(登録商標) -0.9;天然胎脂 -4;水 -1.1。
【0078】
図6A1−6A6は、既述の清浄化剤での処理前の、汚れた皮膚の標本画像及びその白黒の対応画像を示す。図6B1−6B6は清浄化剤での処理後のそれぞれの画像を示す。Matlab技術計算ソフトウェアを利用して元の画像を16の同サイズの領域に分けた。得られた画像をまずグレイスケールに変換した後、閾値アルゴリズムをグレイスケール画像に行って汚れ物質と皮膚の内在性形状特徴とを識別した。この方法により、白黒画像が得られる。清浄化性能の比較を図6Cに図示する。
【0079】
合成胎脂についてのデータは、全ての清浄化剤が十分に性能を発揮し合成胎脂についての清浄化性能を示したことを示す。皮膚形成学的な量及び深さにおいて被験者間における差異のあること、汚れ物質の広がり及び汚れ保持に対する皮膚の親和性が毛穴サイズ及び皮膚表面の油性によって影響されること、さらに体毛及び高色素沈着の領域がMatlab及びLスコア結果に影響しうることが判明した。
【0080】
本発明の臨床結果の中には、皮膚清浄化物質としての合成胎脂のイン・ビトロ使用がある。出生前に、胎脂は肺表面活性物質の影響下で羊水中に分散する。この生理学的過程は、角質層の自己洗浄(角質剥離)に類似している。外部性浄化剤としての胎脂は、新生児の無菌でない環境への移行中の全期間またはこの期間前の最適な分娩室管理のために、この清浄化機能を利用する。胎脂の疎水性成分は疎水性汚れの除去を促進する。産湯のための外部清浄化剤の選択は、汚れ及び内在性胎脂の剥離のために調整されるが、胎脂の剥離は所望により部分的または完全である。
【0081】
本発明の別の変形または実施態様もまた上述の説明により当業者には明かであろう。例えば、疑似細胞成分は皮膚表面に作用剤を送達する媒体として利用されて抗感染に役立ち、ビタミンE等の抗酸化剤を皮膚に送達する媒体として利用されてもよい。別の例として、活性剤は、融解した脂質または水に(すなわち水和の前に)直接添加することによって、または該組成物の構造を形成した後に拡散によって構造中に入れ込むことも可能である。該組成物は別の皮膚清浄化剤、または別の成分、例えば皮膚軟化剤、保湿剤等を含んでも良い。従って、前述の実施態様は本発明の範囲の限定と解されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、脂質マトリックス宙に分散した疑似細胞の図示である。
【図2A】図2Aは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図2B】図2Bは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図2C】図2Cは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図3】図3は、汚れ前(図3A1及び図3A2)、汚れ物質適用後(図3B1及び図3B2)、及び合成胎脂適用後(図3C1及び図3C2)の前腕内側の皮膚のデジタル画像である。
【図4】図4は、汚れ前の皮膚表面(基線)と、汚れた後に水で処理した清浄化皮膚表面(図4A)、Aquaphorで処理した清浄化皮膚表面(図4B)、市販の清浄化剤で処理した清浄化皮膚表面(図4C、4D)、合成胎脂で処理した清浄化皮膚表面(図4E)、及び天然胎脂で処理した清浄化皮膚表面(図4F)とで汚れ物質の量を定量する柱状グラフである。
【図5】図5は、様々な処理による清浄化前及び後の、L−スケールスコアにおける差異のプロットである。
【図6A1】図6A1は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A2】図6A2は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A3】図6A3は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A4】図6A4は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A5】図6A5は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A6】図6A6は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B1】図6B1は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B2】図6B2は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B3】図6B3は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B4】図6B4は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B5】図6B5は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B6】図6B6は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6C】図6Cは、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の胎脂を模した組成物及び前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの実施態様は合成胎脂組成物であって、脂質が実質的に生理学的脂質である連続脂質相と、組成物全体の約60重量%より多量の水を保持可能な水相とを有し、該組成物を経る水蒸気輸送が実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の範囲であり、該組成物からの蒸発水分損失の割合が、時間0から0.5時間までは1時間あたり組成物の−38%乃至1時間あたり組成物の0%、すなわち最初の0.5時間は上限約38%の水分損失であり、0.5時間から3時間までは1時間あたり組成物の−8%乃至1時間あたり組成物の0%、すなわち最初の0.5時間後の2.5時間に亘っては上限8%の水分損失である、組成物である。
【0003】
別の実施態様は、脂質相と水相とを有する合成胎脂組成物であって、前記脂質相は水和性油中水型乳化粒子を形成するための少なくとも一つの乳化剤を有する。前記乳化剤は、該乳化剤が実質的に水相中に溶解しないような親水性−親油性バランス(HLB)を有する。例えば、HLB値は約3乃至約6の範囲をとってよい。
【0004】
一つの実施態様において、合成胎脂組成物は水和性油中水型乳化粒子を含み、ラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミドIII、ワックス、カプリン/カプリルトリグリセリド、コレステロールサルフェートを含む脂質相;PEG30ジポリヒドロキシステアレート及びソルビタンセスキオレエートの乳化剤;及びメチルパラベン及び/またはプロピルパラベン、硫酸マグネシウム、グリセリン、及び水を含む水相を、天然の胎脂を模した水蒸気輸送、蒸発水分損失、触覚及びレオロジー特性をもたらすために十分な濃度で含む。
【0005】
別の実施態様において、合成胎脂組成物は、ラノリン、ステアリルアルコール、ワックス、鉱物油、及びワセリンを含む脂質相;セチルジメチコーンコポリオール及びAbil WE09(ポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート)乳化剤、及び水を有する水和性油中水型乳化粒子を含む。
【0006】
別の実施態様は、皮膚表面から汚れを除去するための合成胎脂の使用方法である。前記組成物を汚れた表面に適用した後、汚れ物質と共に除去する。該方法は早産児もしくは満期出産乳児、小児、成人、高齢の患者に使用して良く、該組成物は完全もしくは損傷表面、例えば創傷または潰瘍に使用して良い。該方法は石鹸及び/または界面活性剤を更に含む合成胎脂組成物を用いて利用して良い。
【0007】
別の実施態様は、誕生直後の新生児(満期もしくは早産)を、羊水、内因性胎脂、胎便、血液、及び他の液体を除去するための合成胎脂を含む組成物を用い、前記組成物の除去と共に完全もしくは部分的に清浄化する方法である。
【0008】
別の実施態様は、本質的に合成胎脂からなる組成物を、前記胎脂中に汚れ物質を乳化する条件下で適用した後、前記胎脂及び乳化した汚れ物質を除去することによる、汚れた皮膚表面の清浄化方法である。合成胎脂の量は、上限約16mg/cm2である。
【0009】
別の実施態様は、上限約16mg/cm2の厚さを有し、本質的に合成胎脂からなる無毒性フィルムを上皮細胞の層に適用して皮膚清浄化作用を付与することによる、皮膚の清浄化方法である。前記フィルムは、前記表面に直接的または間接的に適用して良く、例えばこれはウォッシュクロス、ワイプ、包帯、パッド等に適用しても良い。別の実施態様は、上限約16mg/cm2の厚さを有し、本質的に合成胎脂からなる無毒性フィルムを表皮層に適用した後に清浄化された組織から前記フィルムを除去することによる、上皮層の清浄化方法である。
【0010】
別の実施態様は、市販の清浄化製品に対して敏感な、もしくは敏感でありうる(例えばある種の市販の石鹸または清浄化剤にアレルギーのある)個人の皮膚表面の保護方法である。前記方法においては、本質的に合成胎脂からなる組成物をこうした個人の皮膚表面に、前記製品に皮膚表面をさらす前に上限約16mg/cm2の量で適用する。
【0011】
別の実施態様は、皮膚表面での汚れの凝集及び剥離をもたらす条件下にて合成胎脂及び少なくとも一つの石鹸または界面活性剤を汚れた表面に供給することによって皮膚表面からの汚れ物質の除去方法である。
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明、図面、及び実施例に関連していっそう理解されるであろう。
【0013】
本明細書中で合成胎脂とも呼称される無毒性疑似胎脂組成物は、疑似細胞の成分及び少なくとも一つの脂質の成分を含む。本発明の組成物は、天然の胎脂の水和、バリアー、レオロジー、触覚、及び他の特性を模する。その水和特性に関しては、天然の胎脂はその細胞成分に関連する水由来の親水性特性と、その脂質成分由来の疎水性特性との両方を示す。本発明の組成物は、水和状態においてはその内部(水)相中に組成物の少なくとも65重量%の水を保持する性能を有する、本明細書中では乳化粒子と呼称する水和乳化液滴によって、天然の胎脂の親水性特性を模する。本発明の組成物は、疑似細胞がその中に分散した、天然の胎脂中に存在する1つ以上の脂質のマトリックスによって天然の胎脂の疎水性特性を模する。ある実施態様においては、前記脂質は実質的に生理学的である。然るに本発明の組成物は、天然の胎脂を模する濃度で水を保持するかまたは保持可能であり、且つ天然の胎脂を模する割合で水蒸気を輸送する。
【0014】
本明細書中では、天然の胎脂とは、ここに各々の全体を参照のために取り込むこととする米国特許第5989577号、同6113932号、同6333041号;及び米国特許出願公報09/850844(現米国特許第6562358号);同10/241184;60/377430、及び60/439966;及びPCT出願公報PCT/US03/13612、現米国特許出願公報10/512933に開示されるように、新生児から得られたままの胎脂並びに、新生児から得られ、扱いやすくした胎脂を包含する。
【特許文献1】米国特許第5989577号
【特許文献2】米国特許第6113932号
【特許文献3】米国特許第6333041号
【特許文献4】米国特許出願公報09/850844(現米国特許第6562358号)
【特許文献5】米国特許出願公報10/241184
【特許文献6】米国特許出願公報60/377430
【特許文献7】米国特許出願公報60/439966
【特許文献8】PCT出願公報PCT/US03/13612
【特許文献9】米国特許出願公報10/512933
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の組成物においては、天然の胎脂の細胞成分は細胞の水和機能を果たす水和性乳化粒子によって代替されるが、これらの構造は、「疑似細胞」もしくは「合成細胞」と呼称して良い。前記「細胞」成分は、本明細書中では疑似細胞とも呼称され、本発明の組成物を適用しようとする表面を水和する。これは、細胞が天然の胎脂中で行うのと同様にゆっくりと水を放出すること及び水蒸気を輸送することによって行われる。小粒子の形態の疑似細胞は、脂質マトリックス中に混合される。脂質マトリックスは、天然の胎脂中に存在する市販の脂質を少なくとも一つ含む。
【0016】
それぞれが天然の胎脂中に見い出され、且つそれぞれが市販されている(例えばSigma製(St. Louis MO))、以下:コレステロールエステル類、セラミド類、トリグリセリド類、コレステロール、遊離脂肪酸類、リン脂質類、ワックスエステル類、スクアレン、ワックスジエステル類、及びコレステロールサルフェートの脂質のいずれかまたは全てを使用して良い。
【0017】
脂質相の組成は、最終組成物に所望される塗布特性及び粘度をもたらすために変化して良い。例えば、比較的に高いワックス含量は、比較的に低いワックス含量の場合よりも塗布性の低い、より粘性の組成物をもたらし、比較的に高い遊離脂肪酸及び/またはトリグリセリド含量は、比較的に低い遊離脂肪酸及び/またはトリグリセリド含量の場合よりも塗布がより容易な、粘性の低い組成物をもたらす。
【0018】
脂質マトリックス中の小粒子の形態である相安定油中水型エマルションが、天然の胎脂を模した組成物をもたらした。これは図1に図示されており、ここでは脂質マトリックス20中に液滴10が存在しており、液滴10はエマルションとして粒子30内に封入されている。合成胎脂組成物は実質的に天然の胎脂の特性を再現した。乳化粒子は、水輸送、浸透性、保護、水分損失、及び水の挙動に関する別の特性に関して天然の胎脂中の生物学的細胞の機能を果たした。エマルションにより、水は液滴として有効に、すなわち液滴として封入されて存在していた。
【0019】
乳化剤は一般的に界面活性剤であると見なされる。界面活性剤なる語が清浄化性能を意味しうる一方で、本発明の組成物の場合には親水性−親油性バランス(HLB)が乳化剤の性質を説明するために使用される。乳化剤のHLBは、当該製剤の特定のマトリックス中に保持した水を維持するように選択される。HLBが高すぎると、乳化剤は水中に溶解し、よって水を脂質マトリックス中の液滴として保持しないことになる。
【0020】
HLBは、非イオン性界面活性剤については0乃至20の任意のスケールで表され、ここではより大きな数が最も親水性の界面活性剤を示し、小さな数が最も疎水性の界面活性剤を示す。非イオン性界面活性剤のHLBは、界面活性剤中のエチレンオキシドのおよその重量を5で割ったものである。例えば、Spans(Tweens)のポリオキシエチレン誘導体は、約9.6乃至約16.7の範囲の比較的に高いHLB値を有する一方、ソルビタンエステル類(Spans)は約1.8乃至約8.6の範囲の比較的に低いHLBを有する。別の例としては、オレイン酸のHLBは1;グリセリルモノステアレート(Span 80)のHLBは3.8;ソルビタンモノオレエート(Span 20)のHLBは4.3;トリエタノールアミンオレエートのHLBは12.0;ポリオキシエチレンソルビタンのHLBは15;モノオレエート(Tween 80)ポリオキシエチレンソルビタンのHLBは16.7;モノラウレート(Tween 20)ナトリウムオレエートのHLBは18.0;ナトリウムラウリルサルフェートのHLBは40である。
【0021】
本発明の組成物においては、乳化剤のHLB値は4未満から約6までの範囲であった。一つの実施態様においては、HLBは3.8乃至6.0の範囲であった。一つの実施態様においては、HLBは約3.8であった。これらの乳化剤は、その全量の約65重量%よりも多量の水を含む高内部相(すなわち水相)系をもたらし、天然の胎脂を模した水分損失プロフィールをもたらした。
【0022】
一つの実施態様において、乳化剤はポリヒドロキシ炭化水素である。別の実施態様では、乳化剤は、非イオン性PEG−7水添ひまし油(Cremophore WO7(登録商標))(4重量%)、またはポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE09)(5重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤は、Cremophore WO7(登録商標)(0.8重量%)及びセチルジメチコーンコポリオール(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はセチルジメチコーンコポリオール(1重量%)及びAbil WE09(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はAbil WE09(2重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はPEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標)、Uniquema製、USA)(約1.5重量%)及びソルビタンセスキオレエート(Uniquema製)(約0.5重量%)であった。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−3−ジイソステアレート(Uniquema製, Gouda, NL)及びセチルジメチコーンコポリオールである。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−3−オレエート(Danisco A/S製, Copenhagen DK)である。別の実施態様では、乳化剤はポリグリセリル−4−イソステアレート(約2.5乃至約4重量%)(ISOLAN GI 34, Goldschmidt製, Mannheim, DE)である。別の実施態様では、乳化剤は共乳化剤としてのメチルグルコースイソステアレート(約2乃至約5重量%)(ISOLAN IS, Goldschmidt製)と共に使用される。
【0023】
一つの実施態様においては、乳化剤は、本発明の組成物が皮膚表面に適用された際の刺激を最小化するように選択された。当業者には既知の通り、「低刺激性」物質とは、皮膚刺激性試験において、且つ炎症を起こした皮膚または反応性の皮膚状態を有するかまたは皮膚刺激を起こしやすい個人において、反応性皮膚状態をほとんどもしくは全く刺激性を引き起こさない。したがって、スキンケア製品成分は、標準試験におけるその皮膚への効果によって分類される。一つの刺激性試験は、Human Patch Testである。評価しようとする物質を閉塞パッチの下に適用し、上限24時間に亘って放置する。適用後、皮膚状態を、目視スケールまたは皮膚バリア完全性及び機能の計器測定を使用する、乾燥および紅斑スコア等の定法によって評価する。低刺激物質は、比較的に低いPatch Testスコア、例えば0-4のスケール上で0.2-0.5を有し、且つ/または多数の健常な被験者において実質的に刺激を全く引き起こさない。本発明の組成物の一つの実施態様において、低刺激性の乳化剤は、安定な製品をもたらすが炎症を起こした皮膚の持ち主においては低レベルの刺激を引き起こす可能性のある乳化剤から選択された。
【0024】
天然の胎脂中に見いだされる生理学的脂質を脂質マトリックスを構成するための処方中に導入した。これらにはコレステロール及びスクアレン(いずれもSigma Aldrich製、St. Louis, MO)、セラミドIII(Cosmoferm製, NL)、コレステロールサルフェート(Acros Organics製, Leicesterchire, UK)、リノール酸(Henkel Corporation-Emery Group製, Cincinnati OH)、ラノリン(Amerchol製、Midland MI)、トリグリセリド(例えばカプリンカプリルトリグリセリド)(Henkel製)、及びワックス(たとえばミツロウUSP)が含まれた。別の生理学的に許容される脂質、たとえばPetrolatum(登録商標)(CVS製, Woonsocket, RI)及び/または鉱物油を含んでよい処方もある。
【0025】
本発明の疑似胎脂組成物は、その内部(水)相中に該組成物全重量の少なくとも65重量%より多量の水を保持したかまたは保持可能であった。付加的な成分はエマルションの保持に関与し、水和などをもたらしうる。例えば、水相は電解質を含んでよい。一つの実施態様において、水相は、水と結合し、合成細胞の水放出特性に関与し、且つ油中水型エマルションを安定化する硫酸マグネシウム(The PQ Corp製, Berwyn, PA)を含んでいた。別の実施態様において、水相はグリセリン(Cognis製,Cincinnati, OH)を含んでいた。グリセリンは水に対する高い親和性を有し、これにより水のゆっくりとした放出に関与し、さらに皮膚表面に水を結合させる。別の実施態様においては、水相はメチルパラベン及び/またはプロピルパラベン(Chatham ISP Sutton Laboratories製,Wayne NJ)等の保存料を含んでいた。
【0026】
一つの実施態様においては、本発明の組成物は液体形態の生理学的に許容される支持体構造に適用されてフィルムを形成する。これは支持体と接触すると合着してフィルムを形成する液滴として存在する。本明細書中では、フィルムは、温度依存特性を有して液体または固体状態である界面被覆として定義される。フィルム形成技術には、スプレー、押出、吹き付け、注入、蒸発、被覆、及び塗装が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
別の実施態様では、本発明の組成物の予め形成したフィルムを生理学的に許容される支持体に適用する。生理学的に許容される支持体は、好ましくは当業者に既知の標準的滅菌技術、たとえばガンマ線への暴露、オートクレーブ等による滅菌に耐えうるものである。支持体は、特段の組成または形状に限定されず、その使用によって滅菌されてもされていなくてもよく、また様々な形態をとりうる。一つの実施態様では、フィルムは皮膚細胞成熟の促進に使用され、またフィルター、膜、ビーズ、粒子等の構造に応用してよい。同様に、支持体構造は、物質の特段の状態に限定されず、固体、半固体、ゲルなどであってよい。一つの実施態様では、支持体は、ナイロン単繊維挿入仕上げ剤、たとえばN-terface(登録商標)パッド(Winfield Laboratories, Inc., Richardson TX)、Biobrane II(登録商標)(Sterling Drug Inc., New York NY)または適切な多孔性の環状ナイロンフィルター(Micron Separations Inc., Westboro MA)からなる。しかしながら、別の支持体物質もまた本発明の実施に使用してよい。
【0028】
別の実施態様において、本発明の組成物のフィルムは、創傷治癒及び/または組織修復の促進に使用される。これは治療を要する完全または損傷した皮膚部位、例えば創傷、表皮剥離、潰瘍、火傷領域、感染または炎症部位、疣等と直接的または間接的に接触する配置向けに様々な物質に応用してよい。支持体は物理的及び/または化学的作用剤に対して透過性であってよく、その目的及び包帯もしくは治療を要する領域の範囲によって、様々な形態をとってよい。フィルムは、様々な合成物、例えば熱可塑性物質フィルム、吹き付けフィルム、及び通気性フィルム等に、また様々な天然及び合成生地組成物、例えば織物、不織布、糸、縫い合わせた生地に適用してよい。本発明は、例としては皮膚に短期もしくは長期に亘って適用される包帯、テープ、ガーゼ、粘着製品等の創傷包帯剤及び被膜剤、及び造瘻ケア製品、病院内パッド、例えば失禁パッド、吸収パッド、及び検査用パッド、使い捨て及び布のおむつ、並びに女性用衛生製品、たとえば陰唇内装置等の、様々な製品において使用してよい。
【0029】
本発明の組成物は、皮膚成長、皮膚成熟、皮膚バリア形成、創傷治癒、皮膚柔軟性、及び組織修復を促進するために治療のために使用してよい。これは皮膚バリア形成、皮膚の水分保持、及び皮膚の柔軟性の促進のための皮膚保護剤として使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
一つの実施態様では、下記の一般合成胎脂組成物Aを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物A
脂質相
ラノリン 1.5-2
スクアレン 3.2-5.8
リノール酸 0.8-1.5
鉱物油 0-5
コレステロール 4-6
セラミドIII 0.7-1.5
ミツロウ 3-4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1-2
コレステロールサルフェート 0-3
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標)) 1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 2.5-5
水(脱塩) 70.5-75
【0031】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Bを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物B
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 3.5
リノール酸 0.8
コレステロール 6
セラミドIII 1.5
ミツロウ 4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1
コレステロールサルフェート 1
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 2.5
水(脱塩) 75
【0032】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Cを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物C
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 5
コレステロール 4
セラミドIII 1
ミツロウ 3
カプリル/カプリントリグリセリド 2
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0033】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Dを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物D
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 3.5
コレステロール 5.5
セラミドIII 1
ミツロウ 3
カプリル/カプリントリグリセリド 2
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0034】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Eを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物E
脂質相
ラノリン 2
スクアレン 4
リノール酸 1
鉱物油 3
コレステロール 5.5
セラミドIII 1
ミツロウ 4.2
カプリル/カプリントリグリセリド 1.5
PEG30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P135(登録商標))1.5
ソルビタンセスキオレエート 0.5
水相
メチルパラベン、プロピルパラベン 適量
硫酸マグネシウム 0.5
グリセリン 5
水(脱塩) 70.5
【0035】
別の実施態様では、下記の合成胎脂組成物Fを使用した(各成分は重量%(合計100%)で表される)。
組成物F
脂質相
ラノリン 2-3
ステアリルアルコール 3-4
ミツロウ 1-2
鉱物油 6-7
ワセリン 4-6
ポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE09) 2
セチルジメチコーンコポリオール 1
水相
プロピルパラベン 適量
塩化ナトリウム 0.7
グリセリン 7
水(脱塩) 70
【0036】
組成物Fの一つの実施態様では、特定の濃度は2.7重量%のラノリン、3.5重量%のステアリルアルコール、1.7重量%のミツロウ、6.4重量%の鉱物油、及び5重量%のワセリンである。
【0037】
ラノリンは、化学的にはワックスに分類され、33の高分子量アルコール(主としてステロール)と36の脂肪酸との、天然のエステル及びポリエステルの複合混合物である。これは、最低でも98%がエステルであり、その脂肪アルコール及び脂肪酸がおよそ50/50の比を有する。ラノリンの典型的な組成は、ステロール及びトリテルペンアルコールのエステル(35.4%)、脂肪族アルコールのエステル(23.7%)、ステロールとトリテルペン及び脂肪族アルコールとのモノヒドロキシエステル(20.0%)、ジ−及びポリ−ヒドロキシエステル及び遊離ジオール(7.9%)、遊離脂肪アルコール(5.6%)、遊離ステロール(4.1%)、遊離炭化水素(0.6%)、遊離脂肪酸(0.5%)、及び不明成分(2.2%)を含む。
【0038】
本発明の組成物の処方においては、組成物A−E中のスクアレン、Arlacel P135(登録商標)、及びソルビタンセスキオレエート以外の脂質相成分、及び組成物F中のAbil WE09(登録商標)及びセチルジメチコーンコポリオールを混合した。混合物を軟化して流動性となるまで水浴上で加熱した。混合物の温度は、約70℃乃至約75℃の範囲であった。脂質相の残りの成分を、混合物が完全に溶解するまで水浴上での加熱を継続しつつ添加した。混合物の温度は約70℃乃至約75℃の範囲であった。
【0039】
水相の成分を混合した。生じる混合物を、該混合物の温度が約70℃乃至約75℃の範囲となるまで水浴上で加熱した。
【0040】
水相は、約3乃至約5分間かけてゆっくりと、融解した脂質相に激しく撹拌しつつ加えた。水相が添加され、混合物が均質になった後に、該混合物をBioSpec Productsホモジェナイザー(Bartlesville OK)を15000回転(スピードを1乃至1.5に設定;設定範囲1乃至5は5000乃至30000回転を生じる)で粘性のエマルションを形成するために十分な約4-5分間に亘り使用して均質化した。混合物を放冷した後に周囲条件(すなわち約20℃乃至約22℃)下の密閉容器中に貯蔵した。
【0041】
この操作は本発明の組成物の10グラムを調製するために利用されており、然るに当業者には既知の通り、別の量については混合時間などのパラメータは相違して良い。
【0042】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに理解されるであろう。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
組成物中に経時的に保持される水の割合(%)で表しても良い、組成物からの経時的な蒸発水分損失を評価した。これは、30分間隔で(図2A)、3時間(180分)まで(図2B及び2C)の組成物中の水を測定し、本発明の組成物(組成物B、C、D、E、F)の実施態様、天然の胎脂、及び市販の作用剤Eucerin(登録商標)(Beiersdorf AG製, Hamburg Germany)(油中水型エマルション;成分は以下の通り:水、ワセリン、鉱物油、セレシン、ラノリンアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン)、及びCurel(登録商標)(Andrew Jergens Co., Cincinnati, OH)(水中油型エマルション;成分は以下の通り:水、グリセリン、ジステアリルジモニウムクロライド、ワセリン、イソプロピルパルミテート、セチルアルコール、ジメチコーン、香料、塩化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン)について水の割合(%)を算出することによって行わる。
【0044】
該組成物のそれぞれからの蒸発水分損失を評定するために、該組成物をアルミニウム鍋(直径14mm)計量皿上に薄いフィルム(3.28mg/cm2)として塗布し、即座にCahn C-31ミクロバランス(登録商標)(Cahn Instruments, Inc., Cerritos CA)で計量した。この初期重量をWintと表した。最初の30分間に亘って2分毎に、その後3時間(180分間)に亘っては30分毎に重量測定を行った。その後計量皿及び組成物を減圧デシケーター内に置き、該組成物中の水を全て除去した。水分含量が未知のサンプルについては、最長で7日間から10日間に亘って毎日、または一定の重量が得られるまで計量した。この最終重量をWendと表した。実験期間中の部屋の温度及び相対湿度に注意した。相対湿度が約41%乃至約45%を外れた場合は、実験は湿度制御チャンバー内で実行した。実験毎の環境湿度(部屋の条件)における差異を説明するために全ての実験においてコントロール物質を使用し、データの比較ができるようにした。WintとWendとの差異を、組成物中の総水分含量と呼称した。
【0045】
これらのデータを、組成物中の当初水分含量割合(%)を算出し、各時点での水分含量割合(%)を得るために使用した。これらのデータを、経時的に組成物中に残っている水分含量割合(%)についてプロットした。
【0046】
天然の胎脂が、その高い水分保持及び低率の水分損失においても、最良の水分保持をもたらした。天然の胎脂は0時点では約81重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、天然の胎脂は約78重量%の水分を含んでいた(約3重量%の水分損失)。180分の時点では天然の胎脂は約75重量%の水分を含んでいた(約6重量%の水分損失)。
【0047】
Curel(登録商標)は、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。180分の時点では、Curel(登録商標)は約14重量%の水分を含んでいた(約56重量%の水分損失)。
【0048】
Eucerin(登録商標)は、0時点では約39重量%の水分を含んでいた。180分の時点では、Eucerin (登録商標)は約36重量%の水分を含んでいた(約3重量%の水分損失)。
【0049】
組成物Bは、0時点では約73重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Bは約67重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約6重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Bは約59重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約14重量%の水分損失)。
【0050】
組成物Cは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Cは約50重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約20重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Cは約33重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約37重量%の水分損失)。
【0051】
組成物Dは、0時点では約68重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Dは約55重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約13重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Dは約37重量%の水分を含んでいた(約31重量%の水分損失)。
【0052】
組成物Eは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Eは約61重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約9重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Eは約48重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約22重量%の水分損失)。
【0053】
組成物Fは、0時点では約70重量%の水分を含んでいた。30分の時点では、組成物Fは約57重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約13重量%の水分損失)。180分の時点では、組成物Fは約39重量%の水分を含んでいた(当初水分割合に基づいて算出して、約31重量%の水分損失)。
【0054】
最初の30分間の間(0乃至0.5時間)、これに続く2.5時間の間(0.5乃至3時間)の組成物からの蒸発水分損失の割合を、上記各組成物について下記の表にまとめる。
【0055】
【表1】
【0056】
前記割合は、180分(3時間)に亘って折々に収集されたデータから算出された。この計算を行って、図2A−Cに示されるように蒸発水分損失の曲線の形状を定量化した。
【0057】
このデータは、一つは0-0.5時間(0-30分間)について、今ひとつは0.5-3時間(30-180分間)について、回帰分析を行うことによって得た。前記割合を、該組成物中の水分(%)の変化/時間の変化として表される回帰直線の傾斜とした。当初の割合は最初の0.5時間に亘る変化であり、第2の割合は0.5-3時間での変化であった。従って、前記割合は水分変化(%)/時間(時)であった。前記割合は、水の損失を表すために負の表示となっている。
【0058】
天然の胎脂については、第1及び第2の割合がそれぞれ1時間毎の組成物中の水分は-5.2%、及び1時間当たりの組成物中の水分は-1.5%であった。Eucerin(登録商標)は胎脂と同様に非常に遅い蒸発水分損失を示すが、この後説明するようにずっと低い出発水分レベルを示した。
【0059】
本発明の組成物は、0-0.5時間の間の蒸発水分損失の割合が1時間当たり組成物中の水分約-38%から1時間当たり組成物中の水分0%までであり、0.5-3時間の間の蒸発水分損失の割合が1時間当たり組成物中の水分約-8%から0%までであった。一つの実施態様においては、0-0.5時間の間の蒸発水分損失の割合の上限は1時間当たり組成物中の水分約-1%であり、0.5-3時間の間の蒸発水分損失の割合の上限は1時間当たり組成物中の水分約-0.2%であった。
【0060】
組成物を経る水蒸気輸送(WVT)もまた本発明の組成物、並びに天然の胎脂、Curel(登録商標)、及びEucerin(登録商標)について評価した。以下に説明するASTM E96Eの変更、操作Bを、クリーム形態の組成物をフィルム形状に調製し、37-38%の相対湿度にて高度多孔性及び透過性の合成基体上に適用する際に使用した。浸透性基体のため、該組成物の透過特性を基体の干渉無しに測定することができた。これらのフィルムを経る水蒸気輸送を、以下の通り測定した。
【0061】
とりわけ、4gの蒸留水を六角形のポリスチレン使い捨て計量皿(長さ20mm×幅20mm×高さ10mm)に加えた。この皿をN-terface(登録商標)(Winfield Laboratories, Inc., Richardson TX)(50mm×50mm)を例とする実質的に高度透過性の基体によって完全に覆い、これを皿の縁に適用したシアノアクリレートでのり付けして防水の密閉を形成した。評価しようとする組成物を、スパチュラで基体の外部表面に25mg/cm2の濃度で均一に適用した。前記装置を既述の相対湿度の下に維持した。定常状態の条件下での試験を、2時間の平衡の後に行った。重量損失を時間0にて、2時間の時点にて、及び4時間の時点にて測定した。重量損失の割合、すなわち、水蒸気輸送(WVT)を、単位時間当たり、単位面積当たりの重量(g/m2/h)について、各組成物について算出した。実験期間中の部屋の温度及び相対湿度を記録した。
【0062】
2時間の時点でのWVTの結果を、以下の表に示す。
【表2】
【0063】
比較のために、皿のみ(基体無し)の水蒸気輸送は150±4g/m2/hであり、基体のみについては132±9 g/m2/hであった。胎脂を経る水蒸気輸送は、約19.2±4.9g/m2/hであった。油中水型エマルション(Eucerin(登録商標))を経る水蒸気輸送は2.6±0.2g/m2/hであった。水中油型エマルション(Curel(登録商標))を経る水蒸気輸送は72.0±3.0g/m2/hであった。組成物Bを経る水蒸気輸送は21.6±3.0g/m2/hであった。組成物Cを経る水蒸気輸送は20.0±0.4g/m2/hであった。組成物Dを経る水蒸気輸送は13.4±0.4g/m2/hであった。組成物Eを経る水蒸気輸送は13.2±0.8g/m2/hであった。組成物Fを経る水蒸気輸送は18.9±1.3g/m2/hであった。本発明の合成胎脂組成物を経る水蒸気輸送は、実質的に高度透過性のフィルム、例えばN-terface(登録商標)を経る水蒸気輸送割合と、実質的に高度閉塞性のフィルム、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))またはサランラップ(登録商標)を経る水蒸気輸送割合との間の範囲であった。一つの実施態様においては、本発明の合成胎脂組成物の水蒸気輸送は、実質的に高度透過性のフィルムを経る水蒸気輸送割合である約85%と、実質的に高度閉塞性のフィルムを経る水蒸気輸送割合である約5%との間であった。すなわち、合成胎脂フィルムを経る水蒸気輸送は、高度透過性フィルムを経る水蒸気輸送よりも少なくとも15%少なく、高度閉塞性フィルムを経る水蒸気輸送よりも少なくとも5%高い範囲内であった。
【0064】
全ての組成物は、室温(約20℃)にて少なくとも2ヶ月に亘って相分離を起こさず(すなわちこれらは相安定性)、水の離漿(サンプル表面における水滴の発生)を起こさず、安定であった。色の変化は無かった。前記組成物は経時的に内部相の水が徐々に蒸発するにしたがい薄くなった。該組成物が覆われていない場合は蒸発が促進された。
【0065】
凍結融解データを、組成物安定性の評価方法として得た。前記組成物を、-20±5℃にて凍結させ、+20±5℃にて融解させて、このサイクルを3回繰り返した。凍結/融解サイクル試験を、温度ストレス、例えば輸送、貯蔵等の間の相安定性を示すために行った。組成物を冷温(-20±5℃)に置いた後、暖かな温度(+20±5℃)の下に置き、その後冷温に戻した。冷温から暖かな温度へのサイクルを3回繰り返した。前記組成物は分離も粘度変化も起こさず、様々な気候条件下における貯蔵、輸送などに対して安定であると見なされた。
【0066】
本発明の組成物は、天然の胎脂と類似の触覚特性を有していた。触覚特性は触覚特性の評定の経験を積んだ個人により、例えば指の間で該組成物を擦り合わせる場合などの当業者には既知の方法及び該組成物を適用した皮膚の感触を利用して評定した。該組成物の感触をさらに特徴付けるために、その触覚特性を標準的水中油型及び油中水型エマルションの触覚特性と比較した(データ未表示)。本発明の組成物は、皮膚の表面にローション又はクリームを適用して皮膚表面に塗るために利用されるような僅かな力で塗布可能な、クリームの特性を有して濃くまた粘性であり、且つ皮膚にべたつく感触を残さなかった。
【0067】
前記組成物は、天然の胎脂に類似のレオロジー特性を有していた。これらは通常の重力の下では流動性ではなかった。取り扱い、塗布等の際に観察された特徴を、粘度の評価に利用した。粘度は内部相(水)の増大に伴って増大したが、これは内部相の増大及び内部相の各液滴の減少のために組成物の充填をもたらした。内部相(水相)を例えば約70重量%から約75重量%に増大させても、該組成物は既に粘性であるために粘度を変化させることにはならない。しかしながら内部相(水相)を約30重量%から約70重量%に増大させると、目視によっても確認しうる粘度の増大をもたらした。本発明の組成物の粘度は、内部相(水相)の量、外部相(脂質)の種類及び量に基づくものであった。
【0068】
本発明の組成物は、全般に中性のpHを有していた。該組成物は多量且つ均一な水含量(例えば約65重量%乃至約82重量%の水)を有していた。これは室温(約20℃乃至約22℃)にて高度に粘性であった。これは高度に水透過性であるが、非常にゆっくりと水を放出するのみである。本発明の組成物は、実質的に天然の胎脂に類似した粘性プロフィール、レオロジープロフィール、浸透性、触覚特性、透過性、及び水蒸気輸送特性を有する。
【0069】
外部適用された合成胎脂は、定量的に市販の皮膚清浄化剤と少なくとも同等であって、より良好でありうる有効性をもって皮膚から汚れを除去する。皮膚表面の合成胎脂は外的な清浄化剤、例えば石鹸及び/または界面活性剤等と相互作用し、その後、誕生時の外部皮膚洗浄剤としての胎脂の機能と一致する凝集及び剥離をもたらす。本明細書中で使用する石鹸とは、長鎖の脂肪酸、典型的にはC12乃至C18の脂肪酸のナトリウム塩の混合物である。本明細書中で使用する界面活性剤とは、界面活性物質である。石鹸と界面活性剤とのいずれもが、清浄化剤である。
【0070】
合成胎脂組成物Bの清浄化態様を、清浄化アッセイにおいて評価した。合成胎脂は使用時まで室温で貯蔵した。均一なブラックカーボン粒子の形態の汚れ物質(コピー機のトナー)10mgを健常な成人の前腕内側の皮膚(面積=16cm2)に適用した。幾つかの実施態様においては、予め汚した皮膚の写真画像を記録した。これに次いで約12.5mg/cm2の合成胎脂または選択された皮膚清浄化剤(Pond’s Cold Cream(登録商標)及びJohnson & Johnson Baby Wash(登録商標))の手動適用及び除去(乾燥した4インチ×4インチのガーゼパッドで前記領域を穏やかに拭う)を行った。汚れの除去を、清浄化した皮膚のデジタル画像のL-スケール分析を利用し、光強度の変化として定量化した。
【0071】
成人の前腕内側のデジタル画像を、10倍乃至700倍でデジタル画像を捉え、2つの異なる照明モードで作動可能なSkin Surface Analyzer (Moritex USA, Inc.,)を使用して30倍で記録した。一つのモードでは「en faces」光が供給され、正確な表面の細部が表示される。第二のモードでは、皮膚を黒色散乱光で照射することにより光源の偏光を生じたが、これは皮膚表面からの鏡面反射光が画像分析を妨げる場合に有用である。
【0072】
清浄化アッセイのために、前述の汚れ物質10mgを予め清浄化した健常な成人の前腕内側皮膚(面積=16cm2)に均一に適用した。これに次いで12.5mg/cm2の合成胎脂、12.5mg/cm2の照射及び単離した天然の胎脂、Pond’s Cold Cream(登録商標)、Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標))、水、またはAquaphorの手動適用及び除去を行った。全ての適用及び除去にはルーチン条件下で手の圧力を利用した。汚れの適用前後及び清浄化後にKodak DCS 420Cデジタルカメラを用いて高解像度デジタル写真を得た。
【0073】
清浄化の間に得たデジタル画像を、胎脂及び二種類の市販の局所清浄化調剤の有効性を評定するために分析した。汚れ除去を、二通りの方法で画像を処理することによって定量化した。一つの方法では、光強度の変化をAdobe Photoshop L-スケール分析を利用して定量化した。別の方法では、Matlab技術計算ソフトウェア(The Math Works, Natick MA)を使用してプログラムを書き、これにより元のデジタル画像をまず16の同サイズの領域に分け、次いでグレイスケールに変換した。閾値アルゴリズムを各領域に行って汚れ物質と皮膚のバックグラウンド特徴とを識別した。この方法により、汚れ物質で覆われた領域の割合(%)を算出するために使用される白黒の画像が得られた。
【0074】
図3は、合成胎脂の清浄化性能を示す。図3A、3B、及び3Cは汚れ前の、カーボンで汚した、及び合成胎脂で清浄化した、それぞれの皮膚を、上方からの光源を使用した写真に示す。
【0075】
皮膚表面上の汚れ物質の量を定量化するために、前腕内側のL-スコア値を得た。成人の前腕内側を、デジタル画像のAdobe Photoshop L-スケール分析を利用して評定した。図3を参照して汚れ前(基線)、汚れ物質が手動で皮膚に擦りつけられた後(汚れ済み)、及び清浄化後(清浄化済み)についてデータを収集した。清浄化処理は、Aquaphor、Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標)、Pond’s Cold Cream(登録商標)、または胎脂で行った。結果を、天然胎脂と比較して合成胎脂を用いた試験について図4A、4B、4C、4D、4E、及び4Fに示す。データは、試験した清浄化剤の全てが皮膚を基線L-スケールレベル近傍に戻すことを示した。
【0076】
図5は、清浄化の前後のL-スケールスコアにおける差異として図3の結果を定量化する。図5及び5Aのデータ(清浄化後のL値−汚す前のL値)。負の値は皮膚が幾分かの汚れ物質を保持していたことを示し、負の値が大きいほどより多量の汚れ物質が保持されていたことを示す。正の値は皮膚が清浄化操作の後により清浄であったことを示す。
【0077】
図5に示される通り、天然胎脂と比して合成胎脂を使用する試験(図4A−4F)における各処理についてのおよその値は、以下の通りであった:Aquaphor -2;合成胎脂 -5.8;Johnson & Johnson Baby Wash(登録商標) +2.1;Pond’s Cold Cream(登録商標) -0.9;天然胎脂 -4;水 -1.1。
【0078】
図6A1−6A6は、既述の清浄化剤での処理前の、汚れた皮膚の標本画像及びその白黒の対応画像を示す。図6B1−6B6は清浄化剤での処理後のそれぞれの画像を示す。Matlab技術計算ソフトウェアを利用して元の画像を16の同サイズの領域に分けた。得られた画像をまずグレイスケールに変換した後、閾値アルゴリズムをグレイスケール画像に行って汚れ物質と皮膚の内在性形状特徴とを識別した。この方法により、白黒画像が得られる。清浄化性能の比較を図6Cに図示する。
【0079】
合成胎脂についてのデータは、全ての清浄化剤が十分に性能を発揮し合成胎脂についての清浄化性能を示したことを示す。皮膚形成学的な量及び深さにおいて被験者間における差異のあること、汚れ物質の広がり及び汚れ保持に対する皮膚の親和性が毛穴サイズ及び皮膚表面の油性によって影響されること、さらに体毛及び高色素沈着の領域がMatlab及びLスコア結果に影響しうることが判明した。
【0080】
本発明の臨床結果の中には、皮膚清浄化物質としての合成胎脂のイン・ビトロ使用がある。出生前に、胎脂は肺表面活性物質の影響下で羊水中に分散する。この生理学的過程は、角質層の自己洗浄(角質剥離)に類似している。外部性浄化剤としての胎脂は、新生児の無菌でない環境への移行中の全期間またはこの期間前の最適な分娩室管理のために、この清浄化機能を利用する。胎脂の疎水性成分は疎水性汚れの除去を促進する。産湯のための外部清浄化剤の選択は、汚れ及び内在性胎脂の剥離のために調整されるが、胎脂の剥離は所望により部分的または完全である。
【0081】
本発明の別の変形または実施態様もまた上述の説明により当業者には明かであろう。例えば、疑似細胞成分は皮膚表面に作用剤を送達する媒体として利用されて抗感染に役立ち、ビタミンE等の抗酸化剤を皮膚に送達する媒体として利用されてもよい。別の例として、活性剤は、融解した脂質または水に(すなわち水和の前に)直接添加することによって、または該組成物の構造を形成した後に拡散によって構造中に入れ込むことも可能である。該組成物は別の皮膚清浄化剤、または別の成分、例えば皮膚軟化剤、保湿剤等を含んでも良い。従って、前述の実施態様は本発明の範囲の限定と解されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、脂質マトリックス宙に分散した疑似細胞の図示である。
【図2A】図2Aは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図2B】図2Bは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図2C】図2Cは、合成胎脂の実施態様の蒸発水分損失プロフィールを示す。
【図3】図3は、汚れ前(図3A1及び図3A2)、汚れ物質適用後(図3B1及び図3B2)、及び合成胎脂適用後(図3C1及び図3C2)の前腕内側の皮膚のデジタル画像である。
【図4】図4は、汚れ前の皮膚表面(基線)と、汚れた後に水で処理した清浄化皮膚表面(図4A)、Aquaphorで処理した清浄化皮膚表面(図4B)、市販の清浄化剤で処理した清浄化皮膚表面(図4C、4D)、合成胎脂で処理した清浄化皮膚表面(図4E)、及び天然胎脂で処理した清浄化皮膚表面(図4F)とで汚れ物質の量を定量する柱状グラフである。
【図5】図5は、様々な処理による清浄化前及び後の、L−スケールスコアにおける差異のプロットである。
【図6A1】図6A1は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A2】図6A2は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A3】図6A3は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A4】図6A4は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A5】図6A5は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6A6】図6A6は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B1】図6B1は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B2】図6B2は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B3】図6B3は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B4】図6B4は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B5】図6B5は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6B6】図6B6は、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【図6C】図6Cは、白黒の対応画像に変換された代表的なデジタル画像並びに、合成胎脂及び別の清浄化剤で処理した皮膚の図示結果である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に生理学的脂質からなる連続脂質相と前記脂質相中に分散した疑似細胞の水和性水相とを含む疑似胎脂組成物であって、
前記水和性水相は全組成物の約65重量%より多量の水を保持可能であり、
水和性フィルムの形態である該組成物は、変更ASTM E96E操作Bにより実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の透湿度を有し、さらに時間0から0.5時間までの蒸発水分損失が上限約38%であり、且つ0.5時間から3時間までの蒸発水分損失が上限約8%である、組成物。
【請求項2】
前記疑似細胞が、乳化粒子である、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記疑似細胞が、油中水型乳化粒子である、請求項1の組成物。
【請求項4】
油中水型乳化粒子をもたらす親水性−親油性バランス(HLB)を有する乳化剤を更に含む、請求項3の組成物。
【請求項5】
前記HLBが約3乃至約6の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項6】
前記HLBが約3.5乃至約6.0の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項7】
前記HLBが約3.8乃至約6.0の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項8】
前記乳化剤が、ポリヒドロキシハイドロカーボン類、非イオン性PEG−7水添ひまし油(Cremophore WO 07(登録商標))、ポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE 09)、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標))、ソルビタンセスキオレエート、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、ポリグリセリル−3−オレエート、及びポリグリセリル−4−イソステアレートからなる群より選択される、請求項4の組成物。
【請求項9】
共乳化剤を更に含む、請求項4の組成物。
【請求項10】
前記共乳化剤がメチルグルコースイソステアレートである、請求項9の組成物。
【請求項11】
前記脂質が、コレステロールエステル類、セラミド、トリグリセリド類、コレステロール、遊離脂肪酸類、リン脂質類、ワックスエステル類、スクアレン、ワックスジエステル類、またはコレステロールサルフェートの少なくとも一つを含む、請求項1の組成物。
【請求項12】
前記乳化剤が、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標))またはソルビタンセスキオレエートの少なくとも一つである、請求項4の組成物。
【請求項13】
前記水相が、全組成物の約65重量%より多量の水を保持する、請求項1の組成物。
【請求項14】
連続する脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含む合成胎脂組成物であって、前記脂質が、ラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミド、ワックス、トリグリセリドの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がソルビタンセスキオレエートまたはPEG30ジポリヒドロキシステアレートから選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、組成物。
【請求項15】
約1.5乃至約2重量%のラノリン、約3.2乃至約5.8重量%のスクアレン、約0.8乃至約1.5重量%のリノール酸、約4乃至約6重量%のコレステロール、約0.7乃至約1.5重量%のセラミドIII、約3乃至約4.2重量%のミツロウ、約1乃至約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項16】
約2重量%のラノリン、約3.5重量%のスクアレン、約0.8重量%のリノール酸、約6重量%のコレステロール、約1.5重量%のセラミドIII、約4.2重量%のミツロウ、約1重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、約0.5重量%のソルビタンセスキオレエート、及び約1重量%のコレステロールサルフェートを含む、請求項14の組成物。
【請求項17】
約0乃至約3%のコレステロールサルフェートを更に含む、請求項15の組成物。
【請求項18】
約0乃至約5重量%の鉱物油を更に含む、請求項15の組成物。
【請求項19】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約5重量%の鉱物油、約4重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約3重量%のミツロウ、約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項20】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約3.5重量%の鉱物油、約5.5重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約3重量%のミツロウ、約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項21】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約3重量%の鉱物油、約5.5重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約4.2重量%のミツロウ、約1.5重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項22】
前記水相が、硫酸マグネシウム、グリセリン、及びメチルパラベンまたはプロピルパラベンの少なくとも一つを含む、請求項14の組成物。
【請求項23】
約0.5重量%の硫酸マグネシウム及び約2.5乃至5重量%のグリセリンを含む、請求項22の組成物。
【請求項24】
連続する脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含む合成胎脂組成物であって、前記脂質が、ラノリン、ステアリルアルコール、ワックス、鉱物油、またはワセリンの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がセチルジメチコーンコポリオールまたはポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE 09)から選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、組成物。
【請求項25】
約2乃至約3重量%のラノリン、約3乃至約4重量%のステアリルアルコール、約1乃至約2重量%のワックス、約6乃至約7重量%の鉱物油、約4乃至約6重量%のワセリン、約2重量%のAbil WE 09、及び約1重量%のセチルジメチコーンコポリオールを含む、請求項24の組成物。
【請求項26】
約2.7重量%のラノリン、約3.5重量%のステアリルアルコール、約1.7重量%のワックス、約6.4重量%の鉱物油、約5重量%のワセリン、約2重量%のAbil WE 09、及び約1重量%のセチルジメチコーンコポリオールを含む、請求項24の組成物。
【請求項27】
前記水相が、グリセリン、塩化ナトリウム、及びメチルパラベンを更に含む、請求項24の組成物。
【請求項28】
汚れた皮膚表面に汚れ物質の除去のための有効量で合成胎脂組成物を適用する工程及び、その後皮膚表面から前記組成物及び汚れ物質を除去する工程を含む、汚れた皮膚表面から汚れ物質を除去するための個人の皮膚表面の処理方法であって、
前記合成胎脂組成物が本質的に生理学的脂質からなる連続脂質相と前記脂質相中に分散した疑似細胞の水和性水相とを含み、前記水和性水相は全組成物の約65重量%より多量の水を保持可能であり、
水和性フィルムの形態である該組成物は、変更ASTM E96E操作Bにより実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の透湿度を有し、さらに時間0から0.5時間までの蒸発水分損失が上限約38%であり、且つ0.5時間から3時間までの蒸発水分損失が上限約8%である、方法。
【請求項29】
前記疑似細胞が油中水型乳化粒子である、請求項28の方法。
【請求項30】
汚れた皮膚表面の清浄化方法であって、
天然の胎脂を模した合成胎脂組成物を汚れた皮膚表面に供給する工程を含み、
前記合成胎脂組成物が連続脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含み、
前記脂質がラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミドIII、ワックス、またはトリグリセリドの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がソルビタンセスキオレエートまたはPEG30ジポリヒドロキシステアレートから選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、方法。
【請求項31】
前記組成物が、約1.5乃至約2重量%のラノリン、約3.2乃至約5.8重量%のスクアレン、約0.8乃至約1.5重量%のリノール酸、約4乃至約6重量%のコレステロール、約0.7乃至約1.5重量%のセラミドIII、約3乃至約4.2重量%のミツロウ、約1乃至約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項30の方法。
【請求項1】
本質的に生理学的脂質からなる連続脂質相と前記脂質相中に分散した疑似細胞の水和性水相とを含む疑似胎脂組成物であって、
前記水和性水相は全組成物の約65重量%より多量の水を保持可能であり、
水和性フィルムの形態である該組成物は、変更ASTM E96E操作Bにより実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の透湿度を有し、さらに時間0から0.5時間までの蒸発水分損失が上限約38%であり、且つ0.5時間から3時間までの蒸発水分損失が上限約8%である、組成物。
【請求項2】
前記疑似細胞が、乳化粒子である、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記疑似細胞が、油中水型乳化粒子である、請求項1の組成物。
【請求項4】
油中水型乳化粒子をもたらす親水性−親油性バランス(HLB)を有する乳化剤を更に含む、請求項3の組成物。
【請求項5】
前記HLBが約3乃至約6の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項6】
前記HLBが約3.5乃至約6.0の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項7】
前記HLBが約3.8乃至約6.0の範囲である、請求項4の組成物。
【請求項8】
前記乳化剤が、ポリヒドロキシハイドロカーボン類、非イオン性PEG−7水添ひまし油(Cremophore WO 07(登録商標))、ポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE 09)、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標))、ソルビタンセスキオレエート、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、ポリグリセリル−3−オレエート、及びポリグリセリル−4−イソステアレートからなる群より選択される、請求項4の組成物。
【請求項9】
共乳化剤を更に含む、請求項4の組成物。
【請求項10】
前記共乳化剤がメチルグルコースイソステアレートである、請求項9の組成物。
【請求項11】
前記脂質が、コレステロールエステル類、セラミド、トリグリセリド類、コレステロール、遊離脂肪酸類、リン脂質類、ワックスエステル類、スクアレン、ワックスジエステル類、またはコレステロールサルフェートの少なくとも一つを含む、請求項1の組成物。
【請求項12】
前記乳化剤が、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135(登録商標))またはソルビタンセスキオレエートの少なくとも一つである、請求項4の組成物。
【請求項13】
前記水相が、全組成物の約65重量%より多量の水を保持する、請求項1の組成物。
【請求項14】
連続する脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含む合成胎脂組成物であって、前記脂質が、ラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミド、ワックス、トリグリセリドの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がソルビタンセスキオレエートまたはPEG30ジポリヒドロキシステアレートから選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、組成物。
【請求項15】
約1.5乃至約2重量%のラノリン、約3.2乃至約5.8重量%のスクアレン、約0.8乃至約1.5重量%のリノール酸、約4乃至約6重量%のコレステロール、約0.7乃至約1.5重量%のセラミドIII、約3乃至約4.2重量%のミツロウ、約1乃至約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項16】
約2重量%のラノリン、約3.5重量%のスクアレン、約0.8重量%のリノール酸、約6重量%のコレステロール、約1.5重量%のセラミドIII、約4.2重量%のミツロウ、約1重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、約0.5重量%のソルビタンセスキオレエート、及び約1重量%のコレステロールサルフェートを含む、請求項14の組成物。
【請求項17】
約0乃至約3%のコレステロールサルフェートを更に含む、請求項15の組成物。
【請求項18】
約0乃至約5重量%の鉱物油を更に含む、請求項15の組成物。
【請求項19】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約5重量%の鉱物油、約4重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約3重量%のミツロウ、約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項20】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約3.5重量%の鉱物油、約5.5重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約3重量%のミツロウ、約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項21】
約2重量%のラノリン、約4重量%のスクアレン、約1重量%のリノール酸、約3重量%の鉱物油、約5.5重量%のコレステロール、約1重量%のセラミドIII、約4.2重量%のミツロウ、約1.5重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項14の組成物。
【請求項22】
前記水相が、硫酸マグネシウム、グリセリン、及びメチルパラベンまたはプロピルパラベンの少なくとも一つを含む、請求項14の組成物。
【請求項23】
約0.5重量%の硫酸マグネシウム及び約2.5乃至5重量%のグリセリンを含む、請求項22の組成物。
【請求項24】
連続する脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含む合成胎脂組成物であって、前記脂質が、ラノリン、ステアリルアルコール、ワックス、鉱物油、またはワセリンの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がセチルジメチコーンコポリオールまたはポリグリセリル−4−イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート(Abil WE 09)から選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、組成物。
【請求項25】
約2乃至約3重量%のラノリン、約3乃至約4重量%のステアリルアルコール、約1乃至約2重量%のワックス、約6乃至約7重量%の鉱物油、約4乃至約6重量%のワセリン、約2重量%のAbil WE 09、及び約1重量%のセチルジメチコーンコポリオールを含む、請求項24の組成物。
【請求項26】
約2.7重量%のラノリン、約3.5重量%のステアリルアルコール、約1.7重量%のワックス、約6.4重量%の鉱物油、約5重量%のワセリン、約2重量%のAbil WE 09、及び約1重量%のセチルジメチコーンコポリオールを含む、請求項24の組成物。
【請求項27】
前記水相が、グリセリン、塩化ナトリウム、及びメチルパラベンを更に含む、請求項24の組成物。
【請求項28】
汚れた皮膚表面に汚れ物質の除去のための有効量で合成胎脂組成物を適用する工程及び、その後皮膚表面から前記組成物及び汚れ物質を除去する工程を含む、汚れた皮膚表面から汚れ物質を除去するための個人の皮膚表面の処理方法であって、
前記合成胎脂組成物が本質的に生理学的脂質からなる連続脂質相と前記脂質相中に分散した疑似細胞の水和性水相とを含み、前記水和性水相は全組成物の約65重量%より多量の水を保持可能であり、
水和性フィルムの形態である該組成物は、変更ASTM E96E操作Bにより実質的に高度閉塞性のフィルムを経る場合の約5%から実質的に高度透過性のフィルムを経る場合の約85%の透湿度を有し、さらに時間0から0.5時間までの蒸発水分損失が上限約38%であり、且つ0.5時間から3時間までの蒸発水分損失が上限約8%である、方法。
【請求項29】
前記疑似細胞が油中水型乳化粒子である、請求項28の方法。
【請求項30】
汚れた皮膚表面の清浄化方法であって、
天然の胎脂を模した合成胎脂組成物を汚れた皮膚表面に供給する工程を含み、
前記合成胎脂組成物が連続脂質相中に分散した水和性乳化粒子を含み、
前記脂質がラノリン、スクアレン、リノール酸、コレステロール、セラミドIII、ワックス、またはトリグリセリドの少なくとも一つから選択され、少なくとも一つの乳化剤がソルビタンセスキオレエートまたはPEG30ジポリヒドロキシステアレートから選択され、前記水和性乳化粒子が少なくとも65重量%の水を保持可能である、方法。
【請求項31】
前記組成物が、約1.5乃至約2重量%のラノリン、約3.2乃至約5.8重量%のスクアレン、約0.8乃至約1.5重量%のリノール酸、約4乃至約6重量%のコレステロール、約0.7乃至約1.5重量%のセラミドIII、約3乃至約4.2重量%のミツロウ、約1乃至約2重量%のカプリン/カプリルトリグリセリド、約1.5重量%のPEG30ジポリヒドロキシステアレート、及び約0.5重量%のソルビタンセスキオレエートを含む、請求項30の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A1】
【図3A2】
【図3B1】
【図3B2】
【図3C1】
【図3C2】
【図4】
【図5】
【図6A1】
【図6A2】
【図6A3】
【図6A4】
【図6A5】
【図6A6】
【図6B1】
【図6B2】
【図6B3】
【図6B4】
【図6B5】
【図6B6】
【図6C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A1】
【図3A2】
【図3B1】
【図3B2】
【図3C1】
【図3C2】
【図4】
【図5】
【図6A1】
【図6A2】
【図6A3】
【図6A4】
【図6A5】
【図6A6】
【図6B1】
【図6B2】
【図6B3】
【図6B4】
【図6B5】
【図6B6】
【図6C】
【公表番号】特表2008−527036(P2008−527036A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552100(P2007−552100)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/001839
【国際公開番号】WO2006/078245
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507243153)チルドレンズ・ホスピタル・メディカル・センター (1)
【出願人】(507243164)ユニバーシティ・オブ・シンシナティ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/001839
【国際公開番号】WO2006/078245
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507243153)チルドレンズ・ホスピタル・メディカル・センター (1)
【出願人】(507243164)ユニバーシティ・オブ・シンシナティ (1)
【Fターム(参考)】
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