説明

皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物

【課題】皮膚に対する付着性に優れ、皮膚への刺激性がなく、更に、簡便で非侵襲な皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物を提供する。
【解決手段】皮膜成形性を有する重合体と、この重合体を分散又は溶解可能な揮発性溶媒とを含有する液状組成物であって、皮膚に塗布すると、揮発性溶媒が揮発して、皮膚上に重合体からなる皮膜が形成される皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物を、皮膚に塗布などして皮膜を形成する。又は、皮膜形成性を有する水硬化性若しくは光硬化性の単量体又は重合体を含有する液状組成物であり、皮膚に塗布すると、大気中若しくは皮膚上の水分又は光によって硬化反応が生じ、皮膚上に皮膜が形成される皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物を、皮膚に塗布などして皮膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚上に皮膜を形性し、接触刺激による接触痛や動きに伴う皮膚の痛みを緩和する皮膜形成組成物に関する。より詳しくは、アロディニアや痛覚過敏などの慢性疼痛を緩和する皮膚皮膜材料に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が病院を訪れる理由で最も多いのが「痛み」である。「痛み」を伴う疾患は数多く存在しているが、現在、決定的な治療法が見つかっていないものもあり、その症状が慢性化する場合もある。このような患者の中には、触刺激などの本来は痛みを伴わない刺激を疼痛と感じる「アロディニア」や、通常痛みを感じる刺激によって誘発される反応(感覚)が、通常よりも(疼痛が)強くなる「痛覚過敏」などにより疼痛を感じる者もいる。
【0003】
また、疼痛は、外傷を含めた組織の障害や様々な疾患に伴う神経障害などの非常に多くの原因により発症し、維持されており、その特徴やメカニズムから侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、精神・心理学的要因による痛みなどに分類されている。例えば、前述した皮膚に出現するアロディニアや痛覚過敏を引き起こす原因疾患としては、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性精神障害、脊髄障害性疼痛症候群、複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome:CRPS)などが挙げられる。
【0004】
ここで、「帯状疱疹後神経痛」は、神経内に感染している水痘ウイルスがストレスなどをきっかけにして神経障害を引き起こし、痛みと同時に皮膚症状を出現させる急性の「帯状疱疹」の症状が、改善した後にも長く続く疼痛性疾患である。これは、発症年齢が高い程神経痛発症に移行することが多いとされ、しばしばアロディニアや痛覚過敏などの難治性の慢性的な痛みを発症させる。
【0005】
また、「CRPS」は、体性神経の損傷、骨・筋肉組織損傷、外傷、内臓疾患又は中枢神経系損傷後に発症するとされているが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することもあり、原因が不明な疾患である。このCPRSの患者の多くは、誘引となる外傷などよりも不釣り合いな強く焼け付くような自発痛と、発作痛を訴えることが多い。その発作痛には、アロディニアや痛覚過敏が含まれ、皮膚への触刺激などが誘引となり、強い疼痛を感じることが多い。
【0006】
これらの慢性疼痛の治療には、一般に、薬物療法が行われている。また、従来、HGF遺伝子を有効成分とするアロディニアの治療、改善、予防剤も提案されている(特許文献1参照)。更に、手術により、脳や脊髄の神経の近傍に電極を挿入する治療法もある。
【0007】
一方、従来、ポリマーの被膜を形性し、皮膚や粘膜の創傷や切り傷を保護するバンテージが提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2に記載の材料は、シロキサン含有ポリマーと、揮発性ポリジメチルシロキサン及び極性液体を含んでおり、使用者の患部に直接塗布することにより、水蒸気透過性がありかつ低刺激のバンテージを形性することができる。
【0008】
また、皮膚炎、乾癬及び湿疹などの皮膚病の患部に、コルチコステロイドを含むシアノアクリレートエステル組成物を塗布して、患部表面にポリマー状皮膜を形成することにより皮膚病を治療する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−45204号公報
【特許文献2】特表平4−501076号公報(特許第2918263号)
【特許文献3】特表2001−521914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した薬物を使用した慢性疼痛の治療には、副作用が伴うという問題点がある。例えば、アロディニアに用いられているオピオイド系薬剤の一種トラマドール(クリスピン)には、吐き気などの副作用がある。また、薬物療法では、鎮痛補助薬として、抗うつ薬、抗けいれん薬及び抗不整脈薬などが使用される場合があるが、例えば抗てんかん薬であるガバペンチンには、ふらつきや傾眠といった副作用がある。
【0011】
一方、従来、創傷、乾癬及び湿疹などのような明瞭な皮膚疾患に対しては、特許文献2に記載のバンテージのような皮膜成形性樹脂によって、患部を被覆又は保護する方法は知られているが、アロディニアや痛覚過敏などの疼痛に対する知見は得られていない。
【0012】
そこで、本発明は、皮膚に対する付着性に優れ、皮膚への刺激性がなく、更に、簡便で非侵襲な皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、前述した問題点を解決するため、鋭意実験検討を行った結果、特定の液状組成物を皮膚に塗布し、皮膚上に非液状(固体状)の皮膜を形成することにより、皮膚の痛みを緩和できることを見出し、本発明に至った。
【0014】
本発明に係る皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、皮膜成形性を有する重合体と、該重合体を分散又は溶解可能な揮発性溶媒と、を含有する液状組成物であって、皮膚に塗布すると、前記揮発性溶媒が揮発して、前記皮膚上に前記重合体からなる皮膜が形成されるものである。
組成物では、前記皮膜成形性を有する重合体の含有量を例えば1〜40質量%とし、前記揮発性溶媒の含有量を例えば60〜99質量%とすることができる。
また、前記皮膜成形性を有する重合体としては、例えば、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを重合したアクリルシリコーン系共重合体を使用することができる。
このアクリルシリコーン系共重合体は、例えば、下記化学式(A)により表される構造のシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との共重合体である。なお、下記化学式(1)におけるXはラジカル重合性基を、Yは2価の連結基を、mは10〜1,500の整数を表す。また、R〜Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。更に、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
【0015】
【化1】

【0016】
又は、前記アクリルシリコーン系共重合体は、例えば、複数のトリアルキルシロキサン基を備える構造のシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との共重合体でもよい。
【0017】
本発明に係る他の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、皮膜形成性を有する水硬化性若しくは光硬化性の単量体又は重合体を含有する液状組成物であり、皮膚に塗布すると、大気中若しくは皮膚上の水分又は光によって硬化反応が生じ、前記皮膚上に皮膜が形成されるものである。
【0018】
これらの皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物において、前記皮膜は、水に対する接触角を85°以上とすることができる。
また、前記皮膜は、動摩擦係数が0.01〜0.5であってもよい。
【0019】
ここで、本発明における「動摩擦係数は」、ASTM試験法D1894「プラスチックフィルムおよびシートの静的および動的摩擦係数」に基づいて測定した値であり、測定サンプルとNo.4仕上げに研磨した50gの304ステンレス鋼ソリとの間の動摩擦係数を測定したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、皮膜成形性を有する重合体と、この重合体を分散又は溶解可能な揮発性溶媒とを含有しており、皮膚に塗布すると、揮発性溶媒が揮発して皮膚上に皮膜が形成されるため、皮膚に対する付着性に優れ、皮膚への刺激性がなく、更に、簡便で非侵襲な皮膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】動摩擦係数の測定に用いたソリの外観斜視図を示す。
【図2】動摩擦係数の測定方法の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物(以下、単に組成物という場合もある。)について説明する。本実施形態の組成物は、少なくとも、皮膜成形性を有する重合体と、この重合体を分散又は溶解可能な揮発性溶媒とを含有する液状組成物である。また、本実施形態の組成物は、皮膚に塗布すると、揮発性溶媒が揮発して、皮膚上に皮膜成形性を有する重合体からなる固体状の皮膜が形成される。
【0024】
[組成物の構成]
(1)皮膜成形性を有する重合体
本実施形態の組成物に配合される皮膜成形性を有する重合体は、特に限定されるものではなく、分散又は溶解可能な揮発性溶媒が存在し、固体状の被膜を形成することができる高分子化合物であればよい。この皮膜成形性を有する重合体は、1種類を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
また、皮膜成形性を有する重合体の種類は、共に配合される揮発性溶媒との組合せに応じて、適宜選択すればよい。例えば、疎水性高分子化合物と親水性高分子化合物が挙げられるが、この場合、疎水性高分子化合物が好適に用いられる。また、本実施形態の組成物に配合される皮膜成形性は、非水溶性であることが好ましく、特に、後述する理由から、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを共重合したアクリルシリコーン共重合体、ニトロセルロース、シアノアクリレート系樹脂などが好適である。
【0026】
(1)−1 疎水性高分子化合物
本実施形態の組成物に使用される皮膜形成性を有する疎水性高分子化合物としては、形成される皮膜と水との接触角が65°以上のものが好ましく、更に好ましくは85°以上のものである。形成される皮膜の接触角が65°以上となる疎水性高分子化合物の例としては、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの共重合物若しくは混合物などが挙げられる。
【0027】
また、形成される皮膜の接触角が85°以上となる疎水性高分子化合物の例としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂及びこれらの樹脂と他の樹脂との共重合体が挙げられる。これらの疎水性高分子化合物の中でも、本実施形態の組成物に配合される皮膜形成性の重合体として好ましいものは、シリコーン系樹脂又はシリコーン系樹脂と他の樹脂との共重合体であり、特に好ましいものは、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とが重合したアクリルシリコーン系共重合体である。
【0028】
(1)−2 アクリルシリコーン系共重合体
アクリルシリコーン系共重合体は、皮膚への刺激を減少させるための皮膜の主成分として使用することができ、例えば、下記化学式(A)で表される構造のシロキサンモノマーと、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを共重合したものを使用することができる。ここで、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。また、同様に、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
【0029】
【化2】

【0030】
ここで、上記化学式(A)におけるXは、ラジカル重合性基であればよく、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、ビニルケトン基、ビニルアルキルシリル基などが挙げられる。これらのうち、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
【0031】
また、上記化学式(A)におけるYは、単結合又は2価の連結基であり、特に、アルキレン基、又は、1若しくは2以上の酸素原子で遮断される炭化水素鎖を有する直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素原子2〜10個の飽和炭化水素基であることが好ましい。その具体例としては、−CH−、−CHCH−、−(CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−CHCHOCHCH−、−CHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH(CH)−、−CHCHOCHCHOCHCH−などを挙げることができる。
【0032】
更に、R〜Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Rは、炭素数1〜20炭化水素基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はオクチル基である。
【0033】
更にまた、mは10〜1,500の整数であり、好ましくは20〜500の整数である。
【0034】
上記化学式(A)で表されるシロキサンモノマーの好ましい具体例としては、ポリ(ジメチルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(ジメチルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ポリ(ジメチルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(ジメチルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレート、ポリ(ジメチルシロキサニル)メチルプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(ジメチルシロキサニル)メチルプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メチルフェニルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(メチルフェニルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ポリ(メチルフェニルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(メチルフェニルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレート、ポリ(メチルフェニルシロキサニル)メチルプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(メチルフェニルシロキサニル)メチルプロピルエーテル(メタ)アクリレート、メチルポリシロキシプロピルメタクリル酸エステル、ジメチルポリシロキシプロピルビニルベンジルエーテル、ジメシルポリシロキシプロピルアクリルアミド、ジメチルポリシロキシプロピオン酸ビニルベンジレートなどを挙げることができる。
【0035】
これらシロキサンモノマーのうち、特に、ポリ(ジメチルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ω−ブチルポリ(ジメチルシロキサニル)メチル(メタ)アクリレート、ポリ(ジメチルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレート、ω―ブチルポリ(ジメチルシロキサニル)プロピル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
【0036】
上記化学式(A)で表されるシロキサンモノマーは、従来公知の方法、例えば、片末端(メタ)アクリレート置換クロロシラン化合物と、片末端水酸基置換ジメチルポリシロキサンとを常法に従い脱塩素反応させることにより得られる。また、市販品としては、信越化学社製のX−24−8201(重合度25)、X−22−174DX(重合度60)、X−22−2426(重合度150)、チッソ社製のサイラプレーンFM−0711(分子量1,000)、FM−0721(分子量5,000)、FM−0725(分子量10,000)などがある。
【0037】
これらのシロキサンモノマーは、数平均分子量が1,000〜120,000であることが好ましく、より好ましくは、2,000〜50,000である。これにより、分散安定性に優れ、かつ適度の粘度を有する組成物が得られる。
【0038】
なお、前述したシロキサンモノマーは、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、シロキサンモノマーは、例えば、本実施形態の組成物に配合される揮発性溶媒としてシリコーンオイルを使用する場合は、アクリルシリコーン系共重合体全体の1〜25質量%使用することが好ましく、より好ましくは2〜15質量%である。シロキサンモノマー量が25質量%を超えると、シリコンモノマーに由来するベタつきなどを生じるようになる。一方、シロキサンモノマー量が1質量%未満では、安定な分散液を得ることができない。
【0039】
一方、前述したシロキサンモノマーと共重合する(メタ)アクリル酸又はその誘導体としては、例えば(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。この(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルでも(メタ)アクリル酸アリールエステルでもよく、エステルのアルキル基部分又はアリル基部分に官能基を有していてもよい。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
【0041】
更に、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸又はその他ハーフエステル等のカルボキシ基含有不飽和単量体類、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)クリリエートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのオキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、燐酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ダイアセトンアクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボニル含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0042】
(メタ)アクリル酸のアミド誘導体の具体例としては、N−メトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸のニトリル誘導体の具体例としては、(メタ)アクリロニトリルを挙げることができる。
【0043】
これらの(メタ)アクリル酸又はその誘導体は、単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用することもできる。ただし、得られる単独重合体又は共重合体のガラス転移温度が、−30〜90℃、好ましくは−20〜60℃の範囲内になるようにすることが望ましい。これにより、皮膚への皮膜形成性が良好となると共に、膜強度が大きくなり、更に皮膚への付着性が優れたものとなる。
【0044】
共重合体のガラス転移点を前述した範囲にするためには、単量体の種類や組成を適宜選定すればよいが、共重合させる(メタ)アクリル酸誘導体を、例えば、アクリル酸誘導体5〜70質量%/メタクリル酸誘導体95〜30質量%の組成にすればよい。
【0045】
特に、エステル部分のアルキル基の炭素数が8以下であるアクリル酸アルキルモノマー(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルへキシルなど)と、エステル部分のアルキル基の炭素数が8以下であるメタクリル酸アルキルモノマー(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルへキシルなど)とを組み合わせて使用することが望ましい。
【0046】
更に、本実施形態の組成物においては、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の一部を、例えばα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体で置き換えることもできる。このα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体の具体例としては、クロトン酸等のモノカルボン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのポリカルボン酸、イタコン酸メチル、フマル酸エチル、マレイン酸ブチルなどのポリカルボン酸部分エステル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのポリカルボン酸完全エステルなどが挙げられる。
【0047】
なお、これらα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルでもα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アリールエステルでもよく、エステルのアルキル基部分又はアリル基部分に官能基を有していてもよい。
【0048】
本実施形態の組成物に配合されるアクリルシリコーン系共重合体は、上記化学式(2)で表されるシロキサンモノマー、(メタ)アクリル酸又はその誘導体に、これらと共重合可能なその他の単量体を共重合させてもよい。その単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステルなどが挙げられる。更に、架橋性の単量体を共重合してもよい。架橋性単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0049】
そして、本実施形態の組成物に配合されるアクリルシリコーン系共重合体は、シロキサンモノマーから誘導される単位と(メタ)アクリル酸誘導体から誘導される単位との比が、質量比(シロキサンモノマーから誘導される単位/(メタ)アクリル酸誘導体から誘導される単位)で、1/99〜25/75の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは、2/98〜15/85、更に好ましくは5/95〜10/90である。
【0050】
なお、シロキサンモノマーから誘導される単位の質量比が、1/100未満であると、得られる共重合体の撥水性や透湿性が低下すると共に、粘着力が高くなり過ぎて、皮膚保護膜と皮膚との粘着力が高くなり、結果的に皮膚の角質まで剥ぎ取ってしまう虞がある。また、揮発性溶媒に対する溶解性が低下し、安定した組成物が得られないことがある。
【0051】
一方、シロキサンモノマーから構成される単位の質量比が25/100を超えると、共重合体を塗布して得られる皮膜の透湿性が低下し、皮膚への違和感が高くなることがある。また、皮膚に対する粘着力が低下することもある。また、この場合、共重合体が揮発性溶媒に溶解してしまい、共重合体の粒状の組成物が得られないことがある。
【0052】
なお、本実施形態の組成物に配合されるアクリルシリコーン系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算値の質量平均分子量が、5,000〜50,0000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。これにより、皮膚に対する付着性に優れ、十分な皮膚保護性を有し、かつ、べたつき感がなく、皮膚の動きに対しても違和感を与えない優れた皮膜を形成することができる組成物が得られる。
【0053】
また、本実施形態の組成物に配合されるアクリルシリコーン系共重合体は、従来公知の方法で重合することができる。具体的には、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを、揮発性シリコーン油中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合させればよい。これにより、揮発性シリコーン油中に粒状体として分散した状態の共重合体を得ることができる。
【0054】
その際、ラジカル重合開始剤は、特に限定されてものではなく、公知の過酸化物、アゾ化合物などを使用することができる。その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これらラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー全量に対して、通常、0.1〜3質量%である。
【0055】
また、重合温度は、通常、30〜180℃、好ましくは80〜150℃の範囲であり、重合時間は、通常、6〜10時間程度である。また、必要に応じて連鎖移動剤を用いて分子量を調整してもよい。連鎖移動剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、メルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メルカプトエタノール、エチルメルカプトアセテート、チオフェノール、2−ナフタレンチオール、ドデシルメルカプタンなどが挙げられる。
【0056】
本実施形態の組成物に配合される皮膜形成性のアクリルシリコーン系共重合体として好適なものとしては、上記化学式(A)で表されるアクリルシリコーン系共重合体以外に、複数のトリアルキルシロキシ基が配される構造のシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との共重合体が挙げられる。このような複数のトリアルキルシロキシ基をもつシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸の共重合体を使用すると、接触などの外的な刺激を軽減し、接触や皮膚の運動に伴う皮膚の痛みを軽減させることができることに加えて、更に、形成される皮膜のべたつきを軽減し、皮膜表面の滑り性を向上させることもできる。
【0057】
また、複数のトリアルキルシロキシ基をもつシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸の共重合体を使用することにより、汗や皮脂に対しての優れた耐久性を保ちつつ、サラサラと柔らかな感触を持続させることもできる。本実施形態の組成物に使用される複数のトリアルキルシロキシ基をもつシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸の共重合体としては、複数のトリメチルシロキシ基が側鎖部分に規則的に構成されデンドリマー構造をもつ化合物が好ましい。
【0058】
(1)−3 親水性高分子化合物
本実施形態の組成物を構成する皮膜形成性の重合体は、前述した疎水性高分子化合物の他、親水性高分子化合物からなる重合体を用いてもよく、その場合は、非水溶性の親水性高分子化合物を用いることが好ましい。皮膜形成性の重合体として親水性高分子化合物を用いる場合は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよく、前述した疎水性化合物と併用してもよい。皮膜形成性の重合体に用いる親水性高分子化合物としては、天然系の親水性高分子化合物、合成系又は半合成系の親水性高分子化合物が挙げられる。
【0059】
天然系の親水性高分子化合物としては、カラヤガム、寒天、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビンガム、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)などの植物系ポリマー、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ジェランガム、プルランなどの微生物系ポリマー、カゼイン、アルブミン、ゼラチンのなど動物系ポリマーが挙げられる。
【0060】
合成系又は半合成系の親水性高分子化合物としては、デンプン系ポリマー、セルロース系ポリマー、アルギン酸系ポリマー、ビニル系ポリマーなどが挙げられる。また、デンプン系ポリマーの具体例としては、デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどが挙げられる。更に、セルロース系ポリマーの具体例としては、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メトロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの塩化合物、酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0061】
アルギン酸系ポリマーの具体例としては、アルギン酸ナトリウムやアル銀酸カルシウムなどの塩化合物、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。また、ビニル系ポリマーの具体例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル、ビニル共重合体などが挙げられる。一方、皮膜形成性の非水溶性親水性高分子化合物の具体例としては、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン−アクリルニトリルグラフト共重合体、スターチグリコール酸ナトリウム、架橋デキストラン、架橋ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0062】
(2)揮発性溶媒
揮発性溶媒は、前述した皮膜形成性の重合体が溶解又は分散可能なものであればよく、例えばシリコーンオイル、低沸点の炭化水素化合物、アルコール、水などを使用することができる。皮膜形成性の重合体として、疎水性高分子化合物を用いる場合は、シリコーンオイル、アルコール、又はこれらの混合物が好ましい。皮膜形成性の重合体として、親水性高分子化合物を用いる場合は、水、アルコール、又はこれらの混合物が好ましい。
【0063】
皮膜形成性の重合体としてシリコーン系樹脂、又はシリコーン系樹脂と他の樹脂との共重合体(好ましくは、アクリルシリコーン系共重合体)を用いる場合は、揮発性溶媒は、皮膚刺激性がなく揮発後もべたつきがなく感触が良好な揮発性シリコーンオイルを使用することが好ましい。その具体例としては、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジブチルポリシロキサンなどの鎖状ジアルキルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサンなどの鎖状アルキルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、環状ジエチルポリシロキサン、環状ジブチルポリシロキサンなどの環状ジアルキルポリシロキサン、環状メチルフェニルポリシロキサン、環状エチルフェニルポリシロキサン、環状ブチルフェニルポリシロキサンなどの環状アルキルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0064】
また、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサンなどの変性ポリシロキサン類を使用することもできる。これらの揮発性シリコーンオイルは、用途に応じて単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前述した各シリコーンオイルのうち、安全性、乾燥性及びアクリルシリコーン共重合体の分散性の点から、鎖状ジメチルポリシロキサン及び環状ジメチルポリシロキサンを使用することが望ましい。この鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、例えば、へキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどが挙げられる。
【0066】
また、環状ジメチルポリシロキサンの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサンなどが挙げられる。
【0067】
また、揮発性溶媒として使用されるシリコーンオイルは、沸点が250℃以下で、かつ25℃における粘度が330mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、沸点が220℃以下、25℃の粘度が200mPa・s以下である。
【0068】
(3)皮膜形成性の重合体と揮発性溶媒と配合量
本実施形態の組成物は、皮膜形成性の重合体の含有量が1〜40質量%、揮発性溶媒の含有量が60〜99質量%であることが好ましく、皮膜形成性の重合体の含有量が2〜30質量%、揮発性溶媒の含有量が70〜98質量%であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の液状の組成物を塗布や噴霧により、皮膚に対して均一かつ簡便に適用することができる。
【0069】
(4)任意成分
本実施形態の組成物は、前述したアクリルシリコーン系共重合体及び揮発性溶媒に加えて、保湿剤、凝集防止材、抗菌剤及び芳香剤などを含有していてもよい。これらの成分のうち、特に保湿剤を加えることが好ましい。
【0070】
保湿剤の具体例としては、エイコセン酸オクチル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸オクチル、スクワラン、スフィンゴ脂質(セラミド、スフィンゴ糖脂質)、尿素、グリコール酸、アミノ酸(アルギニン、システイン、グリシン、リシン、プロリン、セリンなど)及びその誘導体、タンパク質加水分解物(コラーゲン、エラスチン、ケラチンなど)、ムコ多糖(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンなど)及びその誘導体、ビタミンB群(チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ビオチン、葉酸、シアノコバラミンなど)、アスコルビン酸(ビタミンC及びその誘導体)、レチノイド(ビタミンA、レチナール、レチノイン酸など)、ビタミンD(D2、D3など)、ビタミンE及びその誘導体、カロチノイド(カロチン、リコピン、キサントフィルなど)、酵素、補酵素、γ―オリザノールなどが挙られる。
【0071】
これらの保湿剤は、形成される皮膜強度などとのバランスから、組成物中に0.1〜10質量%含有させることが好ましく、0.5〜5質量%含有させることがさらに好ましい。
【0072】
また、凝集防止材の具体例としては、ジメチコンなどが挙げられる。抗菌剤の具体例としては、金属系、無機・有機複合系の各種抗菌剤が挙げられる。芳香剤の具体例としては、ティートリー、ローズウッド、プチグレン、ラバンサラ及びホホバオイルなどの各種精油を挙げることができる。
【0073】
[製造方法]
本実施形態の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、例えば、(i)揮発性溶媒に皮膜形成性の重合体及びその他必要な添加物を添加した後、混合して、皮膜形成性の重合体を揮発性溶媒に分散又は溶解させる方法、(ii)揮発性溶媒中で、皮膜形成性の重合体を重合させることにより、皮膜形成性の重合体を揮発性溶媒に分散又は溶解させる方法、などを適用することができる。
【0074】
例えば、皮膜形成性の重合体にアクリルシリコーン系共重合体を用いる場合は、揮発性シリコーンオイル中で、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを重合させることにより、アクリルシリコーン系共重合体が粒子の形態で揮発性シリコーンオイル中に分散した分散体として得ることができる。この方法で得られたアクリルシリコーン系共重合体は、シロキサン構造が表面に配向した粒子構造を有するので、アクリルシリコーン系共重合体の持つ耐水性、耐油性及び付着性等の性質に加えて、粘度が低いという利点を有し、更に、速乾性に優れている。
【0075】
また、揮発性溶媒中に、アクリルシリコーン系共重合体が粒子の状態で分散されている場合、その平均粒径は、0.05〜2.5μmであることが望ましい。特に、皮膚に形成される皮膜を透明性に優れたものとするためには、アクリルシリコーン系共重合体の平均粒径は、0.1〜1.5μmとすることがより望ましい。これにより、分散粒子の安定性が十分なものとなるとともに、得られる皮膚保護膜の透明性が優れたものとなる。
【0076】
[皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物の皮膚への適用方法]
本実施形態の組成物は、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、脊髄障害性疼痛症候群、CRPSなどの疾患により、アロディニアや痛覚過敏の出現した皮膚又はその近傍に適用することにより、皮膜形成性の重合体からなる皮膜を形成することができる。その際、皮膚上に皮膜を形成する方法は、特に限定されないが、組成物を皮膚に噴霧又は塗布する方法によるのが、均一な膜厚を有する皮膜を簡便に迅速に形成する上で好ましい。具体的には、例えば、噴霧ガスを用いた又は用いない噴霧器により噴霧する方法、はけや綿棒により塗布する方法、紙又は不織布のような繊維状シートなどに組成物を含浸して塗布する方法などを採用することができる。
【0077】
[皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物から形成される皮膜の特性]
本実施形態の組成物から形成される固体状の皮膜は、薄く、皮膚への接着性、順応性が良好で、優れた感触を示す。具体的には、以下のような特性をもつ。
【0078】
(1)吸水率:10%以下
本実施形態の組成物により形成される皮膜は、耐水性があり、非水溶性で、水と接触して溶解、崩壊しないことが好ましい。具体的には、形成される皮膜は、水温が23℃、NaCl濃度が0.9質量%の食塩水中に3時間浸漬したとき、崩壊や溶解がなく、かつ、下記数式(1)により求められる吸水率が10%以下であることが好ましい。この吸水率が10%を超えると、使用中にべたつきを生じ、使用中に皮膜が汗などで溶解又は膨潤などして皮膜が維持できなくなり、さらに皮膚への違和感を生じることがある。
【0079】
【数1】

【0080】
(2)接触角:85°以上
本実施形態の組成物により形成される皮膜は、水に対する接触角が85°以上であることが好ましく、水に対する接触角が90°以上であることが更に好ましい。このような水に対する接触角が85°以上を有する皮膜は、皮膜表面が優れた防水性、撥水性、又は耐水性を示し、外部からの刺激や汚染に対して持続的な皮膚保護効果、疼痛緩和効果を奏する。
【0081】
(3)動摩擦係数:0.01〜0.5
本実施形態の組成物により形成される皮膜は、ASTM D1894に基づいて測定した動摩擦係数が0.01〜0.5であることが好ましく、0.01〜0.25であることが更に好ましい。なお、動摩擦係数の詳細な測定方法は、後述する実施例に示す。また、本明細書中で使用する「動摩擦力」なる用語は、「対象物の表面が他の対象物の表面を滑るときに生ずる抵抗力あるいは反対する力」を意味し、「動摩擦力 対 接触する二面に垂直に働く力(通常は重力)の比」である。従って、摩擦係数が高い程、2つの材料が互いの上を滑る抵抗力が大きくなる。
【0082】
そして、形成される被膜の動摩擦係数が、前述した範囲にあることにより、皮膜表面が優れた滑り性を有し、外部からの衝撃や皮膜と接触する物との摩擦の緩和に優れるので、持続的な皮膚保護効果、疼痛緩和効果を奏する。
【0083】
[効果]
以上詳述したように、本実施形態の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、皮膚に塗布すると、揮発性溶媒が揮発して、皮膚上に皮膜成形性を有する重合体からなる皮膜が形成されるため、皮膚を機械的に保護する作用があり、アロディニアや痛覚過敏が緩和される。また、皮膚に適用する前は液状であり、皮膚に塗布などした後に非液状(固体状)の皮膜となるため、皮膚との付着性に優れる。
【0084】
更に、本実施形態の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、薄く、皮膚に密着した皮膜を形成できるため、皮膚の動きにあわせて順応し、皮膚への刺激性、違和感がない。更にまた、形成された皮膜は、透湿性が高く不感蒸散や発汗などの皮膚生理機能上も阻害することもない。更にまた、液状で噴霧又は塗布して皮膚に適用することができるため、手足などの凹凸が多く複雑な形状の部位でも、簡便かつ非侵襲適に適用できる。
【0085】
特に、本実施形態の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物を、シリコーンオイル等の揮発性溶媒中に、皮膜形成性重合体としてアクリルシリコーン系共重合体を粒子の形態で分散させた構成とすると、アクリルシリコーン系共重合体の多数の粒子が集合して膜を形成するため、透湿性に優れ、また、皮膚の凹凸や伸びに順応し、皮膚の動きを抑制しない皮膜が得られる。これにより、皮膚上に、違和感(ツッパリ感)や不快感の少ない皮膜を形成することが可能となる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物(以下、単に組成物という場合もある。)について説明する。本実施形態の組成物は、皮膜形成性を有する水硬化性若しくは光硬化性の単量体又は重合体を含有する液状組成物である。そして、本実施形態の組成物を皮膚に塗布すると、大気中若しくは皮膚上の水分又は光によって硬化反応が生じ、皮膚上に皮膜が形成される。
【0087】
本実施形態の組成物で使用される皮膜形成性の水硬化性単量体又は重合体としては、例えば、特開2000−7999号公報や特表平10−508326号公報に開示されるようなシアノアクリレート系モノマー、可塑剤及びその他必要な添加物からなるシアノアクリレート系樹脂組成物、又は、特開2000−189449号公報に開示されるようなポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー、触媒及びその他必要な添加物からなるポリウレタンプレポリマー組成物などが挙げられる。これらの水硬化性の皮膜形成性組成物は、水を開始剤として連鎖的に重合し、液状の組成物から固体状の皮膜へと変化する。
【0088】
一方、皮膜形成性の光硬化性単量体又は重合体としては、例えば、国際公開番号WO2006/090605に記載されるようなウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好適に用いられる。
【0089】
なお、本実施形態の組成物においても、前述した第1の実施形態において示した「任意成分」を適宜添加してもよい。また、本実施形態の組成物における「皮膚への適用方法」及び「形成される皮膜の特性」については、前述した第1の実施形態の組成物と同様である。
【0090】
[効果]
本実施形態の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、皮膚に塗布すると、大気中若しくは皮膚上の水分又は光によって硬化反応が生じ、皮膚上に皮膜が形成されるため、皮膚を機械的に保護する作用があり、アロディニアや痛覚過敏が緩和される。また、本実施形態の組成物は、皮膜形成性を有する水硬化性若しくは光硬化性の単量体又は重合体を含有しているため、皮膜に与える水分量や光量を調整することで、皮膜の硬化速度を調整(早く硬化させたり、又はゆっくり硬化させたり)することができる。
【0091】
本実施形態の組成物は、硬化前は液状であり、皮膚に塗布などした後に非液状(固体状)の皮膜となるため、皮膚との付着性に優れる。更に、本実施形態の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物は、薄く、皮膚に密着した皮膜を形成できるため、皮膚の動きにあわせて順応し、皮膚への刺激性、違和感がない。更にまた、形成された皮膜は、透湿性が高く不感蒸散や発汗などの皮膚生理機能上も阻害することもない。更にまた、液状で噴霧又は塗布して皮膚に適用することができるため、手足などの凹凸が多く複雑な形状の部位でも、簡便かつ非侵襲適に適用できる。
【実施例】
【0092】
以下、本発明の実施例により、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、本発明の実施例の各組成物について、以下に示す各特性を評価した。
【0093】
(1)接触角
実施例の各組成物から形成された皮膜の接触角は、室温20〜25℃、相対湿度55〜65%に調整された環境下で、以下の手順で測定した。
先ず、実施例の各液状組成物を、硬化後の皮膜の厚さが5〜30μmとなるように、厚さ70μmのポリエステルフィルム上に塗布した。その後、24時間静置し、揮発性溶媒を完全に気化させるか又は皮膜形成性の単量体又は重合体を完全に硬化反応させて、膜厚が5〜30μmで均一な厚さの固体状皮膜サンプルを作製した。
【0094】
この皮膜サンプルの表面の接触角を、接触角計(協和界面科学社製 接触角計CA−A)により測定した。具体的には、下記(i)〜(iv)の工程を行った。
(i)水滴を規定量(20目盛分)シリンジより排出した。
(ii)測定する皮膜表面を20目盛分の水滴に近づけ、測定表面に水滴を滴下した(測定表面に水滴を載せた)。
(iii)水滴滴下後から、15秒後に、水滴の接触角を測定した。
(iv)以上の測定を、1サンプルにつき5箇所行い、その平均値を「接触角」とした。
【0095】
(2)耐水性と吸水率
実施例の各組成物から形成された皮膜の耐水性及び吸水率は、室温20〜25℃、相対湿度55〜65%に調整された環境下で、以下の手順で測定した。
先ず、実施例の各液状組成物を、硬化後の皮膜の厚さが5〜30μmとなるように、厚さ70μmのポリエステルフィルム上に塗布した。その後、24時間静置し、揮発性溶媒を完全に気化させるか又は皮膜形成性の単量体又は重合体を完全に硬化反応させて、膜厚5〜30μmの均一な厚さの固体状皮膜をポリエステルフィルム上に形成し、これを直径50mmに打ち抜き、測定用のサンプルとした。
【0096】
このサンプルを用いて、下記(i)〜(vi)の工程を行い、耐水性と吸水率を評価した。
(i)水に浸漬する前のサンプルの質量を測定した。
(ii)水浸漬時にサンプルが浮上しないよう、サンプルの皮膜を形成した側と反対側に両面粘着テープを貼付し、シャーレの底に固定した。
(iii)サンプルが完全に浸かるまでNaCl濃度が0.9質量%の生理食塩水を注ぎ、蒸発を防ぐため、シャーレに蓋をした。
(iv)浸漬開始から3時間後、サンプルをシャーレから取り出し、皮膜表面についた水滴を軽く拭きとった。
(v)皮膜の崩壊や溶解を目視で確認するとともに、水浸漬後のサンプルの質量を測定し、上記数式(1)に基づいて吸水率を求めた。
(vi)皮膜が崩壊又は溶解しなかった場合は耐水性を○、皮膜が崩壊又は溶解した場合は耐水性を×、と評価した。また、吸水率が10%以下の場合は○、吸水率が10%以下の場合は×、と評価した。
【0097】
(3)動摩擦係数
実施例の各組成物から形成された皮膜の動摩擦係数は、室温20〜25℃、相対湿度55〜65%に調整された環境下で、以下の手順で測定した。なお、本実施例における動摩擦係数の測定は、ASTM試験法D1894「プラスチックフィルムおよびシートの静的および動的摩擦係数」に基づいて、測定サンプルとNo.4仕上げに研磨した50gの304ステンレス鋼ソリとの間の動摩擦係数を測定した。
【0098】
具体的には、実施例の各液状組成物を、硬化後の皮膜の厚さが5〜30μmとなるように、厚さ70μmのポリエステルフィルム上に塗布した。その後、24時間静置し、揮発性溶媒を完全に気化させるか又は皮膜形成性の単量体又は重合体を完全に硬化反応させて、膜厚5〜30μmの均一な厚さの固体状皮膜をポリエステルフィルム上に形成し、これを75mm×150mmの長方形にカットし測定用のサンプルを作製した。
【0099】
このサンプルを使用して、下記(i)〜(iv)の工程を行い、動摩擦係数を測定した。図1は動摩擦係数の測定に用いたソリの外観斜視図であり、図2は動摩擦係数の測定方法の概要を示す図である。
(i)図1に示す直径5cm、幅2.5cm、高さ2.5cmの304ステンレス鋼半円シリンダーのソリ1(質量50g)を用いた。ソリ1の皮膜との接触面(滑り面)はNo.4仕上げ(JIS R 6001)に研磨した。
(ii)精密万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−1)を用いて、ストロークを100mm以内とし、試験種類「ピール」の設定で測定を行った。
(iii)図2に示すように、測定用のサンプル3を試験台2の上に平らに置き固定し、ソリ1をサンプル3の皮膜上に静かに置き、滑車5を介して、引張り用ワイヤ4が10〜15gの張力下で真直になるように調整した。
(iv)サンプル3上にソリ1を置いてから10秒後、ソリ1を100mm/分の速度で引張り、ロードセル6により動摩擦力(そりを引くのに要した力)を計測し、下記数式(2)に基づき動摩擦係数を求めた。なお、本測定における動摩擦力は、ソリ1をサンプル3の皮膜上で滑らせた範囲のうち、数値が安定した100mmの区間の平均から求めた値である。
【0100】
【数2】

【0101】
(4)皮膜の感触評価
皮膚の感触評価は、実施例の各液状組成物を、皮膚上に薄く均一に塗布し、揮発性溶媒を気化させるか又は皮膜形成性の単量体又は重合体を空気中又は皮膚の水分で硬化させ、その時の感触を次の基準で官能評価した。
◎:違和感・ツッパリ感なく良好な感触。
○:多少違和感・ツッパリ感がある。
△:違和感・ツッパリ感がある。
【0102】
(実施例1)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を取付けた4つ口フラスコに、デカメチルシクロペンタシロキサン(揮発性シリコーン油:沸点210℃、25℃における粘度3.7mPa・s、信越化学工業社製、商品名「KF−995」)65.9部を仕込み、窒素ガスで置換後、120℃に加温し、メタクリル酸メチル61.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル31.2部、上記化学式(A)に示す構造のポリ(ジメチルシロキサニル)プロピルメタクリレート(数平均分子量4,600、信越化学工業社製、商品名「LSF−240」)7.3部、及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.6部の混合物を200分かけて滴下し、更に200分間同温度に保持して重合させた。
【0103】
その後、室温に戻すことで、皮膜形成性重合体の主成分となる(メタ)アクリル酸誘導体・シロキサンモノマー共重合体の乳白色非水系分散液を得た。この分散液の固形分濃度は60%、粘度は570mPa・sであった。また、この共重合体の質量平均分子量は31,000で、粒子の平均粒径は0.83μmであった。
【0104】
この乳白色非水系分散液を揮発性溶媒であるヘキサメチルジシロキサン(沸点99−100℃)で希釈して、アクリルシリコーン系共重合体が5質量%、へキサメチルジシロキサンが95質量%となるように調整し、実施例1の組成物を得た。
【0105】
(実施例2)
アクリルシリコーン系共重合体を15質量%、へキサメチルジシロキサンが85質量%となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にし、実施例2の組成物を得た。
【0106】
(実施例3)
実施例2の組成物に、複数のトリメチルシロキシ基が側鎖部分に規則的に構成されデンドリマー構造をもつ(メタ)アクリルシリコーン系共重合体(東レ・ダウコーニング社製 (アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー FA 4001 CM Silicone Acrylate)を全体の2質量%、揮発性溶媒としてのシクロペンタシロキサンを全体の5質量%になるように加えて、実施例3の組成物を得た。なお、実施例2と同様の成分であるアクリルシリコーン系共重合体は、全体の13質量%、へキサメチルジシロキサンは80質量%とした。
【0107】
(実施例4)
アクリルシリコーン系共重合体を25質量%、へキサメチルジシロキサンを75質量%となるように調整したこと以外は、前述した実施例1と同様にし、実施例4の組成物を得た。
【0108】
(実施例5)
アクリルシリコーン系共重合体を、揮発溶媒であるヘキサメチルジシロキサンとイソオクタンに溶解させて、実施例5の組成物を得た。
【0109】
(実施例6)
ニトロセルロースを皮膜形成剤の主成分とし、酢酸エチル及びジシロキサンを揮発性溶媒の主成分として実施例6の組成物を作製した。
【0110】
(実施例7)
ニトロセルロース及びアルッキッド樹脂を皮膜形成剤の主成分とし、酢酸エチル及び酢酸ブチルを揮発性溶媒の主成分として、実施例7の組成物を作製した。
【0111】
(実施例8)
ニトロセルロースを皮膜形成剤の主成分とし、エタノール及び酢酸ブチルを揮発性溶媒の主成分として、実施例8の組成物を作製した。
【0112】
(実施例9)
カラヤガムとペクチンを皮膜形成剤の主成分とし、水を揮発性溶媒として実施例9の組成物を作製した。
【0113】
(実施例10)
シアノアクリレート系樹脂である2−オクチルシアノアクリラートを主成分とし、その他少量の二酸化硫黄、ヒドロキシキノリン、パラメトキシフェノールなどを配合して実施例10の組成物を作製した。
【0114】
なお、前述した実施例1〜9の組成物は、適用(塗布)前は液状で、対象物に適用(塗布)した後に、組成物中の揮発性溶媒が揮発して、固体状の皮膜を形成するものである。また、実施例10の組成物は、適用(塗布)前は液状で、対象物に適用(塗布)した後に、大気中(皮膚に適用した場合は皮膚上)の水分と硬化反応を生じ、固体状の皮膜を形成するものである。
【0115】
これら実施例の組成物における各特性の評価結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、皮膜形成組成物を構成する各成分の「数字」は各成分の質量換算の組成比を、「有」はその化合物が含有されていることを示す。
【0116】
【表1】

【0117】
上記表1に示すように、本発明の実施例に係る皮膜形成組成物(実施例1〜10)は、皮膚に塗布してから直ぐに固体状で皮膚への付着性が良好な皮膜を皮膚表面に形成することができた。これにより、形成された皮膜により接触などの外的な刺激から皮膚を保護することができるため、簡便かつ非侵襲に皮膚の痛みを緩和することができることが確認された。
【0118】
特に、アクリルシリコーン系共重合体を皮膜形成性の重合体として用いた実施例1〜5の組成物は、耐水性、皮膚の感触に優れ、皮膜表面も優れた滑り性を有していた。これにより、実施例1〜5の組成物を使用することにより、外部からの衝撃や皮膜と接触する物との摩擦の緩和に優れ、持続的な皮膚保護効果、疼痛緩和効果が得られることが確認された。
【符号の説明】
【0119】
1 ソリ
2 試験台
3 サンプル
4 ワイヤ
5 滑車
6 ロードセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜成形性を有する重合体と、該重合体を分散又は溶解可能な揮発性溶媒と、を含有する液状組成物であって、
皮膚に塗布すると、前記揮発性溶媒が揮発して、前記皮膚上に前記重合体からなる皮膜が形成される皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項2】
前記皮膜成形性を有する重合体の含有量が1〜40質量%であり、前記揮発性溶媒の含有量が60〜99質量%であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項3】
前記皮膜成形性を有する重合体が、シロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを重合したアクリルシリコーン系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項4】
前記アクリルシリコーン系共重合体が、下記化学式(A)により表される構造のシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。

【請求項5】
前記アクリルシリコーン系共重合体が、複数のトリアルキルシロキサン基を備える構造のシロキサンモノマーと(メタ)アクリル酸又はその誘導体との共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項6】
皮膜形成性を有する水硬化性若しくは光硬化性の単量体又は重合体を含有する液状組成物であり、皮膚に塗布すると、大気中若しくは皮膚上の水分又は光によって硬化反応が生じ、前記皮膚上に皮膜が形成される皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項7】
前記皮膜は、水に対する接触角が85°以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。
【請求項8】
前記皮膜は、動摩擦係数が0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の皮膚の痛み緩和用皮膜形成組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−85954(P2012−85954A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237345(P2010−237345)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【出願人】(506111240)学校法人 愛知医科大学 (6)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】