皮膚を介した物質抜取り及び/又は物質送出し
皮膚バリヤを介した物質抜取り及び/又は物質送出しのための技法であって、皮膚はドーム形成され、次に、一部が取り除かれる。典型的には、装置の接触部分が、皮膚のドーム形成を達成し、切断、グレージング、スクレーピング構成が、ドーム形成された皮膚の一部を取り除く。皮膚のドーム形成、ひいては、皮膚除去は、緊密に制御される。試料は皮膚の取り除かれた部分及び/又はそこを通じて供給される物質を介して取られ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヘルスケア用途における、皮膚を介した物質抜取り及び/又は物質送出しに関する。
【背景技術】
【0002】
間質体液中の特殊な分子(例えば、ブドウ糖)の濃度の測定は、患者の身体状態についての情報をもたらし得る。皮膚を介した薬物供給、即ち、経皮薬物供給は、薬物の制御された且つ/或いは連続的な供給の新方法である。経皮薬物供給は、経口供給に対して大きな利点を有する。何故ならば、後者を用いると、巨大分子が胃腸管内に分解されるか、或いは、胃腸上皮に亘って吸収されるには大き過ぎる。製薬業界では、より多くの医薬が、遺伝子療法のような、酵素補充及び病気免疫において使用されるべき巨大分子に基づいている。他方、糖尿病のような一定の医学疾患は、連続的、確実、痛みのない流体の抜取り及び注入の必要も有する。
【0003】
通常、皮膚外層、即ち、角質層は、体の内外に出入りする素子のための極めて効果的なバリヤ(障壁)である。薬物の経皮供給並びに流体(又は血液)の抜取りのために頻繁に利用される技法は針による。しかしながら、これは痛みを伴う方法である。何故ならば、針は神経に触れるほど深く皮膚に進入するからである。さらに、比較的高い感染の危険性があり、同一位置での複数使用の後、血栓症の危険性がある。また、針は極めて頻繁な或いは連続的な使用にさえ余り適さない方法である。従って、流体の抜取り及び送出しのためのより痛みのない確実な方法の願望がある。
【0004】
過去10年間に、経皮抜取り及び注入のための幾つかの技法が開発された。これらの技法は、S.E.Cross and M.S.Roberts,“Physical enhancement of transdermal drug application:is delivery technology keeping up with pharmaceutical development?” Current drug Delivery,Vol 1,81−92,2004において、それらの利点及び不利点と共に議論されている。幾つかの既知の技法は、電気的に基づいている。即ち、イオン浸透療法(小さな電流が皮膚を通過する)、電気穿孔法(短い電気パルスが使用される)、超音波、レーザアブレーション、及び、レーザ生成応力波。他方、顕微針のような構造に基づく技法もあり、その場合には、極めて小さな針の配列が皮膚を穿孔する。これらの針は極めて小さく、100μmのオーダであり、痛みを引き起こすほど深く進入しない。最終的に、ジェット式注射のような速度に基づく技法があり、その場合には、高速(60〜100m/s)の流体液滴が皮膚を通過する。
【0005】
しかしながら、顕微針は脆く、破損し易く、注意して適用される必要がある。さらに、顕微針は皮膚を穿孔し、穿孔される皮膚片は、間質流体(抜取り)又は薬物(注射)のいずれかが通らなければならない針の開口を遮断する危険性を有し、或いは、薬物は、人が液体を適用することを望む針中の開口の前にある必要はない。数月から1年の周期に亘る連続的な使用のために、顕微針は余り適さなくあり得る。何故ならば、人体は針に反応しがちであるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良された技法が考案された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の特徴によれば、本発明は、皮膚をドーム形成し取り除くための手段を含み、皮膚バリヤを介した物質抜取り及び/又は物質送出しを可能にする装置を提供する。
【0008】
装置は、好ましくは、
皮膚に接触するための接触手段を含み、皮膚をドーム形成するためのドーム形成手段を含み、
ドーム形成手段に隣接するドーム形成される皮膚の層の近くを通り取り除くよう構成される皮膚除去手段を含む。
【0009】
皮膚のドーム形成は、制御されたサイズの皮膚のドーム又はリッジを生成するよう局所化された変形として理解されるべきである。皮膚のドーム形成は、同等の変形をカバーすることが意図され、皮膚の締付け(pinching)又は皺付け(rucking)を含む。ドーム形成は、皮膚に陥凹を形成することによる負のドーム形成というよりも、むしろ、正の或いは上向きの意味における、即ち、皮膚の一般表面から外向きの優先的なドーム形成として理解されるべきである。これは本発明の以下の記載から直ちに明らかになるであろう。
【0010】
接触手段は、好ましくは、ドーム形成される皮膚が孔を通じて突出するよう、皮膚をドーム形成するための孔を含み、切断構成は、接触手段の孔を横断して通り孔に隣接するドーム形成される皮膚を除去するよう構成される。
【0011】
装置は、1つ又は他の抜取り又は送出しのために使用され得る。特定の実施態様において、装置は抜取り及び送出しの両方のために使用され得る。
【0012】
第二の特徴によれば、本発明は、皮膚バリヤを介して物質を抜き取り且つ/或いは物質を送り出すための方法であって、当該方法は、皮膚を制御された方法でドーム形成するステップと、皮膚バリヤ内に開口を形成するようドーム形成される皮膚を取り除くための皮膚除去構成を動作するステップと、切断ゾーンに存在する間質流体又は他の物質を抜き取るか、且つ/或いは、切断ゾーンを通じて皮膚の外部から物質を送り出すステップとを含む。
【0013】
接触手段の孔は、好ましくは、孔内の皮膚のドーム形成を助ける傾斜楔状縁部を有する。孔のこの楔形状縁部は、比較的より広い遠位開放部分から比較的より狭い近位開放部分に延在する。ブレードは、典型的には、より狭い近位開放部分の近くを通る。典型的には、装置は、皮膚接触ラメラ(lamella)構成を含み、ラメラは孔に楔形状終端を有し、皮膚のドーム形成を助ける傾斜表面を定める。孔は、典型的には、円形であり得るが、長方形又は正方形のような他の形状の孔、或いは、細長いスリット又はスロットも利用され得る。
【0014】
本技法は、(例えば、2つのラメラの間に)正確にドーム形成される皮膚と、制御された平面で皮膚を取り除くブレード(又は他の皮膚除去構成)に依存する。この技法は、皮膚をドーム形成することによって皮膚バリヤ内に極めて小さな開口が正確に且つ反復的に作成されることを可能にする。本技法は、皮膚がドーム形成され、毛が正確に切断され、皮膚を傷付けたり刺激したりすることのない、特定の既知の毛切断(シェービング)技術に類似する。
【0015】
皮膚は、2つ又はそれよりも多くのラメラの間にドーム形成され、皮膚開口は、非変形皮膚と平行な平面内で、典型的にはブレードを用いて切断することによって極めて良く作成される。これが、顕微針によって開口を作成する方法、即ち、針を非変形皮膚に対して垂直な方向へ針を移動することが開口を作成する方法のような従来技術の技法との大きな相違である。良く制御されたラメラの厚さ及び開口の形状及びサイズ並びにブレードの移動の故に、ドーム形成は極めて良く制御され得るので、神経に当たることなしに極めて小さな開口を作成することが可能であり、これは本方法を効果的に無痛にする。さらに、皮膚の開口直径及びドーム形成を変更することによって、開口の厚さ並びに開口の幅を制御することも可能である。
【0016】
本発明の他の利点は、切り落とされる皮膚が開口を遮断しないことである。何故ならば、ブレードの動作方向の故に、それは開口から離れてブレードによって除去され得るからである。
【0017】
本発明は、添付の図面を参照して一例によってさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照すると、初めに図1a及び図1bを参照すると、ラメラ1,2によって定められる端部を有する皮膚接触プローブを含む装置が示されており、ラメラの間に孔3を定めている。ラメラは、孔3に楔形状の終端を有し、記載されるように、皮膚5のドーム形成を助ける傾斜表面4を定めている。ブレード7が、ラメラ1,2に近接して隣接するスライス平面内で孔を横断して通るよう構成されている。
【0019】
ラメラ1,2の間に定められる孔3は、典型的には、円形であるが、長方形、又は、正方形のような他の形状でもよく、或いは、楕円形も可能である。皮膚内に開口を作成するために使用されるブレード7は、図1a中に描写されるように、回転され得るし、或いは、それは複数の回転ブレードであってもよい。さらに、皮膚は、図1bに示されるような、2つの振動/往復動ブレード7a,7bの組み合わせによっても切断され得る。皮膚内の開口は、ブレードの1回のストロークで作成され得るが、ブレードとの一連の接触においても作成され得る。その場合には、各接触で、皮膚の小さな層が取り除かれる。ラメラ内に複数の穴を配置することによって、皮膚に一連の穴を作成することが可能である。皮膚バリア内の開口は、研削、グレージング(grazing)、スクレーピング(scraping)、又は、他の同様の技法を用いても形成され得る。しかしながら、ブレードを用いたきれいな切断が好適な技法として想定される。
【0020】
他の構造的な方法に対するこの方法の主要な相違は、皮膚がラメラ内の孔の間に或いは2つ又はそれよりも多くのラメラの間にドーム形成され、皮膚開口が非変形皮膚と平行な平面内を移動するブレードを用いて切断することによって極めて良好に作成されることである。これは顕微針によって開口を作成する方法との大きな相違であり、その場合には、非変形皮膚に対して垂直な方向への針の移動が開口を作成する。
【0021】
良く制御されたラメラの厚さ及び開口の形状並びにブレードの動作の故に、ドーム形成は極めて良く制御され得るので、神経に当たらずに極めて小さな開口を作成することが可能であり、これは本方法を直ちに無痛にする。さらに、開口の直径及び皮膚のドーム形成を変更することによって、開口の厚さ並びに開口の幅を制御することも可能である。本方法の他の利点は、切り落とされる皮膚が開口を遮断しないことである。何故ならば、ブレードの回転の方向の故に、それはブレードによって開口から離れるよう取り除かれるからである。
【0022】
皮膚とラメラとの間の直接的接触の故に、本方法は極めて良好な封止をもたらす。(図2に示されるような)真空装置8を使用して真空加えることによって、皮膚のドーム形成は増大され得る。従来的には、正圧を加えることによって、皮膚ドーム形成は減少される。加えられる真空或いは加えられる正流体圧の使用は、皮膚の切断が行われる前に神経が刺激され得るという効果を有する。これは痛みの改善のための追加の安全ステップであり得る。
【0023】
皮膚内の開口が本発明の技法によって作成されるとき、例えば、図3a及び3bに描写されるように、穴の上に配置される中空開口を備える導管又は管9を使用するために、間質流体を皮膚から抽出することが可能である。3aの構成において、管9はブレード7の終端に取り付けられている。間質流体は、毛管作用によって或いは管の端部で真空を加えることによって開口に流入する。真空は、例えば、図3aに示されるような極めて小さなファン10を回転することによって加えられ得る。真空を加えることの利点は、皮膚内の穴がラメラ1,2間の開口に対して極めて良好に配置されることである。他の方法は、図3bに示されるような他のアクチュエータ11,12によって皮膚に対して圧力を加えることによって、間質流体を人体から強制的に出す。
【0024】
間質流体又は体液を穴から取り除くための他の方法は、図4に示されるように、薄いラメラ1,2内への極めて精細な連絡ボア13を作成することである。皮膚はこれらの穴を通じてドーム形成し得ないが、間質流体は、例えば、毛管作用を用いて通り得る。この方法は、皮膚内の開口がラメラ内の開口の前に正確に整列される必要がないことである。加えられる吸引真空で回転する中空管14は、ボア13を通じて進入する液体を除去することができる。液体の毛管輸送は、皮膚と接触するラメラの側に小さな溝を配置することによって増大され得る。
【0025】
帯又は他の方法を用いて皮膚内の開口ゾーンの場所をラメラ内の孔の場所と固定することも選択肢であり得る。
【0026】
(図5に示される)本発明の1つの実施態様では、(針、導管、又は、管のような)構造15が皮膚内の切断開口17内に挿入されることが想定される。この構造15の進入深さは、例えば、基準としてラメラ1,2を有するコイル及び磁石キャリッジ構造19を用いて機械的に制御され得る。光記録技術において使用される構成のような他の方法が、構造の深さを制御するために使用され得る。
【0027】
本発明は、切り口又は穴17を別個に形成することによって切り口又は穴17を通じて進入する送出し又は抜取り構造15が、鈍くあることができるか或いはプラスチック又は他の材料から成ることができ、皮膚を損傷すること或いは構造15の端部を遮断することの問題を余り示さない点で、針又は他の導管の端部が皮膚を貫通し或いは切り込むために使用される技法に対して利点を有する。また、構造15は、切り口又は穴17と比べて異なるサイズであり得る。このようにして、流体は皮膚を通じてより容易に除去され或いは注入され得る。本方法は、皮膚上にあり得る不純物が、皮膚除去手段の皮膚に対する動作の平行成分の故に、皮膚バリヤが皮膚除去手段によって開放される地域から先ず取り除かれるという利点も有する。さらに、図5に描写されるようなシステムは、力変換器20と、図示されないラメラ移動手段とを備え得る。ラメラ1,2内の孔3が皮膚内の開口17と整列されないとき、変換器20によって測定される中空構造上の力はより大きく、開口17の位置がラメラプローブと整列されるまで、ラメラプローブの調節動作が行われる。このようにして、本発明は、皮膚内の穴を探すための自動システムを提供する。この機構は図5及び6中に構成される構造と比較することによって見られ得る。
【0028】
抜き取られる間質流体は、ブドウ糖、乳酸等のような関心のある分子を検出するために、或いは、幾つかの異なる分子の組み合わせさえをも検出するために分析され得る。さらに、DNAを直接的に検出することも可能である。この分析は、ラメラプローブも支持し或いは組み込む結合装置に載置される分析器において行われ得る。載置ラメラプローブを、場合によっては、分析器も、場合によっては、追加的に或いは代替的に、(薬剤供給構成のような)物質供給構造を有する装着可能な装置も提供され得る。代替的に、分析は遠隔的に遂行され得る。
【0029】
本発明は、ここまで、物質抜取りに関して主として記載されたが、同様に経皮的な方法での物質(薬物等)の送出しに関しても重要な側面がある。
【0030】
典型的には流体形態の物質を皮膚内に作成される切り口又は穴を通じて適用する幾つかの方法がある。これは前述された間質液体の抜取りと類似の方法で達成され得る。流体の抜取り及び注入のために類似の中空管が使用され得るが、別個の管も使用され得る。追加的に、貯槽24から皮膚17内の切り口又は穴と同時整列される供給孔25を通じて流体を押圧するためにピストンを使用する他の方法が使用され得る。同様に、インクジェット印刷のために使用される技法に類似する技法を用いて極めて良く制御された方法で液体を適用することが利用され得る。全ての方法を用いるならば、薬物の流体流れ速度を特別な供給プログラムに従って制御することが可能であり、しばしば望ましい。
【0031】
本発明の特定の実施態様において、装置は、間質流体の抜取り並びに人体内への(典型的には流体形態の)物質の送出しが組み合わせられ得る装置を含む。1つの実施態様では、間質液体の抜取りのために皮膚内の幾つかの切り口穴が使用され得る。この測定の結果は、薬物を供給する決定を生成し得る。薬物の投与量は適切なレベルに調節され得るし、前に議論された方法で適用され得る。この方法は、電池を備える極めて小さなモータを用いて装着可能な装置において行われ得る。
【0032】
他の方法は、図8の平面図に示されるような機能の組み合わせを備える回転システムを作成することである。回転コンベヤは、殺菌液又は抗菌剤の塗布を可能にする殺菌ステーション(1)と、前に議論された皮膚ドーム形成法によって皮膚内に切り口穴を形成することを可能にする切断ステーション(2)とを支持する。抜取りステーション(3)では、間質液体が抜き取られ且つ分析され得る(3)。この結果の結果に基づいて、適切な薬物投与量が適用供給ステーション(4)から適用され得る。全ての4つのステーションのために同一の位置が使用され得る。しかしながら、同様に、皮膚上の異なる位置も使用され得る。さらに、余分な機能、例えば、使用後の皮膚のより迅速な治癒の促進のための物質が追加され得る。一回だけ使用され得る使い捨てカートリッジを作成することも可能である。このカートリッジは、体液の抜取り及び使い捨てカートリッジ無いの液体の注入のための駆動ユニットと組み合わせられ得る。
【0033】
間質流体を得て分析する本発明に従った使用のための例示的装置が、図9a乃至9cに示されている。図示の構成において、プローブ111は、複数の孔103を含むラメラ箔101を終端に含む。回転ブレード構成107が、ラメラ箔101内の孔103によってドーム形成され且つ孔を通じて突出する複数のブレードを含む。
【0034】
動作中、間質流体は、ブレード構成から外向きに径方向に突出され、円周方向の吸収性試験ストリップ155内に捕捉される。プローブは、試験ストリップ155内に捕捉される間質流体の分析のための分析器プラットフォーム165を含む。各測定の前に試験ストリップ155を取り換えることが可能であるが、1回よりも多い測定のために試験ストリップ材料を収容することも可能である。分析器は十分な皮膚が取り除かれたか否かを測定するために使用され得る。間質流体は、化学反応、バイオセンサ、光透過、反射、又は、放射を使用した物理的測定、流体の電気特性の測定を含む様々な技法によって分析され得るが、それらに限定されない。この分析の結果として、患者に供給される必要のある薬物の量を計算することが可能である。結果は薬物供給装置に表示され或いは通信される。値の履歴が蓄積され得るよう、値が記憶されてもよい。
【0035】
本発明に従った例示的な装置の代替的な実施態様が、図10a乃至10fに示されている。この実施態様において、装置211は使用者の体に固定するためのストラップ270を備える。装置は、装置の本体ハウジング278内の孔276内に受容される回転式カートリッジ275を支持する。カートリッジは、装置の皮膚接触プローブ部分201内に定められる皮膚ドーム形成孔203に隣接するハウジング278内で回転するよう支持される。カートリッジ275は、カートリッジが回転されるときに様々な機能を遂行するよう構成される分節的に離間されたステーションを含む。図10cでは、ブレードステーション207が孔203内に芯出しされ、ブレード構成は角質層をスクレーパ切断するよう作用する。
【0036】
次に、カートリッジは、図10dに示される位置まで回転し、そこでは、測定ステーション289が孔203内に芯出しされ、所要の切断が達成されたか決定するために皮膚ドーム形成又は容量を測定するよう作用する。もし所要の切断が達成されていないならば、カートリッジは回転され、さらなるスクレーパ切断動作並びにその後の測定ステップを遂行するよう最調節される。達成されたものとして所要の切断が測定されるや否や、カートリッジは図10eに示される位置まで回転され、そこで、抜き取られた間質流体はカートリッジの分析ステーション295によって分析される。
【0037】
間質流体は、化学反応、バイオセンサ、光透過、反射、又は、放射を使用する物理的測定、流体の電気特性の測定を含む様々な技法によって分析され得るが、それらに限定されない。この分析の結果として、患者に供給される必要のある薬物の量を計算することが可能である。この分析ステップにおいて計算される値は、供給/投与ステーション265を用いて次の回転位置において投与されるべき薬物を投薬するのに使用され得る。投薬は、接触時間によって、皮膚特性を感知することによって、薬物の量を測定し且つこれを皮膚又は他の手段に接触させることによって規制され得る。スキンケア化粧品、光線療法、殺菌ステップ、又は、皮膚修復を増大する他の処置を用いて皮膚修復を増進するために、追加的なステップが投与ステップの後に提供され得る。然る後、装置は使用者から取り除かれ得るし、或いは、使用者に固定されたままであり得る。
【0038】
特定の実施態様において、物理的に試料を得ることなしに、間質流体又は他の標的材料を切断皮膚を通じて間接的に抜き取ることが可能である。これは、ラマン分光法、光吸収若しくは反射技法、又は、類似方法のような間接的手段を介して達成され得る。これは迅速な結果が得られることを可能にし、これらの技法は本発明に従って適用されることによって増進される。
【0039】
記載されている実施態様において、装置は全体的に使い捨て可能であり得るし、或いは、構成部品部分が使い捨て可能であり得る。同様に、構成部品は交換のために取り外し可能であり得るし、その場合には、取り外された構成部分は交換のために改修され得るし、或いは、代替的に、廃棄され得る。例えば、図9の実施態様において、吸収性試験ストリップ155は、使用及び分析の後に取り外されて廃棄され得るし、後続の使用のために取り換えられ得る。代替的に、ラメラ箔101と分析器プラットフォーム165とを含む小組立体の全体が、同等の小組立体いよって交換されるよう使い捨て可能であり得る。
【0040】
同様に、図10の実施態様において、回転式カートリッジ275は、新しい交換カートリッジと交換されるよう取り外されて廃棄され得る。そのような実施態様では、ブレードステーション207、測定ステーション289、分析ステーション295、及び、供給/投与ステーション265は、全て効果的に使い捨て可能である。他の想定される実施態様では、一部の構成部品又はステーションは使い捨て可能であるのに対し、他は使い捨て可能でないように構成される。
【0041】
記載された実施態様は本発明を例証するものであり、本発明の範囲を制限するよう解釈されるべきではないことが付記されるべきである。特に、当業者であれば、それぞれの実施態様において独立して別個に記載された機能が本発明の精神及び範囲内で組み合わせられ得ることを直ちに理解するであろう。「含む」(comprise)及び「含む」(include)という用語は、他の品目、完全体、又は、機能の存在が排除されるものと解釈されるべきではないし、他の品目、完全体、又は、機能の存在が存在する可能性を排除しない。物質分析及び医薬の投与のようなステップへの具体的な言及は、最広義において、抜取り装置を具体的に載置的に或いは具体的に遠隔的に遂行されることを制限するよう理解されるべきではなく、両方の状態を包含するものとして可能な限り広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】本発明に従った技法を示す概略図である。
【図1b】本発明に従った技法を示す概略図である。
【図2】修正された技法を示す概略図である。
【図3a】技法へのさらなる修正を示す概略図である。
【図3b】技法へのさらなる修正を示す概略図である。
【図4】さらなる修正された技法を示す概略図である。
【図5】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図6】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図7】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図8】回転コンベヤの形態のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図9a】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図9b】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図9c】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10a】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10b】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10c】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10d】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10e】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10f】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヘルスケア用途における、皮膚を介した物質抜取り及び/又は物質送出しに関する。
【背景技術】
【0002】
間質体液中の特殊な分子(例えば、ブドウ糖)の濃度の測定は、患者の身体状態についての情報をもたらし得る。皮膚を介した薬物供給、即ち、経皮薬物供給は、薬物の制御された且つ/或いは連続的な供給の新方法である。経皮薬物供給は、経口供給に対して大きな利点を有する。何故ならば、後者を用いると、巨大分子が胃腸管内に分解されるか、或いは、胃腸上皮に亘って吸収されるには大き過ぎる。製薬業界では、より多くの医薬が、遺伝子療法のような、酵素補充及び病気免疫において使用されるべき巨大分子に基づいている。他方、糖尿病のような一定の医学疾患は、連続的、確実、痛みのない流体の抜取り及び注入の必要も有する。
【0003】
通常、皮膚外層、即ち、角質層は、体の内外に出入りする素子のための極めて効果的なバリヤ(障壁)である。薬物の経皮供給並びに流体(又は血液)の抜取りのために頻繁に利用される技法は針による。しかしながら、これは痛みを伴う方法である。何故ならば、針は神経に触れるほど深く皮膚に進入するからである。さらに、比較的高い感染の危険性があり、同一位置での複数使用の後、血栓症の危険性がある。また、針は極めて頻繁な或いは連続的な使用にさえ余り適さない方法である。従って、流体の抜取り及び送出しのためのより痛みのない確実な方法の願望がある。
【0004】
過去10年間に、経皮抜取り及び注入のための幾つかの技法が開発された。これらの技法は、S.E.Cross and M.S.Roberts,“Physical enhancement of transdermal drug application:is delivery technology keeping up with pharmaceutical development?” Current drug Delivery,Vol 1,81−92,2004において、それらの利点及び不利点と共に議論されている。幾つかの既知の技法は、電気的に基づいている。即ち、イオン浸透療法(小さな電流が皮膚を通過する)、電気穿孔法(短い電気パルスが使用される)、超音波、レーザアブレーション、及び、レーザ生成応力波。他方、顕微針のような構造に基づく技法もあり、その場合には、極めて小さな針の配列が皮膚を穿孔する。これらの針は極めて小さく、100μmのオーダであり、痛みを引き起こすほど深く進入しない。最終的に、ジェット式注射のような速度に基づく技法があり、その場合には、高速(60〜100m/s)の流体液滴が皮膚を通過する。
【0005】
しかしながら、顕微針は脆く、破損し易く、注意して適用される必要がある。さらに、顕微針は皮膚を穿孔し、穿孔される皮膚片は、間質流体(抜取り)又は薬物(注射)のいずれかが通らなければならない針の開口を遮断する危険性を有し、或いは、薬物は、人が液体を適用することを望む針中の開口の前にある必要はない。数月から1年の周期に亘る連続的な使用のために、顕微針は余り適さなくあり得る。何故ならば、人体は針に反応しがちであるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良された技法が考案された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の特徴によれば、本発明は、皮膚をドーム形成し取り除くための手段を含み、皮膚バリヤを介した物質抜取り及び/又は物質送出しを可能にする装置を提供する。
【0008】
装置は、好ましくは、
皮膚に接触するための接触手段を含み、皮膚をドーム形成するためのドーム形成手段を含み、
ドーム形成手段に隣接するドーム形成される皮膚の層の近くを通り取り除くよう構成される皮膚除去手段を含む。
【0009】
皮膚のドーム形成は、制御されたサイズの皮膚のドーム又はリッジを生成するよう局所化された変形として理解されるべきである。皮膚のドーム形成は、同等の変形をカバーすることが意図され、皮膚の締付け(pinching)又は皺付け(rucking)を含む。ドーム形成は、皮膚に陥凹を形成することによる負のドーム形成というよりも、むしろ、正の或いは上向きの意味における、即ち、皮膚の一般表面から外向きの優先的なドーム形成として理解されるべきである。これは本発明の以下の記載から直ちに明らかになるであろう。
【0010】
接触手段は、好ましくは、ドーム形成される皮膚が孔を通じて突出するよう、皮膚をドーム形成するための孔を含み、切断構成は、接触手段の孔を横断して通り孔に隣接するドーム形成される皮膚を除去するよう構成される。
【0011】
装置は、1つ又は他の抜取り又は送出しのために使用され得る。特定の実施態様において、装置は抜取り及び送出しの両方のために使用され得る。
【0012】
第二の特徴によれば、本発明は、皮膚バリヤを介して物質を抜き取り且つ/或いは物質を送り出すための方法であって、当該方法は、皮膚を制御された方法でドーム形成するステップと、皮膚バリヤ内に開口を形成するようドーム形成される皮膚を取り除くための皮膚除去構成を動作するステップと、切断ゾーンに存在する間質流体又は他の物質を抜き取るか、且つ/或いは、切断ゾーンを通じて皮膚の外部から物質を送り出すステップとを含む。
【0013】
接触手段の孔は、好ましくは、孔内の皮膚のドーム形成を助ける傾斜楔状縁部を有する。孔のこの楔形状縁部は、比較的より広い遠位開放部分から比較的より狭い近位開放部分に延在する。ブレードは、典型的には、より狭い近位開放部分の近くを通る。典型的には、装置は、皮膚接触ラメラ(lamella)構成を含み、ラメラは孔に楔形状終端を有し、皮膚のドーム形成を助ける傾斜表面を定める。孔は、典型的には、円形であり得るが、長方形又は正方形のような他の形状の孔、或いは、細長いスリット又はスロットも利用され得る。
【0014】
本技法は、(例えば、2つのラメラの間に)正確にドーム形成される皮膚と、制御された平面で皮膚を取り除くブレード(又は他の皮膚除去構成)に依存する。この技法は、皮膚をドーム形成することによって皮膚バリヤ内に極めて小さな開口が正確に且つ反復的に作成されることを可能にする。本技法は、皮膚がドーム形成され、毛が正確に切断され、皮膚を傷付けたり刺激したりすることのない、特定の既知の毛切断(シェービング)技術に類似する。
【0015】
皮膚は、2つ又はそれよりも多くのラメラの間にドーム形成され、皮膚開口は、非変形皮膚と平行な平面内で、典型的にはブレードを用いて切断することによって極めて良く作成される。これが、顕微針によって開口を作成する方法、即ち、針を非変形皮膚に対して垂直な方向へ針を移動することが開口を作成する方法のような従来技術の技法との大きな相違である。良く制御されたラメラの厚さ及び開口の形状及びサイズ並びにブレードの移動の故に、ドーム形成は極めて良く制御され得るので、神経に当たることなしに極めて小さな開口を作成することが可能であり、これは本方法を効果的に無痛にする。さらに、皮膚の開口直径及びドーム形成を変更することによって、開口の厚さ並びに開口の幅を制御することも可能である。
【0016】
本発明の他の利点は、切り落とされる皮膚が開口を遮断しないことである。何故ならば、ブレードの動作方向の故に、それは開口から離れてブレードによって除去され得るからである。
【0017】
本発明は、添付の図面を参照して一例によってさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照すると、初めに図1a及び図1bを参照すると、ラメラ1,2によって定められる端部を有する皮膚接触プローブを含む装置が示されており、ラメラの間に孔3を定めている。ラメラは、孔3に楔形状の終端を有し、記載されるように、皮膚5のドーム形成を助ける傾斜表面4を定めている。ブレード7が、ラメラ1,2に近接して隣接するスライス平面内で孔を横断して通るよう構成されている。
【0019】
ラメラ1,2の間に定められる孔3は、典型的には、円形であるが、長方形、又は、正方形のような他の形状でもよく、或いは、楕円形も可能である。皮膚内に開口を作成するために使用されるブレード7は、図1a中に描写されるように、回転され得るし、或いは、それは複数の回転ブレードであってもよい。さらに、皮膚は、図1bに示されるような、2つの振動/往復動ブレード7a,7bの組み合わせによっても切断され得る。皮膚内の開口は、ブレードの1回のストロークで作成され得るが、ブレードとの一連の接触においても作成され得る。その場合には、各接触で、皮膚の小さな層が取り除かれる。ラメラ内に複数の穴を配置することによって、皮膚に一連の穴を作成することが可能である。皮膚バリア内の開口は、研削、グレージング(grazing)、スクレーピング(scraping)、又は、他の同様の技法を用いても形成され得る。しかしながら、ブレードを用いたきれいな切断が好適な技法として想定される。
【0020】
他の構造的な方法に対するこの方法の主要な相違は、皮膚がラメラ内の孔の間に或いは2つ又はそれよりも多くのラメラの間にドーム形成され、皮膚開口が非変形皮膚と平行な平面内を移動するブレードを用いて切断することによって極めて良好に作成されることである。これは顕微針によって開口を作成する方法との大きな相違であり、その場合には、非変形皮膚に対して垂直な方向への針の移動が開口を作成する。
【0021】
良く制御されたラメラの厚さ及び開口の形状並びにブレードの動作の故に、ドーム形成は極めて良く制御され得るので、神経に当たらずに極めて小さな開口を作成することが可能であり、これは本方法を直ちに無痛にする。さらに、開口の直径及び皮膚のドーム形成を変更することによって、開口の厚さ並びに開口の幅を制御することも可能である。本方法の他の利点は、切り落とされる皮膚が開口を遮断しないことである。何故ならば、ブレードの回転の方向の故に、それはブレードによって開口から離れるよう取り除かれるからである。
【0022】
皮膚とラメラとの間の直接的接触の故に、本方法は極めて良好な封止をもたらす。(図2に示されるような)真空装置8を使用して真空加えることによって、皮膚のドーム形成は増大され得る。従来的には、正圧を加えることによって、皮膚ドーム形成は減少される。加えられる真空或いは加えられる正流体圧の使用は、皮膚の切断が行われる前に神経が刺激され得るという効果を有する。これは痛みの改善のための追加の安全ステップであり得る。
【0023】
皮膚内の開口が本発明の技法によって作成されるとき、例えば、図3a及び3bに描写されるように、穴の上に配置される中空開口を備える導管又は管9を使用するために、間質流体を皮膚から抽出することが可能である。3aの構成において、管9はブレード7の終端に取り付けられている。間質流体は、毛管作用によって或いは管の端部で真空を加えることによって開口に流入する。真空は、例えば、図3aに示されるような極めて小さなファン10を回転することによって加えられ得る。真空を加えることの利点は、皮膚内の穴がラメラ1,2間の開口に対して極めて良好に配置されることである。他の方法は、図3bに示されるような他のアクチュエータ11,12によって皮膚に対して圧力を加えることによって、間質流体を人体から強制的に出す。
【0024】
間質流体又は体液を穴から取り除くための他の方法は、図4に示されるように、薄いラメラ1,2内への極めて精細な連絡ボア13を作成することである。皮膚はこれらの穴を通じてドーム形成し得ないが、間質流体は、例えば、毛管作用を用いて通り得る。この方法は、皮膚内の開口がラメラ内の開口の前に正確に整列される必要がないことである。加えられる吸引真空で回転する中空管14は、ボア13を通じて進入する液体を除去することができる。液体の毛管輸送は、皮膚と接触するラメラの側に小さな溝を配置することによって増大され得る。
【0025】
帯又は他の方法を用いて皮膚内の開口ゾーンの場所をラメラ内の孔の場所と固定することも選択肢であり得る。
【0026】
(図5に示される)本発明の1つの実施態様では、(針、導管、又は、管のような)構造15が皮膚内の切断開口17内に挿入されることが想定される。この構造15の進入深さは、例えば、基準としてラメラ1,2を有するコイル及び磁石キャリッジ構造19を用いて機械的に制御され得る。光記録技術において使用される構成のような他の方法が、構造の深さを制御するために使用され得る。
【0027】
本発明は、切り口又は穴17を別個に形成することによって切り口又は穴17を通じて進入する送出し又は抜取り構造15が、鈍くあることができるか或いはプラスチック又は他の材料から成ることができ、皮膚を損傷すること或いは構造15の端部を遮断することの問題を余り示さない点で、針又は他の導管の端部が皮膚を貫通し或いは切り込むために使用される技法に対して利点を有する。また、構造15は、切り口又は穴17と比べて異なるサイズであり得る。このようにして、流体は皮膚を通じてより容易に除去され或いは注入され得る。本方法は、皮膚上にあり得る不純物が、皮膚除去手段の皮膚に対する動作の平行成分の故に、皮膚バリヤが皮膚除去手段によって開放される地域から先ず取り除かれるという利点も有する。さらに、図5に描写されるようなシステムは、力変換器20と、図示されないラメラ移動手段とを備え得る。ラメラ1,2内の孔3が皮膚内の開口17と整列されないとき、変換器20によって測定される中空構造上の力はより大きく、開口17の位置がラメラプローブと整列されるまで、ラメラプローブの調節動作が行われる。このようにして、本発明は、皮膚内の穴を探すための自動システムを提供する。この機構は図5及び6中に構成される構造と比較することによって見られ得る。
【0028】
抜き取られる間質流体は、ブドウ糖、乳酸等のような関心のある分子を検出するために、或いは、幾つかの異なる分子の組み合わせさえをも検出するために分析され得る。さらに、DNAを直接的に検出することも可能である。この分析は、ラメラプローブも支持し或いは組み込む結合装置に載置される分析器において行われ得る。載置ラメラプローブを、場合によっては、分析器も、場合によっては、追加的に或いは代替的に、(薬剤供給構成のような)物質供給構造を有する装着可能な装置も提供され得る。代替的に、分析は遠隔的に遂行され得る。
【0029】
本発明は、ここまで、物質抜取りに関して主として記載されたが、同様に経皮的な方法での物質(薬物等)の送出しに関しても重要な側面がある。
【0030】
典型的には流体形態の物質を皮膚内に作成される切り口又は穴を通じて適用する幾つかの方法がある。これは前述された間質液体の抜取りと類似の方法で達成され得る。流体の抜取り及び注入のために類似の中空管が使用され得るが、別個の管も使用され得る。追加的に、貯槽24から皮膚17内の切り口又は穴と同時整列される供給孔25を通じて流体を押圧するためにピストンを使用する他の方法が使用され得る。同様に、インクジェット印刷のために使用される技法に類似する技法を用いて極めて良く制御された方法で液体を適用することが利用され得る。全ての方法を用いるならば、薬物の流体流れ速度を特別な供給プログラムに従って制御することが可能であり、しばしば望ましい。
【0031】
本発明の特定の実施態様において、装置は、間質流体の抜取り並びに人体内への(典型的には流体形態の)物質の送出しが組み合わせられ得る装置を含む。1つの実施態様では、間質液体の抜取りのために皮膚内の幾つかの切り口穴が使用され得る。この測定の結果は、薬物を供給する決定を生成し得る。薬物の投与量は適切なレベルに調節され得るし、前に議論された方法で適用され得る。この方法は、電池を備える極めて小さなモータを用いて装着可能な装置において行われ得る。
【0032】
他の方法は、図8の平面図に示されるような機能の組み合わせを備える回転システムを作成することである。回転コンベヤは、殺菌液又は抗菌剤の塗布を可能にする殺菌ステーション(1)と、前に議論された皮膚ドーム形成法によって皮膚内に切り口穴を形成することを可能にする切断ステーション(2)とを支持する。抜取りステーション(3)では、間質液体が抜き取られ且つ分析され得る(3)。この結果の結果に基づいて、適切な薬物投与量が適用供給ステーション(4)から適用され得る。全ての4つのステーションのために同一の位置が使用され得る。しかしながら、同様に、皮膚上の異なる位置も使用され得る。さらに、余分な機能、例えば、使用後の皮膚のより迅速な治癒の促進のための物質が追加され得る。一回だけ使用され得る使い捨てカートリッジを作成することも可能である。このカートリッジは、体液の抜取り及び使い捨てカートリッジ無いの液体の注入のための駆動ユニットと組み合わせられ得る。
【0033】
間質流体を得て分析する本発明に従った使用のための例示的装置が、図9a乃至9cに示されている。図示の構成において、プローブ111は、複数の孔103を含むラメラ箔101を終端に含む。回転ブレード構成107が、ラメラ箔101内の孔103によってドーム形成され且つ孔を通じて突出する複数のブレードを含む。
【0034】
動作中、間質流体は、ブレード構成から外向きに径方向に突出され、円周方向の吸収性試験ストリップ155内に捕捉される。プローブは、試験ストリップ155内に捕捉される間質流体の分析のための分析器プラットフォーム165を含む。各測定の前に試験ストリップ155を取り換えることが可能であるが、1回よりも多い測定のために試験ストリップ材料を収容することも可能である。分析器は十分な皮膚が取り除かれたか否かを測定するために使用され得る。間質流体は、化学反応、バイオセンサ、光透過、反射、又は、放射を使用した物理的測定、流体の電気特性の測定を含む様々な技法によって分析され得るが、それらに限定されない。この分析の結果として、患者に供給される必要のある薬物の量を計算することが可能である。結果は薬物供給装置に表示され或いは通信される。値の履歴が蓄積され得るよう、値が記憶されてもよい。
【0035】
本発明に従った例示的な装置の代替的な実施態様が、図10a乃至10fに示されている。この実施態様において、装置211は使用者の体に固定するためのストラップ270を備える。装置は、装置の本体ハウジング278内の孔276内に受容される回転式カートリッジ275を支持する。カートリッジは、装置の皮膚接触プローブ部分201内に定められる皮膚ドーム形成孔203に隣接するハウジング278内で回転するよう支持される。カートリッジ275は、カートリッジが回転されるときに様々な機能を遂行するよう構成される分節的に離間されたステーションを含む。図10cでは、ブレードステーション207が孔203内に芯出しされ、ブレード構成は角質層をスクレーパ切断するよう作用する。
【0036】
次に、カートリッジは、図10dに示される位置まで回転し、そこでは、測定ステーション289が孔203内に芯出しされ、所要の切断が達成されたか決定するために皮膚ドーム形成又は容量を測定するよう作用する。もし所要の切断が達成されていないならば、カートリッジは回転され、さらなるスクレーパ切断動作並びにその後の測定ステップを遂行するよう最調節される。達成されたものとして所要の切断が測定されるや否や、カートリッジは図10eに示される位置まで回転され、そこで、抜き取られた間質流体はカートリッジの分析ステーション295によって分析される。
【0037】
間質流体は、化学反応、バイオセンサ、光透過、反射、又は、放射を使用する物理的測定、流体の電気特性の測定を含む様々な技法によって分析され得るが、それらに限定されない。この分析の結果として、患者に供給される必要のある薬物の量を計算することが可能である。この分析ステップにおいて計算される値は、供給/投与ステーション265を用いて次の回転位置において投与されるべき薬物を投薬するのに使用され得る。投薬は、接触時間によって、皮膚特性を感知することによって、薬物の量を測定し且つこれを皮膚又は他の手段に接触させることによって規制され得る。スキンケア化粧品、光線療法、殺菌ステップ、又は、皮膚修復を増大する他の処置を用いて皮膚修復を増進するために、追加的なステップが投与ステップの後に提供され得る。然る後、装置は使用者から取り除かれ得るし、或いは、使用者に固定されたままであり得る。
【0038】
特定の実施態様において、物理的に試料を得ることなしに、間質流体又は他の標的材料を切断皮膚を通じて間接的に抜き取ることが可能である。これは、ラマン分光法、光吸収若しくは反射技法、又は、類似方法のような間接的手段を介して達成され得る。これは迅速な結果が得られることを可能にし、これらの技法は本発明に従って適用されることによって増進される。
【0039】
記載されている実施態様において、装置は全体的に使い捨て可能であり得るし、或いは、構成部品部分が使い捨て可能であり得る。同様に、構成部品は交換のために取り外し可能であり得るし、その場合には、取り外された構成部分は交換のために改修され得るし、或いは、代替的に、廃棄され得る。例えば、図9の実施態様において、吸収性試験ストリップ155は、使用及び分析の後に取り外されて廃棄され得るし、後続の使用のために取り換えられ得る。代替的に、ラメラ箔101と分析器プラットフォーム165とを含む小組立体の全体が、同等の小組立体いよって交換されるよう使い捨て可能であり得る。
【0040】
同様に、図10の実施態様において、回転式カートリッジ275は、新しい交換カートリッジと交換されるよう取り外されて廃棄され得る。そのような実施態様では、ブレードステーション207、測定ステーション289、分析ステーション295、及び、供給/投与ステーション265は、全て効果的に使い捨て可能である。他の想定される実施態様では、一部の構成部品又はステーションは使い捨て可能であるのに対し、他は使い捨て可能でないように構成される。
【0041】
記載された実施態様は本発明を例証するものであり、本発明の範囲を制限するよう解釈されるべきではないことが付記されるべきである。特に、当業者であれば、それぞれの実施態様において独立して別個に記載された機能が本発明の精神及び範囲内で組み合わせられ得ることを直ちに理解するであろう。「含む」(comprise)及び「含む」(include)という用語は、他の品目、完全体、又は、機能の存在が排除されるものと解釈されるべきではないし、他の品目、完全体、又は、機能の存在が存在する可能性を排除しない。物質分析及び医薬の投与のようなステップへの具体的な言及は、最広義において、抜取り装置を具体的に載置的に或いは具体的に遠隔的に遂行されることを制限するよう理解されるべきではなく、両方の状態を包含するものとして可能な限り広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】本発明に従った技法を示す概略図である。
【図1b】本発明に従った技法を示す概略図である。
【図2】修正された技法を示す概略図である。
【図3a】技法へのさらなる修正を示す概略図である。
【図3b】技法へのさらなる修正を示す概略図である。
【図4】さらなる修正された技法を示す概略図である。
【図5】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図6】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図7】本発明のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図8】回転コンベヤの形態のさらなる修正された実施態様を示す概略図である。
【図9a】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図9b】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図9c】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10a】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10b】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10c】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10d】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10e】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【図10f】本発明に従ったさらなる代替的な実施態様を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚バリヤを介した物質抜取り及び/又は物質送出しのための装置であって、皮膚をドーム形成し取り除くための手段を含む装置。
【請求項2】
当該装置は、前記皮膚と接触するための接触手段を含み、前記皮膚をドーム形成するためのドーム形成手段と、該ドーム形成手段に隣接するドーム形成される皮膚の層の近くを通り除去するよう構成される皮膚除去手段とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドーム形成手段は、孔を含み、前記ドーム形成される皮膚は、前記隣接する孔を横断して通る前記皮膚除去構成を用いて除去されるよう、前記孔を通じて突出する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
物質抜取り及び/又は物質送出しは、当該装置内の前記ドーム形成孔を介して行われる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記皮膚除去構成は、前記ドーム形成ゾーンの外側の前記皮膚の表面と概ね実質的に平行なスライス平面において前記ドーム形成手段を横断して通るブレード又はスクレーパ素子を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
i)前記皮膚の前記皮膚除去ゾーンから通る流体の試料を捕捉するための捕捉手段と、
ii)前記皮膚の前記皮膚除去ゾーンを横断する物質の動作を促進するよう配置される補助手段と、
iii)抜き取られる物質を分析するための分析手段と、
iv)前記皮膚内の開口を介して医薬を投与するための投与手段と、
v)個人の人体又は人体部分に固定するための固定手段とを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記皮膚の前記開口内に進入するよう挿入されるよう構成される送出し又は抽出導管をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
間質流体の抜取りのない前記皮膚バリヤ内の前記開口を介した非侵襲的抜き取りのための非侵襲的抜取り構成を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
i)捕捉される試料の保管のための捕捉手段を含み、該捕捉手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能であり、
ii)抜き取られる試料を分析するための分析手段を含み、該分析手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能であり、
iii)医薬の投与のための投与手段を含み、該投与手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能である、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
皮膚バリヤを介して物質を抜き取り且つ/或いは物質を送り出すための方法であって、当該方法は、皮膚を制御された方法でドーム形成するステップと、前記皮膚バリヤ内に開口を形成するようドーム形成される皮膚を取り除くための皮膚除去構成を動作するステップと、前記切断ゾーンに存在する間質流体又は他の物質を抜き取るか、且つ/或いは、前記切断ゾーンを通じて前記皮膚の外部から物質を送り出すステップとを含む方法。
【請求項1】
皮膚バリヤを介した物質抜取り及び/又は物質送出しのための装置であって、皮膚をドーム形成し取り除くための手段を含む装置。
【請求項2】
当該装置は、前記皮膚と接触するための接触手段を含み、前記皮膚をドーム形成するためのドーム形成手段と、該ドーム形成手段に隣接するドーム形成される皮膚の層の近くを通り除去するよう構成される皮膚除去手段とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドーム形成手段は、孔を含み、前記ドーム形成される皮膚は、前記隣接する孔を横断して通る前記皮膚除去構成を用いて除去されるよう、前記孔を通じて突出する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
物質抜取り及び/又は物質送出しは、当該装置内の前記ドーム形成孔を介して行われる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記皮膚除去構成は、前記ドーム形成ゾーンの外側の前記皮膚の表面と概ね実質的に平行なスライス平面において前記ドーム形成手段を横断して通るブレード又はスクレーパ素子を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
i)前記皮膚の前記皮膚除去ゾーンから通る流体の試料を捕捉するための捕捉手段と、
ii)前記皮膚の前記皮膚除去ゾーンを横断する物質の動作を促進するよう配置される補助手段と、
iii)抜き取られる物質を分析するための分析手段と、
iv)前記皮膚内の開口を介して医薬を投与するための投与手段と、
v)個人の人体又は人体部分に固定するための固定手段とを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記皮膚の前記開口内に進入するよう挿入されるよう構成される送出し又は抽出導管をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
間質流体の抜取りのない前記皮膚バリヤ内の前記開口を介した非侵襲的抜き取りのための非侵襲的抜取り構成を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
i)捕捉される試料の保管のための捕捉手段を含み、該捕捉手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能であり、
ii)抜き取られる試料を分析するための分析手段を含み、該分析手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能であり、
iii)医薬の投与のための投与手段を含み、該投与手段(又はその1つ又はそれよりも多くの構成部品)は、同等交換されるよう当該装置から取り外し可能であり且つ使い捨て可能である、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
皮膚バリヤを介して物質を抜き取り且つ/或いは物質を送り出すための方法であって、当該方法は、皮膚を制御された方法でドーム形成するステップと、前記皮膚バリヤ内に開口を形成するようドーム形成される皮膚を取り除くための皮膚除去構成を動作するステップと、前記切断ゾーンに存在する間質流体又は他の物質を抜き取るか、且つ/或いは、前記切断ゾーンを通じて前記皮膚の外部から物質を送り出すステップとを含む方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【公表番号】特表2009−509576(P2009−509576A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531863(P2008−531863)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053435
【国際公開番号】WO2007/034438
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053435
【国際公開番号】WO2007/034438
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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