説明

皮膚を再ミネラル強化し若返らせるミネラル水含有の化粧品

本発明は人の皮膚の再ミネラル強化と皮膚の加齢の影響を妨げるために用いられる化粧品組成物に関する。本発明によれば、前記組成物は0.01−0.05mg/lのFe、100−300mg/lのK、1,000−2,000mg/lのNa、80−200mg/lのMg、50−150mg/lのCa、50−150mg/lのSi、0.01−0.1mg/lのP、0.001−0.005mg/lのSe、0.01−0.03mg/lmのZnを含む火山源の水0.5−3重量%を含む。さらに、組成物は任意に0.2−0.8重量%の海フェンエルCrithmum maritimumの抽出物、0.3ないし0.9重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lysおよび0.8ないし1.25重量%の加水分解した大豆タンパク質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトの皮膚をミネラル強化し老化の影響を相殺するために用いられる化粧用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧用目的のミネラル水の使用は知られている。特許文献1には、化粧用組成物が記載されており、刺激効果をもつ少なくとも1の活性剤、例えばサリチル酸、α−ヒドロキシ酸、レチノイドまたは過酸化ベンゾイル、および、ミネラルの含量が少なくとも700mg/lのミネラル水または熱水から選択された少なくとも1の鎮静剤、および少なくとも360mg/lの全濃度の炭酸塩および重炭酸塩を含む。
さらに、特許文献2には、皮膚弾性の減少を減らすための方法が記載され、少なくとも200mg/lのミネラルを含みその30−150mg/lがCaと10−50mg/lがMgのミネラル水の使用を含む。
【特許文献1】欧州特許第699432B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1170002号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は長続きする再ミネラル強化の性質をもつ化粧品を提供することである。他の目的は若返りし抗老化効果に再ミネラル強化効果を追加することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、皮膚を再ミネラル強化し若返らせるための化粧品は、化粧用補助剤または担体さらに活性剤に加えて、
0.01−0.05mg/lの鉄
100−300mg/lのカリウム
1,000−2,000mg/lのナトリウム
80−200mg/lのマグネシウム
50−150mg/lのカルシウム
50−150mg/lの珪素(SiOとして)
0.01−0.1mg/lのリン
0.001−0.005mg/lのセレニウム
0.01−0.03mg/lの亜鉛
を含む0.5ないし3重量%の火山起源の水を含む。
【0005】
地上の火山湖からの火山水の使用は皮膚の顕著な再敏感化をもたらし、50から65才の老化プロセスの間に50%まで感受性を減少する。この場合に、表皮中の皮膚のバリヤ機能は、特に角質層で、改善されている。角質層は皮膚の弾性と柔軟性、すなわち機械的性質を決定するので加湿されることが特に重要である。角質層では、水はふたつの熱力学的形態:種々のイオンまたは分子が溶解するフリーの水として、および角質層の脂質およびタンパク質と相互作用する結合水として存在する。結合水は全体の20−30%までを構成する。乾燥した皮膚では、基礎層を介して皮膚表面に真皮から輸送されるフリー水が失われ、さらに角質橋小体減成の原因である酵素に結合する水の量が減少する。その結果、皮膚の柔軟性と弾性が減少する。
【0006】
さらに、NMF(自然加湿要素)として知られいくつかのイオン、例えばNa、K、Ca、Cl、リンおよびある種の有機酸、例えば尿素およびアミノ酸を含む角質層での吸湿性物質の繊細なバランスが狂う。
その形態および組成が皮膚の感受性に適合し従って皮膚の永続的再ミネラル強化に寄与するために適した種々のミネラルが火山水には豊富であることが見出された。長期にわたってミネラル岩石から溶け出したミネラルイオン、例えば鉄、セレニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムおよびリンは酵素の生化学反応において補助因子として働き、加齢皮膚にも前記イオンの構成に関して皮膚の自然構造に近くなるように寄与する。これはNaとKの両方にあてはまり、水含量を制御するために重要であり、またCa、MgおよびPは、細胞の加齢および成長プロセスにおいて決定的な役を演じる。
【0007】
本発明の組成物は既知の熱水およびミネラル水と対照的に、ごく少量の炭酸塩および重炭酸塩のみ、すなわち全量で1−2mg/lを含み、非常に大量のNa、MgおよびSi、同時に皮膚に十分な濃度のP、SeおよびZnを含み、長期間後にも、既知の方法(Cutometer)を用いる弾性測定での意外な高い値を示す。
クレルモン−フェランド(フランス)付近の火山湖の水を用いることが好ましい。
本発明の第二の例では、化粧品は追加の活性剤としてアツケシソウCrithmum maritimumからの0.01ないし2重量%の抽出物を含む。アツケシソウ抽出物はセラミドの合成に有意に影響し、例えば濃度1%が約70%セラミド合成を改善することが見出された。
【0008】
本発明の第三の例では、化粧品は追加の活性剤としてプロピレングリコール中ペプチドパルミトイル−gly−his−lysの0.01ないし2重量%の溶液を含み、好ましくはアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物0.01ないし2重量%と組み合わせる。この方法では、繊維芽細胞によるヒアルロン酸合成のようにコラーゲン合成が刺激される。ペプチドは約100mg/lの濃度(または0.001ないし0.2%のペプチド)でプロピレングリコールに溶解される。
【0009】
本発明の第四の例では、化粧品は追加の活性剤として0.01ないし5重量%の加水分解した大豆タンパク質を含み、好ましくはアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物0.01ないし2重量%およびペプチドパルミトイル−gly−his−lysの0.01ないし2重量%と組合せる。この組み合わせでは、化粧品は通常の加湿剤の追加なしで数時間加湿効果が持続し、同時に8時間後にも約35%で小さい皮膚のしわを減らす。
【0010】
本発明の第五では、化粧品は追加の活性剤としてアルコールベースと植物抽出物の混合物を含み、0.2重量%の緑コーヒー豆からの抽出物、0.2重量%のCameria sinensisの葉からの抽出物、0.2重量%のPonagamia pinnataからの抽出物およびAngerica archangelicaの根からの抽出物および99.2重量%のエタノールからなる。前記混合物は、その活性剤がリポソームに封入されておらず、化粧品の全量に対して0.1ないし2重量%に構成することができる。このような活性混合物は意外にもmgにつき約1,800のラジカルの高いラジカル保護(RPF)をもつことが見出された。これは式RPF=(RC×RF)/PI(式中、RF=(S−S)/S;RC=テスト物質の濃度(ラジカル/ml);PI=活性製剤の濃度(mg/ml)(WO99/66881による測定)による化粧品活性製剤のESR測定結果と比較して、電子スピン共鳴(ESR)によってテスト物質(S)の溶液中フリーラジカルの数を測定して決定される。
【0011】
さらに本化粧品は、このような製剤に通常用いられるような一定の化粧品補助剤および担体、例えば水、保存剤、着色剤、着色効果をもつ顔料、シックナー、芳香剤、アルコール、ポリオール、エステル、電解液、ゲル形成剤、シリコーン油、ポリマー、コポリマー、乳化剤、安定剤を含む。
さらに化粧用活性剤を含むことができ、例えば無機および有機の日焼け止め剤、加湿剤、酵素その他の植物を基礎とした活性剤がある。
【0012】
特に好ましい化粧品組成物は0.08ないし1.4重量%の火山起源の水、0.2ないし0.8重量%のアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物、0.3ないし0.9重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lys、および0.8ないし1.25重量%の加水分解した大豆タンパク質を含む皮膚バルム剤の形で提供されるものであり、さらに1−4重量%のグリセリン、1−5重量%のブチレングリコールまたはプロピレングリコール、2−4重量%のセテアリルアルコール、6−9重量%のジカプリルカーボネート、0.5−1.3重量%のフェノキシエタノール、0.1−0.5重量%のクロルフェネシン、2.5−4重量%のBeheneth−25、6−9重量%のシアバター、2−4重量%の改変トウモロコシ澱粉粉、2.5−4重量%のSimulgel NS、1−3.5重量%のジメチコーン、0.05−0.5重量%の着色料、0.05−0.2重量%の着色料用の有機日焼け止め剤、0.1−0.5重量%の保存料、0.05−0.2重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムおよび0.1−0.5重量%の、0.2重量%の緑コーヒー豆、0.2重量%のCameria sinensis葉、0.2重量%のPonagamia pinnata、0.2重量%のアンゼリカ根および99.2重量%のエタノールからなる植物からのアルコール抽出物を含む。残りは100重量%までの蒸留水である。
【0013】
さらに特に好ましい化粧用組成物は通常または油性の皮膚のための非常に加湿化したゲルの形で提供されるものであり、0.08ないし1.4重量%の火山起源の水、0.2ないし0.8重量%のアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物、0.3ないし0.9重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lysおよび0.8ないし1.25重量%の加水分解した大豆タンパク質を含み、さらに10−14重量%のシクロメチコン、0.5−2重量%のフェニルトリメチコン、1−5重量%のブチレングリコールまたはプロピレングリコール、3−5重量%のエタノール、0.1−0.5重量%のクロルフェネシン、2−4重量%のメチルメタクリレートクロスポリマー粉末、2.5−4重量%のSimulgel NS、1−3.5重量%のジメチコン、0.05−0.5重量%の着色料、0.1−0.5重量%の保存料、0.1−0.5重量%の上記植物からのアルコール抽出物、0.1−0.5重量%の香料、残りは100重量%までの蒸留水を含む。
以下、さらに詳細に本発明を実施例によって説明する。全量は特記しないかぎり重量%である。
【実施例1】
【0014】
加湿皮膚香油
相A
水 q.s. ad 100
グリセリン 2.0
ブチレングリコール 2.0
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 0.1
保存料 0.4
pH調整剤 0.3
相B
Beheneth−25 3.3
セテアリルアルコール 2.7
ジカプリルカーボネート 8.5
シアバター 7.2
フェノキシエタノール 0.9
改変トウモロコシ澱粉粉 3.0
ジメチコン 1.4
Simulgel(登録商標)NS 3.5
相C
着色料 0.1
火山起源水 1.0
ペプチドパルミトイル−gly−his−lys
0.5
植物からのアルコール抽出物の混合物* 0.2
Crithmum maritimum抽出物0.5
加水分解大豆タンパク質 1.0
ベンゾフェノン−4(着色料用) 0.4
*0.2重量%のコーヒー豆の種子、0.2重量%のCamellia sinensis葉、0.2重量%のPonagamia pinnata、0.2重量%のアンゼリカ根および99.2重量%のエタノールからなる。
相AおよびBは別々に約60℃で混合され、相Cは約35℃で混合され、全3相を約35℃で攪拌しながら一緒に合わせる。
【実施例2】
【0015】
加湿ゲル
相A
水 q.s. ad 100
Simulgel(登録商標)NS 3.2
プロピレングリコール 4.0
pH調整剤 0.3
メチルメタクリレートクロスポリマー 1.2
相B
シクロメチコン 11.5
ジメチコン 3.0
フェニルトリメチコン 1.0
ペプチドパルミトイル−gly−his−lys
0.5
相C
エタノール 4.0
相D
着色料 0.3
香料 0.2
保存料 0.3
火山起源の水 1.0
植物からのアルコール抽出物の混合物* 0.2
Crithmum maritimum抽出物0.5
加水分解大豆タンパク質 1.0
*0.2重量%のコーヒー豆の種子、0.2重量%のCamellia sinensis葉、0.2重量%のPonagamia pinnata、0.2重量%のアンゼリカ根および99.2重量%のエタノールからなる。
相AおよびBは別々に約60℃で混合され、相CおよびDは約35℃で混合され、全4相を約35℃で攪拌しながら一緒に合わせる。
【実施例3】
【0016】
弾性測定
皮膚の粘弾性をCutometer SEM575(登録商標)(Courage+Khazaka、Cologne、ドイツ)を用い、500mbarの吸引圧を加えて測定した。直径2mm測定の皮膚領域を10秒間一定の吸引圧で吸引し、次いで皮膚の浸透深度を測定しながら圧を弛めた。U/U比(弾性変形に従う粘弾性回復/減圧中の皮膚の弾性変形)を測定した。
測定は18人のテスト者のグループのふくらはぎで行い、テスト者を22℃プラスマイナス2.5℃で30%の相対的空気湿度で20分間、1日に1回3週間にわたり行った。
1日に2回ふくらはぎに塗った実施例1による香油(試料A)は、これも1日に2回塗った実施例1による香油(試料B、相Cがない)と比較し、3日後に10%、6日後に18%、14日後に22%のU/U比の増加を示した。3週間後、試料Aの曲線は漸近線に似ていたが、試料Bの曲線は落ちていた。これは、試料Aの値が3週間後に試料Bのそれよりも25%高いことを意味し、本発明の添加剤が長期の効果があることを明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用補助剤または担体さらに活性剤に加えて、
0.01−0.05mg/lの鉄
100−300mg/lのカリウム
1,000−2,000mg/lのナトリウム
80−200mg/lのマグネシウム
50−150mg/lのカルシウム
50−150mg/lの珪素(SiOとして)
0.01−0.1mg/lのリン
0.001−0.005mg/lのセレニウム
0.01−0.03mg/lの亜鉛
を含む0.5ないし3重量%の火山起源の水を含む、皮膚を再ミネラル強化し若返らせるための化粧品。
【請求項2】
前記化粧品が追加の活性剤としてアツケシソウCrithmum maritimumからの0.01ないし2重量%の抽出物を含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項3】
前記化粧品が、プロピレングリコール中ペプチドパルミトイル−gly−his−lysの0.01ないし2重量%の溶液と組合せて、追加の活性剤としてアツケシソウCrithmum maritimumからの0.01ないし2重量%の抽出物を含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項4】
前記化粧品が、0.01ないし2重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lysおよび0.01ないし5重量%の加水分解大豆タンパク質と組合せて、追加の活性剤としてアツケシソウCrithmum maritimumからの0.01ないし2重量%の抽出物を含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項5】
前記火山起源の水が火山湖からの表面水である、請求項1記載の化粧品。
【請求項6】
前記火山起源の水が火山隣接付近からの地下水である、請求項1記載の化粧品。
【請求項7】
前記化粧品が0.0025−0.05mg/lの鉄
170−300mg/lのカリウム
1,600−2,000mg/lのナトリウム
130−200mg/lのマグネシウム
90−150mg/lのカルシウム
90−150mg/lの珪素(SiOとして)
0.06−0.1mg/lのリン
0.003−0.005mg/lのセレニウム
0.02−0.03mg/lの亜鉛
を含む火山起源の水を含む、請求項1記載の化粧品。
【請求項8】
前記化粧品が、0.08ないし1.4重量%の火山起源水、0,2ないし0.8重量%のアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物、0.3ないし0.9重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lysおよび0.8ないし1.25重量%の加水分解大豆タンパク質を含む加湿皮膚香油であり、さらに
1−4重量%のグリセリン
1−5重量%のブチレングリコールまたはプロピレングリコール
2−4重量%のセテアリルアルコール
6−9重量%のジカプリルカーボネート
0.5−1.3重量%のフェノキシエタノール
0.1−0.5重量%のクロルフェネシン
2.5−4重量%のBeheneth−25
6−9重量%のシアバター
2−4重量%の改変トウモロコシ澱粉粉
2.5−4重量%のSimulgel NS
1−3.5重量%のジメチコン
0.05−0.5重量%の着色料
0.05−0.2重量%の着色料用有機日焼け止め剤
0.1−0.5重量%の保存料
0.2重量%の緑コーヒー豆、0.2重量%のCameria sinensis葉、0.2重量%のPonagamia pinnata、0.2重量%のアンゼリカ根および99.2重量%のエタノール
からなる植物からのアルコール抽出物混合物0.1−0.5重量%
0.05−0.2重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
残りは100重量%までの蒸留水
を含む、請求項4記載の化粧品。
【請求項9】
前記化粧品が、0.08ないし1.4重量%の火山起源水、0.2ないし0.8重量%のアツケシソウCrithmum maritimumからの抽出物、0.3ないし0.9重量%のペプチドパルミトイル−gly−his−lysおよび0.8ないし1.25重量%の加水分解大豆タンパク質を含むゲルであり、さらに
10−14重量%のシクロメチコン
0.5−2重量%のフェニルトリメチコン
1−5重量%のブチレングリコールまたはプロピレングリコール
3−5重量%のエタノール
0.1−0.5重量%のクロルフェネシン
2−4重量%の粉末メチルメタクリレートクロスポリマー
2.5−4重量%のSimulgel NS
1−3.5重量%のジメチコン
0.05−0.5重量%の着色料
0.1−0.5重量%の保存料
0.2重量%のコーヒー豆、0.2重量%のCameria sinensis葉、0.2重量%のPonagamia pinnata、0.2重量%のアンゼリカ根および99.2重量%のエタノール
からなる植物からのアルコール抽出物混合物0.1−0.5重量%
0.1−0.5重量%香料
残りは100重量%までの蒸留水
を含む、請求項4記載の化粧品。

【公表番号】特表2007−501265(P2007−501265A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529906(P2006−529906)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005543
【国際公開番号】WO2004/105717
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500080007)
【Fターム(参考)】