説明

皮膚を貫通する微小突起の被覆方法

剤を含有する液体コーティングを、極めて小型の皮膚を貫通する微小突起(12)に選択的に塗布するための装置(10)および方法が提供される。該コーティング溶液は、皮膚を貫通する微小突起(12)の予め決められた部分のみを選択的に被覆するコーティング技術を使用して、皮膚を貫通する微小突起(12)に塗布される。多様なフォトレジストおよび疎水性コーティングの使用により、微小突起および/若しくは微小突起(12)アレイの定義されたおよび正確な部分を、剤の製剤で被覆し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚中へ若しくは皮膚を通しての剤の経皮送達を提供するための皮膚を貫通する微小突起の被覆方法に関する。より具体的には、本発明は、微小突起の予め決められた領域に正確に配置された治療上有効な薬剤(例えば薬物若しくはワクチン)の水分を含まないコーティングを有する皮膚を貫通する微小突起を使用して、皮膚中へ若しくは皮膚を通して該剤を投与するための経皮薬物送達系の作成方法に関する。薬剤の送達は、該微小突起が患者の皮膚を貫通しかつ患者の間質液が有効成分と接触しかつそれを溶解する場合に達成される。
【背景技術】
【0002】
経皮薬物送達系は、一般に、薬物を投与するために受動拡散に頼る一方、能動的経皮薬物送達系は薬物を送達するために外的エネルギー源(例えば電気、超音波エネルギー若しくは熱)に頼る。受動的経皮薬物送達系がより一般的である。受動的経皮系は、典型的には、高濃度の薬物を含有しかつ皮膚(ここで薬物が皮膚を通りかつ患者の身体組織若しくは血流中に拡散する)と接触するよう適合されている薬物リザーバを包含する。経皮薬物流動は、皮膚の状態、薬物分子の大きさおよび物理/化学特性、多様な浸透増強剤の存在、ならびに皮膚を横断する濃度勾配に依存する。多くの薬物に対する低い皮膚浸透性のため、経皮送達は制限された応用を有していた。この低浸透性は、主として角質層(脂質二重層により囲まれたケラチン線維で満たされた平坦な死んだ細胞(ケラチノサイト)よりなる最外皮膚層)に帰される。脂質二重層の高度に秩序正しい構造が、角質層に比較的不浸透性の特徴を付与する。
【0003】
受動的経皮拡散による薬物流動の一増大方法は、経皮送達されている剤の量を高めるために、最外皮膚層に機械的に浸透すなわちそれらを破壊しかつそれにより皮膚中への経路を創製することを必要とする。表面剥離機として知られる初期のワクチン接種装置は、一般に、皮膚に適用されて適用の領域で引っ掻くすなわち小切創を作成する複数の尖叉若しくは針を包含する。ワクチンは、特許文献1に開示されるとおり皮膚上に、若しくは特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されるとおり表面剥離機の尖叉に塗布された水分を含む液体として、若しくは特許文献5に開示されるとおり表面剥離機の尖叉上およびそれらの間の水分を含まないコーティングとしてのいずれかで局所適用された。表面剥離機は、部分的に、患者の免疫において有効であるためには非常に少量のワクチンのみが皮膚中に送達される必要があるために、皮内ワクチン送達に示唆された。さらに、過剰の量ならびに最小量が満足すべき免疫化を達成するため、送達されるワクチンの量はとりわけ重要ではない。
【0004】
しかしながら、薬物を送達するための表面剥離機の使用における重大な一欠点は、経皮薬物流動および生じる送達される投薬量の決定における困難である。また、穿刺を反らせかつそれに抗する皮膚の弾性、変形性かつ弾力的な性質により、非常に小型の(例えば約0.5mm未満の長さを有する)皮膚貫通要素はしばしば皮膚に均一に浸透せずかつ/若しくは皮膚浸透に際して拭われて剤のコーティング、とりわけ液体コーティングがなくなる。加えて、皮膚の自己治癒過程により、皮膚中に作成された穿刺若しくは細隙が、角質層からの貫通要素の除去後に閉鎖する傾向がある。かように皮膚の弾性の性質は、小型の貫通要素を被覆している有効成分を浸透に際して除去するように作用する。さらに、貫通要素により形成される小型細隙は装置の除去後に迅速に治癒し、従って、貫通要素により創製された経路を通る剤の通過を制限しそして順にこうした装置の経皮流動を制限する。
【0005】
経皮薬物送達を高めるために小型の皮膚貫通要素を使用する他の装置は、特許文献6、
特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12、ならびに特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25および特許文献26(全部はそっくりそのまま引用することにより組み込まれる)に開示されている。これらの装置は、皮膚の最外層(すなわち角質層)を貫通するのに多様な形状および大きさの貫通要素を使用する。これらの参考文献に開示される貫通要素は、一般にパッド若しくはシートのような薄い平坦な部材から垂直に伸長する。貫通要素は、これらの装置のいくつかにおいては極めて小型であり、いくつかはわずか約25〜400μmの寸法(すなわち微小突起長さおよび幅)ならびにわずか約5〜50μmの微小突起厚さを有する。これらの小型の貫通/切断要素は、それを通る高められた経皮的剤送達のため、角質層中に相応して小さい微小細隙/微小切創を作成する。
【0006】
より最近、Cormierらは、特許文献27に、強力な薬物の経皮送達装置を開示している。該装置は、薬物の水分を含まないコーティングを有する複数の皮膚を貫通する微小突起を有する。Cormierらは、皮膚に浸透しない装置の他の部分/表面よりもむしろ皮膚を貫通する微小突起上にのみ薬物を選択的に被覆するためのインクジェット印刷のような微小流体コーティング技術を開示している。これらの開示にもかかわらず、Cormierらは、微小流体スプレーの目標設定若しくは皮膚を貫通する装置の部分上のみへのコーティングの配置における困難を取り扱っていない。従って、微小突起の予め決められた領域(典型的には、微小突起の皮膚を貫通する部分を包含するとみられる)のみを再現可能に被覆し得る、正確に制御された被覆方法に対する必要性が存在する。
【0007】
TrautmanとWrightは細石刃を被覆する方法および装置を開示した(特許文献28)。この出願は、一層のコーティング製剤の厚さを非常に正確に制御しかつその後製剤のこの制御された層を通して仕上げ済みの成形された微小突起アレイを浸すための方法および装置のいくつかの態様を開示する。これらの手順は、微小突起が、該微小突起から蝕刻若しくは押抜きするのに使用したシートからかつ全般として垂直に既に曲げられていることを必要とする。
【0008】
従って、微小突起上に生物学的に活性な薬剤を有するコーティングを提供することが本発明の一目的である。
【0009】
微小突起の所望の領域を確実に被覆することが本発明のさらなる一目的である。
【0010】
微小突起のどの部分を被覆するかを制御することにより微小突起を被覆するのに使用する生物学的に活性な薬剤の量を最小限にすることが、本発明のなお別の目的である。
【特許文献1】Rabenau、米国特許第5,487,726号明細書
【特許文献2】Galy、米国特許第4,453,926号明細書
【特許文献3】Chacornac、米国特許第4,109,655号明細書
【特許文献4】Kravitz、米国特許第3,136,314号明細書
【特許文献5】Kravitz、米国特許第3,351,059号明細書
【特許文献6】欧州特許第EP 0407063A1号明細書
【特許文献7】Godshallら 米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献8】Gandertonら 米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献9】Grossら 米国特許第5,279,544号明細書
【特許文献10】Leeら 米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献11】Gerstelら 米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献12】Kravizら 米国特許再交付第25,637号明細書
【特許文献13】PCT公開第WO 96/37155号明細書
【特許文献14】PCT公開第WO 96/37256号明細書
【特許文献15】PCT公開第WO 96/17648号明細書
【特許文献16】PCT公開第WO 97/03718号明細書
【特許文献17】PCT公開第WO 98/11937号明細書
【特許文献18】PCT公開第WO 98/00193号明細書
【特許文献19】PCT公開第WO 97/48440号明細書
【特許文献20】PCT公開第WO 97/48441号明細書
【特許文献21】PCT公開第WO 97/48442号明細書
【特許文献22】PCT公開第WO 98/00193号明細書
【特許文献23】PCT公開第WO 99/64580号明細書
【特許文献24】PCT公開第WO 98/28037号明細書
【特許文献25】PCT公開第WO 98/29298号明細書
【特許文献26】PCT公開第WO 98/29365号明細書
【特許文献27】2001年10月26日出願の米国特許出願第10/045,842号明細書
【特許文献28】2002年3月15日出願の米国特許出願第10/099,604号明細書
【発明の開示】
【0011】
[発明の要約]
本発明の方法は、微小突起上の正確に制御された領域および位置に液体コーティングを塗布する手段を提供することにより、従来技術の困難を克服する。本発明の方法は、正確な位置に制御されたコーティングの領域を伴う微小突起上に液体を被覆するのに有用である。本発明はまた、成形された微小突起アレイの1個若しくはそれ以上の微小突起上の予め決められかつ正確な位置に配置される水分を含まないコーティングを形成するための、上の液体コーティングのその後の乾燥も提供する。
【0012】
最初に、微小突起をシート、好ましくは金属シートから蝕刻若しくは押抜き、ここで微小突起はシートを通る開口部を蝕刻若しくは押抜くことにより創製する。この段階で該シートを「蝕刻したシート」と称する。微小突起をその後、シートの面から折り畳むか若しくは曲げる。微小突起を曲げた後、該シートは「成形された微小突起アレイ」と称する。
【0013】
該方法は、薬剤を含有する親水性コーティング液体を提供すること、および、疎水性コーティングマスクを塗布した蝕刻したシート上で液体を運搬することを包含する。この疎水性コーティングマスクは、親水性の薬剤を含有する液体が配置されるべきである領域を除き、蝕刻したシートの全領域を覆う。本発明の重要な一利点は、非常に高価な若しくは希少な薬剤(例えば薬物若しくはワクチン)について、該薬剤は皮膚を貫通する該装置の部分上にのみ、すなわち微小突起のみに被覆されかつ蝕刻したシートの他の部分は該薬剤で被覆されないことである。親水性コーティングを配置し得る正確な様式のため、所望の工学および設計の最終目標を達成するための多様な構成の剤のコーティングを選択し得る。
【0014】
本発明の好ましい一態様は、疎水性コーティングを伴う第一の部分および生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを伴う第二の部分を有する、最低1個の角質層を貫通する微小突起を含んでなる、生物学的に活性な薬剤を送達するための経皮送達装置である。好ましくは、該第二の部分は微小突起の遠位部分を含んでなる。
【0015】
あるいは、生物学的に活性な薬剤を送達するための経皮送達装置は、複数の角質層を貫通する微小突起の微小突起アレイを含んでなり、該微小突起の少なくとも一部分が生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを有し、また、該装置の一部分が疎水性
コーティングを有する。該親水性コーティングは、微小突起の遠位部分、若しくは微小突起の実質的に全部に塗布し得る。
【0016】
示される態様のそれぞれにおいて、微小突起は、約500マイクロメートル未満の深さまで角質層を貫通するよう構成される。好ましくは、該微小突起は、約500マイクロメートル未満の長さおよび約25マイクロメートル未満の厚さを有する。また、好ましくは、親水性コーティングは微小突起の厚さに等しいか若しくはそれ未満の厚さを有する。
【0017】
一態様において、角質層を貫通する微小突起は、薄いシートから微小突起を蝕刻すること、および該微小突起をシートの面から折り畳むことにより成形する。該薄いシートは、ステンレス鋼、チタン、ニッケル−チタン合金、および他の生体適合性の金属のような金属素材を含み得る。
【0018】
本発明の別の態様において、疎水性コーティングはフォトリソグラフィーを使用して微小突起に塗布する。示される態様において、疎水性コーティングは、露光されていないフォトレジストがないように洗浄された微小突起の一部分に配置され、また、親水性コーティングは、可溶化された露光されたフォトレジストがないように洗浄された微小突起の一部分に配置される。
【0019】
本発明のいくつかの態様において、親水性コーティングは約500センチポアズ未満の粘度を有する。
【0020】
本発明のさらなる態様において、該装置は疎水性コーティングおよび親水性コーティングを有する複数の微小突起を含んでなる。好ましくは、こうした態様は1cm2あたり最低約10個の微小突起、およびより好ましくは1cm2あたり約200〜2000個の微小突起の密度を有する。
【0021】
本発明はまた、薄いシート素材に最低1個の角質層を貫通する微小突起を成形する段階、該微小突起の第一の部分に疎水性コーティングを塗布する段階、該薄いシートにより形成される面から微小突起を曲げる段階;および該微小突起の第二の部分に生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを塗布する段階を包含する、こうした装置の成形方法も含んでなる。該微小突起は例えば蝕刻若しくは押抜により成形し得る。一般に、疎水性コーティングは、親水性コーティングを塗布する前に微小突起部材の第二の部分から除去される。
【0022】
示される態様において、疎水性コーティングは、放射を用いて疎水性コーティングを気化させることにより微小突起部材の第二の部分から除去する。あるいは、疎水性コーティングは、微小突起の第二の部分を微小刻印機(micro−stamp)と接触させることにより該部分から除去される。
【0023】
本発明の他の態様において、微小突起の第一の部分に疎水性コーティングを塗布する段階は、微小突起をフォトレジストで被覆すること、微小突起の第二の部分をマスキングすること、微小突起を放射に曝露すること、露光されていないフォトレジストを微小突起部材の第一の部分から洗浄すること、微小突起の第一および第二の部分に疎水性コーティングを塗布すること、微小突起の第二の部分上の露光されたフォトレジストを可溶化すること、ならびに可溶化した露光されたフォトレジストを微小突起の第二の部分から洗浄することを含んでなる。
【0024】
本発明のなお他の態様において、経皮送達装置は、角質層を貫通するよう構成された最低1個の微小突起を有する装置を提供すること、装置にフォトレジストを塗布すること、
微小突起の第一の部分が露光されるように装置をマスキングすること、マスキングした装置を放射に曝露すること、露光されていないフォトレジストを装置から洗浄すること、装置に疎水性コーティングを塗布すること、第一の部分上の露光されたフォトレジストを可溶化すること、第一の部分から可溶化したフォトレジストを洗浄して疎水性コーティングを除去すること、ならびに生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを微小突起の第一の部分に塗布することにより形成される。
【0025】
微小突起を被覆するための生物学的に活性な薬剤は、好ましくは、約1mg未満、およびより好ましくは約0.25mg未満の有効成分の量を経皮投与する場合に治療上有効であるのに十分な効力を有するよう選択する。最も好ましい薬剤はワクチンおよび強力な薬物である。
【0026】
こうした薬剤は、限定されるものでないが、抗菌薬および抗ウイルス薬のような抗感染症薬;フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィンを包含する鎮痛薬および鎮痛薬の組合せ;麻酔薬;食欲抑制薬;抗関節炎薬;テルブタリンのような抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;止瀉薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗偏頭痛製剤;スコポラミンおよびオンダンセトロンのような乗り物酔い製剤;抗悪心薬;抗悪性腫瘍薬;抗パーキンソン病薬;止痒薬;抗精神病薬;解熱薬;胃腸および尿路を包含する鎮痙薬;抗コリン作動薬;交感神経興奮薬(sympathomimetrics);キサンチン誘導体;ニフェジピンのようなカルシウム拮抗薬を包含する心血管系製剤;β−遮断薬;ドブタミンおよびリトドリンのようなβ−アゴニスト;抗不整脈薬;アテノロールのような降圧薬;ラニチジンのようなACE阻害薬;利尿薬;全身、冠動脈、末梢および脳を包含する血管拡張薬;中枢神経系興奮薬;咳および風邪の製剤;うっ血除去薬;診断薬;副甲状腺ホルモンのようなホルモン;催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;副交感神経興奮薬(parasympathomimetrics);プロスタグランジン;タンパク質;ペプチド;覚醒剤;鎮静剤;ならびに精神安定剤を挙げることができる全部の主要な治療領域の治療薬を包含する。他の適する剤は、血管収縮薬、抗治癒薬および経路開存性調節剤を包含する。
【0027】
剤のさらなる特定の例は、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSF、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルアゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン(napfarelin)、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、向神経性因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え体)ならびにTGF−βを制限なしに包含する。
【0028】
示される生物学的に活性な薬剤は、遊離塩基、酸、荷電若しくは荷電していない分子、分子複合体の成分、または刺激性でない薬理学的に許容できる塩のような多様な形態でもまたあり得る。さらに、身体のpH、酵素などで容易に加水分解される有効成分の単純な誘導体(エーテル、エステル、アミドなどのような)を使用し得る。
【0029】
本発明の一態様において、微小突起部材は1cmあたり最低およそ10個の微小突起、より好ましくは1cmあたり最低およそ200〜2000個の微小突起の範囲のcm微小突起密度を有する。
【0030】
一態様において、該微小突起部材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル−チタン合金、若しくは類似の生体適合性素材から構築される。
【0031】
別の態様において、該微小突起部材は非導電性素材から構築される。あるいは、微小突起部材は、パリレン[Parylene](R)のような非導電性素材、若しくはテフロン[Teflon](R)、シリコンのような疎水性素材、または他の低エネルギー素材で被覆し得る。
【0032】
固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突起部材に塗布されるコーティング製剤は、生体適合性の担体内に溶解若しくは該担体内に懸濁し得る最低1種の薬剤を有する水性および非水性製剤を含み得る。
【0033】
本発明のある態様において、微小突起を被覆するための生物学的に活性な薬剤の製剤の粘度は、低揮発性の対イオンを添加することにより高められる。一態様において、該剤は該製剤のpHで正の電荷を有し、そして、粘度を高める対イオンは最低2個の酸性のpKaを有する酸を含んでなる。適する酸は、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラリンゴ酸(citramalic acid)、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリン酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を包含する。
【0034】
別の好ましい態様は、該薬剤が製剤のpHで正の電荷を有しかつ対イオンの最低1種が最低2個の酸性のpKaを有する酸である、対イオンの粘度を高める混合物に向けられる。他の対イオンは1個若しくはそれ以上のpKaをもつ酸である。適する酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラリンゴ酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トルカルバリン酸およびエチレンジアミン四酢酸を包含する。
【0035】
一般に、本発明の示される態様において、対イオンの量は生物学的に活性な薬剤の電荷を中和すべきである。こうした態様において、対イオン若しくは対イオンの混合物は、該製剤のpHで該剤上に存在する電荷を中和するのに必要な量で存在する。pHを制御しか
つ十分な緩衝能力を提供するために、過剰の対イオン(遊離酸若しくは塩として)をペプチドに添加し得る。
【0036】
別の好ましい態様において、該薬剤は正の電荷を有し、そして、対イオンは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、グリコール酸および酢酸の群から選ばれる対イオンの粘度を高める混合物である。好ましくは、対イオンは約20〜200cpの範囲の粘度を達成するように製剤に添加する。
【0037】
好ましい一態様において、粘度を高める対イオンは低揮発性の弱酸のような酸性の対イオンである。低揮発性の弱酸の対イオンは、最低1個の酸性のpKaおよびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0038】
別の好ましい態様において、対イオンは強酸である。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示すると定義し得る。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0039】
別の好ましい態様は、対イオンの最低1種が強酸でありかつ対イオンの最低1種が低揮発性の弱酸である対イオンの混合物に向けられる。
【0040】
別の好ましい態様は、対イオンの最低1種が強酸でありかつ対イオンの最低1種が高揮発性を伴う弱酸である対イオンの混合物に向けられる。揮発性の弱酸の対イオンは、約2より大きい最低1個のpKaおよびPatmで約50℃より低い融点若しくは170℃より低い沸点を提示する。こうした酸の例は酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0041】
酸性の対イオンは該製剤のpHで薬物上に存在する正の電荷を中和するのに必要な量で存在する。pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために、過剰の対イオン(遊離酸若しくは塩として)を薬物に添加し得る。
【0042】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。こうした緩衝剤の例は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバリン酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタラチン酸(glutaratic acid)、イタコン酸、メサコン酸、シトラリンゴ酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、b−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン若しくはそれらの混合物を包含する。
【0043】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、こうしたクエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のようなイオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカル捕捉剤であり得る最低1種の抗酸化剤を包含する。
【0044】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する、
両イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る最低1種の界面活性剤を包含する。
【0045】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルオール(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを制限なしに含み得る、両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。
【0046】
別の態様において、コーティング製剤は、以下の群、すなわちヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択される親水性ポリマー、ならびに類似のポリマーを包含する。
【0047】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、ヒトアルブミン、生物工学ヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを制限なしに含み得る生体適合性の担体を包含する。
【0048】
別の態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元糖を制限なしに含み得る安定剤を包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する非還元糖は、例えばショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する多糖は、例えばデキストラン、可溶性デンプン、デキストリンおよびインスリンを包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0049】
別の態様において、コーティング製剤は、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を制限なしに含み得る血管収縮薬を包含する。最も好ましい血管収縮薬は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0050】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)、ならびに、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−二ナトリウムリン酸塩、塩酸ヒドロコルタメート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン−21コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾン二ナトリウムリン酸塩およびプレドニソロン21−コハク
酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬を制限なしに含み得る、最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。
【0051】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを含み得る可溶化剤/複合体形成剤を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0052】
本発明の別の態様において、コーティング製剤はエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。
【0053】
好ましくは、コーティング製剤は、およそ500センチポアズ未満かつ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0054】
本発明の一態様において、生体適合性のコーティングの厚さは、微小突起表面から測定されるところの25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
[発明の詳細な記述]
定義
「経皮」という用語は、局所若しくは全身治療のための皮膚中へのかつ/若しくはそれを通しての剤(例えば薬物若しくはワクチン)の送達を意味している。
【0055】
「経皮流動」という用語は経皮送達の速度を意味している。
【0056】
「微小突起」という用語は、生存している動物、とりわけヒトの皮膚の角質層を通って下にある表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通若しくは切断するよう適合されている貫通要素を指す。貫通要素は重大な出血を引き起こす深さまで皮膚を貫通すべきでない。典型的には、貫通要素は500μm未満、および好ましくは400μm未満の刃長を有する。微小突起は、典型的には約75ないし500μmの幅および約5ないし50μmの厚さを有する。微小突起は、針、中空針、刃、ピン、パンチおよびそれらの組合せのような多様な形状に成形し得る。であるから、「微小突起(microprojection)」、「微小突起(microprotrusion)」、「微小刃」および「微小針」という用語は全体で互換的に使用する。
【0057】
本明細書で使用されるところの「微小突起アレイ」という用語は、角質層を貫通するための一列に配置された複数の微小突起を指す。微小突起アレイは、薄いシートから複数の微小突起を蝕刻若しくは押抜きすること、および該シートの面から微小突起を折り畳むか若しくは曲げて図1Aに示されるもののような構成を形成することにより創製しうる。微小突起アレイはまた、Zuck、米国特許第6,050,988号明細書(引用することにより本明細書に組込まれる)に開示されるところの細片(1個若しくは複数)のそれぞれの縁に沿って微小突起を有する1個若しくはそれ以上の細片を二次加工することによる
ような他の既知の様式でも二次加工しうる。
【0058】
「生物学的に活性な薬剤」という用語は、治療効果若しくは生物学的効果を有するいかなる薬剤若しくは薬物も含んでなる。こうした薬剤は、限定されるものでないが:抗菌薬および抗ウイルス薬のような抗感染症薬;フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィンを包含する鎮痛薬および鎮痛薬の組合せ;麻酔薬;食欲抑制薬;抗関節炎薬;テルブタリンのような抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;止瀉薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗偏頭痛製剤;スコポラミンおよびオンダンセトロンのような乗り物酔い製剤;抗悪心薬;抗悪性腫瘍薬;抗パーキンソン病薬;止痒薬;抗精神病薬;解熱薬;胃腸および尿路を包含する鎮痙薬;抗コリン作動薬;交感神経興奮薬;キサンチン誘導体;ニフェジピンのようなカルシウム拮抗薬を包含する心血管系製剤;β−遮断薬;ドブタミンおよびリトドリンのようなβ−アゴニスト;抗不整脈薬;アテノロールのような降圧薬;ラニチジンのようなACE阻害薬;利尿薬;全身、冠動脈、末梢および脳を包含する血管拡張薬;中枢神経系興奮薬;咳および風邪の製剤;うっ血除去薬;診断薬;副甲状腺ホルモンのようなホルモン;催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;副交感神経興奮薬;プロスタグランジン;タンパク質;ペプチド;覚醒剤;鎮静剤;ならびに精神安定剤を挙げることができる全部の主要な治療領域の剤を包含する。他の適する剤は、血管収縮薬、抗治癒薬および経路開存性調節剤を包含する。
【0059】
剤のさらなる特定の例は、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSF、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルアゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、向神経性因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え体)ならびにTGF−βを制限なしに包含する。
【0060】
示される生物学的に活性な薬剤は、遊離塩基、酸、荷電した若しくは荷電していない分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に許容できる塩のような多様な形態でもまたあり得る。さらに、身体のpH、酵素などで容易に加水分解される有効成分の単純
な誘導体(エーテル、エステル、アミドなどのような)を使用し得る。
【0061】
「生物学的有効量」若しくは「生物学的有効率」という用語は、生物学的に活性な薬剤が製薬学的に活性な薬剤である場合に使用し、そして、所望の治療(しばしば有益な)結果をもたらすのに必要とされる薬理学的に活性な薬剤の量若しくは率を指す。本発明のヒドロゲル製剤およびコーティング中で使用される活性な薬剤の量は、所望の治療結果を達成するために治療上有効な量の活性な薬剤を送達するのに必要な量であることができる。
【0062】
実務において、これは、送達されている特定の生物学的に活性な薬剤、送達の部位、治療されている状態の重症度、所望の治療効果、ならびにコーティングから皮膚組織中への該剤の送達のための溶解および放出のキネティクスに依存して広範に変動するであろう。
【0063】
本発明は、微小突起装置の皮膚を貫通する部分上への親水性の薬剤を含有するコーティングの選択的塗布方法を提供する。この親水性の薬剤を含有するコーティングは微小突起を曲げる前に塗布し得る。この手順の欠点は、薬剤を含有するコーティングが曲げ工程の間に損傷されることがありそうであるとみられることである。この損傷は、微小突起の一方の側にのみコーティングを塗布することにより最小限にし得るが、しかし、これは薬物負荷の総量を半減させる。
【0064】
好ましい方法は、疎水性コーティングマスクの塗布後、しかし親水性の薬剤を含有するコーティングの塗布前に、シートから微小突起を曲げることである。
【0065】
微小突起は、角質層を通り下にある表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するように適合されるが、しかし毛細管床に達しそして重大な出血を引き起こすほど深く浸透しない。典型的には、微小突起は、約500μmまで、および好ましくは約400μmまでの深さまでの皮膚浸透を可能にする長さを有する。皮膚の角質層の貫通に際して、該剤を含有するコーティングは、体液(細胞内液および間質液、血液のような細胞外液、若しくはそれらの混合物)により溶解され、そして局所若しくは全身治療のため皮膚中に放出される。
【0066】
図1Aは、当該技術分野で一般に使用されるところの角質層を貫通する成形された微小突起アレイ部材10の一態様を具体的に説明する。図1Aは複数の微小突起12を有する部材10の一部分を示す。微小突起12は開口部16を有するシート14から実質的に90°の角度で伸長する。図1Aおよび1Bに示される成形された微小突起アレイ部材10の態様において、微小突起12は、薄い金属シート14から複数の微小突起12を腐蝕若しくは押抜きすること、およびシートの面から微小突起12を曲げることにより成形する。ステンレス鋼およびチタンのような金属が好ましい。チタンから作成される蝕刻されたシートおよび微小突起アレイへの本明細書の言及は、チタンのみならずしかしステンレス鋼および他の素材もまた包含すると理解されるべきである。金属の微小突起部材およびそれの作成方法は、Trautmanら、米国特許第6,083,196号明細書;Zuck、米国特許第6,050,988号明細書;およびDaddonaら、米国特許第6,091,975号明細書(それらの開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0067】
本発明とともに使用し得る他の微小突起部材は、シリコンチップ蝕刻技術を使用してシリコンを蝕刻することにより、若しくは蝕刻した微小金型を使用してプラスチックを成形することにより成形する。シリコンおよびプラスチックの微小突起部材はGodshallら 米国特許第5,879,326号明細書(その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0068】
図1Bは、薬理学的有効成分を含有するコーティング18を有する微小突起12を有する微小突起部材10を具体的に説明する。コーティング18は微小突起12を部分的に若しくは完全に覆うことができる。
【0069】
これらの従来技術の方法によれば、剤を含有するコーティングは、微小突起12が成形(すなわち蝕刻)されかつ金属シート14の面から曲げられた後に塗布される。
【0070】
本発明の方法は、剤を含有する製剤を保持することができる微小突起上の領域を制御かつ/若しくは制限するために、蝕刻したシートに表面改変を適用することに関する。本方法は、剤を含有するコーティングが塗布されるべきでない領域の微小突起への疎水性コーティングの塗布を必要とする。この疎水性コーティングの塗布方法を制御する2種の一般的な方法が存在する。
【0071】
第一は、蝕刻したシート全体に疎水性コーティングを塗布し、そしてその後、剤を含有するコーティングが塗布されるべきである領域から該疎水性コーティングを選択的に除去することである。該除去は、所望の領域の疎水性層をレーザー放射で処理することにより達成し得る。レーザー処理は、除去される必要がある疎水性コーティングの領域を完全に気化することができる。疎水性層は下にある金属に比較して比較的薄い層に塗布されているため、下にある金属にもまた損傷を与えることなく疎水性層を気化させるためにレーザーにより適用される出力を調節することが可能である。
【0072】
あるいは、所望の領域の疎水性層の除去のために微小接触刻印(micro−contact stamping)の技術を使用することが可能である。最初に、蝕刻したシートを疎水性層で完全に被覆する。その後、除去されることが必要である疎水性層の領域に対応する微小刻印機を適用する。微小刻印機の適用後には、親水性の剤を含有するコーティングで被覆されることを意図している蝕刻したシートの領域のみが、疎水性コーティングマスクにより覆われていない。これは、薬剤を含有する製剤が塗布されるべきである場所以外のすべての場所で蝕刻したシートを被覆している疎水性層をもたらす。この技術は、Ann.Rev.Mater.Sci.1998、28:153−84(引用することによりそっくりそのまま本明細書に組込まれる)中にYounan XiとGeorge M.Whitesideによる“Soft Lithography”に記述されている。
【0073】
上で引用された微小刻印技術を使用して、蝕刻したシートの裸金属に疎水性層を直接塗布することもまた可能である。この場合、微小刻印機は、疎水性コーティングが塗布されるべきである領域に対応する。蝕刻したシートの残りの領域は被覆されずかつ裸金属を露出させることができる。剤を含有するコーティングを保持することができるのは、該露出した裸金属の領域である。
【0074】
なお別の代替の態様において、第三の方法は、薬剤を含有する製剤により被覆されるべきである領域を露出させるマスクを利用する多段階フォトリソグラフィー技術を必要とする。
【0075】
本発明の方法の本態様は、図2〜7に具体的に説明されるところのチタンシートの大部分を覆う疎水性コーティングを有するチタンを最終的にもたらすチタンシートに多様なレジストを塗布するいくつかの段階に基づく。このコーティングにより覆われていないチタンシートの部分は裸金属が露出している。最終段階は、該シートに水性の親水性コーティング製剤を塗布することである。疎水性層は、被覆されることを意図していないシートの部分から水性溶液をはじくことができる。これは、コーティング製剤を保持するシートの裸金属部分のみをもたらす。液体コーティング製剤を乾燥した後に、いずれかの数の慣習
的方法の1つにより、金属シートおよびその中で成形された微小突起を今やそのように意図された特定の領域で被覆する。典型的には、被覆されるために選ばれる領域は微小突起のより遠位の半分近くの領域である。典型的には、微小突起の貫通縁は、貫通する先導縁の切断動作を妨害しないように、親水性の薬剤を含有するコーティングで被覆されない。
【0076】
図2は、その中で微小突起36が蝕刻若しくは押抜きされている金属の微小突起アレイシート35を示す。典型的には、蝕刻若しくは押抜き工程は、微小突起アレイシート35を通ってずっと伸長する1個若しくはそれ以上の開口部37の形成をもたらす。この段階で、微小突起アレイシート35はいかなるレジスト若しくは層でも被覆されていない。
【0077】
図3は、フォトレジスト層39で被覆された微小突起アレイシート35を示す。フォトレジスト層39は、微小突起アレイシート35の表面全体に完全に塗布される。
【0078】
図4はその中に二次加工されたマスク開口部42を有するマスク40を示す。マスク40を微小突起アレイシート35の上面に慎重に配置する場合、マスク開口部42は、微小突起アレイシート35(最終的には剤を含有するコーティングで被覆されることができる)の領域の上面に整列されることができる。被覆される領域は典型的には微小突起36の遠位部分であることができるとは言え、本発明の方法は、微小突起アレイシート35のいかなる領域も最終的に被覆されることを可能にする。微小突起アレイ/マスクの組合せを今や光に曝露する。該組合せは、マスクがフォトレジスト層39と光源との間になるように正しい位置に置く。曝露の特定の波長、強度および長さは、選択された特定のフォトレジストに関する製造元の仕様への参照により容易に決定される。通常、フォトレジスト層39は標準的溶媒に可溶性である。しかしながら、光に曝露されたフォトレジスト層39の領域はこれらの標準的溶媒にもはや可溶性でない。
【0079】
図5は、フォトレジスト層39がマスク40を通して光に曝露されかつマスク40がその後除去された後の微小突起アレイシート35を示す。光に曝露された領域は露光されたレジスト45として黒色で示す。
【0080】
光に曝露されていないフォトレジスト層39の部分は、標準的溶媒および技術の使用により容易に洗い流し得る。この特定の態様について、この洗浄工程は、微小突起アレイシート35の大部分の上で裸金属をもたらす(露出した金属は図6中の斜線として示す)。光に曝露されかつ不溶性のレジストをもたらした微小突起アレイシート35の領域を図6で水平線として示し、そして図5に示される露光されたフォトレジスト45に対応する。
【0081】
図7に示される次の段階は、疎水性の第二の層49で微小突起アレイシート35を被覆することである。この層は、露光されたフォトレジスト45によりなお被覆されている領域を包含する微小突起アレイ全体を被覆することができる。この第二の層は図7で垂直線として示す。疎水性の第二の層49は、テフロン[Teflon](R)、シリコーン、または他の低エネルギー若しくは疎水性の素材から構成し得る。
【0082】
その後、露光されたフォトレジストの残存している領域を、露光されたフォトレジスト45および露光されたフォトレジスト45の領域を覆う上置きの疎水性の第二の層49のその部分を可溶化することができる特定の溶媒および技術を利用して洗い流す。図8に示されるとおり、最終結果は、疎水性の第二の層49で大部分が被覆されかつより小さい領域の裸の親水性の金属の微小突起アレイシート35である。該方法のこの段階で、該より小さい領域は微小突起36の遠位端にあり、そして微小突起アレイシート35の露出した金属から構成される。
【0083】
この特別に製造した微小突起アレイシート35を、今や、薬剤を含有する製剤に曝露さ
せ得る。疎水性の第二の層49は、この製剤によるコーティングの程度を、微小突起アレイシート35上の露出した金属の領域に制限することができる。
【0084】
製剤が微小突起アレイシート35上で一旦乾燥されれば、該結果は、微小突起上に正確に配置された薬剤の乾燥されたコーティングを有するアレイである。
【0085】
全部の場合において、処理された微小突起アレイシート35のコーティング製剤への曝露後に、コーティング製剤を多様な手段により微小突起上で乾燥する。好ましい一態様において、被覆した装置を周囲室条件で乾燥する。しかしながら、微小突起上のコーティング溶液を乾燥するのに多様な温度および湿度レベルを使用し得る。加えて、該装置は、加熱され得るか、凍結乾燥(lyophilized)され得るか、凍結乾燥(freeze dried)され得るか、若しくはコーティングから水分を除去するのに使用される類似の技術であり得る。
【0086】
この段階で、疎水性の第二の層49を除去して微小突起上に剤を含有するコーティングのみを残すことが可能である。しかしながら、微小突起上に疎水性の第二の層49を残す利点が存在する。微小突起アレイが一旦皮膚に適用されれば、疎水性の第二の層49は、可溶化された剤を皮膚から取り去りかつ実際に全身に吸収される剤の量を低下させる傾向がある刃の基部に向かう間質液の流れを最小限にすることができる。
【0087】
本発明のある態様において、微小突起を被覆するための生物学的に活性な薬剤の製剤の粘度は、低揮発性の対イオンを添加することにより高められる。一態様において、該剤は該製剤のpHで正の電荷を有し、また、粘度を高める対イオンは最低2個の酸性のpKaを有する酸を含んでなる。適する酸は、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラリンゴ酸、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリン酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を包含する。
【0088】
別の好ましい態様は、該剤が製剤のpHで正の電荷を有しかつ対イオンの最低1種が最低2個の酸性のpKaを有する酸である、対イオンの粘度を高める混合物に向けられる。他の対イオンは1個若しくはそれ以上のpKaをもつ酸である。適する酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラリンゴ酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トルカルバリン酸およびエチレンジアミン四酢酸を包含する。
【0089】
一般に、本発明の示される態様において、対イオンの量は生物学的に活性な薬剤の電荷を中和すべきである。こうした態様において、対イオン若しくは対イオンの混合物は該製剤のpHで剤上に存在する電荷を中和するのに必要な量で存在する。pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために、過剰の対イオン(遊離酸若しくは塩として)をペプチドに添加し得る。
【0090】
好ましい一態様において、該剤は正の電荷を有し、そして、対イオンは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、グリコール酸および酢酸の群から選ばれる対イオンの粘度を高める混合物である。好ましくは、対イオンは約20〜200cpの範囲の粘度を達成するように製剤に添加する。
【0091】
好ましい一態様において、粘度を高める対イオンは低揮発性の弱酸のような酸性の対イ
オンである。低揮発性の弱酸の対イオンは最低1個の酸性のpKaおよびPatmで約50℃より高い融点若しくは約170℃より高い沸点を提示する。こうした酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を包含する。
【0092】
別の好ましい態様において、対イオンは強酸である。強酸は約2より低い最低1個のpKaを提示すると定義し得る。こうした酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を包含する。
【0093】
別の好ましい態様は、対イオンの最低1種が強酸でありかつ対イオンの最低1種が低揮発性の弱酸である対イオンの混合物に向けられる。
【0094】
別の好ましい態様は、対イオンの最低1種が強酸でありかつ対イオンの最低1種が高揮発性を伴う弱酸である対イオンの混合物に向けられる。揮発性の弱酸の対イオンは、約2より大きい最低1個のpKaおよびPatmで約50℃より低い融点若しくは170℃より低い沸点を提示する。こうした酸の例は酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸などを包含する。
【0095】
酸性の対イオンは製剤のpHで薬物上に存在する正の電荷を中和するのに必要な量で存在する。pHを制御しかつ十分な緩衝能力を提供するために、過剰の対イオン(遊離酸若しくは塩として)を薬物に添加し得る。
【0096】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は最低1種の緩衝剤を包含する。こうした緩衝剤の例は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバリン酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタラチン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラリンゴ酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、b−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン若しくはそれらの混合物を包含する。
【0097】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、こうしたクエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレンジニトリロ四酢酸)のようなイオン封鎖剤、若しくはアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウムなどのようなフリーラジカル捕捉剤であり得る最低1種の抗酸化剤を包含する。
【0098】
本発明の一態様において、コーティング製剤は、ラウロアムホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、ベンザルコニウム、塩化、Tween 20およびTween 80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのような他のソルビタン誘導体、ならびにラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを制限なしに包含する、両イオン性、両親媒性、陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性であり得る最低1種の界面活性剤を包含する。
【0099】
本発明のさらなる一態様において、コーティング製剤は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルオール(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、若しくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを制限なしに含み得る、両親媒性の特性を有する最低1種のポリマー物質若しくはポリマーを包含する。
【0100】
別の態様において、コーティング製剤は、以下の群、すなわちヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択される親水性ポリマー、ならびに類似のポリマーを包含する。
【0101】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、ヒトアルブミン、生物工学ヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリ硫酸、ポリアミノ酸、ショ糖、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを制限なしに含み得る生体適合性の担体を包含する。
【0102】
別の態様において、コーティング製剤は、非還元糖、多糖若しくは還元糖を制限なしに含み得る安定剤を包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する非還元糖は、例えば、ショ糖、トレハロース、スタキオース若しくはラフィノースを包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する多糖は、例えばデキストラン、可溶性デンプン、デキストリンおよびインスリンを包含する。本発明の方法および組成物での使用に適する還元糖は、例えば、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなどのような単糖;ならびに例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどのような二糖を包含する。
【0103】
別の態様において、コーティング製剤は、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を制限なしに含み得る血管収縮薬を包含する。最も好ましい血管収縮薬は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを包含する。
【0104】
当業者により認識されるであろう通り、コーティング製剤への血管収縮剤の添加、およびこれゆえに本発明の固体の生体適合性のコーティングは、微小突起部材若しくはアレイの適用後に発生し得る出血を予防するため、ならびに、適用部位の血流の減少および皮膚部位から全身循環中への吸収速度の低下により生物学的に活性な薬剤の薬物動態を延長するのにとりわけ有用である。
【0105】
本発明の別の態様において、コーティング製剤は、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)、ならびに、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−二ナトリウムリン酸塩、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン−21コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾン二ナトリウムリン酸塩およびプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩のような抗炎症薬、ならびにクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような抗凝固薬を制限なしに含み得る、最低1種の「経路開存性調節剤」を包含する。
【0106】
本発明のなお別の態様において、コーティング製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを含み得る可溶化剤/複合体形成剤を包含する。最も好ましい可溶化剤/複合体形成剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7β−シクロデキストリンである。
【0107】
本発明の別の態様において、コーティング製剤はエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400のような最低1種の非水性溶媒を包含する。
【0108】
好ましくは、コーティング製剤は、およそ500センチポアズ未満かつ3センチポアズ以上の粘度を有する。
【0109】
本発明の一態様において、生体適合性のコーティングの厚さは、微小突起表面から測定されるところの25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0110】
所望のコーティング厚さは、必要とされる投薬量、そして、これゆえに、該投薬量を送達するのに必要なコーティング厚さ、シートの単位面積あたりの微小突起の密度、コーティング組成物の粘度および濃度、ならびに選ばれたコーティング方法を包含するいくつかの因子に依存する。
【0111】
本発明の技術思想および範囲から離れることなく、当業者は、本発明を多様な使用および条件に適合させるためにそれに対し多様な変更および改変をなし得る。であるから、これらの変更および改変は、以下の請求の範囲の同等物の完全な範囲内に適正に、公平にありかつそれ内にあることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0112】
本発明は今や、付随する図面および図で具体的に説明される好ましい態様に言及してより詳細に記述することができ、ここで、
【図1】図1Aは、成形された微小突起アレイの一例の一部分の透視図である。図1Bは、微小突起上に配置されたコーティングを伴う、図1の成形された微小突起アレイの透視図である。
【0113】
図2−8は、本発明の登録されたマスク被覆法の図解であり、ここで、該方法の段階は以下のとおり記述される。
【図2】微小突起が既に創製されている蝕刻したシートを示し、示される表面の全部はアレイを成形する裸金属である。
【図3】感光性レジストで完全に被覆した後の図2の蝕刻したシートを示す。
【図4】フォトマスクを示す。
【図5】マスクを通して光に曝露された後の図3の蝕刻したシートを示す。
【図6】光に曝露されなかったレジストの部分を除去した後の図5の蝕刻したシートを示す。
【図7】マスクを通して光に曝露された部分を除くすべての場所で、成形された微小突起アレイを覆う、疎水性の第二の層で被覆された後の図6の蝕刻したシートを示す。
【図8】レジスト層の残存する領域が除去された後の図7の蝕刻したシートを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性コーティングを伴う第一の部分および生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを伴う第二の部分を有する、最低1個の角質層を貫通する微小突起を含んでなる、生物学的に活性な薬剤を送達するための経皮送達装置。
【請求項2】
第二の部分が前記微小突起の遠位部分を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
微小突起が、約500マイクロメートル未満の深さまで角質層を貫通するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
微小突起が、約500マイクロメートル未満の長さおよび約25マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
親水性コーティングが、前記微小突起の厚さに等しいか若しくはそれ未満の厚さを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
角質層を貫通する微小突起が、薄いシートから前記微小突起を蝕刻すること、および前記微小突起をシートの面から折り畳むことにより成形される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
薄いシートが金属素材を含んでなる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
金属素材が、ステンレス鋼、チタンおよびニッケル−チタン合金よりなる群から選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
薬剤が、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSF、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルアゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、向神経性因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え体)ならびにTGF−βよりなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
疎水性コーティングが、露光されていないフォトレジストがないように洗浄された微小突起の一部分上に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
親水性コーティングが、可溶化された露光されたフォトレジストがないように洗浄された微小突起の一部分上に配置されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
親水性コーティングが、粘度を高める対イオンをさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
親水性コーティングが抗酸化剤をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
親水性コーティングが両親媒性ポリマーをさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
親水性コーティングが界面活性剤をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
親水性コーティングが親水性ポリマーをさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
親水性コーティングが生体適合性の担体をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
親水性コーティングが安定剤をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
親水性コーティングが血管収縮薬をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
親水性コーティングが経路開存性調節剤をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
親水性コーティングが可溶化剤/複合体形成剤をさらに包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
親水性コーティングが約500センチポアズ未満の粘度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
疎水性コーティングおよび前記親水性コーティングを有する複数の微小突起をさらに含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
複数の微小突起が1cmあたり最低約10個の微小突起の密度を有する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
複数の微小突起が1cmあたり約200〜2000個の微小突起の密度を有する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
薄いシート素材に最低1個の角質層を貫通する微小突起を成形する段階;
微小突起の第一の部分に疎水性コーティングを塗布する段階;および
微小突起の第二の部分に生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを塗布する段階
を含んでなる、生物学的に活性な薬剤の経皮送達装置の成形方法。
【請求項27】
疎水性コーティングを塗布した後に薄いシートにより形成される面から微小突起を曲げる段階をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
微小突起を成形する段階が、蝕刻および押抜きよりなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
微小突起を成形する段階が蝕刻を含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
親水性コーティングを塗布する前に微小突起部材の第二の部分から疎水性コーティングを除去する段階をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
微小突起部材の第二の部分から疎水性コーティングを除去する段階が、放射を用いて前記疎水性コーティングを気化させることを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
微小突起部材の第二の部分から疎水性コーティングを除去する段階が、前記第二の部分を微小刻印機と接触させることを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
微小突起の第一の部分に疎水性コーティングを塗布する段階が:
前記微小突起をフォトレジストで被覆すること;
前記微小突起の第二の部分をマスキングすること;
前記微小突起を放射に曝露すること;
露光されていないフォトレジストを前記微小突起部材の第一の部分から洗浄すること;
前記微小突起の前記第一および第二の部分に前記疎水性コーティングを塗布すること;
前記微小突起の前記第二の部分上の露光されたフォトレジストを可溶化すること;ならびに
前記可溶化した露光されたフォトレジストを前記微小突起の前記第二の部分から洗浄すること
を含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
微小突起の第一の部分に疎水性コーティングを塗布する段階が、前記第一の部分を微小刻印機と接触させることを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
角質層を貫通するよう構成された最低1個の微小突起を有する装置を提供する段階;
前記装置にフォトレジストを塗布する段階;
前記微小突起の第一の部分が覆われかつ前記微小突起の第二の部分が露出するように前記装置をマスキングする段階;
前記マスキングした装置を放射に曝露する段階;
露光されていないフォトレジストを前記微小突起の前記第一の部分から洗浄する段階;
前記微小突起の前記第一および第二の部分に疎水性コーティングを塗布する段階;
前記第二の部分上の露光されたフォトレジストを可溶化する段階;
前記第二の部分から可溶化したフォトレジストを洗浄して前記第二の部分から前記疎水性コーティングを除去する段階;ならびに
生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを前記微小突起の前記第二の部分に塗布する段階
を含んでなる、生物学的に活性な薬剤の経皮送達装置の成形方法。
【請求項36】
複数の角質層を貫通する微小突起の微小突起アレイを含んでなり、前記微小突起のそれぞれの少なくとも一部分が、生物学的に活性な薬剤を含んでなる親水性コーティングを有し、また、前記装置の一部分が疎水性コーティングを有する、生物学的に活性な薬剤を送達するための経皮送達装置。
【請求項37】
微小突起のそれぞれの部分が微小突起のそれぞれの遠位部分を含んでなる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
微小突起のそれぞれの部分が実質的に微小突起全体を含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
微小突起が、約500マイクロメートル未満の深さまで角質層を貫通するよう構成されている、請求項36に記載の装置。
【請求項40】
微小突起が、約500マイクロメートル未満の長さおよび約25マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項36に記載の装置。
【請求項41】
親水性コーティングが微小突起の厚さに等しいか若しくはそれ未満の厚さを有する、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
角質層を貫通する微小突起が、薄いシートから前記微小突起を蝕刻すること、および前記微小突起をシートの面から折り畳むことにより成形される、請求項36に記載の装置。
【請求項43】
薄いシートが金属素材を含んでなる、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
金属素材が、ステンレス鋼、チタンおよびニッケル−チタン合金よりなる群から選択される、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
薬剤が、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSF、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルアゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、向神経性因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え体)ならびにTGF−βよりなる群から選択される、請求項36に記載の装置。
【請求項46】
疎水性コーティングがフォトレジストの一層上に配置されている、請求項36に記載の装置。
【請求項47】
親水性コーティングが、可溶化された露光されたフォトレジストがないように洗浄された微小突起の一部分上に配置されている、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
親水性コーティングが、粘度を高める対イオンをさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項49】
親水性コーティングが抗酸化剤をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項50】
親水性コーティングが両親媒性ポリマーをさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項51】
親水性コーティングが界面活性剤をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項52】
親水性コーティングが親水性ポリマーをさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項53】
親水性コーティングが生体適合性の担体をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項54】
親水性コーティングが安定剤をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項55】
親水性コーティングが血管収縮薬をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項56】
親水性コーティングが経路開存性調節剤をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項57】
親水性コーティングが可溶化剤/複合体形成剤をさらに包含する、請求項36に記載の装置。
【請求項58】
親水性が約500センチポアズ未満の粘度を有する、請求項36に記載の装置。
【請求項59】
微小突起アレイが1cm2あたり最低約10個の微小突起の密度を有する、請求項36に記載の装置。
【請求項60】
微小突起アレイが1cm2あたり約200〜2000個の微小突起の密度を有する、請求項36に記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−521090(P2007−521090A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518743(P2006−518743)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/021076
【国際公開番号】WO2005/004729
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】