説明

皮膚バリア機能改善剤

【課題】
本発明の目的は、優れた皮膚のバリア機能改善作用を有し、かつ皮膚バリア機能低下による皮膚の乾燥を改善することが可能な皮膚バリア機能改善剤を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、皮膚バリア機能改善剤。
−O−CH−CHOH−CH−OR ・・・(1)
(式中、Rは直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾ヒアルロン酸を有効成分として含有する皮膚バリア機能改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のバリア機能は、角質層の脂質層および水層の繰り返しからなるラメラ構造によって発揮されている。また、ラメラ構造は、油と水両方の性質を持ったセラミド等の角層細胞間脂質の分子が、一定の方向に規則正しく配列して層状構造を形成し、その層間に水が保持され水層が形成されている。
【0003】
ラメラ構造が乱れバリア機能が低下すると、水分が蒸散し、アレルゲンをはじめとする物質やさまざまな刺激が侵入しやすいため、皮膚の乾燥や肌荒れを引き起こす。
【0004】
特許文献1には、ヒアルロン酸等のムコ多糖類を特定の割合で含有する皮膚バリア機能改善組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−160758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された組成物の場合、皮膚バリア機能を改善するために開発されたものであるが、その効果は十分なものとは言い難かった。
【0007】
そこで、本発明は、優れた皮膚のバリア機能改善作用を有し、かつ皮膚バリア機能低下による皮膚の乾燥を改善することが可能な皮膚バリア機能改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、
1.下記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、皮膚バリア機能改善剤、
−O−CH−CHOH−CH−OR ・・・(1)
(式中、Rは直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
2.前記式(1)において、Rが炭素原子数10〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基である、1.に記載の皮膚バリア機能改善剤、
3.ヒアルロン酸1構成単位に含まれる前記グリセリン骨格含有基の数が0.03以上である、1.または2.に記載の皮膚バリア機能改善剤、
4.修飾ヒアルロン酸の1%水溶液の動粘度が50mm/s以下である、1.〜3.いずれかに記載の皮膚バリア機能改善剤、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚バリア機能改善剤は、上記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、親水性および疎水性の両立を図ることができるため、優れた皮膚のバリア機能改善効果を発揮できる。
【0010】
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)は、実施例1で得られた修飾ヒアルロン酸のH−NMRスペクトル(観測周波数400MHz、内部標準物質:DSS(0ppm)、溶媒:重水)を示し、図1(b)は、比較対照として、原料(グリセリン骨格含有基を有さない)のヒアルロン酸(キユーピー株式会社製、平均分子量8000)のH−NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、試験番号1で得られたサンプルの顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、試験液1を塗布した場合の肌表面画像を示す。(A)は脱脂処理前、(B)は脱脂処理直後、(C)は試験液1塗布後5日経過時の肌表面画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る皮膚バリア機能改善剤について詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は質量部を意味する。
【0013】
1.皮膚バリア機能改善剤
本発明の皮膚バリア機能改善剤は、有効成分として下記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することを特徴とする。
−O−CH−CHOH−CH−OR ・・・(1)
(式中、Rは直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【0014】
1.1.修飾ヒアルロン酸および/またはその塩
1.1.1.構造
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、グリセリン骨格含有基に含まれる、水酸基を構成しない酸素原子の1つに一般式(1)におけるRが結合し、グリセリン骨格含有基に含まれる水酸基は二級水酸基であり、グリセリン骨格含有基に含まれる、水酸基を構成しない酸素原子の他の1つがヒアルロン酸および/またはその塩を構成する炭素原子に結合している。
【0015】
本発明において、「グリセリン骨格」とは、−O−CH−CHOH−CH−O−で表される構成単位のことをいう。グリセリン骨格という名称は、このグリセリン骨格がグリセリン(HO−CH−CHOH−CH−OH)の一部を構成するものであることに由来する。
【0016】
一般式(1)において、Rで表される直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基(ミリスチル基)、n−ヘキサデシル基(パルミチル基)、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−イコシル基が挙げられる。
【0017】
また、一般式(1)において、Rで表される直鎖状または分岐状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基が挙げられる。
【0018】
このうち、皮膚のバリア機能改善効果がより高く、かつ水溶性により優れている点で、一般式(1)において、Rで表される直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基の炭素原子数が10〜20であることが好ましく、10〜18であることがより好ましく、10〜15であることが最も好ましい。この場合、R1で表される基はアルキル基であることが好ましい。
【0019】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩において、Rで表される直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基の炭素原子数が10未満である場合、皮膚のバリア機能改善が十分でない場合があり、一方、Rで表される直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基の炭素原子数が20を超える場合、水溶性が低い場合がある。
【0020】
1.1.2.ヒアルロン酸構成単位
本発明において、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの2糖からなる構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、食品または薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0021】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、皮膚のバリア機能改善効果をより高めることができる点で、ヒアルロン酸の1構成単位に含まれるグリセリン骨格含有基の数が0.03以上であることが好ましく、0.05〜0.5であることがより好ましい。ここで、「ヒアルロン酸の1構成単位」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる1構成単位を意味する。
【0022】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩において、ヒアルロン酸の1構成単位に含まれるグリセリン骨格含有基の数が0.03未満である場合、疎水性が十分でないため、皮膚のバリア機能改善効果が十分でない場合がある。
【0023】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩において、ヒアルロン酸の1構成単位に含まれるグリセリン骨格含有基の数は、H−NMRスペクトル解析によって同定することができる。
【0024】
すなわち、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩のH−NMRスペクトルにおいて、ヒアルロン酸の1構成単位を構成するN−アセチルグルコサミンの−NHC(=O)CH(N−アセチル基)のメチル基(−CH)のプロトンを示すピークの積分値に対する、グリセリン骨格含有基中のRに含まれるメチレン基(−CH−)のプロトンを示すピークの積分値の比を算出することにより、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩における、ヒアルロン酸の1構成単位に含まれるグリセリン骨格含有基の数を同定することができる。
【0025】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩では、グリセリン骨格含有基がヒアルロン酸骨格を構成する炭素原子の少なくとも1つに結合していることができる。本発明において、「ヒアルロン酸骨格を構成する炭素原子」とは、ヒアルロン酸を構成するグルクロン酸およびN−アセチルグルコサミンに含まれる炭素原子をいう。例えば、原料ヒアルロン酸および/またはその塩に含まれるカルボキシル基および水酸基のうち少なくとも1つに後述する化合物1または化合物2を反応させて、グリセリン骨格含有基を導入することにより、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
【0026】
なお、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩において、グリセリン骨格含有基が、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩に結合していることは、例えば、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩のH−NMRスペクトルと、原料であるヒアルロン酸および/またはその塩のH−NMRスペクトルとの比較において、修飾ヒアルロン酸のグリセリン骨格含有基中のメチレン基(−CH−)のプロトンを示すピークによって確認することができる。
【0027】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩において、グリセリン骨格含有基は例えば、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を構成する4位の炭素原子(C−4)および6位の炭素原子(C−6)、ならびに、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を構成するグルクロン酸の2位の炭素原子(C−2)、3位の炭素原子(C−3)、および5位の炭素原子(C−5)に結合するカルボニル基から選ばれる少なくとも1つに結合することができる。より具体的には、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は以下の一般式(2)で表される化合物であることができる。
【0028】
【化1】

・・・(3)
(式中、R〜Rは独立して、水酸基または上記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を表す(ただし、R〜Rがいずれも水酸基を表す場合を除く。)。)
【0029】
なお、上記一般式(2)において、2位の炭素原子(C−2)に結合するN−アセチルグルコサミンの窒素原子に結合している水素原子が、上記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基で置換されていてもよい。
【0030】
また、上記一般式(2)で表される化合物において、皮膚のバリア機能改善効果をより高めることができ、かつ水溶性に優れている点で、nは1〜50であることが好ましく、1〜25であることがより好ましい。
【0031】
1.1.3.動粘度
本発明において、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の動粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社製)を用いて測定することができる。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。
【0032】
ウベローデ粘度計により測定された前記水溶液の流下秒数と、ウベローデ粘度計の係数との積により、動粘度(単位:mm/s)を求めることができる。
【0033】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の1%水溶液の動粘度は、皮膚の角質への浸透性に優れており、皮膚のバリア機能を改善する効果をより高めることができる点で50mm/s以下であることが好ましく、0.1〜10mm/sであることがより好ましく、0.5〜3mm/sであることがさらに好ましい。
【0034】
1.1.4.分子量
本発明において、ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、以下の方法にて測定された値である。
【0035】
即ち、約0.05gのヒアルロン酸および/またはその塩(本品)を精密に量り、0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液に溶かし、正確に100mLとした溶液およびこの溶液8mL、12mL並びに16mLを正確に量り、それぞれに0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液を加えて正確に20mLとした溶液を試料溶液とする。この試料溶液および0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液につき、日本薬局方(第十五改正)一般試験法の粘度測定法(第1法 毛細管粘度計法)により30.0±0.1℃で比粘度を測定し(式a)、各濃度における還元粘度を算出する(式b)。還元粘度を縦軸に、本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL)を横軸にとってグラフを描き、各点を結ぶ直線と縦軸との交点から極限粘度を求める。ここで求められた極限粘度をLaurentの式(式c)に代入し、平均分子量を算出する(T.C. Laurent,M.Ryan,A.Pietruszkiewicz,:B.B.A., 42,476−485(1960))。
【0036】
(式a)
比粘度 = {試料溶液の所要流下秒数)/(0.2mol/L塩化ナトリウム溶液の所要流下秒数)}−1
【0037】
(式b)
還元粘度(dL/g)= 比粘度/(本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL))
【0038】
(式c)
極限粘度(dL/g)=3.6×10−40.78
M:平均分子量
【0039】
1.2.修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば、ヒアルロン酸および/またはその塩を下記一般式(3)で表される化合物(本明細書において「化合物1」ともいう。)と反応させる工程によって得られる。あるいは、ヒアルロン酸および/またはその塩を下記一般式(4)で表される化合物(本明細書において「化合物2」ともいう。)と反応させることによって、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/または塩を調製してもよい。なお、反応性を高めるために、原料のヒアルロン酸および/またはその塩(以下「原料ヒアルロン酸および/またはその塩」という。)をアルキルアンモニウム塩に置換した後に、化合物1または化合物2と反応させることが好ましい。
【0040】
【化2】

・・・(2)
(式中、R1は直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【0041】
一般式(3)においてRで表される基としては、上記一般式(1)においてRで表される基として例示したものが挙げられる。
【0042】
【化3】

・・・(4)
(式中、Rは上記一般式(2)におけるRと同義であり、Xはハロゲン原子を示す。)
【0043】
一般式(4)においてXで表されるハロゲン原子としては例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0044】
1.2.1.原料
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造に使用される原料ヒアルロン酸および/またはその塩は、動物等の生体組織(例えば鶏冠、さい帯、皮膚、関節液など)から抽出されたものでもよく、または、微生物、動物細胞もしくは植物細胞を培養して得られたもの(例えばストレプトコッカス属の細菌等を用いた発酵法)、化学的または酵素的に合成されたものなどを使用することができる。
【0045】
原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は通常、親水性および適度な疎水性を両立できる点で、400〜100万であることが好ましく、1000〜30万であることがより好ましく、2000〜5万であることがさらに好ましい。
【0046】
原料ヒアルロン酸および/またはその塩としては、粗抽出物および精製物のいずれを用いてもよいが、精製物、具体的には、ヒアルロン酸および/またはその塩の純度が90%(質量比)以上のものが好ましい。純度が90%未満の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を原料として用いた場合、ヒアルロン酸および/またはその塩と、前記化合物1または化合物2との反応が阻害される場合があるため好ましくない。
【0047】
1.2.2.アルキルアンモニウム塩への変換
原料ヒアルロン酸および/またはその塩をヒアルロン酸のアルキルアンモニウム塩に変換する場合、例えば、原料ヒアルロン酸および/またはその塩に化合物(以下「化合物3」ともいう。)を反応させることにより、ヒアルロン酸の第四級アルキルアンモニウム塩を得ることができる。このような化合物3としては、例えば、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の炭素原子数2〜18の水酸化第四級アルキルアンモニウムが挙げられる。すなわち、ヒアルロン酸の第四級アルキルアンモニウム塩は例えば、炭素原子数2〜18の第四級アルキルアンモニウム塩であることが好ましい。第四級アルキルアンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩が挙げられる。
【0048】
1.2.3.アルキルアンモニウム塩と化合物1または化合物2との反応
ヒアルロン酸の第四級アルキルアンモニウム塩と化合物1または化合物2との反応は、有機溶媒中で行うことができる。ここで、反応温度は通常0〜200℃であり、反応時間は通常0.1〜48時間である。上記反応で使用する有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルミアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0049】
化合物1は単独で、または二種以上を組み合わせて使用してもよい。化合物1の具体例としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテル、パルミチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアルケニルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0050】
また、化合物2は単独で、または二種以上を組み合わせて使用してもよい。化合物2の具体例としては、例えば、メチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、エチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、プロピル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、ブチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、オクチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、デシル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、ドデシル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、トリデシル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、ミリスチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、パルミチル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、ステアリル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテル、アリル3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエーテルが挙げられる。
【0051】
1.2.4.精製
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法においては、ヒアルロン酸および/またはその塩を化合物1と反応させる工程の後、ナトリウム塩およびカリウム塩またはいずれか一方を反応液に添加する工程をさらに含むことができる。
【0052】
反応液中のナトリウム塩およびカリウム塩またはいずれか一方の濃度は、5〜20%であることが好ましい。ナトリウム塩およびカリウム塩またはいずれか一方の濃度が5%未満では、次の沈殿物を得る工程で沈殿ができない恐れがある。20%を超えると、次の沈殿物を得る工程で、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩と一緒にナトリウム塩またはカリウム塩が沈殿してしまう恐れがある。
【0053】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法においては、ナトリウム塩およびカリウム塩またはいずれか一方を反応液に添加する工程の後に、反応液にアルコールを添加して、沈殿物を得る工程をさらに含むことができる。また、アルコールとしては例えば、メタノール、エタノールが挙げられ、エタノールが好ましい。ここで、沈殿物は、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩である。すなわち、反応液にアルコールを添加して、沈殿物(修飾ヒアルロン酸および/またはその塩)を得ることにより、残存する試薬と分離して、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
【0054】
沈殿物を得た後、必要に応じて、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩が溶解しにくい溶媒(例えば、含水アルコール)で沈殿物を洗浄してもよい。その後、沈殿物を乾燥することにより、精製された修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を得ることができる。
【0055】
上述の沈殿物を得る工程は複数回繰り返して行ってもよい。
【0056】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法において、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の動粘度が低い場合(例えば動粘度が10mm/sである場合)、上述した方法では反応液にアルコールを添加しても沈殿物が得られない場合がある。この場合、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、ナトリウム塩およびカリウム塩またはいずれか一方を反応液に添加する工程の後に、反応液のpHを3以下に調整する工程と、pH3以下の反応液に水溶性有機溶媒を添加して、懸濁液を得る工程と、懸濁液をpH3.5〜8に調整して、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を沈殿させる工程とをさらに含むことができる。これらの工程を行うことにより、動粘度が低い場合であっても、高純度の修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を高い回収率にて得ることができる。
【0057】
本発明において、「懸濁液」とは、固体の微粒子が液体中に分散している混合物である。例えば、懸濁液では、液中に固体が分散していて液が濁っている状態であってもよいし、懸濁相と上澄み相とに分離していてもよい。後の工程において修飾ヒアルロン酸および/またはその塩が沈殿しやすい点で、懸濁液は懸濁相と上澄み相とに分離していることが好ましい。
【0058】
懸濁液を得る工程において、水溶性有機溶媒は、溶液が懸濁液へと変化するのに少なくとも必要な量が添加されればよい。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。このうち、エタノールが好ましい。
【0059】
水溶性有機溶媒の添加量は、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を含む溶液1質量部に対して、1質量部以上、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部である。この場合、水溶性有機溶媒の添加量が修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を含む溶液1質量部に対して1質量部未満であると、懸濁が生じ難くなる。
【0060】
また、懸濁液を得る工程において、水溶性有機溶媒を添加する前の溶液はpH3以下であり、好ましくはpH0.5〜2.5、より好ましくはpH1〜2である。水溶性有機溶媒を添加する前の溶液のpHが3を超えると、水溶性有機溶媒を加えても懸濁が生じにくく、後の工程で溶液のpHを3.5〜8に調整しても、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩が沈殿しにくい。また、水溶性有機溶媒を添加する前の溶液のpHが低すぎると、後の工程で溶液のpHを3.5〜8に調整する際に多量の塩が生成するため、好ましくない場合がある。
【0061】
修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を沈殿させる工程において、懸濁液をpH3.5〜8に調整して、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を沈殿させる。この場合、懸濁液のpHが3.5〜8の範囲を外れると、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩が沈殿するのが困難になる。また、より高い回収率を達成できる点で、懸濁液をpH4〜7に調整するのが好ましく、pH4〜6に調整するのがより好ましい。
【0062】
1.3.作用効果
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は上記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含むことにより、親水性および疎水性の両立を図ることができるため、優れた皮膚のバリア機能改善効果を発揮できる。
【0063】
本発明の皮膚バリア機能改善剤が、皮膚のバリア機能改善効果を発揮するメカニズムは以下の通りであると推測される。すなわち、本発明の皮膚バリア機能改善剤を皮膚に塗布した場合、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩のヒアルロン酸骨格部位が、皮膚の角質層を構成する水層に配置され、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩のグリセリン骨格含有基が、皮膚の角質層を構成する脂質層に配置される。これにより、皮膚の角質層が本来有する水層および脂質層からなるラメラ構造が修復されて、本来ラメラ構造が有するバリア機能が改善される。その結果、皮膚のバリア機能改善効果を発揮することができる。
【0064】
本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩では、グリセリン骨格含有基中のRによって疎水性がもたらされ、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩に含まれる水酸基(グリセリン骨格含有基中の水酸基を含む)および/またはカルボキシル基によって親水性がもたらされると推察される。
【0065】
本発明の皮膚バリア機能改善剤を例えば皮膚に塗布した場合、皮膚の角質層において、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩のグリセリン骨格含有基中のRが脂質層に入り込み、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩に含まれるヒアルロン酸骨格部分が水層に入り込むことによって皮膚のラメラ構造を修復し、皮膚からの水の蒸発を防止することができる。これにより、皮膚の保湿力を高めることができると推察される。
【0066】
1.4.皮膚バリア機能改善剤の用途
本発明の実施形態に係る皮膚バリア機能改善剤の用途は、特に限定するものではないが、例えば化粧料、医薬部外品、医薬品の成分として使用することができる。本実施形態に係る皮膚バリア機能改善剤は、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含むことができる。そのような成分の例としては水、賦形剤、抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、粘稠剤、緩衝剤、吸着剤、溶剤、乳化剤、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、水溶性高分子、アルコール類等が挙げられる。本発明の皮膚バリア機能改善剤は、例えば皮膚等の生体組織に対する高い改質効果(特に、皮膚のバリア機能改善効果)を有している。本発明の皮膚バリア機能改善剤は、生体組織の表面に塗布または接触して摂取させてもよいし、特に、顔、腕、手指、足、関節、などの皮膚に塗布または接触させるのが好ましい。
【0067】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、エタノールばかりでなく、多価アルコールや油脂に対する溶解性に優れている。このため、本発明の実施形態に係る皮膚バリア機能改善剤を化粧料の成分として使用する場合、分離または析出が生じることなく製造することができる。したがって、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、修飾されていない通常のヒアルロン酸と比較して、油性原料を含む化粧料に良好に混合することができる。また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、水に対する溶解性に優れているため、例えば水を含有する種々の製品に使用することができる。
【0068】
本発明の皮膚バリア機能改善剤を化粧料の成分として使用する場合、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸の含有量は、特に限定するものではないが、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1%がより好ましい。含有量が0.001質量%未満では、満足な保湿効果や滑らかさが得られず、使用時の皮膚のかさつき感を改善することができない恐れがある。含有量が5質量%を超えると、粘度が高くなりすぎ皮膚全体に伸ばしにくくなる恐れがある。
【0069】
本発明の皮膚バリア機能改善剤を化粧料の成分として使用する場合、態様は特に限定されないが、例えば、皮膚用化粧料が挙げられる。上記皮膚バリア機能改善剤を皮膚用化粧料に使用することにより、適度な粘度を有し、かつ、皮膚のバリア機能改善効果が高いため、皮膚に潤いを付与し、感触を改善し、かつ、皮膚のかさつき感を改善することができる。皮膚用化粧料の態様としては、例えば、洗顔料、洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプ)、クレンジング、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、シェービングローション、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル、石鹸、入浴剤、シャンプー、パーマネントウェーブ剤、染毛剤、ヘアワックスが挙げられる。
【0070】
また、本発明に使用する修飾ヒアルロン酸および/またはその塩は、エタノールに対する溶解性に優れており、適度な疎水性を有する。よって、本実施形態に係る皮膚バリア機能改善剤を、油性原料を含む化粧料に配合する場合、分離または析出が生じることなく良好に混合することができる。したがって、本発明の皮膚バリア機能改善剤は、油性原料を含む化粧料(例えば、クリーム、乳液、美容液、パック、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、オイルクレンジング、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー)に好適に配合することができる。
【0071】
本実施形態に係る皮膚バリア機能修復剤を使用する化粧料は、さらに以下の成分を含有していてもよい。前記成分としては、例えば、カチオン化多糖類(例えば、カチオン化ヒアルロン酸、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等)、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等)、陽イオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、油分(例えば、シリコーン、シリコーン誘導体、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油、馬油等)、保湿剤(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、セラミド、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、トレハロース、グリセリン、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール、1,3−ブチレングリコール等)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等)、高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等)、多価アルコール(例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール等)、増粘剤(例えば、セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、パルミチン酸デキストリン等)、両性高分子樹脂化合物(例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等)、カチオン性高分子樹脂化合物(例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等)、防腐剤(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、トコフェノール、BHT等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、エチドロン酸塩等)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線反射剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、タンパク質加水分解物(例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド等)、アミノ酸(例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L−テアニン等)、天然物エキス(クジンエキス、カジルエキス、テンチカエキス、海草エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス等)、その他の機能性成分(コエンザイムQ10、アルブチン、エラスチン、白金ナノコロイド、パルミチン酸レチノール、パンテノール、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸2−グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、トラネキサム酸等)、リン脂質ポリマー、香料、色素が挙げられる。
また、本実施形態に係る皮膚バリア機能修復剤を使用する化粧料は、皮膚のバリア機能を改善する効果をより高めることができる点で、セラミド、ポリクオタニウム−51、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、トコフェロール、パルミチン酸レチノール、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、ラフィノース、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、油溶性甘草エキス、トラネキサム酸、アルブチンを含有することが好ましい。
【0072】
3.実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0073】
3.1.実施例1
1Lビーカーにヒアルロン酸(分子量8000、キユーピー株式会社製)5.0gを水500mLに溶解させ、さらに40%水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液を攪拌しながら加えて、pHを7.2に調整した。pH調整後、凍結乾燥させ、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩を10.2g得た。30mLサンプル瓶に得られたヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩1.0g、C12〜13アルキルグリシジルエーテル(反応試薬)(四日市合成株式会社製)2.0g、およびジメチルホルミアミド(DMF)10mLを入れ、攪拌しながら80℃水浴上で8時間反応させた。反応終了後、12.5%塩化ナトリウム水溶液を10mL加え、8%塩酸にてpH1.0に調整した。次いで、エタノール50mLを撹拌しながらゆっくり加え、ヒアルロン酸を沈殿させた。次いで、25%水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、沈殿物をろ過にて回収し、80%エタノール50mLで3回洗浄した。得られた沈殿物を60℃で真空乾燥させて、修飾ヒアルロン酸を0.48g得た。また、調製例1で得られた修飾ヒアルロン酸の修飾率は0.05、動粘度は1.2mm/sであった。得られた修飾ヒアルロン酸を皮膚バリア機能修飾剤として、以下の試験例に使用した。
【0074】
本実施例で得られた修飾ヒアルロン酸のH−NMRスペクトル(観測周波数400MHz、内部標準物質:DSS(0ppm)、溶媒:重水)を図1(a)に示す。一方、比較対照として、原料(グリセリン骨格含有基を有さない)のヒアルロン酸(キユーピー株式会社製、平均分子量8000)のH−NMRスペクトル(観測周波数400MHz、内部標準物質:DSS(0ppm)、溶媒:重水)を図1(b)に示す。図1(a)のH−NMRスペクトルにおいて、1.3ppm付近に存在するピークは、修飾ヒアルロン酸のグリセリン骨格含有基中のメチレン基(−CH−)のプロトンを示すピークであると推察される。
【0075】
4.試験例1(皮膚バリア機能の改善確認試験)
実施例1の修飾ヒアルロン酸の製造方法において、反応試薬の種類、溶媒を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法にて、表1の試験番号1〜4の修飾ヒアルロン酸を製した。反応試薬の種類を変えることによって、グリセリン骨格含有基のRの炭素原子数がそれぞれ表1に示すものである修飾ヒアルロン酸を得た。なお、上述した方法と同様の方法にて、表1で得られた修飾ヒアルロン酸にグリセリン骨格含有基が導入されていることをH−NMRスペクトルから確認した。また、試験番号1〜4の修飾ヒアルロン酸の動粘度はいずれも0.5〜3mm/sであった。
【0076】
2mLエッペンドルフチューブに、処理液(セラミドII(高砂香料工業社製)、セラミドIII(コスモファーム社製)、セラミドIV(コスモファーム社製)各4mg、ステアリン酸8mg(和光純薬工業社製)、コレステロール(関東化学社製)8mg、コレステロール硫酸(シグマ社製)2mg、純水140mg、表1の各試験番号の修飾ヒアルロン酸1mg)を入れ、室温にてボルテックスを用いて2分間撹拌した。次に、80℃恒温槽上で5分間加熱した後、ボルテックスを用いて2分間撹拌し、10℃恒温槽で5分間冷却した後、室温にて超音波処理を5分間行った。この操作を4回繰り返し、以下の手順で顕微鏡観察用サンプルを作製した。
【0077】
スライドガラス上に上記サンプルを1μL載せ、カバーガラス被せ、カバーガラス全体にサンプルを広げることにより、顕微鏡観察用サンプルを作製した。顕微鏡観察は、(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−600を偏光観察モードにして、倍率1000倍で観察を行った。任意の観察視野(225×310μm)を5箇所選択し、ピントを合わせて撮影を行い、写真5枚中の直径5μm以上の黒い十字像の数を数え、写真1枚中の十字像の平均数を算出した。また、対照として、修飾ヒアルロン酸を含まない処理液を用いて同様の処理を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
図2において、十字像(丸で囲まれた箇所)はラメラ構造が形成されている箇所を表す。健康な皮膚の角質層では通常、脂質層と水層とがラメラ構造を形成し、このラメラ構造により皮膚のバリア機能が発揮される。したがって、本試験例において、ラメラ構造の形成箇所が多いほど皮膚のバリア機能の改善能が高いといえる。
【0080】
表1によれば、処理液が修飾ヒアルロン酸を含まない場合と比較して、処理液が修飾ヒアルロン酸を含む場合、十字像の数が多いことが理解できる。この結果から、一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸は、皮膚のバリア機能の改善能を有すると推測される。
【0081】
5.試験例2(ヒト皮膚バリア機能の改善確認試験)
本試験例においては、本発明の皮膚バリア機能改善剤を使用して、皮膚バリア機能の改善効果および皮膚の改善効果について評価を行った。本発明の皮膚バリア機能改善剤をヒト皮膚に塗布して、経皮水分蒸発量(trans epidermal water loss:TEWL)、肌表面の状態、および角層水分量の評価を行った。
【0082】
5.1.試験方法
5.1−1.被験者
健常な前腕皮膚を有する成人女性16名(年齢20〜50歳代)を対象に試験を行った。
【0083】
5.1−2.試料
試料1:上記試験例1の試験番号2で得られた修飾ヒアルロン酸
試料2:ヒアルロン酸(分子量8000、キユーピー株式会社製)
試料1を精製水に溶解し1%水溶液としたものを試験液1、試料2を精製水に溶解し1%水溶液としたものを試験液2とした。
【0084】
5.1−3.TEWLの測定
被験者16名の左右前腕内側部に直径3cmの円の領域(約7cm)を4ヵ所設置し、これを試験部位とした。まず、前記被験者を恒温恒湿(室温20±1℃、相対湿度40±2%)の環境下で20分間以上馴化させた後、水分蒸発量測定装置(Tewameter、CK−Electronic社製)を用いて、試験部位のTEWLを測定した。
【0085】
次に、前記試験部位に直径3cmのガラス製漏斗をゴムバンドで固定し、アセトン/エーテル(1:1)混液3mLを漏斗内に注入し、20分間処置した。その後、漏斗内のアセトン/エーテル(1:1)を除去し、試験部位をドライヤーで乾燥させた後、漏斗内に温水3mLを注入し、10分間処置し脱脂処理して人工的乾燥皮膚を作製した。脱脂処理直後の人工的乾燥皮膚の前記試験部位におけるTEWLを測定した。
【0086】
次に、前記試験部位に、上記試験液1および2をそれぞれ塗布した。塗布回数は、1日あたり1回とし、塗布量は、30μLとして5日間塗布した。最初の塗布から1日、3日、および5日経過時に、前記試験部位におけるTEWLを測定した。
本試験は二重盲検比較試験とし、各試験液の塗布部位は順位サーキット法変法で割り付けた。
【0087】
また、上記試験液1および2の代わりに、精製水を用いたことを除き、上記と同様に操作を行い、TEWLを測定した。
【0088】
脱脂処理後のTEWLに対する各試験液を塗布した後のTEWLの差について、各測定時においてDunnett法による多重比較検定を行い、p<0.05で有意差有りとした。また、試験液間の比較についてTukeyの多重比較検定を行い、p<0.05で有意差有りとした。
【0089】
表2に、試験液1〜2、および精製水をそれぞれ塗布した場合のTEWLの測定値を示す。なお、表2中の数値は、各被験者のTEWL測定値を平均値±標準誤差で示した。
【0090】
また、下記の式(5)に従って、脱脂処理直後のTEWL値を100%とし、脱脂処理後から試験液塗布後TEWL測定時までの間のTEWLの変化率を算出した。結果を表3に示す。
(数1)
TEWLの変化率(%)=(各測定時のTEWL/脱脂処理直後のTEWL)×100
・・・(5)
【0091】
【表2】

*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0092】
【表3】

異なるアルファベットで試験液間の有意差有り(p<0.05)
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0093】
表2において、TEWLは、皮膚内部から対外への水分の移行量を表す。脱脂処理によって、皮膚の角質層のラメラ構造が破壊され、TEWLが増加する。したがって、本試験例において、試験液塗布後にTEWLが減少するほど皮膚のバリア機能改善能が高いといえる。さらに、表3においては、脱脂処理直後と比較してTEWLの変化率の値が低いほど皮膚のバリア機能改善能が高いといえる。
【0094】
表3によれば、修飾ヒアルロン酸を含む試験液1を塗布した場合、試験液2および精製水と比較して、各測定時において一貫して最も低値であることが理解できる。さらに、試験液1を塗布した場合、塗布後1日経過時および3日経過時において、精製水に対し、変化率が有意に低値を示した。
この結果から、一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸は、皮膚のバリア機能の改善能を有することが確認された。
【0095】
5.1−4.肌表面の状態
顕微鏡的皮膚表面解析機器(VISIOSCAN、Courage+Khazaka Electronic Gmbh社製)により、上記被験者の試験部位の肌の状態を確認した。なお、肌表面の状態を測定する前には、被験者を恒温恒湿(室温20±1℃、相対湿度40±2%)の環境下で20分間以上馴化させた。
また、前記肌の状態についてVISIOSCANの画像をもとに、医師が評価を行った。乾燥および落屑について、1(なし)、2(軽微)、3(軽度)、4(中程度)、5(重度)の5点で評価した。
【0096】
肌表面の状態をVISIOSCANで確認した結果、本発明の皮膚バリア機能改善剤(上記試験液1)を塗布することによって、乾燥および落屑が改善されていた。その一例を、図3に示す。この結果から、本発明の皮膚バリア機能改善剤を塗布後は、皮膚の乾燥および落屑が改善することが目視によっても確認できる。
【0097】
また、医師による評価により、試験部位の乾燥および落屑が改善された人数の割合を表4に示す。すなわち、上記乾燥および落屑の評価の合計点が、試験後の評価が試験前の評価より3点以上上がった人数の割合を示す。
表4からも、本発明の皮膚バリア機能改善剤によって、効果的に皮膚の乾燥および落屑が改善されていることがわかる。
【0098】
【表4】

【0099】
5.1−5.角層水分量の測定
SKICON(I.B.S社製)を使用して、上記試験部位の角層水分量の測定を行った。すべての被験者の測定値の平均値を表5示す。なお、表5中の数値は、各被験者のTEWL測定値を平均値±標準誤差で示した。
【0100】
また、下記の式(6)に従って、脱脂処理直後の角層水分量を100%とし、脱脂処理後から試験液塗布後角層水分量測定時までの間の角層水分量の変化率を算出した。結果を表6に示す。
(数2)
角層水分量の変化率(%)=(各測定時の角層水分量/脱脂処理直後の角層水分量)×100
・・・(6)
【0101】
表5によれば、修飾ヒアルロン酸を含む試験液1を塗布した場合、試験液2および精製水と比較して、各測定時において各層水分量が一貫して最も高値であることが理解できる。
また、試験液1は、塗布後1日経過時において、精製水に対し有意に高い値を示した。さらに、脱脂処理後と比較して、試験液1は塗布後1日経過時から有意に高い値を示した。
表6によれば、修飾ヒアルロン酸を含む試験液1を塗布した場合、試験液2および精製水と比較して、各測定時において一貫して最も高値であることが理解できる。さらに、試験液1を塗布した場合、塗布後1日経過時および3日経過時において、精製水に対し、変化率が有意に高値を示した。
この結果から、一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸を含有する皮膚バリア機能改善剤は、皮膚のバリア機能低下による皮膚の乾燥を改善することが確認された。
【0102】
【表5】

*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0103】
【表6】

異なるアルファベットで試験液間の有意差有り(p<0.05)
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0104】
6.試験例3(ヒト皮膚バリア機能の改善確認試験)
(皮膚バリア機能改善剤の低濃度域での確認試験)
本試験例では、本発明の皮膚バリア機能改善剤の低濃度域(0.05%、0.1%、0.5%)における皮膚バリア機能の改善効果および皮膚の改善効果について経皮水分蒸発量(trans epidermal water loss:TEWL)の評価を行った。
【0105】
6.1.試験方法
6.1−1.被験者
健常な前腕皮膚を有する成人女性(年齢20〜50歳代)を対象に試験を行った。
各群の被験者の人数については表に示す。
【0106】
6.1−2.試験液
上記実施例1の試験例1の試験番号2で得られた皮膚バリア機能改善剤を表7に示す濃度の水溶液とし、試験液3〜5を作成した。
【表7】

【0107】
6.1−3.TEWLの測定
TEWLの測定は5.1−3.と同様に行った。
【0108】
表8に、試験液3〜5、および精製水をそれぞれ塗布した場合のTEWLの測定値を示す。なお、表8中の数値は、各被験者のTEWL測定値を平均値±標準誤差で示した。
また、5.1−3.と同様に式(5)に従って、脱脂処理直後のTEWL値を100%とし、脱脂処理後から試験液塗布後TEWL測定時までの間のTEWLの変化率を算出した。結果を表9に示す。
【0109】
【表8】

試験液3群8名、試験液4群8名、試験液5群6名、精製水群8名
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0110】
【表9】

試験液3群8名、試験液4群8名、試験液5群6名、精製水群8名
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0111】
表8によれば、修飾ヒアルロン酸を含む試験液3〜5を塗布した場合、精製水と比較して、試験液塗布後にTEWLが減少していることが理解できる。さらに、表9によれば、試験液3〜5を塗布した場合、塗布後1日経過時および3日経過時において、精製水に対し、変化率が低値を示し、塗布後3日経過時および5日経過時においては脱脂処理後と比較して有意に変化率が低値を示した。
この結果から、一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸は、皮膚のバリア機能の改善能を有することが試験液3〜5の濃度においても確認された。
【0112】
7.試験例4(ヒト皮膚バリア機能の改善確認試験)
(皮膚バリア機能改善剤を配合した乳液での確認試験 セラミドとの比較)
本試験例では、本発明の皮膚バリア機能改善剤を配合した乳液における皮膚バリア機能の改善効果および皮膚の改善効果についてセラミドとの比較を経皮水分蒸発量(trans epidermal water loss:TEWL)の評価にて行った。
【0113】
7.1.試験方法
7.1−1.被験者
健常な前腕皮膚を有する成人女性(年齢20〜50歳代)を対象に試験を行った。
各群の被験者の人数については表に示す。
【0114】
7.1−2.試験液
上記実施例1の試験例1の試験番号2で得られた皮膚バリア機能改善剤を以下に示す処方の乳液とし、試験液6を作成した。また、皮膚バリア機能改善剤をセラミドに置き換えたことを除き同様に作成した乳液を試験液7とした。
皮膚バリア機能改善剤(試験例1 試験番号2)またはセラミド 1.0%
混合製剤 1.5%
バチルアルコール
ステアリン酸
レシチン
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセル
スクワラン 8.0%
ホホバ油 4.0%
プロピルパラベン 0.1%
モノオレイン酸ポリグリセリル 0.3%
濃グリセリン 3.0%
メチルパラベン 0.2%
2%キサンタンガム水溶液 10.0%
0.1%水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 残量
【0115】
7.1−3.TEWLの測定
TEWLの測定は5.1−3.と同様に行った。
【0116】
表10に、試験液6および試験液7をそれぞれ塗布した場合のTEWLの測定値を示す。なお、表10中の数値は、各被験者のTEWL測定値を平均値±標準誤差で示した。
また、5.1−3.と同様に式(5)に従って、脱脂処理直後のTEWL値を100%とし、脱脂処理後から試験液塗布後TEWL測定時までの間のTEWLの変化率を算出した。結果を表11に示す。
【0117】
【表10】

試験液6群9名、試験液7群9名
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0118】
【表11】

試験液6群9名、試験液7群9名
*脱脂処理後と比較して有意差有り(p<0.05)
【0119】
表11によれば、試験液6を塗布した場合、セラミドを配合した試験液7に対し一貫して変化率が低値を示した。
この結果から、一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸を配合した乳液は、セラミドを配合した乳液と比較しても優れた皮膚のバリア機能の改善能を有することが確認された。
【0120】
8.試験例5(化粧料の調製)
8.1.化粧水
本試験例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られた皮膚バリア機能改善剤を配合した化粧水を調製した。
皮膚バリア機能改善剤(実施例1) 0.2%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
加水分解ヒアルロン酸 0.1%
コラーゲンペプチド 0.1%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
グリセリン 3.0%
イソステアリルアルコール 0.1%
酢酸トコフェロール 0.1%
POE(20)ソルビタンモノラウリル酸エステル 0.5%
POE(15)ラウリルアルコールエーテル 0.5%
ピロリドンカルボン酸亜鉛 0.1%
エチルパラベン 0.1%
メチルパラベン 0.15%
エタノール 5.0%
香料 適量
精製水 残量
【0121】
8.2.パーマネントウェーブ剤
本試験例では、以下に記す処方にて、試験例1の試験番号2で得られた皮膚バリア機能改善剤を配合したパーマネントウェーブ剤を調製した。
(第1剤)
皮膚バリア機能改善剤(試験例1 試験番号2) 0.2%
カチオン化ヒアルロン酸 0.1%
(キユーピー株式会社製、ヒアロベール)
60%チオグリコール酸アンモニウム 14.0%
40%ジチオグリコール酸ジアンモニウム 1.0%
28%アンモニア水 1.5%
モノエタノールアミン 0.5%
炭酸水素アンモニウム 2.1%
グリセリン 2.0%
アミノ変性シリコーンエマルジョン 1.0%
金属封鎖剤 適量
香料 適量
精製水 残量
合計 100.0%
(第2剤)
臭素酸ナトリウム 10.0%
リン酸緩衝剤 適量
精製水 残量
合計 100.0%
【0122】
8.3.ヘアワックス
本試験例では、以下に記す処方にて、試験例1の試験番号2で得られた皮膚バリア機能改善剤を配合したパーマネントウェーブ剤を調製した。
【0123】
皮膚バリア機能改善剤(実施例1) 0.5%
ヒアルロン酸亜鉛(キユーピー株式会社製) 0.1%
イソステアリン酸PEG−20グリセリル 3.0%
ステアリン酸グリセリル 2.0%
マイクロクリスタリンワックス 4.0%
カルナウバロウ 3.0%
ベヘニルアルコール 3.0%
ステアリン酸 1.0%
ミネラルオイル 2.0%
水添ポリイソブテン 2.0%
フェニルトリメチコン 3.0%
ジメチコン 1.0%
プロピルパラベン 0.1%
PVP 1.0%
プロピレングリコール 3.0%
アルカンジオール 2.0%
防腐剤 適量
精製水 残量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるグリセリン骨格含有基を含む、修飾ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、皮膚バリア機能改善剤。
−O−CH−CHOH−CH−OR ・・・(1)
(式中、Rは直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
【請求項2】
前記式(1)において、Rが炭素原子数10〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基である、請求項1に記載の皮膚バリア機能改善剤。
【請求項3】
ヒアルロン酸1構成単位に含まれる前記グリセリン骨格含有基の数が0.03以上である、請求項1または2に記載の皮膚バリア機能改善剤。
【請求項4】
修飾ヒアルロン酸の1%水溶液の動粘度が50mm/s以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載の皮膚バリア機能改善剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−6836(P2013−6836A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119038(P2012−119038)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】