皮膚パッチテストに用いる金属混合物

【課題】皮膚パッチテストを行うための2種以上の金属塩の混合物を用いる器具およびテスト方法の提供。
【解決手段】パッチ上の金属塩の混合物はビヒクルに組み込まれ、ビヒクルはパッチに貼り付くフィルムまたはゲルとして構成され、このフィルムは、パッチ使用時に、テスト対象の皮膚領域から分泌された水分を吸収する能力のある、少なくとも1種のポリマーを含む。アレルギー反応が皮膚上で観察されたときに、陽性のテスト結果を呈する。そのような皮膚パッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年11月2日に出願された米国仮特許出願第61/554,669号の利益を請求する。上記仮特許出願のすべての教示および開示を引用してここに取り込む。
【0002】
本発明は、一般的には、表皮へ物質を送り出すことができるタイプのパッチに関する。詳細には、本発明は、パッチに関して、特には、金属アレルギーについて被験者の感受性の高さをスクリーニングするように意図されたパッチに関する。
【背景技術】
【0003】
金属のグループは、最も一般的なIV型アレルゲンである。ニッケル、コバルト、およびクロム等の金属に対する接触アレルギーは、一般の人々に広まりつつある。女性の17%そして男性の3%に至る人がニッケルアレルギー体質であり、約1〜2%がコバルト、クロム、またはその両方に対してアレルギー体質であると推測されている。金属により誘発されるアレルギー性接触皮膚炎(ACD、Allergic Contact Dermatitis)は、化粧品、刺青、洗剤、宝石およびピアス、皮革品、携帯電話、ならびに衣服のボタン、スナップおよびファスナ等の個人向け製品への長期間の暴露または繰返しの暴露に続いて起こる広範な皮膚反応として説明される。金属や建造物への職業上の暴露も、金属アレルギーの報告では多くの割合を占めている。
【0004】
金属に対するACDは、典型的には、汗や体液への暴露が原因で金属塩が溶液中に生成されるときに発症する。このことは、ニッケルを含有するテンレス鋼が、ニッケルで炎症を起こしやすい人に対して、通常は反応を引き起こさないことの説明になる。つまり、合金がニッケルを強く結合させているので、接触中にニッケルイオンが解放されないということである。しかし、こうした暴露が長引いた場合、偶発的にアレルゲンが角質層を通り抜け、ACDが引き起こされる可能性がある。
【0005】
直接的な接触に加え、金属の経口摂取や埋め込みも皮膚炎をもたらすことがある。ニッケルの経口摂取による全身性接触性皮膚炎が、きわめて頻繁に異汗性手湿疹(dyshidrosiform hand eczema)を引き起こすことは広く認識されている。どのような部位でも皮膚炎が起こり得る。口腔扁平苔癬(oral lichen planus)、口唇苔癬様病変(oral lichenoid lesions)、皮膚炎、合併症、および全身性の反応(たとえば、ヒヒ症候群)が、歯科/歯列矯正での金属アレルギーの結果として報告されている。金属感作という一次的な原因とは別に、金属インプラント(たとえば、血管内のステント、歯科インプラント、心臓ペースメーカ、または埋め込まれた婦人科装置)の設置が、インプラントを覆う皮膚の発疹や、金属に対する遅延性の過敏反応(すなわち、ステント内再狭窄、人工器官のゆるみ、炎症、痛み、口腔扁平苔癬、肉芽腫、またはアレルギー性接触性皮膚炎)に起因する装置の故障を引き起こすことがある。研究者および臨床医が、この困難な医学的領域の理解を深めようと再三にわたり努力したにもかかわらず、金属感受性と皮膚のアレルギー反応との間にある関連性は、依然として完全には理解されないままである。
【0006】
ACD発症においてよく知られた重要なニッケル、コバルト、およびクロムとは別に、アルミニウム、ベリリウム、銅、イリジウム、インジウム、水銀、パラジウム、白金、ロジウム、モリブデン、マンガン、亜鉛、カドミウム、およびチタン等の他の金属が皮膚過敏症を発症させ、また稀に皮膚過敏症の原因にもなることが報告されている。パッチテストを行うことは、これらの皮膚の反応を検出する処置では一般的である。たとえば、米国特許第4,836,217号は、複数のパッチを有し、各パッチが一種の金属塩だけをアレルゲンとして含む試験片を開示している。
【0007】
今日、米国では、パッチテストのアレルゲンは、食品医薬品局により生物学的製剤として規制され、承認申請に先立ち更なる開発と臨床的な治験とが要求されている。臨床的な治験では、供試される製品の安全性および効果とアレルゲンの適切な量とを決定する試験のために、「既知の感受性を持つ」個人を特定し、それら個人を採用することが要求される。これらの症状を起こすいくつかの金属アレルゲンの罹患率は一般的な人々の間で極めて低いので、既知の感受性を持つ患者を適切な時期に効果的な方法で探し出して試験を行うことは依然として難しい。
【0008】
混合物の使用は、相対的に稀なIV型への感受性(罹患率0.5%未満)の診断にとって有効なツールであり、メルカプトベンゾチアゾール(メルカプト配合物)、カルバミン酸塩(カルバミド配合物)、黒色ゴム配合物、香料配合物I(8種のアレルゲンを含む)、香料配合物II(6種のアレルゲンを含む)、およびパラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)(4〜5種のアレルゲンを含む)等の他の化学薬品や物質に対する処置では標準となっている。これら混合物の各成分は公知のアレルゲンであるが、それらは相対的に母集団のほんの一部においてアレルギー反応を引き出すので、それらは混合物として組み合わされ、患者には1つのアレルゲンとして投与される。しかし今日まで、金属塩の混合物のテストパッチは用いられていない。一般に、金属に関するテストパッチはさまざまな問題を呈する。たとえば、ペトロラタム内で試験される金属は、高い金属量が必要であり、ACD診断を混乱させるような刺激性反応を頻繁に起こす。また、金属の合金は、金属の合金化に起因する何らかの相乗効果によって反応を混乱させる。合金中の個々の金属は、金属塩とは異なってイオン化しにくく、それゆえにアレルギー反応の発現は複雑なメカニズムを経るものであるため、金属ハプテンに転換しにくい。よって、より十分な金属アレルギーのスクリーニングを可能にする、2種以上の金属に関するテストパッチを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
上記に鑑み、本発明の一の目的は、2種以上の金属塩の混合物を用いるテストパッチを提供することである。詳細には、このテストパッチで提供される2種以上の金属の混合物は、2種以上の金属塩の形式をとる。はるかに低い金属の濃度で、適切なビヒクルを用い、pHを最適化することによって、皮膚への刺激を最小化することが望ましい。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、人が金属接触性のアレルギーを患っているか否かを判定する方法を提供することである。この方法は、アレルゲン成分として2種以上の金属塩を有する少なくともひとつのパッチを人の皮膚に適用することを含む。このパッチ上の金属塩の混合物はビヒクルに組み込まれ、ビヒクルはパッチに貼り付くフィルムまたはゲルとして構成される。このフィルムは、パッチ使用時に、テスト対象の皮膚領域から分泌された水分を吸収する能力のある、少なくとも1種のポリマーを含む。アレルギー反応が皮膚上で観察されたときに、陽性のテスト結果を呈する。
【0011】
従って、当業者は、本発明の1つ以上の態様が特定の目的に合致すること、そして1つ以上の他の態様が他の特定の目的に合致することを理解するだろう。各目的は、そのすべてにおいて、本発明のあらゆる態様に等しく適用するとは限らない。かくして、下記の目的は、本発明のいずれか1つの態様に関する代替案中でみることができる。
【0012】
本発明の他の目的、構成、利益および利点は、この要約および特定の実施の形態の下記説明から明らかになり、また当業者にとって容易に明らかになろう。このような目的、構成、利益および利点は、付帯する実施例、データ、およびそこから導かれるすべての合理的な推測を上記と関連させることによって明らかになろう。本願においては、特許を含むすべての記事および参照の開示を引用してここに組み込む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のある限定的でない態様および実施の形態を示すために、金属アレルゲンのためのテストパッチが提供される。このテストパッチは2種以上の金属塩およびビヒクルを含む。
【0014】
詳細には、本発明の一実施の形態は、標準化された正確な量または濃度の2種以上の金属塩を人間の皮膚に投与するためのテストパッチであり、各金属塩によって示される、各金属に対する感度を測定する。ここでの「金属塩」とは、金属カチオンと非金属アニオンで構成されるイオン化合物であるが、金属のオキソアニオンは、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウムのような非金属カチオンでも使用できる。純金属や金属合金とは異なり、金属塩は容易にイオン化を行い、皮膚や呼吸器官の粘膜に触れると金属ハプテンになる(プロテインに付着すると免疫反応を引き起こす)。
【0015】
本発明の金属塩として使用に適する金属は、金属アレルギー性接触皮膚炎(ACD)を誘発する可能性があるものである。かかる金属カチオンには、例えば銅、鉄、イリジウム、水銀、パラジウム、白金、ロジウム、モリブデン、マンガン、亜鉛、カドミウム、チタン、バナジウム、ニオブ、スズ、ガリウム、ルテニウム、タンタル、アンチモン、ベリリウム、ゲルマニウム、サマリウム、タングステンおよびジルコニウムのような遷移金属や、例えばベリリウムのようなアルカリ土類金属、例えばアルミニウムとインジウムのような卑金属が挙げられる。
【0016】
本発明の金属塩として使用に適する非金属は、例えば塩素と臭素のようなハロゲン、および、例えば水酸化物、アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸塩、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、窒化物、シュウ酸塩等が挙げられる。金属塩によっては、1つ以上の水分子が金属塩中に存在する場合があることは当事者にとっては言うまでもないが、これは「水和物」として知られている。
【0017】
したがって、限定するものではないが、本発明で使用可能な金属塩の例は、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、乳酸アルミニウム、七モリブデン酸アンモニウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金酸アンモニウム/二水素酸化物、モリブデン酸アンモニウム(VI)四水和物、テトラクロロ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム/二水素酸化物、塩化カドミウム、チタン酸カルシウム、酸化銅(I)、硫酸銅、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、酸化ガリウム、塩化インジウム(III)、硫酸インジウム、塩化イリジウム(III)三水和物、塩化マンガン、塩化第二水銀、元素状水銀、アミノ水銀クロリド、塩化モリブデン(V)、塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、ジシアノ金酸カリウム、ジシアノ金酸カリウム/二水素酸化物、塩化ロジウム三水和物、硫酸ロジウム、硝酸銀、塩化第一スズ、シュウ酸スズ、塩化スズ(II)、酸化チタン(V)、シュウ酸チタンカリウム、窒化チタン、シュウ酸チタン、塩化バナジウム(III)、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム、タングステン酸、ナトリウム塩二水和物、ルテニウム、硫酸カドミウム、塩化ニオブ(V)、塩化アンチモン、塩化イリジウム(III)、塩化ベリリウム(II)、硫酸ベリリウム四水和物、塩化ゲルマニウム(IV)、塩化サマリウム(III)、塩化マンガン、塩化タングステン、硫化タングステンVI、硫化タングステンVI二水和物、塩化第二白金、塩化ロジウム等が挙げられる。
【0018】
本発明の実施の形態において、フィルムは適切な金属塩の混合物を含み、前記混合物は複合体を形成したり沈殿したりするのではなく溶液中に留まる。各金属塩の適切なビヒクルおよびpHならびに個々の濃度は、金属塩の混合物のフィルムを調製する際に考慮される。
【0019】
前記ビヒクルは、フィルム形成の特性を有する物質の中から選定される。ビヒクルは通常、揮発性の液体とともに、選定された金属塩の混合物が中で均一に分布できるゲル(ヒドロゲル)または凝集性エマルジョンを結果として生じるポリマーを含む。本発明の望ましい実施の形態において、ポリマーは、ゲルまたはエマルジョンが広がる際に乾燥してフィルムを形成できるように選定される。ビヒクルは、使用時に水分を吸収するような親水性を有するものがよい。
【0020】
ここで使用するフィルムを形成するポリマーは、複数の極性構造を有するポリマーから選定されるのが好ましい。適切なフィルムを形成するポリマーの例として、必ずしもこれらに限定されないが、以下のうち1種類以上を含む。ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、全アルキル化多糖(例えば全メチル化セルロース等)、ポリビニルアルコール、および多糖類。フィルムを形成するポリマーの具体例として、必ずしもこれらに限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);メチルセルロース(MC);ポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられ、さらに任意で重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウム(PSBSC);HPCおよびβ‐シクロデキストリン(HPC β);ブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびブチルヒドロキシトルエン(BHT)を有するPVP(PBBと総称される)等が挙げられる。
【0021】
ここで記載する「揮発性」液体は、キャリアの破壊なしに、使用する金属塩の混合物がフィルム中に留まる温度で蒸発することができるものである。一般に、室温で比較的高い蒸気圧を有する液体を使用することができる。適切な揮発性液体の例として、必ずしもこれらに限定されないが、水、エタノール、メタノールまたはこれらの均一な混合物が挙げられる。
【0022】
各事例での的確なビヒクルの選択は、使用する金属塩の混合物およびパッチ材料によって決まる。前記金属塩の混合物は、ビヒクル中で均一に分布することができる。前記ビヒクルとパッチ材料は互いに貼りつくものが選定される。さらにビヒクルは、調剤学的に受け入れることができ、被験者の皮膚を刺激せず、かつパッチ材料に対して不活性であり、金属塩の混合物のアレルギー特性および/または刺激特性を実質的に変えない。好ましくは、1種類以上のポリマーが、皮膚試験の場合のように密閉条件下での適用時に膨潤性のフィルムまたはゲルを提供する。得られたゲル(揮発性液体中のビヒクル)は拡がるときに凝集性のフィルムを形成する。
【0023】
したがって、金属塩の混合物は、フィルムを形成する材料中に均一に分布する。またパッチ材料も同様に、再現性に優れた均一な厚みのフィルムで被膜される。
【0024】
本発明の別の実施の形態において、金属塩の混合物は、揮発性液体中に溶解またはゲル化した、フィルム形成ポリマーに添加される。金属塩の混合物が前記溶液、例えば水に溶解できる場合、ポリマーを含有する混合物に直接添加される場合もある。金属塩の混合物の成功は、使用する金属塩の組み合わせ、そして製造方法および分析方法によるところが大きい。すなわち、ある金属塩を別の金属塩とともに使用することで、液体中の混合物を全て溶解させる効果がある。別の方法として、金属塩の混合物を、ゲル中に存在する液体と混合性のある、少量の揮発性液体中で前もって分散させてもよい。その後、パッチ材料が均一なゲル層で覆われ、この層はのちに乾燥可能であり、また任意で適切な数の被膜パッチに切断可能であるが、後者では形状および大きさ(面積)が等しいことが好ましい。フィルム側が面取りした、つまり丸めたエッジを有するように形成された被膜パッチは有益である。乾燥したフィルムの厚さは、被膜ゲルの種類により、例えば0.2、0.1、0.05または0.01mmであってよい。被膜パッチの面積は0.2cmであってよい。単位面積あたりのフィルム中の金属塩の混合物の量は、種々の金属塩によって変わる。他と比べてより多くの影響を及ぼす金属塩もある。すなわち、各金属塩の単位面積あたりの適切な有効量(感作された人の反応を引き出すのに必要な量)を考慮する。「単位面積あたりの有効量」とは、テストで使用する際に、感作された人または正常者の大部分にアレルギー反応を引き起こす金属塩の量を意味する。各被膜パッチ中の金属塩の量は、一般に10mg/cm未満であり、好ましくは1mg/cm未満であり、より好ましくは0.1mg/cm未満である。時には、患者に対していわゆる閾値を決めることが望ましい場合もある。この目的のために、同じ金属塩の混合物で異なる(金属塩の)量/単位面積を実現する被膜パッチが調製される。
【0025】
さらに別の実施の形態において、被膜パッチはその後粘着シート材料上に置かれ、粘着シート材料は少なくとも約5mm、好ましくは少なくとも約1mmのマージンを備え、各被膜パッチの周りから突出し、各パッチのフィルムが被膜された側は、粘着性のシート材料から見て外側を向くように配置される。前記被膜パッチは、各パッチ間の隔たりは10cm未満である。各パッチの形状は、本発明に照らし重要ではない。
【0026】
粘着材料は、パッチ材料が不透過性である場合に、水分透過性であってもよく、皮膚にやさしく適応するような性質のものがよい。テスト手順を容易にするために、粘着材料の共通する一片上に複数の被膜パッチを予め配置しておくことが可能である。その場合、個々の被膜パッチはそれぞれ異なる金属塩を提供されているか、および/または、単位面積あたり異なる量の同じ金属塩を提供されている。被膜パッチをこのように予め配置しておくことにより、複数の金属塩の混合物に対し、および/または、単位面積あたり異なる量の同じ金属塩の混合物に対し、同時に患者をテストする細長片(strip)が得られる。かかる細長片は標準トレイに対応する被膜パッチを含んでいてもよい。つまり各細長片は最大25個の被膜パッチ、より好ましくは最大12個の被膜パッチを含んでいてもよい。
【0027】
したがって、本発明のさらにもう1つの実施の形態は、粘着材料(「自動接着性の」、加圧のみで接着する粘着材料)の細長片から成るテストパッチである。この細長片は、粘着面に、フィルムで覆われた少なくとも1つのテストパッチを、そこに組み込まれた金属塩の混合物とともに有する。テストパッチを、使用直前に剥がす保護シートで被膜してもよい。保護シートを有するテストパッチを、出荷および販売のために、必要に応じて、例えば気体窒素等の不活性雰囲気内で空気、水分、湿度および光の侵入から遮蔽されるように包装してもよい。
【0028】
ここに記載するように、得られた本発明のテストパッチは、患者のアレルギー性接触皮膚炎(ACD)の診断に用いられ、患者の履歴は各パッチに含まれる1種以上の金属に対する感度を示唆する。本発明のテストパッチは別の皮膚炎(アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、静脈、掌および足底の角化性皮膚炎、小胞性皮膚炎または神経皮膚炎)、および例えば下腿潰瘍や乾癬のような別の不治の皮膚病を、薬等を併用して診断するのにも採用され、接触過敏症成分の有無を判定している。このため、本発明のテストパッチは以下の皮膚病を持つ患者にその兆候を示すことが可能である。その皮膚病とは、持続的な難治性の皮膚炎、疑わしい接触性皮膚炎、背または斑点状の手の皮膚炎、脚部および足の皮膚炎、顔面の皮膚炎(脂漏性皮膚炎を除く)、円板状の皮膚炎、異常分布を伴う皮膚炎、異型のアレルギー症状、およびアレルゲンの摂取による皮膚反応である。
【実施例】
【0029】
以下の実施例およびデータは、本発明の配合物、組成物および/または方法に関する様々な態様および特徴を説明しているが、これらの実施例等に限定するものではない。従来技術に比べ、本発明の組成物および方法は、驚くべき、予想外の、そして正反対の結果およびデータを提供している。本発明の有用性は、いくつかの組成物の調製および使用を通じて説明されているが、同様の結果が様々な他の組成物から得られ、それらが本発明の適用範囲にあることを当事者等は当然のことながら理解するであろう。
【0030】
全ての金属塩は、承認を受けたサプライヤから購入される。金属塩の品質は消費者製品の品質と同じである。
[実施例1−個々の金属塩の混合溶液およびゲルの調製]
【0031】
各金属塩の混合物を、1種以上の溶液に溶解または懸濁させる。個々の金属塩、それらの濃度、正しいpH、および適切な溶媒(揮発性液体)システム/ゲル形成剤は、各混合物の溶解性にとって不可欠である。ゲル形成剤の溶媒に対する濃度も非常に重要である。以下の表1〜5に示す組成物は適切な金属塩の混合物であることが分かった。溶媒は、水、エタノールのような有機溶媒、またはそれらの混合物、のいずれかである。金属混合物溶液には、ゲル形成剤または完全なゲルのいずれかが添加される。ゲル形成剤は、好ましくはHPCまたはPVPである。溶媒とともにゲルは、金属塩の混合物のためのビヒクルとも称する。

表1(金属混合物1:水中でのHPC7.5%)
金属塩 濃度(mg/cm
塩化カドミウム 0.080
塩化亜鉛 0.080
塩化マンガン 0.080
七モリブデン酸アンモニウム 0.080
テトラクロロ白金酸アンモニウム 0.080
塩化スズ 0.080

表2(金属混合物2:水中でのHPC7.5%)
金属塩 濃度(mg/cm
塩化カドミウム 0.080
塩化亜鉛 0.16

表3(金属混合物3:水中でのHPC7.5%)
金属塩 濃度(mg/cm
硫酸銅 0.080
硫酸インジウム 0.080
硫酸ロジウム 0.020

表4(金属混合物3:水中でのHPC10.0%)
金属塩 濃度(mg/cm
硫酸銅 0.080
硫酸インジウム 0.040
硫酸ロジウム 0.020

表5(金属混合物3:水中でのHPC7.5%)
金属塩 濃度(mg/cm
硫酸銅 0.039
硫酸インジウム 0.021
硫酸ロジウム 0.005

【0032】
金属混合物2に関し、金属塩の混合物の水溶液中で5%HPCは、許容できない最終製品をもたらした。また金属混合物3に関しては、表3〜5に示す濃度の全てにおいて許容できる結果をもたらしたが、とりわけ表5の濃度が好ましい。ここで明らかなように、正しい金属塩の混合物を得るために、重要な実験が必要である。
[実施例2−細長片調製用のゲルの被膜]
【0033】
乾燥によって溶媒が除去され、ポリエステルシート上の、金属塩の混合物を含有するゲルの被膜によって個々の細長片が作成される。被膜プロセスは、好ましくは被膜機で行う。金属塩の混合物を含有するゲルは、ポリエステルシートに沿って搬送されるワイヤーバーの前方に一定の速度と圧力で拡がる。均一でかつ再現性に優れた被膜を保証するために、ワイヤーバーは、表面からの一定の距離が設定され、ポリエステルの表面上で金属塩の混合物の所要量を適用させることを達成する。溶媒は、オーブン内でゲル被膜ポリエステルシートから蒸発する。
【0034】
ポリエステルシートにゲルを被膜する前に、アレルゲンを含有するフィルムとポリエステルの間に優れた付着が得られるように、ポリエステルの表面を任意で変更する。好ましくは、前記表面にコロナ処理を行う。
【0035】
特許を含む、すべての記事および参照の開示を引用してここに組み込む。本発明ならびにその製造および使用の方法およびプロセスをここに、完全で、明確で、簡潔で、正確な表現で説明することにより、当業者は同じく製造および使用できるようになっている。本明細書で引用する全ての引例は、引用によりここに組み込まれる。先の記載は本発明の好ましい実施の形態を説明するものであり、本発明の精神と範囲から逸脱することなくここに変更してもよいことは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アレルゲンのためのテストパッチであって、
ビヒクル中に均一に分散される2種以上の金属塩を含み、
前記ビヒクルが極性ポリマーを含む、
テストパッチ。
【請求項2】
前記極性ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、全アルキル化多糖類、ポリビニルアルコール、多糖類およびこれらの組み合わせから成るグループから選ばれた、
請求項1に記載のテストパッチ。
【請求項3】
前記極性ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンを有するヒドロキシプロピルセルロース、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンを有するポリビニルピロリドンから成るグループから選ばれた、
請求項1に記載のテストパッチ。
【請求項4】
前記2種以上の金属塩の各金属が、独立して、銅、鉄、イリジウム、水銀、パラジウム、白金、ロジウム、モリブデン、マンガン、亜鉛、カドミウム、チタン、バナジウム、ニオブ、スズ、ガリウム、ルテニウム、タンタル、アンチモン、ベリリウム、ゲルマニウム、サマリウム、タングステン、ジルコニウム、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびインジウムから成るグループから選ばれた、
請求項1に記載のテストパッチ。
【請求項5】
前記2種以上の金属塩の各非金属が、独立して、ハロゲン、水酸化物、アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸塩、酸化物、乳酸塩、酢酸塩、硝酸塩、窒化物およびシュウ酸塩から成るグループから選ばれた、
請求項4に記載のテストパッチ。
【請求項6】
前記2種以上の金属塩が、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、乳酸アルミニウム、七モリブデン酸アンモニウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金酸アンモニウム/二水素酸化物、モリブデン酸アンモニウム(VI)四水和物、塩化モリブデン(V)、テトラクロロ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム/二水素酸化物、塩化カドミウム、チタン酸カルシウム、酸化銅(I)、硫酸銅六水和物、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、酸化ガリウム、塩化インジウム(III)、硫酸インジウム、塩化イリジウム(III)三水和物、塩化マンガン、酸化マンガン、アミノ水銀クロリド、塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、シュウ酸チタンカリウム、塩化ロジウム三水和物、硫酸ロジウム、硝酸銀、塩化第一スズ、シュウ酸スズ、塩化スズ(II)、酸化チタン(V)、窒化チタン、シュウ酸チタン、塩化バナジウム(III)、五酸化バナジウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム、タングステン酸、ナトリウム塩二水和物、ルテニウム、硫酸カドミウム、塩化ニオブ(V)、塩化アンチモン、塩化イリジウム(III)、塩化ベリリウム(II)、硫酸ベリリウム四水和物、塩化ゲルマニウム(IV)、塩化サマリウム(III)、塩化マンガン、塩化タングステン、硫化タングステンVI、硫化タングステンVI二水和物、塩化第二白金、および塩化ロジウムから成るグループから選ばれた、
請求項5に記載のテストパッチ。
【請求項7】
前記2種以上の金属混合物が、溶解状態、結晶状態、超微粉砕状態、乳化状態、または分散状態から成るグループから選ばれる状態のビヒクル中に均一に分散した、
請求項1に記載のテストパッチ。
【請求項8】
前記2種以上の金属混合物が、前記極性ポリマーと揮発性液体との溶液に前記2種以上の金属混合物を溶解させたのち、前記揮発性液体を蒸発させることにより前記ビヒクル中に均一に分散された、
請求項7に記載のテストパッチ。
【請求項9】
前記揮発性液体が、水、有機溶媒、およびそれらの均一な混合物から成るグループから選ばれた、
請求項8に記載のテストパッチ。
【請求項10】
前記有機溶媒が、メタノールおよびエタノールから成るグループから選ばれた、
請求項9に記載のテストパッチ。
【請求項11】
前記極性ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロースであり、前記揮発性液体が、水である、
請求項8に記載のテストパッチ。
【請求項12】
前記2種以上の金属塩が、塩化カドミウムと、塩化亜鉛と、塩化マンガンと、七モリブデン酸アンモニウムと、塩化スズと、テトラクロロ白金酸アンモニウムとの混合物である、
請求項11に記載のテストパッチ。
【請求項13】
前記2種以上の金属塩が、硫酸銅と、硫酸インジウムと、硫酸ロジウムとの混合物である、
請求項11に記載のテストパッチ。
【請求項14】
前記パッチは、前記揮発性液体が蒸発してから被膜される、
請求項8に記載のテストパッチ。
【請求項15】
人が金属接触アレルギーを患っているか否かを判定する方法であって、
請求項1による少なくとも1つのパッチを人の皮膚に適用するステップと、
アレルギー反応を観察するステップとを含む、
判定方法。

【公開番号】特開2013−95753(P2013−95753A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−240158(P2012−240158)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(307031068)スマートヘルス インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】