説明

皮膚刺激緩和組成物及びこれを含有する経皮外用剤

【発明の詳細な説明】
技術分野 この発明は皮膚刺激緩和組成物とこれを含有する経皮外用剤に関するものである。更に詳しくは皮膚刺激性の低減、緩和作用とともに薬理活性物質の吸収促進性をも有する新しい組成物と経皮外用剤に関するものである。
背景技術 従来より、医薬品の投与方法として、経口投与や注射による投与が広く実施されているが、胃腸障害、ショック等の副作用のあることが問題になっている。このため、近年では、医薬品による副作用の軽減のため、薬物の経皮投与が可能な外用製剤の研究がなされてきている。しかしながら、現状においては、外用製剤による投与の場合には、十分な経皮吸収性が得られないことが多い。
外用製剤による投与において薬物がその治療効果を最大限に発揮するためには、その薬剤が基剤中から皮膚の内部に速やかに移行して患部に到達することが必要である。そのため、外用製剤において基剤中に分散または溶解している薬物の経皮吸収性を高めるためにこれまでにも種々の工夫がなされてきている。たとえば特開昭61−249934号公報に開示されているように2種類またはそれ以上の種類の溶媒を混合したり、特開昭62−238261号公報に開示されているアザシクロアルカン誘導体のような経皮吸収促進剤を添加したりする方法が提案されている。しかしながら、その多くは強力な溶剤としての性格や経皮吸収促進剤自体の強い皮膚刺激性によって、一般の適用や使用法が制限されるなどの欠点がある。そこでこれらの問題点を解決すべく種々の試みとして、たとえば特開昭58−4721号公報、特開昭60−56911号公報、特開昭60−23312号公報に見られように特定の化学物質を皮膚刺激軽減のために添加する研究が盛んに実施され、近年では、特開平1−299212号公報の非ステロイド系抗炎症剤を配合する方法、特開平1−299217号公報のアズレン誘導体を配合する方法、特開昭63−211241号公報のグリセリンを含有する組成物による手法、特開平2−96514号公報の代謝調節剤として2−フェニル−1−エタノール、3−フェニル−1−プロパノールを添加する方法等が提案されている。しかしながら、その実用性についてはいまだに問題が残されている。
一方、クエン酸トリアルキル、特にクエン酸トリエチルは、皮膚及び頭髪への使用感に優れ皮膚毒性も低いため、特公平3−25403号公報、特開昭64−19012号公報、特開昭64−66107号公報に見られるように広く化粧品の基剤として用いられ、更に香料の皮膚への透過を減少させることで香料の皮膚刺激を低減させることができることも知られている。(J.Soc.Cosmet.Chem.Japan,Vol.19,No.1,301985)
しかしながら、医薬品への応用は限られており、特開平1−113055号公報、特開平1−113056号公報、特開平2−184622号公報、特開平2−237917号公報に見られるように可塑剤あるいは軟化剤としての添加や米国特許第4515810号明細書に見られるようにプロスタグランジンの安定溶剤として利用されているに過ぎない。わずかに米国特許第4666926号明細書、特開昭63−126832号公報及び米国特許第4814173号明細書に経皮吸収促進投与組成物として用いられることが開示されているが、米国特許第4666926号明細書では薬物が限定されており、また、いずれの場合もその皮膚刺激性については一切説明していない。
このように、外用剤についての様々な工夫や提案がなされ、経皮外用剤が今日広く繁用されている製剤のひとつであって重篤な副作用に関してはほとんど知られていないにもかかわらず、その反面皮膚に対する刺激等の副作用発現はむしろ増加の一途をたどっており、なんら解決されていないのが現状である。
この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の外用剤、それらの処方上の欠点を解消し、特定の基剤処方でもって刺激性の低減及び緩和、更に吸収促進効果をも実現することのできる新しい組成物とこれを用いた外用剤を提供することを目的としている。
発明の開示 この発明は上記の問題点を解決するものとして、クエン酸トリアルキルと水と低級アルコールを配合あるいはこれらの基剤の中に吸収促進を配合することにより薬効成分の非常に高い経皮吸収性と非常に低い皮膚刺激性を実現することを特徴とする皮膚外用剤に有用な組成物を提供するものである。
すなわち、この発明の発明者らは、上記した通りの問題点を解決すべく種々の組成物を鋭意検討した結果、クエン酸トリアルキルと水と低級アルコールを配合することにより上記欠点を克服し得ることを見出した。更にこれらの基剤に吸収促進剤を配合することにより経皮吸収がより促進され、かつ皮膚刺激も緩和されることを見出し、本発明を完成した。
以下具体的にこの発明の組成物について説明する。
まず、この発明に用いられるクエン酸トリアルキルは、そのアルキル基がブチル、イソプロピル、プロピル、エチル、メチル等であればいずれでもよいが、なかでも常温で液体であり皮膚への使用感が良いクエン酸トリアルキルが好ましい。このクエン酸トリアルキルは組成物全体量100重量%に対し1〜50重量%程度、好ましくは5〜30重量%配合する。更に好ましい配合割合は組み合わせられる低級アルコールの種類により異なったものとなる。
この発明に用いられる低級アルコールは炭素数1〜4のものであればいずれでもよいが、なかでも炭素数2〜3のものが好ましい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等が好ましいものとして挙げられる。これらの低級アルコールは組成物全体量100重量%に対し1〜70重量%程度、好ましくは020〜50重量%配合する。更に好ましい配合割合はアルコールの種類によって各々異なる。また、この発明に用いられる水は、精製水、食塩水及びpHの調節等に用いられる緩衝液のうちいずれであってもよい。これらの水は組成物全体量100重量%に対し1〜90重量%程度、好ましくは30〜70重量%配合する。更に好ましい配合割合は組み合わせられる低級アルコールの種類によって各々異なる。
吸収促進剤としては下記に示すテルペン系化合物、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、フェノール誘導体、アザシクロアルカン誘導体が挙げられる。まずテルペン系化合物としては、通常はモノテルペンアルコールが好ましい。また当該テルペン系化合物は飽和、不飽和のいずれでもよく、直鎖状、分枝状、環状いずれでもよい。環状の場合には単環、二環のものが好ましい。このようなモノテルペン化合物としては、たとえば具体的にはゲラニオール、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール、テルピネオール、L−メントール、ボルネオロール、イソボルネオロール、ネロール、シトロネロール、リナロール、ロジノール、サフロール、イソサフロール、D−(+)−リモネン、ピネン、d1−カンフル、カンフェン、メントン、サイメンが好ましいものとして例示される。
次に脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル及びフェノール誘導体としては、具体的にはカプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、サリチル酸、オレイン酸オレイル、パルミチン酸セチル、ケイ皮酸メチル、セバシン酸ジエチル、セスキオレイン酸ソルビタン、ラウリル酸メチル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、ブチルヒドロキシアニソール、クロルクレゾールが好ましいものとして例示される。
最後にアザシクロアルカン誘導体としては、たとえば、1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン2−オンまたは1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、あるいは公表特許平3−500287号、公表特許平3−500543号に記載の化合物等が含まれる。以上述べた吸収促進剤は組成物全体量100重量%に対し、0.1〜10%程度、好ましくは1〜5%配合することができる。
更にまた、この発明の外用組成物に含有される薬理活性物質は、経皮吸収される薬物であればその種類に特に限定はなく、全身麻酔剤、催眠・鎮静剤、抗しゃっかん剤、解熱鎮痛消炎剤、興奮剤、覚醒剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、鎮けい剤、抗パーキンソン剤、眼科用剤、耳鼻科用剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、循環器官用剤、呼吸促進剤、鎮咳去たん剤、消化性かいよう治療剤、利胆剤、整腸剤、甲状腺・抗甲状腺ホルモン剤、麻薬、蛋白同化ステロイド剤、副腎皮質ホルモン剤、男性ホルモン剤、卵胞黄体ホルモン剤、泌尿生殖器及び肛門用剤、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、腐蝕剤、ビタミン剤、血液凝固阻止剤、習慣性中毒用剤、痛風治療剤、酵素製剤、糖尿病薬等が用いられ、なかでも催眠・鎮静剤、解熱消炎鎮痛剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、鎮けい剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、利胆剤、抗甲状腺ホルモン剤、麻薬、副腎皮質ホルモン剤、卵胞黄体ホルモン剤、寄生性皮膚疾患用剤、痛風治療剤、糖尿病薬等が好ましい。更にこれらの薬物が水溶性であることが好ましく、しかもその薬物が酸性である場合は組成物のpHを7〜8、その薬物が塩基性の場合には組成物のpHを4〜7に調製することが好ましい。これらの薬物は、単独あるいは2種以上の混合系で使用してもよく、必要に応じて紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐剤を加えてもよい。
紫外線吸収剤としては、公知のP−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、カンファー誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、シコニンあるいはビタミンB6誘導体等が挙げられるが、特にベンゾフェノン誘導体、たとえば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン誘導体が好ましく用いられる。抗酸化剤としては、たとえばアスコルビン酸、ステアリン酸エステル、アスコルビン酸ナトリウム、トコフェロール(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等のd体、1体、d1体)及びこれらのエステル誘導体、ノルジヒドログアセレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、tert−ブチルヒドロキノン没食子酸エステル(エチル、プロピル、イソアミル等のエステル)、1−オキソ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、更にその他の抗酸化剤が挙げられる。防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が用いられる。
これらの紫外線吸収剤は組成物全体量100重量%に対し、0.01〜5重量%程度、好ましくは0.1〜1重量%配合することができる。抗酸化剤も組成物全体量100重量%に対し、0.01〜5重量%程度、好ましくは0.1〜1重量%、防腐剤は、組成物全体量100重量%に対し0.01〜5重量%程度、好ましくは0.05〜1重量%配合することができる。
以上詳述したごとく、この発明は経皮吸収性の薬理活性物質を有効成分として含有することができ、これにクエン酸トリアルキルと水と低級アルコールを配合することを特徴とし、薬効物質の高い皮膚透過性と非常に低い皮膚刺激性を両立するものである。又、前記の基剤に吸収促進剤をある特定の割合で配合することを好ましい態様とし、薬効物質の高い皮膚透過性と非常に低い皮膚刺激性を両立するものである。更に必要に応じてい賦形剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐剤をも配合することができる。剤型としては、たとえばゲル剤、ゲル・クリーム剤、リニメント剤、エアゾール剤、リザーバー型貼付剤、貼付剤等が考えられる。
そこで前述の外用製剤の各々についてこの発明の処方例を示してみる。
まず始めにゲル基剤について述べる。ゲル基剤にはこの発明の特徴であるクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルのいずれかと公知のゲル基剤である低級アルコール(たとえばエタノール、イソプロパノール等)、水、ゲル化剤(たとえばカルボキシビニル重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、及び中和剤(たとえばトリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム等)、界面活性剤(たとえばセスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等)、吸収促進剤(たとえばアザシクロアルカン誘導体)から選択された基剤を適宜配合し、必要に応じ抗酸化剤、紫外線吸収剤、防腐剤を配合する。そして、更に薬理活性物質を配合することでこの発明のゲル剤を得ることができる。
次にゲル剤の製造例を1つ述べて参考に供する。
薬理活性物質 適量 クエン酸トリアルキル類 30重量%以下 水 55重量%以下 グリコール類 40重量%以下 低級アルコール 45重量%以下 ゲル化剤 5重量%以下 吸収促進剤 5重量%以下 以上の各成分を秤量し、まず水をゲルに入れて膨潤させる。一方、薬理活性物質を溶解剤の適量に溶解もしくは懸濁くし、更にこれをグリコール類とクエン酸トリアルキルの混合物もしくはクエン酸トリアルキルと低級アルコールの混合物またはこれら三者の混合物に溶解させる。続いて水をゲル化剤で膨潤させたものに加えて中和剤を添加し、pHが4〜8になるように調製し、この発明のゲル剤を得る。なお、この製造例は1例にしかすぎず、公知または類似の方法及び処方により製造しうることは言う迄もない。また、各配合量に特に限定されるものではない。
次にゲル・クリーム剤について述べる。クリーム基剤にはこの発明の特徴であるクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルのいずれかと公知のクリーム基剤、たとえば白色ワセリン、流動パラフィン、高級脂肪酸エステル類(たとえばミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、セパシン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、イソオクタン酸セチル等)、低級アルコール(たとえばエタノール、イソプロパノール等)、乳化剤(たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等)、吸収促進剤(たとえばテルペン系化合物、アザシクロアルカン誘導体等)、ゲル化剤(たとえばカルボキシビニル重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)及び中和剤(たとえばトリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム等)から選択された基剤を選択し、適宜配合し、必要に応じ抗酸化剤、紫外線吸収剤、防腐剤を配合する。そして薬理活性物質を配合することでこの発明のゲル・クリーム剤を得ることができる。
次にゲル・クリーム剤の製造例を1つ述べて参考に供する。
薬理活性物質 適量 クエン酸トリアルキル類 20重量%以下 高級脂肪酸エステル 25重量%以下 防腐剤 0.5重量%以下 乳化剤 5重量%以下 高級アルコール 15重量%以下 水 50重量%以下 低級アルコール 20重量%以下 吸収促進剤 5重量%以下 ゲル化剤 5重量%以下 以上の各成分を秤量し、まず高級脂肪酸エステル、クエン酸トリアルキル高級アルコール、乳化剤及び吸収促進剤を混合し、50〜100℃に加熱融解した後、予め加熱した水に防腐剤、低級アルコール及び薬理活性物質を溶解もしくは懸濁したものを加える。その後50℃に冷却しゲル化剤を添加して充分分散させる。その後、中和剤を加えpH4〜8に調製してこの発明のゲル・クリーム剤を得ることができる。なお、この製造例は1例にしかすぎず、公知または類似の方法及び処方により製造しうることは言う迄もない。また、各配合量もこれに限定されるものではない。
次にリニメント剤について述べる。この発明のリニメント剤はこの発明の特徴であるクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルのいずれか30重量%以下と公知のリニメント基剤である低級アルコール類(たとえばエタノール、イソプロパノール)10〜70重量%、水55重量%以下、脂肪酸エステル(たとえばアジピン酸、セパシン酸、ミリスチン酸の各種エステル類)60重量%以下に吸収促進剤(たとえばテルペン系化合物、アザシクロアルカン誘導体等)及び薬理活性物質を加えに必要に応じて紫外線吸収剤を0.01〜5重量%、必要に応じ抗酸化剤0.01〜5重量%、防腐剤0.01〜5重量%配合することでリニメント剤を得ることができる。なお、上記処方例及び製造例は単なる1例であり、当然類似の処方でこの発明のリニメント剤を得ることができる。また、この発明のリニメント剤でも必要に応じpH調製の為の中和剤あるいはメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース等の粘性付与剤を配合することもできる。
次にエアゾール剤について述べる。エアゾール剤にはこの発明の特徴であるクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルのいずれか20重量%以下と低級アルコール類(たとえば、エタノール、イソプロパノール)、精製水30重量%以下、吸収促進剤(たとえばテルペン系化合物、アザシクロアルカン誘導体等)、薬理活性物質、更に必要に応じてタルク等の無機物質5%以下、紫外線吸収剤0.01〜5重量%、抗酸化剤0.01〜5重量%、防腐剤0.01〜5重量%、ジメチルエーテル20重量%以下、LPGを20重量%以下を加圧で、エアゾール容器に充填することでこの発明のエアゾール剤をえることができる。なお、上記処方例及び製造例は単なる1例であり、当然類似の処方でこの発明のエアゾール剤を得ることができる。
次にリザーバー型貼付剤について述べる。このリザーバー型貼付剤に用いられるリザーバー部の組成は、薬理活性物質と前記ゲル剤、ゲル・クリーム剤、リニメント剤等の組成を用いることができる。また、ここで用いられる制限膜である多孔膜あるいは高分子膜は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール−エチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン性共重合体ガム、エチレン−メタアクリル酸あるいはエチレン−アクリル酸共重合体が用いられる。支持体はたとえばポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、布、不織布などが用いられるが、支持体リザーバー部、多孔膜あるいは高分子膜を介して皮膚に接触する面に粘着層がある場合と、ない場合があるが、粘着層を設ける場合には粘着層の組成は薬理活性物質を含んだ貼付剤組成によって構成することができる。粘着層のない場合は、放出面である多孔膜あるいは高分子膜の外側に薬理活性物質を含まない貼付剤の基剤による粘着層を設けてこの発明の製剤を得ることができる。なお、これらの製造方法は従来公知の方法とすることができる。
最後に貼付剤について述べる。この貼付剤はこの発明の特徴であるクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルのいずれか30重量%以下と低級アルコール類(たとえば、エタノール、イソプロパノール)10〜40重量%、水溶性多価アルコール10〜80重量%、水5〜40重量%、イオン性不飽和単量体1〜40重量%、メタアクリレート2〜30重量%、架橋成分0.05〜1%に吸収促進剤(たとえばアザシクロアルカン誘導体)及び薬理活性物質を加え、更に必要に応じて紫外線吸収剤を0.01〜5重量%、抗酸化剤0.01〜5重量%、防腐剤0.01〜5重量%を配合し、重合開始剤の存在下において重合架橋してこの発明の貼付剤を得ることができる。なお、上記処方例及び製造例は単なる1例であり、当然類似の処方でこの発明の貼付剤を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態 以下、この発明の構成と効果について実施例を示して説明する。もちろん、この発明はこれにより限定されるものではない。
まず最初に実施例Aとしてクエン酸トリアルキル、低級アルコール及び水からなる組成物並びにこの組成物に薬理活性物質を配合した製剤について説明する。
〔実施例A〕
実施例1−A〜2−A(比較例1−A〜2−A)
比較試験1−A 表1−Aに示した通りのこの発明の組成物と比較のための組成物を調製し、その皮膚一次刺激性をDraize法に準じて評価した。
その結果は表1−Aに示した通りで、クエン酸トリアルキルの添加によりエタノールによると考えられる皮膚一次刺激性が明らかに低下している。




比較試験2−A 前記実施例1−A、比較例1−Aの組成の溶液及び水を用い、その各々について、ヘアレスマウスの摘出皮膚を用い、in vitroでの薬効成分の皮膚透過性をモルヒネ塩酸塩の懸濁液を用いて測定した。薬物の皮膚透過性は8時間目までの最大Flux(最大薬物透過速度μg/cm2/h)で比較した。
その結果は表2−Aに示した通りで、実施例1−A及び比較例1−Aにおいて薬物の皮膚透過はほぼ同等に促進されている。しかしながら、前記比較試験1−Aの結果より、実施例1−Aにおいて皮膚刺激性が著しく低下していることが明らかである。


実施例3−A(比較例3−A)
下記の実施例3−Aの組成及び比較例3−Aの組成の溶液を調製し、その各々について、ヘアレスマウスの摘出皮膚を用い、in vitroでの薬効成分の皮膚透過性を下記表3の薬物を用いて測定し、あわせてその薬物溶液の皮膚刺激性検査をDraize法に準じて行った。薬物の皮膚透過性は8時間目までの最大Flux(最大薬物透過速度μg/cm2/h)で皮膚刺激性はPII(皮膚刺激指数)で比較した。
(実施例3−A 組成)
水/イソプロパノール/クエン酸トリエチル/アザシクロアルカン誘導体=67/20/10/3(W/W)
(比較例3−A 組成)
水/イソプロパノール/アザシクロアルカン誘導体=77/20/3(W/W)
その結果は表3−Aに示した通りで、両者ともに薬物の皮膚透過性に関しては大きな変化を認めないが、実施例3−Aの溶液においては、吸収促進剤(この場合はアザシクロアルカン誘導体)によると思われる皮膚刺激性が著しく低下していることがわかる。


実施例4−A〜12−A(比較例4−A〜12−A)
表4−Aの組成の溶液を調製し、その各々について、ヘアレスマウスの摘出皮膚を用い、in vitroでの薬効成分の皮膚透過性を塩酸モルヒネ懸濁液を用いて測定し、あわせて溶液の皮膚刺激性をDraize法に準じて検査した。
その結果は表4−Aに示した通りである。薬物の皮膚透過性の比較は8時間目まで行った皮膚透過試験より求めた最大Flux(最大薬物透過速度)で行った。クエン酸トリアルキル(この場合はクエン酸トリエチル)と吸収促進剤の併用により従来と同等か、もしくは更に高い薬物の皮膚透過性と、従来より遥に低い皮膚刺激性を両立している。幾つかの例においては透過率の低下が認められるがこれはクエン酸トリエチルの配合量がこの実施例では一定であるためである。しかし、この場合においてさえ透過率の低下よりも遥に大きな皮膚刺激性の低減が認められる。


実施例13−A〜17−A(比較例13−A〜17−A)
下記実施例13−A〜17−A及び比較例13−A〜17−Aの組成物について、次の通り実験を行った。
すなわち、体重約3kgの日本白色家兎の背部を剃毛し、実施例13及び比較例13の試料(モルヒネ塩酸塩含量30mg)を背部皮膚に塗布し、瀘紙にて塗布面を覆いテープにて瀘紙を固定した。塗布後0,1,2,3,6時間後に採血を行いモルヒネ含量を測定した。また、実施例13−A〜17−A及び比較例13−A〜17−Aについて、その皮膚刺激性をDraize法に準じて評価した。
(実施例13−A ゲル剤)
次の組成: モルヒネ塩酸塩 5 アザシクロアルカン誘導体 3 カルボキシビニルポリマー 1 エタノール 20 プロピレングリコール 10 クエン酸トリエチル 20 精製水 20 2−ヒドロキシ−4− メトキシベンゾフェノン 0.5 ジイソプロパノールアミン 1.1 100(重量%)
となるように、カルボキシビニルポリマー1部を精製水23部に膨潤させ、これにエタノール20部、プロピレングリコール10部、クエン酸トリエチル20部、モルヒネ塩酸塩5部、及び2−ヒトロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.5部を混合した溶液を加え撹拌した。次にアザシクロアルカン誘導体3部とジイソプロパノールアミン1.1部を精製水16.4部に溶解したものを加え、全体が均一になるまで充分に撹拌してゲル剤を得た。
(比較例13−A ゲル剤)
実施例13−Aにおいてクエン酸トリチエルをエタノールに置き換えた他は同様とした。
(実施例14−A リニメント剤)
次の組成: サリチル酸メチル 2 1−メントール 5 エタノール 25 クエン酸トリエチル 27 ミリスチン酸イソプロピル 5 精製水 36 100(重量%)
となるように混合し、ニリメント剤を得た。
(比較例14−A リニメント剤)
実施例14−Aにおいてクエン酸トリエチルをエタノールに置き換えた他は同様とした。
(実施例15−A ゲル・クリーム剤)
次の組成: シルバーサルファダイアジン 5 ゲラニオール 3 白色ワセリン 5 セタノール 4 流動パラフィン 3 クエン酸トリエチル 15 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 カルボキシビニルポリマー 2 ジイソプロパノールアミン 1 パラオキシエチレンパラオキシ プロピレンセチルエーテル 2 イソプロパノール 20 精製水 39.8 100(重量%)
となるように、白色ワセリン、セタノール、流動パラフィン、クエン酸トリエチル、ゲラニオール、パラオキシエチレンパラオキシプロピレンセチルエーテルを混合し、加熱溶解した後に、予め加熱した精製水にパラオキシ安息香酸メチルとイソプロパノールとシルバーサルファダイアジンを溶解、分散させたものを加えた。その後冷却して50℃とし、カルボキシビニルポリマーを添加し充分に分散させた後置、ジイソプロパノールアミンを加えてpHを4〜8に調製してゲル・クリームを得た。
(比較例15−A ゲル・クリーム剤)
実施例15−Aにおいてクエン酸トリエチルを精製水に置き換えた他は同様とした。
(実施例16−A リザーバー型貼付剤)
1)支持体 ポリエステル系フィルム 2)薬物貯蔵層 実施例13の組成物 3)微多孔膜 シュラガード 4)粘着層 アクリル系粘着剤(支持体周辺部)
から構成し、剥離紙を微多孔粘着層面にあてがい積層物を作成した。
(比較例16−A リザーバー型貼付剤)
実施例16−Aの薬物貯蔵層を比較例13−Aの組成物で置き換えた他は同様とした。
(実施例17−A 貼付剤)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン15部を2−ヒドロキシエチルメタクリレート2400部に溶解し、更にテトラエチレングリコールジメタクリレート35部を添加して溶解させた。別に5%食塩水1900部、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩600部を加温溶解し、更にグリセリン2000部、イソプロパノール2000部、クエン酸トリエチル1100部、ケトプロフェン110部、カプリン酸300部を添加して均一な溶液を得た。更に前記両液を混合脱泡し、均一な溶液を得た。この液を、液のまわりへの流出を防止するために枠を設けた厚さ50μmの水平に保たれたPETフィルム上に厚さが300μmになるように流し込んだ。このものを窒素雰囲気に保ちながら、30Wのケミカルランプの15cm下におき、紫外線を5分間照射した後、硬化した表面を離型処理したPETフィルムで覆って貼付剤とした。
(比較例17−A 貼付剤)
実施例17−Aにおいてクエン酸トリエチルをグリセリンに置き換えた他は同様とした。
以上の組成物の試験の結果は表5−A及び6−Aに示した通りである。モルヒネ塩酸塩の血中への移行は実施例と比較例において有意な差は認められないが、実施例においては皮膚に対する刺激が有意に軽減している。




次に実施例Bとしてクエン酸トリアルキル、低級アルコール、水及びテルペン系化合物の吸収促進剤からなる組成物並びにこの組成物に薬理活性物質を配合した製剤について説明する。
〔実施例B〕
まず、評価試験について説明する。
<ヘアレスマウス摘出皮膚による薬物皮膚透過性試験> クエン酸トリエチル、イソプロパノール、水を下記の組成で混合し、この混合物95重量%に対し、吸収促進剤として各種モノテルペン化合物をそれぞれ5重量%となるように添加する。次にこの混合物に薬物(ケトプロフェン、塩酸クロニジン、塩酸モルヒネ、塩酸エペリゾン)を最終組成物が37℃で飽和するレベルまで添加する。
結果的に得られる薬剤/経皮吸収製剤を、ヘアレスマウスの腹部より切除した皮膚を用いて皮膚透過試験に供した。すなわち、各種モノテルペン化合物の添加が薬物の経皮吸収にどのような影響を与えるかについて調べた。評価は各薬物ごとに、それぞれの添加物の実験開始後8時間後までの薬物の最大皮膚透過速度を求め、コントロールに対する促進率を透過速度促進率と定義し、その値を比較することにより行った。
・検体処方:(1)クエン酸トリエチル/イソプロパノール/水 =10/30/60(% V/V) 95重量% (2)各種モノテルペン化合物 5重量% 計100重量%・コントロール処方:(1)クエン酸トリエチル/イソプロパノール/水 =10/30/60(% V/V) 100重量% ・比較例処方:(1)イソプロパノール/水=30/70(% V/V)
95重量% (2)各種モノテルペン化合物 5重量% 計100重量%<各種モノテルペン化合物を含有する経皮投与基剤の皮膚一次刺激試験> 各薬物及び添加物を含有する薬剤を鳥居のパッチばん創膏(スモール)に100μl浸透させ、Draize法に準じて皮膚刺激性を評価した。動物は各薬剤ごとに日本白色家兎5羽を電機バリカン、シェーバーで剃毛して使用した。検体組成は上記の皮膚透過試験と同一の処方を用いた。
以上の方法により皮膚透過速度促進率及び皮膚刺激指数を評価し、その結果を比較例とともに示した。
実施例1−B〜4−B(比較例1−B〜4−B)
ケトプロフェンを薬物に使用したときの各処方における皮膚刺激性及び皮膚透過性を評価した。
以下の表1−B及び表2−Bの結果を得た。表1−Bに示したこの発明の実施例の場合には、透過速度促進率及び皮膚刺激指数のいずれにおいても優れた成績が得られた。




実施例5−B〜8−B(比較例5−B〜8−B)
塩酸エポリゾンを薬物に使用したときの各処方における皮膚刺激性及び皮膚透過性を評価した。
以下の表3−B及び表4−Bの結果を得た。この発明の実施例において優れた成績が得られた。




実施例9−B〜12−B(比較例9−B〜12−B)
塩酸モルヒネを薬物に使用したときの各処方における皮膚刺激性及び皮膚透過性を評価した。
以下の表5−B及び表6−Bの結果を得た。この発明の実施例において優れた結果が得られた。






実施例13−B〜16−B(比較例13−B〜16−B)
塩酸クロニジンを薬物に使用したときの各処方における皮膚刺激性及び皮膚透過性を評価した。
以下の表7−B及び表8−Bの結果を得た。この発明の実施例において皮膚刺激性の低減に優れた効果が得られた。透過性も後退していない。






以上の実施例1−B〜16−B中にまとめられた皮膚刺激指数による評価によれば、各薬剤とも弱程度ながら刺激性の現れた比較例を除き、クエン酸トリエチル、モノテルペン化合物を共に含有する混合物では、すべての例で実質的に皮膚に対して非刺激性であった。しかもモノテルペン化合物を含まないコントロールをはるかに上回る経皮吸収性の発現されることが判明した。
実施例17−B(比較例17−B)
この発明の薬物投与組成に基づき、以下に示した処方でゲル、ゲル・クリーム、リニメント、リザーバー型貼付剤、貼付剤の各製剤、ならびにそれぞれの比較処方について製剤を調製し、各々の製剤の薬物皮膚透過性、皮膚刺激性をウサギ(in vivo)で評価した。
(ゲル処方)
塩酸モルヒネ 5 L−メントール 3 カルボキシビニルポリマー 1 エタノール 20 プロピレングリコール 15 クエン酸トリエチル 15 精製水 39.4 2−ヒドロキシ−4− メトキシベンゾフェノン 0.5 ジイソプロパノールアミン 1.1 100(重量%)
の割合となるように、カルボキシビニルポリマー1部を精製水23部に膨潤させ、これにエタノール20部、プロピレングリコール15部、クエン酸トリエチル15部、モルヒネ塩酸塩5部、及び2−ヒトロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.5部を混合した溶液を加え撹拌した。次にL−メントール3部とジイソプロパノールアミン1.1部を精製水16.4部に溶解したものを加え、全体が均一になるまで充分に撹拌してゲル剤を得た。
(ゲル剤比較処方)
上記ゲル剤処方においてクエン酸トリエチルをエタノールに置き換えた他は同様とした。
(ゲル・クリーム処方)
塩酸モルヒネ 5 テルピネオール 3 白色ワセリン 5 セタノール 4 流動パラフィン 3 クエン酸トリエチル 15 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 カルボキシビニルポリマー 1 ジイソプロパノールアミン 1 パラオキシエチレンパラオキシ 2 プロピレンセチルエーテル 2 精製水 60.8 100(重量%)
の割合となるように、白色ワセリン、セタノール、流動パラフィン、クエン酸トリエチル、テルピネオール、パラオキシエチレンパラオキシプロピレンセチルエーテルを混合、加熱溶解した後、予め加熱した精製水にパラオキシ安息香酸メチルとサリチル酸メチルを溶解、分散させたものを加え、その後冷却して50℃にし、カルボキシビニルポリマーを添加し充分分散させた後、ジイソプロパノールアミンを加えpHを4〜8に調製してゲル・クリームを得た。
(ゲル・クリーム比較処方)
塩酸モルヒネ 5 d−(+)−リモネン 5 エタノール 25 クエン酸トリエチル 30 ミリスチン酸トリエチル 5 精製水 30 100(重量%)
の組成物を所定通り混合し、ニリメント剤を得た。
(リニメント剤比較処方)
上記リニメント剤においてクエン酸トリエチルをエタノールに置き換えた他は同様とした。
(リザーバー型貼付剤)
■支持体 ポリエステル系フィルム ■薬物貯蔵層 上記ゲル剤で使用した組成物 ■微多孔膜 ジュラガード ■粘着層 アクリル系粘着剤(支持体周辺部に 粘着層)
■〜■で構成し、剥離紙を微多孔膜粘着層面にあてがい積層物を作成した。
(リザーバー型貼付剤比較例)
リザーバー型貼付剤の薬物貯蔵層内容物をゲル剤比較例の組成物で置き換えた他は同様とした。
(貼付剤)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン15部を2−ヒドロキシエチルメタクリレート2400部に溶解し、更にテトラエチレングリコールジメタクリレート35部を添加し溶解させた。別に5%食塩水1900部、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩600部を加温溶解し、更にグリセリン2000部、イソプロパノール2000部、クエン酸トリエチル1100部、モルヒネ塩酸塩110部、チモール300部を添加して均一な溶液を得た。更に前記両液を混合脱泡し、均一な溶液を得た。この液のまわりへの流出を防止するために枠を設けた厚さ50μmの水平に保たれたPETフィルム上に、厚さが300μmになるように流し込んだ。このものを窒素雰囲気に保ちながら、30Wのケミカルランプの15cm下におき、紫外線を5分間照射した後硬化した表面を離型処理したPETフィルムで覆って貼付剤とした。
(貼付剤比較例)
上記貼付剤処方においてクエン酸トリエチルをグリセリンに置き換えた他は同様とした。
(評価試験)
前記のゲル・クリーム処方の製剤について次の通り試験を行った。
体重3kgの日本白色家兎の背部を剃毛し、ゲル・クリーム剤とその比較例の試料を背部皮膚に塗布し、瀘紙にて塗布面を覆った後、瀘紙をテープで固定した。塗布後0,1,2,3,6時間後に採血を行いモルヒネ血中濃度を測定した。結果は表9−Bに示した。
また、塩酸モルヒネのゲル、ゲル・クリーム、リニメント、貼付剤、リザーバー型貼付剤の各処方の製剤の皮膚刺激性については比較例を含め、Draize法に準じて評価した。各製剤は上述の実施例、比較例に基づいて調製し、比較試験を施した。結果は表10−Bに示した。




表9−Bより、ゲル製剤より血中へのモルヒネの移行は実施例と比較例において有意な差は認められず、クエン酸トリエチルの配合によっても経皮吸収性の維持されていることがわかる。また表10−Bより皮膚刺激性の面では、クエン酸トリエチルを含むゲル、ゲル・クリーム、リニメント、リザーバー型貼付剤、貼付剤の各製剤で、比較例に比して一様に皮膚刺激性の低下する傾向が認められた。
次に実施例Cとしてクエン酸トリアルキル、低級アルコール、水及び脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、フェノール誘導体から選択される吸収促進剤からなる組成物並びにこの組成物に薬理活性物質を配合した製剤について説明する。
〔実施例C〕
実施例1−C(組成物の皮膚一時刺激性と薬物の経皮吸収促進効果)
この発明の組成物の皮膚一時刺激性と薬物の経皮吸収促進効果を評価した。そのための試料液は、水、イソプロパノール及びクエン酸トリエチルのそれぞれ65%、30%及び10%に対し、表1〜4に示した通り、各種の吸収促進剤5%を加えて充分混合した溶液に、飽和量の生理活性物質(メシル酸プリジノール、塩酸フルナリジン、塩酸クロニジン、メシル酸ベタヒスチン、ケトプロフェン、アスピリン及びメペリジン)を加え、37℃で溶解して調製した。
薬物のin vitro透過性は雌性ヘアレスマウス腹側部摘出皮膚を横型の2−チャンバ−セルに挾み、角質層側のセルには試料液2.7mlを入れ、真皮側のセルには生理食塩水を2.7ml入れ、供給槽側から受容槽側への37℃における薬物の透過量を経時的に評価した。薬物の定量はHPLCを用いて行い、8時間目までの最大透過速度を比較した。あわせてその薬物の飽和溶液での皮膚刺激性検査をDraize法に準じて行い、刺激の比較は各組成中にクエン酸トリエチルを含まないものを調製し、皮膚刺激指数(PII)を求めて各々比較した。その結果を表1−C〜4−Cに示した。












この表1−C〜4−Cに示したように、水とイソプロパノールの2成分混合液に薬物を溶かしたときの皮膚透過性に比べて、吸収促進剤とクエン酸トリエチルを加えた場合の吸収促進効果は非常に大きく、経皮吸収性の低い薬物においても薬効を発揮させるに充分な程度までに吸収性を高めることが可能となった。同時に吸収促進剤の持つ高い皮膚刺激性は試料液にクエン酸トリエチルを配合することにより大幅に低減し、皮膚刺激性及び経皮吸収性の両面において実用上問題無い投与組成を構成することが可能となった。
実施例2−C(ゲル剤)
次の場合: 塩酸モルヒネ 5 クエン酸トリエチル 20 カプリル酸 3 カルボキシビニルポリマー 1 プロピレングリコール 10 イソプロパノール 20 2−ヒドロキシ−4− メトキシベンゾフェノン 0.5 ジイソプロパノールアミン 1.1 精製水 39.4 100(重量%)
となるように、カルボキシビニルポリマーを精製水の半分量に膨潤させ、これをエタノール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、カプリル酸及び塩酸モルヒネ、更に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを溶解した溶液に加えて撹拌した。次にジイソプロパノールアミンを残りの精製水に溶解したものを加え、全体が均一になるまで充分に撹拌してゲル剤を得た。
比較例1−C(ゲル剤)
実施例2−Cのクエン酸トリエチルを精製水に置き換え製剤を調製した。
対照例1−C(ゲル剤)
実施例2−Cのクエン酸トリエチルとカプリル酸を精製水に置き換え製剤を調製した。
実施例3−C(リニメント剤)
次の割合: 塩酸モルヒネ 1 クエン酸トリエチル 30 ケイ皮酸メチル 4 L−メントール 5 エタノール 25 ミリスチン酸イソプロピル 5 精製水 30 100(重量%)
となるように、塩酸モルヒネ、メントール、エタノール、クエン酸トリエチル、ケイ皮酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、精製水を所定量混合し、リニメント剤を得た。
比較例2−C(リニメント剤)
実施例3−Cのクエン酸トリエチルを精製水に置き換え製剤を調製した。
実施例4−C(ゲル・クリーム剤)
次の割合: モルヒネ塩酸塩 5 リノール酸 3 クエン酸トリエチル 15 イソプロパノール 20 白色ワセリン 5 セタノール 4 流動パラフィン 3 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 カルボキシビニルポリマー 2 ジイソプロパノールアミン 1 パラオキシエチレンパラオキシ プロピレンセチルエーテル 2 精製水 39.8 100(重量%)
となるように、白色ワセリン、セタノール、流動パラフィン、クエン酸トリエチル、リノール酸、パラオキシエチレンパラオキシプロピレンセチルエーテルを混合し、加熱溶解したのち、予め加熱した水にパラオキシ安息香酸メチルとイソプロパノールとモルヒネイ塩酸塩を溶解、分散させたものを加え、その後冷却として50℃に於いてカルボキシビニルポリマーを添加し充分分散させた後、ジイソプロパノールアミンを加えpHを4〜8に調製してゲル・クリーム剤を得た。
比較例3−C(ゲル・クリーム剤)
実施例4−Cにおいてクエン酸トリエチルを精製水に置き換え製剤を作成した。
実施例5−C(リザーバー型製剤)
ポリエステル系フィルムを支持体として薬物貯蔵層に実施例2−Cの組成物を含む皮膚と接する側の支持体周辺部にアクリル系粘着層を、中央部に薬物放出面としてジュラガードのような微多孔膜を配置し剥離紙を微多孔膜粘着層面にあてがった所謂リザーバー型製剤を作成した。
比較例4(リザーバー型製剤)
実施例5−Cの薬物貯蔵層部に比較例1−Cの組成物で置き換え製剤を作成した。
実施例6−C(貼付剤)
1−ジヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン15部を2−ヒドロキシエチルメタクリレート2400部に溶解し、更にテトラエチレングリコールジメタクリレート35部を添加し溶解した。別に5%食塩水1900部、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩600部を加熱溶解し、更にグリセリン2000部、イソプロパノール2000部、クエン酸トリエチル1100部、モルヒネ塩酸塩110部、クロルクレゾール300部を添加して均一な溶液を得た。更に前記両液を混合脱泡し、均一な溶液を得た。この液を液の周りへの流出を防止するために枠を設けた厚さ50μmの水平に保たれたPETフィルム上に、厚さが300μmになるように流し込んだ。このものを窒素雰囲気に保ちながら30Wのケミカルランプの15cm下に置き、紫外線を5分間照射したのち、硬化した表面を離型処理したPETフィルムで覆い貼付剤を得た。
比較例5−C(貼付剤)
実施例6−Cのクエン酸トリエチルを流動パラフィンに置き換え製剤を作成した。
実施例7−C(透過性及び刺激性の評価)
上記の実施例2−C及び比較例1−Cと対照例1−Cについて次の通りの実験を行った。
体重約3kgの日本白色家兎の背部を剃毛し、実施例2−C及び比較例1−C及び対照例1−Cの試料(モルヒネ塩酸塩含量30mg)を背部皮膚に塗布し、瀘紙にて塗布面を覆いテープにて瀘紙を固定した。塗布後0,1,2,3,6時間後に採血を行いモルヒネ含量を測定した。
また、実施例2−C〜6〜C及び比較例1−C〜5−Cの皮膚刺激性はDraize法に準じて評価した。これらの結果を表5−C及び表6−Cに示した。






表5−Cに示したように、クエン酸トリエチルとカプリル酸を含まない対照例1−Cにおいては血中にモルヒネは検出されず、実施例2−Cと比較例1−Cにおいてはモルヒネ塩酸かの血中への移行に有意な差が認められない。しかし表6に示す皮膚への刺激性は実施例において有意に軽減している。
最後に実施例Dとしてクエン酸トリアルキル、低級アルコール、水及びアザシクロアルカン誘導体の吸収促進剤からなる組成物並びにこの組成物に薬理活性物質を配合した製剤について説明する。
〔実施例D〕
実施例1−D 次の組成: 水/イソプロパノール/クエン酸トリエチル/1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン=67/20/10/3(W/W)からなる組成物を調製し、その皮膚一次刺激性をDraize法に準じて評価した。その結果を表1−Dに示した。比較例との対比からも明らかなように、クエン酸トリアルキルの添加により吸収促進剤によると考えられる皮膚一次刺激性が明らかに低下している。
比較例1−D 次の組成: 水/イソプロパノール/1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン=77/20/3(W/W)からなる組成物について実施例1−Dと同様にして評価した。その結果を表1−Dに示した。
実施例2−D 次の組成: 水/イソプロパノール/クエン酸トリエチル=60/30/10(V/V):1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン=95:5(W/W)からなる組成物について、実施例1−Dと同様にして、皮膚一次刺激性を評価した。その結果を表1−Dに示したが、クエン酸トリアルキルの添加により吸収促進剤による考えられる皮膚一次刺激性が明らかに低下している。
比較例2−D 次の組成: 水/イソプロパノール=70/30(V/V):1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン=95:5(W/W)からなる組成物について実施例1−Dと同様に評価し、その結果を表1−Dに示した。


実施例3−D〜9−D(比較例3−D〜9−D)
前記実施例2−D及び比較例2−Dの組成の溶液においてヘアレスマウスの摘出皮膚を用い、in vitroでの薬効成分の皮膚透過性を下記表2−Dの薬物の懸濁液を用いて測定し、あわせてその薬物の飽和溶液の皮膚刺激性検査をDraize法に準じて行った。薬物の皮膚透過性は8時間目までの最大Flux(最大薬物透過速度μg/cm2/h)で、皮膚刺激性はPII(皮膚刺激指数)で比較した。
その結果は表2−Dに示した通りで、この発明の実施例と比較例において薬物の皮膚透過性に関しては大きな変化を認めないが、実施例の組成物においては皮膚刺激性が著しく低下していることが認められる。


実施例10−D 次の割合: モルヒネ塩酸塩 5 アザシクロアルカン誘導体 3 カルボキシビニルポリマー 1 エタノール 20 プロピレングリコール 10 クエン酸トリエチル 20 精製水 39.4 2−ヒドロキシ−4− メトキシベンゾフェノン 0.5 ジイソプロパノールアミン 1.1 100(重量%)
となるように、カルボキシビニルポリマー1部を精製水23部に膨潤させ、これにエタノール20部、プロピレングリコール10部、クエン酸トリエチル20部、モルヒネ塩酸塩5部、及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.5部を混合した溶液を加え撹拌した。次にアザシクロアルカン誘導体3部とジイソプロパノールアミン1.1部を精製水16.4部に溶解したものを加え、全体に均一になるまで充分に撹拌してゲル剤を得た。
このゲル剤について、次の比較例10−Dとともに、各々、体重約3kgの日本白色家兎の背部を剃毛し、その試料(モルヒネ塩酸塩含量30mg)を背部皮膚に塗布し、瀘紙にて塗布面を覆いテープにて瀘紙を固定した。塗布後0,1,2,3,6時間後に採血を行いモルヒネ含量を測定した。また、皮膚刺激性はDraize法に準じて以下の実施例11−D〜14−D及び比較例11−D〜14−Dとともに評価した。それらの結果は表3−D及び表4−Dに示した通りである。モルヒネ塩酸塩の血中への移行は実施例と比較例において有意な差は認められないが、実施例において皮膚に対する刺激が有意に軽減している。
比較例10−D 実施例10−Dにおいてクエン酸トリエチルをエタノールに置き換えた他は同様とした。






実施例11−D(リニメント剤)
モルヒネ塩酸塩 1 アザシクロアルカン誘導体 3 L−メントール 5 エタノール 25 クエン酸トリエチル 27 ミリスチン酸イソプロピル 5 精製水 34 100(重量%)
からなる組成物を所定通り混合し、リニメント剤を得た。
皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した通りであるが、次の比較例11−Dとの対比から明らかであるように、刺激性は著しく低減している。
比較例11−D(リニメント剤)
実施例11−Dにおいてクエン酸トリエチルをエタノールに置き換えた他は同様とした。皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。
実施例12−D(ゲル・クリーム剤)
モルヒネ塩酸塩 5 アザシクロアルカン誘導体 3 白色ワセリン 5 セタノール 4 流動パラフィン 3 クエン酸トリエチル 15 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 カルボキシビニルポリマー 2 ジイソプロパノールアミン 1 パラオキシエチレンパラオキシ プロピレンセチルエーテル 2 イソプロパノール 20 精製水 39.8 100(重量%)
の組成となるように白色ワセリン、セタノール、流動パラフィン、クエン酸トリエチル、アザシクロアルカン誘導体、パラオキシエチレンパラオキシプロピレンセチルエーテルを混合、加熱溶解した後、予め加熱した精製水にパラオキシ安息香酸メチルとイソプロパノールとモルヒネ塩酸塩を溶解、分散させたものを加え、その後冷却して50℃にし、カルボキシビニルポリマーを添加し充分分散した後、ジイソプロパノールアミンを加えPを4〜8に調製してゲル・クリームを得た。
その皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。比較例12−Dとの表4−Dにおける対比から明らかなように、皮膚刺激性は著しく低減している。
比較例12−D(ゲル・クリーム)
実施例12−Dにおいてクエン酸トリエチルを精製水に置き換えた他は同様とした。
実施例13−D(リザーバー型貼付剤)
1)支持体 ポリエステル系フィルム 2)薬物貯蔵層 実施例3の組成物 3)微多孔膜 ジュラガード 4)粘着層 アクリル系粘着剤(支持体周辺部)
から構成し、剥離紙を微多孔粘着層面にあてがい積層物を作成した。
皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。皮膚刺激性が大きく低減していることがわかる。
比較例13−D(リザーバー型貼付剤)
実施例13−Dの薬物貯蔵層中を比較例10−Dの組成物で置き換えた他は同様とした。皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。
実施例14−D(貼付剤)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン15部を2−ヒドロキシエチルメタクリレート2400部に溶解し、更にテトラエチレングリコールジメタクリレート35部を添加し溶解させた。別に5%食塩水1900部、スルホプロピルメタクリレートカリウム塩600部を加温溶解し、更にグリセリン2000部、イソプロパノール2000部、クエン酸トリエチル1100部、モルヒネ塩酸塩110部、アザシクロアルカン誘導体300部を添加して均一な溶液を得た。更に前記両液を混合脱泡し、均一な溶液を得た。この液のまわりへの流出を防止するために枠を設けた厚さ50μmの水平に保たれたPETフィルム上に、厚さが300μmになるように流し込んだ。このものを窒素雰囲気に保ちながら、30Wのケミカルランプの15cm下におき、紫外線を5分間照射した後、硬化した表面を離型処理したPETフィルムで覆って貼付剤とした。
皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。皮膚刺激性が大きく低減していることがわかる。
比較例14−D(貼付剤)
実施例14−Dにおいてクエン酸トリエチルをグリセリンに置き換えた他は同様とした。
皮膚刺激性試験の結果は表4−Dに示した。
産業上の利用可能性 この発明のクエン酸トリアルキル、低級アルコール及び水からなる組成物及びこの組成物に薬理活性物質を配合してなる外用製剤並びにこれらの組成物に、更に吸収促進剤を配合した組成物及び外用製剤は、従来よりの欠点であった皮膚刺激に対して著しく低減させる作用又は緩和作用を示し、これまで懸念されていた皮膚刺激において顕著な効果を有することが明らかとなった。そのため非常に安全性の点で優れた経皮適用を目的とする各種製剤の開発が可能となった。また、同時に経皮吸収性においても良好な吸収促進作用を示し、薬効の点でも優れた製剤となすことができるもので、このように刺激性の低減並びに緩和作用と経皮吸収性とを兼ね備えた外用剤となすことができるため、特に経皮外用製剤として医薬産業上大変有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】クエン酸トリアルキル、低級アルコール及び水を含有することを特徴とする皮膚刺激緩和組成物。
【請求項2】クエン酸トリアルキル1〜50重量%、低級アルコール1〜70重量%及び水1〜90重量%を含有する請求項1記載の皮膚刺激緩和組成物。
【請求項3】クエン酸トリアルキル、低級アルコール、水及び薬理活性物質を含有することを特徴とする経皮外用剤。
【請求項4】クエン酸トリアルキル1〜50重量%、低級アルコール1〜70重量%、水1〜90重量%及び薬理活性物質0.001〜20重量%を含有する請求項3記載の経皮外用剤。
【請求項5】クエン酸トリアルキル、低級アルコール及び水からなる基剤に、更に吸収促進剤を含有することを特徴とする皮膚刺激緩和組成物。
【請求項6】クエン酸トリアルキル1〜50重量%、低級アルコール1〜70重量%及び水1〜90重量%からなる基剤に、更に吸収促進剤0.1〜10重量%を含有する請求項5記載の皮膚刺激緩和組成物。
【請求項7】クエン酸トリアルキル、低級アルコール及び水からなる基剤に、更に吸収促進剤及び薬理活性物質を含有させることを特徴とする皮膚刺激緩和組成物。
【請求項8】クエン酸トリアルキル1〜50重量%、低級アルコール1〜70重量%及び水1〜90重量%からなる基剤に、更に吸収促進剤0.1〜10重量%及び薬理活性物質0.001〜20重量%を含有させることを特徴とする経皮外用剤。
【請求項9】請求項5〜8の吸収促進剤がテルペン系化合物、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、フェノール誘導体、アザシクロアルカン誘導体の中より選択されることを特徴とする皮膚刺激緩和組成物または経皮外用剤。

【特許番号】第2779063号
【登録日】平成10年(1998)5月8日
【発行日】平成10年(1998)7月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−506070
【出願日】平成4年(1992)2月28日
【国際出願番号】PCT/JP92/00225
【国際公開番号】WO92/16237
【国際公開日】平成4年(1992)10月1日
【審査請求日】平成8年(1996)2月23日
【出願人】(999999999)久光製薬株式会社