説明

皮膚化粧料

【課題】 使用時の感触が軽く素早く肌になじむとともに、使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れ、肌にはりを与えて経時安定性にも優れた皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)成分として、式(I)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位とを100/0〜10/90のモル比で含み、両構成単位の合計重量%が60〜100%である共重合体、(b)成分として、スベリヒユ抽出エキスを含有する。
【化1】


(式中R1は水素原子またはメチル基を、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧水、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ファンデーション等の皮膚用の化粧料に関し、さらに詳しくは使用時の感触が軽く素早く肌になじむとともに、使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れ、肌にはりを与えて経時安定性にも優れる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、人の皮膚表面は皮脂膜に覆われていて水分の蒸散が適度に抑制されている。そして、皮膚の水分を適切な範囲に保つことは皮膚の健康の面から見て非常に大切なことであり、水分が不足すると肌荒れ等を生じやすくなる。洗顔や入浴を行うと一時的に皮脂膜が取り除かれてしまい肌の水分が失われやすくなることから化粧水、乳液、クリーム、美容液等の保湿化粧料を使用して水分を補う必要がある。ここで、一般に化粧料には保湿剤としてグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール類やピロリドンカルボン酸塩等が配合されているが、これらの保湿剤は高湿度下における水分保持力には優れているものの低湿度下における水分保持力に難があり、保湿効果の持続性が保てないばかりでなく、場合により皮膚の水分を吸収することから逆に肌荒れを促進させることが知られている。そこで近年、低湿度下での水分保持力の高い保湿成分としてキチン、キトサン及びそれらの誘導体、蛋白加水分解物、ヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類、植物抽出物等様々な高保湿成分が提案されている。しかし、これらの保湿成分を化粧料に配合するとその高い保湿力から不快なべたつきを有するという欠点があった。そこで、高い保湿効果を保持しながらべたつきを改善したものとして、例えば、ムコ多糖類とトレハロースとを組み合わせた特許文献1記載の皮膚外用剤等があるが、いまだ十分にべたつきを抑えることはできておらず、しかも肌へのなじみ性、肌荒れ改善効果、肌にはりを与える効果、しわ抑制効果等に関して十分な性能が得られていなかった。
【0003】
一方、皮膚化粧料の重要な機能として肌荒れ防止及び改善効果が挙げられる。ここで、一般的にこれらの機能を十分に発揮させる為には上記のような保湿剤とともに油分を配合することが有効であり、乳液、クリーム、美容液等の乳化した剤形により使用されることが多い。しかし、油分を使用した製品では使用時ののびが悪くなったりベタツキを生じたりすることが多く、これらを解決することが困難であるという問題があった。そこで、例えば、特許文献2、3では分子内にホスホリルコリン基を有する特定の高分子化合物を使用することで油分の有する閉塞性を補うとともに、ベタツキを抑えた化粧料を提案している。
【0004】
また、化粧品において肌荒れ防止及び改善効果の更なる機能強化を目的として保湿効果の高い成分やビタミン類とともにグリチルリチン酸塩やグリチルレチン酸誘導体、アズレン誘導体等様々な抗炎症剤を配合することも試みられている(特許文献4記載の皮膚化粧料、特許文献5〜7記載の皮膚外用剤)。しかし、良好な使用感を有しつつ十分な肌荒れ改善効果を有する化粧料は得られていないのが現状であり、しかも、加齢や紫外線等に起因するしわの生成を効果的に抑制したり改善したりするとともに肌をなめらかにして、はりとうるおいのある若々しい肌に整えるといった、いわゆる皮膚の老化防止の効果を十分併せ持つ化粧料は得られていなかった。
【特許文献1】特開平6−122621号公報
【特許文献2】特開平5−70321号公報
【特許文献3】特開平6−157269号公報
【特許文献4】特開平7−277943号公報
【特許文献5】特開平6−32728号公報
【特許文献6】特開平8−99858号公報
【特許文献7】特開平9−241147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は化粧水、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ファンデーション等の皮膚用の化粧料を提供し、さらに詳しくは使用時の感触が軽く素早く肌になじむとともに、使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れ、肌にはりを与えて経時安定性にも優れた皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に研究を重ねたところ、特定の水溶性高分子と特定の植物エキスを特定の比率で組み合わせることで目的の皮膚化粧料を得るに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)(a)成分として、式(I)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位とを100/0〜10/90のモル比で含み、両構成単位の合計重量%が60〜100%である共重合体0.005〜10重量%、(b)成分として、スベリヒユ抽出エキスを乾燥重量として0.0005〜2重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中R1は水素原子またはメチル基を、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
【0010】
(2)さらに、(c)成分として、抗炎症剤を0.001〜10重量%含有することを特徴とする上記(1)記載の皮膚化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、式(I)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位とを含有するポリマーと、スベリヒユ抽出エキスとを特定の比率で組み合わせることにより、使用時の感触が軽く素早く肌になじむとともに、使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れ、肌にはりを与えて経時安定性にも優れた皮膚化粧料を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いられる(a)成分のポリマーは、式(I)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(PC)に基づく構成単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位とを100/0〜10/90のモル比で含有し、好ましくは100/0〜30/70、更に好ましくは95/5〜50/50のモル比で含有するポリマーである。10/90より小さいと肌荒れ防止効果が弱くなる。
【0013】
そして、該ポリマー中のPCおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルの両構成単位の合計重量%は、通常、60〜100%であり、好ましくは70〜100%、更に好ましくは80〜100%である。60%未満では十分な保湿効果の持続性や肌荒れ防止効果が得られない。ここで、ポリマー中のPCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを併せた量が100重量%でない場合における、PC、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の成分としては、付加重合可能な二重結合を有する化合物であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、スチレン等のオレフィン性炭化水素およびそれらの異性化オレフィン、多量化オレフィン、またはこれらに各種誘導体を導入したオレフィン性化合物;アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの多量体、無水物、炭素数1〜6の1価アルコール以外のアルコールとのエステル、またはこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基などを導入したエチレン性不飽和カルボン酸誘導体;ビニルアルコールおよびこれと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテル、またはこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基などを導入したエチレン性不飽和カルボン酸誘導体、ビニルアルコールおよびこれらと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテル、またはこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基などを導入したビニルアルコール誘導体などが挙げられる。
【0014】
また、該ポリマーの分子量は10,000〜10,000,000ダルトンが好ましく、更に好ましくは50,000〜5,000,000ダルトンである。
【0015】
式(I)で示されるPCにおいて、式中、Rは、水素原子又はメチル基である。また、R、RおよびRは、炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。R、RおよびRは同一でも、異なっていてもよい。また、nは、2〜4の整数である。特に好ましいPCは、式中のR、R、RおよびRがメチル基で、nが2の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである。
【0016】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(「(メタ)アクリル」はメタクリル又はアクリルを示す。)を構成するアルコール残基(アルキル基)は炭素数1〜6であり、好ましくは炭素数2〜5、更に好ましくは炭素数3〜4である。該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
【0017】
また、本発明で用いられる(b)成分のスベリヒユ抽出エキスとはスベリヒユ科スベリヒユ属の双子葉植物(多くは一年草の多肉で匍匐する草本)の葉、茎、根、花、種子あるいは全草から各種溶媒で抽出したエキスである。具体的には例えば、スベリヒユ(Portulaca oleracea L)、タチスベリヒユ(Portulaca oleracea L. var.sativa DC)、マツバボタン(Portulaca garndiflora Hook)、ヌマハコベ(Montia Fontana L. var.lamprosperma Ledeb)、 ハゼラン(Talinum crassifolium Willd)等があるが、中でもスベリヒユもしくはタチスベリヒユが好ましい。そして、これらの葉、茎、根、花、種子あるいは全草を必要に応じて破砕、又は乾燥処理を行った後に炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類及び水から選ばれる1種または2種以上の溶媒と共に加熱還流あるいは浸漬して抽出することが挙げられ、好ましくは水、エタノール、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、酢酸エチルの1種または2種以上の溶媒で抽出したものであり、更に好ましくは水または1,3−ブチレングリコールで抽出したものである。尚、本発明でいうスベリヒユ抽出エキスとは抽出溶液そのもの、もしくはその濃縮物をいう。そして、このスベリヒユ科植物の抽出物は特開2003−12446号公報において刺激性成分と併用するとその刺激性が低減されることが示されており、市販のものとしてバイオランド社(Bioland Ltd.)製「POTURACA EXTRACT」等がある。
【0018】
一方、本発明に用いられる抗炎症剤としては、例えばグリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、アラントインおよびその誘導体、グアイアズレン、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロシキカム、アセトアミノフェン、アスピリン、サリチル酸、ブフェマキサク、スプロフェン、イブプロフェンピコノール、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、ジクロフェナクナトリム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、ベンザダック、フェルビナク、ウフェルナマート、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、塩酸ジフェンヒドラミン、甘草エキス、プロポリスエキス等が挙げられる。その中でも好ましいものは、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、アラントインおよびその誘導体、グアイアズレンから選ばれる1種または2種以上の成分であり、更に好ましいものはグリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、アラントインおよびその誘導体から選ばれる1種または2種以上の成分である。グリチルリチン酸の誘導体としてはグリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等があり、グリチルレチン酸の誘導体としてはグリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸2ナトリウム等があり、アラントインの誘導体としてはアラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム等がある。
【0019】
そして、本発明の(a)成分は組成物全量中に0.005〜10重量%であり、好ましくは0.01〜7重量%であり、更に好ましくは0.01〜5重量%である。0.005重量%未満では保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果が弱くなり、10重量%を超えると使用時の感触が重く、使用後のべたつき感が強くなり、経時安定性を欠く場合がある。
【0020】
本発明の(b)成分は組成物全量中に乾燥重量として0.0005〜2重量%、好ましくは0.001〜2重量%、更に好ましくは0.001〜1重量%含まれる。0.0005重量%未満では肌へのなじみ性が悪くなるとともに、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果、肌にはりを与える効果が弱くなり、2重量%を超えると安定性が悪くなる。
【0021】
ただし、本発明でいう乾燥重量とは、抽出溶媒が揮発性の場合には、通常抽出エキスを105℃で乾燥して溶媒を除去した時の残留物の重量を指し、他方、抽出溶媒が不揮発性の場合には、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等により溶媒量を定量した値から溶質量を計算値として求め、乾燥重量と見なすこととする。
【0022】
また、本発明においては肌荒れ改善効果、しわ抑制効果の更なる向上の為に(c)成分を組成物全量中に0.001〜10重量%含有することが好ましく、更に好ましくは0.01〜5重量%である。0.01重量%未満の場合には添加効果が得られにくい場合があり、10重量%を超えるとべたつきを有したり安定性に問題を生じたりするとともにコスト的に不利である。
【0023】
尚、本発明の皮膚化粧料には、化粧料に常用されている添加剤を本発明の皮膚化粧料の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール等の多価アルコール類、乳糖、果糖、ショ糖、マルトース又はその誘導体、トレハロース(α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロース)又はその誘導体、グリコシルトレハロース又はその誘導体、イソマルトオリゴ糖等の糖類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素系油、牛脂、豚脂、魚油等の天然油脂類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の合成トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油、ミツロウ、カルナバロウ等のロウ類、高重合ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体、セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチン等の油性基剤、石鹸、アシルメチルタウリン塩、アミドエーテル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤、アミドアミノ酸塩、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、プルラン等の水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機または無機塩類、pH調製剤としての酸及びアルカリ、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、血行促進剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、動植物由来の天然エキス、アスコルビン酸とその誘導体、ルチン、ヘスペリジン、アントシアニン等のフラボノイド類とその誘導体、ビタミン類、アミノ酸類、感光素、色素、顔料及び香料等を配合できる。
【実施例】
【0024】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0025】
実施例1〜3及び比較例1、2
表1に示す透明または半透明化粧水である皮膚化粧料を調製し、7つの評価項目について下記評価基準により評価を行なった。但し、共通添加成分として表2に示す5成分を使用した。なお、表1中、各左欄に示される括弧書内の有効分とは、例えば、表の左欄に示されるPCポリマー1等の各成分が使用された場合に、そのうちに含まれる実際に有効な所望の成分(PCポリマー1では、(a)成分)の割合をいい、その重量%は、水溶液中に含まれる(a)、(b)および(c)の各成分の重量%を示している。例えば、実施例1では、中欄に示されるように、(a)成分として、PCポリマー1を1重量%用いているが、(a)成分を含むPCポリマーは、表1の左欄の(有効分:40重量%)により、40重量%の(a)成分を含んでおり、実施例1で実際に用いられる(a)成分は、1×0.4=0.4重量%となる。このような実際に含まれる(a)、(b)または(c)成分は、各欄の括弧書にて示している。
【0026】
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
注1;「Lipidure−HM」(日本油脂(株)製)「MPC100重量%の構成で重量平均分子量約8万のポリマー40重量%含有水溶液」
注2;「Lipidure−PMB」(日本油脂(株)製)「MPC80重量%、メタクリル酸ブチル20重量%の構成比で重量平均分子量約60万のポリマー5重量%含有水溶液」
(MPC:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン))
注3;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-150603)
注4;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-202223)
注5;「グリチリチンK2」(丸善製薬(株))
注6;「アラントイン」(川研ファインケミカル(株))
【0029】
【表2】

【0030】
評価項目及び評価基準
(1)使用時の感触
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を使用した時の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用時の感触の軽い化粧料であると評価した。
2点:使用時にべたつきも無く肌へのなじみが良いと感じた場合。
1点:使用時にややべたつきが有ったりやや肌へのなじみが悪いと感じた場合。
0点:使用時にべたつきが有るもしくは肌へのなじみが悪いと感じた場合。
【0031】
(2)使用後のべたつき
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を使用して10分後の肌の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用後のべたつきがない化粧料であると評価した。
2点:肌がべたつきが無いと感じた場合。
1点:肌がややべたつくと感じた場合。
0点:肌が非常にべたつくと感じた場合。
【0032】
(3)保湿効果の持続性
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を使用して2時間後の肌のうるおいについて下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を保湿効果の持続性の良好な化粧料であると評価した。
2点:使用直後と変わらず肌が十分うるおっていると感じた場合。
1点:使用直後と比べてやや肌のうるおいが足りないと感じた場合。
0点:使用直後と比べて明らかに肌のうるおいが足りないと感じた場合。
【0033】
(4)肌荒れ改善効果
肌荒れを生じている10名の女性(24才〜34才)をパネラーとし、皮膚化粧料を一日2回ずつ連日2週間にわたって使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、10名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌荒れ改善効果のある化粧料であると評価した。
2点:肌荒れが明らかに治ってきたと感じた場合。
1点:肌荒れがやや治ってきたと感じた場合。
0点:肌荒れ改善効果が全く見られないと感じた場合。
【0034】
(5)しわ抑制効果
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、皮膚化粧料を一日2回ずつ連日2週間にわたって使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上をしわ抑制効果に優れた化粧料であると評価した。
2点:しわが明らかに目立たなくなったと感じた場合。
1点:しわがやや目立たなくなったと感じた場合。
0点:しわ抑制効果が全く無いと感じた場合。
【0035】
(6)肌のはり
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、皮膚化粧料を一日2回ずつ連日2週間にわたって使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌にはりを与える効果のある化粧料であると評価した。
2点:明らかに肌にはりがでたと感じた場合。
1点:やや肌にはりがでたと感じた場合。
0点:肌にはりがでないと感じた場合。
【0036】
(7)経時安定性
化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃、40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干の外観の変化があり、沈殿を生じるまたは若干着色を生じる。)
×:安定性不良(いずれかの温度において外観の変化があり、沈殿を生じるまたは分離する。もしくは着色が著しい。)
【0037】
実施例1〜3より、本発明の成分を用いた化粧水はいずれも使用時の感触が良好で使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れるとともに肌にはりを与え、経時安定性にも優れていた。一方、比較例1、2では十分な性能が得られていなかった。つまり、比較例1では(a)成分が配合されていないことから、保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果が弱くなっており、比較例2では(b)成分が配合されていないことから使用時の感触、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果が弱くなるとともに肌にはりを与える効果が弱くなったと考えられる。
【0038】
実施例4〜6、比較例3、4
表3に示す水中油型乳液である皮膚化粧料を調製し、実施例1〜3と同様の方法により評価を行なった。但し、共通添加成分としては、表4に示す14成分を使用した。なお、表3中に表される各用語の意義は、前述の表1と同様である。
【0039】
結果を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
注1;「Lipidure−HM」(日本油脂(株)製)「MPC100重量%の構成で重量平均分子量約8万のポリマー40重量%含有水溶液」
注2;「Lipidure−PMB」(日本油脂(株)製)「MPC80重量%、メタクリル酸ブチル20重量%の構成比で重量平均分子量約60万のポリマー5重量%含有水溶液」
注3;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-150603)
注4;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-202223)
注5;「グリチリチンK2」(丸善製薬(株))
注6;「アラントイン」(川研ファインケミカル(株))
【0042】
【表4】

【0043】
実施例4〜6より、本発明の成分を用いた乳液はいずれも使用時の感触が良好で使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れるとともに肌にはりを与え、経時安定性にも優れていた。一方、比較例3、4では十分な性能が得られていない。つまり、比較例3では(a)成分が配合されていないことから、保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果が弱くなっており、比較例4では(b)成分が本発明の範囲をより少なく配合されていることから肌荒れ改善効果、しわ抑制効果、肌のはりが弱くなっていると考えられる。
【0044】
実施例7、8
表5に示す水中油型クリームである皮膚化粧料を調製し、評価項目(1)〜(6)は実施例1〜3の方法により、そして評価項目(7)の経時安定性については下記の検査により評価を行なった。但し、共通添加成分として表6に示す13成分を使用した。なお、表5中に表される各用語の意義は、前述の表1と同様である。
【0045】
結果を表5に示す。
【0046】
【表5】

【0047】
注1;「Lipidure−HM」(日本油脂(株)製)「MPC100重量%の構成で重量平均分子量約8万のポリマー40重量%含有水溶液」
注2;「Lipidure−PMB」(日本油脂(株)製)「MPC80重量%、メタクリル酸ブチル20重量%の構成比で重量平均分子量約60万のポリマー5重量%含有水溶液」
注3;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-150603)
注4;「POTURACA EXTRACT」(バイオランド社製Lot.NMP-L-202223)
注5;「グリチリチンK2」(丸善製薬(株))
注6;「アラントイン」(川研ファインケミカル(株))
注7;「シーオーグレチノール」(丸善製薬(株))
【0048】
【表6】

【0049】
(7)経時安定性
化粧料を透明ガラス容器に密封して−5℃、25℃、45℃で1ヶ月間保存したときの状態を調査し、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がなくブツ等も生じない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において僅かに沈殿を生じるか僅かに分離が見られる。または僅かにブツ、ダマを生じている。)
×:安定性不良(いずれかの温度において明らかに沈殿を生じるか分離する。)
【0050】
実施例7、8より、本発明のクリームはいずれも使用時の感触が良好で使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れるとともに肌にはりを与え、経時安定性にも優れていた。
【0051】
実施例9、10
表5に示す油中水型クリームである皮膚化粧料を調製し、実施例7、8に示す評価方法により評価を行なった。但し、共通添加成分として表7に示す11成分を使用した。
【0052】
【表7】

【0053】
実施例9、10の結果から、本発明のクリームはいずれも使用時の感触が良好で使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れるとともに肌にはりを与え、経時安定性にも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上述べたとおり、本発明の皮膚化粧料は、使用時の感触が良好で使用後もべたつかず、保湿効果の持続性に優れ、肌荒れ改善効果、しわ抑制効果に優れるとともに肌にはりを与え、経時安定性にも優れた皮膚化粧料であり、欺界に与える影響は多大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分として、式(I)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位とを100/0〜10/90のモル比で含み、両構成単位の合計重量%が60〜100%である共重合体0.005〜10重量%、(b)成分として、スベリヒユ抽出エキスを乾燥重量として0.0005〜2重量%含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【化1】

(式中R1は水素原子またはメチル基を、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
【請求項2】
さらに、(c)成分として、抗炎症剤を0.001〜10重量%含有することを特徴とする請求項1記載の皮膚化粧料。

【公開番号】特開2006−151834(P2006−151834A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341305(P2004−341305)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【出願人】(501255239)東亜化成株式会社 (6)
【出願人】(302009590)バイオランド・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】