説明

皮膚化粧料

【課題】コクのあるリッチな使用感を有し、肌へのなじみが良く、べたつき感がなく、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果に優れた皮膚用の化粧料の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(I)により示されるポリアルキレングリコール誘導体、Z−{O−(EO)a−(BO)k−H}m(I)(式中、Zは水酸基を3〜6個有する多価アルコールから水酸基を除いた残基、mは3〜6の整数、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基を示し、EOとBOはブロック状の結合。aは10〜50の整数、kは1〜25の整数で、EOとBOの合計量100質量部に対し、EOの質量割合は15〜75質量部)及び(B)水溶性高分子化合物を含有し、皮膚化粧料全量に対し(A)成分の含有量が0.1〜10質量%、(B)成分の含有量が0.01〜3質量%である、皮膚化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚表面は皮脂膜に覆われていて水分の蒸散が適度に抑制されている。そして、皮膚の水分を適切な範囲に保つことは皮膚の健康の面から見て非常に大切なことであり、水分が不足すると肌荒れ等を生じやすくなる。洗顔や入浴を行うと一時的に皮脂膜が取り除かれてしまい肌の水分が失われやすくなることから化粧水、乳液、クリーム、美容液等の保湿化粧料を使用して水分を補う必要がある。
ここで、一般に化粧料には保湿剤としてグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールやアミノ酸、ピロリドンカルボン酸塩等が配合されているが、保湿剤を多量に含有する皮膚化粧料にあっては、べたつくなどの違和感を与えるなど、必ずしも満足できるものではなかった。さらに保湿化粧料には、適度なコクのあるリッチ感を有しながら、べたつきを感じないという心地よい使用感が求められているが、これについても満足できるものではなかった。
【0003】
また近年、低湿度下での水分保持力の高い保湿成分としてキチン、キトサン及びそれらの誘導体、蛋白加水分解物、ヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類、植物抽出物等様々な高保湿成分が提案されている。しかし、これらの保湿成分を化粧料に配合するとその高い保湿力から不快なべたつきが生じたり、のびやなじみが悪くなるという問題を生じることがあった。そこで、高い保湿効果を保持しながらべたつきを改善したものとして、例えば、特許文献1には、ムコ多糖類とトレハロースとを組み合わせた皮膚外用剤が提案されているが、いまだ十分にべたつきを抑えることはできていなく、肌へのなじみ性、肌の柔軟性改善効果、適度なコクのあるリッチ感についても十分に満足いくものではなかった。
そこで、特許文献2には、使用性を損なわずに保湿付与性を向上させる手段として、カルボキシビニルポリマーと平均分子量15000〜25000ポリエチレングリコールを組み合わせた保湿化粧料が提案されているが、十分にべたつきを抑えることはできず、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果、適度なコクのあるリッチ感についても満足いくものではなかった。
また、特許文献3には、アルキル変性カルボキシビニルポリマーと室温で固形状である油性成分を組み合わせた水中油型乳化組成物が、特許文献4には、多価アルコールのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)エステルと無水珪酸又は固形珪酸誘導体を組み合わせた皮膚外用剤が提案されているが、これらはコクのあるリッチ感は有しているものの、乳化組成物でのみその効果が発揮されるものであった。また、肌へのなじみ性やべたつき感、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果が十分に満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−122621号公報
【特許文献2】特開2010−64986号公報
【特許文献3】特開平9−255529号公報
【特許文献4】特開2001−172122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コクのあるリッチな使用感を有しながら、肌へのなじみが良く、べたつき感を感じることがなく、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果に優れる皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために研究を重ねたところ、特定のポリアルキレングリコール誘導体と水溶性高分子化合物を特定の比率で組み合わせることにより、目的とする皮膚化粧料を得るに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)(A)下記一般式(I)により示されるポリアルキレングリコール誘導体、
Z−{O−(EO)a−(BO)k−H}m (I)

(式中、Zは水酸基を3〜6個有する多価アルコールから水酸基を除いた残基、mは3〜6の整数、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基を示し、EOとBOはブロック状に結合している。また、aはEOの平均付加モル数、kはBOの平均付加モル数を示し、aは10〜50の整数であり、kは1〜25の整数である。また、EOとBOの合計量100質量部に対し、EOの質量割合は15〜75質量部である。)
及び
(B)水溶性高分子化合物
を含有し、皮膚化粧料全量に対し(A)成分の含有量が0.1〜10質量%、(B)成分の含有量が0.01〜3質量%である、皮膚化粧料。
(2)さらに、(C)抗炎症剤を、皮膚化粧料全量に対し0.001〜2質量%含有する、(1)に記載の皮膚化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚化粧料は、コクのあるリッチな使用感が得られ、肌へのなじみ性、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果のいずれも良好であり、使用後にべたつきが残ることもないなど、バランスの取れた上質な化粧効果を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の皮膚化粧料に用いられる成分(A)は、下記一般式(I)により示されるポリアルキレングリコール誘導体である。

Z−{O−(EO)a−(BO)k−H}m (I)

式中、Zは、水酸基を3〜6個有する多価アルコールから水酸基を除いた残基を示す。多価アルコールとしては、水酸基が3個のグリセリン、トリメチロールプロパン、水酸基が4個のジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、メチルグルコシド、水酸基が5個のキシリトール、トリグリセリン、水酸基が6個のソルビトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールが例示される。好ましくは、使用感の問題から水酸基を4個以上持つアルコールから水酸基を除いた残基であり、さらに好ましくは、水酸基が4個のジグリセリン、ペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基である。
mはZの水酸基の数と同数であり3〜6の整数となる。好ましくは4〜6、より好ましくは4である。
EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基を示し、EOとBOはブロック状に結合している。
aはEOの平均付加モル数、kはBOの平均付加モル数を示し、aは10〜50、好ましくは10〜45の整数であり、kは1〜25、好ましくは5〜20の整数である。さらに、EOとBOの合計量100質量部に対し、EOの質量割合は15〜75質量部、好ましくは20〜72質量部である。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
一般式(I)で示されるポリアルキレングリコール誘導体は、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を3〜6個有する水溶性多価アルコールに、アルカリもしくは酸触媒下、エチレンオキシド、及びブチレンオキシドを付加重合させることによって得ることができる。
【0009】
本発明の皮膚化粧料に用いられる(B)成分の水溶性高分子化合物は水に溶解したときに多くの水を包含したヒドロゲルを形成し、水溶液の粘度を著しく増大させることのできる性質を有するものであり、界面に吸着して保護コロイド作用、ゲル化作用、乳化作用などの界面活性剤と同様の性質を有するものである。
このような性質を有する水溶性高分子としては、植物、微生物、動物などに由来する天然系高分子化合物及び合成高分子化合物、更には無機高分子化合物が挙げられる。具体的には、天然系高分子化合物としては、クインスシードガム、マルメロ、キサンタンガム、フルクタン、プルラン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールなどの多糖類とその誘導体や、ゼラチン、カゼインなどのたんぱく質が挙げられる。
合成高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー及びその変性物、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合物及び共重合可能なモノマーとの共重合物などのビニル系、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル系の高分子化合物が挙げられる。
また、無機高分子化合物としては、ベントナイト、スメクタイトなどが挙げられる。
これらの中でも、べたつき感のなさ、A成分と組み合わせたときのリッチ感の点から、多糖類とその誘導体やビニル系の高分子化合物が好ましい。具体的には、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルキシビニルポリマー、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸アルキルとの共重合物が好ましく、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸アルキルとの共重合物が特に好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0010】
本発明の皮膚化粧料は、肌の柔軟性改善効果及び保湿効果の持続性をより向上させるために、さらに(C)成分の抗炎症剤を含有することができる。(C)成分の抗炎症剤は、発赤・腫脹などの炎症を抑制し、炎症に伴う組織損壊を軽減する目的で使用する薬剤である。このような作用を有する化合物としては、ステロイド系と非ステロイド系の化合物が挙げられる。ステロイド系抗炎症剤は、間接的にホスホリパーゼA2を阻害し、その結果プロスタグランジンとロイコトリエンの合成が抑制されることによって抗炎症作用をもたらす。一方、非ステロイド系抗炎症剤は、プロスタグランジンの合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害し、発痛物質(痛みを誘発する物質)を抑制して抗炎症作用や鎮痛作用、解熱作用、抗血栓作用をもたらす。
具体的には、ステロイド系抗炎症剤としてプレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどの他、ステロイドサポニンや麦門冬エキスなどのステロイドサポニンを含有する植物エキスがある。また、非ステロイド系抗炎症剤としてアラントイン、グアイアズレン、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、アスピリン、サリチル酸、ブフェマキサク、スプロフェン、イブプロフェンピコノール、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、ベンザダック、フェルビナク、ウフェルナマート、塩酸ジフェンヒドラミンなどの他に、グリチルリチン酸やグリチルレチン酸及びそれらの塩やエステル化物であるトリテルペノイドサポニンや甘草エキスなどのトリテルペノイドサポニンを含有する植物エキス、プロポリスエキスがある。
これらの中で、継続使用による安全性を考慮すると非ステロイド系抗炎症剤が好ましく、また、配合のし易さ、肌の柔軟性改善効果及び保湿効果の持続性を考慮すると、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩又はエステル化物、アラントイン、グアイアズレンがより好ましく、グリチルリチン酸塩がさらに好ましい。
(C)成分は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0011】
(A)成分の配合量は、皮膚化粧料全量中に0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.3〜5質量%である。0.1質量%未満では、コクのあるリッチな使用感、肌へのなじみ性、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果が弱くなる。10質量%を超えると、配合が困難になったり、肌へのなじみ性が悪くなったり、べたつきを生じさせたりする場合がある。
(B)成分の配合量は、皮膚化粧料全量中に0.01〜3質量%、好ましくは0.02〜2.5質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%である。0.01質量%未満では、リッチな使用感、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果が弱くなる。3質量%を超えると、配合が困難になったり、べたつきを生じさせたりする場合があり、さらにコスト面でも不利である。
(C)成分の配合量は、皮膚化粧料全量中に0.001〜2質量%、好ましくは0.01〜1.5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
【0012】
本発明の皮膚化粧料には、化粧料や医薬品に常用されている添加剤を本発明の皮膚化粧料の性能が損なわれない範囲で適宜配合することが可能である。
例えば、低級アルコール、多価アルコール、糖類、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、水溶性高分子、脂肪酸、高級アルコール、分岐を有しない炭化水素、エステル油、動植物油、有機又は無機塩類、pH調整剤、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、アミノ酸類、ビタミン類、動植物由来の抽出物、色素、顔料、香料などが挙げられる。
【0013】
本発明の皮膚化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等のスキンケア化粧料;化粧下地、ファンデーション、口紅、アイシャドー等のメークアップ化粧料;日焼け止め化粧料;ボディー化粧料等が例示される。
本発明の皮膚化粧料は、常法により調製することができる。例えば、水と上記(A)ないし(C)成分を混合して調製する方法や、(A)成分のみを油分と混合して調製する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0014】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る成分(A)の合成例を示す。水酸基価は、JISK1557
6.4に準じて測定した。
[合成例]
合成例1:ポリオキシブチレン(48モル)ポリオキシエチレン(88モル)ペンタエリスリトールエーテル(化合物1)
ペンタエリスリトール45g、トルエン50g、水酸化カリウム8.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら、110℃にて、滴下装置より、エチレンオキシド1292gを滴下して2時間撹拌した。引き続き、110℃にて1,2−ブチレンオキシド1208gを滴下し、2時間撹拌した。その後、オートクレーブ内から、反応物を取り出し、塩酸で中和して、pH6〜7とし、含有するトルエン及び水分を除去するため、115℃、1時間、減圧処理を行い、最後に濾過をして塩を除去して、2345gの化合物1を得た。水酸基価は、エチレンオキシド反応後が56.0mgKOH/g、1,2−ブチレンオキシド反応後が30.0mgKOH/gであった。
【0015】
合成例2:ポリオキシブチレン(30モル)ポリオキシエチレン(60モル)グリセリル(化合物2)
グリセリン31g、水酸化カリウム5.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら、140℃にて滴下装置より、エチレンオキシド885gを滴下して2時間撹拌した。引き続き、140℃にて、1,2−ブチレンオキシド725gを滴下し、2時間撹拌した。その後、オートクレーブ内から、反応物を取り出し、塩酸で中和して、pH6〜7とし、含有する水分を除去するため、100℃にて1時間、減圧処理を行い、最後に濾過をして塩を除去して、1550gの化合物2を得た。水酸基価は、エチレンオキシド反応後が62.1mgKOH/g、1,2−ブチレンオキシド反応後が35.0mgKOH/gであった。
【0016】
本発明者らは、上記合成例1〜2に準じて、下記表1に示す組成のポリアルキレングリコール誘導体を合成し、以下の検討に用いた。
なお、表1において、化合物1〜4は、本発明の成分(A)である。また、化合物5〜9を成分(A´)と表記する。
【0017】
【表1】

【0018】
(評価方法)
表2(化粧水)、表4(水中油型乳液)に示す皮膚化粧料を調製し、(1)リッチ感、(2)肌へのなじみ性、(3)べたつき感、(4)保湿効果の持続性、(5)肌の柔軟性改善効果
について、下記の方法によって評価を行った。
(1)リッチ感
20名の女性(22〜40歳)をパネラーとし、調製した皮膚化粧料を洗顔後に塗布してもらった。そして塗布時のリッチ感について、下記のように判定してもらった。
2点:コクのあるリッチな使用感であると感じた場合。
1点:リッチな使用感であるが少し物足りないと感じた場合。
0点:リッチな使用感ではない感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(かつ0点評価なし):コクのあるリッチな使用感の皮膚化粧料である。
×:合計点が30点未満:リッチ感が物足りない皮膚化粧料である。
【0019】
(2)肌へのなじみ性
20名の女性(22〜40歳)をパネラーとし、調製した皮膚化粧料を洗顔後に塗布してもらった。そして使用時の肌へのなじみ性について、下記のように判定してもらった。
2点:肌へのなじみが良いと感じた場合。
1点:肌へのなじみがやや悪いと感じた場合。
0点:肌へのなじみが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(かつ0点評価なし):肌へのなじみ性に優れた皮膚化粧料である。
×:合計点が30点未満:肌へのなじみ性が良くない皮膚化粧料である。
(3)べたつき感
20名の女性(22〜40歳)をパネラーとし、調製した皮膚化粧料を洗顔後に塗布してもらった。そして塗布時及び塗布10分後の肌のべたつき感について、下記のように判定してもらった。
2点:塗布時、塗布10分後ともにべたつき感を感じなかった場合。
1点:塗布時又は塗布10分後のどちらかにべたつき感を感じた場合。
0点:塗布時、塗布10分後ともにべたつき感を感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(かつ0点評価なし):べたつき感を感じない皮膚化粧料である。
×:合計点が30点未満:べたつき感を感じる皮膚化粧料である。
【0020】
(4)保湿効果の持続性
20名の女性(22〜40歳)をパネラーとし、調製した皮膚化粧料を洗顔後に塗布してもらった。そして2時間後の肌の潤いついて、下記のように判定してもらった。
2点:使用直後と変わらず肌が十分潤っていると感じた場合。
1点:使用直後と比べてやや肌の潤いが足りないと感じた場合。
0点:使用直後と比べて明らかに肌の潤いが足りないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(かつ0点評価なし):保湿効果の持続性が良好な皮膚化粧料である。
×:合計点が30点未満:保湿効果の持続性が十分でない皮膚化粧料である。
(5)肌の柔軟性改善効果
20名の女性(22〜40歳)をパネラーとし、調製した皮膚化粧料を洗顔後に塗布してもらった。そして2時間後の肌の状態について、下記のように判定してもらった。
2点:明らかに肌がふっくらと柔らかくなったと感じた場合。
1点:やや肌がふっくらと柔らかくなったと感じた場合。
0点:肌の柔軟性改善効果がまったくないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(かつ0点評価なし):肌の柔軟性改善効果に優れた皮膚化粧料である。
×:合計点が30点未満:肌の柔軟性改善効果が十分でない皮膚化粧料である。
結果を表2及び4に示す。表2及び4中の数字は、質量%である。
【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】
【表5】

【0025】
表2から明らかなとおり、実施例1〜4の皮膚化粧料(化粧水)は、よりコクのあるリッチな使用感を有しながら、肌へのなじみが良く、べたつき感を感じることがなく、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果にも優れていた。
これに対し、比較例1〜3の化粧水は、十分な性能が得られなかった。すなわち、(A)成分の代わりに化合物6を含む比較例1は、コクのあるリッチな使用感や肌へのなじみ性に劣り、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果も十分ではなかった。(A)成分の代わりに化合物9を含む比較例2は、コクのあるリッチな使用感に劣り、肌の柔軟性改善効果も十分ではなかった。(B)成分が含有されていない比較例3は、コクのあるリッチな使用感が劣り、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果も十分ではなかった。
また、表4から明らかなとおり、実施例5〜9の皮膚化粧料(水中油型乳液)も、より、コクのあるリッチな使用感を有しながら、肌へのなじみが良く、べたつき感を感じることがなく、保湿効果の持続性、肌の柔軟性改善効果にも優れていた。
これに対し、(A)成分の代わりに化合物5、7、又は8を含む比較例4〜6では、十分な性能が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)により示されるポリアルキレングリコール誘導体、
Z−{O−(EO)a−(BO)k−H}m (I)

(式中、Zは水酸基を3〜6個有する多価アルコールから水酸基を除いた残基、mは3〜6の整数、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基を示し、EOとBOはブロック状に結合している。また、aはEOの平均付加モル数、kはBOの平均付加モル数を示し、aは10〜50の整数であり、kは1〜25の整数である。また、EOとBOの合計量100質量部に対し、EOの質量割合は15〜75質量部である。)
及び
(B)水溶性高分子化合物
を含有し、皮膚化粧料全量に対し(A)成分の含有量が0.1〜10質量%、(B)成分の含有量が0.01〜3質量%である、皮膚化粧料。
【請求項2】
さらに、(C)抗炎症剤を、皮膚化粧料全量に対し0.001〜2質量%含有する、請求項1に記載の皮膚化粧料。



















【公開番号】特開2013−95737(P2013−95737A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242553(P2011−242553)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】