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皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減材および低減化方法
説明

皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減材および低減化方法

【課題】皮膚外用剤に含まれる防腐剤を、使用時に速やかに吸着、減少させた後に皮膚に適用することにより、製造工程上の微生物汚染に特別の防止措置を講じることなく、また皮膚外用剤の保存性に影響を与えず、かつ使用時に防腐剤に起因する刺激感を感じる使用者の刺激感を軽減する。
【課題を解決するための手段】エチレン−酢酸ビニルコポリマーを含有することを特徴とする素材。
そして、エチレン−酢酸ビニルコポリマーを含有することを特徴とする素材に皮膚外用剤を接触させ、皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化材および低減化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚外用剤すなわち乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、ファンデーション等の化粧品や医薬部外品、分散液、軟膏、クリーム、外用液等の外用医薬品には、微生物の増殖を抑制、あるいは死滅させて皮膚外用剤の保存性を向上させるため、パラベン類、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール等の防腐剤が配合されている。
【0003】
しかしながら、パラベン類、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール等の防腐剤を配合した皮膚外用剤では、使用時に防腐剤に起因する刺激感を感じる使用者のあることが報告されている。
【0004】
一方、使用時に防腐剤に起因する刺激感を感じる使用者を対象としてパラベン類、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール等の防腐剤を配合しない、あるいは配合量を低減した皮膚外用剤を調製する試みもなされているが、製造工程中の微生物汚染いわゆる一次汚染を防止するために、無菌室またはそれに準ずる設備を用意して製造環境を無菌に保つほか、製造従事者にも無菌操作が要求され、防腐剤を配合した皮膚外用剤製造時よりも高コストで厳密な製造工程を保有しなければならない。
【0005】
更に上記のような、防腐剤を使用しない、いわゆる防腐剤フリー(パラベンフリー)又は防腐剤を少量使用した化粧料にあっては、雑菌が付着した化粧料の後戻りによる中味の汚染、いわゆる二次汚染を避けるべく、一旦取り出された化粧料の後戻りを防止するための容器が開示されている。(特許文献1)しかしながら、部品点数や組み立て工数の増加は否めない。
【0006】
また、防腐剤吸着性を有する素材から構成される容器または部材に皮膚外用剤を充填または接触させて、防腐剤の皮膚刺激を低減させることも試みられている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−17439
【特許文献2】特開2003−335631
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発明者らは防腐剤吸着性を有する素材から構成される容器または部材に皮膚外用剤を充填させる方法では、保存期間中に皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着してしまう。
【0009】
つまり、防腐剤吸着性を有する素材から構成される容器に皮膚外用剤を充填した場合、防腐剤が吸着性を有する素材に吸着されることで、充填後の皮膚外用剤の防腐剤量はユーザーが使用するまでの間に減少してしまう。
そのために、ユーザーが容器に充填された皮膚外用剤を開封し、使用を終了するまでの間、使用に伴う外部からの微生物の混入が起こった場合、当初の十分な防腐効果を発揮することができないため、微生物の増殖が起こり、皮膚外用剤が変質し変臭・白濁等の問題が生じる。
いわゆる微生物による二次汚染が起こり、この汚染に対しては防腐効果を十分に発揮することができない。
【0010】
そこで、本発明者らは上述の課題解決のために鋭意研究した結果、皮膚外用剤の保存性向上のためにパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールが配合されている皮膚外用剤の防腐剤を短時間で低減化できる皮膚接触量低減化材を見出した。防腐剤によって刺激を感じる方に対して、本発明の防腐剤の皮膚接触量低減化材を使用することにより、皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着させて、防腐剤量を低減下させた後に皮膚に適用することで防腐剤の刺激を感じずに使用することができる方法も見出した。
この方法によると、皮膚外用剤の保存性に影響を与えることなく、皮膚外用剤の使用を終了するまでの間、使用による外部からの微生物の汚染いわゆる二次汚染を防ぐことができる。
その上、使用時に皮膚外用剤に含まれる防腐剤を速やかに低減することができる。
結果として、皮膚外用剤に含まれる防腐剤によって刺激感を感じる使用者の刺激感を軽減することが可能となった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の素材について検討を行った結果、エチレン-酢酸ビニルコポリマーがパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール等の防腐剤に対して迅速で高い吸着性を有することを見出した。
【0012】
すなわち本発明は、先ずエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に防腐剤を含む皮膚外用剤を接触させることで、皮膚外用剤に含まれるパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールがエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に迅速かつ効率的に吸着され、次に皮膚に適用する際には防腐剤の量が低減されているため、皮膚刺激を低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、皮膚に対して使用する際に、迅速な防腐剤吸着性を有する素材に皮膚外用剤を接触させ、防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用することで、皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量が低減化され、皮膚刺激を低減することができる。
更に、製造工程上の微生物汚染いわゆる一次汚染に特別の防止措置を講じることなく、また皮膚外用剤の保存性に悪影響を与えることもなく、皮膚外用剤の使用を終了するまでの間、使用による外部からの微生物の汚染いわゆる二次汚染を防ぐことも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、皮膚外用剤とは、皮膚に外用する組成物全般を意味する。例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、ファンデーション等の化粧品や医薬部外品、分散液、軟膏、クリーム、外用液等の外用医薬品等の皮膚外用剤として適用可能な組成物のことを言う。液体、クリーム状、粉末状、固体状等の皮膚外用剤の形態も問わない。流動性を有する形態が特に好適であるが、本発明の皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法を実施する際に粉末状、固体状等流動性を持たない形態の皮膚外用剤に液体を添加することにより流動性を持たせることもできる。
【0015】
本発明に用いるエチレン−酢酸ビニルコポリマー(エチレン・酢酸ビニル共重合体)は、エチレンと酢酸ビニルとを共重合させて得られるポリマーであり、一般にはEVAと略称される。
エチレン−酢酸ビニルコポリマーに含まれる酢酸ビニルの含有量は特に規定はないが、3〜40%が好ましく、10〜25%程度がより好ましい。
例えば、市販品である和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%)等が好適に用いられる。
【0016】
本発明で使用するエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材は、コットンパフ状、メーキャップスポンジ状、パック用シート状、ガーゼ状、ボトルキャップ状、ディスペンサーノズル状にして使用することができる。
形態に関しては、防腐剤を含む皮膚外用剤とエチレン−酢酸ビニルコポリマーが接触できる形態であれば良く、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材がガーゼやパフ、スポンジのように表面積の大きい形状であれば、防腐剤を含む皮膚外用剤と接触する部分が大きくなり、より効率的に防腐剤を除去することができる。
【0017】
例えばエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマーをコットンパフやメーキャップスポンジ、ガーゼ等の化粧用具にエチレン−酢酸ビニルコポリマー溶液を含浸させた後乾燥させる、つまり被覆することで容易に作成することができる。
エチレン−酢酸ビニルコポリマーの被覆量についてはエチレン−酢酸ビニルコポリマー溶液の濃度を変えることで、被覆量を調整することが可能である。
【0018】
それ以外にも、エチレン-酢酸ビニルコポリマーそのものを繊維状にして、或いはエチレン-酢酸ビニルコポリマーと他のポリオレフィンをブレンドして繊維状にし、不織布として使用しても良い。
ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系ポリオレフィンが例示できる。エチレン-酢酸ビニルコポリマーとポリオレフィン繊維の構造は特に制限されないが、例えば、ポリオレフィンを芯成分、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを鞘成分とする芯鞘構造を有する繊維が挙げられる。芯と鞘の割合は任意に用いることができる。
エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含む不織布は、公知の種々の技術を利用して製造できる。例えば、繊維を水中に均一に懸濁し、これを金網等ですくいシート状にする湿式製造法や、繊維を空気中に飛散させた後、金網に集めてカード状にするエアーレイド法や、紡糸機から直接ウェブを形成するスパンボンド法やメルトブロー法などが挙げられる。さらには、不織布を製造する際には、繊維の分散性を改良するために界面活性剤や、繊維のからみを向上させるためのポリビニールアルコール等の添加剤を用いても良い。これらの不織布は単層であっても、異なる2種以上の不織布を積層したものでもよい。
【0019】
その他の形態としては、メーキャップスポンジにエチレン−酢酸ビニルコポリマー溶液を含浸させた後乾燥させ、メーキャップスポンジにエチレン−酢酸ビニルコポリマーを被覆して作成することができる。
或いは、エチレン−酢酸ビニルコポリマーそのものをプレス架橋発泡成形法等の方法で発泡体とし、メーキャップスポンジ等の形状に成型して使用しても良い。その際、充填材(炭酸カルシウム、シリカ、クレーなど)や、弾性や耐熱性改善のためのゴム類(天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなど)や着色剤として顔料を使用しても良い。
【0020】
このようにすることで、保存期間中に中身に接触せず、使用時に接触、あるいは通過する形態に自由に成型することができる。
【0021】
本発明に用いる防腐剤吸着性を有する素材中のエチレン-酢酸ビニルコポリマー含有量は、2重量%以上が好ましく、コットンパフ状、メーキャップスポンジ状、パック用シート状、ガーゼ状などの皮膚に直接接触する形態で使用する際は2〜30重量%が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有量が30重量%を超えると性状が硬く、皮膚表面を損傷する可能性が高まり、皮膚外用剤使用時の皮膚に対する刺激感を低減するという元来の目的にそぐわない。また、エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有量が2重量%未満であると、充分な防腐剤吸着性能が得られない場合がある。
【0022】
本発明の対象となる、低減化が期待できる防腐剤は、パラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールである。
通常、皮膚外用剤に含まれる防腐剤は皮膚外用剤製造時の微生物汚染を防止することができ、保存期間中の保存性を維持できる割合で配合されている。
【0023】
本発明の対象となる皮膚外用剤は、防腐剤のほか水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を必要に応じて混合して適宜配合することにより調製される。また、本発明の対象となる皮膚外用剤は通常の工場設備により製造でき、常法により容器に充填できる。本発明の皮膚外用剤の剤型は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗浄料等種々の剤型であっても良い。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0025】
<実施例1>素材による防腐剤吸着性の違い測定試験
皮膚外用剤に汎用されるメチルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸の6種の防腐剤について各種素材に対する吸着度を測定した。「表1」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/素材を5/1の重量比で加え、1時間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、素材による処理前の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表2」に示す。
使用した素材のうち、リヨセルは再生セルロース繊維の一つで、アセテート繊維などのように、誘導体化というプロセスを経由せずに、セルロースそのものを溶剤に溶解させた溶液を紡糸して得られる。テンセルはコートルズ社の商標名である。キュプラは銅アンモニアレーヨンであり、再生繊維の一種である。
【0026】
【表1】

防腐剤吸着率は次の式にて求めた。
【式1】
【0027】





計算は上記式にて行った。
【0028】
【表2】

*1:ポリエチレンテレフタレート
*2:ポリエチレン
*3:ポリプロピレン
*4:エチレン-酢酸ビニルコポリマー
*5:エチレン-ビニルアルコールコポリマー
【0029】
表2に素材の防腐剤吸着性測定の結果を示した。表2の結果から、特に素材中にエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有するコットン+EVAおよびパルプ+レーヨン+EVAに顕著な防腐剤吸着効果が見られた。エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材は特にメチルパラベンおよびエチルパラベンのパラベン類に強い吸着効果を示した。
【0030】
<実施例2>エチレン-酢酸ビニルコポリマーの含有量による防腐剤吸着性の違い測定試験
<実施例1>の実験でエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に特に強い吸着効果が見られたメチルパラベンとエチルパラベンについて、素材中のエチレン-酢酸ビニルコポリマーの含有量と吸着性の関係を調査した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に1〜20重量%の含有量になるように噴霧を調整した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの乾燥重量を測定することで確認を行った。
次に「表3」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材を5/1の比で加え、1時間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材による処理前の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表4」に示す。

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
表4にエチレン-酢酸ビニルコポリマーの含有量による防腐剤吸着性の違い測定試験の結果を示した。表4の結果から、特に素材中にエチレン-酢酸ビニルコポリマーを2〜20重量%含有する素材でメチルパラベンとエチルパラベンに関する顕著な吸着効果が見られた。また、測定データは示していないが、本実験に用いた表3の防腐剤水溶液に配合した皮膚に有用な成分として知られているグリチルリチン酸ジカリウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、アスコルビン酸リン酸マグネシウムについてはエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に対する吸着が認められなかった。
尚、ビニルアセテート含量が25%のエチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体20(ビニルアセテート含量20%))を用いて同様の試験を行ったところ、同様に良好な結果が得られた。

【0034】
<実施例3>吸着時間による吸着率の変化に関する実験
<実施例1>の実験でエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に特に強い吸着効果が見られたメチルパラベンとエチルパラベンについて、素材と接触させる時間と吸着性の関係を調査した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に20重量%の含有量になるように噴霧量を調節して作成した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの乾燥重量を測定することで確認を行った。
「表3」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材を5/1の比で加え、5分、15分、1時間、24時間、1週間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、開始時の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表5」に示した。

【0035】
「表5」

【0036】
「表5」に素材との接触時間と防腐剤吸着率の変化の測定試験の結果を示した。表5の結果から放置時間が5分でもメチルパラベンでは70%、エチルパラベンは80%と高い吸着率を示した。
そして、放置時間が5分と放置時間が168時間後の結果を比較した。
比較のため、放置時間が5分の吸着率/放置時間168時間の吸着率の比を求めた。
メチルパラベンでは70/78=0.897
エチルパラベンでは80/87=0.920
となり、5分という短時間でも168時間後の吸着率と大差ない吸着力を発揮していることがわかった。
本発明の吸着効果に関しては、短時間でその効果が発揮されている。即ち、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に、使用したい皮膚外用剤を含浸させて、直ぐに使用するような使い方、つまりコットンに化粧水を含ませて、直ぐ顔面に使用するといった使用シーンでも十分に効果が期待できるものである。

【0037】
<実施例4>実使用試験
実験例21〜24に示す化粧水を常法により調製した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に20重量%の含有量になるように噴霧量を調節して作成した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの重量を測定することで確認を行った。
このエチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材を通常のコットンパフの代わりに使用することで、皮膚刺激性と使用性に関する使用試験を実施した。
被験者は予めメチルパラベンに刺激を感じるパネルを選別した上で用いた。
結果を「表7」に示す。表中の値は「皮膚刺激性を訴えた人あるいは使用性に問題を訴えた人/被験者数」を表す。
使用手順は次のとおり。
A)エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材であるエチレン−酢酸ビニルコポリマーを20%被覆させたコットンパフに化粧水を含浸させた。
B)顔面に塗布する。
C)使用後、刺激感の有無、使用性に関するアンケート調査を行った。

【0038】
【表6】

数字は重量%を表す。

【0039】
【表7】

【0040】
「表7」の結果から、防腐剤吸着性を有する素材をコットンパフとして使用した実験例21、実験例22においては、皮膚刺激性を訴えた人がなく、使用性も良好であることが確認された。
「表7」の結果により、本発明の防腐剤吸着性を有する素材に皮膚外用剤を接触させ、皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用することで、皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化を図ることが確認された。
これにより、使用直前まで皮膚外用剤に含まれる防腐剤量を減らすことなく、使用する時点で皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量を低減化する方法が提供でき、防腐剤の刺激感を解消できることが明らかになった。
【0041】
<実施例5>
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(ビニルアセテート含量25%)繊維1.1dtex×7mm(繊度×繊維長)の30重量%と0.1〜0.6dtex×5〜10mm(繊度×繊維長)、ポリエチレンテレフタレート極細繊維(TEPYRUS−PET、帝人ファイバー株式会社製)70重量%とを混合した原料を、前述した方法にて湿式抄造して不織布を製造した。次に、抄紙機上でこの不織布を3枚重ね合わせて、ウォータージェット装置で水流絡合させた後、乾燥させて巻き取り、1枚の中間層を2枚の表面層で挟み込んだ三層構造の化粧・美容用不織布を製造した。1枚の不織布の目付は60g/m2とした。
これに実験例21の化粧水を含浸させた直後に、メチルパラベンに刺激を感じるパネル5名に使用させたところ、刺激感を感じなかった。

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の防腐剤皮膚接触量低減化方法を用いることで、皮膚に接触する防腐剤量を使用時に手軽に速やかかつ大幅に低減させる優れた性能を有している。本発明は、このように顕著な作用効果を有する発明であり、産業上の貢献はまことに大きく、意義のある発明である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニルコポリマーからなる皮膚外用剤に含まれる防腐剤を低減する低減材。
【請求項2】
エチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた請求項1記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤を低減する低減材。
【請求項3】
コットンパフ、メーキャップスポンジ、パック用シート、ガーゼにエチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた請求項2の皮膚外用剤に含まれる防腐剤を低減する低減材。
【請求項4】
エチレン−酢酸ビニルコポリマーの酢酸ビニル含有量が10〜25%である請求項3の皮膚外用剤に含まれる防腐剤を低減する低減材。
【請求項5】
防腐剤がパラベン類、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤を低減する低減材。
【請求項6】
防腐剤吸着性を有する素材に皮膚外用剤を接触させ、皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用することで皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法。
【請求項7】
防腐剤吸着性を有する素材がエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含有することを特徴とする請求項6に記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法。
【請求項8】
エチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた防腐剤吸着性を有する素材を使用する請求項7に記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法。
【請求項9】
コットンパフ、メーキャップスポンジ、パック用シート、ガーゼにエチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた請求項8に記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法。
【請求項10】
防腐剤がパラベン類、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項6〜10に記載の皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化方法。


【公開番号】特開2012−214395(P2012−214395A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80097(P2011−80097)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】