説明

皮膚外用剤又は化粧料

【課題】 ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れる剤、及びこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料を提供すること。
【解決手段】 クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉の抽出物を含有する皮膚外用剤、化粧料、又は剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を含有する皮膚外用剤又は化粧料に関する。さらには、ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分として含有するラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れる剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う皮膚表面の小ジワや、皮膚の弾力性低下およびシワといった老化症状の原因として、皮膚表面の乾燥や、酸化障害による細胞機能低下、真皮細胞外マトリクス成分であるエラスチンの分解、減少や、コラーゲンの架橋による変性等があげられる。これらの現象には、紫外線等の外的ストレスにより発生する活性酸素やフリーラジカルが深く関与していることが良く知られている。このような症状を防止改善するために、従来より、アミノ酸や、多糖、植物抽出液等様々な成分の皮膚外用剤等への配合が検討されてきた。細胞外マトリクス成分の減少を抑制する成分としては、例えば、エラスターゼ阻害作用を有するブルセラ・ランシフォリア抽出物(特許文献1参照)が開示されており、また抗酸化剤としては、学名:Piper betle Lの抽出物等(特許文献2参照)が開示されている。
一方、クルミ由来の素材の皮膚外用剤等への応用に関しては、クルミ種子部の抽出物を含有する皮膚外用剤(特許文献3参照)や、クルミ種皮部の抽出物からなる細胞賦活剤を含有する皮膚外用剤(特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、ブラックウォルナットの葉に着目して、該葉のみの抽出物の表皮保水能改善作用や抗老化作用、抗酸化作用や、皮膚外用剤等への配合に関してはこれまで開示されていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−255734号公報
【特許文献2】特開2001−98267号公報
【特許文献3】特開2004−331634号公報
【特許文献4】特開2009−298728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天然由来成分には様々な生理活性や美容効果を有するものが存在し、これまでにも多くの植物抽出物が皮膚外用剤や食品、飲料等の分野で利用されてきた。しかしながら、いまだその効果が知られていない天然由来成分も数多く存在し、優れた保湿作用や抗老化作用等を有する有効成分の開発は依然期待されていた。本発明は、植物由来で安全性が良好な、優れたラジカル消去剤、一重項酸素消去剤、抗酸化剤、エラスターゼ阻害剤、表皮保水能改善剤、抗老化剤、及び皮膚外用剤、化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉の抽出物に優れたラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用を見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、ブラックウォルナット(学名: Juglans nigra L.)の葉の抽出物を有効成分とする、ラジカル消去剤、一重項酸素消去剤、抗酸化剤、エラスターゼ阻害剤、表皮保水能改善剤、抗老化剤、及びこれらを含有する皮膚外用剤、化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉の抽出物を有効成分として用いることにより、優れた効果を有するラジカル消去剤、一重項酸素消去剤、抗酸化剤、エラスターゼ阻害剤、表皮保水能改善剤、抗老化剤を提供することができる。また、これらを皮膚外用剤や化粧料に配合することにより、皮膚の乾燥や弾力の低下、シワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に記載する。本発明に用いるブラックウォルナットはクルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra L.)であり、その産地や採取時期等は特に限定されないが、同じ科や同じ属であっても種の異なるものは含まれない。また、抽出部位としては、葉部を用い、根部や、一般的に使用される果皮、種皮、仁等、他の部位は含まれない。
【0009】
本発明におけるブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉の抽出物は、一般的な方法で調製することができる。抽出溶媒としては特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級一価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類があり、これらの1種又は2種以上を選択して用いることができる。また、生理食塩水やリン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いても良い。
抽出方法についても、その設定温度や時間等特に制限はないが、例えば、ブラックウォルナットの葉を5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度で、溶媒に1〜48時間程度浸漬することが好ましく、抽出中は系内を攪拌するのが好ましい。また、抽出操作の前にブラックウォルナットの葉に対して乾燥、粉砕、細切、圧搾又は発酵等の前処理を行うこともできる。
好ましい調製方法の例としては、ブラックウォルナットの葉をそのまま、あるいは乾燥して細切、粉砕したもの等を水、低級一価アルコール、液状多価アルコール等の親水性極性溶媒中に浸漬して、室温又は加温して抽出し、得ることができる。
さらに、これらの抽出溶媒の中でも、本発明の効果や抽出物の化粧料中での使用性の観点から、水およびエタノールを任意の割合で混合して抽出溶媒として用いるのがより好ましい。
【0010】
ブラックウォルナットの葉の上記溶媒による抽出物は、調製後そのまま使用することができるが、濃縮、乾固又はスプレードライしたものを水や極性溶媒に再度溶解して用いても良い。さらに、必要であれば本発明の効果に影響のない範囲でろ過又はイオン交換樹脂等により脱色、脱臭、脱塩等の処理を施して用いることもできる。また、限外ろ過やイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の方法により分画して用いることもできる。
【0011】
このようにして得られたブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とするラジカル消去剤は、優れたフリーラジカル消去効果を有し皮膚の光老化を防止、抑制する。
【0012】
また、ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とする一重項酸素消去剤は、一重項酸素による脂質過酸化やコラーゲンの架橋を抑制し、乾燥やシワ、皮膚のたるみ、弾力の低下といった症状を防止改善する。
【0013】
ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とする抗酸化剤は、優れた抗酸化効果を発揮し、酸化ストレスによる細胞障害や乾燥、シワ、皮膚のたるみ、弾力の低下といった症状を防止改善する。
【0014】
ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤は、真皮細胞外マトリクス成分であり皮膚の弾力性発現に重要であるエラスチンの分解を抑制し、シワや皮膚のたるみ、弾力の低下といった症状を防止改善する。
【0015】
ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とする表皮保水能改善剤は皮膚や毛髪に対して優れた保水能改善作用を発揮し、特に皮膚に対する保水能改善効果が高い。
【0016】
ブラックウォルナットの葉の抽出物を有効成分とする抗老化剤は、表皮の乾燥を改善し、真皮細胞外マトリクス成分の減少、変性を抑制しシワやたるみといった老化症状の防止改善に優れた効果を発揮する。
【0017】
ブラックウォルナットの葉の抽出物を含有する皮膚外用剤又は化粧料は、優れたラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用を有するので、表皮の乾燥や、皮膚弾力性の低下、シワ、タルミ等様々な皮膚症状の防止改善に優れた効果を示す組成物を提供することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤又は化粧料におけるブラックウォルナットの葉の抽出物の含有量は、固形分として0.00001〜2質量%(以下、単に「%」と表す。)が好ましく、0.0001〜1%がより好ましい。ブラックウォルナットの葉の抽出物をこの範囲で配合することにより、配合安定性や化粧料としての品質を損なうことなく、ラジカル消去効果、一重項酸素消去効果、抗酸化効果、エラスターゼ阻害効果、表皮保水能改善効果、抗老化効果といった効果を十分に発揮する皮膚外用剤又は化粧料が得られる。
【0019】
さらに、本発明の効果を妨げない質的、量的範囲で、ブラックウォルナットの葉の抽出物以外に、一般的に化粧料や外用医薬品の製剤に用いられる、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール類、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等が挙げられる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合可能な成分は、具体例としてそれぞれ以下に示すものが挙げられ、これらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。尚、ここで、「誘導体」には形成可能な塩が含まれる。
【0021】
アルコール類としては、エタノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0022】
油剤としては、天然系油であるか、合成油であるか、或いは、固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素類、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソデシル、イソオクタン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ジイソノナン酸プロピレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジイソノナン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、テトラオクタン酸ペンタンエリスリット、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸グリセリル、(2−ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のエステル油類、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ゲイロウ等のロウ類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、杏仁油、パーシック油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、シア脂等の植物や動物由来の油脂類等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤は、油剤等の乳化や可溶化等のために用いられ、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤を用いることができる。
【0024】
金属セッケンは脂肪酸等と金属の塩であり、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0025】
ゲル化剤は、系の安定化や使用性、使用感を良くするために用いられ、N−ラウロイル−L−グルタミン酸等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0026】
粉体は、主としてメーキャップ化粧料における着色や皮膚の隠蔽、又は使用感を良くするため等多目的に用いられ、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。例えば、無機粉体としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、雲母、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、セラミックスパウダー、窒化ホウ素等が挙げられ、有機粉体としては、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ナイロンパウダー、ラウロイルリジン等が挙げられ、有色顔料としては、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、紺青、群青等の無機系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したものが挙げられ、パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等、その他タール色素、カルミン酸等の天然色素等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。更に、これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、又はフッ素化合物で表面処理を行なっても良い。
【0027】
紫外線防御剤としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0028】
水溶性高分子は、系の安定化や使用性、使用感を良くするために用いられ、又保湿効果を得るためにも用いられる。水溶性高分子の具体例として、カラギーナン、ペクチン、寒天、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム等の微生物系高分子、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、デンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子等が挙げられる。
【0029】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0030】
動物又は微生物由来抽出物としては、幼牛血液抽出液、血清除蛋白、脾臓、トリ等の卵成分、卵殻膜抽出物、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、ラクトフェリン又はその分解物、イカスミ等の軟体動物、魚肉等、哺乳類、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類、甲殻類等の動物由来の抽出物、霊芝抽出物等の微生物由来の抽出物等が挙げられる。動物又は微生物由来抽出物を配合することによって、保湿効果、細胞賦活効果、美白効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、活性酸素除去効果、血行促進効果等をより付与することができる。
【0031】
美白剤は日焼け等により生じる皮膚の黒化、色素沈着により生ずるシミ、ソバカス等の現象を防止する目的で用いられ、ビタミンC及びその誘導体、胎盤抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0032】
抗炎症剤は、日焼け後の皮膚のほてりや紅斑等の炎症を抑制する目的で用いられ、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アロエ抽出物、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0033】
細胞賦活剤は、肌荒れの改善等の目的で用いられ、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類又はそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸及びそれらの誘導体等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0034】
活性酸素除去剤は、過酸化脂質生成抑制等の目的で用いられ、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類;チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ピリドキシンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類;トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類;ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0035】
保湿剤としては、エラスチン、ケラチン等のタンパク質又はそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が挙げられこれらを一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0036】
本発明の皮膚外用剤又は化粧料は、ブラックウォルナットの葉の抽出物を常法に従い種々の形態の基剤に配合して製剤化することにより調製することができる。
前記皮膚用外用剤又は化粧料の性状は、液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等の何れであってもよく、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗顔料、メーキャップ化粧料等の皮膚用化粧料に属する形態;シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料に関する形態;及び分散液、軟膏、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品の形態;等とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、ブラックウォルナットの葉の抽出物の製造例、各作用を評価するための試験例、皮膚外用剤や化粧料の処方例等の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に記述するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
【0038】
[製造例1]ブラックウォルナットの葉の抽出物1の製造
乾燥させた10gのブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉を粉砕し、10%(v/v)エタノール水溶液を100g加えて攪拌しながら室温で12時間抽出した。得られた抽出液は濾過して不溶物を取り除いた後に、活性炭を加えて30分攪拌してから再度濾過した。これを減圧濃縮し凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。収量は0.52gであった。
[製造例2]ブラックウォルナットの葉の抽出物2の製造
乾燥させた10gのブラックウォルナット(Juglans nigra L.)の葉を粉砕し、80%(v/v)エタノール水溶液100gを加えて攪拌しながら室温で12時間抽出した。得られた抽出液は濾過して不溶物を取り除いた後に、活性炭を加えて30分攪拌してから再度濾過した。これを減圧濃縮し凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。収量は0.63gであった。
【0039】
得られたブラックウォルナットの葉の抽出物1、2について、ラジカル消去効果、一重項酸素消去効果、抗酸化効果、エラスターゼ阻害効果、表皮保水能改善効果、抗老化効果の評価として、(イ)1、1―Diphenyl−2−picrylhydrazyl(以下、「DPPH」と略す)ラジカル消去能、(ロ)一重項酸素消去能、(ハ)エラスターゼ活性阻害効果、(ニ)表皮保水能改善効果をそれぞれ下記の方法で測定し評価した。なお、(イ)および(ロ)の試験の両方に効果が認められる場合、抗酸化効果を有すると判断し、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)のいずれの試験においても効果が認められた場合には抗老化効果を有すると判断した。
【0040】
実施例1
<(イ)DPPHラジカル消去能の評価>
紫外線等の外的ストレスにより皮膚で発生するスーパーオキサイドやヒドロキシラジカル、過酸化水素等の活性酸素種や、それらから誘導されるフリーラジカルは細胞機能を低下させ、脂質の過酸化やDNA損傷、タンパク変性等を引き起こす。例えば、ヒドロキシラジカルは真皮細胞外マトリクスの構成成分であるコラーゲンの合成を低下させ、コラーゲン分解酵素の産生を亢進することが知られており、スーパーオキサイドは脂質を過酸化し継続的な皮膚微弱炎症の一因となり、炎症の継続が慢性的な皮膚乾燥症状と関連することが知られている。これら活性酸素やフリーラジカル等の酸化障害によって細胞機能が低下し、真皮細胞外マトリクスの構成タンパクが損傷、変性することがシワやたるみ、弾力の低下といった皮膚老化症状の発生につながると考えられている。したがってフリーラジカルを消去することは、皮膚における脂質過酸化やコラーゲンの分解を抑制し、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止するための抗老化剤や皮膚化粧料の開発において重要である。
【0041】
DPPHラジカル消去能の評価は、安定なラジカルをもつ1、1―Diphenyl−2−picrylhydrazyl;DPPHの517nmにおける極大吸収が試料添加時に減少する割合により、試料のラジカル消去能を評価するものである。以下に詳細な試験方法を記載する。
【0042】
製造例1又は製造例2によって調製したブラックウォルナットの葉の抽出物1又は抽出物2を、濃度が2.5mg/ml、0.25mg/mlとなるように調製し、試料溶液とした。なお、試料の溶解性を考慮して、試料溶液作製の溶媒として抽出物1の場合には0.1mol/L酢酸緩衝液を、抽出物2の場合にはエタノールを用いた。試料溶液400μlと0.5mmol/LのDPPHエタノール溶液200μlを混合し、全体量が1ml(エタノール:水=3:2)になるようにエタノール又は水で試験溶液を調製して室温で60分間反応させた。このとき、抽出物1又は2の最終濃度は、それぞれ、1.0mg/ml、0.1mg/mlとなった。試験溶液の517nmの吸光度を測定し、DPPHラジカル消去率〔D〕を下記の式から求めた。また、対照溶液として試料溶液のかわりに同量の溶媒を加えたものを測定した。
DPPHラジカル消去率〔D〕(%)=(C―S)/C×100
S:試験溶液の517nmにおける吸光度
C:対照溶液の517nmにおける吸光度
また、本発明の効果を検証するための比較対照として、汎用の抗酸化剤であるアスコルビン酸グルコシドを用いた。
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1より明らかなように、製造例1、2のブラックウォルナットの葉の抽出物1、2を添加した場合には優れたDPPHラジカル消去効果が認められ、アスコルビン酸グルコシドと比較して同等以上の高い効果を示した。
したがって、本発明のブラックウォルナットの葉の抽出物はラジカル消去剤として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することでフリーラジカルを効果的に消去し、フリーラジカルや活性酸素が引き起こす細胞の酸化障害や脂質過酸化、真皮細胞外マトリクスの分解を抑制することで、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止する皮膚外用剤や化粧料を調製することができる。
【0045】
実施例2
<(ロ)一重項酸素消去効果の評価>
一重項酸素は酸素の励起種であるが、基底状態のいわゆる三重項酸素と比較してエネルギーが高く非常に強い求電子性を持つために、基底状態の有機分子に対する反応性が非常に高い。皮膚においては、表皮脂質の過酸化反応に深く関与することが知られており、過酸化された脂質は肌荒れや乾燥の原因となる。さらに一重項酸素は、真皮細胞外マトリクス成分であるコラーゲンに架橋を形成し重合させるが、これはスーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカル、過酸化水素等の他の活性酸素種には見られない特異的な反応である。コラーゲンは皮膚のハリ、弾力を保つ上で非常に重要な分子であるために、加齢に伴うコラーゲン架橋の進行は皮膚老化のひとつの指標とされている。したがって一重項酸素を消去することは、皮膚における脂質過酸化やコラーゲンの架橋を抑制し、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止するために重要である。一重項酸素の測定には、酸素が励起状態の一重項から基底状態の三重項に遷移するときに発する波長1268nmに極大を持つ近赤外光を検出する物理化学的検出方法を用いた。以下に詳細な試験方法を記す。
【0046】
ブラックウォルナットの葉の抽出物1を精製水に、抽出物2をエタノールに溶解して一重項酸素消去能の測定に供した。一重項酸素検出装置は、特許第3356517号公報に記載(詳細は同公報の段落番号0026欄に記載)の装置を用いた。フローセル中には、ローズベンガルの10μMのエタノール溶液を、20ml/分の速度で循環させた。このセルに、ローズベンガルの吸収波長である514.5nmの波長のレーザーを照射すると、一重項酸素の遷移に伴う発光が観察され、その発光ピークは波長1268nmであった。溶媒のみの場合の波長1268nmにおける発光強度(I)および、試料を最終濃度が1.0mg/mlになるように添加した場合の波長1268nmでの発光強度(I)を測定し、下記式から一重項酸素消去率〔E〕を算出した。
一重項酸素消去率〔E〕(%)=(I−I)/I×100
また、本発明の効果を検証するための比較対照として、汎用の抗酸化剤であるジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと記載する)を用いた。
結果を表2に示した。
【0047】
【表2】

【0048】
表2より明らかなように、ブラックウォルナットの葉の抽出物1、2を添加した場合には優れた一重項酸素消去能が認められ、その効果は比較対照として用いたBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)よりも高いものであった。したがって本発明のブラックウォルナットの葉の抽出物は一重項酸素消去剤として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することで一重項酸素を効果的に消去し、一重項酸素が引き起こす脂質の過酸化やコラーゲン繊維間の架橋形成を抑制して、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止する皮膚外用剤や化粧料を調製することができる。
【0049】
実施例3
<(ハ)エラスターゼ活性阻害試験>
エラスチン線維は、ほぼ全身の臓器、組織に分布する細胞外マトリックス成分の一種で、伸縮可能なαへリックス構造が架橋することによって形成され、組織の柔軟性維持に重要な役割を担っていることが知られている。エラスチン線維は皮膚においては真皮層に存在しコラーゲンと並んで皮膚組織の弾力や柔軟性維持に重要な役割を果たしている。加齢により皮膚の弾力性、ハリの低下やシワ、たるみの表出といった様々な皮膚老化症状がみられるが、これは、線維芽細胞の増殖能の低下によるエラスチン線維等の産生能の低下だけではなく、皮膚の紫外線への暴露、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等の外部刺激等により、エラスチン線維の分解が促進されることが原因とされている。
エラスチン線維が分解する一因として、エラスターゼによる分解があると考えられている。エラスターゼは、セリンプロテアーゼファミリーに属する酵素であり、皮膚においては、例えば、紫外線Aが照射された場合にエラスターゼ活性が増加することが確認されている。
従って、真皮におけるエラスターゼの作用を抑制し、エラスチン線維の分解を防止することが、シワやたるみ等の肌の老化防止に有効であると考えられる。以下に詳細な試験方法を記す。
【0050】
試験溶液として、製造例2の方法で調製したブラックウォルナットの葉の抽出物2を4.0mg/ml、1.2mg/mlの濃度になるように試料溶液を調製した。試料溶液の調整溶媒は、体積比率でエタノール:水=1:1の混合溶液を使用した。エラスターゼ活性抑制試験は、豚由来のエラスターゼ酵素液、及びN-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-nitroanilideを基質として用いて行った。具体的には以下に記す試験方法に従って試験を行った。酵素液は、0.05units/mL濃度に調整した。基質液は、基質をジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/L Tris-HCl(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の溶液として調製した。基質液100μLと、試料溶液50μLとを混合した後、酵素液50μLを添加し、37℃、30分間反応させた。試料の最終濃度は1.0mg/ml、0.3mg/mlとなった。その後分光光度計により波長405nmの吸光度を測定し、エラスターゼ酵素によって基質が分解されて生成したnitroaniline量を求め、エラスターゼ活性抑制率を算出した。エラスターゼ活性抑制率は以下の式により算出した。
【0051】
エラスターゼ活性抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の
波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、
酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の405nmの吸光度
【0052】
また、本発明の効果を検証するための比較対照としてRoche社製造のコンプリートプロテアーゼインヒビターカクテルを用い、最終濃度が1.0mg/mlおよび0.5mg/mlになるように試験した。プロテアーゼインヒビターカクテルは常に一定のプロテアーゼ抑制能を示し、多種のプロテアーゼ活性を抑制する試薬であり、エラスターゼ活性を抑制することが確認されているものである。
結果を表3示す。
【0053】
【表3】

【0054】
表3から明らかなように、本発明のエラスターゼ活性抑制剤は、優れたエラスターゼ活性阻害作用を有しており、その効果は比較対照として用いたプロテアーゼインヒビターカクテルよりも高いものであった。したがって、本発明のブラックウォルナットの葉の抽出物はエラスターゼ活性阻害剤として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することでエラスチン線維の分解を抑制し、皮膚のシワやたるみ、弾力低下といった皮膚老化症状を改善防止する皮膚外用剤や化粧料を調製することができる。
【0055】
実施例4
<(ニ)表皮保水能改善試験>
抽出物1を1質量%の濃度になるように精製水に溶解して試験製剤とし、試験製剤を前腕内側部に1日2回、1週間連続で塗布した。また、対照として反対側の腕の同じ部位に精製水を1日2回、1週間連続で塗布した。1週間後の肌における本発明品連続塗布による表皮保水能改善効果を検証するため、角層水負荷試験を行った。角層水負荷試験は角層の保水能を評価する手法として一般に用いられており、その試験方法を以下に記す。
1.5cmの紙片に精製水100μlを含浸し、試験製剤塗布部位および対照塗布部位に1分間貼付した。1分後に紙片を除去し、肌上に残った水分を良く拭いた後、紙片除去60秒後から270秒後まで30秒毎の角層水分量変化をSKICON−200EX(I.B.S社製)を用いて測定した。対照塗布部位と比較して角層水分量の値が高いほど、水分を保持する能力が高く角層状態が良好であることを示している。
測定値から初期値を減じた結果を表4に示した。
【0056】
【表4】

【0057】
表4から明らかなように、ブラックウォルナットの葉の抽出物を添加した製剤を塗布した場合には水負荷後の角層水分量が、対照である精製水塗布の場合と比較して高い値で推移していることから、各層の水分保持能力が向上し良好な角層状態であることがわかる。
したがって、本発明のブラックウォルナットの葉の抽出物は、肌の保水能を改善し角層水分量を上昇させる表皮保水能改善として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することで皮膚の乾燥を防止改善し、乾燥による肌荒れや皮膚表面の小ジワを改善する皮膚外用剤や化粧料を作成することができる。
【0058】
実施例5:化粧水
(成分) (%)
1.グリセリン 5
2.1,3−ブチレングリコール 5
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.製造例1のブラックウォルナットの葉の抽出物1 0.0001
6.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
7.エチルアルコール 8
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.香料 0.05
10.精製水 残量
【0059】
(製造方法)
A:成分6〜9を混合溶解する。
B:成分1〜5及び10を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
【0060】
実施例5の化粧水は、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものであった。
【0061】
実施例6:乳液(水中油型)
(成分) (%)
1.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1
2.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3.グリセリルモノステアレート 1
4.ステアリン酸 0.5
5.ベヘニルアルコール 0.5
6.スクワラン 8
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.水酸化ナトリウム 0.05
10.製造例1のブラックウォルナットの葉の抽出物1 0.1
11.エチルアルコール 5
12.精製水 残量
13.香料 0.05
【0062】
(製造方法)
A:成分12に成分7〜10を加えて70℃で均一に混合する
B:成分1〜6を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:成分11、13を加えて均一に混合し、乳液を得た。
【0063】
実施例6の乳液は、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものであった。
【0064】
実施例7:リキッドファンデーション(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注1) 0.5
2.トリエタノールアミン 1.5
3.精製水 残量
4.グリセリン 5
5.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6.1,3―ブチレングリコール 5
7.水素添加大豆リン脂質 0.5
8.酸化チタン 5
9.ベンガラ 0.1
10.黄酸化鉄 1
11.黒酸化鉄 0.05
12.ステアリン酸 0.9
13.モノステアリン酸グリセリン 0.3
14.セトステアリルアルコール 0.4
15.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17.パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5
18.製造例2のブラックウォルナットの葉の抽出物2 0.05
19.香料 0.02
(注1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
【0065】
(製造方法)
A:成分6〜11を分散する。
B:Aに成分12〜17を加え70℃で均一に混合する。
C:成分1〜5を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
E:Dに成分18、19を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
【0066】
実施例7のリキッドファンデーションは、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用優れ、これを皮膚に適用することにより、肌を美しく見せる効果に加えて、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものである。
【0067】
実施例8:日焼け止め化粧料(油中水型クリーム状)
(成分) (%)
1.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
2.ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
3.精製水 残量
4.ジプロピレングリコール 10
5.硫酸マグネシウム 0.5
6.アスコルビルリン酸マグネシウム 3
7.シリコーン化合物(注2) 3
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20
9.イソノナン酸イソトリデシル 5
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8
11.製造例2のブラックウォルナットの葉の抽出物2 0.01
12.ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注2)KF−6028(信越化学工業社製)
【0068】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に分散する。
B:成分7〜12を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、日焼け止め化粧料を得た。
【0069】
実施例8の日焼け止め化粧料は、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、日光暴露による炎症や色素沈着を抑制し、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものである。
【0070】
実施例9:軟膏剤
(成分) (%)
1.ステアリン酸 18
2.セタノール 4
3.トリエタノールアミン 2
4.グリセリン 5
5.グリチルリチン酸ジカリウム(注3) 0.5
6.製造例1のブラックウォルナットの葉の抽出物1 0.5
7.酢酸dl−α―トコフェロール(注4) 0.2
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.精製水 残量
(注3)和光純薬工業社製
(注4)エーザイ社製
【0071】
(製造方法)
A.成分3、4および9の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分1、2、7、8を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、これを冷却しながら成分9の残部で溶解した成分5、6を加えて攪拌し、軟膏剤を得た。
【0072】
実施例9の軟膏剤は、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、皮膚を保護し、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものである。
【0073】
実施例10:ローション剤
(成分) (%)
1.グリセリン 5
2.1,3−ブチレングリコール 6.5
3.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
4.エチルアルコール 8
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.製造例1のブラックウォルナットの葉の抽出物1 0.0001
7.精製水 残量
【0074】
(製造方法)
A.成分3〜5を混合溶解する。
B.成分1、2、6、7を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
【0075】
実施例10のローション剤は、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものである。
【0076】
実施例11:パック
(処方) (%)
1.ポリビニルアルコール 20
2.エチルアルコール 20
3.グリセリン 5
4.カオリン 6
5.製造例1のブラックウォルナットの葉の抽出物1 0.1
6.防腐剤 0.2
7.香料 0.1
8.精製水 残量
【0077】
A.成分1、3、4、5、8を混合し、70℃に加熱し、撹拌する。
B.成分2、6を混合する。
C.BをAに加え、混合した後、冷却して成分7を加えて均一に分散してパックを得た。
【0078】
実施例11のパックは、ラジカル消去作用、一重項酸素消去作用、抗酸化作用、エラスターゼ阻害作用、表皮保水能改善作用、抗老化作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善に優れた効果を発揮するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤又は化粧料。
【請求項2】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とするラジカル消去剤。
【請求項3】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とする一重項酸素消去剤。
【請求項4】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とする抗酸化剤。
【請求項5】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
【請求項6】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とする表皮保水能改善剤。
【請求項7】
クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物を有効成分とすることを特徴とする抗老化剤。
【請求項8】
前記クルミ科クルミ属ブラックウォルナット(Juglans nigra
L.)の葉の抽出物の抽出溶媒が含水エタノールであることを特徴とする、請求項1〜7の何れかの項記載の皮膚外用剤、化粧料、又は剤。

【公開番号】特開2011−207778(P2011−207778A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74538(P2010−74538)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】