説明

皮膚外用剤及び美白剤

【課題】皮膚外用剤に配合するのに好適な美白剤を提供するとともに、該美白剤を配合した美白作用に優れる皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の非水溶媒抽出物(例えば、酢酸エチル抽出物)を有効成分としてなる美白剤であり、また、これを含有する皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コウホネ(Nuphar japonicum)及び/又はネムロコウホネ(Nuphar Pumilum)の非根茎部、即ち根茎以外の部位の抽出物を有効成分とする美白剤及び皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コウホネやネムロコウホネは、その根茎部が生薬センコツとして利用されてきた。また、皮膚外用剤としても、やはりその根茎部の粉末や水抽出物、低級アルコール、含水低級アルコール抽出物等が、例えば、「粘着性膏体」として(特開昭62−36328号公報)、日焼け後のほてり、かみそりまけ、肌あれを防ぐための「皮膚外用剤」として(特開昭62−51606号公報(下記特許文献1))、洗髪後頭髪をコンディショニングする「頭髪化粧料」として(特開昭63−57313号公報)、洗浄剤による肌あれを防ぐ「洗浄料」として(特開昭63−57696号公報)、収れん効果を期待する「化粧料」として(特開昭64−47708号公報)、優れた養毛効果を有する「養毛料」として(特開平5−255044号公報)、コウジ酸に併用する「皮膚外用剤」として(特開平7−25762号公報(下記特許文献2))、アトピー性皮膚炎に対する皮膚外用剤や抗アレルギー剤に配合する「インターロイキン4産生抑制剤」として(特開平10−279491号公報(下記特許文献3))、ニキビを予防する「ニキビ予防治療剤」として(特開2001−322943号公報)、また「発毛剤」などとして(特開2002−47146号公報)、機能検索が行われている。このように、従来、コウホネやネムロコウホネは、その地下部である根茎部のみが実用に供されており、地上部である非根茎部については、利用されずに廃棄されていた。またそのため、コウホネおよびネムロコウホネの非根茎部の抽出物、特に水以外の溶媒抽出物については、その機能がこれまで全く明らかにされていなかったのが実情である。
【0003】
ところで、化粧料を始めとする皮膚外用剤に期待される効能の一つとして美白作用がある。従来、化粧料に美白効果を付与するために専ら用いられてきたのはビタミンCであるが、ビタミンCはその光脆弱性のため皮表に用いる化粧料の美白剤としてはほとんど実効を期待し難く、そのためにそれに代わるものとして、生薬一般において、チロシナーゼ抑制機能を検索し、抑制率の高いものを選別し用いることが行われている。チロシナーゼは皮膚のメラニン生成系において、チロシンからDOPA、更にDOPAからDOPAキノンへ反応を促進させる酵素であり、DOPAキノンはさらに酸化、脱炭酸、重合などの過程を経てメラニン色素になるので、チロシナーゼの抑制が美白効果につながると期待されるのである。しかしながら、実際の皮膚においてチロシナーゼ抑制機能がメラニン生成減に短絡しないこともあり、美白を損なう要素としてのメラニン生成を抑制することの確かな美白剤のほうが、美白への貢献度が高い。すなわち、メラニン生成において起因とされるチロシナーゼの動向より、結果としてのメラニン量のほうが美白機能予測のたすけになりやすい。そのようなこともあって、チロシナーゼ抑制機能が実測されている生薬は多いものの、実際に皮膚への応用で実用されている美白剤はアルブチン(ウワウルシ、コケモモ葉由来)やコウジ酸など数えるほどでしかない。
【0004】
一方、ヒアルロニダーゼ活性阻害についていえば、ヒアルロニダーゼは、高等動物の各種臓器のリソゾーム、睾丸、皮膚を始めとする様々な箇所に存在する生体膜成分ヒアルロン酸の加水分解酵素であり、皮膚の炎症時に活性化されて周辺組織を破壊し、炎症系細胞の浸入を容易にする。そのため、ヒアルロニダーゼの活性を阻害することにより、抗アレルギー作用、抗炎症効果が期待できる。また、保湿作用成分であるヒアルロン酸を分解するヒアルロニダーゼの活性亢進により、肌荒れやかさつきが起こり、これが皺や弛みの一因になると考えられる。そのため、ヒアルロニダーゼの活性阻害により、皮膚の皺や弛みを含めた保湿老化予防としても期待できる。従来技術において、生薬センコツの水抽出物がヒアルロニダーゼ阻害作用を持つことが報告されている(「生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用」(下記非特許文献1))が、ここで扱われている技術も、やはり、生薬センコツの水抽出物、即ちコウホネ根茎部の水抽出物であり、コウホネの非根茎部の抽出物に関するものではない。また、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤は、化粧料などの皮膚外用剤にあっては皮内吸収が望ましく、皮内吸収ということであれば、水抽出物よりも非水溶媒抽出物のほうが効率的である。
【0005】
これまで、美白作用やヒアルロニダーゼ活性作用を有する種々の物質が化粧料を始めとする皮膚外用剤への配合剤として使用されているが、未だよくその期待に耐えるものは乏しく、コウホネ根茎部の水抽出物についても同断であった。
【特許文献1】特開昭62−51606号公報
【特許文献2】特開平7−25762号公報
【特許文献3】特開平10−279491号公報
【非特許文献1】沢辺善之、他4名、「生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用」、薬学雑誌、1998年、118(9)、p.423−429
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、皮膚外用剤に配合するのに好適な美白剤を提供することにあり、また、美白作用に優れる皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、従来利用されずに廃棄されていたコウホネ及びネムロコウホネの非根茎部に着目して鋭意研究していたところ、意外にもその非水溶媒抽出物が優れたメラニン生成抑制機能を有し、またヒアルロニダーゼ活性阻害作用を持つことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の非水溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤である。
【0009】
請求項2に係る発明は、コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の非水溶媒抽出物を有効成分としてなる美白剤である。
【0010】
請求項3に係る発明は、コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部から抽出された油溶性物質を有効成分としてなる美白剤である。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載の美白剤を含有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部からの抽出物が優れた美白作用を有するため、これを配合した化粧料を始めとする皮膚外用剤において優れた美白作用を付与することができる。
【0013】
また、本発明では、従来は廃棄されていたコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部を利用するものであるため、廃棄物の有効利用が図られると共に、非根茎部の利用であれば、根茎部はそのままにして非根茎部のみを採取することができ、その場合、残された根茎部から再び非根茎部を成長させることができるため、資源の有効活用も図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0015】
コウホネ(Nuphar japonicum)及び/又はネムロコウホネ(N. Pumilum)はスイレン科の植物であり、その根茎部はセンコツ(川骨)という名称で煎じて滋養強壮、体質虚弱の改善、生理不順などに用いられる。生薬製剤としても、また化粧料等に配合する薬剤としても、根茎部以外の抽出物の実利用は未見である。
【0016】
本発明においては、このようなコウホネ及び/又はネムロコウホネの根茎部以外の部位である非根茎部、即ち、通常植物での地上部にあたる部位を、水以外の溶媒により抽出し、その抽出物を皮膚外用剤などに配合する薬剤として利用する。その調製方法は特に限定されないが、例えば次のような抽出方法を採用することができる。
【0017】
根茎部を除いたコウホネ及び/又はネムロコウホネを水洗し,通常公知の方法で乾燥し細砕して抽出溶媒と共に抽出する。乾燥方法は風乾、熱風乾燥、凍結乾燥等が挙げられ、特に限定するものでないが、凍結乾燥によるのが好ましい。
【0018】
抽出に用いられる溶媒は水以外の溶媒であれば、これも特に限定するものでないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、n−ヘキサン、ベンゼンなどの炭化水素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても二種以上組合せて用いてもよい。これらのうち、優れた美白作用を得るために好適な溶媒としては、上記したエーテル類、エステル類、ケトン類、炭化水素及びハロゲン溶剤などの中間極性を有する有機溶媒が挙げられ、とりわけ酢酸エチルなどの酢酸エステルを始めとした脂肪酸エステルが好ましく、その場合、美白作用とヒアルロニダーゼ活性阻害作用との双方に優れたものが得られる。このように美白作用とヒアルロニダーゼ活性阻害作用とが併存する場合、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用により抗炎症作用が期待できることから、肌荒れを抑制しながら美白効果が得られるというメリットがある。このメリットは、従来の美白剤に刺激性を持つものが多いことに鑑みると、そのような美白剤を使用することができなかった皮膚が弱い人に対しても使用できる美白剤を提供できるという点で有益である。更に、ヒアルロニダーゼ活性阻害により上記したように皮膚の皺や弛みを予防する効果が期待できるので、この効果と美白作用とを併存させることにより、加齢に伴うメラニン増加と皺の発生増加を予防することができ、よって皮膚の老化予防剤として好適である。
【0019】
抽出の方法としては、浸漬または加熱還流などの方法が挙げられる。例えば、浸漬により抽出する場合、乾燥細砕したコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部に約1〜30倍量程度の溶媒を加え、常温下又は加熱下に浸漬すればよい。また、加熱還流する場合、乾燥細砕したコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部に約1〜30倍量程度の溶媒を加え、40〜80℃程度で1〜10時間程度還流させて抽出することができる。
【0020】
上記溶媒で抽出して得られた抽出物は、適当な方法で濃縮し、また乾燥等して用いることができる。あるいはまた、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの吸着系クロマトグラフィーを用いて分画した分画抽出物としても用いることができる。濃縮方法については、蒸留なども好適な方法として使用することができる。
【0021】
このようにして得られるコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の抽出物は、非水溶媒に可溶性の油溶性物質であり、通常は上記のように非水溶媒を用いて抽出されるものであるが、本発明では必ずしも非水溶媒抽出物には限定されず、非水溶媒に可溶性の油溶性物質であれば水系溶媒を用いて抽出されたものであっても構わない。好ましくは、該油溶性物質は、上記した中間極性を有する有機溶媒、とりわけ酢酸エチルを始めとする脂肪酸エステルに可溶性の物質である。
【0022】
本発明に係る美白剤は、上記のようにして得られるコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の抽出物を有効成分とするものであり、後記実施例に示すように優れた美白作用及び/又はヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有する。なお、美白剤の利用形態は、特に限定されず、ペースト形状でも、液体状でも、固形状でも、また、常法に従って粉末化した粉末状でもよく、更に皮膚外用剤等に使用される各種溶媒(例えば多価アルコール)に溶解させた溶液状でも構わない。
【0023】
また、この美白剤は、以下に述べる皮膚外用剤に含有させる場合には限定されず、例えば、ガム、キャンディ、錠菓、飲料などの食品に配合してもよく、更には、経口用医薬品などに用いることもできる。
【0024】
本発明に係る皮膚外用剤において、上記したコウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の抽出物の配合量は、特に限定されないが、通常は0.0001〜20重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0025】
また、該皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、必要により皮膚外用剤の種類に応じて通常使用される油脂類、ロウ類、炭化水素、脂肪酸類、アルコール類、多価アルコール類、エステル類、アミン・アミド・金属石鹸類、ガム質・水溶性高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、ビタミン類、香料、色材類、防腐殺菌剤、アミノ酸類、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、消炎剤、抗ヒスタミン剤、生薬類、他の公知の美白剤や保湿剤、その他種々の皮膚用薬品類などを配合することができる。
【0026】
本発明に係る皮膚外用剤の態様としては、例えば、クリーム、乳液、ローション、パック、化粧水、美容液、洗顔料をはじめとする基礎化粧品類や、おしろい、ファンデーションほかのメイクアップ化粧品類、育毛剤、養毛剤などの化粧料が挙げられ、また、軟膏剤、パップ剤、プラスター剤などの医薬品、更には医薬部外品であってもよい。剤型についても、溶液、乳液、クリーム、ゲル、ゾル、軟膏、スティック、パウダー、スプレーほか通常の皮膚外用剤において採られている何れかのタイプによるも差支えない。
【実施例】
【0027】
以下、本発明について実施例により詳しく説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0028】
(実施例1及び2)
コウホネ全草から根茎部を除き、非根茎部を風乾し裁断した。この8kgに酢酸エチル60Lを加え冷浸し、7日間時々撹拌しながら抽出した。この抽出を3回繰り返し、濾別した抽出液を合わせて約1/300に濃縮し、濃縮エキスを蒸発乾固して、酢酸エチル抽出物を約350g得た(実施例1の試料)。
【0029】
上記酢酸エチル抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分画し、分画した液を濃縮して、蒸発乾固物約9.3gを得た(実施例2の試料)。
【0030】
(実施例3)
上記実施例1の操作において、抽出溶媒である酢酸エチルをメタノールに変え、その他は同様にして抽出、濃縮して、蒸発乾固物約1250gを得た(実施例3の試料)。
【0031】
(試験例1:メラニン生成抑制試験)
メラニン生成抑制試験には、マウスB16メラノーマ培養細胞(マウスB16 melanoma4A5)を用いた。まず、2.5×10個のB16メラノーマ細胞を直径60mmのプラスチックシャーレに播種し、10重量%牛胎児血清を含むイーグルMEM培地で5%CO下、37℃で24時間培養した。次いで、実施例1及び2の試料をそれぞれ20、10、5μg/mLとなるように添加した10重量%牛胎児血清を含むイーグルMEM培地に交換し、これを72時間培養した。培養終了後、トリプシンで細胞を剥離させ、遠心分離により細胞を回収した。得られた細胞を5重量%TCA、エタノール:ジエチルエーテル=3:1、ジエチルエーテルの順に処理し、乾燥後、10重量%DMSOを含む1N水酸化ナトリウムを加え、加熱溶解した。冷後、420nmにおける吸光度を測定し、メラニン量を測定した。別に、試料無添加で同様に試験したものを対照とし、以下の式により試料のメラニン生成抑制率を求めた。結果は、上記に加えて、メラニン生成抑制と美白効果に定評のあるアルブチンの試験結果を対比し、表1に示した。なお、試料溶解にはDMSOを用いたが、これは本試験結果には影響を及ぼさないことを確認した。
【0032】
抑制率(%)={(A−B)/A}×100
A:試料無添加時の吸光度
B:試料添加時の吸光度
【表1】

【0033】
表1に示す通り、コウホネ非根茎部からの非水溶媒抽出物のメラニン生成抑制機能は、アルブチンのそれに匹敵して、極めて優れたものであった。
【0034】
(試験例2:ヒアルロニダーゼ活性阻害試験)
ヒアルロニダーゼ活性阻害試験は、実施例1及び3の試料について、Morgan−Elson法の変法(Davidson, E. A., Aronson, N. N. :J. Biol. Chem. 242, 437(1967))に準じて行った。
【0035】
詳細には、ウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼを0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解して2.1mg/mLに調製した液0.05mLと実施例1及び3の試料をそれぞれ0.1mL混合し、37℃で20分間インキュベートした後、酵素活性化剤であるCompound 48/80を0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解して0.5mg/mLに調製した液0.1mLを加えて37℃で20分間インキュベートした。次に、基質である雄鶏のとさか由来ヒアルロン酸カリウムを0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解して0.8mg/mLに調製した液0.25mLを入れ、37℃で40分間インキュベートした後、0.4N水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL加えて反応を停止させた。これにpH9.1に調製した0.8Mホウ酸溶液0.1mLを加えて3分間煮沸し、放冷後、p−DAB溶液(p−ジメチルアミノベンズアルデヒド10g、10N塩酸12.5mL、酢酸87.5mL)を酢酸で10倍希釈した溶液3mLを加えて、37℃で20分間インキュベートし発色させた。その後、585nmにおける吸光度を測定し、以下の式によりヒアルロニダーゼ活性阻害率を求めた。結果は表2に示した。なお、試料溶解にはDMSOを用いたが、これは本試験結果に何ら影響を及ぼさないことを確認した。
【0036】
阻害率(%)={(A−B)−(C−D)}/(A−B)×100
A:対照溶液(反応後)の585nmにおける吸光度
B:対照溶液(反応前)の585nmにおける吸光度
C:試料溶液(反応後)の585nmにおける吸光度
D:試料溶液(反応前)の585nmにおける吸光度
【表2】

【0037】
表2に示すとおり、コウホネ非根茎部からの非水溶媒抽出物が強いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有することが確認された。
【0038】
以下、本発明に係る皮膚外用剤の処方例を示す(配合量はいずれも重量%)。
【0039】
(処方例1:クリーム)
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 2.0
還元ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 6.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(25EO) 3.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
香料、防腐剤、酸化防止剤 適量
実施例1の試料 0.2
プロピレングリコール 5.0
精製水 残量
【0040】
(処方例2:化粧水)
クエン酸 0.1
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.2
ソルビット 2.0
グリセリン 3.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(25EO) 1.0
エタノール 15.0
香料、防腐剤 適量
実施例1の試料 0.2
精製水 残量
【0041】
(処方例3:乳液)
実施例1の試料 0.2
ステアリン酸 2.0
エタノール 1.5
ワセリン 3.0
ラノリンアルコール 2.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレンオレイン酸エステル(10EO)2.0
香料、防腐剤、酸化防止剤 適量
グリセリン 3.0
プロピレングリコール 5.0
トリエタノールアミン 1.0
精製水 残量
【0042】
(試験例3:使用効果試験)
上記した皮膚外用剤を実際に使用した場合の効果について試験を行った。使用テストは健康な成人女性25〜50歳の30名をパネラーとし、毎日、朝と夜の2回、洗顔後に処方例3の乳液の適量を顔面に3ヶ月にわたって塗布することにより行った。なお、コントロールとして、処方例3の乳液から実施例1の試料を除いたものを同様な方法にて処方したものを用いた。評価は下記の基準にて行い、結果は表3に示すとおりであり、表中の数値は人数を表す。なお、使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はいなかった。
【0043】
・肌の皺・弛み改善効果
有効:皺・弛みが目立たなくなった
やや有効:皺・弛みがやや目立たなくなった
無効:使用前と変化なし。
【0044】
・美白効果
有効:顔のくすみ・シミが目立たなくなった
やや有効:顔のくすみ・シミがやや目立たなくなった
無効:使用前と変化なし。
【表3】

【0045】
表3に示すように、本発明に係る皮膚外用剤であると、有意に肌の皺・弛みが軽減され、また、美白効果を持つことが確認された。
【0046】
(試験例4:使用効果試験)
皮膚外用剤として上記した処方例1のクリームを用いて抗アレルギー・抗炎症効果について検討を行った。使用テストは湿疹・カユミ・肌荒れで悩む30〜50歳の30名をパネラーとし、毎日、朝と夜の2回、処方例1のクリームの適量を3ヶ月に渡って塗布することにより行った。なお、コントロールとして、処方例1のクリームから実施例1の試料を除いたものを同様な方法にて処方したものを用いた。評価は下記の基準にて行い、結果は表4のとおりであり、表中の数値は人数を表す。なお、使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はいなかった。
【0047】
・湿疹、肌荒れ改善効果
有効:湿疹・カユミ・肌荒れが改善された
やや有効:湿疹・カユミ・肌荒れがやや改善された
無効:使用前と変化なし。
【表4】

【0048】
表4に示すように、本発明に係る皮膚外用剤であると、有意に湿疹・カユミ・肌荒れを改善することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る美白剤は、皮膚外用剤を始めとして、食品や経口用医薬品など、美白効果が求められる様々な用途に利用可能である。また、本発明に係る皮膚外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品などとして利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の非水溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部の非水溶媒抽出物を有効成分としてなる美白剤。
【請求項3】
コウホネ及び/又はネムロコウホネの非根茎部から抽出された油溶性物質を有効成分としてなる美白剤。
【請求項4】
請求項2又は3記載の美白剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−302704(P2007−302704A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222324(P2007−222324)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【分割の表示】特願2004−40631(P2004−40631)の分割
【原出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【出願人】(397030400)株式会社アンズコーポレーション (11)
【出願人】(397014558)株式会社ヤマダ薬研 (4)
【Fターム(参考)】