説明

皮膚外用剤

【課 題】本発明は、皮膚のキメの乱れ、シワ及びたるみを改善する皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】ノニル酸バニリルアミドを含有することを特徴とする美肌用、シワの抑制用又は皮膚のたるみ抑制用皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、ノニル酸バニリルアミドを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のキメの乱れ、シワ又は皮膚のたるみ(弾力性損失)は、加齢による老化やストレス等により発生する。すなわち、加齢やストレス等による皮膚組織の変性、特にコラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸等の体内の間質物質が大きく失われ、これが主に皮膚のキメの乱れ、シワ又は皮膚のたるみの原因となり、更には結果的に皮膚にくすみが生じる。シワや皮膚のたるみの改善には、ビタミンAやステロイド等が用いられてきた。近年、コエンザイムQ10(別名ユビキノン)と呼ばれる補酵素が、皮膚の老化を予防する効果があるとして、コエンザイムQ10を配合した化粧料等が知られている。しかし、コエンザイムQ10の前記作用は過酸化脂質の生成を抑制することに基づくものであり、コエンザイムQ10がコラーゲン、エラスチン又はヒアルロン酸等の生成に直接関与してコラーゲン、エラスチン又はヒアルロン酸等の生成に直接関与するものではない。
【0003】
ノニル酸バニリルアミドは、従来から温感作用又は血行促進作用を目的に皮膚外用剤や湿布剤等に配合されてきた(例えば、特許文献1、2等参照。)。また、ノニル酸バニリルアミドは、さらに、皮膚を刺激して血行を増進させる目的や毛根を刺激する目的で、ヘアケア製品等の化粧品の添加剤としても使用されている。
また、ノニル酸バニリルアミドと保湿剤であるグリセリンとを配合したひびやあか切れに効果がある肌荒れ治療用製剤及び肌荒れ治療用貼付剤(特許文献3)が知られている。しかし、該特許文献3にはノニル酸バニリルアミドが皮膚のキメの乱れや皮膚のたるみの改善に有効である旨又はコラーゲン、エラスチン又はヒアルロン酸等の体内の間質物質生成に関与してこれら間質物質の生成を増大する等の言及はない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−343915号公報
【特許文献2】特開2005−306831号公報
【特許文献3】特開2002−167335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、皮膚のキメの乱れ、シワ又は皮膚のたるみを改善する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行ったところ、ノニル酸バニリルアミドを含有する皮膚外用剤を顔面に塗布すると、皮膚のキメの乱れ、顔面の目尻のシワや頬のたるみに顕著な改善が認められることを知見した。本発明者らはさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] ノニル酸バニリルアミドを含有することを特徴とする美肌用、シワの抑制用又は皮膚のたるみ抑制用皮膚外用剤、
[2] 美肌がキメを整えることである前記[1]に記載の皮膚外用剤、
[3] ノニル酸バニリルアミドを0.0001質量%以上0.1質量%以下含有する前記[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤、
[4] さらに、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選択され少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤、
[5] ノニル酸バニリルアミドと非イオン界面活性剤の配合割合が、ノニル酸バニリルアミド1質量部に対して50〜30000質量部である前記[4]に記載の皮膚外用剤、
[6] 皮膚外用剤が液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、パップ剤又はパック剤の剤型であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の皮膚外用剤、
[7] 皮膚外用剤が化粧料である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の皮膚外用剤、
に関する。
【0007】
また、本発明は、ノニル酸バニリルアミドを、ヒトを含む哺乳動物の皮膚に塗布することを特徴とする皮膚のキメを整える方法、シワの抑制方法又は皮膚のたるみ抑制方法に関する。また、本発明は美肌、シワの抑制又は皮膚のたるみ抑制のための皮膚外用剤を製造するためのノニル酸バニリルアミドの使用に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、肌のキメを整える等の美肌効果を有し、またシワや皮膚のたるみを改善する。上記キメを整えるとは、皮膚のキメを細かくすることを含む。
また、ノニル酸バニリルアミドと特定の非イオン界面活性剤とを配合することにより、皮膚に刺激をあたえることもなく安全に美肌用、シワ抑制用、皮膚のたるみ抑制用の皮膚外用剤として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用されるノニル酸バニリルアミド(Hydroxy-3-methoxybenzyl nonilic acid amide)は、ノニル酸ワニリルアミドともいわれ、例えばJ.Med.Chem.,1993年、第36巻、2595頁に記載の方法に従い製造できる。
【0010】
本発明の皮膚外用剤におけるノニル酸バニリルアミドの濃度は、本発明の効果を発揮できる濃度であれば特に制限されない。しかし、ノニル酸バニリルアミドは、局所刺激性が強い物質であるので、該刺激性を考慮して投与される部位において刺激のない濃度であることが好ましい。このため本発明の皮膚外用剤におけるノニル酸バニリルアミドの濃度としては、約0.0001質量%以上0.1質量%以下が好ましく、約0.001質量%以上0.1質量%以下がより好ましく、約0.002質量%以上0.05質量%以下がさらに好ましく、約0.002質量%以上0.025質量%以下がとりわけ好ましい。
【0011】
本発明の皮膚外用剤は、ノニル酸バニリルアミドに非イオン界面活性剤が配合されるのが好ましい。非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンヒマシ油〔例.ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油等〕、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油〔例.ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油等〕、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例.モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル〔例.ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル等〕、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例.ポロキサマー235等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル〔例.ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル等〕又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル〔例.テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ポリオキシエチレン(6)ソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレン(6)ソルビットヘキサステアレート等〕等が挙げられる。中でもポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油がとりわけ好ましい。非イオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。非イオン界面活性剤が皮膚外用剤に配合されることにより、ノニル酸バニリルアミドの皮膚に対する刺激が緩和され得る。
【0012】
上記非イオン界面活性剤の配合量は、使用される非イオン界面活性剤によっても異なるが、皮膚外用剤全体に対して、約5質量%以上が好ましく、約9質量%以上がより好ましく、約18質量%以上がさらに好ましい。これら非イオン界面活性剤の上限は、使用される非イオン界面活性剤によっても異なるが、約30質量%程度が好ましい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤において、ノニル酸バニリルアミドと非イオン界面活性剤の配合比率は、使用される非イオン界面活性剤によっても異なるが、通常は、ノニル酸バニリルアミド1質量部に対し、非イオン界面活性剤約50〜30000質量部、好ましくは約360〜3600質量部である。
上記配合比率の皮膚外用剤としては、例えばノニル酸バニリルアミドを約0.0001質量%以上0.1質量%以下及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を約5質量%以上30質量%以下含有する製剤が好ましい例として挙げられる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤としては、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤又はパップ剤等の医薬又は医薬部外品が好ましく挙げられる。また、本発明の皮膚外用剤には、化粧料が含まれる。化粧料としては、例えば化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、化粧用ローション、パック剤、ファウンデーション、洗顔剤、ボディソープ、ハンドクリーム等のスキンケア用品あるいはメイクアップ用品等が挙げられる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、前記剤形に応じ、例えばノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤に、例えば下記する基剤成分や添加剤等を加え、これら成分を混合することにより製造される。その際、公知の方法、例えば第14改正の日本薬局方製剤総則等に記載の方法等に従い、又は該方法に準じて製造することができる。なお、ノニル酸バニリルアミドは冷水には殆ど溶けないが油やアルコールには良く溶けるため、本発明の皮膚外用剤の製造には、ノニル酸バニリルアミドが良く溶ける成分を基剤として含有させ製造することが好ましい。
【0016】
本発明の皮膚外用剤が液剤の場合、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤に、例えば溶剤等を加え、混和溶解して液剤を製造することができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤が懸濁剤の場合、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤に、例えば水及び懸濁化剤又は増粘剤等を加え、例えばミキサー等で撹拌し、全質を均等にして懸濁剤を製造することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤が乳剤の場合、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤に、例えば乳化剤及び脂肪油等と水を加え、例えばホモミキサー等で撹拌し、全質を均等にして乳剤を製造することができる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤がクリーム剤の場合、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤に、例えば油性成分、高級アルコール、高級脂肪酸及び多価アルコール等と水等を加え、例えば加熱しながら乳化後、さらに撹拌しながら冷却することによりクリーム剤を製造することができる。
【0020】
また、本発明の皮膚外用剤が軟膏剤の場合、例えば油性成分等をそのまま基剤とするか、又は油性成分、樹脂、プラスチック(例.マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン末等)、グリコール類、高級アルコール、水及び乳化剤若しくは懸濁化剤等を上記クリーム剤と同様に乳化したものを基剤とし、該基剤にノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤を加え、混和して全質を均等にして軟膏剤を製造することができる。
【0021】
上記乳剤、クリーム剤又は乳化した軟膏剤としては、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型又はO/W/O型等が挙げられるが、いずれであってもよく特に制限されない。
【0022】
また本発明の皮膚外用剤がゲル剤の場合は、基剤成分として、例えば水、高級アルコール及びゲル化剤等を用い、これら基剤成分と共にノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤を加熱溶解し、撹拌しながら冷却することによりゲル剤を製造することができる。
【0023】
また、本発明の皮膚外用剤がリニメント剤の場合、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤を、例えばエタノール、脂肪油、乳化剤もしくは懸濁化剤又はそれらの混合物等に加え混和し、メントール等の精油成分を加え全質に均等に泥状とすることによりリニメント剤を製造することができる。
【0024】
また、本発明の皮膚外用剤がローション剤の場合、例えばエタノール、高級アルコール及び乳化剤又は懸濁化剤等に、ノニル酸バニリルアミド及び非イオン界面活性剤を加え混和し、全質を均等にすることにより、ローション剤を製造することができる。
【0025】
また、本発明の皮膚外用剤がパップ剤の場合は、ノニル酸バニリルアミド及び上記非イオン界面活性剤を例えば濃グリセリン等と混和し、メントール等の精油成分を加え、全質を均等に泥状とすることによりパップ剤を製造することができる。
【0026】
上記溶剤としては、例えば水、生理食塩液、イソプロパノール、濃グリセリン、エタノール、プロピレングリコール又はマクロゴール400等が挙げられる。水としては、常水、精製水、蒸留水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水又はクラスター水等が挙げられる。
【0027】
上記懸濁化剤、増粘剤又はゲル化剤としては、例えばアラビアゴム、モノステアリン酸アルミニウム又は水溶性高分子[例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、ポピドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール941;Noveon,Inc.製等;カルボマーともいう。)]等が挙げられる。
【0028】
上記乳化剤としては、例えばステアリン酸ポリオキシル40、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80、ラルリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、アラビアゴム、コレステロール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン又はポピドン等が挙げられる。
【0029】
上記脂肪油としては、例えば中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハードファット等の合成油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、スクワラン等又はこれらの硬化油等が挙げられる。
【0030】
上記油性成分としては、例えば上記脂肪油;流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化素類;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類;牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類;鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油等の動物性ロウ類等;又は、液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、酢酸(セチル・ラノリル)エステル等のラノリン類等が挙げられる。
【0031】
上記高級アルコールとしては、例えばセタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオール等が挙げられる。
【0032】
上記高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸又は水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
【0033】
上記多価アルコールとしては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0034】
また、本発明の上記皮膚外用剤には所望により医薬品、医薬部外品又は化粧品等に使用できる任意の成分、例えば酸化防止剤、防腐剤、安定化剤(もしくはキレート剤)、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、保湿剤、還元剤、pH調整剤、粉体類、紫外線吸収剤、美白剤、緩衝剤もしくは無機塩類、噴射剤、低級アルコール(例.エタノール、イソプロパノール等)、清涼剤、収斂剤、芳香剤、香料又は色素等を配合してもよい。
【0035】
上記酸化防止剤としては、例えば白金ナノコロイド(プラチナ)、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等、ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、ビタミンC(アスコルビン酸)又はその誘導体、エリソルビン酸又はその誘導体、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩、チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩、メタ亜硫酸水素塩、チオタウリン、ヒポタウリン;チオグリセロール、チオ尿素又はチオグリコール酸等が挙げられる。
【0036】
上記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のヒドロキシ安息香酸又はその塩若しくはそのエステル;サリチル酸;安息香酸ナトリウム;フェノキシエタノール;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−ジオール;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸又はその塩;フェノール類;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、抗菌性ゼオライト又は銀イオンが挙げられる。
【0037】
上記安定化剤(もしくはキレート剤)としては、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸)、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム、エデト酸4ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩)、フィチン酸、エチドロン酸等のホスホン酸又はそのナトリウム塩等の塩類、シュウ酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ジメチルポリシロキサン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0038】
両性界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えばアルキルアンモニウム塩(例.塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等)等が挙げられる。
【0039】
保湿剤としては、例えばグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類又はその重合体;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類;グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、ソルビット、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン類(α−、β−、γ−シクロデキストリン、又はマルトシル化もしくはヒドロキシアルキル化等の修飾シクロデキストリン)、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン又はその誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等の糖類又はその誘導体類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム;コンドロイチン硫酸ナトリウム;ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸;クエン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸又はその塩;尿素;2−ピロリドン−5−カルボン酸又はそのナトリウム等の塩;ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン等のアミノ酸類又はその塩;コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類又はその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等のアシル化ペプチド類;シリル化ペプチド類;乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清;塩化コリン、ホスホリルコリン;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス等の動物もしくは植物抽出成分、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質又はセラミド等が挙げられる。
【0040】
pH調整剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3ープロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3ープロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸水素ナトリウム又は炭酸アンモニウム等が挙げられる
【0041】
粉体類としては、例えばマイカ、タルク、カオリン、セリサイト、モンモリロナイト、カオリナイト、雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ雲母チタン、魚鱗箔、パール顔料、カッパーパウダー、ウレタン粉末、シリコーン粉末、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、群青、ベントナイト、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、セルロースパウダー、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色405号、橙色203号、黄色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号のジルコニウム又はアルミニウムレーキ等が挙げられる。
【0042】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸ブチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸又はその塩、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート(パラメトキシケイヒ酸オクチル)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート(シノキサート)、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシルα−シアノ−β−フェニルシンナメート(オクトクリン)、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、フェルラ酸又はその誘導体等の桂皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−3)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン;4−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン誘導体;オクチルトリアゾン;ウロカニン酸又はその誘導体;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のヒダントイン誘導体、フェニルベンズイミダソゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸メチル又はルチン又はその誘導体等が挙げられる。
【0043】
美白剤としては、例えばアルブチン、α−アルブチン等のヒドロキノン配糖体又はそのエステル類;アスコルビン酸、又はアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸グルコシドもしくはその脂肪酸エステル類、アスコルビン酸硫酸エステル、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;コウジ酸、エラグ酸又はトラネキサム酸もしくはその誘導体等挙げられる。
【0044】
緩衝剤もしくは無機塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム;硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム(ミョウバン)、硫酸アルミニウム・アンモニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、リン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸カリウム類、リン酸カルシウム類又はリン酸マグネシウム類が挙げられる。
【0045】
噴射剤としては、液化ガス噴射剤又は圧縮ガス等が挙げられる。液化ガス噴射剤としては、例えば、フッ化炭化水素(HCFC22、HCFC−123、HCFC−134a、HCFC142等の代替フロン類等)、液化石油、ジメチルエーテル等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、可溶性ガス(炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等)又は不溶性ガス(窒素ガス等)等が挙げられる。
【0046】
低級アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール又はイソブチルアルコール等が挙げられる。清涼剤としては、例えばメントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ油、樟脳又はローズマリー油等が挙げられる。収斂剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等が挙げられる。芳香剤としては、例えばサリチル酸メチル、ウイキョウ油、トウヒチンキ又はdl−メントール等が挙げられる。
【0047】
化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、ハンドクリーム、パック剤、ファウンデーション、ボディソープ又は洗顔剤等の化粧料も上記した例えば液剤、クリーム剤、ローション剤又はリニメント剤等に準じて製造することができる。
パック剤は、前記化粧水や乳液等を例えば不織布等に浸透させ顔等にマスクするタイプであってもよく、また塗って乾燥させてはがすタイプのピールオフタイプやクリームタイプであってもよい。
【0048】
本発明の皮膚外用剤において、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤又はローション剤の場合は、皮膚外用剤自体をそのまま皮膚に塗布できる。またパップ剤の場合は、例えば支持体の織布又は不織布層側に塗布又は含浸させ、更にポリプロピレンフィルム等のライナーを添着した後、皮膚に適用できる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤は、例えばノニル酸バニリルアミド0.005質量%含有のクリーム剤の場合であれば、1日約1〜10回、1回約0.1〜2.0gを塗布することが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤は、洗顔又は入浴後あるいは就寝前に塗布することがより好ましい。
【0050】
本発明の皮膚外用剤は、本発明の効果を逸脱しない範囲で、他の薬効成分を配合することもできる。他の薬効成分としては、例えばビタミン類、消炎鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮痒剤等が挙げられる。
【0051】
ビタミン類としては、例えばレチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類;チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシンジパルミテート、フラビンアデニンジヌクレオチドのビタミンB群類;シアノコバラミン;葉酸類;ニコチン酸アミド・ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類;アスコルビン酸又はその塩等のビタミンC類;ビタミンD;α、β、γ、δ−トコフェロール等のビタミンE類;パントテン酸;ビオチン;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩又はアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル・ステアリン酸アスコルビル・パルミチン酸アスコルビル・ジパルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド又はその脂肪酸エステル、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、フェルラ酸トコフェロール、トコフェロールリン酸エステル等のトコフェロール誘導体等のビタミン誘導体又はトコトリエノール等が挙げられる。
【0052】
消炎鎮痛剤としては、例えばグリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、グアイアズレン、アラントイン、インドメタシン、イブプロフェンピコノール、ウフェナマート、スプロフェン、ブフェキサマク
もしくはベンダザック等の非ステロイド消炎剤、酢酸ヒドロコーチゾンもしくはプレドニゾン等のステロイド剤等が挙げられる。
【0053】
抗ヒスタミン剤としては、例えば塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、ケトチフェン、プロメタジン、アリメマジン、シプロヘプタジン、ホモクロルシクリジン、クレマスチン又はロラタジン等が挙げられる。
【0054】
鎮痒剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カンファー、サブスタンス−P阻害剤等を例示することができる。
【0055】
上記の他、化粧品原料基準、化粧品種別配合成分規格、日本化粧品工業連合会成分表示名称リスト、INCI辞書(The International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、医薬部外品原料規格、日本薬局方、あるいは医薬品添加物規格又は食品添加物等の規格等に記載されている成分等、公知の化粧料成分、医薬品成分又は食品成分等を、公知の組み合わせ、配合比又は配合量で含有させることができる。これらの成分を配合することによって、本発明に係る皮膚外用剤について様々な効果が期待できるが、例えば、外観の向上、使用感の向上又は安定性の向上等が期待される。
【0056】
本発明の皮膚外用剤はシワを抑制し得る。シワは例えば以下の実施例等の記載に従いシワ体積率(μm3/mm2/100)、シワ最大深度(μm)、シワ最大幅(μm)又はシワ個数(N/mm)等を測定して評価することができる。本発明の皮膚外用剤は美肌効果を発揮し得る。美肌効果は、例えば以下の実施例等の記載に従い皮膚表面(肌)のキメや毛穴の状態又は皮膚表面の水分量等を測定し評価することが好ましい。本発明の皮膚外用剤は、特に皮膚のキメを整え得る。ここでキメとは、皮膚の表面に広がる網目のような凹凸のことをいい、キメには皮丘と皮丘の間を溝のように走る皮溝及び毛孔が含まれる。キメを整えるとは、皮丘と皮溝を均一な起伏に整えたり、皮丘と皮溝を均一に、例えば碁盤の目状に整えたり、毛孔を目立たなくしたりすることを含み、いわゆるキメの細かい皮膚(例えば、キメの体積率の増加、キメ個数の増加等)の状態に整えること等が含まれる。キメの状態は、例えば以下の実施例等の記載に従い例えばキメ体積率(μm3/mm2/100)、キメ平均深度(μm)又はキメ個数(N/mm)等を測定して評価することができる。皮膚表面の水分量の測定方法としては、例えば以下の実施例等の記載に従い角層水分量の測定や皮膚水分蒸散量を測定する方法等が挙げられる。本発明の皮膚外用剤は皮膚のたるみを抑制し得る。皮膚のたるみは例えば以下の実施例等の記載に従い皮膚粘弾性等を測定して評価することができる。
【0057】
以下に本発明を実施例及び試験例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0058】
クリーム剤
ミネラルオイル 17g
白色ワセリン 5g
セタノール 4g
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 18g
トリエタノールアミン 0.075g
カルボマー 0.05g
ノニル酸バニリルアミド 0.005g
エデト酸2ナトリウム 0.1g
メチルパラベン 適量
ブチルパラベン 適量
精製水 全量100g
製造方法:加熱しながら油相成分であるミネラルオイル、白色ワセリン、セタノール、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、メチルパラベン、ブチルパラベン及びノニル酸バニリルアミドを加えて溶解する。別に加熱しながら水相成分として精製水にカルボマーを分散させたあと、トリエタノールアミン、エデト酸2ナトリウムを加える。攪拌しながら水相に油相を加え乳化後、攪拌しながら冷却し、クリーム剤を調製した。
【実施例2】
【0059】
パップ剤
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 18g
プロピレングリコール 10g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 50g
ノニル酸バニリルアミド 0.005g
精製水 全量100gの残余
製造方法:加熱しながら、水、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油及びカルボキシメチルセルロースナトリウムをよく錬合し、これにプロピレングリコールにノニル酸バニリルアミドを加え溶解した液を加え、十分錬合しながら冷却し、パップ剤を調製する。
【実施例3】
【0060】
実施例1において、ノニル酸バニリルアミドを0.005g使用する代わりに、ノニル酸バニリルアミドを0.0001g、0.0005g、0.001g、0.01g、0.05g又は0.1gを使用する以外は実施例1と同様にしてクリーム剤を調製する。
【実施例4】
【0061】
実施例2においてノニル酸バニリルアミドを0.005g使用する代わりに、ノニル酸バニリルアミドを0.0001g、0.0005g、0.001g、0.01g、0.05g又は0.1gを使用する以外は実施例2と同様にしてパップ剤を調製する。
【実施例5】
【0062】
実施例1において、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を使用する代わりにポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポロキサマー235、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン又は塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用する以外は実施例1と同様にしてクリーム剤を調製する。
【実施例6】
【0063】
実施例2において、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を使用する代わりにポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポロキサマー235、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン又は塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用する以外は実施例2と同様にしてパップ剤を調製する。
【実施例7】
【0064】
軟膏剤
ミネラルオイル 20g
セタノール 9.9g
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 18g
ノニル酸バニリルアミド 0.005g
白色ワセリン 全量100gの残余
製造方法:加熱しながらミネラルオイル、白色ワセリン、セタノール、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油及びノニル酸バニリルアミドを加え錬合し、軟膏剤を調製する。
【実施例8】
【0065】
実施例7において、ノニル酸バニリルアミドを0.005g使用する代わりに、ノニル酸バニリルアミドを0.0001g、0.0005g、0.001g、0.01g、0.05g又は0.1gを使用する以外は実施例7と同様にして軟膏剤を調製する。
【実施例9】
【0066】
実施例7において、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を使用する代わりにポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポロキサマー235、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン又は塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用する以外は実施例7と同様にして軟膏剤を調製する。
【実施例10】
【0067】
液剤
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 12g
エタノール 22g
ノニル酸バニリルアミド 0.005g
精製水 全量100gの残余
製造方法:エタノールにノニル酸バニリルアミドを加え溶解後、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油及び精製水を加え溶解し、液剤を調製する。
【実施例11】
【0068】
実施例10において、ノニル酸バニリルアミドを0.005g使用する代わりに、ノニル酸バニリルアミドを0.0001g、0.0005g、0.001g、0.01g、0.05g又は0.1gを使用する以外は実施例10と同様にして液剤を調製する。
【実施例12】
【0069】
実施例10において、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を使用する代わりにポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポロキサマー235、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン又は塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用する以外は実施例10と同様にして液剤を調製する。
【実施例13】
【0070】
ゲル剤
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 18g
カーボポール941 0.5g
エタノール 22g
トリエタノールアミン 1.5g
ノニル酸バニリルアミド 0.005g
精製水 全量100gの残余
製造方法:加熱しながら精製水にポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油及びカーボポール941を加え溶解させた後、エタノールにノニル酸バニリルアミドを加えて溶解した液を加え、攪拌後トリエタノールアミンを加えて、攪拌しながら冷却し、ゲル剤を調製する。
【実施例14】
【0071】
実施例13において、ノニル酸バニリルアミドを0.005g使用する代わりに、ノニル酸バニリルアミドを0.0001g、0.0005g、0.001g、0.01g、0.05g又は0.1gを使用する以外は実施例13と同様にしてゲル剤を調製する。
【実施例15】
【0072】
実施例13において、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を使用する代わりにポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポロキサマー235、ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン又は塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用する以外は実施例13と同様にしてゲル剤を調製する。
【0073】
[試験例1]
皮膚一次刺激性試験
1.被験物質
試験物質としては実施例1のクリーム剤(以下、クリームAという。)を用いた。
2.試験方法
日本白色種雌性ウサギの背部皮膚を剪毛し、背部を、背骨をはさみ左右上下4区画に分けた。背部をはさみ左右対称となる2区画を無傷皮膚とし、他の2区画を損傷皮膚とした。損傷皮膚は、府川らの方法[薬学雑誌,102(1):89−98(1982)]に従い、粘着テープ(セロファンテープ)で貼付圧着を約8回(適用部位に光沢が現れるまで)繰り返して、角質を剥離して作成した。無傷皮膚と損傷皮膚(2.5cm×2.5cm)にリント布を用いてクリームAを0.5g/区画を24時間閉鎖貼付した。24時間後にクリームAを貼付したリント布を除去し、該除去1、24、48又は72時間後に皮膚の状態を評価した。評価は、池田らの方法[医薬品研究,1(1):23(1970)]に従い表1の皮膚反応の刺激スコアで評価した。また、得られた刺激スコアの平均(GMIS)を算出し、以下の評価基準に従い、被検物質の刺激を評価した。
【0074】
刺激の評価基準:
GMIS=0:刺激なし;
0<GMIS<2:軽度;
2≦GMIS<5:中程度;
5≦GMIS:重度。
【0075】
【表1】

【0076】
3.試験結果
その結果を表2に示した。クリームA除去1時間後に、無傷皮膚及び損傷皮膚にごく軽度の紅斑(やっと認められる程度)が認められたが、48時間後までにすべて回復した。また、浮腫及び痂皮はいずれにも認められなかった。
以上より、GMISは0.2となり、クリームAの皮膚一次刺激性は非常に弱いものであった。
【0077】
【表2】

【0078】
[試験例2]
ウサギ眼粘膜刺激性
1.被験物質
被験物質としてはクリームAを用いた。
2.試験方法
日本白色種雌性ウサギの眼結膜嚢内にクリームA0.1mLを単回投与し、洗眼群と非洗眼群の2群に分けた。洗眼群は、クリームA投与後、約30秒間閉眼させた後、前眼部を75mLの生理食塩液を用いて約30秒間(25mL/10sec)洗眼した。非洗眼群はクリームA投与後、上下の瞼を軽く押さえ約1秒間閉じさせた。クリームA投与1、24、48又は72時間後に角膜、虹彩及び結膜を表3に従い評価した。また、クリームA投与24時間後にフルオレセインで角膜染色を行い角膜損傷の有無を観察した。すなわち、フローレス(登録商標;株式会社メニコン)試験紙のフルオレセインナトリウム塗布部に生理食塩液を1滴たらした後、それを両眼の結膜嚢に接触させ、フルオレセインナトリウムを両眼に移行させた。余分なフルオレセインナトリウムを十分に生理食塩液で洗い流した。室内を暗くしてブルーフィルタを装着したスリットランプにて角膜損傷の有無を観察した
【0079】
【表3】

【0080】
3.試験結果
その結果を表4に示した。洗眼群、非洗眼群のいずれの群においてもクリームAによる刺激性は認められなかった。また、角膜染色による観察において角膜染色陽性を示す眼は認められなかった。以上の結果より、クリームAは刺激がなく、また角膜損傷をもたら危険性もなく安全なクリームであることが分かった。
【0081】
【表4】

【0082】
[試験例3]
ヒト皮膚に対する効果
1.被験物質
試験物質としてはクリームAを用いた。対照物質としてはコエンザイムQ10(ユビキノン)配合クリーム剤(バイタルエイジQ10クリーム(コーセーコスメポート株式会社製);以下、クリームBという。)を用いた。
2.被験者:
医薬品の臨床試験の実施の基準に準じインフォームドコンセントを実施し、本人の文書による同意が得られた女性被験者46名から、スクリーニングを実施し下記の選択基準を満たし、除外基準に抵触しない被験者20名を選抜し本試験対象者とした。女性被験者20名の年齢は、42.2±4.2歳であった。試験期間中は、不規則な生活(睡眠不足、暴飲暴食等)を避けさせた。食事・運動に関しては、本試験開始前の日常生活と同様の量・質を維持するようにさせた。試験期間中は、現在使用している化粧品類等の変更を禁止した。試験期間中は、夜間のスキンケアに使用する保湿クリームの使用を禁止した。
【0083】
選択基準:
35歳以上50歳以下の日本人女性;
目尻のシワが気になる者;
肌のたるみが気になる者;
乾燥肌の者;
自己診断書類等に記入が可能な者;
来院予定日に指定の施設に来られる者。
除外基準:
検査結果に影響する可能性のあると思われる薬を服用又は塗布している者;
検査結果に影響する可能性のあると思われる健康食品を常食している者;
妊娠中又は妊娠している可能性のある者、及び授乳中の者;
アルコールを過度に摂取している者;
アレルギー症状を示す恐れのある者;
塗布部位の皮膚状態が、評価に影響を及ぼすおそれのある者;
他の臨床試験に参加している者;
高度の貧血のある者;
その他、試験統括医師が本試験を実施するのに不適当と判断した者。
【0084】
一重盲検対照比較試験(左右比較):
被験者右顔面の(1)皮膚のシワ体積率、(2)皮膚の弾力性、(3)皮膚の水分量が各群でできるだけ同一になるように割り付け、以下の表5に示す2群に群構成を行った。
【表5】

【0085】
3.試験方法
クリームA及びクリームBを、1日1回0.5gを洗顔もしくは入浴後、就寝前にそれぞれ半顔(図1のシャドウ部分)に均一に8週間塗布した。図2に示すスケジュールに従い、1週間経過毎に、皮膚の観察を行った。観察は、皮膚の保湿性、皮膚の弾力、シワ、キメ及び毛穴について行われた。具体的には、後記する皮膚水分蒸散量測定(保湿性)、皮膚水分量測定(保湿性)、皮膚弾力性測定、シワレプリカ画像・数値解析、キメレプリカ画像・数値解析及び毛穴の開き画像・数値解析を行った。また、同時に被検者の肌状態について、被検者の自覚症状を下記(7)の判別基準に基づきスコア化した。
観察は、洗顔後、環境調整室(湿度50%±15%、室温22℃±2℃に設定)にて30分安静に待機させた上で測定した。
【0086】
(1)皮膚水分蒸散量測定(左右):
被験者の右耳朶下(及び左耳朶下)の付根と右唇端(及び左唇端)を結んだ、右耳朶(及び左耳朶)下の付根から4cmの部分における皮膚の水分蒸散量を測定した。測定は、Tewameter TM 300(株式会社インテグラル製)にて行った。Tewameter TM 300は、単位時間当たりに筒状のプローブ内を移動する水の質量から拡散法則を基に経皮水分蒸散量(TEWL)を測定する装置である。
【0087】
(2)皮膚水分量測定(左右)
被験者の右耳朶(及び左耳朶)の下と右唇端(及び左唇端)とを結んで、耳朶の下から5cm、5.5cm、6cmの3箇所における皮膚の水分量を測定して平均値を算出した。測定は、CORNEOMETER CM 825(株式会社インテグラル製)にて行った。CORNEOMETER CM 825は、水とその他の物質の誘電定数が異なることを基礎とする静電容量法を用いて皮膚の角層水分量を測定する装置である。
【0088】
(3)皮膚弾力性測定(左右)
被験者の右耳朶下(及び左耳朶下)の付根と右唇端(及び左唇端)を結んだ、右耳朶(及び左耳朶)下の付根から4cmの部分における皮膚の粘弾性を測定した。測定は、CUTOMETER MPA580(株式会社インテグラル製)にて行った。CUTOMETER MPA580は、一定陰圧で皮膚を吸引した時の吸引の高さ(振幅最大値、振幅最小値)と,圧を解除した時の皮膚の戻り率により、皮膚の粘弾性を測定する装置である。
【0089】
(4)キメレプリカ画像・数値解析(左右)
右耳朶(及び左耳朶)の下と右小鼻を結んで、耳朶の下から7センチの部分でレプリカを採取した。採取したレプリカの画像・解析は反射用レプリカ解析システムASA−03R(株式会社アサヒバイオメッド製)にて行った。レプリカの画像・解析は反射用レプリカ解析システムASA−03Rは、採取したレプリカに角度30゜の平行光を照射することにより得られるキメの形状に応じた陰影画像をCCD(撮像素子)カメラで撮像し、コンピュ−タに取り込み、画像処理することでキメ体積率又はキメ個数を測定できる。
【0090】
(5)シワレプリカ画像・数値解析(左右)
左右目尻の部分でレプリカを採取した。採取したレプリカの画像・解析は反射用レプリカ解析システムASA−03R(株式会社アサヒバイオメッド製)にて行った。反射用レプリカ解析システムASA−03Rは、採取したレプリカに角度30゜の平行光を照射することにより得られるシワの形状に応じた陰影画像をCCDカメラで撮像し、該撮像画像をコンピュ−タに取り込み、画像処理することでシワ体積率、シワ最大深度、シワ最大幅又はシワ個数を測定できる。
【0091】
(6)毛穴の開き画像・数値解析
顔画像解析装置VISIA(株式会社インテグラル製)にて顔面左右の毛穴をカラー写真とUV写真撮影し、得られた写真を基に、コンピュターシステムを基に毛穴の数の解析を行った。
【0092】
(7)自覚症状の判別基準
表6の判別基準に従い、被験者の自覚症状をスコア化した。
【0093】
【表6】

【0094】
4・統計解析
群内の経時変化はDunnettのt検定で5%以下を有意差ありとした。クリームAとクリームBの比較は対応のあるt検定で5%以下を有意差ありとした。アンケート項目の比較はWilcoxonの符号付き順位検定(Bonferroniの不等式による修正を施しての多重比較)で5%以下を有意差ありとした。
【0095】
5.試験結果
(1)皮膚水分蒸散量及び皮膚水分量
皮膚水分蒸散量では、クリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後の最終観察期で塗布前と比べ高値であったが有意差は認められなかった。
皮膚水分量では、クリームA投与群において塗布後のほぼ全観察期で塗布前と比べ高値が観察されたが有意差は認められなかった。一方、クリームB投与群は塗布後のほぼ全観察期で塗布前と比べ有意に高値を示し、塗布2週後にクリームA投与群との群間で有意差がみられた。
上記結果から、クリームAは皮膚の保湿に対して改善傾向を示すことが分かった。
【0096】
(2)毛穴
クリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布前における皮膚の毛穴数と塗布後毛穴数に有意に数値は変動せず、両群での群間有意差もみられなかった。
【0097】
(3)皮膚弾力性
皮膚粘弾力性測定の結果を表7に示した。皮膚弾力性では、振幅最大値においてクリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後のほぼ全観察期で塗布前と比べ有意に高値を示した。戻り率では、クリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後の全観察期で有意に高値を示した。このことから、クリームAは、コエンザイムQ10を配合したクリームと同等の皮膚弾力性改善作用を有し、皮膚に張りをもたらし皮膚のたるみを改善することが分かった。
【0098】
【表7】

【0099】
(4)キメの推移
キメレプリカ画像を反射用レプリカ解析システムASA−03Rにて解析した被験物質塗布後のキメ体積率又はキメ個数の値を塗布前のそれぞれの値で割り、塗布前の値を1として塗布後の値をそれぞれ計算し、キメ体積率(相対値;%)又はキメ個数(相対値;%)とした。その結果を図3又は図4に示した。キメ体積率及びキメ個数はクリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後の全観察期で塗布前と比べ有意に高値を示した。またその値はクリームA投与群の方がクリームB投与群より高かった。
キメは、皮膚の表面に広がる網目のような凹凸であるので、キメが細かくなると、キメ体積率及びキメ個数が増加する。従って、上記結果から、本発明の皮膚外用剤は、コエンザイムQ10を配合したクリーム剤よりも皮膚のキメを細かくする効果が大きいことが分かった。
【0100】
(5)シワ
シワレプリカ画像を反射用レプリカ解析システムASA−03Rにて解析した被験物質塗布後のシワ体積率又はシワ個数の値を塗布前のそれぞれの値で割り、塗布前の値を1として塗布後の値をそれぞれ計算し、シワ体積率(相対値;%)又はシワ個数(相対値;%)とした。その結果を図5又は図6に示した。シワ体積率及びシワ個数はクリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後の全観察期で塗布前と比べ有意に低値を示した。またその値はクリームA投与群の方がクリームB投与群より低かった。
上記結果から、本発明の皮膚外用剤は、コエンザイムQ10を配合したクリーム剤より皮膚のシワを抑制する効果が大きいことが分かった。
【0101】
(6)自覚症状
表6による自覚症状の推移を表8に示す。その結果、顔全体のかさつき、たるみ、Tゾーンのべたつき感、吹出物・にきびについて、顔全体のくすみ(皮膚の透明感や光沢が失われ、肌が黒ずんで見えること)、メイクのノリの悪さについての被験者の自覚症状が、クリームA投与群及びクリームB投与群共に塗布後の全観察期で塗布前と比べ有意に低値を示した。また、目元、口元のかさつき、洗顔後のつっぱり感及び目元のくまについての自覚症状のスコア値が、クリームA投与群及びクリームB投与群において、日にちの経過と共に低くなった。クリームB投与群において塗布前と比較して有意に低値を示すものもあるが、クリームA投与群との群間での有意差は、認められなかった。このことから、被験者の自覚症状においてクリームAとクリームBの効果に差はないことが分かった。
【0102】
【表8】

【0103】
以上の結果から、本発明に係る皮膚外用剤は、皮膚のキメを整え、シワ、皮膚の弾力性及び皮膚のたるみを改善させることが分かり、さらにはくすみの予防若しくは改善を期待させるものであった。そして、キメ及びシワについての改善効果はコエンザイムQ10より勝ることが分かった。また、本発明に係る皮膚外用剤は、顔全体のかさつきについての自覚症状を有意に改善させることが分かった。これは、皮膚水分量に有意な上昇はなかったものの、皮膚水分量がクリームA塗布前に比べクリームA塗布後に増加したことと関連し、該上昇によって被験者が保湿効果を得られたと自覚したためであると考えられた。ミについては、皮膚水分量の低下は皮膚の乾燥を生じると考えられ、皮膚の乾燥はシミの原因となることが一般的に知られていることから、本発明に係る皮膚外用剤は、シミを防ぐ効果や改善する効果を有することが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の皮膚外用剤は、美肌効果又はシワ抑制効果を有する医薬又は化粧品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、試験例3における被検物質を塗布する場所を示す図である。
【図2】図2は、試験例3における試験スケジュールを示す図である。
【図3】図3は、キメ体積率(相対値)の推移を示す図である。図中、*はクリームBに対する有意差(P<0.05)を示す。
【図4】図4は、キメ個数(相対値)の推移を示す図である。図中、*はクリームBに対する有意差(P<0.05)を示し、**はクリームBに対する有意差(P<0.01)を示す。
【図5】図5は、シワ体積率(相対値)の推移を示す図である。図中、*はクリームBに対する有意差(P<0.05)を示し、**はクリームBに対する有意差(P<0.01)を示す。
【図6】図6は、シワ個数(相対値)の推移を示す図である。図中、*はクリームBに対する有意差(P<0.05)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノニル酸バニリルアミドを含有することを特徴とする美肌用、シワの抑制用又は皮膚のたるみ抑制用皮膚外用剤。
【請求項2】
美肌がキメを整えることである請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
ノニル酸バニリルアミドを0.0001質量%以上0.1質量%以下含有する請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
さらに、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選択され少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
ノニル酸バニリルアミドと非イオン界面活性剤の配合割合が、ノニル酸バニリルアミド1質量部に対して50〜30000質量部である請求項4に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
皮膚外用剤が液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、パップ剤又はパック剤の剤型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚外用剤が化粧料である請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261964(P2007−261964A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86748(P2006−86748)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【特許番号】特許第3950467号(P3950467)
【特許公報発行日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(393028036)丸石製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】