説明

皮膚外用剤

【課題】肌の悩み、特に加齢により生じる、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを効率的に改善する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】酸素を25〜100質量%含む気体を、溶解又は分散してなる皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物中に酸素を高濃度に含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢により生じる肌の悩みを改善することは、男女を問わず関心の高い事柄である。加齢により生じる肌の悩みとして、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみなどが挙げられる。このような肌の悩みを改善する方法について、従来多くの研究が行われてきた。
【0003】
例えば、シミ・ソバカスを防止し、美白効果を得るために、アスコルビン酸及びその誘導体、胎盤抽出物、カミツレ抽出物(特許文献1)などに代表される多くの成分が報告されている。シワ、たるみに関しては、インテグリン産生促進剤、アクチン−ミオシン系活性化剤(特許文献2)などに代表される成分が報告されている。
また、乾燥に関しては、角質層に存在する天然保湿成分(NMF)の観点から、グアニジン誘導体(特許文献3)等に代表される成分が報告され、くすみに関しては、血行促進剤による改善の観点から、ビタミンEオロチン酸エステル、ビタミンEニコチン酸エステル(特許文献4)等に代表される成分が報告されている。
【0004】
しかしながら、これらの有効成分を化粧料等に配合する場合には、塗布性や、経時安定性、配合における制約など多くの課題があるため、その効果を十分に発現させることができず、十分満足できる化粧料等を得るのは困難であった。
【特許文献1】特開平7−33634号公報
【特許文献2】特開2001−278769号公報
【特許文献3】特開平8−92054号公報
【特許文献4】特開昭62−087506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、肌の悩み、特に加齢により生じる肌の悩みとして、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを、効率的に改善する皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、皮膚の代謝の観点から、酸素濃度の高い気体を溶解又は分散させた組成物を皮膚に塗布すれば、皮膚細胞のターンオーバーを促進し、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを、効果的に改善できること、さらに、各種有効成分を組み合わせて配合することで、当該有効成分の効果をより効果的に発現できることを見出した。
【0007】
本発明は、酸素を25〜100質量%含む気体を、溶解又は分散してなる皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚細胞のターンオーバーを促進し、肌の悩み、特に、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを効率的に改善することができるものである。また、皮膚外用剤に各種有効成分を含有させれば、当該有効成分の効果をより効果的に発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において用いられる気体は、酸素を含む気体であって、酸素を25〜100質量%、好ましくは50〜100質量%含むものである。酸素濃度がこの範囲内であれば、皮膚細胞のターンオーバーを促進することができる。酸素以外の気体としては、窒素、二酸化炭素等を用いることができる。
【0010】
このような気体を皮膚外用剤中に溶解又は分散させるには、例えば、酸素富化膜等を用いた酸素濃縮式供給装置(医器研)を用い、酸素濃度25質量%以上に濃縮した気体を組成物中に溶解又は分散させる方法;酸素ボンベから純度100%の酸素を組成物中に供給し、溶解又は分散させる方法;純度100%の酸素と他の気体(窒素、二酸化炭素など)を酸素濃度が25質量%以上になるように設定し、気体を混合、又は別々に、組成物中に溶解又は分散させる方法などにより、行なうことができる。
【0011】
皮膚外用剤中に溶解又は分散させる気体の量は、組成物100gに対して1μg〜1g、特に、1mg〜0.5gであるのが、肌への効果や安定性の観点から好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤は、平均粒子径50μm以下の微粒子を含有することができ、分散された気体を保持し、分散された気体の合一を防ぐ効果が得られるので好ましい。微粒子の平均粒子径は、0.0001〜50μmが好ましく、特に、0.001〜30μm、更に0.001〜1μmが好ましい。粒子径が小さいほど、表面積が増え、気体を効果的に保持することができる。微粒子の形状は、球状、板状、不定形のいずれでも良く、また、無機、有機粉体のいずれでも良い。
【0013】
このような微粒子としては、特に制限されないが、例えば、モンモリナイト、ベントナイト、雲母等の粘土鉱物;合成ケイ酸Mg、無水ケイ酸、メチルポリシロキサン網状重合体、長鎖脂肪酸及びその誘導体(パール化剤)、結晶セルロース、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、ラテックス粒子、酸化チタンゾル等が挙げられる。
【0014】
なお、微粒子の平均粒子径は、適量を水に分散させ、動的光散乱法により測定する。2次粒子の形成などが想定される場合は、分散後超音波処理した後に測定する。より具体的には、平均粒子径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LA-700型)を用いて測定される。
【0015】
このような微粒子は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.00001〜10質量%、特に、0.0001〜1質量%含有するのが、外観や使用感の点から好ましい。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、組成物中に溶解又は分散させた酸素を含む気体の経時的な安定性を高めるために、また、肌に塗布するときの伸びの良さの観点から、25℃における粘度が、500〜5000000mPa・s、特に、500〜500000mPa・sであるのが好ましい。また、組成物をこの範囲の粘度とすることにより、酸素を溶解又は分散した組成物を皮膚上に塗布した際、組成物の保型性を高め、持続的に酸素を皮膚に供給することができる。
なお、本発明において、粘度20000mPa・s程度までは、B8L型粘度計(6rpm/min,ロータNo.3)(TOKIMEC.Inc.)、それ以上の粘度は、B8R型粘度計(5rpm/min,スピンドルT−D)(TOKIMEC.Inc.)により、25℃、1分間の条件で測定した。
【0017】
上記のような粘度とし、皮膚上での保型性を高めるために、水性の皮膚外用剤である場合は、水溶性の増粘剤、特に水溶性高分子化合物を用いるのが好ましい。かかる水溶性高分子化合物としては、アクリル酸系ポリマーが好ましく、例えば、カルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー、ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
【0018】
より具体的には、B.F.グットリッチ社(B.F.Goodrich Company)から市販されているカーボポール(Carbopol)907、910、934、934−P、940、941、954、980、981、1342、ETD2020、ETD2050、1382、2984、5984等や、ペムレン(Pemulen)TR−1、TR−2等;リポ社(Lipo Chemicals Inc.)から市販されているハイパン(Hypam)SA−100H、SR−150H、SS−201、QT−100等;住友精化社から市販されているアクペック(AQUPEC)HV−501、HV−504、HV−500等;セピック社(Seppic.Inc.)から市販されているセピゲル(SEPIGEL)305、501等を用いることができる。
このようなアクリル酸系ポリマーは、塩基性物質、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;アミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、L−アルギニン等の有機塩基などで中和して用いられる。
【0019】
また、他の水溶性高分子化合物として、寒天、グアーガム、クインスシード、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、トラガカント、ペクチン、マンナン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、プルラン、デキストラン、カードラン、コラーゲン、ケラチン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、キチン、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、カルボキシメチルセルロース、デキストラン硫酸、カルボキシメチルキチン、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0020】
水溶性高分子化合物としては、特にカルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー、ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、寒天等が好ましい。
【0021】
これらの水溶性高分子化合物は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜5質量%、特に0.05〜3質量%、更に0.05〜2質量%含有させるのが、組成物の保型性を高め、持続的に酸素を皮膚に供給する点、ぬるつかない使用感を与える点において好ましい。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、更に、美白剤、シワ改善剤、保湿剤、ニキビ改善剤、血行促進剤等の皮膚改善効果を有する成分を含有することができる。組成物中に溶解又は分散される酸素により、皮膚細胞のターンオーバーが促進され、これらの成分による効果がより高められる。
【0023】
美白剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、L−アスコルビン酸類、ハイドロキノン類、コウジ酸類、トラネキサム酸類、エラグ酸類、ルシノール類、リノール酸類、アルコキシサリチル酸類、胎盤抽出物等が挙げられる。
これらのうち、L−アスコルビン酸類としては、例えば、L−アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩、L−アスコルビン酸及びその塩、2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル等が好ましいものとして挙げられる。
【0024】
ハイドロキノン類としては、例えば、ハイドロキノンと糖の縮合物、ハイドロキノンに炭素数1〜4のアルキル基を一つ導入したアルキルハイドロキノンと糖の縮合物等が挙げられ、これらのうち好ましいものとしては、アルブチン等が挙げられる。
コウジ酸類としては、例えば、コウジ酸;コウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジパルミテート等のコウジ酸、モノ、ジ脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0025】
トラネキサム酸類としては、例えば、トラネキサム酸の二量体(塩酸トランス−4−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸及びその塩)、トラネキサム酸のアミド体(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス−4−アセチルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩等)などが挙げられる。
【0026】
エラグ酸類としては、例えば、エラグ酸、3,4−ジ−O−メチルエラグ酸、3,3’,4−トリ−O−メチルエラグ酸、3,3’−ジ−O−メチルエラグ酸、3,3’,4,4’−テトラ−O−メチル−5−メトキシエラグ酸、3−O−エチル−4−O−メチル−5−O−ハイドロキシエラグ酸等が挙げられる。
また、ルシノール類としては、例えば一般式(1)
【0027】
【化1】

【0028】
(式中、Rは炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す)
で表されるレゾルシノール誘導体等が挙げられる。
【0029】
リノール酸類としては、例えば、リノール酸;リノール酸カリウム、リノール酸ナトリウム等の塩;リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル等のエステルなどが挙げられる。
【0030】
アルコキシサリチル酸類としては、例えば、サリチル酸の3位、4位又は5位の何れかの水素原子がアルコキシ基で置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のものが好ましい。
【0031】
胎盤抽出物としては、水溶性プラセンタエキスとして一般に市販され、化粧品原料として使用されているものを用いることができ、例えば牛や豚又はヒト等の哺乳動物の胎盤を洗浄、除血、破砕、凍結等の工程を経て、水溶性成分を抽出した後、更に不純物を除去して得られるものが挙げられる。
【0032】
これらの美白剤のうち、特にアルブチン、コウジ酸、リノール酸、エラグ酸、レゾルシノール誘導体(1)が好ましい。
【0033】
これらの美白剤は、1種以上を用いることができ、美白効果、安定性及び使用感の点から、全組成中に0.01〜30質量%、特に0.01〜10質量%、更に0.01〜5質量%含有させるのが好ましい。
【0034】
また、本発明においては、美白剤として、美白作用を有する植物抽出物を用いることもできる。かかる植物抽出物としては、例えば、阿仙薬、アルテア、アロエ、オウゴン、オランダカラシ、カッコン、カミツレ、カンゾウ、キナ、厚朴、高麗人参、コンフリー、サンザシ、シモツケソウ、シャクヤク、ショウガ、桑白皮、チャ、チョウジ、トウヒ、ニワトコ、麦門冬、ビワ、松笠、ローズマリー、ロート、ワレモコウ、茵陳蒿等の植物から得られる抽出物が挙げられる。
【0035】
これらの植物抽出物は、例えばこれらの植物の葉、根、茎、花等を水及び/又は親水性有機溶媒を用いて抽出して抽出液を得る方法;更にこのような抽出液から、凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去等により粉末を得る方法などが挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等が挙げられ、特にエタノールが好ましい。これらの溶媒は単独でも、2種以上を組合わせて使用してもよく、また、水とこれらの親水性有機溶媒を混合して使用してもよい。これらの抽出溶媒の使用量は特に制限されず、また得られた抽出液はそのまま、又は更に濃縮、精製して用いることができる。また、これらの植物抽出物の市販品も好適に用いることができる。
【0036】
これらの植物抽出物のうち、特にカミツレ、チャ、カッコン、チョウジ、カンゾウ、桑白皮、茵陳蒿、オウゴン、アルテア、ワレモコウ、ロートの抽出物が、相乗的に美白効果が増強され、シミ・ソバカスを有効に予防・改善することができると共に、保湿効果及び肌荒れ予防・改善効果も著しく高めることができ、好ましい。
【0037】
これらのうち、カミツレ抽出物には、一般にアズレン、カマズレン、ウンベリフェロン、7−メトキシクマリン、マトリシン、マトリカリン、タラキサステロール、ルペオール、アピイン、クロマン、スピロエーテル等が含まれている。カミツレの好ましい抽出方法としては、例えば次の方法が挙げられる。
カミツレの花を乾燥し、細切する。それにスクワランを加え、時々攪拌しながら室温から50℃まで浸漬した後、圧搾分離して抽出液を得る。この抽出液を濾過してカミツレ抽出エキスとする。
【0038】
これらの植物抽出物は、1種以上を用いることができ、乾燥固形分に換算して全組成中に0.0001〜20質量%、特に0.0001〜10質量%、更に0.0001〜5質量%含有させるのが、優れたシミ・ソバカスの予防・改善効果が得られ、また使用感及び安定性により優れるので好ましい。
【0039】
本発明で用いられるシワ改善剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、レチノイドやレチノイン酸及びこれらの誘導体、グアニジン類等が挙げられる。
グアニジン類としては、例えば一般式(2)又は(3)
【0040】
【化2】

【0041】
〔式(2)中、X及びYは同一又は異なって、炭素数2〜8のアルキレン基を示し、Lは結合手、−CO−又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を示し、Mは水素原子、低級アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、jは1〜6の数を示し、kは0〜6の数を示し、R1は水素原子、低級アルキル基又は−(XO)j−(YO)k−L−Mを示す。ただし、R1がメチル基の場合、−(XO)j−(YO)k−L−Mはヒドロキシエチル基ではない。式(3)中、mは1〜10の数を示し、Gは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基を示し、R1は前記と同じ意味を示す〕
で表わされるものが挙げられる。
【0042】
これらのうち、特に、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジン、グアニジノエトキシエタノール、グアニジノペンタノール、グアニジノプロパン酸、グアニジノエチルリン酸が好ましい。
【0043】
また、グアニジン類としては、一般式(4)
【0044】
【化3】

【0045】
アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選ばれる複素環式基を示し、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基又はアミジノ基を示す)
で表わされるものが挙げられる。
【0046】
一般式(4)中、複素環式基としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンが好ましい。
これらのグアニジン類(4)のうち、特に、N−アミジノ−プロリン、2−ヒドロキシメチル−1−ピロリジンカルボキサミジン、3−ヒドロキシ−1−ピロリジンカルボキサミジンが好ましい。
【0047】
これらのグアニジン類(2)、(3)、(4)は、塩であっても良く、塩を形成するための酸としては、有機酸又は無機酸のいずれでも良く、特に、コハク酸、グルタミン酸、乳酸、クエン酸が好ましい。
【0048】
グアニジン類又はその塩は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜50質量%、特に0.001〜30質量%、更に0.01〜20質量%含有させるのが、使用感及び安定性、更に保湿効果、肌荒れの予防・改善効果、シワ形成の予防・改善効果の点でより好ましい。
【0049】
本発明で用いる保湿剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、アミン類、セラミド類、多価アルコール等が挙げられる。
アミン類としては、例えば一般式(5)
【0050】
【化4】

【0051】
(式中、R4は炭素数4〜40の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ水素原子、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す)
で表わされるアミン類又はその酸付加塩が挙げられる。
【0052】
これらアミン類(5)の酸付加塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸塩;コハク酸、フマル酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸等の有機酸塩が挙げられる。
【0053】
アミン類又はその酸付加塩は、1種以上を用いることができ、全組成中にアミン量として0.01〜50質量%、特に0.01〜20質量%、更に0.1〜10質量%含有させるのが、安定性及び使用感の良好なものが得られるので好ましい。
【0054】
セラミド類としては、一般式(6)
【0055】
【化5】

【0056】
〔式中、R11はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2、X3及びX4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、X2とX3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1がオキソ基であるとき、X4は存在しない)、R12及びR13は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R14はヒドロキシ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該炭化水素基のω位、にヒドロキシ基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐若しくは環状の飽和若しくは不飽和の脂肪酸がエステル結合若しくはアミド結合した基を示し、R15は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す〕
で表わされるセラミド類が挙げられる。
【0057】
一般式(6)において、R11としては、ヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。X1としては、水素原子、グリセリル基が好ましい。X2、X3及びX4としては、その0〜1個がヒドロキシ基であり、残余が水素原子であるのが好ましい。R12及びR13としては、一方が水素原子又はヒドロキシメチル基であり、他方が水素原子であるのが好ましい。R14における飽和炭化水素基のω位にエステル結合若しくはアミド結合してもよい脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リノール酸が好ましい。R15としては、水素原子、あるいはヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換してもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。
【0058】
天然型セラミドの具体例としては、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759 (1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069 (1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0059】
このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC-001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)等が挙げられる。
【0060】
擬似型セラミドとしては、以下に示すものなどが挙げられる。
【0061】
【化7】

【0062】
セラミド類は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.0001〜15質量%、特に0.001〜10質量%、更に0.1〜5質量%含有させるのが、調製した組成物の安定性や使用感の観点から好ましい。
【0063】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、グリセリン等が挙げられる。
これらのうち、使用感の観点から、特に、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜100万)、エトキシジグリコール、グリセリンが好ましい。
【0064】
多価アルコールは、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜25質量%、特に3〜20質量%含有するのが、酸素の安定性の点で好ましい。
【0065】
ニキビ改善剤としては、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、及びこれらのN−メチル体又はN,N−ジメチル体から選ばれるスフィンゴシン類のリン酸エステル化物;一般式(7)
【0066】
【化8】

【0067】
(式中、R11はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X11、X12、及びX13は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X11とX12のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X14がオキソ基を形成するとき、X13は存在しない。);R22及びR23は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR24は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)
で表わされるスフィンゴシン類;アカメガシワ、ウワウルシ、カロコン、ゴシツ、サンキライ、ハンゲ、セネガ、ショウブ、スイカズラ、ムクロジ、アスパラサスリネアリス、ブッチャーブルーム、エンゴサク、キキョウ、ハマボウフウ、シコン、トマト、ヘチマ、レモン、アルテア、カッコン、セイヨウサンザシ、トウキンセンカ、ハマメリス、ブドウ、ボダイジュ、メリッサ、マロニエ、アボガド、キナ、セイヨウネズ、イザヨイバラ、レタス、イリス、コウホネ、シイタケ、ツボクサ、トウガラシ及びメリロートから選ばれる植物抽出物、クロレラ抽出物、並びに胎盤抽出物から選ばれる角層剥離剤のほか、サリチル酸、エリスロマイシン、テトラサイクリン、グリンダマイシン、硫黄、カンフル、サルファ剤等の皮脂抑制・吸収成分、角質軟化・剥離成分、抗菌・殺菌成分、抗炎症成分等が挙げられる。
【0068】
ニキビ改善剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.0001〜10質量%、特に0.005〜2質量%含有するのが、肌塗布後の匂い、組成物の着色などの点で好ましい。
【0069】
血行促進剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ビタミンE、ビタミンEのエステル化合物、ニコチン酸、ニコチン酸エステル、オロチン酸エステル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸メチル等が挙げられる。
【0070】
また、血行促進効果のある植物抽出物として1986年発刊のフレグランスジャーナル臨時増刊号第6巻や1979年発刊のフレグランス ジャーナル臨時増刊号第1巻等に明記されているエキス類、例えばボダイジュ、イチョウ、マロニエ、センブリ、ハマボウフウ、サンショウ、エンメイソウ、コメ(米胚芽)等の植物抽出物を用いることができる。これらの植物抽出物は、前記抽出方法と同様にして得ることができる。
【0071】
これらのうち、化合物としては、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸アミドが好ましく、植物抽出物としては、センブリエキス、イチョウエキス、マロニエエキス、エンメイソウエキス、ハマボウフウエキス、サンショウエキス、米胚芽油、ボダイジュエキスが好ましい。
【0072】
これらの血行促進剤は、1種以上を用いることができ、有効成分として(植物抽出物の場合は乾燥固形分として)全組成中に0.001〜10質量%、特に0.01〜5質量%、更に0.05〜3質量%含有させるのが、より高い保湿効果、肌荒れの予防・改善効果、顔色のくすみ等の予防・改善効果、シミ・ソバカスの予防・改善効果が得られ、また使用感及び安定性の点で好ましい。
【0073】
本発明の皮膚外用剤は、前記成分以外に、通常の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、メントール、カンファー等の清涼剤;水、油性成分、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素などを含有することができる。
【0074】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬品等として適用でき、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液などとすることができ、クリーム、ジェルとして使用することが特に好ましい。また、織布、不織布等のシート状基材に含浸又は塗布したシート状化粧料とすることもできる。
【0075】
本発明の皮膚外用剤は、前記のような成分を用い、通常の方法により組成物を調製し、この組成物に酸素を含む気体を溶解又は分散させることにより製造される。
組成物中に気体を溶解又は分散させる方法は特に限定されないが、例えば、酸素ボンベからチューブを引き、そのチューブを組成物中に入れ、組成物を250rpm、ホモミキサー5000rpm程度で攪拌しながら15分間程度酸素をバブリングさせることにより、行なうことができる。組成物の粘度が高い場合には、ホモミキサーの攪拌速度を上昇させたり、ディスパーといったより攪拌の高まる装置を用いても良い。また、組成物と気体を混合後2〜10気圧で加圧し、一気に開放して気泡を発生させる加圧溶解法や、SPG管(SPGテクノ社)など微細な細孔から気体を10〜50気圧で押し込んで気泡を形成させるSPG法などを用いても良い。
【0076】
本発明の皮膚外用剤において、溶解又は分散している気体は、溶解している酸素については、溶存酸素計を用いて測定し、分散しているものは、通常の酸素濃度計で測定することにより確認される。
また、気泡の酸素濃度は吹き込んだ酸素濃度と等しく、より詳しく測定する場合は、皮膚外用剤をガス不透過のシート(例えばアルミピロー)に入れ、高温で保存して気泡を組成物中から取り出し、出てきたガスの酸素濃度を測定する。酸素の含有量は、調製後の皮膚外用剤を凍結し、気泡を完全に除いた組成物の質量差分から算出することに確認することができる。
【0077】
本発明の皮膚外用剤は、通常の容器に充填して使用するだけでなく、耐圧容器に密閉された非自己噴射型の製剤とすることもできる。例えば、組成物を耐圧容器に入れ、これに高圧の酸素ガス又は酸素を含む混合ガスを封入した製剤とすることができる。ここで用いられる耐圧容器は、調製後使用されるまで圧力に耐えて製剤を密閉状態で保存できるものであれば特に制限されず、例えばアルミ、ブリキ等の金属容器;アセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の合成樹脂容器;ガラス容器などを用いることができる。
【0078】
また、耐圧容器は、二重構造の容器を用いるのが好ましく、例えば、外容器中に樹脂製の内袋を有する耐圧容器等を使用することができる。皮膚外用剤を内袋内に封入し、外容器内に加圧ガスを封入する。ここで外容器としては前記と同様のものが挙げられ、内袋に用いられる樹脂としては、例えばポリエチレン、ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体等の単層又は積層構造のものが挙げられ、これらの樹脂を2種以上複合させたものや、一部アルミニウムを使用したものでも良い。外容器内に封入する加圧ガスとしては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素、炭酸ガス等を単独で又は混合ガスで用いることができる。
ガスの25℃における圧力は、内袋内の製剤が噴霧できるものであれば良く、0.1〜1.0MPa、特に0.3〜0.95MPaであるのが好ましい。
【0079】
また、本発明の皮膚外用剤は、組成物中に分散させる酸素の気泡と同程度の酸素濃度の気体と共に、組成物により調製したシート状貼付剤を、酸素難透過性のピロー内に包装した商品形態とすることもできる。
【実施例】
【0080】
実施例1及び比較例1
表1に示す組成の皮膚外用剤を製造し、細胞のターンオーバー速度の指標として、細胞面積の計測を行った。結果を表1に併せて示す。
【0081】
(製造方法)
表1に示す組成物をビーカーにて1kg調製した。室温、又は室温で固体の成分を配合する場合は、一旦80℃に加熱し、攪拌溶解させて均一にし、室温にもどした。調製した組成物は、減圧下で充分に泡を抜く。次に、調製した組成物を2重ガラスジャケット(特殊機化工業)に入れ、ジャケットの底面からチューブを通じて酸素ボンベ及び窒素ボンベから、0.2MPaの圧力で酸素及び窒素を吹き込む。酸素と窒素の混合割合を調整し、酸素濃度を調整する。パドルミキサー(特殊機化工業)を50rpmで攪拌しながら、ホモミキサーを5000rpmで回転させ、組成物中に10分間十分な酸素の気泡を含ませた。調製は全て開放系にて行った。
得られた皮膚外用剤の一部を透明の密閉容器に充填し、冷却、加温を人為的に繰返し、組成物中に含まれた気泡を分離する。分離した気層中の酸素を、酸素濃度計(エムケーサイエンティフィック社)により測定する。分散した気泡の質量は、調製した組成物を一定量採取し、液体窒素で凍結し混合した気泡を抜いた後の質量を測定し、その差分から測定した。
なお、比較例1は、酸素を含む気体の混合を行わなかった。
【0082】
(評価方法)
細胞のターンオーバー速度の指標として、テープ剥離試験により細胞面積の計測を行った。すなわち、30歳〜45歳までの健常な男性被験者8名の上腕内側部1.5cm×1.5cmに、実施例1又は比較例1の皮膚外用剤を1日2回、4週間塗布した。その後、被験者の塗布部位に、セロハンテープを一定の荷重(40g/cm2)で押し当てて剥がし、角層細胞を採取した。採取した角層細胞は、塩基性フクシンで染色し、顕微鏡にて400倍に拡大し、100個の角層細胞の面積を計測し、その平均を算出した。4週後の細胞面積の平均値を初期値(塗布開始前の細胞面積)で除して、細胞面積の変化率を求め、8名の変化率の平均をターンオーバー速度の指標とした。
【0083】
【表1】

【0084】
実施例2〜13
表2及び表3に示す組成の皮膚外用剤を、実施例1と同様にして製造し、粘度を測定し、配合した気泡の安定性を評価した。結果を表2及び表3に併せて示す。
【0085】
(評価方法)
(1)粘度:
粘度20000mPa・s程度までは、B8L型粘度計(6rpm/min,ロータNo.3)(TOKIMEC.Inc.)、それ以上の粘度は、B8R型粘度計(5rpm/min,スピンドルT−D)(TOKIMEC.Inc.)により、25℃、1分間の条件で測定した。
【0086】
(2)気泡の安定性:
各皮膚外用剤を、室温(25℃)及び40℃に1ヶ月静置した後、その外観(気泡の状態)を、目視により下記の基準に従い評価した。
◎:製造直後の気泡の状態と大きな変化が認められない。
○:製造直後の気泡の状態より不均一化しているが、皮膚外用剤としての使用は可能。
△:製造直後の気泡の状態より不均一化し、気泡の明らかな消失や合一が認められる。
【0087】
なお、気泡を目視により観察できない乳液やクリーム状組成物は、保存後のサンプル適量をホールプレパラートにとり、40〜1000倍程度に拡大し、一視野あたりの気泡の数と大きさを観察した。評価は、上記の基準と同様に行なった。
【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
実施例14及び比較例2〜3
表5に示す組成の皮膚外用剤を、実施例1と同様にして製造し、美白効果を評価した。結果を表5に併せて示す。
【0091】
(評価方法:UV−B誘導色素斑に対する美白効果試験)
被験者20名の上腕内側部3箇所に、UV−B領域の紫外線を最小紅斑量の2倍量になるように照射し、誘導した色素斑に、1日2回、1ケ月間被験部位に、各皮膚外用剤を連続塗布した。
評価は、色差計(村上色彩製、CMS−1200)を用いて測定を行い、得られたマンセル値よりL* 値を算出し、ΔΔL* 値を指標として用いた。なお、ΔΔL* 値は以下のように定義した。
試料塗布開始直前の試料塗布被験部位及び試料未塗布被験部位のL* 値をそれぞれL0、L0'、連続塗布1ケ月後の各々の部位L* 値をそれぞれL1 、L1'とし、ΔΔL* は以下の式で表わした。また、評価は被験者20名の表4に示す評価点の平均値で示した。
【0092】
ΔΔL* =(L1−L0)−(L1'−L0'
【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【0095】
実施例15及び比較例4〜5
表6に示す組成の皮膚外用剤を、実施例1と同様にして製造し、しわ改善効果を評価した。結果を表6に併せて示す。
【0096】
(評価方法)
32歳〜49歳までの健常な女性45名をパネラーとし、3群に分けた。各群に各皮膚外用剤を、通常使用する美容液に替えて4週間使用させた。試験開始前及び4週間塗布後の状態を、目視にて下記基準(J.Cosmet.Sci., 2000, Vol.51, 127−139)をもとに絶対評価(スコア)し、試験前後の差より「試験前スコア−4週後のスコア=しわ改善効果値」とし、平均値を求めた。
【0097】
(評価基準)
0:しわがない。
1:かすかにしわがある。
2:ややしわがある。
3:しわがある。
4:かなりしわがある。
【0098】
【表6】

【0099】
実施例16及び比較例6〜7
表7に示す組成の皮膚外用剤を、実施例1と同様にして製造し、保湿改善効果を評価した。結果を表7に併せて示す。
【0100】
(評価方法)
32歳〜49歳までの健常な女性30名をパネラーとし、3群に分けた。各群に各皮膚外用剤を1日2回、通常使用する乳液・クリームに替えて4週間使用させた。試験開始前と4週間後の2回、頬部の水分量を測定した。測定前に洗顔し、温度20℃、湿度40%の恒温恒湿室に入り、15分後に角質層中の水分含有量をインピーダンスメーター(IBS社製)で測定した。得られた結果は、下記の式でΔ水分量として計算し、下記の基準で判定した。
Δ水分量=(S2−S1)
S1;皮膚外用剤塗布前の肌の水分量。
S2;皮膚外用剤塗布後の肌の水分量。
【0101】
(評価基準)
◎:Δ水分量が25以上で明らかに水分量が高い。
○:Δ水分量が10〜25未満でやや水分量が高い。
×:Δ水分量が10未満で水分量にほとんど差がない。
【0102】
また、上記試験の際同時に、試験開始前と4週間後の2回、一定の照明条件の下に立たせ、目じり、頬及び口元の落屑の状態やキメの状態を観察し、5段階で評価した。被験者の初期の状態を基準に、変化が認められない場合は0、改善した場合は1、顕著に改善した場合は2、逆に悪化した場合は−1、顕著に悪化した場合は−2として5段階で評価した。
【0103】
【表7】

【0104】
実施例17
表8に示す組成のエアゾール型皮膚外用剤を製造した。
得られた皮膚外用剤は、皮膚細胞のターンオーバーを促進し、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを改善する効果に優れていた。
【0105】
(製造方法)
表8に示す組成物をビーカーにて1kg調製し、室温で攪拌溶解させ均一にした。減圧下で充分に泡を抜く。調製した組成物を、2重ガラスジャケット(特殊機化工業)に入れ、ジャケットの底面からチューブを通じて酸素ボンベ及び窒素ボンベから、0.2MPaの圧力で酸素及び窒素を吹き込む。なお、酸素と窒素の混合割合を約1:3になるように調整した。パドルミキサー(特殊機化工業)を50rpmで攪拌しながら、ホモミキサーを5000rpmで回転させ、組成物中に10分間十分な酸素の気泡を含ませた。調製は全て開放系にて行った。
得られた皮膚外用剤を二重構造の容器の耐圧内袋内に入れ、外容器内に加圧ガスとして液化石油ガス(LPG)を用いた。加圧ガスの25℃における圧力は0.8MPaとした。
【0106】
【表8】

【0107】
実施例18
表9に示す組成のシート貼付型皮膚外用剤を製造した。
得られた皮膚外用剤は、皮膚細胞のターンオーバーを促進し、シミ、シワ、たるみ、乾燥、くすみを改善する効果に優れていた。
【0108】
(製造方法)
表9に示す組成をビーカーにて1kg調製し、室温で攪拌溶解させ均一にした。減圧下で充分に泡を抜く。調製した組成物を、2重ガラスジャケット(特殊機化工業)に入れ、ジャケットの底面からチューブを通じて酸素ボンベ及び窒素ボンベから、0.2MPaの圧力で酸素及び窒素を吹き込む。なお、酸素と窒素の混合割合を約1:2になるように調整した。パドルミキサー(特殊機化工業)を50rpmで攪拌しながら、ホモミキサーを5000rpmで回転させ、組成物中に10分間十分な酸素の気泡を含ませた。調製は全て開放系にて行った。
得られた皮膚外用剤を、35%濃度酸素で置換したチャンバー内で、不織布に厚さが1.0mmになるように均一に塗り広げ、製剤面をプラスチックのシートで覆い、アルミピローに封入した。アルミピローの口をトップシーラー(泰斗商事)を用いシールした。
【0109】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を25〜100質量%含む気体を、溶解又は分散してなる皮膚外用剤。
【請求項2】
更に、平均粒子径50μm以下の微粒子を含有する請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
25℃における粘度が、500〜500000mPa・sである請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
更に、美白剤、シワ改善剤、保湿剤、ニキビ改善剤及び血行促進剤から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−50316(P2008−50316A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229092(P2006−229092)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】