説明

皮膚外用剤

【課題】抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性を1または2以上併有するような皮膚細胞への健康増進性に優れた植物由来の抽出成分を発見すると共に、それを用いて皮膚細胞への健康増進性に優れた実用性の高い皮膚外用剤とすることである。
【解決手段】コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)の果実、葉、花、種子、樹皮、樹幹、樹枝および根から選ばれる植物体の水性溶媒または親水性有機溶媒などの極性溶媒抽出物を、抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性の有効成分として含有する化粧料、抗酸化剤、美白剤、抗老化剤または抗炎症剤などの皮膚外用剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体外表面部である皮膚に、塗布、貼付、噴霧などの処方により塗って用いる皮膚外用剤、詳しくは紫外線暴露や加齢による皮膚の老化防止などに有効な皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、皮膚は酸素や紫外線に曝されており、皮膚の老化に伴って起こる変化、すなわち、シワ、クスミ、キメの消失、弾力性の低下などは、紫外線が大きく関与していることが知られている。
【0003】
また、紫外線により発生する皮膚細胞に発生する活性酸素のうち、フリーラジカル型のものは脂質等の酸化を受け易い基質と反応すると、連鎖的な酸化反応を誘発し、組織に対してダメージを与える。
【0004】
近年では、紫外線により発生した種々の活性酸素が、皮脂や脂質の過酸化、蛋白変性、酵素阻害等を引き起こし、それが短期間に皮膚の炎症等を誘発し、長期間に亘れば老化やガンなどの原因となると考えられている。
【0005】
また、活性酸素や過酸化脂質などの関連物質は、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患にも関与するとも考えられている。
【0006】
皮膚老化や皮膚疾患については、例えばビタミンCやビタミンEなどは、生体内におけるフリーラジカル捕捉型抗酸化性物質として知られ、BHTやBHAなどの合成抗酸化性物質も知られている。
【0007】
フリーラジカルを消去する能力、すなわち活性酸素の消去能を有する公知の生薬としては、例えばオスベッキア属(ヒメノボタン属とも呼ばれる。)に属する多年生草本植物の抽出物、キョウチクトウ科のプルメリア属に属する植物の抽出物、カンラン科の常緑高木であるカナリウム属に属する植物の抽出物、クマツヅラ科に属する小低木のランタナの抽出物等が知られている。
【0008】
また、皮膚のシミ、ソバカスなどの色素沈着は、紫外線の刺激などにより、表皮色素細胞内でメラニン生成が亢進し、メラニンが表皮に過剰に沈着することに因る。
【0009】
メラニンは表皮色素細胞内で生合成された酵素チロシナーゼの働きにより、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものと考えられ、このようなメラニン生成過程を抑制し、または生成したメラニンを淡色化することにより、皮膚の黒化(皮膚色素沈着症)やシミを予防し、治療し又は改善する。
【0010】
従来、メラニンの生成を抑制するために、L−アスコルビン酸を大量に投与する方法、グルタチオン等を皮下注射する方法、コウジ酸、システイン、ハイドロキノン等を軟膏、クリーム、ローション等の形態にして局所に塗布する方法が挙げられる。チロシナーゼの活性を抑制する生薬としては、例えば籐茶抽出物、ヤナギタケ抽出物等が知られている。
【0011】
また、色素沈着の予防および改善のために、マキ科植物ダクリジウム ビフォルメ(Dacridium biforme)の水溶性有機溶媒などの抽出物を配合した化粧品が知られている(特許文献1)。
【0012】
ところで、皮膚は、外層から表皮、真皮、皮下組織と大きく三つに分類され、外界からの衝撃を吸収する真皮は、主に、コラーゲン、エラスチン、線維芽細胞から主としてなり、老化と共にコラーゲンおよびエラスチンの劣化、減少あるいは変性により、シワ、キメの消失、弾力性の低下等の老化症状が現れる。
【0013】
健状な真皮の中では、コラーゲンおよびエラスチンは古くなったものは吸収され、または排出され、新たにコラーゲンおよびエラスチンが線維芽細胞から生成されることにより、これらの一定の質および量が恒常的に保たれる。
【0014】
しかし、年齢を重ねると、外的および内的な要因において、その恒常性は崩れ、さらには線維芽細胞由来のエラスターゼが必要以上にエラスチンを分解することにより、老化症状が促進する。
【0015】
このような老化症状の改善のために、エラスターゼ活性抑制作用を有する生薬として、例えば黒米抽出物やアロエ抽出物が知られている。
【0016】
また、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、体内におけるヒスタミンの遊離の他、活性酸素やラジカルなどのアレルギー誘発物質の発生などが原因となって生じる。
【0017】
ヒスタミン等のアレルギー誘発物質と同時に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を有する生薬として、ムクロジ科のつる性木本であるパウリニア・ピンナタの抽出物等が報告されている(特許文献2参照)。
【0018】
【特許文献1】特開平07−206697号公報
【特許文献2】特開2005−213201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、前記した合成抗酸化性物質を配合した化粧品などの薬剤では、合成物質処方の過剰は望ましいことではなく、できるだけ天然抽出物に由来する多成分系の有効性を発揮させることが要望されている。
【0020】
また、天然系から抽出される有効成分は、植物の種類が異なれば含有される成分が異なることが予想され、そのような有効成分は種類別に充分に知られていないのが実情であるといえる。
【0021】
例えば、前記したマキ科植物ダクリジウム ビフォルメ(Dacridium biforme)は、主にニュージーランドやオーストラリアに産し、一方、後述する本邦特産種であるのコウヤマキ科(一科一属一種)とは系統分類的上の「科」レベルで植物学的特徴が全く異なる植物である。
【0022】
また、ムクロジ科のつる性木本であるパウリニア・ピンナタは、裸子植物であり、コウヤマキの被子植物とは、系統分類的上の「門」レベルで植物学的特徴が全く異なる植物である。
【0023】
さらに、前記したダクリジウム ビフォルメに関する有用性に関する知見は、特許文献1にも記載されているように、メラニン生成抑制作用のみであり、その他に有用な作用を及ぼす知見はなかった。
【0024】
このように天然の皮膚外用剤抽出材料は、研究開発による充分な知見が得られておらず、抽出成分として安全性及び生成性に優れていて日常的に摂取可能であり、かつ高い活性酸素消去作用を有すると共に、ラジカル消去作用、脂質酸化抑制作用、チロシナーゼ活性抑制作用、メラニン生成抑制作用またはエラスターゼ活性抑制作用、及びβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用などを有するものは得られていない。
【0025】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、皮膚外用剤の有効成分として有用性の高い植物を特定し、確実に利用できるようにすることであり、特に抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性を有していて皮膚細胞への健康増進性に優れた植物由来の抽出成分を発見し、それを用いて皮膚細胞への健康増進性に優れた新規な皮膚外用剤とすることである。
【0026】
さらに具体的な課題に言及すれば、この発明では、優れた活性酸素消去(捕捉)能を有し、安全性の高い抗酸化能のある化粧料等の皮膚外用剤とし、また、優れたチロシナーゼ活性抑制作用若しくはメラニン生成抑制作用または両作用を併有し、安全性の高い美白剤またはこれを配合した化粧料等の皮膚外用剤とし、さらには優れたエラスターゼ活性抑制作用を有し、安全性の高い抗老化剤またはこれを配合した化粧料等の皮膚外用剤とし、また優れたβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を有する安全性の高い抗炎症剤またはこれを配合した化粧料等の皮膚外用剤とすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の課題を解決するために、この発明では、コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)の植物体の極性溶媒抽出物を、抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性の有効成分として含有する皮膚外用剤としたのである。
【0028】
上記したように構成されるこの発明の皮膚外用剤は、コウヤマキの植物体の何れかの部分を極性溶媒で抽出したものを配合したことにより、極性溶媒に浸出性のある成分中に含まれる有効成分により、抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性の少なくとも1以上の作用を奏する。
【0029】
前記の極性溶媒としては、水、水性溶媒または親水性有機溶媒を採用することができる皮膚外用剤である。
【0030】
また、前記の植物体としては、果実、葉、花、種子、樹皮、樹幹、樹枝および根から選ばれる1部分以上の植物体を採用して、充分に確かなものが得られる。
【0031】
極性溶媒抽出物が、抽出条件として、大気圧で室温、超臨界または亜臨界のいずれかの抽出条件を採用して得られた極性溶媒抽出物であれば、皮膚外用剤の前記効用はより確実に奏される。
【0032】
また、皮膚外用剤は、有効成分を用途別に適用して、化粧料、抗酸化剤、美白剤、抗老化剤または皮膚外用剤などの製剤形態に適用できる。
【発明の効果】
【0033】
この発明は、コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)の植物体の極性溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤としたので、優れたフリーラジカル捕捉能を有すると共に安全性は高く、抗酸化作用、チロシナーゼ活性抑制作用、メラニン生成抑制作用、美白作用、エラスターゼ活性抑制作用、抗老化作用またはβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を発揮するから、皮膚細胞への健康増進性に優れた実用性の高い皮膚外用剤となる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
この発明の抗酸化剤、美白剤、抗老化剤または抗炎症剤などの皮膚外用剤は、特定のコウヤマキ科コウヤマキ属のコウヤマキ(Sciadopitys verticillata)(高野槇またはホンマキとも別称される。)(以下、単にコウヤマキと記す。)の抽出物を有効成分として含有するものである。
【0035】
ここで、コウヤマキの抽出物には、抽出液、この抽出液の希釈液若しくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、若しくは粗抽出物または精製物並びに超臨界抽出物若しくは亜臨界抽出物のいずれが含まれていてもよい。
【0036】
抽出原料のコウヤマキは、雌雄同株の一科一属一種の植物で、属名には樹形によるskiadeion(傘)とpitys(松)、種小名は針葉の発生状態によるverticillus(輪生体)から由来し、和名の由来は高野山に多いことからである。そして、緻密で端正な円錐になる樹形の美しさからも世界三大美(公園)樹とされている植物である。
【0037】
上記コウヤマキは、常緑高木で幹は直立し、樹高は35〜40mで樹皮は灰褐色から赤褐色で縦に裂け、鱗片状にはがれる。また、長枝の鱗片葉は、らせん状に互生し、短枝の葉は2本の葉が合着した線形20〜40本の葉が輪生または束生する。線形の葉は、表面が濃緑色で中央が窪んでいる。裏面は黄緑を帯びて中央のくぼみに白色の気孔帯がある。
【0038】
また、長さ6〜12cm、幅は2〜4cmの花は、3〜4月に咲き、雄花は楕円形で20〜30個が頭状に集合し、球果は円筒状楕円形で翌年の秋に熟すものである。
【0039】
この種は、日本固有種であって本州(福島県以南)、四国、九州に広く分布しており、これらの地域から入手が可能である。コウヤマキの樹木は高級建材物として用いられており、浴槽や風呂桶などでも使用されている。特に抗菌性に対する作用は知られているが、抗酸化作用、美白作用、抗老化作用及び抗炎症作用を有するとの知見はない。
【0040】
上記抽出原料として使用し得るコウヤマキの抽出部位としては、特に制限されることなく、例えば、地上部、根部又はこれらの混合部を使用することができるが、これらのうち地上部を用いるのが生産効率を高めるためにも好ましい。上記地上部としては、葉部、枝部、樹皮部、茎部、果実部等を用いるのが好ましく、特に葉部を用いるのが好ましい。
【0041】
コウヤマキの有効成分に含有される活性酸素抑制物質、ラジカル消去物質、脂質酸化抑制物質、チロシナーゼ活性抑制物質、メラニン生成抑制物質、エラスターゼ活性抑制物質又はβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用物質の詳細な化学物質名は不明である。
【0042】
しかしながら、植物からの抽出操作に一般に用いられる水、水性溶媒または親水性有機溶媒を用いた抽出方法によって、コウヤマキの有効成分を得ることができ、これに活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、脂質酸化抑制作用、チロシナーゼ活性抑制作用、メラニン生成抑制作用、エラスターゼ活性抑制作用又はβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を有することが確認できる。
【0043】
例えば、コウヤマキを乾燥させた後、そのまま又は粗破砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより、上記作用を有する抽出物を得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより極性溶媒による抽出を効率よく行うことができる。
【0044】
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば水、水性溶媒、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で抽出することが好ましい。
【0045】
抽出溶媒として使用し得る水は、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他にも、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。従って、この発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、超臨界水、亜臨界水等も含まれる。
また、水性溶媒とは、このような水に親水性有機溶媒以外の物質(たとえば食塩など水溶性塩類など)が、抽出溶媒としての性質を失わない濃度で溶解している水溶液をいう。
【0046】
抽出溶媒として使用することのできる親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
【0047】
上記した2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は、適宜調整することができる。例えば、水と親水性有機溶媒である低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール1〜90質量部を混合することが好ましい。
【0048】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温、還流加熱、超臨界又は亜臨界下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよく、それぞれ抽出液の濃縮液、乾燥物、これらの粗精製物または精製物を得る。
【0049】
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。得られた抽出液はそのままでも抗酸化剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としてもよい。
【0050】
ここで、コウヤマキの有効成分の有する抗酸化作用について、より具体的な作用例を挙げると、例えば活性酸素消去作用、ラジカル消去作用及び/又は脂質酸化抑制作用であり、特にこれらに限定されるものではない。ここで、「活性酸素」には、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素又は過酸化脂質等が含まれる。また、「ラジカル」とは、不対電子を1つ又はそれ以上有する分子又は原子を意味し、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、DPPH等が含まれる。
【0051】
さらに、コウヤマキの有効成分が有する美白作用について、そのより具体的な作用は、例えば、チロシナーゼ活性抑制作用及び/又はメラニン生成抑制作用であるが、特にこれらの具体的作用に限定されるものではない。
【0052】
さらにまた、コウヤマキの有効成分が有する抗老化作用について、より具体的な作用は、例えば、エラスターゼ活性抑制作用であるが、特にこれらの具体的作用に限定されるものではない。
【0053】
また、コウヤマキの有効成分が有する抗炎症作用について、より具体的な作用を挙げると、例えばβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用であるが、特にこれらの具体的作用に限定されるものではない。
【0054】
なお、上記コウヤマキの有効成分が有する活性酸素消去作用、ラジカル消去作用、脂質酸化抑制作用、チロシナーゼ活性抑制作用、メラニン生成抑制作用、エラスターゼ活性抑制作用又はβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を利用し、活性酸素消去剤、ラジカル消去剤、脂質酸化抑制剤、チロシナーゼ活性抑制剤、メラニン生成抑制剤、エラスターゼ活性抑制剤又は抗炎症剤として使用してもよい。
【0055】
この発明の抗酸化剤 、美白剤、抗老化剤又は抗炎症剤は、上記コウヤマキの有効成分のみからなるものであってもよいし、上記有効成分から製剤化したものであってもよい。
【0056】
上記コウヤマキの有効成分は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化して提供することができ、他の組成物(例えば、後述する皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。
【0057】
この発明の抗酸化剤は、コウヤマキの有効成分が有する活性酸素消去作用、ラジカル消去作用及び/又は脂質酸化抑制作用を通じて、過剰に産生された活性酸素や生体内ラジカルを消去することができる。その結果、シワ、キメの消失、皮膚の弾力低下等の皮膚の老化を予防、治療又は改善することができる。ただし、この発明の抗酸化剤 はこれらの用途以外にも、活性酸素消去作用、ラジカル消去作用及び/又は脂質酸化抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0058】
また、この発明の美白剤は、コウヤマキの有効成分が有するチロシナーゼ活性抑制作用及び/又はメラニン生成抑制作用を通じて、皮膚の黒化やシミ等を予防、治療又は改善することができる。ただし、この発明の美白剤はこれらの用途以外にも、チロシナーゼ活性抑制作用及び/又はメラニン生成抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0059】
さらに、この発明の抗老化剤は、コウヤマキの有効成分が有するエラスターゼ活性抑制作用を通じて、線維芽細胞由来のエラスターゼが必要以上にエラスチンを分解することを抑制することができる。その結果、シワ、キメの消失、皮膚の弾力低下等の皮膚の老化を予防、治療又は改善することができる。ただし、この発明の抗老化剤はこれらの用途以外にも、エラスターゼ活性抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0060】
さらに、この発明の抗炎症剤は、コウヤマキの有効成分が有するβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制作用を通じて、ヒスタミンと共に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼの活性を抑制することができる。その結果、ヒスタミン遊離を阻害又は抑制する物質によりアレルギー性疾患等を予防・改善することができる。
ただし、この発明の抗炎症剤はこれらの用途以外にも、抗炎症作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0061】
〔皮膚化粧料〕
上記コウヤマキからの抽出物は、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。この場合、コウヤマキの抽出物をそのまま配合してもよいし、当該抽出物から製剤化した抗酸化剤 、美白剤、抗老化剤又は抗炎症剤を配合してもよい。
【0062】
上記コウヤマキの抽出物を配合し得る皮膚化粧料としては、特に限定されるものではなく、例えば乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、化粧水、オーデコロン、髭剃り用クリーム、髭剃り用ローション、化粧油、日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
【0063】
上記コウヤマキの抽出物を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類等によって所期した作用が充分に得られるように適宜調整することができるが、有効成分として効率よく作用する好適な配合率は、標準的な抽出物(乾燥物)に換算して約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物(乾燥物)に換算して約0.001〜1質量%である。
【0064】
また、この発明の皮膚外用剤には、上記必須成分のほかこの発明の効果を損なわない範囲内であれば、化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール、糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、高分子化合物、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
【0065】
上記溶媒としては、水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0066】
なお、この発明の抗酸化剤、美白剤、抗老化剤、抗炎症剤及び化粧料等の皮膚外用剤は、ヒトに対して適用される他、ヒト以外の動物(愛玩動物、家畜など)に対しても適用できる。
【実施例1】
【0067】
以下に、化粧品などの皮膚外用剤の製造例、試験例及び配合例を説明する。
〔製造例1〕
細切りにしたコウヤマキの地上部の乾燥物200gに、下記の表1に示す抽出溶媒2000gを加え、還流抽出器で50℃の温度条件下にて2時間加熱抽出し、熱時濾過した。
濾過後の残渣について、さらに同様の抽出処理を行ない、得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮し、さらに乾燥してコウヤマキ抽出物(乾燥物)を得た。抽出溶媒としては、水、30質量%エタノール(水とエタノールとの質量比7:3の混合物)及び70質量%エタノール(水とエタノールとの質量比3:7の混合物)を用いたときの各抽出物の収率を表1中に併記した。
【0068】
【表1】

【0069】
<SOD様活性試験>
試料2のコウヤマキ抽出液を用い、活性酸素の一つであるスーパーオキサイドを消去するsuperoxide dismutase(SOD)様活性試験を行なった。試験には同仁化学研究所製のSOD Assay Kit−WSTを用いた。
【0070】
活性酸素の一つであるスーパーオキサイドを消去するsuperoxide dismutase(SOD)は以下の化1に示すスーパーオキサイドの不均化反応を触媒する酵素である。
【0071】
【化1】

【0072】
試験方法としては、上記反応に比例反応するテトラゾリウム塩を用いたWST-1解析により、WST-1が分解されて生じたフォルマザン(formazan)を色素量として吸光度計によって解析し、その極大吸収である450nmの増加を指標としてSOD様活性を評価した。
【0073】
コウヤマキ抽出液(試料2)は希釈用緩衝液(Dilution buffer)により希釈し、試料とした。スーパーオキシドラジカル中に試料を添加し、450nmでの吸光度により測定した。その結果を下記の式で示されるSOD様活性率として表2に示した。
【0074】
SOD様活性率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、A、B、C、Dは以下の測定値を示す。A:各濃度の試料溶液における反応溶液の吸光度、B:各濃度の試料溶液における調整溶液の吸光度、C:試料無添加における反応溶液の吸光度、D:試料無添加における調整溶液の吸光度)
【0075】
【表2】

【0076】
表2に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れた活性酸素消去作用を有することが確認された。また、活性酸素消去作用の程度は、コウヤマキ抽出液の濃度によって調節できることが確認された。
【0077】
<ラジカル消去作用試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)について、1,1−ジフェニル-2-ピクリル-ヒドラジル(1,1-diphenyl-2-picryl-hydrazyl:以下、DPPH)を用いたラジカル消去作用試験を行なった。
【0078】
試料2のコウヤマキ抽出液を用い、520nmに極大吸収を持つ安定なラジカル物質であるDPPHがコウヤマキ抽出物に含まれる抗酸化物質により還元されることで生じる520nmにおける吸光度の減少を捕らえて抗酸化能を評価した。
【0079】
因みに、ヒトはヒドロキシラジカルを消去する酵素を産生していないため、皮膚等で産生されたヒドロキシラジカルの消去作用を有する物質を配合した化粧料を塗布することにより様々な皮膚疾患を予防及び改善できる。
【0080】
コウヤマキ抽出液(試料2)はエタノールに希釈し、試料とした。試料を96穴プレートに入れ、5×10−4 mol/LのDPPH溶液を加えて25℃、30分間反応させ、520nmの吸光度を測定した。その結果を下記の式に示すDPPHラジカル消去率として表3に示した。
【0081】
DPPHラジカル消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、A、B、C、Dは以下の測定値を示す。A:各濃度の試料溶液における反応溶液の吸光度、B:各濃度の試料溶液における調整溶液の吸光度、C:試料無添加における反応溶液の吸光度、D:試料無添加における調整溶液の吸光度)
【0082】
【表3】

【0083】
表3に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れたラジカル消去作用を有することが確認された。
【0084】
<脂質酸化抑制試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)を用いて、リノール酸を用いた脂質酸化抑制試験を行なった。
【0085】
皮膚には皮脂など多量の不飽和脂肪酸が存在し、活性酸素等により酸化され過酸化脂質となる。過酸化脂質が細胞へ障害を与えることにより、炎症や色素沈着等による皮膚老化の原因と考えられている。脂質過酸化抑制作用により、過酸化脂質による皮膚に対する障害を軽減できると考えられた。
【0086】
リノール酸は、9、12位にシス二重結合を持ち、非常に水素ラジカルが抜けやすい状態の物質である。これにより、脂質ヒドロペルオキシドを自動酸化によって生成させてしまうので、酸化防止剤の検証試験として利用される。
【0087】
試験方法としては、コウヤマキ抽出液(試料2)は超純水にて希釈し、試料とした。10mMリノール酸を調整し、試料を添加して40℃にてインキュベート後、ロダン鉄法を用い450nmでの吸光度により測定した。その結果を下記の式に示すリノール酸自動酸化抑制率として表4に示した。
【0088】
リノール酸自動酸化抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、A、B、C、Dは以下の測定値を示す。A:各濃度における40℃反応時の吸光度、B:各濃度における4℃反応時の吸光度、C:試料無添加における40℃反応時の吸光度、D:試料無添加における4℃反応時の吸光度)
【0089】
【表4】

【0090】
表4に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れた脂質酸化抑制作用を有することが確認された。
【0091】
<チロシナーゼ活性抑制作用試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)を用いて、マッシュルーム由来チロシナーゼによるチロシナーゼ活性抑制作用試験を行なった。
【0092】
コウヤマキ抽出液(試料2)は、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.5)に希釈し、試料とした。0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.5)0.75mLに、10M L−ドーパ0.05mlを加え、さらにチロシナーゼ溶液(マッシュルーム由来,153U/mL,Sigma社製)0.1mLを加えて、37℃でインキュベーションした。10分反応させたのち、波長475nmにおける吸光度を測定した。同様の操作と吸光度測定で、酵素溶液を添加せずに0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.5)についても行なった。さらに、試料溶液を添加せず、試料を溶解する溶媒のみについても同様の測定を行なった。得られた結果から、下記の式によりチロシナーゼ活性抑制率を算出した。この結果を下記の式に示すチロシナーゼ活性抑制率として表5に示した。
【0093】
チロシナーゼ活性抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、Aは「酵素溶液添加、試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「酵素溶液無添加、試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「酵素溶液添加、試料溶液無添加時の吸光度」を、Dは「酵素溶液無添加、試料溶液無添加時の吸光度」を示す。)
【0094】
【表5】

【0095】
表5に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れたチロシナーゼ活性抑制作用を有することが確認された。また、チロシナーゼ活性抑制作用の程度は、コウヤマキ抽出液の濃度によって調節できることが確認された。
【0096】
<メラニン生成抑制作用試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)を用いて、マウスメラノーマ細胞B16によるメラニン生成抑制作用試験を行なった。
【0097】
試験方法としては、マウスメラノーマ細胞B16を10%FBS含有MEM培地中で培養したものを使用した。なおこの培養は全て37℃、5%CO2存在下条件で行なった。コウヤマキ抽出液(試料2)は0.45μmフィルター滅菌後、10%FBS含有MEM培地にて希釈し、試料とした。詳細には、5×104 cells/mlのメラノーマ細胞B16を、60mmプラスティックシャーレに播種し、24時間培養した。その後、新鮮な培地に交換し、試験試料を添加した。試料添加60時間後、培地を除去し、細胞を0.85N水酸化カリウム溶液で溶解させ、405nmにおける吸光度を測定した。また、試料無添加の細胞のメラニン生成率を100%として試料添加時のメラニン生成率を算出した。メラニン生成抑制率は、試料無添加のメラニン生成率(100%)から試料添加時のメラニン生成率を差し引いたものとした。この結果をメラニン生成抑制率(%)として表6に示した。
【0098】
【表6】

【0099】
表6に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れたメラニン生成抑制作用を有することが確認された。また、メラニン生成抑制作用の程度は、コウヤマキ抽出液の濃度によって調節できることが確認された。
【0100】
<エラスターゼ活性抑制作用試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)を用いて、ブタ膵臓由来エラスターゼによるエラスターゼ活性抑制作用試験を行なった。
【0101】
試験方法としては、人工基質であるN-succinyl-L-alanyl-L-alanyl-L-alaniline-p-nitroanilideはエラスターゼ存在化においてnitroanilideが遊離することにより黄色に呈色する。従って、このnitroanilideの極大吸収405nmを用いて、エラスターゼ活性抑制を評価した。
【0102】
コウヤマキ抽出液(試料2)は0.2MTris-HCl(pH8.0)に希釈し、試料とした。試料と酵素(エラスターゼ)共存下に基質を添加することにより基質がエラスターゼにより分解され発色するので、これを405nmでの吸光度により測定した。この結果を下記の式に示すエラスターゼ活性抑制率として表7に示した。
【0103】
エラスターゼ活性抑制率(%)= {1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、Aは「酵素溶液添加、試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「酵素溶液無添加、試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「酵素溶液添加、試料溶液無添加時の吸光度」を、Dは「酵素溶液無添加、試料溶液無添加時の吸光度」を示す。)
【0104】
【表7】

【0105】
表7に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れたエラスターゼ活性抑制作用を有することが確認された。
【0106】
<抗炎症作用試験>
製造例1で得られたコウヤマキ抽出液(試料2)を用いて、ラット好塩基性白血病細胞RBL−2H3による抗炎症作用試験を行なった。
【0107】
抗原刺激によって惹起されたラット好塩基性白血病細胞RBL−2H3の脱顆粒の際にヒスタミン等の化学物質と共に放出されるβ-ヘキソサミニダーゼの遊離量を測定することで脱顆粒の指標とした。
【0108】
コウヤマキ抽出液(試料2)は、0.45μmフィルター滅菌後、PBSに希釈し、試料とした。抗体により感作させた細胞に、試料を添加、抗原による脱顆粒刺激を行ない、その際ヒスタミンなどの化学物質と共に放出されるβ-ヘキソサミニダーゼを、基質を用いた反応系により呈色し405nmにおける吸光度を測定した。この結果を下記の式に示すβ−ヘキソサミニダーゼ活性抑制率として表8に示した。
【0109】
β−ヘキソサミニダーゼ活性抑制率(%)= {1−(A−B)/(C−D)}×100
(式中、Aは「試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「細胞非存在下での試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「試料溶液無添加時の吸光度」を、Dは「細胞非存在下での試料溶液無添加時の吸光度」を示す。)
【0110】
【表8】

【0111】
表8に示すように、コウヤマキ抽出液(試料2)は、優れた抗炎症作用を有することが確認された。また、抗炎症作用の程度は、コウヤマキ抽出液の濃度によって調節できることが確認された。
【0112】
この発明の実施形態として皮膚外用剤(化粧料)の処方例を以下に列挙する。成分に続いて示す配合割合は、全て重量%である。
[処方例1;化粧水]
セチルアルコール 5
グリセリン 2
1,3−ブチレングリコール 5
トリメチルグリシン 1
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル 0.25
α−トコフェロール 2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム 0.1
HEDTA3ナトリウム 0.1
コウヤマキ抽出液(試料2)0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.003
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.025
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
【0113】
[処方例2;化粧水]
グリセリン 2.5
1,3−ブチレングリコール 4
エリスリトール 1.5
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.1
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
【0114】
[処方例3;乳液]
ジメチルポリシロキサン 2.5
デカメチルシクロペンタシロキサン 23
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 15
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.5
トリメチルシロキシケイ酸 1
1,3−ブチレングリコール 5
スクワラン 1.5
タルク 6
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5
シリコーン被覆微粒子酸化チタン 4
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
球状ポリエチレン末 3
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
【0115】
[処方例4;クリーム]
流動パラフィン 9
ワセリン 2
ジメチルポリシロキサン 2
ステアリルアルコール 4
ベヘニルアルコール 2
グリセリン 5
ジプロピレングリコール 4
キシリトール 1
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 4
親油型モノステアリン酸グリセリン 2
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.05
水酸化ナトリウム 0.015
油溶性甘草エキス 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸三ナトリウム 0.05
ポリビニルアルコール 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.05
精製水 残余
香料 適量
【0116】
[処方例5;ジェル]
グリセリン 2
1,3−ブチレングリコール 4
水酸化ナトリウム 0.2
エデト酸三ナトリウム 0.05
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.25
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残余
【0117】
[処方例6;乳化型ファンデーション]
ベヘニルアルコール 0.5
ジプロピレングリコール 6
ステアリン酸 1.5
モノステアリン酸グリセリン 1
水酸化ナトリウム 0.15
トリエタノールアミン 0.6
酢酸トコフェロール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
黄酸化鉄 1
ジメチルポリシロキサン(6cs) 2
ジメチルポリシロキサン(100cs) 5
ステアリルアルコール 1.5
イソステアリン酸 1.5
ベヘニン酸 0.5
2−エチルヘキサン酸セチル 10
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
酸化チタン 3
表面処理酸化チタン 10
ポリアクリル酸アルキル被覆雲母チタン 0.5
黒酸化鉄 適量
無水ケイ酸 6
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 2
ベンガラ 適量
群青 適量
法定色素 適量
キサンタンガム 0.1
ベントナイト 1
カルボキシメチルセルロース 0.1
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.1
精製水 残余
香料 適量
【0118】
[処方例7;固形ファンデーション]
タルク 43
カオリン 15
セリサイト 10
亜鉛 7
酸化チタン 4
黄酸化鉄 3
黒酸化鉄 適量
ベンガラ 適量
スクワラン 8
イソステアリン酸 4
モノオレイン酸POEソルビタン 3
オクタン酸イソセチル 2
コウヤマキ抽出液(試料2) 0.5
パラオキシ安息香酸エステル 適量
香料 適量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)の植物体の極性溶媒抽出物を、抗酸化性、美白性、抗老化性または抗炎症性の有効成分として含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
極性溶媒が、水、水性溶媒または親水性有機溶媒である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
植物体が、果実、葉、花、種子、樹皮、樹幹、樹枝および根から選ばれる1部分以上の植物体である請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
極性溶媒抽出物が、抽出条件として、大気圧で室温、超臨界または亜臨界のいずれかの条件で抽出された極性溶媒抽出物である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
皮膚外用剤が、化粧料、抗酸化剤、美白剤、抗老化剤または抗炎症剤である請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−74748(P2008−74748A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254537(P2006−254537)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(593084649)日本コルマー株式会社 (12)
【Fターム(参考)】