説明

皮膚外用剤

【課題】僅かな力でくずれて液状になるというみずみずしさを有し、且つ優れたなめらかさ及びきしみ感のなさを備えた、皮膚刺激性の低い皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、特定構造のジアルキルアクリルアミドと、特定構造のイオン性アクリルアミド誘導体とを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を0.05〜2.5質量%と、(b)特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを0.01〜10質量%と、
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤、特にその使用感触(塗布時のみずみずしさ、塗布後の肌のなめらかさ、きしみのなさ)及び皮膚刺激性の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤には乳液、クリームなど様々な剤型があるが、いずれの剤型においても、製剤や有効成分の安定化を主な目的として増粘剤が配合されることが多い。皮膚外用剤等に従来用いられる増粘剤としては、主にカルボキシビニルポリマーやキサンタンガムが知られている。
【0003】
しかしながら、このような従来の増粘剤には、皮膚外用剤の塗布後にべたつき感を残し、また、増粘剤によるゲルが使用時に僅かな力でくずれ難く、みずみずしい感触とならないという問題があった。
このような使用感触の問題を解消するため、例えば、アルコールを高配合した皮膚外用剤が開発されているが、同成分による皮膚刺激が強すぎるため、ひりつき感や発赤が生じてしまうことがあった。
そこで、さらにグリセリンなどの保湿剤を配合して刺激性を低下させることが考えられるが、そうした場合、製剤の塗布感触が重くなる他、べたつき感が増進するといった新たな問題が生じる。
【0004】
その他の技術としては、四級アンモニウム塩であるトリメチルグリシンを化粧品へ配合する方法が提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、トリメチルグリシンの配合によりべたつき感に関しては向上が認められるものの、粉っぽい使用感が伴う傾向があった。
また、ムコ多糖と、キサンタンガム等のガム質と、前記トリメチルグリシンとを組み合わせて用いることにより、べたつき感を防止する方法も提案されている(例えば特許文献2)が、これに保湿剤を高配合すると使用感触が悪化するという問題があった。
【0005】
これらの問題に対し、肌荒れ改善効果を有し、安全性、使用感触、特に肌へののび、べたつき感のなさ、みずみずしさ、保湿効果感が良好な成分として特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールの配合が知られている(例えば特許文献3)。しかし、同成分の配合によって、同成分に起因する良好な使用感触は付与されるが、併用される増粘剤そのものによる前記使用感触等の問題を完全に解決するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−293625号公報
【特許文献2】特開平9−95432号公報
【特許文献3】特開2009−29909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、僅かな力でくずれて液状になるというみずみずしさを有し、且つ優れたなめらかさ及びきしみ感のなさを備えた、皮膚刺激性の低い皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明者らが検討を行った結果、特定の逆相乳化重合(逆相マイクロエマルション重合)により製造した合成高分子電解質からなるミクロゲルを増粘剤とし、特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルとともに配合することにより、増粘した製剤が僅かな力でさっとくずれ、液状になるというみずみずしさと、なめらかさ及びきしみ感のなさとを有し、しかも皮膚刺激性の低い皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる皮膚外用剤は、(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、下記一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、下記一般式(II)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体とを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を0.05〜2.5質量%と、(b)下記一般式(III)で示されるブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを0.01〜10質量%と、を含有することを特徴とする。
【化1】

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。)
【化2】

(R及びRはそれぞれ独立にHまたはメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、Xは金属イオンもしくはNHを表す。)
(化3)
Z−{O−[(AO)−(EO)]−R} (III)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a及びbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【0010】
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、上記一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、上記一般式(II)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体と、下記一般式(IV)に示される架橋性モノマーとを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を0.05〜2.5質量%と、(b)上記一般式(III)で示されるブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを0.01〜10質量%と、を含有することを特徴とする。
【化4】

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用時に僅かな力でさっとくずれて液状になるというみずみずしい感触をもち、なめらかできしみ感のなく、しかも皮膚に対する刺激の少ない皮膚外用剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳述する。
ミクロゲルからなる増粘剤とは、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られる合成高分子のミクロゲルからなる増粘剤である。
すなわち、一般に逆相乳化重合法と称される重合法により製造される高分子ミクロゲルを増粘剤の用途に使用するものであり、特開平2001−114641号公報に開示されているような均一重合系により得られる合成高分子からなる増粘剤とは、その重合方法及び力学物性が異なる。
ミクロゲルとは逆相マイクロエマルション重合法で製造された合成高分子電解質の微粒子である。本発明のミクロゲルからなる増粘剤は、水、エタノールあるいは水―エタノール混合溶液中で膨潤し、外観上肉眼的に均一な高粘度溶液を提供できる。
【0013】
本発明の増粘剤を製造する方法、すなわち増粘剤として使用されるミクロゲルの重合系は、従来の増粘剤である合成高分子を製造する均一重合系とは異なるものである。
特開平2001−114641号公報に開示されている均一重合系による合成高分子は本発明に用いるミクロゲルではなく、合成高分子を重合後、化粧料に配合するためには粉末状態に粉砕しなければならない。また、合成高分子のゲルが目立ち、外観上問題を生じる場合がある。
一方、本発明に用いるミクロゲルは不均一重合系で重合される。得られる合成高分子は微細な高分子ゲル、すなわちミクロゲルとなり、化粧料に配合する際に新たに粉砕して粉末状態にする必要がなく、優れた増粘効果と優れた使用感を発揮し、さらに皮膚外用剤の外観上も好ましい。
【0014】
また、高分子の逆相乳化重合法に関しては、特許第1911623号公報にアクリル酸を用いた水膨潤性ポリマーを逆相重合により製造し、これを増粘剤として応用する技術の記載があるが、これは現在汎用されているカルボキシビニルポリマーの欠点を改良する本発明に用いるミクロゲルとは異なるものである。
また、特開平9−12613号公報には、水吸収性樹脂のミクロゲル粒子をおむつあるいは生理用品に適するように一定以上の大きさに製造することが開示されているが、これは皮膚外用剤用増粘剤に応用できる技術ではなく、本発明に用いるミクロゲルとは全く異なるものである。
【0015】
本発明の増粘剤は逆相乳化重合法において製造される。すなわち、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して製造される。重合されたミクロゲルは洗浄、乾燥されるが、粉砕する必要はない。
特に適宜選択された親水疎水バランス(HLB)に調節された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルからなる増粘剤が製造されることが好ましい。
【0016】
一相マイクロエマルションとは熱力学的に安定に油相と水相が共存している状態で油・水間の界面張力は極小になっている状態である。また、微細W/Oエマルションは熱力学的には不安定であるが速度論的に安定に油と水が微細なW/Oエマルションとして存在している状態である。一般的に微細W/Oエマルションの内水相の粒子径は数10〜100nm程度である。これらの状態は系の組成と温度のみで決定され、機械的な攪拌条件などには左右されない。
【0017】
重合系を構成する組成物は、水とは混合しない有機溶媒若しくは油分からなる分散媒(外相を構成する)、水からなる分散相(内相を構成する)とからなる。
好ましい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。好ましい油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
【0018】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、分散相である水に溶解し次いで分散媒である有機溶媒あるいは油分と混合され、所望の温度に加熱した後、重合開始剤を水相に添加し重合を行う。
一般的に不均一重合法では重合中の攪拌条件により製造される高分子の物性が異なることが知られている。その理由は乳化系が熱力学的に安定な状態ではない為に攪拌条件による乳化粒子の形状、サイズに変化が生じる為である。本発明においては、熱力学的に安定な一相マイクロエマルション領域あるいは準安定的である一相領域の近傍に存在する微細W/Oエマルション領域で重合を行うことでこれらの問題を回避できることを見出した。具体的には、通常の熱重合あるいはレドックス重合用の重合開始剤の最適重合温度近傍に上記一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルション領域が出現するように重合系の組成(有機溶媒の種類、界面活性剤のHLB)を調節することで微細な水相(水滴)内で高分子を重合することで増粘効果が高いミクロゲルを得ることが可能になった。
これに対して、従来の懸濁重合による高分子の増粘剤(例えば、特開平2001−1146641号公報記載の方法)では重合時の水滴の粒子径コントロールが困難であり、良質なミクロゲルを得ることは困難である。
【0019】
本発明におけるミクロゲルの製造においては、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーとして下記一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミド及び、下記一般式(II)に示されるイオン性アルキルアミド誘導体が用いられる。
【化5】

【0020】
上記一般式(I)において、RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表す。好ましいジアルキルアクリルアミドとしては、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドが挙げられる。
【0021】
【化6】

上記一般式(II)において、R及びRはそれぞれ独立にHまたはメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、Xは金属イオンもしくはNHを表す。好ましいイオン性アクリルアミド誘導体としては、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩が挙げられる。
【0022】
ジアルキルアクリルアミドとイオン性モノマーの重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。ジアルキルアクリルアミドとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、ジアルキルアクリルアミド:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、ジアルキルアクリルアミド:イオン性モノマー=8:2である。
【0023】
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーを任意に選択して本発明の増粘剤が重合される。特に好ましい増粘剤は、ジアルキルアクリルアミドにジメチルアクリルアミドとイオン性モノマーに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルである。この場合に、架橋モノマーは必要がなく、自己架橋により優れた増粘効果と使用感が発揮される増粘剤が得られる。なお、架橋モノマーを用いることもでき、その場合には一般式(IV)で示される架橋モノマーが好ましく、特にメチレンビスアクリルアミドが好ましい。
【0024】
水溶性エチレン性不飽和モノマーを、分散相に溶解して本発明に好ましいミクロゲルを重合するためには、最適な外相油分あるいは有機溶媒と、界面活性剤とをそれぞれを選択することが必要である。本発明者は、非イオン界面活性剤の親水性疎水性バランス(HLB)を重合系の組成において相図を作成することにより、熱ラジカル重合に適する温度において曇点を示すように調製することで、通常の熱ラジカル重合温度において一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する状態を作り、増粘剤として好ましいレオロジー特性を持つミクロゲルが得られることを見出した。
【0025】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
これらの界面活性剤を適宜組み合わせて所望のHLBに調整して重合系に添加することが出来る。
【0026】
また驚くべきことに、ジアルキルアクリルアミドとアクリルアミド系イオン性モノマーを共重合したミクロゲルにおいては、自発的な架橋反応が進行し、特に第三成分として多官能性架橋モノマーを共重合しなくても、化学的に自己架橋されたミクロゲルが得られ、本発明に特に好ましい増粘剤となる。
【0027】
第三成分の多官能性架橋モノマーは必要ではないが、これを添加し共重合しても本発明に使用されるミクロゲルは合成可能である。多官能性架橋モノマーは、下記一般式(IV)に示されるモノマーが好ましく、一般式(IV)で示される架橋モノマーの一種類あるいは二種類以上を使用して架橋することが出来る。これらの架橋性モノマーはジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体との重合系において効率よく架橋構造を取り得ることが必須である。
【化7】

【0028】
好ましい架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート等が挙げられ、この中から選ばれた一種または二種以上を用いることが出来る。本発明においては、特に、N,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましく使用される。
【0029】
本発明の増粘剤である共重合体中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位とジアルキルアクリルアミド単位の含有量のモル比は、通常、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1であり、さらに好ましくは=3:7〜1:9である。最適比は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=2:8である。本発明の増粘剤の粘性は強解離基であるスルホニル基に基づく静電反発による分子鎖の伸展およびジアルキルアクリルアミドの自発架橋反応あるいは架橋性単量体による架橋構造に起因しているが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位またはその塩の含有量が、ジアルキルアクリルアミド単位に対して5モル%未満では十分に分子鎖の伸展が起こらないため十分な粘度が得られないことがある。
【0030】
架橋性モノマーの使用量は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩とジアルキルアクリルアミドの全モル数に対し0.0001〜2.0モル%の範囲で添加されることが好ましい。0.0001モル%未満で調製された増粘剤は架橋の効果が見られない場合がある。また、2モル%を超えて調製された場合、架橋密度が高すぎてミクロゲルが充分に膨潤出来ないために充分な増粘効果を発揮しない場合がある。
【0031】
本発明に用いるミクロゲルの分子量は重量平均分子量10万〜500万(PEG換算:GPCによる測定)程度であり、増粘剤として求められる粘度により調節される。
【0032】
上記の重合法によって得られるミクロゲルは、下記(1)〜(3)のすべてのレオロジー的性質を有する。このミクロゲルからなる増粘剤は上記の重合法による製造方法により得られ、増粘剤として好ましく使用される。
(1)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s−1において1000mPa・s以上である。
(2)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s−1において5000mPa・s以上である。
(3)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液若しくはエタノール分散液のおける動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲でG’>G’’である。
なお、ミクロゲルの水若しくはエタノール分散液の見かけ粘度とは、コーンプレート型レオメータ(Paar Physica製、MCR−300)を用い、測定温度25℃、ずり速度1s−1における粘度である。
また、動的弾性率は、同上の測定装置を用いて測定温度25℃、歪み1%以下で周波数範囲0.1〜10Hzで測定した貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の値を意味する。
【0033】
本発明に用いるミクロゲルは重合後簡単な沈殿精製工程を経て粉末状態で分離することが可能である。粉末状に分離されたミクロゲルは、水あるいはエタノールまたは水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し増粘剤として機能する。
また、ミクロゲルに共重合されるイオン性モノマーを、強酸性のモノマー(例えばスルホン酸残基を含むモノマー)を選択することで、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能である。
さらに、本発明に用いるミクロゲルは、従来、増粘若しくはゲル化が困難とされたアルコールの増粘若しくはゲル化も可能である。本発明の増粘剤は増粘若しくはゲル化の用途に使用され、皮膚外用剤に増粘剤として配合すると優れた増粘効果を発揮し、さらに従来の増粘剤の問題とされていた、皮膚外用剤の使用時のぬるつき及び乾き際のべたつきが大幅に改善され、極めて優れた使用感を持つ皮膚外用剤の製造が可能になる。
【0034】
本発明の皮膚外用剤は、上記ミクロゲルを増粘剤として化粧料基剤に配合して製造される。増粘剤の配合量は目的とする皮膚外用剤に応じて適宜決定され限定されない。使用性の点から、好ましい配合量は0.05質量%〜2.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%である。
【0035】
また本発明にかかる特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルは、下記一般式(III)で示されることを特徴とするものである。
(化8)
Z−{O−[(AO)−(EO)]−R}2 (III)
式(III)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基である。AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt−ブチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらに好ましくはオキシブチレン基である。これらの付加形態はブロック状である。
【0036】
aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150である。好ましくは2≦2×a≦70、5≦2×b≦120であり、より好ましくは、2≦2×a≦50、10≦2×b≦100である。2×aが0であると使用感触に劣る傾向があり、150を越えると保湿効果感に劣る傾向がある。また2×bが0であると保湿効果や肌荒れ改善効果に劣る傾向にあり、さらに界面活性剤として機能せず、150を越えるとべたつき感が生じる傾向にある。
【0037】
前記式(III)中のAOとEOの合計に対するEOの割合は10〜99質量%であり、好ましくは20〜70質量%である。10質量%より小さいと保湿効果感に劣る傾向にある。
また、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の付加形態はブロック状である。ランダム状であると界面活性剤として機能せず、基剤安定性が不良になる。付加順序はダイマージオールに対して、AO、EOの順で結合しているのが好ましい。
【0038】
Rは、炭素数1〜4の炭化水素基である。べたつきの原因となる末端の水酸基をアルキルエーテル化することで、皮膚とのなじみが向上し、良好な使用感をもたらす。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基およびこれらの混合基などが挙げられる。本発明においてはメチル基、エチル基であることが好ましい。炭素数が5より大きいと、保湿効果感が劣る傾向にある。
【0039】
式(III)で示される特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルにおいて、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基である。ここで、ダイマージオールとは、ダイマー酸を還元して得られるジオールである。
ダイマージオールは、みずみずしさや基剤の安定性を付与するのに必須成分である。
本発明に用いられるダイマージオールの原料となるダイマー酸は、例えば、不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを重合することによって得られる二量体である。具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルコールのエステルをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。生成したダイマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応の脂肪酸が残っていても構わない。
【0040】
ダイマー酸としては、炭素数12〜24の不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを二量化したものが好ましい。この場合、Zは炭素数24〜48のダイマージオール残基となる。このような不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレイン酸及びこれらの炭素数1〜3の低級アルコールエステルなどが挙げられるが、好ましくは、炭素数18の不飽和脂肪酸であり、オレイン酸又はリノール酸もしくはその低級アルコールエステルが特に好ましい。また、二量化した後に、残存する不飽和二重結合を水素添加したダイマー酸を用いてもよい。
ダイマージオールは、動物油脂由来及び植物油脂由来のものが流通しているが、本発明では何れも使用できるが、植物油脂由来のものがより好ましい。このようなダイマージオールとしては、コグニス・ジャパン社製Sovermol 908、ユニケマ社製PRIPOL 2033、東亞合成(株)製ぺスポールHP−1000などが例示できる。
【0041】
本発明にかかるアルキレンオキシド誘導体としては、具体的には、例えば、POB(25)POE(34)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(25)POE(35) ジメチルダイマージオールエーテル、POB(4)POE(13)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(25)POE(52)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(41)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(15)POE(44)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(41)ジエチルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(41)ジプロピルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(41)ジブチルダイマージオールエーテル、POB(11)POE(30)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(15)POE(45)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(50)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(21)POE(56)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(12)POE(50)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(18)POE(61)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(3)POE(40)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(6)POE(82)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(40)POE(120)ジメチルダイマージオールエーテル、POB(100)POE(40)ジメチルダイマージオールエーテル、POE(35)POP(30)ジメチルダイマージオールエーテル、POE(52)POP(30)ジメチルダイマージオールエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。また、上記POE、POP、POBの付加モル数は、それぞれ分子中の総付加モル数であり、すなわち、2×a,2×bの値として表記している。
【0042】
式(III)で示される特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルは、公知の方法で製造することができる。例えば、ダイマージオールに、炭素数3〜4のアルキレンオキシド、エチレンオキシドを順に付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0043】
本発明にかかる皮膚外用剤において、上記特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルは、通常、組成物全体に対して、0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%配合される。0.01質量%未満では配合による効果の発現が十分ではない場合があり、また10質量%を超えると、使用後きしも感を生じる場合がある。
【0044】
本発明の皮膚外用剤には上記ミクロゲル、及び特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルの他、通常化粧品や医薬部外品の皮膚外用剤に用いられる成分を配合することができ常法に応じて製造される。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記ミクロゲル、及び特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルと、下記成分の一種又は二種以上とを配合して本発明の皮膚外用剤を調製できる。
【0045】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0046】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0047】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0048】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0049】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0050】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0051】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0052】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0053】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0054】
また本発明にかかる皮膚外用剤には、各種の界面活性剤を配合してもよい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0055】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0057】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0058】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0059】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0060】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0061】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0062】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0063】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル-ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)
ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0064】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0065】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0066】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0067】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム) 、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0068】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0069】
アルキレンオキシド誘導体としては、例えば、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル等が挙げられる。
【0070】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0071】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0072】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);血行促進剤(ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエステル、ミノキシジル又はその類縁体、ビタミンE類、γ−オリザノール、アルコキシカルボニルピリジンN−オキシド、塩化カルプロニウム、及びアセチルコリン又はその誘導体等);各種抽出物(例えば、ショウガ、ウバク、オウレン、シコン、バーチ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキョウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、ボタン、海藻等)、賦活剤(例えば、パンテニールエチルエーテル、ニコチン酸アミド、ビオチン、パントテン酸、ローヤルゼリー、コレステロール誘導体等);抗脂漏剤(例えば、ピリドキシン類、チアントール等)等が挙げられる。
【0073】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ローション、ジェル、ミスト、スプレー、ムース、ロールオン、スティック等、どのような剤型でも構わない。特に、ゲル状のボディージェル、乳液、ヘアジェル、アフターシェーブローションなどを好適に製造することができる。
【実施例1】
【0074】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれにって限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。増粘剤の比較例としては、汎用の増粘剤であるカルボキシビニルポリマー(シンタレンL:3V sigma社製)を使用した。
最初に、本実施例で用いた評価方法について説明する。
【0075】
評価(1):ゲル形成能
実施例、比較例の製剤を調整後、ゲルの形成状態を観察した。評価基準は以下の通りである。
○:ゲルの形成が認められた。
×:ゲルの形成が認められなかった。
【0076】
評価(2)ゲルのくずれ易さ・みずみずしさ
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布中のゲルのくずれ易さ、及びみずみずしさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:専門パネラー8名以上が、塗布中ゲルがくずれ易く、みずみずしいと認めた。
○:専門パネラー6名以上8名未満が、塗布中ゲルがくずれ易く、みずみずしいと認めた。
△:専門パネラー3名以上6名未満が、塗布中ゲルがくずれ易く、みずみずしいと認めた。
×:専門パネラー3名未満が、塗布中ゲルがくずれ易く、みずみずしいと認めた。
【0077】
評価(3)皮膚刺激性(ひりつき感のなさ)
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布後のひりつき感のなさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:専門パネラー8名以上が、塗布後ひりつき感がないと認めた。
○:専門パネラー6名以上8名未満が、塗布後ひりつき感がないと認めた。
△:専門パネラー3名以上6名未満が、塗布後ひりつき感がないと認めた。
×:専門パネラー3名未満が、塗布後ひりつき感がないと認めた。
【0078】
評価(4)きしみのなさ
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、使用時のきしみのなさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:専門パネラー8名以上が、使用中にきしみがないと認めた。
○:専門パネラー6名以上8名未満が、使用中にきしみがないと認めた。
△:専門パネラー3名以上6名未満が、使用中にきしみがないと認めた。
×:専門パネラー3名未満が、使用中にきしみがないと認めた。
【0079】
評価(5)なめらかさ
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、使用後の肌のなめらかさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:専門パネラー8名以上が、使用後の肌がなめらかであると認めた。
○:専門パネラー6名以上8名未満が、使用後の肌がなめらかであると認めた。
△:専門パネラー3名以上6名未満が、使用後の肌がなめらかであると認めた。
×:専門パネラー3名未満が、使用後の肌がなめらかであると認めた。
【0080】
つづいて、本実施例に用いたミクロゲル及びブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルの製造例を示す。なお、ブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルのオキシアルキレン基及びオキシエチレン基の付加モル数については、それぞれ2×a、2×bの値として表記する。
<ミクロゲルの製造例>
化合物1:ポリ(ジメチルアクリルアミド)−co−2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸−co−メチレンビスアクリルアミド
ジメチルアクリルアミド(興人社製)を35gと、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma社製)を17.5gと、メチレンビスアクリルアミドを70mgとを260gのイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した。還流装置を備えた1000ml三口フラスコに、n−ヘキサンを260gと、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション社製)を8.7gと、ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション社製)を17.6gを入れ、混合溶解し、N置換を行った。この三口フラスコにモノマー水溶液を添加し、N雰囲気下で撹拌しながらオイルバスで65〜70℃に加熱した。系の温度が65〜70℃に達したところで、系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認し、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始した。重合系を拡販しながら65〜70℃で3時間維持することにより、ミクロゲルが生成された。重合終了後、ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄して残存モノマー及び界面活性剤を除去した。沈殿物は、ろ過後に減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得た。
【0081】
<アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルの製造例>
化合物2:POB(18モル)POE(41モル)ジメチルダイマージオールエーテル
Z−{O−[(AO)−(EO)]−R}
(Z:炭素数36のダイマージオール(リノール酸由来)残基、AO:オキシブチレン基、2×a=18、2×b=41、R=メチル基、EO/(AO/EO)=58.2質量%)
ダイマージオール270g(0.50モル、商品名:コグニス・ジャパン(株)製Sovermol 908、リノール酸由来のダイマージオール)と水酸化カリウム6.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃にて触媒を完全に溶解させた。引き続き、120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置よりブチレンオキシド650gを滴下させ、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて滴下装置よりオキシエチレン905gを滴下させ、2時間撹拌した。次に、水酸化カリウム100gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル60gを温度80〜130℃、0.3MPa(ゲージ圧)にて圧入し6時間反応させた。その後オートクレーブより反応物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を100℃1時間処理することで除去した。さらに処理後生成した塩を除去するためにろ過を行い、化合物2を得た。
【0082】
上記アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルの製造例に準じて、本発明者らは下記表1に示す化合物2〜6、及び比較化合物1〜6を製造した。
【表1】

【0083】
上記のように製造したミクロゲル(化合物1)又は他の増粘剤を用い、下記表2に記載の配合組成からなる皮膚外用剤(ボディージェル)を常法により製造し、上記の評価(1)〜(5)について評価試験を行った。
【表2】

【0084】
上記表2に示すように、特定構造のミクロゲル(化合物1)を特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテル(POB(12)POE(50)ジメチルダイマージオールエーテル)と共に配合した試験例1−1は、いずれの評価においても優れていた。
一方、化合物1に代えてカルボキシビニルポリマーを用いた試験例1−5では、エタノールの高配合のため組成物が増粘しなかった。その他の増粘剤を用いた試験例1−2〜4では、ゲル形成は認められたものの、ゲルのくずれ易さの評価は低く、なめらかさが認められなかった。
化合物2のみを配合し、増粘剤を配合しなかった試験例1−6では、ゲルが形成されなかった。
以上のことから、本発明においては、特定構造のミクロゲルを配合することが好適である。
【0085】
上記のように製造したブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテル(化合物2)又は他の保湿剤を用い、下記表3に記載の配合組成からなる皮膚外用剤(ボディージェル)を常法により製造し、上記の評価(1)〜(5)について評価試験を行った。
【表3】

【0086】
表3に示すように、化合物2を0.01〜10.0質量%の範囲で配合した試験例2−1〜3は全ての項目で高い評価を得た。しかし、化合物2を11.0質量%配合した試験例2−4では、ゲルの使用感が低下した。
一方、化合物2に代えてグリセリンやトリメチルグリシンを用いた試験例2−5,2−6は、崩れやすくみずみずしいゲルを形成せず、なめらかさやきしみのなさにおいても化合物1を用いた試験例よりも劣っていた。また、エタノールの配合による皮膚刺激性の評価も、化合物2を配合した場合に比べやや低下した。しかし、グリセリンやトリメチルグリシンを用いた場合であっても、化合物2が共に配合されている試験例2−7及び2−8では、良好な評価が得られた。
以上のことから、本発明においては、特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを配合することが好適である。また、特に、前記成分の配合量を0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。
【0087】
続いて、上記のようにして製造した化合物1〜6及び比較化合物1〜6を用い、下記表4及び5に記載の配合組成からなる各実施例及び比較例の皮膚外用剤(ボディージェル)を常法により製造し、上記の評価(1)〜(5)について評価試験を行った。
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
表4に示されるように、ミクロゲル(化合物1)及び特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテル(化合物2〜6)を配合した実施例1〜5は、(1)〜(5)のいずれの評価においても優れているものであった。
これに対して表5に示されるように、化合物1と、オキシエチレン基のみの比較化合物1を用いた比較例1、2では、使用後のきしみ感、なめらかさが十分ではない。化合物1と、オキシブチレン基のみの比較化合物2を用いた比較例3、4では、特にゲルのくずれやすさ・みずみずしさの点で十分ではなかった。
両末端が水素の化合物(比較化合物3)を用いた比較例5では、ゲルのくずれやすさ・みずみずしさ、及び使用後のきしみのなさ、なめらかさが十分ではなく、両末端が炭素数6の炭化水素基の化合物(比較化合物4)を用いた比較例6では、ゲルのくずれやすさ・みずみずしさの点が十分でなかった。また、アルキレンオキシド/エチレンオキシドの結合形態がランダム型の化合物(比較化合物5)を用いた比較例7では、使用後のきしみのなさ、なめらかさが十分ではなかった。
以上のことから、本発明において、特定の構造を有するブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを使用することが好適である。
【0090】
以下に本発明の皮膚外用剤の処方例を挙げるが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。得られた皮膚外用剤は、使用感触、特にわずかな力でさっとくずれ液状になるというみずみずしい優れた使用感触、そして塗布後にはなめらか感、きしみ感のない感触が得られ、さらに低刺激のものであった。
【0091】
処方例1 乳液
スクワラン 5.0 質量%
オレイルオレート 2.0
ワセリン 2.0
POB(15)POE(44)ジメチルダイマージオールエーテル 5.0
(炭素数36ダイマージオール)
月見草油 0.1
香料 0.05
防腐剤 0.3
1,3ブチレングリコール 2.5
POE(14)POP(7)ジメチルエーテル
(ランダムポリマー) 0.1
エタノール 5.0
合成例1 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.3
水酸化カリウム 0.1
L−アルギニンL−アスパラギン酸塩 0.01
エデト酸塩 0.05
精製水 残 余
【0092】
処方例2 ヘアジェル
ポリビニルピロリドン 2.0 質量%
グリセリン 3.5
エタノール 50.0
合成例1 1.0
POB(12)POE(50)ジメチルダイマージオールエーテル 0.01
(炭素数36ダイマージオール)
カルボキシビニルポリマー 1.0
精製水 残 余
【0093】
処方例3 アフターシェーブローション
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
エタノール 50.0
合成例1 2.5
POB(12)POE(50)ジメチルダイマージオールエーテル 10.0
(炭素数36ダイマージオール)
カルボキシビニルポリマー 2.0
アラントイン 0.2
アロエ抽出液 0.5
精製水 残 余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、下記一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、下記一般式(II)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体とを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を0.05〜2.5質量%と、
(b)下記一般式(III)で示されるブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを0.01〜10質量%と、
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化1】

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。)
【化2】

(R及びRはそれぞれ独立にHまたはメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、Xは金属イオンもしくはNHを表す。)
(化3)
Z−{O−[(AO)−(EO)]−R} (III)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a及びbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【請求項2】
(a)有機溶媒もしくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、上記一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、上記一般式(II)に示されるイオン性アクリルアミド誘導体と、下記一般式(IV)に示される架橋性モノマーとを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤を0.05〜2.5質量%と、
(b)上記一般式(III)で示されるブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを0.01〜10質量%と、
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化4】


【公開番号】特開2011−241172(P2011−241172A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114201(P2010−114201)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】