説明

皮膚外用剤

【課題】ケミカルピーリング剤特有の肌のきめやくすみ、ニキビ等の改善効果に優れ、たれ落ちのない適度な粘度を有しながらも洗い流しやすく、また塗布しやすく、低刺激で安全性にも優れた皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】(a)α−ヒドロキシ酸より選択される1種または2種以上を1.0〜7.0質量%と、(b)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を0.1〜3.0質量%と、(c)(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーのような会合性増粘剤を0.1〜3.0質量%、とを含み、pHが2.0〜5.0であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、使用性および安定性に優れた、皮膚の改善、老化防止、皺の予防・改善等のための皮膚外用剤およびそれを含む化粧料キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚表面の古い角質層を剥離し、さらに新しい角質層を再生させて、表皮のターンオーバー(新陳代謝)を促進させる効果を有するとして、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸または酒石酸のようなα−ヒドロキシ酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸、フェノール等が、化粧品に代表される皮膚外用剤中に配合されている。また、それら化合物は、肌のきめ、くすみ、荒れ等を改善するのに用いられる他に、小皺やしみ、そばかす、肝斑、老人性色素斑などの各種色素沈着、座そう(ニキビ)、皮膚炎痕、火傷、熱傷、創傷およびそれらの瘢痕皮膚の皺とりまたはしみとりなどのためのケミカルピーリングに用いられている(例えば、特許文献1および2)。それらの薬剤によって肌のきめやくすみ、ニキビ等を改善するには薬剤が肌上にとどまっていることが好ましいが、従来のケミカルピーリング用の外用剤は、使用時にたれ落ちて使用性が悪いという問題があった。また、増粘させるために増粘剤を多く配合した場合には、除去する時に洗い流しにくいという問題があった。
【0003】
α−ヒドロキシ酸等を含む外用剤に増粘剤を配合する技術としては、例えば、カルボキシビニルポリマーとα−ヒドロキシ酸とを特定の配合割合で配合させたり、またはα−ヒドロキシカルボン酸と、キサンタンガムのようなヘテロバイオ多糖ガムと、無機増粘剤と、ポリアクリルアミド等をそれぞれ特定の配合量で配合させることによって、α−ヒドロキシ酸を含む組成物において粘度を高める試みが知られている(特許文献3および4)。また、現在市販されているα−ヒドロキシ酸含有の外用剤は、増粘剤としてキサンタンガムまたはヒドロキシエチルセルロースが用いられている。
【0004】
しかしながら、これらの従来公知の外用剤はいずれも粘度安定性が悪く、製造直後には高い粘度を有していても、保存中、特に高温での保存中に粘度が著しく低下するという問題があった。特に、α−ヒドロキシ酸等の化合物を高配合量で含み、かつ低pHである場合には、十分かつ安定な増粘をもたらすことはできなかった。また増粘剤の量を増やして製造時の粘度を高くしすぎると、その使用性が悪くなったり、肌から除去する場合に洗い流しにくいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−139947号公報
【特許文献2】国際公開第01/017487号パンフレット
【特許文献3】特開平10−218753号公報
【特許文献4】特開平8−53322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み、α−ヒドロキシ酸を含み、皮膚に塗布後除去する外用剤であって、低pHで粘度安定性がよく、使用性および安定性に優れた皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の増粘剤を組み合わせて配合することにより、たれ落ちのない適度な粘度を有しながらも洗い流しやすく、また塗布しやすいα−ヒドロキシ酸配合の皮膚外用剤とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、次の(a)〜(c)を含み、pHが2.0〜5.0であり、皮膚に塗布後除去することを特徴とする皮膚外用剤である。
(a)α−ヒドロキシ酸より選択される1種または2種以上を1.0〜7.0質量%
(b)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を0.1〜3.0質量%
(c)下記の一般式(1)で表される化合物からなる会合性増粘剤を0.1〜3.0質量%
R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m …(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
【0009】
また本発明は、上記の皮膚外用剤と、該皮膚外用剤の使用後に用いるマスクと、該マスクの使用後に用いる夜用クリームとを少なくとも備えてなることを特徴とする化粧料キットである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるα−ヒドロキシ酸配合の皮膚外用剤は、たれ落ちのない適度な粘度を有しながらも洗い流しやすく、また塗布しやすく、低刺激で安全性にも優れたものである。また、粘度安定性もよく、ケミカルピーリング特有の肌のきめやくすみ、ニキビ等の改善効果にも優れたものである。
また、酸化チタンをさらに配合することにより、塗布後、塗布している部位が目視で確認でき、洗い流し残りも確認できるものとなる。
【0011】
本発明による化粧料キットは、上記皮膚外用剤と共に用いる化粧料を併せ備えたキットとすることにより、使用者がこの化粧料キットを用いることで上記本発明の皮膚外用剤の効果をより一層引き出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
((a)α−ヒドロキシ酸より選択される1種または2種以上)
本発明で用いられる(a)α−ヒドロキシ酸は、従来から、化粧料や洗浄剤の緩衝剤や中和剤として用いられており、また、角質の柔軟化または細胞賦活化等の目的で各種化粧料に配合されている。本発明の皮膚外用剤に配合されるα−ヒドロキシ酸としては、特に限定はされないが、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリセリン酸、ピルビン酸、マンデル酸等が挙げられる。中でも、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸が、表皮のターンオーバーを促進する効果に優れているので特に好ましく、その中でもグリコール酸が好ましい。本発明の皮膚外用剤中にはこれらのα−ヒドロキシ酸を単独で配合しても、または必要に応じて2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤における上記(a)成分の配合量は、皮膚外用剤全量に対して1.0〜7.0質量%であるが、好ましくは2.0〜6.0質量%であり、さらに好ましくは3.0〜5.0質量%である。1.0質量%未満では、十分なケミカルピーリングの効果をもたらすことができない場合があり、また7.0質量%を越えると、皮膚刺激が大きくなる。
【0014】
((b)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体)
本発明で用いられる成分(b)の架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体としては、N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N−メチレンビスアクリルアミド共重合体が好ましく、この共重合体は、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)クロスポリマーとも称される。
(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)クロスポリマーは、特許第3708531号公報に記載された方法で製造することができる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤における上記(b)成分の配合量は、皮膚外用剤全量に対して0.1〜3.0質量%であるが、好ましくは0.5〜2.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜1.5質量%である。(b)成分の配合量が少なすぎると粘度が低すぎて垂れ落ちしやすくなったり、あるいは(c)成分で粘度を確保した場合には塗布しにくくなる。(b)成分の配合量が多すぎると洗い流しにくくなる。
【0016】
((c)会合性増粘剤)
本発明で用いられる成分(c)の会合性増粘剤は、上記一般式(1)で表されるものである。
この会合性増粘剤は、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつコポリマーであり、水溶性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示すものである。
【0017】
上記一般式(1)で表される疎水変性ポリウレタンは、例えばR1−[(O−R2)k−OH]mで表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールとR3−(NCO)h+1で表される1種または2種以上のポリイソシアネートと、HO−(R4−O)n−R5で表される1種または2種以上のポリモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。
【0018】
この場合、一般式(1)中のR1〜R5は、用いるR1−[(O−R2)k−OH]m、R3(NCO)h+1、HO−(R4−O)n−R5により決定される。3者の仕込み比は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0.8:1〜1.4:1であるのが好ましい。
【0019】
一般式(1)で表される会合性増粘剤を得るのに好ましく用いることができるR1−[(O−R2)k−OH]mで表されるポリエーテルポリオール化合物は、m価のポリオールにエチレンオキイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合することによりできる。
【0020】
ここでポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタトリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール等の4価のアルコール、アドニット、アラビット、キシリット等の5価アルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビット、マンニット、イジット等の6価アルコール、ショ糖等の8価アルコール等が挙げられる。
【0021】
また、付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等により、R2が決定され、特に入手が容易であり、優れた効果を発揮させるためには、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドあるいはスチレンオキサイドが好ましい。
【0022】
付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等は単独重合、2種類以上のランダム重合あるいはブロック重合であって良い。付加の方法は通常の方法であって良い。また、重合度kは、0〜1000であり、好ましくは1〜500、更に好ましくは10〜200が良い。また、R2に占めるエチレン基の割合が、好ましくは全R2の50〜100質量%であると、今回の目的に良好な会合性増粘剤が得られる。
【0023】
また、R1−[(O−R2)k−OH]mの分子量は500〜10万のものが好ましく、1000〜5万のものが特に好ましい。
【0024】
本発明の一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンを得るのに好ましく用いることができるR3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート等が挙げられる。
【0025】
また、これらのポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)で用いられても良く、また、アミンと反応させてビウレットとして用いても良い。
【0026】
さらに、これらのポリイソシアネート化合物と、ポリオールを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートも用いることができる。ポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、前述のポリオールが好ましい。なお、R3−(NCO)h+1として3価以上のポリイソシアネートを用いる場合は、このウレタン結合を有するポリイソシアネートが好ましい。
【0027】
本発明の一般式(1)で表される疎水性変性ポリエーテルウレタンを得るのに好ましく用いることができるHO−(R4−O)n−R5で表されるポリエーテルモノアルコールは、直鎖および分岐鎖または2級の1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定されない。このような化合物は、直鎖および分岐鎖または2級の1価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合することにより得ることができる。
【0028】
上記の一般式(1)で表される化合物を製造する方法としては、通常のポリエーテルとイソシアネートとの反応と同様にして例えば80〜90℃ で1〜3時間加熱し、反応せしめて得ることができる。
【0029】
本発明において、最も好ましい(c)の会合性増粘剤は、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーである。(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーは、ポリエチレングリコール−240/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマー ビスデシルテトラデセス−20エーテルとも称されるもので、市販品としてアデカノールGT−700(ADEKA社製)が挙げられる。
【0030】
本発明の皮膚外用剤における上記(c)成分の配合量は、皮膚外用剤全量に対して0.1〜3.0質量%であるが、好ましくは0.5〜2.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜1.5質量%である。(c)成分の配合量が少なすぎると粘度が低すぎて垂れ落ちしやすくなったり、あるいは(b)成分で粘度を確保した場合には洗い流しにくくなる。(c)成分の配合量が多すぎると肌への塗布がしにくくなる。
【0031】
上記(b)成分と(c)成分の配合割合(質量比)は、(b):(c)=1:0.6〜1:1.5であることが好ましく、より好ましくは、(b):(c)=1:0.6〜1:1である。(b)成分に対して(c)成分が少なすぎると洗い流しにくくなり、(b)成分に対して(c)成分が多すぎると塗布しにくくなる。
【0032】
((d)酸化チタン)
本発明においては、(d)酸化チタンをさらに含むことにより、その着色効果で、塗布後、塗布している部位が目視で確認でき、洗い流し残りも確認できるものとなる。
本発明で用いられる皮膚外用剤は、α−ヒドロキシ酸を含み、ケミカルピーリング用として用いられることが好ましい。そのため、皮膚に適用後は一定時間経過後に除去するものであるが、基剤が透明の場合洗い流し残しや、拭き取り残しがわかりにくく、刺激の原因となる。
本発明に用いられる(d)酸化チタンとしては、通常、化粧料分野で使用されているものを用いることができる。
【0033】
成分(d)を配合する場合、その配合量は本発明の皮膚外用剤全量中に0.1〜3.0質量%であるが、好ましくは0.5〜2.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜1.5質量%である。0.1質量%未満では、十分な着色効果をもたらすことができず、また3.0質量%を越えても着色効果はあがらない。
【0034】
本発明の皮膚外用剤のpHは2.0〜5.0であるが、皮膚への刺激性および効果の観点から、好ましくはpH3.0〜5.0、より好ましくはpH3.5〜4.5である。
【0035】
また、本発明の皮膚外用剤の粘度は10000〜30000mPa・s/30℃であることが好ましく、より好ましくは20000〜25000mPa・s/30℃である。この範囲で、垂れ落ちのなさ、塗布しやすさなどの使用性が最適のものが得られる。
【0036】
さらに配合する中和剤としては、特に限定はされないが、苛性カリ、苛性ソーダ、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、L−アルギニン、L−リジン等が挙げられる。特に、クエン酸ナトリウム、苛性ソーダが好ましい。本発明の皮膚外用剤中に、これらの中和剤を単独で配合しても、または必要に応じて2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0037】
本発明の皮膚外用剤における中和剤の配合量は、好ましくは、外用剤全量に対して0.1〜2.0質量%であり、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0038】
本発明の皮膚外用剤の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、精製水にすべての成分を溶解し、ろ過して目的の皮膚外用剤を得る方法が挙げられる。
【0039】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布後、一定時間放置したのちに除去するタイプの外用剤であり、ケミカルピーリング用の外用剤として用いることが好ましい。通常は、その使用方法として、皮膚に塗布後一定時間放置してから洗い流す方法がとられるが、濡れたコットンあるいはタオルで拭取ることもできる。
【0040】
特に本発明の皮膚外用剤を用いてケミカルピーリングを行う場合は、例えば次のような適用方法が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤を皮膚に塗布した後、所定時間放置後、洗い流す操作を2〜3日、好ましくは2日おいて繰り返す。塗布後の放置時間は、3〜5分程度であることが好ましい。繰り返しの回数は、1回以上であり、好ましくは3回以上、例えば3〜7回繰り返して行う。繰り返し回数が3回の場合、適用回数は計4回となる。
【0041】
本発明において、「皮膚外用剤」は、外皮に適用するものであれば特に限定されず、化粧料、医薬品、医薬部外品等を含む。また、その剤型は増粘された剤型であればよく、任意の剤型を含む。また、シート状基剤に担持されたものも含む。
【0042】
本発明の皮膚外用剤は、上記した必須構成成分の他に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の任意の成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。例えば、上記必須配合成分と、下記成分の1種または2種以上とを配合して本発明の皮膚外用剤を調製できる。
【0043】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAメチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2- エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ−β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,1-カンファー、3-ベンジリデン-d,1-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられ、任意の1種または2種以上を用いることができる。
【0044】
紫外線散乱剤としては、(d)成分である酸化チタン、微粒子酸化チタンや、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、微粒子酸化鉄、酸化セリウムなどの粉末が挙げられる。
【0045】
これら紫外線散乱剤は、通常、針状、紡錘状、球状、粒状の粉末が使用される。また、粒子径が0.1μm以下の微粒子粉末が好ましい。
【0046】
メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理;金属石鹸処理;パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した紫外線散乱剤も好ましい。
【0047】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0048】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0049】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0050】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0051】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0052】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0053】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム重合体メチルエーテル等が挙げられる。
【0054】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0055】
その他には、エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン,トコフェロール,フィチン等の酸化防止剤;安息香酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸アルキルエステル,ヘキサクロロフェン等の抗菌剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン等の有機酸;ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2およびその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸,アスコルビン酸硫酸エステル(塩),アスコルビン酸リン酸エステル(塩),アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、セイヨウサンザシエキス、セイヨウオトギリソウエキス、アイリス・インエキス、アセンヤクエキス、イチョウ葉エキス、イブキジャコウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウオーターリリーエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、紅茶エキス、セイカリュウエキス、トルメンチラエキス、バラエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、δ−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、パラベン等の防腐剤が挙げられる。
【0056】
さらに、本発明の皮膚外用剤は、α−ヒドロキシ酸の他に、例えばN,N,N−トリメチルグリシン(TMG)、L−セリン、マロン酸、またはコハク酸のような他の任意の角質剥離剤をさらに含んでいてもよい。そのような角質剥離剤をさらに配合することによって、より高い美肌効果をもたらすことができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
実施例に先立ち、本発明で用いた評価方法を説明する。また、本実施例で用いた(a)成分の合成方法についても記載する。
【0058】
(1)効果の評価方法
20名の専門パネルによって試料を使用し、次のような実使用試験を行った。試験項目は、指取れやすさ、塗布しやすさ、洗い流している時のぬめり、洗い流しやすさである。それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点を合計し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0059】
(実使用試験方法)
調製したケミカルピーリング用皮膚外用剤を専門パネルにより1群10名で2日おきに合計4回適用してもらった。適用方法は、夜、洗顔後に、外用剤を指にとり、目のまわり、口のまわり、鼻孔、生え際を避け、均一に広げる。5分間放置し、流水で約1分間を目安に、強くこすらないよう水かぬるま湯で十分に洗い流す。
ケミカルピーリング用剤適用期間中の刺激のなさの評価、ならびに肌状態(つるつる感、すべすべ感)の評価を下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点を合計し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0060】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0061】
(評価基準)
◎:平均点が4以上〜5である。
○:平均点が3以上〜4未満である。
△:平均点が2以上〜3未満である。
×:平均点が1以上〜2未満である。
【0062】
(2)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体の合成
ジメチルアクリルアミド(興人社製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma社製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびエポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解し、N2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃ 〜 70℃ に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜 70℃ に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0063】
実施例1〜10、比較例1〜3
下記表1、表2に示した各処方成分よりなるケミカルピーリング用外用剤を下記の方法(1)〜(3)で調製した。得られたケミカルピーリング用外用剤について、上記の基準で、指取れやすさ、塗布しやすさ、洗い流している時のぬめり、洗い流しやすさを評価した。その結果を併せて表1、表2に示す。
【0064】
(1)実施例1〜10の外用剤の製造方法
イオン交換水に架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を溶解した後、グリコール酸を添加して溶解し、水酸化ナトリウムを添加して中和した。予め一部の精製水に加熱溶解した(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーを混合し、その後、残りの成分を溶解し、ろ過して外用剤を得た。
【0065】
(2)比較例1、3の外用剤の製造方法
精製水に架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を溶解した後、グリコール酸を添加して溶解し、水酸化ナトリウムを添加して中和した。その後、残りの成分を溶解し、ろ過して外用剤を得た。
【0066】
(3)比較例2の外用剤の製造方法
精製水にグリコール酸を添加して溶解し、水酸化ナトリウムを添加して中和した。予め一部の精製水に加熱溶解した(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーを混合し、その後、残りの成分を溶解し、ろ過して外用剤を得た。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
※1:アデカノールGT−700(ADEKA社製)
【0070】
本発明のグリコール酸と架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体および(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI )コポリマーとを含有する皮膚外用剤(実施例1〜5)は、指取れもよくしかも洗い流しやすさに非常に優れていた。
一方、グリコール酸と架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体のみを含有する皮膚外用剤(比較例1)では、指取れはいいが、洗い流しやすさが非常に悪かった。また、グリコール酸と(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーのみを含有する皮膚外用剤(比較例2)においては、洗い流しやすさはいいが、指取れは非常に悪かった。
【0071】
実施例11(化粧料キット)
日中用クリーム、夜用クリーム、エッセンス(保湿液)、マスク、上記実施例4記載の皮膚外用剤よりなる化粧料キットとした。日中用クリーム、夜用クリームおよびエッセンスは、市販され、通常一般的に用いられているものである。
この化粧料キットは、朝の手入れ用としてエッセンスと日中用クリーム(朝操作1)、夜の手入れ用としてエッセンスと夜用クリーム(夜操作1)、あるいは実施例4記載の皮膚外用剤とマスクと夜用クリーム(夜操作2)が用いられる。
使用方法としては、朝、夜共に洗顔後に適用する。朝の手入れは、朝操作1を毎日行う。夜の手入れは、夜操作2−夜操作1−夜操作1−夜操作2−夜操作1−夜操作1−夜操作2−…のように、2日おきに夜操作2をいれて行い、夜操作2が4回程度行われるようにする。
また夜操作2の使用方法は、次のとおりである。
(1)実施例4記載の皮膚外用剤(実施例4処方)を指先にとり、目のまわり、口のまわり、鼻孔、生え際を避け、均一に広げる。
(2)そのまま5分間放置し、流水で約1分間を目安に、強くこすらないよう水かぬるま湯で十分に洗い流す。
(3)ついで、エッセンスをたっぷり含ませたマスクをしっかりと肌に密着させ、美容液成分を顔のすみずみにまで供給する。
(4)約10分後にマスクをはがし、夜用クリームを塗布する。
【0072】
以下に、本発明の皮膚外用剤の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。尚、配合量は全て製品全量に対する質量%で表す。
【0073】
処方例1
(1)乳酸 3.0 質量%
(2)ジプロピレングリコール 5.0
(3)ダイナマイトグリセリン 1.0
(4)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体 1.3
(5)(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI )コポリマー 1.0
(6)苛性カリ 1.0
(7)クエン酸ナトリウム 3.0
(8)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(9)EDTA−2Na 0.02
(10)エタノール 3.0
(11)PEG−60水添ヒマシ油 0.3
(12)フェノキシエタノール 0.3
(13)香料 0.01
(14)酸化チタン 1.0
(15)精製水 残部
(製法)
(15)に(4)を溶解した後、(1)、(2)、(3)、(6)、(7)、(8)、(9)を溶解し、予め一部の精製水で(5)を加熱溶解したものを混合した。その後(10)に(11)、(12)、(13)を溶解混合し、(14)を分散した後、ろ過した。
【0074】
処方例2
(1)酒石酸 7.0質量%
(2)グリセリン 7.0
(3)1,3−ブチレングリコール 3.0
(4)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体 2.0
(5)(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI )コポリマー 2.0
(6)L−アルギニン 0.5
(7)クエン酸ナトリウム 1.0
(8)苛性ソーダ 0.5
(9)EDTA−2Na 0.02
(10)エタノール 5.0
(11)酢酸トコフェロール 0.01
(12)PEG−60水添ヒマシ油 0.5
(13)フェノキシエタノール 0.3
(14)香料 0.01
(15)酸化チタン 2.0
(16)精製水 残部
(製法)
(16)に(4)を溶解し、(1)、(2)、(3)、(6)、(7)、(8)(9)を溶解し、予め一部の精製水で(5)を加熱溶解したものを混合した。その後(10)に(11)、(12)、(13)、(14)を溶解混合し、(15)を分散した後、ろ過した。
【0075】
これら処方例1、2の本発明のケミカルピーリング用皮膚外用剤は、いずれも指取れのよさおよび洗い流しやすさに優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)〜(c)を含み、pHが2.0〜5.0であり、皮膚に塗布後除去することを特徴とする皮膚外用剤。
(a)α−ヒドロキシ酸より選択される1種または2種以上を1.0〜7.0質量%
(b)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を0.1〜3.0質量%
(c)下記の一般式(1)で表される化合物からなる会合性増粘剤を0.1〜3.0質量%
R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m …(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
【請求項2】
(c)会合性増粘剤が(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーであることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
(b)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体と、(c)会合性増粘剤との配合比が、(b):(c)=1:0.6〜1:1.5であることを特徴とする請求項1または2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
(a)α−ヒドロキシ酸が、グリコール酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
粘度が10000〜30000mPa・s/30℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
さらに(d)酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
(d)酸化チタンの配合量が0.1〜3質量%であることを特徴とする請求項6記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
ケミカルピーリング用であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の皮膚外用剤と、該皮膚外用剤の使用後に用いるマスクと、該マスクの使用後に用いる夜用クリームとを少なくとも備えてなることを特徴とする化粧料キット。

【公開番号】特開2011−6371(P2011−6371A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153988(P2009−153988)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】