説明

皮膚外用剤

【課題】ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤であって、肌荒れ防止、肌荒れ改善効果を高めた皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%と、α-ヒドロキシ酸およびその塩から選択される一種または二種以上を0.001〜10重量%配合し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合重量比が100/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤、更に詳しくは、特に肌荒れ防止、肌荒れ改善機能の改良された皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚は、角質層によって覆われており、乾燥した大気中においても水分を失うことなく生命活動を維持できるのは、外界と接しているこの角質層が存在しているからであることはよく知られている。角質層は薄く柔軟で且つ体内の水分を保ち、健常な皮膚状態を維持するように調節している。
【0003】
しかしながら、我々は環境要因等(例えば、温度変化、湿度変化、光、水との接触、洗剤の使用等)により、しばしば表皮に何らかの損傷をきたすことがある。ダメージを受けた皮膚は、硬く、弾力性も失われ、カサカサとした肌荒れ状態となる。こうした肌荒れ皮膚は、近年、急増傾向にあるアトピー性皮膚炎との関連性も指摘されており、深刻なスキントラブルを招く恐れもある。
【0004】
荒れ肌には、角質細胞の剥離によるものと、乾燥により皮膚の健康状態が悪化して表皮の硬化や損傷に至るものがある。前者の荒れ肌はコレステロール、セラミド、脂肪酸等の角質細胞間脂質の溶出、および紫外線、洗剤等に起因する角質細胞の変性や表皮細胞の増殖・角化バランスの崩壊による角層透過バリアの形成不全等によって発生する。この荒れ肌を予防または治癒する目的で、角質細胞間脂質成分又はそれに類似する合成の角質細胞間脂質を供給するなどの検討が行われている。この角層細胞間脂質は、有棘層と顆粒層の細胞で生合成された層板顆粒が、角層直下で細胞間に放出され、伸展し、層板(ラメラ)構造をとり、細胞間に広がったものである。層板顆粒はグルコシルセラミド、コレステロール、セラミド、リン脂質等から構成されるが、角層細胞間脂質にはグルコシルセラミドは殆ど含まれていない。すなわち、層板顆粒中のグルコシルセラミドは、β−グルコセレブロシダーゼによって加水分解を受け、セラミドに変換され、このセラミドがラメラ構造をとる結果、角層細胞間脂質として角層透過バリアの形成を改善し、荒れ肌防御のバリアの働きを持つと考えられる。洗浄剤による肌荒れはセラミドの補充が有効であり、肌荒れの改善に高い効果を示すことが報告されている(非特許文献1)。
【0005】
一方、後者の荒れ肌には、皮膚外用剤には皮膚の恒常性維持の他、皮膚からの水分揮散を防止し、皮膚を構成する表皮、角質層に水分を保持させ皮膚に保湿性、柔軟性を保たせみずみずしい肌を保持する等の目的で保湿剤が配合されている。従来より用いられてきた保湿剤としては、オリーブ油、等の植物油やラノリンのような動物由来の脂質に代表される親油性の保湿剤の他に親水性の保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の水溶性多価アルコール、ヒアルロン酸及びキサンタンガムのような多糖類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩及びアミノ酸に代表される低分子量の天然保湿因子、植物抽出エキス等が知られている。
【0006】
このように様々な種類の親水性、親油性の保湿剤が存在するが、安全性を重要視する風潮などから、昨今では動物由来のものや化学合成品は避けられる傾向にあり、好ましくは天然物や微生物による発酵生産物で、さらには生体のみならず環境にも負荷の少ない生分解性の素材が期待され注目を浴びている。
【0007】
一方で、微生物が生産するバイオポリマーが有望視されている。バイオポリマーの中でも、アミノ酸が縮重合して構成されるポリアミノ酸と呼ばれる一群のバイオポリマーには、様々な機能が見出されており、その潜在能力に注目が集まっている。従来、ポリアミノ酸として、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、「PGA」と表記することがある)、ポリ−ε−リジンおよびシアノファイシンの3種類が同定されている。
【0008】
PGAは、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基とがアミド結合したポリアミノ酸である。PGAは、古くから日本人に親しまれている納豆の糸引きの主体物質として知られる、吸水性のポリアミノ酸であるが、このように親しまれてきた背景として、その魅力的な機能性によるところが大きい。PGAの魅力的な機能としては、生分解性及び高吸水性を兼ね備えている点が知られている。これらの機能を利用して、上述した皮膚外用剤をはじめ、医療品、食品等、種々の分野、用途で用いられることが期待されている。
【0009】
最近、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成アミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)がその機能性に強く反映されていることが分かってきた。よく知られているところでは、生分解性と高吸水性を兼ね備えている点が挙げられる。それらの機能を利用し、食品、化粧品、医療品などの多くの分野で、種々の用途があるものと期待されている。しかし、現在、製品化されているPGAは、化学的にヘテロなDL−PGAである。具体的には、PGAは、納豆菌やその類縁菌から生産され、D−グルタミン酸及びL−グルタミン酸が不規則に結合しており、その含有比率や、配列は生産菌の培養毎に変動する。一般に、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成するアミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)は、その機能に強く影響を与える。上記DL−PGAは、分子毎に構造が異なるため、その性質も分子毎に異なる。これでは、所望の品質を有するDL−PGAを安定して製造することが困難である。
【0010】
ホモポリ−γ−グルタミン酸を生産する菌も報告されている。例えば、炭疸菌Bacillus anthracisはD−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−D−グルタミン酸(以下、D−PGAと記載することもある)を生産する事が報告されている(非特許文献2)。しかし、本菌は強い病原性を有する細菌であるため、工業的なPGA生産菌としては不適切であり、生産されるD−PGAの分子量も小さい。また、好アルカリ性細菌Bacillus haloduransは、L−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩(以下L−PGAと記載することもある)を生産する事も報告されている(非特許文献3)。しかし、本菌の生産するL−PGAは分子量が極めて小さく、実用的な性能を得るには不十分である。
【0011】
一方、高分子量のホモポリ−γ−グルタミン酸の生産菌として、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaが分子量10万〜100万程度のL−PGAを生産することが報告されている。しかし、本菌は液体培養条件下では分子量が10万程度と小さい、かつ殆どポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を生産しないため、工業的な生産菌として問題があった(非特許文献4、特許文献1)。
【0012】
上記以外に、L−PGAを生産する生物としては、ヒドラ等が挙げられるが、ヒドラの場合も同様に分子量が極めて小さいという問題がある(非特許文献3)。
【0013】
一方本発明者らは、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を液体培養などで大量に調製することを可能とした。より具体的には、数平均分子量が130万以上で、かつ均一な光学純度のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を、培養液1Lあたり4.99g以上の高い生産性で取得している(特許文献2)。
【0014】
また、ポリ−γ−L−グルタミン酸の架橋方法と架橋体(特許文献3)、並びにポリ−γ−L−グルタミン酸及びポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする皮膚外用剤(特許文献4)の報告がある。
【0015】
従来、ヒアルロン酸は保湿効果を付与する目的で皮膚外用剤に配合され、皮膚に対して親和性があるという高分子独特の使用感を得るためにも使用されてきた。一方、α−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸等)は、近年肌荒れ改善を目的に多くの化粧品に使用されている。
【0016】
保湿作用を有する成分として、例えばヒアルロン酸は保湿性に優れた生体高分子であり、医薬、化粧料等の分野において種々用いられている。化粧料分野では、一般に平均分子量50万〜250万程度の高分子ヒアルロン酸が保湿成分として用いられており、平均分子量100万以上のヒアルロン酸は、化粧料中の配合量が概ね0.5質量%を超えると粘度が急激に上昇し、加えて「べたつき」感が強く、使用性や肌へのなじみに難点が生じる。そのため平均分子量100万以上の高分子ヒアルロン酸では配合量0.5質量%程度以下とし、粘度の上昇抑制を図っている。またヒアルロン酸それ自体は不安定な物質で、熱や機械的剪断力に弱く、粘度低下を引き起こしやすいため、そのナトリウム塩水溶液の形で製品化されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2002−517204号公報
【特許文献2】特開2007−314434号公報
【特許文献3】特開2008−120910号公報
【特許文献4】特開2008−120725号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】ジャーナル オブ バイオサイエンス アンド バイオエンジニアリング、94,187(2002)
【非特許文献2】Handy, W. E., and H.N. Rydon,Biochem J., 40, 297-309 (1946)
【非特許文献3】生物と化学 Vol.40, No.4, p212-214 (2002)
【非特許文献4】Hezayen, F. F., B. H. A. Rehm, B. J. Tindall and A. Steinbuchel, Int. J. Syst. E., 51, 1133-1142(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤であって、肌荒れ防止、肌荒れ改善効果を高めた新規な皮膚外用剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
斯かる実情において、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩から選択される一種または二種以上とを配合することによって、この目的が達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0021】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%と、α-ヒドロキシ酸およびその塩から選択される一種または二種以上を0.001〜10重量%配合し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合重量比が100/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
(2) ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする(1)の皮膚外用剤。
(3)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする(1)または(2)の皮膚外用剤。
(4)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの皮膚外用剤。
(5)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの皮膚外用剤。
(6)ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの皮膚外用剤。
(7)α-ヒドロキシ酸が、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸よりなる群から選択される少なくともいずれか1種であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩を配合することにより、肌荒れ防止・肌荒れ改善効果を副作用なく著しく増加させることができる皮膚外用剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の「ポリ−γ−L−グルタミン酸」とは、L−グルタミン酸のみからなるホモポリマ−である。その構造は式(I)にて示される構造である。α−COOHの水素は水素であっても良いし他の金属対イオンでも良い。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛及び鉄等一般的なものあれば限定する必要はない。そのなかでも好ましくはナトリウムである。
【0024】
【化1】

【0025】
本発明の「分子量」とはプルラン標準物質の分子量換算にて算出した数平均分子量(Mn)のことを指す。
【0026】
本発明のポリ−γ−L−グルタミン酸は、既存の方法で得ることができる。たとえば、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で、ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。以下に、一例として、特許文献2を参考にしたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法を述べるがこれに限定されるものではない。
【0027】
たとえば、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−に、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20872)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20873)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20874)として寄託されている菌株をもちいてポリ−γ−L−グルタミン酸を得る場合、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。または、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で微生物を変異処理し、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる微生物を作製し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。また、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)を常法により固相培養し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。
【0028】
液体培養する場合には、振とう培養、通気攪拌培養など好気条件などで行うことが望ましい。その際の培養温度は、30〜50℃、好ましくは35〜45℃が適当である。また、培地のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸またそれらの水溶液などによって調整できるが、pH調整できれば限定されない。培養pH5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5で培養するのが望ましい。また、培養期間は、通常2〜7日間程度でよい。また、培養時のNaCl濃度は10〜30%、好ましくは15〜25%で培養するのが望ましい。また、Yeast Extract濃度は0.1〜10%、好ましくは0.5〜5.0%濃度で培養するのが望ましい。また、固体培養の場合においても前期液体培養の場合と応用に、培養温度は30〜50℃、好ましくは35〜45℃、培養時のpHは5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5、培養時のNaCl濃度は10−30%、好ましくは15〜25%、Yeast Extract濃度は0.1−10%、好ましくは0.5−5%濃度が採用される。このようにして培養すると、ポリ−γ−L−グルタミン酸は、主として菌体外に蓄積されて前記した培養物中に含まれる。特に限定はされないが、PGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を使用してもよく、各添加量は菌株にあわせて適宜調整すればよい。
【0029】
培養液中のポリ−γ−L−グルタミン酸の定量方法としては、ポリ−γ−L−グルタミン酸を含む試料から、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させ、その沈殿物の重量測定およびKijerder法による総窒素の測定を行なうもの(M.Bovarnick,J.Biol.Chem.,145巻、415ペ−ジ、1942年)、塩酸加水分解後のグルタミン酸量を測定する方法(R.D.Housewrigt,C.B.Thorne,J.Bacteriol.,60巻、89ペ−ジ、1950年)及び、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法(M.Bovarnick et al.,J.Biol.Chem.,207巻、593ペ−ジ、1954年)が知られているが好ましくは、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法である。
【0030】
塩基性色素としてはクリスタルバイオレット、アニリンブル−、サフラニンオ−、メチレンブル−、メチルバイオレット、トルイジネブル−、コンゴレッド、アゾカルマイン、チオニン、ヘマトキシリンなどがあげられるが、サフラニンオ−が好ましい。
【0031】
この培養物からポリ−γ−L−グルタミン酸を分離、採取するには、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させるなどの前記の公知の方法を用いればよい。一例を挙げると、例えば、培養液を遠心分離し、菌体を取り除く。続いて、得られた上清液に3倍量の水を加え希釈した後、pHを3.0に調整する。pH調整後、5時間 室温で攪拌した。その後、3倍量のエタノ−ルを加え、ポリ−γ−L−グルタミン酸を沈殿物として回収した。沈殿物を0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させ、低分子物質を透析により除去する。透析後、得られた液を核酸除去のため、DNase、RNase処理を行っても良いし、次いでタンパク質除去のために、Proteinase処理を行っても良い。Proteinase処理後、透析により低分子物質を除去しても良い。透析後、凍結乾燥等により、乾燥ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ればよい。また、必要により陰イオン交換樹脂を用いた精製を行うことができるが、一般的な条件で精製可能である。
【0032】
本発明に使用するポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量は、特に限定されないが、好ましくは50万以上、より好ましくは80万以上、さらに好ましくは100万以上、特に好ましくは130万以上である。
【0033】
L−PGAの分子量の上限値は特に限定されるものではないが、前述のL−PGAの製造方法によれば、例えば、600万、最大で1500万のL−PGAを得ることができる。
【0034】
このポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩は、古細菌によって生産されるために、納豆菌によって生産されるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩と比べて特有の臭気が軽減することで、化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品または医薬品の用途に利用しても品質を損なうことがない。
【0035】
本発明で用いられるα−ヒドロキシ酸は、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基とを持つ有機化合物で、カルボキシル基が結合している炭素原子(α炭素)に水酸基が結合している化合物である。具体的には、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸およびその塩などが挙げられる。
【0036】
本発明におけるα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合量には特に限定はないが、好ましくは皮膚外用剤全量中に、0.001〜10重量%さらに好ましくは、0.01〜5重量%配合される。α−ヒドロキシ酸およびその塩の配合量が0.001重量%より少なくなると顕著な肌荒れ改善効果が得られない場合があり、10重量%を超えて配合しても肌荒れ改善効果の向上は期待できず、さらには使用性が悪くなることがあるので好ましくない。
【0037】
本発明におけるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とα−ヒドロキシ酸およびその塩の両者の相乗作用が顕著に認められる配合重量比は、両者の有効な配合量を満たした上で、概ね100/1〜1/10000である。この配合重量比をはずれると、どちらかの薬剤が必要以上に配合されていることになり、肌荒れ改善効果としては問題ないが費用面で不利益を被ることになるので好ましくない。
【0038】
本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えばアボガド油、パーム油、ピーナッツ油、牛脂、コメヌカ油、ホホバ油、カルナバロウ、ラノリン、流動パラフィン、オキシステアリン酸、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリルアルコール等の油分、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸およびその塩、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩等の保湿剤、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、ウロカニン酸、ジイソプロピルケイヒ酸エチル等の紫外線吸収剤、エリソルビン酸ナトリウム、セージエキス、パラヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、アラキン酸グリセリル等の界面活性剤、エチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、ビワ等の抽出物、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物、アスコルビン酸誘導体等の美白剤、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ等の抽出物、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、各種アミノ酸類等の賦活剤、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ローズマリー、ニンニク等の抽出物、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、香料、水、アルコール、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤、チタンイエロー、カーサミン、ベニバナ赤等の色剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0039】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水- 油二層系、水- 油- 粉末三層系等、どのような剤型でも構わない。また、本発明の皮膚外用剤の用途も任意であり、化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料やボディー化粧料、芳香化粧料、洗浄料、軟膏等に用いることができる。
【0040】
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。なお、本発明は、特に実施例に限定されるものではない。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、以下の実施例に示す「%」は全て「重量%」である。
【0041】
〔製造例1;ポリ−γ−L−グルタミン酸の製造〕
Natrialba aegyptica(受託番号:FERM BP−10749)のL乾燥アンプルに、0.4mlのPGA生産用液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を加えて懸濁液を得た。0.2mlの当該懸濁液を、PGA寒天培地(10% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、2% Agar)に接種し、37℃で3日間培養して、シングルコロニーを得た。
【0042】
次に、5本の18ml容試験管に、それぞれ、3mlのPGA生産液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、pH7.2)を入れ、さらに、上記シングルコロニーを白金耳で1白金耳掻き取り植菌した。植菌後の試験管を、37℃、300rpmで3日間培養して、さらに、得られた培養液0.5mlを、50ml PGA生産液体培地を入れた500ml容坂口フラスコ10本にそれぞれ植菌し、37℃で5日間培養した。培養後、得られた培養液を遠心し、菌体を取り除いて上清を回収した。
【0043】
次に、回収した上清に3倍量の水を加え希釈した後、1N硫酸でpHを3.0に調整した。pHを調整した後、室温で5時間攪拌した。その後、3倍量のエタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を回収した。この沈殿物がL−PGAである。
【0044】
回収したL−PGAを0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解して、これを、低分子物質等の不純物を除去するために透析した。次に、透析後の液体に含まれる核酸を除去するために、当該液体に、MgClが1mM、DNaseI(TAKARA社製)が10U/ml、RNaseI(ニッポンジーン製)が20μg/mlとなるように加えて、37℃で2時間インキュベートした。次いでタンパク質を除去するために、核酸を除去した後の液体にProteinase K(タカラバイオ製)を3U/mlとなるように添加して、37℃で5時間インキュベートしてProteinase K処理を行なった。
【0045】
Proteinase K処理の後、超純水で透析し、低分子物質を除去した。次に、L−PGAを陰イオン交換樹脂(Q sepharose Fast Flow、GE ヘルスケア バイオサイエンス社製)に吸着させ、0.5MのNaCl水溶液で洗浄した後、1MのNaCl水溶液で溶出した。得られた溶液を、さらに超純水で透析し、透析後の溶液を凍結乾燥することにより、L−PGAのナトリウム塩(以下、「L−PGA・Na塩」と表記する)を得た。なお、超純水は、MilliQ(Millipore社製の純水製造装置)で作製した。
【0046】
〔製造例2;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−1〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の平均分子量を、GPC分析にて測定した。その結果、Mw=7,522,000、Mn=3,704,000、Mw/Mn=2.031であることが確認された(プルラン換算)。
【0047】
なお、GPC分析は、以下の条件で行なった。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)
流速:0.6ml/min
溶出液:0.15M NaCl水溶液
カラム温度:40℃
注入量:10μl
検出器:示差屈折計
【0048】
〔製造例3;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−2〕
製造例1において、1.0MのNaCl水溶液溶出した後、さらに、1N HClを用いて、pHを2.0に調製した以外は、製造例1と同様の操作を行なって得たL−PGA・Na塩の平均分子量をGPC分析により測定した。その結果、Mw=2,888,000、Mn=1,327,000、Mw/Mn=2.176であることが確認された(プルラン換算)。なお、本製造例におけるGPC分析は、製造例2と同様の操作で行なった。
【0049】
〔製造例4;ポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体の作製〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の5%水溶液を作製した。
【0050】
次に、L−PGA・Na塩水溶液を、窒素を用いて3分間バブリングした後、蓋付き10mlサンプル瓶に、2ml分取して蓋を閉めた。
【0051】
次に、サンプル瓶に、線源をコバルト60とするγ線照射装置を用いてγ線を照射した。照射線量は、5kGyとなるように照射した。γ線照射後に得られた生成物を、サンプル瓶から取り出し、余分な水分を80メッシュの金網で水切りした後、凍結乾燥することで、L−PGA架橋体粉末を得た。なお、上記余分な水分には、未架橋のL−PGAが含まれており、当該水切りは、未架橋のL−PGAを除去することが主たる目的である。
【0052】
本発明と従来技術との比較
〔実施例1および比較例〕
表1に示す組成のクリームを調製し、実施例1および比較例とした。
【0053】
【表1】

【0054】
−製法−
A(油相)とB(水相)をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解する。AをBに加えて、乳化機で乳化する。乳化物を、熱交換機を用いて冷却してクリームを得た。
【0055】
<肌荒れ改善効果試験>
上記表1の処方のクリームを人体パネルで肌荒れ改善効果試験を行った。まず、パネルを選ぶにあたって、女性健康人(顔面)の皮膚表面形態をミリスチン樹脂によるレプリカ法を用いて肌のレプリカを採り顕微鏡(17倍)にて観察し、皮紋の状態および角層の剥離状態から表2に示す基準に基づいて肌荒れ評価1、2と判断された者(肌荒れパネル)20名をパネルとした。各パネルの顔面左右半々に、実施例1のクリームと比較例のクリームを1日2回塗布した。2週間後再びレプリカを採り肌の状態を観察し、表2の判断基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
表3の結果から明らかなように、製造例1で得たポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸(グリコール酸)を配合したクリーム(実施例1)は、α−ヒドロキシ酸を配合しないクリーム(比較例)と比較して、顕著な肌荒れ改善効果が認められた。このことから、本発明は肌荒れ防止にも顕著な効果が期待できる。また、被験者(肌荒れパネル)には副作用は何ら認められなかった。
【0059】
ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合
〔試験例1〜4〕
表4の種々の処方のクリームの肌荒れ改善効果試験を肌荒れパネル30名により行い、その結果を表5に示した。なお、クリームの製造方法、肌荒れ改善効果試験の方法は、実施例1および比較例に準じて行い、その評価基準は表2の通りである。
【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
表5の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸(グリコール酸)を併用したクリーム(試験例1)を使用した顔面部位は両物質を併用しなかったクリーム(試験例2〜4)を使用した顔面部位と比較し、顕著な肌荒れ改善効果が認められた。したがって、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩を配合することによって、肌荒れ防止・肌荒れ改善効果が飛躍的に高まることがわかる。
【0063】
α−ヒドロキシ酸およびその塩の配合
〔試験例5〜10〕
下記表6のα−ヒドロキシ酸または別の肌荒れ防止剤を配合した種々の処方のクリームの肌荒れ改善効果試験を肌荒れパネル30名により行い、その結果を表7に示した。なお、クリームの製造方法、肌荒れ改善効果試験の方法は、実施例1および比較例に準じて行い、その評価基準は表2の通りである。
【0064】
【表6】

【0065】
【表7】

【0066】
表7の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸を配合したクリーム(試験例5〜8)は優れた肌荒れ改善効果をもっていることがわかる。これに対して、α−ヒドロキシ酸ではないが水酸基とカルボキシル基の両方をもつ有機酸であり、肌荒れ防止に用いられるタンニン酸(試験例9)、パントテン酸(試験例10)を配合したクリームでは本発明のような顕著な肌荒れ改善の相乗効果は得られないことがわかる。
【0067】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量
〔試験例11〜16〕
下記表8のポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量を変えた種々の処方のクリームの肌荒れ改善効果試験を肌荒れパネル30名により行い、その結果を表9に示した。なお、クリームの製造方法、肌荒れ改善効果試験の方法は、実施例1および比較例に準じて行い、その評価基準は表2のとおりである。
【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
表9の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が0.0001〜10重量%のクリーム(試験例12〜15)は、肌荒れ改善効果に優れていることがわかる。
【0071】
これに対して、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が10重量%を超えるクリーム(試験例16)は肌荒れ改善効果には優れているが、その効果の向上がないことがわかる。また、表9より本発明に用いられるポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が0.0001重量%より少ないと本発明の効果は得られにくいことがわかる(試験例12)。したがって、本発明の皮膚外用剤においては、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が0.0001〜10重量%であることが好適であることがわかる。
【0072】
α−ヒドロキシ酸およびその塩の配合量
〔試験例17〜22〕
下記表10のα−ヒドロキシ酸の配合量を変えた種々の処方のクリームの肌荒れ改善効果試験を肌荒れパネル30名により行い、その結果を表11に示した。なお、クリームの製造方法、肌荒れ改善効果試験の方法は、実施例1および比較例に準じて行い、その評価基準は表2の通りである。
【0073】
【表10】

【0074】
【表11】

【0075】
表11の結果から明らかなように、α−ヒドロキシ酸の配合量が0.001重量%より少ないクリーム(試験例17)は、顕著な肌荒れ改善効果が得られないことがわかる。また、α−ヒドロキシ酸の配合量が0.001〜10重量%であるクリーム(試験例18〜21)は、α−ヒドロキシ酸の配合量を増やすことによって、肌荒れ改善効果の向上が見られる。これに対して、10重量%を越えて配合されたクリーム(試験例22)は、α−ヒドロキシ酸10重量%が配合されたクリーム(試験例25)と比較して、肌荒れ改善効果に向上が見られないことがわかる。したがって、α−ヒドロキシ酸の配合量は、0.001〜10重量%が適当であることがわかる。
【0076】
ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合重量比
〔試験例23〜28〕
下記表12のポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸およびその塩(AHA)の配合重量比を変えた種々の処方のクリームの肌荒れ改善効果試験を肌荒れパネル30名により行い、その結果を表15に示した。なお、クリームの製造方法、肌荒れ改善効果試験の方法は、実施例1および比較例に準じて行い、その評価基準は表2のとおりである。
【0077】
【表12】

【0078】
【表13】

【0079】
表13の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸の配合重量比が1/1であるクリーム(試験例25)と比較して、100/1のクリーム(試験例24)は、肌荒れ改善効果に向上がみられる。これに対して、100/1を越えてポリ−γ−L−グルタミン酸の割合を増やしたクリーム(試験例23)は、100/1のクリーム(試験例24)と比較して、肌荒れ改善効果の向上が見られないことがわかる。
【0080】
また、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸の配合重量比が1/10000であるクリーム(試験例27)は、1/1000のクリーム(試験例26)と比較して、肌荒れ改善効果が認められる。これに対して、1/10000を越えてが配合されたクリーム(試験例28)は、1/10000のクリーム(試験例27)と比較して、肌荒れ改善効果の向上が得られないことがわかる。したがって、ポリ−γ−L−グルタミン酸とα−ヒドロキシ酸の配合重量比は100/1〜1/10000が適当であることがわかる。
【0081】
以下に、本発明のかかる皮膚外用剤をより具体的にするため実施例を示す。実施例1と同様な評価を行ったところ、各実施例の皮膚外用剤は実施例1と同様優れた肌荒れ改善効果を示した。
【0082】
〔実施例2〕 クリーム
【0083】
−製法−
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化する。乳化物を、熱交換機を用いて冷却してクリームを得た。
【0084】
【表14】

【0085】
〔実施例3〕 クリーム
実施例2に準じてクリームを得た。
【0086】
【表15】

【0087】
〔実施例4〕 乳液
実施例2に準じて乳液を得た。
【0088】
【表16】

【0089】
〔実施例5〕 ファンデーション
実施例2に準じてファンデーションを得た。
【0090】
【表17】

【0091】
〔実施例6〕 化粧水
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水をえた。
【0092】
【表18】

【0093】
〔実施例7〕 パック
【0094】
−製法−
室温で(4)、(7)、(8)を混合溶解し、(1)、(2)、(3)および(5)、(6)、(9)を80℃で混合溶解した中に撹拌添加した後、室温まで放冷してパックを得た。
【0095】
【表19】

【0096】
〔実施例8〕 口紅
−製法−
80℃にて混合溶解し、 型に流し込んで室温まで放冷した後、型からとり出して棒状口紅を得た。
【0097】
【表20】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩ならびにα-ヒドロキシ酸を含有することにより、肌荒れ防止、肌荒れ改善効果を高めた皮膚外用剤を提供することができる。さらに、従来のポリ−γ−L−グルタミン酸よりも、原料コストが安価であり、大量生産可能となり、長期にわたる使用に十分に耐え得ることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%と、α-ヒドロキシ酸およびその塩から選択される一種または二種以上を0.001〜10重量%配合し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とα−ヒドロキシ酸およびその塩の配合重量比が100/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
α-ヒドロキシ酸が、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸よりなる群から選択される少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−1444(P2012−1444A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134954(P2010−134954)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】