皮膚外用剤

【課題】寒天からの離水を抑制し、保存安定性に優れ、みずみずしく、使用感にも優れた皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 0.1〜1質量%、
(B)アクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)糖類 0.3〜3質量%、
(D)エタノール 3〜20質量%、
(E)水 50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなる皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の保湿・湿潤・防御効果を目的として油性成分を含む水性の化粧料としては、乳化型、可溶化型、二層型等の剤型が知られている。
近年の消費者の傾向として、みずみずしく、軽い使用感のO/W型、あるいは高含水のW/O型の皮膚外用剤が好まれている。日々欠かさず使用するものとして、使用感が軽く良好であり、かつ油のべたつきを抑えてみずみずしい感触であることの必要性が高まってきている。
【0003】
こうした中で、化粧料へ寒天を応用すると、単なる増粘剤という機能だけでなく、寒天の「高含水」を活かし、ひんやりとしたみずみずしさを得ることができる。すなわち、寒天ゲルは、塗布時、皮膚上で容易に潰れ、ひんやりしたみずみずしい清涼感を付与することができる。特に、夏場の化粧料としては、塗布時のひんやりした感触が好まれる。しかし、寒天を化粧料に直接配合すると化粧料全体が固まり、質感や使用感が劣化してしまう。
【0004】
また、寒天の応用には、経時保存および温度変化による「離水」という課題が存在する。天然多糖類に分類される寒天は、ある種の増粘剤として食品分野をはじめ、いくつかの分野でその応用が試されている。しかし、寒天は、他の多糖類に比べて親水基が比較的少なく、水素結合により水分子を保持しているため、比較的離水しやすく脆いゲルとして認識されている。これは、系の中の自由水が多いため、冷凍した場合にその自由水が凍結し氷結晶を生じて硬くなり、ヒートショックを受けるとその氷結晶が溶けて寒天組織自体から水分が抜けた状態となり、形状を保てなくなるためである。
【0005】
このような背景のもと、本発明者らは、寒天を非連続相として配合した皮膚化粧料、すなわち、ハイドロゲル粒子を分散した化粧料を開発してきた(特許文献1、特許文献2)。さらに、このハイドロゲル粒子中にセラミドや、紫外線散乱剤、吸収剤を内在、分散させることについても検討した。
しかしながら、寒天成分を配合すると、使用時に多糖類特有のべたつきやぬめりが生じ、寒天によるひんやりとしたみずみずしさを十分に発揮させることができなくなる。
【0006】
そこで、皮膚外用剤のみずみずしさや、清涼感を向上させるべく、エタノールを高配合することを検討した。しかしながら、系の増粘剤として、アクリル酸系ポリマーを用いた場合には、エタノール量の増加とともに安定性が悪くなり、皮膚外用剤における離水がさらに悪化し、安定性上の問題が生じてしまうことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−20227号公報
【特許文献2】特開2002−20228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、寒天からの離水を抑制し、保存安定性に優れ、みずみずしく、良好な使用感の皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、寒天及びエタノールを含有する系に糖類を併用することにより、使用中はみずみずしくさっぱりとした使用感が得られ、離水が抑制され、経時安定性に優れた皮膚外用剤が得られることを見出した。
【0010】
本発明は、次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 0.1〜1質量%、
(B)アクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)糖類 0.3〜3質量%、
(D)エタノール 3〜20質量%、
(E)水 50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなる皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の皮膚外用剤は、みずみずしく、さっぱりとした使用感で、しかも、離水が抑制され、経時安定性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)寒天:
本発明で用いられる寒天としては、特に限定されないが、寒天のゼリー強度(日寒水式法)は、皮膚に適用した場合の使用時の感触の観点から、147kPa(1500g/cm2)以下であることが好ましく、19.6kPa(200g/cm2)〜127kPa(1300g/cm2)であることがより好ましい。ゼリー強度は、寒天の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2当たりの最大質量(g)として求めることができる。
成分(A)の寒天としては、例えば、伊那寒天PS−84、Z−10、AX−30、AX−100、AX−200、T−1、S−5、M−7、UP−16、CS−16A、CS−420、CS−670(以上、伊那食品工業社製)等の市販品を用いることができる。これらのうち、AX−200、UP−16、CS−16Aが好ましい。
【0013】
本発明において寒天はゲル状粒子を形成する。このゲル粒子は、球状、楕円状等の略球形状であって、体積基準平均粒径が10〜10,000μm、特に30〜3,000μmであるのが、使用感、外観及び生産性の点から好ましい。ゲル状粒子の体積基準平均粒径は、1000μm以下の粒子については、レーザー回折散乱法、1000μmを超える粒子については、ふるい分け法により、測定することができる。
【0014】
寒天のゲル状粒子の製造法は特に限定されないが、例えば、以下の方法により、製造することができる。
まず、寒天を水と混合し、その溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させる。ゲル状粒子中に油性成分や粉体等を含有させる場合には、別途、油性成分等を含む水溶液を調製し、これと添加混合する。これらの溶液(混合液)から、一般的な滴下法、噴霧法、或いは、攪拌法等により、ゲル状粒子を得ることができる。
【0015】
滴下法は、孔から混合液を吐出させ、吐出された混合液がその表面張力又は界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴を空気等の気相中又は液相中で冷却固化させて製造する方法である。この方法においては、粒径の均一な寒天ゲル状粒子を製造する観点から、振動を与えながら、混合液を孔から吐出させるのが好ましい。例えば、特開2002−58990号公報には、非架橋型ハイドロゲルを溶解した水性成分溶液中に油性成分を分散させた分散液に振動を与えながら、該分散液を孔から吐出し、液滴を形成させた後、該液滴を冷却固化するハイドロゲル粒子の製造法が記載されている。
【0016】
また、噴霧法は、噴霧ノズルを用い、噴霧ノズルから混合液を気相に噴霧させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相で冷却固化させて製造する方法である。
例えば、天然カロチノイドを包含した多芯型構造のマイクロカプセルをスプレークーリング法で製造すること、より詳しくは、O/W型乳化物のゲル化温度以下の雰囲気を設けた塔中に、ゲル化温度以上のO/W型乳化物を、粒子が50〜3000μmの平均粒子径となるよう噴霧し、冷却固化後、捕集することにより、マイクロカプセルを得ることができる(特開平9−302379号公報)。また、ゲル化点が30℃以上である非架橋型ハイドロゲルのゲル剤を溶解させた水性成分水溶液に油性成分を分散させた分散液を気相中に噴霧して形成された液滴を冷却固化させる場合には、噴霧によって生じた液滴を冷却するための冷却設備を必ずしも必要とせず、ハイドロゲル粒子を製造することができる(特開2007−160277号公報)。
【0017】
攪拌法は、混合液と実質的に混じり合わない性状を有し且つゲル化温度以上の温度に調整した液に混合液を投入し、攪拌による剪断力により混合液を微粒化し、界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴を混合液と実質的に混じり合わない液中で冷却固化させて製造する方法である。
例えば、内油相と、加熱冷却により固化する親水性高分子ゲル化剤を含む水相とからO/Wエマルジョンを調製し、このO/Wエマルジョンをさらに外油相中に分散乳化してO/W/Oエマルジョンとし、水相を固化させてカプセル化することにより、マイクロカプセルを製造することができる(特開2001−97818号公報)。また、剪断ゲルを利用し、ゲル粒子の活性物質の捕捉を強化し、分散性を向上させることもできる(特許第3949580号公報)。
【0018】
滴下法、噴霧法、及び攪拌法のいずれの場合も、吐出時、噴霧時、又は投入時の混合液の温度を、ゲル化温度以上で且つ100℃以下の温度とすることが好ましい。また、美観に優れた球状の粒子を容易に製造することができるという観点から、混合液の温度を、ゲル化温度+10℃以上とすることが好ましく、ゲル化温度+20℃以上とすることがより好ましい。なお、この温度の上限は、水の沸点である100℃である。
【0019】
また、上記の方法以外にも、親水性増粘性化合物を、水に溶解した後、冷却させて形成したゲルを粉砕することで球状のミクロゲルを製造することもできる(特開2001−342125号公報、特開2009−203200号公報)。
【0020】
ゲル状粒子は、寒天を0.1〜10質量%、更に1〜3質量%含有するのが、寒天粒子からの離水を抑制し、使用時のみずみずしさを感じさせる観点から好ましい。また、油性成分や粉体を含有する場合には、ゲル状粒子中に、合計で0〜80質量%、更に10〜50質量%含有するのが好ましい。
【0021】
ゲル状粒子は、油性成分、粉体、乳化分散剤、防腐剤、香料等を含有していても良い。
ゲル状粒子に含有される油性成分としては、通常化粧料に用いるものであれば特に制限されず、固体脂、半固体油、液状油等のいずれでも良い。例えば、油脂、ロウ類、セラミド類、炭化水素油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油等が挙げられる。また、紫外線吸収剤等も含有させることができる。
更に、粉体についても、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄等の無機粉体や、有機粉体などが挙げられる。
【0022】
このようにして得られる寒天のゲル状粒子は、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に分散される。
【0023】
寒天は皮膚外用剤中に0.1〜1質量%含有され、好ましくは、0.2〜0.7質量%含有される。この範囲内であれば、みずみずしく清涼感のある使用感を得ることができる。
また、寒天のゲル状粒子は、皮膚外用剤中に10〜70質量%含有するのが、皮膚外用剤中に均一に分散させる上で好ましい。
【0024】
(B)アクリル酸系ポリマー:
本発明で用いられるアクリル酸系ポリマーは、水相を増粘させることによって、ゲル状粒子(寒天)を分散させる役割を担う。
また、アクリル酸系ポリマーは、その乳化能によって各種油性成分を乳化し、独特のテクスチャーを生み出す機能を有する。さらに、寒天などの増粘多糖類と併用した場合には、塗布後のべたつきを抑制する効果を発揮する。
【0025】
アクリル酸系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸アルキルエーテル共重合体等が挙げられる。
市販品として、例えば、カーボポール(CARBOPOL)980、981、1342、ETD2020、ペムレン(PEMULEN)TR-1、ペムレン(PEMULEN)TR-2(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、アキュリン(Aculyn)22(ローム&ハース社製)、アリストフレックス(Aristoflex)AVC、HMB(クラリアントジャパン社製)等を用いることができる。
これらのうち、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
【0026】
アクリル酸系ポリマーは、塩基との中和によりアクリル酸系ポリマー塩として用いられる。塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0027】
アクリル酸系ポリマーは、皮膚外用剤中に0.1〜2質量%含有され、好ましくは0.2〜1質量%、更に好ましくは0.34〜0.4質量%含有される。この範囲内であれば、皮膚外用剤全体の安定性に優れ、塗布時のべたつきを抑制し、みずみずしく清涼感のある使用感を得ることができる。
【0028】
(C)糖類:
本発明で用いる糖類としては、例えば、スクロース、トレハロース、ガラクトシルフルクトース、スクラロース、メリビオース、ラフィノース、ラクトース等の2糖又は3糖;マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコールが挙げられる。
これらのうち、スクロース、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールが好ましく、更にキシリトールが好ましい。
【0029】
成分(C)の糖類は、1種以上を用いることができ、皮膚外用剤中に0.3〜3質量%含有され、好ましくは0.5〜2質量%含有される。この範囲内であれば、外相ゲルの離水抑制により、皮膚外用剤全体の安定性に優れ、みずみずしく清涼感のある使用感を得ることができる。
【0030】
また、成分(A)と成分(C)の質量割合は、(A)/(C)=0.033〜3.33、更に、0.1〜1.4であるのが、外相ゲルの離水抑制により皮膚外用剤全体の安定性に優れるとともに、みずみずしく清涼感のある使用感を得ることができ、好ましい。
【0031】
(D)エタノール:
本発明の皮膚外用剤は、エタノールを比較的多量に含有することにより、みずみずしさや、清涼感を向上させることができる。
エタノールと成分(B)のような増粘剤を含有する系では、増粘剤の種類によっては形状が劣化し、経時の粘度安定性および外観・性状が損なわれる場合がある。しかし、本発明のように糖類と寒天を組み合わせることにより、みずみずしく、清涼感があり、使用感が軽く、さらに経時安定性に優れた皮膚外用剤を得ることができる。
【0032】
エタノールは皮膚外用剤中に3〜20質量%含有され、好ましくは6〜10質量%含有される。この範囲内であれば、外相ゲルの離水抑制により、皮膚外用剤全体の安定性に優れ、みずみずしく清涼感のある使用感を得ることができる。
【0033】
成分(A)と成分(D)の質量割合は、(A)/(D)=0.006〜0.3、更に0.01〜0.16であるのが、寒天の離水が少ないという観点から好ましい。
また、成分(B)と成分(D)の質量割合は、(B)/(D)=0.006〜0.55、更に0.01〜0.33、特に0.034〜0.067であるのが、皮膚外用剤の粘度を保ち、安定性を高める観点から好ましい。
【0034】
成分(E)の水は各成分の残部をなし、皮膚外用剤中に50〜96.5質量%、好ましくは60〜80質量%含有される。
【0035】
(F)多糖類:
本発明の皮膚外用剤は、更に、寒天以外の多糖類を含有することができ、安定性により優れるとともに、塗布時に伸ばしやすいなど、良好な感触を得ることができる。
かかる多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアーガム、マンナン、澱粉などが挙げられる。これらのうち、キサンタンガム、ローカストビーンガムが好ましい。
【0036】
多糖類は皮膚外用剤中に0.02〜0.08質量%、更に0.03〜0.05質量%含有するのが、安定性により優れ、みずみずしく清涼感が得られ、使用感が良好であるので好ましい。
【0037】
本発明の皮膚外用剤は、使用感及び保存安定性を損なわない限り、油性成分を含有することができる。かかる油性成分としては、通常化粧料に用いるものであれば特に制限されず、固体脂、半固体油、液状油等のいずれでも良い。例えば、油脂、ロウ類、セラミド類、炭化水素油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、天然エステル油等が挙げられる。
油性成分の配合量は、皮膚外用剤の安定性及び使用感を損なわない限り、特に制限されるものではないが、通常0.1〜20質量%であるのが好ましい。
【0038】
更に、本発明の皮膚外用剤は、通常化粧料に用いられる紫外線吸収剤を好適に含有することができる。
かかる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、特に制限されるものではないが、皮膚外用剤中、合計で0.1〜20質量%であるのが好ましい。
【0039】
本発明の皮膚外用剤は、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を混合して水相を調製し、これに、成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させることにより、製造することができる。
すなわち、本発明の皮膚外用剤は、成分(A)を水と混合し、寒天の溶解温度以上の温度に加熱し、寒天を溶解した後、これを冷却し、体積基準平均粒径が10〜10,000μmとなる略球形状のゲル状粒子を形成させ、一方、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる。
また、成分(F)を含む場合には、成分(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる。
本発明の皮膚外用剤の粘度は、25℃において、500〜100,000mPa・sであるのが好ましい。
【0040】
本発明の皮膚外用剤は、一般の皮膚化粧料に限定されず、薬用化粧料等をも包含するものである。
化粧料として使用する場合は、化粧料成分として通常用いられる油性成分、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料などを任意に組み合わせて配合することができる。
これらの成分は、前記のように、ゲル状粒子中に含有させることもでき、また、水相(外層)中に配合することもできる。
【0041】
また、種々の用途および形態、例えば、O/W型乳化化粧料、水性化粧料、ジェル状化粧料、クリーム、乳液、化粧水、ファンデーション、皮膚洗浄料、ヘアートニック、整髪剤、養毛剤、育毛剤などとして用いることができる。
【実施例】
【0042】
製造例1(寒天ゲル状粒子の製造)
固体脂として、ステアリン酸モノグリセライド(花王社製、商品名:レオドールMS−60)、及び結晶性有機系紫外線吸収剤として、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(BASFジャパン社製、商品名:ユビナールAplus)、液体油として、パラメトキシケイ皮酸オクチル(BASFジャパン社製、商品名:ユビナールMC80)を含む分散相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子における含有量が、ステアリン酸モノグリセライド3.0質量部、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル4.5質量部、及びパラメトキシケイ皮酸オクチル10.5質量部となるように配合を行い、80℃で加熱溶解を行った。
【0043】
寒天(伊那食品工業社製、商品名:AX−200)、乳化分散剤として、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(Lubrizol Advanced Materials社製、商品名:PEMULEN TR−2)及びポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、商品名:ゴーセノールEG−05)、pH調整剤として、1N NaOH水溶液(キシダ化学社製)、並びイオン交換水を80℃で加熱混合し、連続相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子における含有量が、寒天1.5質量部、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体0.1質量部、ポリビニルアルコール0.5質量部、1N NaOH水溶液0.75質量部、及びイオン交換水79.15質量部となるように配合した。
【0044】
分散相成分液と連続相成分液とを、質量比18:82の割合となるように合計1000g準備し、分散相成分液を80℃及び連続相成分液を90℃でそれぞれ加熱溶解させた。その後、連続相成分液に分散相成分液を加えて、その混合物をホモミキサー(プライミクス社製、商品名:T.K.ロボミクス)を用いて回転数8000rpmで1分間攪拌することにより、水中油型分散液を調製した。
【0045】
その水中油型分散液の温度を80℃に保持し、12kg/hrの流量でスプレーノズル(いけうち社製、空円錐ノズルK−010)から3.4mの高さにおいて、水中油型分散液を槽内の25℃の気相中に噴霧し、槽下部において、噴霧により形成された水中油型分散液の液滴が冷却固化された寒天ゲル状粒子を回収した。これを製造例1とした。
寒天ゲル状粒子の粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、型番:LA−920)を用いたレーザー回折散乱法により測定された。得られた寒天ゲル状粒子は、体積基準平均粒径120μmの略球形状であり、寒天を1.5質量%含有する。
【0046】
製造例2(寒天ゲル状粒子の製造)
分散相成分液を水に代える以外は製造例1と同様にして、寒天ゲル状粒子を製造し、これを製造例2とした。製造例2は、油性成分を含まない寒天ゲル状粒子である。
得られた寒天ゲル状粒子は、体積基準平均粒径140μmの略球形状であり、寒天を1.5質量%含有する。
【0047】
実施例1〜5及び比較例1〜2
表1に示す組成のジェルを製造し、経時安定性及び使用感を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0048】
(製法)
成分(1)〜(6)及び(8)を成分(11)に加えて溶解させる。これに、成分(9)を加えて中和した後、撹拌し、成分(10)を加え、最後に成分(7)を添加してジェルを得る。
【0049】
(評価方法)
(1)経時安定性:
各ジェルをガラス容器(容量:50mL)に50gずつ充填し、密閉して、温度サイクル試験に供した。これは40℃の温度変化を6時間で1サイクルとするものである。1サイクル目は0℃〜40℃で始まり、2サイクル目は−1℃〜39℃、3サイクル目は−2℃〜38℃…というように、1サイクル毎に1℃ずつ上下の温度が変化する。168時間後に、下限温度−28℃を迎え、そこから下限温度が0℃に向かうように1℃ずつ上がっていくものである。2週間後(336時間後)、各試料を取り出し、試料表面での離水の有無を目視評価し、以下の基準で判定した。
A:目視確認により、組成物表面に水の遊離がない。
B:目視確認により、組成物表面にやや水の遊離がある。
C:目視確認により、組成物表面に水の遊離がある。
【0050】
(2)使用感:
各ジェルについて、専門パネラー3名が前腕部に塗布し、肌のみずみずしさに関する実使用試験を行った。使用感(みずみずしさ)を、スコア5をみずみずしい、スコア3をどちらともいえない、スコア1をみずみずしくない、として0.1刻みで評価し、3人の評価から平均スコアを求めた。
【0051】
(3)粘度の測定:
25℃において、B8L型粘度計(東機産業)、ローターNo.4、30rpmにて測定した。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例1〜5で得られたジェルはいずれも、温度サイクル試験に対しても安定であり、ジェル表面に水の遊離が無く、さらに、みずみずしく、清涼感があり軽い使用感であった。また、成分(F)の多糖類を含有する実施例2、3及び5のジェルは、特に、塗布時に濃厚な被膜感を有し、使用者に高いケア効果感を付与することができた。
一方、比較例1及び2のジェルは、温度サイクル試験によって組成物表面に水の遊離が顕著に現れ、安定性が悪いものであった。
【0054】
実施例6(ジェル)
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 10.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5.5
(4)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
(5)ジメチコン 3
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.35
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):15,000mPa・s)
【0055】
(製法)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
【0056】
実施例7(ジェル)
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 8.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 6.5
(4)(4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)
−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジン
プロピオン酸 2−エチルヘキシル) 0.7
(5)ジメチコン 1.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.36
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):13,000mPa・s)
【0057】
(製法)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
【0058】
実施例8(ジェル)
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 0.5(質量%)
(2)エタノール 6.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.0
(4)(2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)
−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−
メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン) 1.5
(5)ジメチコン 2.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.38
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):12,000mPa・s)
【0059】
(製法)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
【0060】
実施例9(ジェル)
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 10.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5.5
(4)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
(5)ジメチコン 3.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.34
(7)製造例2の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):14,000mPa・s)
【0061】
(製法)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
【0062】
実施例6〜9で得られたジェルはいずれも、みずみずしく、清涼感に優れ、軽い付け心地であり、しかも、離水がなく、経時安定性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 0.1〜1質量%、
(B)アクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)糖類 0.3〜3質量%、
(D)エタノール 3〜20質量%、
(E)水 50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなる皮膚外用剤。
【請求項2】
成分(A)と成分(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.033〜3.33である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
成分(A)と成分(D)の質量割合が、(A)/(D)=0.006〜0.3である請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
成分(B)と成分(D)の質量割合が、(B)/(D)=0.006〜0.55である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
成分(C)の糖類が、スクロース、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール及びキシリトールから選ばれるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
成分(A)と成分(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.1〜1.4である請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
成分(A)と成分(D)の質量割合が、(A)/(D)=0.01〜0.16である請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
成分(B)と成分(D)の質量割合が、(B)/(D)=0.01〜0.33である請求項1〜7のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
さらに、(F)多糖類を0.03〜0.08質量%含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
成分(F)の多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアーガム、マンナン及び澱粉から選ばれるものである請求項9記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 0.1〜1質量%、
(B)アクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)糖類 0.3〜3質量%、
(D)エタノール 3〜20質量%、
(E)水 50〜96.5質量%
を含有し、
成分(A)を水と混合し、寒天の溶解温度以上の温度に加熱し、寒天を溶解した後、これを冷却し、体積基準平均粒径が10〜10,000μmとなる略球形状のゲル状粒子を形成させ、一方、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる
皮膚外用剤の製造方法。

【公開番号】特開2012−171891(P2012−171891A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33609(P2011−33609)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】