説明

皮膚外用剤

【課題】製剤の着色を抑制した皮膚外用剤の提供。
【解決手段】ハイドロキノン、グリコールエーテルまたは特定の多価アルコール、アスコルビン酸またはその塩を含有することによって、皮膚外用剤の着色を抑制し、さらにハイドロキノンを安定化することができる。このため、ハイドロキノンの作用をその配合量に応じて有効に発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、および特定の多価アルコール類を含有し、製剤を安定に保持する事のできる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキノンは強い還元作用によって、様々な原因による色素沈着治療剤として広く用いられているが、光や熱などによって容易に酸化され褐変することが知られている。そこで、ハイドロキノンを安定化する方法が検討されており、例えば、亜硫酸ナトリウム単独、または、亜硫酸ナトリウムおよびクエン酸の併用(非特許文献1)、プラスチベース単独、または、アスコルビン酸配合かつ4℃保存(非特許文献2)などが行われている。一方で、アスコルビン酸を配合し、保存温度を検討したところ、アスコルビン酸の添加量とハイドロキノン軟膏の安定性に相関が見られなかったことも報告されている(非特許文献3)。
このようにハイドロキノン製剤の安定化に対する検討は不十分であり、特に室温にて長期間安定である製剤が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】医薬ジャーナル,Vol.20,No.10,1929-1934,1984
【非特許文献2】JJSHP,Vol.24,No.7,8,801-804,1988
【非特許文献3】日病薬誌,Vol.40,No.1,41-44,2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、および特定の多価アルコール類を含有する製剤を、長期間安定保持する事のできる皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ハイドロキノンとグリコールエーテル又は特定の多価アルコールを含有する皮膚外用剤に、アスコルビン酸またはその塩を併用することで、皮膚外用剤の着色が抑制されることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)に示す皮膚外用剤である。
(1)(A)ハイドロキノン、
(B)アスコルビン酸またはその塩、並びに
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を65重量%以上、
を含有する皮膚外用剤。
(2)さらに水を含有する(1)記載の皮膚外用剤。
(3)水の含有量が0.1〜20重量%である(2)記載の皮膚外用剤。
(4)(A)ハイドロキノン、
(B)アスコルビン酸またはその塩、
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、並びに
(D)水10重量%以下、
を含有する皮膚外用剤。
(5)さらに美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、老化防止成分及び保湿成分からなる群から選択される少なくとも1種を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
また、本発明は以下の(6)、(7)に示す皮膚外用剤の着色抑制方法をも包含する。
(6)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を65重量%以上、ハイドロキノン、並びにアスコルビン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤の着色抑制方法。
(7)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、並びに水10重量%以下を含有する皮膚外用剤の着色抑制方法。
なお、本明細書中、特に言及しない限り、%は重量%を意味するものとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、グリコールエーテルまたは特定の多価アルコールを65重量%以上、アスコルビン酸またはその塩、およびハイドロキノンを含有する皮膚外用剤の着色を抑制することができる。また、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、グリコールエーテルまたは特定の多価アルコール、および水を含有する皮膚外用剤において、水を10重量%以下にすることで、皮膚外用剤の着色を抑制することができる。このため、長期ハイドロキノンの作用をその配合量に応じて有効に発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、並びにグリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を65重量%以上含有する皮膚外用剤である。
【0009】
本発明で用いられるハイドロキノンは、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として市販されているハイドロキノンを用いることができる。
本発明で用いるハイドロキノンの配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%であれば良い。
【0010】
本発明で用いられるアスコルビン酸は、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として市販されているアスコルビン酸を用いることができ、これらは通常L体のものを指す。
また、アスコルビン酸は、薬学上許容される塩としても使用でき、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられ、特に好ましい塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。具体的には、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸モノリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸ジリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸トリリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
本発明において、アスコルビン酸またはその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0011】
本発明で用いるアスコルビン酸またはその塩の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.03〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%であれば良い。
【0012】
本発明においてグリコールとは、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられている25℃で液体であるジオールであり、例えば一般式CnH2n(OH)2で表されるジオールや単一または2種以上の前記ジオールの縮合体などが挙げられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,2−ヘキシレングリコール、オクチレングリコールなど、縮合体としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。好ましくはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールである。
また、本発明で用いられるグリセリンおよびジグリセリンは、皮膚外用剤などに頻用されている公知の化合物である。
【0013】
本発明においてグリコールエーテルとは、グリコールの水酸基の片方または両方がエーテル化した化合物であり、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に制限されず、グリコールは25℃で液体であるジオールであり、例えば一般式CnH2n(OH)2で表されるジオールや単一または2種以上の前記ジオールの縮合体であっても良い。例えば、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールジエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールモノエーテル、トリエチレングリコールジエーテル、テトラエチレングリコールモノエーテル、テトラエチレングリコールジエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールジエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールジエーテル、トリプロピレングリコールモノエーテル、トリプロピレングリコールジエーテル、ブチレングリコールモノエーテル、ブチレングリコールジエーテル、アルキレングリコールエーテルアセタート等が挙げられる。また、エーテルとしてはアルキルエーテル、アルコキシエーテル、芳香族エーテル、アリルエーテルなどが例示でき、具体的にはメチルエーテル、エチルエーテル、n-プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、イソブチルエーテル、t-ブチルエーテル、n-ペンチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、フェニルエーテル、ビニルエーテル等が挙げられる。
【0014】
グリコールエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2,4-ヘキサジエンエーテル、エチレングリコールモノ-2,6,8-トリメチル-4-ノニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、及びエチレングリコールモノメチルフェニルエーテル等のエチレングリコールモノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、及びエチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールジエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、及びジエチレングリコールモノメチルフェニルエーテル等のジエチレングリコールモノエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のジエチレングリコールジエーテル;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル及びトリエチレングリコールモノビニルエチルエーテル等のトリエチレングリコールモノエーテル;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のトリエチレングリコールジエーテル;テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル等のテトラエチレングリコールモノエーテル;テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のテトラエチレングリコールジエーテル等;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のプロピレングリコールモノエーテル;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールジイソブチルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル等のプロピレングリコールジエーテル;ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールアリルエーテル等のジプロピレングリコールモノエーテル;ジプロピレングリコールジエチルエーテル、及びジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールアリルエーテル等のジプロピレングリコールジエーテル;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のトリプロピレングリコールモノエーテル;トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、及びトリプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル等のトリプロピレングリコールジエーテル等;ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、及びブチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等のブチレングリコールモノエーテル;ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、及びブチレングリコールジ-n-ブチルエーテル等のブチレングリコールジエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールエーテルアセタート;等が挙げられる。
【0015】
グリコールエーテルとして好ましくは、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールジエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールモノエーテル、テトラエチレングリコールモノエーテル、テトラエチレングリコールジエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールジエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールジエーテル、トリプロピレングリコールモノエーテルであり、具体的にはエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールジイソブチルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、及びジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルである。
【0016】
グリコールエーテルとしてさらに好ましくは、エチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテルであり、具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである。
【0017】
これらのグリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンは、1種又は2種以上を組み合わせて使用でき、グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンの合計量として、皮膚外用剤全体に対して65〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは75〜85重量%であればよいが、本発明の効果を奏すれば特に制限されない。
【0018】
これらの中で、好ましい組み合わせとしては、(i)グリコール、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、(ii)グリコールのみが挙げられる。具体的には、(i)プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、(ii)プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールから選択される1種または2種以上である。
【0019】
また、本発明の皮膚外用剤は、水を配合していても着色を抑制することができる。本発明の皮膚外用剤中に配合される水の配合量は、皮膚外用剤全体に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%の範囲であればよいが、本発明の効果を奏すれば特に制限されない。
【0020】
本発明の皮膚外用剤の好適な実施形態としては、各成分を次の配合量で組み合わせるとさらに好ましい。
(A)ハイドロキノン0.1〜4重量%、
(B)アスコルビン酸またはその塩0.1〜10重量%、並びに
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を70〜90重量%
成分としてさらに好ましくは、アスコルビン酸またはその塩ではアスコルビン酸であり、グリコール、グリセリンおよびジグリセリンでは、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、グリコールエーテルとしてはジエチレングリコールモノエチルエーテルである。
【0021】
また、本発明は、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、および水10重量%以下を含有する皮膚外用剤をも包含する。
【0022】
本発明の水10重量%以下を含有する皮膚外用剤において、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンについては、前記皮膚外用剤と同様である。また、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩の配合量については前記皮膚外用剤と同様である。
本発明の水10重量%以下を含有する皮膚外用剤において、グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンの配合量は、グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンの合計量として、皮膚外用剤全体に対して、通常1〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、特に好ましくは10〜85重量%であればよいが、本発明の効果を奏すれば特に制限されない。
本発明の水10重量%以下を含有する皮膚外用剤において、水の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、皮膚外用剤全体に対して0.1〜10重量%である。かかる範囲内において適宜選択して用いることができるが、好ましくは0.5〜9重量%、特に好ましくは1〜8重量%の範囲である。
【0023】
本発明の水10重量%以下を含有する皮膚外用剤の好適な実施形態としては、各成分を次の配合量で組み合わせるとさらに好ましい。
(A)ハイドロキノン0.1〜4重量%、
(B)アスコルビン酸またはその塩0.1〜10重量%、並びに
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を70〜90重量%
(D)水0.1〜10重量%
成分としてさらに好ましくは、アスコルビン酸またはその塩ではアスコルビン酸であり、グリコール、グリセリンおよびジグリセリンでは、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、グリコールエーテルとしてはジエチレングリコールモノエチルエーテルである。
【0024】
本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤には、他の有用な作用を付加するため美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。好ましくは美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、老化防止成分または保湿成分の1種または2種以上の成分である。これらの成分の組み合わせとして特に好ましいものとしては、ハイドロキノンと美白成分との組み合わせ、ハイドロキノンと美白成分と抗酸化成分との組み合わせ、ハイドロキノンと抗酸化成分との各組み合わせ、ハイドロキノンと老化防止成分との組み合わせ、ハイドロキノンと美白成分と老化防止成分との各組み合わせを挙げることができる。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として従来から使用され、また将来使用されるものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。
【0025】
例えば、美白成分としては、アルブチン;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;カモミラET;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体等のビタミン類等が挙げられる。このうち、好ましいものとしては、パントテン酸又はその誘導体、エラグ酸、フィチン酸、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体を挙げることができる。これらの美白成分は1種または2種以上を用いてもよい。
【0026】
美白作用を有する植物成分を美白成分として用いてもよく、かかる植物成分としては、イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、クロレラ、ゴバイシ、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、納豆、茶、トウキ、トウキンセンカ、ニンニク、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、アメジスト、アセンヤク、アセビワラビ、イヌマキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、ゲンジン、サルサ、サヤインゲン、ショクマ、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、マルバハギ、チョウジ、カンゾウ等の植物に由来する成分が挙げられる。好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、ゴバイシ、コムギ、コメ、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、サルサ、サヤインゲン、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、チョウジ、カンゾウ及びトウキの植物由来成分であり、より好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、クチナシ、クジン、コメ、コメヌカ、サイシン、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、セージ、ダイコン、ツツジ、パセリ、ホップ、カンゾウ及びヨクイニンの植物由来成分である。
これらの植物成分を本発明の皮膚外用剤に用いる場合、植物成分の形態は特に制限されないが、通常は植物エキス(植物抽出物)や精油などの態様で使用することができる。なお、上記植物成分中に記載の( )内は、その植物の種類、別名または生薬名である。
【0027】
上記美白成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、美白成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
美白成分として美白作用のある植物成分を用いる場合は、目的に応じて1種もしくは2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。上記植物成分を美白成分として用いる場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合は、エキスや精油などの抽出物換算で、通常0.00001〜20重量%、好ましくは0.0001〜15重量%、より好ましくは0.001〜10重量%である。また、植物成分はハイドロキノン100重量部に対して0.0001〜100重量部、好ましくは0.001〜50重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0028】
抗炎症成分としては、アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、グアイアズレン、酢酸トコフェロール、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸又はその誘導体等が挙げられる。好ましくはアラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、グアイアズレン、メントールである。
【0029】
上記抗炎症成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、抗炎症成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0030】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン等が挙げられる。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン等が挙げられる。さらに好ましくは、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸及びその誘導体、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノールである。
【0031】
上記抗菌成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、抗菌成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0032】
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類:レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類:グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類:タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などが挙げられる。好ましくは、γ-アミノ酪酸、ε-アミノプロン酸などのアミノ酸類:レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類である。
【0033】
上記細胞賦活化成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、細胞賦活成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0034】
収斂成分としては、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸を挙げることができる。好ましくは、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸である。
【0035】
収斂成分を用いる場合、その本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、通常0.0003〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、収斂成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0036】
抗酸化成分としては、トコフェロール及びその誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリンなどが挙げられる。好ましくは、トコフェロール及びその誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、チオレドキシン、フラボノイドである。
【0037】
抗酸化成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、通常0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜5重量%である。また本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0038】
老化防止成分としては、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール等)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。好ましくは、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール等)、カイネチンである。
【0039】
上記老化防止成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。また、老化防止成分は本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に含まれるハイドロキノン100重量部に対して0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、より好ましくは0.01〜100重量部の割合になるように配合することが望ましい。
【0040】
保湿成分としては、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンなどのアミノ酸及びその誘導体;コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン等のペプチド;グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;ソルビトールなどの糖アルコール;レシチン、水素添加レシチン等のリン脂質;ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン等のムコ多糖;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分のほか、ポリグルタミン酸などがあげられる。好ましいものは、アラニン、セリン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、コラーゲン、コラーゲンペプチド、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、水素添加レシチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン、乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸である。
【0041】
保湿成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤に配合する割合としては、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜5重量%を挙げることができる。
【0042】
本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤は、上記各成分に加えて、さらに界面活性剤、可溶化成分、油脂類、糖類または経皮吸収促進成分を配合することもできる。特に界面活性剤、可溶化成分または油脂類を配合することによって、製剤中におけるハイドロキノンの安定性、有効性、製剤の使用感をより向上させることができる。
【0043】
ここで用いられる界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEと言う)−オクチルドデシルアルコールやPOE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE−分岐アルキルエーテル;POE−オレイルアルコールエーテルやPOE−セチルアルコールエーテル等のPOE−アルキルエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート及びソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノイソステアレート、及びPOE−ソルビタンモノラウレート等のPOE−ソルビタンエステル;グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;POE−グリセリンモノオレエート、POE−グリセリンモノステアレート、及びPOE−グリセリンモノミリステート等のPOE−グリセリン脂肪酸エステル;POE−ジヒドロコレステロールエステル、POE−硬化ヒマシ油、及びPOE−硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POE−オクチルフェニルエーテル等のPOE−アルキルアリールエーテル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;POE−モノステアリルグリセリルエーテル、POE−モノミリスチルグリセリルエーテル等のPOE−グリセリンアルキルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種非イオン界面活性剤:あるいはレシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤等を例示することができる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0044】
界面活性剤を使用する場合、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に0.01〜30重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができる。本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点からは、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲を挙げることができる。
【0045】
油脂類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油脂;大豆油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヒマワリ油、パーム油、アマ油、シソ油、シア油、サル油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、及びアボガド油等の植物油脂;ミンク油、卵黄油、牛脂、乳脂、及び豚脂等の動物油脂;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステルやエーテル類;シリコーン油等が挙げられる。これらの油脂類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0046】
これらの油脂類を使用する場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中に0.01〜70重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができるが、本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点から、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の範囲を挙げることができる。
【0047】
糖類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボース、フルクトース、リブロース、リキソースなど)、二糖類(例えば、蔗糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなど)、オリゴ糖類(例えば、ラクツロース、ラフィノース、プルランなど)、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロースなど)、高分子糖類[例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケラタン又はそれらの塩(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などの薬学上又は生理的に許容される塩など)など]、及び糖アルコール類(例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロースなど)その他、キシロース、イノシトール、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ、黒砂糖抽出物等が挙げられる。これらの糖類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、アミノ酸、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、pH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に配合することができる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤は、上記グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、並びに必要に応じて各成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。中でも好ましくは、ジェル状、液状、乳液状、エアゾール状、スプレー状であり、特に好ましくは液状、乳液状である。
【0050】
また、本発明の水10重量%以下を含有する皮膚外用剤は、上記グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、ハイドロキノン、アスコルビン酸またはその塩、水10重量%以下、並びに必要に応じて上記各任意成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。中でも好ましくは、ジェル状、液状、乳液状、エアゾール状、スプレー状であり、特に好ましくは液状、乳液状である。
【0051】
本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤は、通常pH1〜8の液性を備えていればよいが、ハイドロキノンの安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH2〜7、より好ましくはpH2〜6の酸性領域であることが望ましい。
【0052】
本発明の皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤は、例えば、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品または外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用される基礎化粧料、洗浄料、にきび治療剤、美白剤が好ましく、にきび治療剤、美白剤が特に好ましい。
【0053】
また本発明は、皮膚外用剤の着色抑制方法をも包含する。本発明の方法において、皮膚外用剤の着色抑制は、ハイドロキノンとグリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上に対して、アスコルビン酸またはその塩を併用することによって達成できる。
本発明の方法において、ハイドロキノン、グリコール、グリコールエーテル、グリセリン、ジグリセリンおよびアスコルビン酸またはその塩やこれらの含有量などについては、前記皮膚外用剤、または水10重量%以下を含有する皮膚外用剤で用いたものと同様である。さらに本方法にて得られた物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【実施例】
【0054】
以下に本発明を実施例及び試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
【0055】
試験例1 ハイドロキノンの製剤安定化評価
表1に記載の処方(重量%)に従って、ハイドロキノン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、アスコルビン酸、水を混合し溶解させて、製剤を調製した。調製直後の製剤はいずれも無色透明であった。これを分光測色計CM-3500d(MINOLTA製)を用いて、国際照明委員会(CIE)のL*a*b表色系を用いて測定した。同様にして、50℃の恒温槽にて2週間保管後に各製剤を測定し、調製直後の製剤を基準としてΔEを算出した。また、目視で製剤の色を判定した。
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1から、本発明の実施例1、2は、ΔEの値が小さく、目視でもわずかに着色しているかどうかが確認される程度であった。一方、特定の多価アルコール類の含有量が60%である比較例1では、ΔEの値が5を超え明らかに黄色に着色していた。さらに、アスコルビン酸を含有していない比較例2では、ΔEの値が10を超え褐色に着色していた。
さらに実施例1、2のハイドロキノンの残存率について検討を重ねたところ、50℃1ヶ月後では98.7%以上、2ヶ月後では98.4%以上であり、50℃という高温下においてもハイドロキノンが安定化されていることが確認された。実施例1では、40℃6ヶ月後でも99.4%であり、残存率の低下は見られなかった。
このように、本発明の皮膚外用剤は、製剤の着色を抑制し、ハイドロキノンを製剤中で安定化できることがわかった。
さらに、本発明の皮膚外用剤は、ハイドロキノンによる皮膚一次刺激性をも低減する製剤であった。
【0058】
以下に製剤実施例を挙げる。なお、以下の実施例中の配合量は、特に単位の記載のないものについてはすべて重量%を表す。
50℃の恒温槽にて2週間保管後の実施例3〜10すべてにおいて、製剤の着色が抑制されており、ハイドロキノンの残存率もほぼ100%であった。
【0059】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ハイドロキノン、
(B)アスコルビン酸またはその塩、並びに
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を65重量%以上、
を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
(A)ハイドロキノン、
(B)アスコルビン酸またはその塩、
(C)グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上、並びに
(D)水10重量%以下、
を含有する皮膚外用剤。
【請求項3】
グリコール、グリコールエーテル、グリセリンおよびジグリセリンから選択される1種または2種以上を65重量%以上、ハイドロキノン、並びにアスコルビン酸またはその塩を含有する皮膚外用剤の着色抑制方法。

【公開番号】特開2012−246317(P2012−246317A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204263(P2012−204263)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2006−125080(P2006−125080)の分割
【原出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】