説明

皮膚外用剤

【課題】化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な皮膚外用剤、詳しくは、美白作用、取り分け、色素沈着に対する予防又は改善作用を有する皮膚外用剤の提供。
【解決手段】下記一般式に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、AGEs分解剤とを含有する皮膚外用剤。


[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な、皮膚外用剤に関し、詳しくは、1)下記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced glycation end-products)分解剤とを含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【化1】

(1)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]
【背景技術】
【0003】
しみ、くすみ、シワ等の皮膚症状は、遺伝的な要因に加え、温度変化、紫外線又は化学物質暴露などの長年に渡る刺激の蓄積により、加齢と共に顕在化する皮膚老化症状である。この様な皮膚老化症状は、他人が認識しやすく、見た目の印象に大きく影響を与えるため、肌の美観を美しく保つことに関心の高い人々にとっては大きな悩みとなり得る。かかる皮膚症状の内、しみ、くすみ、そばかす、日焼け後の色素沈着などは、皮膚の色素細胞(メラノサイト)が活性化されメラニン産生が亢進されることにより生じることが知られている。特に、紫外線暴露が過度であった場合には、メラノサイトにおけるメラニン産生は過剰及び慢性的な亢進状態となり、角化細胞(ケラチノサイト)へのメラニンの過剰輸送、蓄積及び排出遅延等の現象を引き起こし、ケラチノサイトの細胞機能を不活性化させ、治り難いしみ、くすみ、重層剥離等の肌症状の悪化を伴う色素沈着を生じさせる。この様な過剰又は慢性的なメラニン産生亢進による色素沈着症状を予防又は改善するために、多様な美白剤の研究開発が盛んに行われている。これまでの美白剤に関する研究により、アスコルビン酸、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン、カテコ−ル類等の美白剤が開発され、該美白剤を配合した化粧料等も広く使用されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。また、美白剤の研究開発に加え、色素沈着のメカニズムに関する詳細な研究も進められ、かかる研究成果を基に、新たな作用機序を有する美白剤、例えば、メラニン産生抑制剤(例えば、特許文献1を参照)、チロシナ−ゼ酵素阻害剤(例えば、特許文献2を参照)、チロシナ−ゼ酵素遺伝子発現抑制剤、α−MSH阻害剤(例えば、特許文献3を参照)、抗酸化剤(例えば、特許文献4を参照)等が見出されてきた。
【0004】
また、美白素材の探索研究(例えば、特許文献5を参照)に加え、既存の美白剤を併用すること(例えば、特許文献6を参照)、更には、製剤中の処方成分を改良した貯留性又は透過性の高い皮膚外用剤(例えば、特許文献7を参照)を開発することにより、美白効果を高めようとする研究もなされている。しかしながら、かかる研究においても、一定の美白効果が認められるものの、その効果は、必ずしも満足出来るものとはなっていない。また、この様な美白成分を含有する皮膚外用剤には、安定性又は安全性に課題を有するものも存在した。さらに、従来の美白剤を適用した場合には十分な予防又は改善が困難であると考えられえる、ケラチノサイトの機能低下に起因する治り難いしみ又はくすみ、重層剥離などの肌荒れ症状を伴う色素沈着症状なども存在し、この様な色素沈着異常を改善させる手段の開発が望まれていた。さらに、前述の様な状況に加え、これまでの広範囲にわたる美白剤の探索研究により、天然物又は合成化合物等の素材資源もかなり調査研究され、新規美白成分の創出が困難な状況になってきている。このため、従来の美白剤が有する美白作用を効果的に発揮させ美白作用を向上させる技術が注目され、その様な技術開発が、より一層望まれている。
【0005】
しみ、くすみ等の肌症状が生じる作用機序としては、メラニン産生亢進のほか、終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)に注目が注がれている。1912年にL.C.Mallardにより発見された、アミノ酸及び還元糖の非酵素的な縮合反応により生じるAGEsには、その特性により数十種類の化合物(例えば、クロスリン、ピロピリジン、ペントシジン、ピラリン、カルボキシメチルリジンなど)が存在し、様々な性質を示すことが知られている。また、AGEsは、しみ、くすみなどの肌症状のほか、糖尿病性血管合併症、動脈硬化、アルツハイマ−病などの疾患との関係性が報告されている(例えば、非特許文献3を参照)。また、表皮(例えば、特許文献8を参照)及び真皮(例えば、特許文献9を参照)におけるAGEsの存在、更には、真皮AGEsの産生を抑制することよりくすみ等の肌症状を予防又は改善(例えば、特許文献10を参照)出来ることが明らかにされているが、その効果は、必ずしも満足のいくものではなかった。一方、角層におけるAGEsの存在、並びに、角層AGEsの働きに関しては、ほとんど明らかにされていなかった。このため、角層AGEsの存在量を低下させる作用を有する成分を研究することにより、従来の知られていた真皮AGEsの分解作用を有する成分とは異なる作用機序によるしみ、くすみなどの色素沈着異常に対する予防又は改善作用を有する美白剤の創出が期待される。
【0006】
一方、立体的に嵩高い芳香族基又は複素芳香族基(特に、ジフェニルメチル基またはトリフェニルメチル基)は、有機低分子化合物、ペプチド及び核酸合成における水酸基またはアミノ基の有効な保護基として広く知られている(例えば、非特許文献4及び非特許文献5を参照)。これらの保護基を利用した有機化学反応及び合成中間化合物(例えば、非特許文献6及び非特許文献7を参照)は、実験室から工業生産までの幅広いスケ−ルにおける有機合成に応用されている。また、その化学構造中に、立体的に嵩高い置換基を有する化合物は、抗腫瘍活性(例えば、非特許文献6を参照)、抗真菌作用(例えば、特許文献11を参照)、抗ヒスタミン作用(例えば、非特許文献7を参照)、ドパミン取り込み阻害作用(例えば、非特許文献8を参照)、カルシウム拮抗作用(例えば、非特許文献9を参照)、メラニン産生抑制作用(例えば、特許文献12を参照)等の生物活性を示すことが報告されている。しかしながら、本発明の前記一般式(1)に表される化合物を、AGEs分解作用を有する成分と共に皮膚外用剤に含有させることにより、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善効果が増強されることは発明者の知る限り知られていなかった。さらに、本発明の前記一般式(1)に表される化合物とAGEs分解剤を共に含有する本発明の皮膚外用剤が、これまで十分な予防又は改善効果が得られなかった治り難いしみ、くすみ、重層剥離などの肌荒れ症状を伴った色素沈着異常に対し、優れた予防又は改善作用が存することも発明者の知る限り知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−208073号公報
【特許文献2】特開2009−196895号公報
【特許文献3】特開2001−220347号公報
【特許文献4】特開2010−037299号公報
【特許文献5】特開2009−263258号公報
【特許文献6】特開2004−352630号公報
【特許文献7】特開2007−332115号公報
【特許文献8】再表2006−132033号公報
【特許文献9】特開2009−008460号公報
【特許文献10】特開2003−261432号公報
【特許文献11】特開平09−255634号公報
【特許文献12】WO2010−074052号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】武田克之ら監修、「化粧品の有用性、評価技術と将来展望」、薬事日報社刊(2001年)
【非特許文献2】大森敬之、FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊、No.14、1995、 118−126
【非特許文献3】山岸昌一 編集、AGEs研究の最前線 糖化蛋白質関連疾患研究の現状(メディカルレビュ−社、P231、(2004)
【非特許文献4】Theodora W. Green、Protective Groups in Organic Synthesis、A Wiley-Interscience Publication.: 1981、 P173−176 and P273−274
【非特許文献5】泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典、ペプチド合成の基礎と実験: 丸善株式会社、昭和60年、 P38
【非特許文献6】Naohisa Ogo et. Al.、Bioorganic & Medicinal Chemistry、17(4)、3921−3924(2007)
【非特許文献7】Sasse A., et. al.、Bioorganic & Medicinal Chemistry、8(5)、1139−1149(2000)
【非特許文献8】Dutta AK. et. al.、Bioorganic & Medicinal Chemistry、11(17)、2337−2340(2001)
【非特許文献9】Shanklin JR Jr., et al.、 J. Med. Chem.、34(10)、3011−3022(1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この様な状況に為されたものであり、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な皮膚外用剤、詳しくは、美白用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この様な状況に鑑みて、本発明者等は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な、美白作用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善作用を有する皮膚外用剤を求め、鋭意努力を重ねた結果、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤を共に含有する皮膚外用剤が、かかる作用に優れることを見出し、本発明を完成されるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> 1)下記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced glycation end-products)分解剤とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【0011】
【化1】

(1)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]
<2> 前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0012】
【化2】

(2)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]
【0013】
<3> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0014】
【化3】

(3)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R1は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族炭化水素の環は、R1がXを含み形成される環も包含する。]
【0015】
<4> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0016】
【化4】

(4)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、酸素原子を表し、R2は、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、水素原子を表す。]
【0017】
<5> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0018】
【化5】

(5)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、水素原子を表す。]
【0019】
<6> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0020】
【化6】

(6)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R5は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族基、水素原子を表す。また、前記芳香族基の環は、R5がXを含み形成される環も包含する。]
【0021】
<7> 前記一般式(1)〜(6)に表される化合物が、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする、<1>〜<6>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0022】
【化7】

1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)
【0023】
【化8】

1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)
【0024】
【化9】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)
【0025】
【化10】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)
【0026】
【化11】

2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)
【0027】
【化12】

2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)
【0028】
【化13】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)
【0029】
【化14】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)
【0030】
【化15】

1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)
【0031】
【化16】

1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)
【0032】
【化17】

1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)
【0033】
【化18】

1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)
【0034】
<8> 前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、皮膚外用剤全量に対し、0.001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<1>〜<7>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<9> 前記AGEs分解剤が、下記の植物より得られる抽出物よりなることを特徴とする、<1>〜<8>の何れかに記載の皮膚外用剤。
(植物)モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属
<10> 前記のモクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物が、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバエ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウであることを特徴とする、<1>〜<9>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<11> 前記AGEs分解剤を、皮膚外用剤全量に対し0.0001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<1>〜<10>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<12> 前記のAGEs分解剤が、皮膚の角層中に存在するAGEsの分解作用を有することを特徴とする、<1>〜<11>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<13> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<1>〜<12>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<14> 美白用であることを特徴とする、<1>〜<13>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<15> 前記の美白作用が、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善用であることを特徴とする、<1>〜<14>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<16> 色素沈着に対する予防又は改善作用が、メラニン過剰輸送により生じる角化細胞の細胞不活性化が関与する色素沈着異常の予防又は改善用であることを特徴とする、<1>〜<15>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な皮膚外用剤、詳しくは、美白用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を提供することが出来る。また、かかる皮膚外用剤は、前記の色素沈着予防又は改善作用に加え、メラノサイトにおける過剰及び/又は慢性的なメラニン産生亢進により誘引されるケラチノサイトへのメラニン過剰輸送、蓄積及び排出遅延等の現象に起因するケラチノサイトの細胞機能低下の結果生じる治り難いしみ、くすみ、重層剥離などの肌荒れ症状を伴う色素沈着異常に対する予防又は改善作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物のヒト角層中AGEsの生成抑制作用を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤とを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、美白作用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善作用、更には、メラノサイトにおける過剰及び/又は慢性的なメラニン産生亢進により誘引されるケラチノサイトへのメラニン過剰輸送、蓄積及び排出遅延等の現象に起因するケラチノサイトの細胞機能低下の結果生じる治り難いしみ、くすみ、重層剥離などの肌荒れ症状を伴う色素沈着異常に対する予防又は改善作用に優れる。一般に、紫外線暴露等による通常の日焼け等の色素沈着においては、メラノサイトのメラニン産生亢進は、一過性及び可逆性である。これに対し、紫外線暴露による刺激が過度であった場合には、メラノサイトのメラニン産生は、過剰及び/又は慢性的に亢進された状態となり、ケラチノサイトへのメラニンの過剰輸送、蓄積及び排出遅延などの現象が引き起こされる。この様な現象は、ケラチノサイトの細胞機能不活性化、タ−ンオ−バ−の遅延等のダメ−ジとして蓄積し、最終的に、治り難いしみ、くすみ、重層剥離などの肌荒れ症状を伴う色素沈着異常などの皮膚症状の悪化として認識されることとなる。また、前記のケラチノサイトの細胞機能が低下することにより肌荒れ症状を伴う色素沈着症状を呈し皮膚症状の悪化が生じている人においては、角層標本を作製した場合、有核細胞の出現率が平均に比べ高く、皮膚の重層剥離等の皮膚症状が観察される。本発明の皮膚外用剤は、通常の日焼けなどの色素沈着に対する予防又は改善効果に加え、特に、過剰及び/又は慢性的なメラニン産生亢進状態が引き起こす色素沈着異常を伴う皮膚症状を呈する人を対象に使用することが好ましい。この様な人を対象とするため、角層標本の作製による有核細胞の出現率、皮膚の重層剥離等の皮膚症状の観察による症状を指標とし、投与する対象を設定することが好ましい。
【0038】
以下に、本発明の皮膚外用剤の必須成分である、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、2)AGEs分解剤に付いて説明する。
【0039】
<本発明の前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤とを含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述するAGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた美白作用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善作用、更には、治り難いしみ又はくすみ、重層剥離等の肌荒れを伴う色素沈着に対する予防又は改善作用を発揮する。本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、AGEs分解剤を共に含有することにより、美白作用を相加又は相乗的に向上させ、更には、メラノサイトにおけるメラニン過剰産生及び/又は慢性的なメラニン産生亢進によるケラチノサイトへのメラニン過剰輸送、蓄積及び排出遅延などにより生じる色素沈着異常、具体的には、重層剥離などの肌荒れ症状を伴う色素沈着異常に対し優れた予防又は改善作用を発揮する。本発明の皮膚外用剤には、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の1種又は2種以上を選択し配合することが出来る。
【0040】
また、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、さらに好ましいものとしては、前記一般式(3)〜(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。さらに、前記一般式(1)〜(6)に表される化合物に関し、好ましい化合物を具体的に例示すれば、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0041】
本発明の前記一般式(1)〜(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述するAGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた美白作用、取り分け、色素沈着異常に対する予防又は改善作用、更には、メラノサイトにおけるメラニン過剰産生及び/又は慢性的なメラニン産生亢進によるケラチノサイトへのメラニン過剰輸送、蓄積及び排出遅延など現象が関与する色素沈着異常に対する予防又は改善作用を発揮する。かかる作用は、前記一般式(1)〜(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、後述するAGEs分解剤との薬理学的な相加又は相乗的な増強作用、更には、前記一般式(1)〜(6)に表される化合物及び/又はAGEs分解剤を共に含有させたことによる標的部位への集積性又は貯留性向上作用により、色素沈着に対する予防又は改善作用が向上する。また、前記一般式(1)〜(6)に表される化合物は、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。
【0042】
ここで前記一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。前記Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれる複素原子を含んでもよいジ又はトリ芳香族メチル基を表し、前記Aにおける無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基に関し具体例を挙げれば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、イミダゾ−ル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N−プロピルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、プロピルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、プロピルオキシピリジル基、ヒドロキシピリジル基、アミノピリジル基、N−メチルアミノピリジル基、N−エチルアミノピリジル基、N−プロピルアミノピリジル基、N,N−ジメチルアミノピリジル基、N,N−ジエチルアミノピリジル基、N,N−ジプロピルアミノピリジル基、フルオロピリジル基、ジフルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、クロロピリジル基、ブロモピリジル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロピルオキシナフチル基、ヒドロキシナフチル基、アミノナフチル基、N−メチルアミノナフチル基、N−エチルアミノナフチル基、N−プロピルアミノナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、フルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、イミダゾ−ル基、メチルイミダゾ−ル基、エチルイミダゾ−ル基、プロピルイミダゾ−ル基、メトキシイミダゾ−ル基、エトキシイミダゾ−ル基、プロピルオキシイミダゾ−ル基、ヒドロキシイミダゾ−ル基、アミノイミダゾ−ル基、N−メチルアミノイミダゾ−ル基、N−エチルアミノイミダゾ−ル基、N−プロピルアミノイミダゾ−ル基、N,N−ジメチルアミノイミダゾ−ル基、N,N−ジエチルアミノイミダゾ−ル基、N,N−ジプロピルアミノイミダゾ−ル基、フルオロイミダゾ−ル基、ジフルオロイミダゾ−ル基、トリフルオロメチルイミダゾ−ル基、クロロイミダゾ−ル基、ブロモイミダゾ−ル基等が好適に例示出来、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。前記Bに関し具体例を挙げれば、水酸基、アミノ基、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基を有するモノ又はジアルキルアミノ基(但し、A及びBの結合部分の複素原子が炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基の環状構造中に存在する環状アミノ基を含む)、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基を有するアルキルオキシ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を有するモノ又はジ置換アミノ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル鎖を有するアルキルオキシ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数3〜8の芳香族炭化水素基を有するモノ又はジ置換アミノ基(但し、A及びBの結合部分の複素原子が炭素数3〜8の芳香族炭化水素基の環状構造中に存在する環状アミノ基を含む)。前記一般式(1)に表される化合物の内、より好ましいものとしては、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、前記一般式(3)〜(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記一般式(2)〜(6)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、1−[フェニル(ピリジル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジ(ピリジル)メチル]イミダゾ−ル、1−{[ジフェニル(ピリジル)]メチル}イミダゾ−ル、1−{[(ジピリジル)フェニル]メチル}イミダゾ−ル、1−(トリピリジルメチル)イミダゾ−ル、2−{[フェニル(ピリジル)メチル]オキシ}エタノ−ル、2−[ジ(ピリジルメチル)オキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(ピリジル)メチル]オキシ}エタノ−ル、2−{[ジピリジル(フェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル、2−[トリ(ピリジルメチル)オキシ]エタノ−ル、2−{[フェニル(ピリジル)メチル]アミノ}エタノ−ル、2−[ジ(ピリジルメチル)アミノ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(ピリジル)メチル]アミノ}エタノ−ル、2−{[ジ(ピリジル)フェニルメチル]アミノ}エタノ−ル、2−{[トリ(ピリジル)メチル]アミノ}エタノ−ル、2−{[フェニル(ピリジル)メチル]オキシ}エチルアミン、2−{[ジ(ピリジル)メチル]オキシ}エチルアミン、2−{[ジフェニル(ピリジル)メチル]オキシ}エチルアミン、2−{[ジ(ピリジル)フェニルメチル]オキシ}エチルアミン、2−{[トリ(ピリジル)メチル]オキシ}エチルアミン、1−[フェニル(ピリジル)メチル]ピロリジン、1−[ジ(ピリジル)メチル]ピロリジン、1−{[ジフェニル(ピリジル)]メチル}ピロリジン、1−{[(ジピリジル)フェニル]メチル}ピロリジン、1−[トリ(ピリジル)メチル]ピロリジン、1−{[フェニル(ピリジル)]メチル}ピペリジン、1−[ジ(ピリジル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(ピリジル)メチル]ピペリジン、1−{[(ジピリジル)フェニル]メチル}ピペリジン、1−[トリ(ピリジル)メチル]ピペリジン及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩等が好適に例示出来る。また、前記一般式(1)に表される化合物の内、好ましいものを具体的に例示すれば、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0043】
ここで前記一般式(2)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。前記Aにおける無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基の芳香族基に関し、好ましいものを具体例に挙げれば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N−プロピルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロピルオキシナフチル基、ヒドロキシナフチル基、アミノナフチル基、N−メチルアミノナフチル基、N−エチルアミノナフチル基、N−プロピルアミノナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、フルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。
前記Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。前記Bに関し具体例を挙げれば、水酸基、アミノ基、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基を有するモノ又はジアルキルアミノ基(但し、A及びBの結合部分の複素原子が炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基の環状構造中に存在する環状アミノ基を含む)、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基を有するアルキルオキシ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を有するモノ又はジ置換アミノ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル鎖を有するアルキルオキシ基、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数3〜8の芳香族炭化水素基を有するモノ又はジ置換アミノ基(但し、A及びBの結合部分の複素原子が炭素数3〜8の芳香族炭化水素基の環状構造中に存在する環状アミノ基を含む)。
前記一般式(2)に表される化合物の内、より好ましいものとしては、前記一般式(3)〜(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましい化合物を具体的に例示すれば、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0044】
ここで前記一般式(3)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R1は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族炭化水素基の環は、R1がXを含み形成される環も包含される。前記Aにおける無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群よりそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基の芳香族基は、前記一般式(2)に表される化合物におけるAに記載の置換基と同様の置換基を表し、好ましいものとしては、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記Xは、窒素原子又はNH基を表す。
前記R1は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基(但し、前記環状脂肪族炭化水素基の環は、R1がXを含み形成される環も包含する)、水素原子を表す。前記R1に関し、好ましいものを具体的に例示すれば、N−シクロプロピル基、N−シクロブチル基、N−シクロペンチル基、N−シクロヘキシル基、N−シクロヘプチル基、N−シクロオクチル基等が好適に例示出来る。また、環状脂肪族炭化水素基の環が、R1がXを含み形成された環構造を有する置換基(前記X部分を含む)としては、ピロリジノ基、メチルピロリジノ基、エチルピロリジノ基、プロピルピロリジノ基、メトキシピロリジノ基、エトキシピロリジノ基、プロピルオキシピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、アミノピロリジノ基、N−メチルピロリジノ基、N−エチルピロリジノ基、N−プロピルピロリジノ基、N,N−ジメチルピロリジノ基、N,N−ジエチルピロリジノ基、N,N−ジプロピルピロリジノ基、フルオロピロリジノ基、ジフルオロピロリジノ基、トリフルオロメチルピロリジノ基、クロロピロリジノ基、ピペリジノ基、メチルピペリジノ基、エチルピペリジノ基、プロピルピペリジノ基、メトキシピペリジノ基、エトキシピペリジノ基、プロピルオキシピペリジノ基、ヒドロキシピペリジノ基、アミノピペリジノ基、N−メチルピペリジノ基、N−エチルピペリジノ基、N−プロピルピペリジノ基、N,N−ジメチルピペリジノ基、N,N−ジエチルピペリジノ基、N,N−ジプロピルピペリジノ基、フルオロピペリジノ基、ジフルオロピペリジノ基、トリフルオロメチルピペリジノ基、クロロピペリジノ基、ピペラジノ基、メチルピペラジノ基、エチルピペラジノ基、プロピルピペラジノ基、メトキシピペラジノ基、エトキシピペラジノ基、プロピルオキシピペラジノ基、ヒドロキシピペラジノ基、アミノピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、N−エチルピペラジノ基、N−プロピルピペラジノ基、N,N−ジメチルピペラジノ基、N,N−ジエチルピペラジノ基、N,N−ジプロピルピペラジノ基、フルオロピペラジノ基、ジフルオロピペラジノ基、トリフルオロメチルピペラジノ基、クロロピペラジノ基、モルホリノ基、メチルモルホリノ基、エチルモルホリノ基、プロピルモルホリノ基、メトキシモルホリノ基、エトキシモルホリノ基、プロピルオキシモルホリノ基、ヒドロキシモルホリノ基、アミノモルホリノ基、N−メチルモルホリノ基、N−エチルモルホリノ基、N−プロピルモルホリノ基、N,N−ジメチルモルホリノ基、N,N−ジエチルモルホリノ基、N,N−ジプロピルモルホリノ基、フルオロモルホリノ基、ジフルオロモルホリノ基、トリフルオロメチルモルホリノ基、クロロモルホリノ基、スクシンイミド基等が好適に例示出来、より好ましくは、ピロリジノ基、ヒドロキシピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基が好適に例示出来、より好ましくは、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、好ましいものを具体的に例示すれば、N−(ジフェニルメチル)スクシンイミド、N−[(メチルフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[ビス(メチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[(エチルフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[ビス(エチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[(メトキシフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[ビス(メトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[(エトキシフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[ビス(エトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[(フルオロフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[ビス(フルオロフェニル)メチル]スクシンイミド、N−(トリフェニルメチル)スクシンイミド、N−[ジフェニル(メチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[トリス(メチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ジフェニル(エチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[トリス(エチルフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[トリス(メトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ビス(エトキシフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[トリス(エトキシフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチル]スクシンイミド、N−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチル]スクシンイミド、N−[トリス(フルオロフェニル)メチル]スクシンイミド、1−(ジフェニルメチル)ピロリジン(化合物9)、1−[(メチルフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(メチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(メトキシフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(メトキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(アミノフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(アミノフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(フルオロフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(フルオロフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(クロロフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(クロロフェニル)メチル]ピロリジン、1−(トリフェニルメチル)ピロリジン(化合物10)、1−[ジフェニル(メチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(メチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ジフェニル(エチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(エチルフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(メトキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(エトキシフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(エトキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチル]ピロリジン、1−[(アミノフェニル)ジフェニルメチル]ピロリジン、1−[ビス(アミノフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(アミノフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチル]ピロリジン、1−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチル]ピロリジン、1−[トリス(フルオロフェニル)メチル]ピロリジン、1−(ジフェニルメチル)ピペリジン(化合物11)、1−[(メチルフェニル)フェニルメチル]ピぺリジン、1−[ビス(メチルフェニル)メチル]ピぺリジン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]ピぺリジン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]ピぺリジン、1−[(メトキシフェニル)フェニルメチル]ピぺリジン、1−[ビス(メトキシフェニル)メチル]ピぺリジン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]ピぺリジン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]ピぺリジン、1−[(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[(アミノフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[ビス(アミノフェニル)メチル]ピペリジン、1−[(フルオロフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[ビス(フルオロフェニル)メチル]ピペリジン、1−[(クロロフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[ビス(クロロフェニル)メチル]ピペリジン、1−(トリフェニルメチル)ピペリジン(化合物12)、1−[ジフェニル(メチルフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(メチルフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(エチルフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(エチルフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(メトキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(エトキシフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(エトキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチル]ピペリジン、1−[(アミノフェニル)ジフェニルメチル]ピペリジン、1−[ビス(アミノフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(アミノフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチル]ピペリジン、1−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチル]ピペリジン、1−[トリス(フルオロフェニル)メチル]ピペリジン、1−(ジフェニルメチル)モルホリン、1−[(メチルフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(メチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[(メトキシフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(メトキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[(エチルフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[(アミノフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(アミノフェニル)メチル]モルホリン、1−[(フルオロフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(フルオロフェニル)メチル]モルホリン、1−[(クロロフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(クロロフェニル)メチル]モルホリン、1−(トリフェニルメチル)モルホリン、1−[ジフェニル(メチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(メチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[ジフェニル(エチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(エチルフェニル)メチル]モルホリン、1−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(メトキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(エトキシフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(エトキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチル]モルホリン、1−[(アミノフェニル)ジフェニルメチル]モルホリン、1−[ビス(アミノフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(アミノフェニル)メチル]モルホリン、1−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチル]モルホリン、1−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチル]モルホリン、1−[トリス(フルオロフェニル)メチル]モルホリン及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましいものとしては、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メ
チル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0045】
ここで前記一般式(4)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、酸素原子を表し、R2は、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、水素原子を表す。前記Aにおける無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族基における芳香族基は、前記一般式(2)に表される化合物におけるAに記載の置換基と同様の置換基を表し、好ましいものとしては、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記Xは、酸素原子を表す。前記R2は、水素原子、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表し、具体例を挙げれば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、ジヒドロキシメチル基、ジヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシブチル基、ジヒドロキシペンチル基、ジヒドロキシヘキシル基、ジヒドロキシヘプチル基、ジヒドロキシオクチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基、アミノヘプチル基、アミノオクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、メトキシエチル基が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、好ましい化合物を具体的に例示すれば、ジフェニルメタノ−ル、1−[(ジフェニルメチル)オキシ]メタノ−ル、2−[(ジフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル(化合物3)、3−[(ジフェニルメチル)オキシ]プロパノ−ル、4−[(ジフェニルメチル)オキシ]ブタノ−ル、5−[(ジフェニルメチル)オキシ]ペンタノ−ル、6−[(ジフェニルメチル)オキシ]ヘキサノ−ル、7−[(ジフェニルメチル)オキシ]ヘプタノ−ル、8−[(ジフェニルメチル)オキシ]オクタノ−ル、トリフェニルメタノ−ル、1−[(トリフェニルメチル)オキシ]メタノ−ル、2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル(化合物4)、3−[(トリフェニルメチル)オキシ]プロパノ−ル、4−[(トリフェニルメチル)オキシ]ブタノ−ル、5−[(トリフェニルメチル)オキシ]ペンタノ−ル、6−[(トリフェニルメチル)オキシ]ヘキサノ−ル、7−[(トリフェニルメチル)オキシ]ヘプタノ−ル、8−[(トリフェニルメチル)オキシ]オクタノ−ル、1−[(ジフェニルメチル)オキシ]メチルアミン、2−[(ジフェニルメチル)オキシ]エチルアミン(化合物7)、3−[(ジフェニルメチル)オキシ]プロピルアミンアミン、4−[(ジフェニルメチル)オキシ]ブチルアミン、5−[(ジフェニルメチル)オキシ]ペンチルアミン、6−[(ジフェニルメチル)オキシ]ヘキシルアミン、7−[(ジフェニルメチル)オキシ]ヘプチルアミン、8−[(ジフェニルメチル)オキシ]オクチルアミン、1−[(トリフェニルメチル)オキシ]メチルアミン、2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エチルアミン(化合物8)、3−[(トリフェニルメチル)オキシ]プロピルアミン、4−[(トリフェニルメチル)オキシ]ブチルアミン、5−[(トリフェニルメチル)オキシ]ペンチルアミン、6−[(トリフェニルメチル)オキシ]ヘキシルアミン、7−[(トリフェニルメチル)オキシ]ヘプチルアミン、8−[(トリフェニルメチル)オキシ]オクチルアミン、2−{[(メチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[ビス(メチルフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(エチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(エチルフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(メトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(メトキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(エトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(エトキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(ヒドロキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(ヒドロキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(アミノフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(アミノフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(フルオロフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[(ビス(フルオロフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(メチルフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(メチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(メチルフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(エチルフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(エチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(エチルフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(メトキシフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(メトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(メトキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(エトキシフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(エトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(エトキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(アミノフェニル)ジフェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(アミノフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(アミノフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[ジフェニル(フルオロフェニル)]メチルオキシ}エタノ−ル、2−{[ビス(フルオロフェニル)フェニル]メチルオキシ}エタノ−ル、2−[トリス(フルオロフェニル)メチルオキシ]エタノ−ル、2−{[(メチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[ビス(メチルフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(エチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(エチルフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(メトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(メトキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(エトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(エトキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(ヒドロキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(ヒドロキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(アミノフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(アミノフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(フルオロフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[(ビス(フルオロフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(メチルフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(メチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(メチルフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(エチルフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(エチルフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(エチルフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(メトキシフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(メトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(メトキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(エトキシフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(エトキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(エトキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[(アミノフェニル)ジフェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(アミノフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(アミノフェニル)メチルオキシ]エチルアミン、2−{[ジフェニル(フルオロフェニル)]メチルオキシ}エチルアミン、2−{[ビス(フルオロフェニル)フェニル]メチルオキシ}エチルアミン、2−[トリス(フルオロフェニル)メチルオキシ]エチルアミン及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0046】
ここで前記一般式(5)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素を表す。前記Aにおける無置換又は置換基を有するアリ−ル基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族基における芳香族基は、前記一般式(2)に表される化合物におけるAに記載の置換基と同様の置換基を表し、好ましいものとしては、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記Xは、窒素原子を表す。前記R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されてもよい炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R3及びR4に関し、好ましいものを具体的に例示すれば、水素原子、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、ジヒドロキシメチル基、ジヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシブチル基、ジヒドロキシペンチル基、ジヒドロキシヘキシル基、ジヒドロキシへプチル基、ジヒドロキシオクチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基、アミノヘプチル基、アミノオクチル基等が好適に例示出来、よりこ好ましくは、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、メトキシエチル基が好適に例示出来る。前記一般式(5)に表される化合物の内、好ましい化合物を具体的に例示すれば、2−[(ジフェニルメチル)アミノ]エタノ−ル(化合物5)、3−[(ジフェニルメチル)アミノ]プロパノ−ル、4−[(ジフェニルメチル)アミノ]ブタノ−ル、5−[(ジフェニルメチル)アミノ]ペンタノ−ル、6−[(ジフェニルメチル)アミノ]ヘキサノ−ル、7−[(ジフェニルメチル)アミノ]ヘプタノ−ル、8−[(ジフェニルメチル)アミノ]オクタノ−ル、2−[(メチルフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(メチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(エチルフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(エチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(メトキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(メトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(エトキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(エトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ヒドロキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(ヒドロキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(アミノフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(アミノフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(フルオロフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[(ビス(フルオロフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(トリフェニルメチル)アミノ]エタノ−ル(化合物6)、3−[(トリフェニルメチル)アミノ]プロパノ−ル、4−[(トリフェニルメチル)アミノ]ブタノ−ル、5−[(トリフェニルメチル)アミノ]ヘキサノ−ル、6−[(トリフェニルメチル)アミノ]ヘプタノ−ル、8−[(トリフェニルメチル)アミノ]オクタノ−ル、2−[ジフェニル(メチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(メチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ジフェニル(エチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(エチルフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(メトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(エトキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(エトキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[(アミノフェニル)ジフェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(アミノフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(アミノフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル、2−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチルアミノ]エタノ−ル、2−[トリス(フルオロフェニル)メチルアミノ]エタノ−ル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0047】
ここで前記一般式(6)に表される化合物に付いて述べれば、式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R5は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族基、水素原子を表す。また、前記芳香族基の環は、R5がXを含み形成される環も包含する。前記Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、前記一般式(2)に表される化合物における置換基Aと同様の置換基を表し、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基(トルイル基)、メトキシフェニル、ビフェニル基等が好適に例示出来る。Xは、窒素原子又はNH基を表す。前記R5は、水素原子、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族基を表し、前記の芳香族基の環は、R5がXを含み形成される環も包含する。かかる芳香族炭化水素基に関し具体例を挙げれば、フェニル基、イミダゾ−ル基、フリル基、チエニル基等が好適に例示出来、さらに、Xが環内に存在する基としては、ピリジル基、イミダゾ−ル基等が好適に例示出来、より好ましくは、イミダゾ−ル基が好適に例示出来る。前記一般式(6)に表される化合物に関し具体例を挙げれば、1−(ジフェニルメチル)イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(メチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(メチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(エチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(エチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(メトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(メトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(エトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(エトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(アミノフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(アミノフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(フルオロフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(フルオロフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−(トリフェニルメチル)イミダゾ−ル(化合物2)、1−[ジフェニル(メチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(メチルフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(メチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジフェニル(エチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(エチルフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(エチルフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジフェニル(メトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(メトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジフェニル(エトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(メトキシフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(エトキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジフェニル(ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[(アミノフェニル)ジフェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(アミノフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(アミノフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ジフェニル(フルオロフェニル)メチル]イミダゾ−ル、1−[ビス(フルオロフェニル)フェニルメチル]イミダゾ−ル、1−[トリス(フルオロフェニル)メチル]イミダゾ−ル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0048】
前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、市販の相当する試薬を出発原料とし、下記に示す方法に従い又は参考に合成することが出来る。さらに、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、下記に記載されていない化合物の合成方法に関しては、本出願人により出願されたWO2010/074052に記載の合成方法に従い製造することが出来る。本発明の前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、そのまま皮膚外用剤に含有させることにより、優れた美白作用、取り分け、紫外線暴露などによる色素沈着に対する予防又は改善効果、更には、ケラチノサイトの細胞機能低下により生じる治り難いしみ、くすみ、肌荒れ症状を伴う色素沈着に対する予防又は改善効果を発揮させるために使用することも出来るが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0049】
本発明の前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、後述するAGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有させ、美白作用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善効果に対する予防又は改善作用、更には、メラニンの過剰蓄積及び排出遅延などにより生じるケラチノサイトの細胞機能低下が関与する色素沈着異常、具体的には、治り難いしみ、くすみ、肌荒れ症状を伴う色素沈着に対する予防又は改善効果を奏するためには、皮膚外用剤全量に対し、総量で0.001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.01質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.1質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、少なすぎると前記効果が低下する傾向が認められ、多すぎても、効果が頭打ちになる傾向が認められ、徒に系の自由度を損なう場合が存するためである。
【0050】
<製造例1: 化合物1及び化合物2の製造方法>
化合物1及び化合物2は、特開昭53−16879号公報に記載された方法に従い合成した。尚、化合物2は、和光純薬工業株式会社より試薬として購入することも出来る。
【0051】
【化7】

1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)
【0052】
【化8】

1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)
【0053】
<製造例2: 化合物3及び化合物4の製造方法>
エチレングリコ−ル(3.10g、49.9mmol)(和光純薬工業株式会社)及びトリフェニルクロロメタン(1.39g、49.9mmol)(和光純薬工業株式会社)をピリジン(6mL)(和光純薬工業株式会社)に溶解し、45℃に加温し、2時間撹拌した。反応液に水(50mL)を注ぎ、トルエン(和光純薬工業株式会社)にて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリム(和光純薬工業株式会社)で乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム(和光純薬工業株式会社):メタノ−ル(和光純薬工業株式会社)=9:1)にて精製し、化合物4(収量0.37g、収率24%)を得た。また、トリフェニルクロロメタンの代わりにジフェニルクロロメタンを使用し同様の操作を行うことにより、化合物3を得ることが出来る。
【0054】
<化合物4の物理恒数>
mp.103−106℃
1H-HMR(CDCl3):δ3.26(t、J=4.5Hz、2H)、3.75(t、J=4.5Hz、2H)、7.23−7.54(m、15H).
IR(cm-1): 3337、1448、1093、1061.
【0055】
【化9】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)
【0056】
【化10】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)
【0057】
<製造例3: 化合物5及び化合物6の製造方法>
トリフェニルクロロメタン(1.00g、3.58mmol)(和光純薬工業株式会社)及びアミノエタノ−ル(2.00g、32.7mmol)をアセトニトリル(5mL)(和光純薬工業株式会社)に溶解し、室温にて一晩撹拌した。反応液に水(100mL)を注ぎ、析出物を吸引濾過後、乾燥した。固形物をエタノ−ル(和光純薬工業株式会社)及び水混合溶媒系にて再結晶することにより化合物6(収量0.43g、収率39%)を得た。また、トリフェニルクロロメタンの代わりにジフェニルクロロメタンを使用し同様の操作を行うことにより、化合物5を得ることが出来る。
【0058】
<化合物6の物理恒数>
mp.94−97℃
1H-NMR(d−DMSO):δ2.07(t、J=6.0Hz、2H)、3.51(t、J=6.0Hz、2H)、7.15−7.42(m、15H).
IR(cm-1): 3244、1488、1442、1025.
【0059】
【化11】

2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)
【0060】
【化12】

2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)
【0061】
<製造例4: 化合物7及び化合物8の製造方法>
トリフェニルクロロメタン(1.00g、3.58mmol)(和光純薬工業株式会社)及び塩酸エタノ−ルアミン(1.00g、10.3mmol)(和光純薬工業株式会社)をピリジン(4mL)(和光純薬工業株式会社)に溶解し、室温にて3日間撹拌した。反応液に水(200mL)を注ぎ、析出物を吸引濾過した。固形物をジエチルエ−テル(和光純薬工業株式会社)に縣濁し、3(N)塩酸(和光純薬工業株式会社)を加え、室温にて15分間撹拌した後、不溶物を吸引濾過した。不溶物を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)及び飽和炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社)水溶液の混合溶液に溶解し、振とう後、有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥した後、吸引濾過、減圧濃縮し、化合物8(収量0.31g、収率28%)を得た。また、トリフェニルクロロメタンの代わりにジフェニルクロロメタンを使用し同様の操作を行うことにより、化合物7を得ることが出来る。
【0062】
<化合物8の物理恒数>
mp.87−89℃.
1H−NMR(CDCl3):δ2.88(t、J=5.1Hz、2H)、3.14(t、J=5.1Hz、2H)、7.24−7.51(m、15H).
IR(cm-1): 3378、1594、1448、1054.
【0063】
【化13】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)
【0064】
【化14】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)
【0065】
<製造例5: 化合物9の製造方法>
クロロジフェニルメタン(0.50g、2.47mmol)(和光純薬工業株式会社)、ピロリジン(0.53g、7.45mmol)(東京化成工業株式会社)及びヨウ化カリウム(0.10g、0.60mmol)(和光純薬工業株式会社)をアセトニトリル(20mL)(和光純薬工業株式会社)に加え、2時間還流した。室温まで放却した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社)水溶液を加え、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒、クロロホルム(和光純薬工業株式会社):メタノ−ル(和光純薬工業株式会社)=99:1)付し、化合物9(収量0.36g、収率61%)を得た。
【0066】
<化合物9の物理恒数>
mp. 69−72℃
1H−NMR(CDCl3):δ1.73−1.79(m、4H)、2.40−2.44(m、4H)、4.15(s、1H)、7.12−7.47(m、10H).
IR(cm-1):2793、1452、703.
【0067】
【化15】

1−(ジフェニルメチル)ピロリジン(化合物9)
【0068】
<製造例6: 化合物10の製造方法>
ピロリジン(0.26g、3.66mmol)(和光純薬工業株式会社)、トリフェニルクロロメタン(1.02g、3.66mmol)(和光純薬工業株式会社)及び炭酸カリウム(0.51g, 3.66mmol)(和光純薬工業株式会社)をアセトニトリル(30mL)(和光純薬工業株式会社)に加え、5時間還流した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社)水溶液を加え、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒n−ヘキサン(和光純薬工業株式会社):酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)=9:1)に付し、化合物10(収量0.45g、収率80%)を得た。
【0069】
<化合物10の物理恒数>
mp.127−129℃
1H−NMR(CDCl3):δ1.53−1.65(m、4H)、2.00−2.30(m、4H)、7.11−7.28(m、5H)、7.48−7.52(m、10H).
IR(cm-1):2961、2819、1486、1448、711.
【0070】
【化16】

1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)
【0071】
<製造例7: 化合物11及び化合物12の製造方法>
ピペリジン(1.50g、17.6mmol)(和光純薬工業株式会社)、トリフェニルクロロメタン(5.40g、19.4mmol)(和光純薬工業株式会社)及び炭酸カリウム(2.68g、19.4mmol)(和光純薬工業株式会社)をアセトニトリル(30mL)(和光純薬工業株式会社)に加え、5時間還流した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社)水溶液を加え、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた粗精製物をクロロホルム(和光純薬工業株式会社)及びn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社)の混合溶媒を用いて再結晶し、化合物12(収量1.80g、収率31%)を得た。また、トリフェニルクロロメタンの代わりにジフェニルクロロメタンを使用し同様の操作を行うことにより、化合物11を得ることが出来る。
【0072】
<化合物12の物理恒数>
mp.156−158℃
1H−NMR(CDCl3):δ0.70−3.50(m、10H)、7.14−7.80(m、15H).
IR(cm-1):2923、1485、1448、708.
【0073】
【化17】

1−(ジフェニルメチル)ピペリジン(化合物11)
【0074】
【化13】

1−(トリフェニルメチル)ピペリジン(化合物18)
【0075】
<本発明のAGEs分解剤>
メイラ−ド反応は、アミノ酸と還元糖が加熱により褐色の色素を生成する反応である。糖化反応は、還元糖のカルボニル基及びアミノ酸のアミノ基がシッフ塩基を形成した後、エナミノ−ルを経由し、アマドリ転位により安定なアマドリ化合物を生成する初期段階と、それ以降の、脱水、加水分解、炭素間の開裂により、α−ジカルボニル化合物を生成し、その後、α−ジカルボニル化合物、シッフ塩基、アマドリ化合物の分解、脂質過酸化反応由来のアルデヒド、糖の自動酸化及び分解などにより糖化最終産物(AGEs)が生成する後期段階に分類することが出来る。AGEsは、前記の糖化反応の結果生じる生成物の総称であり、単一の化合物を意味するものではない。また、糖化反応は、最終生成物のAGEs生成に至る過程において、生体内蛋白質と分子内又は分子間の無秩序な架橋構造を形成することにより、物理的又は生理的な変化を引き起こし、皮膚の色調のくすみ、弾力性、肌の肌理等の美肌、美白的な要因に深く関与することが知られている。このため、AGEs分解作用、取り分け、真皮AGEs分解作用を有する成分には、糖化反応を抑制することにより、くすみなどの色素沈着が関与する皮膚症状を予防又は改善する作用が期待出来る。しかしながら、真皮AGEsに働きかけるAGEs分解剤を用いたとしても、美白作用、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善効果、取り分け、過剰及び/又は慢性的なメラニン産生亢進により生じるケラチノサイトの細胞機能低下に起因する治り難いしみ、くすみ、更には、重層剥離などの肌荒れ症状を呈する色素沈着異常に対する予防又は改善効果は十分とは言い難いものであった。本発明のAGEs分解剤は、AGEs分解作用を有する成分であれば特段の限定なく適用出来るが、より好ましくは、表皮AGEs分解作用、さらに好ましくは、角層AGEs分解作用を有する成分が好適に例示出来る。かかるAGEs分解作用を有する成分は、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた美白作用、取り分け、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善作用、更には、メラノサイトにおけるメラニン過剰産生及び/又は慢性的なメラニン産生亢進によるケラチノサイトへのメラニン過剰輸送、蓄積及び排出遅延など現象が関与する色素沈着異常に対する予防又は改善作用を発揮する。また、本発明のAGEs分解剤は、後記AGEs分解剤の1種又は2種以上を選択し、本発明の皮膚外用剤に含有させることが出来る。
【0076】
本発明の皮膚外用剤の必須成分であるAGEs分解剤としては、AGEs量を減少させる作用を有する成分であれば、特段の限定なく適用することが出来るが、好ましいものとしては、表皮AGEs量を減少させる成分、さらに好ましくは、角層に存在するAGEs量を減少させる作用を有する成分が好適に例示出来る。本発明のAGEs分解剤には、生成されたAGEsを分解する作用を有する成分に加え、糖化反応により産生されるAGEs産生を抑制する作用を有する成分も包含される。また、本発明のAGEs分解剤としては、例えば、特開2007−161662号公報に記載されたAGEs分解作用評価(α−ジケトンのC-C結合切断作用の測定、グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解作用の測定)においてAGEs分解作用を示す成分が好適に例示出来る。本発明のAGEs分解剤としては、前記AEGs分解作用評価のα−ジケトンのC-C結合切断作用の測定評価において、1−フェニル−1,2−プロパンジオンの量より算出される安息香酸の理論量に対し、実際に生成する安息香酸の量が、20%以上である物質、又は、グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定評価において、AGEs分解率が15%以上である物質を意味する。本発明者によれば、かかる評価系においてAGEs分解作用を有する成分としては、モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、さらに好ましくは、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。また、前記AGEs分解作用を有する成分の内、さらに好ましいものとしては、角層AGEs分解作用を有するAGEs分解剤が好適に例示出来る。本発明のAGEs分解剤の内、特に、角層AGEs分解作用を有する成分としては、ヒト角層中のAGEsの分解を促進する作用を有する成分、又は、ヒト角層中のAGEsの産生を抑制する作用を有する成分が好適に例示出来る。本発明のAGEs分解剤の内、角層AGEs分解剤が有する角層AGEs分解作用として好ましいものを具体的に挙げれば、例えば、後述する試験例3に記載の「ヒト角層中におけるAGEs産生抑制評価」において、角層AGEs産生抑制作用を示す成分が好適に例示出来る。本試験系において角層AGEs分解作用を有する成分とは、パネラ−より採取された角層標本に、抗AGEs抗体を反応させ、該反応部位を検知し、AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中に存在するAGEsの産生抑制作用を有する成分(AGEs分解剤)と言うことが出来る。また、その他の角層AGEs分解剤としては、ヒト角層中におけるAGEs生成抑制評価において、角層標本をグルコ−ス溶液に浸漬させて37℃で放置してAGEsを生成させた場合、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する成分(AGEs分解剤)が好適に例示出来る。本願発明者等によれば、角層中のAGEs分解作用を有する成分、又は、ヒト角層におけるAGEs産生抑制作用を有する成分としては、マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、より好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。
【0077】
本発明のAGEs分解剤は、単純な化学物質、又は、動物又は植物より得られる抽出物を意味し、本発明の皮膚外用剤に、かかる成分を唯1種のみ含有することも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。ここで、本発明における植物抽出物とは、抽出物自体、抽出物の分画、精製した分画、抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。かかるAGEs分解剤としては、本発明者等の検討によれば、モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、より好ましくは、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物、さらに好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物は、AGEs分解作用、取り分け、角層中AGEsの分解作用に優れる。
【0078】
前記のAGEs分解作用を有する植物抽出物の内、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブは、北アフリカ原産の常緑高木であり、果実は、オリ−ブオイルやピクルスとして使用されている。日本においては、香川県の小豆島などで栽培されている。ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタは、中国・日本を原産地とする常緑多年草であり、民間薬として使用されている。また、日本においては、北海道から九州に渡る幅広い地域にて栽培されている。バラ科ポテンチラ属トルメンチラは、ヨ−ロッパに分布する多年草であり、肌を引きしめる効果や抗菌作用がある。バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイは、中国を原産地とする砂礫地、草地に生育する多年草の高山植物であり、日本においては、本州中部以北、北海道、千島列島等に成育する。バラ科キジムシロ属カワラサイコは、日本においては、本州、四国、九州の日当たりのよい河原、砂地などに生育する多年草である。全草を翻白草、根を紅柴胡と称し、解熱通経薬として使用する。マメ科アスパラトゥス属ルイボスは、南アフリカ共和国の西ケ−プ州の北に広がるセダルバ−グ山脈一帯のみに自生する針葉樹様の葉を持つ植物であり、葉を乾燥し健康茶に用いる。バラ科シモツケソウ属シモツケソウは、日本、中国原産の多年草の小低木であり、日本においては、関東以西の本州、四国、九州に自生している。キク科ヨモギ属ヨモギは、欧州、北アフリカ原産の耐寒性多年草であり、日本においては、草もち、お灸のもぐさなど古くから利用されてきた。日本においては、本州から九州、沖縄に渡る広い範囲に自生する。マメ科ゲンゲ属レンゲソウは、中国原産の二年草で、利尿、解熱作用があることが知られている。また、日本全土において、栽培されている。
【0079】
かかる植物の抽出物を作製するためには、植物自体を裁断、破粉、粉砕等し溶媒にて抽出することも出来るが、好ましくは、植物体の全部乃至は一部或いはその加工物を溶媒で抽出することが好ましい。なお、前記の植物抽出物を得るためには、植物体の全部又は一部であれば特段の限定なく使用出来、例えば、果実、果皮、樹皮、幹、枝、葉、花、根、種子等が挙げられる。これらは単独の部位を用いてもよいし、2部位以上を用いてもよい。
【0080】
また、前記植物抽出物を製造する際に用いる抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、1,3−ブタンジオ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどの多価アルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示出来る。
【0081】
本発明のAGEs分解剤は、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.05質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、AGEs分解剤の含有量が少なすぎると、本発明の皮膚外用剤が有する美白効果が低下する傾向が認められ、多すぎても、効果が頭打ちになる傾向が認められるため、この系の自由度を損なう場合が存するためである。
【0082】
本発明における前記の植物抽出物より得られるAGEs分解作用を有する成分は、日本において自生又は生育された植物、漢方生薬原料などとして販売される日本産のものを用い、抽出物を作製することも出来るし、丸善製薬株式会社などの植物抽出物を取り扱う会社より販売されている市販の抽出物を購入し、使用することも出来る。抽出に際しては、植物体、地上部又は木幹部は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体、地上部乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬する。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮するなどにより除去することが出来る。しかる後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−などで分画精製し、所望の抽出物を得ることが出来る。
【0083】
<製造例8: 本発明のモクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる抽出物の製造方法>
オリ−ブの葉3(kg)に50%エタノ−ル水溶液5Lを加え、2時間加熱環流し、濾過によって不溶物を取り除き減圧濃縮し、本発明のオリ−ブより得られる植物抽出物を44(g)得た。
【0084】
<製造例9: 本発明のユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物の製造方法>
ユキノシタの葉3.5(kg)に50%エタノ−ル水溶液6Lを加え、2時間加熱環流し、濾過によって不溶物を取り除き減圧濃縮し、本発明のユキノシタより得られる植物抽出物を41(g)得た。
【0085】
<製造例10: 本発明のバラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科ポテンチラ属トルメンチラの全草の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物1を得た。しかる後に、植物抽出物1に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物を得た。
【0086】
<製造例11: 本発明のバラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科キジムシロ属カワラサイコの全草の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物2を得た。しかる後に、植物抽出物2に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物を得た。
【0087】
<製造例12: 本発明のバラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイの全草の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物3を得た。しかる後に、植物抽出物3に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物を得た。
【0088】
<製造例13: 本発明のマメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物の製造方法>
マメ科アスパラトゥス属ルイボスの葉の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物4を得た。しかる後に、抽出物4に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のマメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物を得た。
【0089】
<製造例14: 本発明のバラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科ポテンチラ属シモツケソウの全草の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物5を得た。しかる後に、抽出物5に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物を得た。
【0090】
<製造例15: 本発明のキク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物の製造方法>
キク科ヨモギ属ヨモギの全草の乾燥物100(g)を、細切した後、500(mL)の50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物6を得た。しかる後に、抽出物6に200(mL)の水と200(mL)の酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のキク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物を得た。
【0091】
<製造例16: 本発明のマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物の製造方法>
マメ科ゲンゲ属レンゲソウの全草及び種子の乾燥物1(kg)を細断し、10(L)のエタノ−ル溶液を加え、50℃以下の温度にて一晩浸漬した後、濾過にて不溶物を除去することにより、エタノ−ル溶液抽出物である抽出物を得た。
【0092】
以下の方法に従い、本発明のAGEs分解剤のAGEs分解作用を評価した。
【0093】
<試験例1: AGEs分解作用評価1(α−ジケトンのC-C結合切断作用の測定)>
22mM 1−フェニル−1,2−プロパンジオン/メタノ−ル+0.1M リン酸緩衝液(pH7.4) 1(mL)と、本発明の植物抽出物(モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物) 1(mL)を混合し、37℃で10時間反応させ、安息香酸の量をHPLCにて定量した。
(HPLC条件)
分析条件 検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:260nm)
カラム :東ソ− TSK−ODS80TsQA
カラム温度:室温
移動層 :氷酢酸2(g)/アセトニトリル 500(mL)+エデト酸二ナトリウム溶液(1→250) 500(mL)
流量:1(mL)/min.
【0094】
本発明のAGEs分解剤に付いて、試験例1に記載の方法に従いAGEs分解作用評価(α−ジケトンのC-C結合切断作用の測定)を実施した。本発明のAGEs分解作用を有する植物抽出物の切断作用は、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物(29%)、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物(35%)、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物(32%)、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物(29%)、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物(34%)、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物(25%)、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物(37%)、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物(33%)、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物(43%)であった。本発明のAGEs分解剤には、優れたAGEs分解作用が認められた。
【0095】
<試験例2: AGEs分解作用評価2(グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解作用の測定)>
以下の試験材料を用い、AGEs分解作用評価を実施した。
AGE−BSA:グルコ−スと牛血清アルブミン(BSA)を37℃で12週間以上インキュベ−トし、PD−10 columns(Amersham Biosciences 17−0851−01)にて余分なグルコ−スを除いたもの、1次抗体 :Anti-Albumin、Bovine Serum、Rabbit−Poly ROCKLAND 201−41331/20000、2次抗体 :Goat anti−rabbit IgG horseradish peroxidase conjugate BioRAD 170−6515 1/10000、基質 :TMB solution Wako 546−01911
(手順)
Type I コラ−ゲンコ−トした96穴マイクロプレ−ト(Bio Coat 35 4407)に10(μg/mL)のAGE-BSAを100μL加え、1.0μg(AGE-BSA/well) 37℃にて4時間静置した後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄(マイクロミキサ−上で室温、3分間振とう)、PBS(−)に溶解した濃度(1×10−4%)の試料を100(μL)加え、37℃で10時間以上反応させる。その後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、1次抗体を各wellに100μL/well加え、室温で30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、2次抗体を100(μL/well)入れ、室温30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、TMBを100(μL/well)加え、室温15分反応させる。1N 塩酸を100(μL/well)入れ、反応を止め、450(nm)の吸光度を測定する。AGEs量を変え、検量線を引き、この検量線より残存AGEs量を定量した。残存AGEs量を添加したAGEs量より減じ、添加したAGEs量で除し、100を乗じてAGEs分解率を算出した。
【0096】
前述した本発明のAGEs分解剤に付いて、試験例2に記載の方法に従いAGEs分解作用評価(グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解作用の測定)を実施した。本発明のAGEs分解作用を有する植物抽出物のグルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解作用(AGEs分解率)は、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物(25%)、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物(28%)、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物(24%)、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物(28%)、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物(31%)、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物(24%)、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物(32%)、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物(33%)、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物(37%)であった。本発明のAGEs分解剤には、優れたAGEs分解作用が認められた。
【0097】
<試験例3: ヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用評価>
角層中AGEsは次の様にして検出できる。皮膚より市販の粘着テ−プ等を利用してテ−プストリッピングにより角層採取を行い、溶剤で半日処理して粘着テ−プ部分を除去する。得られた角層に対して免疫組織染色を行い、染色された角層標本を顕微鏡下で観察する。結果を図1に示す。前記溶剤としては、有機溶媒、特にキシレンが好ましく例示できる。免疫組織染色の条件として、一次抗体(anti AGE monocronal antibody(mouse) TransGenic KH001)、ビオチン化2次抗体(Biotin-Rabbit Anti Mouse IGg conjugate ZYMED 81-6740)、ABC 試薬(R.T.U VECTASTAIN Elite ABC REAGENT BECTOR PK-7100)、AEC基質(ENVISION kit/HRP(AEC) Dako K3464)が好ましく例示できる。対照として、70%エタノ−ル溶液に浸漬した角層標本を用意した。角層標本を、100mMグルコ−スを溶解した70%エタノ−ル溶液に浸漬する。また、本発明のAGEs分解剤であるマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物 0.1%共存下、非共存下で、室温で一日放置後、AGEsを検知した。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物の非共存下においては、対照と比較して明らかに反応部位が多く、グルコ−スによりAGEsが産生したことがわかった。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物 0.1%共存下では、非共存下に比べて明らかに反応部位が少なく、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物がヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用を有することがわかった。この度合いは、標識の存在面積比によって定量化することができるし、該標識の存在割合は、後述の如く、スコアなどで簡便に数値化できる。結果を図1に示す。
【0098】
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤を含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、AGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有することにより、優れた美白作用、具体的には、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善作用、更には、ケラチノサイトの細胞機能低下により生じる治り難いしみ、くすみ、肌荒れ症状を伴う色素沈着に対する予防又は改善効果を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤は、特に、採取された角層細胞においてメラニン存在量が多い人に生じる色素沈着異常に対する予防又は改善作用の増強効果を有する。
【0099】
また、本発明の1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤とを含有する皮膚外用剤の製剤化にあたっては、通常の医薬品、医薬部外品、化粧料などの製剤化で使用される任意成分を含有することが出来る。本発明の皮膚外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などが好適に例示出来、日常的に摂取出来ることから、化粧品、医薬部外品などに適応することが好ましい。その投与経路としては、かかる成分が連続投与される場合、さらには安全性を考慮した場合、経皮的に投与されることが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、化粧料に適用することが特に好ましい。これは本発明の皮膚外用剤が、比類無き使用感の良さを有しているため、使用感が重要な化粧料に特に好適であるためである。また、本発明の皮膚外用剤としては、例えば、化粧料などのロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗顔化粧料、クレンジング化粧料等が好ましく例示できる。更にその剤形としては、化粧料の領域で知られているものであれば特段の限定はなく、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等に好ましく例示できる。
【0100】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤;ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物などが好ましく例示できる。
【0101】
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤とを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤の剤形としては、化粧料の領域で知られているものであれば特段の限定はなく、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等の剤形が好適に例示出来る。また、前記の乳化剤形の形態としては、油中水乳化剤形でも、水中油乳化剤形でも構わないが、油中水乳化剤形が特に好ましい。ここで、油中水乳化剤形とは外相に油相を有する乳化剤形を総合して称する言葉であり、内相に水相を含有していても良いし、水中油エマルションなどの乳化物を有していても良い。
【0102】
本発明の1)前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)AGEs分解剤とを含有する皮膚外用剤は、美白作用、取り分け、「紫外線暴露による色素沈着の予防又は改善用」などの色素沈着に対する予防又は改善作用、更には、ケラチノサイトの細胞機能低下により生じる治り難いしみ、くすみ、肌荒れ症状を伴う色素沈着に対する予防又は改善効果を発揮する。また、皮膚に対するその他の作用を期待し、本発明の皮膚外用剤の必須成分を含有させる場合にも、前記の薬理作用が発揮されている場合には本発明の効果を利用するものであるので、本発明の技術的範囲に属する。前記の美白作用以外の薬理作用としては、抗老化作用、シワ形成に対する予防又は改善作用、保湿作用、肌荒れ予防又は改善作用などが挙げられる。
【0103】
本発明の皮膚外用剤は、前記の任意成分や必須成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0104】
以下に、実施例を挙げて、更に詳細に本発明について説明を加える。
【実施例1】
【0105】
<製造例17: 本発明の皮膚外用剤の製造方法1>
表1及び表2に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤を作製した。即ち、イ、ロ及びハの成分を80℃に加熱し、ロにハを攪拌しながら徐々に加え中和した後、イを徐々に攪拌しながら加え、ホモミキサ−により乳化粒子を均一化し乳液(化粧料1〜12)を得た。同様の操作により、化粧料1の処方成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」を「水」に置換した比較例1、「本発明のAGEs分解剤」を「水」に置換した比較例2、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「本発明のAGEs分解剤」を共に「水」に置換した比較例3を製造した。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【実施例2】
【0108】
<試験例4: 本発明の皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価1>
実施例1に記載の方法に従い製造した本発明の皮膚外用剤(乳液、化粧料1〜12)及び比較例1〜3の化粧料を用い、色素沈着抑制効果を調べた。自由意思で参加したパネラ−の背部に、試験初日(1日目)に1.5cm×1.5cmの試験部位を設け、試験部位の皮膚明度(L*値)を色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて測定した。試験初日に皮膚明度を測定した後、試験部位に最少紅斑量の2倍量(2MED)の紫外線を1回照射した。紫外線照射終了直後より1日3回、14日連続して、各試験部位に各検体(化粧料1〜12又は比較例1〜3)を50μL塗布した。塗布終了24時間後(15日目)に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定し、式1に従い、試験初日のL値に対するΔL*値を算出した。結果を表3に示す。L*値は色素沈着の程度が強いほど低い値となるため、ΔL*値が小さい程、色素沈着が抑制されたと判断することができる。これにより、本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜12は優れた色素沈着抑制効果を有することが分かる。また、比較例1及び比較例2も色素沈着抑制作用が認められたが、その効果は、化粧料1〜12に比較し弱かった。これにより、本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜12は、優れた色素沈着抑制効果を示すことが分かる。
【0109】
【数1】

【0110】
【表3】

【実施例3】
【0111】
<製造例18: 本発明の皮膚外用剤の製造方法2>
実施例1に記載の方法に従い製造された本発明の皮膚外用剤(化粧料12)に含有される「本発明の前記一般式(1)に表される化合物(化合物12)」及び「本発明のAGEs分解剤(マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる抽出物」の含有量を変更した化粧料13〜16を実施例1に記載の製造方法に従い作製し、紫外線暴露による色素沈着抑制作用を検討した。前記成分の含有量は、表4に示した通りである。また、前記成分の増減による質量%の変化は、水の質量%を増減させることにより調整した。
【0112】
【表4】

【実施例4】
【0113】
<試験例5: 本発明の皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価2>
実施例3に記載の方法により製造した検体(化粧料13〜16)及び比較例3に関し、実施例2に記載の方法に従い、色素沈着抑制効果を評価した。結果を表5に示す。本発明の皮膚外用剤(化粧料13〜16)は優れた色素沈着抑制効果を有することが判った。
【0114】
【表5】

【実施例5】
【0115】
<製造例10: 本発明の皮膚外用剤の製造方法3>
実施例1に記載の本発明の皮膚外用剤(化粧料4)の処方成分中、「ペムレンTR−2」をPOE(25)ステアリン酸に置換した化粧料17の作製を試みたところ、化粧料17は製造直後に分離しており、乳化物が得られなかった。
【実施例6】
【0116】
<試験例6: 本発明の皮膚外用剤の色素沈着抑制作用評価3>
実施例1に記載の方法に従い製造した本発明の皮膚外用剤(化粧料4、化粧料10、化粧料12)、比較例1〜3に付いて、以下の手順に従い色素沈着抑制作用評価を行った。メラニン量が平均より多いパネラ−の選択にあたっては、皮膚から粘着テ−プストリッピングにより採取した角層細胞の標本を、硝酸銀水溶液を用いたメラニン染色を行うことにより可視化し、これを顕微鏡下観察することにより判定した。また、判定にあたっては、平均的な存在状況を中心にスコア化して判別した。さらに、前記パネラ−の内、角層標本を用い有核細胞の出現率が平均よりも高い、乃至は、重層剥離の度合いが平均よりも多い人を観察により選択しパネラ−とした。前記の特性を有する自由意思で参加したパネラ−の両上腕に1.5cm×1.5cmの部位を上下2段に分け4ケ所の測定部位を設け、最少紅斑量(1MED)の紫外線照射を1日1回、3日連続して3回照射した。3日目の照射終了後より、1日1回28日連続してサンプル50μLを塗布した。1部位は無処置部位とした。塗布終了24時間後に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定し、式2に従い、無処置部位のL値に対するΔL*値を算出した。L*値は、色素沈着の程度が強いほど低い値となる。従って、ΔL*値が大きい程、色素沈着が抑制されたと判断することができる。結果を表6に示す。これにより、本発明の皮膚外用剤である化粧料4、化粧料10、化粧料12は、優れた色素沈着抑制効果を示すことが分かる。
【0117】
【数2】

【0118】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に応用することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced glycation end-products)分解剤とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【化1】

(1)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基及び/又は無置換又は置換基を有する複素芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]
【請求項2】
前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化2】

(2)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Bは、Aとの結合部位が複素原子である、水素原子又は炭素原子が複素原子により置換されていてもよい環状又は非環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族又は芳香族環が、AとBとの結合部位の複素原子を含み形成される環も包含する。]
【請求項3】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化3】

(3)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R1は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数3〜8の環状脂肪族炭化水素基、水素原子を表す。また、前記環状脂肪族炭化水素の環は、R1がXを含み形成される環も包含する。]
【請求項4】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化4】

(4)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、酸素原子を表し、R2は、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、水素原子を表す。]
【請求項5】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化5】


(5)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子が複素原子に置換されていてもよい炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、水素原子を表す。]
【請求項6】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化6】

(6)
[式中、Aは、無置換又は置換基を有する芳香族基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれるジ又はトリ芳香族メチル基を表し、Xは、窒素原子又はNH基を表し、R5は、水素原子又は炭素原子が複素原子で置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族基、水素原子を表す。また、前記芳香族基の環は、R5がXを含み形成される環も包含する。]
【請求項7】
前記一般式(1)〜(6)に表される化合物が、1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)、1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)、2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)、2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)、2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)、2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)、1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)、1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)、1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)、1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化7】

1−[(ジフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物1)
【化8】


1−[(トリフェニル)メチル]イミダゾ−ル(化合物2)
【化9】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物3)
【化10】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エタノ−ル(化合物4)
【化11】

2−{[(ジフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物5)
【化12】

2−{[(トリフェニル)メチル]アミノ}エタノ−ル(化合物6)
【化13】

2−{[(ジフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物7)
【化14】

2−{[(トリフェニル)メチル]オキシ}エチルアミン(化合物8)
【化15】

1−[(ジフェニル)メチル]ピロリジン(化合物9)
【化16】

1−[(トリフェニル)メチル]ピロリジン(化合物10)
【化17】

1−[(ジフェニル)メチル]ピペリジン(化合物11)
【化18】

1−[(トリフェニル)メチル]ピペリジン(化合物12)
【請求項8】
前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、皮膚外用剤全量に対し、0.001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
前記AGEs分解剤が、下記の植物より得られる抽出物よりなることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(植物)モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属
【請求項10】
前記のモクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、バラ科キジムシロ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物が、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバエ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウであることを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
前記AGEs分解剤を、皮膚外用剤全量に対し0.0001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
前記のAGEs分解剤が、皮膚の角層中に存在するAGEsの分解作用を有することを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項14】
美白用であることを特徴とする、請求項1〜13の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項15】
前記の美白作用が、紫外線暴露による色素沈着に対する予防又は改善用であることを特徴とする、請求項1〜14の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項16】
色素沈着に対する予防又は改善作用が、メラニン過剰輸送により生じる角化細胞の細胞不活性化が関与する色素沈着異常の予防又は改善用であることを特徴とする、請求項1〜15の何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【公開番号】特開2013−103902(P2013−103902A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248309(P2011−248309)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】