説明

皮膚外用剤

【課題】化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な、皮膚外用剤の提供。
【解決手段】下記一般式(1)に表される化合物及び下記一般式(2)に表される化合物を含有する皮膚外用剤。


(1)


(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等に好適な皮膚外用剤に関し、詳しくは、1)下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有することを特徴とする皮膚外用剤に関する。尚、本発明における化粧料との用語は、医薬部外品を含むものとする。
【0002】
【化1】

(1)
[式中、R1は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R3は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0003】
【化2】

(2)
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【背景技術】
【0004】
一般的に、しみ、くすみと呼ばれる色素沈着症状としては、老人性色素斑、肝斑、雀卵斑(そばかす)等があり、色素細胞(メラノサイト)のメラニン産生亢進、皮膚のタ−ンオ−バ−遅延等が深く関与することが知られている。また、この様な色素沈着症状は、加齢や紫外線暴露等の要因により悪化し、手の甲、腕などの露出部のほか、顔にも現れる。このため、皮膚色素沈着症状は、他人による認識が容易であり、見た目の印象にも大きな影響を与えることとなり、肌の美観を美しく維持することに関心を寄せる人々には、大きな悩み事となり得る。
【0005】
色素沈着による皮膚症状の悪化を防ぐために多様な美白剤の開発が進められてきた。この様な美白剤としては、アスコルビン酸、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン、カテコ−ル類等が知られ、皮膚外用剤などに含有され、化粧料として広く利用されてきた(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。さらに、前記美白剤のほかにも、メラニン産生抑制剤(例えば、特許文献1を参照)、チロシナ−ゼ酵素阻害剤(例えば、特許文献2を参照)、チロシナ−ゼ酵素遺伝子発現抑制剤、α−MSH阻害剤(例えば、特許文献3を参照)、抗酸化剤(例えば、特許文献4を参照)、メラノサイトのデンドライド伸長抑制剤(例えば、特許文献5を参照)、メラノサイトのケラチノサイトへのメラノソ−ム受け渡し阻害剤等の美白剤が開発されている。しかしながら、前述の美白剤により得られる美白効果は、必ずしも満足のいくものではなかった。更に、前記の美白剤には、安定性又は安全性に課題を有するものも存在する。このため、新規美白素材に関する探索研究が引き続き行われている。同時に、従来の美白剤を複数組み合わせたり、美白剤の効果を増強させる成分を含有させることにより、従来の美白剤の効果を効率的に高める技術開発が行われている。かかる技術としては、美白有効成分の組み合わせ(例えば、特許文献6参照)、製剤技術の改良等がなされている。しかしながら、この様な美白剤の作用増強を目的とした技術開発においても、十分な美白効果が得られているとは言い難い。このため、高い美白効果を得るために、様々な技術開発が今尚盛んに行われている。
【0006】
生体を構成する必須アミノ酸には、様々な生理活性が報告されている。この様な必須アミノ酸のひとつであるセリンには、肌荒れ改善作用(例えば、特許文献7を参照)、美白作用(例えば、特許文献8を参照)等の生理活性が報告されている。さらに、セリンの化学構造を基に生物活性及び安全性の向上等を目的とし、その化学構造を種々変換したセリン誘導体が報告されている。かかるセリン誘導体が示す生理活性としては、例えば、N−メチル−L−セリンに、真皮ヒアルロン酸産生促進作用(例えば、特許文献9を参照)、O−アシルセリンに消臭作用(例えば、特許文献10を参照)、N−(ベンゾイル)セリンに抗老化作用(例えば、特許文献11を参照)が知られている。しかしながら、前記一般式(1)に表される化合物が、色素沈着予防又は改善効果を有すること、更には、色素沈着予防又は改善効果の増強作用は、発明者の知る限り報告されていない。
【0007】
一方、必須アミノ酸のグリシン及びその誘導体に付いても、様々な研究がなされている。化粧品分野におけるグリシン誘導体には、N−アシル及びN−長鎖アルキルグリシン誘導体に、ベタイン型両性界面活性作用、又は、半極性界面活性作用(例えば、特許文献12、特許文献13を参照)などの界面活性化作用が知られ、化粧料、洗浄剤、整髪剤、歯磨きなどに界面活性剤として配合されている。また、N−メチルグリシンには、シワ改善作用(例えば、特許文献14を参照)、保湿作用(例えば、特許文献15を参照)が報告されているが、当該化合物に美白作用(色素沈着予防又は改善作用)が存することは、発明者の知る限り報告されていない。本発明者は、色素沈着予防又は改善作用を有することが知られていない前記一般式(1)に表される化合物、及び、前記一般式(2)に表される化合物、取り分け、N−メチルグリシン及び/又はその薬理学的に許容される塩を共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を有する発揮することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−194951号公報
【特許文献2】特開平10−265363号公報
【特許文献3】特開2009−067804号公報
【特許文献4】特開2004−107262号公報
【特許文献5】特開2004−250354号公報
【特許文献6】特開2004−352627号公報
【特許文献7】特開平11−060435号公報
【特許文献8】特開平11−049630号公報
【特許文献9】特開平06−189780号公報
【特許文献10】特表平09−502442号公報
【特許文献11】再表2007−013662号公報
【特許文献12】特開2002−322491号公報
【特許文献13】特開2001−261531号公報
【特許文献14】再表2007−013662号公報
【特許文献15】特開2000−178118号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】武田克之ら監修、「化粧品の有用性、評価技術と将来展望」、薬事日報社刊(2001年)
【非特許文献2】大森敬之、FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊、No.14、1995、 118−126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この様な状況下に為されたものであり、色素沈着予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この様な状況に鑑みて、本発明者は、色素沈着予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を求め鋭意努力を重ねた結果、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する皮膚外用剤が、優れた色素沈着予防又は改善作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> 下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【0012】
【化1】

(1)
[式中、R1は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R3は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0013】
【化2】

(2)
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
<2> 前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0014】
【化3】

(3)
[式中、R7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R8は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。]
【0015】
<3> 前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0016】
【化4】

(4)
[式中、R9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R10は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0017】
<4> 前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<3>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0018】
【化5】

(5)
[式中、R11は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【0019】
<5> 前記一般式(1)、(3)〜(5)に表される化合物が、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0020】
【化6】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)
【0021】
【化7】

N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)
【0022】
【化8】

N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)
【0023】
【化9】

N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)
【0024】
【化10】

N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)
【0025】
【化11】

N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)
【0026】
【化12】

N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)
【0027】
【化13】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)
【0028】
【化14】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)
【0029】
【化15】

N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)
【0030】
【化16】

N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)
【0031】
【化17】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)
【0032】
【化18】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)
【0033】
【化19】

N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)
【0034】
<6> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0035】
【化20】

(6)
[式中、R12は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0036】
<7> 前記一般式(6)に表される化合物が、N−(メチル)グリシン(化合物15)及び/又はその薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<6>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0037】
【化21】

N−メチルグリシン(化合物15)
【0038】
<8> 前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、<1>〜<7>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<9> 前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、<1>〜<8>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<10> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<1>〜<9>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<11> 色素沈着予防又は改善用であることを特徴とする、<1>〜<10>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、色素沈着予防又は改善用に好適な、皮膚外用剤を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、色素沈着予防又は改善作用を有する。本発明の皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用とは、日焼け、しみ、くすみ等の色素沈着症状に対する予防又は改善作用を意味し、既に形成された色素沈着を薄くする又は消去する色素沈着改善作用に加え、色素沈着を予防する作用も包含する。本発明における色素沈着予防又は改善作用は、色素沈着予防又は改善作用であれば特段の限定なく適用することが出来、例えば、後述する実施例2にて説明する「ヒトにおける皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価」において、色素沈着抑制作用を有するか否かにより判断出来る。実施例2の「ヒトにおける皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価」において、色素沈着抑制作用を有する成分としては、コントロ−ル群(評価物質無配合製剤群)と比較して、評価物質配合製剤群に色素沈着予防又は改善効果が認められる成分(コントロ−ル群に比較し、評価物質配合製剤群の△L*値が小さい成分)が好適に例示出来、さらに好ましくは、色素沈着予防又は改善効果に統計的な有意差が認められる成分が好適に例示出来る。
【0041】
<本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(2)に表される化合物と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。前記一般式(1)に表される化合物、及び、前記一般式(2)に表される化合物に関しては、発明者の知る限り、色素沈着予防又は改善作用を有することは報告されておらず、両成分を共に皮膚外用剤に含有させることにより優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、前記一般式(3)又は(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、前記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(1)、(3)〜(5)に表される化合物に付いては、その化学構造中に不斉炭素を有するため、(L)体、(D)体又はラセミ体、更には、(L)体及び(D)体が任意の混合比率であるラセミ混合物等の様々な存在形態が考えられる。本発明の前記一般式(1)に表される化合物は、(D)体、(L)体、ラセミ体、ラセミ混合物等の存在可能な形態を全て包含する。また、前記一般式(1)に表される化合物及びその光学異性体の内、特に好ましいものとしては、(L)体が好適に例示出来る。これは、色素沈着予防又は改善作用の薬効面、安全性面などの性質に優れるためである。また、本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の1種又は2種以上を選択し、本発明の皮膚外用剤に含有させることが出来る。
【0042】
ここで前記一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R1は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R3は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記R1は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N−プロピルアミノフェニル基、N−ブチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、アセチルフェニル基、プロピオニルフェニル基、ブチリルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、プロピルオキシカルボニルフェニル基、ブチルオキシカルボニルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、プロピルピリジル基、ブチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、プロピルオキシピリジル基、ブチルオキシピリジル基、N−メチルアミノピリジル基、N−エチルアミノピリジル基、N−プロピルアミノピリジル基、N−ブチルアミノピリジル基、N,N−ジメチルアミノピリジル基、N,N−ジエチルアミノピリジル基、N,N−ジプロピルアミノピリジル基、N,N−ジブチルアミノピリジル基、アセチルピリジル基、プロピオニルピリジル基、ブチリルピリジル基、メトキシカルボニルピリジル基、エトキシカルボニルピリジル基、プロピルオキシカルボニルピリジル基、ブチルオキシカルボニルピリジル基、フルオロピリジル基、クロロピリジル基、ブロモピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、ヒドロキシピリジル基、アミノピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、ブチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロピルオキシナフチル基、ブチルオキシナフチル基、N−メチルアミノナフチル基、N−エチルアミノナフチル基、N−プロピルアミノナフチル基、N−ブチルアミノナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基、アセチルナフチル基、プロピオニルナフチル基、ブチリルナフチル基、メトキシカルボニルナフチル基、エトキシカルボニルナフチル基、プロピルオキシカルボニルナフチル基、ブチルオキシカルボニルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、ヒドロキシナフチル基、アミノナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、プロピルビフェニル基、ブチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基、プロピルオキシビフェニル基、ブチルオキシビフェニル基、N−メチルアミノビフェニル基、N−エチルアミノビフェニル基、N−プロピルアミノビフェニル基、Nブチルアミノビフェニル基、N,N−ジメチルアミノビフェニル基、N,N−ジエチルアミノビフェニル基、N,N−ジプロピルアミノビフェニル基、N,N−ジブチルアミノビフェニル基、アセチルビフェニル基、プロピオニルビフェニル基、ブチリルビフェニル基、メトキシカルボニルビフェニル基、エトキシカルボニルビフェニル基、プロピルオキシカルボニルビフェニル基、ブチルオキシカルボニルビフェニル基、フルオロビフェニル基、クロロビフェニル基、ブロモビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ヒドロキシビフェニル基、アミノビフェニル基等が好適に例示出来、これらの内、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R1が4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、芳香族環のセリン構造が結合したアミド結合に対し、パラ位が好ましい。前記R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R2が水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R3は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R3が水素原子、メチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、前記一般式(3)又は(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、前記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物に関し、好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、N−ベンゾイル−DL−O−メチルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)、その光学異性体及び/又はそれの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。かかる効果は、両成分を皮膚外用剤に含有させたことによる薬理学的な効果に加え、両成分の標的部位への集積性又は貯留性が高まることにより生じると考えられる。さらに、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。加えて、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高く、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0043】
ここで前記一般式(3)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R8は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。前記R7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(1)に表される化合物の置換基R1と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、前記R7が4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。また、前記R8は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、アセチル基が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、前記R8が水素原子、メチル基、アセチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
前記一般式(3)に表される化合物の内、前記一般式(5)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−メチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−メチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−メチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−メチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−ベンゾイル−O−エチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(ナフトイル)−O−エチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−エチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−エチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−エチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−エチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−ベンゾイル−O−アセチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−ベンゾイル−O−プロピオニルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(ナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、より好ましい化合物を挙げれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0044】
ここで前記一般式(4)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R10は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記R9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(1)に表される化合物の置換基R1と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、前記R9が4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。また、前記R10は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、前記R10が水素原子、メチル基、エチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
【0045】
前記一般式(4)に表される化合物の内、前記一般式(5)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン メチルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン メチルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(ナフトイル)セリン エチルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン エチルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン エチルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、
N−(ベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(ナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、このましい化合物を挙げれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物8)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0046】
ここで前記一般式(5)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R11は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。前記R11は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(1)に表される化合物の置換基R1と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(5)に表される化合物の内、前記R11が4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。
【0047】
前記一般式(5)に表される化合物の内、好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(プロピルベンゾイル)セリン、N−(ブチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(エトキシベンゾイル)セリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン、N−(ブチルオキシベンゾイル)セリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン、N−(アミノベンゾイル)セリン、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)セリン、N−(クロロベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ピリジンカルボニル)セリン、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン、N−(プロピルピリジンカルボニル)セリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)セリン、N−(プロピルオキシピリジンカルボニル)セリン、N−(ヒドロキシピリジンカルボニル)セリン、N−(アミノピリジンカルボニル)セリン、N−(クロロピリジンカルボニル)セリン、N−(フルオロピリジンカルボニル)セリン、N−(トリフルオロメチルピリジンカルボニル)セリン、
N−(ナフトイル)セリン、N−(メチルナフトイル)セリン、N−(エチルナフトイル)セリン、N−(プロピルナフトイル)セリン、N−(メトキシナフトイル)セリン、N−(エトキシナフトイル)セリン、N−(プロピルオキシナフトイル)セリン、N−(ヒドロキシナフトイル)セリン、N−(アミノナフトイル)セリン、N−(クロロナフトイル)セリン、N−(フルオロナフトイル)セリン、N−(トリフルオロメチルナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン、N−(プロピルフェニルベンゾイル)セリン、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(プロピルオキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(ヒドロキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(アミノフェニルベンゾイル)セリン、N−(クロロフェニルベンゾイル)セリン、N−(フルオロフェニルベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルフェニルベンゾイル)セリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。
【0048】
前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、市販されているセリン又はセリン誘導体を出発原料とし、下記の製造方法に従い合成することも出来るし、「ペプチド合成の基礎と実験(丸善)」等に記載の方法に従い、製造することも出来る。かかる化合物は、そのまま本発明の皮膚外用剤に含有させ使用することも出来るが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0049】
斯くして得られた前記一般式(1)、(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前述した前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)に表される化合物、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を皮膚外用剤に含有させることが出来る。本発明の皮膚外用剤が、前記の作用を奏するには、前記一般式(1)に表される化合物、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.0001質量%〜20質量%、より好ましくは、0.001質量%〜10質量%、さらに好ましくは、0.005〜5質量%含有することが好ましい。これは、皮膚外用剤全量に対する前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量が0.0001質量%より少ないと色素沈着予防又は改善作用が低下する傾向にあり、また20質量%を超える量を配合しても、効果が頭打ちになる傾向にあるため、処方の自由度が低下する恐れがあり、前記の皮膚外用剤全量に対する前記の含有量が好ましい。
【0050】
【化22】

N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリン (化合物1のL体)
【0051】
<製造例1: N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリン(化合物1のL体)の製造方法>
[工程1] p−メチルベンゾイルクロリドの合成
十分に乾燥させたナスフラスコにp−トルイル酸(100g、0.734mol)(東京化成工業株式会社)とトルエン(500mL)(和光純薬工業株式会社)を入れ、p−トルイル酸を溶解させた。この溶液に塩化チオニル(132.4mL、 1.84mol)(和光純薬工業株式会社)を1時間掛け滴下した。滴下後、2時間加熱還流を行った。反応後、室温まで冷却した後、ロ−タリ−エバポレ−タで残存する塩化チオニル及びトルエンを留去した。濃縮液にトルエン(200mL)を添加し、濃縮を2回繰り返した。最終的に得られた残渣をテトラヒドロフラン(200mL)(和光純薬工業株式会社)に溶解し、次工程に付した。
[工程2] N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリンの合成
ナスフラスコにL−セリン(100g、0.952mol)(和光純薬工業株式会社)、炭酸カリウム(131.5g、0.952mol)(和光純薬工業株式会社)、水(1L)を入れ、激しく撹拌した。この溶液に、工程1で調製したp−メチルベンゾイルクロリドをテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)に溶解し、30分掛けて滴下した。途中、炭酸カリウムを追添加しながら、pH8付近を維持した。滴下終了後、1時間撹拌した。反応液を別容器に準備した水(1L)に添加後、塩酸にてpH3以下にし、4℃に冷却した。析出した結晶をろ過した後、エタノ−ル(和光純薬工業株式会社)/水=6/4の混合溶媒にて再結晶し、目的物を106.0g(収率 64.7%)で得た。
【0052】
<化合物1のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.80(2H、d)、4.47(1H、q)、7.29(2H、d)、7.80(2H、d)、8.29(1H、d).
【0053】
【化23】

N−(p−メチルベンゾイル)−DL−セリン (化合物1のラセミ体)
【0054】
<製造例2: N−(p−メチルベンゾイル)−DL−セリン(化合物1のラセミ体)の製造方法>
p−トルイル酸(東京化成工業株式会社)及びDL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物1のラセミ体を合成した。
【0055】
<化合物1のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.68(2H、m)、4.19(1H、m)、7.26(2H、d)、7.76(2H、d)、8.07(1H、d).
【0056】
【化24】

N−(p−メチルベンゾイル)−D−セリン (化合物1のD体)
【0057】
<製造例3: N−(p−メチルベンゾイル)−D−セリン(化合物1のD体)の製造方法>
p−トルイル酸(東京化成工業株式会社)及びD−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物1のD体を合成した。
【0058】
<化合物1のD体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.80(2H、d)、4.47(1H、q)、7.29(2H、d)、7.80(2H、d)、8.29(1H、d).
【0059】
【化25】

N−(4−エチルベンゾイル)−L−セリン(化合物2のL体)
【0060】
<製造例4: 化合物2のL体の製造方法>
p−エチルベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物2のL体を合成した。
【0061】
<化合物2のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 1.27(3H、t)、2.73(3H、q)、4.02(2H、m)、4.72(1H、m)、7.34(2H、d)、7.82(2H、d).
【0062】
【化26】

N−(4−メトキシベンゾイル)−L−セリン(化合物3のL体)
【0063】
<製造例5: 化合物3のL体の製造方法>
p−メトキシベンゾイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物3のL体を合成した。
【0064】
<化合物3のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 3.87(3H、s)、4.00(2H、m)、4.71(1H、m)、7.02(2H、d)、7.88(2H、d).
【0065】
【化27】

N−(4−フルオロベンゾイル)−L−セリン(化合物4のL体)
【0066】
<製造例6: 化合物4のL体の製造方法>
p−フルオロベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物4のL体を合成した。
【0067】
<化合物4のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.01(2H、m)、4.71(1H、m)、7.22(2H、m)、7.96(2H、m).
【0068】
【化28】

N−(4−トリフルオロメチルベンゾイル)−L−セリン(化合物5のL体)
【0069】
<製造例7: 化合物5のL体の製造方法>
p−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物5のL体を合成した。
【0070】
<化合物5のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.02(2H、m)、4.74(1H、m)、7.81(2H、d)、8.07(2H、d).
【0071】
【化29】

N−(2−ナフトイル)−L−セリン(化合物6のL体)
【0072】
<製造例8: 化合物6のL体の製造方法>
L−セリン(2.00g、19.0mmol)(株式会社ペプチド研究所)をテトラヒドロフラン(19mL)(和光純薬工業株式会社)に分散し、氷冷下、撹拌しながら、2N 水酸化ナトリウム水溶液(19mL)を加えた。ついで、2-ナフトイルクロリド(3.64g、19.1mmol)(東京化成工業株式会社)を加えた。水浴をはずし、室温に戻して16時間撹拌後、減圧下にてテトラヒドロフランを留去した。氷冷下、撹拌しながら、塩酸(4mL)(和光純薬工業株式会社)を加え、pH2以下にした。固体を濾取し、これを水にてよく洗浄した。tert−ブチルメチルエーテル(30mL)(東京化成工業株式会社)を加え、不溶物を濾取した。これをtert−ブチルメチルエ−テルにて徹底的に洗浄した。更に、tert−ブチルメチルエ−テル:酢酸エチル(=4:1)及びn−ヘキサンにて順次洗浄し、化合物6のL体を2.92g(収率 59.2%)で得た。
【0073】
<化合物6のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.04(2H、m)、4.77(1H、m)、7.59(2H、m)、7.94(4H、m)、8.46(1H、s).
【0074】
【化30】

N−(4−フェニルベンゾイル)−L−セリン(化合物7のL体)
【0075】
<製造例9: 化合物7のL体の製造方法>
4−フェニルベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物7のL体を合成した。
【0076】
<化合物7のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.03(2H、m)、4.75(1H、m)、7.45(3H、m)、7.73(4H、m)、7.99(2H、s)、8.37(1H、d).
【0077】
【化31】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)
【0078】
<製造例10: 化合物8の合成>
DL−セリン(株式会社ペプチド研究所)及びベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)を用い、化合物1のL体と同様の方法に従い化合物8を合成した。
【0079】
【化32】

N−(4−メチルベンゾイル)−L−セリン メチルエステル(化合物9のL体)
【0080】
<製造例11: 化合物9のL体の製造方法>
L−セリンメチルエステル塩酸塩(1.55g、9.96mmol)(東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(30mL)(和光純薬工業株式会社)に分散し、トリエチルアミン(2.25g、22.2mmol)(和光純薬工業株式会社)を加え、氷冷下、撹拌しながら、p−メトキシベンゾイルクロリド(1.78g、11.5mmol)(東京化成工業株式会社)/ジクロロメタン(5mL)溶液を3分掛けて滴下した。水浴をはずし、室温にて戻して6時間撹拌後、反応液を酢酸エチル(100mL)(和光純薬工業株式会社)にて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)、1N塩酸(50mL)及び飽和食塩水(30mL、60mL×2)にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)に付し、目的物を含むフラクションを集め、減圧下にて濃縮し、化合物9のL体を1.88g(収率 79.5%)で得た。
【0081】
<化合物9のL体の物理恒数>
H−NMR(CDCl):δ 2.41(3H、s)、2.58(1H、brs)、3.83(3H、s)、4.07(2H、m)、4.88(1H、m)、7.06(1H、d)、7.25(2H、d)、7.73(2H、d).
【0082】
【化33】

N−(2−ナフトイル)−L−セリン メチルエステル(化合物10のL体)
【0083】
<製造例12: 化合物10のL体の製造方法>
2−ナフトイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びL−セリン メチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物9のL体と同様の方法に従い、化合物10のL体を合成した。
【0084】
<化合物10のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.67(3H、s)、3.84(2H、m)、4.61(1H、m)、5.12(1H、t)、7.62(2H、m)、8.02(4H、m)、8.53(1H、s)、8.75(1H、d).
【0085】
【化34】

N−ベンゾイル−DL−O−メチルセリン(化合物11のラセミ体)
【0086】
<製造例13: 化合物11のラセミ体の製造方法>
ベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物11のラセミ体を合成した。
【0087】
<化合物11のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.28(3H、s)、3.72(2H、m)、4.63(1H、m)、7.62(2H、m)、7.51(3H、m)、7.88(2H、s)、8.58(1H、d).
【0088】
【化35】

N−(4−メチルベンゾイル)−DL−O−メチルセリン(化合物12のラセミ体)
【0089】
<製造例14: 化合物12のラセミ体の製造方法>
p−メチルベンゾイルクロリド(シグマアルドリッチ社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物12のラセミ体を合成した。
【0090】
<化合物12のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.28(3H、s)、3.71(2H、m)、4.63(1H、m)、7.28(2H、d)、7.80(2H、d)、8.49(1H、d).
【0091】
【化36】

N−(p−メチルベンゾイル)−0−アセチル−L−セリン (化合物13のL体)
【0092】
<製造例15: 化合物13のL体の製造方法>
p−メチルベンゾイルクロリド(シグマアルドリッチ社)及びO−アセチル−L−セリン塩酸塩(シグマアルドリッチ社)用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物13のL体を合成した。
【0093】
<化合物13のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 1.91(3H、s)、2.36(3H、s)、4.28(1H、dd)、4.46(1H、dd)、4.71(1H、m)、7.29(2H、q)、7.78(2H、q)、8.68(1H、d).
【0094】
【化37】

N−(2−ナフトイル)−DL−O−メチルセリン (化合物14のラセミ体)
【0095】
<製造例16: 化合物14のラセミ体の製造方法>
2−ナフトイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物1のL体と同様の方法に従い、化合物14のラセミ体を合成した。
【0096】
<化合物14のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.31(3H、s)、3.78(2H、m)、4.72(1H、m)、7.62(2H、m)、8.01(4H、m)、8.53(1H、s)、8.78(1H、d).
【0097】
<前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。本発明の前記一般式(2)に表される化合物の内、好ましいものとしては、前記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましいものを具体的に挙げれば、N−メチルグリシン及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。本発明の前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、取り分け、N−メチルグリシン及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩に付いては、既に化粧料等の皮膚外用剤への配合実績があり、界面活性化作用、保湿作用、シワ改善作用等の作用を有することが報告されている。しかしながら、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩に、色素沈着予防又は改善作用が存すること、更には、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより色素沈着予防又は改善作用が発揮されることは、発明者の知る限り報告されていない。
【0098】
ここで前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩に付いて述べれば、式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
前記R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、好ましいものを具体的に例示すれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好適に例示出来、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、前記R4及びR5は、何れか一方が水素原子であることが好ましく、その場合、残りの置換基としては、メチル基、エチル基が、特に好ましい。
前記R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、好ましいものを具体的に例示すれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好適に例示出来、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
前記一般式(2)に表される化合物の内、前記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N,N−(ジメチル)グリシン、N−(エチル)−N−(メチル)グリシン、N−(メチル)−N−(n−プロピル)グリシン、N−(メチル)−N−(イソプロピル)グリシン、N−(n−ブチル)−N−(メチル)グリシン、N−(イソブチル)−N−(メチル)グリシン、N−(sec−ブチル)−N−(メチル)グリシン、N−(tert−ブチル)−N−(メチル)グリシン、N−(メチル)−N−(ペンチル)グリシン、N−(ヘキシル)−N−(メチル)グリシン、N,N−(ジエチル)グリシン、N−(エチル)−N−(n−プロピル)グリシン、N−(エチル)−N−(イソブチル)グリシン、N−(エチル)−N−(n−ブチル)グリシン、N−(エチル)−N−(イソブチル)グリシン、N−(エチル)−N−(sec−ブチル)グリシン、N−(エチル)−N−(tert−ブチル)グリシン、N−(エチル)−N−(ペンチル)グリシン、N−(エチル)−N−(ヘキシル)グリシン、N,N−(ジ−n−プロピル)グリシン、N,N−(ジイソプロピル)グリシン、N,N−(ジ−n−ブチル)グリシン、N,N−(ジ−イソブチル)グリシン、N,N−(ジ−sec-ブチル)グリシン、N,N−(ジ−tert−ブチル)グリシン、N,N−(ジ−ペンチル)グリシン、N,N−(ジヘキシル)グリシン、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物の内、特に好ましい化合物を具体的に挙げれば、N−(メチル)グリシン(化合物15)、N−(エチル)グリシン(化合物16)、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用は、両成分を皮膚外用剤に含有させることによる色素沈着予防又は改善作用の発現に加え、両成分の標的部位への集積性又は貯留性が高まることにより発揮されると考えられる。また、本発明の前記一般式(2)に表される化合物は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。さらに、かかる成分を皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。加えて、かかる化合物は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高いため、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0099】
ここで前記一般式(6)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R12は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記R12は、炭素数1〜6、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、好ましいものを具体的に挙げれば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好適に例示出来、メチル基、エチル基が特に好ましい。
前記一般式(6)に表される化合物の内、好ましいものを具体的に挙げれば、N−(メチル)グリシン(化合物15)、N−(エチル)グリシン(化合物16)、N−(n−プロピル)グリシン、N−(イソプロピルグリシン)、N−(n−ブチル)グリシン、N−(イソブチル)グリシン、N−(sec−ブチル)グリシン、N−(tert−ブチル)グリシン、N−(ペンチル)グリシン、N−(ヘキシル)グリシン、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、かかる化合物の内、N−(メチル)グリシン(化合物15)、N−(エチル)グリシン(化合物16)、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が特に好ましい。
【0100】
本発明の前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、市販されている無置換又はtert−ブトキシカルボニル(Boc基)等の保護基を有するグリシン誘導体を出発原料とし、例えば、無水N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中にて、水素化ナトリウム及び対応するハロゲン化アルキルを用いたアルキル化反応を行い、その後、脱保護反応により保護基を除去することにより製造することが出来る。また、前記一般式(2)に表される化合物、又は、前記一般式(6)に表される化合物には、市販されている化合物も存在し、かかる化合物に関しては、東京化成工業株式会社等の試薬メ−カ−より購入し使用することも出来る。かかる化合物は、そのまま皮膚外用剤に含有させることも出来るが、薬理学的に許容される塩と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも出来る。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩;マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩;リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩;などが上げられる。
【0101】
斯くして得られた前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を皮膚外用剤に含有させることが出来る。本発明の皮膚外用剤が、前記の薬理作用を奏するには、前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対し総量で0.0001質量%〜20質量%、より好ましくは、0.001質量%〜10質量%、さらに好ましくは、0.01質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、皮膚外用剤全量に対する前記一般式(2)、前記一般式(6に表される化合物、及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量が0.0001質量%より少ないと色素沈着予防又は改善作用が低下する傾向があり、また20質量%を超える量を配合しても、効果が頭打ちになる傾向があるため、処方の自由度が低下する恐れがあるからである。
【0102】
【化38】

N−(メチル)グリシン(化合物15)
【0103】
【化39】

N−(エチル)グリシン(化合物16)
【0104】
<製造例17: 化合物15及び化合物16の製造方法>
化合物15及び化合物16は、例えば、「ペプチド合成の基礎と実験」(丸善株式会社)等に記載の方法に従い合成することが出来る。出発原料としてBoc−Gly(株式会社ペプチド研究所)を用い、無水N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社)に溶解し、水素化ナトリウム及び相当するアルキルハライド(ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、和光純薬工業株式会社)を用いアルキル化反応を行った後、塩酸等の酸により脱保護反応、更には、イオン交換により遊離塩基体とすることにより目的とする化合物15又は化合物16を得ることが出来る。また、かかる化合物は、東京化成工業株式会社等の試薬メーカーより市販の試薬として購入することも出来る。本発明の実施例においては、東京化成工業株式会社より購入した化合物を使用した。
【0105】
<化合物15の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.44(2H、s)、3.09(3H、s).
【0106】
<化合物16の物理恒数>
H−NMR(DO):δ 1.30(3H、t、J=7.8Hz)、3.12(2H、q、J=7.8Hz)、3.61(2H、s).
【0107】
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。また、本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを共に皮膚外用剤に含有させることにより優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。本発明の皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用とは、日焼け、しみ、くすみ等の色素沈着症状に対する予防又は改善作用を意味し、既に形成された色素沈着を薄くする又は消去する色素沈着改善作用に加え、色素沈着を予防する作用も包含する。本発明における色素沈着予防又は改善作用は、色素沈着予防又は改善作用であれば特段の限定なく適用することが出来、例えば、後述する実施例2にて説明する「ヒトにおける皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価」において、色素沈着抑制作用を有するか否かにより判断出来る。実施例2の「ヒトにおける皮膚外用剤の色素沈着抑制効果評価」において、色素沈着抑制作用を有する成分としては、コントロ−ル群(評価物質無配合製剤群)と比較して、評価物質配合製剤群に色素沈着予防又は改善効果が認められる成分(コントロ−ル群に比較し、評価物質配合製剤群の△L*値が小さい成分)が好適に例示出来、さらに好ましくは、色素沈着予防又は改善効果に統計的な有意差が認められる成分が好適に例示出来る。
【0108】
また、本発明の皮膚外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などが好適に例示出来、日常的に摂取出来ることから、化粧品、医薬部外品などに適応することが好ましい。その投与経路としては、かかる成分が連続投与される場合、さらには安全性を考慮した場合、経皮的に投与されることが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、化粧料に適用することが特に好ましい。これは本発明の皮膚外用剤が、比類無き使用感の良さを有しているため、使用感が重要な化粧料に特に好適であるためである。本発明の皮膚外用剤(化粧料)としては、皮膚外用剤の形態で使用出来るものであれば特段の限定なく適用することが出来、かかる形態としては、、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等が好適に例示できる。また、本発明の皮膚外用剤としては、例えば、化粧料などのロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗顔化粧料、クレンジング化粧料等が好ましく例示できる。さらに、前記の油中水乳化剤形の製剤としては、例えば、エッセンス、乳液、クリ−ム等の基礎化粧料、アンダ−メ−クアップ、ファンデ−ション、チ−クカラ−、マスカラ、アイライナ−などのメ−クアップ化粧料、ヘアクリ−ムなどの毛髪化粧料などが好適に例示できる。
【0109】
本発明の皮膚外用剤においては、前記の必須成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤;ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物などが好ましく例示できる。
【0110】
本発明の1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)本発明の前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有する皮膚外用剤には、色素沈着予防又は改善作用以外の作用を奏するものも存在する。その様な作用の発現を目的として本発明の皮膚外用剤を使用する場合であっても、前記効果が発揮されている場合には、本発明の効果を利用するものであるので、本発明の技術範囲に属する。本発明の色素沈着予防又は改善作用以外の作用としては、肌荒れ予防又は改善作用、抗老化作用、シワ形成予防又は改善作用、抗炎症作用、保湿作用等の作用が好適に例示出来る。これは、本発明の皮膚外用剤には、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が有するシワ形成予防又は改善作用による抗老化、保湿作用の増強効果が、前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩との併用により増強効果が期待出来るためである。
【0111】
本発明の皮膚外用剤は、前記の任意成分や必須成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0112】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0113】
<製造例18: 本発明の皮膚外用剤の製造方法1>
以下の表1及び表2に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)を作製した。即ち、処方成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させ、攪拌冷却した後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加して総重量を1000gとし、皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)を得た。同様の操作により表1の、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「前記一般式(2)に表される化合物」を共に「水」に置換した比較例1、化粧料1に含まれる「前記一般式(1)に表される化合物」を「水」に置換した比較例2、化粧料1に含まれる「前記一般式(2)に表される化合物」を「水」に置換した比較例3を作製した。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【実施例2】
【0116】
<試験例1: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果評価1>
【0117】
実施例1に記載の方法に従い製造した皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)、比較例1〜3の皮膚外用剤(ロ−ション剤型)を用い、色素沈着抑制効果を調べた。自由意思で参加したパネラ−の背部に、試験初日(1日目)に1.5cm×1.5cmの試験部位を設け、試験部位の皮膚明度(L*値)を色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて測定した。試験初日に皮膚明度を測定した後、試験部位に最少紅斑量の2倍量(2MED)の紫外線を1回照射した。紫外線照射終了直後より1日3回、14日連続して、各試験部位に各検体(化粧料1〜16又は比較例1〜3の化粧料)を50μL塗布した。塗布終了24時間後(15日目)に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定し、試験初日のL*値から15日目のL*値を引いたΔL*値を算出した。L*値は大きいほど皮膚明度が高いことを示す。そのため、ΔL*値が小さいほど、試験初日のL*値と15日目のL*値との差が小さく、色素沈着が抑制されたと判断することができる。結果を表3に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜4は、比較例1と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着抑制効果を有することが分かる。また、比較例2及び比較例3も、比較例1と比べてΔL*値が小さく、色素沈着抑制作用が認められたが、その効果は化粧料1〜4に比較し弱かった。これにより、本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜4は、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を示すことが分かる。
【0118】
【表3】

【実施例3】
【0119】
<製造例19: 本発明の皮膚外用剤の製造方法2>
実施例1に記載の化粧料1の処方成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物(化合物1のL光学異性体)」及び「本発明の前記一般式(2)に表される化合物(化合物15)」を表4に記載の含有量に変更した皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料5〜6)を、化粧料1と同様の方法にて作製した。
【0120】
【表4】

【実施例4】
【0121】
<試験例2: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果評価2>
実施例3に記載の皮膚外用剤(化粧料5〜6)及び実施例1に記載の比較例1を用いて、実施例2に記載の方法に従いヒトにおける紫外線による色素沈着抑制効果を評価した。結果を表5に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料5〜6は、比較例1と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を有することが分かる。
【0122】
【表5】

【実施例5】
【0123】
<製造例20: 本発明の皮膚外用剤の製造方法3>
以下の表6に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(クリ−ム剤型、化粧料7)を作製した。即ち、ロの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加し、総重量が524.5gとなるようにした(混合物Aとする)。また、イの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた(混合物Bとする)。80℃に加熱した混合物Aを混合物Bに徐々に攪拌しながら加え、乳化し、ホモジナイザ−で粒子を均一化した後、撹拌冷却し皮膚外用剤(クリ−ム剤型、化粧料7)を作製した。同様の操作により表6の、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「前記一般式(2)に表される化合物」を共に「水」に置換した比較例4を作製した。
【0124】
【表6】

【実施例6】
【0125】
<製造例21: 本発明の皮膚外用剤の製造方法4>
以下の表7に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(乳液剤型、化粧料8)を作製した。即ち、ロの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加し、総重量が879gとなるようにした(混合物Cとする)。また、イの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた(混合物Dとする)。80℃に加熱した混合物Cを混合物Dに徐々に攪拌しながら加え、乳化し、ホモジナイザ−で粒子を均一化した後、撹拌冷却し皮膚外用剤(乳液剤型、化粧料8)を作製した。同様の操作により表8の、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「前記一般式(2)に表される化合物」を共に「水」に置換した比較例5を作製した。
【0126】
【表7】

【実施例7】
【0127】
<試験例3: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果評価3>
実施例5に記載の皮膚外用剤(化粧料7)及び比較例4、実施例6に記載の皮膚外用剤(化粧料8)及び比較例5を用いて、実施例2に記載の方法に従いヒトにおける紫外線による色素沈着抑制効果を評価した。結果を表8に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料7は、比較例4と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着抑制効果を有することが分かる。また、本発明の皮膚外用剤である化粧料8は、比較例5と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を有することが分かる。
【0128】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化1】

(1)
[式中、R1は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R3は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【化2】

(2)
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化3】

(3)
[式中、R7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R8は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。]
【請求項3】
前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化4】

(4)
[式中、R9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R10は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項4】
前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化5】

(5)
[式中、R11は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【請求項5】
前記一般式(1)、(3)〜(5)に表される化合物が、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化6】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物1)
【化7】

N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物2)
【化8】

N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物3)
【化9】

N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物4)
【化10】

N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物5)
【化11】

N−(2−ナフトイル)セリン(化合物6)
【化12】

N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物7)
【化13】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物8)
【化14】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物9)
【化15】

N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物10)
【化16】

N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物11)
【化17】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物12)
【化18】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物13)
【化19】

N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物14)
【請求項6】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化20】

(6)
[式中、R12は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項7】
前記一般式(6)に表される化合物が、N−(メチル)グリシン(化合物15)及び/又はその薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化21】

N−メチルグリシン(化合物15)
【請求項8】
前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
前記一般式(2)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
色素沈着予防又は改善用であることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2013−1657(P2013−1657A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131865(P2011−131865)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】