説明

皮膚外用組成物

【課題】炎症性因子となり得るサイトカインの産生量を抑制することにより肌の荒れや乾燥を抑制し得る皮膚外用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の皮膚外用組成物は、エイジツ抽出物とラミナリアオクロロイカ抽出物とを含有していることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物に関する。詳しくは、肌荒れや肌の乾燥などの肌トラブルの発生などを抑制し得る皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮の最も外側にある角質層は、表皮の内側にある細胞が角化して死細胞となったものが層状に堆積したものであり、体外からの異物の侵入を防いだり、体の内部からの水分の蒸散を抑えたり、角質層を健常に保つべく水分を保持したりする機能を備えている。ところが、斯かる角質層においては、紫外線、湿度低下、気温低下といった体外からの刺激、又は、疾病や精神的ストレスに伴って生じる体内からの刺激などにより、角質層の状態が変化し、その結果、肌荒れや肌の乾燥といった肌トラブルが現れ得る。
【0003】
ところで、近年、角質層の状態に変化を与え得る具体的なものとしては、例えば、上記のごとく体外又は体外からの刺激を受けることによって表皮の内方側の細胞から生じるインターロイキン(IL)等のサイトカインが知られている。斯かるサイトカインは、生じた量に応じて角質層の状態を変化させ得ることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
また、サイトカインは、表皮における細胞間の情報伝達にも関与し得ることが知られている。この種のサイトカインとしては、具体的には例えば、角質層の状態が一部変化したことを表皮における他の細胞に瞬時に伝えるものが報告されている(非特許文献2)。
【0005】
また、角質層の状態に変化を与え且つ表皮における細胞間での情報伝達に関与し得る具体的なものとしては、例えば紫外線の刺激を受けて表皮の内方側の細胞から産生されるIL−1α(Interleukin−1α)、IL−6(Interleukin−6)、TNF−α(TumorNecrosisFactor−α)などの炎症性サイトカインが知られている。また、例えば、炎症時において発熱、発痛、血管透過性亢進作用を有し炎症性因子としてはたらき得るPGE2(prostaglandin−E2)などのサイトカインが知られている。炎症性因子としてはたらき得るこのようなサイトカインによって表皮の角質層の状態が変化して肌荒れや肌の乾燥が起こり、さらには、その情報が表皮の他の細胞に伝わり、さらに肌荒れや肌の乾燥を助長し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wood.L.C., Jackson S.M., Elias P.M. Grunfeld C. and Feingold K.R. J. Invest. Dermatol., 90, 482 (1992)
【非特許文献2】Wood L.C., Elias P.M., Calhoun C., Tsai J.C., Grunfeld K.R. and Feingold K.R. J. Invest. Dermatol., 106, 397 (1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の事項からすると、角質層の状態に変化を与え且つ表皮における細胞間での情報伝達に関与し得るサイトカインは、表皮細胞における産生量が制御されることにより、肌の乾燥や荒れを抑制することに関与し得ると考えられる。
【0008】
そこで、サイトカインの産生量を制御し得る成分が配合された皮膚外用組成物が、肌の荒れや乾燥を抑制し得るものとして期待できる。詳しくは、紫外線等によって生じ炎症性因子としてはたらき得るサイトカインの産生量を抑制し得る皮膚外用組成物が、肌の荒れや乾燥を抑制し得るものとして期待できる。しかしながら、炎症性因子となり得るサイトカインの産生量を抑制し、肌の荒れや乾燥を抑制し得る皮膚外用組成物として満足できるものは、未だに見出されていない。
【0009】
本発明は、上記の問題点等に鑑み、炎症性因子となり得るサイトカインの産生量を抑制することにより肌の荒れや乾燥を抑制し得る皮膚外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エイジツ抽出物およびラミナリアオクロロイカ抽出物を含有させた組成物が、表皮細胞から生成される炎症性サイトカインの産生量を抑えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明に係る皮膚外用組成物は、エイジツ抽出物とラミナリアオクロロイカ抽出物とを含有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の皮膚外用組成物は、エイジツ抽出物とラミナリアオクロロイカ抽出物とを含有していることから、表皮細胞におけるIL−1α、IL−6、TNF−α等の炎症性因子となり得るサイトカインの生成量を抑え得る。従って、肌の荒れや乾燥を抑制し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】IL−1αの産生量を示すグラフ。
【図2】IL−6の産生量を示すグラフ。
【図3】TNF−αの産生量を示すグラフ。
【図4】PGE2の産生量を示すグラフ。
【図5】角質層の水分量を示すグラフ。
【図6】角質層からの水分蒸散量を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について以下に説明する。
本実施形態の皮膚外用組成物は、エイジツ抽出物およびラミナリアオクロロイカ抽出物を含有している。なお、本実施形態の皮膚外用組成物は、通常水を含有し、エイジツ抽出物およびラミナリアオクロロイカ抽出物以外の成分を含有し得る。
【0015】
前記エイジツ抽出物は、ノバラ(Rosa multiflora Thunberg)又はその近縁植物(Rosaceae)の果実から水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混液などの抽出溶媒で抽出することにより得られる。抽出溶媒としては、水及びエタノールを含む抽出溶媒が好ましい。
具体的には、前記エイジツ抽出物は、例えばノバラ(Rosa multiflora Thunberg)又はその近縁植物(Rosaceae)の果実を乾燥し、又は乾燥することなく粉砕した後、ソックスレー抽出器などの抽出器具を用いて上記抽出溶媒によって抽出することにより得られるものである。また、前記エイジツ抽出物は、上記抽出溶媒による抽出液、その希釈液、その濃縮液、あるいはその抽出溶媒を除去した乾燥物を意味するものである。
なお、前記エイジツ抽出物としては、例えば、化粧料等の原料として市販されているものを用いることができる。
【0016】
前記皮膚外用組成物におけるエイジツ抽出物の含有濃度は、特に限定されるものではないが、抽出溶媒を除去した乾燥物の重量が0.0001〜0.2重量%であることが好ましい。含有濃度が0.0001重量%以上であることにより、肌の荒れや乾燥をより抑制できるという利点がある。また、0.2重量%を超えると濃度依存的な効果が発揮されにくくなり得る点から、含有濃度は0.2重量%以下であることが好ましい。
【0017】
前記ラミナリアオクロロイカ抽出物は、褐藻類コンブ目コンブ科(Laminariaceae)に属する藻類、ラミナリアオクロロイカ(Laminaria ochrorueca)から水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、トリグリセライド又はこれらの混液などの抽出溶媒で抽出することにより得られる。抽出溶媒としては、トリグリセライドを含む抽出溶媒が好ましい。また、前記ラミナリアオクロロイカ抽出物は、上記抽出溶媒による抽出液、その希釈液、その濃縮液、あるいはその抽出溶媒を除去した乾燥物を意味するものである。
前記ラミナリアオクロロイカ抽出物としては、例えば、GSIクレオス社から「Antileukin6」の商品名で市販されているものを用いることができる。
【0018】
前記皮膚外用組成物におけるラミナリアオクロロイカ抽出物の含有濃度は、特に限定されるものではないが、抽出溶媒を除去した乾燥物の重量が0.0001〜2.0重量%であることが好ましい。含有濃度が0.0001重量%以上であることにより、肌の荒れや乾燥をより抑制できるという利点がある。また、2.0重量%を超えると濃度依存的な効果が発揮されにくくなり得る点から、含有濃度は2.0重量%以下であることが好ましい。
【0019】
前記皮膚外用組成物におけるエイジツ抽出物及びラミナリアオクロロイカ抽出物を合わせた含有濃度は、特に限定されるものではないが、抽出溶媒を除去した乾燥物の重量が0.0002〜1.5重量%であることが好ましく、0.001〜0.15重量%であることがさらに好ましい。含有濃度が0.0002重量%以上であることにより、肌の荒れや乾燥をより抑制できるという利点がある。また、1.5重量%を超えると濃度依存的な効果が発揮されにくくなり得る点及びより少ない量で肌の荒れや乾燥を抑制し得る点から、含有濃度は1.5重量%以下であることが好ましい。
【0020】
前記皮膚外用組成物におけるエイジツ抽出物とラミナリアオクロロイカ抽出物の含有比は、特に限定されるものではないが、肌の荒れや乾燥をより抑制し得るという点において、抽出溶媒を除去した乾燥物の重量比が、通常、エイジツ抽出物:ラミナリアオクロロイカ抽出物=1:1〜1:20の範囲である。
【0021】
前記皮膚外用組成物としては、例えば、医薬用の皮膚外用組成物、化粧料用の皮膚外用組成物等が挙げられる。また、前記皮膚外用組成物は、従来公知の一般的な方法によって調製することができる。
【0022】
なお、本発明の皮膚外用組成物の形態は、限定されるものではなく、一般の皮膚外用組成物において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
例えば、本発明の皮膚外用組成物は、ジェル状、ローション状、乳液状、クリーム状、軟膏状、半固形状等の剤型とすることができる。また、本発明の皮膚外用組成物には、剤型に応じ、薬効成分、オイル、色素、防腐剤、界面活性剤、香料、顔料等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0023】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
以下の試験例では、正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞NHEKの培養中に産生される情報伝達物質(サイトカイン)量を測定することにより、紫外線照射によって表皮細胞から産生される情報伝達物質(サイトカイン)の産生量が、エイジツ抽出物やラミナリアオクロロイカ抽出物によって抑制されるか否かについて評価した。
【0025】
エイジツ抽出物としては、ノバラの果実を乾燥して細かく砕いたもの10重量部に濃度50容量%のエタノール水溶液100容量部を加え、25℃にて5日間抽出操作をおこない、さらにろ過したもの(エイジツ抽出液)を用いた。このエイジツ抽出液から抽出溶媒を除去したあとの乾燥体重量から、このエイジツ抽出物は乾燥体を1.34重量%含むものであった。
また、ラミナリアオクロロイカ抽出物としては、商品名「Antileukin6」(GSIクレオス社製 抽出溶媒を除いた乾燥体を10重量%含有、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセライド抽出物)を用いた。以下、斯かる抽出物を「ラミナリアオクロロイカ抽出液」という。
産生量を測定する情報伝達物質としては、炎症性サイトカインであるIL−1α(Interleukin−1α)、IL−6(Interleukin−6)、TNF−α(TumorNecrosisFactor−α)を対象とした。また、PGE2(Prostaglandin E2)を対象とした。
【0026】
(試験例1)
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(NHEK)の培養には、NHEK培養用基礎培地KB2(クラボウ社製)に、ハイドロコーチゾン(0.5μmol/ml)、インシュリン(5μg/ml)、上皮細胞成長因子(EGF:10ng/ml)、牛脳下垂体抽出液(BPE)、及び抗生物質からなる添加剤セット(クラボウ社製)を添加したNHEK培養用培地(KG2)を用いた。
35mm組織培養用ディッシュ(IWAKI社製)に、2.5×10-5(cell/ml)の細胞数となるように、KG2に懸濁したNHEKを2ml播種した。NHEKの培養は、インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内において、37℃の条件下で行った。
培養2日目に、それまでの培地を、0.02重量%濃度の上記エイジツ抽出液を含む培地と交換し、さらに24時間培養した。
培養3日目に培地を吸引除去し、NHEKをリン酸緩衝生理食塩水(PBS pH7.4)2mlで2回洗浄した。その後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)1mlを添加し、ディッシュの蓋を空けた状態で紫外線UVB(ランプ:Filips社製、照射強度:0.1mW/cm2)を20mJ/cm2照射した。次に、PBSを吸引除去し、培養2日目に使用した培地と同様の培地2mlをNHEKに加え、24時間培養後の培養上清を採取した。
【0027】
(試験例2,3)
培養2日目及び3日目に用いた「0.02重量%濃度のエイジツ抽出液を含む培地」に代えて、各々0.10重量%濃度、及び、0.50重量%濃度のエイジツ抽出液を含む培地とした点以外は、それぞれ試験例1と同様にして培養上清を採取した。
【0028】
(試験例4〜6)
培養2日目及び3日目に用いた「0.02重量%濃度のエイジツ抽出液を含む培地」に代えて、各々0.02重量%濃度、0.10重量%濃度、及び、0.50重量%濃度のラミナリアオクロロイカ抽出液を含む培地とした点以外は、それぞれ試験例1と同様にして培養上清を採取した。
【0029】
(試験例7〜9)
培養2日目及び3日目に用いた「0.02重量%濃度のエイジツ抽出液を含む培地」に代えて、エイジツ抽出液とラミナリアオクロロイカ抽出液とを1:1(重量比)で混合したものを、各々0.02重量%濃度、0.10重量%濃度、及び、0.50重量%濃度含む培地とした点以外は、それぞれ試験例1と同様にして培養上清を採取した。
【0030】
(試験例10)
培養2日目及び3日目に用いた培地を、エイジツ抽出液及びラミナリアオクロロイカ抽出液のいずれも含まない培地とした点以外は、試験例1と同様にして培養上清を採取した。
【0031】
(試験例11)
培養2日目及び3日目に用いた培地を、エイジツ抽出液及びラミナリアオクロロイカ抽出液のいずれも含まない培地と交換した点、紫外線を照射しなかった点以外は、試験例1と同様にして培養上清を採取した。
【0032】
<表皮細胞から産生される情報伝達物質量>
上記各試験例で採取した培養上清を用いて、エイジツ抽出液又はラミナリアオクロロイカ抽出液によって情報伝達物質の産生が抑制される効果について検討した。即ち、表皮細胞に由来する情報伝達物質の産生が紫外線によって促進される際において、エイジツ抽出液又はラミナリアオクロロイカ抽出液によって情報伝達物質の産生が抑制される効果について検討した。具体的には、上記各試験例で採取した培養上清中のIL−1α、IL−6、及びTNF−αの量をELISA法にて測定し、PGE2の量をEIA法にて測定することにより情報伝達物質の産生が抑制される効果を評価した。
【0033】
○IL−1α産生量の測定
培養上清中のIL−1α産生量の測定は、Amersham Interleukin−1alpha[(h)IL−1α] Human,Biotrak ELISA System(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、同説明書に従って行い、96wellマイクロプレート上で行った。
すなわち、ビオチン標識したIL−1α抗体を各wellに50μl分注し、これに採取した培養上清を50μlずつ分注するとともに、スタンダードとして上記Interleukin−1alpha[(h)IL−1α] Human,Biotrak ELISA Systemに付属の検量線作成用のIL−1α standard solution(標準溶液)を、各wellに50μl加え、25℃で静置した。2時間静置後、プレート内の溶液を除去した後、Wash buffer (200μL)で3回洗浄した。
これにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液(100μl)を分注し、25℃で静置した。30分後、Wash buffer (200μl)で3回洗浄した。これに、酵素基質溶液(100μl)を分注し、アルミホイルで遮光し、25℃で静置した。30分静置後、反応停止液(100μl)を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のIL−1α産生量を算出した。試験結果を図1に示す。なお、図1の棒グラフの各棒端縁から延びる線分は、各試験例における標準偏差を示す。
【0034】
図1からも明らかなように、エイジツ抽出物、又はラミナリアオクロロイカ抽出物はいずれも表皮細胞からのIL−1αの産生を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、両抽出物を組み合わせることにより、相乗的に産生が抑えられることが分かった。
【0035】
○IL−6産生量の測定
培養上清中のIL−6産生量の測定は、Amersham Interleukin−6[(h)IL−6] Human,Biotrak ELISA System(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、同説明書に従って行い、96wellマイクロプレート上で行った。
すなわち、ビオチン標識したIL−6抗体を各wellに50μl分注し、これに採取した培養上清を50μlずつ分注するとともに、スタンダードとして上記Interleukin−6[(h)IL−6] Human,Biotrak ELISA Systemに付属の検量線作成用のIL−6 standard solution(標準溶液)を、各wellに50μl加え、25℃で静置した。2時間静置後、プレート内の溶液を除去した後、Wash buffer (200μL)で3回洗浄した。
これにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液(100μl)を分注し、25℃で静置した。30分後、Wash buffer (200μl)で3回洗浄した。これに、酵素基質溶液(100μl)を分注し、アルミホイルで遮光し、25℃で静置した。30分静置後、反応停止液(100μl)を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のIL−6産生量を算出した。試験結果を図2に示す。なお、図2の棒グラフの各棒端縁から延びる線分は、各試験例における標準偏差を示す。
【0036】
図2からも明らかなように、エイジツ抽出物、又はラミナリアオクロロイカ抽出物はいずれも表皮細胞からのIL−6の産生を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、両抽出物を組み合わせることにより、相乗的に産生が抑えられることが分かった。
【0037】
○TNF−α産生量の測定
培養上清中のTNF−α産生量の測定は、Amersham TNF−α Human、Biotrak Easy ELISA(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、同説明書に従って行い、96wellマイクロプレート上で行った。
すなわち、滅菌蒸留水を各wellに100μl分注し、これに採取した培養上清を50μlずつ分注した。また、上記Amersham TNF−α Human、Biotrak Easy ELISAに付属の検量線作成用の各wellに滅菌蒸留水を150μl加え、25℃で静置した。3時間静置後、プレート内の溶液を除去した後、Wash buffer (400μL)で6回洗浄した。
これに、酵素基質溶液(100μl)を分注し、アルミホイルで遮光し、25℃で静置した。15分静置後、反応停止液(100μl)を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のTNF−α産生量を算出した。試験結果を図3に示す。なお、図3の棒グラフの各棒端縁から延びる線分は、各試験例における標準偏差を示す。
【0038】
図3からも明らかなように、エイジツ抽出物、又はラミナリアオクロロイカ抽出物はいずれも表皮細胞からのTNF−αの産生を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、両抽出物を組み合わせることにより、相乗的に産生が抑えられることが分かった。
【0039】
○PGE2産生量の測定
培養上清中のPGE2産生量の測定は、Prostaglandin E2 Express EIA Kit − Monoclonal(Cayman Chemical Company)を用い、同説明書に従って行い、96wellマイクロプレート上で行った。
すなわち、各wellに上記Prostaglandin E2 Express EIA Kit − Monoclonalに付属のアセチルコリンエステラーゼ標識PGE2溶液(50μl)、およびPGE2抗体溶液(50μl)を分注した。さらに採取した培養上清を50μlずつ分注するとともに、スタンダードとしてKitに付属の検量線作成用のPGE2 standard solution(標準溶液)を、各wellに50μl加え、25℃で静置した。1時間静置後、プレート内の溶液を除去した後、Wash buffer (200μL)で5回洗浄した。
これに、Kitに付属のEllman’s試薬溶液(200μl)を分注し、アルミホイルで遮光し、25℃で静置した。1時間静置後、420nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のPGE2産生量を算出した。試験結果を図4に示す。なお、図4の棒グラフの各棒端縁から延びる線分は、各試験例における標準偏差を示す。
【0040】
図4からも明らかなように、エイジツ抽出物、又はラミナリアオクロロイカ抽出物はいずれも表皮細胞からのPGE2の産生を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、両抽出物を組み合わせることにより、相乗的に産生が抑えられることが分かった。
【0041】
次に、皮膚外用組成物の具体例としてのクリーム状化粧料とその製造方法について説明する。また、斯かるクリーム状化粧料による肌荒れ及び肌乾燥の改善に関して評価する方法について説明する。
【0042】
(処方例1)
本処方例は、エイジツ抽出物を配合したクリーム状化粧料の処方例である。
クリーム状化粧料の調製は次のようにして行った。すなわち、スクワレン、セチルイソオクタノエートおよびマイクロクリスタリンワックスを加熱溶解後、粘土鉱物およびPOEグリセロールトリイソステアリン酸エステル(界面活性剤)を加え、70℃に調整し、これらを均一に分散、溶解させて油性ゲルを得た。次に、上述したエイジツ抽出液を所定濃度精製水に溶解し、油性ゲルの中へ、十分に攪拌しながらゆっくりと添加した。ホモミキサーで均一に混合した後、脱気、ろ過し、30℃まで冷却し、クリーム状化粧料を得た。

組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
エイジツ抽出液(1.34重量%濃度) 1.0%
水 残量
【0043】
(処方例2)
本処方例は、上述したラミナリアオクロロイカ抽出物を配合したクリーム状化粧料の処方例である。クリーム状化粧料は処方例1と同様の方法により調製した。

組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
ラミナリアオクロロイカ抽出液(10重量%濃度) 1.0%
水 残量
【0044】
(処方例3)
本処方例は、上述したエイジツ抽出物および上述したラミナリアオクロロイカ抽出物を配合したクリーム状化粧料の処方例である。クリーム状化粧料は処方例1と同様の方法により調製した。

組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
エイジツ抽出液(1.34重量%濃度) 0.5%
ラミナリアオクロロイカ抽出液(10重量%濃度) 0.5%
水 残量
【0045】
(参考例)
本処方例は、エイジツ抽出物及びラミナリアオクロロイカ抽出物のいずれも配合されていないクリーム状化粧料の処方例である。クリーム状化粧料は、処方例1と同様の方法により調製した。

組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
水 残量
【0046】
<クリーム状化粧料による肌荒れ及び肌乾燥の改善評価>
上記のように調製した処方例1〜3のクリーム状化粧料、及び参考例のクリーム状化粧料を用いて、肌荒れ及び肌乾燥の改善効果を評価する試験を行った。
詳しくは、肌乾燥の改善効果を皮膚の水分量によって評価し、肌荒れの改善効果を皮膚からの水分蒸散量によって評価した。
具体的には、ヒト(男性、20名)の前腕内側部に、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液を1日10分、3日間連続解放塗布して肌を荒れた状態及び乾燥した状態とした。肌荒れ、乾燥部位を4等分し、処方例1〜3、又は参考例のクリーム状化粧料を、毎日朝と晩の2回、3日間にわたって適量塗布するとともに、SDS無処理部位にも参考例のクリーム状化粧料を同様に塗布した。塗布による肌荒れ、乾燥の改善効果は以下の方法によって評価した。
【0047】
○角質層の水分量
肌の乾燥の改善効果について、角質層のコンダクタンスを指標とする水分量測定装置「Skicon−200」(IBS社製)を用いて評価した。なお、水分量の値が高いほど角質層の水分量が多く、より潤った肌であることを意味する。
○角質層からの水分蒸散量
肌荒れの改善効果について、角質層からの水分蒸散量を測定するサイクロン式水分蒸散モニター「AS−CT1」(アサヒバイオメッド社製)を用いて評価した。なお、水分蒸散量の値が低いほど角質層からの水分蒸散量が少なく、角質層のバリア機能がより機能していることを意味する。
【0048】
評価の結果は、次のようにして数値化した。
即ち、クリーム状化粧料の塗布前には、参考例のクリーム状化粧料の塗布予定部位(SDS無処理部位)における測定値を平均し、その平均測定値をαとした。そして、処方例1〜3及び参考例の各塗布予定部位(SDS処理部位)における測定値を平均し、それぞれの平均測定値を該αに対する相対値(A)[αを100とした値]として表した。
一方、クリーム状化粧料の塗布後には、参考例のクリーム状化粧料を塗布した部位(SDS無処理部位)における測定値を平均し、その平均測定値をβとした。そして、処方例1〜3及び参考例のクリーム状化粧料を塗布した各部位(SDS処理部位)における測定値を平均し、それぞれの平均測定値を該βに対する相対値(B)[βを100とした値]として表した。
そして、処方例1〜3及び参考例のSDS処理部位それぞれにつき、塗布前の相対値(A)に対する塗布後の相対値(B)を比(100分率)で示した。
角質層の水分量の試験結果を図5に、角質層からの水分蒸散量の試験結果を図6に示す。
【0049】
図5及び図6から明らかなように、処方例1及び処方例2は、エイジツ抽出物又はラミナリアオクロロイカ抽出物のいずれも含有しない参考例に比べて角質層の水分量を高め、且つ角質層の水分蒸散量を下げることが分かった。また、各抽出物を単独で配合した処方例1及び処方例2よりも、各抽出物を併用した処方例3の方が、肌荒れ、乾燥改善効果が優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の皮膚外用組成物は、例えば、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾール内容物などの形態で使用でき、また、医薬品、医薬部外品又は化粧品等として好適に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイジツ抽出物とラミナリアオクロロイカ抽出物とを含有していることを特徴とする皮膚外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−222306(P2010−222306A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72326(P2009−72326)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000112266)ピアス株式会社 (49)
【Fターム(参考)】