説明

皮膚外用貼付剤

【課題】水溶性高分子シートを構成に含む皮膚外用貼付剤の取扱い性を向上させる技術を提供する。特に、支持体(基材)なしで皮膚に貼り付けることができる皮膚外用貼付剤の取扱い性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】水溶性高分子シートからなる皮膚外用貼付剤において、前記水溶性高分子シートの表面を、IOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等の皮膚外用剤として用いられる、水溶性高分子シートからなる皮膚外用貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や医薬の剤形として、組成物中の有効成分を皮膚上に滞留させたり、真皮に送達したりすることを目的として、パック等の貼付剤が開発されている。
従来、このような貼付剤は、不織布等からなる支持体(基材)の表面にゲル等を塗工したものが一般的であった。このような貼付剤は、ゲルと支持体を一体のものとして皮膚に貼り付け、一定時間経過後に剥離して用いられるものがほとんどであった。
【0003】
近年では、新しい貼付剤の形態として、例えば、合成樹脂フィルムからなる基材の表面に有効成分を保持した水溶性フィルムを形成し、これを皮膚に貼り付けた後、水を加えて、水溶性フィルムを溶解させ、その後に合成樹脂フィルムを剥離する形態のもの、水ゲルからなる基材の表面に有効成分を保持した水溶性フィルムを形成し、これを皮膚に貼り付けた後、水ゲルからの水分移行によって水溶性フィルムが溶解した後に水ゲルを剥離する形態のもの等が開発されている(特許文献1)。
【0004】
また、支持体(基材)を必要としない貼付剤の形態として、キトサン、魚由来コラーゲンおよびセリシンからなる群から選ばれる1種以上の天然高分子を含む組成物から形成される水溶性高分子シートからなり、その水溶性高分子シートを水で溶かしてその水溶性高分子を皮膚に付着させて皮膚平滑性を向上させる等の機能を利用するシート状化粧料が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−221391号公報
【特許文献2】特開2008−69119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載されるような水溶性高分子シートは、皮膚表面上で、溶解させるものであるため、有効成分を保持する水溶性高分子が皮膚へ密着しやすく、有効成分の皮膚への移行や真皮への送達が効率的に行えるという利点がある。
しかしながら、このような水溶性高分子シートは、皮膚の目的の箇所に貼り付ける際に、取扱いが容易でないという問題がある。
具体的には、水溶性高分子シートを、目的とする顔の一部に貼り付けようとして、手で取り扱う際に、水溶性高分子シートが、よれたり、丸まってしまったりし、シート同士が付着してしまう、シート形状が崩れてしまう等の問題がある。
このような問題は、特に、皮膚への貼り付け時に、支持体(基材)を必要としないタイプの貼付剤を提供する際に重大である。
また、水溶性高分子シートを収納袋(例えばアルミニウム蒸着フィルム)に収納する場合には、収納袋の内表面に、水溶性高分子シートがくっついてしまい、収納袋から上手く取り出せない等の問題がある。
【0007】
実際に、特許文献2に記載されるように、支持体(基材)を必要としないタイプの貼付剤が提案されているものの、上記のような取扱い性についての種々の問題が解決されていないことから、十分に実用的であるとはいえないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明は、水溶性高分子シートを構成に含む皮膚外用貼付剤の取扱い性を向上させる技術を提供することを課題とする。特に、本発明は、支持体(基材)なしで皮膚に貼り付けることができる皮膚外用貼付剤の取扱い性を向上させる技術を提供することを課題とする。
【0009】
また、皮膚に貼り付けた後、水を加えると水溶性高分子シートが皮膚上で溶解し、シート成分が皮膚上に広がる貼付剤を提供しようとする際に、シートの溶解性を向上させようとすると、シートを薄くせざるを得ず、上述した取扱いの困難性、特に、よれたり、丸まったりすることによるシート同士の付着、形状の崩れが顕著となる。
そこで、本発明は、特に、皮膚に貼り付けた後、水を加えると水溶性高分子シートが皮膚上で溶解し、シート成分を皮膚上に伸ばすことができる皮膚外用貼付剤について、取扱い性を向上させる技術を提供することを課題とする。言い換えれば、皮膚に貼り付ける際の取扱い性に優れ、かつ皮膚に貼り付けた後は、少量の水を加えることによって容易に溶解する貼付剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、水溶性高分子シートの表面を、IOB値(有機性無機性バランス値)が0.8〜3.2の液状組成物でぬらすことにより、水溶性高分子シートのよれや丸まりを防ぐことができ、取扱い性が向上することを見出した。
また、本発明者は、水溶性高分子シートの表面を、このような液状組成物でぬらした場合でも、水溶性高分子シートを目的とする皮膚の部分に貼り付けて、水を加えることにより容易に溶解し、皮膚上に薄く伸ばすことができることをも見出した。
また、上記のように、水溶性高分子シートの表面を液状組成物でぬらす構成とすることにより、水溶性高分子シートを例えば収納袋等の容器に収容した場合も、シート表面が容器内表面に付着し、取り出しにくい等の不都合を解消できることを見出した。
また、上記の液状組成物で水溶性高分子シートの表面をぬらした場合には、保存時の水溶性シートの伸びや縮み等の変形度合いを小さくすることができ、水溶性シートの形状安定性を高めることができることを見出した。
本発明者は、これらの知見から、以下の発明を完成させた。
【0011】
前記課題を解決する本発明は、水溶性高分子シートからなる皮膚外用貼付剤であって、前記水溶性高分子シート表面が、IOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬれていることを特徴とする、皮膚外用貼付剤である。
水溶性高分子シートを、IOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらすことにより、水溶性高分子シートのよれや丸まりを防ぐことができ、水溶性高分子シートの取扱い性を向上させることができる。
【0012】
ここで、「IOB値」とは、有機概念図論で定義される「有機性値」と「無機性値」のバランスを表す値であり、化合物に固有の値である。「有機性値」と「無機性値」は、それぞれ化合物の構造から、各構造の合算値として求めることができる。IOB値については、「有機概念図による乳化処方設計」日本エマルジョン株式会社カタログ(平成9年10月発行)を参照することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子シートは、保湿剤20〜90重量%と、水溶性高分子0.5〜40重量%と、を含有する。
上記のように保湿剤を20〜90重量%という高濃度で含有する水溶性高分子シートの表面を、IOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらすことで、取扱い性の向上という利点を顕著に得ることができる。また、上記の範囲で、水溶性高分子と保湿剤を含有する水溶性高分子シートは、目的とする皮膚に貼り付けて水を加えた場合には、容易に溶解し皮膚になじむという性質を有する。すなわち、この形態の水溶性高分子シートは、皮膚への適用前には取扱い性に優れ、皮膚への適用後には、容易に溶解し皮膚になじむという利点を有する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記液状組成物は、多価アルコールである。
IOB値0.8〜3.2の多価アルコールは、皮膚に適した保湿剤としても機能するので、本発明に用いる液状組成物として、好適である。
また、本発明の好ましい形態では、前記多価アルコールは、ポリプロピレングリコール付加物、又はポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物である。
【0015】
前記液状組成物の好ましい形態としては、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルジオールが挙げられる。また、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物、トリメチロールプロパンのポリプロピレングリコール付加物、トリメチロールプロパンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物も好ましく挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体も好ましく用いられる。更には、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、並びにシクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールなども挙げられる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子シートに含有される保湿剤は、多価アルコールである。
保湿剤としての多価アルコールは、本分野において安全に使用できるものとして知られている。
このような多価アルコールとして、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等を用いることができる。また、これらのポリエチレングリコール付加物や、ポリプロピレングリコールの付加物も用いることができる。例えば、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物、などを用いることができる。また、ポリエチレングリコールも好ましく用いることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子シートの厚みは、0.005〜0.5mmである。
本発明は、上記のような薄いシートに使用することで、その利点を顕著に発揮する。また、水溶性高分子シートの厚みを上記の範囲とすることで、皮膚に密着させ易くなり、また水を加えた際の溶解もし易くなる。
【0018】
本発明において、前記水溶性高分子シートを構成する水溶性高分子は、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、寒天から選ばれる。
これらの水溶性高分子は、化粧料成分として通常用いられているものである。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子シートは、樹脂フィルムに積層されている。
水溶性高分子シートを、樹脂フィルムに積層しておくことで、強度が増し、収納、保管がしやすくなる。
【0020】
上記課題を解決する本発明は、保湿剤5〜50重量%と、水溶性高分子0.1〜20重量%と、水50〜90重量%とを含む皮膚外用組成物を、樹脂フィルム上に塗工する塗工工程と、塗工した皮膚外用組成物を、水分量が10%以下になるまで乾燥させ、樹脂フィルム上に水溶性高分子シートを形成するシート形成工程と、水溶性高分子シートの表面をIOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらす、ぬらし工程と、を有することを特徴とする、皮膚外用貼付剤の製造方法である。
このような製造方法によれば、取扱い性に優れる皮膚外用貼付剤を容易に製造することができる。しかも、このようにして製造した皮膚外用貼付剤は、樹脂フィルムに支持されているので、収納、保管がしやすいという利点もある。
【0021】
上記の製造方法では、好ましくは、前記フィルム形成工程の後に、前記水溶性高分子シートを所定の形状にカットする、カット工程を有する。
水溶性高分子シートを所定の形状にカットすることで、貼り付ける皮膚の部分に応じた形状とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の皮膚外用貼付剤は、よれや丸まりが生じにくく、取扱い性に優れるものである。また、本発明の皮膚外用貼付剤の好ましい形態では、これを目的とする皮膚の部分に貼り付け、水を加えた場合には容易に水に溶解し、皮膚上に薄く伸ばすことができる。
すなわち、好ましい形態では、本発明の皮膚外用貼付剤は、目的とする皮膚の部分に貼り付け、少量の水を加えることにより容易に溶解するにも拘わらず、貼り付け前のよれや丸まりを引き起こさない、実用性に極めて優れたものである。
また、本発明の皮膚外用貼付剤は、例えば収納袋等の容器に収容した場合も、容器内表面にくっつきにくく、使用時に取り出すのが容易である。
また、本発明の皮膚外用貼付剤は、保存時の水溶性高分子シートの伸びや縮み等の変形度合いが小さく、形状安定性に優れるものである。
【0023】
また、本発明の皮膚外用貼付剤の製造方法によれば、上記のような取扱い性に優れる皮膚外用貼付剤を容易に製造することができる。しかも、このようにして製造した皮膚外用貼付剤は、樹脂フィルムに支持されているので、そのままの状態で、例えば収納袋などに入れ、流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の皮膚外用貼付剤の平面図である。
【図2】図1に示す皮膚外用貼付剤のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の皮膚外用貼付剤の製造方法の概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の皮膚外用貼付剤について、図1、図2を参照しながら説明する。
本発明の皮膚外用貼付剤1は、水溶性高分子シート2と、液状組成物3の構成を備える。具体的には、水溶性高分子シート2の表面が液状組成物3でぬれていることを特徴とする。
ぬれの形態は、特に制限されない。すなわち、例えば、水溶性高分子シートが液状組成物の中に浸漬されていることにより、シート両表面がぬれている状態でも良いし、水溶性高分子シートが液状組成物に浮かんでいることにより、シートの片側の表面がぬれている状態でも良い。また、水溶性高分子シート表面に液状組成物が付着していることにより、表面の一部又は全部がぬれている状態でも良い。また、ぬれの度合いも特に制限されない。
図に示す実施形態では、水溶性高分子シート表面の一部に液状組成物が付着していることにより、表面の一部がぬれている形態となっている。
このように、水溶性高分子シート表面の少なくとも一部が、液状組成物によりぬれていることにより、手指で取り扱う際の水溶性高分子シートのよれや丸まりを効果的に抑制することができる。
【0026】
皮膚外用貼付剤を構成する水溶性高分子シート2は、水の存在により、水溶性高分子のネットワークが破壊される性質を持つシートである。本発明において、「シート」とは、皮膚に貼り付けることができる程度に扁平な形状であり、柔軟性のあるものをいう。
【0027】
上記の水溶性高分子シートは、水溶性高分子を含有する。水溶性高分子は、そのネットワークに他の成分を保持し、シート形状を維持する機能を有する。
水溶性高分子としては、化粧料の成分として用いられ得るものを特に制限なく用いることができる。このような水溶性高分子として、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、寒天等を挙げることができる。これらは、単独で用いることもできるし、複数を組み合わせて用いることもできる。
水溶性高分子シートにおける水溶性高分子の含有量は、シートを形成し、後述する他の成分を保持することができる範囲であればよいが、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜30重量%である。
水溶性高分子の含有量は、シートの厚み、水への溶解のし易さ、使用性を考慮して適宜調節することができる。
【0028】
水溶性高分子シートにおける保湿剤の含有量は、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは25〜80重量%である。皮膚外用貼付剤に期待される最も重要な機能の一つが保湿であるためである。また、本発明の構成をとることにより、水溶性高分子シートに保湿剤を多量に含有しても、シートの取扱い性に問題が生じない。
水溶性高分子シートに含有させる保湿剤としては、化粧料に用いられるものであれば特に制限されない。好ましくは多価アルコールを用いることができる。
このような多価アルコールとして、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等を用いることができる。また、グリセリン又はジグリセリンのポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール付加物、ポリエチレングリコールなどを用いることもできる。これらは、単独で用いることもできるし、複数種を組み合わせて用いることもできる。
ポリエチレングリコールの分子量としては、好ましくは100〜1000、より好ましくは200〜600が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール300及び400を好ましく用いることができる。
【0029】
水溶性高分子シートにおける水溶性高分子と保湿剤との重量比は、好ましくは1:20〜4:1、さらに好ましくは1:15〜3:1、より好ましくは1:10〜2:1である。
【0030】
また、水溶性高分子シートは、油分を含んでいても良い。この場合の油分の含有量としては、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。油分としては、化粧料に用いられるものであれば特に制限されない。
例えば、合成エステル油、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油等を用いることができる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0031】
液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、米油、米胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0032】
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0033】
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0034】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0035】
水溶性高分子シートにおける保湿剤と油分との重量比は、好ましくは1:0〜5:1、さらに好ましくは1:0〜4:1、より好ましくは1:0〜3:1である。
【0036】
また、水溶性高分子シートにおける水の含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。含有量の下限値は、好ましくは2重量%、より好ましくは3重量%である。
このような範囲の水の含有量とすることで、取扱い性と溶解性の両立がしやすくなる。
【0037】
また、前記水溶性高分子シートの厚みは、好ましくは0.005〜0.5mm、さらに好ましくは0.01〜0.4mm、より好ましくは0.05〜0.3mm程度である。
水溶性高分子シートの形状は、円形、角型、ハート型等、任意に決定することができる。また、水溶性高分子シート一つあたりの面積は任意に設定できるが、上述した厚さのシートとする場合には、好ましくは0.5cm2〜10cm2、さらに好ましくは1〜8cm2、より好ましくは2〜6cm2である。この程度の面積とすることにより、取扱い性を格段に向上させることが可能となる。
また、水溶性高分子シートの重量は、好ましくは0.001〜1g、さらに好ましくは0.01〜0.5g、より好ましくは0.02〜0.3gである。
【0038】
水溶性高分子シートは、その他、例えば、皮膚の状態を改善するための各種成分を含有していても良い。
【0039】
上述した水溶性高分子シート2は、OPPフィルムなどの樹脂フィルム4に積層されていることが好ましい。水溶性高分子シートを、樹脂フィルムに積層しておくことで、全体の強度が増し、収納、保管がしやすくなる。
このような形態とした場合には、使用時に、樹脂フィルムから水溶性高分子シートを剥離する。このような剥離の作業の際には、水溶性高分子シートが丸まったり、よれたりし易い。しかしながら、以下に詳述する液状組成物が、このような問題を解決する。
このような形態として、図3に示すような形態が挙げられる。この形態では、4cm×6cmの樹脂フィルム4に、直径2cmの円形の水溶性高分子シート2・2が、間隔を開けて積層されている。
【0040】
本発明の皮膚外用貼付剤を構成する液状組成物のIOB値は、0.8〜3.2、好ましくは0.9〜3である。
このようなIOB値を有する液状組成物は、好ましくは多価アルコールである。
多価アルコールとしては、例えば、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルジオール等の低炭素数多価アルコールが挙げられる。この場合の炭素数としては、例えば4〜6である。
また、多価アルコールとして、多価アルコールのポリプロピレングリコール付加物、多価アルコールのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物が挙げられる。このような化合物における多価アルコールとして、例えば炭素数3〜6の低炭素数多価アルコールが挙げられる。具体的には、グリセリン又はジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物、又はグリセリン又はジグリセリンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物、トリメチロールプロパンのポリプロピレングリコール付加物、又はトリメチロールプロパンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物が挙げられる。
グリセリン又はジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物におけるプロピレングリコールの付加モル数(付加物の重合度)は、好ましくは2〜10モル、より好ましくは3〜8モル、さらに好ましくは3〜6モルである。また、グリセリン又はジグリセリンに、さらにポリエチレングリコールを付加する場合のエチレングリコールの付加モル数は、上記プロピレングリコールの付加モル数と同量程度とすることができる。
また、これらの化合物は、更にポリブチレングリコールが付加されているものであっても良い。例えば、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(ウィルブライドS−753(日油株式会社製))等が好ましく用いられる。
また、トリメチロールプロパンに、ポリプロピレングリコールを付加する場合のプロピレングリコールの付加モル数は、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜40、さらに好ましくは20〜30程度が挙げられる。また、トリメチロールプロパンに、さらにポリエチレングリコールを付加する場合のエチレングリコールの付加モル数は、上記プロピレングリコールの付加モル数と同量程度とすることができる。
また、多価アルコールとして、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
また、多価アルコールとして、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール付加物と、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物との混合物、トリメチロールプロパンのポリエチレングリコール付加物と、トリメチロールプロパンのポリプロピレングリコール付加物との混合物を用いることもできる。この場合には、両者の化合物を、界面活性剤などを用いて相溶することにより、IOB値を上記の範囲に調節することが可能である。
ポリエチレングリコールの分子量としては、好ましくは100〜1000、より好ましくは200〜600が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール300及び400を好ましく用いることができる。
エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体の重合度としては、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80、さらに好ましくは40〜60程度が挙げられる。エチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体におけるエチレングリコール単位とプロピレングリコール単位の含有比率は、好ましくは1:1.1〜1:1.3程度である。
また、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(Neosolue−Aqulio(日本精化株式会社製))等も好ましく用いられる。
【0041】
なお、IOB値は本発明で特定する範囲外であるが、ジメチコン等のシリコーンも本発明に言う液状組成物に代えて使用することで、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0042】
なお、上述したように、OPPフィルムなどの樹脂フィルム4に水溶性高分子シート2を積層した場合には、水溶性高分子シートの樹脂フィルムとの接着面と反対側の表面のみが液状組成物3でぬれていればよい。このような形態において、水溶性高分子シート2を樹脂フィルム4から剥離する場合、液状組成物の機能が十分に発揮され、水溶性高分子シートのよれや丸まりが起こらない。
【0043】
液状組成物の量は、上述した通り水溶性高分子シートの表面の少なくとも一部をぬらすことができれば特に制限されない。例えば、上記の取扱いの容易性の効果を得るためには、水溶性高分子シートと、液状組成物との重量比で、0.1:99.9〜99.99〜0.01であってもよく、その比率は実質的に制限されないに等しい。一方、液状組成物を無駄なく使用し、外観上も好ましい範囲とする観点からは、前記の重量比は、10:90〜90:10が好ましく、50:50〜20:80がより好ましい。
【0044】
本発明の皮膚外用貼付剤は、化粧料、医薬等として提供することができる。特に、皮膚上で水を加えることにより溶解する化粧料として使用することが好ましい。これにより保湿パックとしての機能と、化粧水(ローション)としての機能を併せ持つ化粧料を提供することができる。
【0045】
上述した本発明の皮膚外用貼付剤1は、保管、流通のために、プラスチック製の容器に収納することができる。容器としては、トレー型、袋型が好ましく用いられる。例えば、図1及び図2に仮想線で示すように、深さを有するトレー5の内部に、樹脂フィルム4に積層して表面を液状組成物3でぬらした水溶性高分子シート2を収納することができる。また、このように収納した皮膚外用貼付剤1は、トレー5ごと遮光性袋(図示しない)に収納することもできる。
他に、水溶性高分子シートの収納凹部に液状組成物を充填し、その中に水溶性高分子シートを浸漬し、前記収納凹部の開口部をシールする方法なども挙げられる。
【0046】
上述した本発明の皮膚外用貼付剤は、例えば、以下に示す方法にて製造することができる。製造方法の概要を図3に示す。
まず初めに、水溶性高分子シートの成分を水に分散し、OPPフィルムなどの樹脂フィルム上に塗工する。この水溶性高分子シートの成分を水に分散したものは、最終的に皮膚に適用しようとする皮膚外用組成物の組成を有するものにほぼ相当する。
すなわち、皮膚外用組成物は、保湿剤5〜50重量%と、水溶性高分子0.1〜20重量%と、水50〜90重量%とを含む。
【0047】
皮膚外用組成物の調製方法は特に制限されないが、処方に油分を含む場合には、以下のように行うことが好ましい。
まず、水溶性高分子シートの成分のうち、水溶性高分子のみを水に分散する。続いて、この水溶性高分子を分散した水に、保湿剤を加えて混合する。
他方、油分は、界面活性剤と共に加温しながら前記水溶性高分子を分散した水に別途、混合し、乳化する。こうして得られた乳化物と、前記で得られた水溶性高分子と保湿剤とを分散した水とを、撹拌混合する。また、粉体、香料、防腐剤などの添加剤は、この後に添加することが好ましい。
このようにして調製した皮膚外用組成物を、樹脂フィルム上4に塗工し、水分量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるまで乾燥させる。この乾燥させたものが、上述した水溶性高分子シート2に相当する。
【0048】
このようにして得られた水溶性高分子シート2は、樹脂フィルム上4に積層された形態となる(図3(a))。
続いて、図3(b)に示すように、水溶性高分子シート2に所定の形状の輪郭となる切り込み21を形成する。この切り込み21の深さは、水溶性高分子シート2の厚さとし、樹脂フィルム4を切断しないように設定する。このような切断方法は、ハーフカットと呼ばれる。本実施形態では、切り込み21を円形に形成しているが、その形状は特に制限されない。
次に、図3(c)に示すように、水溶性高分子シート2の切り込み21で囲まれた部分を残し、外側の余剰部分を取り除く。
【0049】
続いて、図3(d)に示すように、水溶性高分子シート2の表面をIOB値0.8〜3.2の液状組成物3でぬらす。水溶性高分子シート2の裏面は、OPPフィルムなどの樹脂フィルム4に付着している。従って、この場合は、水溶性高分子シート2の樹脂フィルム4に付着していない表面のみをぬらせばよい。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、%は重量による表示である。
<水溶性高分子シートの作成>
表1に示す処方で、以下の製法により水溶性高分子シートを作成した。なお、表1に示す各成分の含有割合は、後述する乾燥後のものである。
表1に示す成分のうち、水溶性高分子を、水に添加し、80℃まで加温しながら混合することにより、溶解(分散)させた。続いて、これに、保湿剤を加えて70℃とし、液Aとした。
油分を含有するサンプルについては、界面活性剤と油分を混合したものを、別途水溶性高分子を溶解した水に70℃で混合し、液Bとした。
液Aに液Bを加えて、ホモミキサーにて撹拌混合した。続いて、残りの成分を加えて、皮膚外用組成物を得た。
得られた皮膚外用組成物を、表面加工処理したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、東洋紡P2161OP♯60ポリプロピレンフィルム、4cm×6cm)に、OPPフィルム1m2あたり10〜5000gの量で塗工した後、熱交換器にて乾燥させた。乾燥は、水溶性高分子シートの水分量が5重量%となるまで行った。水溶性高分子シートの厚みは、0.01〜0.5mmの間であった。
その後、OPPフィルムを残し、水溶性高分子シートのみを直径2cmの円形にカットし、円形部分の外側の余剰部分を取り除いた。このように、OPPフィルムの上に2つの円形の水溶性高分子シートが形成されたサンプルNo.1〜10を作成した(図1を参照)。
【0051】
【表1】

【0052】
<実施例1〜11>
上記で作成したサンプルNo.1〜10を、OPPフィルムに積層された状態で、プラスチック製トレー(5cm×7cm×0.5cm)に収納した。この状態で、トレー上方から、表2に示す各種液状組成物を添加し、実施例1〜11の皮膚外用貼付剤を作成した。
また、上記で作成したサンプルNo.1〜10を、OPPフィルムに積層された状態で、プラスチック製トレー(5cm×7cm×0.5cm)に収納した。この状態で、トレー上方から、表3に示す各種液状組成物を添加し、比較例1〜11の皮膚外用貼付剤を作成した。
【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
[効果試験]
女性パネル10名にて試料の評価を行った。実施例および比較例の皮膚外用貼付剤について、OPPフィルムから水溶性シートを剥離し、顔の目下に貼り付け後、少量の水を加えて、頬全体に伸ばしてもらった。
その際に、水溶性シートの変形度合いの評価、水溶性シート同士の付着・丸まり度合いの評価、水に対する溶解性の評価を、以下の評価基準に従って行った。各パネルの評価結果(スコア)を平均した結果を、表4、表5に示す。
【0056】
[評価基準]
(1)水溶性シートの変形度合いの評価
4:シートは全く変化なし。
3:シートは若干縮むまたは若干膨張する。
2:シートはかなり縮むまたはかなり膨張する。
1:シートは大幅に縮むまたは大幅に膨張する。
(2)シート同士の付着性および丸まり度合いの評価
4:シート同士が付着しないおよび丸まらない。
3:シート同士が若干付着するが容易に剥がれる。また、丸まり難い。
2:シート同士がやや付着しやすい。また、丸まり易く元に広げるのに苦労する。
1:シート同士が付着しやすい。また、丸まり易く元に広げられない。
(3)水に対する溶解性の評価
4:すぐに溶解する
3:若干時間が掛かるが溶解する
2:一部溶け残りがある
1:殆んど溶けない
【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
評価の結果、実施例の皮膚外用貼付剤については、水溶性シートの変形度合いの評価、水溶性シート同士の付着・丸まり度合いの評価、水に対する溶解性の評価の何れにおいても高いスコアが得られた。この効果は、液状組成物の種類に関わらず得られた。更に、本発明の効果を得るためには、水溶性高分子シートと液状組成物の重量比は特に制限されないことも分かった。
一方、比較例の皮膚外用貼付剤については、水溶性シートの変形度合いの評価、水溶性シート同士の付着・丸まり度合いの評価、水に対する溶解性の評価の何れにおいても、実施例に対して低い評価結果となった。
これより、水溶性高分子シート表面をIOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらすことにより、シート同士の付着性および丸まりを防ぐことができることが分かった。また、このような液状組成物を用いた場合には、水溶性高分子シートの伸びや縮み等の変形度合いが小さく、形状安定性に優れるものである。
また、このような液状組成物を用いた場合には、水溶性高分子シートを皮膚に貼り付けて水を加えた際には、容易に水に溶解し、皮膚上に伸ばすことができることが分かった。
【0060】
表6に示す通り水溶性高分子シートのサンプルNo.1〜10の厚みを変えたものを作成し、それぞれサンプルNo.11〜20とした。
これらのサンプルについて、実施例1〜10で用いたものと同様の液状組成物を用いて上記試験を行った。
【0061】
【表6】

【0062】
その結果、全ての項目についてスコア3以上であり、何れも良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば化粧料の分野で用いられる新しいタイプの皮膚外用貼付剤として、実用化が期待される。
【符号の説明】
【0064】
1 皮膚外用貼付剤
2 水溶性高分子シート
3 液状組成物
4 樹脂フィルム
5 トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性高分子シートからなる皮膚外用貼付剤であって、
前記水溶性高分子シートの表面が、IOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬれていることを特徴とする、皮膚外用貼付剤。
【請求項2】
前記水溶性高分子シートは、保湿剤20〜90重量%と、水溶性高分子0.5〜40重量%と、を含有する、請求項1に記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項3】
前記水溶性高分子シートは、さらに油分を含有する、請求項1又は2に記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項4】
前記液状組成物が、多価アルコールであることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項5】
前記多価アルコールが、多価アルコールのポリプロピレングリコール付加物、又は多価アルコールのポリエチレン及びポリプロピレングリコール付加物である、請求項4に記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項6】
前記液状組成物が、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルジオール、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物、トリメチロールプロパンのポリプロピレングリコール付加物、トリメチロールプロパンのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール付加物、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、並びにシクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる、請求項1〜3の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項7】
前記水溶性高分子シートに含有される保湿剤が、多価アルコールであることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項8】
前記保湿剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物から選ばれる、請求項7に記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項9】
前記水溶性高分子シートの厚みが、0.005〜0.5mmである、請求項1〜8の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項10】
前記水溶性高分子が、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びカルボキシビニルポリマー、寒天から選ばれる、請求項2〜9の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項11】
前記水溶性高分子シートは、樹脂フィルム上に形成されている、請求項1〜10の何れかに記載の皮膚外用貼付剤。
【請求項12】
保湿剤5〜50重量%と、水溶性高分子0.1〜20重量%と、水50〜90重量%とを含む皮膚外用組成物を、樹脂フィルム上に塗工する塗工工程と、
塗工した皮膚外用組成物を乾燥させ、樹脂フィルム上に、水分量が10重量%以下の水溶性高分子シートを形成するシート形成工程と、
水溶性高分子シートの表面をIOB値0.8〜3.2の液状組成物でぬらす、ぬらし工程と、
を有することを特徴とする、皮膚外用貼付剤の製造方法。
【請求項13】
前記フィルム形成工程の後に、前記水溶性高分子シートを所定の形状にカットする、カット工程を有する、請求項12に記載の皮膚外用貼付剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−112617(P2013−112617A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257417(P2011−257417)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(592061810)株式会社ニチエイ (12)
【Fターム(参考)】