説明

皮膚常在菌叢改善剤

【課題】化粧品、医薬部外品/医薬品分野において、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌に対して静菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌及び緑膿菌に対して静菌作用又は増殖抑制作用を示す皮膚常在菌叢改善剤の提供。
【解決手段】複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤。該水溶性糖類の好ましい例はグルコースがβ1−4グルコース結合したものであり、セロビオース含量が60質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上が0.1〜40質量%からなるセロオリゴ糖である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、医薬部外品、医薬品分野において皮膚常在菌叢改善剤、即ち皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示し、さらに乾いた時の髪感触として、さっぱり感や滑り感を付与する皮膚常在菌叢改善剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健常な人間の皮膚は、表皮のpHを弱酸性に維持し、抵抗力を高める作用を持つ有益な皮膚常在菌により保護されている。しかしながら、乾燥肌やアトピー性皮膚炎など、傷つきやすい肌を持っている人の場合、有害菌である黄色ブドウ球菌や緑膿菌は、皮膚表面にある傷から内部に感染し、人間の皮膚状態を、さらに損なう原因になる。たとえ見えないような小さい傷でも、内部の組織が露出していれば、黄色ブドウ球菌や緑膿菌は、そこにとりつき、しみ出てくる体液をえさにして増殖する。アトピー性皮膚炎の人の肌は、実際に、黄色ブドウ球菌数が、多く検出されると言われている。従って、人の皮膚上で、皮膚有益菌の菌数を維持し、同時に、有害菌である黄色ブドウ球菌や緑膿菌の菌数を抑えることが、極めて重要である。
また、同じ皮膚でも、髪の毛の密生する頭皮は、他の部位よりも、多数の皮膚常在菌が存在し、その生存数バランスも重要であり、併せて官能的にも乾いた時の髪感触として、さっぱり感や滑り感を付与することも重要である。
【0003】
黄色ブドウ球菌あるいは緑膿菌に対して、静菌作用を持つ薬剤や化粧品原料成分は、数多く開示されて来た。N−アシルグルタミン酸含有洗浄剤(特許文献1)、鉄結合型ラクトフェリン含有剤(特許文献2)、様々な植物抽出物(特許文献3、4、5、6、7)などである。しかしながら、これらは、同じスタフィロコッカスに属する有益な皮膚常在菌に対しても同等以上に静菌作用を持つ為に、皮膚常在菌叢改善剤には、成り得なかった。
また、ニガリとローズマリー抽出物、もしくはカンゾウ抽出物を混合することによる皮膚常在菌の生存数バランス調整剤が開示されている(特許文献8)が、その効果も充分で無く、緑膿菌に対する静菌性には記載がなく、さらには乾いた時の感触としてさっぱり感や滑り感を付与するものではなく、高価で、現実的には、極めて使用し難いものであった。
【0004】
さらに、イソマルトオリゴ糖含有皮膚常在菌叢改善剤(特許文献9)が開示されている。該文献によると、イソマルトオリゴ糖および/またはイソマルトオリゴ糖を還元して得られる糖アルコールを含有する皮膚常在菌叢改善剤は、確かに、特定のpHおよび添加量範囲においては、確かに表皮ブドウ球菌に作用せず、黄色ブドウ球菌を抑制する効果を有する。しかしながら、本願の比較例7〜9に示すように、肌の保湿性改善、化粧水の感触改善等も得られる、糖質添加量が高い範囲においては、その効果も充分では無い。また、該文献には、緑膿菌に対する静菌性については記載がなく、さらには乾いた時の感触としてさっぱり感や滑り感を付与するものではなかった。
【0005】
従って、該文献の皮膚細菌叢改善剤は、本発明の如く、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示し、さらに乾いた時の髪感触として、さっぱり感や滑り感を付与する皮膚常在菌叢改善剤に関するものとは全く異なる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−80781号公報
【特許文献2】特開平11−279076号公報
【特許文献3】特開平6−116162号公報
【特許文献4】特開平8−73368号公報
【特許文献5】特開平8−73372号公報
【特許文献6】特開平11−43443号公報
【特許文献7】特開2001−226280号公報
【特許文献8】特開2005−139075号公報
【特許文献9】特開2005−89355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、化粧品医薬品分野において皮膚常在菌叢改善剤、即ち皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示し、さらに乾いた時の髪感触として、さっぱり感や滑り感を付与する皮膚常在菌叢改善剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤が、即ち皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示し、さらに乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与することを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0009】
(1)複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤。
(2)前記水溶性糖類が、複数の糖がβ1−4結合した水溶性糖類であることを特徴とする(1)に記載の皮膚常在菌叢改善剤。
(3)前記糖がグルコースであり、β1−4結合がβ1−4グルコシド結合である(1)又は(2)に記載の皮膚常在菌叢改善剤。
(4)水溶性糖類が、セロビオース含量が60質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上が0.1〜40質量%からなるセロオリゴ糖である(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。
(5)水溶性糖類が、表皮ブドウ球菌(Stapylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)を静菌せず、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)を静菌する(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する化粧品。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する医薬部外品。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する医薬品。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、特にその好ましい態様を中心に、以下具体的に説明する。
本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する必要がある。
上述の糖としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース等の公知のヘキソースまたはその異性体、誘導体、キシロース、アラビノース等のペントースまたはその異性体、誘導体、エリトロース、トレオース等のテトロースまたはその異性体、誘導体が挙げられる。
【0011】
本発明の複数の糖がβ結合した水溶性糖類で、公知のものとしては、例えば、複数のグルコースがβ結合したセロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオース等のセロオリゴ糖類またはゲンチオオリゴ糖類、複数のグルコースおよび/又はガラクトースがβ結合したガラクトオリゴ糖類、複数のキシロースがβ結合したキシロオリゴ糖類、グルコース誘導体であるN−アセチルグルコサミンが複数β結合したキチンオリゴ糖類、グルコース誘導体であるN−グルコサミンが複数β結合したキトサンオリゴ糖類等が挙げられる。但し、複数の糖がβ結合したものであり、本発明の効果が得られるものについては、上記の公知の水溶性糖類以外に、新規に発見または合成されたものも本発明の水溶性糖類に含まれる。また、本発明のβ結合には、β1−4結合、β1−6結合、β1−3結合が含まれる。
【0012】
上記の複数の糖がβ結合した水溶性糖類の中でも、最も本発明の効果が発揮される態様としては、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類が、適している。
複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類としては、化粧品医薬品分野の組成物として容易に溶解し、また有害菌類の中に取り込みやすい分子量を持つという観点から、オリゴ糖類が好ましく、さらには二糖類であるセロビオースが好ましい。
【0013】
乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与する為には、セロビオース含有量が60質量%以上、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上が0.1〜40質量%であるセロオリゴ糖であることがさらに好ましく、さらには、セロビオース含有量が95質量%以上で99.5質量%未満、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上が0.1〜5質量%であるセロオリゴ糖を含有することがより好ましい。複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合したオリゴ糖類の中で、セロビオースの含有量が、60質量%に達しないと、乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与できない。また、セロビオースを、単糖であるグルコースにまで分解してしまうと、遊離したグルコースは、有害菌に容易に資化されてしまうし、乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感が減じてしまう。よって、遊離したグルコース含有量は、セロオリゴ糖とグルコースの全体量において0.1質量%から30質量%以下であることが好ましく。0.1質量%から10質量%以下がより好ましく、0.1質量%から4質量%以下であることが、特に好ましい。
【0014】
以下に、本発明の皮膚常在菌叢改善剤の好適な例として、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を例にとって、水溶性糖類およびグルコース含量の分析法を記す。本発明の複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類およびグルコースは、純水に1質量%濃度で溶解させた後、高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーシステム:島津製作所(株)製 商品名 SCL−10A、カラム:島津製作所製 商品名 Asahipak NHP−50、移動相:アセトニトリル/水=75/25(容積比))で分析できる。複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類およびグルコースの糖組成は、上述の方法で得られたクロマトグラムにおける各単一糖類のピーク面積を質量換算し、総質量に占める、それぞれの質量百分率で表される。グルコースの含有率も、同様の方法で求められ、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した糖類の構成成分の総質量に対するグルコースの質量の百分率で表される。
【0015】
次に、本発明の複数の糖がβ1−4結合した水溶性糖類の製造方法の例として、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類の製造方法について説明する。
本発明のβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類の起源には、特に制限はなく、セルロース系物質の加水分解で製造されたもの、グルコース等の単糖類またはその誘導体を縮合または糖転移させ製造されたものでもよいが、酵素分解法で得られたものが、安全性の点で好ましい。
【0016】
酵素分解に使用するセルロース系物質としては、植物性でも、動物性でもよく、例えば、木材、竹、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、麦、稲、バクテリアセルロース等の含有する天然物由来の繊維質物質、またそれらを一旦溶剤に溶解させ再生させた再生セルロースでも、それらの化学処理を施しセルロース誘導体としたものでもよく、上記のうち、1種または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解または化学処理を経ない、天然セルロース系物質を用いると、得られたβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類中に、人体に有害な溶剤または化学物質が含まれないため好ましい。また、セルロース系物質は精製パルプの状態で使用することが好ましく、パルプの精製方法には特に制限はなく、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、NBKPパルプ等のいずれのパルプを使用してもよい。
【0017】
また、セルロース系物質を酵素分解する場合には、使用するセルロース系物質としては、一旦加水分解し、平均重合度を700以下に部分加水分解したセルロース系物質を用いると、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類の収率を向上させる上で好ましい。さらに、該特定の重合度を有するセルロース系物質は、平均粒子径を100μm以下、コロイド状セルロース成分含有量を10質量%以上に制御したものを用いることが、酵素分解速度の向上、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類の選択率が向上するため好ましい。
【0018】
本発明では、セルロース系物質の加水分解に用いる酵素をセルラーゼといい、本発明で使用するセルラーゼとは、セルロースを分解する酵素の総称であり、セルロースへの分解活性を有していれば、本発明でいうセルラーゼに含まれる。セルラーゼ酵素源としては、例えば、セルラーゼ産生生菌体そのもの、セルラーゼ産生菌が分泌する酵素を精製したもの、精製酵素を賦形剤、安定化剤等の添加剤ともに製剤化したもの等が挙げられる。セルラーゼ製剤品の場合、それに添加される添加剤にも特に制限はなく、その剤形は、粉末、顆粒、液体等いずれでもよい。
【0019】
セルラーゼの起源についても、特に制限はないが、例えば、公知のセルラーゼを生産する微生物としては、トリコデルマ(Tricoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アエロモナス(Aeromonus)属、イルペックス(Irpex)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、フミコーラ(Humicola)属、セロビブリオ(Cellovibrio)属等の「セルラーゼ」(講談社サイエンティフィック発行(1987))、「セルロースの事典」(朝倉書店発行(2000))に記載される菌が生産するセルラーゼを挙げることができるが、セルロースを分解する酵素であれば、上記公知の菌由来の酵素に限らず、新規の菌由来の酵素も、本発明でいうセルラーゼに含まれる。
【0020】
酵素分解方法は、公知の方法を使用すればよく、特に制限されるものではないが、一例としては、セルロース系物質を水性媒体中に懸濁させ、セルラーゼを添加し、攪拌または振とうしながら、加温して糖化反応を行う方法が挙げられる。
上記方法において、懸濁方法、攪拌方法、セルラーゼ・基質の添加方法・添加順序、それらの濃度等の反応条件は、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類がより高収率で得られるよう適宜調整されるものである。その際の、反応液のpH及び温度は、酵素が失活しない範囲内であればよく、一般的には、常圧で反応を行う場合、温度は5〜95℃、pHは1〜11の範囲でよい。また、この圧力、温度、pHについても、上記同様、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類がより高収率で得られるよう適宜調整されるものである。
【0021】
上述の酵素分解により得られたβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類の水溶液は、必要に応じて、脱色、脱塩、酵素除去等の精製処理を施すことができる。精製方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、例えば、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィー処理、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透ろ過等の濾過処理、晶析処理等を使用してもよく、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせてもよい。
β1−4グルコシド結合した水溶性糖類の精製方法の中でも、晶析処理は、β1−4グルコシド結合した水溶性糖類の糖組成を制御しやすいため好ましい。
【0022】
酵素分解法の一例としては、例えば、特願2004−218902号、特願2004−323579号、特願2005−125966号、特願2005−125975号、特願2006−041149号(いずれも出願人:旭化成ケミカルズ株式会社)に開示される方法で製造された複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した糖類を使用することが好ましい。
【0023】
次に本発明の複数のグルコースがβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤について説明する。複数のグルコースがβ結合した水溶性糖類を含有する本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、化粧品素材、医薬品薬効成分、またはそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分に含有され、顆粒、成型体、水溶液、水分散体、ペースト、ゲル状の化粧品/医薬部外品/医薬品/医薬品である。特に、上記組成物の内、水溶液、水分散体、ペースト、ゲル状のものを、化粧品/医薬部外品/医薬品の皮膚外用剤として使用できることが好ましい。
【0024】
上記、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤は、本発明の複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類が、化粧品素材、医薬品薬効成分、またはそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分と水に含有されたものであり、本発明の複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類の含有率は0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明でいう構成成分とは、化粧品素材、医薬品薬効成分、色素、香料、金属、セラミックス又は賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤等の添加剤のことであり、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状などいずれの形態でもよく、例えば「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)記載のものを用いることが可能である。
また、それらは種々の目的でコーティング等の加工を施したものであってもよい。これらの構成成分は単独で使用しても、複数を併用してもよい。構成成分の添加量としては、0.01質量%−99質量%である。を含むことも自由である。
本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、溶解、混合、分散、造粒、溶融・固化、圧縮、乾燥等の公知の方法で加工できる。
【0026】
本発明の複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤は、複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有することで、皮膚外用剤や毛髪用剤として使用すると、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さないで、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示し、さらに乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与することができる。
【0027】
以下に、本発明の複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤と、化粧品素材、医薬品薬効成分、またはそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分を含む化粧品/医薬品部外品/医薬品の製造方法について記述するが、本発明の効果は、以下の方法に制限されるものではない。
【0028】
各成分の添加方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、1)複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類と構成成分を同時に添加し、混合/分散しても、2)複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類と特定の構成成分を予め混合/分散した後に、別の構成成分を添加し、混合/分散しても、3)2種以上の構成成分を予め混合/分散した後、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を添加し、混合/分散しても、これらの添加方法を組み合わせた方法でもよい。
【0029】
ここで用いる装置としては、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加しても、一括投入してもよい。また、各成分の混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機などの容器回転式混合機、あるいは高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機などの撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。
【0030】
分散方法としては、通常行われる分散方法であれば特に制限はないが、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する撹拌混合方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌混合方法、気体吹き込み式の撹拌混合方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する混合方法でも、シェーカーを使用する容器振とう式混合方法等を用いてもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。
【0031】
また、上述の混合、分散において、水又は水/有機溶剤に必要に応じて界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤を添加した水系媒体を添加する順序には特に制限はないが、1)複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類に予め水系媒体を添加し、溶解/分散させた後に、他の構成成分を添加しても、2)構成成分に予め水系媒体を添加し、溶解/分散させた後に、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を添加しても、3)複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類と構成成分を予め混合/分散させた後に、水系媒体を添加してもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで得られた水溶液、分散体、乳液等の各液状、ペースト、ゲル等の各半固形状の化粧品/医薬部外品/医薬品は、必要に応じて乾燥し、造粒、コーティング、成型等の加工を施してもよい。
【0032】
造粒・コーティング方法としては、公知の方法であれば特に制限はないが、攪拌式または流動層式のいずれでもよく、それらを組み合わせた方法でもよい。攪拌式造粒機としては、例えばポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式の攪拌機、流動層式としては上部噴霧式、中央噴霧式、下部噴霧式、攪拌併用式、中央缶噴流式、ワースター式等が挙げられる。また、ローラーコンパクタを使用した乾式造粒を施してもよい。
【0033】
コーティングについては、予め造粒物を得、それに公知のコーティングを施してもよく、コーティングを施した後、さらに別のコーティングを施し多層状としてもよい。コーティング剤の噴霧方法としては、圧力ノズル、二流体ノズル、四流体ノズル、回転ディスク、超音波ノズル等を使用し活性成分溶液/分散液を噴霧する方法、管状ノズルから活性成分溶液/分散液を滴下する方法のいずれでもよい。活性成分溶液/分散液を添加する際には、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類粒子表面に活性成分を積層させるようなレイヤリング、コーティングを施しても、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類に担持させてもよく、構成成分溶液/分散液を結合液として、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類と他の構成成分の混合物をマトリックス状に造粒させてもよい。レイヤリング、コーティングは湿式であっても、乾式であっても効果は同様である。
【0034】
成型方法としては、通常行われている方法であれば特に制限はないが、型枠を用いてもよく、圧縮、溶融、射出、圧延等の公知の成型方法が適用でき、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで用いられる成型機としては、圧縮成型機、溶融成型機、射出成型機、圧延成型機等が挙げられ、製菓用/化粧品/医薬品用成型機、米飯成型機、コンプレスド成型機、包あん機、蒲鉾製造装置、餃子・包子成型機、ファンデーション基材用圧縮成型機等の公知の成型機が使用できる。特に圧縮成型に関しては、型枠を使用し所望の形状に圧縮成形する方法、予めシート状に圧縮成形した後所望の形状に割断する方法でもよい。圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローラー式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の圧縮機を使用できる。
【0035】
次に、上述の皮膚常在菌叢改善剤の製造方法において使用される構成成分の一例を記す。
例えば、化粧品素材またはそこで使用される添加剤としては、本発明の複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類に加え、必要に応じて、保湿剤、アミノ酸、ビタミン類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類、シリコン、界面活性剤、pH調整剤、水を添加してもよい。これらの化粧品素材または添加剤は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0036】
例えば、保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸、ヨクイニン抽出物、大豆レシチン等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に保湿剤として分類されるものが挙げられる。
【0037】
アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、トリプトファン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン、アスパラギン等の中性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン等の塩基性アミノ酸等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)にアミノ酸として分類されるものが挙げられる。
【0038】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCを使用することができる。ビタミンAとしては、レチノール、レチナール、レチノイン酸、3−デヒドロレチノール、3−デヒドロレチナール、3−デヒドロレチノイン酸、β−カテキンが挙げられ、ビタミンDとしては、エルゴカルシフェロール(D2)、コレカルシフェロール(D3)、エルゴステロール、7−ヒドロコレステロールが挙げられ、ビタミンEとしてはα−トコフェロールが挙げられ、ビタミンKとしては、フィロキノン(K1)、メナキノン(K2)、メナジオン(K3)が挙げられ、ビタミンBとしてはチアミン(アノイリン)が挙げられ、ビタミンBとしてはリボフラビンが挙げられ、ビタミンBとしてはピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンが挙げられ、ビタミンB12としてはコバラミンが挙げられ、葉酸としてはプテロイルグルタミン酸が挙げられ、ナイアシンとしてはニコチン酸、ニコチンアミド(ニコチン酸アミド)が挙げられ、ビタミンCとしてはアスコルビン酸が挙げられる。これらのビタミンは、1種を単独で用いても、2種以上を併用することも自由である。また、これらのビタミンは、脂溶性であっても、水溶性であってもよく、通常、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品に用いられるものを使用することが好ましい。「日本薬局方」(廣川書店発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)に分類されるものを用いることが好ましい。
【0039】
炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、スクラワン、ワセリン等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に炭化水素として分類されるものが挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへリン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に高級脂肪酸として分類されるものが挙げられる。
【0040】
エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミスチリン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、鳥居素ステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油四郷産メチルエステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)にエステルとして分類されるものが挙げられる。
【0041】
シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シロキサン、架橋した編み目構造のシリコン樹脂等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アシルグタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩等のアニオン性界面活性剤に加え、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化(N,N‘−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピチジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体等のカチオン性界面活性剤、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホバタイン等のベタイン系両性界面活性剤等の両性界面活性剤、ソルビタンノモオレエート、ソルビタンモノモイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、パンタ−2−エチルヘキシル酸時グリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビタンテトラオレエート等のポリオキシエチレン−ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン−ソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレン−ソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビットモノステアレート、ポリオキシエチレン−グリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン−グリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等のポリオキシエチレンヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体等の非イオン性界面活性剤等の「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられる。
【0042】
pH調整剤としては、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、Mclvine試薬等の緩衝剤が挙げられる。
【0043】
医薬品薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経皮または経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0044】
賦形剤としては、アクリル酸デンプン、L−アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、あめ(粉)、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、イノシトール、エチルセルロース、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、塩化ナトリウム、オリーブ油、カオリン、カカオ脂、カゼイン、果糖、軽石粒、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥酵母、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥硫酸ナトリウム、乾燥硫酸マグネシウム、カンテン、カンテン末、キシリトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリセリン、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、L−グルタミン、クレー、クレー粒、クロスカルメロースナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ケイヒ末、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、結晶セルロース(粒)、ゲンマイコウジ、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、ゴマ油、小麦粉、コムギデンプン、小麦胚芽粉、コメコ、コメデンプン、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸フタル酸セルロース、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、β―シクロデキストリン、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、ジメチルポリシロキサン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム・ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、スクラワン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸マグネシウム、ステロテックスHM、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、精製白糖球状顆粒、セトステアリルアルコール、セトポリエチレングリコール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、第三リン酸カルシウム、ダイズ油、大豆不ケン化物、大豆レシチン、脱脂粉乳、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中性無水硫酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、デキストリン、天然ケイ酸アルミニウム、トウモロコシデンプン、トラガント末、二酸化ケイ素、乳酸カルシウム、乳糖、白色ワセリン、白糖、白糖・デンプン球状顆粒、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦芽葉青汁乾燥粉末、ハチミツ、パラフィン、バレイショデンプン、半消化体デンプン、人血清アルブミン、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フィチン酸、部分アルファー化デンプン、プルラン、プロピレングリコール、粉末還元麦芽糖水飴、粉末セルロース、ペクチン、ベントナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリエチレングリコール、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、水アメ、ミリスチン酸イソプロピル、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム造粒物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、綿実粉、綿実油、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、薬用炭、ラッカセイ油、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、粒状トウモトコシデンプン、流動パラフィン、dl−リンゴ酸、リン酸−水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に賦形剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0045】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポリビニルピロリドン、クロスポリビニルピロリドンコポリマー等の合成高分子等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に崩壊剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0046】
結合剤としては、白糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に結合剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0047】
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)および「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に流動化剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0048】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0049】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に矯味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0050】
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に着香剤、香料として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」、(廣川書店発行)に着色剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0051】
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)および「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に甘味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0052】
溶剤としては、医薬品に使用されるものであれば、特に制限されるものでは、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に溶剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0053】
油脂としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリ ン酸トリグリセリド、ステアリン酸ショ糖エステル、流動パラフィン等のパラフィン類、カルナウバロウ,硬化ヒマシ油等の硬化油類、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に記載される油脂が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0054】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン糊等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に記載される増粘剤が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0055】
界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンサンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0056】
ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン等の動物性ゲル化剤、寒天、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カードラン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、微結晶セルロース等植物性多糖類、ポリビニルピロリドン等の化学合成高分子等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「化粧品原料基準」(薬事日報社発行)、「化粧品種別成分配合規格」(薬事日報社発行)にゲル化剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0057】
本発明の複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤の化粧品/医薬部外品/医薬品の例としては、以下のものが挙げられる。
化粧品としては、例えば、香油、ヘアオイル、つや出し油、スキ油、びん油、セットローション、ヘアスティック、ヘアクリーム、ポマード、ヘアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料、ヘアトニック、ヘアトリートメント、ヘアローション等の養毛料、カラースプレー、カラーリンス等の毛髪着色料、頭皮料、髪洗粉、シャンプー等の洗髪料、ヘアリンス、オイルリンス、クリームリンス、ボディリンス、フェイシャルリンス等のリンス、クレンジングクリーム、洗顔クリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、洗粉等の洗顔料、パック、油性クリーム、中性クリーム、弱酸性クリーム等のクリーム、ミルクローション、スキンミルク等の乳液、乾性肌用化粧水、普通肌用化粧水、脂肌用化粧水、男性用化粧水、男性ローション、アフターシェーブローション等の化粧水、メイクアップベース、ファンデーション、おしろい、口紅、リップスティック、リップルージュ、リップグロス、リップクリーム等の口紅類、アイシャドー、アイライナー、アイクリーム、眉墨、まつげ化粧料、アイメイクアップリムーバー、アイメイクアップ、頬紅、アイブロウペンシル、アイブロウブラッシュ、マスカラ等の眉目頬化粧料、ネイルエナメル、ネイルクリーム、マニキュア、ペディキュア、エナメルリムーバー、除光液等の美爪料、香水、オーデコロン、パヒュームコロン、オードトワレ等のオーデコロン、バスソルト、バスオイル等の浴用化粧品、オリーブ油、椿油、ベビーオイル等を配合した化粧油、日焼け用化粧品、コールドクリーム、日焼けどめ化粧品、ひげそりクリーム、シェービングフォーム等のシェービングクリーム、プレシェーブ化粧品、タルカムパウダー、ボディパウダー、バスパウダー、パヒュームパウダー等の打粉等の「化粧品科学ガイドブック」(日本化粧品技術者会編、薬事日報社発行)に記載される化粧品が挙げられ、これらに分類されるものに使用してもよい。
【0058】
以下に、本発明の皮膚常在菌叢改善剤を化粧水、ヘアシャンプー又は乳液として用いる場合の処方例を例示する。
(処方例1) 化粧水
(原料名) 含量(質量%)
セロビオース 0.5%
ベタイン 1.0%
グリセリン 5.0%
1,3−ブチレングリコール 10.0%
カルボキシメチルデキストリンナトリウム 0.1%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
精製水 残余
【0059】
(処方例2) ヘアシャンプー
(原料名) 含量(質量%)
セロビオース 0.5%
ベタイン 0.5%
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム液 45.0%
ラウロイルアラニンナトリウム 12.5%
ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル 1.0%
ラウレス−1,5グリセリン 1.0%
クエン酸 0.5%
ポリクオタニウム−10 0.8%
メチルパラベン 0.2%
EDTA−2Na 0.1%
精製水 残余
【0060】
(処方例3) 乳液
(原料名) 含量(質量%)
セロビオース 1.0%
ベタイン 1.0%
グリセリン 8.0%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
スクワラン 3.0%
オリーブオイル 1.0%
オクタン酸セチル 5.0%
ステアリン酸 0.3%
ポリジメチルシロキサン 0.5%
ポリソルベート60 0.5%
モノステアリン酸グリセリル 1.0%
カルボッキシビニルポリマー 0.1%
水酸化カリウム 0.01%
精製水 残余
【0061】
医薬部外品/医薬品としては、例えば、エキス剤、懸濁剤、乳剤、酒精剤、浸剤、煎剤、チンキ剤、芳香剤、流エキス剤、液剤、エアゾール剤等の液状製剤/ガレヌス製剤、浣腸剤、洗口剤、吸入剤、湿布剤、消毒剤、耳鼻用液剤、清拭剤、注入剤、塗布剤、噴霧剤、浴剤、油脂性、乳剤性、懸濁性、水溶性、ヒドロゲル性、リオゲル性等の軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、ローション剤、リニメント剤等の外用剤、点眼剤等の「薬剤学マニュアル第二版」(南山堂発行)に記載される液剤、外用剤、点眼剤等の剤形が挙げられ、これらに分類されるものに使用してもよい。
【実施例】
【0062】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例において用いた表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌の菌数変化の測定方法について述べる。
【0063】
(菌数変化の測定方法)
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)は、下記の方法で、その数を測定した。
まず、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)をそれぞれ、普通ブイヨン培地で35℃24時間培養し、滅菌蒸留水で107/mL程度になるように希釈し、添加用菌液とする。糖類等の供試物質を、一定濃度(例えば1.0%、0.3%、0.1%)になるように滅菌蒸留水で希釈して、それぞれの希釈液9mLに、添加用菌液1mLを加えて攪拌する。この検液を卵黄加マンニット食塩寒天培地に滴下し、35℃で48時間培養後、菌数を測定する(初期値)。
また、検液を35℃に保持し、作成から1日後および2日後に同様の操作を行って、菌数測定に供した。
ブランクとして、滅菌蒸留水を用いて上記と同じ操作を行なう。
ブランクとしての菌数測定値と、糖類等の供試物質を含有した検液の菌数測定値を比較して、糖類の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に静菌効果や菌増殖効果と比較評価した。
【0064】
<表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌についての試験>
[実施例1〜6]
実施例として供試したサンプルの糖類組成、糖濃度を表1に示す。
これらのサンプルを用いて表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌について試験した結果を表2に示す。
【0065】
[比較例1〜3]
実施例1〜6と同様の試験方法で、化粧品原料として使用されるマルチトール(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例1、2、3とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表2に示す。
【0066】
[比較例4〜6]
実施例1〜6と同様の試験方法で、化粧品原料として使用されるラフィノース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例4,5,6とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表2に示す。
【0067】
[比較例7〜9]
実施例1〜6と同様の試験方法で、イソマルトオリゴ糖(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例7,8,9とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表2に示す。
【0068】
[比較例10〜12]
実施例1〜6と同様の試験方法で、グルコース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例10,11,12とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表2に示す。
【0069】
[比較例13〜15]
実施例1〜6と同様の試験方法で、マルトース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例13,14,15とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表2に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
実施例1〜6の結果より、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を含有する濃度が高いほど、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示すことがわかる。また、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては、静菌作用を示さないで、菌数を維持していることがわかる。
【0073】
比較例1〜6および10〜15では、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しても、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しても静菌作用を示さない。
比較例7〜9では、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しても、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しても、静菌作用又は増殖抑制作用を示している。
【0074】
<緑膿菌についての試験>
次に、実施例2,3,5,6と比較例2,3で用いたサンプルについて緑膿菌に対する効果を試験した。表3に、その試験結果を示す。実施例2,3,5,6より、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を含有する濃度が高いほど、有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては、静菌作用又は増殖抑制作用を示す。
比較例2,3では、有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては、静菌作用又は増殖抑制作用を示さない。
【0075】
【表3】

【0076】
<髪の感触についての試験>
次に、本発明の改善剤を髪の毛につけて乾かした後の感触(さっぱり感及び滑り感)を評価するために、上記実施例2、5及び比較例2、5、11のサンプルについて試験を行った。試験方法は次の通りである。
また、評価結果を表4に示す。
【0077】
(試験方法)
年齢28〜50歳の健常者(男4名、女3名)で、上記サンプルの水溶液3mLと蒸留水3mLを髪の毛にまんべんなくつけて、乾かした後の感触を評価した。サンプルと蒸留水は、ハーフヘッド法で評価し、試験者には前もって、試験液の内容を明らかにしなかった。また、以下の評価基準でアンケートをとった。
【0078】
(さっぱり感)
1点:さっぱり感がない
2点:ややさっぱり感がない
3点:どちらともいえない
4点:ややさっぱり感がある
5点:さっぱり感がある
※判断基準は全て蒸留水に対してのものである。
【0079】
(滑り感)
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:どちらともいえない
4点:やや良い
5点:良い
※判断基準は全て蒸留水に対してのものである。
【0080】
【表4】

【0081】
表4より、複数のグルコースがβ1−4結合した水溶性糖類を含有する試験液が、乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与することができることが判った。また、実施例2と5を比較すると、セロオリゴ糖中のセロビオース含量が高いほど、さっぱり感が良くなることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤は、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては静菌作用を示さないで、有害菌である黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌および有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示すことで、皮膚の恒常性機能を高め、荒れ肌、敏感肌、乾燥肌等のダメージ肌を改善でき、かつ乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与することができる為、化粧品、医薬部外品/医薬品分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糖がβ結合した水溶性糖類を含有する皮膚常在菌叢改善剤。
【請求項2】
前記水溶性糖類が、複数の糖がβ1−4結合した水溶性糖類であることを特徴とする請求項1記載の皮膚常在菌叢改善剤。
【請求項3】
前記糖がグルコースであり、β1−4結合がβ1−4グルコシド結合である請求項1又は2記載の皮膚常在菌叢改善剤。
【請求項4】
前記水溶性糖類が、セロビオース含量が60質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上が0.1〜40質量%からなるセロオリゴ糖である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。
【請求項5】
水溶性糖類が、表皮ブドウ球菌(Stapylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)を静菌せず、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)を静菌する請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する化粧品。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する医薬部外品。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤を含有する医薬品。

【公開番号】特開2008−50322(P2008−50322A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230413(P2006−230413)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】