皮膚感作性検定方法
【課題】被験物質の皮膚感作性の検定方法を提供すること。
【解決手段】ペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法であり、ペプチド又はたんぱく質としては、システイン残基或いはリジン残基を含むペプチドが挙げられる。
【解決手段】ペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法であり、ペプチド又はたんぱく質としては、システイン残基或いはリジン残基を含むペプチドが挙げられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験物質のペプチドとの相互作用を検出することを特徴とする皮膚感作性の検定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験物質の皮膚感作性を検出する目的においてはMaximization試験、Buehler試験、Local Lymph Node Assay(LLNA)等が実施されている。Maximization試験においてはモルモットに被験物質をFreund's Complete Adjuvantと混合して皮内投与し、1週間後に被験物質を経皮適用し、さらに2週間後に被験物質を経皮適用して紅斑、浮腫等の皮膚反応を観察する。Buehler試験においては被験物質をモルモットに週1〜3回、合計3〜10回経皮適用した後、被験物質を経皮適用して紅斑、浮腫等の皮膚反応を観察する。LLNAでは、被験物質を経皮適用した後、約1週間後にトリチウム標識したチミジンを投与してリンパ球の増殖を調べる。
これら生物学的な試験法に代わる皮膚感作性物質の検出手法として、システイン或いはリジン残基を含有するペプチド又はたんぱく質との反応を質量分析(MS)又はクロマトグラフ法とMSを結合したハイフン化技術を使用した検出方法が、Katoら、山下らにより報告されている(特許文献1〜3及び非特許文献1)また、皮膚感作性の検定方法ではないが、アレルギー性喘息を誘発する気道感作物質の検出方法としてリジン残基を含有するペプチドと反応させて反応生成物を高速液体クロマトグラフ(HPLC)で分析する方法がUrban Wassらにより報告されている(非特許文献2)。
さらに、ペプチドの代わりにヒト血清アルブミンを用いて反応生成物をHPLCで分析して、被験物質の気道感作性を検出する方法をDorothy L. Gauggelらが報告している(非特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−14761
【特許文献2】特開2003−10154
【特許文献3】特開2003−14762
【非特許文献1】The Journal of Toxicological Sciences, 2003; 28:19-24、
【非特許文献2】Scand. J. Work Environ. Health 1990; 16:208-214)。
【非特許文献3】J. Applied Toxicol. 1993; 13: 307-313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のMaximization試験、Buehler試験及びLLNAはいずれも被験物質を動物に投与し、その免疫応答を検出するものである。そのため、動物を飼育する施設が必要であり、また、最短でも約1週間の期間が必要なため多数のサンプルを検討することには適さなかった。また、動物愛護上も代替法の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような状況下、本発明者らは、低分子の被験物質とペプチドやたんぱく質などの相互作用のうち、従来の技術では検出が困難な水素結合、π-π相互作用やイオン結合などの弱い相互作用を検出することが出来れば、広く被験物質の皮膚感作性を評価できる可能性があることに着目し、例えば、弱い相互作用を検出できるエレクトロスプレイ・イオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法を用いて、被験物質とペプチド等が相互作用した複合体に相当するイオンを与えるかどうかについて検討した。その結果、皮膚感作性を示す被検物質は、ある種のペプチドと相互作用し、複合体に相当するイオンを与えること、さらには、皮膚感作性を示さない被験物質では、複合体に相当するイオンを与えないことから、皮膚感作性の有無と複合体形成能の間には相関関係があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明はペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の皮膚感作性物質の検出方法では、被験物質とペプチドやたんぱく質と共有結合を形成しない場合にも、その皮膚感作性の有無が判断出来るので非常に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるペプチド又はたんぱく質としてはシステイン又はリジン残基を1個以上含むものが挙げられる。
本発明の測定においては、被験物質又はペプチドやたんぱく質を通常、溶媒に溶かして用いる。
被験物質の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、などの有機溶媒、又はこれらの混合溶媒が用いられる。
ペプチド又はたんぱく質の溶媒としては、水又は酢酸系もしくはリン酸系などの緩衝液又はこれらと有機溶媒との混合溶媒などがあげられる。
【0007】
ペプチド又はたんぱく質及び被験物質の試料濃度としては、例えば、0.01μMから1M程度の濃度をあげることができる。より好ましくは、例えば、10mMから100mMの範囲をあげることが出来る。
【0008】
また、混合(反応)温度としては、4℃から60℃程度の範囲をあげることが出来る。より好ましくは、例えば37℃付近をあげることができる。なお、溶解に用いる溶媒及び試料濃度はペプチド又はたんぱく質及び被験物質の性質に応じて適宜選ぶことができる。
【0009】
本発明方法において、まず上記のようなペプチド又はたんぱく質を溶解した溶液と被験物質を溶解した溶液を混合して例えば、約37℃の温度で一定時間反応させ試料溶液を調製する。
このように調製された溶液を分析し、被験物質及びペプチド又はたんぱく質のピーク以外の反応生成物のピークを検出する。
【0010】
試料溶液を分析する方法としては、質量分析(MS)を用いることができる。本発明方法では、複数成分からなる試料であってもそれらが各成分の分子量が異なる場合は、試料溶液をそのままMS分析に供してもよい。
【0011】
本発明方法に用いることのできる質量分析法としてはイオン化法に、例えば、マトリクス支援レーザーイオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧イオン化(API)法、高速原子衝撃イオン化(FAB)法などを挙げることができるが、より好ましくはエレクトロスプレーイオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法をあげることができる。
【0012】
このようなイオン化法に使用可能な市販のイオン源としては、MALDI法の場合、島津/KRATOS社製 、PE バイオシステムズ社製、マイクロマス社製、Bruker Daltonics Inc.社製のものなどが挙げられる。 またESI法の場合、Thermo Electron社製、マイクロマス社製、サイエックス社製、Hewlett-Packard社製、PE バイオシステムズ社製、日本電子社製のものなどが挙げられる。
更に、CSI法の場合は、日本電子社製、Bruker Daltonics Inc.社製の装置などを挙げることができる。
【0013】
質量分析計としては、磁場型、四重極型、イオントラップ型、フーリエ変換−イオンサイクロトン共鳴型、飛行時間型の質量分析計をあげることができる。
【0014】
試料溶液を上記のようにして分析し、それぞれ被験物質、ペプチド又はたんぱく質単独の溶液の質量スペクトルを比較し、両者に認められないイオンを確認することにより、被験物質とペプチド又はたんぱく質から生成したイオンを検出することができる。
該分析に、例えば、ESI法或いはCSI法を用いると、共有結合などの化学反応を介した相互作用だけでなく、水素結合やイオン結合などの弱い相互作用による複合体についても質量分析が可能となり、質量スペクトルから得られる情報に基づいて、複合体構造等を解析し、相互作用の有無を特定することができる。
【0015】
本発明方法によって得られる質量スペクトルにおいては、複合体に相当する分子量が明瞭に認められるので、その解析が容易であり、従来法では検出が難しかった弱い相互作用によって複合体が生成したということを確認する上できわめて有利である。
【実施例】
【0016】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。測定条件は以下の通りである。
装置:日本電子社製 JMS-T100型 飛行時間型質量分析計
イオン化法:ESI 或いはCSIモード
ニードル電圧:3300V
オリフィス1:79V
リングレンズ電圧:12V
脱溶媒室温度:OFF
オリフィス1温度:OFF
スプレイヤー温度:室温
イオン源温度:−20℃から37℃
分解能:6000
反応液流量:0.5mL/hr
実施例にペプチドと被験物質を反応させ、CSI法またはESI法にて両者の複合体を検出した例を記載した。
【0017】
[実施例1](ペプチドと被験物質との反応液をCSI法で検出)
被験物質として、2−ベンゾチアゾール(MBT) を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH4、7又は9の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのグルタチオン溶液をモル比10:1、溶液容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をCSI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計をもちい、イオン化方法はCSI法にて分析した。
CSI法で分析したところ、BTZについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0018】
[実施例2]
被験物質として、1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
CSI法で分析したところ、MNNGについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0019】
[実施例3](ペプチドと被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2,4-ジニトロ-1-クロロベンゼン(DNCB)を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH7.2の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのグルタチオン溶液を容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、DNCBについてグルタチオンとの共有結合を介した複合体の形成(m/z474.09705,[GSH+DNCB-Cl]+ のイオンから確認できる)による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介した相互作用によって複合体が形成されていることが確認された。
【0020】
[実施例4](ペプチドと被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2−ベンゾチアゾール(MBT)を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH7.2の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのタフトシン(Tuftsin)溶液を容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、m/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 及び m/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ にMBTについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからタフトシンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0021】
[実施例5](タンパク質と被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2,4-ジニトロ-1-クロロベンゼン(DNCB)、1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)を用いた。
被験物質の10mg/mlのアセトン溶液と、pH7.2の0.07M 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した0.06mMの牛血清アルブミン(BSA)溶液を溶液容量比1:19の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、いずれの被験物質についてもコントロールのBSAのMSスペクトルと比較して有意な分子量の増加が観測された。この質量スペクトルからBSAと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0022】
[比較例1]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
CSI法で分析したところ、サリチル酸メチルについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。
なお、サリチル酸メチルは、皮膚感作性が認められていない。
【0023】
[比較例2]
被験物質として、フェノール(POH) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ESI法で分析したところ、フェノールについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。なお、フェノールには、皮膚感作性が認められていない。
【0024】
[比較例3]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ESI法で分析したところ、サリチル酸メチルについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。なお、サリチル酸メチルには、皮膚感作性が認められていない。
【0025】
[比較例4]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例5と同様に実施した。ESI法で分析したところ、サリチル酸メチルについては、コントロールのBSAのMSスペクトルと比較して有意な質量数の増加は観測されなかった。なお、サリチル酸メチルには、皮膚感作性が認められていない。
被験物質とグルタチオンとの反応液をCSI法で分析した結果を図2〜6に示す。
DNCBとグルタチオンとの反応液をESI法で分析した結果を図7に、MBTとタフトシンとの反応液をCSI法で分析した結果を図8〜10に、被験物質とBSAとの反応液をCSI法で分析した結果を図11〜13に示す。比較例を図14〜16に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】グルタチオン(GSH)溶液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。
【図2】2−ベンゾチアゾールとグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。図から共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)とグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。図から共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】サリチル酸メチル(MS)とグルタチオン(GSH)との反応液のCSI法によるMSスペクトル(部分拡大図)である。サリチル酸メチルとグルタチオン が複合体を形成しなかったことがわかる。
【図7】DNCBとグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のMSスペクトルである。図からDNCBについてグルタチオンとの共有結合を介した複合体の形成(m/z474.09705,[GSH+DNCB-Cl]+ のイオンから確認できる)による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介した相互作用によって複合体が形成されていることがわかる。
【図8】2−ベンゾチアゾール(MBT)とタフトシン(Tuftsin)との反応液(pH 7.3)のMSスペクトルである。m/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 及び m/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ にMBTについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからタフトシンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図9】図8のm/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 付近の部分拡大図である。
【図10】図8のm/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ の部分拡大図である。
【図11】牛血清アルブミン(BSA)溶液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。
【図12】(DNCB)と牛血清アルブミン(BSA)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していることから複合体を形成したことがわかる。
【図13】1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)と牛血清アルブミン(BSA)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していることから複合体を形成したことがわかる。
【図14】フェノール(POH)とグルタチオン(GSH)との反応液のMSスペクトルである。フェノール(POH)とグルタチオンが複合体を形成しなかったことがわかる。
【図15】サリチル酸メチル(MS)とタフトシン(Tuftsin)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトル(部分拡大図)である。図からサリチル酸メチルとTuftsinが複合体を形成しなかったことがわかる。
【図16】サリチル酸メチル(MS)と牛血清アルブミン(BSA)溶液との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していないことからサリチル酸メチルとBSAが複合体を形成しなかったことがわかる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験物質のペプチドとの相互作用を検出することを特徴とする皮膚感作性の検定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験物質の皮膚感作性を検出する目的においてはMaximization試験、Buehler試験、Local Lymph Node Assay(LLNA)等が実施されている。Maximization試験においてはモルモットに被験物質をFreund's Complete Adjuvantと混合して皮内投与し、1週間後に被験物質を経皮適用し、さらに2週間後に被験物質を経皮適用して紅斑、浮腫等の皮膚反応を観察する。Buehler試験においては被験物質をモルモットに週1〜3回、合計3〜10回経皮適用した後、被験物質を経皮適用して紅斑、浮腫等の皮膚反応を観察する。LLNAでは、被験物質を経皮適用した後、約1週間後にトリチウム標識したチミジンを投与してリンパ球の増殖を調べる。
これら生物学的な試験法に代わる皮膚感作性物質の検出手法として、システイン或いはリジン残基を含有するペプチド又はたんぱく質との反応を質量分析(MS)又はクロマトグラフ法とMSを結合したハイフン化技術を使用した検出方法が、Katoら、山下らにより報告されている(特許文献1〜3及び非特許文献1)また、皮膚感作性の検定方法ではないが、アレルギー性喘息を誘発する気道感作物質の検出方法としてリジン残基を含有するペプチドと反応させて反応生成物を高速液体クロマトグラフ(HPLC)で分析する方法がUrban Wassらにより報告されている(非特許文献2)。
さらに、ペプチドの代わりにヒト血清アルブミンを用いて反応生成物をHPLCで分析して、被験物質の気道感作性を検出する方法をDorothy L. Gauggelらが報告している(非特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−14761
【特許文献2】特開2003−10154
【特許文献3】特開2003−14762
【非特許文献1】The Journal of Toxicological Sciences, 2003; 28:19-24、
【非特許文献2】Scand. J. Work Environ. Health 1990; 16:208-214)。
【非特許文献3】J. Applied Toxicol. 1993; 13: 307-313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のMaximization試験、Buehler試験及びLLNAはいずれも被験物質を動物に投与し、その免疫応答を検出するものである。そのため、動物を飼育する施設が必要であり、また、最短でも約1週間の期間が必要なため多数のサンプルを検討することには適さなかった。また、動物愛護上も代替法の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような状況下、本発明者らは、低分子の被験物質とペプチドやたんぱく質などの相互作用のうち、従来の技術では検出が困難な水素結合、π-π相互作用やイオン結合などの弱い相互作用を検出することが出来れば、広く被験物質の皮膚感作性を評価できる可能性があることに着目し、例えば、弱い相互作用を検出できるエレクトロスプレイ・イオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法を用いて、被験物質とペプチド等が相互作用した複合体に相当するイオンを与えるかどうかについて検討した。その結果、皮膚感作性を示す被検物質は、ある種のペプチドと相互作用し、複合体に相当するイオンを与えること、さらには、皮膚感作性を示さない被験物質では、複合体に相当するイオンを与えないことから、皮膚感作性の有無と複合体形成能の間には相関関係があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明はペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の皮膚感作性物質の検出方法では、被験物質とペプチドやたんぱく質と共有結合を形成しない場合にも、その皮膚感作性の有無が判断出来るので非常に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるペプチド又はたんぱく質としてはシステイン又はリジン残基を1個以上含むものが挙げられる。
本発明の測定においては、被験物質又はペプチドやたんぱく質を通常、溶媒に溶かして用いる。
被験物質の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、などの有機溶媒、又はこれらの混合溶媒が用いられる。
ペプチド又はたんぱく質の溶媒としては、水又は酢酸系もしくはリン酸系などの緩衝液又はこれらと有機溶媒との混合溶媒などがあげられる。
【0007】
ペプチド又はたんぱく質及び被験物質の試料濃度としては、例えば、0.01μMから1M程度の濃度をあげることができる。より好ましくは、例えば、10mMから100mMの範囲をあげることが出来る。
【0008】
また、混合(反応)温度としては、4℃から60℃程度の範囲をあげることが出来る。より好ましくは、例えば37℃付近をあげることができる。なお、溶解に用いる溶媒及び試料濃度はペプチド又はたんぱく質及び被験物質の性質に応じて適宜選ぶことができる。
【0009】
本発明方法において、まず上記のようなペプチド又はたんぱく質を溶解した溶液と被験物質を溶解した溶液を混合して例えば、約37℃の温度で一定時間反応させ試料溶液を調製する。
このように調製された溶液を分析し、被験物質及びペプチド又はたんぱく質のピーク以外の反応生成物のピークを検出する。
【0010】
試料溶液を分析する方法としては、質量分析(MS)を用いることができる。本発明方法では、複数成分からなる試料であってもそれらが各成分の分子量が異なる場合は、試料溶液をそのままMS分析に供してもよい。
【0011】
本発明方法に用いることのできる質量分析法としてはイオン化法に、例えば、マトリクス支援レーザーイオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧イオン化(API)法、高速原子衝撃イオン化(FAB)法などを挙げることができるが、より好ましくはエレクトロスプレーイオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法をあげることができる。
【0012】
このようなイオン化法に使用可能な市販のイオン源としては、MALDI法の場合、島津/KRATOS社製 、PE バイオシステムズ社製、マイクロマス社製、Bruker Daltonics Inc.社製のものなどが挙げられる。 またESI法の場合、Thermo Electron社製、マイクロマス社製、サイエックス社製、Hewlett-Packard社製、PE バイオシステムズ社製、日本電子社製のものなどが挙げられる。
更に、CSI法の場合は、日本電子社製、Bruker Daltonics Inc.社製の装置などを挙げることができる。
【0013】
質量分析計としては、磁場型、四重極型、イオントラップ型、フーリエ変換−イオンサイクロトン共鳴型、飛行時間型の質量分析計をあげることができる。
【0014】
試料溶液を上記のようにして分析し、それぞれ被験物質、ペプチド又はたんぱく質単独の溶液の質量スペクトルを比較し、両者に認められないイオンを確認することにより、被験物質とペプチド又はたんぱく質から生成したイオンを検出することができる。
該分析に、例えば、ESI法或いはCSI法を用いると、共有結合などの化学反応を介した相互作用だけでなく、水素結合やイオン結合などの弱い相互作用による複合体についても質量分析が可能となり、質量スペクトルから得られる情報に基づいて、複合体構造等を解析し、相互作用の有無を特定することができる。
【0015】
本発明方法によって得られる質量スペクトルにおいては、複合体に相当する分子量が明瞭に認められるので、その解析が容易であり、従来法では検出が難しかった弱い相互作用によって複合体が生成したということを確認する上できわめて有利である。
【実施例】
【0016】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。測定条件は以下の通りである。
装置:日本電子社製 JMS-T100型 飛行時間型質量分析計
イオン化法:ESI 或いはCSIモード
ニードル電圧:3300V
オリフィス1:79V
リングレンズ電圧:12V
脱溶媒室温度:OFF
オリフィス1温度:OFF
スプレイヤー温度:室温
イオン源温度:−20℃から37℃
分解能:6000
反応液流量:0.5mL/hr
実施例にペプチドと被験物質を反応させ、CSI法またはESI法にて両者の複合体を検出した例を記載した。
【0017】
[実施例1](ペプチドと被験物質との反応液をCSI法で検出)
被験物質として、2−ベンゾチアゾール(MBT) を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH4、7又は9の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのグルタチオン溶液をモル比10:1、溶液容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をCSI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計をもちい、イオン化方法はCSI法にて分析した。
CSI法で分析したところ、BTZについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0018】
[実施例2]
被験物質として、1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
CSI法で分析したところ、MNNGについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0019】
[実施例3](ペプチドと被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2,4-ジニトロ-1-クロロベンゼン(DNCB)を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH7.2の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのグルタチオン溶液を容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、DNCBについてグルタチオンとの共有結合を介した複合体の形成(m/z474.09705,[GSH+DNCB-Cl]+ のイオンから確認できる)による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介した相互作用によって複合体が形成されていることが確認された。
【0020】
[実施例4](ペプチドと被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2−ベンゾチアゾール(MBT)を用いた。
被験物質の10mMのメタノール溶液と、pH7.2の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した1mMのタフトシン(Tuftsin)溶液を容量比1:1の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、m/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 及び m/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ にMBTについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからタフトシンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0021】
[実施例5](タンパク質と被験物質との反応液をESI法で検出)
被験物質として、2,4-ジニトロ-1-クロロベンゼン(DNCB)、1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)を用いた。
被験物質の10mg/mlのアセトン溶液と、pH7.2の0.07M 酢酸アンモニウム緩衝液に溶解した0.06mMの牛血清アルブミン(BSA)溶液を溶液容量比1:19の割合にて混合し、37℃で1時間インキュベート後、反応液をESI法にて分析した。MSは日本電子社製 JMS-T100型質量分析計を用い、イオン化方法はESI法にて分析した。
ESI法で分析したところ、いずれの被験物質についてもコントロールのBSAのMSスペクトルと比較して有意な分子量の増加が観測された。この質量スペクトルからBSAと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したと考えられる。
【0022】
[比較例1]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
CSI法で分析したところ、サリチル酸メチルについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。
なお、サリチル酸メチルは、皮膚感作性が認められていない。
【0023】
[比較例2]
被験物質として、フェノール(POH) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ESI法で分析したところ、フェノールについてグルタチオンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。なお、フェノールには、皮膚感作性が認められていない。
【0024】
[比較例3]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ESI法で分析したところ、サリチル酸メチルについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンは検出されなかった。なお、サリチル酸メチルには、皮膚感作性が認められていない。
【0025】
[比較例4]
被験物質として、サリチル酸メチル(MS) を用いた以外は、実施例5と同様に実施した。ESI法で分析したところ、サリチル酸メチルについては、コントロールのBSAのMSスペクトルと比較して有意な質量数の増加は観測されなかった。なお、サリチル酸メチルには、皮膚感作性が認められていない。
被験物質とグルタチオンとの反応液をCSI法で分析した結果を図2〜6に示す。
DNCBとグルタチオンとの反応液をESI法で分析した結果を図7に、MBTとタフトシンとの反応液をCSI法で分析した結果を図8〜10に、被験物質とBSAとの反応液をCSI法で分析した結果を図11〜13に示す。比較例を図14〜16に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】グルタチオン(GSH)溶液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。
【図2】2−ベンゾチアゾールとグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。図から共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)とグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のCSI法によるMSスペクトルである。図から共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】サリチル酸メチル(MS)とグルタチオン(GSH)との反応液のCSI法によるMSスペクトル(部分拡大図)である。サリチル酸メチルとグルタチオン が複合体を形成しなかったことがわかる。
【図7】DNCBとグルタチオン(GSH)との反応液(pH 7.3)のMSスペクトルである。図からDNCBについてグルタチオンとの共有結合を介した複合体の形成(m/z474.09705,[GSH+DNCB-Cl]+ のイオンから確認できる)による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからグルタチオンと被験物質が共有結合を介した相互作用によって複合体が形成されていることがわかる。
【図8】2−ベンゾチアゾール(MBT)とタフトシン(Tuftsin)との反応液(pH 7.3)のMSスペクトルである。m/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 及び m/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ にMBTについてタフトシンとの化学反応を介しない複合体の形成による新たなイオンが検出され、この質量スペクトルからタフトシンと被験物質が共有結合を介しない弱い相互作用によって複合体を形成したことがわかる。
【図9】図8のm/z668.65960 [Tuftsin+MBT+H]+ 付近の部分拡大図である。
【図10】図8のm/z 752.17608 [2Tuftsin+3MBT+2H]2+ の部分拡大図である。
【図11】牛血清アルブミン(BSA)溶液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。
【図12】(DNCB)と牛血清アルブミン(BSA)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していることから複合体を形成したことがわかる。
【図13】1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)と牛血清アルブミン(BSA)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していることから複合体を形成したことがわかる。
【図14】フェノール(POH)とグルタチオン(GSH)との反応液のMSスペクトルである。フェノール(POH)とグルタチオンが複合体を形成しなかったことがわかる。
【図15】サリチル酸メチル(MS)とタフトシン(Tuftsin)との反応液(pH 7.2)のMSスペクトル(部分拡大図)である。図からサリチル酸メチルとTuftsinが複合体を形成しなかったことがわかる。
【図16】サリチル酸メチル(MS)と牛血清アルブミン(BSA)溶液との反応液(pH 7.2)のMSスペクトルのうち、一番強度の高い16価イオンの部分を拡大したスペクトルである。図からコントロールのBSAのスペクトルに比べて分子量が増加していないことからサリチル酸メチルとBSAが複合体を形成しなかったことがわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法。
【請求項2】
ペプチド又はたんぱく質が、システイン残基或いはリジン残基を含むペプチドである請求項1に記載の検定方法。
【請求項3】
質量分析(MS)法が、エレクトロスプレイ・イオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法である請求項1又は2に記載の検定方法。
【請求項1】
ペプチド又はたんぱく質と被験物質を混合し一定時間反応させた後、混合物を質量分析(MS)法を用いて、それらの相互作用の有無を測定することを特徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法。
【請求項2】
ペプチド又はたんぱく質が、システイン残基或いはリジン残基を含むペプチドである請求項1に記載の検定方法。
【請求項3】
質量分析(MS)法が、エレクトロスプレイ・イオン化(ESI)法 或いはコールド・スプレイ・イオン化(CSI)法である請求項1又は2に記載の検定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−139275(P2008−139275A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27701(P2007−27701)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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