説明

皮膚接着性ヒドロゲル

非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、キトサン誘導体、および水溶性多官能アミン含有ポリマーから選択された3つの成分のうちの少なくとも2つの組合わせを、様々な比において含んでいるヒドロゲル組成物が開示されている。これらのヒドロゲルは、空洞充填傷包帯材、火傷包帯材、薬品送達系、美容マスク、導電性電極、プロテーゼ、およびラップとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、およびキトサン誘導体もしくはポリエチレンイミンゲルを用いたゲル形成の分野に関する。このようなゲルは、傷包帯材、歯科用および局所麻酔用の製薬ヒドロゲルとして用いることができる。これらのゲルは柔軟で、輪郭に適合させることができ(contour−conforming)、これらは、多様なほかの用途に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
ポリ(N−ビニルラクタム)、例えばポリビニルピロリドン(PVP)は、例えば医薬品、あるいくつかの型のフィルム、およびいくつかの化粧品、および紙印刷産業において用いられてきた。
【0003】
キトサンは、脱アセチル化キチンであり、脱アセチル化N−アセチル−D−グルコサミンの線状多糖類である。キトサンは、水および工業廃水ストリームから重金属を吸収するため、および写真エマルジョンにおける染色助剤として、油っぽい顔から脂肪またはグリースを吸収するための化粧品として、および消化器系から脂肪または油をキレートするための重量制御成分として用いられてきた。キトサン誘導体はまた、米国特許第4,134,412号および第4,202,881号に記載されているように、酸で中和されたとき、化粧品、およびヘアセットローションおよびシャンプーにおけるコンディショニング剤においても用いられてきた。ポリエチレンイミンは、酵素調製物の固定化における固定剤として、食品包装品目のラミネーションまたはシール、水性および脂肪食品および乾燥食品と接触している紙および厚紙用のシール手段、食品の包装用に用いられるかまたは再生セルロースシート中に含浸されたセロファンの下塗りとして用いることができる。
【0004】
ポリビニルピロリドンは、ポリウレタンと錯体を形成し、親水性ブレンドまたは複合プラスチックを生じることが知られている。米国特許第4,646,730号は、PVPを架橋してゲルを形成するために、電子ビーム照射が必要とされるPVP/銀スルファジアジンヒドロゲル包帯材について記載している。さらには、マグネシウムトリシリケート、過酸化水素、および/またはポリアクリル酸が、色彩安定化のために添加される。
【0005】
本明細書において用いられている、ポリ(N−ビニルラクタム)ポリマーに関する「酸性」という用語は、酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量超であることを意味し、ポリ(N−ビニルラクタム)ポリマーに関する「非酸性」という用語は、酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量(以後「m.e.」)未満であることを意味する。
【0006】
米国特許第5,420,197号および第5,258,421号は、PVPのK値が少なくとも60である、酸性(酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量(以後「m.e.」)超である)ポリ(N−ビニルラクタム)−キトサン誘導体ゲルについて記載している。米国特許第6,379,702号は、酸性PVPが60未満のK値を有する酸性ポリ(N−ビニルラクタム)−キトサン誘導体ゲルについて記載している。米国特許第5,306,504号は、PVPのK値が少なくとも50である、酸性ポリ(N−ビニルラクタム)−ポリエチレンイミンゲルについて記載している。これらの特許において、酸性(上で規定されている)開環ピロリドン基の概念が、これらの吸収性ゲルを得るために利用された。酸性開環ピロリドン基を製造するための非酸性(酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量未満である)PVPの熱処理が、これらの特許に記載された。高価な設備、開環のための熱処理、および/または加工処理の不存在下における皮膚接着性ゲルの製造に利点があるであろうことは明らかである。ポリ(N−ビニルラクタム)ベースのゲルを開示しているほかの特許は、米国特許第5,645,855号(開環)および米国特許第6,365,664号(アルデヒドグラフト化PVP)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドライソケットは、この状態を有する不運な患者にとって最もつらい経験である。ドライソケットは、治癒しつつある凝血塊が、抜歯部位から時期尚早に除去されてしまった状態である。残留するソケットまたは歯槽は、不快な温度および刺激物質、例えば飲料または冷気に暴露された、感受性が高い骨壁のみを有する。この病気に対する米国における現在の治療は、このソケットを生理食塩水ですすぎ、ついでこのソケット中に鎮静包帯材を入れることである。この鎮静包帯材は、滅菌ガーゼ型材料であるか、またはユージノールまたはなんらかのほかの豊富な医薬でコーティングされた滅菌ゲルフォームであってもよい。この治療モダリティーの目的は、二重である。第一の目的は、ソケットの骨壁中に見られる暴露された神経にともなう不快感を緩和することである。この医薬は通常、この部位の感度を減じ、患者に苦痛の軽減を与える何からの化学薬品を含有する。この薬用ガーゼの第二の目的は、患者自身の唾液からのこの区域の絶え間ないすすぎ洗いから、このソケットの自然の治癒を保護することである。この保護によって、細胞を、邪魔されることなくソケット中に移動させ、二次的治癒を開始させることができる。大部分の教科書は、3日後のガーゼの除去および取替えを推奨している。したがって現在の治療は、もとの治療後、歯医者への1回ではなく2回のつらい通院を必要とすることがある。
【0008】
ドライソケットは、米国ではまったく普通に発生する。第三臼歯の抜歯全体の約30%が、ドライソケットの診断とともに戻って来る。この数は、高度な訓練を受けた口腔外科医院で発生する抜歯の結果である。非第三臼歯の抜歯後のドライソケットの発症率は、30%もの高さではないが、大部分の歯科医院での普通の発生となるのに十分なほど高い。この問題は、患者の側におけるノンコンプライアンスによって悪化する。多くの患者は、あまりに激しくすすぐか、煙草を吸うか、または抜歯後にアルコール飲料を用いる。これらの行動は、ドライソケットの症例の多くの原因になる。米国における患者は、手ごろな価格の痛みのない歯科および医療業務に依存するようになっている。
【0009】
したがって、より少ない段階または歯科通院をともなう、歯のドライソケットのより効率的で、より苦痛の少ない治療が望まれる。傷がこれ自体で治るように、ドライソケットの部位に一時的な「人工的凝血塊」を作り出すことは、歯のドライソケットの治療における歓迎すべき進歩であろう。人工的凝血塊は、このソケットの一時的保護を与え、この部位の細胞成長がこれ自体で完全になるような時点まで、自然治癒の開始を与えるのに十分なほど長くとどまる。このような人工的凝血塊のもう1つの利点はまた、暴露された骨に対して鎮静作用を与えることであろう。したがってこの製品は、急性の痛みからの軽減を与えるのに十分なほど長く作用し、かつ24から48時間の時間枠の間、口腔内に留まるのに十分なほど安全であるような、かなり強い鎮痛作用を有すべきである。
【0010】
ピロリドン基の開環のために熱処理を必要としない非酸性(酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量未満である)ポリビニルピロリドンをベースとする、改良された皮膚接着性ヒドロゲル組成物を提供することが、本発明の主要な目的である。
【0011】
調製における開環のためにイオン化照射または熱処理の使用を必要としない、イミン(例えばポリエチレンイミン)およびカルボキシル(例えばカルボキシメチルキトサン)基の水素結合をベースとする皮膚接着性ヒドロゲルを提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0012】
ほかの局所麻酔薬よりも優れたあるいくつかの利点を有する、歯科および局所麻酔ヒドロゲル配合物を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【0013】
多様な製品、例えば空洞包帯材、薬品送達パッチ、フェイスマスク、傷包帯材、およびプロテーゼなどに用いられることになる、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)およびキトサン誘導体またはアミン含有ポリマーを用いたゲルを提供することが、さらにもう1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の概要)
本発明は、皮膚接着性ヒドロゲル組成物、および歯のドライソケット状態などの損傷の治癒を促進するのを助けるというこれらの重要な目的を果たすこのような組成物を用い、同時に多くのほかの体の傷の治療を与える治療方法である。本発明は、歯科および医薬品販売業者に、標準的ガーゼ充填治療への、より苦痛の少ない代替治療を患者に与える組成物を供給する。
【0015】
この発明の皮膚接着性組成物は、(1)30またはそれ以上のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、(2)水溶性多官能アミン含有ポリマーおよびこの混合物、または(3)キトサン誘導体もしくはこの混合物の、2つまたはそれ以上の混合物から形成されたゲルを含んでいる。
【0016】
本発明の典型的な第一皮膚接着性治療用ヒドロゲル組成物は、次のものの混合物を含んでいる:
1.水溶性多官能アミン含有ポリマー;
2.30またはそれ以上のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム);
3.可塑剤、保湿剤、薬品、またはほかの生物効果的な、もしくは体の治療用の材料をともなって、またはともなわずに。
【0017】
典型的な第二ゲル系組成物は、次のものの混合物を含んでいる:
1.水溶性多官能アミン含有ポリマー;
2.キトサン誘導体;
3.皮膚接着性または美容用ヒドロゲルを形成する、可塑剤、保湿剤、薬品、またはほかの生物効果的な、もしくは体の治療用の材料をともなって、またはともなわずに。
【0018】
典型的な第三ゲル系組成物は、次のものの混合物を含んでいる:
1.30またはそれ以上のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム);
2.キトサン誘導体;
3.可塑剤、保湿剤、薬品、またはほかの生物効果的な、もしくは体の治療用の材料をともなって、またはともなわずに。
【0019】
皮膚接着性治療用または美容用ヒドロゲルが形成された。
【0020】
この発明の組成物の好ましいが非限定的な用途は、空洞充填性の傷包帯材、火傷包帯材、薬品送達系、美容マスク、導電性電極、プロテーゼ、およびラップなどである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、例えばポリビニルピロリドン(PVP)は、酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量未満である場合、約7のpHを示すことが発見された。このようなポリマーは、キトサン誘導体またはアミン含有ポリマーとともに親水性ゲルを形成する。このアミン含有ポリマーはまた、キトサン誘導体とともにゲルを形成しうる。これらのゲルは柔軟性があり、透明または半透明であり、単独で、または様々な添加剤とともに用いることができる。これらのゲルは、ゲルの高い吸収能力、および親水性ゲルの一部として水の高い熱容量および輸送能力を利用することができる場合、空洞充填、傷および火傷包帯材、薬品送達系、プロテーゼ、美容マスクおよび爪ラップ、およびほかの用途のために用いることができる。これらのゲルは、粘着性品質または非粘着性品質を有してもよい。歯科および/または局部的局所麻酔ゲルを製造するために、麻酔薬をこのヒドロゲル系中に統合することができる。
【0022】
市販されている非酸性(pHは、酸性度がポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量未満である場合、約7である)ポリ(N−ビニルラクタム)は、30から120のK値を有する。このK値は、動粘度を表わす。これは、重力の影響下流体の抵抗流の尺度である。このK値は、粘度測定に由来し、Kline,G.M.「ポリビニルピロリドン」、モダン・プラスチックス、157ページ(1945年11月)によって記載されたEikentscherの式にしたがって計算され、これはまた、ジェネラル・アニリン・アンド・フィルム・コーポレーション(General Aniline & Film Corporation)のテクニカル・ブリティン7583−033にも記載されている。K値は、分子量の関数である。
【0023】
本明細書において用いられている用語のポリ(N−ビニルラクタム)は、N−ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルブチロラクタム、N−ビニルカプロラクタムなど、ならびにN−ビニルラムタムと共重合しうるほかのビニルモノマーの混合物の1つの少量、例えば約50重量%までを用いて調製された前記のものを意味する。ポリ(N−ビニルラクタム)のコポリマーまたはターポリマーは、N−ビニルラクタムモノマー、例えばビニル官能基、例えばアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸もしくはメタクリル酸、およびアクリルアミドを含有するモノマーと共重合されたビニルピロリドンを含んでいてもよい。ポリ(N−ビニルラクタム)ホモポリマーのうち、ポリビニルピロリドン(PVP)ホモポリマーが好ましい。ポリ(N−ビニルラクタム)コポリマーのうち、ビニルピロリドンおよびアクリルアミドコポリマーが好ましい。ポリ(N−ビニルラクタム)ターポリマーのうち、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノエチルメタクリレートターポリマーが好ましい。多様なポリビニルピロリドンが市販されている。
【0024】
この発明の非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)ポリマーの開環が省かれることは、この発明の顕著な利点である。先行技術とは対照的に、この発明によれば、安定で有用なヒドロゲルが、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)ポリマーを用いて提供され、このようにして、ヒドロゲルの生産のさらなる節約を与える。
【0025】
天然産物であるキトサンは、キチンに由来する。キチンは、ベータ−1,4結合によって結合されたN−アセチル−N−グルコサミン単位の非分岐線状多糖類である。これは、C−2上のヒドロキシル基が、N−アセチルアミノ基−NHCOCHによって置換されているグルコースのポリマーである。キトサン中にアセチル基は存在しない。したがってキトサンは、脱アセチル化キチンである。キトサンは、約7%の窒素を含有し、構造的にはセルロースと類似である。キチンは、自然状態では、節足動物、例えばカニ、ロブスター、およびエビの外骨格に発生する。キチンは、これらの源から、鉱酸での炭酸カルシウムの溶解およびタンパク質の除去後、非晶質粉末またはフレークとして得ることができる。これはまた、いくつかの菌類、藻類、および酵母中にも見られる。
【0026】
キトサンは、酸でプロトン化されたとき、水中に可溶になる。このようにして形成されたポリマーは、正荷電されており、したがって負荷電表面、例えば皮膚および毛髪と相互作用する可能性がより高い。
【0027】
キトサン誘導体は、市販されている。例えばピロリドンカルボン酸で中和されたキトサン、キトサンのカルボキシメチルナトリウム塩、グルタミン酸で中和されたキトサン、N,O−カルボキシメチルキトサンなどである。この発明に適したキトサン誘導体は、キトサンの生物学的適合性の塩、例えばピロリドンカルボン酸、グルタミン酸、酢酸塩、N,O−カルボキシメチルキトサン、およびN,O−カルボキシブチルキトサンなどを有するものである。
【0028】
この多官能アミン含有ポリマーは、塩基性アミン基を含有する水溶性ポリマーである。この例は、ポリエチレンイミン、アミン末端ポリ酸化エチレンポリマー、アミン末端ポリエチレン/ポリ酸化プロピレンポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマーなどである。
【0029】
ゲルは、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、例えばポリビニルピロリドンを水溶液中に溶解し、ついでキトサン誘導体またはアミン含有ポリマーの水溶液を、十分な攪拌をともなって添加し、均質な混合物を得ることによって調製することができる。ゲル調製に用いられる溶媒は、好ましくは実質的に水性である。例えばこれらのゲルは、水中またはヒドロアルコール、例えば水/イソプロピルアルコール、または水/エタノール、または水/ポリエチレングリコールなどの中で調製することができる。このゲルはまた、キトサン誘導体を水溶液中に溶解し、ついでアミン含有ポリマーの水溶液を十分な攪拌を行ないながら添加して、均質混合物を得ることによって調製することができる。ゲル形成は、この場合、この発明のほかの実施態様を用いるよりもあまり迅速でなく形成されうる。
【0030】
非酸性(酸性度が、ポリマー1gあたりカルボン酸基1.4×10−2ミリ当量未満である)PVP対多官能アミン含有またはキトサン誘導体ポリマーの割合は、広く様々であってもよい。一般に、PVP/ポリエチレンイミンゲルについてのこの重量割合は、2/1から約80/1である。同様に、PVP/キトサン誘導体ゲルについての割合は一般に、2/1から約100/1である。キトサン誘導体対多官能アミン含有ポリマーゲルの重量割合は一般に、50/1から1/50である。総ポリマー濃度、ならびにゲルが製造される2つのポリマー成分の比は、ゲルのコンシステンシーに対してある効果を示し、これはより低い濃度においてより柔らかくなる。このゲルは、約5から約95重量%固体、好ましくは約8重量%から約35重量%固体の範囲の総ポリマー含量を用いて製造することができる。このブレンドは、数秒から数時間の間硬化させておいてもよい。硬化のための時間および温度は、決定的でない。便宜上、周囲温度を用いてもよいが、時間は、高温において短縮することができる。約40から約100℃の範囲の高温は、乾燥のためのみならず、ゲルを硬化するための時間を短縮するためにも有用であることが発見された。
【0031】
これらのゲルは安定であり、多量の液体を吸収した後、これらの物理的一体性を維持する。これらのゲルは、照射滅菌、オートクレーブによって滅菌することができるか、または酸化エチレンへ暴露することができる。これらのゲルは親水性であり、これらの乾燥重量の何倍もの水を吸収しうる。これらのゲルが形成されるメカニズムの正確な性質は公知でなく、理論によって縛られるような意図もないが、これは、アミンとゲル混合物のカルボキシル基との間の水素およびイオン結合によって引き起こされると考えられる。
【0032】
当分野において公知である湿潤剤、分散剤、または界面活性剤が添加されてもよい。0から50重量%、好ましくは約5から40重量%の量にあるグリセリンが、このゲルに対する乾燥後、粘着性、柔軟性を増すためにゲルに添加されてもよい。プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールもまた、添加されてもよい。
【0033】
ゲル形成を妨げないかぎり、ほかの添加剤が、この発明のヒドロゲルと組合わされてもよい。これには、有機塩、無機塩、アルコール、アミン、ポリマーラチス、充填剤、界面活性剤、顔料、染料、香料などが含まれる。これらの材料の多くは、このゲルから放出されうる。
【0034】
本発明のゲルは特に、ヒトまたは非ヒト動物に対する治癒的または治療的価値を有する、広い範囲の医薬的に許容される、放出可能な生物学的に活性な作用物質のためのキャリヤーとして特に有用である。本発明のゲル中への組込みに適した生物学的に活性な材料の中には、睡眠薬、鎮静剤(sedatives)、精神安定剤、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、鎮痛剤(analgesics)、解熱剤、抗炎症薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、交感神経作用薬、心臓血管作動薬、および抗腫瘍剤などが含まれる。特に生物学的に活性な添加剤は、ニトログリセリン、スコポラミン、ピロカルピン、エルゴタミンタルトレート、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、抗菌テトラサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、トリクロサン、ナトリウムセファゾリン、銀スルファジアジン、サリチレート、例えばメチルサリチレートおよびサリチル酸、ニコチネート、例えばメチルニコチネート、メントール、カプシカム、およびベンゾカインである。水和剤、例えばナトリウムピロリドンカルボン酸が添加されてもよい。ゲル中の多量の水も、皮膚に対して水和機能を果たしうる。
【0035】
本発明のゲルは、傷または火傷包帯材またはパッキンまたは充填、皮膚マスクまたはラップ、薬品送達パッチ、人工補装具、インプラント、およびドライフィルム製品などを吸着性にするために用いることができる。可塑剤および界面活性剤のゲル中への組込みに加えて、このゲルは、殺菌剤、例えばクロルヘキシジングルコネート、銀もしくは銅化合物、または抗生物質もしくは抗菌薬を含有してもよい。このゲルはまた、傷からの浸透性汲み上げを防ぐために、塩化ナトリウム、または塩化カリウム、または重炭酸ナトリウム、または生理食塩水に合わせるためのほかの塩、ならびに組織の再成長を促進するための作用物質を含有してもよい。
【0036】
心電図電極、経皮的電気神経刺激電極、電気外科装置電極、バイオフィードバック電極、およびイオン泳動法(iontophoresis)薬品送達電極、および除細動パッドの取り付けにおける使用のためにゲルを導電性にするため、電解質塩がこのゲル中に含まれてもよい。塩化ナトリウム、塩化カリウム、および酢酸マグネシウムが、適切な電解質塩の例である。
【0037】
本発明のヒドロゲルは、この高い水含量のために、皮膚を水和し、美容用途のための冷却効果を与えるために用いられてもよい。皮膚保湿剤、例えばナトリウムピロリドンカルボキシレート、乳酸、ヒアルロン酸、および加水分解されたコラーゲン、防腐剤、例えばブチル化トルエン、着色料および臭気剤、およびほかの作用物質の添加は、皮膚に対してさらなる作用を与えうる。
【0038】
これらのゲルは、生物学的に適合性であり、傷の空洞部への適合が可能であり、傷に非接着であり、浸出液を吸収することができ、傷からワン・ピースとして除去することができ、浸出液で膨潤されたときにこの物理的一体性を保持し、取扱いにおける比較的な容易さを与える。このゲルは、優れた水和能力を有し、フェイスマスクとして用いられるとき、容易に除去し、きれいに取り除くことができる。このゲルは、水で濡れたときに皮膚に接着する、柔軟性のある透明な親水性フィルムにすることができる。このフィルムは、残渣を残すことなく、一定の時間後、容易に剥がし取ることができる。
【0039】
これらのゲルはこれ自体、鋳型において、使用前に湿潤されることになるドライフィルム形態に、または使用前にこの発明にしたがった混合を必要とする2成分系として包装することができるか、または支持体上に備えられてもよく、ロール素材として剥離ライナーで覆われてもよく、この剥離ライナーは、皮膚への適用前に除去することができる。このゲルは、当分野において公知のあらゆる手段によって、無限に多様な裏打ちまたは支持体上にコーティングされてもよく、または広げられてもよい。所望の性質への支持体の選択、例えば強化、気体および液体バリヤー、空気透過性、治療部位の保護または選択などは、当業者に公知である。
【0040】
これらのゲルは、美容調製物、例えばフェイスマスクおよび爪/関節ラップに用いることができる。このゲルは、裏打ちをともなってまたはともなわずに水和機能を果たし、美容効果が、ほかの成分の組込みをともなって増強されてもよい。美容ゲル用キットは、既製ゲル、または2つの成分、例えばポリ(N−ビニルラクタム)成分およびキトサン誘導体、またはアミン含有ポリマー成分を含んでいてもよい。ほかの美容剤、例えば水和剤、香料、および皮膚栄養分なども、既製ゲルへ、または両方の成分へ、または第三成分として供給される。使用のためには、これらの成分は混合されて塗布されてもよい。このゲルは、使用後に容易に剥がし取ることができる。美容用途は、身体的外見を向上または改良することが意図されている。
【0041】
歯科および/または局所麻酔用途において、このヒドロゲルは、リドカイン、またはベンゾカイン、またはユージノールなどを約1から30重量%、好ましくは2から20重量%、および水性非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)溶液およびアミン含有ポリマー(例えばポリエチレンイミン)を約80/1から約2/1、好ましくは約30/1から約5/1の比で含んでいる。この混合物へ、保湿剤約0から50重量%、好ましくは5から25重量%、および防腐剤約0から4重量%、好ましくは0.01から2重量%が添加され、約3から90重量%総固体濃度、好ましくは約10から約70重量%総固体濃度でブレンドを形成する。この混合物を、ゲルが形成されるまで、硬化させておく。
【0042】
これに代わる歯科および/または局所麻酔塗布薬は、次のもの:
(a)適切な局所麻酔薬、例えばリドカイン、ベンゾカイン、またはユージノールなど約1から約30重量%、好ましくは約2から約20重量%;
(b)非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)溶液およびアミン含有ポリマー(例えばキトサン誘導体)約80/1から約2/1、好ましくは約30/1から約5/1の水性混合物;
(c)保湿剤および可塑剤約0から約50重量%、好ましくは5から25重量%;および
(d)防腐剤約0から約4重量%、好ましくは0.01から2重量%
を含み、約3から90重量%総固体濃度、好ましくは約10から約70重量%総固体濃度でブレンドを形成する。この混合物を、ゲルが形成されるまで、硬化させておく。
【0043】
次の実施例は、本発明を例証するものであって、これを限定するものではない。
【実施例1】
【0044】
pH7における非酸性K60PVPの35重量%水溶液50グラムを、ポリエチレンイミンの10重量%水溶液20グラムと混合した。ゲルが直ちに形成された。
【実施例2】
【0045】
pH7における非酸性K60PVPの35重量%水溶液50グラムを、2重量%カルボキシメチルキトサン水溶液50グラムと混合した。ゲルが60秒後に形成される。
【実施例3】
【0046】
ポリエチレンイミンの2.4重量%水溶液50グラムを、カルボキシメチルキトサンの2重量%水溶液50グラムと混合した。ゲルが20分以内に形成された。
【実施例4】
【0047】
ポリエチレンイミンの0.6重量%水溶液50グラムを、カルボキシメチルキトサンの2重量%水溶液50グラムおよびグリセリン15グラムと混合した。ゲルが5分以内に形成された。
【実施例5】
【0048】
カルボキシメチルキトサンの4重量%水溶液50グラムを、94重量%グリセリン50グラムおよび50重量%ポリエチレンイミン水溶液0.6グラムと混合した。ゲルが5分以内に形成された。
【実施例6】
【0049】
pH7における40重量%の非酸性K60PVPの79グラムおよび水溶液におけるグリセリン21グラムを、カルボキシメチルキトサン2グラム、グリセリン(水溶液)47グラム、50重量%ポリエチレンイミン水溶液0.6グラム、および水51グラムと混合した。ゲルが5分以内に形成された。
【実施例7】
【0050】
次のものを含有する混合物を形成した:
(a)pH7における37.5重量%の非酸性K60PVPの91グラム;
(b)リドカイン塩化水素8グラム;
(c)50重量%のグルタルジアルデヒド水溶液1.0グラム。
【0051】
ついで上記混合物を、次のものと混合した:
(a)8.2重量%のポリエチレンイミン90.5グラム;
(b)グリセリン5グラム;
(c)ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマー4グラム、および
(d)スペアミント油0.5グラム。
【0052】
ゲルが1分以内に形成される。このゲルを、歯科麻酔薬として、および/または局所麻酔ヒドロゲルとして塗布することができる。
【実施例8】
【0053】
次のものを含有する混合物を形成した。
【0054】
(a)pH7における非酸性K60PVPの37.5重量%水溶液93グラム;
(b)リドカイン塩化水素6グラム;および
(c)50重量%のグルタルジアルデヒド水溶液1.0グラム。
【0055】
ついで上記混合物を、次のものと混合した:
(a)7.5重量%のポリエチレンイミン100グラム;
(b)グリセリン5グラム;
(c)ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマー4グラム、および
(d)スペアミント油0.5グラム。
【0056】
ゲルが1分以内に形成される。このゲルを、歯科麻酔薬として、および/または局所麻酔ヒドロゲルとして塗布することができる。
【実施例9】
【0057】
次のものを含有する混合物を形成した。
【0058】
(a)pH7における37.5重量%の非酸性K60PVPの75グラム;
(b)ベンゾカイン7グラム;
(c)グルタルジアルデヒドの50%水溶液1.0グラム;および
(d)ポリエチレングリコール水溶液17グラム。
【0059】
ついで上記混合物を、次のものと混合した:
(a)8重量%のポリエチレンイミン50グラム;
(b)ベンゾカイン10グラム;
(c)グリセリン10グラム;
(d)ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマー8グラム;
(e)スペアミント油0.5グラム;および
(f)ポリエチレングリコール22グラム。
【0060】
ゲルが1分以内に形成される。このゲルを、歯科麻酔薬として、および/または局所麻酔ヒドロゲルとして塗布することができる。
【0061】
一般的な用途の新規ヒドロゲルが記載されている。この発明のヒドロゲルは、特定の化合物および実施例を参照して記載されているが、明らかに記載されていないかぎり、このような参照によって、この発明の範囲を限定する意図はない。材料および工程段階の順序、ならびにプロセスの組合わせにおいて、この発明から逸脱することなく、様々な反応体および製品に合うように適合させた様々な修正を行なうことができる。上記の説明は、理解を明確にするためにのみ示され、修正例は当業者には明白であろうから、これによって、不必要な制限が理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも30のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)、(2)水溶性多官能アミン含有ポリマーおよびこの混合物、または(3)キトサン誘導体もしくはこの混合物の、2つまたはそれ以上の混合物から形成されたヒドロゲルを含んでいる組成物。
【請求項2】
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)が、N−ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリ(N−ビニルラクタム)のコポリマーおよびターポリマーは、ビニル官能基を含有するモノマーと共重合されたN−ビニルラクタムモノマーからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ビニル含有モノマーが、アクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリルアミドからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ビニル含有モノマーが、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノエチルメタクリレートターポリマーからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)のホモポリマーが、ビニルピロリドンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
多官能アミン含有ポリマーが、ポリエチレンイミン、アミン末端ポリ酸化エチレンポリマー、アミン末端ポリエチレン/ポリ酸化プロピレンポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマー、からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
キトサン誘導体が、生物学的適合性の塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
キトサン塩が、ピロリドンカルボン酸、グルタミン酸、および酢酸からなる群から選択された反応体と反応したキトサンからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
キトサンが、N,O−カルボキシメチルキトサン、およびN,O−カルボキシブチルキトサンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
治癒的または治療的価値を有する、生物学的に活性で、医薬的に許容される物質をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
活性な材料が、睡眠薬、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、交感神経作用薬、心臓血管作動薬、および抗腫瘍剤からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記活性な材料が、ニトログリセリン、スコポラミン、ピロカルピン、エルゴタミンタルトレート、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、抗菌テトラサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、トリクロサン、ナトリウムセファゾリン、銀スルファジアジン、メチルサリチレート、サリチル酸、ニコチネート、メチルニコチネート、クロルヘキシジングルコネート、メントール、カプシカム、リドカイン、およびベンゾカインからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ゲルを導電性にする電解質をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および酢酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
皮膚水和剤をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記皮膚水和剤が、水、ナトリウムピロリドンカルボキシレート、乳酸、ヒアルロン酸、および加水分解されたコラーゲンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
湿潤剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤、および分散剤からなる群から選択された増強剤をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記剤が、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
浸透防止剤として電解質塩をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記剤が、アルカリ金属塩化物および重炭酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマーラチス、充填剤、界面活性剤、顔料、染料、および香料からなる群から選択された添加剤をさらに含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
(実施例6)(a)非酸性ポリビニルピロリドンおよびグリセリンを約1.5:1の重量比で含んでいる水溶液と、(b)カルボキシメチルキトサン、グリセリン、およびポリエチレンイミンをそれぞれ約6.6:156:1の重量比で含んでいる水溶液とを組合わせることによって形成され、水溶液(a)および(b)の総重量が、約1:1の範囲内にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも30のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)と、水溶性多官能アミン含有ポリマーとの混合物によって形成されたヒドロゲルを含んでいる組成物。
【請求項25】
ポリ(N−ビニルラクタム)が、N−ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ポリ(N−ビニルラクタム)のコポリマーおよびターポリマーが、ビニル官能基を含有するモノマーと共重合されたN−ビニルラクタムモノマーからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
ビニル含有モノマーが、アクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリルアミドからなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)のホモポリマーが、ビニルピロリドンである、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
ポリビニルピロリドン対多官能アミン含有ポリマーの重量比が、約2/1から約80/1の範囲内にある、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記多官能アミン含有ポリマーが、ポリエチレンイミン、アミン末端ポリ酸化エチレンポリマー、アミン末端ポリエチレン/ポリ酸化プロピレンポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
治癒的または治療的価値を有する、生物学的に活性で、医薬的に許容される物質をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
前記活性材料が、睡眠薬、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、交感神経作用薬、心臓血管作動薬、および抗腫瘍剤からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
前記活性材料が、ニトログリセリン、スコポラミン、ピロカルピン、エルゴタミンタルトレート、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、抗菌テトラサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、トリクロサン、ナトリウムセファゾリン、銀スルファジアジン、メチルサリチレート、サリチル酸、ニコチネート、メチルニコチネート、クロルヘキシジングルコネート、メントール、カプシカム、リドカイン、およびベンゾカインからなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ゲルを導電性にする電解質をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
前記電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および酢酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
皮膚水和剤をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項37】
前記皮膚水和剤が、水、ナトリウムピロリドンカルボキシレート、乳酸、ヒアルロン酸、および加水分解されたコラーゲンからなる群から選択される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
湿潤剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤、および分散剤からなる群から選択された増強剤をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項39】
前記剤が、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
浸透防止剤として電解質の塩をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項41】
前記剤が、アルカリ金属塩化物および重炭酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
ポリマーラチス、充填剤、界面活性剤、顔料、染料、および香料からなる群から選択された添加剤をさらに含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項43】
少なくとも30のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)および多官能アミン含有ポリマーを、約8.75:1の重量比において含んでいる組成物。
【請求項44】
(実施例8)(a)非酸性ポリビニルピロリドン、リドカイン塩化水素、およびグルタルジアルデヒドをそれぞれ約69.7:12:1の重量比で含んでいる水溶液と、(b)ポリエチレンイミン、グリセリン、およびポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマーをそれぞれ約1.87:1.25:1の重量比で含んでいる水溶液とを組合わせることによって形成され、(a)および(b)の各々の水溶液の総重量が、それぞれ約0.9:1の範囲内にある組成物。
【請求項45】
(実施例7)(a)非酸性ポリビニルピロリドン、リドカイン塩化水素、およびグルタルジアルデヒドをそれぞれ約68.2:16:1の重量比で含んでいる水溶液と、(b)ポリエチレンイミン、グリセリン、およびポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマーをそれぞれ約1.85:1.25:1の重量比で含んでいる水溶液とを組合わせることによって形成され、(a)および(b)の各々の水溶液の総重量が、それぞれ約1:1の範囲内にある組成物。
【請求項46】
(実施例9)(a)非酸性ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ベンゾカイン、およびグルタルジアルデヒドをそれぞれ約56:34:14:1の重量比で含んでいる水溶液と、(b)ポリエチレングリコール、グリセリン、ベンゾカイン、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル−メタクリレートコポリマー、およびポリエチレンイミンをそれぞれ約5.5:2.5:2.5:2:1の重量比で含んでいる水溶液とを組合わせることによって形成され、各水溶液(a)および(b)の総重量が、約1:1の範囲内にある組成物。
【請求項47】
少なくとも30のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)と、キトサン誘導体またはこの混合物との混合物によって形成されたヒドロゲルを含んでいる組成物。
【請求項48】
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)が、N−ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーからなる群から選択される、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
ポリ(N−ビニルラクタム)のコポリマーおよびターポリマーが、ビニル官能基を含有するモノマーと共重合されたN−ビニルラクタムモノマーからなる群から選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
ポリ(N−ビニルラクタム)のコポリマーおよびターポリマーが、ビニル官能基を含有するモノマーと共重合されたN−ビニルラクタムモノマーからなる群から選択される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
ビニル含有モノマーが、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノエチルメタクリレートターポリマーなる群から選択される、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)のホモポリマーが、ビニルピロリドンである、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
キトサン誘導体が、生物学的適合性の塩である、請求項47に記載の組成物。
【請求項54】
キトサン塩が、ピロリドンカルボン酸、グルタミン酸、および酢酸からなる群から選択された反応体と反応したキトサンからなる群から選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
キトサンが、N,O−カルボキシメチルキトサン、およびN,O−カルボキシブチルキトサンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項56】
治癒的または治療的価値を有する、生物学的に活性で、医薬的に許容される物質をさらに含んでいる、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
活性な材料が、睡眠薬、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、交感神経作用薬、心臓血管作動薬、および抗腫瘍剤からなる群から選択される、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記活性な材料が、ニトログリセリン、スコポラミン、ピロカルピン、エルゴタミンタルトレート、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、抗菌テトラサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、トリクロサン、ナトリウムセファゾリン、銀スルファジアジン、メチルサリチレート、サリチル酸、ニコチネート、メチルニコチネート、クロルヘキシジングルコネート、メントール、カプシカム、およびベンゾカインからなる群から選択される、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記ゲルを導電性にする電解質をさらに含んでいる、請求項47に記載の組成物。
【請求項60】
前記電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および酢酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
皮膚水和剤をさらに含んでいる、請求項47に記載の組成物。
【請求項62】
前記皮膚水和剤が、水、ナトリウムピロリドンカルボキシレート、乳酸、ヒアルロン酸、および加水分解されたコラーゲンからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
湿潤剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤、および分散剤からなる群から選択された増強剤をさらに含んでいる、請求項47に記載の組成物。
【請求項64】
前記剤が、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
浸透防止剤として電解質の塩をさらに含んでいる、請求項47に記載の組成物。
【請求項66】
前記剤が、アルカリ金属塩化物および重炭酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
ポリマーラチス、充填剤、界面活性剤、顔料、染料、および香料からなる群から選択された添加剤をさらに含んでいる、請求項47に記載の組成物。
【請求項68】
ポリ(N−ビニルラクタム)対キトサン誘導体の重量比が、約2/1から約100/1の範囲内にある、請求項47に記載の組成物。
【請求項69】
医薬的に許容される局所麻酔薬約1から約30%、保湿剤約0から約50%、可塑剤約0から約50%、防腐剤約0から約4重量%を含み、ポリ(N−ビニルラクタム)対キトサン誘導体の重量比が、約80/1から約2/1の範囲内にある、請求項47に記載の組成物。
【請求項70】
(実施例2)ポリ(N−ビニルラクタム)がポリビニルピロリドンであり、ポリビニルピロリドン対キトサン誘導体の重量比が、約17.5/1の範囲内にある、請求項47に記載の組成物。
【請求項71】
水溶性多官能アミン含有ポリマーと、キトサン誘導体もしくはこの混合物との混合物によって形成されたヒドロゲルを含んでいる組成物。
【請求項72】
多官能アミン含有ポリマーが、ポリエチレンイミン、アミン末端ポリ酸化エチレンポリマー、アミン末端ポリエチレン/ポリ酸化プロピレンポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
キトサン誘導体が、生物学的適合性の塩である、請求項71に記載の組成物。
【請求項74】
キトサン塩が、ピロリドンカルボン酸、グルタミン酸、および酢酸からなる群から選択された反応体と反応したキトサンからなる群から選択される、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
キトサンが、N,O−カルボキシメチルキトサン、およびN,O−カルボキシブチルキトサンからなる群から選択される、請求項72に記載の組成物。
【請求項76】
治癒的または治療的価値を有する、生物学的に活性で、医薬的に許容される物質をさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項77】
活性な材料が、睡眠薬、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗潰瘍剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、交感神経作用薬、心臓血管作動薬、および抗腫瘍剤からなる群から選択される、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記活性な材料が、ニトログリセリン、スコポラミン、ピロカルピン、エルゴタミンタルトレート、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、抗菌テトラサイクリン、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、トリクロサン、ナトリウムセファゾリン、銀スルファジアジン、メチルサリチレート、サリチル酸、ニコチネート、メチルニコチネート、クロルヘキシジングルコネート、メントール、カプシカム、およびベンゾカインからなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記ゲルを導電性にする電解質をさらに含んでいる、請求項71に記載の組成物。
【請求項80】
前記電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および酢酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
皮膚水和剤をさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項82】
前記皮膚水和剤が、水、ナトリウムピロリドンカルボキシレート、乳酸、ヒアルロン酸、および加水分解されたコラーゲンからなる群から選択される、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
湿潤剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤、および分散剤からなる群から選択された増強剤をさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項84】
前記剤が、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
浸透防止剤として電解質の塩をさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項86】
前記剤が、アルカリ金属塩化物および重炭酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
ポリマーラチス、充填剤、界面活性剤、顔料、染料、および香料からなる群から選択された添加剤をさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項88】
水溶性多官能アミン含有ポリマー対キトサン誘導体の重量比が、50/1から約1/50の範囲内にある、請求項72に記載の組成物。
【請求項89】
(実施例3)水溶性多官能アミン含有ポリマーがポリエチレンイミンであり、キトサン誘導体がカルボキシメチルキトサンであり、前記アミン対前記キトサン誘導体の重量比が、約1.2:1である、請求項72に記載の組成物。
【請求項90】
(実施例4)水溶性多官能アミン含有ポリマーがポリエチレンイミンであり、キトサン誘導体がカルボキシメチルキトサンであり、前記アミン対前記キトサン誘導体の重量比が、約0.3:1であり、約13重量%のグリセリンをさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項91】
(実施例5)水溶性多官能アミン含有ポリマーがポリエチレンイミンであり、キトサン誘導体がカルボキシメチルキトサンであり、前記アミン対前記キトサン誘導体の重量比が、約0.15:1であり、約47重量%のグリセリンをさらに含んでいる、請求項72に記載の組成物。
【請求項92】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項12に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項93】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項32に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項94】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項44に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項95】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項45に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項96】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項46に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項97】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項58に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項98】
歯のドライソケットの治療方法であって、前記ソケットへ、請求項78に記載の組成物の層を塗布することを含む、前記方法。
【請求項99】
請求項24に記載の組成物を含んでいる歯科用麻酔塗布薬であって、さらにリドカイン、ベンゾカイン、およびユージノールからなる群から選択された1つの麻酔薬を約1から約30重量%の量、保湿剤および可塑剤を約0から50重量%の範囲、および防腐剤を約0から約4重量%の範囲で含み、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)対多官能アミン含有ポリマーの重量比が、約80/1から約2/1の範囲内にある、前記歯科用麻酔塗布薬。
【請求項100】
請求項24に記載の組成物を含んでいる歯科用麻酔塗布薬であって、さらにリドカイン、ベンゾカイン、およびユージノールからなる群から選択された1つの麻酔薬を約2から約20重量%の量、保湿剤および可塑剤を約5から25重量%の範囲、および防腐剤を約0.01から約2重量%の範囲で含み、非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)対多官能アミン含有ポリマーの重量比が、約30/1から約5/1の範囲内にある、前記歯科用麻酔塗布薬。
【請求項101】
請求項70に記載の組成物を含んでいる、歯科用麻酔塗布薬。
【請求項102】
局所麻酔薬が、リドカイン、ベンゾカイン、およびユージノールからなる群から選択される、請求項101に記載の歯科用麻酔薬。
【請求項103】
請求項78に記載の組成物を含んでいる、歯科用麻酔塗布薬。
【請求項104】
請求項1に記載のゲルを含んでいる、美容フェイスマスク。
【請求項105】
請求項16に記載のゲルを含んでいる、美容フェイスマスク。
【請求項106】
請求項17に記載のゲルを含んでいる、美容フェイスマスク。
【請求項107】
美容ゲル用キットであって、少なくとも30のK値を有する非酸性ポリ(N−ビニルラクタム)および多官能アミン含有ポリマーおよびキトサン誘導体からなる群から選択された多官能アミン含有ポリマーの別々の部分、および水和剤、香料、および皮膚栄養分からなる群から選択された美容剤を含有する1つの別個部分を、添加順序、およびヒドロゲルを形成するための水の量、塗布および除去指示についての説明書とともに含んでいる、前記キット。
【請求項108】
請求項1に記載の組成物を含み、剥離可能な裏紙をさらに含む、シートまたはロール形態にあるヒドロゲル。
【請求項109】
剥離可能な裏紙層が、気体、液体、空気からのヒドロゲルの保護、および治療されることになる区域の選択を与える、請求項108に記載のヒドロゲル。

【公表番号】特表2007−512410(P2007−512410A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541133(P2006−541133)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/028292
【国際公開番号】WO2005/055924
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506097782)
【Fターム(参考)】