説明

皮膚洗浄剤用添加剤、皮膚洗浄剤及び皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法

【課題】
本発明の課題は、ポリクオタニウム−10に代表される半合成系皮膚洗浄剤添加剤とポリクオタニウム−7あるいは39に代表される合成系皮膚洗浄剤添加剤のそれぞれの欠点を克服し、洗い上がりにしっとり感と共にさっぱり感を与える皮膚洗浄剤添加剤およびそれを含有する皮膚洗浄剤を提供することにある。
【解決手段】
OH基を有する天然高分子若しくは天然高分子誘導体、又はその両方を含む水溶液中で、カチオン性水溶液単量体と、(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させることにより得られるグラフト共重合体を含有する皮膚洗浄剤用添加剤とすることで、仕上がりにしなやかな感触を与える皮膚洗浄剤用添加剤及びそれを含有する皮膚洗浄剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤用添加剤、皮膚洗浄剤及び皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄剤の開発において、良好、かつ特徴的な使用感を達成することは重要な開発ポイントの一つであり、洗浄剤使用時の泡立ちの良好感やクリーミー感、すすぎ時の滑らか感、すすぎ後のさっぱり感やしっとり感を与える方法が盛んに探索されている。
【0003】
皮膚洗浄剤に良好な使用感を付与させる方法の一つとして、カチオン性ポリマーを添加する方法が挙げられる。
【0004】
カチオン性ポリマーとしては、セルロースやセルロース誘導体等に塩化グリシジルプロピルトリメチルアンモニウム等のカチオン化剤を反応させたポリマー(例えば、ポリクオタニウム−10)が汎用されている。
【0005】
その他の合成ポリマーとして、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(例えば、ポリクオタニウム−7)や、アクリルアミド、アクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの共重合体である両イオン性ポリマー(ポリクオタニウム−39)等が用いられている。
【0006】
水溶性単量体とポリサッカライドのグラフトコポリマーの調製法に関して、ポリサッカライドを溶解させない溶媒中で反応させる方法(特許文献1参照)、あるいは固相に近い状態において電子線を照射し重合させる方法(特許文献2参照)等が開示されている。また、グラフト共重合とは明記されていないが糖類の存在下で非イオン性水溶性単量体としてビニルピロリドンを代表とする5〜8員のN−ビニルラクタムを重合させる方法(特許文献3参照)が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開昭54−83987号公報
【特許文献2】特表2008−509250号公報
【特許文献3】特開平5−194673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら皮膚洗浄剤に汎用に添加するカチオン性ポリマー、ポリクオタニウム−10については、すすぎ時にきしみを感じ、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−7)等の合成ポリマーについては、洗浄時にぬめり感があるなど改善の余地がある。
【0009】
これら既存のカチオン性ポリマーを含有した皮膚洗浄剤の使用感は、泡立ちやすすぎ時にきしみを感じる、あるいは逆にぬめり感がある、またすすぎ後にごわつきやつっぱり感等好ましくない感触が残る等課題が残っている状態であり、欠点克服が望まれていた。
【0010】
特許文献1及び特許文献2に開示されている調製法については、いずれも反応率が低くなる欠点がある。また反応性比が異なる複数の単量体の共重合においては、共重合体の組成を均一にするために重合性の良い単量体を連続的あるいは逐次的に添加することが行われるが、不均一系ではその反応が困難である。
【0011】
特許文献3に開示されている調製法では、本発明のアクリルアミドを代表とする(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の使用が開示されておらず、糖類の存在下で非イオン性水溶性単量体としてビニルピロリドンを代表とする5〜8員のN−ビニルラクタムを重合させる方法が開示されている。しかしながらビニルピロリドンを含むポリマーは皮膜形成能が高く皮膚洗浄剤としては好ましくない。
【0012】
本発明の課題は、ポリクオタニウム−10に代表される半合成系皮膚洗浄剤添加剤とポリクオタニウム−7あるいは39に代表される合成系皮膚洗浄剤添加剤のそれぞれの欠点を克服し、洗い上がりにしっとり感と共にさっぱり感を与える皮膚洗浄剤添加剤およびそれを含有する皮膚洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、OH基をもつ天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性及び非イオン性の(メタ)アクリル系水溶性単量体をグラフト共重合させることにより得られる皮膚洗浄剤用添加剤が、さっぱりすると同時にしっとりした感触を皮膚に付与できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)OH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を含む水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と、(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させることにより得られるグラフト共重合体を含有する皮膚洗浄剤用添加剤。
(2)前記水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体の含有量が、5〜90モル%であり、前記水溶性単量体中の前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の含有量が、10〜95モル%である上記(1)の皮膚洗浄剤用添加剤。
(3)前記カチオン性水溶性単量体が、少なくともジアリルジメチルアンモニウムクロリドであり、前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体が、少なくともアクリルアミドである上記(1)又は(2)の皮膚洗浄剤用添加剤。
(4)前記天然高分子が、グアーガム、ローカストビーンガム及びセリシンからなる群から選ばれる1種以上の天然高分子である上記(1)〜(3)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(5)前記天然高分子誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルグアーガムからなる群から選ばれる1種以上の天然高分子誘導体である上記(1)〜(4)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(6)前記天然高分子又は前記天然高分子誘導体の25℃における2%水溶液粘度が、20,000mPa・s以下である上記(1)〜(5)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(7)前記天然高分子及び/又は前記天然高分子誘導体の総量(A)と、前記水溶性単量体の総量(B)との質量比(A/B)が、5/95〜80/20である上記(1)〜(6)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(8)前記グラフト共重合の反応溶液における、前記天然高分子、前記天然高分子誘導体及び前記水溶性単量体の合計の濃度が、10〜50質量%である上記(1)〜(7)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(9)前記グラフト共重合体の重量平均分子量が、1万〜300万である上記(1)〜(8)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(10)前記グラフト共重合体は、開始剤として過硫酸塩を用い、50℃以上で重合反応を行うことにより得られる上記(1)〜(9)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤。
(11)前記グラフト共重合体は、前記アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的又は逐次的に添加しながらグラフト共重合させることにより得られる上記(3)の皮膚洗浄剤用添加剤。
(12)上記(1)〜(11)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤。
(13)前記皮膚洗浄剤が、全身用、洗顔用、又は手洗い用である上記12の皮膚洗浄剤。
(14)前記水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体の含有量が、(5)〜60モル%の範囲である上記(12)の皮膚洗浄剤。
(15)OH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を、水に溶解させ水溶液とする工程と、前記水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させる工程と、
を含む皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
(16)前記グラフト共重合させる工程において、連鎖移動剤を前記水溶液に添加する上記(15)の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
(17)前記グラフト共重合させる工程において、開始剤として過硫酸塩を前記水溶液に添加する上記(15)又は(16)の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
(18)前記カチオン性水溶性単量体が、少なくともジアリルジメチルアンモニウムクロリドであり、前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体が、少なくともアクリルアミドであり、前記グラフト共重合させる工程において、前記アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的又は逐次的に、前記水溶液に添加する上記(15)〜(17)のいずれか一つの皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚洗浄剤用添加剤は、OH基を有する天然高分子若しくは天然高分子誘導体、又はその両方を含む水溶液中で、カチオン性水溶液単量体と、(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を反応させることにより、グラフト共重合体を含有する皮膚洗浄剤用添加剤を製造することができる。またこの皮膚洗浄剤用添加剤が配合することにより、仕上がりにしなやかな感触を与える皮膚洗浄剤を得ることができる。前記水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の含有量は、特に限定されないが、5〜90モル%の範囲であることが好ましい。水溶性単量体中の(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の含有量は、特に限定されないが、10〜95モル%の範囲であることが好ましい。(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を10モル%以上含むことにより、本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤で処理した皮膚にさっぱり感と同時にしっとりした感触を付与でき、仕上がりが良好となる。(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を上記含有量とすることにより、処理後の皮膚にべたつき感が出ることがなく、湿度が高い環境であってもべたべたした感触の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、説明する。なお、以下の本実施形態は本発明の例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0017】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤は、OH基をもつ天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を含む水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と、(メタ)アクリル系非イオン性単量体とをグラフト共重合させることにより得られるグラフト共重合体を含有するものである。このグラフト共重合体は、OH基を有する天然高分子若しくは天然高分子誘導体、又はその両方を水に溶解して水溶液とした後、水溶液中でカチオン性水溶性単量体と(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を実質的に均一な状態でグラフト共重合させることにより得られる。グラフト共重合反応において、必要に応じて、アルコール類等の水溶性有機溶媒を水溶液中に少量混在させることも可能である。
【0018】
水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の含有量は、特に限定されないが、5〜90モル%の範囲であることが好ましい。水溶性単量体中の(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の含有量は、特に限定されないが、10〜95モル%の範囲であることが好ましい。(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を10モル%以上含むことにより、本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤で処理した皮膚にさっぱり感と同時にしっとりした感触を付与でき、仕上がりが良好となる。(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を上記含有量とすることにより、処理後の皮膚にべたつき感が出ることがなく、湿度が高い環境であってもべたべたした感触の発生を防止することができる。
【0019】
天然高分子及び天然高分子誘導体は、水溶液中で実質的に均一な状態で反応を行うため、水に対する溶解度が高いものが好ましい。天然高分子としては、例えば、澱粉類、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、キトサン、カラギーナン、ジュランガム、プルラン、マンナン、フェヌグリーク、セリシンなどが挙げられる。それらの中でも、溶解度の点から、グアーガム、ローカストビーンガム及びセリシンが好ましい。
【0020】
天然高分子誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムなどが挙げられる。それらの中でも、溶解度の点から、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルグアーガムが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。これらの天然高分子や天然高分子誘導体を複数組み合わせて使用することもできる。
【0021】
天然高分子又は天然高分子誘導体の分子量は、特に限定されないが、実質的に均一な水溶液の状態でグラフト共重合を行うため、2%水溶液粘度が25℃において20,000mPa・s以下であることが好ましい。2%水溶液粘度が25℃において20,000mPa・s以下とすることにより、溶解液の粘度が著しく高くなることを防止でき、均一なグラフト共重合を行うことができる。例えば、好ましい天然高分子誘導体であるヒドロキシエチルセルロースの場合、反応液の粘度を考慮すると2%水溶液粘度が25℃において100〜10,000mPa・sの範囲であることがより好ましい。2%水溶液粘度は、脱イオン水中における水溶性高分子濃度が2質量%となるように溶解した場合の粘度であり、B型粘度計によって測定できる。
【0022】
天然高分子及び/又は天然高分子誘導体の総量(A)と、水溶性単量体の総量(B)との質量比(A/B)は、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜50/50であることがより好ましい。質量比(A/B)を上記範囲とすることにより、皮膚洗浄剤用添加剤とした場合の天然高分子と合成高分子の相乗作用を発揮させることができる。ここで、天然高分子及び/又は天然高分子誘導体の総量(A)とは、天然高分子と天然高分子誘導体を併用する場合にはその総量を意味し、天然高分子単独で使用する場合には天然高分子の総量を意味し、天然高分子誘導体単独で使用する場合には天然高分子誘導体の総量を意味する。
【0023】
グラフト共重合は、均一な反応を行うため、通常攪拌しながら行われる。そのため、反応濃度が高すぎると攪拌が困難になり、反応濃度が低すぎると最終製品が低濃度となるため輸送コストが嵩む。この観点から、反応濃度は、天然高分子及び/又は天然高分子誘導体と水溶性単量体の合計の濃度として10〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0024】
カチオン性水溶性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩などが挙げられる。四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、アリルアミン、ジアリルメチルアミン及びこれらの塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。それらの中でも、重合体の安定性及び安全性の点から、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。これらのカチオン性水溶性単量体は、複数を組み合わせて使用することもできる。
【0025】
カチオン性水溶性単量体と共重合する(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の例としては(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。重合反応の容易さからアクリルアミドがより好ましい。これらの(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。またグラフト重合体が水溶性である限りにおいて、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の疎水性単量体を共重合させることも可能である。
【0026】
グラフト共重合時の温度は、天然高分子及び/又は天然高分子誘導体が水に溶解する温度が必要で、使用する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体によって異なるが、通常30〜95℃の範囲で行う。
【0027】
重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。開始剤は水溶性が好ましく、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤、過硫酸塩系開始剤、過酸化物系開始剤のいずれでも用いることができる。
【0028】
水溶性アゾ系開始剤としては、例えば、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
【0029】
レドックス系開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等の重合開始剤と、還元剤との組み合わせが挙げられる。還元剤としては、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、トリメチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0030】
過硫酸塩系開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、過酸化水素等の過酸化物が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、効率的にグラフト共重合をさせる点から、過硫酸塩が好ましい。過硫酸塩を用いる場合、50℃以上で重合反応を行うことが好ましい。特に、水溶液粘度が比較的高いとされているグアーガムやヒドロキシプロピルグアーガム等を用いる場合、グラフト共重合を効率よく進行させることが難しい場合があった。しかし、本実施形態によれば、過硫酸塩を開始剤として用いることで、このような水溶液粘度が比較的高い物質を用いる場合であっても、効率よくグラフト共重合を行うことができる。
【0032】
本発明のグラフト共重合時の反応液のpHは任意の範囲でよいが、高pHでは(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の加水分解が起こる可能性があり、低pHでは天然高分子、又は天然高分子誘導体の加水分解が起こる可能性がある。そのため反応液のpHは3から8の範囲が好ましい。さらに好ましいpHの範囲は4から7である
【0033】
本実施形態は水に溶解した天然高分子及び/又は天然高分子誘導体の存在化で、カチオン性及び(メタ)アクリル系非イオン性の水溶性単量体をグラフト共重合させるが、その際、複数の水溶性単量体を一括して仕込み、窒素置換した後に重合開始剤を添加して重合させてもよいが、水溶性単量体の一部あるいは全量を、重合開始剤を添加した後に攪拌下、少量ずつ連続的あるいは逐次的に添加してもよい。特に、共重合する複数の単量体の共重合性比が異なる場合、重合性の良い単量体の一部を重合中に連続的あるいは逐次添加し共重合体の組成を均一にすることが好ましい。
【0034】
特に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドを共重合する場合、アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的に又は逐次的に水溶液中に添加することが好ましい。ジアリルジメチルアンモニウムの重合速度とアクリルアミドの重合速度の差が大きいため、一度に単量体を仕込むとアクリルアミドのみ重合が進行してしまい、ジアリルジメチルアンモニウムが単量体として残存する傾向がある。そのため、残存するジアリルジメチルアンモニウムが単独重合し、アクリルアミドのグラフト鎖とジアリルジメチルアンモニウムクロリドのグラフト鎖が別々に生成される傾向がある。そこで、アクリルアミドを連続的又は逐次的に添加することで、上記現象を効果的に防止できる。
【0035】
光散乱法によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALS)を用いた測定によるグラフト重合体の重量平均分子量は、1万〜300万であることが好ましく、2万〜200万であることがより好ましい。300万以下であることにより、皮膚洗浄剤とした際に用いられる種々の成分との溶解性を向上させることができる。1万以上とすることにより、十分な添加効果を得ることができる。分子量を調整するために、重合時に必要に応じた量の連鎖移動剤を加えることができる。連鎖移動剤としてはイソプロピルアルコール、メルカプトエタノール、グルコン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等、一般的に使用される連鎖移動性を持った化合物から任意のものを選ぶことができる。
【0036】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤は、種々の皮膚洗浄剤に配合できる。本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤としては、例えば、ボディーシャンプー、洗顔フォーム、又はハンドソープ等として好適に用いることができる。
【0037】
水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の含有量は、5〜90モル%の範囲が好ましいが、本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤を皮膚洗浄剤に配合する場合、皮膚洗浄剤用添加剤中のカチオン基と皮膚洗浄剤組成の主成分であるアニオン性界面活性剤とイオンコンプレックスを形成し、不溶化してしまう場合がある。この観点から、水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の含有量が5〜60モル%の範囲がより好ましい。
【0038】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤は、皮膚洗浄剤中に通常0.05〜5質量%添加されるが、それぞれの皮膚洗浄剤に求められる効果を示す範囲であれば、その添加量は特に限定されない。
【0039】
皮膚洗浄剤には、その他の成分として、皮膚洗浄剤の用途に応じ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の公知の添加剤を加えることができる。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ベヘン(ベヘニル)酸塩、オレイン酸塩、1,2−ヒドロキシステアリン酸塩、ウンデシレン酸塩、トール酸塩、ラノリン脂肪酸塩、イソステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレイン酸塩、γ−リノレン酸塩、エイコサペンタエン酸塩等の高級脂肪酸塩類及びその誘導体、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウリル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等のN−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等が挙げられる。
【0041】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
【0042】
ベタイン型界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、ミリスチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
【0043】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0044】
さらに必要に応じて、本実施形態の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合してもよい。任意成分としては、高級脂肪酸類及びその誘導体、水溶性ポリマー、各種紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0045】
高級脂肪酸類及びその誘導体としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマーなどの炭化水素類、エタノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等のアルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルドデシル、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリコール、テトラオレイン酸ポリエチレングリコールソルビット、モノステアリン酸グリセリル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、水添ヒマシ油ポリエチレングリコール等のエステル油類が挙げられる。
【0046】
水溶性ポリマーとしては、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系ポリマー、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、ゼラチン等の動物系ポリマーなどの天然水溶性ポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系ポリマー、カチオン化グアーガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系ポリマーなどの半合成水溶性ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(商品名「カーボポール」)等のビニル系ポリマー、ポリエチレングリコール20,000、600,000、4,000,000等のポリオキシエチレン系ポリマー、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0047】
各種紫外線吸収剤としては、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機物質、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン、ポリエチレングリコール付加シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、3−(4′−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4′−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0048】
その他の任意成分としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、アスパラギン酸ナトリウム等の保湿剤、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等の抗菌剤、塩化カルプロニウム等の血管拡張剤、メントール類等の清涼感付与剤、ニコチン酸ベンジル等の刺激感付与剤、ビタミンA、B、C、D、E等のビタミン類、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌防腐剤、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等のキレート化剤、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤、エアゾール製品の場合は液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤、金属イオン捕獲剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等が挙げられる。
【0049】
また、本実施形態と異なる公知のカチオン性、アニオン性、両イオン性又はノニオン性の合成系、半合成系又は天然系のポリマーを併用することも可能である。
【0050】
カチオン性ポリマーとしては、例えば、例えば、商品名「ルビカットFC370」、「ルビカットFC550」、「ルビカットFC905」、「ルビカットHM552」、「ルビカットMonoCP」(以上、BASF社製)等のビニルイミダゾリウムクロライド/ビニルピロリドンコポリマー、商品名「セルカットH−100(粘度1000mPa・s)」、商品名「セルカットL−200(粘度100mPa・s)」(以上、ナショナル・スターチ社製)等のヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、商品名「マーコート100」、「マーコート550」等の塩化ジアリルジメチルアンモニウムのホモポリマー及び塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、これらを含むターポリマー(例えば、商品名「マーコート3331」)、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとを含むコポリマー又はターポリマー(例えば、商品名「マーコート2001」)等(以上、ナルコ社製)、商品名「ガフカット734」、「ガフカット755N」、「ガフカット755」(以上、ISP社製)等のビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、商品名「ルビフレックス」(BASF社製)、商品名「コポリマー845」、「コポリマー937」、「コポリマー958」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、商品名「コポリマーVC−713」(ISP社製)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、商品名「ガフカットHS−100(ISP社)」等のビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、成分表示名称が「ポリクオタニウム−52」のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールのコポリマー、特開平2−180911号公報に記載の水溶性ポリマー化合物等のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、N−プロピオニルポリエチレンイミン/メチルポリシロキサンコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル/メトキシポリエチレングリコールコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アルキルエステルコポリマー等が挙げられる。
【0051】
アニオン性ポリマーとしては、例えば、商品名「ガントレッツES−225」、商品名「ガントレッツES−425」、商品名「ガントレッツSP−215」(以上、ISP社製)等のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステルコポリマー、商品名「レジン28−1310」(ナショナル・スターチ社製)、商品名「ルビセットCA」(BASF社製)等の酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、商品名「レジン28−2930」(ナショナル・スターチ社製)等の酢酸ビルニ/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、商品名「ルビセットCAP」(BASF社製)等の酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、商品名「ADVANTAGE CP」(ISP社製)等の酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソポロニルアクリレートコポリマー、商品名「プラスサイズL53P」、商品名「プラスサイズL−75CB」、商品名「プラスサイズL−9540B」(互応化学社製)、商品名「ダイヤホールド」(三菱化学社製)等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー、商品名「ウルトラホールド8」、「ウルトラホールド・ストロング」(以上、BASF社製)、商品名「アンフォーマーV−42」(ナショナル・スターチ社製)等のアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミドコポリマー、商品名「ルビフレックスVBM35」(BASF社製)等のポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー等、成分表示名称が「ポリウレタンー1」であるイソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸及びジイソシアン酸イソホロンのコポリマー等のウレタンポリマーが挙げられる。
【0052】
両イオン性ポリマーとしては、例えば、商品名「ユカフォーマーSM」、「ユカフォーマー301」、「ユカフォーマー205S」、「ユカフォーマー201」、「ユカフォーマーW」等(以上、三菱化学社製)のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステルコポリマー、商品名「アンフォーマー28−4910」、「アンフォーマーLV−71」(以上、ナショナル・スターチ社製)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミドコポリマー等が挙げられる。
【0053】
ノニオン性ポリマーとしては、例えば、商品名「ルビスコールK12」、「ルビスコールK17」、「ルビスコールK30」、「ルビスコールK60」、「ルビスコールK80」、「ルビスコールK90」(以上、BASF社製)、商品名「PVP K15」、「PVP K30」、「PVP K60」、「PVP K90」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン、商品名「ルビスコールVA28」、「ルビスコールVA37」、「ルビスコールVA55」、「ルビスコールVA64」、「ルビスコールVA73」、「ルビスコールVA37E」(以上、BASF社製)、商品名「PVP/VA E−735」、「PVP/VA E−635」、「PVP/VA E−535」、「PVP/VA E−335」、「PVP/VA S−630」、「PVP/VA W−735」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、商品名「ルビスコールVAP343」(BASF社製)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルコポリマー、商品名「Dowtex」(ダウ・ケミカル社製)等の酢酸ビニル/N−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンコポリマー等が挙げられる。
【0054】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法は、OH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を、水に溶解させ水溶液とする工程と、前記水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させる工程と、を含む。
【0055】
グラフト共重合させる工程において、上述した連鎖移動剤を水溶液に添加することが好ましい。グラフト重合時に必要に応じた量の連鎖移動剤を加えることで、得られるグラフト共重合体の分子量を調整できる。
【0056】
グラフト共重合させる工程において、開始剤として上述した過硫酸塩を水溶液に添加することが好ましい。開始剤として過硫酸塩を用いることで、効率的にグラフト共重合をさせることができる。具体的には、50℃以上で重合反応を行うことがより好ましい。
【0057】
特に、カチオン性水溶性単量体が、少なくともジアリルジメチルアンモニウムクロリドであり、(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体が、少なくともアクリルアミドである場合、グラフト共重合させる工程において、アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的又は逐次的に、水溶液に添加することが好ましい。重合速度が速いアクリルアミドを連続的又は逐次的に添加することで、グラフト共重合体におけるジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドの組成を均一にすることができる。
【0058】
本実施形態のOH基をもつ天然高分子及び/又は天然高分子誘導体に、水媒体中でカチオン性及び(メタ)アクリル系非イオン性の水溶性単量体をグラフト共重合させた皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤は仕上がりが優れているばかりでなく、汎用品のヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルプロピルトリメチルアンモニウムを反応させたポリマー(ポリクオタニウム−10)に比べ、添加量が少量でよい。
【0059】
また、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−7)の場合、添加量を増やすと使用時にぬめり感が出てくる。それに対して、本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤は添加量を増やしても、ぬめり感のような不快感がない。その結果、皮膚洗浄剤を調合する際に添加量の制限を受けない。
【0060】
本実施形態は、OH基をもつ天然高分子及び/又は天然高分子誘導体に、カチオン性及び(メタ)アクリル系非イオン性の水溶性単量体をグラフト共重合させる。カチオン性水溶性単量体のみをグラフト重合した皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤で処理した皮膚はべたつき感があるのに対し、グラフト共重合させる水溶性単量体中に(メタ)アクリル系非イオン性単量体を含む本実施形態の皮膚洗浄剤で処理した皮膚はさっぱりすると同時にしっとりした仕上がりとなる。
【0061】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0062】
攪拌機、還流冷却管、単量体滴下口、及び窒素導入管を備えた500mLの4つ口セパラブルフラスコに、脱イオン水126.99g、50質量%アクリルアミド水溶液10.06g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液9.30g、グルコン酸ナトリウム0.40gを加え、均一な混合溶液とした。この混合溶液に、ヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度:5.2mPa・s)10.00gを攪拌しながら加え、窒素導入管から窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を45℃に調整した。この混合溶液に窒素を30分間導入した後、10質量%の2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液1.50gを添加して、重合を開始させた。
【0063】
一方、20質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液2.00gに50質量%アクリルアミド水溶液37.85gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液1.50gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC-MALSにて、GPC-MALS測定機器としてWYATTテクノロジー社製「DAWN HELEOS」、分離カラムとして東ソー社製「TSKgel G6000 PWXL−CP」、溶離液として0.5M酢酸+0.5M酢酸ナトリウムバッファ、流速0.5mL/min、温度25℃、試料濃度0.1質量%、注入量100μLの条件で分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は19万であった。これを「グラフト重合体1」とした。
【実施例2】
【0064】
ヒドロキシプロピルグアーガム(三晶株式会社製、商品名「ジャガーHP−08」、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が35000mPa・s)を脱イオン水に対して10質量%となるように膨潤溶解させた。このヒドロキシプロピルグアーガムに対し、過硫酸アンモニウム1.0質量%を加えて、65℃に加熱することにより、2%水溶液粘度が12500mPa・sとなるように調整した。実施例1と同様の反応容器に、分子量調整した10質量%ヒドロキシプロピルグアーガム溶液100gを入れ、脱イオン水39.42g、50質量%アクリルアミド水溶液8.04g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液16.72g、ギ酸ナトリウム0.30gを加え、均一な混合溶液とした。窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し重合を開始させた。
【0065】
一方、15質量%ギ酸ナトリウム水溶液2.00gに50質量%アクリルアミド水溶液30.23gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加して、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量13万であった。これを「グラフト重合体2」とする。
【実施例3】
【0066】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水126.99g、50質量%アクリルアミド水溶液10.06g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液9.30g、グルコン酸ナトリウム0.40gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が5340mPa・s)10.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し重合を開始させた。
【0067】
一方で、20質量%グルコン酸ナトリウム水溶液2.00gに50質量%アクリルアミド水溶液37.85gを加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は85万であった。これを「グラフト重合体3」とする。
【実施例4】
【0068】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水164.37g、50質量%アクリルアミド水溶液10.05g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液20.90g、ギ酸ナトリウム0.075gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が152mPa・s)12.50gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入1時間後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.88gを添加し重合を開始させた。
【0069】
一方で、15質量%ギ酸ナトリウム水溶液0.50gに50質量%アクリルアミド水溶液37.79gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.88gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は31万であった。これを「グラフト重合体4」とする。
【実施例5】
【0070】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水126.19g、50質量%アクリルアミド水溶液10.06g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液9.30g、グルコン酸ナトリウム0.80gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらローカストビーンガム(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が1350mPa・s)10.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を75℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し重合を開始させた。
【0071】
一方で、30質量%グルコン酸ナトリウム水溶液2.70gに50質量%アクリルアミド水溶液37.85gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は120万であった。これを「グラフト重合体5」とする。
【実施例6】
【0072】
グアーガム(MRCポリサッカライド株式会社製、商品名「RG500」、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が42000mPa・s)を脱イオン水に対して10質量%となるように膨潤溶解させた。このグアーガムに対し、過硫酸アンモニウム1.0質量%を加え、65℃に加熱することにより、2%水溶液粘度を8500mPa・sに調整した。実施例1と同様の反応容器に、分子量調整した10質量%グアーガム溶液150gを入れ、脱イオン水44.22g、50質量%アクリルアミド水溶液12.05g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液25.07g、ギ酸ナトリウム0.90gを加え、均一な混合溶液とした。窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.25gを添加し重合を開始させた。
【0073】
一方で、30質量%ギ酸ナトリウム水溶液3.00gに50質量%アクリルアミド水溶液45.35gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.25gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は9万であった。これを「グラフト重合体6」とする。
【実施例7】
【0074】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水129.22g、50質量%アクリルアミド水溶液8.04g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液16.72g、グルコン酸ナトリウム0.40gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらセリシン(カシロ産業製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が16mPa・s)10.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し、重合を開始させた。
【0075】
一方で、20質量%グルコン酸ナトリウム水溶液2.00gに50質量%アクリルアミド水溶液30.23gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.50gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は3万であった。これを「グラフト重合体7」とする。
【実施例8】
【0076】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水137.96g、50質量%アクリルアミド水溶液7.77g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液3.54g、ギ酸ナトリウム0.35gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が152mPa・s)8.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、2質量%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し重合を開始させた。
【0077】
一方で、20質量%ギ酸ナトリウム水溶液1.75gに50質量%アクリルアミド水溶液29.23g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液13.33gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度2質量%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は80万であった。これを「グラフト重合体8」とする。
【実施例9】
【0078】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水205.54g、50質量%アクリルアミド水溶液11.68g、75質量%アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液5.65g、ギ酸ナトリウム0.53gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が152mPa・s)12.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.40gを添加し重合を開始させた。
【0079】
一方で、20質量%ギ酸ナトリウム水溶液2.65gに50質量%アクリルアミド水溶液43.94g、75質量%アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液21.27gを加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.40gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は73万であった。これを「グラフト重合体9」とする。
【実施例10】
【0080】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水204.32g、50質量%アクリルアミド水溶液5.78g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液48.07g、ギ酸ナトリウム0.30gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2%水溶液粘度が152mPa・s)15.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入30分後、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.25gを添加し重合を開始させた。
【0081】
一方で、20質量%ギ酸ナトリウム水溶液2.00gに50質量%アクリルアミド水溶液21.73gを加え、混合液を調製した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後、再度10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.25gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC−MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は56万であった。これを「グラフト重合体10」とする。
【0082】
実施例1〜10で合成したグラフト重合体1〜10の組成を表1にまとめる。
【0083】
(表1)


表中のAはOH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を表し、略号HPCはヒドロキシプロピルセルロース、HPGはヒドロキシプロピルグアーガム、HECはヒドロキシエチルセルロースをそれぞれ表す。Bは水溶性単量体を表し、カチオン性の欄にカチオン性水溶性単量体の種類、非イオン性の欄に(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の種類を示す。略号DADMACはジアリルジメチルアンモニウムクロリド、DMMCQはメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、DMPMCQはアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、AAmはアクリルアミドをそれぞれ表す。A/Bは天然高分子及び/又は前記天然高分子誘導体の総量(A)と、前記水溶性単量体の総量(B)との質量比を示している。(A)+(B)の濃度は20質量%。カチオン性/非イオン性の欄にはカチオン性水溶性単量体と(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とのモル%の比を示している。
【実施例11】
【0084】
実施例1〜10の各グラフト重合体を成分Bとし、表2に示す組成となるように成分Aと溶解させ、ボディーシャンプー液を調製し、シャンプー試作−1〜10とした。添加したグラフト重合体の種類、濃度とボディーシャンプー液の外観を表3に示す。また、市販カチオン性ポリマーを成分Bとし、同様にシャンプー比較−2、3を調製した。
【0085】
また、シャンプー比較−1として、成分Aのみからなるボディーシャンプーも調整し、官能評価に加えた。
【0086】
(1)成分Aの調製
精製水を70℃まで加温し、ラウリル酸、ミリスチル酸を加え溶解するまで攪拌した。規定の水酸化カリウムを精製水の一部を用いて溶解し、その液を水酸化カリウム水溶液として加えた後、ラウレス3−硫酸ナトリウム、ベタイン系界面活性剤を添加し攪拌した。その後、EDTA・2Na・2HOを添加後攪拌し、室温まで冷却した。
(2)成分Bの調製
各グラフト重合体及び市販カチオン性ポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)ボディーシャンプー液の調製
成分Aを70℃まで加熱して成分Bを添加し、表2に示す組成とした。その後、十分に攪拌した後、室温まで冷却した。
【0087】
(表2)

<ボディーシャンプー液組成>

(単位:質量%)

【0088】
(表3)

(単位:質量%)

【0089】
各サンプルについて、ボディーシャンプーとしての使用感を下記方法により官能評価し、表4に示されている基準により評価した。
【0090】
評価方法
各ボディーシャンプー液について、パネラー5名により実用試験を行い、洗浄時の泡立ち、洗浄時の泡のきめ細かさ、すすぎ速さ、すすぎ後の感触、タオルドライ後の感触について官能評価した。シャンプー比較−1のボディーシャンプー液の使い心地を「標準値:3」として評価を行い、その結果を表5に示した。対照品である市販カチオン性ポリマーの使用感も同時に評価を行い、その結果を表5に示した。
【0091】
(表4)

【0092】
(表5)

【0093】
表5から明らかなように、グラフト重合体1〜10はボディーシャンプーの泡立ちを良好にすることが分かった。生成する泡は、ポリクオタニウム7や10と比較しきめ細かく、すすぎも早く、すすぎ後の感触も良好であることが確かめられた。ポリクオタニウム7や10を添加したボディーシャンプーを使用した場合、すすぎ後に不快なきしみを感じるのに対し、グラフト重合体4、6、9添加のボディーシャンプーを使用した時は、すすぎ後の感触が非常に良好であった。また、タオルドライ後の感触が非常に良好であり、保湿剤を使用していないにも関わらず肌をしっとりさらさらな状態に仕上げることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の皮膚洗浄剤用添加剤及びそれを含有する皮膚洗浄剤は、仕上がりをしっとりさらさらな感触に仕上げることができ、ボディーシャンプー、洗顔フォーム、ハンドソープ等をはじめとする幅広い用途に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を含む水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と、(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させることにより得られるグラフト共重合体を含有する皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項2】
前記水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体の含有量が、5〜90モル%であり、
前記水溶性単量体中の前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体の含有量が、10〜95モル%である請求項1に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項3】
前記カチオン性水溶性単量体が、少なくともジアリルジメチルアンモニウムクロリドであり、
前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体が、少なくともアクリルアミドである請求項1又は2に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項4】
前記天然高分子が、グアーガム、ローカストビーンガム及びセリシンからなる群から選ばれる1種以上の天然高分子である請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項5】
前記天然高分子誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルグアーガムからなる群から選ばれる1種以上の天然高分子誘導体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項6】
前記天然高分子又は前記天然高分子誘導体の25℃における2%水溶液粘度が、20,000mPa・s以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項7】
前記天然高分子及び/又は前記天然高分子誘導体の総量(A)と、前記水溶性単量体の総量(B)との質量比(A/B)が、5/95〜80/20である請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項8】
前記グラフト共重合の反応溶液における、前記天然高分子、前記天然高分子誘導体及び前記水溶性単量体の合計の濃度が、10〜50質量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項9】
前記グラフト共重合体の重量平均分子量が、1万〜300万である請求項1〜8のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項10】
前記グラフト共重合体は、開始剤として過硫酸塩を用い、50℃以上で重合反応を行うことにより得られる請求項1〜9のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項11】
前記グラフト共重合体は、前記アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的又は逐次的に添加しながらグラフト共重合させることにより得られる請求項3に記載の皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤。
【請求項13】
前記皮膚洗浄剤が、全身用、洗顔用、又は手洗い用である上記請求項12に記載の皮膚洗浄剤。
【請求項14】
前記水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体の含有量が、5〜60モル%の範囲である請求項12に記載の皮膚洗浄剤。
【請求項15】
OH基を有する天然高分子及び/又は天然高分子誘導体を、水に溶解させ水溶液とする工程と、
前記水溶液中で、カチオン性水溶性単量体と(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体とをグラフト共重合させる工程と、
を含む皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
【請求項16】
前記グラフト共重合させる工程において、連鎖移動剤を前記水溶液に添加する請求項15に記載の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
【請求項17】
前記グラフト共重合させる工程において、開始剤として過硫酸塩を前記水溶液に添加する請求項15又は16に記載の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。
【請求項18】
前記カチオン性水溶性単量体が、少なくともジアリルジメチルアンモニウムクロリドであり、
前記(メタ)アクリル系非イオン性水溶性単量体が、少なくともアクリルアミドであり、
前記グラフト共重合させる工程において、前記アクリルアミドの少なくとも一部を、連続的又は逐次的に、前記水溶液に添加する請求項15〜17のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤用添加剤の製造方法。

【公開番号】特開2012−6882(P2012−6882A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145744(P2010−145744)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】