説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】肌への塗布性を向上して、肌上での優れた洗浄力を実現する。
【解決手段】本発明の皮膚洗浄剤組成物は、HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤15〜30質量%、HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤1〜15質量%、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤10〜40質量%、分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤10〜40質量%、分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤10〜30質量%、(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体0.05〜1.0質量%、水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩0.001〜2.0質量%、水を含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メイクアップ化粧料の多様化や消費者のニーズに応じて、種々の皮膚洗浄剤組成物が開発されている。例えば、特許文献1〜4に記載されるような水で濡れた皮膚に使用できるクレンジング化粧料が知られている。
【0003】
また、特許文献5には、油性成分、親水性非イオン界面活性剤、親油性両親媒性物質、水溶性溶媒、及び水を特定の割合で含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物が記載されている。
【0004】
また、特許文献6〜8には、ウォータープルーフタイプのマスカラに対する洗浄力に優れるクレンジング組成物が記載されている。
【0005】
また、特許文献9には、毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓を溶解する効果に優れ、角栓除去効果を高めたO/W型エマルジョンの洗浄剤組成物が記載されている。
【0006】
また、特許文献10には、特定の水溶性のポリマー(カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩)を水性の溶剤に溶解し、水溶性塩と液状油剤とを組み合わせることにより、良好なマッサージ性とマッサージ性の持続する液性で、優れた洗浄性の皮膚洗浄剤が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−26791号公報
【特許文献2】特開2004−2292号公報
【特許文献3】特開2004−75566号公報
【特許文献4】特開2004−238376号公報
【特許文献5】特開2004−217640号公報
【特許文献6】特開2008−184413号公報
【特許文献7】特開2008−184414号公報
【特許文献8】特開2008−184415号公報
【特許文献9】特開2011−12252号公報
【特許文献10】特開2010−280597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献記載の技術は、ウォータープルーフタイプのマスカラなど、落ちにくいメイクアップ化粧料の洗浄に関して、未だ改善の余地があった。
【0009】
特許文献1〜4記載の技術では、洗浄剤の連続相(外相)が油であることから、すすぎ時に油っぽく、すすぎ後に油性感が残りやすい。
【0010】
特許文献5に記載されるような、バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤は、油相にも水相も連続相を形成できることから、ファンデーションなどの粉体汚れ、及び、水溶性汚れのいずれにも高い洗浄作用を有し、特に従来の洗浄剤が容易に洗浄できなかったウォータープルーフタイプのマスカラなどの耐水性、耐油性に優れた油性汚れに対し、油性感なくすっきりとすすぐことができる。また、特許文献6〜8に記載される洗浄剤も高い洗浄作用を有し、すっきりとすすぐことができる。
【0011】
しかしながら、特許文献5〜8記載の皮膚洗浄組成物では、粘度が非常に低くたれやすいため、肌上に十分に塗布し難いという問題があった。そのため、肌上では、バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤が本来備える洗浄力を十分に発揮させることができていなかった。
【0012】
特許文献5〜8記載の技術に対し、粘度を高めるため水溶性ポリマーを加えることが考えられる。しかし、バイコンティニュアス構造は微妙なバランスで成り立っているため、単に水溶性ポリマーを加えただけでは、特許文献9で示すように、O/W型エマルジョンとなり、製品として安定なバイコンティニュアス構造を形成させることができない。
【0013】
特許文献10記載の皮膚洗浄剤は、界面活性剤の量が少なく、バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤を開示するものではない。
【0014】
本発明の課題は、安定なバイコンティニュアス構造を有し、肌への塗布性及び伸び性に優れ、かつ、多少の水が混入しても相が変化せず、高い洗浄力を有する洗浄剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、特定の種類の非イオン界面活性剤、油剤、水溶性溶剤を特定量水に含有する組成において、特定のポリマーと特定の水溶性塩とを特定量配合させることで、安定性に優れ、肌への塗布性に優れたバイコンティニュアス構造を有する皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出した。また、この皮膚洗浄剤組成物では、多少の水の混入があっても相が変化せず、伸び性にも優れることを新たに見出した。
【0016】
本発明は、
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H):
(A)HLBが9より大きく20以下である非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、安定なバイコンティニュアス構造を有し、しかも肌への塗布性及び伸び性に優れ、かつ、多少の水が混入しても相が変化せず、高い洗浄力と良好なすすぎ性とを両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で用いる成分(A)の非イオン界面活性剤は、HLBが9より大きく20以下のものである。本明細書において、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、次のグリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
【0019】
HLB価=E/5
E:界面活性剤分子中に含まれるポリオキシエチレン部分の質量%
【0020】
本発明に用いる成分(A)の非イオン界面活性剤は、HLBが9より大きく20以下のもの、好ましくはHLBが10以上17以下であれば、特に限定されず、例えば、炭素数8〜22の脂肪酸エステル又は、炭素数8〜22の高級アルコールのエーテルからなり、親水性の官能基としては、水酸基、エチレンオキサイド基を有するものである。
【0021】
成分(A)の具体的ものとしては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリアルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。
中でも、洗浄性の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドが優れている。
特に、油性汚れに対する洗浄性の面で、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドが好ましい。
【0022】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、バイコンティニュアス構造の安定性の観点から、2〜5種を組み合わせて用いることが好ましい。更に詳しくは、直鎖アルキル鎖を有する界面活性剤と、分岐又は不飽和基を有するアルキル基を有する界面活性剤を組み合わせることが好ましい。また、親水基にポリオキシエチレン鎖のみを有する界面活性剤と、グリセリンや糖骨格を有する界面活性剤とを組み合わせることが好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びアルキルポリグルコシドのいずれか1種以上とを含むことが好ましい。さらには、低温における安定性を向上させるという観点から、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとポリエチレングリコール脂肪酸エステルとを含む組み合わせを用いると好ましく、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びアルキルポリグルコシドをすべて含むことが特に好ましい。
【0023】
成分(A)の含有量は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に15〜30質量%である。これにより、残留感なくすっきりと洗い流すことができる。更には、本発明の皮膚洗浄剤組成物中17〜20質量%含有するのがより好ましい。この範囲内であれば、メイクとのなじみが良好で汚れを浮き上がらせることができ、しかもべたつかず残留感なくすっきりと洗い流すことができる。
【0024】
成分(A)は、洗浄剤がバイコンティニュアス構造を形成する観点から、シリコーン系界面活性剤の含有量は、皮膚洗浄剤組成物中に1質量%以下が好ましいが、0.1質量%以下がより好ましく、シリコーン系界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
【0025】
本発明に用いる成分(B)の非イオン界面活性剤は、HLBが5以上9以下のものである。HLBは、前述のとおり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。成分(B)のHLBは、成分(A)との組み合わせバイコンティニュアス構造を作る関係で5以上8以下が好ましい。
成分(B)の具体的なものとしては、オレイン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリン2−エチルへキシルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル等のポリグリセリンアルキルエーテル;ポリエチレングリコール(5)モノステアリン酸エステル等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。特に、バイコンティニュアス構造を形成し、安定性を向上させる観点から分岐又は不飽和基を有するアルキル基を有する界面活性剤であることが好ましく、オレイン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリルグリセリルエーテルが好ましい。なお、成分(B)は、洗浄剤がバイコンティニュアス構造を形成する観点から、シリコーン系界面活性剤の含有量は、皮膚洗浄剤組成物中に1質量%以下が好ましいが、0.1質量%以下がより好ましく、シリコーン系界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
【0026】
成分(B)は、1種以上を用いることができる。成分(B)の含有量は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に1〜15質量%であるが、十分な洗浄力を実現する観点から2〜10質量%が好ましく、更には2.5〜5質量%が好ましい。
【0027】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中、成分(A)と成分(B)との合計質量に対する成分(B)の質量比((B)/((A)+(B)))は、0.05〜0.21が好ましく、0.1〜0.2であるのが、温度に対するバイコンティニュアス構造の安定性の観点からより好ましい。下限を0.10以上にすることは、高温に対する安定性向上の観点から好ましい。
【0028】
本発明に用いる成分(C)は、(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤である。ここで、成分(C)の粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定するものである。このような粘度の低い油剤は、細かな部分への浸透性が高く汚れの溶解性も高いため、洗浄力が高く、油性マスカラなどの油性メイク汚れに対して優れた洗浄力を有する。また、強い油性感を伴わず、使用感も良好である。成分(C)は、20℃で液状であることが上記理由から洗浄性が高いので好ましい。
【0029】
かかる油剤としては、通常化粧料に使用される液状油の中で、上記条件を満たすものを用いることができる。
成分(C1)の炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワランなどを用いることができる。これらの中で、流動イソパラフィン、特に、水添ポリイソブテンが好ましく、イソブテンの重合度が3〜6であるものが、油性汚れに対する洗浄性能の点で好ましい。
【0030】
また、成分(C2)のエステル油としては、例えば、イソステアリン酸コレステリルエステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクタデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(2−エチルヘキサン酸)グリセリン、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンなどを用いることができる。特に結晶が析出し難い点から分岐アルキル鎖を有するエステル油が好ましい。
【0031】
また、成分(C3)のエーテル油としては、アルキル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ジオクチルエーテル、ノニルフェニルエーテル等のエーテル油を用いることができる。
【0032】
成分(C)の油剤としては、中でも洗浄性能の観点から、分子量300以下の油剤が好ましい。これに該当するものとして、具体的には、成分(C1)としては、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン、成分(C2)としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、成分(C3)としては、ジオクチルエーテル等が挙げられる。更にすすぎ性能の観点から、成分(C1)と成分(C2)との組み合わせが好ましく、イソパラフィン、特に流動イソパラフィンとミリスチン酸イソプロピルとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0033】
成分(C)の油剤の含有量は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に10〜40質量%であるが、15〜30質量%であれば、十分な洗浄力を持ったまま、残留感なくすっきりと洗い流すことができるため特に好ましい。
【0034】
成分(C)の油剤は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中、成分(C2)のエステル油と成分(C3)のエーテル油との合計質量に対する成分(C1)の質量比((C1)/((C2)+(C3)))は、0.3〜3が好ましく、温度安定性の観点から0.5〜2がより好ましい。特に、全成分(C)中ミリスチン酸イソプロピルを5質量%以上含有することが温度安定性の観点から特に好ましい。
【0035】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中、成分(A)に対する成分(C)の質量比((C)/(A))は、0.5〜2が好ましく、0.5〜1.5が好ましいが、さらには、0.8〜1.2であるのが、十分な洗浄力を持ったまま、残留感なくすっきりと洗い流すために好ましい。
【0036】
成分(D)の水溶性溶剤は、分子内に水酸基を3以上有するものである。具体的には、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン類;ソルビトール、マルチトール、マルトース、フラクトース、キシリトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、グルコース等の糖類;メチルグルコシド、エチルグルコシド等の糖誘導体などが挙げられる。成分(D)は、本発明のバイコンティニュアス構造を得るための溶剤として機能する。これらのうち、特に、多量に含んでもバイコンティニュアス構造を維持でき、保湿効果を高める観点からグリセリン、ソルビトール、マルチトールが好ましい。さらには、グリセリン、ソルビトールが、すすぎ性の観点から好ましい。
【0037】
成分(D)は、1種以上を用いることができるが、2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
【0038】
成分(D)は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に10〜40質量%含有するが、特に21〜30質量%含有すると、十分な洗浄力を発揮し、残留感なくすっきりと洗い流すことができるので好ましい。
【0039】
成分(E)の水溶性溶剤は、分子内に1又は2の水酸基を有するものである。具体的には、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール等のグリコール類などが挙げられる。成分(E)は、本発明のバイコンティニュアス構造を得るための溶剤として機能する。これらのうち、分子内に2のヒドロキシル基を有するものが好ましく、特に、低温から高温にかけての温度安定性の観点から1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0040】
成分(E)は、1種以上を用いることができる。成分(E)の含有量は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に10〜30質量%であるが、好ましくは11〜15質量%にすると、幅広い温度範囲での安定性と残留感なくすっきりとした洗い流し性を実現できるので好ましい。
【0041】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中、成分(E)に対する成分(D)の質量比((D)/(E))は、1〜2.5が好ましい。成分(D)は、皮膚洗浄剤組成物全体の見かけの疎水性を高めている。この結果、水が混入した際、バイコンティニュアス構造を維持するための、バランスを調整する観点から好ましい。
【0042】
本発明に用いる成分(F)は、(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー((メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む水溶性ポリマー)及びアクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の成分である。成分(F)は、本発明の皮膚洗浄剤組成物の粘度を上げ、皮膚に塗布した際、液が垂れ難くでき、汚れとよく混合できるため、洗浄し易くすることが出来る。
【0043】
(メタ)アクリル酸の構成単位を含む水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸をモノマーとして合成したものであり、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体であり、アクリル酸とアルキル(C10〜30)メタクリル酸エステルの架橋型共重合体で、市販品としては例えば、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−1、カーボポールETD2020(Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
【0044】
成分(F)の(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマーは、アルカリ剤を用いて(メタ)アクリル酸の単位の全部または一部を中和して使用することが好ましい。中和するアルカリ剤としては通常化粧料に配合可能なアルカリ剤であれば特に限定はされず、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を使用することができる。アルカリ剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に0.01質量%以上、1.0質量%以下含有し、本発明の皮膚洗浄剤組成物のpHを5.5〜9、特に6〜8に調整するのが好ましい。
【0045】
成分(F)のアクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体としては、市販品としては例えば、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーで、Aristoflex AVC(クラリアント社製)等が挙げられる。アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に0.01質量%以上、1.0質量%以下を含有することが好ましく、上記のアルカリ剤により本発明の皮膚洗浄剤組成物のpHを4〜9、特に5〜7に調整して用いるのが好ましい。
【0046】
成分(F)の(メタ)アクリル酸をモノマーの構成単位として含む水溶性ポリマー、又はアクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
なお、成分(F)としては、後述する成分(G)との相互作用により、洗浄剤を皮膚に伸ばし、汚れとなじませる際、伸ばす方向に対し、垂直方向に弾力が生じるため、非常に伸ばし易くなるので、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が特に好ましい。
【0048】
成分(F)は、1種以上を用いることができ、組成物の液性を制御する観点から、0.05〜1.0質量%含有されるが、好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%含有される。
【0049】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中、成分(A)と成分(B)との合計質量に対する成分(F)の質量比((F)/((A)+(B)))は、0.001〜0.06が好ましく、温度安定性の観点から下限を0.003以上とすることがより好ましく、すすぎ性の観点から上限を0.045以下とすることがより好ましい。
【0050】
本発明に用いる成分(G)は、水溶性の無機塩及び炭素数1〜8の有機塩から選ばれる1種又は2種以上の成分である。ここでいう水溶性とは、20℃で100gの水に5g以上溶解するものをいう。成分(G)の水溶性塩は、水和し溶解することから皮膚洗浄剤組成物全体の見かけの疎水性を高めている。この結果、水が混入した際、バイコンティニュアス構造を維持するための、バランスを調整している。また、成分(F)によるバイコンティニュアス構造の影響を小さくする方向にも働く。
【0051】
具体的には、水溶性の無機塩としては、アルカリ金属の金属水酸化物及びアンモニウムと塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリリン酸、ピロリン酸、炭酸との塩が挙げられ、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などが挙げられる。
【0052】
水溶性の炭素数1〜8の有機塩としては、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸等の各酸とアルカリ金属、アンモニウム等との塩が挙げられ、クエン酸1ナトリウム、クエン酸2ナトリウム、クエン酸3ナトリウム、乳酸カリウム、コハク酸アンモニウム、リンゴ酸カリウムなどが挙げられる。炭素数6以下のものがより好ましく、アミノ酸や、分子内塩を構成する化合物は含まないことが好ましい。
【0053】
この中で、安定性の観点から、水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましく、水溶性の炭素数1〜8の有機塩としては、水酸基を有する多価酸とアルカリ金属との塩が好ましく、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸とナトリウムやカリウムとの塩がより好ましい。皮膚洗浄剤組成物の液性を向上させるという観点から、成分(G)として無機塩を用いると特に好ましい。
【0054】
成分(G)の水溶性塩は、1種以上を用いることができ、本発明の皮膚洗浄剤組成物のバイコンティニュアス構造を形成するためのバランスを調整し水の混入によっても構造を維持させる観点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中0.001〜2.0質量%含有されるが、好ましくは0.005〜1.0質量%、より好ましくは0.01〜1.0質量%含有される。
【0055】
成分(F)に対する成分(G)の質量比((F)/(G))は、0.1〜10が好ましく、1〜7であるのがより好ましく、2〜7であるのが更に好ましい。この範囲であれば、成分(G)により成分(F)の水溶性ポリマーは組成物中で収縮し、洗浄剤を塗布し伸ばす際、垂直方向に弾力が生じるため、非常に伸ばし易くなる。また、濡れた手や肌などから混入したわずかな水により組成物中の成分(G)の濃度が希釈され、成分(F)の水溶性ポリマーが広がり、増粘作用を示すことができる。したがって、使用時に手や肌が濡れていても組成物の粘度が著しく低下することがなく、問題なく使用することができる。水が混入した際の塗布時の伸び性に優れた液性を維持する観点から、2〜7であるのが好ましい。下限を2以上とすることで、よりいっそう伸び性に優れた皮膚洗浄剤とすることができる。また、上限を7以下とすることで、塗布性に優れた皮膚洗浄剤とすることができる。
【0056】
成分(H)の水は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、そして、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%含有されるのが、十分な洗浄力を持ったまま、残留感なくすっきりと洗い流せるので好ましい。
【0057】
また、成分(D)、(E)及び(H)は、合計で本発明の皮膚洗浄剤組成物中に40〜80質量%、特に45〜70質量%含有するのが、十分な洗浄力とさっぱりすすげることの両立を実現するので好ましい。
【0058】
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、更に成分(C)以外の油剤を含むことができる。具体的には、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のメチルシクロポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;オリーブ油等の動植物油を含むことができる。しかし、上記成分(A)〜(F)で構成されるバイコンティニュアス構造を壊さない範囲で含有することが好ましい。
【0059】
なお、成分(C)以外の油剤を2種以上の油剤を組み合わせて用いる場合には、30℃における粘度が30mPa・sを超える油剤を1種以上用いることもできるが、その場合、成分(C)の油剤と混合された油剤組成物の粘度が、30℃において30mPa・s以下になるよう2種以上の油剤を組み合わせる。
【0060】
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、成分(A)〜(G)以外に、更に洗浄剤に通常用いられる成分、例えば増粘剤、殺菌剤、保湿剤、湿潤剤、着色剤、防腐剤、感触向上剤、香料、抗炎症剤、美白剤、制汗剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種の抽出液等を、適宜含有させることができる。ただし、温度に対して安定なバイコンティニュアス構造を得るという観点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物には、イオン性の界面活性剤は0.5質量%以下が好ましく、更には0.05質量%以下が好ましく、含まないことがより好ましい。
【0061】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(B)の質量比((B)/((A)+(B)))が、0.05〜0.21であり、好ましくは、0.1〜0.2である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0062】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(F)の質量比((F)/((A)+(B))が0.001〜0.06であり、好ましくは0.003〜0.045である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0063】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(E)に対する前記成分(D)の質量比((D)/(E))が0.1〜2.5である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0064】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(G)に対する前記成分(F)の質量比((F)/(G))が、0.1〜10であり、好ましくは1〜7であり、更に好ましくは2〜7である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0065】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(C2)及び前記成分(C3)の合計量に対する前記成分(C1)の質量比((C1)/((C2)+(C3)))が、0.3〜3であり、好ましくは0.5〜2である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0066】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(C)に対する前記成分(A)の質量比((C)/(A))が、0.5〜2であり、好ましくは0.5〜1.5である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0067】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤であり、好ましくはHLB10以上17以下の非イオン界面活性剤であり、更に好ましくは、非イオン界面活性剤2種以上組み合わせを有し、直鎖アルキル鎖を有する界面活性剤と、分岐又は不飽和基を有するアルキル基を有する非イオン界面活性剤を組み合わせることが好ましく、また、親水基にポリオキシエチレン鎖のみを有する界面活性剤と、グリセリンや糖骨格を有する界面活性剤とを組み合わせた非イオン界面活性剤
15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤であり、好ましくは、HLBが5以上8以下の非イオン界面活性剤
1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤であり、好ましくは、(C1)炭化水素油が流動イソパラフィンであり、(C2)エステル油が、分岐アルキル鎖を有するエステル油である油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0068】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物おいて、
成分(A)の含有量は、全組成中に15〜30質量%であり、更には17〜20質量%がより好ましい。
成分(B)の含有量は、全組成中に1〜15質量%であり、好ましくは2〜10質量%、更には2.5〜5質量%がより好ましい。
成分(C)の含有量は、全組成中に10〜40質量%であり、更には15〜30質量%がより好ましい。
成分(D)の含有量は、全組成中に10〜40質量%であり、更には21〜30質量%がより好ましい。
成分(E)の含有量は、全組成中に10〜30質量%であり、更には11〜15重量%がより好ましい。
成分(F)の含有量は、全組成中に0.05〜1.0質量%であり、好ましくは0.05〜0.8重量%、更には0.1〜0.5がより好ましい。
成分(G)の含有量は、全組成中に0.001〜2.0質量%であり、好ましくは、0.005〜1.0質量%、更には0.01〜1.0質量%がより好ましい。
成分(H)の含有量は、全組成中に5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、10〜30質量%が更に好ましい。
【0069】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 17〜20質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 2.5〜5質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
15〜30質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 21〜30質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 11〜15質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.1〜0.5質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.01〜1.0質量%、
(H)水
を含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0070】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、
(A)HLB10以上17以下の非イオン界面活性剤であり、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びアルキルポリグルコシドを含む非イオン界面活性剤
17〜20質量%、
(B)HLBが5以上8以下である非イオン界面活性剤であり、イソステアリン酸ジグリセリル、及び/又はイソステアリルグリセリルエーテルである非イオン界面活性剤
2.5〜5質量%、
(C)(C1)水添ポリイソブテンと、(C2)ミリスチン酸イソプロピルとから構成される油剤
15〜30質量%、
(D)グリセリン及び/又はソルビトール 21〜30質量%、
(E)1,3−ブチレングリコール、及び/又はジプロピレングリコール
11〜15質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー
0.1〜0.5質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.01〜1.0質量%、
(H)水
を含有し、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(B)の質量比((B)/((A)+(B)))が、0.1〜0.2であり、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(F)の質量比((F)/((A)+(B)))が、0.003〜0.045であり、
前記成分(E)に対する前記成分(D)の質量比((D)/(E))が、0.1〜2.5であり、
前記成分(G)に対する前記成分(F)の質量比((F)/(G))が、1〜7好ましくは2〜7であり、
前記成分(C2)及び前記成分(C3)の合計量に対する前記成分(C1)の質量比((C1)/((C2)+(C3)))が、0.5〜2であり、
前記成分(C)に対する前記成分(A)の質量比((C)/(A))が、0.5〜1.5である、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物とすることができる。
【0071】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、混合する順序によらず、常温で固体の原料については一度溶解した後に、全成分を均一に混合することにより製造することができる。例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、成分(H)水に、成分(F)を分散させ、好ましくは70℃以上に加熱して、均一にする。また、20℃で固体の原料又は常温で他の成分との混合によってゲルを生成する原料については、加熱溶融し、あるいは、ゲルを形成しない他の成分に溶解する。次に、25℃まで冷却して、他の成分を更に混合して、均一にすることで、洗浄剤を得ることができる。
【0072】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、特にクレンジング剤、洗顔料等として適用するのが好ましい。また、本発明の皮膚洗浄剤組成物を不織布等の基材に含浸させたシート状物品とし、メイクアップ汚れや皮脂汚れを拭き取って使用することができる。
【0073】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有するものである。バイコンティニュアス構造である等方性一液相とは、水及び油の両方が連続相をなし、光学的に等方性の透明又は半透明の低粘度の溶液である。具体的にはミドル相(あるいはD相)、スポンジ相(あるいはL3相)を指す。
【0074】
また、本発明において、皮膚洗浄剤組成物がバイコンティニュアス構造である等方性一液相を有することは、外観の観察、光学偏光顕微鏡による観察、相図の作成、NMRによる自己拡散係数の測定、電気伝導度測定、蛍光色素を用いた蛍光プローブ法、凍結割断レプリカ法による電子顕微鏡(TEM、SEMなど)の観察等によって確認できる。
【0075】
バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤は、その外観が透明又は半透明の液状であるので、外観の判定により、バイコンティニュアス構造である等方性一液相とその他の溶液を区別することが可能である。なお、本発明でいう透明又は半透明とは、波長550nm、セル長0.5mmで測定したときの光透過率が20%以上のものをいう。また、液状とは、30℃における粘度が10000mPa・s以下の状態をいう。
【0076】
また、2枚の偏光板の偏光方向を直交に設置し、その間に透明な容器に入れたサンプルを置いたときに、光の透過がないことにより等方性であることを確認することもできる。さらに、光学偏光顕微鏡を用いて観察すると、偏光板の角度を90度にしたときに光の透過がないことにより、等方性であることを確認することができる。
【0077】
水相(水及び水溶性溶媒)、油相(油性成分)、及び界面活性剤相(親水性非イオン界面活性剤及び親油性非イオン界面活性剤)からなる擬3成分相平衡図を用いる場合は、その相図上で等方性一液状態であり、かつ水相あるいは油相の頂点から連続している領域でない等の特徴から確認することができる。ただし、用いる物質、水相の組成、界面活性剤相の組成によって適応できない場合もある。
【0078】
NMRによる自己拡散係数の測定は、B. Lindmanらにより、J. Colloid Interface Sci. 1981, 83, 569に詳しく記載されている方法である。電気伝導度の測定は、M. Clausseらにより、"Microemulsion Systems" Marcel Dekker, New York, 1987, 387に詳しく記載されている方法である。蛍光色素を用いた蛍光プローブ法による測定は、B. K. Mishraらにより、Colloid Surface 1991, 56, 229に詳しく記載されている方法である。
【0079】
凍結割断レプリカ法による電子顕微鏡の観察により、水相および油相が連続相を形成しているイメージを得ることができる。具体的には、全体にわたり丸みを帯びた部分と、やや平面的な部分が網目状に絡み合う構造体、あるいは無秩序に連なった層状構造体が見られる。この観察により、水相、あるいは油相のみが連続相を形成しているマイクロエマルションでないことを確認することができる。
【0080】
また、洗浄剤組成物がバイコンティニュアス構造を有することの最も簡便な確認方法としては、水相と油相が連続相をなしていることを利用し、水溶性染料を水に溶解した液、及び油溶性染料を油に溶解した液を静置した試験液に加え、1昼夜静置後、試験液の呈する着色状態から確認できる。水相が連続相を成している場合は水溶性染料の色を呈する。油相が連続相を成している場合は油溶性染料の色を呈する。バイコンティニュアス構造を有する組成物では、水溶性染料と油溶性染料の両方の色を呈する。
【0081】
本発明の皮膚洗浄剤組成物の粘度は、好ましくは、30℃において100〜2000mPa・sであり、より好ましくは300〜1500mPa・sであり、特に好ましくは450〜1200mPa・sである。これにより、メイクへの密着性が向上して洗浄力を向上させるとともに、使用時には液垂れがなくなり、使い勝手良く使用することができる。なお、本発明の皮膚洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計(ローターM−2、12rpm、1分間)により測定される。
【0082】
また、水が混入しても洗浄力が低下しないためには、水に希釈された際も、メイクに密着することができる粘度を有することが必要である。このためには、本発明の皮膚洗浄剤組成物の質量に対して1.25倍の水で希釈したときの粘度は、希釈前粘度に対して1倍以上であることが好ましく、1.05倍以上1.5倍以下であることがより好ましい。これにより、水に濡れた手や肌で使用する場合も低粘度化しないため、メイクへの密着性が低下せず、液だれの懸念もなくなり、好ましい。具体的には、本発明の皮膚洗浄剤組成物の質量に対して1.25倍の水で希釈したときの30℃における粘度が100mPa・s以上であることが好ましい。
【0083】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、水で希釈された場合もバイコンティニュアス構造である等方性一液相を有することが好ましい。これにより、水に濡れた肌や手で使用した場合も高い洗浄力を維持することができる。前述のとおり、外観の判定により、バイコンティニュアス構造である等方性一液相とその他の溶液を区別することが可能である。具体的には、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚洗浄剤組成物の質量に対して1.25倍の水で希釈したときの外観が透明又は半透明の外観を呈することが好ましい。なお、前述のとおり、本発明でいう透明又は半透明とは、550nmで測定したときの光透過率が20%以上のものをいう。
【0084】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0085】
実施例1−16、比較例1−6
下記の製法に沿って表1−3に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、評価した。なお表中各成分の含有量の単位は、皮膚洗浄剤組成物全体に対する質量%である。
【0086】
(製法)
成分Cに成分Fを分散させ、得られた混合物を、80℃に加熱した成分Hに加えて攪拌した。ついで、水酸化カリウムを加えpHを約7にした。成分Hと成分Cと成分Fとを均一に混合させた後、25℃まで冷却し、順次成分A、成分B、成分D、成分E、成分Gを加え、均一にし、皮膚洗浄剤組成物を製造した。
【0087】
(評価)
1.室温(25℃)での状態
各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物がバイコンティニュアス構造を有するかどうかは、水溶性色素である青色1号(0.1%水溶液)と、油溶性色素である赤色103号(赤色)(0.1%流動パラフィン溶液)とを実施例および比較例に静置状態で1滴添加し、1昼夜静置後、呈色状態を確認した。青色に着色した場合は、連続相が水性溶媒であることが確認される。また、赤色に着色した場合は、連続相が油性溶媒であることが確認される。また、紫色に着色(赤色と青色の混色)した場合は、連続相が水性溶媒と油性溶媒であることが確認され、バイコンティニュアス構造であることが確認される。
実施例1−16の皮膚洗浄剤組成物は、油溶性色素を加えると赤色に着色し、水溶性色素を加えると青色に着色し、油溶性色素と水溶性色素との両方を加える紫色に着色した。したがって、実施例1−16の皮膚洗浄剤組成物は、バイコンティニュアス構造を有するものと確認された。
【0088】
2.粘度
(1)成分(C1)、(C2)及び(C3)の油剤の粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定した。
(2)各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物の粘度は、装置として、TVB−10M(東機産業社製)、ローターNo.M−2、12rpm、1分間を用いて30℃における粘度をそれぞれ測定した。結果を表1−3に示す。
【0089】
3.水で1.25倍希釈したときの外観
装置として、UV−1800(島津社製)を用い、光路長0.5mmセルに、各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物をそれぞれ加え、波長550nmにおける透過率を測定した。80%を超えるものを透明とし、20〜80%を半透明とし、20%より低いものを不透明とした。結果を表1−3に示す。
【0090】
4.洗浄力
ウォータープルーフタイプのマスカラ(メイベリン社製、ボリューム エクスプレス ハイパーカール ウォータープルーフ)10mgを専門パネラー1名の腕に塗布して1時間後、各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物をそれぞれ約100mgずつとり、一定の力、速さで10回マッサージを行い、30℃の水ですすいだ後、以下の基準で評価した。結果を表1−3に示す。
◎;非常によく落とせた。
○;よく落とせた。
△;やや落とせた。
×;ほとんど落とせなかった。
【0091】
5.洗浄液の垂れ難さ
アクリル製平面板に84cmに0.7gの液を均一塗布し、平面板を垂直にした。30秒後に、板上部1/4の液を化粧綿でふき取って回収した。回収した液量の面積あたりの液量に対する、均一塗布したときの面積あたりの液量(8.3mg/cm)の比から、以下の基準で評価した。結果を表1−3に示す。
◎:80%以上
○:79%〜70%
△:69〜50%
×:50%以下
【0092】
6.伸び性
各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物それぞれ1gずつとり、専門パネラー1名の前腕に塗布して、一定の力、速さでマッサージを行い、以下の基準で評価した。結果を表1−3に示す。
◎:非常にのびがよい
○:のびがよい
△:ややのびがよい
×:のびが悪い
【0093】
7.すすぎ性
各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物をそれぞれ約2gずつ専門パネラー1名の前腕部に塗布し、30℃の水で洗い流したときのすすぎやすさを、以下の基準で評価した。結果を表1−3に示す。
◎;ぬめり感が非常に速くなくなり、流しやすい。
○;ぬめり感が速くなくなり、洗い流しやすい。
△;ぬめり感がややなくなりにくく、洗い流しにくい。
×;ぬめり感がのこり、洗い流すことができない。
【0094】
8.安定性:
各実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物をそれぞれ蓋付きガラス容器に入れ、各温度で1日保存し、以下の基準で評価を行った。結果を表1−3に示す。
○;変化なし。
×;分離。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
表1−3の結果から、実施例の皮膚洗浄剤組成物は、肌への塗布性及び伸び性に優れ、かつ、高い洗浄力と良好なすすぎ性とを両立することができることが示された。
【0099】
なお、実施例の皮膚洗浄剤組成物では、いずれもファンデーションや水性マスカラの洗浄力も優れることも確認されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HLBが9より大きく20以下の非イオン界面活性剤 15〜30質量%、
(B)HLBが5以上9以下である非イオン界面活性剤 1〜15質量%、
(C)(C1)炭化水素油と、(C2)エステル油及び/又は(C3)エーテル油とから構成され、30℃における粘度が30mPa・s以下の油剤
10〜40質量%、
(D)分子内に3以上の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜40質量%、
(E)分子内に1又は2の水酸基を有する水溶性溶剤 10〜30質量%、
(F)(メタ)アクリル酸を構成単位として含む水溶性ポリマー、及び/又は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体
0.05〜1.0質量%、
(G)水溶性の無機塩及び/又は炭素数1〜8の有機塩 0.001〜2.0質量%、
(H)水
を含有し、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(B)の質量比((B)/((A)+(B)))が、0.05〜0.21である、請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対する前記成分(F)の質量比((F)/((A)+(B))が、0.001〜0.06である、請求項1又は2に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(E)に対する前記成分(D)の質量比((D)/(E))が、0.1〜2.5である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記成分(G)に対する前記成分(F)の質量比((F)/(G))が、0.1〜10である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記成分(C2)及び前記成分(C3)の合計量に対する前記成分(C1)の質量比((C1)/((C2)+(C3)))が、0.3〜3である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(H)水の含有量が30質量%以下である、請求項1乃至6いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項8】
該皮膚洗浄剤組成物の30℃における粘度が、100〜2000mPa・sである、請求項1乃至7いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項9】
該皮膚洗浄剤組成物を水で1.25倍希釈したとき、30℃における粘度が100mPa・s以上であり、かつ、外観が透明又は半透明である、請求項1乃至8いずれか1項に記載の皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−32348(P2013−32348A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149857(P2012−149857)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】