説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】起泡性及びすすぎ性に優れ、皮脂洗浄性の高い皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩であって、R1の平均炭素数が10.8〜12.8であり、n=0の成分を9.6質量%を超え27質量%以下、n=1の成分とn=2の成分を合計で21質量%以上40質量%未満含むアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
(B)一般式(2)
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
(式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が2以上4未満であり、Yは水素原子、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す)
で表されるアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
を含有する皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日本を含むアジア地域では、全身洗浄などの皮膚洗浄剤として、古くから石鹸が主流である。石鹸は、良好な泡立ち、クリーミーな泡質に加え、すすぎ時のきしみ感触が、それらの地域の消費者に好まれている。しかしながら、肌がつっぱりやすいなど、皮膚への温和さなどに課題があった(非特許文献1)。
【0003】
一方、アルキルエーテル硫酸塩は、欧米を中心に全身洗浄などの皮膚洗浄剤として使用されている。しかしながら、アルキルエーテル硫酸塩は泡質がバブリーで、すすぎ時にぬるぬるとした感触を与えるため、日本やアジア地域では受け入れ性が低いものである(特許文献1)。また、石鹸よりは比較的皮膚に温和であるが、十分なものではない。
【0004】
さらに、アルキルエーテルカルボン酸系界面活性剤は、肌に対して低刺激な界面活性剤として知られているが、泡立ちが悪い、すすぎ時にぬるぬるとした感触を与えてしまうなどの課題があった。
これらの課題を解決するため、特定のエチレンオキサイドの付加モル分布を有するエーテルカルボン酸系界面活性剤を含有する洗浄剤組成物(特許文献2)や、カチオンポリマーと組み合わせた洗浄剤組成物(特許文献3)などが検討されている。しかしながら、これらの洗浄剤組成物においても、それぞれ、効果が不十分であったり、系を複雑化して汎用性に劣ってしまうなど課題があった。
【0005】
また、アルキルエーテル硫酸塩等の他の界面活性剤との併用も検討されている(特許文献4)が、泡立ちやすすぎについての効果が不十分である。さらに、これらの洗浄剤組成物から得られる泡は、水っぽく、全身など広範囲を洗うには、泡の広がりが悪いなどの課題もあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Surfactants in Cosmetics, Second Edition PP427
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第96/05798号パンフレット
【特許文献2】特開平2−175799号公報
【特許文献3】特開2009−263290号公報
【特許文献4】特開2008−285479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、肌に対して温和で、泡立ち、泡量、泡質および、すすぎ性に優れ、さらには得られる泡が肌の上で垂れにくく、広げやすい皮膚洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の分布を有するアルキルエーテルカルボン酸塩と、特定のアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩を組み合わせて用いれば、肌に対して温和で、泡立ち、泡量、泡質および、すすぎ性に優れ、さらには得られる泡が肌の上で垂れにくく、広げやすい皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0010】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)一般式(1)
【0011】
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
【0012】
(式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩であって、R1の平均炭素数が10.8〜12.8であり、n=0の成分を9.6質量%を超え27質量%以下、n=1の成分とn=2の成分を合計で21質量%以上40質量%未満含むアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
(B)一般式(2)
【0013】
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
【0014】
(式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が2以上4未満であり、Yは水素原子、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す)
で表されるアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
を含有する皮膚洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、肌に対して温和であり、泡立ち、泡量及び泡質に優れ、さらに、すすぎ性も良好なものである。また、本発明の皮膚洗浄剤組成物から得られる泡は、肌の上で垂れにくく広げやすいものであり、肌の洗浄に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で用いる成分(A)のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、一般式(1)で表されるものである。
式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基であり、炭素数6〜20のアルキル基、更に炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜16、更には炭素数10〜16のアルキル基がより好ましい。また、R1のアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良いが、起泡性の点から、直鎖アルキル基が好ましい。また、R1の平均炭素数は10.8〜12.8であり、好ましくは10.8〜12.5であり、より好ましくは12.1〜12.4である。この範囲内であれば、起泡性及び泡質、さらに低温安定性の点で優れるので好ましい。
また、R1は2種以上のアルキル基を含むことが好ましく、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であるのが好ましく、60〜95質量%がより好ましく、さらに70〜95質量%であるのが、泡量及び泡質に優れるので好ましい。
【0017】
また、式中、nは0〜20の数を示し、0〜12がより好ましい。なお、nは、エチレンオシキシドの付加モル数を示すが、成分(A)の組成中の平均付加モル数(nの平均値)は、泡立ちが良好である点から、1.5〜10が好ましく、2.5〜6.4がより好ましく、2.5〜3.7がさらに好ましく、2.5〜3.4がさらに好ましく、2.8〜3.4がさらに好ましく、2.8〜3.1がさらに好ましい。
成分(A)のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、一般式(1)において、n=0の成分を9.6質量%を超え27質量%以下、好ましくは9.8〜27質量%、より好ましくは9.9〜27質量%、更に好ましくは9.9〜16質量%、より好ましくは9.9〜15質量%含むものである。この範囲内とすることにより、泡量、泡質に優れる。
さらに、n=1の成分とn=2の成分を合計で21〜40質量%未満、好ましくは27〜37質量%、より好ましくは27〜36.5質量%、さらに好ましくは35〜36.1質量%含むのが、泡質、泡量の観点から好ましい。
【0018】
また、式中、Mとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウムなどが挙げられる。これらの中で、起泡性、低温安定性、経時での着色のなさの点から、アルカリ金属が好ましい。
【0019】
成分(A)のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、一般式(1)中、n=0、1、2、3、4の成分の質量割合が、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99〜3.50:0.89〜3.00:0.76〜3.00:0.63〜1.52であることが、起泡性、洗浄性、すすぎ時のきしみ感の両立性の点から、好ましい。
【0020】
また、一般式(1)中、n=0の成分を9.9質量%以上12質量%未満含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.53〜1.87:1.59〜2.25:1.33〜2.16:1.14〜1.52となるか、又は、n=0の成分を12質量%以上17質量%以下含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99〜1.34:0.89〜1.40:0.76〜1.23:0.63〜0.99となるのが、泡質、泡量の観点から好ましい。
【0021】
さらに、一般式(1)中、n=0の成分を9.9〜11.5質量%含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.58〜1.84:1.72〜2.17:1.49〜2.00:1.14〜1.52となるか、又は、一般式(1)中、n=0の成分を13〜15質量%含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.00〜1.31:0.93〜1.34:0.79〜1.18:0.63〜0.99となるのが、泡質、泡量の点から好ましい。
【0022】
成分(A)において、一般式(1)中、R1は炭素数4〜22のアルキル基であり、R1の平均炭素数は10.8〜12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、更に、nは0〜20の数を示し、nの付加モル数の平均値は、1.5〜10、さらには2.5〜6.4であり、n=0の成分を9.8〜27質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で27〜37質量%含有することが好ましい。また、式中、Mとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましい。このようにすることで、起泡を早めることができる。
【0023】
成分(A)において、一般式(1)中、R1は炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、R1の平均炭素数は10.8〜12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、更に、nは0〜20の数を示し、nの平均値は、2.5〜3.7であり、n=0の成分を9.8〜27質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で27〜37質量%含有することが好ましい。また、式中、Mとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましい。このようにすることで、起泡性を早めることができる。
【0024】
成分(A)において、一般式(1)中、R1は炭素数8〜18のアルキル基であり、R1の平均炭素数は10.8〜12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、更に、nは0〜20の数を示し、nの平均値は、2.5〜3.4であり、n=0の成分を9.9〜27質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で27〜36.5質量%含有することが好ましい。また、式中、Mとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましい。このようにすることで、すすぎ時のストップフィーリング性を強めることができる。
【0025】
成分(A)において、一般式(1)中、R1は炭素数8〜16のアルキル基であり、R1の平均炭素数は10.8〜12.5であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が60〜95質量%であり、更に、nは0〜20の数を示し、nの平均値は、2.8〜3.4であり、n=0の成分を9.9〜16質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で27〜36.5質量%含むものが好ましい。また、式中、Mとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましい。このようにすることで、泡量、泡質を向上させることができる。
【0026】
成分(A)において、一般式(1)中、R1は炭素数10〜16のアルキル基であり、R1の平均炭素数は12.1〜12.4であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が70〜95質量%であり、更に、nは0〜20の数を示し、nの平均値は、2.8〜3.1であり、n=0の成分を9.9〜15質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で35〜36.1質量%含むものが好ましい。また、式中、Mとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましい。このようにすることで、泡量、泡質、を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の成分(A)において、R1のアルキル鎖長の分布、R1の平均アルキル鎖長、n=0の成分量、nの平均付加モル数、n=0、1、2、3、4の成分の質量割合は、一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸をガスクロマトグラフィーによる分析を行い、以下のようにして求める。
【0028】
〔R1のアルキル鎖長の分布〕
ガスクロマトグラフィーより得られるピーク面積のうち、n=0モルに相当する各アルキル鎖長のピーク面積を求め、それらの総和を100とし、各アルキル鎖長分布の百分率を求めた。n=1〜3モルにおいても同様に計算し、n=0〜3モルの各アルキル鎖長分布の百分率の値を平均し、R1のアルキル鎖長の分布を求めた(これより、R1の組成のうち最も多く含有するアルキル基成分を特定できる)。
【0029】
〔R1の平均アルキル鎖長〕
上記のようにして求めたR1のアルキル鎖長の分布より、各成分の割合を求め、得られた割合に対応するアルキル鎖長分の炭素数を各々掛け、これらの総和を得た。これを平均アルキル鎖長とした。
【0030】
〔n=0の成分量、n=1の成分とn=2の成分の合計量〕
1の組成のうち、最も多く含有するアルキル鎖長を特定し、その成分のn=0〜10に相当するガスクロマトグラフィーの面積を合計した。その合計量を100%として、n=0の成分量、n=1の成分とn=2の成分の合計量を算出した。
【0031】
〔nの平均付加モル数〕
1の組成のうち最も多く含有するアルキル鎖長を特定し、その成分のn=0〜10に相当するガスクロマトグラフィーの面積を合計した(nが11以上のものは微量であり、計算から除いた)。その合計量を1として、n=0〜10の各々の割合を求めた。この割合に、各々の付加モル数を掛け、これらの合計をnの平均付加モル数とした。
【0032】
〔n=0、n=1、n=2、n=3、n=4の成分の質量割合〕
EO付加モル数の異なる各成分の質量割合に関しては、ガスクロマトグラフィーにより得られるピーク面積から、上記に示した方法でR1のアルキル鎖長の分布を求め、R1の組成のうち最大含有量のアルキル鎖長成分を特定し、その最大成分のn=0、n=1、n=2、n=3、n=4の面積比から特定した。
【0033】
成分(A)のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、前記のような組成を有するもので、すすぎの点から、全組成中に0.1〜30質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、更に、1〜15質量%含有されるのが好ましい。
【0034】
本発明で用いる成分(B)のアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩は、前記一般式(2)で表されるものである。
式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数12〜18、更に炭素数12〜14のアルキル基が好ましい。
また、式中、mは0〜20の数を示し、0〜12がより好ましい。mは、エチレンオキシドの付加モル数を示すが、成分(B)の組成中の平均付加モル数(mの平均値)は、2以上4未満であり、
2〜3.5であるのが、泡量の点で好ましい。
【0035】
Yとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、グルクアンモニウムが挙げられる。これらのうち、これらのうち、水への溶け易さ、なじみやすさの点から、アルカリ金属、アンモニウムが好ましい。
【0036】
成分(B)としては、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が好ましい。
また、EMAL 227、EMAL 270、EMAL 327(以上、花王社製)等の市販品を使用することができる。
【0037】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、泡量の点から、全組成中に0.1〜30質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、更に、1〜15質量%含有されるのが好ましい。
【0038】
成分(A)のみを洗浄剤組成物に配合した場合、泡がクリーミーで重いため、手又はタオルなどの道具で泡を広げにくい。一方、成分(B)のみを洗浄剤組成物に配合した場合、得られる泡はバブリーで、水っぽく、肌につけるとだらだらと垂れ落ちてしまう。また、すすぎ性が悪く、洗浄後に肌がつっぱりやすくなる。
本発明においては、これら成分(A)と成分(B)を組み合わせて用いることにより、肌に対して温和で、泡立ち、泡量及び泡質に優れ、すすぎ性も良好で、肌の上で垂れにくく、広げやすい泡を得ることができる。
本発明の洗浄剤組成物において、成分(A)及び(B)の質量割合は、(A):(B)=1:10〜10:1が好ましく、1:5〜5:1がより好ましく、更に1:2〜2:1が好ましい。
【0039】
本発明の皮膚洗浄剤組成物において、成分(A)と成分(B)の合計含有量は、取り扱いの容易さの観点から、全組成中に0.5〜40質量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(C)非イオン界面活性剤を含有することができ、肌に対する温和性に影響を与えることなく、泡量、泡質をさらに向上させることができる。
【0041】
成分(C)としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルグリセリルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド、アルキル脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグルコシドなどが挙げられる。
これらのうち、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグルコシドが、泡質、泡量の観点から好ましい。
また、アルキルグリセリルエーテルは、すすぎ性も良くなるのでさらに好ましい。
【0042】
成分(C)は、1種以上を用いることができ、泡量の点から、全組成中に0.1〜30質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、更に、1〜15質量%含有されるのが好ましい。
【0043】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に溶媒として水を含有することができる。水は、全組成中に、好ましくは10〜94.5質量%、より好ましくは15〜90質量%含有することができ、洗浄剤組成物を構成する前記成分及びその他成分の残部となる。
【0044】
本発明の皮膚洗浄剤組成物の好ましい対応としては、次の成分(A)及び(B):
(A)一般式(1)
【0045】
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
【0046】
(式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩であって、R1の平均炭素数が10.8〜12.8であり、nは0〜20の数を示し、nの平均値は2.5〜3.7であり、好ましくは2.5〜3.4、更には2.8〜3.4であり、n=0の成分を9.9質量%以上12質量%未満含み、好ましくは9.9〜11.5質量%であり、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が20〜36.5質量%であり、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.53〜1.87:1.59〜2.25:1.33〜2.16:1.14〜1.52であり、好ましくは、1:1.58〜1.84:1.72〜2.17:1.49〜2.00:1.14〜1.52である
アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
【0047】
(B)一般式(2)
【0048】
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
【0049】
(式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が2以上4未満であり、Yは水素原子、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す)
で表されるアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
を含有する皮膚洗浄剤組成物が好ましい。
【0050】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物の好ましい対応としては、次の成分(A)及び(B):
(A)一般式(1)
【0051】
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
【0052】
(式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩であって、R1の平均炭素数が10.8〜12.8であり、nは0〜20の数を示し、nの平均値は2.5〜3.7であり、好ましくは2.5〜3.4、更には2.8〜3.4であり、n=0の成分を12質量%以上17質量%以下含み、好ましくは13〜17質量%質量%であり、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が20〜36.5質量%であり、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99〜1.34:0.89〜1.40:0.76〜1.23:0.63〜0.99であり、好ましくは、1:1.00〜1.31:0.93〜1.34:0.79〜1.18:0.63〜0.99である
アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
(B)一般式(2)
【0053】
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
【0054】
(式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が2以上4未満であり、Yは水素原子、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す)
で表されるアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
を含有する皮膚洗浄剤組成物が好ましい。
【0055】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に、通常の洗浄剤に用いられる成分、例えば、成分(A)、(B)及び(C)以外の界面活性剤、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、パール化剤、スクラブ剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0056】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法により、配合成分を混合することにより製造される。得られる洗浄剤組成物は、液状又は固形状いずれでも良いが、液状である場合には、25℃において、B型粘度計(東京計器社製)で測定したときの粘度が200〜80000mPa・s であるのが好ましく、配合成分を適宜選択することにより調整することができる。
また、pHは、3〜12であり、更に5〜10.5、特に5〜7であるのが好ましい。なお、pHの測定は、25℃において、各洗浄剤組成物をイオン交換水で20倍に希釈して行った値である。
【0057】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、例えば、洗顔料、ボディーソープ、ハンドソープ等として好適であり、特にボディーソープが好ましい。
本発明の皮膚洗浄剤組成物を用いて皮膚を洗浄する方法は、例えば、以下のとおりである。すなわち、本発明の皮膚洗浄剤組成物を身体、つまり顔、手足、胴体などの身体皮膚部に適量を適用し、泡立てて洗浄した後、シャワー等の温水を利用してすすぐ方法である。また、タオル、スポンジ、ブラシ等の洗浄補助具に適量を適用し、泡立てて洗浄することもできる。
【実施例】
【0058】
本発明の皮膚洗浄剤組成物に用いる成分(A)のアルキルエーテルカルボン酸塩は、例えば以下のようにして製造することができる。
なお、断りのない限り「%」は質量%を示す。また、反応により生成した反応混合物中のアルキルエーテルカルボン酸のアルキル組成、EO付加モル分布及び各成分の比率は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下の分析方法で測定した。
【0059】
(GC分析条件)
GC機器;アジレントテクノロジー社製、7890A
カラム;アジレントテクノロジー社製、DB−5
(30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
検出器;FID
キャリア;ヘリウムガス、1mL/min
昇温条件;100℃から325℃まで5℃/minで昇温。その後、35分間325℃を保持。
【0060】
(サンプルの前処理方法)
アルキルエーテルカルボン酸塩150mgをメタノール50mLで溶解した。また、洗浄剤組成物については、アルキルエーテルカルボン酸塩として150mgとなるよう採取し、メタノール50mLで溶解した。なお、洗浄剤組成物がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などの強アニオン性の界面活性剤を含む場合、それらが250mg以下となるように採取した。この溶液1mLを採取して、あらかじめメタノール4mLでコンディショニングを行った固相カートリッジ(Biotage製、Isolute SAX、1g、3mL、500-0100-B)に適用し、10mL丸底試験管に通過液を捕集した。その後、ギ酸4.6gに100mLのメタノールを加えた溶液6mLで溶出し、溶出液についても同じ試験管に捕集した。捕集した溶液は、50℃に加温したブロックヒーターに設置し、窒素ガスを吹き込み、1mL程度まで濃縮した後、さらに室温下で窒素ガスを吹き込み乾燥させた。そこに、ジアゾメタン−エーテル溶液2mLを加え、攪拌しながら室温下で10分間放置し誘導体化を行った。その後、室温下で窒素ガスを吹き込み、500μL以下になるまで濃縮した後、クロロホルムを加えて500μLとし、GC分析に供した。
なお、ジアゾメタン−エーテル溶液は、ジアゾメタン生成装置(宮本理研工業製、GM−50)を用い、以下の手順で調製した。第1と第2の受け器、第2と第3の受け器をシリコンゴム栓およびテフロン(登録商標)チューブで連結する。第2の受け器に、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン0.8gを採取し、2.5mLのイオン交換水を加えた。第3の受け器に、t−ブチルメチルエーテル10mLを採取した。第1、第2、第3の受け器を氷冷した。続いて第2の受け器に、プラスチックシリンジを備え付け、このシリンジ中に水酸化ナトリウム20gをイオン交換水100mLに溶解させた溶液3mLを入れた。この水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下してジアゾメタンガスを生成させ、第1の受け器側から静かに窒素ガスを吹き込み、第3の受け器のt−ブチルメチルエーテルに溶解させて、ジアゾメタン−エーテル溶液を得た。
上記サンプルの前処理における試薬は、以下のものを使用した。
メタノール(関東化学製、高速液体クロマトグラフィー用、25183-1B)
ギ酸(和光純薬工業製、試薬特級、066-00461)
クロロホルム(関東化学製、鹿1級、07278-01)
N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(関東化学製、鹿1級、25596-51)
t−ブチルメチルエーテル(関東化学製、鹿特級、04418-00)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業製、特級、196-13761)
【0061】
製造例1
攪拌および温度調節機能を備えたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[商品名:カルコール2098、花王製]1144g(6.14モル)、ミリスチルアルコール[商品名:カルコール4098、花王製]60.2g(0.281モル)、水酸化カリウム2.68g(0.0478モル)を仕込み、減圧脱水を行った。次いで、エチレンオキサイド(EO)996g(22.6モル)を155℃にて導入し、反応温度155℃、反応圧力0.4MPaで2時間反応を行った。反応終了後、80℃、6kPaの減圧条件で30分間攪拌し、未反応のエチレンオキサイドを除去した後、窒素を導入し常圧にし、4.82g(0.0482モル)の90%乳酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌し、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレート(以下、「生成AE」ともいう)を得た。
攪拌機能、温度調節機能及び酸素ガス導入管を取り付けたガラス製反応容器に、上記生成物90g(0.2モル)と、48%水酸化ナトリウム水溶液16.7g(水酸化ナトリウムとして0.2モル)、パラジウム−白金−ビスマス系触媒(活性炭にパラジウム4%、白金1%及びビスマス5%を担持、含水率50%)0.9g、水494.4gをそれぞれ仕込んだ。攪拌条件下、液温を70℃まで昇温し、酸素を27モル%(対生成AE/時間)の割合で吹き込みながら、反応温度70℃で3.5時間接触酸化反応をさせた。反応率は89%であった。
反応終了後、反応液から触媒を濾別し、アルキルエーテルカルボン酸Na塩の水溶液を得た。続いて、35%塩酸を加え、分液操作を実施し、アルキルエーテルカルボン酸を得た。これをEC1とする。
【0062】
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、EC1は、一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基/ミリスチル基=95/5、平均炭素数は12.1、nの平均値は2.8、n=0の成分を14.7質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は36.1質量%であった。
また、EO付加モル数の異なる各成分の比率に関しても、R1の組成のうち最大成分の測定値から算出した結果、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.22:1.23:1.06:0.83であった。
【0063】
製造例2
製造例1に倣い、デシルアルコール[商品名:カルコール1098、花王製]、ラウリルアルコール[商品名:カルコール2098、花王製]、ミリスチルアルコール[商品名:カルコール4098、花王製]、セチルアルコール[商品名:カルコール6098、花王製]を質量比10/70/15/5に混合した原料にEOを反応させ、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレートを得た。これを実施例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
【0064】
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はデシル基/ラウリル基/ミリスチル基/パルミチル基=10/70/15/5、平均炭素数は12.3、nの平均値は3.3、n=0の成分を15.2質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は31.4質量%であった。
また、EO付加モル数の異なる各成分の比率に関しても、R1の組成のうち最大成分の測定値から算出した結果、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.07:1.00:0.85:0.67であった。
【0065】
製造例3
攪拌、温度調節機能を取り付けたガラス製反応容器に、ラウリルアルコール372g(2.00モル)を仕込み、攪拌条件下、液温を70℃まで昇温させ、モノクロロ酢酸ナトリウム256g(2.20モル)及び水酸化ナトリウム88g(2.20モル)を分割して加えながら、5時間反応を行った。反応終了後、析出物を濾別し、続いて35%塩酸を加え、酸型化し、アルキルエーテルカルボン酸を得た(一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基、n=0)。
【0066】
製造例4
製造例1に倣い、デシルアルコールを原料にEOを反応させ、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレートを得た。これを実施例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はデシル基、nの平均値は3.1、n=0の成分を16質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は37質量%であった。
【0067】
製造例5
製造例1に倣い、ラウリルアルコールを原料にEOを反応させ、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレートを得た。これを実施例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基、nの平均値は3.1、n=0の成分を16質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は37質量%であった。
【0068】
製造例6
製造例1に倣い、ミリスチルアルコールを原料にEOを反応させ、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレートを得た。これを実施例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はミリスチル基、nの平均値は3.1、n=0の成分を16質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は37質量%であった。
【0069】
製造例7
製造例1に倣い、ラウリルアルコール、セチルアルコールを質量比20/80に混合した原料にEO付加し、EO付加モル数3.55モルのアルキルエトキシレートを得た。これを実施例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基/パルミチル基=20/80、nの平均値は3.1、n=0の成分を16質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は37質量%であった。
【0070】
製造例8
製造例1に倣い、ラウリルアルコールを原料にEO反応させ、EO付加モル数4.05モルのアルキルエトキシレートを得た。これを製造例1同様、酸化反応を行い、得られたアルキルエーテルカルボン酸塩を塩酸処理することにより、アルキルエーテルカルボン酸を得た。
【0071】
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基、nの平均値は3.5、n=0の成分を11.4質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は30.6質量%であった。
また、EO付加モル数の異なる各成分の比率に関しても、R1の組成のうち最大成分の測定値から算出した結果、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.31:1.38:1.25:1.06であった。
【0072】
製造例9
攪拌および温度調節機能を備えたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[商品名:カルコール2098、花王製]1144g(6.14モル)、ミリスチルアルコール[商品名:カルコール4098、花王製]60.2g(0.281モル)、水酸化カリウム2.6g(0.0478モル)を仕込み、減圧脱水を行った。次いで、エチレンオキサイド(EO)718g(16.3モル)を155℃にて導入し、反応温度155℃、反応圧力0.4MPaで2時間反応を行った。反応終了後、冷却し、80℃、6kPaの減圧条件で30分間攪拌し、未反応のエチレンオキサイドを除去した後、窒素を導入し常圧にし、4.82g(0.0482モル)の90%乳酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌し、EO付加モル数2.55モルのアルキルエトキシレートを得た。
攪拌、温度調節機能を取り付けたガラス製反応容器に、上記生成物600g(2.00モル)を仕込み、攪拌条件下、液温を70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウム256g(2.20モル)及び水酸化ナトリウム88g(2.20モル)を分割して加えながら、5時間反応を行った。反応終了後、35%塩酸をpHが2.8になるまで加え、酸型化し油層を分取し、アルキルエーテルカルボン酸を得た。これをEC6とする。
【0073】
ガスクロマトグラフィーの分析の結果、一般式(1)において、M=H、R1はラウリル基/ミリスチル基=94/6、平均炭素数は12.1、nの平均値は3.1、n=0の成分を9.9質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計量は35.4質量%であった。
また、EO付加モル数の異なる各成分の比率に関しても、R1の組成のうち最大成分の測定値から算出した結果、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.65:1.92:1.74:1.32であった。
【0074】
実施例中、EC2に関しては、製造例5、製造例6、製造例7で得られたアルキルエーテルカルボン酸を、各々質量割合で78.75/15/6.25の比で混合し、EC2とした。
【0075】
実施例中、EC3に関しては、製造例2、製造例3で得られたアルキルエーテルカルボン酸を、各々質量割合で90/10の比で混合し、EC3とした。
【0076】
実施例中、EC4に関しては、製造例1で得られたEC1と製造例4で得られたアルキルエーテルカルボン酸を、各々質量割合で40/60の比で混合し、E4とした。
【0077】
実施例中、EC5に関しては、製造例2、製造例8で得られたアルキルエーテルカルボン酸を、各々質量割合で40/60の比で混合し、EC5とした。
【0078】
実施例中、EC7に関しては、製造例1で得られたEC1と市販のAKYPO RLM45(花王社製)を、各々質量割合で50/50の比で混合し、EC7とした。
【0079】
実施例中、EC8に関しては、製造例1で得られたEC1と市販のAKYPO RLM100NV(花王社製)を、各々質量割合で50/50の比で混合し、EC8とした。
【0080】
実施例1〜32、比較例1〜18
表3〜5に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、泡量、泡の垂れ易さ、泡質、すすぎ性を評価した。また、肌に対する温和さの評価として、Zein溶解量を求め、更に、泡の広げやすさを評価した。結果を表3〜5に併せて示す。
なお、実施例で使用した成分(A)の構成は、表1及び表2に示すとおりである。
また、実施例で使用した市販のアルキルエーテルカルボン酸(AKYPO RLM25(花王社製)、AKYPO RLM45(花王社製)、AKYPO RLM100NV(花王社製)、ビューライトLCA(三洋化成社製)、ECTD-3NEX(日光ケミカル社製))の平均EO付加モル数は、各社販売元のカタログ値、ホームページで公開されている値を参考にした。不明なアルキル組成、n=0の成分量、n=1の成分とn=2の成分の合計量に関しては、上記方法で分析した。
【0081】
(製造方法)
各成分(水酸化ナトリウムを除く)と水を混合し、70℃まで加温して均一にした。この後、水酸化ナトリウムをpH6になる量加え、撹拌して均一にした。さらに、撹拌しながら室温まで冷却し、皮膚洗浄剤組成物を得た。
【0082】
(評価方法)
(1)泡量:
泡立てネット(白元グループ大三社製)を水(約8g)で湿らせた後、各皮膚洗浄剤組成物1gを泡立てネット上に載せた。泡立てネットを両手のひらで包み込み、円を描く様に泡立てた。40回円を描くように両手のひらをこすり合わせて泡立てた。泡立てネットで立てた泡を、500mLのビーカー(IWAKI製、直径8.5cm、高さ15cm)に集め、ビーカーを振盪させて泡を密に詰めた後、定規を用いて集めた泡の高さ(cm)を測定する。得られた高さとビーカーの底面積から、集めた泡の体積(cm3)を計算し、泡量を求めた。
【0083】
(2)泡の垂れ易さ:
(1)で立てた泡を約50mL取り、水で濡れた前腕部(手首から3cm付近)に置く。その後、泡を置いた前腕部を地面に対して垂直に立てた。30秒間垂直を維持し、そのときにはじめの位置から泡が垂れた距離を測定した。この作業を3回繰り返し、3回の平均値を求め、泡の垂れ易さとした。
【0084】
(3)泡質:
(1)で立てた泡の泡質を以下の基準で、専門パネラー1名が官能評価した。
5;泡が非常に細かく、且つ、やわらかい。
4;泡がやや細かく、且つ、やわらかい。
3;泡がやわらかい。
2;泡がやや大きくて、泡に腰がなく、やや水っぽい。
1;泡が大きくて、泡に腰がなく、水っぽい。
【0085】
(4)すすぎ性:
(2)(2)泡の垂れやすさの評価の後、泡を前腕部全体にのばし、10回往復こすり合わせて泡で洗浄した後、水道水(約30℃)ですすいだ。そのときのすすぎ性を以下の基準で、専門パネラー1名が官能評価した。
5;ぬるぬるとした感触が速く消失し、すぐに適度なきしみ感を感じる。
4;ぬるぬるとした感触がやや速く消失し、適度なきしみ感を感じる。
3;ぬるぬるとした感触が消失し、きしみ感を感じる。
2;すすぎ時にぬるぬるとした感触が消失するのにやや時間がかかり、きしみ感が弱い。
1;すすぎ時にぬるぬるとした感触が消失するのに時間がかかった、きしみ感がとても弱い。
【0086】
(5)肌に対する温和さ(Zein溶解量):
サンプル管(マルエム社製、No.7スクリュー管)に各皮膚洗浄剤組成物を6gとり、イオン交換水24gを加えて希釈した。これに、Zein(Zein from maize,SIGMA社製)を3g加え、マグネチックスターラーを用いて1時間激しく攪拌した。途中で全てのZeinが溶解した場合は、溶解しなくなるまで、Zeinを追加した。その後、直径約5cmに切り取ったろ紙(Toyo Roshi 5A 125mm)の上に溶け残ったZeinを取りだし、ろ取した。更に、吸引ろ過して液を除去した。次に、ろ紙ごと、50℃で8時間真空乾燥を行い、更に水分を除去した。乾燥したろ紙とZeinの重さを測定し、次式により、Zeinの溶解量を算出した。
Zeinの溶解量が少ないほど、肌に対して温和であることを示す。
【0087】
Zein溶解量(g)
=加えた全Zein量(g)−(乾燥後のろ紙とZeinの重さ(g)−ろ紙の重さ(g))
【0088】
(6)泡の広げやすさ:
各皮膚洗浄剤組成物6gをナイロンタオル(マーナ社製 ナイロンタオル、材質:ナイロン100%、サイズ:30cm×105cm)で泡立てて全身洗浄を行った。泡量、泡の垂れ落ちやすさ、泡質に起因する「泡の広げやすさ」を、以下の基準で評価した。
A;泡がとても広げやすい(泡が豊かで、泡がやわらかく、垂れ落ちにくい)。
B;泡が広げやすい(適度な泡立ちで、泡がやわらかく、垂れ落ちにくい)。
C;泡がのばしにくい。
D;泡が水っぽくバブリーな泡質のため、肌から垂れ落ちやすい。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)一般式(1)
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(式中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩であって、R1の平均炭素数が10.8〜12.8であり、n=0の成分を9.6質量%を超え27質量%以下、n=1の成分とn=2の成分を合計で21質量%以上40質量%未満含むアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
(B)一般式(2)
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
(式中、R2は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が2以上4未満であり、Yは水素原子、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す)
で表されるアルキル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)において、一般式(1)中、nの平均値が1.5〜10である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(A)において、一般式(1)中、R1が炭素数6〜20のアルキル基であり、nの平均値が2.5〜3.7であり、n=0の成分を9.9〜27質量%含む請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(A)において、一般式(1)中、R1が炭素数8〜18のアルキル基であり、nの平均値が2.5〜3.4である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(A)において、一般式(1)中、R1が炭素数8〜16のアルキル基であり、平均アルキルが10.8から12.5であり、nの平均値が2.8〜3.4であり、n=0の成分を9.9〜16質量%、n=1の成分とn=2の成分を合計で27〜36.5質量%含む請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(A)において、一般式(1)中、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99〜3.50:0.89〜3.00:0.76〜3.00:0.63〜1.52となる請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(A)において、一般式(1)中、R1が2種以上のアルキル基を含み、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満である請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項8】
成分(A)において、一般式(1)中、n=0の成分を9.9質量%以上12質量%未満含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.53〜1.87:1.59〜2.25:1.33〜2.16:1.14〜1.52となるか、又は、n=0の成分を12質量%以上17質量%以下含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99〜1.34:0.89〜1.40:0.76〜1.23:0.63〜0.99となる請求項1〜7のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項9】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=1:10〜10:1である請求項1〜8のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項10】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=1:5〜5:1である請求項1〜9のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項11】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=1:2〜2:1である請求項1〜10のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項12】
さらに、(C)非イオン性界面活性剤を含有する請求項1〜11のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項の皮膚洗浄剤組成物を皮膚部に適用して洗浄した後、すすぐ皮膚洗浄方法。

【公開番号】特開2013−53093(P2013−53093A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191786(P2011−191786)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】