説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れる皮膚洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸塩と、(B)下記一般式(2)で表されるアミンオキシドと、(C)ベタイン型両性界面活性剤と、を含有し、前記(A)成分が、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)と、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)とを含有し、前記(A)成分と前記(A)成分との質量比、前記(A)成分と前記(A)成分との合計含有量、及び前記(B)成分と前記(C)成分との質量比が、特定の比率又は量である皮膚洗浄剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドソープ、ボディソープ、洗顔フォーム等の皮膚洗浄剤組成物は、消費者の嗜好性の点で、泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れるものが求められている。
【0003】
このような消費者の嗜好性に鑑み、高級脂肪酸塩と、半極性界面活性剤と、両性界面活性剤とを配合した皮膚洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1〜4参照)。これらの高級脂肪酸塩を配合した皮膚洗浄剤組成物は、前記泡性能に優れるとともに、さっぱり感を付与することができる。
【0004】
しかし、これらの皮膚洗浄剤組成物における前記泡性能は、十分満足できるものではないという問題がある。また、これらの皮膚洗浄剤組成物は、水ですすぐ際のぬるつき感が強く、すすぎ性能に劣るという問題もある。
【0005】
高級脂肪酸塩を含む皮膚洗浄剤組成物におけるすすぎ時のぬるつき感は、皮膚洗浄剤組成物中の両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤の含有量が20重量%を超えると強くなることが知られている。
これに対し、皮膚洗浄剤組成物中の両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤の含有量を0.5重量%〜20重量%とした皮膚洗浄剤組成物が提案されている(特許文献5参照)。
【0006】
しかし、この皮膚洗浄剤組成物におけるすすぎ性能は、十分満足できるものではないという問題がある。更に、この皮膚洗浄剤組成物は、前記泡性能も劣るという問題がある。
【0007】
したがって、前記すすぎ性能と前記泡性能とを両立させた皮膚洗浄剤組成物は、未だ提供されておらず、その提供が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−204087号公報
【特許文献2】特開2008−94903号公報
【特許文献3】特開2010−59247号公報
【特許文献4】特開平11−148092号公報
【特許文献5】特開平8−325594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸塩と、(B)下記一般式(2)で表されるアミンオキシドと、(C)ベタイン型両性界面活性剤と、を含有し、前記(A)成分が、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)と、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)とを含有し、前記(A)成分と前記(A)成分との質量比〔(A)/(A)〕が1.5〜10であり、且つ、前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量が3質量%〜10質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分との質量比〔(B)/(C)〕が1〜10である皮膚洗浄剤組成物が、泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れることを知見し、本発明の完成に至った。
COOM ・・・一般式(1)
〔但し、前記一般式(1)において、Rは、炭素数5〜21の一価炭化水素基を表し、Mは、アルカリ金属原子、アルカノールアミン、及び塩基性アミノ酸のいずれかを表す。〕
【化1】

〔但し、前記一般式(2)において、Rは、炭素数8〜22の一価炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4の一価炭化水素基又は−(AO)H(Aは、炭素数2〜4の二価炭化水素基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)を表し、Zは、−O−及び−CONH−のいずれかを表し、xは、0〜4の整数を表し、nは、2〜4の整数を表す。〕
【0011】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)下記一般式(1)で表される脂肪酸塩と、
COOM ・・・一般式(1)
〔但し、前記一般式(1)において、Rは、炭素数5〜21の一価炭化水素基を表し、Mは、アルカリ金属原子、アルカノールアミン、及び塩基性アミノ酸のいずれかを表す。〕
(B)下記一般式(2)で表されるアミンオキシドと、
【化2】

〔但し、前記一般式(2)において、Rは、炭素数8〜22の一価炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4の一価炭化水素基又は−(AO)H(Aは、炭素数2〜4の二価炭化水素基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)を表し、Zは、−O−及び−CONH−のいずれかを表し、xは、0〜4の整数を表し、nは、2〜4の整数を表す。〕
(C)ベタイン型両性界面活性剤と、を含有し、
前記(A)成分が、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)と、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)とを含有し、前記(A)成分と前記(A)成分との質量比〔(A)/(A)〕が1.5〜10であり、且つ、前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量が3質量%〜10質量%であり、
前記(B)成分と前記(C)成分との質量比〔(B)/(C)〕が1〜10であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物である。
<2> (A)成分及び(A)成分の合計含有量が4質量%〜7質量%であり、(B)成分の含有量が0.5質量%〜2質量%であり、且つ、(C)成分の含有量が0.2質量%〜1質量%である前記<1>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<3> (D)多価アルコールを更に含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<4> フォーマー容器に充填されてなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(皮膚洗浄剤組成物)
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、脂肪酸塩(以下、「(A)成分」と称することがある。)と、アミンオキシド(以下、「(B)成分」と称することがある。)と、ベタイン型両性界面活性剤(以下、「(C)成分」と称することがある。)と、を少なくとも含有し、更に多価アルコール(以下、「(D)成分」と称することがある。)を含有することが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0014】
界面活性剤の中でも脂肪酸塩には独特のぬるつき感(「ぬめり感」ともいう。)がある。そのため、従来、脂肪酸塩を含む皮膚洗浄剤組成物において、優れた泡性能を維持しつつ、すすぎ時のぬるつき感をなくすこと、即ち、泡性能とすすぎ性能とを両立させることは困難であった。
前記脂肪酸塩のぬるつき感は、該脂肪酸塩が皮膚表面に吸着することで生じると考えられる。これに対し、本発明者は、皮膚洗浄剤組成物に特定の脂肪酸塩を用い、前記(B)成分と前記(C)成分とを特定の比率で配合することで、泡性能とすすぎ性能とを両立できることを見出した。
【0015】
<(A)脂肪酸塩>
前記(A)成分は、下記一般式(1)で表される脂肪酸塩である。
COOM ・・・一般式(1)
〔但し、前記一般式(1)において、Rは、炭素数5〜21の一価炭化水素基を表し、Mは、アルカリ金属原子、アルカノールアミン、及び塩基性アミノ酸のいずれかを表す。〕
【0016】
前記(A)成分は、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸塩(以下、「(A)成分」と称することがある。)と、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸塩(以下、「(A)成分」と称することがある。)とを少なくとも含有する。
前記(A)成分と前記(A)成分との質量比〔(A)/(A)〕は1.5〜10である。
【0017】
前記一般式(1)において、前記Rは、炭素数5〜21の一価炭化水素基を表し、該一価炭化水素基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基などが挙げられる。
【0018】
前記一般式(1)において、前記Mは、アルカリ金属原子、アルカノールアミン、及び塩基性アミノ酸のいずれかを表す。
前記アルカリ金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
前記塩基性アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リジン、アルギニンなどが挙げられる。
これらの中でも、前記Mは、アルカリ金属原子が好ましく、泡立ちが速く、泡量が多い点で、カリウムが特に好ましい。
【0019】
<<(A)成分>>
前記(A)成分は、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサン酸塩(カプロン酸塩;Rの炭素数:5)、オクタン酸塩(カプリル酸塩;Rの炭素数:7)、デカン酸塩(カプリン酸塩;Rの炭素数:9)、ドデカン酸塩(ラウリン酸塩;Rの炭素数:11)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(A)成分としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩が好ましく、泡のクリーミー性に優れる点で、ラウリン酸塩がより好ましい。
【0020】
前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(A)成分の含有量としては、下記質量比〔(A)/(A)〕を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2質量%〜8質量%が好ましく、3.5質量%〜6質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、泡立ちがより速く、すすぎ時にぬるつき感が、よりなくなる点で有利である。
【0021】
<<(A)成分>>
前記(A)成分は、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミリスチン酸塩(Rの炭素数:13)、パルミチン酸塩(Rの炭素数:15)、ステアリン酸塩(Rの炭素数:17)、オレイン酸塩(Rの炭素数:17)、リノール酸塩(Rの炭素数:17)、イソステアリン酸塩(Rの炭素数:17)、ドコサン酸塩(ベヘニン酸塩;Rの炭素数:21)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(A)成分としては、泡立ちが速く、泡量が多く、低温安定性に優れる点で、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩が好ましく、ミリスチン酸塩が特に好ましい。
【0022】
前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(A)成分の含有量としては、下記質量比〔(A)/(A)〕を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜1.4質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、泡のクリーミー性により優れ、すすぎ時にぬるつき感が、よりなくなる点で有利である。
【0023】
−(A)/(A)(質量比)−
前記(A)成分と前記(A)成分との質量比〔(A)/(A)〕としては、1.5〜10であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4〜9が好ましい。前記質量比〔(A)/(A)〕が、1.5未満又は10を超えると、泡立ちが遅くなること、泡量が少なくなること、泡のクリーミー性が悪くなること、すすぎ時のぬるつき感が強くなることなどがある。一方、前記質量比〔(A)/(A)〕が前記好ましい範囲であると、泡立ちが速く、泡量が多く、泡のクリーミー性に優れ、すすぎ時にぬるつき感がない点で有利である。
【0024】
また、前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量としては、3質量%〜10質量%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4質量%〜7質量%が好ましい。前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量が、3質量%未満であると、泡量が少なくなることがあり、10質量%を超えると、すすぎ時のぬるつき感が強くなることがある。一方、前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量が前記好ましい範囲であると、泡立ちが速く、泡量が多く、泡のクリーミー性に優れ、すすぎ時にぬるつき感がない点で有利である。
【0025】
前記(A)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を用いてもよく、適宜公知の方法で合成したものを用いてもよい。
また、前記(A)成分は、前記皮膚洗浄剤組成物中に、脂肪酸塩の状態としてそのまま配合されていてもよく、該皮膚洗浄剤組成物中に脂肪酸と塩基とをそれぞれ別々に配合した後、中和されたものであってもよい。
【0026】
<(B)アミンオキシド>
前記(B)成分は、下記一般式(2)で表されるアミンオキシドであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化3】

〔但し、前記一般式(2)において、Rは、炭素数8〜22の一価炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4の一価炭化水素基又は−(AO)H(Aは、炭素数2〜4の二価炭化水素基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)を表し、Zは、−O−及び−CONH−のいずれかを表し、xは、0〜4の整数を表し、nは、2〜4の整数を表す。〕
【0027】
前記(B)成分の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド(前記一般式(2)において、Rが炭素数12の一価炭化水素基であり、R及びRがいずれも炭素数1の一価炭化水素基であり、xが0である。)、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記することがある)ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド(前記一般式(2)において、Rが炭素数8〜18の一価炭化水素基であり、R及びRがいずれも炭素数1の一価炭化水素基であり、Zが−O−であり、nが2であり、xが1〜4である。なお、POEヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの主成分は、Rが12の一価炭化水素基を有するものである。)、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド(前記一般式(2)において、Rが炭素数12の一価炭化水素基であり、R及びRがいずれも−(AO)H(Aが炭素数2の二価炭化水素基であり、mが1である)であり、xが0である。)、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(前記一般式(2)において、Rが炭素数11の一価炭化水素基であり、R及びRがいずれも炭素数1の一価炭化水素基であり、Zが−CONH−であり、nが3であり、xが1である。)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(B)成分としては、泡立ちが速く、泡量が多く、すすぎ時にぬるつき感がない点で、ラウリルジメチルアミンオキシド、POEヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0028】
前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性に優れ、すすぎ時にぬるつき感がない点で、0.5質量%〜3質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.5質量%未満であると、泡立ちが遅くなること、泡量が少なくなること、泡のクリーミー性が悪くなることなどがあり、3質量%を超えると、泡のクリーミー性が悪くなることや、すすぎ時のぬるつき感が強くなること、肌刺激性が生じることなどがある。一方、前記(B)成分の含有量が、前記より好ましい範囲であると、泡立ちが速く、泡量が多く、泡のクリーミー性に優れ、すすぎ時にぬるつき感がない点で有利である。
【0029】
<(C)ベタイン型両性界面活性剤>
前記(C)成分は、ベタイン型両性界面活性剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾリン型(アミドアミン型);アミドアミノ酸塩;アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等のカルボベタイン型;アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型;ホスホベタイン型;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記イミダゾリン型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
前記カルボベタイン型としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム等のアルキルベタイン;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアルキルアミドベタインなどが挙げられる。
前記スルホベタイン型としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン;ラウリルヒドロキスルホベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
前記ホスホベタイン型としては、例えば、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
【0031】
これらの中でも、前記(C)成分としては、イミダゾリン型、カルボベタイン型、スルホベタイン型が好ましく、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキスルホベタインがより好ましく、泡立ちが速く、泡量が多く、すすぎ時にぬるつき感がない点で、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが特に好ましい。
【0032】
前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、すすぎ時にぬるつき感がない点で、0.2質量%〜1.5質量%が好ましく、0.2質量%〜1質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.2質量%未満であると、泡立ちが遅くなること、泡量が少なくなること、泡のクリーミー性が悪くなることなどがあり、1.5質量%を超えると、すすぎ時のぬるつき感が強く、すすぎ性能が悪くなることがある。一方、前記(C)成分の含有量が、前記より好ましい範囲であると、泡立ちが速く、泡量が多く、すすぎ時にぬるつき感がない点で有利である。
【0033】
−(B)/(C)(質量比)−
前記(B)成分と(C)成分との質量比〔(B)/(C)〕としては、1〜10であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜6が好ましい。前記質量比〔(B)/(C)〕が、1未満であると、泡立ちが遅くなること、すすぎ時のぬるつき感が強くなることなどがあり、10を超えると、泡立ちが遅くなること、泡のクリーミー性が悪くなること、すすぎ時のぬるつき感が強くなることなどがある。一方、前記質量比〔(B)/(C)〕が前記好ましい範囲であると、泡立ちが速く、泡量が多く、すすぎ時にぬるつき感がない点で有利である。
【0034】
<(D)多価アルコール>
本発明の前記皮膚洗浄剤組成物は、多価アルコール((D)成分)を含有することが好ましい。前記皮膚洗浄剤組成物が、前記(D)成分を含有すると、低温安定性が向上する点で有利である。
【0035】
前記(D)成分は、多価アルコールであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、トレハロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(D)成分としては、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが、低温安定性に優れる点で特に好ましい。
【0036】
前記皮膚洗浄剤組成物中の前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜20質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、10質量%未満であると、低温安定性が悪くなることがあり、30質量%を超えると、泡のクリーミー性が悪くなることがある。
【0037】
<その他の成分>
前記皮膚洗浄剤組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分以外に、更に通常洗浄剤組成物に使用されるようなその他の成分を含んでいてもよい。
【0038】
前記その他の成分としては、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性高分子、前記(B)成分及び前記(C)成分以外の界面活性剤(例えば、ノニオン型界面活性剤等)、油分、シリコーン類、前記(D)成分以外のアルコール類(例えば、低級アルコール、高級アルコール等)、ラノリン誘導体、タンパク質誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン、薬剤(例えば、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤等)、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、水不溶性ポリマー(例えば、ナイロン、ポリエチレン等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を妨げない範囲で目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記皮膚洗浄剤組成物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペースト状、ゲル状、液体状、固体状などが挙げられる。
また、前記皮膚洗浄剤組成物中の各成分の状態としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各成分が全て可溶化された状態(可溶化系)、各成分が乳化された状態(乳化系)、各成分が分散された状態(分散系)などが挙げられる。
【0041】
前記皮膚洗浄剤組成物は、容器に収容されていてもよい。前記容器としては、特に制限はなく、公知の容器の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプ容器、チューブ容器、フォーマー容器、袋状容器などが挙げられる。これらの中でも、近年の消費者の嗜好性の点で、フォーマー容器が好ましい。
前記皮膚洗浄剤組成物は、泡性能(泡立ちの速さ、泡量、泡のクリーミー性)に優れるため、フォーマー容器に充填しても好適に用いることができる。
【0042】
前記フォーマー容器の方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプ式、スクイズ式などが挙げられる。
前記フォーマー容器は、充填(収容)される前記皮膚洗浄剤組成物を通過させて泡を形成させる多孔質体を有してなる。前記多孔質体の目開きとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100メッシュ以上が好ましく、100メッシュ〜400メッシュがより好ましく、200メッシュ〜350メッシュが特に好ましい。なお、前記多孔質体の目開きは、μm単位に換算することができる(株式会社明治機械製作所の技術資料(http://www.meijiair.co.jp/html/gijutsu−siryou/gijutsu−siryou−mesh.html)参照)。この場合、140μm以下が好ましく、140μm〜35μmがより好ましく、74μm〜40μmが特に好ましい。
前記多孔質体の枚数としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2枚〜4枚が泡形成性に優れる点で好ましい。
前記フォーマー容器の具体例としては、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報等に記載されたポンプ式フォーマー容器、特開2006−290365号公報、特開2007−176594号公報等に記載されたスクイズ式フォーマー容器などが挙げられる。
【0043】
前記皮膚洗浄剤組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記皮膚洗浄剤組成物が、前記フォーマー容器に充填して用いられる場合、泡形成性に優れる点で、25℃における粘度が、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましい。
なお、前記粘度は、前記皮膚洗浄剤組成物を25℃に調整し、これをBL型粘度計(ローター番号:No.1、株式会社東京計器製造所製)にセットし、ローターを回転数60rpmで回転させ、ローターの回転開始から1分間後に測定した粘度である。
【0044】
前記皮膚洗浄剤組成物の調製方法としては、特に制限はなく、皮膚洗浄剤組成物に用いられる常法により調製することができる。
前記皮膚洗浄剤組成物は、攪拌装置を用いて調製してもよい。前記攪拌装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、剪断力を有し、前記皮膚洗浄剤組成物の全体を混合することができる複数の攪拌羽根(例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなど)を有する装置が好ましく、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサーなどが特に好ましい。
【0045】
<用途>
本発明の前記皮膚洗浄剤組成物は、例えば、ハンドソープ、泡ハンドソープ、ボディソープ、洗顔フォーム、泡洗顔フォームなどに好適に使用することができる。前記皮膚洗浄剤組成物を、これらの用途に応じた通常の用量や通常の洗浄方法で使用すると、泡性能(泡立ちが速さ、泡量、泡のクリーミー性)に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れる点で有利である。
【実施例】
【0046】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下に示す実施例及び比較例において、各成分の配合量は、全て各成分の純分換算値である。また、以下に示す実施例及び比較例において、POEの後の括弧内の数字は、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記することがある)の平均付加モル数を示す。例えば、POE(3)ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの場合、EOの平均付加モル数が3であることを示す。これは、前記一般式(2)において、xが3の場合である。
【0047】
(実施例1〜31、比較例1〜11)
下記表1〜7に示す組成及び配合量に従い、各成分を混合し、常法に従って実施例1〜31及び比較例1〜11の皮膚洗浄剤組成物(ハンドソープ)を調製した。
【0048】
<評価>
実施例1〜31及び比較例1〜11の皮膚洗浄剤組成物を、それぞれポンプディスペンサー付き容器(吐出量:1mL、ノズル口径(直径):3.5mm、株式会社キャニオン製)に充填した。これを用い、下記に示す評価方法により、「泡立ちの速さ」、「泡量」、「泡のクリーミー性」、及び「すすぎ時のぬるつき感」、について評価した。結果を下記表1〜7に示す。
【0049】
−泡立ちの速さの評価−
皮膚洗浄剤組成物に関する専門の評価パネリスト10名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった手の平に、実施例1〜31及び比較例1〜11の各皮膚洗浄剤組成物1mLを取り、両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦ったときの泡立ちの速さについて、下記評点により評価した。各評価パネリスト10名の評点の平均値を求め、下記判定基準に基づき判定し、泡立ちの速さを判定した。
[評点]
5点:泡立ちが非常に速かった(両手を1往復〜2往復擦ったときに泡立った)。
4点:泡立ちが速かった(両手を3往復〜4往復擦ったとき泡立った)。
3点:泡立ちがやや速かった(両手を5往復〜6往復擦ったとき泡立った)。
2点:泡立ちがやや遅かった(両手を7往復〜9往復擦ったとき泡立った)。
1点:泡立ちが非常に遅かった(両手を10往復以上擦ったとき泡立った)。
[評価基準]
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0050】
−泡量の評価−
皮膚洗浄剤組成物に関する専門の評価パネリスト10名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった手の平に、実施例1〜31及び比較例1〜11の各皮膚洗浄剤組成物1mLを取り、両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させたときの泡量を目視にて観察し、下記評点により評価した。各評価パネリスト10名の評点の平均値を求め、下記判定基準に基づき判定し、泡量を判定した。
[評点]
5点:泡量が非常に多かった。
4点:泡量が多かった。
3点:泡量がやや多かった。
2点:泡量が少なかった。
1点:泡量が非常に少なかった。
[評価基準]
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0051】
−泡のクリーミー性の評価−
皮膚洗浄剤組成物に関する専門の評価パネリスト10名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった手の平に、実施例1〜31及び比較例1〜11の各皮膚洗浄剤組成物1mLを取り、両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させたときの泡の外観を目視にて観察し、またこのときの使用感から泡のクリーミーさを下記評点により評価した。各評価パネリスト10名の評点の平均値を求め、下記判定基準に基づき判定し、泡のクリーミー性を判定した。
[評点]
5点:ほとんどの泡が細かい泡で、非常にクリーミーであった。
4点:細かい泡の中の一部に大きな泡が混ざっているが、クリーミーであった。
3点:細かい泡の中に大きな泡が半分ぐらい混ざり、ややクリーミーであった。
2点:細かい泡よりも大きく粗い泡の方が多く、クリーミーではなかった。
1点:大きく粗い泡しか立たず、全くクリーミーではなかった。
[評価基準]
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0052】
−すすぎ時のぬるつき感の評価−
皮膚洗浄剤組成物に関する専門の評価パネリスト10名が、両手を水で濡らし、一度両手を振って水気を軽くとった手の平に、実施例1〜31及び比較例1〜11の各皮膚洗浄剤組成物1mLを取り、両手の手の平を合わせて往復させるように手の平を擦り、両手を10往復させた後、水道水で手に付着した皮膚洗浄剤組成物を洗い流した。洗い流す際に、手にぬるつき感があるか否かについて官能評価を行い、下記評点により評価した。各評価パネリスト10名の評点の平均値を求め、下記判定基準に基づき判定し、すすぎ時のぬるつき感を判定した。
[評点]
5点:ぬるつき感が全くなかった
4点:ぬるつき感がなかった
3点:ぬるつき感がややあった
2点:ぬるつき感があった
1点:ぬるつき感が非常にあった
[評価基準]
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
(実施例32〜41)
下記表8及び9に示す組成及び配合量に従い、各成分を混合し、常法に従って実施例32〜41の皮膚洗浄剤組成物(ハンドソープ)を調製した。
【0061】
<評価>
実施例32〜41の皮膚洗浄剤組成物を、それぞれポンプディスペンサー付き容器(吐出量:1mL、ノズル口径(直径):3.5mm、株式会社キャニオン製)に充填した。これを用い、前記実施例1と同様の方法で「泡立ちの速さ」、「泡量」、「泡のクリーミー性」、及び「すすぎ時のぬるつき感」、について評価した。また、下記に示す方法で、「低温安定性」について評価した。結果を下記表8及び9に示す。
【0062】
−低温安定性の評価−
実施例32〜41の皮膚洗浄剤組成物40mLを、50mL容量の透明ガラス瓶に充填し、−5℃にて1週間保存した。1週間保存後の外観を観察し、下記評価基準に基づき低温安定性を評価した。
[評価基準]
◎:外観が透明で、結晶析出は全く認められなかった。
○:外観がわずかに白濁しているが、結晶析出は認められなかった。
△:外観が白濁で、結晶析出物がやや認められた。
×:結晶析出物がかなり多く認められた。
【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
(実施例42:皮膚洗浄剤組成物(泡ハンドソープ))
下記組成及び配合量の皮膚洗浄剤組成物を常法に従って調製した。この皮膚洗浄剤組成物を、ノンガス型のポンプフォーマー容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。
【0066】
なお、前記ノンガス型のポンプフォーマー容器は、ノズル部と、2枚の多孔質体(目開き:74μm(200メッシュ))とを有し、該ノズル部を押し下げることによって、内部に充填した皮膚洗浄剤組成物を、該多孔質体を通過させながら容器外部に吐出させることができるポンプフォーマー容器である。前記ポンプフォーマー容器の詳細は、特開平7−315463号公報に第2実施例として記載されている。
【0067】
[組成]
ラウリン酸カリウム〔(A)成分〕 ・・・5.0質量%
ミリスチン酸カリウム〔(A)成分〕 ・・・1.0質量%
POE(3)ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド〔(B)成分〕・・1.0質量%
ラウリル酸アミドプロピルベタイン〔(C)成分〕 ・・・0.8質量%
グリセリン〔(D)成分〕 ・・・7.0質量%
ソルビトール〔(D)成分〕 ・・・3.0質量%
メリッサエキス ・・・0.2質量%
ダービリアエキス ・・・0.2質量%
シラカバエキス ・・・0.2質量%
グリチルリチン酸ジカリウム ・・・0.1質量%
ジブチルヒドロキシトルエン ・・・0.1質量%
エデト酸四ナトリウム四水塩 ・・・0.1質量%
香料 ・・・適量
色素 ・・・適量
pH調整剤(水酸化カリウム又はクエン酸) ・・・適量(pH10.2に調整)
精製水 ・・・残部
合計 ・・・100.0質量%
・質量比〔(A)/(A)〕 :5
・質量比〔(B)/(C)〕 :1.25
【0068】
実施例42の皮膚洗浄剤組成物について、実施例32〜41と同様の方法で「泡立ちの速さ」、「泡量」、「泡のクリーミー性」、「すすぎ時のぬるつき感」、及び「低温安定性」について評価した。結果を下記に示す。
【0069】
また、実施例42の皮膚洗浄剤組成物の粘度を以下の方法で測定した。皮膚洗浄剤組成物を25℃に調整し、これをBL型粘度計(ローター番号:No.1、株式会社東京計器製造所製)にセットし、ローターを回転数60rpmで回転させ、ローターの回転開始から1分間後に測定した。結果を下記に示す。
【0070】
[評価結果及び粘度測定結果]
・泡立ちの速さ :◎
・泡量 :◎
・泡のクリーミー性 :◎
・すすぎ時のぬるつき感:◎
・低温安定性 :◎
・粘度 :10mPa・s
【0071】
(実施例43:皮膚洗浄剤組成物(泡ハンドソープ))
実施例42の皮膚洗浄剤組成物の調製において、組成を下記に示す組成に変えたこと以外は、実施例42の皮膚洗浄剤組成物と同様の方法で、実施例43の皮膚洗浄剤組成物を調製した。これを、実施例42と同様のノンガス型のポンプフォーマー容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。
【0072】
[組成]
ラウリン酸カリウム〔(A)成分〕 ・・・4.0質量%
ミリスチン酸カリウム〔(A)成分〕 ・・・0.8質量%
パルミチン酸カリウム〔(A)成分〕 ・・・0.2質量%
ラウリルジメチルアミンオキシド〔(B)成分〕 ・・・1.5質量%
ラウリル酸アミドプロピルベタイン〔(C)成分〕 ・・・0.5質量%
プロピレングリコール〔(D)成分〕 ・・・10.0質量%
ローズマリーエキス ・・・0.1質量%
メチルパラベン ・・・0.2質量%
エデト酸四ナトリウム四水塩 ・・・0.1質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 ・・・0.1質量%
香料 ・・・適量
色素 ・・・適量
pH調整剤(水酸化カリウム又はクエン酸) ・・・適量(pH10.2に調整)
精製水 ・・・残部
合計 ・・・100.0質量%
・質量比〔(A)/(A)〕 :4
・質量比〔(B)/(C)〕 :3
【0073】
実施例43の皮膚洗浄剤組成物について、実施例42と同様の方法で「泡立ちの速さ」、「泡量」、「泡のクリーミー性」、「すすぎ時のぬるつき感」、及び「低温安定性」について評価した。また、実施例42と同様の方法で粘度を測定した。結果を下記に示す。
【0074】
[評価結果及び粘度測定結果]
・泡立ちの速さ :◎
・泡量 :◎
・泡のクリーミー性 :◎
・すすぎ時のぬるつき感:◎
・低温安定性 :◎
・粘度 :10mPa・s
【0075】
実施例及び比較例で使用した各種成分は、以下のとおりである。
<(A)成分>
・カプリル酸カリウム(カプリル酸(商品名:NAA−82、日本油脂株式会社製)を水酸化カリウムで中和して作製した。)
・カプリン酸カリウム(カプリン酸(商品名:NAA−102、日本油脂株式会社製)を水酸化カリウムで中和して作製した。)
・ラウリン酸カリウム(ラウリン酸(商品名:NAA−122、日本油脂株式会社製)を水酸化カリウムで中和して作製した。)
<(A)成分>
・ミリスチン酸カリウム(ミリスチン酸(商品名:NAA−142、日本油脂株式会社製)を水酸化カリウムで中和して作製した。)
・パルミチン酸カリウム(パルミチン酸(商品名:NAA−160、日本油脂株式会社製)を水酸化カリウムで中和して作製した。)
<(B)成分>
・ラウリルジメチルアミンオキシド(商品名:ワンダミンOX−300、新日本理化株式会社製)
・POE(3)ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド(商品名:ユニセーフA−LY、日本油脂株式会社製)
・ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド(商品名:ユニセーフA−LE、日本油脂株式会社製)
・ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(商品名:ソフタゾリンLAO、川研ファインケミカル株式会社製)
<(C)成分>
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン(商品名:アモーゲンS−H、第一化学工業株式会社製)
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名:オバゾリンLB−SF、東邦化学工業株式会社製)
・ラウリルヒドロキシスルホベタイン(商品名:オバゾリンAHS−103、東邦化学工業株式会社製)
・2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(商品名:オバゾリン552、東邦化学工業株式会社製)
<(D)成分>
・グリセリン(商品名:グリセリン、阪本薬品工業株式会社製)
・プロピレングリコール(商品名:プロピレングリコール、旭硝子株式会社製)
・ソルビトール(商品名:D−ソルビット液、旭硝子株式会社製)
・1,3−ブチレングリコール(商品名:1,3−ブチレングリコール、ダイセル化学工業株式会社製)
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちが速く、泡量が多く、泡がクリーミーである等の泡性能に優れ、且つ、すすぎ時にぬるつき感がなく、すすぎ性能に優れるため、ハンドソープ、泡ハンドソープ、ボディソープ、洗顔フォーム、泡洗顔フォームなどに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸塩と、
COOM ・・・一般式(1)
〔但し、前記一般式(1)において、Rは、炭素数5〜21の一価炭化水素基を表し、Mは、アルカリ金属原子、アルカノールアミン、及び塩基性アミノ酸のいずれかを表す。〕
(B)下記一般式(2)で表されるアミンオキシドと、
【化1】

〔但し、前記一般式(2)において、Rは、炭素数8〜22の一価炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4の一価炭化水素基又は−(AO)H(Aは、炭素数2〜4の二価炭化水素基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)を表し、Zは、−O−及び−CONH−のいずれかを表し、xは、0〜4の整数を表し、nは、2〜4の整数を表す。〕
(C)ベタイン型両性界面活性剤と、を含有し、
前記(A)成分が、前記一般式(1)におけるRが炭素数5〜12の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)と、前記一般式(1)におけるRが炭素数13〜21の一価炭化水素基である脂肪酸塩(A)とを含有し、前記(A)成分と前記(A)成分との質量比〔(A)/(A)〕が1.5〜10であり、且つ、前記(A)成分及び前記(A)成分の合計含有量が3質量%〜10質量%であり、
前記(B)成分と前記(C)成分との質量比〔(B)/(C)〕が1〜10であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分及び(A)成分の合計含有量が4質量%〜7質量%であり、(B)成分の含有量が0.5質量%〜2質量%であり、且つ、(C)成分の含有量が0.2質量%〜1質量%である請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
(D)多価アルコールを更に含有する請求項1から2のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
フォーマー容器に充填されてなる請求項1から3のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−67610(P2013−67610A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194662(P2012−194662)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】