説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】近年の消費者の多種多様なニーズにおいて、さっぱりした使用感を与える、泡の特性が良好で皮膚に対する刺激性が低い皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)R1−COOM1(1)[式中、R1は炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またM1は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]で表される高級脂肪酸塩と、一般式(2)


[式中、R2は炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のM2は、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]で表されるアスパラギン酸誘導体を含有する皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、洗顔料やボディソープに代表される皮膚洗浄剤は、化粧や汚れを落とすという洗浄作用、すすぎ性、低刺激性等の基本性能に加えて、さらに高性能化や高機能化を施し付加価値を高めて上市されている。前記付加価値を高める特性としては、例えば泡の特性(起泡性、泡質、泡の持続性等)、洗浄後の皮膚感触といった使用感、香り等の感性的な性能などが挙げられる。
例えば、泡の特性の改質方法として、洗浄作用を持つ各種界面活性剤に水溶性高分子やアルカノールアミド型非イオン性界面活性剤を配合することで適度な粘性を与えて改質する方法が行われている。使用感については、皮膚洗浄剤として優れた洗浄力とさっぱりした使用感が得られることから高級脂肪酸塩が多用されるが、肌荒れを生じやすい傾向(皮膚刺激性)がある。この刺激性を改善する方法として、両性界面活性剤やアニオン系界面活性剤を併用して、肌への刺激性を低減する方法が行われている。しかしそのような方法では、刺激性や起泡性が改善される傾向はあるが、すすぎ時にぬるつきやすくなったり、さっぱり感が損なわれたりする傾向があり、基本性能(低刺激性・洗浄作用)と感性的な性能(特にさっぱり感の付与)を両立させるには非常に困難を伴う。
上述のとおり、これまでにも従来の界面活性剤や高分子化合物などを組み合わせて併用することにより、種々の性能の改良が試みられている。しかし、未だに全ての基本性能と感性的な性能を同時に満足させることは難しく、今なお消費者の個々のニーズに対する改善方法が個々に提案されているのが現状である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−26795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、近年の消費者の多種多様なニーズにおいて、さっぱりした使用感を与える、泡質が良好で皮膚に対する刺激性が低い皮膚洗浄剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の高級脂肪酸塩と特定のアスパラギン酸誘導体とを配合することにより、さっぱりした使用感を与えながら、泡のきめが細かくなり、泡の持続性も向上するという効果があること、そして皮膚に対する刺激性が低いこと、さらに驚くべきことにその高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体の配合比率が特定の範囲において、それらの効果が高くなることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、以下の項目の皮膚洗浄剤組成物を提供するものであり、該皮膚洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で表される高級脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種と、下記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体(即ちN−アルキル(又はN−アルケニル)アスパラギン酸及びその塩)から選ばれる少なくとも一種とを含有することが特徴である。
【0007】
(項1) 一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(2)
【化1】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【0008】
(項2) 高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との比率が重量比で70:30〜30:70である、上記項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【0009】
(項3) 皮膚洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体の合計重量が50重量%以上である、上記項1又は項2に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【0010】
(項4) (I)一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を配合する工程、
(II)一般式(3)
−COOH (3)
[式中、Rは一般式(1)におけると同義である。]
で表される高級脂肪酸と
一般式(4)
【化3】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、
(III)一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(4)
【化4】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、
(IV)一般式(3)
−COOH (3)
[式中、Rは一般式(1)におけると同義である。]
で表される高級脂肪酸と
一般式(2)
【化5】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体とアルカリ性化合物を配合する工程
から選ばれる工程を一以上具備する方法により得られる皮膚洗浄剤組成物。
【0011】
(項5) 高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との配合比率が重量比で70:30〜30:70である(なお、前記高級脂肪酸塩は高級脂肪酸とアルカリ性化合物から得られる高級脂肪酸塩を含む。また前記アスパラギン酸誘導体はアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物から得られるアスパラギン酸誘導体を含む。)、上記項4に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【0012】
(項6) 皮膚洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体の合計重量が50重量%以上である(なお、前記高級脂肪酸塩は高級脂肪酸とアルカリ性化合物から得られる高級脂肪酸塩を含む。また前記アスパラギン酸誘導体はアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物から得られるアスパラギン酸誘導体を含む。)、上記項4又は項5に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、さっぱりした使用感を与える、泡のきめが細かく、泡の持続性が良好で、皮膚に対する刺激性が小さい皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、上記一般式(1)で表される高級脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種と上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種が含有することを特徴とする。
上記一般式(1)におけるRは、炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である。ここで、炭素数とは、直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の総炭素数を意味する。高級脂肪酸塩を構成する炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、アラキドン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、イソステアリン酸及びそれらの混合物や、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸などが挙げられる。より好ましくは、炭素数12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸が推奨され、具体的にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸が推奨される。この説明は、上記一般式(3)で表される高級脂肪酸の説明と同義となる。
また、高級脂肪酸塩を構成する対カチオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−ブチルモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸のアンモニウムイオンなどの有機アンモニウムイオンであり、好ましくはカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオンが推奨される。
【0015】
本発明に係る高級脂肪酸塩としては、具体的には、カプリン酸ナトリム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、パルミトレイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、エライジン酸ナトリウム、アラキドン酸ナトリウム、エルカ酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、エレオステアリン酸ナトリウム、エイコサペンタエン酸ナトリウム、ドコサヘキサエン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、パーム油脂肪酸ナトリウム、パーム核油脂肪酸ナトリウム、大豆油脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、アラキジン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、パルミトレイン酸カリウム、オレイン酸カリウム、エライジン酸カリウム、アラキドン酸カリウム、エルカ酸カリウム、リノール酸カリウム、リノレン酸カリウム、エレオステアリン酸カリウム、エイコサペンタエン酸カリウム、ドコサヘキサエン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、パーム油脂肪酸カリウム、パーム核油脂肪酸カリウム、大豆油脂肪酸カリウム、牛脂脂肪酸カリウム、カプリン酸アンモニウム、ラウリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、アラキジン酸アンモニウム、ベヘン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、エライジン酸アンモニウム、アラキドン酸アンモニウム、エルカ酸アンモニウム、リノール酸アンモニウム、リノレン酸アンモニウム、エレオステアリン酸アンモニウム、エイコサペンタエン酸アンモニウム、ドコサヘキサエン酸アンモニウム、イソステアリン酸アンモニウム、ヤシ油脂肪酸アンモニウム、パーム油脂肪酸アンモニウム、パーム核油脂肪酸アンモニウム、大豆油脂肪酸アンモニウム、牛脂脂肪酸アンモニウム、カプリン酸トリエタノールアミン、ラウリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アラキジン酸トリエタノールアミン、ベヘン酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン、エライジン酸トリエタノールアミン、アラキドン酸トリエタノールアミン、エルカ酸トリエタノールアミン、リノール酸トリエタノールアミン、リノレン酸トリエタノールアミン、エレオステアリン酸トリエタノールアミン、エイコサペンタエン酸トリエタノールアミン、ドコサヘキサエン酸トリエタノールアミン、イソステアリン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、パーム油脂肪酸トリエタノールアミン、パーム核油脂肪酸トリエタノールアミン、大豆油脂肪酸トリエタノールアミン、牛脂脂肪酸トリエタノールアミンなどが例示される。
これらの中でも、より好ましくは、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、パーム油脂肪酸ナトリウム、パーム核油脂肪酸ナトリウム、大豆油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、パーム油脂肪酸カリウム、パーム核油脂肪酸カリウム、大豆油脂肪酸カリウム、ラウリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、イソステアリン酸アンモニウム、ヤシ油脂肪酸アンモニウム、パーム油脂肪酸アンモニウム、パーム核油脂肪酸アンモニウム、大豆油脂肪酸アンモニウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン、イソステアリン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、パーム油脂肪酸トリエタノールアミン、パーム核油脂肪酸トリエタノールアミン、大豆油脂肪酸トリエタノールアミンが推奨される。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0016】
また高級脂肪酸塩は、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。市販品は、例えば「2011年版15911の化学商品(発行所;化学工業日報社,発行日2011年1月25日)」や「日本化粧品原料集2007(発行所;薬事日報社,日本化粧品工業連合会編)」などに記載の多くのメーカから市販されている。
【0017】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、上記一般式(2)で表される化合物である。一般式(2)におけるRは、炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは12〜22、より好ましくは12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基が推奨される。
具体的には、n−デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基、リノレニル基、イソステアリル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、パーム油アルキル基、大豆油アルキル基等が例示され、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、ヤシ油アルキル基、パーム油アルキル基、パーム核油アルキル基が推奨される。
【0018】
またアスパラギン酸誘導体を構成する2つのMは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを表す。
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が例示され、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンが推奨される。
有機アンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、N−メチルモノエタノールアンモニウムイオン、N−ブチルモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸のアンモニウムイオン等が例示され、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、アンモニウムイオンが推奨される。
【0019】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体としては、具体的には、N−n−デシルアスパラギン酸一ナトリウム、N−n−デシルアスパラギン酸一カリウム、N−n−デシルアスパラギン酸一アンモニウム、N−n−デシルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ステアリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−イソステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−アラキジルアスパラギン酸一ナトリウム、N−アラキジルアスパラギン酸一カリウム、N−アラキジルアスパラギン酸一アンモニウム、N−アラキジルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ベヘニルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一カリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−n−デシルアスパラギン酸、N−ラウリルアスパラギン酸、N−ミリスチルアスパラギン酸、N−パルミチルアスパラギン酸、N−ステアリルアスパラギン酸、N−オレイルアスパラギン酸、N−アラキジルアスパラギン酸、N−ベヘニルアスパラギン酸、N−イソステアリルアスパラギン酸、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸、N−パーム油アルキルアスパラギン酸、N−n−デシルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ステアリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸二ナトリウム、N−アラキジルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二ナトリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−n−デシルアスパラギン酸二カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸二カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸二カリウム、N−ステアリルアスパラギン酸二カリウム、N−オレイルアスパラギン酸二カリウム、N−アラキジルアスパラギン酸二カリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二カリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−n−デシルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ラウリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ステアリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸二アンモニウム、N−アラキジルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二アンモニウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−n−デシルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ラウリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ミリスチルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パルミチルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ステアリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−オレイルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−アラキジルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ベヘニルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−イソステアリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パーム油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−n−デシルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ラウリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ミリスチルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パルミチルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ステアリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−オレイルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−アラキジルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ベヘニルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−イソステアリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パーム油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)等が例示される。
また、起泡性、泡質、水溶性及び保存安定性の観点から、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ラウリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パルミチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−オレイルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、が推奨される。
これらは、本発明の皮膚洗浄剤組成物に1種で又は2種以上を適宜組み合わせて配合しても良い。
なお上記説明は、一般式(4)で表されるアスパラギン酸化合物の説明として重複する説明である。
【0020】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体において、一般式(2)における2つのMが水素原子と水素原子以外のイオンとの組み合わせで表される誘導体が実質的に単一であるとき又は主成分であるときが、皮膚用洗浄剤組成物に適した中性に近いpHになる点と適度な水溶性及び低温保存安定性を得やすい点から、推奨される好ましい態様である。
主成分のときの態様とは、2つのMの組成比率、即ち水素原子と水素原子以外のイオンとの比率が、好ましくは水素原子:水素原子以外のイオン(当量比)=3:1〜1:3、より好ましくは2:1〜1:2、特に1.5:1〜1 :1.5の範囲にある態様である。このときのアスパラギン酸誘導体は、2つのMの一方が水素原子で他方が水素原子以外のイオンであるものと、2つのMが両方とも水素原子であるもの、2つのMが両方とも水素原子以外のイオンであるものが混在していると推定される。
【0021】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば製造方法としては、特開平5−140059号公報や特開2001−26795号公報に記載の方法で製造することができる。一例として、マレイン酸又はその塩と水及び/又は水と親和性を示す有機溶媒とを混合して比較的高濃度の状態とし、次いで所望する脂肪族第一級アミンを加えてから加熱して付加反応させ、反応終了後に反応溶媒を減圧留去して乾燥し、この乾燥粗物を粉砕して残存する未反応の脂肪族第一級アミンを溶媒で加熱洗浄除去して、最後に減圧乾燥して製造する方法が例示される。
【0022】
本発明に係る皮膚洗浄剤組成物における高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との合計の含有量は、本発明の効果を安定的に発揮させるために、1重量%以上であり、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上が推奨される。
また、本発明に係る皮膚洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との合計重量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上が推奨される。
【0023】
本発明に係る皮膚洗浄剤組成物における高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との配合比率(重量比)は、好ましくは70:30〜30:70、より好ましくは60:40〜40:60が推奨される。当該配合比率の範囲において、皮膚への刺激性が低く、泡の安定性及び泡質の点で優位性が認められる。
【0024】
皮膚洗浄剤組成物の形態は、水溶液状、ペースト状、固体状、粉末状など、所望する目的・対象により任意に選択ができる。その形態の調製方法として、高級脂肪酸塩、アスパラギン酸誘導体及び後述の他の成分の種類とそれらの配合量を適宜調整する方法などが挙げられる。
【0025】
本発明の皮膚洗浄剤組成物の調製方法としては、(i)所定量の上記一般式(1)で表される高級脂肪酸塩及び上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体と、必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、
(ii)高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体の所望の量と同じになるように、上記一般式(3)で表される高級脂肪酸、上記一般式(4)で表されるアスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物の配合量をそれぞれ算出した上で、それぞれの配合量の高級脂肪酸、アスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物と、必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、
(iii)前記(i)の調製方法において、高級脂肪酸塩及び/又はアスパラギン酸誘導体の何れか一方又は一部を、高級脂肪酸、アスパラギン酸化合物、アルカリ性化合物の構成に置き換えて調製する方法、即ちa)高級脂肪酸塩とアスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物と必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、b)アスパラギン酸誘導体と高級脂肪酸及びアルカリ性化合物と必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、c) 高級脂肪酸塩、アスパラギン酸誘導体、高級脂肪酸、アスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物と必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法(一部置換による方法)、などが例示される。
なお、前記(i)〜(iii)の調製方法で得られる皮膚洗浄剤組成物は、上記項4に記載の発明の説明にも該当する。上記項4に記載の工程(I)〜(IV)については、通常、一工程を選択して実施されるが、二以上選択して実施することも可能である。その場合、二以上の工程を逐次的に実施される(分割仕込)が、二以上の工程を同時に実施することも可能である。同時に実施するとは、例えば、高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体、並びに高級脂肪酸、アスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物を同時に配合する操作を意味し、上記(iii)のc)に相当する。
【0026】
一例として、より具体的に前記(i)の調製方法を用いて説明すると、液状(水溶液状)又はペースト状の皮膚洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分を水に加えて溶解させて調製する方法が挙げられる。この場合、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体を含む全界面活性剤の合計の配合量は、有効成分として、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%が推奨される。
また、粉末状の皮膚洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分(粉末状)をドライブレンドする方法や、高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて他の成分を適量の水に加えて混合し、一旦高濃度ペースト状とした後、これを噴霧乾燥する方法等により調製する方法が挙げられる。固形状の皮膚洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分(粉末状)の組成物に少量の水を加えてニートソープ状に練り、これを型枠等に入れて成形することにより調製する方法が挙げられる。これらの場合、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体を含む全界面活性剤の合計の配合量は、有効成分として、好ましくは1〜100重量%が推奨される。
【0027】
本発明に係るアスパラギン酸化合物は、上記一般式(4)で表される化合物である。アスパラギン酸化合物の説明は、上記アスパラギン酸誘導体の説明と重複する。
アスパラギン酸化合物は、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば、アスパラギン酸誘導体(Mが水素原子以外で表されるもの。)を塩酸等の酸性化合物で処理し、そして有機合成化学の一般的手法による後処理(精製)を施すことにより、容易に調製することができる。
【0028】
本発明に係るアルカリ性化合物は、上記一般式(3)で表される高級脂肪酸及び/又は上記一般式(4)で表されるアスパラギン酸化合物を中和して、それぞれ、皮膚洗浄剤組成物中で、上記一般式(1)で表される高級脂肪酸塩及び/又は上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体を形成させる目的で配合されるものであり、その配合量は、少なくとも高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体が所定量を形成することができる量となるように調整する必要がある。前記アルカリ性化合物は、pH調整剤の目的で使用されることがあり、高級脂肪酸塩及び/又はアスパラギン酸誘導体の形成目的と外形上異にするが、前者の目的或いは認識であったとしても実質的には当該形成目的を達成することができる。
アルカリ性化合物としては、一般式(1)におけるM及び/又は一般式(2)におけるMのカチオンを形成し得る塩基性を示す化合物であれば特に制限はないものの、好ましくは皮膚洗浄剤用途において通常配合される化合物が推奨される。
具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸四ナトリウム等の無機アルカリ性化合物、アンモニア(水)、モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−ブチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルアミン、リシン、アルギニン等の有機アルカリ性化合物等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア(水)が推奨される。
これらのアルカリ性化合物は、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、本発明に係る高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体の他に、一般的に皮膚用洗浄剤に配合される他の成分を、本発明の効果が奏する範囲で配合することができる。他の成分としては、例えば、本発明に係る高級脂肪酸塩以外のアニオン性界面活性剤、本発明に係るアスパラギン酸誘導体以外の両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、ポリオール、無機塩類、増粘剤、減粘剤、キレート剤、防腐剤、殺菌剤、色素(色剤)、香料、清涼剤、保湿剤、油性剤、コンディショニング剤、紫外線吸収剤、動植物のエキス、ハイドロトロープ剤、酸化防止剤、パール化剤などが例示される。
【0030】
より具体的には、例えば、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸塩、炭素数8〜18 のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)アルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩[なお、前記( ) 内の数値はオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、以下同様である。]、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン(1〜5)脂肪酸モノエタノールアミドエーテル硫酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)スルホコハク酸モノアルキル(又はアルケニル)エーテルエステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数8〜20の親油基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜7)アルキル(又はアルケニル)エーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドエーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸由来の脂肪族アシルアミノ酸塩(N−アシルグリシン塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアラニン塩、N−アシル−N−メチルアラニン塩、N−アシル−L−グルタミン酸塩、N−アシル−L−アスパラギン酸塩)、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するN−脂肪族アシル−N−メチルタウリン塩、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するイセチオン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するモノアルキルリン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜7)モノアルキルエーテルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、
【0031】
炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有する脂肪酸アミドプロピルベタイン、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するアミドプロピルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18を有する脂肪酸由来のイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤、炭素数8〜18のアルキル基を有するN−アルキルアミノジ酢酸塩、N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N−アルキルアミノジプロピオン酸塩、N−アルキルジアミノエチルグリシン塩等のN−アルキルアミノ酸型両性界面活性剤等の両性界面活性剤、
【0032】
炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数8〜18のアシル基を有する脂肪酸アミドプロピルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、
【0033】
炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するアルカノールアミド、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン(1〜10)脂肪酸アルカノールアミド、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜20)アルキルエーテル、炭素数8〜14のアルキル基又はポリオキシエチレン(1〜7)アルキルエーテル基を有するアルキルポリグリコシド等の非イオン性界面活性剤、
【0034】
ポリオキシエチレン(60)セトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、ポリオキシエチレン(60)セチルステアリルジエーテル等のポリエーテル型増粘剤、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(150)、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(150)ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(160)ソルビタン、ポリオキシエチレン(120)ジオイレン酸メチルグルコシド等のポリエーテルエステル型増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム等の水溶性高分子型増粘剤、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機塩型増粘剤、
【0035】
プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、グリセリン等の保湿剤、炭化水素やエステル等の油性剤、メチルポリシロキサン及びその誘導体やカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等のコンディショニング剤、などが例示される。
【0036】
かくして得られる皮膚洗浄剤組成物は、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等の用途に極めて有用であり、その形態は、液状(水溶液状)、ペースト状、固体状、粉末状等と任意に選択も可能である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における分析・評価は以下の方法で行った。実施例で使用した化合物は、市販品、試薬又は下記製造例で得た化合物を用いた。
【0038】
[起泡性]
100mlの共栓付きメスシリンダー(JIS R3550-1994)に人工硬水(アメリカ硬度:50ppm)で界面活性剤の含有量が2.5重量%となる濃度に希釈した皮膚洗浄剤組成物の水溶液10mlを入れ、測定温度25℃にて、一定速度で30秒間に60回、手で振とうした。次いで1分間静置した後、直ちに1分間静置後の泡の体積(ml)を目視によって測定した。この測定を3回行い、それらの測定値の平均を整数位まで求め、その平均値を「1分間静置後の泡の体積」とした。その泡の体積を起泡性の指標とした。泡の体積の数値が大きいほど起泡性に優れることを示す。1分間静置後の泡の体積が65ml以上であれば、良好な起泡性を有すると判断される。
【0039】
[泡質]
前記起泡性の評価において、同時に1分間静置後の洗浄剤組成物水溶液の体積(ml)を測定した。この測定を3回行い、その測定値の平均を整数位まで求め、その平均値を「1分静置後の皮膚洗浄剤組成物水溶液の体積」とした。その皮膚洗浄剤組成物水溶液の体積と起泡性を評価した上記の泡の体積の数値から、次の式(1)を用いて泡密度(g/ml)を算出した。泡密度の数値が大きいほど、きめの細かい泡と評価される。なお、皮膚洗浄剤組成物水溶液の比重を1とみなして、泡密度を算出した。

泡密度(g/ml)=(10−皮膚洗浄剤組成物水溶液の体積)/(泡の体積) (1)

【0040】
[泡の安定性]
上記起泡性の評価において、さらに5分間静置を継続して、5分間静置後の泡の体積(ml)と5分静置後の皮膚洗浄剤組成物水溶液の体積(ml)を測定した。この測定を3回行い、それぞれの測定値の平均を整数位まで求め、その平均値をそれぞれ「5分静置後の泡の体積」、「5分間静置後の洗浄剤組成物水溶液の体積」とした。それらの数値から、前記の式(1)を用いて5分間静置後の泡密度を算出した。1分間静置後と5分静置後の泡密度から次の式(2)を用いて泡保持率(%)を算出した。その泡保持率を泡の安定性の指標とした。泡保持率の数値が大きいほど泡の安定性(泡の持続性)に優れることを示す。

泡保持率(%)=(5分間静置後の泡密度/1分間静置後の泡密度)×100 (2)
【0041】
[皮膚刺激性]
卵白アルブミン0.025重量%を含有するpH7のリン酸緩衝溶液9mlと、イオン交換水で界面活性剤の含有量が10重量%となる濃度に希釈した皮膚洗浄剤組成物水溶液1mlとを混合し、直ちに水系高速液体クロマトグラフィー(カラム;東ソー TSKG3000SWXL(30cm),測定温度;室温,溶離液;0.15M硫酸ナトリム含有0.05Mリン酸緩衝溶液(pH7),検出器;UV)を用いて分析して、卵白アルブミンの220nmの吸収ピーク高さを求めた。なお基準値として、前記皮膚洗浄剤組成物の代わりにイオン交換水を用いて同様に分析を行った。
分析の結果、得られた220nmのピーク高さから、次の式(3)を用いて蛋白質変性率(%)を算出した。蛋白質変性率により皮膚刺激性を評価した。蛋白質変性率が小さいほど、皮膚刺激性が小さいことを意味し、蛋白質変性率30%以下が低刺激性と判断される目安となる。

蛋白質変性率(%)=((Ho−Hs)/Ho)×100 (3)
Ho;基準値として分析したときの吸収ピークの高さ
Hs;皮膚洗浄剤組成物を分析したときの吸収ピークの高さ
【0042】
[使用感]
すすぎ後のさっぱり感について、20名のパネラーによる官能評価を行った。評価方法は、各パネラーが実際に使用したときのすすぎ後のさっぱり感の有無を集計し、次の評価基準に従って判定した。判定基準◎は、すすぎ後のさっぱり感を与えるという効果が高いと判断される。
<評価基準>
◎:20名中16名以上がすすぎ後にさっぱり感があると評価
○:20名中11から15名がすすぎ後にさっぱり感があると評価
△:20名中6から10名がすすぎ後にさっぱり感があると評価
×:20名中5名以下がすすぎ後にさっぱり感があると評価
【0043】
[製造例]
攪拌機、温度計、窒素導入管、真空ポンプに接続できる冷却管付きデカンターを備えた四つ口フラスコ(容量;1L)に無水マレイン酸137.3g(1.4モル)、イオン交換水113gを入れ、加熱せずに1時間攪拌して水和した。次に、水冷しながら水酸化ナトリウム59.0g(純度95%、1.4モル)を徐々に加えてマレイン酸一ナトリウム塩とした。次に、ラウリルアミン259.5g(1.4モル)を加えて、わずかに窒素を通気しながら湯浴中で昇温し、90〜97℃に加熱して10時間反応した。半固体状の反応粗物を一旦冷却後、徐々に真空に切り替え、90℃まで昇温しながら減圧脱水し、乾燥粗物とした。このものの未反応アミン含量から求めた反応率は93%であった。これを乳鉢で粉砕し、5重量倍の99.5%エタノール中で加熱洗浄し、室温まで冷却後不溶物を濾過で分取し、さらに減圧乾燥して、本発明に係るN−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム(粉末〜塊状)を得た。精製歩留まりは88.8%、未反応アミンの含有率は0.7%であった。
なお、表1に記載の他のアスパラギン酸誘導体も製造例1と同様の手順にて調製して、それぞれ、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミンを得た。無水マレイン酸の水和に用いるイオン交換水は、最終的に反応系中の目的物濃度が80%程度となるに必要な量に調整した。
【0044】
[実施例1〜14及び比較例1〜3]
表1又は表2に記載の配合成分及び配合比率に従ってこれらを混合して、界面活性剤の合計の含有量が25重量%となるようにイオン交換水を加えて濃度調整して、水溶液状の皮膚洗浄剤組成物を調製した。上記方法により、起泡性、泡質、泡の安定性、皮膚刺激性および使用感について分析・評価をした。それらの分析・評価結果を表1又は表2に示した。
【0045】
[実施例15〜17]
表3に示す配合成分及び配合比率に従ってこれらを混合して、界面活性剤成分から理論的に生成する高級脂肪酸塩及びアスパラギン酸誘導体の合計が25重量%となるようにイオン交換水を加えて濃度調整して、水溶液状の皮膚洗浄剤組成物を調製した。上記方法により、起泡性、泡質、泡の安定性、皮膚刺激性および使用感を分析・評価し、それらの分析・評価結果を表3に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
表1〜表3で使用した化合物は以下の通りである。
ヤシ油脂肪酸カリウム;アルホームK−100(製品名,新日本理化株式会社製)
ヤシ油脂肪酸ナトリウム;下記ヤシ油脂肪酸を水酸化ナトリウムで中和して調製した。
ヤシ油脂肪酸;椰子脂肪酸DH(製品名,新日本理化株式会社製)
ココイルグルタミン酸ナトリウム;アミノサーファクトACDS−L(製品名,旭化成ケミカルズ株式会社製)
ココアンホ酢酸ナトリウム;ソフタゾリンCL(製品名,川研ファインケミカル株式会社)
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド;アミゾールCME(製品名,川研ファインケミカル株式会社)
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,トリエタノールアミン,塩化ナトリム,グリセリン;試薬特級
N−ラウリルアスパラギン酸;上記N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウムをナトリウムの当量よりも過剰の塩酸で処理し、析出した固体を水洗して、減圧乾燥して調製した。
【0050】
表1〜表3より、高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体を併用することにより、すすぎ後のさっぱり感を奏しながら、皮膚刺激性が低く、泡のきめが細かくなり、泡の安定性も向上していることが判る。特に高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体の配合比率が70:30〜30:70の範囲においては、それらの効果が高い状態にあることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、すすぎ後にさっぱりした使用感を与え、泡質や泡の安定性が良好で、皮膚に対する刺激性が低いので、近年の消費者の多種多様なニーズに対した付加価値のある末端製品(ハンドソープ、ボディソープ、洗顔料等)を設計することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(2)
【化1】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
高級脂肪酸塩とアスパラギン酸誘導体との比率が重量比で70:30〜30:70である、請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
(I)一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を配合する工程、
(II)一般式(3)
−COOH (3)
[式中、Rは一般式(1)におけると同義である。]
で表される高級脂肪酸と
一般式(4)
【化3】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、
(III)一般式(1)
−COOM(1)
[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。またMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表される高級脂肪酸塩と
一般式(4)
【化4】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、及び
(IV)一般式(3)
−COOH (3)
[式中、Rは一般式(1)におけると同義である。]
で表される高級脂肪酸と
一般式(2)
【化5】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体とアルカリ性化合物を配合する工程
から選ばれる工程を一以上具備する方法により得られる皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−82652(P2013−82652A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223396(P2011−223396)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】