説明

皮膚漂白のための無色カロテノイド

【課題】皮膚漂白を促進させるためのカロテノイド製剤の使用を提供すること。
【解決手段】特に、本発明は、フィトエン及びフィトフルエンを含む組成物が皮膚を漂白するのに有効であることを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚漂白を促進させるためのカロテノイド製剤、特にフィトエン及びフィトフルエンを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚色は、皮膚の表皮基底層内に存在する細胞であるメラノサイト中に存在する色素メラニンの量によって主に決定される。メラニン産生は、メラノソームとして知られているメラノサイト内特異的オルガネラで生じ、紫外線の有害な作用から皮膚を保護する。いくつかの民族のより浅黒い肌の色合いは、メラニンの産生が自然に増大した結果として生じており、紫外線の刺激に応じてたくさん産生されることにより、よく知られている皮膚の日焼け作用がもたらされる。老化、日光への曝露、ホルモンの異常及び種々の皮膚障害は、皮膚中のメラニン色素の沈着を増大させ、濃い色のシミ及びそばかすをもたらす。こうした濃い色のシミは、多くの社会で美しくないと考えられているだけでなく、不健康であることでも知られているので好ましくない。
【0003】
皮膚上の濃い色のシミの存在を除去すること又はより明るい肌の色合いに興味がある人達には、漂白又は脱色組成物が有用である。多くの最新の皮膚脱色組成物は、メラニンの破壊(通常メラニン顆粒の破壊又は分裂による);その形成の阻害(しばしばメラニン生合成酵素であるチロシナーゼの阻害、又はメラノサイト活性及び増殖の阻害による)のいずれか、或いは両方を行う。これらの脱色組成物の多くは、過酸化物、酸又はホルムアルデヒドなどの刺激の強い化学薬品、或いはグルタチオン、システイン、メルカプトコハク酸、メルカプトデキストラン、及びメルカプトエタノールなどのチオール化物質を含む。これらの化学薬品は、皮膚に対して厳しい作用があることに加えて、それらを含む製品を消費者に望ましくないようにする不快な悪臭がある。
【0004】
より厳しくない治療法には他の欠点がある。例えば、ヒドロキノンは、メラノサイト活性を抑制することによって作用するので、漂白剤として使用されている。しかし、ヒドロキノンは、空気、光、及びチロシナーゼ自体によって酸化する。ヒドロキノンの酸化生成物は、皮膚刺激及び炎症(及びおそらくは細胞毒性)並びに色素沈着リバウンド(すなわち初期の淡色化とそれに続く暗色化)に関与してきた。さらに、これらの酸化プロセスによって、ヒドロキノンを含む製剤の貯蔵期限及び適用後のその生物学的利用能は、比較的短い。
【0005】
化粧用製剤中の通常の漂白剤は、麹酸、アルブチン、甘草抽出物及びビタミンCである。これらは、有効なチロシナーゼ阻害剤及び酸化防止剤であるが、通常安定ではなく、容易に酸化及び分解される。
【0006】
欧州特許第EP0467795号は、ビタミンA及びステロイドの受容体又は輸送体に対する親和性、したがってこれらの化合物とのある程度の構造上の類似を示す分子、並びに酵素活性の転換によってメラノソーム形成の低減を誘導し、メラニン分解酵素の活性化過剰をもたらす分子を含む、細胞質輸送体に対して親和性を表す活性分子の細胞膜間の輸送のための少層リポソーム担体の使用を開示している。
【0007】
近年、使用するのがより心地よく、その一部は古代の治療法において漂白効果があることが知られている天然由来原料を使用することが推奨されてきた。これらには、レモン、オレンジ、キュウリ、イチョウ、イナゴマメ、エイジツ、ゲンノショウコ、桂皮、アママヨラナ、マンネンロウ、チョウジ、桑の実、甘草、クマコケモモ、及びアセローラチェリー抽出物の単独又は他の漂白剤と組み合わせての使用がある(例えば、特に米国特許第5,747,006号;第5,980,904号;第6,994,874号;及び第7,029,709号を参照のこと)。特に肌のタイプ、色、年齢、及び状態が異なる対象で大きく異なるように、これらの天然物中の有効成分のばらつきにより、それらの有用性が時々制限され、推奨投与量及びレジメンを作るのが難しくなる。
【0008】
漂白効果があるカロテノイド含有化粧用組成物も開示されている。日本特許第JP2004300117号は、カロテノイド及びリンゴ属の植物の抽出物、好ましくは果実又は果汁の抽出物を含有する化粧用組成物を開示しており、この抽出物はポリフェノールを含むことが好ましく、カロテノイドはリコペンを含むことが好ましい。
【0009】
日本特許第6279257号は、メラニン生合成に対して阻害活性がある、トウダイグサ(Euphorbiaceae)科に属するサンゴアブラギリ(Jatropha podagrica)のカロテノイド又はクロロホルム抽出物並びに肌を美化及び漂白するためにそれを含む化粧用組成物を開示している。
【0010】
しかし、カロテノイド含有組成物は、β−カロテン及びリコペンのオレンジ−赤色により通常濃い色をしている。β−カロテン及びリコペンは、光及び酸化に敏感であり、それらの使用をかなり制限し、それらを含む製品の貯蔵期限を短くする特性である(カロテノイド(Carotenoids),Chemistry and Biology,Krinski,N.I.,Matthews−Roth,M.M.,Taylor,R.F.,ads,Planum Press,New York,London,1989に記載)。さらに、β−カロテン及びリコペンは、特有のオレンジ色をしており、この色は、種々の化粧品又は機能性食品用途において有効濃度で使用するのに重大な制限がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、化粧品及び食品業界に適していて有害な副作用が最小限である、代替の有効な漂白製剤の必要性が認識されており、それを得るのは極めて有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、皮膚漂白のためのカロテノイド組成物、特に皮膚漂白に有効なカロテノイドフィトエンとフィトフルエンの合剤に関する。
【0013】
本明細書では、「皮膚漂白」という用語は、皮膚色の淡色化、肌の色合い及び/又は色の均一化、紫外線曝露後の色素沈着の低減、日光ほくろ(加齢によるシミ)又はしみ(そばかす)の出現の低減、黒皮症の軽減、肝斑の軽減、炎症後色素沈着過度の軽減並びに色素性角化症の軽減を意味する。
【0014】
本発明は、カロテノイドフィトエン及びフィトフルエンがメラニン産生を制御するのに有効であるという予期しない発見に一部基づいている。本発明の発明者ら及び共同研究者らは、フィトエン及びフィトフルエンには抗酸化特性があり、紫外(UV)線を吸収でき、したがって、特に、紫外線への曝露及び酸化プロセスが原因の皮膚損傷の予防に有効であることをこれまで示してきた。本発明は今回、驚くべきことに、フィトエンとフィトフルエンの合剤が、皮膚細胞中のメラニン含有量を低減させることによって皮膚の色素沈着に直接効果があることを開示する。
【0015】
フィトエン及びフィトフルエンは、非常に有効でありながら、皮膚に塗布したとき又は経口的に摂取したときに副作用が全くないことが知られている天然カロテノイドであるので、本発明の教示は、以前から知られている皮膚漂白のための方法に対して有利である。フィトエンとフィトフルエンの合剤は、アルブチンなど既知の皮膚漂白成分と比較して、B16黒色腫細胞のメラニン形成に対して少なくとも同等の阻害活性があることがわかっている。さらに、本発明の方法に基づいて使用した組成物は、フィトエン、フィトフルエン及び潜在的ζ−カロテン以外の他のカロテノイドを本質的に欠く組成物を利用しており、皮膚に対する漂白効果を得るためにこれまで使用されてきたカロテノイド組成物に特徴的なオレンジ−赤色を持っていない。フィトエン−フィトフルエン−ζ−カロテン組成物は、ほのかに黄色っぽい色合いがついているだけである。この組成物が本質的に無色であることは、これらのカロテノイドが、それらを含む製剤の美的特性に対して影響を及ぼさないであろうことを保証する。これは、特に局所適用のために製剤した製剤において非常に望ましい現象である。有色カロテノイドの経口摂取の結果、しばしば皮膚が黄色からオレンジ色になるので、無色カロテノイド組成物は、経口製剤に関しても非常に望ましい。さらに、可視域に光の吸光度がない(これらのカロテノイドが本質的に無色であることの現れである)ことにより、それらは可視光の下で分解に対して安定になる。
【0016】
特定のメカニズム又は理論に拘泥するものではないが、メラニン含有量の低減は、皮膚メラノサイト内のメラニン合成速度の低減又はメラノサイトの増殖速度の低減によるもしれない。
【0017】
したがって、一態様によれば、本発明は、必要としている対象に、皮膚を漂白するのに有効な量でフィトエン及びフィトフルエンを含む組成物を投与することを含む、皮膚漂白を促進させるための方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、この組成物はζ−カロテンをさらに含む。他の実施形態によれば、この組成物は、フィトエン及びフィトフルエン以外のカロテノイドを多くて0.5重量%の濃度で含む。
【0019】
現在好ましいさらに他の実施形態によれば、この組成物は、本質的に無色である。
【0020】
本発明の方法に基づいて使用した組成物中のカロテノイド、フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンは、それだけには限らないが、天然源からの抽出物、化学合成による調製物及び組換え法による調製物を含む任意の入手可能な供給源から得ることができる。
【0021】
現在好ましいいくつかの実施形態によれば、カロテノイドフィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンのそれぞれは天然源由来である。一実施形態によれば、カロテノイドは、同じ天然源由来である。
【0022】
現在好ましい一実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用すべき組成物は、トマト果実由来のフィトエン、フィトフルエン及び任意選択でζ−カロテンを含む。一実施形態によれば、フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せは、油溶性トマト抽出物内に存在する。別の実施形態によれば、油溶性トマト抽出物は、リコペン及びβ−カロテンを実質的に欠いている。
【0023】
現在好ましい別の実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用すべき組成物は、藻類由来のフィトエン、フィトフルエン及び任意選択でζ−カロテンを含む。一実施形態によれば、藻類は、デュナリエラ(Dunaliella)種のものである。一実施形態によれば、フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せは、油溶性デュナリエラ抽出物内に存在する。別の実施形態によれば、油溶性デュナリエラ抽出物は、β−カロテンを実質的に欠いている。
【0024】
さらに他の実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用した組成物内に存在するカロテノイドフィトエン、フィトフルエン、及びζ−カロテンのそれぞれは微生物由来である。
【0025】
フィトエン、フィトフルエン及び任意選択でζ−カロテンの組合せの漂白効果は、それを含む組成物を局所的に皮膚に塗布したとき、並びに経口的に組成物を投与したときに得ることができる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用すべき組成物は、局所投与用に製剤した化粧用組成物であり、任意選択でこの組成物は、化粧品として許容される希釈剤又は担体をさらに含む。一実施形態によれば、この組成物は、希釈剤としてスクアランを含む。現在好ましい一実施形態によれば、スクアランは、天然由来スクアランである。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、化粧用組成物は、防腐剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、乳化剤、緩衝剤、キレート剤、着色剤、香料又はその任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含む。
【0028】
他の実施形態によれば、この組成物は、酸化防止剤、抗炎症薬、保湿剤、ビタミン、カロテノイド、紫外線吸収剤、紫外線保護剤又はその任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の有効成分をさらに含む。
【0029】
別のいくつかの実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用すべき組成物は、経口投与用に製剤する。
【0030】
一実施形態によれば、この組成物は、賦形剤、希釈剤又は担体をさらに含む。別の実施形態によれば、この組成物は、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、錠剤、ゲル剤、液剤、スラリー、懸濁剤及びシロップ剤からなる群から選択される形態に製剤する。
【0031】
本発明の方法による漂白組成物の投与計画及び適用方法は、治療すべき現象に関連するパラメーター並びに治療個体の特徴(年齢、サイズ、性別など)によって決まるだろう。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、少なくとも1日1回、好ましくは少なくとも1日2回皮膚に局所適用することを含む。他の実施形態によれば、本発明の方法は、少なくとも1日1回、好ましくは少なくとも1日2回漂白カロテノイド濃縮物を経口投与することを含む。他の実施形態によれば、経口組成物及び局所組成物は、対象に同時に投与する。
【0032】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の説明及び図から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、カロテノイドフィトエンとフィトフルエンの合剤が、皮膚への副作用が全くなく、皮膚を漂白するのに極めて有効であることを初めて開示する。したがって、本発明は、このようなフィトエンとフィトフルエンの合剤を利用して皮膚を漂白するための方法を提供する。
【0034】
定義
本明細書では、「フィトエン」という用語は、7,7’,8,8’,11,11’,12,12’−オクタヒドロ−ψ−ψ−カロテンを意味する。
【0035】
「フィトフルエン」という用語は、15Z,7,8,11,12,7’,8’−ヘキサヒドロ−ψ−ψ−カロテンを意味する。「ζ−カロテン」という用語は、7,8,7’,8’−テトラヒドロ−ψ−ψ−カロテンを意味する。フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンは、β−カロテン、リコペン及び他のカロテノイドの生成をもたらす生合成経路における前駆物質であるカロテノイド(C−40イソプレノイド鎖)である(フィトエンは、最初のカロテノイド特異的前駆物質であり、フィトフルエン及びζ−カロテンは、それに続く脱飽和ステップでそれから生成される)。フィトエンは、完全に無色だが、フィトフルエンは、僅かに黄色っぽい色である。ζ−カロテンは、最初の可視カロテノイドである。
【0036】
本明細書では、「皮膚漂白」又は「漂白」という用語は、皮膚色の淡色化、肌の色合い及び/又は色の均一化、紫外線曝露後の色素沈着の低減、日光ほくろ(加齢によるシミ)又はしみ(そばかす)の出現の低減、黒皮症の軽減、肝斑の軽減、炎症後色素沈着過度の軽減並びに色素性角化症の軽減を意味する。
【0037】
本明細書では、「重量%」という用語は、重量/重量パーセントに基づいた濃度を意味する。
【0038】
一態様によれば、本発明は、必要としている対象に、皮膚を漂白するのに有効な量でフィトエン及びフィトフルエンを含む組成物を投与することを含む、皮膚漂白を促進させるための方法を提供する。
【0039】
本明細書では、「皮膚を漂白するのに有効な量」という用語は、一緒に投与したときに所望の漂白効果が得られるフィトエンの量とフィトフルエンの量を意味する。
【0040】
本発明の組成物中のフィトエン及びフィトフルエンは、それぞれそれらのトランス形又はそれらのシス形であってよい。
【0041】
本発明の組成物中のフィトエンとフィトフルエンの重量比は、それぞれ200:1〜1:200、通常約50:1〜1:50、好ましくは10:1〜1:10の間の範囲であってよく、具体例は10:1(フィトエン:フィトフルエン)である。上記のフィトエン対フィトフルエンの比は、所望のフィトエン対フィトフルエン比を有する生物を利用した調製物を用いることによって、両方のカロテノイドを所望の比率で含む抽出物を用いることによって、両方のカロテノイドを含む抽出物にカロテノイドの片方を追加量加え、それにより所望の比率を得ることによって、或いは2種類の別々のカロテノイド(それぞれ本明細書に記載の又は当技術分野で周知の方法のいずれかによって得た)を混合してそれらの間の所望の比率を得ることによって達成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、ζ−カロテンをさらに含む。ζ−カロテンは、β−カロテン及びリコペンを含む有色カロテノイドの生合成経路中の最初の可視成分である。
【0043】
現在好ましい実施形態によれば、本発明の方法に基づいて使用した組成物中のζ−カロテン及び潜在的な他のカロテノイドの量は、組成物が本質的に無色となるようなものである。一実施形態によれば、フィトエン及びフィトフルエン以外のカロテノイドの量は、0.5重量%以下であり、好ましくはこの量は0.5重量%未満である。組成物中のカロテノイド濃度は、当業者に周知のように任意の方法によって測定することができる。通常、カロテノイド濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法又は分光光度計のいずれかによって測定する。フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンは、それぞれ286nm、348nm及び400nmで吸収帯を示す。油溶性抽出物中のリコペン及びζ−カロテンの合計量は、450nmで定量することができる。
【0044】
本質的に無色のカロテノイド組成物を含むことの利点は、これらのカロテノイドが、これらを含む組成物の美的特性に対して、又は投与後の皮膚色に対して影響を及ぼさないであろうことである。さらに、可視域に光の吸光度がない(それらが本質的に無色であることの現れである)ことにより、それらは可視光の下で分解に対して安定になり、それによって局所的に皮膚に塗布したときのそれらの生物学的利用能並びにそれを含む組成物の貯蔵期限が増大する。
【0045】
フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンは、任意の利用可能な供給源から得ることができ、ただし、それを含む漂白組成物は本質的に無色である。したがって、これらのカロテノイドは、天然源から抽出してよく、化学的に合成してよく、或いは分子遺伝学の方法によって得てもよい。通常、それらは種々の植物、様々な藻類、及びいくつかの微生物などカロテノイドを産生する生物から得ることができる。それぞれのカロテノイドは、異なる供給源から抽出してよく、或いはフィトエン、フィトフルエン及び潜在的ζ−カロテンは、同じ供給源から得てもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せは、トマト果実由来である。トマト果実は通常、フィトエン又はフィトフルエンの濃度と比較して高濃度のリコペンの存在を特徴とする。いくつかの実施形態によれば、トマト果実からのカロテノイド抽出プロセスは、所望のカロテノイドフィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンを任意の他のカロテノイドから分離するステップを含む。他の実施形態によれば、本発明は、フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテン以外のカロテノイドの量が少ないトマト品種を利用した。
【0047】
他の実施形態によれば、フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せは、藻類、好ましくはデュナリエラ種の藻類由来である。
【0048】
生物又はその部分のいずれかからのカロテノイド抽出は、当業者に周知のように任意の方法によって行うことができる。いくつかの実施形態によれば、生物又はその一部を溶媒中に浸漬して、生物から溶媒に油溶性成分を抽出する。抽出は、前処理を施した後、例えば、供給源がトマト果実の場合、果実を粉砕及び/又は均質化した後に実施してもよい。抽出プロセスは、供給源−溶媒混合物の加熱及び/又は撹拌によって促進することができる。抽出されなかった破片を除去した後、溶媒を除去することができる。抽出溶媒の例には、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及び2−ブタノールなどの低級モノアルコール;酢酸エチルなどの低級アルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン及びペンタンなどの炭化水素;アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン;スクアラン、流動パラフィン、ポリデセンなどの油;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジプロピルエーテルなどのエーテル;並びにアセトニトリルがある。当業者に周知のように、1種の溶媒並びに異なる溶媒の組合せを使用することができる。現在好ましい一実施形態によれば、溶媒は、ヘキサン、エタノール、酢酸エチル又はその任意の組合せである。
【0049】
次いで、抽出物は、例えば分子量分別、溶媒分別によって、イオン交換樹脂又は吸着樹脂などの任意の樹脂で油溶性抽出物を精製することなどによってさらに精製してよい。いくつかの実施形態によれば、抽出溶媒を除去し、油溶性カロテノイド調製物を化粧品又は経口摂取に適した希釈剤と混合する。フィトエン及びフィトフルエン抽出についての例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本発明の発明者ら及び共同研究者らの米国特許第6,383,474号に記載されている。
【0050】
他の実施形態によれば、カロテノイドフィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せは、生物から抽出していない。一実施形態によれば、カロテノイドは、トマト又は藻類などの脱水した生物由来の粉末の形態である。
【0051】
フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンを天然源から得ることに加えて、これらのカロテノイドは、既知の化学的又は生化学的方法のいずれか或いは組換え法によって合成することもできる。化学的に、フィトエンは、例えば、フィトエンシンターゼによって媒介され得る反応において2つのゲラニルゲラニルピロリン酸(C−20)から合成することができる。ゲラニルゲラニルピロリン酸は、メバロン酸の転換又はピルビン酸塩とグリセルアルデヒド−3−リン酸の縮合によって直接得ることができる。フィトフルエンは、フィトエンデサチュラーゼによって媒介され得る反応であるフィトエンの脱飽和によって合成することができる。さらなる脱飽和ステップにより、ζ−カロテンの生成がもたらされる。組換え法には、例えば、フィトフルエンの下流で活性な酵素の変異誘発がある。こうした合成フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンは、先に記載されたようにカロテノイドを生成する生物から得られたこれらのカロテノイドの活性に実質的に類似した活性を有するはずである。
【0052】
投与方法
フィトエンとフィトフルエンの合剤は、皮膚に局所的に塗布したとき又は経口的に摂取したときに、皮膚に対してその漂白効果を発揮することができる。組成物内のカロテノイドの量は、投与の経路、治療すべき現象並びに年齢、性別及び適用計画を含めた使用者に関連するパラメーターによって決まることを理解されたい。
【0053】
局所適用
局所適用の場合、先に記載された方法のいずれかによって得られた油溶性カロテノイド調製物を、それだけには限らないが、スクアラン、流動パラフィン及びポリデセンからなる群から選択される化粧品として許容される希釈剤と混合する。このように調製した化粧用組成物は、皮膚による許容度が高く、したがって局所適用によって漂白の効果を達成するのに適している。現在好ましいいくつかの実施形態によれば、スクアランは天然源由来である。天然スクアランのための通常の供給源には、オリーブ油、小麦胚芽及びゴマがある。
【0054】
本発明の方法に基づく使用のための化粧用組成物は、局所使用のために、それだけには限らないが、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、発泡体、懸濁剤、水性又は共溶媒液剤、軟膏剤、リポソーム及びカロテノイド調製物の局所投与に適した任意の他の化粧品として許容される形態からなる群から選択される形態に製剤することができる。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、局所製剤は、乳剤、不洗性(油中水)クリーム剤又は可洗性(水中油)クリーム剤、ローション剤、軟膏剤などからなる群から選択される。
【0056】
当技術分野でよく知られているように、希釈剤の物理化学的特徴は、それだけには限らないが、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤、凝集剤、懸濁化剤などを含む種々の賦形剤の添加によって操作することができる。これらの任意選択の賦形剤により、得られた製剤の物理的特徴が決定されることになるので、適用はより気持ちよく又は便利になり得る。選択した賦形剤は、好ましくは有効成分の活性及び製剤の貯蔵安定性を高めるべきであり、且ついかなる場合でも妨げないことが、当業者によって認められよう。
【0057】
局所組成物中の油溶性カロテノイド含有画分の濃度は、0.0001〜50%(w/w)の範囲であり、好ましくは0.01〜10%(w/w)の範囲である。
【0058】
経口投与
食事カロテノイドが皮膚中に存在することがこれまでにわかっている。Hataら(J.Invest.Dermatology 115:441〜448,2000)は、数ある中で、フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンが、ヒト腹皮抽出物中にかなりの量で存在することを示した。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、皮膚を漂白するための組成物は、経口投与用に液体及び固体剤形から選択された形態に製剤する。
【0060】
いくつかの実施形態では、経口投与用の組成物は、液剤、懸濁剤、乾燥可溶性凍結乾燥粉末、乳剤、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム剤形、コレステロール誘導体及びリン脂質などとの脂質複合体、カプセル剤、軟ゲルカプセル剤などからなる群から選択される形態に製剤する。
【0061】
他の実施形態では、液剤及び溶剤は、水性及び非水性液剤から選択される。場合によっては、防腐剤、酸化防止剤及び等張化剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加成分を製剤に加えてもよい。一実施形態では、防腐剤は、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びメチルパラベンのナトリウム塩からなる群から選択される。
【0062】
別の実施形態では、等張化剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース、グルコース、ラクトース及びスクロースからなる群から選択される。
【0063】
他の実施形態では、本発明の方法に基づいて使用した組成物は、錠剤、カプセル剤、サッシェ、散剤、顆粒剤及びトローチ剤からなる群から選択される経口投与用の固体組成物である。
【0064】
いくつかの実施形態では、錠剤として製剤した固体薬剤組成物は、活性化合物に加えて、それだけには限らないが、デンプン、アラビアゴム、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースを含む適当な賦形剤を含有する。製剤は、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルなどの保存剤;甘味剤;又は矯味剤をさらに含んでいてよい。ポリオール、緩衝剤、及び不活性充填剤も使用してよい。ポリオールの例には、それだけには限らないが:マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、マルトース、グルコース、ラクトース、デキストロースなどがある。適当な緩衝剤には、それだけには限らないが、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩などが含まれる。使用できる他の不活性充填剤には、当技術分野で既知のもの及び様々な剤形の製造で有用なものが含まれる。必要に応じて、固体組成物は、増量剤及び/又は顆粒化剤など他の成分を含んでいてよい。組成物は、当技術分野でよく知られている手順を使用することによって、対象への投与後にカロテノイドの急速、持続、又は遅延放出をもたらすように製剤することができる。
【0065】
経口剤形中の油溶性カロテノイド含有画分の濃度は、0.0001〜50%(w/w)の範囲であり、好ましくは0.1〜10%(w/w)の範囲である。
【0066】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために示す。しかし、それらは、決して本発明の広い範囲を限定するものとみなすべきではない。
【実施例】
【0067】
(実施例1:正常ヒトメラノサイト及びネズミB16黒色腫細胞の培養物中のメラニン合成に対するトマト由来カロテノイド抽出物の効果)
原料及び方法
細胞及び培養条件
細胞タイプ:6代継代した正常ヒト表皮メラノサイト(NHEM−2)を使用。
培地: 培地254(Tebu 058M−254−500)+PMA
(Tebu 058S−016−5)を含まない補完HMGS−2
ペニシリン50UI/ml及びストレプトマイシン50μg/ml
(Invitrogen 15070063)
細胞タイプ:5代継代したB16ネズミ黒色腫細胞系(B16)を使用。
培地: DMEM(Invitrogen 21969035)
L−グルタミン 2mM(Invitrogen 25030024)
ペニシリン/ストレプトマイシン 50UI/ml/50μg/ml
(Invitrogen 15070063)
ウシ胎児血清10%(v/v、Invitrogen 10270098)
培養: 37℃及び5%CO2
【0068】
試験化合物及び基準
【表1】

【0069】
培養条件
正常ヒト表皮メラノサイト
R6−NHEM−2細胞を24ウェルプレート中で培養した(120,000細胞/ウェル)。50%集密状態で、培地を、試験化合物、KA又はIBMX(基準)或いは0.5%最終におけるDMSO(対照DMSO)を含む又は含まない(対照)新鮮な培地と交換した。各実験条件を3通り行った(対照については6通り)。細胞は、3日毎に培地を交換しながら37℃で240時間インキュベートした。
【0070】
B16ネズミ黒色腫細胞系
R7−B16細胞を24ウェルプレート中で培養した(1000細胞/ウェル)。20%集密状態で、培地を、試験化合物、KA又はIBMX(基準)或いは0.5%最終におけるDMSO(対照DMSO)を含む又は含まない(対照)新鮮な培地と交換した。各実験条件を3通り行った。細胞は、3日後に培地を交換しながら(2×72h)37℃で144時間インキュベートした。
【0071】
メラニンアッセイ
インキュベーション後、細胞単層をすすぎ、細胞を溶解させ、0.5M NaOH溶液によってメラニンを抽出した。
【0072】
各実験ポイントの光学密度(OD)を、メラニン標準液(標準曲線0.39〜100μg/mlメラニン、Sigma M8631)に対して405nmで測定した。結果をμg/mlメラニン及び負の対照のパーセント値で表した。
【0073】
データ管理
生データをPRISM(登録商標)ソフトウェア(Graph Pad Software)に移し、分析した。ダネットの多重比較試験を用いた分散分析(ANOVA)によってグループ間比較を行った。
【0074】
結果及び結論
B16ネズミ黒色腫細胞系のメラニン含有量に対するIBR−TCLC(商標)の効果
下の表1及び図1は、B16ネズミ黒色腫(B16)によるメラニン合成に対するIBR−TCLC(商標)及び基準化合物の効果を示す。
【0075】
0.04%で試験した基準化合物「麹酸」により、B16ネズミ黒色腫細胞のメラニン含有量が僅かに低減した(対照の88%)。200μMで試験した基準「IBMX」により、メラニン含有量が強力に増大した(対照の731%、p<0.01)。このタイプのアッセイでは、これらの値は予想されていた。
【0076】
培地中に最終濃度0.5%でDMSOが存在することにより、B16メラノサイトのメラニン含有量が強力に増大した(3倍刺激因子)。
【0077】
これらの実験条件では、0.5%(0.5%DMSO最終)で試験した化合物IBR−TCLC(商標)により、B16ネズミ黒色腫のメラニン含有量が低減した(対照DMSOと比較して22%阻害)。これらの実験条件では、培養物中のB16ネズミメラノサイトに対する細胞増殖抑制効果は観察されなかった(データ示さず)。
【0078】
【表2】

【0079】
正常ヒト表皮メラノサイト培養物のメラニン含有量に対するIBR−TCLC(商標)の効果
下の表2及び図2は、これらの細胞によるメラニン合成に対するIBR−TCLC(商標)及び基準化合物の効果を示す。
【0080】
0.0036%及び0.00156%で試験した基準化合物「麹酸」により、メラニン含有量の著しい用量依存的低減が誘導された(それぞれ対照の67%及び79%、p<0.01)。200μMで試験した基準「IBMX」により、メラニン含有量が著しく増大した(対照の171%、p<0.01)。このタイプのアッセイではこれらの値は予想されており、このアッセイを実証した。
【0081】
これらの実験条件では、0.5%で試験した化合物「IBR−TCLC(商標)」により、正常ヒトメラノサイトのメラニン含有量が低減した(対照DMSOと比較して71%)。
【0082】
【表3】

【0083】
(実施例2:スクアラン中のIBR−TCLC(商標)のメラニン生成及び漂白に対する効果)
フィトエン及びフィトフルエンのトマト由来組成物をオリーブ油由来のスクアラン中に溶解させた(フィトエン及びフィトフルエン濃度:0.724mg/ml)。他のカロテノイドは、この組成物中で検出不可能であった。この組成物を最終濃度0.3%、0.5%及び1.0%で使用して、B16ネズミ黒色腫細胞に対するその漂白効果を評価した。
【0084】
B16ネズミ黒色腫細胞をMEM培地中37℃、5%COで培養した。次の日、細胞を0、0.25、0.5、1.25%、3.75%及び5%スクアラントマト抽出物で処理した。処理したということは、次の日にインキュベーション培地を交換し、新しい培地中で培養している細胞にスクアラントマト抽出物を加えたことを指す。4日後、遠心分離によってPBS(−)を用いて細胞を捕集し、以下の基準を用いて細胞ペレットの色を評価することによって漂白効果を評価した。
【0085】
(++):未処理と比較して極端に白い;(+):未処理と比較して明らかに白い;(−):効果なし
【0086】
全ての処理細胞の生存度を以下のように測定した:細胞を別のプレートに移し、ホルマリンで固定し、1%クリスタルバイオレット溶液を加えることによって染色した。製造業者の使用説明書に実質的に従って、MONOCELLATER(オリンパスオプティカル社)を用いて細胞生存度を測定した。B16黒色腫培養細胞に対する毒性作用は観察されなかった(以下の表3を参照のこと)。
【0087】
【表4】

【0088】
上記の実施例1及び実施例2に示した結果は、カロテノイドフィトエン及びフィトフルエンを含む組成物が、正常並びに癌性皮膚細胞中のメラニン含有量を阻害するのに極めて有効であることを実証する。さらに、β−カロテン及びリコペンの様な有色カロテノイドを本質的に欠くこうした組成物は、非常に安定である。その上、無色であるため、フィトエン−フィトフルエン組成物は、化粧用製剤に対して全く着色をもたらさないので、化粧品用途に極めて適している。
【0089】
(実施例3:洗顔料の調製)
A.後述の成分(1)〜(7)を混合し、加熱しながら溶解させて混合物Aを得た。
【0090】
B.後述の成分(8)〜(11)を混合し、加熱しながら溶解させて混合物Bを得た。
【0091】
C.混合物Bを混合物Aに加えて混合物Cを得た。
【0092】
D.混合物Cを冷却し、次いで後述の成分(12)〜(14)を加え、混合して洗顔料を得た。
【0093】
成分 質量%
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残余
(8)ココナッツ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ココナッツ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリルエーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシルプロピルメチルセルロースの1%水性液剤 5.0
(13)スクアラントマト抽出物 0.1
(14)芳香剤 q.s.
実施例1Aの場合のように生成
q.s.十分量
【0094】
(実施例4:化粧水の調製)
A.後述の成分(1)〜(6)を混合し、溶解させて混合物Aを得た。
【0095】
B.後述の成分(7)〜(12)を混合し、溶解させて混合物Bを得た。
【0096】
C.混合物Bを混合物Aに加えて化粧水を得た。
【0097】
成分 質量%
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ナトリウムピロリドンカルボキシレート(50%)溶液 0.5
(4)グリチルリチン酸二カリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残余
(8)エタノール 10.0
(9)スクアラントマト抽出物 0.1
(10)芳香剤 q.s.
(11)防腐剤 q.s.
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
0.5
実施例1Aの場合のように生成
q.s.十分量
【0098】
(実施例5:乳液の調製)
A.後述の成分(1)〜(13)を混合し、加熱しながら溶解させ、70℃に保持して混合物Aを得た。
【0099】
B.後述の成分(14)〜(18)を混合し、加熱しながら溶解させ、70℃に保持して混合物Bを得た。
【0100】
C.混合物Bを混合物Aに加えて乳状にし、成分(19)を加えて混合物Cを得た。
【0101】
D.成分(20)を混合物Cに加えて乳液を得た。
【0102】
成分 質量%
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セチルアルコール 0.5
(3)親水性型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクアラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)スクアラントマト抽出物 0.1
(11)防腐剤 q.s.
(12)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(13)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
0.5
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール 6000 0.5
(18)精製水 残余
(19) カルボキシビニルポリマーの1%溶液 8.0
(20)芳香剤 q.s.
実施例1Aの場合のように生成
【0103】
(実施例6:スキンクリームの調製)
A.後述の成分(1)〜(14)を混合し、加熱しながら溶解させ、70℃で保持して混合物Aを得た。
【0104】
B.後述の成分(15)〜(19)を加熱しながら混合し、70℃に保持して混合物Bを得た。
【0105】
C.混合物Bを混合物Aに加えて乳状にし、成分(20)を加えて混合物Cを得た。
【0106】
D.混合物Cを冷却し、成分(21)を加え、混合してスキンクリームを得た。
【0107】
成分 質量%
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セチルアルコール 2.5
(3)親水性型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクアラン 5.0
(9)黄蝋 1.0
(10)スクアラントマト抽出物** 0.1
(11)パルミチン酸セチル 2.0
(12)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(13)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
1.5
(14)防腐剤 q.s.
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール 20000 0.5
(19)精製水 残余
(20)カルボキシビニルポリマーの1%水溶液 10.0
(21)芳香剤 q.s.
日清オイリオ株式会社製「COSMOL 168AR」
**実施例1Aの場合のように生成
【0108】
先の実施例4〜7で説明したように得られた化粧用組成物の全ては、無色であり、分離を少しも示さず均質であり、したがって優れた安定性を有することが判明した。
【0109】
これら全ての組成物は、1日当り少なくとも1回又は2回皮膚に塗布すると、皮膚を美しく、白く、且つ透明にできることも判明した。
【0110】
以上の特定の実施形態の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにしており、それにより、他者は、最新の知識を適用することによって、過度の実験なしに及び一般的な概念から逸脱することなく、こうした特定の実施形態を容易に改変する及び/又は様々な用途に適合させることができ、したがって、こうした適合形態及び変更形態は、開示した実施形態の相当物の意味及び範囲内に含まれるべきであり、且つ含まれるものである。本明細書で使用した言い回し又は用語は、説明を目的としており、限定するものではないことを理解されたい。開示した様々な化学構造及び機能を実施するための手段、原料、及びステップは、本発明から逸脱することなく種々の代替形態を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】B16ネズミ黒色腫細胞によるメラニン合成に対する化合物IBR−TCLC及び基準化合物の効果を示す図である。
【図2】正常ヒトメラノサイト(NHEM)によるメラニン合成に対する化合物IBR−TCLC及び基準化合物の効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を漂白するのに有効な量で無色カロテノイドフィトエン及びフィトフルエンを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、皮膚漂白を促進させるための方法。
【請求項2】
組成物がζ−カロテンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物がフィトエン及びフィトフルエン以外に最大0.5重量%のカロテノイドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物が本質的に無色である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンからなる群から選択されるカロテノイドのそれぞれが天然源由来である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
天然源がトマト果実である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せがトマト果実の油溶性抽出物内に存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
トマト果実の油溶性抽出物が、リコペン及びβ−カロテンを実質的に欠いている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
天然源が藻類である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
藻類がデュナリエラ(Dunaliella)種のものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フィトエン、フィトフルエン、ζ−カロテン又はその任意の組合せが、藻類デュナリエラの油溶性抽出物内に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
藻類デュナリエラの油溶性抽出物が、β−カロテンを実質的に欠いている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
天然源が微生物である、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンからなる群から選択されるカロテノイドのそれぞれが化学合成によって調製される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
フィトエン、フィトフルエン及びζ−カロテンからなる群から選択されるカロテノイドのそれぞれが組換え法によって調製される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物が局所投与のために製剤された化粧用組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
組成物が化粧品として許容される希釈剤又は担体をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組成物が、防腐剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、乳化剤、緩衝剤、キレート剤、着色剤、香料又はその任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
組成物が、酸化防止剤、抗炎症薬、保湿剤、ビタミン、カロテノイド、紫外線吸収剤、紫外線保護剤又はその任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の有効成分をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
組成物が希釈剤としてスクアランを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
スクアランが天然由来スクアランである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組成物が経口投与用に製剤された、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
組成物が賦形剤、希釈剤又は担体をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
組成物が、カプセル剤、糖衣錠、丸剤、錠剤、ゲル剤、液剤、スラリー、懸濁剤及びシロップ剤からなる群から選択される形態に製剤された、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
化粧用組成物を少なくとも1日1回対象の皮膚に局所的に投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
経口組成物を少なくとも1日1回対象に投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
局所組成物及び経口組成物を同時に投与する、請求項25又は26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−13541(P2008−13541A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−30836(P2007−30836)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(506094747)アイ.ビイ.アール.イスラエリー バイオテクノロジー リサーチ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】