説明

皮膚照射装置及び方法

皮膚照射装置は、第1の方向xに延在するライン形状の照射パターン12を生成する、光照射源14を有する光照射ユニット10と、第1の方向xを横切る第2の方向yにライン形状の照射パターンを動かすための動き機構20、22と、皮膚状態プロフィールを検出するための検出ユニット30と、検出ユニット30により検出される皮膚状態プロフィールに依存して、ライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布を制御するための制御ユニット40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚照射装置に関する。
【0002】
本発明は、更に皮膚照射方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乾癬は、細胞が通常より速く増殖する(過剰増殖する)ような良く境界を定められた斑により特徴づけられる慢性、非感染性炎症性皮膚病であって、非常に乾燥し赤い皮膚となる。表皮の細胞の増殖レートは、成長片と細胞サイクル時間との組合せにより制御される。通常の皮膚では、作られる細胞の数は、表皮性増殖的なプールから離れている細胞の数によりバランスが保たれる。細胞が皮膚の基底層と角質層との間を移行する(基本的に、生まれてから死ぬ及び皮膚から離れるまで)に必要とされる時間は約4週間であり、その一方で、乾癬患者に対しては、この時間は大幅に短い(約4日)。
【0004】
光線治療は、乾癬の効率的な治療であることがわかっている。これらは、広帯域の紫外線B(UVB)照射及び狭帯域の紫外線UVB、ソラレンと紫外線A(PUVA)との併用による光化学治療、及び紫外線レーザーを含む。305nm〜314nmの波長範囲のUVB照射は、乾癬の治療のために最も効率的であることがわかっている。
【0005】
PL又はTL放電ランプを持つ装置が、狭帯域(312nm)照射又はUVA照射での十分なボディ治療又は部分的なボディ治療のために知られている。これらの装置は、斑自体の発病度に依存した特定の照射量を作れない。よって、これらの装置は、健康な皮膚も照射する。健康な皮膚の照射は、老化又は更に癌のような負の効果を持つ。
【0006】
また、例えば308nmの波長を持つエキシマレーザーから照射光の狭いビームを照射する携帯用サイズのアプリケータが知られている。斯様な装置は、医者が正確に照射光を患部に付与可能にする。しかしながらこれは、患者の皮膚が何百又は何千もの相互に離れた患部を持つので、困難な作業である。更にまた、効果的な治療のために、多くの回数繰り返されなければならない。医者が非常に集中してこの作業を遂行する場合であっても、特定の患部が過度に治療されるか又は未治療のままであることを、ほとんど防げない。
【0007】
米国特許出願2008/0051773は、電磁照射源と、当該照射源から電磁照射光を受ける画像形成装置とを有する、電磁照射光で皮膚状態を治療するための装置を説明する。当該装置は、更に、皮膚状態の画像に基づいて患者の皮膚に、電磁照射光を有する形状化された治療画像を画像形成装置により形成させるように構成された制御システムを有する。前記米国特許出願の図1は、患者の皮膚の領域116の画像を捕えるカメラ102を示す。制御システム(コンピュータ106)は、乾癬の斑120又は治療するための他の皮膚状態を識別し、適当な治療画像を生成して、投射システム104に送信する。レーザー108からの紫外線光122は、光システム110により画像形成装置112上に合焦される。画像形成装置112は、コンピュータ106から画像を生成し、その画像を光112に与え、治療画像124を形成する合焦レンズ114を通って患者の皮膚118上へ反射させる。カメラは、治療画像が呼吸のような患者の動きを補償するのに十分速く更新できるために充分なリフレッシュレートを持つ。幾つかの例では、システムは、必要に応じて患者のボディの異なる領域に撮像ヘッド406を配置するアーム404を動かして、完全に自動化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
改良された皮膚照射装置を提供することが、本発明の目的である。
【0009】
改良された皮膚照射方法を提供することが、本発明の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、第1の方向に延在するライン形状の照射パターンを生成する、光照射源を有する光照射ユニットと、第1の方向を横切る第2の方向に前記ライン形状の照射パターンを動かすための動き機構と、皮膚状態プロフィールを検出するための検出ユニットと、前記検出ユニットにより検出される前記皮膚状態プロフィールに依存して、前記ライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布を制御するための制御ユニットとを有する皮膚照射装置が提供される。
【0011】
ライン形状の照射パターンは、治療されるべき皮膚の表面上のライン形状の領域に制限される光照射のパターンとして、本願では規定される。ライン形状の領域は、その幅より大幅に大きい、例えば少なくとも10倍大きい長さを持つ領域であると理解される。ライン形状の照射パターンは、ライン形状の領域の全ての長さにわたって延在する必要はなく、例えばライン形状の領域内の皮膚の一つ以上の部分を照射してもよい。
【0012】
皮膚状態プロフィールは、全体の領域又は治療されるべき部分、例えばライン形状の部分に対する皮膚の位置の関数としての皮膚状態として本願では規定される。
【0013】
パワー密度分布は、第1の方向の位置の関数としてのライン形状の照射パターン内のパワー密度(mW/cm)の分布として、本願では規定される。
【0014】
従って、本発明のこの第1の態様による装置は、ライン形状の領域内に所望のパワー密度分布で照射光を付与することに適している。従って、単純な光手段で充分であり、必要なパワー密度分布は、ライン形状の領域に対して検出された皮膚状態プロフィールから速く計算できる。それとともに、装置は、ビームが複雑な二次元のパターンで形成されることを要求する既知の装置と比較して、比較的低コストである。
【0015】
一方では検出された皮膚状態プロフィールに依存している第1の方向のライン形状の照射パターンのパワー密度分布の制御と、他方では第2の方向のライン形状の照射パターンの動きとの組み合わせは、結果として、治療されるべき皮膚上の領域の皮膚状態プロフィールに整合する照射パワープロフィールとなる。ここで、照射パワープロフィールは、照射される皮膚の表面上のパワー密度(mW/cm)の二次元の分布であると理解される。
【0016】
ライン形状の照射パターンの幅及び動き速度に依存して、照射量プロフィールが治療されるべき皮膚に与えられる。照射量プロフィールは、皮膚の表面に付与される照射量(mJ/cm)の二次元の分布として、本願では規定される。
【0017】
ライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布を制御する際、制御ユニットは、最大パワー密度(このパワー密度を超えると皮膚の損傷が発生する)や最小パワー密度(このパワー密度より低いと治療上の効果を持たない)のような様々な条件を考慮する。実施例では、制御ユニットは、最初に、皮膚状態を改善するために投与される必要がある照射量を計算し、次に、既定の照射量が既定の露出時間内で投与されるレベルでパワー密度を制御する。
【0018】
よって、単純な光学系及び比較的低い計算労力だけが必要とされるという事実にもかかわらず、本発明の第1の態様による装置は、第2の方向のライン形状の照射パターンの動きと、第1の方向のライン形状の照射パターンのパワー密度分布の制御との組合せにより、任意の皮膚状態プロフィールを持つ皮膚の任意の広い領域の自動治療を可能にする。
【0019】
ライン形状の照射パターンは、例えば、光照射ユニットを動かすことにより動かされる。代わりに、光照射ユニットは、制御可能な照射偏向装置、例えば制御可能な方向を持つミラーを持つ。代わりに、光照射ユニットに関して、皮膚が照射される人を動かすことが可能である。加えて、システムは、例えば映像及び/又は音声命令により患者に動くように要求してもよい。
【0020】
皮膚照射装置の実施例では、検出ユニットは走査領域内の皮膚状態プロフィールを検出し、動き機構はライン形状の放射パターンが走査領域を横切らせるようにする。この実施例では、制御ユニットは、走査領域に対して検出された皮膚状態プロフィールに基づいて、パワー密度分布を制御する。
【0021】
治療が始まる前に、必要なパワー密度分布が完全に走査領域に対して計算されることは必要でない。よって、また、二次元の走査領域で皮膚状態を検出する検出ユニット及びライン形状の照射パターンを供給する光照射ユニットを持つこの複合型アレンジメントで、必要なパワー密度分布は、単純な手段で速く計算できる。
【0022】
画像が捕捉されると、処理能力に依存して、必要なパワー密度分布は一度に1本のラインに対して計算されてもよいし、又は、治療が始まる前に、必要なパワー密度分布が、全体画像若しくは画像の一部に対して計算されてもよい。実施例では、必要なパワー密度分布は、動き機構の動き方向と同じ順で後続のラインに対して計算されている。治療は、パワー密度分布がすでに決定された領域のラインで始まる一方、治療の間、第2の方向の後続の位置に対して必要なパワー密度分布が計算される。皮膚のライン形状の領域が照射された後、毎回、動き機構はステップ毎に光照射ユニットを移動させる。代わりに、光照射ユニットは、照射している間に、連続的に動いてもよい。装置は、第2の方向の後続位置の間にライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布を補間するための補間機構を持つ。皮膚の状態がサンプリングされる空間解像度が、照射が皮膚に投与される空間解像度より低い場合、パワー密度分布の補間は有効である。この場合、皮膚状態がサンプリングされなかった第2の方向の皮膚位置上のライン形状の照射パターンの必要なパワー密度分布は、対応する皮膚状態がサンプリングされた位置でのライン形状の照射パターンに対して決定されたパワー密度分布からの補間により計算されてもよい。言い換えると、補間は、第2の方向に沿った離散的位置でパワー密度分布を決定するために用いられる。動き機構によってライン形状の照射パターンの連続的動きが生じる場合も、補間が適用されてもよい。その場合、皮膚上のライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布は、前記連続的動きに従って変化する重み付け因子を持って、隣接する位置でのライン形状の照射パターンに対して決定されるパワー密度分布からの補間により計算される。言い換えると、補間は、第2の方向に沿って連続的動きの連続した光照射位置で、パワー密度分布を決定するために用いられる。代わりに、制御ユニットは、動きが第2の方向の既定の距離を進むたびに、ライン形状の照射パターンのパワー密度分布をステップ毎に変えてもよい。
【0023】
本発明の実施例は、更に、動き表示信号を生成するための動き検出ユニットを更に有し、制御ユニットは、走査領域に対して検出された皮膚状態プロフィールと動き表示信号とに基づいて、パワー密度分布を制御する。このようにして、患者は、治療されながら、自由に移動できる。患者の動きは、例えばエコードップラー法により検出され測定される。
【0024】
本発明の第1の態様による皮膚照射装置の他の実施例では、検出ユニットは、ライン形状の検出領域内の皮膚状態を検出するように設けられる。これは、検出機構が比較的安価にできるという点で有利である。適度の量のメモリだけがこの領域に対する皮膚状態プロフィールを格納するために必要とされることも利点である。
【0025】
この実施例の変形において、ライン形状の照射パターンは、ライン形状の検出領域にマッピングされ、動き機構は、その後皮膚状態プロフィールが決定され、ライン形状の照射パターンがライン形状の検出領域に付与された後、第2の方向の次の位置へライン形状の検出領域を動かすように設けられる。これは、必要なパワー密度分布を示すデータが制御ユニットによりすぐに使用できるので、適度の量のメモリ空間だけが皮膚状態データ及び必要なパワー密度分布を示すデータを格納するのに必要であるという点で有利である。
【0026】
最後の実施例の他の変形において、検出ユニットは、ライン形状の照射パターンにより照射されるライン形状の照射領域に関して第2の方向の先頭に位置される他のライン形状の検出領域内の皮膚状態を検出するように設けられる。これは、皮膚状態プロフィールを決定するプロセス、パワー密度分布を計算するプロセス及びライン形状の照射パターンを生成し付与するプロセスが同時に起こることができるので、治療の全体の時間を短縮する点で有利である。
【0027】
検出ユニットは、光照射ユニットと独立して動いてもよい。しかしながら、検出ユニット及び光照射ユニットが共に動く場合、有利である。これは、装置の機械的要件を単純化する。実施例では、検出ユニット及び光照射ユニットは、動き機構により動かされる共通ハウジング内に配置される。動きは、ステップ毎に又は連続的に起こる。連続的な動きの場合、制御ユニットは、動きが第2の方向に既定の距離進むたびに、ライン形状の照射パターン内のパワー密度分布をステップごとに変える。代わりに、皮膚照射装置は、第2の方向の位置で実質的に連続的に変化する補間されたパワー密度分布を計算するための補間ユニットを持ってもよい。
【0028】
動き機能は、安定した動きを実施する。しかしながら、実施例では、制御ユニットは、更に動き機構を制御する。制御ユニットは、例えば、照射量プロフィール(すなわちJ/cmのエネルギー密度)に影響するように動き機構を制御する。例えば、比較的低い量での乾癬の最初の治療のために、制御ユニットは、動き機構を比較的高い速度で動かす一方で、高い量が要求される継続治療のために、動き機構が比較的低速度で動かされる。また、制御ユニットは、例えば、異常な皮膚状態が見つからない皮膚の部分に対して、第2の方向の動きを増大させる。
【0029】
加えて、制御ユニットは、第1の方向の患者の動きを補償するために、動き機構を制御する。これは、治療されるべき皮膚領域がライン形状の照射領域の外に移動する傾向がある患者の動きの場合であっても、第1の方向の患者の動きを補償することを可能にする。これとともに、「限られた長さ」の照射ユニットが、適用されてもよい。従って、制御ユニットは、走査のため第2の方向に動き機構を制御し、再位置決めのため第1の方向に動き機構を制御する。
【0030】
治療されるべき皮膚領域がライン形状の照射領域の外に移動しない傾向がある第1の方向の患者の比較的小さな動きに対して、代わりに、動きは、第1の方向の患者の新しい位置に基づいてパワー密度分布の再計算により補償されてもよい。
【0031】
本発明の第1の態様による皮膚治療装置の実施例は、動きがあるライン形状の照射パターンにより皮膚に付与される、制御ユニットにより決定される照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールを示すための表示機構を更に有する。表示機構は、例えば、治療されるべき皮膚の領域に可視パターンを投射できるプロジェクタを含む。可視パターンは、必要な照射パワープロフィール、又は制御ユニットによって決定される照射量プロフィールと好ましくは同形である。パターンは、例えば、治療の照射が予定されていない皮膚領域において暗く、治療の照射が予定されている皮膚領域において明るい。パターンの明るい部分は、提案された局所的パワー密度又は提案された局所的照射量と比例する輝度を持つ。皮膚に投射されるパターンと皮膚状態により形成されるパターンとを比較することにより、医者は、適用される治療が正しいかを速く検証できる。輝度が変化する可視パターンを使用する代わりに、代替的に、様々な色を使用する可視パターン又はそれらの組み合わせが使われる。他の実施例では、表示機構は、治療される皮膚の領域の画像だけでなく、制御ユニットにより予定されるような照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールの表現も同時に示すディスプレイを有する。照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールは、カラーパターン、強度バリエーションのパターン又は両方の組合せにより表される。代わりに、ディスプレイは、照射を受ける予定のスポットの輪郭を示してもよい。
【0032】
表示機構を有する皮膚照射装置の実施例は、医者のようなオペレータが制御ユニットにより予定されている照射パワープロフィールを変更可能にするフィードバック機構を更に有する。プロジェクタを使用する実施例では、医者は、例えばペンシル形式の表示器で制御ユニットにその位置を通信できるフィードバックを与える。表示器は、例えば、オペレータにより前記位置に対する照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールを変更可能にする押しボタンを持つ。フィードバックの効果は、治療されるべき皮膚に投射されるパターンの変化により、直接視覚化される。制御ユニットと表示器の位置を通信する代わりに、皮膚状態を検出するための検出ユニットは、更に、表示器の位置を検出するように設けられてもよい。
【0033】
ディスプレイを使用する実施例では、医者は、付与されるべき照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールが、例えばマウス、トラックボール又はディスプレイのタッチ感応機能と協働するペンシルのような従来の表示手段でどのように対処されるかをディスプレイに示す。医者は、例えば、特定のスポットの治療を取り消すために示すか、若しくは追加的に治療されるべきスポットを示してもよいし、又は、医者は照射量の変更を示してもよい。
【0034】
本発明の第1の態様による皮膚治療装置の実施例は、オペレータにより示される照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールの変化に基づいて、検出ユニットの動作を適切にするための学習ユニットを更に有する。当該装置は、医者により学習ユニットが特定のケースのために起動されるべきかどうかを示すことができる選択手段を持つ。例えば、学習ユニットは、装置が経験豊かな医者により用いられる場合に起動され、経験豊かでない医者により用いられる場合に起動されない。
【0035】
本発明の第1の態様による皮膚治療装置の実施例は、更に、治療セッションに関係するデータを格納するための格納機構を有する。データは、治療セッション中、例えばセッションの始め又は終わりで捕捉された皮膚の画像、付与された照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィール、照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールに適用される補正等を有する。格納データは、治療で達成される進展を分析するために用いられる。医者は、装置の設定を制御するために、この情報を使用する。格納された情報は、また、将来の方策及び成功を発展させるための基礎として、以前の成功及びこれらの使用に焦点を当てた適応学習ツールを具備する学習ユニットへの入力として使われる。
【0036】
画像認識アルゴリズムは、また、以前のセッションから得られた分類結果に基づいて、皮膚状態プロフィールをより速く分類する。
【0037】
本発明の第2の態様によると、ヒトの皮膚の皮膚状態プロフィールを検出するステップと、第1の方向に延在するライン形状の照射パターンを生成するステップと、第1の方向を横切る第2の方向に前記ライン形状の照射パターンを動かすステップと、検出された皮膚状態プロフィールに従って、前記ライン形状の照射パターンのパワー密度分布を動的に制御するステップとを有する皮膚照射方法が提供される。
【0038】
これら及び他の観点は、図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】図1Aは、本発明の実施例による皮膚照射装置の第1の部分を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の実施例による皮膚照射装置の第2の部分を示す。
【図1C】図1Cは、ヒトの皮膚に照射されるライン形状の照射パターンの実施例を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の他の実施例による皮膚照射装置を示す。
【図2B】図2Bは、皮膚照射装置の部分により投射されるパターンの実施例を示す。
【図2C】図2Cは、本発明の他の実施例による皮膚照射装置を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の更に他の実施例による皮膚照射装置の第1の図を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の更に他の実施例による皮膚照射装置の第2の図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の更に他の実施例による皮膚照射装置を模式的に示す。
【図4B】図4Bは、図4Aの皮膚照射装置の使用に関係する態様を示す。
【図5A】図5Aは、皮膚照射装置の他の実施例の照射装置の実施例を模式的に示す。
【図5B】図5Bは、皮膚照射装置の他の実施例の照射装置の実施例を模式的に示す。
【図5C】図5Cは、皮膚照射装置の更に他の実施例の照射装置の実施例を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の詳細な説明において、多数の特定な詳細が、本発明の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、本発明は、これら特定の詳細なしに実践されてもよいことは当業者によって理解されるだろう。他の例では、良く知られた方法、手順及び部品が、本発明の観点をぼかさないために詳細には説明されなかった。
【0041】
本発明は、本発明の実施例が示される添付の図面を参照してこれ以降充分に説明されるだろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形式で具現でき、ここで説明される実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が十分に完全であって、当業者に本発明の範囲を充分に伝えるように提供される。図において、サイズ、レイヤの関連サイズ及び領域は、明瞭さのために誇張されている。
【0042】
第1、第2、第3等の用語が様々な要素、部品及び/又は区分を説明するために使用されるが、これらの要素、部品及び/又は区分はこれらの用語によって限定されるべきでないことは理解されるだろう。これらの用語は、ある要素、部品及び/又は区分を他の要素、部品及び/又は区分と区別するためにのみ用いられる。よって、以下に説明される第1の要素、部品及び/又は区分は、本発明の教示から離れることなく、第2の要素、部品、及び/又は区分として呼ばれてもよい。
【0043】
規定されているものではないならば、本明細書で説明される(技術的及び科学的用語を含む)全ての用語は、本発明に属する当業者により共通に理解されるような同じ意味を持つ。一般に使用される辞書で規定されるもののような用語は、関連の分野の意味と整合が取れる意味を持つと解釈されるべきであり、本明細書で表現して規定されていない場合、理想的又は大げさに広い意味で解釈されるべきではない。本願明細書で述べられる全ての刊行物、特許公報、特許及び他の参照文献は、ここに完全に組み込まれる。競合する場合、定義を含む本明細書が支配するだろう。加えて、材料、方法及び例は、単なる例示であって限定する意図はない。
【0044】
図1A乃至図1Cは、皮膚照射装置の第1の実施例を示す。明瞭のため、図1A及び図1B各々は、皮膚照射装置のそれぞれの部分を示す。図1Bに示されるように、装置は、第1の方向xに延在するライン形状の照射パターンを生成するための光照射ユニット10を有する。ハウジング5内に設けられる光照射ユニット10は、光照射装置14を有する。加えて、光照射ユニット10は、ミラー、レンズ、シャッタ等のような、光照射装置14により照射されるビームを制御するための光素子を有する。前記装置は、更に、第1の方向xを横切る第2の方向yにライン形状の照射パターンを動かすための動き機構20を有する。前記動き機構は、例えば一対のレール20及びアクチュエータ22を有する。動作中、アクチュエータ22は、光照射ユニット10を持つハウジング5が一対のレール20に沿ってy方向に移動させる。ここでライン形状の照射パターン12もまた、y方向に変位する。代わりに、ハウジングは、アームの第1の端部に取り付けられ、当該アームはその他方の端部の周りに回転されてもよい。適当な動き機構は、従来のハンドリングロボットとして容易に利用可能である。
【0045】
方向x、yは、照射されるべき皮膚の面により定められる。
【0046】
前記装置は、更に、皮膚状態プロフィールを検出するための検出ユニット(図1A)を更に有する。示される実施例では、検出ユニット30は、皮膚の相対的広い領域、例えば患者1の片側、又は背中により形成される領域に対する皮膚状態プロフィールを検出できる。
【0047】
前記装置は、更に、検出ユニット30により検出された皮膚状態に依存して、ライン形状の照射パターン12に対するパワー密度分布を制御するための制御ユニット40を有する。
【0048】
前記装置は、以下のような皮膚照射方法に用いられる。第1に、前記装置は、患者1の皮膚の皮膚状態プロフィールを検出する。この場合、図1Aに図示されるように、ヒトの背中の画像が完全に得られる。代わりに、ヒトのより限定された部分、例えば腕又は脚の画像が得られてもよい。次に、画像処理方法が、皮膚状態プロフィール、すなわち空間的位置の関数として皮膚の状況を決定するために適用される。画像を得るための方法及び皮膚状態を決定するための後続の画像処理方法は、知られており、例えば引用された米国特許だけでなく、本出願人により出願された共に係属中の国際特許公開公報WO2008/041162号及びWO2007/119202号に説明されている。皮膚状態プロフィールに基づいて、次に、照射パワープロフィールが計算される。この実施例では、治療されるべき皮膚の領域の画像がシングルスナップショットとして撮られるが、要求される照射パワープロフィールは、治療が始まる前に、完全にこの領域に対して計算される必要はない。要求される照射パワープロフィールは、一度に一つのライン形状領域に対して計算されてもよい。これは、要求されるパワー密度プロフィールが単純な手段で速い計算を可能にする。次に、図1Bに示されるように、ヒトの皮膚のx方向に延在する動きがあるライン形状領域が、光照射で照射される。この照射は、前記ライン形状領域に対して検出される皮膚状態パターンに従って動的に制御されるパワー密度分布を持つ。ライン形状の照射パターンにより照射されるライン形状領域に対して要求される照射パワープロフィールは、前記ライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布である。図1Cは、例示として、ライン形状の照射パターンにより照射されるライン形状の照射領域が皮膚の3つの患部領域2a、2b、2cに重なっている状況を示す。従って、ライン形状の照射パターンは、これら3つの患部領域に重なる位置12a、12b、12cに相対的に高いパワー密度を持ち、これらの領域の外で相対的に低いパワー密度(好ましくは0)を持つ。皮膚状態プロフィールと適切な治療のための要求される照射量プロフィールとの間の関係は、このように知られている。健康な皮膚のために、照射量は、好ましくは出来る限り少ない方が良い。乾癬の治療のため、光照射量は、皮膚タイプ及び治療の段階に依存して用いられる。一般的に言うと、治療は低い照射量で始まり、後続の治療セッションにおいて、当該量は最終の最大値まで徐々に増大する。このことは、下記の表1に詳細に示される。表において、第1列は皮膚タイプを示し、第2列は第1の治療のために必要とされる開始の量を示し、第3列は当該量が各治療セッションで増大していく値を示し、最後の列は最大量を示す。
表1:乾癬の治療のために推奨される光照射量

【0049】
環境に依存して、当該量が、(例えば、専門のアプリケーションのために)相対的に高いパワー密度で相対的に短い照射の形式で供給されるか、(例えば、家庭用のアプリケーションのために)相対的に低いパワー密度で相対的に長い照射の形式で供給されるかの選択がなされる。例えば、家庭での使用に対する皮膚照射装置に対して、相対的に低いパワー密度を付与することが好ましい。民生用アプリケーションのための装置は、例えば、10mW/cmの最大パワー密度を持つライン形状の照射パターンを供給し、30秒で300mJ/cmの量を付与する。医者による専門的使用に対して、非常に高い最大パワー密度を持つライン形状の照射パターンが、より速い治療、例えば6秒間に50mW/cm又は1秒間に300mW/cmで付与される。
【0050】
特定の期間の照射は、照射されるべき皮膚の領域の段階的走査により達成されてもよい。例えば、ライン形状の照射パターンは、要求される照射量が到達されるたびに、照射パターンの幅に等しいステップサイズsで、第2の方向にステップ毎に変位される。ライン形状の照射パターンが変位されるステップサイズsはパターンの幅wと等しい必要はない。ステップサイズsは、例えば幅wの一部、例えば幅wの半分と等しくてもよい。第2の方向のパワー密度分布が相対的に一様でない、例えばベル形状の場合でも、このように、空間的に相対的に一様の照射量が達成される。時間間隔t毎にステップサイズsで変位するとき、s/tに等しい平均走査速度vが得られる。特定の治療セッションに対して必要とされる量が1回の走査で付与される必要はない。代わりに、このセッションで照射の断続的付与を可能にして、あるセッションで複数回の走査の後、累積される量が得られてもよい。これは、治療のアルゴリズムについてより自由度を医者に与える。例えば300mJ/cmの量が、100mW/cmのパワー密度で毎回1sの露出時間で3回の走査で到達する。
【0051】
ステップ毎の走査の代わりに、ライン形状の照射パターンが、速度vで連続的に動いてもよい。
【0052】
幅wの選択は、量だけでなく治療の速度が制御されるべきである空間的正確さの要求に依存する。大きな幅wが速い治療のため好ましいが、空間的解像度に関して低い正確さの犠牲となる。実際的な目的のため、ライン形状の照射パターンの幅は、例えば、0.1cmから2cmの範囲である。幅が2cmより大きい場合、照射が皮膚の表面に付与されることができる空間解像度があまりにも低くなる。可能ではあるが、0.1cmより小さい幅は、相対的に高価な光学手段を必要とするが、より正確な治療とはならないだろう。その上、より小さな幅は、動き機構が故障したときに危険である相対的に高いパワー密度を要求するか、又は低いパワー密度が付与される場合に長い治療時間となるであろう。
【0053】
付与されるべき量は、更に、皮膚の病気の深刻度に依存することに留意されたい。
【0054】
図1A及び図1Bに示される装置の実施例は、更に、動き表示信号mdを生成する動き検出ユニット70を有し、制御ユニット40は、動き表示信号mdと領域で検出された皮膚状況とに基づいて、パワー密度分布を制御する。このようにして、患者は、治療の間に少し動いてもよくなる。動き検出ユニット70は、例えばエコードップラー検出器を有する。
【0055】
図2A及び図2Bは、制御ユニットにより決定されるような、ライン形状の照射パターンを動かすことにより皮膚に付与されるべき照射の照射量プロフィール及び/又は照射パワープロフィールを示すための表示機構50を有する皮膚照射装置の実施例を示す。示される実施例では、表示機構50は、治療されるべき皮膚の領域で可視パターン54をマッピングできるプロジェクタ52を有する。可視パターン54は、制御ユニット40により決定されるような照射量プロフィール及び/又は要求される照射パワープロフィールと同形である。図2Bに示される例では、患者1は、乾癬に侵された2つの分離した患部領域2a、2bを持つ。実際に、分離した領域の数は、非常に多くてもよく、例えば数百から数千の分離した患部領域が皮膚に形成されていることに留意されたい。示される例では、投射されたパターン54は、制御ユニット40が治療照射で皮膚の照射をスケジュールする領域を示す2つの照明される領域54a、54bを有する。この例では、医者は、照明される領域54aが乾癬に侵された領域2aと一致する。しかしながら、医者は、また、一つの侵された領域2bが可視パターン内で強調されていないことを観察する。この場合に、医者は、例えば、ポインティング装置で患部領域2bの輪郭を示し、この領域も治療されるべきであるという命令をコントローラ40に与えることにより、修正を施してもよい。この目的のため、コントローラ40は、フィードバック機構として役立つユーザインタフェース60に結合される。ユーザインタフェース60は、例えば、キーボード、マウス、ボイスコントロール、タッチスクリーン、専用制御ボタン等を含む、コントローラ40と医者との間の情報交換のために適当な任意の手段を有する。医者は、投射されたパターン54が乾癬に侵されていない強調された領域54bを有することも観察するだろう。医者は、ここで、この強調された領域54b内を指摘し、この領域が治療されるべきでないという命令をコントローラ40へ与える。特定の領域内の位置を示すため、ユーザインタフェースは、例えば、タブレット61及びペンシル62を有する。医者により示される位置は、投射手段52により皮膚に投射される矢印により示される。医者は、また、強調された領域の形状、パワー密度又は量が修正されるべきであることを示す。パターン54は、画像が「フォトショップ」により修正される態様と同様に、編集される。医者により与えられた命令に応じて、制御ユニット40は、治療されるべき領域へ付与される照射パワー量又は結果の照射パワープロフィールを示す又は反映するために、投射されるパターン54を修正する。
【0056】
図2Aに示される装置は、更に、オペレータ/医者により示される照射量プロフィール及び/又は照射パワープロフィールに対する提案された補正に基づいて、検出ユニット30若しくはコントローラ40又は両方の適切な動作を教示するための学習ユニット45を有する。学習ユニット45は、選択的起動のための手段を持つ。例えば、パスワードが、起動を経験者の医者に限定するために必要とされる。
【0057】
図2Cは、治療されるべき皮膚の領域の画像だけでなく、例えばカラーパターン、強度変動のパターン又はこれら両方の組み合わせにより、照射量分布又は提案された照射パワー分布の表現を同時に示すディスプレイ56を表示機構50が有する他の実施例を示す。代わりに、ディスプレイ56は、照射されるためにスケジュールされたスポットの輪郭を示す。医者は、図2A及び図2Bを参照して説明されたものと同様の態様で、治療に対する提案された補正を示す。医者は、様々な設定を制御し、例えば明るさ及びコントラストを制御して、皮膚の領域の画像が表示されるが、これは、パターン54が最適な視界を得るために表示される明るさとコントラストとは独立している。好ましい設定が、例えばデフォルト値として格納されていてもよい。医者がディスプレイ56を直接ポインティングすることにより提案された補正を示すことができるように、ディスプレイ56はタッチスクリーンでもよい。
【0058】
図2A乃至図2Cに示されるような皮膚照射装置は、更に、治療セッションに関係するデータを格納するため格納機構46を有する。データは、例えば、治療セッションで、例えば、セッションの開始及び/又は終わりで、捕捉された皮膚の画像、付与される照射パワープロフィール、付与される照射量プロフィール、照射量プロフィール及び/又は照射パワープロフィールに適用される補正等を有する。完全な治療プログラムに関係する複数のセッションからのデータが格納されてもよい。格納されたデータは、治療で到達した進行を解析するために用いられる。医者は、この情報を装置の設定を制御するために使用する。画像認識アルゴリズムは、また、前のセッションから得られた結果に基づいて、皮膚の状況をより速くクラス分けする。実施例では、皮膚状態のクラス分けは、皮膚の捕捉された画像からの結果と、システムに具備されるデータベースからの情報との比較に基づいている。このデータベースは、例えば、炎症の異なる状態で皮膚の色外観についてのデータを有する。格納機構46は、フラッシュメモリ又はハードディスクのような任意の不揮発性格納機構でもよい。また、揮発性格納機構も使用できるが、後者の場合、信頼性のある恒久的に利用可能な電源が必要である。当該システムは、遠隔データ格納装置又は知識データベース上でデータ、例えば皮膚状況分類データを調べるためのネットワーク接続部を有する。
【0059】
図3A及び図3Bは、検出ユニット30、光照射ユニット10及びコントローラ40が、動き機構20、22により動き可能な共通のハウジング5に取り付けられている照射装置の実施例を示す。検出ユニット30は、ライン形状領域36内の皮膚状況を検出するように設けられる。従って、治療されるべき皮膚を撮像するための本格的なカメラは過分である。リニアカメラの代わりに、CCDカメラが使用できる。適度な量のメモリだけが、皮膚状況を示すデータを格納するために必要とされることも利点である。示されている実施例では、ライン形状の照射パターン12は、ライン形状の領域36に向けられる。動き機構20、22は、皮膚状態プロフィールが決定され、ライン形状の照射パターンがライン形状の領域36に付与された後、第2の方向yの次の位置にライン形状の領域36を動かすように設けられる。このようにして、適度な量のメモリスペースだけが、皮膚状態プロフィールと、必要とされる照射パワープロフィールとを示すデータを格納するために必要であり、このデータはライン形状の照射パターンのパワー密度分布を制御するための制御ユニット40によりすぐに使用できる。
【0060】
医者が先ず提案された照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールを観察したいと望む場合、装置は、治療されるべき領域にわたって全走査を行い、患者の皮膚状態だけでなく提案される治療についての必要とされる情報を集める。次に、この結果が、ディスプレイ56、例えばタッチスクリーンに示され、医者は、図2Cの実施例を参照して説明されたのと同じ態様で、フィードバック手段60、61、62により提案された照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールを補正可能にする。照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールが格納されるので、次の治療に対して、医者は、適用されるべき照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールが依然適当であるかどうかを速く検証できる。代わりに、検出ユニット30が充分な信頼性を持って皮膚状態を検出できるとき、フィードバック手段及びディスプレイ50は、過分であろう。従って、実施例では、皮膚照射装置は、フィードバック手段及び/又は表示機構を持たない。
【0061】
図4A、図4Bは、他の実施例を示す。本発明のこの実施例による装置は、照射パワープロフィールが既に決定される領域内のライン形状の領域15にライン形状の照射パターン12の付与で治療を開始する一方、必要とされる照射パワープロフィールが第2の方向yの次の位置36(図4B)のために計算される。(図示されていない)動き機構は、皮膚のライン形状の領域15が照射された後ステップ毎に、光照射ユニット10を持つハウジング5を移動させる。同じハウジング5に設けられる検出ユニット30も次の位置へ移動される。代わりに、照射装置の他の実施例では、ライン形状の領域15及び36が、隣接した領域でもよく、操作中、第1の(動き機構による動きの方向、すなわち第2の方向に最初に)ライン形状の領域36が皮膚状態プロフィールを決定するために測定される一方、第2の(動き機構による動きの方向の第1の方向に続いて、すなわち第2の方向に)ライン形状の領域15がパワー密度分布照射パターンで照射される。一つのライン形状の領域幅の増大となって第2の方向に動き機構を動かした後、新しい第1のライン形状の領域36が皮膚状態プロフィールの決定のために示される一方、以前の第1のライン形状の領域36が現在、光照射のための新たな第2のライン形状の領域15になり、以前の第2のライン形状の領域15は光照射を終了した。これらの実施例は、皮膚状態決定、照射パワー密度計算及び光照射付与に関係するステップの少なくとも幾つかが、順次の代わりに同時に実行されるので、図3A及び図3Bで説明されている実施例より速く動作する。
【0062】
光照射ユニット10を持つハウジング5がステップ毎に動く必要はない。代わりに、光照射ユニット10は、照射しながら連続的に動いてもよい。装置は、第2の方向yの後続位置の間にライン形状の照射パターン12のためのパワー密度分布を補間するための補間機構42を持つ。代わりに、動きが第2の方向yの既定の距離進行するたびに、制御ユニット40は、ライン形状の照射パターンのパワー密度分布をステップ毎に変えてもよい。
【0063】
投与された光照射量は動き速度vにより割られたライン幅wと比例している。これは、ステッププロセスからの結果である連続速度又は平均速度s/tsであり、ここで、sはステップサイズ、tsは連続するステップ間の時間間隔である。
【0064】
皮膚状態を検出し、必要な照射パワープロフィールを計算するために利用可能な時間は、d/vであり、ここで、dは皮膚状態が検出されるライン形状の領域36と照射で治療されるライン形状の領域15との間の距離である。
【0065】
図5A乃至図5Cは、装置の様々な実施例に対する光照射ユニット10を示す。図5Aに示される実施例では、照射源14は、レーザー、例えば308nmの波長を持つエキシマレーザーである。光照射ユニット10は、照射源14から離れて、複数の回転ミラー142a乃至142cを有する。明瞭さのため3つの回転ミラーだけが示されているが、実際には、非常に多くのミラーが使用されてもよい。光照射ユニット10は、更に、複数の回転ミラー142a、b、cを制御するドライバ140を有する。回転ミラー142a、b、cは、これらがライン形状の領域の方へ光照射源14からの光照射を反射する第1の方向(ミラー142aに対して示されるように)と、光照射がミラーに沿って通過できる第2の方向(ミラー142b、cに対して示されるように)とに制御可能である。ライン形状の領域内の所望の照射量分布は、所望の照射量と比例する時間で第1の方向にミラーを続けて回転させることにより得られる。代わりに、照射パワー及びその照射量は、レーザー14のパワーを調整することにより制御される。制御のこれらの2つのやり方が結合されてもよい。
【0066】
図5Bは、レーザー14のパワーが、コントローラ40により制御されるレーザドライバ144により変調される第2の実施例を示す。レーザー14により照射されるレーザビームは、回転六角形状ミラー146に向けられ、当該ミラーによりレーザー14の照射光は、照射されるべきライン形状の領域12内の位置の方へ反射される。
【0067】
図5Cの実施例では、光照射源14は、皮膚のライン形状の領域内の各部分を各々が照射できる、例えば発光ダイオード(LED)のような複数の光照射源要素14a...14xを有する。光照射源14は、コントローラ40により制御されるドライバ148により制御される。
【0068】
装置の様々な部分、制御ユニット40、検出ユニット30、及びドライバ140、144又は148により実施される算術的及び論理的動作は、専用ハードウエアにより、プログラマブルプロセッサのソフトウェアにより又はこれら両方の組合せにより実施されてもよい。
【0069】
上述の装置及び方法は乾癬の治療に関して特に説明されてきたが、当該装置及び方法は、代わりに、菌状息肉症、湿疹、光線性角化症、扁平苔癬等のような他の皮膚状態の認識及び治療に適しているように修正されてもよい。乾癬以外の他の皮膚状態の治療のために、他の光照射波長、波長範囲又はこれらの組合せが使用されてもよい。
【0070】
請求項において、用語「を有する」は、他の要素又はステップを除外しないし、不定冠詞「a」、又は「an」は、複数を除外しない。単一の部品又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を満たしていてもよい。
【0071】
特定の手段が相互に異なる請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが効果的に使用できないことを示してはいない。請求項内の何れの参照符号も、範囲を制限するものとして解釈されてはならない。更に、はっきりと反対が述べられていない限り、「又は」は、包含的論理和であって、排他的論理和ではない。例えば、条件A又はBは、以下の任意の一つにより満たされる。Aが真であり(又は存在し)Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)Bが真である(又は存在する)、A及びBが真である(又は存在する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在するライン形状の照射パターンを生成する、光照射源を有する光照射ユニットと、第1の方向を横切る第2の方向に前記ライン形状の照射パターンを動かすための動き機構と、皮膚状態プロフィールを検出するための検出ユニットと、前記検出ユニットにより検出される前記皮膚状態プロフィールに依存して、前記ライン形状の照射パターンに対するパワー密度分布を制御するための制御ユニットとを有する、皮膚照射装置。
【請求項2】
前記検出ユニットが走査領域内の皮膚状態プロフィールを検出し、前記動き機構は前記ライン形状の放射パターンが前記走査領域を横切るようにさせ、前記制御ユニットが前記走査領域に対して検出された前記皮膚状態プロフィールに基づいて、前記パワー密度分布を制御する、請求項1に記載の皮膚照射装置。
【請求項3】
動き表示信号を生成するための動き検出ユニットを更に有し、前記制御ユニットは、前記走査領域に対して検出された前記皮膚状態プロフィールと前記動き表示信号とに基づいて、前記パワー密度分布を制御する、請求項2に記載の皮膚照射装置。
【請求項4】
前記検出ユニットは、ライン形状の検出領域内の皮膚状態プロフィールを検出する、請求項1に記載の皮膚照射装置。
【請求項5】
前記ライン形状の照射パターンは前記ライン形状の検出領域でターゲットにされ、前記動き機構は、その後前記皮膚状態プロフィールが決定され、前記ライン形状の照射パターンが前記ライン形状の検出領域に付与された後、第2の方向の次の位置へ前記ライン形状の検出領域を動かす、請求項4に記載の皮膚照射装置。
【請求項6】
前記検出ユニットは、前記ライン形状の照射パターンにより照射されるライン形状の照射領域に関して第2の方向の先頭に位置される他のライン形状の検出領域内の皮膚状態を検出する、請求項4に記載の皮膚照射装置。
【請求項7】
前記検出ユニット及び前記光照射ユニットが、前記動き機構により動かされる共通ハウジング内に設けられる、請求項4に記載の皮膚照射装置。
【請求項8】
前記制御ユニットによりスケジュールされる皮膚に付与される照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールを示すための表示機構を更に有する、請求項1に記載の皮膚照射装置。
【請求項9】
前記制御ユニットによりスケジュールされる照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールをオペレータが変更可能にするフィードバック機構を更に有する、請求項8に記載の皮膚照射装置。
【請求項10】
オペレータにより示される照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールの補正に基づいて、前記検出ユニット又は前記制御ユニットの適切な動作を教示するための学習ユニットを更に有する、請求項9に記載の皮膚照射装置。
【請求項11】
治療セッションに関係するデータを格納するための格納機構を有する、請求項1に記載の皮膚照射装置。
【請求項12】
ヒトの皮膚の皮膚状態プロフィールを検出するステップと、第1の方向に延在するライン形状の照射パターンを生成するステップと、第1の方向を横切る第2の方向に前記ライン形状の照射パターンを動かすステップと、検出された皮膚状態プロフィールに従って、前記ライン形状の照射パターンのパワー密度分布を動的に制御するステップとを有する、皮膚照射方法。
【請求項13】
前記皮膚状態プロフィールがスケジュールされた後であって、前記ライン形状の照射パターンを生成する前に、スケジュールされた照射パワープロフィール及び/又はスケジュールされた照射量プロフィールと同形である可視パターンを生成するステップを有する、請求項12に記載の皮膚照射方法。
【請求項14】
前記可視パターンを生成するステップの後で、オペレータによる命令が受信されると、スケジュールされた照射パワープロフィール及び/又はスケジュールされた照射量プロフィールを変化させるステップを有する、請求項13に記載の皮膚照射方法。
【請求項15】
受信された命令により示される照射パワープロフィール及び/又は照射量プロフィールの補正に基づいて、前記皮膚状態プロフィールを検出又は前記ライン形状の照射パターンを生成する動作を最適化するステップを有する、請求項14に記載の皮膚照射方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2012−532648(P2012−532648A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519088(P2012−519088)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052851
【国際公開番号】WO2011/004285
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】