説明

皮膚疾患の処置および予防のための海綿動物ベースの治療用組成物

【課題】安全、効果的で、多面的な作用機序を有し、患者の服薬遵守につながる、治療用局所組成物を提供する。
【解決手段】皮膚状態および皮膚疾患を処置するための治療用組成物およびその使用が、開示される。処置可能な皮膚状態および疾患としては、尋常性ざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢および光線性角化症、尋常性ざ瘡、乾癬、光加齢および湿疹が挙げられるが、これらに限定されない。開示される治療用組成物は、海綿動物種、具体的には海綿、より具体的には淡水海綿に由来する。1つの開示される実施形態は、Spongilla種に由来し、そして薬学的に受容可能な賦形剤と共に処方される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、皮膚疾患の処置に適した治療用組成物に関する。具体的には、本発明の治療用組成物は、真核生物門の海綿動物に由来する。本発明の治療用組成物は、種々の皮膚障害および皮膚疾患の処置のために、局所的に適用され得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
皮膚疾患は、世界中で重大な医療問題および社会問題となっている。最も一般的で、それゆえ最も重大な皮膚疾患としては、尋常性ざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢および光線性角化症が挙げられる。これらの皮膚疾患は合わせて、医療的処置および明らかにされていない感情的な苦痛において、数十億ドルを占める。皮膚疾患の感情的な影響は、特に関連がある。なぜなら患者が、悪質な処置医および効果が疑問な処置レジメンに対して容易に犠牲になるからである。過去100年間にわたり、医薬品および皮膚科学的手順における顕著な進歩が、皮膚疾患の重篤度および頻度を大きく減少させた。しかし、多くの患者は、彼らの処置医が処方するしばしば複雑で冗漫な処置プロトコールに従わない。さらに、抗生物質の長期使用は、種々の皮膚疾患の原因である細菌の、細菌抵抗性の増加をもたらす。さらに、他の化学療法は、極度に毒性であり得、そして患者の健康および皮膚に長期的な有毒な効果を有し得る。従って、安全で、効果的かつ使用しやすい皮膚障害を処置するための代替治療が、緊急に必要とされている。
【0003】
尋常性ざ瘡は、全ての皮膚障害のうちで最も一般的であり、10代の若者の85%に発症する。人口の約80%が、その人生のある時点にて、ざ瘡を経験する。さらに、深刻な医療状況であることに加えて、ざ瘡は、その犠牲者に重い感情的負荷および心理学的負荷を課す。近代皮膚科学の姿を築いた一人であるMarion Sulzberger,MDは、1948年に、「尋常性ざ瘡よりも、より心的外傷を生じ、親と子との間で不適応でなく、より一般的な不安定および劣等感および総合的な(general sums of)心的苦痛を生じる単一の疾患は存在しない」と記した。その影響は大きく、鬱病および自殺の思考にさえつながり得る。ASGによる1,985人の調査から、ざ瘡の4人のうちの3人が憂鬱を感じ、ほとんど半分が、不安を感じることが明らかになった。英国のWilliam Cunliffe,MDによる研究は、ざ瘡の患者は、年齢が一致するコントロールおよび性別が一致するコントロールよりも高い失業率を有することを示した。3分の1を超える患者が、もし彼らがざ瘡でなければ、より良い職業に就いていただろうと感じていることを、その調査は示した。
【0004】
ざ瘡は、毛包脂腺の小胞に関わる慢性疾患である。皮脂腺は、顔面および頭皮に最も豊富に見られるが、それは手の掌および足の裏を除いて皮膚の全部分に存在する。皮脂腺に起因する皮膚障害は、真に毛包脂腺単位全体の障害である。ざ瘡に最も一般的に関与する部位は、顔面、胸部上部、および背面である。他のより一般的でない領域としては、上腕、臀部および大腿上部が挙げられる。
【0005】
尋常性ざ瘡は、多因子性の病原を介して、その毛包脂腺単位を発展させる。ざ瘡における中心的な病原因子としては、アンドロゲン刺激に続く過剰な皮脂産生、ケラチノサイト(表皮の基本細胞)の過剰産生より生じる毛包脂腺の小胞の放出妨害、Propionibacterium acnesの増殖ならびに走化作用および種々の炎症誘発性メディエータの放出に続く炎症が挙げられる。
【0006】
思春期の間に、副腎のアンドロゲン増加が、上記毛包脂腺の肥大を引き起こす。これらの肥大した毛包脂腺は、増加量の皮脂を産生し、この皮脂は毛包脂腺の小胞の管を通って流動する。この管は、角質化している上皮で裏打ちされる。ざ瘡患者においては、小胞を裏打ちしている小胞角質細胞の産生が増加し、これらの角質細胞がその小胞内で保持される。その異常に剥脱性の角質細胞および過剰量の皮脂は、その小胞内に蓄積し、微小な膨らんだ塊を形成する。この封鎖された皮脂が豊富な環境は、P.acnesの増殖にとって理想的である。P.acnesは、走化性因子を産生し、ざ瘡の炎症期に関与する炎症誘発性分子を補充する嫌気性細菌である。ざ瘡における最初の病態的な事象である毛包脂腺の小胞の閉塞は、全てのざ瘡病変の前駆物質である微小面ぽう(micro−comedo)を生じる。過剰増殖性角質細胞と皮脂との組み合わせから生じ、小胞の栓塞をもたらすのは、微小な膨らんだ塊である。
【0007】
一旦この小胞が栓塞されると、その下部は、毛包脂腺の放出物およびケラチノサイトで充満し、膨張する。孔の開口部が閉じたままになっている間は、この病変は、閉鎖面ぽう(closed comedo)または「白色面ぽう」と呼ばれる。これは、微小面ぽうから生じ、そして直径が0.1mm〜3.0mmの範囲の白い点で、ごくわずかに隆起しているように見える、非炎症性病変である。
【0008】
その小胞がその孔を広げるのに十分に肥大し、囲まれていた物質が空気に曝されると、酸化が起こる。これは、開放面ぽう(open comedones)または「黒色面ぽう」の特徴的な暗い外見を引き起こす。開放面ぽうは、平坦かまたはわずかに隆起し、褐色から黒色で、直径が約3mm〜5mmに見える、非炎症性病変である。
【0009】
大多数の開放面ぽうおよび閉鎖面ぽうを含む初期のざ瘡は、非炎症性のプロセスである。小胞が拡大を続けるにつれて、その小胞の上皮が破壊され、刺激物(例えば、皮脂、毛髪およびケラチノサイト)が、周囲の真皮に放出される。この漏出は、炎症反応を引き起こし、炎症性病変である丘疹、膿疱および小節の形成を開始する。P.acnesは、その小胞内で生存している生きた細菌であるが、この小胞の構造が破壊されるときに、P.acnesは死ぬ。毒素がその真皮中に放出され、これが炎症を強める。従って、無併発性の炎症性ざ瘡は、無菌のプロセスであり、皮膚感染ではない。炎症が悪化し続けるにつれて、より大きな丘疹および膿疱が形成される。丘疹は、液体の目に見える蓄積を伴わない、桃色から赤色の隆起した触知できる病変であり、これは直径で1mm〜4mmに及び得る。
【0010】
膿疱は、皮膚表面における化膿性物質の隆起した蓄積であり、丘疹とサイズが類似している。膿疱は、しばしば表在性または深性(deep)として特徴付けられる。表在性の膿疱においては、皮膚表面近くの上皮の局在的な破裂が存在し、そして深在性の膿疱においては、上皮全体の広範な破壊が存在する。ざ瘡の小節は、直径6〜10mmを超え、真皮のより深くに位置する、固形の隆起した炎症性の病変である。小節は、数週間持続し得る。ざ瘡の嚢胞は、化膿し、そして柔らかくなった大きな小節(直径数センチメートルの大きさであり得る)である。その周囲の真皮への損傷の結果として、瘢痕が形成される。瘢痕は、小さく深い穴の開いたくぼみ(「アイスピック(ice pick)」)、萎縮性の斑、肥大性の丘疹、または広範な勾配のあるくぼみとして出現し得る。ざ瘡に冒された暗い色素性の皮膚は、重大な炎症後の色素沈着過剰を発症する傾向がある。この傾向により、新しいざ瘡の病変−ざ瘡色素沈着過剰斑(acne hyperpigmented macule)(AHM)−が指定されるべきであるという示唆が生じる。このAHMは、4ヶ月以上持続し得、そしてしばしば有色皮膚のざ瘡患者の中心的な病訴であり得る。
【0011】
ざ瘡についての単一の標準化された分類体系は存在しないが、この疾患を分類するために使用されるいくつかの有用な方法が存在する。最も単純には、ざ瘡は、軽度、中度、または重度で記載される。ざ瘡は、数年間持続し得る慢性的な、感情的にストレス性の状態であるので、長期的な治療がしばしば必要とされる。現在、臨床医は、多数の処置の選択肢を有する。しかし、各選択肢は有意に有害な性質を有し、そして有効性の度合いが異なる。
【0012】
最も一般的に使用される処方箋が不要な局所用生成物は、過酸化ベンゾイルである。過酸化ベンゾイル(BP)は、P.acnesを殺すために有効な抗菌剤である。これは、機能するのに約2週間を要し、そしてざ瘡を寄せ付けないために継続的に使用されなければならない。これは、BPは微小面ぽうの形成、皮脂の産生、または皮膚小胞細胞が剥がれる方法に影響しないからであり、そして患者がその使用を止めると、そのざ瘡は元に戻る。過酸化ベンゾイルは、種々の濃度(ほとんどの場合2.5%、5%、および10%)で、200を超える処方物(ゲル、クリーム、ローション、洗浄剤、および固形石鹸を含む)の商標名の元で市販されている。継続的に使用された場合、それはしばしば、軽度のざ瘡の場合に対して、状態を改善する。濃度は、皮膚の型および耐性に従って選択されるべきである。副作用は、主に、皮膚の焼成、水疱形成、痂皮(crusting)、そう痒、重篤な紅斑、皮膚の発疹、乾燥および化学的不均衡を含む皮膚の過敏からなる。過酸化ベンゾイルはさらに、ざ瘡を予防および治癒するのに重要なスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼおよび他の皮膚抗酸化物の皮膚レベルを減少させる。さらに、その皮膚に天然に生じる抗酸化物を破壊することにより、過酸化ベンゾイルは、その皮膚の早熟性の加齢を促進する。
【0013】
別の処方箋が不要な局所的処置は、サリチル酸である。サリチル酸は、細胞の異常な剥がれ方を矯正するのを補助、そしてより軽度のざ瘡の処置に有用である。サリチル酸は、孔の障害を除く(unclog)のを助け、病変を解消および予防する。しかし、サリチル酸は、皮脂の産生を阻害もしないし、抗菌性の性質を有しもしない。患者は、ざ瘡が元に戻ることを防ぐために、サリチル酸を定期的に使用しなければならない。サリチル酸は、ローション、クリーム、洗浄剤、ゲルおよび詰め物(pad)を含む多くのざ瘡用製品において利用可能である。
【0014】
多くの場合、一般用医薬品(OTC)調製物は有効ではなく、処方薬物と組み合わせて使用されなければならない。抗生物質は、抗ざ瘡処方の最も一般的に処方される種類である。抗生物質は、P.acnesの増殖を阻害するように機能し、そして局所的に適用されても全身的に服用されてもよい。最も広範に処方される局所用抗生物質は、エリスロマイシンおよびクリンダマイシンである。局所用抗生物質は、皮膚を透過し、より深く位置するP.acnesを取り除く能力が制限されており、そして単独では面ぽうの形成を阻害せず、従って併用療法において使用されなければならない。
【0015】
全身性の抗生物質は身体中を循環し、皮脂腺に入る。全身性の抗生物質は、重篤なざ瘡を処置するために使用されるが、一般に、局所的に適用される医薬品よりも副作用を有する。全身性の抗生物質は、他の病原体には対処せず、ざ瘡を治すのに数週間または数ヶ月を要し得る。経口抗生物質は、通常、サリチル酸のような小胞を「障害を除く」他の薬物と組み合わせて使用される。しかし、全身性の抗生物質治療は、妊娠者に不適合であり、そしてなかには、経口避妊丸剤の有効性を減少させ得るものがあり、処置の間に妊娠の危険性がある。
【0016】
ざ瘡の処置のための第一線の経口抗生物質は、テトラサイクリンである。テトラサイクリンは、二価の陽イオン(例えば、カルシウムおよび鉄)を含む食物とは一緒に摂取され得ず、そしてその光合成する性質に起因して、患者を重篤な日焼けまたはそう痒性の発疹にかかりやすくする。全てのテトラサイクリンは、妊娠者および永久歯をまだ形成していない小児において、禁止される(変色の危険性)。さらに、テトラサイクリン抗生物質は、食道への刺激をしばしば生じる。ミノサイクリン(一般的に処方される全身性テトラサイクリン)の副作用としては、めまい、皮膚および歯の青灰色の変色、および狼瘡様の症候群が挙げられ得る。
【0017】
エリスロマイシンは、ざ瘡治療のための好ましい第二の(second−line)経口抗生物質であると長く考えられてきた。これは優れた副作用プロファイル(胃腸の不調が、通常、最も一般的な問題である)を有し、そして妊娠女性においてさえも使用が認可され得る。しかし、抗菌耐性が、ざ瘡の処置に一般的に使用される全ての抗生物質に関連する主要な問題であり、そしてこれはエリスロマイシンで最も顕著である。抗生物質耐性P.acnesの出現は、ざ瘡の処置における局所的および経口抗生物質の両方に関する、増大する問題である。過去25年間にわたって、実験室での研究が、抗生物質(特に、エリスロマイシン)へのP.acnesの耐性の急速な増加パターンを示している(公表された研究は、抗生物質耐性のP.acnesの全体の出現率が、1978年の20%から1996年の62%へ増加していることを示す)。細菌の耐性は、現在のざ瘡治療の有効性を無効化し、医師により診断および処置される最も一般的な皮膚の状態を治癒するために利用可能な選択肢を制限する恐れがある。ざ瘡処置における抗生物質耐性は、P.acnesの抗生物質耐性株が、英国、ドイツ、フランス、日本および米国において報告されているように、世界的な問題である。
【0018】
ビタミンA誘導体または「レチノイド」は、中度から重度のざ瘡のための局所的な処置として、使用される頻度が増加している。この局所用レチノイドとしては、ビタミンA酸(トレチノイン)、そのアナログ、およびレチノイドレセプターに結合し、それを活性化するより新しい因子が挙げられる。局所的なレチノイド調製物は、孔の障害を除くのを補助し、皮膚の増殖および脱落を正常化する。しかし、局所用レチノイドは、重篤な皮膚の刺激を生じ得、それゆえ治療の初期に、患者が調整するのを可能にするために滴定が必要とされる。さらに、局所的なレチノイドおよびレチノイドアナログは、奇形遺伝性の危険をもたらす。例えば、タザロテン(Tazarotene)は、妊娠カテゴリーXの薬物であり、妊娠女性に使用すべきではない。
【0019】
最近、FDAは、経口レチノイドイソトレチノイン(アクタン(Accutane))を承認した。アクタンは、重篤な瘢痕および嚢腫性ざ瘡を有する患者に推奨される。アクタンは抗炎症性であり、そして上記皮脂腺のサイズを減少させ、従って産生される皮脂の量を減少させ、長期的なざ瘡の寛解を生じ、そして瘢痕を減少させる。局所的治療と経口治療との併用による処置の6ヵ月後に、ざ瘡の重篤度において50%未満の改善しか観察されない場合、瘢痕が見られる場合、重大な精神的苦悩に関連するざ瘡が見られる場合あるいは従来の治療の間またはその少し後に、すぐに再発するざ瘡が見られる場合は、アクタン処置が指示される。しかし、アクタンは、多くの有害な反応を有し、この反応としては、肝毒性、トリグリセリドレベルの増加、膵炎、および骨重量の減少を伴う高カルシウム血が挙げられる。さらに、アクタンは、催奇形性である。結果的に、FDAは、アクタン治療を受ける女性は、二種の形態の避妊を使用しなければならないことを命じた。さらに、最近、アクタンは鬱病および自殺と結びついている。両親は、この可能性についての理解を表明する承諾用紙にサインすることを要求され、そしてアクタンで処置されている十代の若者の感情状態を注意深くモニターするように警告されるべきである。
【0020】
コルチコステロイドと呼ばれる抗炎症性医薬品は、皮膚科医により、重篤に炎症しているざ瘡病変に直接注入され、存在している病変が治癒するのを助ける。しかし、これらは新しいざ瘡の発症を予防せず、注入部位が永久に硬化したままになり得る。
【0021】
尋常性ざ瘡は、一貫して処置されるべき慢性的な皮膚科学的障害である。伝統的な局所的治療が、その化学治療剤の刺激性、感作性および毒性のために、ざ瘡を初めに悪化させることは、珍しくない。この初期応答は、通常、2〜4週間続く。皮膚を再生するのに約28日を要するので、その医薬品の効果はすぐには現れない。たとえあったとしても、改善は、治療の4〜8週間後に顕著になる。ざ瘡における全身性薬剤(例えば、経口避妊薬)の最大の利点は、3〜4ヶ月目より前には生じない。
【0022】
多くのOTC調製物は、皮膚の酵素に対して有毒であり、これがその調製物を皮膚全体に対して有毒なものに自動的にする。皮膚において見られる細胞内酵素および細胞外酵素は、健康な皮膚の状態、正しいpHおよび病原体に対する皮膚の防御能力のために必須である。酵素の機能不全の結果は、たとえ酵素の働きに主に作用する微量元素が不活性化されたとしても、1または数回の適用後には明らかになり得ず、繰り返しの処置によってのみ明らかとなる。この繰り返しの処置は、例えばざ瘡の傾向がある皮膚のための過酸化ベンゾイル調製物の場合には、何年にもわたって一日に複数回の適用であり得る。
【0023】
抗ざ瘡レジメンでの服薬不履行は、尋常性ざ瘡の患者の間の処置の失敗に対する主要な理由である。特に維持期間の間に、患者をやる気にさせ、処置を固守させることは、なお挑戦であり続けている。最近の、尋常性ざ瘡の若年成人に関する無作為な管理下試験は、過酸化ベンゾイルに対する指示順守度を高めるための、種々の非薬理学的処置の効果を評価した。固守は、患者の自己報告と、自己モニタリングカードの返却との組み合わせにより測定された。3ヶ月後の全体の指示順守割合は、48%であった、この研究は、52%の患者が服薬不履行であったことを見出した。彼らは、そのレジメンの複雑性のために、彼らの皮膚科医の指示に正確には従っていなかった。
【0024】
研究者および処置医の両方が、ざ瘡患者にとって投薬レジメンが単純になるほど、より指示順守するということで一致した。この患者群の間の服用率を改善するために、効果的で、よく耐用性を示し、そして単純なレジメンが必要とされている。
【0025】
ざ瘡は、最も一般的な皮膚疾患であり、かつ最も大きな経済学的および社会学的重要性を有する疾患の一つであるが、改善された治療レジメンおよび組成物から恩恵を受け得るのは、皮膚障害だけではない。例えば、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢、光線性角化症、および多数の他の細菌性疾患、ウイルス性疾患、および真菌性疾患、ならびに皮膚色素沈着障害もまた、単純なレジメンでの改善された治療を必要とする、重大な健康および美容の問題である。
【0026】
医学の聖杯(Holy Grail)は、加齢プロセスを遅くさせるまたは逆行させることである。加齢は、大部分が遺伝的に決定される複雑なプロセスである。しかし、反応性酸素種により生じる遊離ラジカルの損傷は、有意にその加齢プロセスに寄与する。遊離ラジカルに関連する加齢の1つの徴候は、いわゆる「加齢斑」である。加齢斑は、実際には、リポフスチンと呼ばれる特定の色素の蓄積であり、リポフスチンは、高度に損傷された領域の皮膚に蓄積する褐色の廃棄物である。
【0027】
遊離ラジカルに関連する酸化的な損傷に対する保護としては、サイトゾル中の水溶性還元剤の活性化、細胞膜中に存在する脂溶性抗酸化物の活性化、ならびに抗酸化酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼおよびグルタチオンレダクターゼの活性化が挙げられる。遊離ラジカルの生体産生は、ほとんどが細胞の代謝の正常なプロセスの間に起こる。エネルギー代謝の副産物は、伝達系における電子の脱共役であり、スーパーオキシドを産生する。このスーパーオキシドは、酸素分子の活性化を介して、過酸化水素および超反応性ヒドロキシルラジカルの産生を導く。このような反応性酸素種(ROS)は、DNA、タンパク質およ
び膜脂質に対して高度に有害であり、細胞の機能障害を引き起こす。加齢の正常な状態において、抗酸化機能の低下は、さらなる加齢プロセスの蓄積を蓄積させ、そしてこれが加齢関連変性疾患の進行を悪化させる。従って、代謝的電子伝達における反応性酸化体形成の予防または減少は、細胞の酸化的ストレスおよび加齢速度を減少するための明確な戦略を提示する。
【0028】
遊離ラジカル損傷はまた、湿疹における原因因子または悪化因子であるとして意味づけられている。最近の大学が後援した研究は、混合由来(外因性/内因性)の湿疹患者において、赤血球における脂質の過酸化レベル、抗酸化系のいくつかのパラメーターおよびリソソームの酵素の活性を試験した。この研究の結果は、赤血球の脂質の過酸化の強化および抗酸化保護の低下を示した。脂質の過酸化/抗酸化系のこの不均衡は、生体膜(特にリソソームの生体膜)の構造に変化を引き起こす。これは、リソソームの細胞内活性の上昇およびその後の血液循環中へのリソソームの透過に引き続き、そして皮膚の炎症の徴候を亢進する。このため、湿疹の複合処置は、抗酸化剤治療およびリソソーム膜の薬学的な安定化を含むべきである。
【0029】
イタリアのPavia大学の皮膚科学および皮膚加齢部門(Department of Dermatology and Skin Ageing)および癌研究センター(Cancer Research Centre)は、14種の酵素の活性を研究した。これらの酵素は、1ヶ月〜90歳の年齢範囲の63人の正常ヒト被験体の表皮における主要な代謝経路を代表するものである。様々な年齢にも関わらず、研究されたいずれの酵素においても活性の違いが何も観察されなかった。ヒト表皮における酵素活性において年齢の影響がないことは、異形(variation)の重大性を高める。この異形は、乾癬、慢性的に日光に損傷された皮膚および腫瘍のような病理学的状態で報告されている。
【0030】
さらに、慢性的に日光に曝された皮膚における酵素活性の低下は、腫瘍形成に有意な寄与を有する。これは、いつも日光に曝される部位(例えば、顔面、手の背面)が、曝されない部位(例えば、腹部)の皮膚より100倍高いという事実により、明確に証明される。これは、慢性的な日光の損傷を前癌状態とみなすことにつながる。紫外(UV)線への慢性的な曝露は、外因性加齢(extrinsic aging)または環境的な曝露による皮膚の変化の主要な原因である。人のUVへの曝露のほとんど半分が、18歳までに起こっているということを、概算は示している。光加齢は、多数の組織学的、生理学的、生化学的および臨床的な変化を引き起こす。
【0031】
加齢した皮膚の徴候の1つは、死んだ細胞を剥がす能力の減少であり、これは種々の見苦しい皮膚の状態を生じる。光加齢した皮膚の局所的治療の頼みの綱は、化学的表皮剥脱(chemical peel)であり続けている。化学的表皮剥脱は、局所的に適用された創傷薬剤が、組織化された修復プロセス(organized repair process)により、滑らかな若返った皮膚を作る手順である。たとえ制御された化学的創傷が誘発されたとしても、化学的表面再生(resurfacing)の合併症(例えば、色素性異常変色、感染または瘢痕のような永久的な後遺症)は起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
従って、安全、効果的で、多面的な作用機序を有し、患者の服薬遵守(compliance)につながる、治療用局所組成物に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0033】
(発明の要旨)
本発明は、無脊椎動物種の海綿動物門(phylum Porifera)に由来する新規のスキンケア治療剤に関する。海綿動物は、一般的に海綿と呼ばれる。動物の歴史における初期の分岐事象により、海綿は、他の後生動物から分かれた。後期先カンブリア期を端緒とする化石の海綿(fossil sponge)は、公知の動物の中で最も古いものであり、900を超える化石の種類がある。約5000の生存している海綿種は、海綿動物門に分類され、これは3つの異なる群(Hexactinellida (ガラス海綿(glass sponge))、Demospongia、およびCalcarea(石灰海綿(calcareous sponge))から構成される。
【0034】
本発明のスキンケア治療用組成物は、広範に種々の皮膚状態の処置および予防に有用である。この皮膚状態としては、尋常性ざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢および光線性角化症が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明のスキンケア治療剤は、皮膚表面再生組成物として、脂性肌のための処置として、そして深層皮膚剥脱(deep peeling)処置として有用である。例示的実施形態において、本発明の組成物は、局所的に適用される。この局所的適用は、処置される状態および疾患の進行の程度に依存して、毎月、毎週、毎日、または一日に複数回適用され得る。さらに、本発明の組成物は、他の局所的治療または全身性治療と組み合わせて適用され得る。
【0035】
本発明の一実施形態において、上記スキンケア治療剤は、Demospongiae網、Ceractinomorpha亜網、Haplosclerida目Spongillidae科Spongilla属のPorifera Subphylum Cellulariaに由来する。
【0036】
本発明の一実施形態において、上記海綿動物は、海水源から収穫される。この海水源としては、塩水湖、海および内海が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の別の実施形態において、この海綿動物は、淡水源(例えば、川、湖、池および小川)から収穫される。
【0038】
なお別の実施形態において、この淡水源はユーラシア(特に、ロシア連邦)に位置する。
【0039】
本発明の別の実施形態において、局所的スキンケア治療剤は、粉末化Spongillaから作製される。
【0040】
本発明のなお別の実施形態において、局所的スキンケア治療剤は、Spongilla
lacustris L.、Spongilla.fragilis Leidy、およびEphydatia fluviatilisからなる群より選択される、粉末化淡水海綿から作製される。
【0041】
本発明のなお別の実施形態において、その粉末化Spongillaは、他の活性成分および不活性成分と配合される。成分としては、抗生物質、抗炎症剤、防腐剤(例えば、過酸化水素およびホウ酸であるが、これらに限定されない)、麻酔薬、サンゴ粉末、白藻類(white seaweed)粉末、緑藻類(green seaweed)粉末、酵素ゲル、ホホバオイルが挙げられるが、これらに限定されない。このSpongilla粉末は、約0.1%〜約100%Spongilla粉末の量で存在する。
【0042】
本発明の別の実施形態において、上記不活性成分は、注射用水、蒸留水、脱イオン水、カモミール水(chamomile water)およびキンセンカ水(calendula water)からなる群より選択される水を含む。
【0043】
本発明の別の実施形態において、上記不活性成分としては、薬学的に受容可能な希釈剤、芳香剤、着色剤および軟化剤を含む。
【0044】
本発明のなお別の実施形態において、上記治療用組成物は、1グラム〜1.5グラムの実質的に純粋なSpongilla粉末、および少なくとも1種の追加の賦形剤を含む。この追加賦形剤は、0.1グラム〜0.5グラムの緑藻類粉末、約0.1グラム〜0.5グラムの白藻類粉末、0.1グラム〜5グラムの0.2グラムのサンゴ粉末、0.5mL〜5mLの0.1%〜10%過酸化水素、0.5mL〜5mLの0.1%〜10%ホウ酸および0.5mL〜10mLの水からなる群より選択される。
【0045】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
皮膚疾患を処置するための組成物であって、該組成物は、優良製造規範(GMP)に従って生産された海綿動物由来生成物を含む、組成物。
(項目2)
上記海綿動物が海綿である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
上記皮膚疾患が、尋常性ざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、光加齢および光線性角化症からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目4)
上記海綿が淡水海綿である、項目2に記載の組成物。
(項目5)
上記淡水海綿が、Spongilla lacustris L.、Spongilla. fragilis LeidyおよびEphydatia fluviatilisからなる群より選択される、項目4に記載の組成物。
(項目6)
上記淡水海綿が、Spongilla lacustrisである、項目5に記載の組成物。
(項目7)
上記Spongilla lacustrisが、ロシア連邦のArstrakian領域から収穫された、項目6に記載の組成物。
(項目8)
薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目9)
米国食品医薬品局(USFDA)に認可された包装、ラベルおよび使用説明書をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目10)
0.1%〜100%のSpongilla粉末を含む、ざ瘡を処置するための治療用組成物。
(項目11)
項目10に記載のざ瘡を処置するための治療用組成物であって、該治療用組成物は、水、グリセリン、ゲル、オイル、ワックス、軟化剤、洗浄剤、芳香剤、防腐剤、麻酔薬、海藻粉末、サンゴ粉末、過酸化水素、酵素ゲル、ホホバオイルおよびホウ酸からなる群より選択される薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含む、治療用組成物。
(項目12)
上記水が、注射用水、洗浄水、蒸留水、脱イオン水、カモミール水およびキンセンカ水からなる群より選択される、項目11に記載の治療用組成物。
(項目13)
治療用組成物であって、以下:
0.8部〜1.5部の実質的に純粋なSpongilla粉末と、
0.1部〜0.5部の緑藻類粉末、0.1部〜0.5部の白藻類粉末、0.1部〜0.5部のサンゴ粉末、0.1部〜0.5部のオオバコ粉末、0.5部〜5部の0.1%〜10%過酸化水素、0.5部〜5部の0.1%〜10%ホウ酸、0.5部〜5部の酵素ゲル、0.5部〜10部のホホバオイル、および0.5部〜5部の水からなる群より選択される少なくとも1種の追加賦形剤、
とを含む、治療用組成物。
(項目14)
1.5部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.2部の緑藻類粉末、1.0ミリリットルの3%過酸化水素、および4.0ミリリットルの5%ホウ酸を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目15)
0.8部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.2部のオオバコ粉末および2.5部の酵素ゲルを含む皮膚再生組成物を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目16)
1.0部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.3部の白藻類粉末、0.2部のサンゴ粉末、および5.0ミリリットルの3%過酸化水素を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目17)
1.2部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.2部の白藻類粉末、0.1部の緑藻類粉末、5.0ミリリットルの3%過酸化水素を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目18)
1.2部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.2部の白藻類粉末、0.1部のサンゴ粉末、4.0ミリリットルの3%過酸化水素、および2部の2%ホウ酸を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目19)
1.2部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.2部の白藻類粉末、5.0ミリリットルのカモミール水またはキンセンカ水を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目20)
1部の実質的に純粋なSpongilla粉末および2部の3%過酸化水素を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目21)
5部の実質的に純粋なSpongilla粉末、5部の3%過酸化水素、および5部の2%ホウ酸を含む、項目13に記載の治療用組成物。
(項目22)
USFDAに認可された包装、ラベルおよび使用説明書をさらに含む、項目10〜項目21のいずれか1項に記載の治療用組成物。
本発明の他の実施形態および特徴は、以下の説明および実施例の過程で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の海綿動物の1種が収穫され得る、具体的な地理的位置を示す。
【図2】図2は、本発明の教示に従うざ瘡のための処置を受ける前の患者を示す。
【図3】図3は、本発明の教示に従うざ瘡のための処置を受けた後の、図2の患者を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(発明の詳細な説明)
天然海産物は、新しい工業用化学物質、生物製剤および化学療法のための、比較的新しく、そして活発になってきている研究分野である。天然海産物化学は、この研究の核心部分であり、海洋生物により産生される莫大な新規分子の単離および同定を担う。これらの分子の多くは、海洋生物に独特の、その宿主生物が生存している独特の水生環境(高レベルのハロゲンおよび窒素)から生じる、構造的な特徴を有する。海洋生物から単離された多くの天然産物は、その海洋生物内に存在する共生微生物に由来し得るという、積み重ねられた証拠が存在する。
【0048】
生物学的に活性な代謝産物は、一定範囲の目的のために生物により産生される。この目的としては、環境ストレスからの解放、化学的なシグナル伝達、および種間の侵襲が挙げられる。これらの天然のプロセスは、特定の適用に対する機能的生体分子の研究に情報を与え得る。例えば、新規の日焼け止め製品は、紫外線照射に対するサンゴ礁の耐性の基礎研究から発見された。
【0049】
海綿は、無脊椎動物として知られる単一動物種の大きな群に属する多細胞海生動物である。海綿は、何十億年も前に起源し、地球上の最も古い動物である。現在、約5,000種の海綿が知られている。海綿は、骨片(spicule)として公知の針様構造体から構成される硬質の骨格により支持される、ゼリー様のタンパク質のマトリックスに懸濁される軟質の組織から構成される。骨片は、主に炭酸カルシウム、またはシリカおよびコラーゲンから構成される。
海綿は、組織化の組織分類を有さない高度に原始的な群である、海綿動物門に属する。硬化体は淡水の流入を可能にする多数のチャネルおよび孔を収容する。流れの孔のうち最大のものは大孔として知られ、最小のものは小孔として知られる。食物を含む水は、その土手様(mound−like)の身体内の小孔を通ってその海綿内に流入し、大孔を通って流出する。水は、鞭毛の襟細胞の動作により、その海綿内に流入させられる。襟細胞はまた、食物粒子が一連の内部チャネルを通過する際に、懸濁された食物粒子を捕捉する濾過−摂食装置(filter−feeding apparatus)を構成する。海綿は、本質的に固着性であるため、海綿は食物捕捉、酸素取り込みおよび老廃の除去において、その細胞系統の(cell−lined)チャネルの有効性に、高度に頼っている。海綿は、懸濁された沈降物による汚染および放出に高度に感受性であり、この沈降物は、海綿の管および孔の繊細な系を塞ぎ、それにより基本的な身体機能を妨害する。海綿は、外傷または捕食からの強力な再生力を有する。
海綿において、2種の生殖プロセスが起こることが知られている:その一方は無性生殖であり、もう一方は本当の有性生殖である。一般的な淡水海綿においては、秋に向けて、海綿の深層は非常に小さな物質全体で満たされる。これは時に、「種(seed)」または「芽球」と呼ばれる。完全体の海綿が死ぬと、そのケース内に囲まれた種は、損傷されないまま冬を越す。春期に、水温の変化に刺激された海綿粒子の包嚢に包まれた塊は、その「種」を抜け出て(creep out)、海綿に成長する。
【0050】
海生生物における新規活性化学物質発見の成功率は、陸生の供給源のものよりも500倍高い。海綿は、新規治療剤を多く生む供給源であることが証明されており、しばしば現存する医薬品よりも優れた生物医学的作用を有する。海綿コロニーからの薬物探索は、現在、製薬業界およびバイオテクノロジー業界の主要な焦点である。しかしながら、この治療剤の新しい供給源についての主な懸念される領域は、その供給についての問題、ならびに研究室における海綿の培養およびその共生生物の培養の困難さである。天然源由来材料の信頼性および再現性もまた、重要である。なぜなら、季節変化および環境変化が、天然サンプルの化学的組成および生物学的性質に干渉するからである。さらに、生物学的活性分子は、特定の環境的ストレスに応答して一時的にのみ産生されると予想される。ただ1回の臨床研究を完遂するための、天然供給源からの活性化学物質の十分量の抽出には、何トンもの海綿コロニーが必要とされる。結果として、これは世界規模で分布しているので、実行可能な選択肢ではない。従って、海洋生物工学は、新しい医薬品に対して優れた可能性を示す一方で、商業的な成功はごくわずかであるか全くない。
【0051】
それにもかかわらず多数の天然製品のように、海綿は、数世紀にわたって、ホメオパシー(homeopathy)および他の形態の天然医療において使用されてきた。東部ヨーロッパおよびユーラシアは、淡水海綿を含む水生動物由来のチンキ(tincture)および粉末の調製の長い歴史を有する。まとめて「バーディアガ(Bardiaga)」として公知の民間医薬品は、粉末化された淡水海綿をいい、医療用途で使用される。ロシアの民俗学およびホメオパシーの教示は、バーディアガが挫傷、関節炎およびリウマチのような多様な症候群の処置に有用であることを示唆する。
【0052】
モクヨク海綿(Bath sponge)(Spongia officinalis)もまた、数世紀の間、創傷の清浄のため、避妊のため、そして乳癌手術後の移植片としてまで使用されている。さらに、民間医薬品および天然医薬品の文献には、乾燥した海綿から作製され、そして種々の疾患を処置および緩和するために使用される多様な調製物が多く記録されている。記録された歴史において最古の薬用海綿調製物は、乾燥されあぶられたS.officinalisである。S.officinalisは、甲状腺腫および甲状腺関連疾患のための処置として提供される。S.officinalisにおいて産生される異常に高濃度のヨウ素が、独特に効果的な民間療法である。
【0053】
海綿は、基本的に、捕食生物(predator)およびその海綿の微小環境の変化に高度に感受性な非運動性動物であるので、海綿は、豊富な生物学的に活性な(生物活性な)化合物を含む同化生物防御系を進化させている。今日、これらの海綿由来の生物活性化合物の多くが、細胞傷害性、抗菌性、抗ウイルス性、抗炎症性、および抗汚染(anti−fouling)性を有すると考えられている。しかしながら、これらの生物活性化合物のほとんどが、特徴付けされていないままである。さらに、上記で議論されたように、これらの生物活性化合物は、重量パーセントベースでは非常に低濃度で産生され、それゆえ純粋な形態でのその単離は、文字通り数トンの海綿の収穫および処理を必要とする。これら生物活性化合物の多くは、その有効性が天然の相乗的かつ相補的な機序に由来する。この機序は、精製され、単離された状態で研究される際には失われている。従って、本発明者らは、海綿動物種の組成物、その処方物および適用の開発技術を発明した。この技術は、個々の生物活性化合物を精製および特徴付けする必要性を排除し、その潜在的な相乗的な特性の強度を維持し、そして供給の問題および環境の影響を解決する。
【0054】
淡水海綿(Spongilla lacustris L.、Spongilla.fragilis Leidy、およびEphydatia fluviatilisが挙げられるが、これらに限定されない)は、現在、厳密な安全性試験および有効性試験を受けた薬学的組成物を提供するためには使用されていない。本発明者らは、海綿動物が、種々の疾患を処置、緩和および予防するために有用な新規の組成物を提供する、複合生物製剤の天然の供給源となり得ることを発見した。この種々の疾患としては、尋常性ざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢および光線性角化症が挙げられるが、これらに限定されない。これらの複合生物製剤の相乗的な多剤療法は、合成された単一成分薬物よりも治療的効果がより大きく、全体の毒性がより小さいという利点を有する。具体的には(限定することを意図されたものではなく、単に本発明の例示的実施形態としてのものである)、本発明者らは、淡水海綿種であるSpongilla lacustris L.に由来する治療用組成物を開発した。
【0055】
本発明の一実施形態において、ざ瘡発症における最も重要な病理学的因子を効果的に処置、緩和、およびいくつかの場合においては予防する、抗尋常性ざ瘡治療剤が提供される。これらの病理学的因子としては、過剰量の皮脂の産生、ケラチノサイトの過剰産生、毛包脂腺の小胞の排出口の閉塞、P.acnesの増殖および炎症が挙げられる。さらに、本発明の抗ざ瘡調製物は、治療的レジメンに役立ち、そして指示通りに使用された場合には非毒性である。本発明の局所的抗ざ瘡調製物は、単独でまたは他の局所的治療剤もしくは全身性治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0056】
上記で議論されたように、尋常性ざ瘡は、一般的な、毛嚢脂腺管の多病因性炎症疾患である。皮脂において増殖したPropionibacterium acnesは、走化性因子を産生し、これはその後貪食される。このプロセスにより、反応性酸素種が産生され、これは丘疹膿疱型ざ瘡における炎症反応に寄与する。抗生物質の過剰使用は、P.acnesの抗生物質耐性株を出現させる。これによりその処置および予防を困難にする。約60%のP.acnesは、ざ瘡を処置するために代表的に使用される1種以上の抗生物質に耐性である。過酸化ベンジルは、代替的な処置として、P. acnesを殺菌するが、皮膚の成熟前の加齢を促進する。さらに、過酸化ベンジルは、ざ瘡の予防および治癒に重要な、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼおよび他の皮膚抗酸化物のすでに減少されている皮膚レベルを減少させる。その結果、現在利用可能な抗ざ瘡抗生物質への細菌の抵抗性、過酸化ベンジルのような局所的に適用される化合物の有害な影響、およびレチノイドのような経口薬物の深刻な副作用に対する関心の増加が、他の皮膚疾患に加えて尋常性ざ瘡のための新規の、安全かつ効果的な処置に対する大きな必要性を生み出した。
【0057】
本発明の新規抗ざ瘡治療剤に関する作用機序は、多面性(multi−faceted)である。低分子量ヘパリン調製物(例えば、エノキサパリンナトリウム)のようなほとんどの複合生物治療剤と同様に、本組成物の作用の正確な機序は、完全には理解されていない。しかしながら、本発明者らは、これらの理論には束縛されないが、本明細書中に開示される抗ざ瘡調製物の活性成分は、1つ以上の以下の機序を介して相乗的に作用すると考えている。本発明は、血管を拡張する局在型ヒスタミン反応を刺激し、これにより処置領域への血流を増加させる。この結果、皮膚細胞へ到達する酸素、栄養分、および抗体の量が増加する。血液循環およびリンパ性排液の刺激に起因して、過剰な体液、細菌、および残骸の除去が増加する。さらに、本発明の局所的治療剤は、過剰な皮脂を溶解し、皮脂産生を減少させ、そして排出される皮脂の粘着性を少なくする。これは、上記孔の閉塞およびその結果の面ぽうの形成を防ぐ。さらに、微細な有機残基(refined organic residue)(例えば、上皮の表層を機械的に分離させる骨格の骨片であるが、これに限定されない)が、ケラチノサイトの接着を減少させ、これにより角質層の脱皮、ならびに皮脂の栓およびゆるいケラチノサイトの除去が、改善される。これが孔を開かせ、将来的な閉塞およびその結果の面ぽうの形成を防ぐ。天然に生じる抗生物化合物は、ざ瘡の原因となる細菌を殺菌する。天然のステロイドは、炎症を減少させる。同様に、これは血管拡張剤としても作用し得、そして局所的な微小循環を改善させ得る。本発明の局所的治療剤の継続的な使用は、皮膚の脂肪酸濃度を減少させ、そして毛包脂腺の小胞におけるケラチンの代謝回転(turnover)を正常化し得る。さらに、有意な臨床的証拠が、本発明の治療用調製物もまた、直接的抗炎症効果および間接的抗炎症効果を産むという結論を支持している。
【0058】
長期にわたる多発性ざ瘡への感染は、皮膚の化学均衡を変化させ、そして最終的には身体の化学の平衡を変化させる。例えば、中度から重度のざ瘡を有する人々は、同年代のざ瘡を有さない人よりも、その身体における亜鉛が有意に少ない。さらに、慢性的ざ瘡罹患者は、リノール酸および防御的抗酸化物を独特に欠損する皮膚を有する。
【0059】
本発明は、上記の不均衡を矯正し、皮膚の免疫プロセスが、効果的に細菌を制御し、かつ感染を予防することを許容する。従って、本発明の一実施形態において、組成物は、高い生物活性を有するように調製され、ざ瘡につながる状態をブロックし、その治癒を促進するように作用する高濃度の亜鉛、リノール酸、抗酸化物、カルシウムおよび他の生化学物質を含む。
【0060】
剥皮剤として使用される場合、本発明は皮膚を再生し、新しい細胞増殖、エラスチンおよびコラーゲン産生を刺激し、そして皮膚の張りおよび肌目を改善する。この組成物含まれる酵素は、若い生きた細胞を害することなく、皮膚の外層から、古い、衰弱または死んだ細胞を溶解および消化し、より柔らかい滑らかな皮膚を生じる。全体的に、この組成物は、停滞したスポットを溶解し、浸潤し、表在性の瘢痕の面ぽうを除去し、皮膚のpHおよび皮脂産生を調節し、そしてさらなるざ瘡の噴出および瘢痕形成を予防する助けをする。
【0061】
本発明者らは、本明細書中で開示される組成物が、軽度、中度および重度のざ瘡、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、光加齢および光線性角化症の処置に有効であることを示した。さらに、本発明の組成物は、ざ瘡および他の皮膚科学的疾患のための伝統的な治療剤と一緒に安全に使用され得る。この治療剤としては、伝統的な抗菌性の手洗い、収斂薬、サリチル酸調製物および全身性治療剤(抗生物質および抗炎症処方薬が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の一般用医薬品調製物および処方箋薬学的調製物は、いずれも本発明の範囲内とみなされる。さらに、本発明の組成物は、現在、臨床試験を受けており、そして認定された医師の指示の元で投与および使用される、専門的な環境において使用されることを意図される。このような本発明の組成物はまた、使用指示書ならびに米国食品医薬品局(USFDA)および他の世界中の保健医療管理機関により承認された製品ラベルを含み得る。本発明の製品の一実施形態において、21 U.S.C. Chapter 9, Subchapter V, part A section 352およびsection
21 CFR part 201以降、FDA承認製品のラベルおよび/または添付文書という)の全ての適用可能な章に従う製品ラベルおよび使用指示書が、提供される。
【0063】
本発明の教示に従って作製される組成物は、広範に分析されている。本発明の乾燥および顆粒化された原料は、無臭、灰赤色の非吸湿性粉末である。この粉末は、部分的に水溶性であり、1:3の割合で混合された場合に緑がかった赤色の溶液を形成し;約50〜60%は不溶のままであり、そして本発明の組成物に力学的磨耗性を与える有機画分を含む。溶液画分のpHは、約7.0と7.5との間であり、平均のpHは、7.35である。溶液画分の比重は、約1.04と1.07との間であり、平均の比重は、1.058である。吸光度のピークは、物理化学の当業者に公知な方法を使用して200nmと900nmとの間で測定される場合、210nmと250nmとの間に観察される。
【0064】
表1は、有機成分および無機成分の非限定的な代表的分析を含む。
【0065】
【表1】

範囲はおおよそであり、使用されるアッセイ法についての普通の実験上の標準偏差に基づく。アッセイは、分析化学の分野の当業者に公知な標準的な分析手順を使用して行われた。酵素活性は、乾燥物質100mg当たりの酵素活性ユニットで示される。ユニットは、各アッセイに対して認められた国際生物学的標準(International Biological Standard)に基づく。
【0066】
代表的なサンプルにおいて実施された元素分析および有機分析が、本発明の組成物において見られる活性成分を包括的にも部分的でさえも列挙することを意図されていないことが、当業者により理解されるべきである。既に議論されたように、本発明の海綿動物製品には、以前に同定されていない種々の生物活性分子が存在し得る。表1における分析データは、当該分野における当業者に、本発明の教示に従って作製される組成物の特徴付けに有用であり得る非限定的なデータを提供する。しかしながら、本発明に含まれる他の可能な相乗作用的生物活性化合物および相補作用的生物活性化合物に加えて、表1において同定された成分もまた、特定の有益な効果を提供し得る。この理論に束縛されることは望まないが、本発明者らは、表1において定量化された成分の多くに対する可能な役割を提唱する。
【0067】
英国、CambridgeのDunn Clinical Nutrition CentreにおけるMedical Research Councilは、ヒトの顔面から単離されたP.acnesによる異化性の硝酸塩の還元を示す研究を行った。低濃度の亜硝酸塩(約0.2mM)は、培養物中においてP.acnesの増殖を阻害した。この亜硝酸塩は、亜酸化窒素へ緩やかに還元され、増殖が起こるのが可能になる。これは、解毒機序としての脱窒機能を示唆する。
【0068】
銅は、コラーゲンの産生に関わる。コラーゲンは、骨、軟骨、皮膚、および腱の構造的強度を担うタンパク質である。銅はまた、エラスチンの産生にも関わる。エラスチンは、血管および皮膚の弾性特性を主に担う。研究は、銅もまた組織構築プロセスに必須であることを証明している。我々が加齢し、我々の皮膚が薄くなり、そしてすじおよびしわが発生するにつれて、我々の身体もコラーゲン、エラスチンおよびグリコサミノグリカン(GAG)の産生がより遅くなる。GAGは、組織構成成分を一緒に結合する接合剤として機能する。細胞の再生が遅くなり、そして皮膚が湿気をより少なく保持するにつれて、加齢斑が現れ、銅が皮膚に艶および生命力がなくなる。科学的研究は、皮膚の自己再生能の回復を助けることにより、皮膚の健康において重要な役割を果たすことを示した。銅は、コラーゲンおよびエラスチンの強力なプロモーターであり、身体において抗酸化機能を果たす。これは、GAGの産生において重要である。銅依存性酵素は、本来の組織構築プロセスの利点を増加させる。
【0069】
亜鉛は、メタロプロテイナーゼと呼ばれる酵素群を介して、ざ瘡の機能障害性組織を破壊し、これにより感染部位の再構築を可能にする。亜鉛は、身体のT細胞を、アデノシンデアミナーゼと呼ばれるシグナル伝達性化学物質により、細菌および感染に向かわせる。亜鉛は、新しい皮膚細胞、新しいコラーゲンおよびエラスチン、新しい血管ならびに他の皮膚の構成成分の産生における重要な元素である。中度から重度のざ瘡は、文献によると身体の亜鉛の供給を消費し、患者を全身的な亜鉛欠乏性にする。皮膚が亜鉛欠乏性の場合、感染の浄化および修復は遅くなり得、そしておそらく不完全であり得る。これは、瘢痕の可能性を生じさせる。亜鉛は、嚢胞性ざ瘡において、特に重要である。なぜなら、嚢胞性の感染は、廃棄物質を排出しないからである。
【0070】
十分量かつ正しい形態の亜鉛は、同様にざ瘡を予防するようにも作用する。皮膚におけるテストステロンは、ジヒドロテストステロンに変換される。ジヒドロテストステロンは、皮脂の産生を刺激し、ざ瘡を助長する。亜鉛は、5α−レダクターゼ阻害を介して、この変換をブロックし、これにより皮脂の産生を減少させる。亜鉛は、遊離ラジカルからの損傷を減少させる皮膚の超抗酸化物質の産生に必要とされ、炎症を減少させて治癒プロセスを前進させ続ける。
【0071】
グルココルチコイドは、皮膚萎縮症のような公知の副作用にも関わらず、種々の疾患の処置のために広範に使用されている。多くの研究が、皮膚におけるコラーゲン線維の状態が、グルココルチコイド処置により冒されることを示している。日本における研究の結果は、グルココルチコイドを用いる皮膚の処置は、I型コラーゲンの合成および分解ならびにより強烈にIII型コラーゲンの合成および分解の両方を、強力に妨害することを示した。III型コラーゲンは、創傷治癒の開始において主要な役割を果たすことが知られている分子である。この研究は、グルココルチコイド処置により引き起こされる皮膚機能の悪化、創傷治癒の障害、および皮膚萎縮症に対する分子的な根拠を提供した。合成ステロイドを用いた実験とは対照的に、本発明に含まれる天然に存在するステロイドは、上記のような有害な性質なしですばらしい抗炎症効果を提供する。
【0072】
酵素は、皮膚における特定の生物学的触媒である。単一酵素の産生不全または活性障害が、代謝障害およびざ瘡の状態の悪化につながる。多くの酵素の活性が、代謝障害、光加齢、および癌を有する皮膚において有意に抑制されるので、治療剤においてその酵素が存在することが、上記疾患の処置のために最も望ましい。
【0073】
アルカリホスファターゼ(AAP)は、「骨−肝臓−腎臓」型の単一酵素であり、皮膚において、可溶形態および膜結合形態の両方の形態で存在する。これは、真皮においてほとんど独占的に存在し、上皮にはヒトの皮膚の総アルカリホスファターゼのうちの1%以下しか存在しない。
【0074】
皮膚の切創跡からの白血球酵素活性において行われた研究において、細胞化学的分析は、その創傷発生から4時間後までに酵素活性が急速に増加したことを示した。これは、損傷病因により誘導される白血球の代謝の変化により説明され得る。従って、創傷治癒におけるAAPの重要な役割を示唆している。
【0075】
アスパラギナーゼは、癌の処置に特に有望であることが証明されている酵素である。その作用は、腫瘍細胞がアスパラギン酸−アンモニアリパーゼ活性を欠損するという事実に依存する。この欠損は、通常は非必須アミノ酸であるL−アスパラギンを合成する腫瘍細胞の能力を制限する。これにより、腫瘍細胞は、体液からそのL−アスパラギンを抽出することを強制される。このアスパラギナーゼの作用は、自分の必要とする量を十分に合成し得る正常細胞の機能化には影響しないが、感受性の腫瘍細胞においては、遊離している外来性の濃度を減少させ、それゆえ致命的な飢餓状態を誘導する。60%の頻度での完全な寛解が、急性リンパ性白血病の約6,000例の研究において報告されている。
【0076】
γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)は、抗酸化防御および抗癌防御において重要な別の酵素である。GGT活性は、上皮および真皮の両方において見られたが、前者がより活性であった。GGTは、生物医学研究の望ましく重要な面である癌の化学予防において、最も研究されている化学物質のうちの1つである。
【0077】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、最もよく知られ、そしておそらく最も重要な抗酸化酵素である。これは、非常に有害な遊離ラジカルであるスーパーオキシドを、より活性の低い過酸化物に変換する。次いでこの過酸化物は、他の抗酸化酵素であるカタラーゼ(CAT)により、さらに水に変換される。これら2種の抗酸化酵素間の天然の相乗性の相互作用は、我々の身体における遊離ラジカル制御の最も効率的な系を構成する。これらを組み合わせた活性は、主要な抗加齢要因を表す。SOD/CATにおける欠損は、ほとんどの炎症プロセスにおいて最も原因となる因子である。
【0078】
研究は、SODが遊離ラジカルの除去および細胞膜の完全性の維持(marinating)に関する最も重要な酵素であり得ることを示唆する。SOD/CATを含む組成物は、手術前サプリメントおよび手術後サプリメントとしての有用性を示している。外科患者に投与された場合、回復率の有意な向上および回復期間の減少が観察されている。さらに、治療剤として使用された場合、SODは、加齢、疾患または傷害に起因し、硬化または線維化した組織において、強力な再生効果を発揮し得る。
【0079】
トルコ、IspartaのSuleyman Demirel University
Faculty of MedicineのDepartment Dermatologyにおいて行われた研究において、研究者らは、リンパ球における抗酸化防御酵素の活性を決定することにより、ざ瘡の炎症における反応性酸素種の役割を調査した。この結果は、SODの活性が、ざ瘡群において有意に減少していたことを示した。研究者らは、抗酸化効果を有する薬物が、ざ瘡患者の処置において価値があることを示唆した。なぜなら、ざ瘡患者の抗酸化防御酵素が、著しく損なわれているからである。
【0080】
セルロプラスミン(CP)は、重要な細胞外性の抗酸化物および遊離ラジカルのスカベンジャーである銅含有タンパク質である。肝臓は、CPを発現する第一の臓器であるが;しかしながら、最近の研究は、肺がCP合成の別の主要部位であることを同定した。セルロプラスミンは、酸化的な損傷および感染に対する宿主の防御における重要な役割を果たす。
【0081】
本発明の例示的実施形態において、局所的治療剤を調製するために使用される海綿動物は、Spongilla lacustrisである。上で簡潔に議論されたように、様々な属の淡水海綿コロニー(Spongilla lacustris L.、Spongilla. fragilis LeidyおよびEphydatia fluviatilisが挙げられるが、これらに限定されない)の粗調製物は、原住の人々により、数世紀の間、民間治療薬(例えば、Bardiaga)を調製するために使用されてきた。しかしながら、これらの粗製調製物は一般に、種々の海綿属、他の海生生物の種類を含む種々の混入物、土壌沈降物、およびその海綿の天然の生育地に関連する他の残骸の不定な混合物を含む。これは、医薬品に必要なバッチごと(batch−to−batch)の一貫性なしで、製造されている。さらに、海綿コロニーは、環境状態(例えば、捕食生物の存在または不在、水温および水圧、酸素利用能、塩分、季節ならびに生活環であるが、これらに限定されない)に関係なく、無作為に収集された。結果的に、これらの組成物は、多くの他の粗天然産物と同様に、ほとんど効果的ではなく、そしてしばしば使用するのが危険であった。粗製の民間治療薬とは異なり、本発明の治療用組成物は、実質的に純粋なSpongilla粉末を含む。本明細書中で使用される場合、「実質的に純粋」とは、環境的な残骸(岩、棒(stick)、他の海生生物などが挙げられる)から分離され、洗浄、乾燥、粉砕、篩過、そしてサイズ分け(size)された天然産物(特に、Porifera sp.)をいう。
【0082】
本発明者らは、分析および臨床研究を通して、収集条件および処方プロトコルが、再現性良く効果的な局所的治療剤の提供に重要であることを決定した。淡水海綿は、当業者以下の技能を有する適格に訓練された海洋生物学者により、容易に同定される。例えば、淡水の水生環境が観察される場合、Spongillaは、鈍いクリーム様の褐色から中褐色の無定形な体として見える。しばしば、海綿の体内に捕捉された藻類のために、より大きな海綿コロニーは、緑がかって見える。さらに、海綿の生存度および生物活性化合物排出の証拠は経験的に観察され得、藻類が過剰増殖していない、捕食率が低いなどの因子を含む。
【0083】
Spongilla lacustrisは、一般に、本発明の組成物の作製のために好ましい。なぜなら、この海綿属は、天然の環境変化に高度に耐性であり、広範な生育地において非常によく増殖するからである。理想的よりも低い作用強度を有する、環境的に誘発された改変体を収集することを避けるために、本発明者らは、好ましくは夏の終わりの暖かい晴れた日にS.lacustrisを収集することを決定した。海綿の生存度に悪影響を及ぼす突発的な環境変化が生じた場合、収集は終了されるべきである。
【0084】
S.lacustrisの産生に都合の良い水生環境としては、浸水した岩、棒および枝を有する同定可能な基体が挙げられる。一般的に、強い流れがないため、大きな海綿コロニーの発生には、川および小川よりも湖がより良い天然生育地である。湖のような静止した水中において、淡水海綿は、横が2.4cm〜40cmの範囲の、鹿の角の形の、指様および茂み様(finger−and bush−like form)のコロニーを形成する。水の透明度もまた、大きな発達したSpongilla lacustrisコロニーを支援する、重要な環境因子である。砂、泥および溶解した固形物により不透明になった水は、海綿の増殖を抑制し、それによりコロニーのサイズおよび海綿の品質を低下させる。この結果、泥状の水、不透明な水、そして乱れた水、ならびに混入した供給源の水を有する湖は、収集場所を選択する際に避けるべきである。本発明の一実施形態において、S.lacustrisは、図1の101に示されるように、カスピ海の北西のロシア連邦(具体的には、アストラカン地方(Astrahan region))の淡水湖から収集される。
【0085】
一旦適切な水生環境および海綿生育地が同定されると、海綿収集が海洋生物学の当業者に一般的に公知な方法を使用して開始され得る。例えば、海綿は、基本的な水中ダイビン
グ技術を用いて手作業で収集され得るか、または深い水中においては、より大きなコロニーがAgassizトロール網(trawl)(AGT)もしくは近底棲生物用曳船(epibenthic sledge)(EBS)を使用して収集される。しかしながら、直径が0.5cmより小さい海綿は、AGTによって収集されそうにない。特定の環境条件下では、S.lacustrisのコロニーは、横が数メーターの薄い殻(crust)様のカーペットで発生し、手作業でフォーク様の器具および網を用いて収集されなければならない。
【0086】
水生生育地から回収された新しく収集された海綿は、粘液性の無定形の塊であり、ほとんどの観察者が不愉快であると記載する特徴的な臭気を放つ。収集された海綿塊が乾燥する前に、肉眼で見える混入物を洗浄しなければならない。この混入物としては、基体の一部、殻の一部、茎の一部、植物の一部、小さい淡水動物の一部、岩の一部および他の不純物の一部が挙げられる。次に、この海綿塊を洗浄し、土、砂、沈泥、および可溶性不純物を除去する。この洗浄水を、それが透明になり、その海綿に混入物がなくなったように見えるまで、繰り返し交換する。肉眼で見える残骸の除去および洗浄後、その海綿塊を計量し、乾燥する。乾燥は、暖かい晴れた日に、外気でなされるのが好ましい。しかしながら、食物および医薬品を脱水するために使用される商業的規模のドライヤーも、適切に使用され得る。一般的に、海綿の収集は、人工的な「海綿飼育場」生育地の開発および維持に関する困難さのため、離れた田舎地方において行われる。その結果、大きな商業的規模の乾燥施設は、めったに利用可能ではない。その代わりに、収集された海綿コロニーは、海綿の検疫、その後の処理およびさらなる調査のため、低温貯蔵設備の貯蔵所に送られ得る。
【0087】
周囲の野外条件下で乾燥される場合、温度、露点、相対湿度、および降水の予測は、綿密にモニターされなければならない。周囲の気温が低すぎる場合、または降水が予測される場合は、上記海綿塊は、温度および湿度が制御され得る室内で乾燥されるべきである。詳細な温度範囲も湿度範囲も維持されることは必須ではないが、この海綿塊は、蒸発プロセスが途切れずに進行するために適した温度範囲内および湿度範囲内に維持されなければならない。例えば、温度は60°Fよりも高くなければならず、そして相対湿度は90%未満でなければならない。しかしながら、その海綿塊が、収集後に大気中の降水および過剰な温度に曝されることから保護されるべきであることが、推奨される。この海綿塊は、残りの水分含有量が10%未満、好ましくは5%未満になるまで乾燥される。さらなる処理の前に、長期間この原料が保存される場合は、残りの水分は、0.1%以下の低さにまでなり得る。残りの水分の測定は、食物科学、分析化学、または製薬科学の分野において一般的に公知な方法を用いて行われ得る。例えば、10グラムの乾燥物質を、風袋計量ボート上に置き、次いで計量する。計量された物質を、次いで、任意の残留する遊離水分または緩やかに結合した(化学的結合ではない)水分を蒸発させるのに十分な温度にて作動されている乾燥オーブンまたは加熱ランプのような熱源に曝す。このサンプルを、次いで、乾燥チャンバー内で冷却し、再計量する。残っていた水分は、乾燥前のサンプル重量と冷却後のその重量との間のパーセントの差として計算される。
【0088】
一旦乾燥されると、上記の海綿は封をされた容器に包装され、光から防御され、検疫の間55°F〜75°Fに維持される。所定の品質管理プロセスが、検疫から解放されてさらに処理される前に、食物、薬物および化粧品に適用可能な、医薬品の製造に関する規制(Good Manufacturing Practice Requirements)(GMP)および国際標準化機構(International Standards Organization)(ISO)規格に従って、その乾燥海綿物質に行われる。試験としては、病原性、大腸菌型生物、および生物学的負荷(bioburden)に対する微生物学的培養が挙げられる。化学的分析もまた行われ、製品の同一性、有効性および純度を検証する。初期の乾燥時期後の全ての処理は、GMPおよびISOのガイドラインに従う、環境的に制御された施設において行われなければならない。製造する人員は、GMP手順およびISO手順において訓練されなければならず、そして全ての製造プロセスは、綿密にモニターおよび記録されなければならない。
【0089】
検疫から解放された後、生の乾燥された物質である海綿は、篩を使用して標準的な粒子サイズにさらに精製および処理される。この乾燥海綿は、非常にもろく、一様の細かい粒子を形成するためには、軽く、穏やかのみの粉砕を必要とする。本発明の教示に従って収集および処理された乾燥海綿は、激しい粉砕技術を用いて処理されてはならず、むしろこの乾燥海綿は、そのサンプル中に存在し得る残骸を粉砕することを避けるために、穏やかに処理される。例えば、水生軟体動物由来の殻が、上記粗製サンプル中に混在し得る;この粗海綿調製物の粉砕は、篩過プロセスにおいて除去されない程度にまでその混入した殻を微粉砕しないような様式において行われるべきである。数回の粉砕工程および篩過工程が、平均粒子サイズを0.2mm以下に減少させるために行われる。1回目の過程において、粉砕および篩過プロセスはまた、粒子サイズを少なくとも2mmまで減少させるために用いられる。この最初の篩プロセスは、視覚的な検査および残留する非海綿残骸の除去を可能にし、その後粉砕および篩過プロセスが行われ、ここで原料が最終的に0.2mm以下の粒子に減少される。
【0090】
次に、サイズ分けされた物質を、再度粉砕して篩にかけ、粒子サイズを0.2mm以下まで減少させる。乾燥された海綿粉末が粉砕された後、それは次第に小さい隙間(それぞれ1mm、0.5mm、および0.2mm)を有する篩を用いてその粉末を処理することにより、混入物からさらに精製および分離される。全てのプロセスは、GMP条件下にて行われる。
【0091】
最終の粉砕プロセスおよびサイズ分けプロセスが完了した後、その乾燥海綿物質は、気密の防湿容器内に包装され、乾燥条件下で暗所にて、55°F〜75°Fで保管される。Spongilla粉末は天然に抗菌性であるため、保存剤は必要ではない。本発明の教示に従って収集、処理および保管されたSpongilla粉末は、最低でも3年6ヶ月(本特許の出願時に利用可能な安定度データ)の間、安定である。しかしながら、加速試験データは、ずっと長い安定な期間(10年まで)を示唆し得る。
【0092】
本発明の治療用組成物は、約0.1%〜100%の実質的に純粋なSpongilla粉末を含み、必要に応じて、薬学的賦形剤と一緒に配合され得る。この賦形剤としては、水、生理食塩水、緩衝化ホスフェート、オイル、ゲル、ワックス、軟化剤、グリセリン、洗浄剤、芳香剤、着色剤、防腐剤、および麻酔薬が挙げられるが、これらに限定されない。適切な水としては、特に注射用水、洗浄水、蒸留水、脱イオン水および特にフローラルウォーター(floral water)が挙げられる。清潔な水道水でさえ、いくつかの適用のためには受容可能である。上述の賦形剤の濃度は、処方科学者、薬剤師、または処方医の要求および推論に依存して、0.001%〜50%以上を変動し得る。このような範囲は当該分野において周知であり、過度の実験をすることなく決定され得る。本発明の教示に従って使用され得る他の賦形剤としては、約0.1%〜25%のサンゴ粉末、約0.1%〜25%の海藻粉末、約0.1%〜10%の過酸化水素および約0.1%〜10%の無機酸または有機酸(例えば、ホウ酸、塩酸、アスコルビン酸、サリチル酸などが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられ得る。
【0093】
本発明の治療用組成物は、一般的に、0.8グラム〜1.5グラムの実質的に純粋なSpongilla粉末、および少なくとも1種の追加賦形剤を含む。この賦形剤は、0.1〜0.5グラムの緑藻類粉末、0.1〜0.5グラムの白藻類粉末、0.1〜0.5グラムのサンゴ粉末、0.1〜0.5グラムのオオバコ粉末、0.5mL〜5 mLの0.1%〜10%過酸化水素、0.5mL〜5mLの0.1%〜10%ホウ酸および0.5〜5mLの水、0.5mL〜5mLの酵素ゲル(当業者に公知な局所的適用に適した割合における、水、ヒドロキシエチルセルロース、ヒアルロン酸、プロピレングリコール、メチルパラベン、EDTA四ナトリウム塩およびプロピルパラベン)、0.5mL〜10mLのホホバオイルからなる群より選択される。他の賦形剤(例えば、生理食塩水、緩衝化ホスフェート、オイル、ワックス、軟化剤、グリセリン、洗浄剤、芳香剤、着色剤、防腐剤および麻酔薬であるが、これらに限定されない)は、所望されるように、または必要に応じて、追加され得る。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は、各成分のグラムおよびミリリットルにおいて正確な量を使用した処方物を提供する。しかしながら、これらの正確な重量および容量は、限定とみなされるべきではない。本明細書中において使用される全ての液体は、水性ベースであり、そして低パーセンテージの溶質を含む。従って、液体成分の各容量の相対重量は、水(1g/mL)の重量と等しいものとみなされる。このため添付の特許請求の範囲は、比で表される。例えば、本発明の教示に従って作製された組成物は、1.5gの実質的に純粋なSpongilla粉末、0.5mLの過酸化水素、2mLの5%ホウ酸、1グラムの緑藻類粉末および10mLのフローラルウォーターを含み得る。次いでこの組成物は、以下のように特許請求される:1.5部の実質的に純粋なSpongilla粉末、0.5部の3%過酸化水素、2部の5%ホウ酸、1部の緑藻類粉末および10部のフローラルウォーター;など。
【0095】
(実施例1)
(基本的な局所的ざ瘡処置)
乾燥Spongilla粉末から調製された治療用組成物は、局所的医薬調製物の分野の当業者に公知な処方賦形剤および手順を用いて調製され得る。例えば、本発明の一実施形態において、局所的ざ瘡治療剤は、1.0グラムのSpongilla粉末(活性成分)および2.0ミリリットルの3%過酸化水素(ビヒクル)からなる。この成分を合わせ、一緒に混合する。次いでこの混合物を、マイクロ波において約7秒間加熱する。加熱の間に、過酸化水素は水および酸素に変換し、これにより均質に一様なふわふわしたマスクを生じる。次いでこの治療剤を、円運動でマッサージしながら顔面全体に塗布し、15分〜30分間放置し、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、5日〜7日ごとである。
【0096】
(実施例2)
(専門的な使用のための局所的ざ瘡処置)
本発明の別の実施形態において、局所的ざ瘡治療剤は1.5グラムのSpongilla粉末、1.0ミリリットルの3%過酸化水素、および3.0ミリリットルの5%ホウ酸からなる。専門的な使用のためのこの局所的抗ざ瘡組成物の混合物および塗布は、その粉末を使用直前に温かい液体と混合する工程を包含する。この治療剤を次いで、顔面または他の冒されている領域に円運動で塗布し、25分〜30分間放置し、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、4日〜5日ごとである。
【0097】
(実施例3)
(家庭での使用のための局所的ざ瘡組成物)
本発明の一実施形態において、家庭での使用のための局所的ざ瘡治療剤は、0.8グラムのSpongilla粉末、0.2グラムのオオバコ粉末および2.5ミリリットルの酵素ゲルを含む。家庭での使用のためのこの局所的抗ざ瘡組成物の混合物および塗布は、使用の直前にこの粉末を液体と混合する工程を包含する。次いでその内容物をブラシを用いて顔面または他の冒されている領域に塗布し、15分間放置して乾燥させ、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、1週間または顔面がきれいになるまでは毎日、そしてその後は維持のために1週間に1回である。
【0098】
(実施例4)
(専門的な皮膚表面再生組成物)
専門的な皮膚表面再生のために適した処方は、1.5グラムのSpongilla粉末、0.2グラムの緑藻類粉末、5.0ミリリットルの3%過酸化水素からなる。この専門的な皮膚表面再生処方箋の混合物および塗布は、この粉末を、使用の直前に熱い液体と混合する工程を包含する。次いでその内容物を、約5分間、円運動でで顔面または他の冒されている領域に塗布する。次いで混合物を25分〜30分間放置して乾燥させ、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、1週間に1回である。
【0099】
(実施例5)
(局所的な脂性肌の処置)
脂性肌の処置のための処方は、1.0グラムのSpongilla粉末および2.0ミリリットルのカモミール水、メントール水またはキンセンカ水を含み得る。この専門的な皮膚表面再生処方の混合物および塗布は、この粉末を使用の直前に温かい液体と混合する工程を包含する。その内容物を5分〜10分間放置し、ついで水で洗い落とす。推奨される用法は、皮脂の産生が抑制されるまでは2日ごとであり、その後維持のために10日ごとである。
【0100】
(実施例6)
(局所的深層皮膚剥脱皮膚処置)
皮膚の深層皮膚剥脱のための処方は、1.5グラムのSpongilla粉末、0.3グラムの緑藻類粉末、および5.0ミリリットルの4%過酸化水素からなり得る。この専門的な深層皮膚剥脱の処方の混合物および塗布は、7日間のプロセスを包含する。1日目に、顔面または影響されている領域を蒸らす。その粉末を、使用の直前に熱い液体と混合する。その内容物を次いで、円運動で、顔面または他の冒されている領域に塗布する。5分〜6分後、マスクni円運動で、過酸化水素を浸み込ませる。これを20分間放置して乾燥させ、水で洗い落とす。2日目に、顔面または影響されている領域を、2%サリチル酸で洗浄する。次いでその内容物を、円運動で、顔面または他の冒されている領域に塗布する。5分〜6分後、マスクに円運動で、過酸化水素に浸す。これを20分間放置して乾燥させ、水で洗い落とす。3日目および4日目に、ホウ酸軟膏を影響されている領域に塗布する。5日目および6日目に、保湿かつ鎮静化マスク(moisturizer and soothing mask)を塗布する。7日目および処置の最終日に、その影響されている領域をこすり洗いして剥離する。推奨される用法は、1ヶ月に1回である。
【0101】
(実施例7)
(色素過剰障害の処置)
皮膚の色素過剰スポットの除去(黒皮症、加齢斑、日光による損傷などが挙げられるが、これらに限定されない)のための処方は、1.0グラムのSpongilla粉末、0.2グラムの白藻類粉末および3.0ミリリットルの酵素ゲルからなり得る。内容物を次いで、一緒に混合して顔面または他の冒されている領域に、約10分間円運動でマッサージしながら塗布し、25〜30分間放置して乾燥させる。次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、1週間に2回である。
【0102】
(実施例8)
(光による損傷および加齢性皮膚のための処置)
光により損傷された皮膚のための処方は、2.0グラムのSpongilla粉末および5.0ミリリットルのホホバオイルからなり得る。光による損傷および加齢性皮膚のためのこの処方箋の混合物および塗布は、使用の直前にこの粉末を熱いオイルと混合する工程を包含する。その内容物を次いで、30分〜45分間、円運動で顔面または他の冒され
ている領域にマッサージし、25分〜30分間放置して留まらせ、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、1週間に1回である。
【0103】
(実施例9)
(頭皮の脂漏性皮膚炎のための処置)
頭皮の脂漏性皮膚炎のための処方は、5.0グラムのSpongilla粉末、5.0ミリリットルの3%過酸化水素および5.0ミリリットルの2%ホウ酸を含む。この専門的な皮膚の表面再生処方の混合物および塗布は、使用の直前に、その粉末を熱い液体と混合する工程を包含する。その内容物を次いで、円運動でマッサージしながら冒されている領域に塗布する。次いで混合物を30分間放置し、次いで水で洗い落とす。推奨される用法は、8〜10週間に5〜6日、その後維持のために1ヶ月に1回である。
【0104】
前述の例示的実施形態は、限定として意図されず、本発明の海綿動物組成物は、種々の方法で処方され得、それでもなお本発明の範囲内にあるとみなされる。本発明者らは、乾燥されたSpongilla粉末が、皮膚の健康を促進し、瘢痕の治癒および減少を促進するのに利点がある多数の生物学的に活性な化合物を含むと考えている。これらの利点のある化合物としては、無機化合物(例えば、ヨウ素、臭素、リンおよび硫黄)に加えて、抗菌因子、抗炎症因子、抗ウイルス因子および他の有機生物活性因子が挙げられるが、これらに限定され得ない。
【0105】
本発明のSpongilla組成物の正確な作用機序は、未知のままである。さらに、本発明者らは、成分の天然の組み合わせが相乗効果に寄与し、この相乗効果が、上記活性成分の抽出および精製により破壊または有意に減少され得るすると考えている。しかしながら、本発明者らは、以下の非限定的な開示において詳述されるように、本発明の安全性および有効性を実証している。
【0106】
(安全性試験)
(1.インビボでのウサギ試験)
試験物品であるDesiccated Animal Sponge−Thistle、バッチ:San Pin 2.3.2.560−96を、国際標準化機構10933:医療装置の生物学的評価、第10章:刺激性および感作性のための試験のガイドラインに従って、一次皮膚刺激性について評価した。5滴の0.9%塩化ナトリウムで湿らされた0.2g部分の試験物品2つおよびビヒクルコントロール物品を、各々3匹のウサギの皮膚に局所的に塗布し、24時間適所に放置した。その部位を、単独のサンプル塗布の除去から1時間後、24時間後、48時間後および72時間後に、紅斑および水腫について分類した。この研究の条件下では、そのウサギの皮膚において、紅斑および水腫は全く観察されなかった。この試験物品に対する一次刺激インデックス(Primary Irritation Index)を、0.0と計算した。この試験物品の応答を、無視できると分類した。
【0107】
以下に特定される試験物品を、国際標準化機構10933:医療装置の生物学的評価、第10章:刺激性および感作性のための試験のガイドラインに従って、一次皮膚刺激性について評価した。この研究の目的は、この試験物品の単一局所的塗布に対する、ウサギの皮膚を刺激する可能性を決定することであった。この試験物品を、2002年8月30日に受け取った。パッチを、2002年9月5日に塗布し、2002年9月9日に結論を出した観察を、FDA医薬品安全性試験実施基準(GLP)規則21、連邦規制基準58の規定に従って行った。
【0108】
(材料)
試験物品:Desiccated Animal Sponge−Thistle識別番号:バッチ:San Pin 2.3.2.506−96
安定性試験:完了し、スポンサーが記録(スポンサーによる)
有効期限:2004年4月
ビヒクル:0.9%の塩化ナトリウム、無菌の生理食塩水
保管条件:乾燥した、暗所条件:
コントロール物品:試験施設より供給される4重のガーゼを、25mm×25mm片に切り、片当たり5滴の3%過酸化水素で湿らせた。
調製:0.2グラム部分の試験物品(提出前にスポンサーにより計量された)であるDesiccated Animal Sponge−Thistleを、5滴の0.9%塩化ナトリウムで湿らせた。この試験物品および生理食塩水を混合し、一様なペーストを形成させた。この試験混合物を、動物の皮膚に塗布し、20分間風乾させ、次いで4重のガーゼでラップした。
試験系:雄性ウサギ(Oryctolagus Cuniculus)、ニュージーランド。
【0109】
(実験手順)
処置の前日に、各ウサギの背中の毛を、電気バリカンで刈り込んだ。処置日に、各ウサギの4つの部位(2つは背中の両側、ならびに頭部および尾部の位置)に、印を付けた。この部位には、結果の解釈に干渉し得る染みがなかった。
【0110】
0.2g部分の試験物品を、5滴の生理食塩水で湿らせ、各々の尾部(ウサギ当たり2箇所)の約25mm×25mmの正方形部分に塗布した。この試験物品混合物を、ラップする前に20分間風乾させた。コントロールのビヒクルを、同様に尾部に塗布した。試験パッチを適所に維持するために、各動物の胴体を弾性のバンドでラップした。処置後に、動物をそれらのかごへ戻した。
【0111】
24時間の曝露後、バンド、テープ、およびパッチを除去した。任意の残った残留物を除去することを試みて、上記の部位を、脱イオン水で湿らせたガーゼスポンジでやさしくふいた。紅斑および水腫についての皮膚の観察を、パッチ除去から1時間後、24時間後、48時間後、および78時間後に記録した。
【0112】
各動物に対する試験完了後に、この試験の一次刺激インデックスを計算した。24時間、48時間および72時間の間隔にて得られた紅斑および水腫のスコアを一緒に加算し、観察された総数で除算した。この計算を、各動物に対する試験物品およびコントロール物品ごとに別々に行った。コントロールに対するスコアを、試験物品に対するスコアから減算し、一次刺激スコア(Primary Irritation Score)を得た。各ウサギに対する一次刺激スコア(表2を参照のこと)を、一緒に加算し、ウサギの数で除算して、一次刺激インデックスを得た(表3を参照のこと)。
【0113】
(結果)
表1にまとめるように、ウサギの皮膚において、刺激性は何も観察されなかった。最大刺激応答(Maximum Irritation Response)は、塗布不可能であった。この試験物品の一次刺激インデックスを、0.0であると計算した。この刺激の計算を、以下に示す:
【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

(安全性試験:結論)
本研究の条件下では、ウサギの皮膚において、紅斑および水腫は何も観察されなかった。上記試験物品に対する一次刺激インデックスを、0.0であると計算した。この試験物品の応答を、無視できると分類した。
【0116】
(II.インビボでのモルモット試験)
以下に記載される試験物品を、モルモットにおいて、繰り返して閉塞性パッチを当てた後に、遅延性皮膚接触感作性を引き起こす可能性について評価した。この研究は、国際標準化機構10993:医療デバイスの生物学的評価、第10章:刺激性および感作性試験の要求に基づいて行った。この試験物品を、2002年8月30日に受け取った。最初のパッチは、2002年9月17日に塗布し、観察を2002年10月22日に完了した。公知の感作因子である1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)へのHartleyモルモット系統の感受性は、実証されている。
【0117】
この研究は、FDA医薬品安全性試験実施基準(GLP)規則21、連邦規制基準58の規定に従って行った。
【0118】
(材料)
試験物品:Desiccated Animal Sponge−Thistle
識別番号:バッチ:San Pin 2.3.2.560−96
安定性試験:完了し、スポンサーが記録(スポンサーによる)
有効期限:2004年4月
保管条件:乾燥した、暗所条件
コントロール物品:4重のガーゼの約25mm×25mm片を、ビヒクルとして使用した。
調製:0.2グラム部分の試験物品(提出前にスポンサーによって計量された)である、Desiccated Animal Sponge−Thistleを、5滴の3%過酸化水素で湿らせた。試験物品および過酸化水素を混合し、一様のペーストを形成させた。0.2グレイン(grain)部分の試験物品混合物を、動物の皮膚に塗布される約5つのパッチに対して使用した。この試験混合物を、20分間風乾させ、次いで4重のガーゼで包んだ。
種:雌性モルモット(Cavia porcellus) Crl:(HA) Charles River Laboratories、体重範囲:最初の処置の前日に311グラム〜366グラム。
【0119】
このHartley白色種モルモットは、歴史的に、感作性の研究に使用されてきた。毛を刈られた無傷の皮膚へ、試験物品を繰り返しパッチで当てる。局所的塗布は、人への曝露経路に関連し、誘導期およびチャレンジ期の間の、皮膚の接触および/または吸収の潜在的な感作性の評価を可能にする。局所的塗布部位の直下の反応を、観察し得る。公知の感作性因子である1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)へのHartley系統の感受性は、実証されている。
【0120】
(実験手順)
最初の誘導処置の前日に、各動物を計量し、同定した。試験動物として指定された10匹のモルモットおよびコントロール動物として指定された5匹のモルモットの左脇腹から、毛を電気バリカンを用いて除去した。各動物を、全身の健康について毎日観察した。
【0121】
次の日に、試験混合物のアリコートを、適切な動物の約25mm×25mm領域に塗布した。この試験混合物を、ラップする前に20分間乾燥させた。次いでパッチを、低アレルギー誘発性テープで、無傷の皮膚に固定した。塞いだパッチを適所に維持するために、各モルモットの胴体を、弾性の帯でラップした。
【0122】
6〜8時間で、そのラップおよびパッチを除去した。パッチ除去後に乾燥したガーゼでその部位を拭き、皮膚から任意の残留物を除去した。各試験物品の曝露完了後に、皮膚の応答に関する観察を24時間記録した。スコア付けの前に、35%イソプロピルアルコールで浸したガーゼでその部位を拭いた。
【0123】
9回の塗布がその動物の左脇腹になされるまで3週間、その塗布手順を毎週3回(例えば、月曜日−水曜日−金曜日)繰り返した。明瞭な部位を提供するために、毛を各塗布の前日に刈った。
【0124】
最後の誘導パッチの13日後に、各モルモットの毛を、右脇腹領域から電気バリカンを用いて除去した。次の日に、コントロールおよび試験物品の両方の約25mm×25mm片を、各試験モルモットおよびコントロールモルモットの右脇腹の背側領域および腹側領域の無傷の皮膚へ塗布した。各モルモットの胴体を、弾性の帯でラップし、塞いだパッチを適所に維持した。
【0125】
全てのラップおよびパッチを、6〜8時間後に除去した。パッチを除去する前に、その部位を乾燥ガーゼで拭いた。パッチの除去から24時間後、チャレンジされた部位および周辺領域を剃毛した。皮膚の反応についての観察を、剃毛2〜4時間後で行い、チャレンジから48〜72時間後にパッチを除去した。各間隔においてスコア付けする前に、部位を、35%イソプロピルアルコールで浸したガーゼで拭いた。誘導期およびチャレンジ期の両方に対する評価は、以下の表4にまとめられるように、スコア付けされた皮膚の反応に基づいた。
【0126】
【表4】

チャレンジパッチの後、コントロール条件のチャレンジにおいて観察されるよりも大きい皮膚の反応を示す任意の試験動物を、試験物品に対する遅延型接触感作性を示すとみなした。反応のパターンおよび持続期間もまた、最終的な評価において考慮した。
【0127】
(結果)
(臨床的知見)
個々の身体の体重を、付録1に示す。全ての動物が、この研究を通して臨床的に正常であるようだった。
【0128】
(皮膚の知見)
誘導期およびチャレンジ期に対する皮膚のスコア付けの個々の結果を、表5および表6に示す。感作性の証拠は、何も観察されなかった。全ての手順を、医薬品安全性試験実施基準およびISO 17025に従って行った。
【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【0131】
【表7】

(安全性試験:結論)
本研究の条件下で、本発明のSpongilla治療用組成物は、モルモットにおいて何も遅延型皮膚接触感作性を示さなかった。従って、本発明の教示に従ってSpongilla調製物が調製された場合、レシピエントにおいて誘導される、証明できる毒性反応およびアレルギー反応は何もなかった。
【0132】
(本発明の海綿動物組成物を使用するための例示的方法)
(導入)
実質的に純粋なSpongilla粉末を含む、事前に計量された包装物が提供される。事前に計量された量は、顔面への1回の塗布に十分である。あるいは、この塗布は、顔面の代わりに胸部、頚部、または肩部の処置に使用され得る。この処置は、この手順に訓練された医師、看護師または患者により行われ得る。これは、全ての皮膚の型の患者に、安全に塗布され得る。
【0133】
患者は、各処置前の2週間、無防備の日光曝露を避けるように通知されるべきである。グリコール酸(一般用医薬品の強度)、レチンAおよびRenovaのような製品は、処置前の少なくとも14日間、中止されるべきである。専門的な強度のグリコール酸剥脱、Jessnerの剥脱、フェノール剥脱およびTCA剥脱;COレーザー表面再生およびErbiumレーザー剥脱の後に、長期間(数ヶ月)が経過させられるべきである。しかしながら、診療所において、各症例が個々に試験され得る。
【0134】
塗布物が除去された後に、処置領域を低刺激性の浄剤で洗わなければならない。この手順を実施する人は、防御手袋をすることができる(これは必要ではない)。
【0135】
(処置調製物)
2ミリリットルの3%過酸化水素を量り分け、小さい(約30ml〜50ml)非金属の容器に入れる。マイクロ波で穏やかに加熱し、この溶液をほのかに温かい温度にする。1300ワットのマイクロ波を使用し、時間設定は、その容器がガラスまたはプラスチックのいずれであるかに依存して、通常2〜10秒である。加温された過酸化物溶液を、Spongilla粉末の事前に計量された容器に注ぐ。穏やかに攪拌し、完全に均一の一様な薄いペーストを得る。あるいは、この粉末を、まず過酸化水素と混合し、次いで加温され得る。
【0136】
(処置の塗布)
円運動にマッサージして、4分の1量を前額部の真ん中に塗布する。このペーストを、等しく圧力をかけながらヘアラインまで、小さな円運動で指でやさしく広げる。このペーストが乾燥し始めたら、こめかみ、頬、鼻および顎と下げながら同じ工程を繰り返す。軽度から中度の紅斑は、通常現れる。皮下に鋭利なクリスタルの針の感覚が、処置の間に一般に経験される。眼窩周囲の領域は避けるのが最良である。なぜなら、眼窩周囲の皮膚はより薄く、そしてより敏感であるからである。活性成分の皮膚への浸透を最適化するために、ペーストが乾燥する前に、皮膚の中へそのペーストをマッサージすることが非常に重要である。これは、顔面に対して5分間を要し得る。頚部および胸部は、通常最後に行われるべきである。顔面をリンスするための最も快適な方法は、患者の顔面を濡れた洗浄布で拭くよりも、患者に冷水をかけることである。皮膚の紅斑および皮膚がチクチクする感覚は、その後の12〜24時間にわたって、次第に消えていく。
【0137】
【表8】

処置時間は変動し得る。患者が痛みおよび不快感を覚えた場合は、即座に中止する。即座に冷水で皮膚を洗浄する。
【0138】
各処置後少なくとも2週間、患者に、SPF30〜40の日焼け止め(好ましくは、皮膚を鎮静化する助けをするために、亜鉛を含むもの)の使用を指示する。これを怠ると、色素過剰沈着を生じ得ることを説明する。最良の結果のために、患者は、少なくとも12時間、保湿剤の塗布を避けなければならない。濃い保湿剤は、処置の過程の間、避けられなければならない。粉末の化粧および軽いファンデーションの使用は、最初の12時間後に再開され得る。全ての患者が、5日目〜6日目に、自宅で提供されたスクラブを用いた剥脱を行うかまたは剥脱手順のために診療室に戻るように、指示されなければならない。
【0139】
(有効性試験)
本発明の一実施形態において、図2に示される患者を、乾燥したSpongilla粉末から調製され、上記に開示されたように処方された治療用組成物を使用して、処置した。より具体的には、この局所的治療剤を、使用に先だって混合し、マイクロ波において7秒間加熱した、1.0グラムのSpongilla粉末および2.0ミリリットルの3%
過酸化水素からなる局所的ざ瘡治療剤として処方した。この局所的組成物を、訓練された医師の監視下にて、円運動で顔面全体に塗布した。患者の皮膚と接触させたまま25分間この処置を放置し、次いで水で洗い流した。この処置プロトコールを、4週間7日ごとに繰り返した。処置の完了後、患者は図3に示されるように見えた。
【0140】
本発明の治療用組成物は、海綿動物種に由来し、そして種々の皮膚疾患および皮膚障害を処置するために使用され得る。具体的には、本発明は、Spongilla由来の局所的治療剤を提供する。この局所的治療剤は、しゅさ、脂漏性皮膚炎、湿疹(アトピー性皮膚炎)、乾癬、光加齢、光線性角化症、多数の他の細菌性疾患、ウイルス性疾患、および真菌性疾患ならびに皮膚色素沈着障害の処置に有効である。いくつかの例示的実施形態が提供されたが;しかしながら、多くの他の組成物が、特許請求されている本発明の精神から逸脱することなく可能であることが、薬学的調剤の当業者により理解される。
【0141】
他に指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量のような性質、反応条件などを表現する全ての数字は、全ての場合において、用語「約」により改変されているものとして理解されるべきである。従って、そうでないと指示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数字のパラメーターは、本発明により探求される所望の性質に依存して変動し得る近似である。最低限に、そして特許請求の範囲への等価物の学説の適用を制限する試みとしてではなく、各数字のパラメーターは、少なくとも、報告された有効桁の数字を考慮して、かつ一般的な丸め技術を適用することにより解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数字の範囲およびパラメーターは近似であるにもかかわらず、具体的な実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、そのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0142】
本発明の説明の文脈において使用される(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において使用される)用語「a」および「an」および「the」および類似の指示語は、本明細書中で他に指示されない限り、または文脈と明確に矛盾しない限り、単数形および複数形の両方に及ぶと解釈されるべきである。本明細書中における値の範囲の列挙は、範囲内にある別個の値の各々を個々に言及する簡便な方法として機能するに過ぎない。本明細書中において他に指示がない限り、個々の値の各々は、あたかもそれが本明細書中に個別に列挙されるかのように、本明細書中に援用される。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中に他に指示がないかまたは文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序において、実施され得る。本明細書中に提供される任意の例および全ての例の使用、または例示的な用語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をよく例示することを意図され、別に特許請求される本発明の範囲の限定を提示しない。本明細書におけるいずれの用語も、本発明の実施に必須な、任意の特許請求されない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0143】
本明細書中に開示される本発明の代替的な要素または実施形態の分類は、限定として解釈されるべきではない。各群のメンバーは、個々に言及および特許請求され得るか、あるいはその群の他のメンバーもしくは他の要素との任意の組み合わせが、本明細書中に見出される。群の1以上のメンバーが、利便性および/または特許性の理由のために、群に含められるかまたは群から削除され得ることが予測される。任意のこのような包含または削除が起こる場合、本明細書は改変された群を本明細書中に含むとみなされ、これにより添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュ群の記載される説明を実現させる。
【0144】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書中に記載され、本発明を実施するための、本発明者らに知られたベストモードを含む。当然、それらの好ましい実施形態のバリエーショ
ンは、上述の説明を読む際に、当業者に明らかとなる。本発明者らは、当業者がこのようなバリエーションを適切に利用することを期待し、そして本発明者らは、本発明が、本明細書中に具体的に説明されるのとは別の方法で実施されることを意図する。従って、本発明は、適用可能な法律により許容されているように、本明細書に添付される特許請求の範囲において列挙される対象物の、全ての改変および等価物を含む。さらに、その全ての可能なバリエーションにおける上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に他の指示がないかまたは文脈に明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0145】
締めくくりに、本明細書中に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理の実例となることが、理解されるべきである。利用され得る他の改変は、本発明の範囲内にある。従って、限定ではなく例のために、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本発明は、示され、そして記載されたものとして正確であるようには限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−184941(P2010−184941A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126310(P2010−126310)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【分割の表示】特願2005−509509(P2005−509509)の分割
【原出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願人】(506076455)
【Fターム(参考)】