説明

皮膚病の治療用組成物、並びにそれを用いた製剤及びその調製方法

【課題】臨床実験における効果が顕著であり、また、神経皮膚炎(乾癬)、にきび、手足白癬、爪白癬、鶏眼、爪囲炎等の皮膚病への効果が即時に現れる組成物及びそれを用いた製剤を提供する。さらに、上記組成物に賦形剤を配合することで製造される様々な製剤及びその調製方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る皮膚病の治療用組成物は、不飽和脂肪酸、コラーゲン、アミノ酸、ビタミン及び無機塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用化粧品又は医薬品分野に属するものであり、具体的には、皮膚病の改善と治療のため、直接使用したり化粧品又は医薬品製剤の形態で皮膚の一部に使用したりする皮膚病の治療用組成物に関する。さらに、それを用いた製剤及びその調制法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、社会の発展と人々の生活水準の向上に伴い、生活の質を追求し、体の健康及び皮膚の健康・美しさに関する意識も段々強くなってきているため、様々な新しい化粧品が次々と市場に出回っている。現在、国内外の化粧品は以下のような問題があり、即ち、皮膚の生理状態を根本から変えない保湿機能だけを持つ化粧品が多く、そして、一部の化粧品は、精製・加工の費用が高いが、原料が変質しやすかったり異臭がしたりすることが多いので、特別な防腐剤等の化学成分を使用する必要があり、このように衛生基準を満たさない場合が多いため、皮膚に良くないと同時に皮膚に傷害を与える。本製品は、主に、天然酸化防止剤を用いることによって製品の変質を防止する。
【0003】
人の体の最外層保護層として外部環境に対抗する皮膚は、代謝欠陥、外力による摩擦又は圧迫及び細菌侵入などがある場合に、保護本能から表皮が増殖してそれに対抗するため、うろこ状の増殖(乾癬)、たこ、亀裂状の増殖(手足白癬)、鶏眼などの皮膚病変を生じる。人体細胞は、例えば、人体必須の不飽和脂肪酸や必須のアミノ酸など栄養成分を多く摂取しなければならない。人体は様々なルートでこれらの栄養成分を吸収利用し、外部環境に対抗する第一障壁として皮膚の細胞にまで輸送する。栄養成分が不足すると、免疫力低下による皮膚細胞の老化又は病変が起こる。
【0004】
臨床実践や日常生活では、上記の皮膚病症を患う多数の患者は、皮膚表層病変が出る時、これを改善するために医薬品又は化粧品を用いたが、逆に不当な使用によって皮膚内部の水分と皮脂のバランスが崩れる。それに、長期的にはこのような医薬品又は化粧品を使用すると、皮膚の皮脂腺をフィードバック刺激し分泌を異常にするとともに、皮膚が外界からの刺激に対してさらに敏感になるので、皮膚が破裂、増殖したり、皮膚に斑や膿瘍を生じたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示された特許文献を検索したところ、皮膚疾病の治療に関する特許はいずれも刺激的な成分を含むことを見出した。臨床使用の経験から、長期にこのような医薬品又は化粧品を使用すると、皮膚の薬剤耐性と刺激性が強まり、皮膚の自己修復力が低下し、より多くの副作用が起こることが分かった。
【0006】
そのため、皮膚に刺激しない且つ皮膚病の治療又は予防、皮膚老化の遅延や皮膚機能の修復などの効果がある外用皮膚製剤の開発が必要である。
【0007】
本発明の目的は、皮膚を刺激しないで且つ直接使用したり、化粧品又は医薬製剤の形態で皮膚の一部に使用したりする可能性がある、皮膚関連疾病の予防、改善又は治療及び皮膚機能の修復に用いる組成物、並びにそれからなる製剤及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、不飽和脂肪酸、コラーゲン、アミノ酸、ビタミン及び無機塩を含有する皮膚病の治療用組成物を提供する。その中、上記不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの人体必須の不飽和脂肪酸から選ばれる一種以上であってもよい。本発明で使用した不飽和脂肪酸は精製後の植物性不飽和脂肪酸が好ましく、精製工程は可溶化処理、超臨界流体抽出、超音波抽出などの方法を使用できる。植物性不飽和脂肪酸の原料は、例えばオリーブ油、菜種油、ひまわり油、茶油などの各種類の植物油を用いても良い。コラーゲンは、一種の蛋白の総称であり、魚、豚、牛といった動物性原料から抽出するものであってもよい。コラーゲンは、バイオ−テクノロジーによって抽出したコラーゲンであってもよく、あるいは化学抽出法によって抽出したコラーゲンであってもよい。上記アミノ酸は、一種以上の人体必須のアミノ酸であり、その中では、人体必須のアミノ酸とは、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、バリンなどの8種のアミノ酸を意味するが、ヒスチジン、アルギニンを含んでもよい。上記ビタミンとして、ビタミンE及び/又はビタミンAが好ましい。上記無機塩として、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩が好ましい。
【0009】
上記組成物の中、重量%で、不飽和脂肪酸の含有量が65%〜90%であり、他の成分の含有量については、コラーゲンが0.1%〜15%、アミノ酸が0.1%〜10%、ビタミンが0.1%〜10%、及び無機塩が0.05%〜1%とする。ここで、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などからなる群から選ばれる一種以上であってもよく、多種の不飽和脂肪酸を異なる割合で混合することができる。アミノ酸は人体必須のアミノ酸のうちの一種以上であってもよく、アミノ酸の種類の選択及びその組成割合は、具体の状況に応じて決められる。ビタミンとしては、ビタミンE及びビタミンAが好ましく、その含有量は、ビタミンEが0.1%〜1%、ビタミンAが0.1%〜1%であることが好ましい。無機塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましく、その含有量は、ナトリウム塩が0.05%〜0.9%、カリウム塩が0.05%〜0.1%であることが好ましい。その中でも、ナトリウム塩は塩化ナトリウムの形態で、カリウム塩は塩化カリウムの形態で存在しても良い。
【0010】
本発明はさらに、上記組成物の中に賦形剤を添加することにより使用に適する様々な剤形に調製される上記組成物が含まれる製剤を提供する。例えば、薬学上許容されるクリーム状にできる賦形剤を加えて軟膏剤を調製してもよく、そして、需要に応じて薬学上許容される界面活性剤にて製剤の効果をさらに改善してもよく、又は、薬学上許容される液状にできる賦形剤を加えることで、液剤、スプレー剤、及び上記製剤をさらに加工して製造されるマスクを作っても良い。なお、本発明の組成物をより便利に使用するために製剤を調製するが、具体な臨床応用現場において、本発明の組成物の中へ賦形剤(及び/又は界面活性剤)と香料を加えることなく、そのまま患者の皮膚の患部に塗っても良い。
【0011】
上記製剤における各成分の含有量は、不飽和脂肪酸が50%〜70%、コラーゲンが0.1%〜10%、アミノ酸が0.1%〜6%、ビタミンが0.1%〜7%、無機塩が0.05%〜1%、賦形剤が10%〜25%、及び植物性香料が1%〜5%である。その中で、ビタミンとしては0.1%〜1%のビタミンEと0.1%〜1%のビタミンAが好ましい。無機塩としては、0.05%〜0.9%のナトリウム塩と0.05%〜0.1%のカリウム塩が好ましい。賦形剤は、薬学的に許容される各種類の補助薬又は界面活性剤であってもよく、又は需要に応じて天然植物性香料を含んでも良い。
【0012】
本発明はさらに、以下のステップを含む上記製剤の調製方法を提供する。
(1)上記製剤の組成に従って原料を取る、
(2)コラーゲンおよび水溶性原料を溶解させて水溶性ゲルマトリックスを得る。ここで、水溶性原料はアミノ酸、ビタミン及び無機塩である、
(3)不飽和脂肪酸中に賦形剤と適量の界面活性剤を加え、均一に混合させた後、ステップ(2)で得られた水溶性ゲルマトリックスを徐々に加え、均一に乳化させることにより、軟膏剤又は液剤を得る、
(4)最終製品に仕上げて包装する。
【0013】
ここで、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などからなる群から選ばれる一種以上であってもよく、植物不飽和脂肪酸から抽出したものである。精製工程は可溶化処理、超臨界流体抽出、超音波抽出などの方法を採用しても良いが、植物不飽和脂肪酸を凝結させてから高速遠心して不飽和脂肪酸を精製する方法が好ましく、この方法は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の凝固点の相違を利用して分離と精製を行う。植物不飽和脂肪酸の原料は、オリーブ油、菜種油、ひまわり油、茶油など各種類の植物油を用いても良い。コラーゲンは、バイオ−テクノロジーによって抽出したコラーゲンであってもよく、あるいは化学抽出法によって抽出したコラーゲンであってもよい。
【0014】
本発明に係る組成物は直接に皮膚に使用したり、化粧品又は医薬製剤の形態で皮膚の一部に使用したりしてもよい。上記製剤は、皮膚用の各種剤形であってもよく、例えば、軟膏剤、液剤、スプレー剤などが挙げられる。それに、他の材料と組み合わせてもよく、例えば、軟膏状又は液状のものを単層の薄膜状の下地に塗布し、マスクに加工した後パッケージする。上記薄膜状下地は純綿、不織布又は合成繊維材料を用いる。
【0015】
以下、本発明に係る組成物の薬理分析を行う。本発明の組成物における成分は、いずれも人体必須の栄養成分であり,且つ多数は外界から補充しなければならない。全ての組成成分は、食べられる安全性が高いものである。すべての栄養成分は、体循環を要せずそのまま経皮吸収され皮膚細胞まで供給されるため、皮膚細胞の栄養を保証し、免疫力を向上させ、皮膚に自身の能力を回復させ、細菌の侵入とウイルスの侵害に抵抗する。
【0016】
漢方医学の皮膚浸透圧療法の学説に基づき、本製品は、活性栄養物質と栄養成分に富み、すぐに皮膚に浸透し皮膚細胞に欠けた栄養を迅速に補充できるので、細胞の再生機能の強化、毛穴を閉塞する角質層や重金属や化学汚染物の除去、毛穴の縮小ができるうえに、にきび、膿疱、せつ腫や皮膚表面の潰瘍などの病症の治療に寄与している。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る製品によれば、皮膚に必要な栄養を補充し、皮膚の微小循環を改善し、細胞自身の免疫力を向上させ、皮膚の成長と修復に必要な正常な生理的要素を維持し、皮膚組織の正常な形態と機能を維持し、外界からの侵害に抵抗する自身の能力を高め、皮膚組織表層の健康を保持することができる。
【0018】
本発明に係る組成物及びそれを用いた製剤は、臨床実験における効果が顕著であり、また、神経皮膚炎(乾癬)、にきび、手足白癬、爪白癬、鶏眼、爪囲炎等の皮膚病への効果が即時に現れる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例を示して本発明をさらに説明する。以下の実施例は当業者に本発明をさらに理解させるものであるが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0020】
実施例1:軟膏剤
以下の組成と割合に従って原料を取った。まずは、オリーブ油を凝結させてから高速遠心して不飽和脂肪酸を精製した。精製された不飽和脂肪酸を65g、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、バリンの混合物を2g、精製した魚鱗コラーゲンペプチドを5g、塩化ナトリウムを0.9g、塩化カリウムを0.1g、ビタミンEを0.1g、ビタミンAを0.1g使用し、その中にプロポリスを25g、植物性香料を1.8g加えた。次いで、コラーゲン、アミノ酸及び無機塩を水に溶解させることで、水溶性ゲルマトリックスを得た。次いで、ビタミンを溶解させた不飽和脂肪酸中へ25gのプロポリスを加え、均一になるまで混合し、その後その中に上記水溶性ゲルマトリックスを徐々に加え、均一に乳化することにより、軟膏剤を得た。最終製品に仕上げて包装した。
【0021】
実施例2:軟膏剤
実施例1と同様の調製方法を用いた。ここで、以下の組成と割合に従って原料を取った。精製したオリーブ油を70g、魚鱗コラーゲンペプチドを0.1g、リジンなどの8種のアミノ酸の混合物を0.1g、ビタミンAを0.05g、ビタミンEを0.05g、NaClを0.05g、プロポリスを25g、及び植物性香料を4.65gとした。
【0022】
実施例3:軟膏剤
実施例1と同様の調製方法を用いた。ここで、以下の組成と割合に従って原料を取った。精製した菜種油を65g、魚鱗コラーゲンペプチドを10g、リジンなどの8種のアミノ酸の混合物を6g、ビタミンAを3.5g、ビタミンEを3.5g、NaClを0.5g、KClを0.1g、プロポリスを10g、及び植物性香料を1.4gとした。
【0023】
実施例4:軟膏剤
実施例1と同様の調製方法を用いた。ここで、以下の組成と割合に従って原料を取った。精製したひまわり油60g、魚鱗コラーゲンペプチドを5.5g、リジンなどの8種のアミノ酸の混合物を1.5g、ビタミンAを2.0g、ビタミンEを1.5g、NaClを0.4g、KClを0.1g、ワセリンを24g、及び植物性香料:5gとした。
【0024】
実施例5:軟膏剤
実施例1と同様の調製方法を用いた。ここで、以下の組成と割合に従って原料を取った。精製した茶油を55g、魚鱗コラーゲンペプチドを8g、リジンなどの8種のアミノ酸の混合物を3g、ビタミンAを3.0g、ビタミンEを2.0g、NaClを0.9g、KClを0.1g、ワセリンを25g、及び植物性香料を3gとした。
【0025】
実施例6:軟膏剤
実施例1と同様の調製方法を用いた。ここで、以下の組成と割合に従って原料を取った。精製したオリーブ油を50g、魚鱗コラーゲンペプチドを10g、リジンなどの8種のアミノ酸の混合物を6g、ビタミンAを3.5g、ビタミンEを3.5g、NaClを0.9g、KClを0.1g、ワセリンを22g、及び植物性香料を4.0gとした。
【0026】
実施例7:液剤
以下の組成と割合に従って原料を取った。まずは、オリーブ油を凝結させてから高速遠心して不飽和脂肪酸を精製した。精製後の不飽和脂肪酸を80g、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、バリンの混合物を6g、魚鱗コラーゲンペプチドを10g、塩化ナトリウムを0.9g、塩化カリウムを0.1g、ビタミンEを1.5g、ビタミンAを1.5g使用した。次いで、コラーゲン、アミノ酸及び無機塩を水に溶解させることで、水溶性ゲルマトリックスを得た。次いで、ビタミンを溶解させた不飽和脂肪酸中に上記水溶性ゲルマトリックスを徐々に加え、均一に乳化させることにより、液剤を得た。このように、最終製品に仕上げて包装した。
【0027】
実施例8:マスク
実施例1又は実施例7に記載の製品を単層の薄膜状の下地に塗布し、マスクに加工した後パッケージする。上記薄膜状下地は純綿、不織布又は合成繊維材料を用いる。
【0028】
臨床実験例
本発明に係る製剤は、臨床に大きく応用され、効果的なフィードバックが得られた。即ち、臨床応用において、皮膚血液循環の改善、肌の免疫力と皮膚の栄養状態の強化、角質層の柔軟化、顔色の改善及び色素吸収の促進等の役割があり、毛穴を閉塞する角質層、重金属及び化学汚染物の除去、輻射の防止、皮膚への栄養供給ができる。また、活性栄養物質と栄養成分に富み、すぐに皮膚に浸透し皮膚細胞に欠けた栄養を迅速に補充でき、即効性がある。また、毛穴を縮め、細胞再生を増強し、皮膚に必要な栄養を補充し、細胞自身の免疫力を向上させることができる。本発明に係る製剤を用いて皮膚病を治療した臨床観察実験は以下に示す。
【0029】
臨床観察実験一:乾癬の治療。
【0030】
1、基本資料:
乾癬患者合計40例で、全病例をランダムに対照群と実験群に分け、1群は20例である。
【0031】
2、実験方法:
対照群患者の皮膚に、臨床常用のグルココルチコイドを昼夜各1回塗布し、7日間後、アジスロマイシン軟膏(azithromycin cream)の塗布を始め、それを1日3回行った。実験群患者の発症部位に、本発明の実施例1の軟膏剤を昼夜各1回塗布した。そして、実験開始の7日目、1ヶ月目、2ヶ月目に、2群の患者の皮膚の回復状況をそれぞれ観察した。
【0032】
3、治療効果:
対照群患者は、グルココルチコイドを使用した7日間後、皮膚がよくなり滑らかとなりはじめた。7日間後、グルココルチコイドの代わりにアジスロマイシン軟膏を使用し、3週間治療し続けた。治療開始の1ヶ月後、乾癬の一部の鱗屑が柔らかになり剥がれ始めた。治療開始の2ヶ月後、治療開始の1ヶ月の時と比べて、治療状況はあまり差がなく、患者の乾癬が改善したが、完治した患者がいない。
【0033】
実験群患者は、本発明に係る製剤を使用した7日間後、皮膚がよくなり滑らかなになりはじめたが、対照群の方がより効果的である。使用開始の1ヶ月後、乾癬の一部の鱗屑が柔らかになり剥がれ始めたが、対照群と比べてあまり差がない。使用開始の2ヶ月後、20名患者中で、18名患者は殆ど完治し、1名患者は大きく改善し、1名患者は改善しなかった。
【0034】
使用開始初期に、本発明に係る製剤の乾癬に対する治療効果は、ホルモンと抗生物質に比べて、即効性が低いが、使用開始の2ヶ月後、本発明に係る製剤は臨床通用のホルモンと抗生物質類医薬品より、乾癬に対する治療効果がよいことが、臨床的に実証された。以上の結果から、本発明に係る製剤は乾癬等皮膚疾病への治療、皮膚再生の時間の短縮、副作用の低減に有効であることが分かった。
【0035】
臨床観察実験二:にきびの治療。
【0036】
1、基本資料:
にきび患者合計50例で、全病例をランダムに対照群と実験群に分け、1群は25例である。
【0037】
2、実験方法:
対照群患者に、臨床常用の薬であるイソトレチノインを1日2回経口投与し、実験群患者の発症部位に、本発明の軟膏剤を昼夜各1回塗布した。そして、実験開始の2日目、7日目、2週間目に、2群の患者の皮膚の回復状況をそれぞれ観察した。
【0038】
3、治療効果:
対照群患者には、イソトレチノインを経口投与した2日間後、皮膚が良くなった。経口投与した7日間後、以前より皮膚の改善にあまり効果がなかった。経口投与した2週間後、治療開始の1週間の時と比べて、治療状況はあまり差がなく、患者のにきびが改善したが、完治した患者がいない。
【0039】
実験群患者には、本発明に係る製剤を使用した2日間後、皮膚がよくなり滑らかなになりはじめ、1日間前にできたにきび膿疱が消褪しはじめたので、対照群より優れた。使用した7日間後、9名患者はにきび膿疱が完全に消失し、13名患者は一部の膿疱が消失し、3名患者は大きく改善しなかったので、対照群よりも著しく優れた。使用した2週間後、25名患者中で、22名患者は完治し、2名患者は大きく改善し、1名患者は改善しなかった。
【0040】
本発明に係る製剤を使用した2日間後、治療効果は対照群より優れ、使用した7日間後、治療効果は対照群より著しく優れ、本発明に係る製剤を使用した2週間後、本発明に係る製剤は対照群に比べて、にきびに対する治療効果が顕著であることが、臨床的に実証された。上記の結果から、本発明に係る製剤を使用してにきびを治療すると、顕著的に皮膚再生の時間を短縮し副作用を低減することができることが分かった。
【0041】
なお、以下、典型的な臨床ケースを示して具体的にその効果を説明する、
臨床ケース1:李××、男、61歳、年中運転しているので、足部に鶏眼ができたが、本製品を使用した二週間後、鶏眼が柔軟となり始め、二ヵ月後剥がれて完治した。同時に、本製品を使用して老人斑を治療し、一ヵ月後、大部分の老人斑が浅くなり、一部が消えた。
【0042】
臨床ケース2:白××、男、60歳、若いころ力仕事していたので、足部のたこが厚く、二日ごとに角質層を取り除く必要があったが、本製品を使用した一週間後、角質層が柔軟となり、刀で角質層を除去する必要がなくなり、一ヵ月後、たこが薄くなり、普通の皮膚と同じになる同時に、足部の皮膚が平滑になり、ピンク色に変わった。
【0043】
臨床ケース3:常××、女、58歳、湿疹を患ったが、本製品を使用した一週間後完治した。
【0044】
臨床ケース4:王××、女、21歳、にきびがひどかったが、本製品を使用して発症部位に薄く一日2−3回塗り、使用開始の二日後、新しくできたにきびの赤く腫れた部分は消褪し、使用開始の二週間後、長い前にできたにきびの赤く腫れた部分は消褪し、毛嚢内の膿球が消え、発症部位が滑らかになり、使用開始の一ヶ月後、残った色素が消えた。
【0045】
臨床ケース5:ゴ××、男、35歳、冬に乾癬ができ、薬を飲んだり注射を受けたりしても、改善もしなかったが、本製品を使用して発症部位に薄く一日2−3回塗り、即効に痒みを止め、使用開始の二週間後、鱗屑が剥がれて発症部位が滑らかになり、使用開始の一ヶ月後、残った赤いニュースキンと色素が沈着して消えた。
【0046】
臨床ケース6:尹××、男、36歳、爪囲炎を患ったが、本製品を使用した一ヶ月後、即効に改善した。
【0047】
以上の病例から、本発明の組成物及びそれを用いた製剤は、臨床通常の皮膚疾病への治療効果が優れたことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和脂肪酸、コラーゲン、アミノ酸、ビタミン及び無機塩を含むことを特徴とする皮膚病の治療用組成物。
【請求項2】
前記不飽和脂肪酸は、アラキドン酸、オレイン酸、リノレン酸、及びリノール酸からなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚病の治療用組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸は、グルタミン酸、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、及びアルギニンからなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚病の治療用組成物。
【請求項4】
前記ビタミンはビタミンE及び/又はビタミンAであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚病の治療用組成物。
【請求項5】
前記無機塩はナトリウム塩及び/又はカリウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚病の治療用組成物。
【請求項6】
前記組成物の中、重量%で、不飽和脂肪酸含有量が65%〜90%であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚病の治療用組成物。
【請求項7】
各成分の含有量は、重量%で、不飽和脂肪酸が50%〜70%、コラーゲンが0.1%〜10%、アミノ酸が0.1%〜6%、ビタミンが0.1%〜7%、無機塩が0.05%〜1%、賦形剤が10%〜25%、及び植物性香料が1%〜5%であることを特徴とする皮膚病の治療用製剤。
【請求項8】
前記ビタミンは、0.1%〜1%のビタミンEと0.1%〜1%のビタミンAを含むことを特徴とする請求項7に記載の皮膚病の治療用製剤。
【請求項9】
前記無機塩は、0.05%〜0.9%のナトリウム塩と0.05%〜0.1%のカリウム塩を含むことを特徴とする請求項7に記載の皮膚病の治療用製剤。
【請求項10】
前記製剤の組成に従って原料を取るステップと、
コラーゲンおよび水溶性原料を溶解させて、水溶性ゲルマトリックスを得るステップと、
不飽和脂肪酸に賦形剤を加え、均一に混合させた後、他の原料を徐々に加え、均一に乳化させることにより、製剤を得るステップと、
最終製品に仕上げて包装するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載の皮膚病の治療用製剤の調製方法。

【公開番号】特開2012−197276(P2012−197276A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−64489(P2012−64489)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(512073105)
【Fターム(参考)】