皮膚科学的治療のためのシステムおよび装置
光学的放射線の形態にある電磁エネルギーを用いた、様々な皮膚科学的病態および生物学的病態を治療するための、システムおよび装置の例示的実施形態を提供することができる。例えば、外部のエネルギー源を必要とせずに高強度パルスのエネルギーを発生させるために用いることができる、微細な金属フィラメントの燃焼等の化学反応によって、エネルギーを提供することができる。特定の特性を有する放射線パルスを提供するために、流束量、ピーク強度、および放射波長分布を含む、反応性材料および筐体の様々なパラメーターを選択および/または適用することができる。放射線の特性をさらに修正するために、様々なフィルターを設けてよい。皮膚等の組織に放射し、色素性病変または静脈の病変の外観の改善を含む様々な治療効果または恩恵効果を得るために、このような放射線パルスを用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つまたは複数の関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年12月7日に出願された米国仮出願第61/012,238号に対して優先権を主張し、その全体の開示は本明細書で参照することにより全体として盛り込まれている。
【0002】
本発明は、皮膚科学的治療のために電磁放射線を用いる方法および装置に関し、より具体的には、化学反応によって発生する光学的放射線を例えば燃焼灯内で用い、皮膚組織の標的部位にその放射線を照射する方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
老化、太陽露出、皮膚科学的疾患、外傷、遺伝、および同様のものによって誘起され得る皮膚異常の修復、またはこれに対する改善の需要が高まっている。皮膚に電磁エネルギーを照射することによって皮膚異常を改善するために、特定の治療法が用いられてよく、これは治療された皮膚の病態を改善する有益な応答をもたらすことができる。
【0004】
特に、様々な皮膚科学的治療において、光学的放射線として与えられるエネルギーを用いることができる。光学的放射線としては、可視スペクトル範囲の1種以上の波長を有する電磁放射線、紫外放射線、および/または赤外放射線を挙げることができる。光学的放射線は生物組織によって吸収され得、このような吸収の量は、放射線の1種または複数種の波長および強度、組織の特性、および/または、当該組織内の特定の生物構造物または化合物などに依存し得る。生物組織内における光学的エネルギーの吸収は熱を発生することができ、および/または、組織内における物理構造および/または特定の生物機能を崩壊させることができ、このことは同様に時間をかけて有益効果または治療効果をもたらし得る。
【0005】
光学的放射線を使用する皮膚科学的治療としては、例えば、刺青または毛髪の除去、座瘡の出現、あるいは、年齢によるシミ、血管腫、クモ状静脈、またはポートワイン母斑等の静脈または色素性の病変を減らすこと、ならびにシワの除去を挙げることができる。これらの例示的用途において、放射線は、一般的に外部エネルギー源から放出され得、組織の標的領域に与えられ得る。しばしば、大きいピーク強度と、所望の生物応答を組織内で達成する短い持続時間とを有する1種以上のエネルギーパルスとして、このようなエネルギーを供給することが好ましい可能性がある。このようなエネルギーを提供するエネルギー源としては、例えば、様々なレーザー装置、電子閃光灯などのうち何れかを挙げることができる。
【0006】
光学的エネルギーは、例えば、導波管または光ファイバー等の光学的装置を用いて、このようなエネルギー源から皮膚組織へ向かうことができ、1つ以上のレンズ、プリズム、反射体などをさらに含んでよい。このような光学的装置はその後、エネルギーを関心のある標的領域上に集中させるか向けることができる。例えば、このような放射線は、一部の皮膚または毛髪(例えば、メラニンまたは血管)によって選択的に吸収され得、局部加熱をもたらす。
【0007】
このような治療においてエネルギー(例えば、光学的放射線)を皮膚または他の組織に提供するために用いられる従来の装置としては、ハンドピースまたは同様のものが挙げられ得、これを患者に対して容易に再配置することができる。光学的装置によって提供されるエネルギーを1つ以上の特定の治療される標的領域に向けるために、このようなハンドピースを用いることができる。
【0008】
本明細書に記載されているような、エネルギーを皮膚組織に加えるための従来の方法および装置は、多くの安全性の問題を呈し得る。例えば、レーザー装置または電子閃光灯等のエネルギー源は、過剰曝露の重大な危険性(例えば、過剰量のエネルギーを組織に向け、このようなエネルギーが慎重に制御かつ使用されない場合、厄介かつ潜在的に重大な損傷を引き起こすこと)を呈し得る。これらの例示的エネルギー源を用いる場合、安全措置がしばしば与えられる。例えば、レーザー装置または他の外部エネルギー源を含む装置は、適用放射線に対する皮膚組織の過剰曝露の危険性を下げる特定の条件下で、エネルギー出力を調節、制限、および/または遮断することができる1種以上の制御配置をしばしば含み得る。このような配置としては、例えば、連続エネルギーを提供する代わりに、エネルギー源をパルスにするように構成されたパルス配置を挙げることができ、これはエネルギー源の過熱を防止することもできる。
【0009】
代替的に、または付加的に、ハンドピースがエネルギーを皮膚上に向けるために皮膚領域の上方に移動される場合、過剰曝露を防止するためにこのようなハンドピースに付随する速度センサーまたは位置センサーを設けることができる。フィードバック装置は、エネルギー源を制御するためにも設けられ得、危険な病態が検出される場合、エネルギー源からのエネルギー出力を減少または遮断するように構成されてよい。このようなフィードバック装置は、例えば、検出温度、反射性、または、治療される組織の他の撮像特性などに基づき得る。これらの安全装置は、様々なエネルギー適用システムの煩雑さおよび費用を増大させる。
【0010】
このような治療に用いることができる従来のエネルギー源は、さらなる安全措置も要求し得る。例えば、レーザー装置のエネルギー源は、装置の操作者および/または治療される患者の眼の保護、このようなエネルギー源が操作されている領域に対する接近制限、広範囲に及ぶ使用者訓練などを要求し得る。このようなエネルギー源は、重大な電気的障害も呈し得る。
【0011】
光学的エネルギーを生物組織に提供するための従来の装置は高価でもあり得、このような装置の利用手段は、経済的理由のために特定の医師または他の開業医にとって困難であり得る。このような装置を用いて提供される治療は、患者および/または医療保険会社にとっても高価であり得る。また、ある種の装置は、特定の治療に適切であるのみであり得る。従って、例えば、経済的理由、医療施設内における収納空間の制限などに基づき、様々な範囲の治療を患者に提供するための、様々なこのような装置を開業医が持つことは非現実的であり得る。このような装置の整備も高価であり得る。
【0012】
従って、皮膚科学的異常の改善および他の治療のために、安全な治療、有効な治療、および経済的な治療を組み合わせる、皮膚組織に対する光学的放射線の適用のための装置および方法の例示的実施形態を提供する必要があり得る。
【発明の概要】
【0013】
皮膚科学的異常を改善する安全かつ経済的な治療、および、皮膚組織に対する光学的放射線の適用を伴う他の治療を容易にするシステムおよび装置を提供することは、本発明の目的の1つである。本発明の別の目的は、たった一人の開業医が、設備(例えば、エネルギー源、ハンドピースなど)に対する大幅な金銭的投資、および/または、このような設備を収容する大幅な収納空間を必要とすることなく、様々な皮膚科学的病態を処理し得るように、様々なこのような治療に用いることができるシステムおよび装置を提供することである。消費者が過程で用いるのに十分安全であり得る、皮膚科学的病態を治療するためのこのような例示的なシステムおよび装置を提供することがさらなる目的である。
【0014】
本発明によるシステムおよび装置の例示的実施形態を用いてこれらおよび他の目的を達成することができ、当該実施形態において、化学反応から光学的放射線の1つ以上のパルスを発生するように構成され得る放射線源を設けることができる。当該放射線源は、反応性物質(例えば、可燃性材料)を含む封止筐体を含み得る。当該筐体は、ガラス、プラスチック、または別の物質、あるいは、プラスチックまたは重合体で被覆されたガラス等の物質の混合物からでき得る。例えば、当該放射線源は燃焼灯または同様のものであり得る。当該反応性物質が化学反応を経る場合、本明細書で記載されているような、大幅に強力なパルスを生み出すことができる、任意の反応性物質が用いられてよい。
【0015】
当該可燃性材料は、金属または金属合金(例えば、アルミニウム、ヒドロナリウム、アルミニウム合金、ジルコニウム、マグネシウム、または別の金属、あるいは、別の物質との金属の混合物)であり得る。高速反応(例えば、物質の燃焼)を可能にする細フィラメントまたは薄片の形態で、当該可燃性材料を設けることができる。このような高速反応は、高強度および短い持続時間(例えば、およそ10ミリ秒台以下)を有する放射線のパルスを生み出すことができる。反応または燃焼を可能にするか促進する筐体の内部において、特定の空気を提供することができる。このような空気としては、例えば、約40〜約100%の間の完全乾燥酸素、または、約80〜約100%の間の完全乾燥酸素を含み得る。
【0016】
当該化学反応を開始するのに役立つ筐体の内部において、例示的な点火装置も設けることができる。このような例示的な引き金装置は、例えば、当該筐体の壁を通過し得、それによって当該筐体の外側から接近可能である2つ以上の電気接点と接触して設けられる点火物質を含み得る。
【0017】
本発明の特定の例示的実施形態では、作動エネルギー源および切換器または引き金を含み得る引き金装置を設けることができる。当該筐体の内部で化学反応を開始させるために、当該作動エネルギーを点火装置に与えることができる。当該作動エネルギー源は、例えば、小型電池またはエネルギー電池、または圧電装置を含み得る。
【0018】
本発明のさらなる例示的実施形態によれば、燃焼灯または放射線源を支持および/または封入するように、かつ、このような灯または源を治療される組織から所定の距離に配置するように構成されてよい外被を設けることができる。代替的または付加的に、反応性物質または可燃性材料を含む筐体も、このような外被を提供することができる。
【0019】
本発明のなおさらなる例示的実施形態では、化学反応によって生み出された光学的放射線を治療される組織に向ける光学的装置を設けることができる。このような例示的光学的装置は、例えば、当該放射線源の少なくとも一部の外被または筐体の上に備えられる反射表面または反射被覆を含み得る。
【0020】
当該放射線源によって提供された光学的放射線のパルスは、例えば、約5〜約200ミリ秒の間、または約10〜約100ミリ秒の間、または約10〜約50ミリ秒の間の持続時間を有し得る。例えば、およそ約1秒以上のより長いパルス持続時間も提供され得る。当該放射線源と可燃性材料の特性を選択することによって、および/または、単一の外被の内部に様々な時間で作動される複数の放射線源を設けることによって、このようなパルス持続時間を提供することができる。
【0021】
治療される組織上に当該放射線源によって与えられる光学的放射線の流束量は、例えば、約1〜約30J/cm2の間、または約1〜約15J/cm2の間であり得る。所望であれば、例えば、より大きい放射線源、より大量の可燃性材料を用いること、放射線のパルスをより小さな領域に向けることなどによって、より高い流束値も提供され得る。
【0022】
本発明の特定の例示的実施形態では、特定の波長または特定範囲の波長を有する放射線源によって生み出される放射線を減衰または遮断するために、1つ以上のフィルターが設けられてよい。例えば、治療される組織に影響を及ぼす紫外および/または赤外の光学的放射線の量を減らすために、フィルターを設けることができる。可視スペクトル内にある特定波長の放射線を濾光するために、他のフィルターも設けてよい。別個の薄板または板であるようなフィルターも設けてよい。代替的に、当該放射線源の筐体および/または外被の複数部は、このような濾光特性を提供する材料を用いて形成されてよい。
【0023】
特定の例示的実施形態では、当該放射線源によって生み出される赤外放射線の量を減らすために、水フィルターを設けてもよい。このような水フィルターは当該筐体または外被の一部として形成されるか、またはこれに取り付けられてよい。当該水フィルターは冷却または冷凍され、それによって、一部の赤外放射線を濾光することに加え、治療される組織の冷却を提供し得る。
【0024】
さらなる例示的実施形態では、光学的放射線が開口部を通過し、組織の特定領域を照射することを促進する一方で、組織の他の部分が放射線に曝されることを防止する、1つ以上の開口部を含むことができる板を設けることができる。単一構成の放射線源を用いた様々な大きさを有する、様々な病変、皮膚異常などを照射するのに用いることができる様々な大きさおよび/または形状の開口部を有する、数多くのこのような板を設けることができる。
【0025】
本発明のこれらおよび他の目的、特長、および利点は、包含されている図面と併用すれば、以下に続く本発明の実施形態の詳細な記載を読む際に明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明およびその利点のより徹底的な理解のために、以下の記載に対する言及をここで行い、添付の図面と併用する。
【0027】
【図1】本発明の例示的実施形態に従って用いてよい、例示的燃焼灯の一例解である。
【図2】本発明の例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるための例示的装置の一例解である。
【図3】本発明のさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるためのさらなる例示的装置の一例解である。
【図4】本発明の特定の例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるためのなおさらなる例示的装置の一例解である。
【図5A】本発明の具体的な例示的実施形態による、光学的放射線を組織に与えるための例示的装置の一例解である。
【図5B】本発明のさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを皮膚組織に与えるための別の例示的装置の一例解である。
【図5C】本発明のなおさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを皮膚組織に与えるためのなお別の例示的装置の一例解である。
【図6A】隆起したサクランボ色血管腫の例示的画像である。
【図6B】図6Aに示されているサクランボ色血管腫の画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該サクランボ色血管腫に単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【図7A】平坦な血管腫の例示的画像である。
【図7B】図7Aに示されている血管腫の画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該血管腫に単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【図8A】茶色の年齢によるシミ(黒子)の例示的画像である。
【図8B】図8Aに示されている年齢によるシミの画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該シミに単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【0028】
本図面の全体を通して、同一の参照番号および文字は、他に明白に述べない限り、例解されている実施形態の同様の特長、要素、構成部、または部分を示すために用いられる。さらに、本発明は本図を参照してここに詳細に記載されるが、本発明は、実例となる実施形態と上記のように組み合わせて記載される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例えば、レーザー装置、電子閃光灯などのような、従来の治療装置に一般的に用いられる光学的エネルギー源は、より長期間にわたる連続的な放射線、および/または複数パルスの放射線を与えるように構成されてよい。例えば、壁コンセントまたは発電機等の、エネルギー源の外側から直接的または間接的に得られたエネルギーを転化することによって、このような放射線を与えてよい。例えば、従来の電球は連続的に輝き、このようにして電池または電気コンセントに接続される場合に光学的放射線を放射し得る。このような光学的放射線を電球それ自体に蓄えることはできないが、これは電球の外側から得られた電気エネルギーから転化される。
【0030】
その一方で、本発明の例示的実施形態は、特定量の光学的エネルギーまたは他の放射線を皮膚組織上に発生させて向けるための、装置および方法の例示的実施形態を提供することができる。このような装置および方法は、化学反応を通じて当該装置自体により与えられた光学的エネルギーの源(例えば、燃焼灯または閃光電球)を含むことができる。燃焼反応または酸化反応を含むが、これらに限定されない自然反応を経る場合、十分な強度の1つ以上のパルスの光学的放射線を生み出すように構成される任意の他の化学系も、本発明の例示的実施形態で用いられてよい。
【0031】
本明細書で与えられているように、燃焼灯は、封止された電球、あるいは、外部刺激または遥かに低いエネルギーの信号を用いて放出することができる形態で保存されるエネルギーを含む他の筐体を指し得る。このような燃焼灯の一例は、撮影される対象を照らすのに用いられてよい従来の写真用閃光電球であり得る。このような燃焼灯は内部に保存されるエネルギーを放出することができ、単一のこのような灯は単一パルスのエネルギーを与えるために1回用いられてよい。燃焼灯および閃光電球という用語は、本明細書で互いに交換可能なものとして用いられ得る。
【0032】
図1は、本発明の例示的実施形態に従い、および/またはこれにより用いられてよい燃焼灯100の例示図を示す。例えば、燃焼灯100は、およそ球形であり得るか、別の形状で与えられてよい筐体110を含むことができる。筐体110は、ガラス、プラスチック、または、好ましくは少なくとも特定波長の放射線が当該筐体を通過することを可能にし得る、何種かの他の材料から形成され得る。当該筐体の内部で一貫した環境を維持し、当該筐体の中に広範な時間にわたって供給されたあらゆる気体を含むように、当該筐体の材料を選択することができることが好ましい。例えば、筐体110は、燃焼灯100が作動され、光学的エネルギーが放出される場合に折れるか砕け得るガラスの断片を含むことができる、プラスチックまたはラッカーの層で被覆されるガラスから形成されてよい。
【0033】
筐体110は可燃性フィラメント120を含むことができ、当該フィラメントは、金属(例えば、アルミニウム、ヒドロナリウム、または別のアルミニウム合金、別の金属など)等の可燃性材料ででき得るか、またはこれを含むことができる。極細の導線および/または極薄の薄片の形態で、フィラメント120を設けることができる。フィラメント120の1つまたは複数の小さい寸法は、フィラメントの迅速な反応(例えば、酸化)を促進することを支援することができ、それによって、短い持続時間、またはパルス幅、および高いピーク強度を有する、あるパルスの光学的エネルギーを与えることができる。一般的に、より小さいフィラメント120の寸法は(例えば、より薄い導線または薄片)、より長い反応時間とパルス持続時間、およびより低いピーク出力強度に繋がり得る。
【0034】
蓋部130または他の封止装置により、筐体110の内部でフィラメント120を形成および/または封止することができる。随意に、封止装置130を筐体110の一部として形成してよい。筐体110を封止する前に、空気を除去することができ、特定量および/または圧力度の完全乾燥酸素を当該筐体内に提供することができる。例えば、約40〜約100%の間の完全乾燥酸素、または、好ましくは約80〜約100%の間の完全乾燥酸素を有する筐体110を設けることができる。特定のフィラメント材料のためにも、低度の酸素を提供してよい。本明細書で記載されているように、筐体110の材料は、好ましくは、その水分度を含む気体または気体混合物を保持し、広範な時間にわたって比較的不変であるように選択され得る。筐体110の内部環境におけるこのような不変性は、燃焼灯100の性能の信頼性および予測可能性を改善することができる。
【0035】
筐体110および蓋部130に対して部分的に外側にあり得る、複数の接点140を設けることができる。接点140は、筐体110の内部に封止された1つ以上の雷管150と電気的に接触することができる。雷管150は、従来の写真用閃光電球で用いられる雷管と同様であり得る。雷管150を作動させるために(例えば、雷管の点火を引き起こすために)、低エネルギー信号を接点140に加えることができる。このような信号は、例えば、電池、圧電素子などによって提供することができる電圧であり得る。雷管150の作動により、筐体110の内部にあるフィラメント120の迅速な化学反応(酸化等)を開始することができ、これによって、十分な量のエネルギーを筐体110から比較的短時間で放出することができる。
【0036】
例えば、例示的燃焼灯100の作動によって生み出される、あるパルスの光学的放射線は、(例えば、10ミリ秒台の)パルス幅を有し得る。このようなパルス幅またはパルス持続時間は、例えば、約10〜約100ミリ秒の間、または、好ましくは約10〜約50ミリ秒の間であり得る。当該パルス持続時間は、特定の用途に関して約100ミリ秒より大きくもあり得る。
【0037】
さらに、放射線パルスのピーク強度は、燃焼灯100の作動後約20〜50ミリ秒台に発生し得る。特定の燃焼灯100内で観測されるこのようなパルス遅延は、例えば、灯の大きさ、平均直径、用いられるフィラメント120の幅および/または量、筐体130の内部にあるフィラメント120の構成、筐体130の内部に提供される酸素の量などを含むいくつかの要因に依存し得る。例えば、より太いフィラメントの酸化はより細いフィラメントと比較してよりゆっくり進み得るので、より太いフィラメント120はより長いパルス遅延を与え得る。
【0038】
本発明の特定の実施形態に従う、例示的装置200の例解が図2に示されている。外被220の内部に例示的燃焼灯100を設けることができる。外被220と接続して作動装置230を設けることができ、当該装置はさらに燃焼灯100と電気的に接触してよい。作動装置230はスイッチおよび/またはボタン240をさらに含むことができ、これは押圧された場合、電気信号を燃焼灯100に与えることを容易にする。その後、燃焼灯100は、例えば、光学的放射線の「一瞬」または短い持続時間の強力パルスとして、その中に保存されたエネルギーを放出することができる。
【0039】
例えば、鐘、円蓋、または同様のものの形状にある例示的外被220を設けることができ、治療される皮膚組織280の領域の表面270の上または上方に位置するように構成することができる。外被220は、反射表面または反射被覆、あるいは、燃焼灯100から放出されたより多量の光学的放射線を、治療される皮膚280に向けるように構成される、他の光学的装置も含むことができる。これにより、このような例示的な光学的装置は、特定の燃焼灯100の効率を増加させることができる。その増加した効率は、より高い強度および/または流束量の放射線を、例示的な燃焼灯100によって皮膚組織280に与えることを容易にすることができる。代替的または加えて、その増加した効率は、特定の強度および/または流束量を、より小さい灯100(例えば、より少量の可燃性材料を含み得る灯100)によって皮膚組織280に与えることを容易にし得る。
【0040】
作動装置230は、例えば、小型電池、圧電素子、または燃焼灯100を作動させるように構成することができる、任意の他のエネルギー源を含むことができる。使い捨て機器として例示的装置200を設けることができる。代替的または加えて、外被220および/または作動装置230を再利用することができるように、燃焼灯100は入れ替え可能であってよい。
【0041】
本発明の特定の例示的実施形態では、1つ以上の随意のフィルター250とともに、装置200を設けることができる。燃焼灯100と皮膚表面270との間に、このようなフィルター250を配置することができる。例えば、外被220の内部にフィルター250を備えてよい。代替的または加えて、当該フィルターが皮膚280の表面270と接することができるように、フィルター250を外被220の下部または表面に配置してよい。
【0042】
燃焼灯100によって放射された、特定の波長または波長範囲を有する光学的放射線が、治療される皮膚組織280の部分に到達することを防ぐか部分的に抑制するように、フィルター250を構成することができる。このような波長または波長範囲は、特定の異常または治療される病態に基づいて選択されてよい。
【0043】
異なる波長および/または波長範囲を有する光学的放射線の透過を抑制するようにそれぞれがことによると構成される、いくつかのこのようなフィルター250のうち1つが、単一の外被220または複数の外被220の内部で(例えば、特定種類の例示的燃焼灯100とともに)用いられてよいように、フィルター250は設けられる場合に除去可能であり得る。このようにして、特定用途に対する有効性および/または安全性を改善するために、単一種類の燃焼灯100のエネルギー出力特性を修正または調整することができる。
【0044】
例えば、フィルター250は、約600nmより短い波長、または約550nmより短い波長を有する光学的放射線のうちほとんどが、治療される組織に影響を及ぼすことを防ぐために設けられてよい紫外線(UV)フィルターであり得る。このようなUVフィルターは、超短パルス光および/または電子閃光灯等の、広帯域の光学的放射線源を用いる従来の光治療機器でしばしば用いられる。
【0045】
赤外範囲にある、燃焼灯100によって生み出された少なくとも一部の光学的放射線を減衰または遮断するためにも、フィルター250を構成または構築することができる。例えば、およそ900nmの波長、および約1,100〜1,300nmの間の波長を有する、治療される組織に影響を及ぼす量の光学的放射線を減らすために、水フィルターを用いてよい。当該水フィルターは、少なくとも部分的に水で満たした浅い筐体または容器を含むことができ、これは光学的放射線源100と治療される組織280との間に設けられる。例えば、このような水フィルターを外被220の下部に取り付けることができる。このような水フィルターを用いてよい。広帯域の光学的放射線源を利用する特定の従来の光治療機器においても、このような水フィルターを用いてよい。
【0046】
本発明のさらなる例示的実施形態で用いられてよい、例示的装置300の例示的構成が図3に示されている。例えば、このような例示的装置300は、外被220の内部に設けられた燃焼灯100、および、外被220と接続して設けられた作動装置230を含むことができる。作動装置230は、始動される際に、電気信号を燃焼灯100に提供させ得るスイッチ/ボタン240をさらに含むことができる。
【0047】
おおよそ図3に示されているような形状の例示的装置300を、当該装置を容易に手に握り、かつ治療される皮膚280の表面270の上に押圧することができるように設けてよい。この例示的構成では、外被220および作動装置230が手に握られている間、スイッチ/ボタン240を、例えば、使用者の親指によって容易に押圧することができる。図2に示されている例示的装置200と同様に、光学的放射線を燃焼灯100から治療される皮膚280に向けるために、外被220の一部を反射表面または反射被覆とともに設けることができる。様々な範囲の形状、大きさ、出力特性、フィルターなどを有する、様々なこのような機器300を設けることができる。
【0048】
特定の異常または病態の治療のために、例示的装置300の個々の変動を調整することができる。例えば、異なる肌の色合いを有する人の効果的な治療のために、異なるエネルギー出力を有する様々なフィルターおよび/または燃焼灯とともに、例示的装置300を設けてよい。異なる病態を治療するための、および、異なる皮膚の種類に関する明確な特長におけるこのような変動は、本明細書に記載されている例示的実施形態のうち何れかのために提供されてよい。
【0049】
本発明のさらなる例示的実施形態では、図4に示されているように、単一の外被220の内部に複数の燃焼灯100を含む装置400を設けることができる。例えば、燃焼灯100を単一の作動装置230に、例えば、単一のボタン240によって燃焼灯100のそれぞれを同時に作動することができるように随意に接続することができる。この例示的構成は、例えば、図2に示されている装置200内にある単一の燃焼灯100を用いて得ることができる流束量よりも、皮膚組織280へ高い流束量を促進することができる。例示的装置400は、例えば、図2に示されている単一灯の装置200と比較して、特定の流束値を皮膚280のより広い領域に提供することができる、大型の外被220も含むことができる。
【0050】
異なる特性(例えば、異なる出力強度、発光スペクトル、濾光被覆剤など)を有する、装置400内にある燃焼灯100を設けてもよい。所定の遅延と同時または連続的に作動され、特定順序の光学的放射線を組織に提供するためにも、このような灯を構成してよい。図4の灯100は別々の筐体として示されているが、このような灯100は、単一の筐体の内部で複数の別個の空洞部として構成されてよい。
【0051】
作動装置230を単一の燃焼灯100に、ボタン240を押圧する際に、1つのみの燃焼灯100が直接作動するように接続することができる。例えば、作動した燃焼灯によって放出されたエネルギーは、近くの燃焼灯をさらに作動させることができる。それ故、作動装置230によって直接作動される単一の燃焼灯100はその後、短い遅延の後に他の燃焼灯100を作動させることができる。このような遅延は所定のものであり得、例えば、約10ミリ秒台であり得、遅延量は個々の燃焼灯100の特性にさらに依存し得る。このようにして、1つより多いこのような灯100を単一の外被220内に設け、燃焼灯100の特定のもののみを直接作動させることによって、燃焼灯100によって提供された放射線への皮膚280のより長い曝露時間を得ることができる。このようにして、複数の燃焼灯100によって促進された複数の連続パルスまたは非同時パルスの形態で、光学的放射線の一時的な持続放出を提供することができる。
【0052】
本発明のさらなる実施形態に従う、なおさらなる例示的装置500の例解が図5Aに示されている。例示的装置500は、本明細書に記載されているように、可燃性フィラメント120および雷管150を含む筐体を一緒に形成し得る、外側壁510および底面520を含むことができる。作動装置230およびスイッチ240を、入れ替え可能なものとして、または永久的に当該筐体の上または中に搭載することができる。装置500の下方に配置された皮膚組織280の領域に、あるパルスの光学的放射線を提供するために、例示的装置500を用いることができる。
【0053】
図5Aに示されているように、鐘様形または円蓋様形の例示的装置500を備えることができ、当該装置は、好ましくは上から見るとおおよそ円形を有し得る。特定用途のために、他の例示的形状を用いてもよい。例えば、装置500は、上から見ると卵形またはおおよそ長方形を、例えば、このような形状が治療される皮膚組織の領域により良好に適合する場合に有し得る。皮膚組織280の表面270と直接接触して配置されるように、装置500を構成することができる。それ故、装置500の底面520はおおよそ平坦であり得、および/または、代替的に、当該底面は、光学的放射線を受容することができる皮膚組織280の領域内にある皮膚表面270の輪郭に一致するように輪郭形成されてよい。
【0054】
例示的装置500の底面520は、当該底面が大きい熱質量を呈し得るように比較的厚くなり得、例えば、外側壁510より厚くなり得る。厚い底面520は、フィラメント120から放射された熱によって逆に引き起こされる可能性がある好ましくない熱損傷から、当該フィラメントが酸化するか、そうでなければ光学的放射線を生み出すように反応する場合、皮膚表面270を保護するのに役立ち得る。例えば、皮膚表面270に適用する前に底面520を含む全体の装置500を、例えば、このような好ましくない熱損傷を回避するのにさらに役立つように、当該装置を冷凍庫に入れることによって冷却することができる。表面270と接触させる場合、冷却した底面520は皮膚組織280を冷却することにも役立つことができ、このことは、光学的放射線のパルスに対する皮膚組織280の曝露に関連する痛みを低減および/または解消することにも役立ち得る。
【0055】
反射被覆または反射層515とともに、側壁510の一部(例えば、当該側壁の外側表面)を設けることができる。本明細書に記載されているように、このような反射被覆515は、フィラメント120の燃焼または反応によって放出されたより多くのエネルギーを治療される皮膚組織280に向けることができ、それ故、ことによるとより多くの利用可能なエネルギーを利用し、皮膚組織280にこれを照射することができる。
【0056】
本発明の特定の例示的実施形態では、フィラメント120によって生み出された光学的放射線の特定の波長または波長範囲を部分的または完全に遮断するフィルターとして作用することができ、それによって、特定の波長を有する一部の放射線が、底面520を通じて皮膚組織280の中へ進むことを減らすか、および/または防ぐことができる、特定の材料または添加剤を用いて形成することができ、および/または、これらで被覆することができる。同様に、このような濾光特性を有する材料を用いて、図1に示されている燃焼灯100の筐体110を形成してもよい。このような濾光作用の利点は本明細書に記載されている。
【0057】
本発明のさらなる実施形態に従う、なお別の例示的装置540が図5Bに示されている。例示的装置540は、図5Aに示されている装置500と実質的に同様である。底面520内にある溝穴または開口部550とともに、例示的装置540をさらに設けることができる。薄いフィルター560を溝穴550内に設けることができる。本明細書に記載されているように、特定の波長を有する光学的放射線が、治療される組織に影響を及ぼすことを抑制するか防ぐために、薄いフィルター560を用いることができる。所望の濾光特性を有する、プラスチック、ゲルなどのような、任意の適切な材料でフィルター560を形成することができる。例えば、フィルター560の種類を変更することによって、治療される組織に影響を及ぼす、装置540によって生み出された光学的放射線の特性は、異なる種類の病態または特徴を治療するように改められてよい。フィルター560は、当該フィルターを通過し、その後皮膚組織280と相互作用する光学的放射線のピーク強度および/または流束量を主として減らす減衰フィルターであってもよい。
【0058】
特定の例示的実施形態では、複数の溝穴または開口部550を装置540内に設けてよい。この例示的構成は、当該フィルターを通過し、治療される組織に影響を及ぼす光学的放射線の波長スペクトルをさらに修正するために、複数のフィルター560を用いることを容易にする。代替的または加えて、溝穴550は、複数のフィルター560に対応し、光学的放射線のこのようなスペクトルの修正を提供するのに十分広くあり得る。
【0059】
例示的装置540を板570とともに底面520上に設けることもでき、そこで板570は、当該底面を通じて1つ以上の開口部または隙間575を含むことができる。開口部575の下方にある組織のみが、装置540によって生み出された光学的放射線に曝され得るように、装置540の下方にある組織の一部を遮蔽するために板570を用いることができる。従って、1つまたは複数の開口部575の下方に位置する1つ以上の治療位置に光学的放射線を提供する間、他の近くにある組織の領域が放射線を照射されることを防ぐか減らすために、単一種類の装置540を用いることができる。
【0060】
板570を装置540の底面520に取り付けるか固定してよい。代替的または加えて、1つまたは複数の開口部575が、光学的放射線に曝される組織の特定領域の上方に直接位置するように、板570を組織の表面上に配置することができる。その後、装置540を、配置した板570の上方に配置し、本明細書に記載されているように、1つまたは複数の開口部575を通じて、あるパルスの光学的放射線を提供するように作動させ、治療される組織の1つまたは複数の領域上に向けることができる。異なる大きさの開口部575を有する、数多くのこのような再利用可能な板570を、異なる大きさおよび/または形状を有する組織の特定領域を治療するために設けることができる。本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態の何れかとともに、このような例示的板570を用いてもよい。
【0061】
本発明のなおさらなる実施形態に従う、別の例示的装置580が図5Cに示されている。例示的装置580は、図5Aに示されている装置500と実質的に同様である。装置580の底面520は、空洞部590を含むことができる。水フィルターを形成するために空洞部590を水で満たすことができ、当該水フィルターは、本明細書に記載されているように、当該水フィルターを通過する量の赤外放射線を減らすか、および/または除去し得る。例えば、水で満たした空洞部590を含む例示的装置580を、冷凍庫の中で貯蔵することができる。その凍った水層は、装置580が治療される組織の上に配置され、かつ、光学的放射線パルスが可燃性材料120を活性化することによって発生される場合、組織の赤外濾光および冷却の両方を提供することができる。特定の放射線濾光特性を有する他の材料または混合物も、空洞部590内に設けられてよい。このような材料または混合物は、個体、液体、または気体の形態にあってよい。
【0062】
別個の外被を含み得ない、図5A〜5Cに示されている例示的装置500、540、580は、本発明のさらなる例示的実施形態に従って設けられてよい特定のほかの例示的構成よりも、製造するのに特に簡単および/または安価であり得る。
【0063】
本明細書に記載されている例示的なシステムおよび装置の何れかとともに、安全装置を設けてよい。このような安全装置は、例えば、当該装置が、治療される生物組織あるいは別の表面または物質に接するかごく接近して配置されない限り、放射線源の作動を防ぐように構成される接点スイッチまたは近接センサーを含むことができる。このような例示的な安全装置は、放射線源の不測または不注意の起動の見込みを減らすことによって、例示的なシステムおよび装置のより安全な操作を手助けすることができる。
【0064】
本発明の例示的実施形態に従い、様々な特性を有する燃焼灯を用いることができる。本明細書に記載されている特性を含む、用いられる特定の燃焼灯に関連する特性を、提供される特定の治療、および/または、治療される特定組織の異常または病態に基づいて選択することができる。例えば、パルス持続時間、総出力(ルーメン秒単位)、およびピーク強度(ルーメン単位)を含む、いくつかの写真用閃光電球の特性は、W. D. Morgan, Syncroflash Photography,
Morgan & Lester(ニューヨーク州、ニューヨーク(1939年)、39〜54ページ)に記載されている。特定の光治療用途に適切な特定の例示的特性を有する燃焼灯は、このような従来の閃光電球の構造に基づいて、容易に適合、構築、または修正され得る。
【0065】
例えば、例示的なパルス持続時間は、特定の用途に関しては約5〜約20ミリ秒の間、あるいは、所望であれば約100ミリ秒以上であり得る。他のパルス持続時間(例えば、最大約1秒のパルス幅)も提供されてよい。特定の燃焼灯によって提供されたパルス持続時間は、燃焼灯100内に設けられたフィラメント120(例えば、金属の導線または薄片)の幅または厚さに基づき得る。一般的に、例えば、より太いフィラメントはより大きいパルスを生じ得、その理由は、当該フィラメントが燃焼灯100の内部でより長い反応時間を持続することができるからである。当該パルス幅は、例えば、フィラメント120を形成するために用いられる特定の材料、および/または、筐体110内に提供された酸素の量によっても影響され得る。
【0066】
本明細書に記載されているような特定の従来の燃焼灯は、約3,800°Kの色温度を有し得る。このような灯によって生み出された光学的放射線の形態にある電磁エネルギーはそれ故、可視スペクトル内にある範囲の波長を含み得る。本明細書に記載されているように、燃焼灯によって放射された特定の波長の光だけが皮膚を照射することを促進するために、様々な例示的フィルター装置を随意に用いることができる。このような波長は、治療される組織の病態または以上、患者の皮膚組織の全体的な色素沈着度などのような、いくつかの要因に基づいて選択されてよい。
【0067】
皮膚組織280の標的領域に加えられた特定の流束量を、いくつかのパラメーターに基づいて決定することができる。例えば、燃焼灯100によって放射された放射線の総量、および/または、本明細書に記載されている他の例示的な装置構成を、燃焼灯100内に設けられたフィラメント120の量を変えることによって変更することができる。より大きい筐体110は、例えば、より大量のフィラメント120を単一の燃焼灯100内に設けることを容易にすることができる。複数の燃焼灯100を単一の外被220内に設けることができ、これは皮膚組織280のより多い流束量を外被220の下に提供することもできる。
【0068】
可燃性フィラメント120または他の反応性材料を含む、様々な燃焼灯または筐体構造を、特定の用途に用いることができる。例えば、図1の燃焼灯100内に示されている形状のような回転楕円形状の代わりに、図5A〜5Cに示されている筐体のようなより広い筐体を用いてよい。このような例示的な筐体の高さは、当該装置の下方にある組織の各単位領域を覆う所望量のフィラメント120を提供し、特定の流束量を得るように選択されてよい。上から見たこのような装置の大きさおよび形状も変更されてよい。
【0069】
例えば、小さい高さと比較的広い基部(例えば、薄い円盤と同様の形状)を有する燃焼灯100または筐体110が構成されてよく、これは、比較的少量のフィラメント(および、それ相応のより少ない流束量の光学的放射線)を、組織のより広い領域にわたって提供する。このような例示的な燃焼灯100または筐体110は、例えば、2つの板または同様のものを用い、側壁が当該板とその周囲に沿って接合している状態で形成されてよい。このような例示的構成は、本明細書に記載されているような可燃性材料を含む封止された筐体を提供することができ、そこで、その高さはその全体の領域にわたって比較的均一である。従って、組織の特定領域にわたって、比較的均一な流束量の光学的放射線を提供することができる。このような例示的な筐体の高さは、化学反応が開始される場合、特定量の可燃性材料および特定の流束量を提供するように選択されてよい。このような例示的構成において、当該可燃性材料を比較的組織に近くに配置することができ、これは放射線源の効率をさらに増加させ得る。
【0070】
例えば、筐体、または、より高い(例えば、約1〜2cmより高い)筐体を有する装置は、組織の各単位領域を覆うより多くのフィラメント120を提供することができ、これは作動する際により多い流束量の光学的放射線を発生させることができる。反対に、低い輪郭(例えば、約1cm以下の高さ)を有する筐体は、例えば、少量の可燃性または反応性のフィラメント120を、組織の各単位領域にわたって提供し得る。このような低い輪郭の灯または筐体は、下部の組織に影響を及ぼし得るより少ない流束量の光学的放射線を発生させるように構成されてよい。
【0071】
皮膚に影響を及ぼす流束量の光学的放射線に影響し得る要因としては、筐体、灯、および/または装置の形状、可燃性/反応性の材料と治療される組織との間の距離、その中に設けられる反応性フィラメントの種類および量、発生した放射線を組織に向けることができる反射表面、および、当該燃焼灯と当該組織との間に配置される任意のフィルターを挙げることができる。特定の光治療用途に適切な流束量度を発生させるために、このような例示的要因を考慮に入れることができる。
【0072】
様々な治療または皮膚治療に用いられてよい例示的な流束値は一般的に、例えば、約0.5〜約200J/cm2の間、または好ましくは約1〜約30J/cm2の間、またはより好ましくは約1〜約15J/cm2の間で選択されてよい。このような例示的な流束量範囲は、皮膚表面270で、および/または皮膚組織280の内部に様々な加熱量および/または熱損傷を発生させ得る。
【0073】
本発明の特定の例示的実施形態としては、テープ、接着剤、または、治療される皮膚組織280の領域の上方に外被220を固定するのに用いることができる別の留め具を挙げることができる。外被220および燃焼灯100から離れて、ボタン240および随意に作動装置230を設けることができる。例えば、作動装置230を、外被220からある程度離してスイッチ240と一緒に設けることができ、例えば、導線または同様のものを用い、燃焼灯100と接続して(雷管150と電気的に連通して)設けることができる。代替的または加えて、作動装置230を外被220およびスイッチ240に取り付けることができ、例えば、導線または同様のものを用い、作動装置230からある程度離して設け、当該装置に接続してよい。
【0074】
本発明の例示的実施形態を、例えば、多くの異常を治療し、光学的エネルギーまたは他の電磁放射線を用いた組織の放射を含み得る、組織に対する多くの治療を提供するために用いることができる。本明細書に記載されているような、所望の治療のために適切な量および種類の放射線を提供するように、燃焼灯を選択または設計してよい。例えば、燃焼灯の大きさ(例えば、当該灯に含まれるフィラメント120の量)、外被220の大きさおよび形状、フィルター装置250の光学的使用などのようなパラメーターの変動は、計算または少数の測定結果を用いて特定の治療または用途に適切な放射パラメーターを得るために、容易に決定され得る。
【0075】
様々な色素性病変および/または静脈の病変、および他の皮膚科学的病態と異常を、本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態を用いて治療することができる。このような皮膚の病態および異常の例としては、例えば、年齢によるシミ(黒子)、座瘡、ポートワイン母斑、血管腫、クモ状静脈、好ましくない毛髪の除去、光力学治療、シワの除去、およびコラーゲン収縮などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態によって提供される光学的放射線は、特定の病態のより効果的な治療を提供するために、様々な物質と組み合わされてよい。例えば、光学的放射線の吸収を促進するために、治療される組織の特定部位に発色団を加えてよい。このような発色団としては、例えば、溶液内またはマジックペン内に提供される炭素粒子、または、光治療用途にて用いられる任意の他の従来の発色団を挙げることができる。
【0077】
本発明のさらなる例示的実施形態に従い、放射線吸収材料は、本明細書に記載されている例示的装置のうち何れかの下面の一部の上に設けられるか、またはその内部に形成されてもよい。当該光学的放射線は吸収材料を加熱することができ、それによって治療される組織の間接的加熱、ならびにある流束量の光学的放射線を提供することができる。吸収材料としては、例えば、炭素粒子または任意の他の従来の発色団等の発色団を含む、薄片、薄膜、ゲルなどを挙げることができる。このような加熱は、黒子(年齢によるシミ)等の、特定の色素性病変を治療する効果を改善し得る。
【0078】
組織に対する光学的放射線の効果を促進するために、光増感剤を本発明の実施形態とともに用いてもよい。例えば、光力学療法の治療において、このような光増感剤を用いることができる。痛覚を減らすのに役立ち、光増感剤として作用するリドカインゲルまたはリドカイン溶液を組織に加えてもよい。特定の例示的実施形態では、リドカインゲルを当該外被または筐体の下面上に、治療の前に当該装置を組織の上に配置する場合、当該ゲルが組織表面に接触するように設けてよい。本明細書に記載されている例示的なシステムおよび装置によって発生した光学的放射線とともに、他の従来の光増感剤を用いてもよい。
【実施例】
【0079】
少数の明確な治療例が詳細に記載されている。例えば、比較的少数のパルスの放射線を従来通りに使用する様々な光療法の治療のために、本発明の例示的実施形態を用いることができる。
【0080】
実施例1
図6Aは、直径約5mmを測定する隆起したサクランボ色血管腫の写真を示す。その血管腫を本発明の特定の例示的実施形態に従い、M3写真用閃光電球によって提供した単一パルスの光学的放射線に当該血管腫を曝すことによって治療した。反射装置をその燃焼灯の周辺に設け、その光学的放射線の濾光を全く用いなかった。そのサクランボ色血管腫の上方に位置する開口部を通じてその放射線を提供した。加えた放射線の流束量は約9〜10J/cm2であり、単一パルスにおいて提供した総エネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0081】
当該血管腫のいくつかの初期の黒ずみおよび痂皮形成を第1週以内に観測した。治療後約6週間におけるその血管腫の外観を図6Bの写真で示し、図6Aに示す写真と同一の倍率で撮影する。当該血管腫の全体にわたる軽減およびその大きさの減少を伴って、この異常の外観の際立った改善があると思われる。その外観は、所望であれば第2パルスの適用によってさらに改善され得る。当該血管腫の周辺にある健康な組織に対するいくらかの残留損傷は、図6Bの写真で明らかである。このような望ましくない影響は、例えば、本明細書に記載されている紫外フィルターを設けること、加えたパルスの光学的放射線の流束量を減らすこと、またはこれらの修正の組み合わせによって低減され得る。
【0082】
実施例2
図7Aは、直径約4mmである規則的な(平坦な)血管腫の写真を示す。本発明の特定の例示的実施形態に従い、M3写真用閃光電球によって提供した単一パルスの濾光していない光学的放射線にこの血管腫を曝した。反射装置をその燃焼灯の周辺に設け、その血管腫の上方に位置する開口部を通じてその放射線を提供した。加えた放射線の流束量は約9〜10J/cm2であり、単一パルスにおいて提供した総エネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0083】
当該血管腫のいくらかの即時の隆起および黒ずみを観測し、その血管腫のいくらかの痂皮形成が第1週以内に発生した。治療後約6週間におけるその血管腫の外観を図7Bの写真で示す。その血管腫は著しくより薄くかつより小さく見える。その血管腫の周辺にある皮膚に対する少しの損傷は、図7Bの写真で明らかであり、これは、例えば、その放射線パルスのためのUVフィルターを設けること、および/または、加えた流束量をわずかに低下させることによって軽減され得る。
【0084】
実施例3
図8Aの写真に示す、直径約3mmを測定する茶色の年齢によるシミ(黒子)を、本発明の例示的実施形態に従う単一パルスの光学的放射線に当該シミを曝すことによって治療した。反射外被害内に位置するM3写真用閃光電球によって、その濾光していない放射線を提供した。その黒子の上方に開口部を配置した。その放射線パルスの総流束量は約9〜10J/cm2であり、その加えたエネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0085】
当該黒子のいくつかの初期の平滑化を観測し、その黒子の黒ずみは第1日以内に発生し、約1週間以内に薄れた。治療後約6週間におけるその黒子の外観を図8Bの写真で示す。図8Aのこのグレースケール画像では目に見えないが、図8Aの写真に示す黒子の茶色がかった外観は著しく減弱し、図8Bの写真にあるより暗い領域は外観がより赤みがかっている。それ故、その黒子の増強した色素沈着を本治療によって軽減した。図8Aに示す暗い領域は、その色素性病変自体の軽減と連動して発生した、皮膚組織に対するいくらかの損傷を示す。このような付帯的損傷は、例えば、その放射線パルスのための赤外フィルターを設けること、および/または、このような年齢によるシミのために加えたパルスの流束量を低下させることによって軽減され得る。
【0086】
それ故、当業者は、本明細書に明確に示されても記載されてもいないが、本発明の原理を具現し、それによって本発明の趣旨および範囲の中にある多数のシステム、装置、および方法を考案することができるということを理解されたい。加えて、本明細書で参照されている全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書で参照することにより全体として盛り込まれる。
【技術分野】
【0001】
1つまたは複数の関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年12月7日に出願された米国仮出願第61/012,238号に対して優先権を主張し、その全体の開示は本明細書で参照することにより全体として盛り込まれている。
【0002】
本発明は、皮膚科学的治療のために電磁放射線を用いる方法および装置に関し、より具体的には、化学反応によって発生する光学的放射線を例えば燃焼灯内で用い、皮膚組織の標的部位にその放射線を照射する方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
老化、太陽露出、皮膚科学的疾患、外傷、遺伝、および同様のものによって誘起され得る皮膚異常の修復、またはこれに対する改善の需要が高まっている。皮膚に電磁エネルギーを照射することによって皮膚異常を改善するために、特定の治療法が用いられてよく、これは治療された皮膚の病態を改善する有益な応答をもたらすことができる。
【0004】
特に、様々な皮膚科学的治療において、光学的放射線として与えられるエネルギーを用いることができる。光学的放射線としては、可視スペクトル範囲の1種以上の波長を有する電磁放射線、紫外放射線、および/または赤外放射線を挙げることができる。光学的放射線は生物組織によって吸収され得、このような吸収の量は、放射線の1種または複数種の波長および強度、組織の特性、および/または、当該組織内の特定の生物構造物または化合物などに依存し得る。生物組織内における光学的エネルギーの吸収は熱を発生することができ、および/または、組織内における物理構造および/または特定の生物機能を崩壊させることができ、このことは同様に時間をかけて有益効果または治療効果をもたらし得る。
【0005】
光学的放射線を使用する皮膚科学的治療としては、例えば、刺青または毛髪の除去、座瘡の出現、あるいは、年齢によるシミ、血管腫、クモ状静脈、またはポートワイン母斑等の静脈または色素性の病変を減らすこと、ならびにシワの除去を挙げることができる。これらの例示的用途において、放射線は、一般的に外部エネルギー源から放出され得、組織の標的領域に与えられ得る。しばしば、大きいピーク強度と、所望の生物応答を組織内で達成する短い持続時間とを有する1種以上のエネルギーパルスとして、このようなエネルギーを供給することが好ましい可能性がある。このようなエネルギーを提供するエネルギー源としては、例えば、様々なレーザー装置、電子閃光灯などのうち何れかを挙げることができる。
【0006】
光学的エネルギーは、例えば、導波管または光ファイバー等の光学的装置を用いて、このようなエネルギー源から皮膚組織へ向かうことができ、1つ以上のレンズ、プリズム、反射体などをさらに含んでよい。このような光学的装置はその後、エネルギーを関心のある標的領域上に集中させるか向けることができる。例えば、このような放射線は、一部の皮膚または毛髪(例えば、メラニンまたは血管)によって選択的に吸収され得、局部加熱をもたらす。
【0007】
このような治療においてエネルギー(例えば、光学的放射線)を皮膚または他の組織に提供するために用いられる従来の装置としては、ハンドピースまたは同様のものが挙げられ得、これを患者に対して容易に再配置することができる。光学的装置によって提供されるエネルギーを1つ以上の特定の治療される標的領域に向けるために、このようなハンドピースを用いることができる。
【0008】
本明細書に記載されているような、エネルギーを皮膚組織に加えるための従来の方法および装置は、多くの安全性の問題を呈し得る。例えば、レーザー装置または電子閃光灯等のエネルギー源は、過剰曝露の重大な危険性(例えば、過剰量のエネルギーを組織に向け、このようなエネルギーが慎重に制御かつ使用されない場合、厄介かつ潜在的に重大な損傷を引き起こすこと)を呈し得る。これらの例示的エネルギー源を用いる場合、安全措置がしばしば与えられる。例えば、レーザー装置または他の外部エネルギー源を含む装置は、適用放射線に対する皮膚組織の過剰曝露の危険性を下げる特定の条件下で、エネルギー出力を調節、制限、および/または遮断することができる1種以上の制御配置をしばしば含み得る。このような配置としては、例えば、連続エネルギーを提供する代わりに、エネルギー源をパルスにするように構成されたパルス配置を挙げることができ、これはエネルギー源の過熱を防止することもできる。
【0009】
代替的に、または付加的に、ハンドピースがエネルギーを皮膚上に向けるために皮膚領域の上方に移動される場合、過剰曝露を防止するためにこのようなハンドピースに付随する速度センサーまたは位置センサーを設けることができる。フィードバック装置は、エネルギー源を制御するためにも設けられ得、危険な病態が検出される場合、エネルギー源からのエネルギー出力を減少または遮断するように構成されてよい。このようなフィードバック装置は、例えば、検出温度、反射性、または、治療される組織の他の撮像特性などに基づき得る。これらの安全装置は、様々なエネルギー適用システムの煩雑さおよび費用を増大させる。
【0010】
このような治療に用いることができる従来のエネルギー源は、さらなる安全措置も要求し得る。例えば、レーザー装置のエネルギー源は、装置の操作者および/または治療される患者の眼の保護、このようなエネルギー源が操作されている領域に対する接近制限、広範囲に及ぶ使用者訓練などを要求し得る。このようなエネルギー源は、重大な電気的障害も呈し得る。
【0011】
光学的エネルギーを生物組織に提供するための従来の装置は高価でもあり得、このような装置の利用手段は、経済的理由のために特定の医師または他の開業医にとって困難であり得る。このような装置を用いて提供される治療は、患者および/または医療保険会社にとっても高価であり得る。また、ある種の装置は、特定の治療に適切であるのみであり得る。従って、例えば、経済的理由、医療施設内における収納空間の制限などに基づき、様々な範囲の治療を患者に提供するための、様々なこのような装置を開業医が持つことは非現実的であり得る。このような装置の整備も高価であり得る。
【0012】
従って、皮膚科学的異常の改善および他の治療のために、安全な治療、有効な治療、および経済的な治療を組み合わせる、皮膚組織に対する光学的放射線の適用のための装置および方法の例示的実施形態を提供する必要があり得る。
【発明の概要】
【0013】
皮膚科学的異常を改善する安全かつ経済的な治療、および、皮膚組織に対する光学的放射線の適用を伴う他の治療を容易にするシステムおよび装置を提供することは、本発明の目的の1つである。本発明の別の目的は、たった一人の開業医が、設備(例えば、エネルギー源、ハンドピースなど)に対する大幅な金銭的投資、および/または、このような設備を収容する大幅な収納空間を必要とすることなく、様々な皮膚科学的病態を処理し得るように、様々なこのような治療に用いることができるシステムおよび装置を提供することである。消費者が過程で用いるのに十分安全であり得る、皮膚科学的病態を治療するためのこのような例示的なシステムおよび装置を提供することがさらなる目的である。
【0014】
本発明によるシステムおよび装置の例示的実施形態を用いてこれらおよび他の目的を達成することができ、当該実施形態において、化学反応から光学的放射線の1つ以上のパルスを発生するように構成され得る放射線源を設けることができる。当該放射線源は、反応性物質(例えば、可燃性材料)を含む封止筐体を含み得る。当該筐体は、ガラス、プラスチック、または別の物質、あるいは、プラスチックまたは重合体で被覆されたガラス等の物質の混合物からでき得る。例えば、当該放射線源は燃焼灯または同様のものであり得る。当該反応性物質が化学反応を経る場合、本明細書で記載されているような、大幅に強力なパルスを生み出すことができる、任意の反応性物質が用いられてよい。
【0015】
当該可燃性材料は、金属または金属合金(例えば、アルミニウム、ヒドロナリウム、アルミニウム合金、ジルコニウム、マグネシウム、または別の金属、あるいは、別の物質との金属の混合物)であり得る。高速反応(例えば、物質の燃焼)を可能にする細フィラメントまたは薄片の形態で、当該可燃性材料を設けることができる。このような高速反応は、高強度および短い持続時間(例えば、およそ10ミリ秒台以下)を有する放射線のパルスを生み出すことができる。反応または燃焼を可能にするか促進する筐体の内部において、特定の空気を提供することができる。このような空気としては、例えば、約40〜約100%の間の完全乾燥酸素、または、約80〜約100%の間の完全乾燥酸素を含み得る。
【0016】
当該化学反応を開始するのに役立つ筐体の内部において、例示的な点火装置も設けることができる。このような例示的な引き金装置は、例えば、当該筐体の壁を通過し得、それによって当該筐体の外側から接近可能である2つ以上の電気接点と接触して設けられる点火物質を含み得る。
【0017】
本発明の特定の例示的実施形態では、作動エネルギー源および切換器または引き金を含み得る引き金装置を設けることができる。当該筐体の内部で化学反応を開始させるために、当該作動エネルギーを点火装置に与えることができる。当該作動エネルギー源は、例えば、小型電池またはエネルギー電池、または圧電装置を含み得る。
【0018】
本発明のさらなる例示的実施形態によれば、燃焼灯または放射線源を支持および/または封入するように、かつ、このような灯または源を治療される組織から所定の距離に配置するように構成されてよい外被を設けることができる。代替的または付加的に、反応性物質または可燃性材料を含む筐体も、このような外被を提供することができる。
【0019】
本発明のなおさらなる例示的実施形態では、化学反応によって生み出された光学的放射線を治療される組織に向ける光学的装置を設けることができる。このような例示的光学的装置は、例えば、当該放射線源の少なくとも一部の外被または筐体の上に備えられる反射表面または反射被覆を含み得る。
【0020】
当該放射線源によって提供された光学的放射線のパルスは、例えば、約5〜約200ミリ秒の間、または約10〜約100ミリ秒の間、または約10〜約50ミリ秒の間の持続時間を有し得る。例えば、およそ約1秒以上のより長いパルス持続時間も提供され得る。当該放射線源と可燃性材料の特性を選択することによって、および/または、単一の外被の内部に様々な時間で作動される複数の放射線源を設けることによって、このようなパルス持続時間を提供することができる。
【0021】
治療される組織上に当該放射線源によって与えられる光学的放射線の流束量は、例えば、約1〜約30J/cm2の間、または約1〜約15J/cm2の間であり得る。所望であれば、例えば、より大きい放射線源、より大量の可燃性材料を用いること、放射線のパルスをより小さな領域に向けることなどによって、より高い流束値も提供され得る。
【0022】
本発明の特定の例示的実施形態では、特定の波長または特定範囲の波長を有する放射線源によって生み出される放射線を減衰または遮断するために、1つ以上のフィルターが設けられてよい。例えば、治療される組織に影響を及ぼす紫外および/または赤外の光学的放射線の量を減らすために、フィルターを設けることができる。可視スペクトル内にある特定波長の放射線を濾光するために、他のフィルターも設けてよい。別個の薄板または板であるようなフィルターも設けてよい。代替的に、当該放射線源の筐体および/または外被の複数部は、このような濾光特性を提供する材料を用いて形成されてよい。
【0023】
特定の例示的実施形態では、当該放射線源によって生み出される赤外放射線の量を減らすために、水フィルターを設けてもよい。このような水フィルターは当該筐体または外被の一部として形成されるか、またはこれに取り付けられてよい。当該水フィルターは冷却または冷凍され、それによって、一部の赤外放射線を濾光することに加え、治療される組織の冷却を提供し得る。
【0024】
さらなる例示的実施形態では、光学的放射線が開口部を通過し、組織の特定領域を照射することを促進する一方で、組織の他の部分が放射線に曝されることを防止する、1つ以上の開口部を含むことができる板を設けることができる。単一構成の放射線源を用いた様々な大きさを有する、様々な病変、皮膚異常などを照射するのに用いることができる様々な大きさおよび/または形状の開口部を有する、数多くのこのような板を設けることができる。
【0025】
本発明のこれらおよび他の目的、特長、および利点は、包含されている図面と併用すれば、以下に続く本発明の実施形態の詳細な記載を読む際に明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明およびその利点のより徹底的な理解のために、以下の記載に対する言及をここで行い、添付の図面と併用する。
【0027】
【図1】本発明の例示的実施形態に従って用いてよい、例示的燃焼灯の一例解である。
【図2】本発明の例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるための例示的装置の一例解である。
【図3】本発明のさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるためのさらなる例示的装置の一例解である。
【図4】本発明の特定の例示的実施形態による、光学的エネルギーを組織に与えるためのなおさらなる例示的装置の一例解である。
【図5A】本発明の具体的な例示的実施形態による、光学的放射線を組織に与えるための例示的装置の一例解である。
【図5B】本発明のさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを皮膚組織に与えるための別の例示的装置の一例解である。
【図5C】本発明のなおさらなる例示的実施形態による、光学的エネルギーを皮膚組織に与えるためのなお別の例示的装置の一例解である。
【図6A】隆起したサクランボ色血管腫の例示的画像である。
【図6B】図6Aに示されているサクランボ色血管腫の画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該サクランボ色血管腫に単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【図7A】平坦な血管腫の例示的画像である。
【図7B】図7Aに示されている血管腫の画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該血管腫に単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【図8A】茶色の年齢によるシミ(黒子)の例示的画像である。
【図8B】図8Aに示されている年齢によるシミの画像であって、例えば、本発明の例示的実施形態に従って当該シミに単一パルスの光学的放射線を照射した6週間後の画像である。
【0028】
本図面の全体を通して、同一の参照番号および文字は、他に明白に述べない限り、例解されている実施形態の同様の特長、要素、構成部、または部分を示すために用いられる。さらに、本発明は本図を参照してここに詳細に記載されるが、本発明は、実例となる実施形態と上記のように組み合わせて記載される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例えば、レーザー装置、電子閃光灯などのような、従来の治療装置に一般的に用いられる光学的エネルギー源は、より長期間にわたる連続的な放射線、および/または複数パルスの放射線を与えるように構成されてよい。例えば、壁コンセントまたは発電機等の、エネルギー源の外側から直接的または間接的に得られたエネルギーを転化することによって、このような放射線を与えてよい。例えば、従来の電球は連続的に輝き、このようにして電池または電気コンセントに接続される場合に光学的放射線を放射し得る。このような光学的放射線を電球それ自体に蓄えることはできないが、これは電球の外側から得られた電気エネルギーから転化される。
【0030】
その一方で、本発明の例示的実施形態は、特定量の光学的エネルギーまたは他の放射線を皮膚組織上に発生させて向けるための、装置および方法の例示的実施形態を提供することができる。このような装置および方法は、化学反応を通じて当該装置自体により与えられた光学的エネルギーの源(例えば、燃焼灯または閃光電球)を含むことができる。燃焼反応または酸化反応を含むが、これらに限定されない自然反応を経る場合、十分な強度の1つ以上のパルスの光学的放射線を生み出すように構成される任意の他の化学系も、本発明の例示的実施形態で用いられてよい。
【0031】
本明細書で与えられているように、燃焼灯は、封止された電球、あるいは、外部刺激または遥かに低いエネルギーの信号を用いて放出することができる形態で保存されるエネルギーを含む他の筐体を指し得る。このような燃焼灯の一例は、撮影される対象を照らすのに用いられてよい従来の写真用閃光電球であり得る。このような燃焼灯は内部に保存されるエネルギーを放出することができ、単一のこのような灯は単一パルスのエネルギーを与えるために1回用いられてよい。燃焼灯および閃光電球という用語は、本明細書で互いに交換可能なものとして用いられ得る。
【0032】
図1は、本発明の例示的実施形態に従い、および/またはこれにより用いられてよい燃焼灯100の例示図を示す。例えば、燃焼灯100は、およそ球形であり得るか、別の形状で与えられてよい筐体110を含むことができる。筐体110は、ガラス、プラスチック、または、好ましくは少なくとも特定波長の放射線が当該筐体を通過することを可能にし得る、何種かの他の材料から形成され得る。当該筐体の内部で一貫した環境を維持し、当該筐体の中に広範な時間にわたって供給されたあらゆる気体を含むように、当該筐体の材料を選択することができることが好ましい。例えば、筐体110は、燃焼灯100が作動され、光学的エネルギーが放出される場合に折れるか砕け得るガラスの断片を含むことができる、プラスチックまたはラッカーの層で被覆されるガラスから形成されてよい。
【0033】
筐体110は可燃性フィラメント120を含むことができ、当該フィラメントは、金属(例えば、アルミニウム、ヒドロナリウム、または別のアルミニウム合金、別の金属など)等の可燃性材料ででき得るか、またはこれを含むことができる。極細の導線および/または極薄の薄片の形態で、フィラメント120を設けることができる。フィラメント120の1つまたは複数の小さい寸法は、フィラメントの迅速な反応(例えば、酸化)を促進することを支援することができ、それによって、短い持続時間、またはパルス幅、および高いピーク強度を有する、あるパルスの光学的エネルギーを与えることができる。一般的に、より小さいフィラメント120の寸法は(例えば、より薄い導線または薄片)、より長い反応時間とパルス持続時間、およびより低いピーク出力強度に繋がり得る。
【0034】
蓋部130または他の封止装置により、筐体110の内部でフィラメント120を形成および/または封止することができる。随意に、封止装置130を筐体110の一部として形成してよい。筐体110を封止する前に、空気を除去することができ、特定量および/または圧力度の完全乾燥酸素を当該筐体内に提供することができる。例えば、約40〜約100%の間の完全乾燥酸素、または、好ましくは約80〜約100%の間の完全乾燥酸素を有する筐体110を設けることができる。特定のフィラメント材料のためにも、低度の酸素を提供してよい。本明細書で記載されているように、筐体110の材料は、好ましくは、その水分度を含む気体または気体混合物を保持し、広範な時間にわたって比較的不変であるように選択され得る。筐体110の内部環境におけるこのような不変性は、燃焼灯100の性能の信頼性および予測可能性を改善することができる。
【0035】
筐体110および蓋部130に対して部分的に外側にあり得る、複数の接点140を設けることができる。接点140は、筐体110の内部に封止された1つ以上の雷管150と電気的に接触することができる。雷管150は、従来の写真用閃光電球で用いられる雷管と同様であり得る。雷管150を作動させるために(例えば、雷管の点火を引き起こすために)、低エネルギー信号を接点140に加えることができる。このような信号は、例えば、電池、圧電素子などによって提供することができる電圧であり得る。雷管150の作動により、筐体110の内部にあるフィラメント120の迅速な化学反応(酸化等)を開始することができ、これによって、十分な量のエネルギーを筐体110から比較的短時間で放出することができる。
【0036】
例えば、例示的燃焼灯100の作動によって生み出される、あるパルスの光学的放射線は、(例えば、10ミリ秒台の)パルス幅を有し得る。このようなパルス幅またはパルス持続時間は、例えば、約10〜約100ミリ秒の間、または、好ましくは約10〜約50ミリ秒の間であり得る。当該パルス持続時間は、特定の用途に関して約100ミリ秒より大きくもあり得る。
【0037】
さらに、放射線パルスのピーク強度は、燃焼灯100の作動後約20〜50ミリ秒台に発生し得る。特定の燃焼灯100内で観測されるこのようなパルス遅延は、例えば、灯の大きさ、平均直径、用いられるフィラメント120の幅および/または量、筐体130の内部にあるフィラメント120の構成、筐体130の内部に提供される酸素の量などを含むいくつかの要因に依存し得る。例えば、より太いフィラメントの酸化はより細いフィラメントと比較してよりゆっくり進み得るので、より太いフィラメント120はより長いパルス遅延を与え得る。
【0038】
本発明の特定の実施形態に従う、例示的装置200の例解が図2に示されている。外被220の内部に例示的燃焼灯100を設けることができる。外被220と接続して作動装置230を設けることができ、当該装置はさらに燃焼灯100と電気的に接触してよい。作動装置230はスイッチおよび/またはボタン240をさらに含むことができ、これは押圧された場合、電気信号を燃焼灯100に与えることを容易にする。その後、燃焼灯100は、例えば、光学的放射線の「一瞬」または短い持続時間の強力パルスとして、その中に保存されたエネルギーを放出することができる。
【0039】
例えば、鐘、円蓋、または同様のものの形状にある例示的外被220を設けることができ、治療される皮膚組織280の領域の表面270の上または上方に位置するように構成することができる。外被220は、反射表面または反射被覆、あるいは、燃焼灯100から放出されたより多量の光学的放射線を、治療される皮膚280に向けるように構成される、他の光学的装置も含むことができる。これにより、このような例示的な光学的装置は、特定の燃焼灯100の効率を増加させることができる。その増加した効率は、より高い強度および/または流束量の放射線を、例示的な燃焼灯100によって皮膚組織280に与えることを容易にすることができる。代替的または加えて、その増加した効率は、特定の強度および/または流束量を、より小さい灯100(例えば、より少量の可燃性材料を含み得る灯100)によって皮膚組織280に与えることを容易にし得る。
【0040】
作動装置230は、例えば、小型電池、圧電素子、または燃焼灯100を作動させるように構成することができる、任意の他のエネルギー源を含むことができる。使い捨て機器として例示的装置200を設けることができる。代替的または加えて、外被220および/または作動装置230を再利用することができるように、燃焼灯100は入れ替え可能であってよい。
【0041】
本発明の特定の例示的実施形態では、1つ以上の随意のフィルター250とともに、装置200を設けることができる。燃焼灯100と皮膚表面270との間に、このようなフィルター250を配置することができる。例えば、外被220の内部にフィルター250を備えてよい。代替的または加えて、当該フィルターが皮膚280の表面270と接することができるように、フィルター250を外被220の下部または表面に配置してよい。
【0042】
燃焼灯100によって放射された、特定の波長または波長範囲を有する光学的放射線が、治療される皮膚組織280の部分に到達することを防ぐか部分的に抑制するように、フィルター250を構成することができる。このような波長または波長範囲は、特定の異常または治療される病態に基づいて選択されてよい。
【0043】
異なる波長および/または波長範囲を有する光学的放射線の透過を抑制するようにそれぞれがことによると構成される、いくつかのこのようなフィルター250のうち1つが、単一の外被220または複数の外被220の内部で(例えば、特定種類の例示的燃焼灯100とともに)用いられてよいように、フィルター250は設けられる場合に除去可能であり得る。このようにして、特定用途に対する有効性および/または安全性を改善するために、単一種類の燃焼灯100のエネルギー出力特性を修正または調整することができる。
【0044】
例えば、フィルター250は、約600nmより短い波長、または約550nmより短い波長を有する光学的放射線のうちほとんどが、治療される組織に影響を及ぼすことを防ぐために設けられてよい紫外線(UV)フィルターであり得る。このようなUVフィルターは、超短パルス光および/または電子閃光灯等の、広帯域の光学的放射線源を用いる従来の光治療機器でしばしば用いられる。
【0045】
赤外範囲にある、燃焼灯100によって生み出された少なくとも一部の光学的放射線を減衰または遮断するためにも、フィルター250を構成または構築することができる。例えば、およそ900nmの波長、および約1,100〜1,300nmの間の波長を有する、治療される組織に影響を及ぼす量の光学的放射線を減らすために、水フィルターを用いてよい。当該水フィルターは、少なくとも部分的に水で満たした浅い筐体または容器を含むことができ、これは光学的放射線源100と治療される組織280との間に設けられる。例えば、このような水フィルターを外被220の下部に取り付けることができる。このような水フィルターを用いてよい。広帯域の光学的放射線源を利用する特定の従来の光治療機器においても、このような水フィルターを用いてよい。
【0046】
本発明のさらなる例示的実施形態で用いられてよい、例示的装置300の例示的構成が図3に示されている。例えば、このような例示的装置300は、外被220の内部に設けられた燃焼灯100、および、外被220と接続して設けられた作動装置230を含むことができる。作動装置230は、始動される際に、電気信号を燃焼灯100に提供させ得るスイッチ/ボタン240をさらに含むことができる。
【0047】
おおよそ図3に示されているような形状の例示的装置300を、当該装置を容易に手に握り、かつ治療される皮膚280の表面270の上に押圧することができるように設けてよい。この例示的構成では、外被220および作動装置230が手に握られている間、スイッチ/ボタン240を、例えば、使用者の親指によって容易に押圧することができる。図2に示されている例示的装置200と同様に、光学的放射線を燃焼灯100から治療される皮膚280に向けるために、外被220の一部を反射表面または反射被覆とともに設けることができる。様々な範囲の形状、大きさ、出力特性、フィルターなどを有する、様々なこのような機器300を設けることができる。
【0048】
特定の異常または病態の治療のために、例示的装置300の個々の変動を調整することができる。例えば、異なる肌の色合いを有する人の効果的な治療のために、異なるエネルギー出力を有する様々なフィルターおよび/または燃焼灯とともに、例示的装置300を設けてよい。異なる病態を治療するための、および、異なる皮膚の種類に関する明確な特長におけるこのような変動は、本明細書に記載されている例示的実施形態のうち何れかのために提供されてよい。
【0049】
本発明のさらなる例示的実施形態では、図4に示されているように、単一の外被220の内部に複数の燃焼灯100を含む装置400を設けることができる。例えば、燃焼灯100を単一の作動装置230に、例えば、単一のボタン240によって燃焼灯100のそれぞれを同時に作動することができるように随意に接続することができる。この例示的構成は、例えば、図2に示されている装置200内にある単一の燃焼灯100を用いて得ることができる流束量よりも、皮膚組織280へ高い流束量を促進することができる。例示的装置400は、例えば、図2に示されている単一灯の装置200と比較して、特定の流束値を皮膚280のより広い領域に提供することができる、大型の外被220も含むことができる。
【0050】
異なる特性(例えば、異なる出力強度、発光スペクトル、濾光被覆剤など)を有する、装置400内にある燃焼灯100を設けてもよい。所定の遅延と同時または連続的に作動され、特定順序の光学的放射線を組織に提供するためにも、このような灯を構成してよい。図4の灯100は別々の筐体として示されているが、このような灯100は、単一の筐体の内部で複数の別個の空洞部として構成されてよい。
【0051】
作動装置230を単一の燃焼灯100に、ボタン240を押圧する際に、1つのみの燃焼灯100が直接作動するように接続することができる。例えば、作動した燃焼灯によって放出されたエネルギーは、近くの燃焼灯をさらに作動させることができる。それ故、作動装置230によって直接作動される単一の燃焼灯100はその後、短い遅延の後に他の燃焼灯100を作動させることができる。このような遅延は所定のものであり得、例えば、約10ミリ秒台であり得、遅延量は個々の燃焼灯100の特性にさらに依存し得る。このようにして、1つより多いこのような灯100を単一の外被220内に設け、燃焼灯100の特定のもののみを直接作動させることによって、燃焼灯100によって提供された放射線への皮膚280のより長い曝露時間を得ることができる。このようにして、複数の燃焼灯100によって促進された複数の連続パルスまたは非同時パルスの形態で、光学的放射線の一時的な持続放出を提供することができる。
【0052】
本発明のさらなる実施形態に従う、なおさらなる例示的装置500の例解が図5Aに示されている。例示的装置500は、本明細書に記載されているように、可燃性フィラメント120および雷管150を含む筐体を一緒に形成し得る、外側壁510および底面520を含むことができる。作動装置230およびスイッチ240を、入れ替え可能なものとして、または永久的に当該筐体の上または中に搭載することができる。装置500の下方に配置された皮膚組織280の領域に、あるパルスの光学的放射線を提供するために、例示的装置500を用いることができる。
【0053】
図5Aに示されているように、鐘様形または円蓋様形の例示的装置500を備えることができ、当該装置は、好ましくは上から見るとおおよそ円形を有し得る。特定用途のために、他の例示的形状を用いてもよい。例えば、装置500は、上から見ると卵形またはおおよそ長方形を、例えば、このような形状が治療される皮膚組織の領域により良好に適合する場合に有し得る。皮膚組織280の表面270と直接接触して配置されるように、装置500を構成することができる。それ故、装置500の底面520はおおよそ平坦であり得、および/または、代替的に、当該底面は、光学的放射線を受容することができる皮膚組織280の領域内にある皮膚表面270の輪郭に一致するように輪郭形成されてよい。
【0054】
例示的装置500の底面520は、当該底面が大きい熱質量を呈し得るように比較的厚くなり得、例えば、外側壁510より厚くなり得る。厚い底面520は、フィラメント120から放射された熱によって逆に引き起こされる可能性がある好ましくない熱損傷から、当該フィラメントが酸化するか、そうでなければ光学的放射線を生み出すように反応する場合、皮膚表面270を保護するのに役立ち得る。例えば、皮膚表面270に適用する前に底面520を含む全体の装置500を、例えば、このような好ましくない熱損傷を回避するのにさらに役立つように、当該装置を冷凍庫に入れることによって冷却することができる。表面270と接触させる場合、冷却した底面520は皮膚組織280を冷却することにも役立つことができ、このことは、光学的放射線のパルスに対する皮膚組織280の曝露に関連する痛みを低減および/または解消することにも役立ち得る。
【0055】
反射被覆または反射層515とともに、側壁510の一部(例えば、当該側壁の外側表面)を設けることができる。本明細書に記載されているように、このような反射被覆515は、フィラメント120の燃焼または反応によって放出されたより多くのエネルギーを治療される皮膚組織280に向けることができ、それ故、ことによるとより多くの利用可能なエネルギーを利用し、皮膚組織280にこれを照射することができる。
【0056】
本発明の特定の例示的実施形態では、フィラメント120によって生み出された光学的放射線の特定の波長または波長範囲を部分的または完全に遮断するフィルターとして作用することができ、それによって、特定の波長を有する一部の放射線が、底面520を通じて皮膚組織280の中へ進むことを減らすか、および/または防ぐことができる、特定の材料または添加剤を用いて形成することができ、および/または、これらで被覆することができる。同様に、このような濾光特性を有する材料を用いて、図1に示されている燃焼灯100の筐体110を形成してもよい。このような濾光作用の利点は本明細書に記載されている。
【0057】
本発明のさらなる実施形態に従う、なお別の例示的装置540が図5Bに示されている。例示的装置540は、図5Aに示されている装置500と実質的に同様である。底面520内にある溝穴または開口部550とともに、例示的装置540をさらに設けることができる。薄いフィルター560を溝穴550内に設けることができる。本明細書に記載されているように、特定の波長を有する光学的放射線が、治療される組織に影響を及ぼすことを抑制するか防ぐために、薄いフィルター560を用いることができる。所望の濾光特性を有する、プラスチック、ゲルなどのような、任意の適切な材料でフィルター560を形成することができる。例えば、フィルター560の種類を変更することによって、治療される組織に影響を及ぼす、装置540によって生み出された光学的放射線の特性は、異なる種類の病態または特徴を治療するように改められてよい。フィルター560は、当該フィルターを通過し、その後皮膚組織280と相互作用する光学的放射線のピーク強度および/または流束量を主として減らす減衰フィルターであってもよい。
【0058】
特定の例示的実施形態では、複数の溝穴または開口部550を装置540内に設けてよい。この例示的構成は、当該フィルターを通過し、治療される組織に影響を及ぼす光学的放射線の波長スペクトルをさらに修正するために、複数のフィルター560を用いることを容易にする。代替的または加えて、溝穴550は、複数のフィルター560に対応し、光学的放射線のこのようなスペクトルの修正を提供するのに十分広くあり得る。
【0059】
例示的装置540を板570とともに底面520上に設けることもでき、そこで板570は、当該底面を通じて1つ以上の開口部または隙間575を含むことができる。開口部575の下方にある組織のみが、装置540によって生み出された光学的放射線に曝され得るように、装置540の下方にある組織の一部を遮蔽するために板570を用いることができる。従って、1つまたは複数の開口部575の下方に位置する1つ以上の治療位置に光学的放射線を提供する間、他の近くにある組織の領域が放射線を照射されることを防ぐか減らすために、単一種類の装置540を用いることができる。
【0060】
板570を装置540の底面520に取り付けるか固定してよい。代替的または加えて、1つまたは複数の開口部575が、光学的放射線に曝される組織の特定領域の上方に直接位置するように、板570を組織の表面上に配置することができる。その後、装置540を、配置した板570の上方に配置し、本明細書に記載されているように、1つまたは複数の開口部575を通じて、あるパルスの光学的放射線を提供するように作動させ、治療される組織の1つまたは複数の領域上に向けることができる。異なる大きさの開口部575を有する、数多くのこのような再利用可能な板570を、異なる大きさおよび/または形状を有する組織の特定領域を治療するために設けることができる。本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態の何れかとともに、このような例示的板570を用いてもよい。
【0061】
本発明のなおさらなる実施形態に従う、別の例示的装置580が図5Cに示されている。例示的装置580は、図5Aに示されている装置500と実質的に同様である。装置580の底面520は、空洞部590を含むことができる。水フィルターを形成するために空洞部590を水で満たすことができ、当該水フィルターは、本明細書に記載されているように、当該水フィルターを通過する量の赤外放射線を減らすか、および/または除去し得る。例えば、水で満たした空洞部590を含む例示的装置580を、冷凍庫の中で貯蔵することができる。その凍った水層は、装置580が治療される組織の上に配置され、かつ、光学的放射線パルスが可燃性材料120を活性化することによって発生される場合、組織の赤外濾光および冷却の両方を提供することができる。特定の放射線濾光特性を有する他の材料または混合物も、空洞部590内に設けられてよい。このような材料または混合物は、個体、液体、または気体の形態にあってよい。
【0062】
別個の外被を含み得ない、図5A〜5Cに示されている例示的装置500、540、580は、本発明のさらなる例示的実施形態に従って設けられてよい特定のほかの例示的構成よりも、製造するのに特に簡単および/または安価であり得る。
【0063】
本明細書に記載されている例示的なシステムおよび装置の何れかとともに、安全装置を設けてよい。このような安全装置は、例えば、当該装置が、治療される生物組織あるいは別の表面または物質に接するかごく接近して配置されない限り、放射線源の作動を防ぐように構成される接点スイッチまたは近接センサーを含むことができる。このような例示的な安全装置は、放射線源の不測または不注意の起動の見込みを減らすことによって、例示的なシステムおよび装置のより安全な操作を手助けすることができる。
【0064】
本発明の例示的実施形態に従い、様々な特性を有する燃焼灯を用いることができる。本明細書に記載されている特性を含む、用いられる特定の燃焼灯に関連する特性を、提供される特定の治療、および/または、治療される特定組織の異常または病態に基づいて選択することができる。例えば、パルス持続時間、総出力(ルーメン秒単位)、およびピーク強度(ルーメン単位)を含む、いくつかの写真用閃光電球の特性は、W. D. Morgan, Syncroflash Photography,
Morgan & Lester(ニューヨーク州、ニューヨーク(1939年)、39〜54ページ)に記載されている。特定の光治療用途に適切な特定の例示的特性を有する燃焼灯は、このような従来の閃光電球の構造に基づいて、容易に適合、構築、または修正され得る。
【0065】
例えば、例示的なパルス持続時間は、特定の用途に関しては約5〜約20ミリ秒の間、あるいは、所望であれば約100ミリ秒以上であり得る。他のパルス持続時間(例えば、最大約1秒のパルス幅)も提供されてよい。特定の燃焼灯によって提供されたパルス持続時間は、燃焼灯100内に設けられたフィラメント120(例えば、金属の導線または薄片)の幅または厚さに基づき得る。一般的に、例えば、より太いフィラメントはより大きいパルスを生じ得、その理由は、当該フィラメントが燃焼灯100の内部でより長い反応時間を持続することができるからである。当該パルス幅は、例えば、フィラメント120を形成するために用いられる特定の材料、および/または、筐体110内に提供された酸素の量によっても影響され得る。
【0066】
本明細書に記載されているような特定の従来の燃焼灯は、約3,800°Kの色温度を有し得る。このような灯によって生み出された光学的放射線の形態にある電磁エネルギーはそれ故、可視スペクトル内にある範囲の波長を含み得る。本明細書に記載されているように、燃焼灯によって放射された特定の波長の光だけが皮膚を照射することを促進するために、様々な例示的フィルター装置を随意に用いることができる。このような波長は、治療される組織の病態または以上、患者の皮膚組織の全体的な色素沈着度などのような、いくつかの要因に基づいて選択されてよい。
【0067】
皮膚組織280の標的領域に加えられた特定の流束量を、いくつかのパラメーターに基づいて決定することができる。例えば、燃焼灯100によって放射された放射線の総量、および/または、本明細書に記載されている他の例示的な装置構成を、燃焼灯100内に設けられたフィラメント120の量を変えることによって変更することができる。より大きい筐体110は、例えば、より大量のフィラメント120を単一の燃焼灯100内に設けることを容易にすることができる。複数の燃焼灯100を単一の外被220内に設けることができ、これは皮膚組織280のより多い流束量を外被220の下に提供することもできる。
【0068】
可燃性フィラメント120または他の反応性材料を含む、様々な燃焼灯または筐体構造を、特定の用途に用いることができる。例えば、図1の燃焼灯100内に示されている形状のような回転楕円形状の代わりに、図5A〜5Cに示されている筐体のようなより広い筐体を用いてよい。このような例示的な筐体の高さは、当該装置の下方にある組織の各単位領域を覆う所望量のフィラメント120を提供し、特定の流束量を得るように選択されてよい。上から見たこのような装置の大きさおよび形状も変更されてよい。
【0069】
例えば、小さい高さと比較的広い基部(例えば、薄い円盤と同様の形状)を有する燃焼灯100または筐体110が構成されてよく、これは、比較的少量のフィラメント(および、それ相応のより少ない流束量の光学的放射線)を、組織のより広い領域にわたって提供する。このような例示的な燃焼灯100または筐体110は、例えば、2つの板または同様のものを用い、側壁が当該板とその周囲に沿って接合している状態で形成されてよい。このような例示的構成は、本明細書に記載されているような可燃性材料を含む封止された筐体を提供することができ、そこで、その高さはその全体の領域にわたって比較的均一である。従って、組織の特定領域にわたって、比較的均一な流束量の光学的放射線を提供することができる。このような例示的な筐体の高さは、化学反応が開始される場合、特定量の可燃性材料および特定の流束量を提供するように選択されてよい。このような例示的構成において、当該可燃性材料を比較的組織に近くに配置することができ、これは放射線源の効率をさらに増加させ得る。
【0070】
例えば、筐体、または、より高い(例えば、約1〜2cmより高い)筐体を有する装置は、組織の各単位領域を覆うより多くのフィラメント120を提供することができ、これは作動する際により多い流束量の光学的放射線を発生させることができる。反対に、低い輪郭(例えば、約1cm以下の高さ)を有する筐体は、例えば、少量の可燃性または反応性のフィラメント120を、組織の各単位領域にわたって提供し得る。このような低い輪郭の灯または筐体は、下部の組織に影響を及ぼし得るより少ない流束量の光学的放射線を発生させるように構成されてよい。
【0071】
皮膚に影響を及ぼす流束量の光学的放射線に影響し得る要因としては、筐体、灯、および/または装置の形状、可燃性/反応性の材料と治療される組織との間の距離、その中に設けられる反応性フィラメントの種類および量、発生した放射線を組織に向けることができる反射表面、および、当該燃焼灯と当該組織との間に配置される任意のフィルターを挙げることができる。特定の光治療用途に適切な流束量度を発生させるために、このような例示的要因を考慮に入れることができる。
【0072】
様々な治療または皮膚治療に用いられてよい例示的な流束値は一般的に、例えば、約0.5〜約200J/cm2の間、または好ましくは約1〜約30J/cm2の間、またはより好ましくは約1〜約15J/cm2の間で選択されてよい。このような例示的な流束量範囲は、皮膚表面270で、および/または皮膚組織280の内部に様々な加熱量および/または熱損傷を発生させ得る。
【0073】
本発明の特定の例示的実施形態としては、テープ、接着剤、または、治療される皮膚組織280の領域の上方に外被220を固定するのに用いることができる別の留め具を挙げることができる。外被220および燃焼灯100から離れて、ボタン240および随意に作動装置230を設けることができる。例えば、作動装置230を、外被220からある程度離してスイッチ240と一緒に設けることができ、例えば、導線または同様のものを用い、燃焼灯100と接続して(雷管150と電気的に連通して)設けることができる。代替的または加えて、作動装置230を外被220およびスイッチ240に取り付けることができ、例えば、導線または同様のものを用い、作動装置230からある程度離して設け、当該装置に接続してよい。
【0074】
本発明の例示的実施形態を、例えば、多くの異常を治療し、光学的エネルギーまたは他の電磁放射線を用いた組織の放射を含み得る、組織に対する多くの治療を提供するために用いることができる。本明細書に記載されているような、所望の治療のために適切な量および種類の放射線を提供するように、燃焼灯を選択または設計してよい。例えば、燃焼灯の大きさ(例えば、当該灯に含まれるフィラメント120の量)、外被220の大きさおよび形状、フィルター装置250の光学的使用などのようなパラメーターの変動は、計算または少数の測定結果を用いて特定の治療または用途に適切な放射パラメーターを得るために、容易に決定され得る。
【0075】
様々な色素性病変および/または静脈の病変、および他の皮膚科学的病態と異常を、本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態を用いて治療することができる。このような皮膚の病態および異常の例としては、例えば、年齢によるシミ(黒子)、座瘡、ポートワイン母斑、血管腫、クモ状静脈、好ましくない毛髪の除去、光力学治療、シワの除去、およびコラーゲン収縮などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書に記載されている本発明の例示的実施形態によって提供される光学的放射線は、特定の病態のより効果的な治療を提供するために、様々な物質と組み合わされてよい。例えば、光学的放射線の吸収を促進するために、治療される組織の特定部位に発色団を加えてよい。このような発色団としては、例えば、溶液内またはマジックペン内に提供される炭素粒子、または、光治療用途にて用いられる任意の他の従来の発色団を挙げることができる。
【0077】
本発明のさらなる例示的実施形態に従い、放射線吸収材料は、本明細書に記載されている例示的装置のうち何れかの下面の一部の上に設けられるか、またはその内部に形成されてもよい。当該光学的放射線は吸収材料を加熱することができ、それによって治療される組織の間接的加熱、ならびにある流束量の光学的放射線を提供することができる。吸収材料としては、例えば、炭素粒子または任意の他の従来の発色団等の発色団を含む、薄片、薄膜、ゲルなどを挙げることができる。このような加熱は、黒子(年齢によるシミ)等の、特定の色素性病変を治療する効果を改善し得る。
【0078】
組織に対する光学的放射線の効果を促進するために、光増感剤を本発明の実施形態とともに用いてもよい。例えば、光力学療法の治療において、このような光増感剤を用いることができる。痛覚を減らすのに役立ち、光増感剤として作用するリドカインゲルまたはリドカイン溶液を組織に加えてもよい。特定の例示的実施形態では、リドカインゲルを当該外被または筐体の下面上に、治療の前に当該装置を組織の上に配置する場合、当該ゲルが組織表面に接触するように設けてよい。本明細書に記載されている例示的なシステムおよび装置によって発生した光学的放射線とともに、他の従来の光増感剤を用いてもよい。
【実施例】
【0079】
少数の明確な治療例が詳細に記載されている。例えば、比較的少数のパルスの放射線を従来通りに使用する様々な光療法の治療のために、本発明の例示的実施形態を用いることができる。
【0080】
実施例1
図6Aは、直径約5mmを測定する隆起したサクランボ色血管腫の写真を示す。その血管腫を本発明の特定の例示的実施形態に従い、M3写真用閃光電球によって提供した単一パルスの光学的放射線に当該血管腫を曝すことによって治療した。反射装置をその燃焼灯の周辺に設け、その光学的放射線の濾光を全く用いなかった。そのサクランボ色血管腫の上方に位置する開口部を通じてその放射線を提供した。加えた放射線の流束量は約9〜10J/cm2であり、単一パルスにおいて提供した総エネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0081】
当該血管腫のいくつかの初期の黒ずみおよび痂皮形成を第1週以内に観測した。治療後約6週間におけるその血管腫の外観を図6Bの写真で示し、図6Aに示す写真と同一の倍率で撮影する。当該血管腫の全体にわたる軽減およびその大きさの減少を伴って、この異常の外観の際立った改善があると思われる。その外観は、所望であれば第2パルスの適用によってさらに改善され得る。当該血管腫の周辺にある健康な組織に対するいくらかの残留損傷は、図6Bの写真で明らかである。このような望ましくない影響は、例えば、本明細書に記載されている紫外フィルターを設けること、加えたパルスの光学的放射線の流束量を減らすこと、またはこれらの修正の組み合わせによって低減され得る。
【0082】
実施例2
図7Aは、直径約4mmである規則的な(平坦な)血管腫の写真を示す。本発明の特定の例示的実施形態に従い、M3写真用閃光電球によって提供した単一パルスの濾光していない光学的放射線にこの血管腫を曝した。反射装置をその燃焼灯の周辺に設け、その血管腫の上方に位置する開口部を通じてその放射線を提供した。加えた放射線の流束量は約9〜10J/cm2であり、単一パルスにおいて提供した総エネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0083】
当該血管腫のいくらかの即時の隆起および黒ずみを観測し、その血管腫のいくらかの痂皮形成が第1週以内に発生した。治療後約6週間におけるその血管腫の外観を図7Bの写真で示す。その血管腫は著しくより薄くかつより小さく見える。その血管腫の周辺にある皮膚に対する少しの損傷は、図7Bの写真で明らかであり、これは、例えば、その放射線パルスのためのUVフィルターを設けること、および/または、加えた流束量をわずかに低下させることによって軽減され得る。
【0084】
実施例3
図8Aの写真に示す、直径約3mmを測定する茶色の年齢によるシミ(黒子)を、本発明の例示的実施形態に従う単一パルスの光学的放射線に当該シミを曝すことによって治療した。反射外被害内に位置するM3写真用閃光電球によって、その濾光していない放射線を提供した。その黒子の上方に開口部を配置した。その放射線パルスの総流束量は約9〜10J/cm2であり、その加えたエネルギーは約4Jであった。そのパルス持続時間は約10〜15ミリ秒であった。
【0085】
当該黒子のいくつかの初期の平滑化を観測し、その黒子の黒ずみは第1日以内に発生し、約1週間以内に薄れた。治療後約6週間におけるその黒子の外観を図8Bの写真で示す。図8Aのこのグレースケール画像では目に見えないが、図8Aの写真に示す黒子の茶色がかった外観は著しく減弱し、図8Bの写真にあるより暗い領域は外観がより赤みがかっている。それ故、その黒子の増強した色素沈着を本治療によって軽減した。図8Aに示す暗い領域は、その色素性病変自体の軽減と連動して発生した、皮膚組織に対するいくらかの損傷を示す。このような付帯的損傷は、例えば、その放射線パルスのための赤外フィルターを設けること、および/または、このような年齢によるシミのために加えたパルスの流束量を低下させることによって軽減され得る。
【0086】
それ故、当業者は、本明細書に明確に示されても記載されてもいないが、本発明の原理を具現し、それによって本発明の趣旨および範囲の中にある多数のシステム、装置、および方法を考案することができるということを理解されたい。加えて、本明細書で参照されている全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書で参照することにより全体として盛り込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的放射線を少なくとも1つの生物組織に加えるための装置であって、
化学反応に基づいて前記放射線を発生させるように構成された放射線装置、を備え、
前記光学的放射線は、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも一部に生物学的影響をもたらす装置。
【請求項2】
前記放射線装置が燃焼灯を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線装置が、封止された筐体、および、前記封止された筐体の内部に設けられた可燃性材料を備える、請求項1および/または2の何れかに記載の装置。
【請求項4】
前記可燃性材料が金属を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記金属が、アルミニウム、ヒドロナリウム、またはアルミニウム金属のうち少なくとも1つを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記可燃性材料が導線の形態で設けられる、請求項3〜5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記可燃性材料が薄片の形態で設けられる、請求項3〜5の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記放射線装置が、前記封止された筐体の内部に提供された約80〜約100%の完全乾燥酸素を含む気体をさらに含む、請求項3〜7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記化学反応を開始するように構成された引き金装置をさらに備え、前記引き金装置がスイッチおよび作動エネルギー源を備える、請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記作動エネルギー源が、電池または圧電結晶のうち少なくとも1つを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記放射線装置が、前記封止された筐体の内部に設けられた点火装置をさらに備え、前記引き金装置が、前記作動エネルギーを前記点火装置に提供し、前記封止された筐体の内部で前記化学反応を開始するように構成される、請求項9および/または10の何れかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一部の前記光学的放射線を、前記少なくとも1つの生物組織に向けるように構成された光学的装置をさらに備える、請求項1〜11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記光学的装置が反射表面を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記反射表面が、少なくとも一部の前記放射線装置の上または内部のうち少なくとも一つに設けられる反射層を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの生物組織から所定の距離に、前記放射線装置を位置または配置するように構成された外被をさらに備える、請求項1〜14の何れかに記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一部の前記外被が反射表面を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記放射線の源が、少なくとも1つのパルスの形態で前記光学的放射線を提供するように構成される、請求項1〜16の何れかに記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約5〜約200ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約10〜約100ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約10〜約50ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記組織上に設けられた、前記少なくとも1つのパルスの光学的放射線の流束量が約1〜約30J/cm2の間である、請求項17〜20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
前記組織上に設けられた、前記少なくとも1つのパルスの光学的放射線の流束量が約1〜約15J/cm2の間である、請求項17〜20の何れかに記載の装置。
【請求項23】
前記放射線装置と前記少なくとも1つの生物組織との間に設けられたフィルター装置をさらに備え、前記フィルター装置は、少なくとも一部の特定の波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項1〜22の何れかに記載の装置。
【請求項24】
前記フィルター装置が紫外フィルターを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記紫外フィルターは、少なくとも一部の約550nm未満の波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記フィルター装置が赤外フィルターを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記赤外フィルターは、少なくとも一部の約1,100nmを超える波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記赤外フィルターが水フィルターを備える、請求項26および/または27の何れかに記載の装置。
【請求項29】
前記水フィルターが、前記放射線装置と前記少なくとも1つの生物組織との間に提供される水を含む筐体を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記水フィルターは、前記放射線装置が前記光学的放射線を発生させている間、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織と熱接触して凍結および配置されるように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記フィルター装置は、少なくとも一部の可視光スペクトルにある波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項32】
前記フィルター装置および前記放射線装置が単一の組立部として設けられる、請求項23〜31の何れかに記載の装置。
【請求項33】
前記装置が複数のフィルター装置を備える、請求項23〜32の何れかに記載の装置。
【請求項34】
マスクを通じて延在している少なくとも1つの開口部を含むマスクをさらに備え、前記マスクは、前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項1〜33の何れかに記載の装置。
【請求項35】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも1つの色素性病変によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項36】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも1つの静脈の病変によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項37】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の中に位置する少なくとも1つの毛包によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項38】
一部の前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に加えられる少なくとも1つの発色団によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項39】
一部の前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に加えられる少なくとも1つの光増感剤によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項1】
光学的放射線を少なくとも1つの生物組織に加えるための装置であって、
化学反応に基づいて前記放射線を発生させるように構成された放射線装置、を備え、
前記光学的放射線は、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも一部に生物学的影響をもたらす装置。
【請求項2】
前記放射線装置が燃焼灯を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線装置が、封止された筐体、および、前記封止された筐体の内部に設けられた可燃性材料を備える、請求項1および/または2の何れかに記載の装置。
【請求項4】
前記可燃性材料が金属を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記金属が、アルミニウム、ヒドロナリウム、またはアルミニウム金属のうち少なくとも1つを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記可燃性材料が導線の形態で設けられる、請求項3〜5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記可燃性材料が薄片の形態で設けられる、請求項3〜5の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記放射線装置が、前記封止された筐体の内部に提供された約80〜約100%の完全乾燥酸素を含む気体をさらに含む、請求項3〜7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記化学反応を開始するように構成された引き金装置をさらに備え、前記引き金装置がスイッチおよび作動エネルギー源を備える、請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記作動エネルギー源が、電池または圧電結晶のうち少なくとも1つを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記放射線装置が、前記封止された筐体の内部に設けられた点火装置をさらに備え、前記引き金装置が、前記作動エネルギーを前記点火装置に提供し、前記封止された筐体の内部で前記化学反応を開始するように構成される、請求項9および/または10の何れかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一部の前記光学的放射線を、前記少なくとも1つの生物組織に向けるように構成された光学的装置をさらに備える、請求項1〜11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記光学的装置が反射表面を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記反射表面が、少なくとも一部の前記放射線装置の上または内部のうち少なくとも一つに設けられる反射層を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの生物組織から所定の距離に、前記放射線装置を位置または配置するように構成された外被をさらに備える、請求項1〜14の何れかに記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一部の前記外被が反射表面を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記放射線の源が、少なくとも1つのパルスの形態で前記光学的放射線を提供するように構成される、請求項1〜16の何れかに記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約5〜約200ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約10〜約100ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのパルスの持続時間が約10〜約50ミリ秒の間である、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記組織上に設けられた、前記少なくとも1つのパルスの光学的放射線の流束量が約1〜約30J/cm2の間である、請求項17〜20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
前記組織上に設けられた、前記少なくとも1つのパルスの光学的放射線の流束量が約1〜約15J/cm2の間である、請求項17〜20の何れかに記載の装置。
【請求項23】
前記放射線装置と前記少なくとも1つの生物組織との間に設けられたフィルター装置をさらに備え、前記フィルター装置は、少なくとも一部の特定の波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項1〜22の何れかに記載の装置。
【請求項24】
前記フィルター装置が紫外フィルターを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記紫外フィルターは、少なくとも一部の約550nm未満の波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記フィルター装置が赤外フィルターを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記赤外フィルターは、少なくとも一部の約1,100nmを超える波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記赤外フィルターが水フィルターを備える、請求項26および/または27の何れかに記載の装置。
【請求項29】
前記水フィルターが、前記放射線装置と前記少なくとも1つの生物組織との間に提供される水を含む筐体を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記水フィルターは、前記放射線装置が前記光学的放射線を発生させている間、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織と熱接触して凍結および配置されるように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記フィルター装置は、少なくとも一部の可視光スペクトルにある波長を有する光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項32】
前記フィルター装置および前記放射線装置が単一の組立部として設けられる、請求項23〜31の何れかに記載の装置。
【請求項33】
前記装置が複数のフィルター装置を備える、請求項23〜32の何れかに記載の装置。
【請求項34】
マスクを通じて延在している少なくとも1つの開口部を含むマスクをさらに備え、前記マスクは、前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に影響を及ぼすことを防ぐように構成される、請求項1〜33の何れかに記載の装置。
【請求項35】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも1つの色素性病変によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項36】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の少なくとも1つの静脈の病変によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項37】
一部の前記光学的放射線が、前記少なくとも1つの生物組織の中に位置する少なくとも1つの毛包によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項38】
一部の前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に加えられる少なくとも1つの発色団によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【請求項39】
一部の前記光学的放射線が、少なくとも一部の前記少なくとも1つの生物組織に加えられる少なくとも1つの光増感剤によって吸収されるように構成される、請求項1〜34の何れかに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2011−505923(P2011−505923A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537149(P2010−537149)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/085910
【国際公開番号】WO2009/076306
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/085910
【国際公開番号】WO2009/076306
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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