説明

皮膚科学的疾患の治療のためのアイバメクチンの使用

【課題】ヒトにおけるこれらの全ての使用が、経口投与または実験的調製物の使用に制限されていたにも関わらず、本出願人は、アイバメクチンを含むヒトの治療を企図した局所的製薬組成物を開発した。更に本出願人は、驚くべきことに、本発明に係る組成物が、特に各種のpHでの非常に良好な安定性と、皮膚に対する良好な慣用を示すことに注目した。実際、それは皮膚科学的疾患の治療に特に適しており、とりわけしゅさの治療に非常に適していることを見出した。
【解決手段】本発明は、しゅさの治療を企図した局所的製薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用に関する。本発明はまた、アイバメクチンを含むヒトでの使用を企図した局所的製薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しゅさの治療を企図した局所的製薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用に関する。本発明はまた、アイバメクチンを含むヒトでの使用を企図した局所的製薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アイバメクチンは、アベルメクチン類に属する二つの化合物、5-O-デメチル-22,23-ジヒドロアベルメクチンA1a及び5-O-デメチル-22,23-ジヒドロアベルメクチンA1bの混合物である。それらはまた、22,23-ジヒドロアベルメクチンB1a及び22,23-ジヒドロアベルメクチンB1bとしても知られている。アイバメクチンは、少なくとも80%の22,23-ジヒドロアベルメクチンB1aと、20%未満の22,23-ジヒドロアベルメクチンB1bとを含む。この活性剤は、細菌Streptomyces avermitilisによって生産される大環式ラクトンの一群であるアベルメクチン類の一部である(Reynolds JEF(編) (1993) Martindale, The extra pharmacopoeia. 29版, Pharmaceutical Press, London)。
【0003】
1980年代の中ごろ、アイバメクチンは、獣医学的使用のための広範囲の抗寄生虫医薬品として提供されていた(W.C. CAMPBELL等, (1983). Ivermectin: a potent new antiparasitic agent. Science, 221, 823-828)。それはほとんどの一般的な回虫(サナダムシを除く)、ほとんどのコナダニ、及びある種のシラミに対して有効である。それは特に、無脊椎動物の神経細胞及び筋細胞に存在するグルタマート依存性クロリドチャンネルに対するかなりのアフィニティーを示す。これらのチャンネルに対するその結合は、クロリドイオンに対する膜透過性の増大を促進し、神経細胞または筋細胞の過分極を生ずる。特定の寄生虫の死を導き得る神経筋麻痺がそこから生ずる。アイバメクチンはまた、神経伝達物質GABA(ガンマ-アミノ酪酸)を含むもののような、他のリガンド依存性クロリドチャンネルと相互作用する。
【0004】
アイバメクチンはとりわけ駆虫剤である。Onchocerca volvulusによって引き起こされる眼オンコセルカ症の治療、胃腸内糞線虫(線虫症)の治療(製品Stromectol(登録商標))、及びヒトのかさぶたの治療(Meinking TL等, N Engl J Med 1995 Jul 6; 333(1): 26-30 The treatment of scabies with ivermectin)、並びにWuchereria bancroftiによるリンパ性フィラリアに罹患している患者におけるミクロフィラリア血症の治療、診断、予測において、ヒトについてすでに記載されている。
【0005】
米国特許第6,133,310号は、アイバメクチンと水との混合物からなるローションの原型の形態における局所的なアイバメクチンの使用を開示し、更に一部として、アイバメクチンと、プロピレングリコールまたはラウリル硫酸ナトリウムのような賦形剤との混合物からなるクリームの原型の可能性を言及しているが、そのような製薬組成物は記載していない。これらの混合物は、概念の立証の初期の結果の文脈で使用される実験的調製物に対して類似する。実際、当該特許で開示されたエレメントは、特に良好な化粧品特性と、産業上の医薬品のための十分に長い貯蔵寿命(最低2年)を有する、アイバメクチンを含む産業的に許容可能な製薬組成物の容易性に関して、当業者に対して何の教示をも与えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,133,310号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Reynolds JEF(編) (1993) Martindale, The extra pharmacopoeia. 29版, Pharmaceutical Press, London
【非特許文献2】W.C. CAMPBELL等, (1983). Ivermectin: a potent new antiparasitic agent. Science, 221, 823-828
【非特許文献3】Meinking TL等, N Engl J Med 1995 Jul 6; 333(1): 26-30 The treatment of scabies with ivermectin
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒトにおけるこれらの全ての使用が、経口投与または実験的調製物の使用に制限されていたにも関わらず、本出願人は、アイバメクチンを含むヒトの治療を企図した局所的製薬組成物を開発した。更に本出願人は、驚くべきことに、本発明に係る組成物が、特に各種のpHでの非常に良好な安定性と、皮膚に対する良好な慣用を示すことに注目した。実際、それは皮膚科学的疾患の治療に特に適しており、とりわけしゅさの治療に非常に適していることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題は、しゅさの治療を企図した局所的製薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用、アイバメクチンを含むヒトへの使用を企図した局所的製薬組成物、及びしゅさの治療のためのこれらの局所的製薬組成物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るアイバメクチンは、少なくとも80%の22,23-ジヒドロアベルメクチンB1aと、20%未満の22,23-ジヒドロアベルメクチンB1bとを含む。
【0011】
本発明によって使用できる製薬組成物は、皮膚の治療に企図され、液体、ペースト状、または固体形態で存在して良く、とりわけ軟膏、クリーム、乳液、ポマード、パウダー、浸液パッド、合成洗剤、ぬれペーパー、溶液、ゲル、スプレー、フォーム、懸濁物、ローション、スティック、シャンプー、または洗浄ベースの形態で存在して良い。それはまた、ミクロスフェアまたはナノスフェアの懸濁物、あるいは液体またはポリマー状ベシクルまたはポリマー状パッチ、及び制御放出のためのヒドロゲルの形態で存在して良い。局所適用のためのこの組成物は、無水形態、水性形態、またはエマルションの形態で存在して良い。
【0012】
本発明の好ましい変形例では、本発明に係る製薬組成物は、クリーム若しくはローションのエマルション、ゲル、または溶液の形態で存在する。
【0013】
より好ましくは本発明に係る組成物は、エマルションの形態で存在する。
【0014】
当該技術分野で記載された従来のエマルションは、二つの混和しない液体の不安定な視覚的に均一な系であり、液体の一方は細かな小滴(ミセル)の形態で他方の液体に分散している。この分散物は、構造と界面での力の割合を修正し、それ故表面張力エネルギーを減少することによって分散物の安定性を増大する界面活性剤−乳化剤の作用により安定化されている。
【0015】
界面活性剤−乳化剤は、油に対する親和性を有する疎水性成分と、水に対する親和性を有する親水性成分とを有する両親媒性化合物であり、かくして二つの相の間で結合を形成する。それゆえイオン性または非イオン性乳化剤は、界面への吸収によって油/水エマルションを安定化し、液晶のラメラ相を形成する。
【0016】
非イオン性界面活性剤の乳化力は、分子の極性に緊密に連動している。この極性は、HLB(親水性/親油性バランス)によって定義される。従来のエマルションは一般的に、界面活性剤の混合物によって安定化されており、それらのHLBは非常に多様であることができるが、混合物中でのそれらの割合は、脂肪相の乳化に必要とされるHLBに対応する。
【0017】
本発明に係る組成物は、このタイプの成分を含むであろう。
【0018】
本発明に係る組成物は、以下に記載される実施例に示されるように、環境温度より高温(例えば45-55℃)でさえ、経時的に良好な物理的及び化学的安定性を示す点で、安定なエマルションとして記載されている。
【0019】
本発明に係るエマルション中のアイバメクチンは更に、驚くべきことに、pHが変化する場合でも良好な化学的安定性を示す。
【0020】
本発明に係る組成物は、有利には、
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)活性剤のための一つ以上の溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類);及び
e)水
を含むエマルションである。
【0021】
とりわけ本発明に係る組成物は、
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)活性剤のための一つ以上の溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類);
e)一つ以上のゲル化剤(類);及び
f)水
を含むエマルションである。
【0022】
本発明に係る組成物の油性相は、例えば植物油、鉱物油、動物油、または合成油、シリコーン油、ゲルベアルコールまたは他の物質、及びこれらの混合物を含んで良い。
【0023】
鉱物油の例として、例えば各種の粘度のパラフィン油、例えばEsso社により市販されているPrimol 352、Marcol 82、またはMarcol 152が挙げられる。
【0024】
植物油として、アーモンド油、ヤシ油、ダイズ油、ゴマ油、及びヒマワリ油が挙げられる。
【0025】
動物油として、ラノリン、スクアレン、御油、及びミンク油が挙げられる。
【0026】
合成油として、エステル、例えば特にCognis France社によりCetiol SNの名称で市販されているセテアリールイソノナノアート、ジイソプロピルアジパート、例えばISF社によりCeraphyl 230の名称で市販されている製品、イソプロピルパルミタート、例えばCroda社によりCrodamol IPPの名称で市販されている製品、またはカプリル酸カプリン酸トリグリセリド、例えばHuls/Lambert Riviere社により市販されているMiglyol 812が挙げられる。
【0027】
シリコーン油として、ジメチコーン、例えばDow Corning 200 fluidの名称で市販されている製品、またはシクロメチコーン、例えばDow Corning社によりDow Corning 244 fluidの名称で市販されている製品、若しくはSACI-CFPA社によりMirasil CM5の名称で市販されている製品が挙げられる。
【0028】
他の脂肪物質としては、ステアリン酸のような脂肪酸、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びセチルアルコールのような脂肪アルコール、またはそれらの誘導体、ミツロウ、カルナウバワックス、またはカンデリラワックスのようなワックス、及びゴム、特にシリコーンゴムが挙げられる。
【0029】
油性相の成分は、例えば稠度またはきめの所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者によって各種の態様で選択されて良い。
【0030】
本発明に係る組成物の油性相は好ましくは、合成油及び/またはシリコーン油を含む;合成油として、Croda社によりCrodamol IPPの名称で市販されている製品のようなイソプロピルパルミタート、またはCroda社によりCrodamol IPMの名称で市販されている製品のようなイソプロピルミリスタートが好ましい;シリコーン油として、ジメチコーンが好ましい。
【0031】
本発明に係るエマルションの油性相は、組成物の全重量に対して3から50重量%の間、好ましくは6から20重量%の間の含量で存在して良い。
【0032】
本発明に係る組成物は、界面活性剤−乳化剤を含む。これらの化合物の中では、例として、UNIQEMA社によりArlacel 165FLの名称で、またはSEPPIC社によりSimulsol 165の名称で市販されているグリセリル/PEG100ステアラート;UNIQEMA社製のArlatone 983のようなポリオキシエチレン化脂肪酸エステル、またはUNIQEMA社によりBrij721の名称で市販されているポリエチレン化(21)ステアリルアルコールと組み合わせた、Brij72の名称で市販されているポリオキシエチレン化(2)ステアリルアルコール;ICI社によりArlacel 80の名称で市販されている、またはCroda社によりCrill 4の名称で市販されているソルビタンオレアート、ICI社によりArlacel 83の名称で市販されている、またはSEPPIC社によりMontane 83の名称で市販されているソルビタンセスキオレアート、またはソルビタンイソステアラートのようなソルビタンエステル;脂肪アルコールエーテルが挙げられる。
【0033】
本発明に係る組成物は有利には、組成物の全重量に対して15重量%まで、好ましくは2から12重量%、とりわけ2から6重量%の適切な界面活性剤−乳化剤を含む。
【0034】
本発明に係る組成物は、組成物の全重量に対して0.001から10重量%のアイバメクチンを含む。好ましくは本発明に係る組成物は、組成物の全重量に対して0.1から5重量%のアイバメクチンを含む。
【0035】
活性剤アイバメクチンのための溶媒及び/または浸透促進剤の例として、プロピレングリコール、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール、N-メチル-2-ピロリドン、またはDMSO、ポリソルバート80、フェノキシエタノール、及びこれらの混合物が好ましくは挙げられる。
【0036】
以下の表は、各種の溶媒中のアイバメクチンの溶解度を説明する:
【表1】

【0037】
本発明の組成物は、0.1から20%、好ましくは1から10%の活性剤アイバメクチンのための溶媒及び/または浸透促進剤を含む。
【0038】
本発明に係る組成物は、組成物の全重量に対して0.01から5重量%の範囲で、水性相ゲル化化合物を含んでも良い。本発明に係る組成物で使用できるゲル化剤として、カルボキシビニルポリマー(カーボマー)が挙げられ、非制限的な例として、カーボマー、カルボポール981、カルボポールETD 2020、カルボポール980.カルボポールUltrez 10 NF、及びペミュレンTR1が挙げられ、NOVEON社により市販されている。
【0039】
水性相ゲル化剤として、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロース;キサンタンゴム、アルミニウム/マグネシウムシリカート、例えばVanderbilt社により市販されているVeegum KまたはVeegum Ultra、ゴアゴム等、ポリアクリルアミド、例えばポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/レラウレス-7の混合物、例えばSEPPIC社によりSepigel 305の名称で市販されているもの、またはSimulgel 600PHAの名称で市販されているアクリルアミド、AMPSコポリマー分散物40%/イソヘキサデカン混合物、またはNational Starch社製のStructure Solanaceのような変性デンプンのファミリー、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本発明の組成物は好ましくは、0.01から5%、好ましくは0.1から3%のゲル化剤を含む。
【0041】
本発明に係るゲル化剤として、カーボマー、好ましくはペミュレンTR1、またはVeegum Kのようなアルミニウム/マグネシウムシリカートが好ましくは挙げられる。
【0042】
本発明に係る組成物は、組成物の全重量に対して30から95重量%、好ましくは60から80重量%の範囲の水を含む。本発明に係る組成物で使用される水は、好ましくは精製水である。
【0043】
本発明に係る製薬組成物はまた、
− 香味促進剤;
− 防腐剤;
− 安定化剤;
− 湿度調節剤;
− pH調節剤;
− 浸透圧調節剤;
− UV−A及びUV−Bスクリーニング剤;及び
− 抗酸化剤
のような、不活性添加剤またはこれらの添加剤の組合せを含んでも良い。
【0044】
もちろん当業者は、これらの組成物の添加される任意の化合物(類)を選択するのに注意を払い、本発明に固有に関連する有利な特性が、考慮される添加によって改変されない、または実質的に改変されないようにするであろう。
【0045】
これらの添加剤は、組成物の全重量に対して0.001から20重量%で組成物中に存在して良い。
【0046】
本発明に係る組成物は有利には、
a)6から20%の油性相;
b)2から12%の界面活性剤−乳化剤;
c)0.1から5%のアイバメクチン;
d)0.1から20%の溶媒;
e)0.01から5%のゲル化剤;及び
f)水
を含むエマルションである。
【0047】
pHは好ましくは6.0から6.5の間である。混合物の自然なpHの検証、及び中和剤の溶媒との考え得る相関関係、及び任意の添加剤の導入は、上述の調製方法の工程の一つの間で、化学的性質に従って実施されて良い。
【0048】
本発明によって使用できる組成物の例は、実施例1から6に説明されている。
【0049】
本発明の主題は、
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)活性剤のための一つ以上の溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類);及び
e)水
を含むエマルションであることを特徴とする、ヒトへの使用を企図した局所組成物である。
【0050】
とりわけこの組成物は、
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)活性剤のための一つ以上の溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類);
e)一つ以上のゲル化剤(類);及び
f)水
を含んで良い。
【0051】
好ましくは前記組成物は、
a)6から20%の油性相;
b)2から12%の界面活性剤−乳化剤;
c)0.1から5%のアイバメクチン;
d)0.1から20%の溶媒;
e)0.01から5%のゲル化剤;及び
f)水
を含む。
【0052】
各成分は上述の通りである。
【0053】
実施例1から6の組成物は、本発明に係る組成物を例証する。
【0054】
本発明の主題はまた、皮膚科学的疾患の治療を企図した製薬調製物の製造のための、本発明に係る組成物の使用である。
【0055】
本発明に係るヒトへの使用のための局所的製薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用は、特にしゅさ、一般的なアクネ(尋常性座瘡)(common acne)、脂漏性皮膚炎、口周囲の皮膚炎、アクネ様の発疹、一過性棘融解性皮膚症、及び粟粒性壊疽性ざ瘡の治療のために特に企図される。
【0056】
本発明に係るヒトへの使用のための局所的製薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用は、とりわけしゅさの治療のために企図される。
【0057】
アイバメクチンを含む組成物の各種の製剤、及び本発明に係る組成物で得られる安定性及び寛容の結果が、例証のために与えられるが、それらは制限的な性質を有するものではない。
【実施例】
【0058】
実施例1:組成物1
実施例1から4は、以下の方法に従って製剤化される:
【0059】
第一の適切な容器で、水性相を計量し、700rpmで混合し、65-70℃に加熱する。
【0060】
第二の適切な容器で、油性相を計量し、425-475rpmで混合し、70-75℃に加熱する。
【0061】
第三の適切な容器で、活性相を計量し、60-64℃に加熱する。
【0062】
油性相と水性相が70℃になった際に、完全に均一になるまで900rpmでRayneri攪拌しながら二つの相を混合し、次いで冷却する。
【0063】
エマルションを55-60℃に冷却し、600rpmで攪拌しながら活性相を添加する。600rpmで30℃に冷却する。
【0064】
pHを6.0に調節する。
【0065】
【表2】

【0066】
実施例2:組成物2
【表3】

【0067】
実施例3:組成物3
【表4】

【0068】
実施例4:組成物4
【表5】

【0069】
実施例5:組成物5
実施例5及び6は、以下の方法に従って製剤化される:
【0070】
− 水性相
第一のビーカーで、均一なゲルが得られるまで800rpmでRayneri攪拌して、水中にアクリラート/C10-30アルキルアクリラートクロスポリマーを滴下する。65℃−70℃に加熱を始め、次いでグリセロールと添加剤を添加する。
【0071】
− 油性相
第二のビーカーで、油性相の成分を導入し、70℃−75℃に過熱し、400rpmでRayneri攪拌して均一化する。
【0072】
− 活性相
第三のビーカーで、活性相の成分(溶媒+添加剤)を計量する。
【0073】
約500rpmで均一化し、磁性バーを導入する。
【0074】
計量ボートでアイバメクチンを計量し、それを活性相を含むビーカーに導入する。
【0075】
アイバメクチンが溶解するまで、このビーカーを磁性スターラーにかける。
【0076】
油性相と水性相が70℃になった際に、10分間900rpmでRayneri攪拌して二つの相を混合する。
【0077】
エマルションを40℃に冷却し、10分間800rpmでRayneri攪拌して活性相を添加する。
【0078】
体積を十分量の水で増やし、pHを6.3+/-0.3に調節する。
【0079】
【表6】

【0080】
実施例6:組成物6
【表7】

【0081】
実施例7:実施例5及び6に記載の組成物の安定性の実施例
HPLCによる外的な較正により、活性剤をアッセイする。
【0082】
【表8】

【0083】
この結果を、理論値に対する回収%として表し、時間の関数として組成物中のアイバメクチンの非常に良好な化学的安定性が示される。
【0084】
実施例8:実施例5の組成物中のpHの関数としてのアイバメクチンの化学的安定性の測定
【0085】
【表9】

【0086】
これらの結果は、pHの関数として、組成物中のアベルメクチンの非常に良好な化学的安定性を示している。
【0087】
実施例9:実施例5の組成物の寛容と許容性の研究
ランダム化した単一盲目被験者間実験を、しゅさに罹患する傾向を有する皮膚の15人の被験者で実施した。実施例5の組成物を、ゲルと本発明に係る組成物とは異なる組成を有するエマルションとで比較して試験した。
【0088】
被験者に、各種の適用を実施するために三回彼ら自身で試験した。各訪問のそれぞれの過程で、3種の製品の二つをそれぞれの顔面を覆うように適用した。各製品を研究の間で二度試験した。適用後及び各訪問で、試験されるそれぞれの製品について、被験者は臨床上の寛容と化粧品の許容性を評価するために、アンケートを埋めた。
【0089】
以下の臨床上の寛容のパラメーターを評価した:ヒリヒリ感、火照り、乾燥肌、引き締め、またはかゆみ。
【0090】
以下の化粧品の許容性のパラメーターを評価した:クリーミー、きめ、脂っぽいべとつき感の欠如、滋養性、快適感、及び柔軟な触り心地。
【0091】
全ての寛容のパラメーターについて、本発明に係る組成物は、二つの他の組成物と同程度に、被験者によって十分に寛容と評価された。
【0092】
一般的に、全ての許容性のパラメーターについて、試験された場合の76.66%で実施例5の組成物に関して、各パラメーターについて被験者は承認を与えた(良好または優れている)。それ故この製剤は、66.66%の承認を有するゲル−クリーム組成物、及び63.32%の承認を有する他のエマルションと区別される傾向を有する。
【0093】
実施例10:21日間にわたる刺激の研究
上述の実施例で試験された3種の組成物によって誘導される刺激を試験するために、21日間にわたる刺激の研究を実施した。試験された条件下で刺激性と考慮された製品は存在しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
しゅさの治療を企図した局所的医薬組成物の製造のためのアイバメクチンの使用であって、前記組成物が
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、N-メチル-2-ピロリドンまたはDMSO、ポリソルバート80、フェノキシエタノールから選択され、かつ、プロピレングリコールを含む、活性剤のための溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類)の混合物;及び
e)水
を含むエマルションの形態にある、使用。
【請求項2】
前記組成物が、組成物の全重量に対して0.001から10重量%のアイバメクチンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が、さらに一つ以上のゲル化剤(類)を含むエマルションであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記油性相が合成油及び/またはシリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記合成油がイソプロピルパルミタートまたはイソプロピルミリスタートであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記界面活性剤−乳化剤がグリセリル/PEG100ステアラート、ポリオキシエチレン化脂肪酸エステル、ポリエチレン化(21)ステアリルアルコールと組み合わせたポリオキシエチレン化(2)ステアリルアルコール、ソルビタンオレアート、ソルビタンセスキオレアートもしくはソルビタンイソステアラートのようなソルビタンエステル、または脂肪アルコールエーテルから選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記ゲル化剤がカーボマーまたはアルミニウム/マグネシウムシリカートから選択されることを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【表1】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項9】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【表2】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項10】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【表3】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項11】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【表4】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項12】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【表5】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項13】
前記組成物が、水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【表6】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項14】
a)脂肪物質を含む油性相;
b)少なくとも一つの界面活性剤−乳化剤;
c)アイバメクチン;
d)プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、N-メチル-2-ピロリドンまたはDMSO、ポリソルバート80、フェノキシエタノールから選択され、かつ、プロピレングリコールを含む、活性剤のための溶媒(類)及び/または浸透促進剤(類)の混合物;及び
e)水
を含むエマルションであることを特徴とする、ヒトでの使用を企図した局所的医薬組成物。
【請求項15】
さらに一つ以上のゲル化剤(類)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物の全重量に対して0.001から10重量%のアイバメクチンを含むことを特徴とする、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表7】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項18】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表8】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項19】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表9】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項20】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表10】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項21】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表11】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項22】
水中に以下のものを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【表12】

(数値は組成物の全重量に対する重量%である)
【請求項23】
皮膚科学的疾患の治療を企図した医薬品の調製のための、請求項14から22のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項24】
前記医薬品がしゅさ、尋常性座瘡、脂漏性皮膚炎、口周囲の皮膚炎、アクネ様の発疹、一過性棘融解性皮膚症、及び粟粒性壊疽性ざ瘡の治療のために企図されることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記医薬品がしゅさの治療のために企図されることを特徴とする、請求項23または24に記載の使用。

【公開番号】特開2012−126738(P2012−126738A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65724(P2012−65724)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2006−505405(P2006−505405)の分割
【原出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500247183)ガルデルマ・ソシエテ・アノニム (29)
【Fターム(参考)】