説明

皮膚組織切開器具用キャップ

皮膚組織切開器具(ハウジングとハウジングに対して移動可能なランセットとを含む。)に用いるためのキャップ(2)は、ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口(10)とを含んでいる。キャップの遠位の端部は皮膚組織と係合するための部分を含んでいる。これらの部分(14)はキャップが皮膚組織と接触して皮膚組織に向けて押されたときに弾力的に変形し皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である。皮膚組織から流体のサンプル(例えば、血液)を収集するための方法は、ハウジングと、キャップ(2)と、ハウジングおよびキャップ(2)に対して移動可能なランセットとを備えた皮膚組織切開器具を提供する過程を含む。キャップ(2)は、ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口とを含んでいる。キャップ(2)の遠位の端部は皮膚組織と係合するための弾力的に変形可能な部分を含んでいる。次に、キャップ(2)は弾力的に変形可能な部分が皮膚組織と係合するように皮膚組織(例えば、指先、四肢、または腹部の皮膚組織)と接触するようにされる。次に、キャップ(2)は少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して互いに近づいて皮膚組織に膨張部を形成するように皮膚組織に向けて押される。次に膨張部は切開されて液体のサンプルが収集される刺し穴が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大まかに言って皮膚組織切開器具に関し、より詳しく言うと皮膚組織切開器具用キャップおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の用途のランセットは大まかに言って硬い本体と一時的にランセットの一端から突出するように撃鉄を起こされて発射される滅菌針とを有する。従来の切開器具ではランセットは長手方向のハウジング内に取り付けられていてハウジングに対して長手方向の軸に沿って動く。典型的にはランセットはばね付勢されていてばねを解除すると長手方向の軸に沿って駆動されて皮膚組織を刺す(すなわち、「切開」または切断する)。次に血液サンプルがサンプルを収集するために穿刺された指、または体のその他の領域を搾る(すなわち「ミルキング」する)ことによって穿刺された皮膚組織から搾り出される。
【0003】
ランセットは皮膚組織を刺し通して刺し穴から典型的には血液である流体のサンプルを産出してその流体のサンプルをグルコースなどの検体を検査するために収集できるようにする。次に血液は検査収集器具(例えば試験紙)に移送される。この検査収集器具は完全に別個のサンプル収集および計量システムの一部であってよく、または、本明細書に参照文献としてその全体が引用される国際出願PCT/GB02/03772号(2003年2月27日に国際公開第WO03/015627号パンフレットとして公開された。)に開示されているように組み合わされた切開および計量システムの一部でもよい。
【0004】
血液は毛細血管が存在するために大体において豊富な供給源が存在する指先から最も広く収集される。しかし、指先には神経が密集しているので多くの患者がかなりの痛みを感じることがある。耳たぶ、手のひら、四肢、腹部などの代わりの部位では痛みをより感じにくいのでこれらの代わりの部位からサンプル収集が行われることがある。しかし、同時にこれらの代わりの部位は指先と同じようには十分な量の血液を供給しない。これらの代わりの部位を用いることによって特に組み合われた切開および計量システムが使用される場合に血液を直接検査器具に移送するのが難しくなる。
【0005】
皮膚組織を刺した後に従来の切開器具はかたわらに置かれ、使用者が刺された傷から血液を搾る。この方法は切開器具用の清潔な保管部位と両手での2ステップの操作を必要とする。血液の滴が切開部位から搾り出されると、使用者は血液を試験紙または適切なメーターに移す。
【0006】
従来の切開器具は例えば、アメリカ合衆国カリフォルニア州ミルピタスのライフスキャン・インコーポレイテッド(LifeScan, Inc.)、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタ・クルズ(Santa Cruz)のパルコ・ラボラトリーズ(Palco Laboratories)、アメリカ合衆国カリフォルニア州アラミダのセラセンス(Therasense)、アメリカ合衆国カリフォルニア州スコッツ・バレーのアミラ・メディカル(Amira Medical)から販売されている。従来の切開器具はモリタ(Morita)に付与された米国特許第5,730,753号、テイラーら(Taylor et al.)に付与された米国特許第6,045,567号、ダグラスら(Douglas et al.)に付与された米国特許第6,071,250号に記載されていて、これらの米国特許の各々は本明細書で参照文献として引用される。
【0007】
さらに、典型的な切開器具は皮膚組織に係合し発射されたランセットを通過させるキャップを含むことが多い。したがって、そのキャップは孔(すなわち開口)を有し、その孔を発射されたランセットが通過する。典型的には、キャップの遠位の端部が発射直前に皮膚組織に接触して配置される。
【0008】
従来のキャップを備えた皮膚組織切開器具が皮膚組織と接触して配置されると、小さな圧力が典型的にランセットを発射する前に使用者によって加えられる。この圧力はキャップを皮膚組織に対して皮膚組織の表面にほぼ垂直な向きに押し下げる。少量の皮膚組織が孔を通って膨張部(bulge)を形成し、膨張部に向けてランセットが発射されて刺し穴が形成される。それでも典型的にはキャップおよび切開器具を皮膚組織から取り除いたときに血液が現れない。試験紙に導入し後に計量器具によって測定するために十分に大きい血液の一滴を生み出すためには、刺し穴の周りの領域を使用者が搾らなければならない。
【0009】
切開された傷に隣接した皮膚を後に操作せずに切開針を用いて0.5μlを超える血液のサンプルを確実に得られないことがある。より多くの量の血液を得るために、圧力(ポンピングまたはミルキング動作など)が通常は切開された傷に隣接する皮膚に加えられて、切開された傷を通ってさらに血液が流れ出るようにされる。いくつかの器具では器具を再配置せずに切開と切開によって生み出された血液の検査セルへの移送とを一体化されたユニットとして結合している。そのような器具のひとつは検査される部位の皮膚組織に配置される血液グルコース測定メーターである。これらの器具は効率のよいポンピング動作に十分なほどには検査部位を露出しない。切開の傷を真空にすることが行われてきたが、高い信頼性で実施することが困難である。
【0010】
これは使用者が計量器具の側に横になり刺し穴の領域を搾り計量器具を摘み上げる前に血液を生み出し、計量器具を新たに生み出された血液の一滴と接触させることが必要なことを意味する。
【0011】
したがって、この分野では、切開された領域を後に操作する(例えば、搾るおよび/またはミルキングする)ことなく使用者が流体のサンプルを得ることができるようにする皮膚組織切開器具用のキャップが必要とされている。さらに、そのキャップはさまざまな検査部位(例えば、指先、四肢、および腹部)で用いることができなければならない。
【発明の開示】
【0012】
本発明の実施の形態は、使用者が切開された領域を搾るおよび/またはミルキングするなどの後の操作を行わずに流体のサンプル(例えば、血液のサンプル)を得ることができるようにする皮膚組織切開器具と共に用いるためのキャップを含む。本発明の実施の形態に基づくキャップは、さまざまな検査部位(例えば、指先、四肢、および腹部)で用いることができる。本発明の別の実施の形態は、切開する過程の後に切開された領域を搾るおよび/またはミルキングする操作を必要としない皮膚組織切開器具を用いて流体のサンプルを収集する方法を含む。
【0013】
本発明の例示的な実施の形態に基づくキャップは、ハウジングおよびランセットを含む皮膚組織切開器具と共に用いるように適合されている。ランセットはハウジングに対して動くようになっている。キャップは、ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口(すなわち、孔)とを含んでいる。キャップの遠位の端部は皮膚組織と係合するための第1の部分および第2の部分を少なくとも含んでいる。第1の部分および第2の部分はキャップが皮膚組織に接触して皮膚組織に向けて押されたときに第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して皮膚組織に係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である。
【0014】
本発明の例示的な実施の形態に基づく皮膚組織から流体のサンプル(例えば血液のサンプル)を収集する方法は最初に皮膚組織切開器具を提供する過程を含む。そのように提供される皮膚組織切開器具は、ハウジングと、ハウジングに対して動くことができるランセットと、キャップとを含んでいる。キャップ自体は、ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口(すなわち孔)とを含んでいる。さらに、キャップの遠位の端部は皮膚組織と係合するための第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分を少なくとも含んでいる。
【0015】
次に皮膚組織切開器具のキャップは少なくとも第1の部分および第2の部分が皮膚組織と接触するように皮膚組織(例えば、流体のサンプルが収集される指先、腹部、またはその他の領域の皮膚組織)と接触させられる。次に、キャップは少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して互いに近づくように皮膚組織に向けて(例えば予め決められた力で)押される。そのように第1の部分および第2の部分が近づくことによって、例えば皮膚組織切開器具の開口の寸法が減少して皮膚組織に膨張部が形成される。次に膨張部はランセットを用いて切開されて膨張部に刺し穴が形成され、その刺し穴からは流体のサンプルが収集される。
【0016】
本発明の特徴および利点が、本発明の原理が利用された例示的な実施の形態を記載した以下の詳細な説明および類似の参照符号が類似の要素、対象物、および力を示している添付の図面を参照してより良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1Aは皮膚組織切開器具(図示されていない)と共に用いるための本発明の例示的な実施の形態に基づくキャップ2の斜視図であり、図1Bはキャップ2の底面(端面)図である。図1Aおよび図1Bの実施の形態では、キャップ2は(柔軟なキャップ本体のような)キャップ本体4およびリテーナ6を含んでいる。しかし、本明細書の開示内容から当業者はリテーナ6を含まない別のキャップの実施の形態を思いつくことができるだろう。例えば、(1)相対的により弾力的に変形可能な材料で作られた皮膚組織に係合するための遠位の端部と(2)相対的により弾力的に変形可能でない材料で作られた皮膚組織切開器具に係合するための近位の端部とを有する弾力性の変化する(例えば、ステップ状に弾力性が変化するまたは徐々に弾力性が変化する)キャップ本体がリテーナなしで用いられる。
【0018】
キャップ本体4は開口10(キャップ本体4の内側エッジ26で画定された。)および皮膚組織係合部14を含んでいる。リテーナ6はステム8を含んでいる。キャップ本体4およびリテーナ6のその他の特徴は図1A、図1B、図2Aから図2D、図3、および図4と共に以下に記載される。
【0019】
キャップ2は切開の後の皮膚組織を搾るおよび/またはミルキングするなどの操作を行わずに皮膚組織の切開の傷(例えば刺し穴)から体液のサンプルが容易に流れ出るようにするように構成されている。図1Aおよび図1Bの実施の形態では、キャップ本体4はエラストマー材料で作られている。使用中、キャップ本体4はキャップ本体4の開口10(孔とも呼ばれる。)を通して切開されるべき皮膚組織の領域を取り囲む。開口10の直径はキャップ本体4が緩んだ状態のときに図1Aの距離12aとして示されている。
【0020】
図1Aおよび図1Bの実施の形態では、内側エッジ26は円形の開口10を画定しているが、開口10の形状は以下に限定されないが正方形、三角形、C形、U形(したがって例えば現場で(in−situ)血液のサンプルを試験紙に移送できるようにするために試験紙によって横から開口にアクセスできるようにする。)、六角形、および八角形を含む任意の適切な形状であってよい。さらに、キャップ本体4は2個に限定されない複数の弾力的に変形可能なセグメント(すなわち部分)を有していてよく、その複数のセグメントの遠位の端部は皮膚に接触し、圧縮されたときにこれらのセグメントが弾力的に変形して皮膚組織に膨張部を形成する。好ましくは、しかし必須ではなく、これらのセグメントは弾力的に変形して皮膚組織に膨張部を形成するように同調して互いに近づく。しかし図1Aおよび図2Aの実施の形態は、皮膚に係合してキャップ2のキャップ本体4を圧縮したときに皮膚に膨張部を形成するための皮膚組織係合部14だけでなく、皮膚を通過させる連続した内側エッジ26を備えた開口10をも有する。
【0021】
リテーナ6はキャップ2を皮膚組織切開器具のハウジング(図示されていない。)に結合するためのステム8を必要に応じて含む。必要な場合には、ステム8はハウジングの対応するねじ山に螺合するねじ山が形成されていてよい。以下に限定されないがスナップ嵌め結合、およびテレスコープ型結合を含む代わりの結合機構が用いられてもよい。実際、切開の方向(ランセットの動く方向)に沿ってキャップ2をハウジングに対して調節して動かすことによって、休止位置のランセットに対するキャップ本体4の開口10の位置を制御できるが、ステム8はハウジングに固定して結合されていてよい。
【0022】
図1Aおよび図1Bの実施の形態では、キャップ本体4はエラストマー材料で作られていて、リテーナ6に挿入して使用するために容易に弾力的に変形する。したがって、使用者はキャップ本体の両側(例えば、基部表面18)を同時に搾り変形したキャップ本体をリテーナに挿入でき、キャップ本体はその後本質的に変形していない形状に戻って使用できる状態になる。図1Aおよび図1Bの実施の形態では、キャップ本体4は(以下に詳しく記載されるように)リテーナ6に回転しながら滑り嵌めされる。
【0023】
キャップ本体4は開口10を取り囲んで同中心に配置された複数の突出したリッジの形態の皮膚組織係合部14を含んでいる。粗い表面、その他の形態の突出部、凹部などの代わりの皮膚組織係合部を当業者は本明細書の開示内容から思いつくことができる。
【0024】
図2Aは最初の緩んだ、変形していない、圧縮されていない状態のキャップ本体4の斜視断面図であり、図2Bはそのようなキャップ本体4の斜視図である。代わりに、最初の(すなわち使用前の)状態のキャップ2が部分的に圧縮されている(例えばリテーナ6の範囲内で部分的に圧縮されている)実施の形態が当業者には思いつくことができる。キャップ本体4の断面16は例えばほぼ正方形でしたがって断面の高さは断面の幅とほぼ同じ寸法である。キャップ本体4の円筒形の内側面22の遠位の端部は開口10の内側エッジ26を画定する。キャップ本体4の第2の内側面20は切頭円錐形の形状を有し、その近位の端部で内側面22と接し、その遠位の端部でキャップ本体4の基部表面18に接している。基部表面18はほぼ円筒形の形状の外側面24と接している。
【0025】
キャップ2の開口10は典型的には円形である。正方形、三角形、長方形、六角形、八角形、または皮膚と係合するのに適したその他の任意の形状のような代わりの適切な開口の形状が当業者には思いつくことができ、別個のセグメント(すなわち別個の部分)すなわちフィンガ部を含むキャップを用いることができ、それら別個のセグメントの端部は本質的に開口の少なくとも一部を画定して圧縮されたときに弾力的に変形して開口内に切開のための目標の膨張部を形成する。
【0026】
図2Cおよび図2Dは駆動された(すなわち圧縮された)状態のキャップ本体4を示している。キャップ本体4が部分的にまたは完全に圧縮されると(例えば切開のために使用中に皮膚組織(すなわち皮膚)と接触し皮膚組織に向けて押されることによって)、開口10は緩んだ状態または部分的に圧縮された状態のキャップ本体4の直径12aよりも短い直径12bを有する。同様に皮膚組織係合部14の直径はキャップ本体4を圧縮すると短くなる。
【0027】
図1A、図1B、図2Aから図2D、図3、および図4を参照すると、切開中に、使用者は切開器具をしたがってキャップ2を皮膚(すなわち検査部位とも呼ばれる皮膚組織の目標部位)に向けて押す。そのように切開器具およびキャップを押すことによって皮膚組織にほぼ垂直な力が弾力的に変形可能なキャップ本体4に加わり、開口10が皮膚の表面に隣接するようになる。この力がキャップ本体4を変形(すなわち圧縮)し、内側エッジ26および皮膚組織係合部14を半径方向内向きに動かし、開口10の寸法を直径12bに縮める。縮小された開口10に囲まれた皮膚に膨張部が形成され、膨張部が切開された後に、切開された領域を搾るおよび/またはミルキングするなどの操作を行わずに体液(例えば血液)が刺し穴から流れ出る。生み出される血液の量を増加するために、切開が行われた後の予め決められた期間に亘って力(すなわち切開後圧力)が切開器具/キャップから皮膚に継続して加えられてよい。切開後圧力が加えられる期間が長いほどより多くの血液が一般的に生み出される。生み出される血液の量は切開の前に予め決められた期間に亘って同様の力(すなわち切開前圧力)を加えて保持することによってもさらに増加できる。当業者は切開前圧力および/または切開後圧力の期間のさまざまな組み合わせを実験することによって生み出される血液の量を最適にすることができる。検体を検査するため(例えばグルコース濃度の検査のため)に用いられる十分な量の血液を生み出すための好ましい切開後圧力の期間は約5秒間である。本発明に基づくキャップはグルコースのような検体を測定するための組み合わされた切開および計量器具に用いるのに特に適している。より詳しく言うと、本発明に基づくキャップは、切開の後にサンプルを生み出すために切開された領域を搾るおよび/またはミルキングするために器具を再配置する必要がないので、現場で(in−situ)検体を測定する器具に用いるのに有益である。
【0028】
内側エッジ26および皮膚組織係合部14が半径方向内向きに動くことによって、皮膚、血液、および皮膚の下の真皮下組織が開口(孔)の円周の内側の膨張部に入る。そのような動きは膨張部内の圧力を高める(かなり高くする)と推測される。
【0029】
圧縮すると、キャップ本体4は第2の内側面20が基部(すなわちキャップ本体4の切開器具に最も近い近位の端部)になるように円形のエッジ点Aを中心に内向きに回動する。第2の内側面20は切頭円錐形から円盤に類似した形状へ変わる。同様に、内側面22はその円筒形の形状から切頭円錐形の形状に変わる。開口10は直径12aより短い直径12bになる(すなわち内側エッジ26の部分および皮膚組織係合部14が開口10の寸法が縮まるにつれて互いに近づく)。
【0030】
以下に拘束されないが以下の記載によって切開に対する本発明に基づくキャップの効果が説明されることが推測される。使用者によって開口10の平面にほぼ垂直に加えられた力はリテーナ6のキャップ本体4に対する作用によって皮膚組織に半径方向内向きに作用する力に変換される。これは図3により明瞭に示されていて、図3では(図3の白抜き矢印によって示されている)向き40の力が半径方向内向きの力41(図3の黒塗り矢印によって示されている)を皮膚組織に作用させ、それによって皮膚組織に膨張部32を形成している。
【0031】
典型的には、力41はキャップ本体4が弾力的に変形する間にキャップ本体4がリテーナ6に半径方向外向きに及ぼす反作用によって生ずる。用語「弾力的に変形可能」とは、外力(例えば力41)が取り除かれるとキャップ本体4が少なくとも部分的にそしていくつかの実施の形態では完全に元の形状に復帰する(必要な場合にはリテーナが設けられていてそのリテーナの範囲内で復帰する)ことを意味している。例示のみの目的で、リテーナ6は図1Aおよび図1Bに円形で連続した形状で示されている。当業者にはリテーナ6は以下に限定されないが正方形、三角形、六角形を含む任意の適切な形状および構成でよく、または、リテーナ6はそれらの形状を画定する別個のセグメントとして形成されていてもよいことが認識される。真皮下組織および血液も膨張部内に引き込まれる。膨張部32内の皮膚組織の表面張力は膨張部に圧力を加える。さらに、内側エッジ26が設けられていることによって挟み点が、より正確には挟みリングが内側エッジ26に提供され、圧力が局部的に増加して膨張部32から血液が流れ出るのが制限される。
【0032】
開口10に明確に鋭く湾曲した内向きの内側エッジ32が設けられていることによって弾力的に変形したキャップからの圧力が開口10を横切る皮膚に直接加わるようになると推測される。開口10を横切る皮膚に直接圧力が加わることによって膨張部が形成され皮膚組織が収縮され、内側エッジを横切っている皮膚が滑って戻るのを防止しながら血液および真皮下組織が膨張部内に向けて押される。さらに、血液および真皮下組織が開口内の膨張部内に押されると、内側エッジの一部分がより圧力の高い領域および/または挟み点を形成して、膨張部を形成している皮膚の収縮によって生じた表面張力から加えられる圧力が血液および皮膚の下の真皮下組織を膨張部の外に押出すようにするのにもかかわらず血液および皮膚の下の真皮下組織が膨張部の外に出る可能性を制限すると考えられる。さらに、以下に限定されないがキャップ本体4の圧縮は2段階で起こると推測される。第1の段階では、キャップ本体4は皮膚の表面にほぼ垂直なリング状の圧力を加えて、そのリング状の圧力が圧力によって囲まれた領域に対して血液が流入および流出するのを制限する。第2の段階では、皮膚と接触する内側リングの直径が減少してキャップ本体によって既に拘束されている血液が圧力によって囲まれた領域の中心に向けてさらに運ばれ圧縮される。
【0033】
膨張部32は切開針の目標の領域の中心に配置される。さらに、膨張部が存在することによって、ランセット(例えば針タイプのランセット)が皮膚組織を穿刺したとき、その結果生み出される血液の流れは本発明の実施の形態に基づくキャップを用いずに従来の切開器具によって切開の傷から生ずる血液の流れより多い。
【0034】
エラストマー材料以外の材料も、例えば皮膚組織に本質的に垂直な力がその材料のゆがみをしたがって皮膚(すなわち皮膚組織)のゆがみを皮膚の下の血液が膨張部に向けて押されるように起こす限り、本発明の実施の形態に基づくキャップを形成するために用いることができる。例えば、キャップ本体4は変形可能なポリスチレンで作られてよい。したがって、最初に圧縮されたとき、そのようなキャップは皮膚を圧縮して本明細書に記載されているように膨張部を形成するが、さらに圧縮するとキャップ本体が半永久的に変形する。したがって、キャップ本体は一回より多く再使用されることが防止されている。これは一度目の切開作業の間に体液によって汚染され後の切開作業で再びキャップが使用されることによる汚染のリスクを低減するのに有益である。以下の記載は明瞭な例示の目的で行なわれ、限定を意図するものではない。
【0035】
キャップ本体4の回転または回動が図4に示されていて、図4ではキャップ本体4aは緩んだ状態であり、キャップ本体4bは圧縮された状態で示されている。キャップ本体4aをキャップ本体4bに圧縮すると、角度a,b,cは各々角度a1,b1,c1になる。さらに、回動点Aは回動点として働くだけでなく、半径方向外向きに動いて新たに形成された円盤形の第2の内側面20の外側の隅を形成する。したがって、開口の直ぐ外側のキャップ本体の領域は開口の中心に向けて押されて開口内に膚組織を引き寄せる。キャップ本体4の基部領域の外径は緩んだ状態の外径44aから圧縮された状態の外径44bに拡張する。
【0036】
この図面から緩んだ状態の開口10の直径12aが圧縮された状態の開口10の直径12bよりも大きいことが分かる。さらに図4からキャップ本体4が緩んだ状態のとき、キャップ本体4はリテーナ6によって形成された凹部内で自由に回転できることも分かる。このことはキャップ本体4が、キャップ本体4を単に変形させてリテーナ6に滑り込ませまたはリテーナ6から滑り出させることで、使用の準備のためにリテーナ6に容易に挿入でき、洗浄のためにリテーナ6から取り外せることを意味している。
【0037】
停止表面34(以下単に「停止部」と呼ぶ。)が切開器具に対する長手方向(すなわち、開口10を含む平面にほぼ垂直な方向)に沿ったキャップ本体4の圧縮を制限するために設けられている。典型的にはランセットはこの方向に沿って前進および後退するが、この方向と角度をなして前進および後退してもよい。
【0038】
切開器具内では、停止部を使用することによって停止部に対する、したがって開口内で突出する通常の寸法の皮膚組織の膨張部に対するランセットの休止および撃鉄を起こした位置が決定される。したがって、通常の寸法の膨張部に対するランセットが発射されて突き刺す深さが、キャップ本体が停止部に達するように十分に変形されているとき、決定されまたは見積もられる。したがって、切開部の停止部に対する位置および/またはキャップの停止部に対する位置を調節することによって、皮膚組織を切開して突き刺す深さが調節できる。試行錯誤によって、使用者は体の個々の位置に対して停止部に対する切開および/または停止部に対するキャップのどのような設定が最も少ないまたは許容できる量の不快感で適切な寸法の血液の滴を生み出すのに必要であるかを決定できる。
【0039】
さらに、当業者には使用者がキャップ本体4を皮膚組織に向けて押すと(圧縮すると)、キャップ本体4の基部領域(切開器具に最も近い領域)が半径方向外向きに動き、リテーナ6の内側面によって制限されることが適切に評価される。したがって、以下に限定されないがリテーナ6はキャップ本体4をさらに圧縮すると回動リングAが半径方向外向きに動くようにするのではなく開口10の内側エッジ26が半径方向内向きに動くように反作用力を提供していることが推測される。この特別な形態のキャップ本体は指などの比較的硬い皮膚組織にとりわけ適しているが、体のその他の部分にも用いることができる。
【0040】
図5Aは本発明に基づくキャップの別の実施の形態の斜視図であり、図5Bは端面図である。ここで、キャップ102はキャップ本体104およびリテーナ106を含んでいる。リテーナ106はステム108、マウント36、および結合リング38によって切開器具に取り付けられている。キャップ本体104は外側面124、開口110、および同中心の突出リッジの形態の一連の皮膚組織係合部114を含んでいる。
【0041】
図6Aから図6Dは緩んだ(圧縮されていない)状態および駆動された(圧縮された)状態のキャップ本体104の斜視図および斜視断面図である。キャップ本体104の断面形状116はキャップ本体14と異なる。断面はキャップ本体104が互いに弱い領域128で接する2つの内側面部分120,122を備えた形状のほぼ切頭円錐形であるように長寸である。弱い領域128はその領域でキャップ本体104の断面を薄くすることによって設けられてよい。したがって断面が変化するリングを備えたキャップ本体がある例示的な実施の形態で用いられてよい。そのような変化する断面によってキャップを潰れやすくし皮膚に膨張部が形成され易くするためのひとつまたは複数の弱い領域が(例えば、キャップ自体と同中心のリングに)形成される。内側エッジ126は(相対的に圧縮されていない状態のときの)開口の直径112aおよび(相対的に圧縮された状態のときの)開口の直径112bを画定する。開口の直径112bは開口の直径112aよりも短いことが注意されなければならない。
【0042】
リップ部117は図6Aおよび図6Cに示されているようにリテーナ106に固定して取り付けられている。図7をも参照すると、以下に限定されないが予め決められた力が使用者によって切開器具およびキャップ本体104を向き40(すなわち皮膚組織42に向けて)で加えられると、リップ部117が半径方向外向きに動くことを禁止されているので半径方向内向きに働く力41が生み出されると推定される。次にキャップ本体104は弱い領域128でそれ自体に重なるように折れ曲がり、半径方向内向きの力41は皮膚組織の表面で生み出されて膨張部132が形成される。真皮下組織133および血液は膨張部132内に押され、ある程度まで内側エッジ126の作用によって膨張部132から出るのが妨げられ、それによって膨張部132内に比較的高い圧力が保たれる。そのような膨張部を切開することによって比較的多い量の血液が生み出される。
【0043】
図8は(104aから104bへ)圧縮されたキャップ本体104の形状の変化をより詳しく示している。停止部134はキャップ本体104の高さが距離146まで短縮されるように制限している。キャップ本体104は折れ曲がりが生ずる弱い領域128を含んでいる。図8の実施の形態では、弱い領域128はその領域でキャップ本体104の断面を狭くすることによって設けられている。キャップ本体104が折れ曲がると、開口110の直径は直径112aから直径112bに縮まる。
【0044】
図9Aおよび図9Bは例としてのランセット150(同一の尺度ではない。)を示している。ランセット150から停止部134までのランセット150の移動する向きに沿った距離が符号152で示されている。キャップ本体104の折れ曲がる程度を制限する停止部134を設けることによって、キャップ内で形成される膨張部132の寸法の範囲に折れ曲がる程度が設定される。したがって、公称の膨張部の高さH(例えば、3.7mmの高さの膨張部)に対して、ランセット150が皮膚を穿刺する深さXを見積もることができる。リップ部117は図9Bに示されているようにリテーナ106の部分107aおよび部分107bの間に挟まれている。
【0045】
図10Aおよび図10Bは使用時にキャップ本体4で起こる変形をより詳しく示している。第2の内側面20が保持リングの基部(図示されていない)に向かって平坦になるように押されて円盤形になる。言い換えれば、キャップ本体4の基部は広がり同時に皮膚に最も近い上側部分が半径方向内向きに動く。もちろん、キャップ本体4のこの半径方向内向きの動き、およびキャップ本体4のある断面形状に対するキャップ本体4の回動点Aを中心とした回動が、膨張部32の直ぐ近くに凹部を形成する。したがって、皮膚組織係合部14を含むキャップ本体の表面の部分は開口10を含む平面に対して角度「e」をなしている。
【0046】
図11Aおよび図11Bは別のキャップ本体104の折り曲がりをより詳細に示している。さらに、図11Aおよび図11Bは弱い領域128でキャップ本体104がより大きく変形していることを示している。図11Cは皮膚組織係合部114の形状をより詳しく示していて、2つの同中心の突出リッジの分解断面図を含んでいる。
【0047】
図12Aは従来の切開器具を、図12Bは本発明の切開器具を、各々示している。図12Aでは、後方ハウジング部分208とランセット機構212が取り付けられた前方ハウジング部分210とを有する従来の切開器具202が示されている。針200がランセット機構に取り付けられていて、4個の位置すなわち休止位置200b、撃鉄が起こされた切開準備位置200a、切開された皮膚内の針の最小深さ位置200c、および切開された皮膚内の針の最大深さ位置200dに配置されて示されている。最小深さ位置200cおよび最大深さ位置200dは、例えば、1.8mm離れていて、この範囲内の針の実際の切開位置は後方ハウジング部分208の先端に配置されたクリック機構(図示されていない。)によって決定される。
【0048】
図12Bは、共に動作する2つのねじ山部分204,206(ねじ山207)を備えた別の調節機構を組み込んだ本発明のある側面に基づいて変形された切開器具を示している。これらのねじ山部分204,206を調節することによって、停止部34の位置が(したがって圧縮されたときのキャップ本体4の内側エッジ26の位置も)、ハウジングの先端のクリック機構によって設定された針の位置200a,200b,200c,200dに対して調節できる。これらの2つの調節(ねじ山207およびクリック機構)の全体の結果として、皮膚を穿刺する針の深さが決定される。別の実施の形態もこれらの2つの調節(すなわち、ねじ山207およびクリック機構)のどちらかのみは有するべきであり、その調節の効果は例えば全体で約5mmの範囲である。以下の表5は内側エッジを超える高さ3.7mmの皮膚の典型的な膨張部に対する皮膚を通る針への2つの調節の効果を示している。
【0049】
図14Aは停止部134を(図示されていないランセットの移動方向に対して)長手方向に調節するためにもう一方のねじ山部分206と螺合されたねじ山部分204を含むハウジングを備えた本発明のある例示的な実施の形態に基づく切開器具を示している。図14Bは圧縮された位置のキャップ本体104を示している。図14Cは、ランセット機構212を含み、針位置200a(撃鉄が起こされた切開準備位置),200b(休止位置),200c(最小切開位置),200d(クリック機構で調節された最大切開位置)を示した、図14Aおよび図14Bの切開器具を示している。図14Dはキャップ本体104が完全に圧縮され皮膚組織に膨張部132が形成された切開器具を示している。図14Eはキャップ本体304が緩んだ位置にある図14Dの切開器具を示している。
【実施例】
【0050】
実施例1.
従来の硬いキャップと本発明に基づくキャップ(「柔軟なキャップ」と言う。)との性能の比較
【0051】
従来の硬いキャップ(すなわち硬いキャップNo.1)と本発明に基づくキャップ(「柔軟な」キャップという。)の比較試験がアメリカ合衆国ニュージャージー州フランクリン・レイクのベクトン・ディキンソン(Beckton Dickinson)から販売されている30ゲージ・ランセット(すなわちウルトラ・ファインIIランセット(Ultra-Fine II lancet):商標)を用いて行われた。表1に示された結果から分かるように、比較試験で生み出された血液の量の平均値は従来のキャップを用いた場合に比べて柔軟なキャップを用いた場合のほうが有意に大きかった。柔軟なキャップを用いて生み出された血液の量の最小値は0.8μlで、それは従来の硬いキャップを用いて生み出された血液の量よりも有意に
大きかった。1μlより多い血液(典型的には血液中のグルコースなどの検体を正確に評価するのに必要な最小の量)を生み出した切開事象の百分率による割合で表された全体の成功率は従来の硬いキャップでは25%であるのに対して柔軟なキャップでは92%である。
【表1】

【0052】
以下の表2は第2のタイプの従来の硬いキャップ(すなわち硬いキャップNo.2)を備えた別の従来のランセットを用いて上述されたのと同様の方法で行われた比較試験の結果を示している。
【表2】

【0053】
実施例2.
異なる構造のキャップの実施の形態との性能の比較
【0054】
この試験では、図1から図4に示された実施の形態(表3のL1)が図5Aから図8に示された実施の形態(表3のL2)と比較される。極端な例を表す使用者が試験された。使用者1は冷たい手で血液のサンプルの収集が難しく、使用者2は温かい手で血液の収集が容易である。
【0055】
試験方法は、キャップ本体を切開される部位に押し当てる過程と、30ゲージの針で切開する過程と、キャップ本体を所定の位置に5秒間保持する過程と、キャップ本体を外す過程と、目盛り付きのガラス毛管ピペットを用いて血液を収集する過程とを含む。複数の開口の直径(使用前)、針の深さ、および切開の位置で試験が行われた。針の深さはより高い数値ほど切開の針がより深いことを表す。したがって、切開の深さがより深いほど、使用者はより大きな痛みを経験する。いくつかの場合には、血液の収集を手助けする(すなわち、ある程度の搾る動作の補助の)ために親指が用いられた。1μlより多くの血液が収集できた場合が成功とされた。
【0056】
使用者1に関する表3の結果は図5Aから図8に示された構造(すなわち構造L2)が指の側面および手のひらで同じように良好に働き、構造L1が手のひらでは良好に働かないことを示している。構造L1のキャップは開口の直径が13mmで針の深さが4で指の側面で用いられた場合にある程度の搾る動作の補助を必要とする。
【0057】
構造L2のキャップを用いた場合には針の深さにかかわらず親指による搾る動作の補助を必要としなかった。構造L2のキャップを用いた使用者2に関する結果は構造L1のキャップを用いた使用者2に関する結果に対しても優れていた。使用者1に関するの同じように、設計L2は指の側面から十分な血液を収集するために親指による搾る動作の補助を必要とし、設計L2は必要としなかった。これらの結果は設計L2がより用途が広く複数の位置に用いることができることを示している。これは設計L2が予め決められた力が加えられたときにそれ自体の上に潰れる(すなわち、内向きに折れ曲がる)ことに起因している。
【表3】

【0058】
実施例3.
さまざまな材料で作られた本発明に基づくキャップの試験
【0059】
4つの異なるキャップの材料が図1から図4に示された実施の形態(器具L1)について試験され表4に結果が示されている。2つのタイプのシリコーン(ショアー硬度での硬度40Aおよび60A)および2つのタイプのポリウレタン(ショアー硬度での硬度30Aおよび50A)が用いられた。32人の被験者について切開によって得られた血液の体積が測定され痛みが評価された。各被験者は両手の同じ指に対して各構造のキャップの2個の指スティックを受け取り、各被験者に全部で8個の指スティックが用いられた。血液の体積が目盛り付きの毛管ピペットで測定され、痛みの程度が以下の表4に示されている。
【0060】
1μlより多い血液が得られた場合が成功とされた。表4に示されているように、各タイプのキャップに対して血液の体積は1μlより多かった。各材料について痛みはほとんど感じられなかった。シリコーン60A以外の全ての材料が90%より大きい成功率をもたらした。最大の血液の体積、最高の痛み率、および最高の成功率がシリコーン40Aのキャップで得られた。したがって、当業者には弾力的に変形可能なさまざまな材料が本発明に基づくキャップで用いることができることが適切に評価される。
【表4】

【0061】
実施例4.
ランセットの調節に対する皮膚組織への針の深さの試験
【0062】
表5はミリメートル(mm)を単位とする皮膚への針の穿刺の深さのおおよその値に対する従来の硬いキャップが取り付けられた従来の切開器具で深さの調節を行うクリックの回数(1−7)を表すグラフである。表5のデータを収集するために用いられた従来の切開器具はアメリカ合衆国カリフォルニア州ミルピタスのライフスキャン・インコーポレーテッド(LifeScan, Inc.)から市販されているペンレット・プラス(Penlet (登録商標)Plus)切開器具であった。したがって、点404は深さの設定5においてペンレット・プラス切開器具での皮膚組織へのランセットの穿刺の深さが2mmであることを示している。
【0063】
表5は皮膚組織への針の穿刺の変化(ミリメートル単位)に対するランセットハウジングの固定点(例えばねじ山部分206または後方ハウジング部分208)とのリテーナ6の相対的な位置をも示している。これらのデータはシリコーン製の柔軟なキャップ(ショアー硬度40A)を用いた深さ調節1−7(クリックの回数)および指の側面で公称高さ3.7mmの膨張部で器具L1(図1から図4)に対して収集された。したがって、点406はリテーナ6の2回転(柔軟なキャップおよび停止部34を調節可能な最小の位置から2mm動かすのに等しい調節)に対して、皮膚組織への穿刺の深さが2mmになった(クリック位置が位置No.1にあるとき。)ことを示している。穿刺の深さは膨張部の高さが増加するにつれて(例えば、キャップ本体4の硬さが増すことによって増加した膨張部の高さによって)増す。したがって、キャップ本体の硬さが増加するとキャップを4Aから4Bへ変形するために加えなければならない力が増加し、それによって、膨張部の高さおよび同じクリック位置での皮膚への針の穿刺の深さが増加する。
【0064】
当業者には適切に評価されるように、本発明に基づくキャップ、キャップを組み込んだ切開器具、およびキャップを組み込んだ組み合わされた切開および計量器具は、後の搾る/ミルキング動作を必要とせずに穿孔(切開)部位で流体のサンプル(例えば血液のサンプル)を生み出すのを非常に容易にする。これはランセットが後退させられた直後に穿孔部位に導入される流体収集器具(試験紙など)を用いて流体のサンプルを現場で(in−situ)検査するのを容易にする。そのような器具によって使用者は2つの動作(すなわち、皮膚組織の適切な部分に器具を配置する動作、および器具を発射する動作)に容易に着手でき、それによってサンプルの収集が簡単になり、器具が使用者にとってより便利になる。
【0065】
図13を参照すると、本発明の例示的な実施の形態に基づく皮膚組織から流体のサンプル(例えば血液のサンプル)を収集するための方法は、ステップ410に記載されているように皮膚組織切開器具を提供する過程を含む。提供された皮膚組織切開器具は、ハウジングと、ハウジングに対して動くランセットと、キャップとを含んでいる。キャップはハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口(すなわち孔)とを含んでいる。キャップの遠位の端部は皮膚組織に係合するための少なくとも第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分を含んでいる。
【0066】
次に、ステップ420に記載されているように、皮膚組織切開器具のキャップは少なくとも第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分が皮膚組織に係合するように皮膚組織(例えば、指先、四肢、腹部、または流体のサンプルが収集されるべきその他の部位の皮膚組織)に接触させられる。
【0067】
次にキャップはステップ430に記載されているように少なくとも第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分が弾力的に変形して互いに近づくように皮膚組織に向けて押される。第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分は同調して接近しても同調せずに接近してもよく、互いに接近することによって皮膚組織に膨張部が形成される。第1の弾力的に変形可能な部分および第2の弾力的に変形可能な部分の両方を押すことによって、例えば皮膚組織切開器具の開口の寸法を縮めて膨張部が形成される。必要な場合には、キャップは膨張部が皮膚組織に保持されるように予め決められた期間に亘って保持されてよい(すなわち切開前加圧)。
【0068】
次にステップ440に記載されているように膨張部がランセットを用いて切開されて膨張部に刺し穴が形成される。必要な場合には、キャップは膨張部が切開の後に皮膚組織に保持されるように予め決められた期間に亘って保持されてよい(すなわち切開後加圧)。切開後加圧の好ましい時間は約5秒間である。次にステップ450に記載されているように刺し穴から流体のサンプルが収集される。当業者は方法400が本発明に基づく任意のキャップ、切開器具、および組み合わされた切開および計量器具を用いるように変更できることを理解するであろう。
【0069】
図15は本発明の例示的な実施の形態に基づく切開器具500の断面斜視図である。切開器具500はキャップ502(本発明の実施の形態に基づく)と、ばね504と、フローティングプローブ506とを含んでいる。フローティングプローブ506はランセットを通過させるように構成された孔(すなわち開口)508を含んでいる。図15のフローティングプローブ506のようなフローティングプローブは本明細書でその全体が参照文献として引用される同時係属中の米国特許出願第10/690,083号に記載されている。
【0070】
キャップ502はリテーナ510および柔軟なキャップ本体512を含んでいる。リテーナ510は柔軟なキャップ本体512を受容するための内向きの凹部514を有する。リテーナ510は内向きに突出するリム部516と、基部表面518とをも有する。
【0071】
柔軟なキャップ本体512はランセット(図示されていない)が通過できるように構成された開口520と、外側面(ラベット)522と、下側リム部524、および上側リム部526とをも有する。
【0072】
リテーナ510はばね504の上に載せられていて、ばね540は切開器具500の上側ハウジング(図示されていない)の上に載せられている。リテーナ510の内向きに突出するリム部516は柔軟なキャップ本体512の外側面522と共に機能的に動作するように構成されている。柔軟なキャップ本体512は柔軟なキャップ本体512の下側リム部524でリテーナ510の基部表面518と接触している。
【0073】
切開器具500を使用している間、柔軟なキャップ本体512の上側リム部526(遠位の端部とも呼ばれる。)は切開器具が目標の部位(例えば皮膚組織)に向けて動かされることによって目標の部位に向けて押され、柔軟なキャップ本体512を圧縮させリテーナ510の突出したリム部516を中心に回転させる。柔軟なキャップ本体512の下側リム部524(近位の端部とも呼ばれる。)はリテーナ510の基部表面518に沿って外向きに摺動する。同時に、上側リム部526は目標の部位をつかみ(または摺動してからつかみ)、目標の部位を膨張部にする。圧縮の間、外側面522はリテーナ510の突出するリム部516を越えて移動しリム部516に関して回動する。さらに、使用中に柔軟なキャップ本体512は矢印Aの向きで内向きの凹部514内に移動する。
【0074】
これまのでの記載から当業者は切開器具500の柔軟なキャップ本体512が皮膚組織に係合して皮膚組織を取り囲むように適合された連続したひとつのリングを形成する2つの部分(すなわち、その一方が図15に示された対称的な第1の部分および第2の部分)を含んでいるとみなせることを認識するであろう。
【0075】
図16Aから図16Dは本発明の別の例示的な実施の形態に基づくキャップ602のさまざまな図である。図16Aは使用者の指Fが破線で描かれたキャップ602の簡略化された斜視図である。キャップ602は主要部分604(例えば射出成形された主要部分)と複数の内向きに曲がる部分606とを含んでいる。内向きに曲がる部分606の各々は複数の皮膚把持歯608を含んでいる。図16Aは複数の内向きに曲がる部分606に近づく指Fを示している。
【0076】
図16Bは複数の内向きに曲がる部分606に接触して矢印の向きでキャップ602に向けて押されている指Fを示している。図16Cでは、指Fは内向きに曲がる部分606が破線の矢印Rの向きで内向きに曲がり皮膚の膨張部Bが形成されるようにキャップ602に向けて押されている。皮膚の膨張部Bは皮膚把持歯608によって供給されたひっかかりによって容易に形成されるようにされている。図16Dは複数のキャップ602(そのうちの2つのキャップのみが破線で描かれている。)のために準備された形状のキャップ602が積み重ねられて保管を容易にする様子が示されている。
【0077】
使用中に、本発明の実施の形態のキャップが血液またはその他の体液に接触するようになる可能性がある。そのような接触はキャップが望ましくない微生物(例えばバクテリアまたは真菌類)で汚染されるようにすると考えられる。したがって、本発明の実施の形態に基づくキャップが少なくとも部分的に例えば抗菌性プラスチック、抗菌性樹脂、および/または、抗菌性シリコーンのような抗菌性材料、抗真菌性材料、および/または、抗ウイルス性材料で作られているのが有益である。適切な抗菌性材料には、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェノールエーテルのようなトリクロロ−フェノール基を含む抗菌性化合物などがある。抗菌性化合物は、例えば、キャップにコーティングされてよく、または、キャップに直接組み込まれていてもよい。
【0078】
実施例5.
例示的なキャップの理論的な機械的分析
【0079】
本発明の実施の形態に基づくキャップの使用に対する洞察が例示的なキャップの構造の理論的な機械的分析によって行われた。図17Aは向かい合う硬い表面RS1および表面RS2によって圧縮する前のキャップ702の断面を、図17Bは圧縮した後のキャップ702の断面を、各々示している。この分析では、例示的なキャップの断面は六角形である。キャップ702と平面RS1および平面RS2との最初の接点に各々「A」、「B」の符号が付されている。さらに、平面RS1および平面RS2の間の最初の距離に「H1」の符号が付されていて(図17Aを参照のこと。)、圧縮された後の距離に「H2」の符号が付されている(図17Bを参照のこと。)。
【0080】
キャップ702は6個の辺712,714,716,718,720,722を有する。さらに、キャップ702の断面の内角は角p,q,r,s,t,uとして示されている。さらに、辺712および辺716の間の角は角αであり、辺716および平面RS2の間の角は角βである。角αおよび角βは圧縮された後のキャップ702の最終的な位置を決定する。例えば、比較的小さな角αは比較的大きな角αの場合に比べて圧縮されたときに点Bからさらに離れて移動したキャップ702をもたらす。
【0081】
図17Bの位置では、キャップ702の形状はさらに回動するのを妨げている。さらに力が増加してもキャップ702の回動を促進するのではなくキャップ702を圧縮するように働く。
【0082】
キャップは通常は使用中に2つの平行な硬い平面の間で圧縮されることはないので、当業者は上記の分析は、図17Aおよび図17Bに関連して、説明の目的のみで記載されていることが理解されるだろう。
【0083】
本明細書に記載された発明の実施の形態のさまざまな変形が本発明を実施するときに用いられることが理解されなければならない。添付の特許請求の範囲の記載が本発明の範囲を定義することおよび特許請求の範囲の記載の範囲内の方法および構造およびそれらの等価物が本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の例示的な実施の形態に基づく皮膚組織切開器具と共に用いるためのキャップの斜視図である。
【図1B】図1Aのキャップの底面(端面)図である。
【図2A】緩んだ状態の図1Aに示されたキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図2B】緩んだ状態の図1Aに示されたキャップ本体の斜視図である。
【図2C】使用中(例えば、使用者がそのようなキャップを組み込んだランセット器具または組み合わされた切開および計量器具を皮膚に向けて押しているとき)に見られる圧縮された状態の図1Aに示されたキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図2D】使用中の圧縮されたときの図1Aのキャップ本体の斜視図である。
【図3】使用者によって矢印40の向きに圧力が加えられて皮膚組織33に形成された膨張部32を示す皮膚組織を圧縮している使用時の図1Aのキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図4】図1のキャップの一部切り欠き斜視図である。
【図5A】本発明に基づくキャップおよび保持リングの別の例示的な実施の形態の斜視図である。
【図5B】図5Aのキャップの端面図である。
【図6A】使用前の緩んだ状態の図5Aのキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図6B】使用前の緩んだ状態の図5Aのキャップ本体の斜視図である。
【図6C】切開中に使用者の皮膚組織に向けて部分的にまたは完全に圧縮されたときの図5Aのキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図6D】切開中に使用者の皮膚組織に向けて部分的にまたは完全に圧縮されたときの図5Aのキャップ本体の斜視図である。
【図7】使用者によって加えられた圧力の向き(矢印40)および皮膚組織に形成された膨張部132を示した使用者の皮膚組織に向けて圧縮された図5Aのキャップ本体の一部切り欠き斜視図である。
【図8】図5Aのキャップの一部切り欠き斜視図である。
【図9A】皮膚組織に向けて圧縮される直前の図5Aのキャップを示す図である。
【図9B】皮膚組織に向けて圧縮されランセット(同一の縮尺ではない。)が発射された直後の図5Aのキャップを示す図である。
【図10A】圧縮されていない図1Aのキャップ本体の断面図である。
【図10B】圧縮された図1Aのキャップ本体の断面図である。
【図11A】圧縮されていない本発明に基づく図5Aのキャップ本体の断面図である。
【図11B】圧縮された(潰された)本発明に基づく図5Aのキャップ本体の断面図である。
【図11C】ランセットを発射できるように圧縮されたときの図5A、図11A、および図11Bのキャップの断面図である。
【図11C1】図11Cの破線で囲まれた部分の分解図である。
【図12A】従来の切開器具の模式的な断面図である。
【図12B】図1Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具の模式的な断面図である。
【図13】本発明のある例示的な実施の形態に基づく方法の一連の過程を示す流れ図である。
【図14A】図5Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具のランセットの複数の位置を示した模式的な断面図である。
【図14B】図5Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具のランセットの複数の位置を示した模式的な断面図である。
【図14C】図5Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具のランセットの複数の位置を示した模式的な断面図である。
【図14D】図5Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具のランセットの複数の位置を示した模式的な断面図である。
【図14E】図5Aのキャップを組み込んだ本発明に基づく切開器具のランセットの複数の位置を示した模式的な断面図である。
【図15】本発明のある実施の形態に基づくキャップを組み込んだ本発明のある実施の形態に基づく切開器具の斜視断面図である。
【図16A】本発明の別の実施の形態に基づくキャップの簡略化された斜視図である。
【図16B】図16Aのキャップの最初の状態を示す図である。
【図16C】図16Aのキャップの圧縮された状態を示す図である。
【図16D】図16Aのキャップが複数個積み重ねられた状態を示す図である。
【図17A】2つの硬い表面の間で圧縮される前の本発明に基づくキャップの断面図である。
【図17B】2つの硬い表面の間で圧縮された後の本発明に基づくキャップの断面図である。
【符号の説明】
【0085】
2 キャップ
4 キャップ本体
6 リテーナ
8 ステム
10 開口
12a 直径
12b 直径
14 皮膚組織係合部
16 断面
18 基部表面
20 第2の内側面
22 内側面
24 外側面
26 内側エッジ
32 膨張部
33 皮膚組織
36 マウント
38 結合リング
41 矢印
44a 外径
44b 外径
102 キャップ
104 キャップ本体
104a,104b キャップ本体
106 リテーナ
107a,107b 部分
108 ステム
110 開口
112a 直径
112b 直径
114 皮膚組織係合部
116 断面形状
117 リップ部
120,122 内側面部分
124 外側面
126 内側エッジ
128 弱い領域
132 膨張部
133 真皮下組織
134 停止部
146 距離
150 ランセット
152 距離
200 針
200a,200b,200c,200d 針の位置
202 切開器具
204,206 ねじ山部分
207 ねじ山
208 後方ハウジング部分
210 前方ハウジング部分
212 ランセット機構
304 キャップ本体
500 切開器具
502 キャップ
504 ばね
506 フローティングプローブ
508 孔
510 リテーナ
512 キャップ本体
514 凹部
516 リム部
518 基部表面
520 開口
522 外側面
524 下側リム部
526 上側リム部
602 キャップ
604 主要部分
606 内向きに曲がる部分
608 皮膚把持歯
702 キャップ
712,714,716,718,720,722 辺



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングおよび上記ハウジングに対して移動可能なランセットを含む皮膚組織切開器具用のキャップであって、
上記ハウジングと係合するための近位の端部と、
皮膚組織と係合するための遠位の端部と、
上記ランセットの一部を通過させるための開口と
を有し、
上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、皮膚組織切開器具用のキャップ。
【請求項2】
第1の部分および第2の部分の少なくとも一方が開口の一部を画定するように働くエッジ部分を含む、請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
少なくとも第1の部分および第2の部分がキャップが皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が開口の寸法が短縮されるように弾力的に変形するように適合されている、請求項1記載のキャップ。
【請求項4】
少なくとも第1の部分および第2の部分が皮膚組織と係合しかつ上記皮膚組織を取り囲むように適合された連続的なリングを形成する、請求項1記載のキャップ。
【請求項5】
連続的なリングが実質的に円形である、請求項4記載のキャップ。
【請求項6】
少なくとも一部が弾力的に変形可能な材料で作られている、請求項1記載のキャップ。
【請求項7】
エラストマー材料、高分子材料、ポリウレタン材料、ラテックス材料、シリコーン材料、およびそれらの組み合わせからなる集合から選択された弾力的に変形可能な材料から作られている、請求項6記載のキャップ。
【請求項8】
共に引き抜かれるべき液体のサンプルを皮膚組織切開器具と区別するのに十分に透明な材料で作られている、請求項1記載のキャップ。
【請求項9】
血液と異なる色の材料で作られている、請求項1記載のキャップ。
【請求項10】
遠位の端部が近位の端部に比べてより弾力的なように弾力性が変化している、請求項1記載のキャップ。
【請求項11】
少なくとも部分的に抗菌性材料で作られている、請求項1記載のキャップ。
【請求項12】
抗菌性材料にはトリクロロフェノール化合物が含まれる、請求項11記載のキャップ。
【請求項13】
トリクロロフェノール化合物が2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェノールからなる、請求項12記載のキャップ。
【請求項14】
抗菌性材料のコーティングを含む、請求項1記載のキャップ。
【請求項15】
少なくとも第1の部分および第2の部分が内向きに曲がる部分を含む、請求項1記載のキャップ。
【請求項16】
内向きに曲がる部分が皮膚把持歯を含む、請求項15記載のキャップ。
【請求項17】
少なくとも第1の部分および第2の部分が六角形の断面を有する、請求項1記載のキャップ。
【請求項18】
少なくとも第1の部分および第2の部分が六角形の断面を有し、上記六角形の断面が使用中のキャップの圧縮された位置を決める内角を含む、請求項1記載のキャップ。
【請求項19】
他の同様のキャップと積み重ねられるような形状を有する、請求項1記載のキャップ。
【請求項20】
少なくとも第1の部分および第2の部分が膨張部が皮膚組織に形成されるように弾力的に変形し上記皮膚組織と係合して互いに近づく、請求項1記載のキャップ。
【請求項21】
皮膚組織切開器具による切開の前に膨張部を保持するために切開前圧力を加えるように、かつ、上記皮膚組織切開器具による切開の後に上記膨張部をさらに保持するために切開後圧力を加えるように構成されている、請求項20記載のキャップ。
【請求項22】
ハウジングおよび上記ハウジングに対して移動可能なランセットを含む皮膚組織切開器具用のキャップであって、
上記ハウジングと係合するための近位の端部と、
皮膚組織と係合するための遠位の端部と、
上記ランセットの一部を通過させるための開口と
を有し、
上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が上記開口の寸法が縮められるように弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、皮膚組織切開器具用のキャップ。
【請求項23】
ハウジングおよび上記ハウジングに対して移動可能なランセットを含む皮膚組織切開器具用のキャップであって、
キャップ本体と、
リテーナと、
上記ランセットの一部を通過させるための開口と
を有し、
上記キャップ本体が上記リテーナと係合するための近位の端部と皮膚組織と係合するための遠位の端部とを有し、
上記リテーナが上記ハウジングと係合するための近位の端部と上記キャップ本体と係合するための遠位の端部とを有し、
上記キャップ本体の上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、皮膚組織切開器具用のキャップ。
【請求項24】
キャップ本体の近位の端部が開口を含む平面と実質的に平行な平面内で外向きに変形することをリテーナによって防止されている、請求項23記載のキャップ。
【請求項25】
キャップ本体の近位の端部がリテーナ内に固定されずに配置されている、請求項23記載のキャップ。
【請求項26】
キャップ本体の近位の端部がリテーナに固定して取り付けられている、請求項23記載のキャップ。
【請求項27】
リテーナが、キャップ本体が開口を含む平面とほぼ垂直な方向に沿って変形するのを防止するための停止部を含んでいる、請求項23記載のキャップ。
【請求項28】
キャップの断面形状が、キャップ本体およびリテーナを含む上記キャップが皮膚組織に向けて押されたときに上記キャップ本体が開口の寸法が縮められるように上記リテーナ内で回動するように回動点が上記リテーナ内の上記キャップ本体に形成されるような形状である、請求項23記載のキャップ。
【請求項29】
キャップ本体の断面形状が、キャップが使用者の皮膚に向けて押されたときに上記キャップ本体が予め決められた付勢力が加えられると縮まりまたはそれ自体に重なるように折れ曲がり開口の寸法が縮められるような形状である、請求項23記載のキャップ。
【請求項30】
キャップ本体が少なくともひとつの弱い領域を含んでいて上記キャップ本体が予め決められた力が加えられるとそれ自体に重なるように折れ曲がるようになっている、請求項29記載のキャップ。
【請求項31】
キャップ本体およびリテーナが一体的なユニットとして形成されている、請求項23記載のキャップ。
【請求項32】
開口の寸法がキャップが皮膚組織に向けて押されると縮められる、請求項23記載のキャップ。
【請求項33】
リテーナが、キャップ本体を受容するための内向きの凹部と、上記キャップ本体の外側面と共に動作するように構成された内向きに突出するリム部とを有する、請求項23記載のキャップ。
【請求項34】
キャップ本体が柔軟なキャップ本体である、請求項23記載のキャップ。
【請求項35】
ハウジングと、
上記ハウジングに対して移動可能なランセットと、
上記ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、ランセットの一部を通過させるための開口とを含むキャップと
を有し、
上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、切開器具。
【請求項36】
キャップが、柔軟なキャップ本体と、リテーナとを含む、請求項35記載の切開器具。
【請求項37】
皮膚組織を切開し、流体のサンプルを収集し、上記流体のサンプル内の検体を測定するための組み合わされた切開および計量器具であって、
ハウジングと、
上記ハウジングに対して移動可能なランセットと、
上記ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、上記ランセットの一部を通過させるための開口とを含むキャップと、
上記流体のサンプル内の上記検体を測定するための計量器具と
を有し、
上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、組み合わされた切開および計量器具。
【請求項38】
皮膚組織を切開し、流体のサンプルを収集し、上記流体のサンプル内の検体を測定するための組み合わされた切開および計量器具であって、
流体収集器具が、上記流体のサンプルが上記組み合わされた切開および計量器具を刺し穴に対して再配置せずに上記組み合わされた切開および計量器具内に収集されて測定されるように切開が行われた後に切開位置に隣接した位置に運ばれ、
上記組み合わされた切開および計量器具が、
ハウジングと、
上記ハウジングに対して移動可能なランセットと、
上記ハウジングと係合するための近位の端部と、皮膚組織と係合するための遠位の端部と、上記ランセットの一部を通過させるための開口とを含むキャップと
を有し、
上記遠位の端部は皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分は上記キャップが上記皮膚組織に接触して上記皮膚組織に向けて押されたときに上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して上記皮膚組織と係合して互いに近づくように弾力的に変形可能である、組み合わされた切開および計量器具。
【請求項39】
流体収集器具が試験紙からなる、請求項38記載の切開および計量器具。
【請求項40】
皮膚組織から流体のサンプルを収集する方法であって、
ハウジングと、上記ハウジングに対して移動可能なランセットと、上記ハウジングと係合するための近位の端部、皮膚組織と係合するための遠位の端部、および上記ランセットの一部を通過させるための開口を含むキャップとを含み、上記遠位の端部が皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形可能な、皮膚組織切開器具を提供する過程と、
上記少なくとも第1の部分および第2の部分が上記皮膚組織と係合するように上記キャップを上記皮膚組織に接触させる過程と、
上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して互いに近づくようにして上記皮膚組織に膨張部が形成されるように上記キャップを上記皮膚組織に向けて押す過程と、
上記ランセットを用いて上記膨張部を切開して上記膨張部に刺し穴を形成する過程と、
上記刺し穴から流体のサンプルを収集する過程と
を有する、皮膚組織から流体のサンプルを収集する方法。
【請求項41】
キャップを皮膚組織に向けて押す過程が、少なくとも第1の部分および第2の部分を互いに近づけることによって開口の寸法を縮める、請求項40記載の方法。
【請求項42】
サンプルを収集する過程が、刺し穴から血液のサンプルを収集する過程を含む、請求項40記載の方法。
【請求項43】
キャップを皮膚組織に向けて押す過程の後で、刺し穴を形成する過程の前に、キャップを皮膚組織に対して保持することによって上記皮膚組織に切開前圧力を加えて膨張部を保持する過程をさらに有する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
刺し穴を形成する過程の後に、キャップを皮膚組織に対して保持することによって上記皮膚組織に切開後圧力を加えて膨張部をさらに保持する過程をさらに有する、請求項40記載の方法。
【請求項45】
切開後圧力が約5秒間の予め決められた期間に亘って加えられる、請求項44記載の方法。
【請求項46】
皮膚組織から流体のサンプルを収集する方法であって、
ハウジングと、上記ハウジングに対して移動可能なランセットと、上記ハウジングと係合するための近位の端部、皮膚組織と係合するための遠位の端部、および上記ランセットの一部を通過させるための開口を含むキャップとを含み、上記遠位の端部が皮膚組織と係合するための少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形可能な、皮膚組織切開器具を提供する過程と、
上記少なくとも第1の部分および第2の部分が上記皮膚組織と係合するように上記キャップを上記皮膚組織に接触させる過程と、
上記少なくとも第1の部分および第2の部分が弾力的に変形して互いに近づくようにして上記皮膚組織に膨張部が形成されるように上記キャップを上記皮膚組織に向けて押す過程と、
上記ランセットを用いて上記膨張部を切開して上記膨張部に刺し穴を形成する過程と、
上記刺し穴から流体のサンプルを収集する過程と、
上記キャップを上記皮膚組織に対して保持することによって上記皮膚組織に切開後圧力を加えて上記膨張部をさらに保持する過程と、
上記刺し穴から流体のサンプルを収集する過程と
を有する、皮膚組織から流体のサンプルを収集する方法。

【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図11C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14D】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−506185(P2006−506185A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553721(P2004−553721)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/036513
【国際公開番号】WO2004/045375
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】