説明

皮膚老化となる可能性を低下させるための、または皮膚老化を処置するためのアンドロゲンの使用

アンドロゲンまたは/および性ステロイド前駆体を投与する工程を含む、ヒトを含む感受性温血動物における加齢に伴うアンドロゲン不足、特に皮膚萎縮、コラーゲン減少、弾性繊維減少、結合組織減少、セルライト、および皺の形成による皮膚疾患の可能性を処置または低減する新規な方法。本発明に有用な、複数の活性成分を送達するための医薬組成物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、アンドロゲンまたは性ステロイド前駆体およびそのプロドラッグの有効量を、ヒトを含む感受性のある温血動物に投与する工程を含む、加齢に伴うアンドロゲン不足による皮膚疾患の可能性を処置または低減する方法に関する。特に本発明は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA−S)、およびアンドロステ−5−エン−3β,17β−ジオール(5−ジオール)、アンドロステンジオン、テストステロン、DHT、アンドロスタンジオンおよびアンドロスタン−3α,17−βジオールまたはプロドラッグ、生体内でこれらのいずれかに変換される化合物から成る群より選択されるアンドロゲン化合物または性ステロイド前駆体を投与する工程を含む。本発明は、上述した方法を実施するための局所または経口医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
女性の卵巣エストロゲンの役割へほぼ独占的に焦点を合わせることにより、20〜30歳から50〜60歳までの間にすでに発生している循環DHEAの70%の劇的な低下から注意を逸らしてきた(Migeonら,1957,JCEM,17:1051−1062;Vermeulen and Verdonck,1976,JCEM,42:247−253;Vermeulenら,1982,JCEM,54:187−191;Orentreichら,1984,JCEM 59:551−555;Belangerら,1994,JCEM,79:1086−1090;Labrieら,1997,Labrieら,1997,JCEM,82:2396−2402)。DHEAは周囲組織にてアンドロゲンおよびエストロゲンの両方に変換されるので、血清DHEAおよびDHEA−Sのそのような低下が、更年期の女性ではエストロゲンが不足するだけでなく、2〜3年間に渡ってアンドロゲンも漸進的に奪われる理由を示している。
【0003】
老化中の副腎によるDHEA−Sの形成の著しい低下(Migeonら,1957,JCEM,17:1051−1062;Vermeulen and Verdonck,1976,JCEM,42:247−253;Vermeulenら,1982,JCEM,54:187−191;Orentreichら,1984,JCEM 59:551−555;Belangerら,1994,JCEM,79:1086−1090)は、周囲標的組織でのアンドロゲンおよびエストロゲンの組織特異性形成の劇的な低下、すなわちインスリン抵抗性(Colemanら,1982,Diabetes,31:830−833;Schriockら,1988,JCEM,66:1329−1331)および肥満(Nestlerら,1988,JCEM,66:57−61;MacEwen
and Kurzman,1988,J Nutrit,121:S51−S55;Tchernofら,1995,Tchernofら,1995,Diabetes Care,18:292−299)を含む加齢に伴う疾患に関連することが示唆されている状況を引き起こす。さらに、多くの注目は、閉経後の女性に投与されたDHEAの、特に骨、皮脂腺、膣に対する恩恵と、前駆体ステロイドの経口投与(Moralesら,1994,JCEM,78:1360−1367;Baulieuら,2000,Proc Natl Acad Sci USA,87:4279−4284)はもちろんのこと、経皮投与(Diamondら,1996,J Endocrinol,150:S43−S50;Labrieら,1997,JCEM,82:3498−3505)の後の健康に集まっている。
【0004】
正常な女性における比較的高レベルのアンドロゲンの存在を示すデータは、アンドロゲンが女性において主要であるが、これまで認識されていない生理的役割を果たすことを強く示唆している。実際に20〜30歳から40〜50歳までの女性の血清DHEAで発生する44.5%の低下は、閉経期前後の女性での卵巣ステロイド産生の検知可能な低下に先行する早期骨量減少およびFSH/LH比の上昇を十分に説明できる。実際に閉経前の女性では血清FSHは、血清Eが低下を示す前にすら上昇する(Grodinら,1973,JCEM,36:207−214)。他方、加齢に伴う骨量減少は、30代の間に開始することが報告されているのに対して、骨代謝の変化も更年期前に見出されている(Riggsら,1981,J Clin Invest,67:328−335;Mazessら,1982,Clinic Orthop,165:239−252;Johnstonら,1985,JCEM,61:905−911)。このような発見結果と一致して、閉経期前後として分類される女性では閉経前と比較して、検査されたすべての部位で骨密度が低かった(Steinbergら,1989,JCEM,69:533−539)。
【0005】
最近までアッセイが困難であったために、副腎起源のアンドロゲンおよびエストロゲンの影響が特に重要である、限定数の循環副腎ステロイドおよび性腺ステロイドのみが、老齢の間のとりわけ女性で測定された(Labrieら,1991,Mol Cell Endocrinol,78:C113−C118)。それゆえ循環DHEA、DHEA−S、アンドロステ−5−エン−ジオール−3β,17β−ジオール(5−ジオール)、5−ジオール−G、アンドロステンジオン(4−ジオン)はでもちろんのこと、アンドロゲンの共役代謝産物、すなわちアンドロステロン−グルクロニド(ADT−G)およびアンドロスタン−3α,17β−ジオールグルクロニド(3α−ジオール−G)での重要な減少の大半が、20〜30歳と50〜60歳の年齢範囲の間で発生しているのに対して、60歳以降には比較的小さな変化が起こることは非常に注目に値する。それゆえ50〜60歳の年齢群において、血清DHEAが20〜30歳のピーク値からすでに70%減少したことに注目することが重要である(Labrieら,1997,JCEM,82:2396−2402)。そのようなデータは、女性の老化中に比較的早期に発生するアンドロゲンの顕著な減少を考慮して、アンドロゲンホルモン補充療法を早期に開始すべきであることを示唆している。
【0006】
我々の以前の試験で十分に証明されたように、外因性DHEAの生理学的量の補充は、必要および組織特異性のステロイド産生酵素を含有する適切な標的組織のみにおいてアンドロゲンおよびエストロゲンの生合成を可能にする。特異的周囲組織でそのように合成された活性アンドロゲンおよびエストロゲンは、その形成に関与する同じ細胞においてその作用を発揮して、循環への活性ステロイドのごくわずかな漏出が起こる。実際に、上述したように、DHEA投与の最も著しい効果は、DHTの代謝産物のグルクロニド誘導体、すなわちADT−Gおよび3α−ジオール−Gの循環レベルに対して見られ、これらの代謝産物は、副腎前駆体DHEAおよびDHEA−SからDHTを合成するために、適切なステロイド産生酵素を所有する周囲の細胞内分泌組織にて局所的に生成される(Labrieら,1991,Mol Cell Endocrinol,78:C113−C118;Labrieら,1996,J Endocrinol,150:S107−S118)。標的組織におけるアンドロゲンのこの局所的生合成および作用は、他の組織の活性アンドロゲンへの曝露を除き、それにより望ましくない雄性化または他のアンドロゲン関連副作用のリスクを最小限に抑える。我々は全エストロゲン分泌の信頼できるパラメータ(アンドロゲンのグルクロニドと比較して)がなお入手できないと感じているが、同じことがエストロゲンに当てはまる。
【0007】
DHEAは老齢者の皮膚に重要な効果を有することが示されており、その最も突出して
いるのが皮脂生成の増加である(Labrieら,1997,JCEM,82:3498−3505)。これは女性、特に生理学的に低脂漏性であり、それゆえDHEA投与によるその皮膚の改善が見出された70歳を超えた女性で実施された多数の試験で示されている。我々の試験で観察されたDHEA誘起皮脂生成の増加はおそらく、皮脂腺がDHEAのアンドロゲンDHTへの変換を触媒するために必要なステロイド産生酵素すべてを含有するという事実と、このアンドロゲンが皮脂腺活性の主な刺激物質という事実のためである(Labrieら,2000,Horm Res,54:218−219;Labrieら,2003,End Rev,24:152−182)。
【0008】
皮脂生成とは別に、DHEAの皮膚に対する他の有益な効果が注目されている。現在までに、DHEA投与の皮膚科学的側面の評価は、60〜79歳の男性および女性対象がDHEA 50mgを1日1回、1年間に渡って経口投与された1つの試験において、多少詳細に実施されたのみである。その試験では(Baulieuら,2000,Proc Natl Acad Sci USA,97:4279−4284)、皮膚水和、皮膚色素沈着および皮膚厚が評価された。皮膚表面水和は、処置12ヵ月後に検査したDHEA処置個体群全体で著しく上昇した。皮膚表面水和はとりわけ老齢者の皮膚にとって、このような対象では乾燥が皮膚を荒らすため真の恩恵と見なされる。DHEAは個体群全体で顔面皮膚色素沈着(黄色さ)も著しく減少させた。この減少は、加齢に伴う色素変化によってより懸念されていた70歳を超えた女性で特に顕著であった。皮膚色の他の2つの成分(すなわち明度および赤み)は試験期間中、安定なままであった。
【0009】
US 5,843,932では、DHEA、DHEA−Sまたは生体内で上述のどちらかに変換された化合物の投与による、皮膚萎縮を処置する、あるいはコラーゲンまたは結合組織の減少を阻害する方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の要約
本発明の目的は、加齢に伴うアンドロゲン不足による皮膚疾患の処置の有効な方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、加齢に伴う性ステロイド前駆体不足による皮膚疾患の処置の有効な方法を提供することである。
【0012】
別の目的は、上記の疾患となるリスクを低下させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの実施形態において、本発明は、皮膚萎縮となるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者にアンドロゲンまたはそのプロドラッグの有効量を投与する工程を含む方法に関する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、コラーゲン減少となるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、弾性繊維減少となるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、弾性繊維減少となるリスクを処置または低減する方
法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量の性ステロイド前駆体またはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、結合組織減少となるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、セルライトとなるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、皺の形成となるリスクを処置または低減する方法であって、リスクのそのような処置または低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法に関する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、セルライトとなるリスクを処置または低減する方法であって、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン−サルフェート(DHEA−S)およびアンドロステ−5−エン−3β,17β−ジオール(5−ジオール)から成る群より選択される性ステロイド前駆体のレベルを、前記処置または前記ステロイド前駆体が必要な対象または患者において上昇させる工程を含む方法に関する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、皺の形成となるリスクを処置または低減する方法であって、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン−サルフェート(DHEA−S)およびアンドロステ−5−エン−3β,17β−ジオール(5−ジオール)から成る群より選択される性ステロイド前駆体のレベルを、前記処置または前記ステロイド前駆体が必要な対象または患者において上昇させる工程を含む方法に関する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、弾性繊維減少となるリスクを処置または低減する方法であって、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン−サルフェート(DHEA−S)およびアンドロステ−5−エン−3β,17β−ジオール(5−ジオール)から成る群より選択される性ステロイド前駆体のレベルを、前記処置または前記ステロイド前駆体が必要な対象または患者において上昇させる工程を含む方法に関する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、皮膚萎縮となるリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、コラーゲン減少となるリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、弾性繊維減少のリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、結合組織減少のリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、皺となるリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、セルライトとなるリスクを処置または低減する方法であって、アンドロステンジオン、アンドロスタンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはこれらに変換された化合物を、前記処置が必要な対象または患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0029】
別の態様において、本発明は、アンドロゲンを医薬的に許容される希釈剤または担体と共に含有する局所医薬組成物を提供する。
【0030】
1つの実施形態において、前駆体はDHEAである。
別の実施形態において、アンドロゲンはテストステロンまたはその誘導体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本明細書で使用するように、アンドロゲンは、約2×10−8M未満のヒトアンドロゲン受容体のKi値および10nmol/l以下の濃度にて最大半量値に達するヒト乳癌ZR−75−1細胞の増殖に対するアンドロゲン受容体仲介阻害効果を有する化合物(またはその代謝産物の1つ)、または2004年8月30日に提出された、出願60/606,174である、”Method for determination of anabolic activity(同化活性の決定方法)”という題の米国仮出願に記載されたスクリーニング方法に陽性反応する化合物(またはその代謝産物の1つ)である。
【0032】
所与の疾患の発病のリスクを処置または低減することが必要な患者は、そのような疾患と診断された患者、またはそのような疾患となることに対して感受性がある患者のどちらかである。
【0033】
別途明示される場合を除いて、本発明の活性化合物の好ましい投薬量(濃度および投与方式)は治療および予防目的の両方と同じである。本明細書で議論する各活性成分の投薬量は、処置される疾患(または発症の可能性が低減される疾患)に関わらず同じである。
【0034】
別途記載したとき、または文脈から明らかな場合を除いて、本明細書の投薬量は医薬賦形剤、希釈剤、担体または他の成分によって影響を受けない活性化合物の重量を指すが、そのような追加の成分は望ましくは、本明細書の実施例で示すように含まれる。任意の投薬形、とりわけ医薬業界で一般に使用される局所用製剤(ゲル、ローション、クリーム、軟膏など)が本明細書での使用に適切であり、「賦形剤」、「希釈剤」、または「担体」という用語は、当業界でのそのような投薬形中の活性成分と共に含まれる、そのような非活性成分を含む。たとえば典型的なクリーム、浸透剤、保存料などを局所用製剤に含むことができる。
【0035】
本明細書で議論する療法のいずれかで使用される活性成分すべては、1つまたは複数の他の活性成分を含む医薬組成物中に処方されてもよい。あるいはそれらはそれぞれ個別に
、しかし患者が最終的に向上した血中濃度を有するのに足るように、またはそうでなければ活性成分(または方法)それぞれの恩恵を同時に享受できるのに足るように同時に投与してもよい。本発明の一部の好適な実施形態において、たとえば1つまたは複数の活性成分が単一の医薬組成物中に処方される。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明は、真皮厚に見られたアンドロゲンの主要な効果を示す。実際にコラーゲンおよび弾性繊維は、皺の形成において可能性のある役割を含む、皮膚抵抗の主な支持を提供する真皮の主成分であることが既知である。GDXメスでのDHTおよびDHEA処置の後に真皮厚さの増加が観察されたのに対して(図1)、すべての実験条件下で、真皮はオスでより厚く、おそらく3週間の処置期間中のオスでのアンドロゲンの効果の不足を説明する。著しい性差が無処置動物の皮下組織で見られ、それゆえヒト皮膚とのさらなる類似性を提供し(Hattoriら,1993)、DHEAおよびアンドロゲンがセルライトとなる、または処置するリスクを低減するために有益であることを示唆している。
【0037】
本発明は、マウスをモデルとして使用して、各種のマウス皮膚層および付加物におけるオスとメスとの形態学的相違を明確に確立する。さらに、アンドロゲンおよびエストロゲンの各種部位での特異的および分化的役割を確認し、同時に真皮中のアンドロゲンおよび表皮中のエストロゲンによって仲介されたDHEAの作用に関する証拠を提供する。
【0038】
局所利用のための活性成分は好ましくは、医薬組成物の全重量に対して0.05重量%〜20重量%で、さらに好ましくはDHEAまたは5−ジオールでは0.1〜10%、アンドロゲンでは0.1%〜3%で存在する。あるいは、活性成分を当分野で既知の構造、たとえば欧州特許0279982で記載されたような構造を有する経皮パッチ内に入れることができる。
【0039】
軟膏、ローション、ゲルまたはクリームなどとして処方される場合、活性化合物はヒト皮膚または粘膜と適合性がある適切な担体と混合される。適切な担体は当分野で既知であり、これに限定されるわけではないが、Klucel HFおよびGlaxal塩基を含む。一部は市販されており、たとえばGlaxal塩基はGlaxal Canada Limited Companyから入手できる。他の適切なビヒクルはKoller and Buri,S.T.P.Pharma 3(2),115−124,1987に見つかる。担体は好ましくは、(複数の)活性成分が周囲温度において使用される活性成分の濃度にて溶解性である担体である。担体は、所望の臨床効果を引き起こすために、皮膚または粘膜の局所範囲を通じた前駆体またはアンドロゲンの実質的な浸透を可能にするのに十分な期間に渡って流出および蒸発させることなく、組成物が塗布された皮膚または粘膜の局所範囲で、ステロイドを維持するための十分な粘度を有するべきである。担体は典型的には、複数の成分、たとえば医薬的に許容される溶媒および増粘剤の混合物である。たとえば水ならびに、エタノールおよびプロピレングリコールなどのアルコールの、有機および無機溶媒の混合物は、親水性および親油性溶解性を補助できる。
【0040】
好ましい性ステロイド前駆体は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(米国、イリノイ州、シカゴのDiosynth Inc.より入手)、5−アンドロステン−3β,17β−ジオール(米国、ニューハンプシャー州、ウィルトンのSteraloidsより入手)である。
【0041】
1つの他の好ましい性ステロイド前駆体は、カナダ、オンタリオ州、オークビルのSigma−Aldrich Canadaから入手できる4−アンドロステン−3,17−ジオンである。
【0042】
本発明の1つの好ましいアンドロゲンは、カナダ、オンタリオ州、オークビルのSigma−Aldrich Canadaから入手できるStanolone(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン、DHT)である。
【0043】
別の好ましいアンドロゲンは、アルコール中1%のテストステロン、水、Carbopol 980 NF、ミリスチン酸イソプロピルおよび0.1M水酸化ナトリウムを含有し、カナダ、オンタリオ州、マーカムのSolvay Pharmaから入手できるゲルのAndroGelである。
【0044】
全身作用のための1つの好ましいアンドロゲンは、カナダ、ケベック州、モントリオールのLaboratoires Paladin Inc.から入手できる、テストステロン12.2mgまたは24.3mgを含有するパッチのAndrodermである。
【0045】
テストステロンの他のエステル(カナダ、オンタリオ州、スカーバラのOrganon
Canada Ltd.からandriolという名称で入手できるテストステロンウンデカノアート、カナダ、オンタリオ州、ミシサガのTheramed CorporationからDelatestrylという名称で入手できるテストステロンエナンタート、カナダ、カークランドのPfizer Canadaからデポ−テストステロン(シピオナート)という名称で、またはカナダ、ケベック州、ブーシェルビルのSabex,2002 Inc.からテストステロンシピオナート注射USPという名称で入手できるテストステロンシピオナート)および誘導体[すなわちナンドロロン(19−ノルテストステロン)ならびにエステル(カナダ、オンタリオ州、スカーバラのOrgano Canada,LtdからDeca−Durabolinという名称で入手できるナンドロロンデカノアート)、カナダ、オンタリオ州、オークビルのSigma−Aldrich Canada Ltd.から入手できるメチルテストステロンも好ましい。
【0046】
アンドロゲンが、どちらもカナダ、オンタリオ州、オークビルのSigma−Aldrich Canada Ltd.から入手できる5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールおよび5α−アンドロスタン−3,17−ジオンであることも好ましい。
【0047】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンが、カプリル−カプリントリグリセリド(Neobee M−5)1.0〜10%;ヘキシレングリコール10〜20%;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(Transutol)2.0〜10%;シクロメチコン(Dow Corning 345)2.0〜10%;ベンジルアルコール1.0〜2%およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel HF)1.0〜5.0%を含有するアルコール性ゲルとして処方されることが好ましい。
【0048】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンが、ラウリルメチコンコポリオール2.0〜4.0%、シクロメチコン5.0〜7.0%、鉱油2.0〜4.0%、セテアリルイソノノエート6.0〜8.0%、Eumulgin B 0.5〜1.5%、ブチル化ヒドロキシトルエン0.01〜0.1%、プロピレングリコール49.0〜60.0%、水10〜20%、硫酸マグネシウム0.5〜1.5%、エタノール4.0〜6.0%、および性ステロイド前駆体またはアンドロゲン0.1〜3.0%を含有するクリームとして処方されることが好ましい。
【0049】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンが、性ステロイド前駆体またはアンドロゲン0.1〜10%、乳化ワックス10〜25%、軽油5〜20%、ベンジルアルコール0.5〜2.0%、エタノール95% 20〜40%、および水20〜40%を含有するクリームとして処方されることも好ましい。
【0050】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンが、性ステロイド前駆体またはアンドロゲン0.1〜10%、セチルアルコール2〜10%、セチルエステルワックス5〜10%、フェニルエチルアルコール0.25〜0.5%、白ろう5〜10%、水20〜40%、グリセロール20〜40%、鉱油2.0〜10.0%、ラウリル硫酸ナトリウム1.0〜5.0%、モノステアリン酸グリセリル3.0〜6.0%、モノステアリン酸プロピルグリコール3.0〜6.0%、およびステアリン酸メチル1〜5.0%を含有するクリームとして処方されることも好ましい。
【0051】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンが、性ステロイド前駆体またはアンドロゲン誘導体10〜50mgを含有するカプセルとして、経口投与のために処方されることも好ましい。
【0052】
担体は、軟膏およびローションで一般に使用され、化粧品および医薬品分野で周知である各種の添加剤も含むことができる。たとえば芳香剤、抗酸化剤、香料、ゲル化剤、カルボキシルメチルセルロースなどの増粘剤、界面活性剤、安定剤、軟化剤、着色剤および他の同様の薬剤が存在できる。
【0053】
好ましくは、担当医はとりわけ処置の開始時に個々の患者の全体的な反応およびDHEAまたはアンドロゲンの血清レベルを監視して、とりわけ処置に対する患者の全体的な反応を監視して、処置に対する所与の患者の代謝または反応が異常な場合には必要に応じて投薬量を調整するであろう。
【0054】
性ステロイド前駆体またはアンドロゲンの局所投与の代表的用量は、体重50kgに対し、1日当たり活性成分5mg〜200mg、好ましくは1日当たり20〜60mgである。
【0055】
経口投与を選択した場合、体重50kgに対し、活性成分10〜100mgを1日1回投与すべきである。
【0056】
発明の有効性の実施例
実施例1
物質および方法
動物および処置
13〜15週齢の成オスおよびメスC57BL6マウス56匹をHarlan Laboratory(インディアナ州、米国)から入手した。マウスを以下のように、群当たり7匹の4つの群にランダムに分けた:(1)無処置コントロール;(2)GDXコントロール;(3)GDX+DHT(0.1mg/マウス);(4)GDX+DHEA(6.25mg/マウス)。試験の第1日に、両側GDXを記載さているように(Castro,1974 and Fleischman,1981)、偽手術された第1群の動物を除いてすべての動物に実施した。GDX後の第2日から開始して3週間にわたって、DHEAを0.4%メチルセルロースおよび5%エタノールによる懸濁物として、適切な群の動物に毎日経口投与する。無処置およびGDXコントロール群の動物を同じ期間中にビヒクルのみで処置した。最後の処置の6時間後に、すべての動物を殺した。
【0057】
DHEAの経口用量は、以前に発表された研究に基づいて選択した(Labrieら,1996;Labrieら,2003b)。それゆえ選択した生理学的用量は、ホルモン感受性器官のGDX誘発萎縮を完全に逆行させ、無処置動物で見られるのと同様の器官重量を生じさせた。DHTは経口経路によっては活性が不十分であることが既知であるため、皮下注射した。DHT用量を決定するため、予備用量範囲試験を実施した(補足のオンライン物質、オンライン表S1を参照)。
【0058】
組織の処理
長毛を剃った後、背側皮膚を切除して、平らにし、10%緩衝ホルマリン中にただちに浸漬した。サンプルをパラフィンブロックに埋め込み、そこから4μm切片を切り出し、規定どおりに染色した。皮膚の他の部分を記載されたようなホールマウント技法を使用した(Badertscher JA,1940,Stain Technol,15:29−30)。
【0059】
皮膚厚解析
光学顕微鏡下で、IMAGE−PRO PLUS(Media Cybernetics,米国)を使用して測定を実施した。各動物の各皮膚層から25個の読取り値を記録した。基底層から顆粒層(角質層を除く)までの表皮厚を測定した一方で、真皮厚は表皮と皮下組織との間の距離とした。最後に皮下厚を真皮と皮筋との間の距離として測定した。
【0060】
免疫組織化学
パラフィン切片を脱パラフィンおよび再水和した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中3%Hで30分間のプレインキュベーションによって排除した。クエン酸緩衝液を使用するマイクロ波検索技法を利用して(Tacha et Chen,1994)、非特異性結合部位を10%ヤギ血清によって中和した。次に切片を60分間に渡って室温にてマウス抗Ki−67抗体クローンMIB−5(1:60)(Dako Diagnostic,カリフォルニア州、米国)を用いて、または90分間に渡って室温にてウサギ抗アンドロゲン受容体(AR)抗体(1:300)(N−20;Santa Cruz Biotechnology,Inc.,カリフォルニア州、米国)を用いてインキュベートした。Zymed SPキット(サンフランシスコ、カリフォルニア州、米国)およびVectastain Elite ABCキット(Vector Laboratories,Inc.Burlingame,カリフォルニア州、米国)をAR、およびKi−67抗体にそれぞれ使用した。顕微鏡監視下でジアミノベンジジンを色素原として使用した。Ki−67の評価には、細胞400個の標識指数を各動物から計算した。
【0061】
統計解析
データを平均±標準偏差(S.E.M.)として表現した。統計的有意性は、Duncan−Kramerの複数範囲検定に従って決定した(Kramer CY,1956,Biometrics,12:307−310)。
【0062】
結果
16〜18週齢オスおよびメスマウスの背側皮膚の形態学的検査は、皮膚の全体厚および各種の皮膚層の割合における性差が明確に見られることを明らかにした(図1Aおよび1B)。実際に主な相違は、オスの真皮がメスよりもはるかに厚いのに対して、表皮および皮下組織がメスよりも厚く、それゆえオスにおいて40%厚い全体の皮膚をもたらすということである。
【0063】
表皮
無処置メスの表皮は、オスよりも約40%厚い(p<0.01)。GDXの3週間後、メスの表皮厚は40%減少し(p<0.01)、これに対してDHEA処置後には13%増加した(p<0.05)。
【0064】
Ki−67陽性基底細胞の数によって示されるように、細胞増殖が無処置メスでより高いことが見出され(11.8±0.7対9.3±0.4、p<0.05)、それゆえ性差を示した。さらにGDXの3週間後、細胞増殖のレベルはメスで27%低下し(8.6±
0.7、p<0.01)、無処置オスで観察されたのと同様の値であった。AR免疫染色強度は、無処置オスでメスよりもやや高いことが見出された(図2a、2b)。GDXの3週間後、AR発現はオス表皮細胞においてメスのそれと同様のレベルまで低下した(図2c、2d)。GDX動物にDHTまたはDHEAを投与すると、強力なAR発現がオスおよびメスの両方で観察された(図2e、2i、2f、2j)。
【0065】
真皮
無処置動物では、真皮は、メスと比較してオスでは190%厚かった(p<0.01)。GDX後、メスの真皮厚は22%増加した(p<0.05)のに対して、オスにおける7%の減少は統計的に有意でなかった。GDXメスにおいてのみ、DHTおよびDHEA処置は真皮厚をそれぞれ47%(p<0.01)および19%(p<0.05)有意に増加させた。
【0066】
皮下組織
無処置メスの皮下組織は、オスよりも約11倍厚かった(p<0.01)。図1Bに見られるように、GDX後、皮下厚はオスおよびメスマウスの両方で増加した(p<0.01)のに対して、DHT、EまたはDHEAによる処置は、両方の性別のGDX動物の皮下厚を顕著に減少させた(p<0.01)。これらの発見は、DHT、EまたはDHEAによる処置がセルライトの処置にとって有効であるという良好な指摘である。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例2
プロトコルERC−202
試験設計
本試験は、対象15名の腕ごとのランダム化二重盲検プラセボコントロール試験である。試験を2つの相、13週間のスクリーニング期間および処置期間に分けた。
【0069】
対象および処置
書面でのインフォームドコンセントを得て、女性が適格であることが見出された後、各対象をランダム化して0.0%(プラセボ)、0.1%、0.3%、1%または2% DHEAエマルジョンのいずれかを1日2回、朝と夕方に投与した。
【0070】
毎日、朝食前および夕食後に13週間に渡って、対象に5つのエマルジョンの1つ3.0mlを投与した。
【0071】
すべての対象は、試験処置を顔面(右側)および額、胸上部、手背部、上腕後部、大腿および脚の外面に、13週間に渡って1日2回塗布するように指示された(朝は06:00〜09:30の時間に、夕方は18:00〜21:30の時間)。試験処置の1回目の塗布は、局所エマルジョンを塗布する方法について対象に指示が与えられた調査部位にて実施された。DHEAエマルジョンの総用量3.0mlについて、額および顔面(右側)にエマルジョン300マイクロリットル(0.3ml)、上腕後部および手背部ごとに0.3ml(0.3ml×2)、胸上部に0.3ml、太腿ごとに0.6ml(0.6ml×2)および脚ごとに0.3ml(0.3ml×2)を1日2回塗布した。
【0072】
医薬組成物の実施例
制限としてではなく一例として、好ましい性ステロイド前駆体DHEA、好ましいアンドロゲンを利用する複数の局所医薬組成物を以下で述べる。活性成分の濃度は、本明細書で述べるように幅広い範囲に渡って変化しうる。含まれうる他の構成要素の例および種類は当分野で周知である。
実施例A
局所クリーム
【0073】
【表2】

【0074】
実施例B
局所クリーム
クリーム0.1%DHEA(処方番号0759−0435)
【0075】
【表3】

【0076】
実施例C
局所クリーム
クリーム0.3% DHEA(処方番号0759−0435)
【0077】
【表4】

【0078】
実施例D
局所クリーム
クリーム 0.3% DHEA(処方番号0759−0484)
【0079】
【表5】

【0080】
実施例E
局所クリーム
クリーム 1.0% DHEA(処方番号0759−0435)
【0081】
【表6】

【0082】
実施例F
局所クリーム
クリーム 1.5% DHEA(処方番号484−12−1.5%)
【0083】
【表7】

【0084】
実施例G
局所クリーム
クリーム 1.5% DHEA(処方番号435−3−1.5%)
【0085】
【表8】

【0086】
実施例H
局所クリーム
クリーム 1.5% DHEA(処方番号47−1.5%)
【0087】
【表9】

【0088】
実施例I
局所クリーム
クリーム 2.0% DHEA(処方番号0759−0435)
【0089】
【表10】

【0090】
実施例J
局所クリーム
クリーム 0.3%テストステロン
【0091】
【表11】

【0092】
実施例K
局所クリーム
クリーム 0.3% DHEA
【0093】
【表12】

【0094】
実施例L
局所クリーム
クリーム 0.3% DHT
【0095】
【表13】

【0096】
実施例M
局所クリーム
クリーム 0.3% テストステロン
【0097】
【表14】

【0098】
実施例N
局所ゲル
ゲル 10.0% DHEA
【0099】
【表15】

【0100】
実施例O
局所ゲル
ゲル 2.0% DHT
【0101】
【表16】

【0102】
実施例P
経口カプセル
カプセル50mg DHEA
【0103】
【表17】

【0104】
実施例Q
経口カプセル
カプセル25mg DHEA
【0105】
【表18】

【0106】
本発明は、好ましい実施形態および実施例によって記載されてきたが、それによって限定されない。当業者は、本明細書の特許請求項によってのみ限定される本発明のより広い応用性および範囲をただちに認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1A】オスマウスとメスマウスの背側皮膚の比較を示す。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色したマウス背側皮膚のパラフィン切片。a)無処置オスでは、毛嚢すべてが休止期にあり、皮下組織の薄層に接した真皮内に位置している。b)無処置メスでは、毛嚢すべてがまた休止期にあるが、皮下組織はオスと比較して厚く、真皮はより薄い。c)GDX後、オスの毛嚢は成長後期にある。d)GDXメスでは、毛嚢すべては成長期にある。表皮(E)、真皮(D)、皮下組織(H)、皮筋(PC)および毛嚢(HF)。スケールバー=100μm。値は平均±SEMとして表す。p<0.05対GDXオスコントロール;++p<0.01対GDXメスコントロール(Duncan−Kramer多範囲検定)。
【図1B】オスマウスとメスマウスの背側皮膚の比較を示す。無処置およびGDX動物、ならびにDHT、EまたはDHEAで処置したGDX動物においての、オスとメスとの間の、各皮膚層の厚さ(表皮、真皮および皮下組織)の比較と共に、全皮膚厚の比較。値は平均±SEMとして表す。p<0.05対GDXオスコントロール;++p<0.01対GDXメスコントロール(Duncan−Kramer多範囲検定)。
【図2】図2は、マウス背側皮膚の表皮におけるアンドロゲン受容体(AR)の発現を示す。ARは、核に独占的に局在化していることが見出された。a)無処置オスでは、表皮核の大半が標識化されており、b)無処置メスでは、表皮核の大半が標識化されているが、標識強度はオスより低い。GDXの3週間後、GDXオス(c)でも、GDXメス(d)でも標識は検出できなかった。GDXオス(e)およびメス(f)マウスをDHTによって処置したとき、強いAR標識が表皮細胞の核の大半で観察された。GDXオス(g)およびメス(h)にEを投与すると、弱いAR標識が一部の核で検出された。DHT処置と同様に、GDXオス(i)およびメス(j)にDHEAを投与すると、強い標識が表皮核の大半で検出された。スケールバー=20μm。
【図3】DHEAで処置した(顔面の右側)、または未処置の(顔面の左側)顔面皮膚の比較を示す。DHEAを含有するエマルジョン300μl(0.3ml)を13週間、額および顔面の右側に塗布した。
【図4】DHEAで処置した(顔面の右側)、または未処置の(顔面の左側)顔面皮膚の比較を示す。DHEAを含有するエマルジョン300μl(0.3ml)を13週間、額および顔面の右側に塗布した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢に伴うアンドロゲン不足による皮膚疾患となる可能性を処置または低減する方法であって、そのような処置が必要な、またはリスクの低減が必要な患者に、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグを投与する工程を含む方法。
【請求項2】
これらの皮膚疾患が皮膚萎縮、コラーゲン減少、弾性繊維減少、結合組織減少、セルライト、および皺から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アンドロゲンがテストステロン(4−アンドロステン−17β−オール−3−オン)、ジヒドロテストステロン(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン)、アンドロステンジオン(4−アンドロステン−3,17−ジオン)、アンドロスタンジオン(5α−アンドロスタン−3,17−ジオン)、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはそのプロドラッグから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
皺およびセルライトまたは弾性繊維減少となる可能性を処置または低減する方法であって、そのような処置が必要な、またはリスクの低減が必要な患者に、有効量のデヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン−サルフェート、5−アンドロステン−3β,17β−ジオールおよびそのプロドラッグから成る群より選択される少なくとも1つの性ステロイド前駆体を投与する工程を含む方法。
【請求項5】
皺およびセルライトまたは弾性繊維減少となる可能性を処置または低減する方法であって、そのような処置が必要な、またはリスクの低減が必要な患者に、有効量のテストステロン(4−アンドロステン−17β−オール−3−オン)、ジヒドロテストステロン(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン)、アンドロステンジオン(4−アンドロステン−3,17−ジオン)、アンドロスタンジオン(5α−アンドロスタン−3,17−ジオン)、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールおよびそのプロドラッグから成る群より選択される少なくとも1つのアンドロゲンを投与する工程を含む方法。
【請求項6】
性ステロイド前駆体が局所投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
皮膚萎縮、コラーゲン減少となる可能性を処置または低減する方法であって、そのような処置が必要な、またはリスクの低減が必要な患者に、有効量のテストステロン(4−アンドロステン−17β−オール−3−オン)、ジヒドロテストステロン(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン)、アンドロステンジオン(4−アンドロステン−3,17−ジオン)、アンドロスタンジオン(5α−アンドロスタン−3,17−ジオン)、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールおよびそのプロドラッグから成る群より選択される少なくとも1つのアンドロゲンを投与する工程を含む方法。
【請求項8】
性ステロイド前駆体が経口投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
アンドロゲンまたはそのプロドラッグが局所投与される、請求項1、5または7に記載の方法。
【請求項10】
アンドロゲンまたはそのプロドラッグが経口投与される、請求項1、5または7に記載の方法。
【請求項11】
加齢に伴うアンドロゲン不足による皮膚疾患となる可能性を処置または低減するための医薬品の製造における、有効量のアンドロゲンまたはそのプロドラッグの使用。
【請求項12】
皮膚疾患が皮膚萎縮、コラーゲン減少、弾性繊維減少、結合組織減少、セルライトおよび皺から成る群より選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
アンドロゲンがテストステロン(4−アンドロステン−17β−オール−3−オン)、ジヒドロテストステロン(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン)、アンドロステンジオン((4−アンドロステン−3,17ジオン)、アンドロスタンジオン(5α−アンドロスタン−3,17−ジオン)、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはそのプロドラッグから成る群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項14】
患者における皺およびセルライトまたは弾性繊維減少となる可能性の処置または低減での使用のための、有効量のデヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート、5−アンドロステン3β,17β−ジオールおよびそのプロドラッグから成る群より選択される少なくとも1つの性ステロイド前駆体。
【請求項15】
患者における皺およびセルライトになるかまたは弾性繊維が減少する可能性の処置または低減に使用するための、有効量の(4−アンドロステン−17β−オール−3−オン)、ジヒドロテストステロン(5α−アンドロスタン−17β−オール−3−オン)、アンドロステンジオン(4−アンドロステン−3,17ジオン)、アンドロスタンジオン(5α−アンドロスタン−3,17−ジオン)、5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールまたはそのプロドラッグから成る群より選択される少なくとも1つのアンドロゲン。
【請求項16】
(4−アンドロステン−17β−オール−3−から成る群より選択される少なくとも1つのアンドロゲンを含む、患者における皺およびセルライトまたは弾性繊維減少となる可能性の処置または低減に使用するための局所組成物。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−517952(P2008−517952A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538225(P2007−538225)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001652
【国際公開番号】WO2006/047859
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(598009810)アンドルシェルシュ・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】ENDORECHERCHE, INC.
【Fターム(参考)】