説明

皮膚薬学的および美容的に活性なオリゴペプチド類

本発明は、一般式(I)
【化3】


(式中、R1は、H、−C(O)−R7、−SO2−R7、−C(O)−OR7または−C(O)−N(R72を表し;R2は、互いに独立に、Hまたは−(C〜C4)−アルキルを表し;R3およびR6は、互いに独立に、−(CH2q−N(R1)R8を表し;R4およびR5は、互いに独立に、−CH2−OR2、−CH(CH3)OR8または−CH2−CH2−OR8を表し;R7は、水素、場合によって置換された(C1〜C19)アルキル、場合によって置換されたC1〜C19アルケニル、フェニル基が場合によってパラ位でアミノにより置換されているフェニル−C1〜C4アルキルを表し;R8は、H、(C1〜C4)アルキル、−C(O)−R7、−C(O)−OR7、−C(O)−N(R72または−SO2−R7を表し;Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか;またはXR7は、X=Oの場合、α−トコフェロール、トコトリエノールまたはレチノールのエステル類またはカルボン酸(R7=Hの場合)も表し;m、n、pは、互いに独立に、0または1を表し;R3およびR6におけるqは、互いに独立に、1〜4の整数を表すが、但し、下記の条件:R4=−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2は、同時に発生しない)に相当する、オリゴペプチド類およびそれらの誘導体、ペプチド類縁体およびそれらの誘導体、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容し得る塩類に関する。本発明はまた、式(I)の少なくとも1種の化合物を含有する、皮膚薬学的および美容的に活性な組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に、皮膚薬学的に、および美容的に活性なオリゴペプチド、それらの誘導体、ペプチド類縁体およびそれらの誘導体、ならびに皮膚薬学的および美容的に活性な組成物におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚老化の基本的な機序は、上皮と結合組織との間の交差に位置する、基底ラメラ(basal lamella)と呼ばれる、細胞外マトリックスで起こることが分かっている。細胞外マトリックスの再生は、細胞外マトリックスが接触している細胞の挙動、特にそれらの細胞の成長、遊走、増殖、形態および機能にかなり影響するため、極めて重要である。線維芽細胞によるコラーゲン合成の加齢関連の減少は、この細胞外マトリックスで起こり、その結果、これらの細胞により分泌される化学物質の数が減少する。皮膚タンパク質は、約80%がコラーゲンで構成されているため、組織中コラーゲン濃度の僅かな自然減少が、皮膚の機械的特性および生理学的特性に、すでに明白な影響を及ぼしている可能性がある。
【0003】
Katayamaら(非特許文献1参照。)は、コラーゲンおよびフィブロネクチンを刺激するための最小のサブフラグメント配列が、ペンタペプチドLys−Thr−Thr−Lys−Serで示されることを発見した。4個以下のアミノ酸を有する配列は、刺激作用が僅かであるかまたは全くない。
【0004】
欧州特許出願には、皮膚老化を処置し、創傷治癒を促進し、皮膚保湿を改善するための成分としての、パルミトイル化ペンタペプチドPalm−Lys−Thr−Thr−Lys−Serの効果が記載されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】欧州特許出願第WO 00/15188号
【非特許文献1】Katayamaら、The Journal of Biological Chemistry, Vol.268, No.19, 9941〜9944ページ, 1993年
【発明の開示】
【発明の効果】
【0005】
選択された、新しいオリゴペプチド類およびそれらの誘導体、ならびにペプチド類縁体およびそれらの誘導体(以下、「本発明の化合物」と呼ぶ)は、薬学的におよび/または美容的に、驚くほど極めて有効であり、特に皮膚薬学的および/または美容的に有効な組成物に使用するのに適している。本発明の化合物は、細胞膜を通って細胞内作用部位まで、急速にかつ十分な濃度で拡散し、そこで、コラーゲンおよびフィブロネクチンの産生増加に導く。このように、本発明の化合物は、皮膚の機械的および生理学的様相に決定的な影響を及ぼす細胞外マトリックスに対して、驚くほど積極的な刺激作用を発揮する。特に、本発明の化合物は、これまでに知られている最新技術による他の化合物より、はるかに速くかつ強いコラーゲン合成の刺激を誘発する。本発明の化合物によるコラーゲン合成の急速でかつ強い刺激は、分子量の減少、アミノ酸におけるN−メチル基の導入、および、たとえば,脂肪酸エステル類によるアミノ酸の修飾によって得られる相乗効果の結果である公算が高い。しかし、本発明は、この説明に縛られない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲で規定され、また、特に、選択された新しいオリゴペプチド類およびそれらの誘導体、ペプチド類縁体およびそれらの誘導体、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容し得る塩類に関し、これらの化合物は、一般式(I)
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
1は、H、−C(O)−R7、−SO2−R7、−C(O)−OR7または−C(O)−N(R72を表し、
2は、互いに独立に、Hまたは−(C〜C4)−アルキルを表し、
3、R6は、互いに独立に、−(CH2q−N(R1)R8を表し、
4、R5は、互いに独立に、−CH2−OR2、−CH(CH3)OR8または−CH2−CH2−OR8を表し、
7は、水素、場合によって、互いに独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、メルカプト、1,2−ジチオラニル、および/またはスルホで、1回または数回置換された(C1〜C19)−アルキル;場合によって置換された(C1〜C19)−アルケニル;フェニル基が場合によってパラ位でアミノにより置換されているフェニル−(C1〜C4)−アルキルを表し、
8は、H、−(C1〜C4)−アルキル、−C(O)−R7、−C(O)−OR7、−C(O)−N(R72または−SO2−R7を表し、
Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか、あるいは
XR7は、X=Oの場合、α−トコフェロール、トコトリエノールもしくはレチノールのエステル類またはカルボン酸(R7=Hの場合)も表し、
m、n、pは、互いに独立に、0または1を表し、そして
3およびR6におけるqは、互いに独立に、1〜4の整数を表すが、但し、下記の条件:R4=−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2は、同時に発生しない)に相当することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、下記の条件:R4=−CH2−OHまたは−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2は、同時に発生しない。好ましくは、下記の条件:R2=HおよびR4=−CH2−OHまたは−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2は、同時に発生しない。
【0010】
式(I)の化合物は、対応するアミノ酸のジペプチド類、トリペプチド類、テトラペプチド類およびペンタペプチド類、R1、R2、R7およびR8の定義に準拠するその誘導体、ならびに対応するペプチド類縁体を含む。
【0011】
置換基R3またはR6を含む、一般式(I)におけるアミノ酸残基は、リシン(Lys)、オルニチン(Orn)、2,4−ジアミノ酪酸(Dab)または2,3−ジアミノプロピオン酸(Dap)から誘導され、これらのアミノ酸またはアミノ酸誘導体の残基である。
【0012】
置換基R4またはR5を含む、一般式(I)におけるアミノ酸残基は、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、ホモセリン[H2N−CH((CH22−OH)COOH、(HSe)]から誘導され、これらのアミノ酸またはアミノ酸誘導体の残基である。
【0013】
下表に、上式(I)の化合物が誘導されるアミノ酸を示す。
【0014】
【表5】

【0015】
残基[R1(N(R2)CH(R3)C(O)−]は、リシンから誘導されることが好ましい。
位置[−N(R2)CH(R4)C(O)−N(R2)CH(R5)C(O)−]の残基[−N(R2)CH(R4)C(O)−]は、スレオニンから誘導されることが好ましい。
残基[−N(R2)CH(R5)C(O)−]は、スレオニンから誘導されることが好ましい。
残基[−N(R2)CH(R6)C(O)−]は、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸(Dab)、および2,3−ジアミノプロピオン酸(Dap)から誘導されることが好ましい。
末端残基[−(N(R2)CH(R4)C(O)−XR7]は、セリンから誘導されることが好ましい。
式(I)の化合物は、以下の配列を含むことが好ましい:
【0016】
【表6】

【0017】
配列−Ser−Ser−Orn−、Lys−Thr−Thr−Orn−Ser、Lys−Thr−Thr−Dab−SerおよびLys−Thr−Thr−Dab−Serを有する化合物、ならびに置換基R1、R2、R7およびR8で相応に誘導体化された配列が特に好ましい。
【0018】
式(I)に包含される、さらなる好ましいポリペプチドは、本文で言及する。
【0019】
nまたはp=0であるとき、m=0のものも、式(I)の好ましい化合物である。
【0020】
上述の用語「ペプチド」および「オリゴペプチド」は全て、それぞれ、天然のアミノ酸、ペプチドおよびオリゴペプチドを含む。ペプチド類縁体は、合成的に修飾された、たとえば窒素原子にメチル基を有する(CH3−N=)、それぞれ、アミノ酸、ペプチドおよびオリゴペプチドを意味する。本発明の範囲内の誘導体は、特に、末端のアミノ基またはカルボキシル基がさらに変換されている、たとえば、末端のカルボキシル基がエステル化されている、それぞれ、アミノ酸、ペプチドおよびオリゴペプチドを意味する。
【0021】
式(I)の化合物は、特にヒト皮膚におけるコラーゲンおよびフィブロネクチン産生を増加するための、薬学的に、皮膚薬学的におよび/または美容的に活性な組成物を調製するための、薬学的、皮膚薬学的および/または美容的活性成分として特に適当である。
【0022】
さらに、本発明は、本発明の化合物およびそれらの塩類を調製する方法、および薬学的、皮膚薬学的および/または美容的活性成分としてのそれらの使用、ならびに本発明の少なくとも1種の化合物を含む薬学的に、皮膚薬学的におよび/または美容的に活性な組成物に関する。
【0023】
さらに、本発明は、創傷治癒促進薬および保湿促進薬を調製するための本発明の化合物の使用、ならびに、本発明の化合物および/または本発明の組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚老化、特に皺の形成を遅延させるかまたは処置する方法に関する。
【0024】
上で使用した一般用語は、以下の通りに定義される:
【0025】
ハロゲンは、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素を意味する。
基それ自体としての、またはアルコキシ官能基の構造要素としての、アルキルは、直鎖状ならびに分枝状のアルキル基を含む。その例は、非分枝残基としてのメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−トリデカニル、n−ヘキサデカニル、n−ヘプタデカニル、n−オクタデカニルまたはn−ノナデカニル、および分枝残基としてのイソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソアミルである。アルキルとしてのR2および/またはR8は、好ましくは、メチル、エチルおよびプロピル、好ましくはメチルを意味する。R1の一部としてのR7が、アルキル残基を意味するかまたは含む場合、R7は、好ましくは、8〜22個のC原子、好ましくは14〜17個のC原子を有するアルキルを表す。XR7がアルキル残基を含む場合、XR7は、好ましくは、1〜22個のC原子、好ましくは1〜4個のC原子を有するアルキルを意味する。
【0026】
アルケニルは、モノ不飽和、ポリ不飽和、または場合によって置換されたアルキル基、たとえば8(Z)−ヘプタデセニル、8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル、4(Z),7(Z),10(Z),13(Z)−ノナデカテトラエニル、8(Z)−11−ヒドロキシオクタデセニル等の意味を持つ。
【0027】
α−トコフェリルは、(D)−、(L)−または(DL)−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′,8′,12′−トリメチルトリデシル)−6−クロマニルを意味する。トコトリエニルは、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′,8′,12′−トリメチル−3′,7′,11′−トリデカトリエニル)−6−クロマニルのあらゆる異性体を意味する。レチニルは、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエン−1−イルを意味する。
【0028】
式(I)の化合物は、酸と共に、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸もしくはリン酸等の無機酸と共に;または、適切な有機脂肪族飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸、たとえばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、フタル酸、クエン酸、乳酸または酒石酸等の脂肪族モノ−もしくはジカルボン酸と共に;または安息香酸もしくはサリチル酸等の芳香族カルボン酸と共に;またはマンデル酸もしくはケイ皮酸等の芳香族−脂肪族カルボン酸と共に;またはニコチン酸等の複素環式芳香族カルボン酸と共に;またはメタンスルホン酸もしくはトルエンスルホン酸等の脂肪族もしくは芳香族スルホン酸と共に、一価または多価の、均一な塩類または混合塩類を形成することができる。皮膚科学的に許容される塩類、特に酢酸および/または乳酸との塩類が好ましい。
【0029】
一般式(I)の化合物は、あり得る異性体形ならびにそれらの混合物、たとえばラセミ混合物および回転異性体の混合物も含む。
【0030】
式(I)で記載されるアミノ酸は、L立体配置を有してもD立体配置を有してもよく、または両立体配置の混合物を表してもよい。特に、Thrは、配列におけるそれぞれの位置の、異性体形allo−Thr、D−ThrまたはD−allo−Thr、ThrとD−Thrとの混合物、もしくはallo−ThrとD−allo−Thrとの混合物を表してもよい。
【0031】
式(I)の化合物の中で、それぞれ、以下の意味または以下の基の化合物が好ましい:
1は、水素、−C(O)−R7、−SO2−R7、−C(O)−OR7または−C(O)−N(R72を表し、好ましくは、R1は、水素、−C(O)−R7または−SO2−R7、好ましくは水素、−C(O)−R7を表し、
2は、互いに独立に、水素またはメチルを表し、
3、R6は、互いに独立に、−(CH2q−N(R1)R8を表し、好ましくは、互いに独立に、−(CH2q−NH2を表す。
4、R5は、互いに独立に、−CH2−OR8、−CH(CH3)OR8または−CH2−CH2−OR8を表し、好ましくは、互いに独立に、−CH2−OH、−CH(CH3)OHまたは−CH2−CH2−OHを表し、
7は、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−トリデカニル、n−テトラデカニル、n−ペンタデカニル、n−ヘキサデカニル、n−ヘプタデカニル、n−オクタデカニル、n−ノナデカニル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソアミル、フェニル、t−ブチルフェニル、トリル、1−もしくは2−ナフチル、ペルフルオロブチル、ペンタデカフルオロヘプチル、(+)−もしくは(−)−ボルナン−2−オニル、8(Z)−ヘプタデセニル、8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル、4(Z),7(Z),10(Z),13(Z)−ノナデカテトラエニルまたは8(Z)−11−ヒドロキシオクタデセニル、1,2−ジチオラニル、またはω位でアミノ基により置換されたC1〜C19−アルキル、または場合によって、オルト位および/またはパラ位でメチル、アミノもしくはハロゲンにより置換されたフェニルを表し、好ましくは、XR7の一部としてのR7は、水素、メチル、エチルを表し、かつ/またはR1の一部としてのR7は、14〜17個のC原子を有するアルキル残基を表す。
【0032】
8は、水素、C1〜C4アルキルまたは−C(O)−R7を表し、好ましくは水素またはメチルを表す。
Xは、酸素、−NH−を表し、好ましくは酸素を表し、
XR7は、X=Oの場合、α−トコフェロール、トコトリエノールもしくはレチノールのエステル類またはカルボン酸(R7=H)も表し、好ましくは、カルボン酸を表し、
m、n、pは、互いに独立に、0または1を表し、そして
3およびR6におけるqは、互いに独立に、整数1、2、3または4を表す。
【0033】
7−C(O)−は、最も好ましくは、6、8、10、12、14、16または18個のC原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸の残基を表し、好ましくは、飽和脂肪酸の対応する残基を表し、好ましくは、カプリル酸[CH3−(CH26−C(O)−]、ラウリン酸[CH3−(CH210−C(O)−]、ミリスチン酸[CH3−(CH212−C(O)−]、パルミチン酸[CH3−(CH214−C(O)−]および/またはステアリン酸[CH3−(CH216−C(O)−]の対応する残基を表す。
【0034】
式(I)の化合物の代表例を、表5にまとめる(実施例7の後)。
【0035】
本発明の化合物は、本質的にペプチド化学で既知の方法に従って製造することができる。好ましい手順は、本発明の化合物、たとえば式(1)の化合物を完全に構成するステップ、場合によって残存保護基を分離するステップ、ならびに場合によって遊離アミノ基をアシル化するステップ、および/または得られた化合物を酸付加塩に変換するステップ、および/または得られた酸付加塩を対応する共役塩基または別の塩に変換するステップを含む。
【0036】
本発明の化合物は、皮膚薬学的におよび/または美容的に活性な組成物の調製に使用することができる。このような組成物は、本発明の化合物および充填剤の重量に基づいて算出された、本発明の少なくとも1種の化合物またはその塩の有効量、0.5〜5,000ppm(w/w)、好ましくは1〜1000ppm(w/w)の範囲を含む。本発明の化合物は、液剤、分散剤、乳剤として使用してもよく、あるいは担体内、たとえば、マクロカプセル、マイクロカプセルまたはナノカプセル等の中、リポソームまたはカイロミクロンの中に封入してもよく、あるいはマクロ粒子、マイクロ粒子もしくはナノ粒子の中、または微菌類(microfungus)内に封入してもよく、あるいは粉末有機ポリマー、タルク、ベントナイトおよびさらなる無機担体上に吸着させてもよい。
【0037】
本発明の化合物は、乳剤、ミルク、ローション、軟膏、ゼリー状および粘性の、リフティングポリマーおよび乳化ポリマー、ポマード、シャンプー、石鹸、ジェル、パウダー、スティック、スプレー、ボディオイル、フェースマスクまたは経皮適用向けの膏薬等の、任意の製剤形態(galenic form)で使用することができる。
【0038】
本発明の化合物は、任意のさらなる、一般に使用される成分、たとえば、抽出脂質および/または合成脂質、ゼリー状および粘性の、リフティングポリマーおよび乳化ポリマー、水溶性または脂溶性の活性物質、植物抽出物、組織抽出物、海洋抽出物、日光防護剤、酸化防止剤、保水剤およびバリヤー剤、ならびに皮膚賦活剤と共に使用してもよい。
【0039】
本発明の化合物は、創傷治癒および水分補給を増進するための美容用途、および、特に皺の形成および悪化を防ぐための、また自然のまたは加速された(太陽光線、汚染)皮膚老化の全結果から守るための、全ての皮膚ケア製品で使用される。
【0040】
本発明の化合物、ならびにそれらを含む化粧用および皮膚医薬用組成物は、創傷治癒および水分補給を促進するための薬剤の調製、および、特に皺の形成および悪化を防ぐための、また自然のまたは加速された(太陽光線、汚染)皮膚老化の全結果から守るための、全ての皮膚ケア製品で使用される。
【0041】
本発明は、本発明の化合物を皮膚上に塗布することを含む、皮膚老化、特に皺形成を遅延または処置する方法にも関する。同様に、本発明は、本発明の化合物を皮膚上に塗布することを特徴とする、創傷治癒を促進し、かつ/または皮膚水分補給を改善する方法に関する。
【0042】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を説明する。以下の略語は、本文および実施例1〜7で使用される:
【0043】
AcOH:酢酸
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
Dab:2,4−ジアミノ酪酸
Dap:2,3−ジアミノプロピオン酸
DBU:1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン(1,5−5)
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMEM:ダルベッコの改良イーグル培地
Et:エチル
FCS:ウシ胎仔血清
HSe:ホモセリン
Hyp:ヒドロキシプロリン
Gly:グリシン
Lipoyl:α−D,L−リポ酸
Me:メチル
MEM:最小必須培地
N−Me−Ser:N−メチル−セリン
N−Me−Thr:N−メチル−スレオニン
NMM:N−メチルモルホリン
Orn:オルニチン
Palm:パルミトイル
PBS:リン酸緩衝食塩水
Pr:プロピル
RT:室温
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロボレート
tBu:t−ブチル
TFA:トリフルオロ酢酸
TGF−β(ベータ)1: トランスフォーミング増殖因子−ベータ(β)
【実施例1】
【0044】
本発明のオリゴペプチド誘導体を用いた処理による、線維芽細胞細胞培養(ATCC CCL110)におけるコラーゲン合成タイプI+IIIの刺激の測定。
方法:
線維芽細胞中のコラーゲンIおよびIII含量を、シリウス・レッド(Sirius Red)マイクロアッセイで測定した。コラーゲンの定量測定は、対応するオリゴペプチド誘導体と共に24時間インキュベートした後に実施した。細胞外に蓄積したコラーゲンを測定した。ビタミンCおよびTGF−β−1を陽性対照として使用した。
【0045】
方法:
6ウェル細胞培養プレートで、およそ125,000細胞/ウェルの密度にて、ATCC CCL110線維芽細胞を培地中で2日間インキュベートした(37℃/5%CO2)。その後、この培地を捨て、PBSで2回洗浄し、それに、対応する被検物質を含む被検培地1mlを加えた。培養条件(37℃/5%CO2)でさらに24時間、被検物質と共にインキュベートした後、シリウス・レッド(Sirius Red)アッセイで、細胞外コラーゲンを測定した。
【0046】
シリウス・レッド(Sirius Red)アッセイ細胞外:
インキュベーション期間の後、被検培地全量(1ml)を平底24ウェル・プレートに移し、55℃で一晩乾燥させた。このサンプルを、1ml/ウェルのブアン液(Bouin's fluid)で、室温(RT)にて1時間、固定した。固定液を捨て、プレートを水で2〜3回洗浄した。プレートを乾燥させた後、シリウス・レッド(Sirius Red)染色試薬1mlを加えた。
【0047】
中ぐらいの強度のマイクロプレート撹拌器で、サンプルを、室温で1時間、振盪した。その後、シリウス・レッド(Sirius Red)染色試薬を捨て、プレートを0.01N HClで洗浄した。薄い色のついた材料を0.1N NaOH溶液0.3mlに溶解し、マイクロプレート撹拌器で、室温にて1時間、振盪した。
【0048】
溶液200μlを平底96ウェル・プレートに移し、ブランクとしての0.1N NaOH溶液に対して、540nmにおける光学密度を測定した。
【0049】
材料:
培地:MEM+10%FCS+100IU/mlペニシリン+0.1mg/mlストレプトマイシン+1mM非必須アミノ酸+1mM ピルビン酸ナトリウム+2mM L−グルタミン。
被検培地:フェノール・レッドを含まないDMEM(AMIMED)+100IU/mlペニシリン+0.1mg/mlストレプトマイシン+80μg/ml β−アミノプロピオニトリル。
物質の希釈:
ビタミンC 100mM(SIGMA A4034)を、被検培地で、50μg/mlに希釈した。
トランスフォーミング増殖因子TGFβ1 1μg/ml(SIGMA T1654)を、被検培地で、0.1ng/mlに希釈した。
本発明のオリゴペプチド誘導体を、標準濃度である10mMで調製し、被検培地で50μMに希釈した。
シリウス・レッド(Sirius Red)マイクロアッセイのための試薬:ストック溶液として1mg/mlピクリン酸飽和水溶液中のシリウス・レッド(Sirius Red)F3BA染色試薬。ブアン液:ピクリン酸飽和水溶液15ml+ホルムアルデヒド5ml+酢酸1ml。結果を表1に示す。
【0050】
表1
結果、24時間後のコラーゲン・タイプI+IIIの定量測定:
【0051】
【表7】

【実施例2】
【0052】
本発明のオリゴペプチド誘導体を用いた処置後のフィブロネクチン含量の測定
方法:
線維芽細胞中のフィブロネクチン(ラミニンまたはコラーゲンVII)含量を、イムノドット・ブロッティングで測定した。実施例1に記載されているのと同じ方法で、細胞の培養およびインキュベーションを実行した。その後、細胞を溶解し、その溶解物(0.5ml)を、準備したバイオドット装置内のニトロセルロースシート上にブロットした。次いで、このシートを、ウエスタンブロッティング法に従って、ヒトフィブロネクチンに対する特異的一次抗体と共にインキュベートした。アルカリホスファターゼとの複合物(conjugate)を二次抗体として使用した。乾燥し、反応を停止した後、バンドの強度を視覚的に半定量的に決定した。その結果を表2に示す。
【0053】
表2
結果、24時間インキュベートした後の、フィブロネクチン(すなわちラミニンVまたはコラーゲン・タイプVII)の定量測定:
【0054】
【表8】

【実施例3】
【0055】
軟膏の処方
方法:成分1〜5(A)を70℃に加熱した。成分6〜7(B)を、75℃に加熱した。撹拌しながらBをAに加え、50℃に冷却し、均質化し、30℃に冷却した。その後、成分8〜9(C)および成分10(D)を順々に加え、完全に撹拌した。処方を表3に示す。
【0056】
【表9】

【実施例4】
【0057】
ジェルの処方:
方法:成分2〜6(A)を順々に脱イオン水に溶解した。成分7(B)でpHを6.0に調整した後、成分8(C)を加えた。処方を表4に示す。
【0058】
【表10】

【0059】
〔実施例5〜7〕
以下の実施形態5〜7は、本発明の式(I)の化合物およびこのような化合物の塩類の合成について述べる。実施例に従って得られた溶離液および生成物を、プロトンNMR、HPLC−エレクトロスプレーMSまたは元素分析を用いて分析した。化合物は、以下に記載の既知の方法に従って製造することができる(M.Bodanszky“The Practice of Peptide Synthesis”, Springer, 第2版、1994年からの概要)。したがって、固相合成において、アミノ酸、たとえばセリンを、カルボキシ末端にて樹脂に結合させ、それによって、アミノ基を保護基で、たとえばFmoc保護基で、保護した。側鎖は、たとえば、Bocまたはt−ブチルで保護した。所望の鎖を完全に構築するまで、さらなるアミノ酸誘導体を、ペプチド合成で一般に使用される試薬と連結するために、必要に応じて、保護基を選択的に分離させた。その後、それぞれ、ペプチドまたはペプチド類縁体を、カルボキシ末端で樹脂から分離させ、このカルボキシ末端を様々なC(O)−R7、SO2−R7、C(O)−OR7またはC(O)−N(R72残基と結合し、それから保護基を除去した。
【実施例5】
【0060】
H−Lys−Thr−Ser−Orn−Ser ×3 TFA
H−Lys(Boc)−Thr(tBu)−Ser(tBu)−Orn(Boc)−Ser(tBu)−OH × TFA(5a)の合成:
代表的な固相合成プロトコールにおいて、ペンタペプチドは、市販のH−Ser(tBu)−クロロトリチル樹脂18.7g(14.0mmol、チャージ:0.75mmol/g)と16.8mmolのアミノ酸Fmoc−Orn(Boc)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH(2×)、Fmoc−Lys(Boc)−OH、TBTU 18mmol、コリジン33.6mmolとの繰り返しカップリング、およびDMF中1%DBUを用いた障害物除去(2×5分)、ジクロロメタン中1%TFAを用いた樹脂からの分離、およびセファデックス(Sephadex)LH20(登録商標)による精製によって得られる、収量:9.3g(64%)。
【0061】
H−Lys−Thr−Ser−Orn−Ser−OH × 3TFA(5b)の合成:
TFA 59ml、水 1.25mlおよびトリイソプロピルシラン1.25mlからなる混合物中で、5a 9.3gを、室温で1時間撹拌した。1/3の体積に減らした後、ジエチルエーテルで析出させた、収量:6.0g(76%)。
【実施例6】
【0062】
CH3−(CH27−SO2−Lys−Thr−Ser−Orn−Ser × 2 TFA(6)の合成:
5a 2g(2.2mmol)をDMF(20ml)に溶解し、1−オクタンスルホクロリド0.48g(2.3mmol)およびDIPEA 0.48g(4.0mmol)と共に室温で10時間撹拌した。溶剤を蒸発させた後、粗生成物を、TFA 59ml、水1.25mlおよびトリイソプロピルシラン1.25mlと共に室温で1時間撹拌した。体積の1/3に減らした後、ジエチルエーテルで析出させ、セファデックス(Sephadex)LH20(登録商標)を用いて精製した、収量:1.4g(70%)。
【0063】
ペプチドまたは複合体は、無機酸、たとえばHCl、HBr、H2SO4またはH3PO4で、または有機酸、たとえばギ酸、シュウ酸または酒石酸で、プロトン化し、6の対応する塩類に導くことができる。
【実施例7】
【0064】
H−Dab−Ser−OH ×2 AcOH
記載の、実施例5aからの固相プロトコールに従って、得られたH−Dab−Ser−OH × 2 TFA(3.0g,6.90mmol)を、イオン交換器で、酢酸塩に同様に変換した、収量2.0g(90.0%)。
実施例5〜7に記載の方法に従って、以下の化合物も合成することができる。
【0065】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴペプチド類およびそれらの誘導体、ペプチド類縁体およびそれらの誘導体、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容し得る塩類であって、一般式(I)
【化1】


(式中、
1は、H、−C(O)−R7、−SO2−R7、−C(O)−OR7または−C(O)−N(R72を表し、
2は、互いに独立に、Hまたは−(C〜C4)−アルキルを表し、
3およびR6は、互いに独立に、−(CH2q−N(R1)R8を表し、
4およびR5は、互いに独立に、−CH2−OR2、−CH(CH3)OR8または−CH2−CH2−OR8を表し、
7は、水素、場合によって、互いに独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、メルカプト、1,2−ジチオラニル、および/またはスルホで、1回または数回置換された(C1〜C19)−アルキル;場合によって置換された(C1〜C19)−アルケニル;フェニル基が場合によってパラ位でアミノにより置換されているフェニル−(C1〜C4)−アルキルを表し、
8は、H、−(C1〜C4)−アルキル、−C(O)−R7、−C(O)−OR7、−C(O)−N(R72または−SO2−R7を表し、
Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか、あるいは
XR7は、X=Oの場合、α−トコフェロール、トコトリエノールもしくはレチノールのエステル類またはカルボン酸(R7=Hの場合)も表し、
m、n、pは、互いに独立に、0または1を表し、そして
3およびR6におけるqは、互いに独立に、1〜4の整数を表すが、
但し、下記の条件:R4=−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2は、同時に発生しない)
に相当することを特徴とする、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、下記の条件:R4=−CH2−OHまたは−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2が、同時に発生しないことを特徴とする;好ましくは下記の条件:R2=HおよびR4=−CH2−OHまたは−CH(CH3)−OHおよびR5=−CH(CH3)−OHおよびR6=−(CH24−NH2が、同時に発生しないことを特徴とする、化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、残基[R1(N(R2)CH(R3)C(O)−]が、リシンから誘導されることを特徴とする、化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物であって、位置[−N(R2)CH(R4)C(O)−N(R2)CH(R5)C(O)−]における残基[−N(R2)CH(R4)C(O)−]が、スレオニンから誘導されることを特徴とする、化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物であって、残基[−N(R2)CH(R5)C(O)−]が、スレオニンから誘導されることを特徴とする、化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、残基[−N(R2)CH(R6)C(O)−]が、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、および2,3−ジアミノプロピオン酸から誘導されることを特徴とする、化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、残基[−(N(R2)CH(R4)C(O)−XR7]が、セリンから誘導されることを特徴とする、化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、以下の配列:
【表1】


の1つを含むことを特徴とする、化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物であって、以下の配列:−Ser−Ser−Orn−、Lys−Thr−Thr−Orn−Ser、Lys−Thr−Thr−Dab−SerまたはLys−Thr−Thr−Dab−Ser、ならびに置換基R1、R2、R7およびR8で相応に誘導体化された配列の1つを含むことを特徴とする、化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物であって、R2および/またはR8におけるアルキルが、互いに独立に、メチル、エチルおよびプロピル、好ましくはメチルを表し;そしてR1および/またはR7におけるアルキルが、それぞれ1〜4個または8〜22個のC原子、好ましくは1または2個、あるいは14〜17個のC原子を有することを特徴とする、化合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物であって、式(1)の化合物が、酸と共に、好ましくは無機酸と共に、または適切な有機脂肪族飽和もしくは不飽和カルボン酸と共に、または芳香族カルボン酸と共に、または芳香族−脂肪族カルボン酸と共に、または複素環式芳香族カルボン酸と共に、または脂肪族もしくは芳香族スルホン酸と共に、好ましくは酢酸および/または乳酸と共に、一価または多価の、均一な塩類または混合塩類を形成することを特徴とする、化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物であって、異性体形およびそれらの混合物として、また回転異性体の混合物として、存在することを特徴とする、化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物であって、
1は、水素、−C(O)−R7または−SO2−R7を表し、好ましくは、−C(O)−R7または水素を表し、
2は、互いに独立に、水素またはメチルを表し、
3およびR6は、互いに独立に、−(CH2q−NH2を表し、
4およびR5は、互いに独立に、−CH2−OH、−CH(CH3)OHまたは−CH2−CH2−OHを表し、
7は、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−トリデカニル、n−テトラデカニル、n−ペンタデカニル、n−ヘキサデカニル、n−ヘプタデカニル、n−オクタデカニル、n−ノナデカニル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソアミル、フェニル、t−ブチルフェニル、トリル、1−もしくは2−ナフチル、ペルフルオロブチル、ペンタデカフルオロヘプチル、(+)−もしくは(−)−ボルナン−2−オニル、8(Z)−ヘプタデセニル、8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル、4(Z),7(Z),10(Z),13(Z)−ノナデカテトラエニル、8(Z)−11−ヒドロキシオクタデセニル、1,2−ジチオラニル、ω位でアミノにより置換されたC1〜C19−アルキル、または、場合によってオルト位および/もしくはパラ位でメチル、アミノもしくはハロゲンにより置換されたフェニルを表し、好ましくは、XR7の一部としてのR7は、水素、メチル、エチルを表し、かつ/またはR1の一部としてのR7は、14〜17個のC原子を含むアルキル残基を表し、
8は、水素またはメチルを表し、
Xは、酸素または−NH−、好ましくは酸素を表し、
XR7は、X=Oの場合、α−トコフェロール、トコトリエノールもしくはレチノールのエステル類またはカルボン酸(R7=H)を表し、好ましくは、カルボン酸を表し、
m、n、pは、互いに独立に、0または1を表し、
3およびR6におけるqは、互いに独立に、整数1、2、3または4を表すことを特徴とする、化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物であって、R7−C(O)−が、6、8、10、12、14、16または18個のC原子を含む飽和または不飽和の脂肪酸の残基、好ましくは対応する飽和脂肪酸の残基、好ましくは対応するカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸および/またはステアリン酸の残基を表すことを特徴とする、化合物。
【請求項15】
式:
【表2】


の化合物。
【請求項16】
式(I):
【表3】


の化合物。
【請求項17】
式(I):
【表4】


の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物を合成する方法であって、本質的にペプチド化学で既知の方法を使用することにより式(I)の化合物を完全に構成するステップ、場合によって残存保護基を分離するステップ、ならびに場合によって遊離アミノ基をアシル化するステップ、および/または得られた化合物を酸付加塩に変換するステップ、および/または得られた酸付加塩を対応する共役塩基または別の塩に変換するステップを含む、方法。
【請求項19】
医薬としての、好ましくは皮膚薬学的および/または美容的に活性な医薬としての、特にヒト皮膚におけるコラーゲンおよびフィブロネクチン産生を増加させるための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
特に、創傷治癒および水分補給を増進するための、皮膚ケア製品としての、特に皺の形成および悪化を防ぐため、ならびに自然のまたは加速された(太陽光線、汚染)皮膚老化の全結果から守るための、皮膚薬学的におよび/または美容的に活性な組成物を調製するための請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、好ましくは、本発明の化合物および充填剤の重量に基づいて算出された、0.5〜5,000ppm(w/w)、好ましくは、1〜1000ppm(w/w)の範囲の量で含む、皮膚薬学的および/または美容的に活性な組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の組成物であって、液剤、分散剤、乳剤の形態であってもよく、あるいは担体内、好ましくは、マクロカプセル、マイクロカプセルまたはナノカプセルの中、リポソームまたはカイロミクロンの中に封入されていてもよく、あるいはマクロ粒子、マイクロ粒子もしくはナノ粒子の中、または微菌類内に封入されていてもよく、あるいは粉末有機ポリマー、タルク、ベントナイトおよびさらなる無機担体上に吸着されていてもよいことを特徴とする、組成物。
【請求項23】
請求項21に記載の組成物であって、乳剤、ミルク、ローション、軟膏、ゼリー状および粘性の、リフティングポリマーおよび乳化ポリマー、ポマード、シャンプー、石鹸、ジェル、パウダー、スティック、スプレー、ボディオイル、フェースマスクまたは経皮適用向けの膏薬等の形態であってもよいことを特徴とする、組成物。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項に記載の組成物であって、抽出脂質および/または合成脂質、ゼリー状および粘性の、リフティングポリマーおよび乳化ポリマー、水溶性または脂溶性の活性物質、植物抽出物、組織抽出物、海洋抽出物、日光防護剤、酸化防止剤、保水剤およびバリヤー剤、ならびに/または皮膚賦活剤を含む群の中から選択される一般に使用される成分を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項25】
特に、ヒト皮膚におけるコラーゲンおよびフィブロネクチンの産生を増加するための、創傷治癒および水分補給を増進するための、皮膚ケア製品としての、特に、皺の形成および悪化を防止するための、ならびに自然のまたは加速された(太陽光線、汚染)皮膚老化の全結果から守るための、皮膚薬学的におよび/または美容的に活性な物質としての、請求項21〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
ヒト皮膚におけるコラーゲンおよび/またはフィブロネクチンの産生を増加し、かつ/または創傷治癒および水分補給を増進し、かつ/または皮膚老化を遅延または処置する方法であって、請求項1〜17に記載の化合物を皮膚に塗布することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−502077(P2006−502077A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−540214(P2003−540214)
【出願日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【国際出願番号】PCT/CH2002/000587
【国際公開番号】WO2003/037933
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(591025222)ペンタファルム アクチェンゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】