説明

皮膚送達用活性剤を含む水分散性パッチ

少なくとも2つの層を含んでなり、少なくとも1つの層が活性剤が混合されたポリマーマトリックス系である皮膚パッチ。層の少なくとも一方は水分散性又は水散逸性ポリマーを含む。皮膚パッチは少なくとも50%の伸び率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の表皮又は皮膚に活性剤を送達する装置に関する。更に詳しくは、本発明は、層の少なくとも1つが活性剤を含む少なくとも2つの層を有する皮膚パッチに関する。
【背景技術】
【0002】
湿疹、乾癬、皮膚炎並びに細菌、真菌、寄生虫による感染、アレルギー、ホルモン又は他の環境要因のような、ほとんどの皮膚又は粘膜の疾病又は疾患は、炎症反応を引き起こす。皮膚若しくは粘膜を治療するための1種若しくはそれ以上の薬物又は他の活性物質の1つの重要な投与経路は、皮膚上への活性物質の局所適用による。体組織、疾病及び創傷の局部的な治療には、個々の活性成分又は活性物質が有効期間の間、治療部位に保持されることが必要である。
【0003】
活性成分の皮膚上への制御放出を可能にする経皮パッチはよく知られている。皮膚適用のための2つの型のパッチが文献に記載されている。第1の型のパッチは、活性成分が種々の層に溶解又は分散された多層構造を有する。多層パッチは、いくつかの連続層を含む構造を有する。例えば、このようなパッチは、典型的には閉鎖性であって、活性化合物の蒸発を防ぎ且つ経皮移行を容易にするための、活性物質を透過させない物質からなることができる支持層;活性化合物を含み且つ皮膚と直接接触する配置が可能な貯蔵層;皮膚にパッチを貼り付けるための、貯蔵層の表面に適用され且つ活性化合物を透過できる接着剤層;及びパッチの使用前の貯蔵の間に積層構造を全ての外部汚染から保護する、剥離可能な保護層を有する。
【0004】
ますます関心を持たれつつあるのは、生物活性物質(bioactive substance)を保持するだけでなく、皮膚にパッチを貼り付ける働きをする感圧性接着剤層中に経皮薬物のような活性物質が溶解又は分散された第2の型のパッチである。感圧性接着パッチにおいては、生物活性物質は感圧性接着剤マトリックスと混合され且つその中に配合され、それはその後、生物活性物質を保持するだけでなく、皮膚にパッチを貼り付ける働きをする単一の感圧性接着剤層として塗布することができる。接着剤マトリックス型の表皮又は経皮パッチは典型的には、不透過性の、一般には閉鎖性のバッキング層を有し且つ取り外し可能な剥離ライナーが接着剤層に貼り付けられた単純な設計である。
【0005】
化粧活性物質の経皮送達用パッチの先行技術の例としては、特許文献1が挙げられる。特許文献1は、ヒドロキシ低級アルキルアクリレート、メタクリレートのポリマー及びそれらのコポリマーから選ばれたポリマー粉末と高沸点極性可塑剤溶媒とのゲル化プラスチゾル混合物を含む、皮膚への創傷を保護するためのスプレー式包帯を開示している。特許文献1は更に、このプラスチゾルが、フィルムから創傷領域に長期間拡散する医薬活性成分を含むことができることを開示している。医薬活性成分は、ポリマーに活性剤を含浸させることによって;活性剤をポリマー粉末と混合することによって;又は活性成分を高沸点可塑剤−溶媒中に溶解又は分散させることによって、フィルム中に取り入れることができる。
【0006】
特許文献2は、薬物含有接着剤複合層を有する経皮又は経粘膜薬物送達装置を開示している。接着剤複合層は、薬物をゲルの形態で含む第1及び第2の薬物透過性接着剤層を有する。薬物含有接着剤複合層は、第1又は第2の接着剤層の少なくとも1つの露出面に薬物をゲルの形態で押出し、次いで第1及び第2の接着剤層を結合させることによって、形成される。
【0007】
特許文献3は、皮膚適合性接着剤を含む普通の既製市販感圧性接着テープをパッチの構造部分として、次にそれに望ましい生物活性物質及び佐剤(adjuvant)を取り入れる、接着剤マトリックス型経皮パッチの製造方法を開示している。この生物活性物質は粉末、液体又は半液体、例えばゲル若しくはエマルジョンであることができる。接着剤マトリックス型経皮パッチの製造においては、生物活性物質の薄層を、テープの接着面とその剥離ライナー(又は転写テープ用のそのバッキング層)の間に入れ、アセンブリに中程度の熱及び/又は圧力を加えてアセンブリを貼り合わせる。結果として、テープがその全送達面上において依然として接着性でありながら、生物活性物質がテープの接着剤マトリックス中に取り入れられる。
【0008】
特許文献4は、皮膚上に形成されたフィルムからエストラジオール又は他の医薬物質の経皮投与用医薬組成物を開示している。この経皮投与用医薬組成物は、1)セルロースポリマー若しくはコポリマー又はビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーから選ばれた、乾燥後に柔軟なフィルムを形成することができるポリマー放出マトリックス;2)有効成分、特にエストラジオール;3)活性成分の経皮的(transcutaneous)吸収促進剤;及び4)放出マトリックス、有効成分及び経皮的吸収促進剤を溶解でき且つまた、皮膚との接触時に蒸発によって急速に除去されることができる、生理学的に許容され得る非水溶剤を含む。
【0009】
特許文献5は、バッキング層、感圧性接着剤の使用によって生成される活性物質含有リザーバー及び取り外し可能な保護層からなる、エストラジオール又はその医薬として許容され得る誘導体のみを制御放出するための経皮(transdermal)治療システムを開示している。感圧性接着剤はコロフォニーのエステル及び不活性成分を含む。エストラジオール含有感圧性接着剤は更に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体並びにアクリル酸及びメタクリル酸誘導体系のポリマーからなる群から選ばれたポリマーを含むことができる。
【0010】
特許文献6は、底面に感圧性接着剤が被覆され且つ上面に任意の低接着性被膜を有するコンフォーマブル・バッキングを有し且つバッキングの上面に貼り付けられた取り外し可能なキャリヤーで支持される感圧性接着剤複合包帯を開示している。キャリヤーはバッキングに非永久的に熱融着(ヒートシール)され、キャリヤーの中央の近傍においてキャリヤー中の切れ目がウィンドウを実質的に規定し、キャリヤーは更に、接着剤複合体に剛性を与える、バッキングよりも実質的に堅い材料から形成される。
【0011】
特許文献7は、多層経皮パッチを開示している。このパッチは少なくとも2つの層を有する必要があり;第1層は、パッチ適用期間の間中皮膚に送達するための、適正な量の選択されたキサンチンが内部に均一に分布した感圧性接着剤層を含み;第2層は、皮膚への適用時にキサンチン含有接着剤第1層への保護を提供するバッキングフィルム又は布からなる。パッチは、皮膚にしっかりと接着する接着剤第1層によって、目的とする皮膚部位に適用することができる。次に、パッチからのキサンチンが、皮膚を通して、下にある、脂肪組織を含む組織に連続的に拡散する。キサンチン含有接着剤はアクリレートコポリマー、ビニルエーテルポリマー又はシリコーン接着剤ポリマーから選ばれることができる。
【0012】
特許文献8は、固化剤1〜25重量%及び典型的には周囲温度で液体である疎水性溶剤75〜99重量%を含む医薬又は化粧品キャリヤーを開示している。固化剤は炭素主鎖中の炭素数が少なくとも15の少なくとも1種の長鎖脂肪族アルコール及び/又は炭素主鎖中の炭素数が少なくとも18の少なくとも1種の脂肪酸を含む。疎水性溶剤は少なくとも1種の海生動物由来油、少なくとも1種の陸生動物由来油、少なくとも1種の鉱油、少なくとも1種のシリコーン油及び/又は少なくとも1種の植物由来油を含む。
【0013】
特許文献9は、単一のマトリックス層から形成された、皮膚への化粧活性、皮膚活性及び医薬活性成分の制御送達のための目立たないパッチを開示している。このパッチは、1種又はそれ以上の感水性生体接着性ポリマー、水溶性オリゴマー及び界面活性剤を含む単層水溶性マトリックスである。湿潤皮膚面への適用時に、パッチは溶解又は崩壊し、長期間にわたって治療部位に実質的治療層を提供する。
【0014】
特許文献10は、親水性薬物の経皮送達用の活性剤含有接着剤組成物を開示している。マトリックス層は、活性成分、疎水性アクリル系接着剤ポリマー、高分子量及び低分子量水溶性ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーの混合物並びにコロイドシリカを含む外側の2つの接着剤層から構成されている。2つの接着層の間には、ノニオン性界面活性剤、テルペン類及び溶解補助剤からなる群から選ばれた成分を含む吸収増強層が挟まれる。
【0015】
特許文献11は、適用する場合に皮膚に対して遠位と近位の対向面を有する柔軟なバッキングシート及び前記バッキングシートの隣接面上の被膜を有する医薬組成物を開示している。この被膜は、(a)接着剤及び(b)接着剤以外の1種又はそれ以上の溶剤を合計でゼロ〜活性剤可溶化有効量未満の量で含むマトリックス中に分散された、治療有効総量のバルデコキシブ又はそのプロドラッグを含む活性剤を含む。
【0016】
抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、麻酔剤のような、局所投与用の多くの群の薬物は典型的には、ペトロラタム、流動パラフィン、ラノリン、蜜ろう、植物油、グリセリンモノステアレート、ポリエチレングリコールのような疎水性キャリヤーを含み、一部の乳化剤は、局所適用後のそれらのコンシステンシー(稠度)及び油っぽい触感のために使用が制限される。別の問題は、疎水性キャリヤーを含むパッチを長期間にわたって除去せずに使用すると、疎水性キャリヤーが皮膚からの水分蒸発を妨げて、皮膚の浸軟(ふやけ)を引き起こす可能性があることである。
【0017】
更に、植物源及び海洋源からのモノ−及びポリ不飽和油、シリコーン油、鉱油並びに液体疎水性植物由来油のようないくつかの疎水性液体は、局所適用時の治療効果で知られている。油はまた、必須栄養成分、脂溶性ビタミン類、ミネラル及び他の治療効果のある成分も含むことができる。しかし、液体の形態でのこのような治療油の投与は、それらの流動−延展性のために、充分な量の治療油を働かせない。このような疎水性キャリヤー及び/又は液体の取り入れに関する問題は、それらが接着剤の粘着性を妨げて、目標部位に貼り付かないパッチを生じる可能性があるか又はパッチが剥がれやすいことである。
【0018】
先行技術のパッチの更なる欠点は、それらが典型的に、粘稠で、他者に見え易く且つ柔軟であるが運動の自由を可能にするには充分な伸縮性のないバッキング層を有する多層装置であることである。
【0019】
【特許文献1】米国特許第3,577,516号(Gouldら)
【特許文献2】米国特許第5,626,866号(Ebertら)
【特許文献3】米国特許第5,965,154号(Haralambopoulos)
【特許文献4】米国特許第6,010,716号(Saunalら)
【特許文献5】米国特許第6,143,319号(Meconiら)
【特許文献6】米国特許第6,685,682号(Heineckeら)
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0152612号明細書(Puglieseら)
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0157138号明細書(Einiら)
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/175333明細書(Sheferら)
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0033254号明細書(Songら)
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0127531号明細書(Luら)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、医薬品、化粧品又は皮膚用剤を含む、局所適用される層状組成物又はパッチに対するニーズがある。更に、比較的粘稠でなく(thin)、実質的に非粘着性の露出面を有し且つ使用中には柔軟性で、伸縮性があり且つ実質的に知覚できないような型のパッチが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
簡潔には、本発明は、少なくとも2つの層を有する皮膚パッチであって、前記層の少なくとも1つが活性剤が混合されたポリマーマトリックス系であり且つ前記層の少なくとも1つが水分散性である、少なくとも50%の伸び率(elongation factor)を有する皮膚パッチである。
【0022】
本発明の一態様は、第1層及び第2層を有し、前記層の少なくとも1つが活性剤が混合されたポリマーマトリックス系であり且つ少なくとも1つの層が水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含む、少なくとも50%の伸び率を有する皮膚パッチに関する。
【0023】
本発明の別の態様は、第1層及び第2層を有し、少なくとも1つの層が25〜99.8重量%の水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含み且つ少なくとも1つの層が0.1〜50重量%の活性剤を含む(各層中の前記成分の合計は100重量%に等しい)皮膚パッチに関する。
【0024】
本発明の更に別の態様は、本発明の皮膚パッチの製造方法である。この方法は、水相中で所定量の活性剤を所定量の許容され得る水分散性又は水散逸性ポリマーと合して、ブレンドを形成し、適当な剥離可能な基材上に前記ブレンドを被覆して第1層を形成し、前記第1層を乾燥させ、前記第1層の上に第2層を接合し、そして適当な剥離可能な基材で前記第2層をカバーする工程を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明の皮膚パッチの一実施態様の横断面図である。
【0026】
図2は使用中に適用されているように示した本発明の皮膚パッチの横断面図である。
【0027】
図3は最上層を不連続層として示している本発明の皮膚パッチの別の実施態様の横断面図である。
【0028】
図4は最下層を不連続層として示している本発明の皮膚パッチの別の実施態様の横断面図である。
【0029】
図5は使用中に適用されているように示した図3の斜視図である。
【0030】
本発明は、以下の発明の詳細な説明及びそれに含まれる実施例を参照することによって、より理解し易くなるであろう。
【0031】
本発明の物質組成及び方法を開示及び説明する前に、本発明は、特に断らない限り、特定の方法又は個々の製剤に限定しないこと、従って開示とは異なることができることを理解すべきである。また、使用する用語は個々の実施態様の説明のみを目的とし、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0032】
単数形(a,an及びthe)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0033】
「任意の」又は「場合によっては」は、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。その記載は、その事象又は状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含む。
【0034】
範囲は、本明細書中では、「1つの特定値」から、及び/又は「別の特定値」までと表すことができる。このような範囲が表される場合、「一方の特定値」から及び/又は「他方の特定値」までは別の態様であることを理解すべきである。
【0035】
特許又は刊行物を引用する場合、本発明が関連する最新技術をより十分に説明するために、これらの引用文献の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れるものとする。
【0036】
本発明の皮膚パッチは、不快感がわずかで且つ使用が容易でありながら有効な滞留時間を提供し、皮膚又は周囲組織への化粧、皮膚及び医薬活性成分の局所及び全身送達に適切な媒体である。当業者には、本発明のパッチが、使用者にとって又は任意の化粧、皮膚及び医薬活性成分の送達のために簡便な任意の寸法を有することができることがわかるであろう。
【0037】
本明細書中で使用する用語「マトリックス」、「ポリマーマトリックス」及び「接着剤マトリックス」は、その内容に応じて、生体適合性ポリマー相中に均質に混合、溶解又は懸濁された化粧活性、皮膚活性又は医薬活性成分を意味するために同義で用いる。本明細書中で使用する用語「接着剤マトリックス」は、より限定的であり、ポリマーマトリックスが感圧性接着特性を有するようになされている生体適合性ポリマー相中に均質に混合、溶解又は懸濁された化粧活性、皮膚活性又は医薬活性成分を意味する。当業者には、マトリックスが更に他の成分を含むことができることがわかるであろう。この定義は、このようなポリマー相が感圧性接着剤に積層されるか又はオーバーレイ用接着剤と共に用いられる実施態様を含むことを意味する。
【0038】
本発明によれば、少なくとも2つの層を有する皮膚パッチが提供される。層の少なくとも1つは、層内部に固定されることができるか又は層から逃散できる活性成分を含む。層の少なくとも1つは、水分散性又は水散逸性ポリマーを含む。有利なことに、本発明の皮膚パッチはまた、少なくとも50%の伸び率を有する。
【0039】
本明細書中で使用する用語「パッチ」は、皮膚に接着性のスワッチ(swatch)、テープ、湿布剤(poultice)、パッド、プラスター、パップ剤(cataplasm)及び包帯のような任意の型の既知の装置を包含するものとして理解される総称である。
【0040】
図1を参照すると、本発明の皮膚パッチの説明に役立つ実施態様は一般に10と示されている。皮膚パッチ10を、使用者の皮膚に適用されるであろう種々の成分に関連して説明するものとする。皮膚パッチ10は第1保護カバー15及び第2保護カバー20を有し、それらはそれぞれ第1層25及び第2層30を覆う。第1層25及び第2層30は、表面の汚染を防ぎ且つ層の少なくとも1つの親水性を保持するための、第1保護カバー15と第2保護カバー20との間に位置するが、それらと同一の広がりを持たない。
【0041】
保護カバー15及び20又は剥離基材は望ましくは柔軟で、それぞれの層25及び30から容易に剥がされる。保護カバー15は、ポリマー層25よりも比較的硬質であるか、ポリマー層25と同程度に柔軟であるか、又はポリマー層25よりも柔軟であることができる。保護カバー15の唯一の基準は、それが第1層25を露出するために容易に取り外しできることであり、保護カバー20は着用者の皮膚に容易になじむ充分な柔軟性を有する必要がある。
【0042】
バッキングシートには任意の適当な材料を使用できる。典型的には、保護カバー15及び20は、シリコーン処理されたポリマーフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、酢酸エチルビニル、ポリウレタン、ポリエステル、配向ポリエステル、配向ポリプロピレン、シリコーン又はワックス処理紙、布の表面に貼り合わされた1種又はそれ以上の前記ポリマーを場合によっては有することができる織布又は不織布である。布はシリコーン処理し、或いは当業者に知られたシリコーン剥離剤で処理することができる。保護カバー15及び20は、空気及び/又水に対して不透過性であることができる。好ましくは、保護カバー15及び20は、耐水性であり且つ皮膚になじむことができる弾性フィルムである。好ましい保護カバー材料は、剥離フィルム(Sil−Tech(222 Mound Avenue,Miamisburg,OH 45342)から入手可能なPolyester Liner L−25X)である。
【0043】
保護カバー15の表面には、層25から保護カバー15を分離するための把持手段35を取り付ける。把持手段35は、保護カバー15の内表面に貼られた別個の部材として示されている。しかし、当業者には、把持手段35が保護カバー15の外面に取り付けることも、保護カバー15と一体部分であることも可能なことがわかるであろう。把持手段35を貼る方法、即ち、一体の若しくは別個の部材、その構成又は製造方法は、本発明に従って様々であることができる。把持手段35が、パッチ10のどちら側を着用者の皮膚に隣接して配置するかを容易に特定できる手段を提供すること及び把持手段35が皮膚接触させる接着性の第1層25を露出させるための第1保護カバー15の取り外しを容易にすることは本発明には重要であるが、決定的ではない。
【0044】
図示する通り、把持手段35は、テープの接着剤面が接着剤剥離基材15と接着し且つ典型的にはパッチの少なくとも一端に適用されるように、保護カバー15に適用された別個の1枚の接着テープである。適当には、このテープは、多くの種々の型の接着テープ、例えば、3M Companyから入手可能なScotchブランドの艶消仕上げ家庭用若しくは事務用テープ、Scotch Magic(登録商標)Tape、Henkel Consumer Adhesives,Inc.から入手可能なCrystal Clear Duckテープ、絶縁テープ、又は強力接着剤を含むポリエチレンテレフタレート若しくはセルロースアセテートのようなプラスチックの薄いフィルム(厚さ0.5〜5mil)である任意の他の接着テープであることができる。好ましい幅は0.5〜1インチである。
【0045】
説明を簡単にするために、接着剤又は接着剤マトリックス、即ち1種若しくはそれ以上の活性物質又は他の成分を含む接着剤を、保護カバー15に隣接して位置するように図示してある。皮膚にパッチ10を適用するためには、使用者は接着剤層25から保護カバー15を剥がす。次に、接着剤層25を、剥離層20への加圧に典型的には手を用いて、皮膚に押しつける。接着層25が皮膚にしっかりと取り付けられたら、剥離層20を把持し、複合フィルムから剥離する。接着層25は第2層30及び皮膚に対して、第2層30の表面に対する保護層20の接着強度よりも強い接着強度を有する。従って、第2保護層20は取り外されて、第2層30が外表面40を露出する。
【0046】
図2を参照すると、本発明の皮膚パッチ10が、着用者の皮膚12に適用されたように図示されている。皮膚パッチは少なくとも2つの層を有し、層の少なくとも1つは活性剤が混合されたポリマーマトリックス系であり、層の少なくとも1つは水分散性であり、マトリックス層と同じ又は異なることができる。また、皮膚パッチは着用者の動きと連動して動くことができるように少なくとも50%の伸び率を有することも、本発明の重要な態様である。
【0047】
以下の説明において、全ての重量百分率は、皮膚パッチの総重量が対象となっていることが明白に示されていなければ、個々の層を構成する成分の総重量に基づく。
【0048】
接着剤マトリックス層
接着剤層25は、使用者の皮膚に隣接して位置するようになされており、充分に低いガラス転移温度Tgを有していて、適用時に皮膚に実質的に接着する。本発明の説明を簡単にするために、接着剤層25は少なくとも1種の活性剤を含む接着剤マトリックスである。接着剤マトリックス25は、皮膚との接触に適当なフィルム形成性生体適合性ポリマーと活性成分を含む。接着剤マトリックスは、a)フィルム形成性接着性ポリマー25〜99.8重量%;及びb)活性成分0.1〜50重量%を含む。場合によっては、接着剤マトリックスは、c)界面活性剤0.1〜25重量%;又はd)皮膚透過増強剤10重量%未満;又はe)ヒューメクタント20重量%以下;又はf)可塑剤20重量%以下の1つ又はそれ以上を含むことができ、成分の合計は100重量%に等しい。
【0049】
別の実施態様において、接着剤マトリックスは、皮膚との接触に適当なフィルム形成性生体適合性ポリマーと活性成分を含む。接着剤マトリックスは、a)フィルム形成性接着性ポリマー30〜95重量%;及びb)活性成分1〜40重量%を含む。場合によっては、接着剤マトリックスは更に、c)界面活性剤0.1〜25重量%;又はd)皮膚透過増強剤10重量%未満;又はe)ヒューメクタント20重量%以下;又はf)可塑剤20重量%以下の1つ又はそれ以上を含むことができ、成分の合計は100重量%に等しい。
【0050】
別の実施態様において、本発明の接着剤マトリックスは、a)フィルム形成性接着性ポリマー40〜95重量%;及びb)活性成分1〜40重量%を含む。場合によっては、接着剤マトリックスは更に、c)界面活性剤0.1〜25重量%;及び/又はd)皮膚透過増強剤10重量%未満;及び/又はe)ヒューメクタント20重量%以下;及び/又はf)可塑剤20重量%以下を含むことができ、成分の合計は100重量%に等しい。
【0051】
接着剤マトリックスとしての使用に適当なポリマーは、架橋された又はされていないフィルム形成性水分散性ポリマーを含む。ポリマーは、ポリマーの接着特性に実質的な影響を与えずにポリマーマトリックス中に所望の量の活性剤を取り入れることができるように、活性剤とある程度の相溶性を有する必要がある。望ましくは、ポリマーは皮膚中に吸収性であってはならない。使用できるポリマーとしては、水分散性若しくは水散逸性ポリエステル若しくはポリエステルアミド、例えばグリコール残基及びジカルボン酸残基並びに芳香核に金属塩の形態で結合したスルホン酸基を含む少なくとも1種の二官能価コモノマーを有する、エーテル基及びスルホン酸基を含むスルホポリエステル若しくはポリエステルアミド(ポリエステル若しくはスルホポリエステルと総称する)が挙げられる。このようなポリマーは当業者にはよく知られており、Eastman Chemical CompanyからEastman AQポリエステルポリマーの商標名で入手可能である。詳細には、このようなスルホポリエステルは水性分散液中に、好ましくは80℃未満の温度で溶解、分散又は他の方法で散逸させることができる。このようなポリエステルは米国特許第3,734,874号(1973年5月22日にCharles Kiblerに対して発行)により詳細に記載されており、その開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。当業者には、本明細書及び添付した特許請求の範囲において使用する用語「残基」又は「成分」が、その部分がその化学種から実際に得られるか否かにかかわらず、特定の反応スキームにおいて得られるその化学種の生成物又はその後の配合物又は化学生成物である部分を意味することがわかるであろう。従って、例えばポリエステル中のエチレングリコール残基は、そのポリエステルの製造にエチレングリコールが用いられるか否かにかかわらず、ポリエステル中の1つ又はそれ以上の−OCH2CH2O−反復単位を意味する。前記説明及び添付した特許請求の範囲中における用語「酸」の使用は、これらの特許中に記載された製造において使用されるそれらのジメチルエステルのような酸反応体の種々のエステル形成性又は縮合性誘導体を含む。好ましいスルホモノマーには、スルホン酸基がベンゼン、ナフタレン、ジフェニルなどのような芳香核に結合したもの或いは核が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合のような脂環式であるものがある。
【0052】
本発明における使用に適当な別のポリマーは、米国特許第6,001,922号に記載されたようなスルホポリエステルとアクリルとのハイブリッドラテックスであることができる。アクリル系モノマーがスルホポリエステル分散液の存在下で重合された、このようなスルホポリエステル−アクリルハイブリッドポリマーの他の例は米国特許第4,946,932号に記載されており、この開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0053】
本発明における使用に適当な他のポリマーは、アクリルアミド又はアクリル酸型モノマー、例えばLubrizolから入手可能な2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))又はPolysciences,Inc.から入手可能なメタクリル酸スルホエチル(SEM)から製造されたスルホン化又は硫酸化アクリル系コポリマーである。AMPS又はSEMは、アクリル系ポリマーを形成するためにメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレンなどのような他のモノマーと重合させることができる。AMPS又はSEMはポリマー中に、アンモニア、アミン又はアルカリ金属との塩として存在できる。
【0054】
本発明への使用に適当な他のポリマーは、ミニエマルジョン法を用いて製造される水分散性アクリル系ポリマーである。このようなミニエマルジョン法は当業者に知られている。本発明において、用語「ミニエマルジョン」は、存在するモノマー液滴径が1,000〜10,000nmの範囲である従来のアクリル系モノマー重合とは異なり、アクリル系モノマーの小さい(一般に<1000nm)液滴の重合を意味する。この方法は、疎水性のコアと親水性のシェルを含む疎水変性エマルジョンポリマーの形成に向けられている。ミニエマルジョンプレエマルジョンを安定化させるために(重合前に)、有機疎水性物質を添加する。この有機疎水性物質は、本明細書中に定義したような活性成分であることもできるし、或いは活性成分の他に添加することもできる。
【0055】
他のポリマーは、ALCO Chemical Company(Chattanooga,Tennessee)から入手可能な、スルホネート安定化水分散性アクリル系ポリマーとして知られるポリマーである。例えばVERSA−TLスルホン化ポリマーのようなスルホン化ポリスチレンポリマーが適当である。更に、アルカリ金属塩として中和された部分スルホン化ポリスチレンポリマーが適当である。これらは単独で又は他のポリマーと組合せて使用できる。他のこのような水分散性ポリマーは、National Starchから商標名FLEXAN(登録商標)IIとして入手可能なようなスルホン化ポリスチレンポリマーである。
【0056】
他の適当なポリマーとしては、水分散ポリウレタンポリマーが挙げられる。適当な例は、Noveon Chemical Companyから入手可能なAvalure UR405及びAvalure UR450として知られるポリマーである。
【0057】
別の実施態様において、接着剤マリックス層を形成するポリマーは、スルホン化若しくは硫酸化アクリル系ポリマー又はスルホン化ポリエステルを含む。アクリル系ポリマー又はポリエステルポリマーは、スルフェート若しくはスルホネート、カルボキシレート又はポリエチレンオキシドのような水分散性又は水散逸性極性部分を含む。接着剤マトリックス層は、低Tg(0℃未満)のポリマーと高Tg(0℃より高い)ポリマーとのブレンド及び、場合によっては、ヒューメクタント、可塑剤、界面活性剤、皮膚透過増強剤又は粘着付与剤を含むことができる。
【0058】
別の実施態様において、接着剤マトリックス層を形成するポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満、例えばー5℃未満又は更にはー10℃未満のアクリル系ポリマーを含み、活性成分は接着剤ポリマー層に組み入れる。用語「アクリル系ポリマー」は、「ポリアクリレート」、「ポリアクリル系ポリマー」及び「アクリル系接着剤」と同義で使用する。本発明の実施において有用なアクリレートポリマーは、アクリル酸類の1種又はそれ以上のモノマーと他の共重合性モノマーとのポリマーである。アクリレートポリマーはまた、アクリル酸アルキル及び/若しくはメタクリル酸アルキル並びに/又は共重合性の二次モノマー若しくは官能基を有するモノマーのコポリマーを含む。当業界で知られるように、添加する各型のモノマーの量を変更することによって、得られるアクリル系ポリマーの凝集性を変えることができる。一般に、アクリル系ポリマーは少なくとも60モル%のアクリレート又はアルキルアクリレートモノマーからなり、アクリレートと共重合性の40モル%以下の官能性モノマーを含むことができる(前記モル百分率は、フィルム形成性アクリル系感圧性接着剤を構成するポリマーの総モルに基づく)。
【0059】
適当なアクリル系モノマーの例としては、スチレン系モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン及びクロロメチルスチレン;エチレン性不飽和種、例えば炭素数30以下の炭素鎖長を有するアクリル(メタクリル)酸類及びそのエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、オクタフルオロペンタアクリレート及びトリメチルシロキシエチルアクリレート(これらに限定するものではないが)のようなフルオロ又は珪素含有モノマー、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸セチルなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。更に、官能性モノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、カルボジイミドメタクリレート(例えばシクロヘキシルカルボジイミドエチル・メタクリレート、t−ブチルカルボジイミドエチル・メタクリレート)及びクロトン酸アルキルも挙げられる。また、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、マレイン酸ジ−n−ブチル及びマレイン酸ジオクチル;ビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、2−スルホエチルメタクリレート又はその塩;並びに窒素含有モノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−(メタクリロイルオキシ−エチル)エチレン尿素及びメタクリルアミドエチルエチレン尿素、更にそれらの混合物も適当である。
【0060】
アクリル部分は、また、(i)重合プロセス後に残存し且つ/又は(ii)樹脂の架橋に関与するか若しくは樹脂の架橋を促進することができる任意のペンダント部分を含むことができる。アクリル部分は、アリル及びビニル基のような(これらに限定するものではないが)エチレン性不飽和を有することができる。この基は、アセトアセトキシ部分又はエナミン部分であることもできる。潜在性酸化官能基(latent oxidatively-functional group)を有するアクリル系モノマーの例としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アセトアセトキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブテニル、マレイン酸のアリル又はジアリルエステル及びポリ(アリルグリシジルエーテル)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0061】
ここで使用する用語「アリル」は、炭素数2〜24の1つのエチレン性不飽和部分を含む3炭素−炭素鎖を意味する。
【0062】
ここで使用する用語「アルキル」は、炭素数1〜30の分岐鎖、直鎖及び環状置換炭素鎖を意味する。
【0063】
有利には、接着剤マトリックス層は、経皮吸収効率の増加の役立ち且つ皮膚への長期間適用のための優れた接着力をもたらす高濃度の活性成分を含むことができる。更に、接着剤層が活性成分を含む場合には、接着剤層の乾燥プロセスは短時間で達成でき、その結果として製造時間及びコストがかなり減少する。バッキング層を除いた本発明のパッチの全厚は、0.2〜5mil(5〜125μm)、例えば0.5〜4mil(12.5〜100μm)又は0.7〜3.5milである。
【0064】
本発明の水分散性又は水散逸性アクリルポリマーマトリックスは、ポリマー形成の間に活性成分が存在するミニエマルジョン法を用いて製造できる。本発明において、用語「ミニエマルジョン」は、存在するモノマー液滴径が1,000〜10,000nmの範囲である従来のアクリル系モノマー重合とは異なり、アクリル系モノマーの小さい(平均して、一般に直径≦1000nm)液滴の重合を意味する。この方法は、疎水性のコアと親水性のシェルを含む変性エマルジョンポリマーの形成に向けられる。ミニエマルジョンプレエマルジョンを安定化させるために(重合前に)、有機疎水性物質を添加する。この有機疎水性物質は、本明細書中に定義したような活性成分であることもできるし、或いは活性成分の他に添加することもできる。本発明の方法の実施態様によれば、疎水性の実質的に飽和された油類(例えばヤシ油脂肪酸又はヤシ油)又は不飽和油類(例えばアボガド油、シアバターなどのような天然油)をアクリル系モノマー中に取り込ませることによって、油類−アクリルハイブリッドエマルジョンを調製できる。従って、水性ラテックスは、疎水性物質の存在下でアクリル系モノマーを重合させることによって調製する。ハイブリッドポリマーのアクリル部分のガラス転移温度(Tg)によっては、これらのラテックスエマルジョンは優れたフィルム形成剤となる可能性がある。一般に、本発明のコロイド状ポリマー分散液は水中に分散された20〜60%のポリマー粒子を含む。
【0065】
変性アクリルラテックスの平均粒度は25〜500nmの範囲であることができる。別の実施態様においては粒度は50〜300nmの範囲であり、更に別の実施態様では粒度は70〜250nmの範囲である。ラテックス粒子は一般に球状である。ミニエマルジョン重合は、レッドクス法又は熱的方法によって回分式、半連続式及び連続式で実施できる。
【0066】
第2層
第2層30は、第1層25と同一であっても異なってもよい。第2層30は水分散性又は水散逸性ポリマーを含むのが望ましいが、第1層25が水分散性又は水散逸性ポリマーである場合にはその必要はない。任意の方法で、第2層30は、第1層25と適合性とし且つ第1層25に比較的強力に貼り付けなければならず、しかも使用時にパッチが少なくとも50%の伸び率を有することができるようにしなければならない。従って、第2層30は、当業者に知られた任意のポリマーからなることができるが、前記の型の水分散性又は水散逸性のものであるのが好ましい。第2層30は、保護カバー20を除去し且つ皮膚パッチを使用してから3分未満で実質的に非粘着性又は好ましくは不粘着となるようなTgを有する必要がある。ここで使用する用語「実質的に非粘着性」は、フィルム層30が、フィルムの幅方向にゆっくりと転がした綿ボール(重量0.6〜0.8g)からもはや繊維を獲得しなくなることを意味する。この時間は、清浄な指でそっと押した場合に、指を引っ込めてもフィルムが指をもはや引っ張らない時間にほぼ相当する。
【0067】
望ましくは、接着性の第1層25のポリマーのガラス転移温度、Tgは−5〜−45℃であり、第2層30中のポリマーのTgは5℃より大きいであろう(これら2種のポリマーのTgのデルタ又は差分は少なくとも15℃である)。別の実施態様において、これら2種のポリマーのTgのデルタ又は差分は少なくとも25℃である。
【0068】
当業者には、どちらの層にも望ましいTgを与えるためには、層の一方又は両方に使用するポリマーと相溶性で且つ皮膚接触に適当である可塑剤を添加することが必要であり得ることがわかるであろう。このような可塑剤は皮膚パッチの技術に熟練した者にはよく知られている。このような可塑剤は各層の組成物の20重量%以下の量でポリマー中に含ませることができる。別の実施態様においては、可塑剤の量は層組成物の0〜25重量%である。このような可塑剤の非限定的例としては、ジオール、トリオール、ポリオール、アルコールエーテル、アルコールエステル、エステル、エーテル、カルボン酸、ヒドロキシ酸、アミド、カーボネート及びそれらの混合物が挙げられる。適当な可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、ソルビトール、1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース、ヘキサンジオール、オクタンジオール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
フィルムに不可視性(imperceptibility)を与えるために、粒子材料を層30中に含ませて、光沢を減少させることができる。この粒子材料は無機でも有機でもよく、フィルムの上部表面(図2)に加えることができる。粒径は1〜10μm、好ましくは2〜5μmであることができる。パッチ10の総重量に基づき1〜10重量%の粒子材料を添加できる。好ましくは、2〜7%の粒子材料をフィルムに添加する。例は、ガラス球、中空ガラス球、セラミック球、シリカ球、アルミナ粒子、粉砕によって製造されたポリマー粒子などである。別法として、光沢を除くために、上部フィルム表面(皮膚から離れた表面)に型押しして、反射を妨げることもできる。
【0070】
本発明の実施において有用な活性成分は、組み込む層内に固定されるか又は逃散性であることができる1種又はそれ以上の化粧活性、皮膚活性及び医薬活性成分から選ばれ、即ち皮膚表面に移行するか又は皮膚中に吸収される。活性成分から導かれる所期の用途又は利益に応じて、本発明の皮膚パッチは、活性成分の1〜100重量%、好ましくは10〜100重量%を使用者の表皮に移す逃散性活性成分を有することができ、逃散性活性成分の80重量%より多くが使用者の表皮に移されるのがより好ましい。
【0071】
望ましくは、逃散性活性物質は皮膚に対して有益な効果を有し、その例としては(これらに限定するものではないが)、抗酸化剤;フリーラジカル捕捉剤;皮膚モイスチャライザー;脱色素剤(de-pigmentation agent);リフレクタント(reflectant);ヒューメクタント;抗菌剤(例えば抗細菌剤);アレルギー抑制剤;抗アクネ剤;老化防止剤;抗リンクル剤、消毒剤;鎮痛剤;鎮咳剤;鎮痒剤;局所麻酔剤;育毛促進剤、抗ヒスタミン剤;角質溶解剤;抗炎症剤;フレッシュナー(スキンローション)(freshener);ヒーリング剤(治癒剤)(healing agent);抗感染症薬;炎症抑制剤;抗コリン作用薬;血管収縮剤;血管拡張剤;創傷治癒促進剤;ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質;脱臭剤及び制汗剤;皮膚エモリエント;日焼け剤(tanning agent);皮膚美白剤;抗真菌剤、例えば足用製剤用の抗真菌剤;脱毛剤;外用鎮痛剤;反対刺激剤;殺虫剤;ツタウルシ製品(poison ivy product);アメリカウルシ製品(poison oak product);やけど用製品;おむつかぶれ防止剤;汗疹薬;メーキャップ料(make-up preparation);ビタミン類;アミノ酸及びそれらの誘導体;薬草エキス;レチノイド類;フラボイド(flavoid)類;センサーマーカー(sensory marker)(即ち冷却剤、加熱剤など);皮膚コンディショナー;抗セルライト剤;キレート化剤;細胞ターンオーバーエンハンサー;着色剤;日焼け止め剤(サンスクリーン);麻酔剤;免疫調節剤及び栄養剤(nourishing agent);水分吸収剤;皮脂吸収剤並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
本発明のポリマーマトリックスはまた、活性成分又は添加剤として、1種又はそれ以上の植物製剤、例えば局所皮膚疾患治療用のエキス又はチンキを含むこともできる。適当なエキス又はチンキ剤としては、カシワ樹皮(ork bark)エキス、クルミエキス、アルニカ(arnica)のチンキ、ハマメリスエキス、ヘラオオバコ(ribwart)エキス、パンジーエキス、タイム又はセイジエキス;損傷又は負傷した皮膚の治療には、例えばセント・ジョーンズ・ワート(St.John's wort)チンキ、コーンフラワー(cone flower)チンキ、カモミールフラワーエキス、又はカレンジュラフラワー(calendula flower)チンキ;及び消耗及び損傷した皮膚のケアには、例えばバーチリーフ(birch leaf)エキス、イラクサ(nettle)エキス、コールズフット(coldsfoot)エキス、コンフリーチンキ、トクサ(horsetail)エキス又はアロエベラエキスが挙げられる。植物製剤、例えば静脈疾患の場合にはセイヨウトチノキ(horse chestnut)及びナギイカダ(butcher's broom)のエキス又は打撲傷、捻挫若しくは出血の場合にはアルニカ、カレンジュラ及びトウガラシのエキス及びチンキも、疾患の皮内治療のためにフィルム層から放出させることができる。本発明に係る系における植物製剤、例えば、老人病の場合には朝鮮人参エキス;過度興奮、睡眠障害及びストレスの場合には鎮静作用をもたらす吉草根(valerian)チンキ、メリッサ及びホップのエキス;刺激のためにはコーラ及び茶のエキス;又は循環系を安定させるためにはサンザシ(hawthorn)エキスもまた、経皮治療に使用できる。
【0073】
本発明において使用できる適当なアミノ酸剤は、種々のタンパク質の加水分解によって得られるアミノ酸並びにそれらの塩、エステル及びアシル誘導体を含む。このようなアミノ酸剤の非限定的例としては、両性アミノ酸、例えばアルキルアミド・アルキルアミン、ステアリルアセチルグルタメート、カプリロイルシルクアミノ酸、カプリロールコラーゲンアミノ酸;カプリロイルケラチンアミノ酸;カプリロイル・ピー・アミノ酸(capryloyl pea amino acid);ココジモニウムヒドロキシプロピルシルクアミノ酸(cocodimonium hydroxypropyl silk amino acid);トウモロコシグルテンアミノ酸;システイン;グルタミン酸;グリシン;毛髪ケラチンアミノ酸;毛髪アミノ酸、例えばアスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、ハーフシスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、システイン酸、リジン、ヒスチジン、アルギニン、システイン、トリプトファン、シトルリン;リジン;シルクアミノ酸、小麦アミノ酸;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
本発明において使用できる適当なペプチド、ポリペプチド及びタンパク質は、少なくとも炭素数10のような長鎖及び少なくとも1000のような高分子量を有し且つアミノ酸の自己縮合によって形成されるポリマーを含む。このようなタンパク質の例としては、コラーゲン、デオキシリボヌクレアーゼ、ヨウ素化トウモロコシタンパク;ケラチン;乳タンパク;プロテアーゼ;血清タンパク;シルク;スイートアーモンドタンパク;小麦胚芽タンパク;小麦タンパク;小麦タンパク、ケラチンタンパクのα及びβヘリックス;毛髪タンパク、例えば中間径フィラメントタンパク、高硫黄タンパク、超高硫黄タンパク、中間径フィラメント会合タンパク、高チロシンタンパク、高グリシンチロシンタンパク、トリコヒアリン並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0075】
本発明において使用できる適当なビタミン類の例としては、チアミン、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、コリン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンB12、ピリドキシン、イノシトール、カルニチンを含むビタミンB複合体;ビタミンA、C、D、E、K及びそれらの誘導体、例えばビタミンAパルミチン酸エステル;並びにプロビタミン類、例えばパンテノール(プロビタミンB5)及びパンテノール三酢酸エステル;更にそれらの混合物が挙げられる。
【0076】
本発明において使用できる適当な抗細菌剤としては、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、塩化ベンゼトニウム、フェノール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
本発明において使用できる適当な皮膚エモリエント及び皮膚モイスチャライザーの例としては、鉱油、ラノリン、植物油、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸グリセリル、メチルグルセス10、メチルグルセス20キトサン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0078】
本発明において使用できる適当な毛髪コンディショナーの例としては、四級化化合物、例えばベヘンアミドプロピルPG−ジモニウムクロリド、トリセチルアンモニウムクロリド、二水素化タロウアミドエチル・ヒドロキシエチルモニウム・メトスルフェート及びそれらの混合物並びに親油性化合物、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、水素化ポリデセン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
本発明において使用できる日焼け止め剤の例としては、ブチル・メトキシジベンゾイルメタン、メトキシ桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチル・ヒドロキシプロピル・アミノベンゾエート、アントラニル酸メンチル、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミン・メトキシシンナメート、アミノ安息香酸グリセリル、二酸化チタン、酸化亜鉛、パディメート、レッドペトロラタム、−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸、3,3’−(1,4−フェニレンジメチリデン)−ビス(7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)ナトリウム塩、これらの化合物の混合物、及び”Sunscreens,Development,Evaluation and Regulatory Aspects”(N.J.Lowe及びN.A.Shaath編,Marcel Dekker,Inc.,1990)のChapter 1(引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載された他のものが挙げられる。適当な日焼け剤の一例はジヒドロキシアセトンである。適当な皮膚美白剤の例としては、ヒドロキノン、カテコール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0080】
本発明のポリマーと混合するUV吸収剤の場合には、UV吸収剤を乾燥フィルム内部に保持するか又は固定するのが望ましいことが多い。その場合には、使用ポリマーと極めて相溶性のUV吸収剤を選択するか、又はフィルム内におけるUV吸収剤の最適な保持を実現する、使用UV吸収剤と極めて相溶性のポリマーを選択する必要がある。UV吸収剤をフィルム内部に保持するのは、パッチの下の皮膚組織を紫外線から保護するためである。選択プロセスは、当業者によって実験を通じて行われることができる。
【0081】
本発明において使用できる適当な脱毛剤の例としては、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸ストロンチウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0082】
本発明において使用できる適当な外用鎮痛剤及び局所麻酔剤の例としては、ベンゾカイン、ジブカイン、ベンジルアルコール、樟脳、カプサイシン、トウガラシ、蕃椒脂油(capsicum oleoresin)、ネズノミタール(juniper tar)、メントール、ニコチン酸メチル、サリチル酸メチル、フェノール、レソルシノール、テルピン油及びそれらの混合物が挙げられる。
【0083】
本発明において使用できる適当な制汗剤及び脱臭剤の例としては、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0084】
本発明において使用できる適当な反対刺激剤の例としては、樟脳、メントール、サリチル酸メチル、ペパーミント及び丁字油、イクタモール(ichtammol)並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
本発明において使用できる適当な炎症抑制剤の一例としては、ヒドロコルチゾンが挙げられる。
【0086】
本発明において使用できる適当な痔用製品の例としては、ベンゾカイン、塩酸プラモキシン及びそれらの混合物のような麻酔剤;塩化ベンゼトニウムのような消毒剤;酸化亜鉛、次没食子酸ビスマス、ペルーバルサム及びそれらの混合物のようなアストリンゼント(収斂剤);タラの肝油、植物油及びそれらの混合物のような皮膚保護剤が挙げられる。
【0087】
適当には、本発明において使用できる活性成分の1タイプとしては、脂漏性皮膚炎及び乾癬並びにこれらに付随する症状の治療に有効なそれらの治療剤が挙げられる。このような適当な治療剤の例としては、亜鉛ピリチオン、シェール油及びその誘導体、例えばスルホン化シェール油、硫化セレン、硫黄、サリチル酸;コールタール;ポビドンヨード及びイミダゾール類が挙げられる。
【0088】
本発明において局所適用に使用できる抗菌剤はペニシリン類、セファロスポリン類、他のβ−ラクタム化合物、アミノグリコシド類、テトラサイクリン類、エリスロマイシン類、抗真菌剤及びそれらの組合せである。
【0089】
本発明においてざ瘡様皮膚への局所適用に使用できる消毒剤はトリクロサン(Irgasan DP 300)、フェノキシイソプロパノール、レソルシノール、クロルヘキシジン、ポピドン及びヨウ素である。
【0090】
本発明においてざ瘡様皮膚への局所適用に使用できる角質溶解剤はサリチル酸、ベンゾイルペルオキシド、硫黄、レチノイン酸並びに多数のフルーツ酸及びα―ヒドロキシ酸のいずれかである。
【0091】
本発明において使用できる抗刺激剤の例はα−ビサボロール、ファルネソール、カモミールエキス及びグリシルリチン酸である。
【0092】
本発明において使用できる抗セルライト剤の例はカフェイン及びカルニチンである。
【0093】
本発明において使用できる消炎鎮痛剤の例としては、アセトアミノフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸モノグリコール、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナク、アルコフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、スリンダク、フェンクロフェナク、クリダナク、フルルビプロフェン、フェンチアザク、ブフェキサルナク(bufexarnac)、ピロキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ペンタゾシン、メピリゾール及び塩酸チアラミドが挙げられる。ステロイド系抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン(predonisolone)、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルメタゾン、フルオロメトロン及びジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。
【0094】
本発明において使用できる抗ヒスタミン剤の例としては、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジル、塩酸トリペレナミン、塩酸プロメタジン、塩酸メトジラジンなどが挙げられる。局所麻酔剤の例としては、塩酸ジブカイン、ジブカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、ベンゾカイン、p−ブチルアミノ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩、塩酸プロカイン、テトラカイン、塩酸テトラカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸オキシプロカイン、メビパカイン、塩酸コカイン、塩酸ピペロカイン、ジクロニン及び塩酸ジクロニンが挙げられる。
【0095】
本発明において使用できる殺細菌剤及び殺菌剤の例としては、チメロサール、フェノール、チモール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、塩化セチルピリジニウム、オイゲノール及び臭化トリメチルアンモニウムが挙げられる。血管収縮剤の例としては、硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸トラマゾリンなどが挙げられる。止血剤の例としては、トロンビン、フィトナジオン、硫酸プロタミン、アミノカプロン酸、トラネキサム酸、カルバゾクロム、カルバキソクロム・ナトリウム・スルファネート(sulfanate)、ルチン及びヘスペリジンが挙げられる。
【0096】
本発明において使用できる化学療法剤の例としては、スルファミン、スルファチアゾール、スルファジアジン、ホモスルファミン、スルフィソキザゾール、スルフィソミジン、スルファメチゾール及びニトロフラゾンが挙げられる。本発明において使用できる抗生物質の例としては、ペニシリン、メチシリン(meticillin)、オキサシリン、セファロチン、セファロルジン(cefalordin)、エリスロマイシン、リンコマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン(metacycline)、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、バシトラシン及びシクロセリンが挙げられる。
【0097】
本発明において使用できる抗ウィルス剤の例としては、プロテアーゼ阻害剤、チマジン(thymadine)キナーゼ阻害剤、糖又は糖タンパク合成阻害剤、構造タンパク合成阻害剤、付着及び吸着阻害剤、並びにヌクレオシド類似体、例えばアシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル及びガンシクロビルが挙げられる。
【0098】
本発明において使用できる化粧活性成分の例はD−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、酢酸D−α−トコフェリル、酢酸DL−α−トコフェリル、パルミチン酸アルコルビル、ビタミンF及びビタミンFグリセリド、ビタミンD、ビタミンD2、ビタミンD3、レチノール、レチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、β−カロチン、D−パンテノール、ファメソール(famesol)、酢酸ファルネシル;必須脂肪酸に富んだホホバ油及びブラックカラント油;5−n−オクタノイルサリチル酸及びそのエステル、サリチル酸及びそのエステル;クエン酸、乳酸、グリコール酸のようなα−ヒドロキシ酸のアルキルエステル;アジアチン酸(asiatic acid)、マデカシン酸(madecassic acid)、アジアチコシド(asiaticoside)、センテラ・アジアチカ(centella asiatica)の全エキス、β―グリチルリチン酸、α−ビサボロール、セラミド、例えば2−オレオイルアミノ−1,3−オクタデカン;フィタントリオール、多価不飽和必須脂肪酸に富んだ海洋起源のリン脂質、エトキシキン(exhoxyquine);ローズマリーエキス、バーム(balm)エキス、クエルセチン、乾燥微細藻類のエキス、抗炎症剤、例えばステロイド系抗炎症剤、並びに生物刺激剤(biostimulant)、例えばホルモン又は脂質及び/若しくはタンパクの合成のための化合物である。
【0099】
α−ヒドロキシ酸(AHA)類はエクスフォリアント(剥離剤)、モイスチャライザー及びエモリエントとして本発明に使用できる。乳酸ナトリウムのような乳酸塩を本発明において使用できる。更に、AHA類及びサリチル酸を構造的に類似したβ−ヒドロキシ酸として本発明に皮膚剥脱剤として使用できる。AHA類の保湿(モイスチャライジング)活性及び皮膚を剥離し且つ外表皮中における細胞間凝集を阻害するそれらの能力はよく知られている。AHA類は、サリチル酸及び他のエクスフォリアントとは異なり、顆粒層における凝集を阻害することが示唆されている。
【0100】
ビタミンC(アスコルビン酸)は本発明に使用できる。ビタミンCはコラーゲン(結合組織)の合成、脂質(脂肪)及び炭水化物の代謝並びに神経伝達物質の合成を促進する。ビタミンCはまた、生体の免疫系を最適に保持するのに必須である。ビタミンCは種々のガン細胞、特にメラノーマに対して毒性がある。チロシンのメラニン及び他の色素への有酸素作用を触媒する酸化酵素チロシンもまた、ビタミンCの存在によって阻害される。ビタミンCは、多くのウィルス及び細菌感染に対する免疫反応を触媒するのに有効であることがわかっている。前述の多くの適用可能な用途の他に、ビタミンCはコラーゲンの合成及び創傷治癒に必須である。本発明の接着剤マトリックスは、ビタミンC、ビタミンE並びにモイスチャライザー、コラーゲン合成促進剤及び剥離剤のような他の成分の組合せを含むことができる。
【0101】
皮膚トリートメント組成物は本発明に使用できる。皮膚トリートメント組成物の例としては、ビタミンC、ビタミンCエステル、ビタミンE、ビタミンEエステル並びに、場合によっては、α―ヒドロキシ酸、例えば乳酸及びグリコール酸並びにしわ及び皮膚の乾燥のトリートメント又は防止用の他のケラチン分解剤が挙げられる。
【0102】
皮膚用コンディショナー、モイスチャライザー及び界面活性剤を本発明に含ませることができる。コンディショナーの例としては、鉱油、ペトロラタム、植物油(例えば大豆油又はマレイン化大豆油)、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、カチオン性モノマー及びポリマー(例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリド)並びにそれらの混合物が挙げられる。モイスチャライザーの例は、ポリオール、例えばソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース及びそれらの混合物である。
【0103】
本発明の別の実施態様において、活性成分は、実質的に無移行性であるように、フィルム層内部に実質的に固定できる。活性成分が無移行性である製剤においては、望ましくは50重量%未満の、例えば25重量%未満又は15重量%未満又はいくつかの実施態様においては更には5重量%未満の活性成分が皮膚表面に移される。このような活性成分の一例は光吸収剤、例えば多くの日焼け止め剤中に存在する紫外線吸収剤である。これらの物質は、それらをポリマー分散液中に取り入れることによってポリマーフィルムに含ませることができる。これらはUVA及び/又はUVB線を吸収する化学物質を含むことができる。これらの一般に疎水性の物質は、熱、高剪断又は低剪断撹拌の組合せによって分散液中に取り入れることができる。こうして取り入れられるこれらの成分は有機でも無機でもよい(例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛、特に200nm又はそれ以下の粒度を有する超微粒グレードのもの)。ポリマーフィルムが皮膚上で乾燥すると、系の設計に応じて、UV吸収性化学物質はフィルム内に保持され且つ皮膚への移行が妨げられるか、或いはおそらくは皮膚中に又はフィルムから環境に徐々に放出されることができる。適当なUV吸収剤としては、米国、ヨーロッパ及び日本で現在使用が認可されているそれらの成分が挙げられる。このようなUV吸収剤の非限定的例としては、ブチル・メトキシジベンゾイルメタン、メトキシ桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチル・ヒドロキシプロピル・アミノベンゾエート、アントラニル酸メンチル、アミノ安息香酸、シノキセート、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、アミノ安息香酸グリセリル、二酸化チタン、酸化亜鉛、パディメート、レッドペトロラタム、−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸、3,3’−(1,4−フェニレンジメチリデン)−ビス[7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−1−メタンスルホン酸]ナトリウム塩、これらの化合物の混合物が挙げられる。
【0104】
従来の界面活性剤又は界面活性剤の組合せを、本発明に従って安定剤又は溶解度増大剤として使用できる。例えば、適当な界面活性剤は一般に、少なくとも10、好ましくは少なくとも15のHLB値を有する全ての医薬として許容され得る界面活性剤を含む。HLB数及個別の界面活性剤に関するそれらの測定方法は当業者によく知られている。一般に、本発明において使用できる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤及びそれらの組合せから選ばれたものである。
【0105】
アニオン性界面活性剤の例としては、タウレート、イセチオン酸ココイル、サルコシネートの塩、ドキュセート塩、例えばそのナトリウム塩が挙げられる。一実施態様において、適当な医薬として許容され得るアニオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸イオン、スルホン酸イオン及び硫酸イオンを含むもの、例えばカルボン酸アルキル、アシルラクチレート(acyl lactylate)、アルキルエーテルカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、グルタミン酸N−アシル、炭素数12〜18の脂肪酸、ポリペプチド縮合物及び硫酸エステルが挙げられる。最適な他の界面活性剤としては、アルキル硫酸アルカリ又はアンモニウム、アルキルスルホン酸又は脂肪酸、オキシエチル化アルキルフェノール、スルホスクシネート類及びそれらの誘導体が挙げられる。適当な界面活性剤のリストは、専門書:McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition,MC Publishing Co,Glen Rock,NJ,1997において入手可能であり、この文献の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0106】
カルボン酸イオンを含むそれらの界面活性剤は石けんと称する場合もあり、一般に天然脂肪酸グリセリドをアルカリ溶液中で鹸化することによって製造される。これらの界面活性剤に付随するカチオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びトリエタノールアミンなどである。これらの脂肪酸の鎖長は12〜18の範囲である。
【0107】
適当な両性界面活性剤の例はココアミドプロピルベタイン、ラウロアンフォアセテート、カプリルアンフォプロピオネート及びカプリロヒドロキシプロピルスルホン酸二ナトリウムである。
【0108】
適当なノニオン性界面活性剤はトリアルキルアミンオキシド、アルキルポリグリコシド及びメチルグルカミド類である。適当な医薬として許容され得るノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン化合物、レシチン、エトキシル化アルコール、エトキシル化エステル、エトキシル化アミド、ポリオキシプロピレン化合物、プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー、プロポキシル化エステル、アルカノールアミド、アミンオキシド、多価アルコールの脂肪酸エステル、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセロールエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、グルコース(デキストロース)エステル及びシメチコンが挙げられる。
【0109】
本発明において使用できる他の界面活性剤はスクロースジステアレート、ジグリセリルジステアレート、テトラグリセリルトリステアレート、デカグリセリルデカステアレート、ジグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルトリステアレート、デカグリセリルペンタステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート、グリセロールとパルミチン酸及びステアリン酸のエステル、2個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたモノステアレート、グリセリルモノ−及びジベヘネート並びにペンタエリスリチルテトラステアレートである。
【0110】
界面活性剤の例としては、アルキル硫酸アルカリ若しくはアンモニウム、アルキルスルホン酸又は炭素数2〜18の脂肪酸、オキシエチル化アルキルフェノール、スルホスクシネート及び誘導体又はアニオン性若しくはノニオン性界面活性剤の任意の組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な界面活性剤の例は硫酸ラウリルナトリウム塩、スルホン酸オクチルフェニルカリウム塩、ステアリン酸アンモニウム塩、ドデシルナトリウムスルホスクシネート及びノニルフェノール10モルエトキシレートである。
【0111】
前記活性成分の他に、皮膚透過増強剤又は皮膚浸透増強剤を場合によってはポリマーマットリックス中に含ませることができる。皮膚を経る薬物の送達を促進することが知られている物質は、皮膚浸透増強剤、佐剤及び吸収促進剤とも称されており、「増強剤」と総称する。この種の物質は、複数のポリマー内における薬物の溶解度及び拡散性を改善する機能を有するもの、並びに例えば角質層の水分保持能力を変化させ、皮膚を軟化し、皮膚の透過性を改善し、浸透補助剤若しくは毛包オープナーとしても働き又は境界層を含む皮膚の状態を変化させることによって経皮吸収を改善するものを含む、種々の作用機序を有するものが挙げられる。これらの物質のいくつかは、1つより多くの作用機序を有するが、それらは本質的には薬物の経皮送達を増強する働きをする。増強剤のいくつかの例は多価アルコール、例えばジプロピレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(薬物の溶解度を増大させる);油、例えばオリーブ油、スクアレン及びラノリン;脂肪族エーテル、例えばアセチルエーテル及びオレイルエ−テル;脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル(薬物の拡散性を増強する);尿素及び尿素誘導体、例えばアラントイン(ケラチンの水分保持能力に作用する);極性溶剤、例えばジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミド(ケラチン透過性に作用する);サリチル酸(ケラチンを軟化する);アミノ酸(浸透補助剤);ニコチン酸ベンジル(毛包オープナー);並びに高分子量脂肪族界面活性剤、例えば硫酸ラウリル塩(皮膚の表面状態を変化させる);投与する薬物である。他の物質としては、オレイン酸及びリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル及びパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。
【0112】
本発明の組成物の層及び方法において使用するのに適当なヒューメクタントの例は、多価アルコール、例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール並びにそれらの混合物が挙げられる。特に、少量で有用であることが判明しているのはポリビニルピロリジノンである。この機能を提供するために使用する場合にこのポリマーに適当な分子量は1000〜100000ダルトンである。このポリマーは他のヒューメクタントと併用できる。
【0113】
本発明において有用な可塑剤は一般にジオール、トリオール、ポリオール、アルコールエーテル、アルコールエステル、エステル、エーテル、ヒドロキシ酸、アミド、カーボネート及びそれらの混合物である。適当なジオールは炭素数が10以下の1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどである。適当なトリオールは、グリセリン、トリヒドロキシブタン、トリヒドロキシヘキサンなどである。6個以下のヒドロキシル基を有するアルコールが可塑剤として適当である。適当なアルコールエーテルはジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールなど、アルコキシル化アルコール、例えばエトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、エトキシル化及びプロポキシル化アルコール(アルコキシル化アルコールは1〜10個の炭素及び1〜6個のヒドロキシル部分を含む脂肪族、芳香族、アルカリール及びアルアルキルヒドロキシ官能性化合物から選ばれる)である。これらの例はヒドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、シクロヘキサノールヒドロキシエチルエーテル、ソルビトールトリヒドロキシエチルエーテル、カテコールビス(ヒドロキシエチルエーテル)及びそれらの混合物である。
【0114】
適当なアルコールエステル可塑剤としては、プロピレングリコールアセテート、グリセリンジアセテート(ジアセチン)、エチレングリコールプロピオネート、酒石酸ジエチル、クエン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ソルビトールテトラアセテート、プロピレングリコールモノオクトエートなどが挙げられる。適当なエステルは、トリアセチン、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、ジエチルオキシレート(diethyl oxylate)、安息香酸エチル及びそれらの組合せである。
【0115】
適当なエーテル可塑剤としては、メトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン、ジエトキシベンゼン、トリエチレングリコールジメトキシエチルエーテルなどが挙げられる。適当なヒドロキシ酸可塑剤としては、グリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。適当なアミドとしては、アルキルホルムアミド、例えばメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ヘキシルホルムアミド、アセトアミド、エチルベンズアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−エチルβラクタム、N−メチルカプロラクタム、カプロラクタム、N,N−ジメチルデカンアミドなどが挙げられる。適当なカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセロールカーボネート、ソルビトールビス−カーボネートなどが挙げられる。皮膚接触のための可塑剤用として前に示した物質の選択に当たっては、一部が皮膚への使用時に規制制限を有する場合があるので、注意する必要がある。
【0116】
更に別の種の可塑剤は1種又はそれ以上の前記種の成分を有することができる。非限定的例としては、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ランダム又はブロックポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールポリマー、及びランダム又はブロックポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールが挙げられる。他のこのようなポリマー可塑剤としては、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルセルロース、ポリヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルグアー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−コ−マレイン酸、ポリアクリルアミド−コ−アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアセテート−ブチレート、ポリ(ナトリウムビニルベンゼンスルホネート)並びにそれらのコポリマー及び組合せが挙げられる。これらのポリマー可塑剤の量は本発明の水分散性又は水散逸性ポリマーの重量に基づき1〜10重量%であることができる。
【0117】
ポリマーの分子量を調整する目的で、適当な薬剤を添加できる。これらは当業界でよく知られており、一般にメルカプタン類からなるがこれらに限定するものではない。これらの例は炭素数1〜20のアルキルメルカプタン類、メルカプト酸類及びエステル、例えばメルカプトプロピオン酸、アルキルメルカプトプロピオン酸エステル、チオールグリコール類又はジチオグリコール類、例えばヒドロキシエチルメルカプタン、チオグリセロールである。
【0118】
変性「アクリル」ラテックスを製造するための重合方法には、モノマー/疎水性物質混合物への開始剤(酸化剤)、還元剤又は触媒の添加が必要である場合もある。適当な開始剤としては、過硫酸アンモニウム(ペルオクソ二硫酸アンモニウム)、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、硫酸アンモニウム若しくはアルカリ、ジ−ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ジtert−ブチルペルオキシド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド及びそれらの混合物のような従来の開始剤が挙げられる。
【0119】
適当な還元剤は重合速度を増加させるものであり、その例としては、亜硫酸水素ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム(亜二チオン酸ナトリウム)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0120】
適当な触媒は重合反応条件下で重合開始剤の分解を促進することによって重合速度を増加させるそれらの化合物である。適当な触媒としては、遷移金属化合物及び乾燥剤が挙げられる。このような触媒の例としては、硫酸第一鉄七水和物、塩化第一鉄、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸コバルト、硫酸第一コバルト及びそれらの混合物が挙げられる。
【0121】
本発明の別の実施態様において、アセトアセトキシ・エチルメタクリレート(ここではAAEMと称する)官能価、アクリル、スチレン/アクリル又はビニル−アクリル樹脂(ここでは単に「アクリル」樹脂と称する)を含む水性ラテックスは、石油ゼリー又はペトロラタム及び場合によってはヤシ油脂肪酸のような油状成分を含む。水性ラテックス中で、ペトロラタム−ヤシ油脂肪酸で変性されたアクリル樹脂は一般に、水中に分散された粒子として存在する。粒子は一般に球形である。これらの粒子は構造化されていても(不均一な形態を意味する)、構造化されていなくてもよい。コア/シェルポリマー粒子はまた、多葉形、ピーナッツシェル、アコーン形又はラズベリー形で製造できる。
【0122】
ミニエマルジョンは、溶液重合又は塊状重合とは異なり、低粘度での高分子量ポリマーの製造を可能にするので、ミニエマルジョン重合法を使用できる。モノマー/水/界面活性剤/活性物質混合物の剪断は、50〜500nmの小液滴を形成し、ひいては重合前にミニエマルジョンを形成し、それから重合されるラテックスがラテックス粒子全体に均一に分散された活性物質を含むことを保証する。変性樹脂のペトロラタム又は他の活性成分部分は、ラテックスの総固形分の0.1〜50重量%、例えば10〜40重量%又は10〜30重量%に相当する。ミニエマルジョン法に使用する場合には、変性樹脂のヤシ油脂肪酸部分はラテックスの総固形分の0.1〜20重量%に相当する。別の実施態様において、変性ラテックスのヤシ油脂肪酸部分はラテックスの総固形分の5〜15重量%に相当する。
【0123】
図3及び5を参照すると、2つの層の少なくとも一方が不連続である本発明の別の実施態様が示されている。パッチ100は前述のパッチ10と同様である。即ち、パッチ100は、接着剤マトリックス第1層125及び第2層130を被覆する2つの保護層115及び120を有する。保護層115の一方の面には、保護層を把持するための手段135が取り付けられている。しかし、第2層130は、不連続面領域を有する。図5に見られるように、第2層の不連続面は、第1層の上部表面140全体を実質的に被覆する。不連続第2層130は、非粘着性面を実質的に形成する多数の個別粒子を含む。有利には、粒子は個々に、集合面領域が非粘着性であるが、第1層115を通る水蒸気透過を可能にする充分な多孔性を同時に有するのに充分な距離を、隣接粒子間に有する。これは、組織を低温で且つ比較的乾燥した状態にとどめながら、パッチ100に高い快適度と柔軟性を持たせる。
【0124】
不連続面130の形成に適当な材料は、接着剤の粘着性を妨げるか又は実質的に低下させることが知られている任意の粒子材料であることができる。例えば不連続層130は、天然又は合成の結晶質又は非晶質材料であることができる。このような材料の非限定的例としては、澱粉、例えばトウモロコシ、ジャガイモ、米及び小麦;マイカ;セレサイト(serecite);タルク類;色素;バター、例えばココアバター、シアバター、コクム(kokum)バター、マンゴバター、サルバター;クレイ、例えばベントナイト、フレンチグリーン、フラー土、ラスール(rhassoul)、カオリン(ホワイト、ピンク、イエロー、レッド及びローズ)、グリーンイライト(green illite)、ブルーモンモリロナイト、モロカンレッド(Moroccan red)、ムルタニミッティ(multani mitti);ワックス、例えばカルナウバ(carnuba)ワックス、蜜ろう、パラフィン、合成ワックス;米ぬか;花;六方晶窒化ホウ素セラミック粉末;ユッカシジゲラ(yucca shidigera)粉末;燐酸アスコルビルナトリウム;燐酸アスコルビルマグネシウム;ヒアルロン酸;ガラス球、中空ガラス球、セラミック球、シリカ球、アルミナ粒子、粉砕によって製造されたポリマー粒子;ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレン、エチレン/アクリレートコポリマー、Nylon−12、シリコーン樹脂及びポリウレタンポリマー(平均直径0.4〜14μm);エチレン/メタクリレートコポリマーの中空球(平均直径20〜32μm);非孔質シリカ、多孔質シリカ、高多孔質シリカ及び表面処理シリカ(平均直径2〜12μm);二酸化チタン(粒度20〜300nm);酸化亜鉛(粒径が20〜500nmの範囲)、アルミナ粉末、シリカ−アルミナ粉末、水又は有機溶剤から噴霧乾燥によって製造されたポリマー−粒度0.5〜30μmの粉末、酸化マグネシウム粉末及びそれらの混合物が挙げられる。
【0125】
一実施態様において、不連続面130は、接着剤マトリックス層125の上部表面140に適用されたポリマー材料である。このようなポリマー材料は+5℃より高いTgを有する必要があり、上部表面の粘着性を低下させるために表面に「振りかけられる」ことができる。
【0126】
図4を参照すると、図3に関して前述したのと同様な、即ち、2つの層のうち少なくとも1つが不連続である本発明の別の実施態様が示されている。パッチ150は、前述のパッチ100と同様である。即ち、パッチ150は2つの保護層165及び170、第1層175及び第2層180並びに把持手段185を有するが、顕著な例外は、この実施態様においては粘着性の第1層175が不連続であることである。この実施態様は、接着剤が断続的に適用されるので、より強力(アグレッシブ)であるか又は粘着性の接着剤の使用を可能にする。不連続な第1層175は、接着剤面を形成する多数の個々の粒子を含む。有利には、これは、製造業者が、パッチの接着力をより正確に制御すると共に、活性物質の異なる型又は濃度間において実質的な拡散、相互作用又は干渉を起こすことなく、使用者の皮膚に隣接して配置された1種又はそれ以上の活性物質を用いて部位治療(site treatment)をすることを可能にする。
【0127】
本発明は、第1層25、125及び175の接着剤マトリックス中に活性物質が含まれるものとして記載したが、当業者は、活性物質が第1層10、125及び175若しくは第2層30、130及び180又は両層に含まれることができることを理解し且つ充分に評価できるであろう。更に、活性剤、それらの濃度又は組成は各層において同一でも異なっていてもよい。従って、少なくとも1つの層が水分散性又は水散逸性ポリマーを含むこと及び少なくとも1つの層が0.1〜50重量%の活性物質を含むことは本発明の範囲内であり、これら2つは必ずしも同一層中に存在しない。しかし、各層に関する重量百分率の合計はそれでもやはり100%に等しいであろう。このような実施態様は全て、本発明の教示の範囲内である。
【0128】
伸び(elongation): 伸びは、ASTM Method D882の方法に従って独立フィルム(基材にも表面にも接触していないフィルム)について測定した。独立フィルムは、剥離基材上に適当なアプリケーターでドローダウンすることによって0.6〜0.7mil(0.0006〜0.0007インチ)の乾燥フィルム厚で調製した。剥離基材は、平らで非孔質であるならば、種々の基材のいずれであることもでき、乾燥時にフィルムを基材から容易に引き離すことができるように低表面エネルギーを有することができる。使用する適当な基材としては、ポリ(テトラフルオロエチレン)、シリコーン処理ポリエステルフィルム、シリコーン処理紙及びワックスペーパーが挙げられる。この試験の乾燥条件は、空気及び基材温度22〜25℃で24時間とした。その後、乾燥フィルムを基材から取り外し、伸び率を測定した。本発明によれば、サンプルを10インチ/分の速度で引いた場合に、フィルムは少なくとも50%の伸び率を有さなければならず、好ましくは200%より大きい伸びを有する。
【0129】
本発明の別の態様は、本発明の皮膚パッチの製造方法である。この方法は、剥離可能な第1保護基材に第1層を適用し;前記第1層に第2層を接合し;そして前記第2層を剥離可能な第2保護基材で被覆する工程を含んでなり、第1層又は第2層の少なくとも一方は、活性物質が混合されたポリマーマトリックス系であり、少なくとも一方の層は水分散性又は水散逸性ポリマーを含む。望ましくは、第1層は、第2層と接合する前に乾燥させる。
【実施例】
【0130】
本発明を、以下の具体例によってより詳細に示す。これらの例は実施態様であり、本発明を限定することを目的とせず、添付した「特許請求の範囲」の範囲及び内容の中でむしろ広範に解釈すべきであることを理解すべきである。例中の全ての部及び百分率は、特に断らない限り、重量ベースである。
【0131】
例1
水分散性スルホポリエステルAを以下のようにして製造した:すりガラスヘッド、撹拌機軸、窒素注入口及びサイドアームを装着した丸底フラスコに、以下に示したモル%で、イソフタル酸、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(SIP)、ジエチレングリコール(DEG)及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を装入した。触媒を加え、フラスコを窒素スイープ(nitrogen sweep)下で200℃のBelmont浴に1時間浸漬した。浴の温度を1時間230℃に上昇させた。浴の温度を280℃に上昇させ、フラスコを0.5〜0.1mmHgの減圧下で45分間加熱した。フラスコを室温まで冷ました。コポリエステルをこのフラスコから取り出し、押出し、ペレット化した。
【0132】
スルホポリエステルAは、ジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づき、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート18モル%及びイソフタル酸82モル%、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール46モル%及びジエチレングリコール54モル%を含んでいた。スルホポリエステルAは、53℃のTg(示差走査熱量測定法によって測定)と0.33dl/gのインヘレント粘度(I.V.)(フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml当たりポリマー0.50gを用いて23℃において測定)を有していた。
【0133】
脱イオン水136gを500mlのビーカー中で80℃に加熱することによって、ポリマーペレットの分散液を製造した。次いで、ポリマーペレット64gを撹拌しながら加え、撹拌を30分間続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、ほぼ透明なポリマー分散液が得られた。
【0134】
以下の成分を1オンスの広口ジャー中に入れた:
1.前記スルホポリエステルAポリマー分散液20.44g;
2.トリアセチン1.2g;
3.DG石油ゼリー(Dolgen Corp.,Inc.(100 Mission Ridge,Boodlettsville,TN 37072)から入手可能)1.2g;及び
4.Clearate Lecithin(W.A.Cleary Corp.(1049 Route 27,P.O.Box 10,Somerset,NJ 08875−0100)から入手可能)0.47g。
【0135】
ボトルを80℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンはクリーム状で、分離に対して安定であった。この混合物を、剥離フィルム(Sil−Tech(222 Mound Avenue,Miamisburg,OH 45342)から入手可能なPolyester Liner L−25X)上に、0.004インチ・ギャップフィルムアプリケーターを用いてドローダウンした。被膜を90℃で5分間加熱乾燥させた。次いで、アクリル系水性接着剤(Hexion Specialty Chemicals(Columbus,OH 43215)から入手可能なEastarez 2050)を、K−Control Coater(Testing Machine Company(2 Fleetwood Court,Ronkonkoma,New York 11779)から入手可能)を使用して、#0RKロッドを用いて混合物の被膜に適用した(湿潤状態で約0.15mil)。被膜を90℃で5分間乾燥させた。フィルムのおおよその最終厚さは両層とも1.0mil(25μm)未満であった。皮膚への適用時に、フィルムは剥離ポリエステルからきれいに移り、手触りが粘着性でも油ぽっくもなかった。フィルムを2時間後に石けんと水で洗い落とした。フィルムの真下の皮膚は、触ると滑らかな触感であった。
【0136】
例2
10重量%のペトロラタム及びCOFAを含む、Tg5℃のミニエマルジョンを以下のようにして調製した: 凝縮器、窒素パージ及び水面下供給管を装着した1000mL重合がまに、水120gを加えた。窒素パージを開始し、内容物を80℃に加熱し、保持した。ヤシ油脂肪酸(COFA)(Proctor and Gambleから入手したC−108)41gを60℃において予熱し、予熱した(60℃)ペトロラタム(Petroleum Jellyとして購入)41gと混合した。この例におけるCOFA−ペトロラタム混合物はペトロラタムを10%(総モノマーの重量に基づく)含んでいた。
【0137】
この混合物をゆっくりとモノマーミックスに添加し、3時間撹拌して、乳状の外観の分散液を得た。モノマーミックスは、スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/アセトアセトキシ・エチルメタクリレート/メタクリル酸/アクリル酸415.0gで構成された。モノマーミックス中のモノマーの重量比は44.5/43.2/9.4/0.7/2.2であった。水(365g)及び界面活性剤18.3gを予備混合し、次いでモノマー/ペトロラタム/COFAミックスを添加して、プレエマルジョンを形成した。界面活性剤はAerosol OT−NV(Cytec Industriesから入手可能)及び/又はHitenol BC 1025(DKSから入手可能)を1.1:0.4の比で含んでいた。プレエマルジョンを、IKA(モデルSD−45)ローター/ステーター・ホモジナイザーを用いてホモジナイザーを最大rpmで運転しながら、剪断装置を取り囲むフローセルに通してポンプ輸送することによって剪断して、ミニエマルジョンを形成した。このミニエマルジョン76g(10%)を反応器に装入した。次いで、過硫酸アンモニウム0.6gを水10g中に混合し、反応器の混合物に装入し、80℃に保持した。15分後、残りのミニエマルジョンを180分にわたって反応器に供給した。同時に、水79.0g、過硫酸アンモニウム0.84g及び炭酸アンモニウム0.84gからなる開始剤供給材料も180分にわたって供給した。供給の終了後、反応器を80℃に60分間保持してから、50℃に冷却した。次に、水6.4g、イソアスコルビン酸1.0g及び0.5%硫酸鉄七水和物1.2g並びに28%水酸化アンモニウム0.34gからなる還元剤溶液を反応器に加えた。水19.0g及び70%t−ブチルヒドロペルオキシド1.10gの溶液を次に48分にわたって供給した。反応ミックスを室温まで冷ました。ラテックスを、100メッシュのワイヤースクリーンに通して濾過した。濾過可能な固形分又はスクラップは、総バッチ重量に基づき、0.1重量%未満と測定された。液滴サイズ及び粒度を、Microtrac UPA Particle Size Analyzerレーザー光散乱装置(後方散乱180°)を用いて測定した。この粒度測定のために、サンプルを水中で約1:50に稀釈した。
【0138】
例3
ペトロラタムの量が82gである以外は前記例2の方法に従って、ペトロラタム20%及びCOFAを含む、Tg5℃のミニエマルジョンを製造した。
【0139】
例4
スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/アセトアセトキシ・エチルメタクリレート/メタクリル酸/アクリル酸モノマー比が19.9/69.3/7.9/0.8/2.2である以外は例3と同様にして、ペトロラタム20%及びCOFAを含む、Tg−30℃のミニエマルジョンを製造した。
【0140】
例5
COFAを排除した以外は例4と同様にして、ペトロラタム20%を含む、Tg−30℃のミニエマルジョンを製造した。この例は、従来の乳化方法を用いては達成することができなかった高剪断条件を用いて、ペトロラタムとモノマーのミニエマルジョンを製造できることを示している。
【0141】
例6
ペトロラタムの代わりにシアバターを用いる以外は例5と同様にして、シアバター20重量%を含む、Tg−30℃のミニエマルジョンを製造した。
【0142】
例7
モノマー混合比がアクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸65.0:35.0である以外は例5と同様にして、例7を製造した。
【0143】
例8
例1からの液体混合物を、剥離フィルム(Polyester Liner L−25X,例2において使用したのと同一フィルム)上に、4milギャップ薄膜フィルムアプリケーター(gap thin film applicator)を用いてドローダウンした。次いで、例4からのミニエマルジョンを、K−Control Coaterを使用して、#4RK巻き線型ロッドを用いて前記混合物被膜に適用した(湿潤状態で約1.5mil)。前記フィルム上のこの新たに適用した被膜を90℃で5分間乾燥させた。厚さ1.5milの得られた2層乾燥フィルムは、皮膚に適用すると、剥離ポリエステルから皮膚にきれいに移り、手触りが粘着性でも油ぽっくもなかった。フィルムを2時間後に石けんと水で洗い落とした。フィルムの真下の皮膚は、触ると滑らかな触感であった。
【0144】
例9
カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)の(90%/10%イソプロピルアルコール/水)中25%溶液を、剥離フィルム(Polyester Liner L−25X)上に、#0RKロッド及びK−Control Coaterを用いてドローダウンした。フィルムを100℃において30秒間乾燥させた。例4からのミニエマルジョンを、予め適用した被膜の上面に#6RKロッドを用いてに適用した(2.5milの湿潤フィルム)。被膜を100℃において5分間乾燥させた。厚さ1mil未満の得られた乾燥フィルムは、皮膚に適用すると、剥離ポリエステルから皮膚にきれいに移り、手触りが粘着性でも油ぽっくもなかった。フィルムを30分後に剥がした。フィルムの真下の皮膚は、触ると滑らかな触感であった。
【0145】
この例は、適用時に既にミニエマルジョンポリマー内に活性成分が含まれているので、接着剤と活性成分を強制的に一緒にするための加圧装置を必要としないことを示している。接着剤への圧力の適用は、過剰なエネルギーを必要とするだけでなく、接着剤に粘着し且つ汚くなる傾向のあるものを接着剤に押しつける必要があり、或いは接着層をプレスへの粘着から保護する追加の層(接着剤側のための別の剥離ライナー)を必要とする。
【0146】
例10
この例は、両層を、各ミニエマルジョンポリマーが他方とは異なるTgを有する2種の異なるミニエマルジョン組成物から製造するフィルム組成物を示す。Tgが低い方のポリマー(−30℃)は皮膚に適用される側に存在し、第2のミニエマルジョンは5℃のTgを有する。
【0147】
例3からのラテックス(11.87g)を、10%溶液Vinol 523(Air Products,Inc.から入手可能なポリビニルアルコール増粘剤)3.52gと合し、振盪によって混合した。このブレンドを、5milギャップアプリケーターを用いてPolyester Liner L−25X(Sil−Techから入手可能)上にドローダウンし、得られたフィルムを100℃において5分間加熱乾燥させた。このフィルムは、厚さが0.016mmで、破壊前の伸び率(ASTM法D882によって測定)が676%であった。
【0148】
前記と同様なフィルムに、0RK巻き線型ロッドを用いて実施例4のポリマーエマルジョンを更に塗布した。フィルム複合体を100℃において5分間加熱乾燥させた。冷えている場合、フィルムは手の甲の皮膚に容易に移った。ポリエステルライナーバッキングは、剥離によって容易に取り除かれ、皮膚上にはミニエマルジョン複合体フィルムが残された。このフィルムは耐水性であった。このフィルムは2時間皮膚上にとどまった。皮膚から剥離によって取り除くと、皮膚は触ると滑らかな触感であった。
【0149】
例11
例1と同様な分散液(ペトロラタム20%を含むように変更)を、5milギャップアプリケーターを用いてPolyester Liner L−25X(Sil−Techから入手可能)上にドローダウンし、得られたフィルムを100℃において5分間加熱乾燥させた。前記と同様なフィルムに、0RK巻き線型ロッドを用いて例6のポリマーエマルジョンを更に塗布した。フィルム複合体を100℃において5分間加熱乾燥させた。冷えている場合、フィルムは手の甲の皮膚に容易に移った。ポリエステルライナーバッキングは、剥離によって容易に取り除かれ、皮膚上にはミニエマルジョン複合体フィルムが残された。このフィルムは2時間皮膚上にとどまった。石けんと水によって洗浄することによってフィルムを皮膚から取り除くと、皮膚は触ると滑らかな触感であった。
【0150】
例12
IKA(登録商標)WORKS,INC.(Wilmington,North Carolina)から入手可能な微細ヘッド(fine head)を装着したDispax高速分散機を用いて混合しながら、以下の成分を記載した順序で4オンス広口ジャー中に入れた。混合機の速度は、POWERSTAT(登録商標)Variable Transformer(Superior Electric(Bristol,CT)から入手可能)を用いて制御した。最初の混合は40ボルト(低速)で行った。
【0151】
1.例1のポリマー分散液131.49g;
2.トリアセチン7.72g;
3.アボカド油(Jan Dekker International,Plein 13 no.1,1521 AP Wormerveer,Netherlands)10.5g;及び
4.Thermalec 57 4.1g。
【0152】
変圧器に60ボルトを適用することによって、混合速度を増加させた。混合物の温度は63℃であった。エマルジョンはむらがなく、クリーム状であった。ジャーに蓋をし、85℃の水浴中に1時間入れた。次いで、混合物を60ボルトで3分間分散させ、次に、室温に達するまで電動式低速撹拌機を用いて撹拌した。エマルジョンは粘稠でなく(thin)、クリーム状であった。
【0153】
混合物を、4milギャップフィルムアプリケーターを用いて剥離フィルム(Polyester Liner L−25X)上にドローダウンした。被膜を90℃において5分間加熱乾燥させた。次いで、アクリル系水性接着剤(Hexion Specialty Chemicals(Columbus,OH 43215)から入手可能なEastarez 2050)を、K−Control Coater(Testing Machine Company(2 Fleetwood Court,Ronkonkoma,New York 11779)から入手可能)を使用して、#0RKロッドを用いて混合物の混合物被膜に適用した(湿潤状態で約0.15mil(4マイクロメーター))。被膜を90℃で5分間乾燥させた。フィルムのおおよその最終厚さは両層とも1.0mil未満であった。皮膚への適用時に、フィルムは剥離ポリエステルからきれいに移り、手触りが粘着性でも油ぽっくもなかった。フィルムを2時間後に石けんと水で洗い落とした。フィルムの真下だった皮膚は、触ると滑らかな触感であった。
【0154】
例13
COFA 10重量%を含む、Tgが5℃のミニエマルジョンを以下のようにして製造した。
【0155】
凝縮器、窒素パージ及び水面下供給管を装着した1000mL重合がまに、水119.3gを加えた。窒素パージを開始し、内容物を80℃に加熱し、保持した。ヤシ油脂肪酸(COFA)(Proctor and Gambleから入手したC−108)44.0gを60℃において予熱し、スチレン187.7g、アクリル酸2−エチルヘキシル182.6g、アセトアセトキシ・エチルメタクリレート39.8g、メタクリル酸3.11g及びアクリル酸9.32gからなるモノマーミックスにゆっくりと添加した。この混合物を3時間撹拌して、乳状の外観の分散液を得た。
【0156】
水385.9g、Aerosol OT−NV(Cytec Industriesから入手可能)5.51g及びHitenol BC 1025(DKSから入手可能)7.41gを添加することによって、界面活性剤混合物を製造した。次いで、前記モノマー−COFA混合物を添加して、プレエマルジョンを形成した。プレエマルジョンを、IKA(モデルSD−45)ローター/ステーター・ホモジナイザーを用いてホモジナイザーを最大rpmで運転しながら、剪断装置を取り囲むフローセルに通してポンプ輸送することによって剪断して、ミニエマルジョンを形成した。このミニエマルジョン10重量%(72.2g)を、80℃に保持された反応器に装入した。次いで、過硫酸アンモニウム0.58gを水9.75gと混合し、依然として80℃に保持されている反応器の混合物に装入した。15分後、残りのミニエマルジョンを180分にわたって反応器に供給した。同時に水78.0g、過硫酸アンモニウム0.83g及び炭酸アンモニウム0.83gからなる開始剤供給材料も180分にわたって供給した。供給の終了後、反応器を80℃に60分間保持してから、50℃に冷却した。次に、水6.34g、イソアスコルビン酸1.0g及び0.5%硫酸鉄七水和物1.2g並びに28%水酸化アンモニウム0.34gからなる還元剤溶液を反応器に加えた。水19.0g及び70%t−ブチルヒドロペルオキシド1.10gの溶液を次に48分にわたって供給した。反応ミックスを室温まで冷ました。
【0157】
ラテックスを、100メッシュのワイヤースクリーンに通して濾過した。濾過可能な固形分又はスクラップは、総バッチ重量に基づき、0.1重量%未満と測定された。粒度を、Microtrac UPA Particle Size Analyzerレーザー光散乱装置(後方散乱180°)を用いて測定すると、390ナノメーターであった。この粒度測定のために、サンプルを水中で約1:50に稀釈した。
【0158】
例14
スルホポリエステルBを以下のようにして製造した。
【0159】
例1に使用したのと同様な装置中で、以下の組成物を同様にして加熱した:ジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づき、11モル%のジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート及び89モル%のイソフタル酸、並びに21.5モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び78.5モル%のジエチレングリコール。得られたスルホポリエステルBは、35℃のTgと0.32dl/gのI.V.を有する。
【0160】
脱イオン水136gを500mlのビーカー中で80℃に加熱することによって、ポリマーペレットの分散液を製造した。次いで、ポリマーペレット64gを撹拌しながら加え、撹拌を30分間続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、わずかに濁ったポリマー分散液が得られた。
【0161】
例15
この例は、異なるポリマー層中に2種の異なる活性成分を使用することを示す。パートAは以下のようにして製造した。以下の成分を1オンスの広口ジャー中に入れた。
【0162】
1.例14からのミニエマルジョン14.97g;
2.Vinol 540(Air Products,Inc.から入手可能なポリビニルアルコール増粘剤)10%溶液3.0g;
3.n−プロピルアルコール1.5g;
4.Colavita Extra Virgin Olive Oil(Colavita USA(linden,NJ)から入手可能)2.13g;及び
5.EASTMAN EB(ヒドロキシエチル・ブチル・エーテル)1.1g。
【0163】
ボトルを加熱せずに15分間振盪した。このエマルジョンはクリーム状で、分離に対して安定であった。この混合物を、剥離フィルム(Sil−Tech(Miamisburg,OH)から入手可能なPolyester Liner L−25X)上に#8RKロッドを用いてドローダウンした。被膜を100℃において5分間加熱乾燥させた。得られたフィルムは平滑で、粘着性で、半透明であった。
【0164】
パートBを以下のようにして製造した。以下の成分を1オンスの広口ジャー中に入れた:
1.Vinol 540(Air Products,Inc.から入手可能なポリビニルアルコール増粘剤)10%溶液3.37g;
2.例14からのスルホポリエステル分散液20.44g;
3.NutriLayer植物脂質(Eastman Chemical Companyから入手可能)1.6g;
4.ヤシ油脂肪酸(COFA)0.68g;及び
5.トリアセチン0.96g。
【0165】
サンプルを85℃において30分間加熱した。次いで、サンプルを、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンは粘稠でなく、クリーム状であった。剥離フィルム(Stil−Tech(Miamisburg,OH)から入手可能なPolyester Liner L−25X)の湿潤を助けるために、追加の溶媒EASTMAN EB 1.1gを加えた。このエマルジョンを、#8RKロッドを用いて適用した。被膜を100℃において5分間加熱乾燥させた。このフィルムは平滑で、粘着性でなく、不透明であった。
【0166】
パートAを、パートBに記載した被膜に適用した。両層とも、#8RKロッドを用いて適用した。2層被膜を100℃において5分間加熱乾燥させた。この被膜は剥離フィルムから皮膚上に容易に移った。この被膜は剥離によって取り外された。
【0167】
#0RKロッドを用いて、例6からのポリマーを、パートBに記載した被膜に適用した。2層被膜を100℃において5分間加熱乾燥させた。得られた被膜はごくわずかに粘着性であったが、30秒未満の間、手の圧力を加えることによって剥離フィルムから皮膚に容易に移された。この被膜は、石けんと水による洗浄によって又は剥離によって取り除かれた。
【0168】
例16
高濃度のペトロラタム(20重量%)を含む、Tgが−5℃のミニエマルジョンを以下のようにして製造した:
凝縮器、窒素パージ及び水面下供給管を装着した1000mL樹脂反応器に、水(120g)を加えた。窒素パージを開始し、内容物を80℃に加熱した。
【0169】
1.アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸(重量比65/35)345.0g。
2.水300g、及び
3.Aerosol OT−NV(Cytec Industriesから入手可能)及び/又はHitenol BC 1025(DKSから入手可能)を1.1:0.4の比で含む界面活性剤ブレンド15.5g
を含むモノマープレミックスを製造した。
【0170】
ペトロラタム(Petroleum Jellyとして購入)を前記モノマープレミックスにゆっくり加え、3時間撹拌して、乳状の外観の分散液を得た。分散液を、IKA(モデルSD−45)ローター/ステーター・ホモジナイザーを用いて最大rpmで運転しながら、フローセルに通して分散液をポンプ輸送することによって剪断して、ミニエマルジョンを形成した。
【0171】
水90.0g、過硫酸アンモニウム1g及び炭酸アンモニウム1gを含む反応開始剤供給材料を製造した。
【0172】
ミニエマルジョン72g(10%)を反応器に装入した。
【0173】
過硫酸アンモニウム(0.65g)を水12g中で混合し、反応混合物に装入した。15分後、残りのミニエマルジョンを180分にわたって反応器に供給した。ミニエマルジョンの供給と同時に、開始剤供給材料も反応器に供給したが、供給は195分にわたって行った。
【0174】
供給の終了後、反応器を80℃に60分間保持し、次いで50℃に冷却した。水10g、イソアスコルビン酸1.0g及び0.5%硫酸鉄七水和物1.2g並びに28%水酸化アンモニウム0.34gからなる還元剤溶液を反応器に加えた。
【0175】
水25.0g及び70%t−ブチルヒドロペルオキシド1.2gの溶液を次に48分にわたって反応器に供給した。次いで、反応生成物を室温まで冷ました。得られたラテックスを、100メッシュのワイヤースクリーンに通して濾過した。濾過可能な固形分(スクラップ)は、総バッチ重量に基づき、0.1重量%未満と測定された。完成ラテックスの平均粒度は328nmであった。液滴サイズ及びラテックス粒度は、Microtrac UPA Particle Size Analyzerレーザー光散乱装置(後方散乱180°)を用いて測定した。この粒度測定のために、サンプルを水中で約1:50に稀釈した。得られたミニエマルジョンラテックスをガラス上にドローダウンしてフィルムを形成し、次に80℃で5分間加熱して、水を飛ばした。このフィルムは、水で少しこすることによってガラス表面から容易に除去できることがわかった。
【0176】
例17
この例は、両層が水洗によって皮膚から除去できる組成物から成る組成物を示す。
【0177】
水性相:ビーカーに以下の成分を、75℃に加熱し且つ軽く撹拌しながら連続して加えた:
1.Eastman AQ55ポリエステルの固形分32%の分散液71.4g;
2.脱イオン水11.3g;
3.グリセリン1.83g;
4.分子量90,000のポリビニルピロリジノンポリマー0.57g;
5.0.05%EDTA二ナトリウム・デハイドレート(dehydrate);及び
6.燐酸セチルカリウム塩(Amphisol K(DSMから入手可能))0.76g。
【0178】
有機相:別のビーカー中に以下の成分を撹拌し且つ80〜90℃に加熱しながら、有機相成分を加えた:
1.ペトロラタム5.00g;
2.クエン酸トリエチル2.29g;
3.セテアリルアルコール(Lanette O(Cognisから入手可能))1.52g;及び
4.グリセロールモノステアレート(Cutina GMS V(Gognisから入手可能))1.00g。
【0179】
次に、高温の有機相を温かい水性相中に撹拌しながら注ぎ込んだ。次いで、Silica MSS−500/3H4を撹拌しながら添加した。それから、混合物全体をローター・ステーター・ミキサーを用いて8000rpmで10分間ホモジナイズした。得られた乳化ブレンドを低剪断撹拌によって冷めるまで撹拌した。次いで、保存剤Phenonip(Clariant International,Ltd.から入手可能)0.48gをブレンド中に撹拌しながら入れた。
【0180】
前記混合物のドローダウンを、シリコーン処理ポリエステル基材(Sil−Tech(222 Mound Avenue,Miamisburg,OH 45342)から入手可能なPolyester Liner L−25X)上に巻き線型ドローバーを用いて製造した。乾燥フィルムは、周囲条件において1時間乾燥させた後に測定したところ、1milのフィルム厚を有していた。
【0181】
水分散性ポリエステル接着剤ブレンドと前に使用したのと同一のドローバーを用いて、第2のドローダウンを前述の乾燥フィルムの上面に正確に作った。この接着剤ブレンドは、以下の成分:i)AQ55ポリエステル(水中固形分34.6%)10.69g;ii)AQ1045ポリエステル(水中固形分30.8%)60.04g;iii)グリセリン0.92g;及びiv)クエン酸トリエチル0.99gを一緒に加熱することによって予め製造した。
【0182】
混合物をバイアル中で激しく振盪して混合した後、内容物を電子レンジ中で80℃まで加温し、次いで均質性を確実にするためにもう一度再振盪した。次いで、ブレンドを2週間そのまま休ませた。その間に、ブレンドは、乾燥フィルムに転化された時点で、全接着力を持つようになった。
【0183】
室温で上部接着剤層を一晩乾燥させた後、乾燥フィルムの一端にScotch Magicテープを適用し、シリコーン処理ポリエステル基材上にテープを重ね合わせ、次いで最初の被膜基材に使用した同じシリコーン処理ポリエステルの上部シートで被覆することによって、パッチを組み立てた。シートから、一端にのみテープを有する長方形のシートを切り取った。
【0184】
乾燥パッチを男性のボランティアの手首掌側の皮膚に適用した。2時間のパッチ着用後、温かい水道水で洗浄し且つそっとこすることによって、パッチを取り除いた。1日後、手首に適用した第2のパッチを8時間着用させると、それは同様にして取り除くことが可能であった。1日後、手首に4時間着用させた第3のパッチを、そっとこすりながら温かい石けん水を用いて取り除いた。皮膚上にある状態で、いずれのフィルムにも亀裂は観察されなかった。いずれの洗浄後にも残渣は認められなかった。
【0185】
本発明を詳細に説明したが、当業者には、本明細書中に開示及び説明した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明の種々の態様に変更を加えることが可能なことがわかるであろう。従って、本発明の範囲は示し且つ説明した具体的実施態様に限定するものではなく、むしろ本発明の範囲は添付した「特許請求の範囲」及びその相当物によって決定されるものである。更に、本明細書中において提示した全ての特許、特許出願、刊行物及び引用文献を、本発明の実施に関連する全ての開示について引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層及び第2層を含んでなる皮膚パッチであって、前記第1層及び第2層の少なくとも1つが活性剤が混合されたポリマーマトリックス系であり且つ少なくとも1つの層が水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含み、少なくとも50%の伸び率を有する皮膚パッチ。
【請求項2】
前記水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーがスルホポリエステル、スルホン化アクリル樹脂、ハイブリッドポリマー、アクリル系ポリマー又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項3】
前記水分散性又は水散逸性アクリル系ポリマーをミニエマルジョン法を用いて製造してラテックスを形成する請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項4】
前記第1層が接着剤マトリックスであり且つ前記第2層が実質的に非粘着性である請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項5】
前記第1層が−5℃〜−45℃のTgを有し且つ前記第2層が5℃より高いTgを有し、第1層のTgと第2層のTgの差が少なくとも15℃である請求項4に記載の皮膚パッチ。
【請求項6】
第1層のTgと第2層のTgの差が少なくとも25℃である請求項4に記載の皮膚パッチ。
【請求項7】
前記第1層がa)フィルム形成性ポリマー25〜99.8重量%及びb)活性剤0.1〜50重量%を含み、前記成分の合計が100重量%に等しい請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項8】
前記第1層がa)フィルム形成性ポリマー30〜95重量%及びb)活性剤1〜40重量%を含み、前記成分の合計が100重量%に等しい請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項9】
前記第1層がa)フィルム形成性ポリマー40〜95重量%及びb)活性剤1〜40重量%を含み、前記成分の合計が100重量%に等しい請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項10】
c)界面活性剤0.1〜25重量%又はd)皮膚透過増強剤10重量%未満又はe)ヒューメクタント20重量%以下又はf)可塑剤20重量%以下の少なくとも1つを更に含み、成分の合計が100重量%に等しい請求項7、8又は9に記載の皮膚パッチ。
【請求項11】
前記第1層がスルホポリエステルを含む請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項12】
前記第1層がアクリル系ポリマーを含む請求項2に記載の皮膚パッチ。
【請求項13】
前記活性成分が抗酸化剤;フリーラジカル捕捉剤;皮膚モイスチャライザー;脱色素剤;リフレクタント;ヒューメクタント;抗菌剤(例えば抗細菌剤);アレルギー抑制剤;抗アクネ剤;老化防止剤;抗リンクル剤、消毒剤;鎮痛剤;鎮咳剤;鎮痒剤;局所麻酔剤;抗ヒスタミン剤;角質溶解剤;抗炎症剤;フレッシュナー;ヒーリング剤;抗感染症薬;炎症抑制剤;抗コリン作用薬;血管収縮剤;血管拡張剤;創傷治癒促進剤;ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質;脱臭剤及び制汗剤;皮膚エモリエント;日焼け剤;皮膚美白剤;抗真菌剤、例えば足用製剤用の抗真菌剤;脱毛剤;外用鎮痛剤;反対刺激剤;殺虫剤;ツタウルシ製品;アメリカウルシ製品;やけど用製品;おむつかぶれ防止剤;汗疹薬;メーキャップ料;ビタミン類;アミノ酸及びそれらの誘導体;薬草エキス;レチノイド類;フラボイド類;センサーマーカー(即ち冷却剤、加熱剤など);皮膚コンディショナー;キレート化剤;細胞ターンオーバーエンハンサー;着色剤;サンスクリーン剤;麻酔剤;免疫調節剤及び栄養剤;水分吸収剤;皮脂吸収剤又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項14】
前記アクリル系ポリマーがスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン及びクロロメチルスチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸グリシジル、カルボジイミドメタクリレート、クロトン酸アルキル、酢酸ビニル、マレイン酸ジ−n−ブチル及びマレイン酸ジオクチル、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−(2−メタクリロイルオキシ−エチル)エチレン尿素又はそれらの混合物からなる群から選ばれたコモノマー40モル%以下を更に含む請求項12に記載の皮膚パッチ。
【請求項15】
前記界面活性剤がアニオン性又はノニオン性界面活性剤から選ばれる請求項10に記載の皮膚パッチ。
【請求項16】
前記界面活性剤がカルボン酸アルキル、アシルラクチレート、アルキルエーテルカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、グルタミン酸N−アシル、脂肪酸、ポリペプチド縮合物及び硫酸エステルからなる群から選ばれたアニオン性界面活性剤である請求項15に記載の皮膚パッチ。
【請求項17】
前記活性成分がペトロラタムである請求項13に記載の皮膚パッチ。
【請求項18】
前記アクリルラテックスが25〜500nmの平均粒度を有する請求項3に記載の皮膚パッチ。
【請求項19】
前記アクリルラテックスが50〜300nmの平均粒度を有する請求項18に記載の皮膚パッチ。
【請求項20】
前記界面活性剤がサルコシネート、タウレート、イセチオン酸ココイル、アルカリ金属ドキュセート塩、カルボン酸アルキル、アシルラクチレート、アルキルエーテルカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、グルタミン酸N−アシル、炭素数12〜18の脂肪酸、ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、ジアルキルアミンオキシド、アルキルポリグリコシド及びメチルグルカミド、ポリオキシエチレン化合物、レシチン、エトキシル化アルコール、エトキシル化エステル、エトキシル化アミド、ポリオキシプロピレン化合物、プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー、プロポキシル化エステル、アルカノールアミド、アミンオキシド、多価アルコールの脂肪酸エステル、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリコールエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、グルコースエステル又はシメチコンからなる群から選ばれる請求項10に記載の皮膚パッチ。
【請求項21】
前記活性剤が逃散性であり、その逃散性活性剤の1〜100%が皮膚パッチから使用者の表皮に移る請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項22】
前記活性剤が逃散性であり、その逃散性活性剤の10〜100%が皮膚パッチから使用者の表皮に移る請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項23】
前記活性剤が少なくとも1つの層中に実質的に固定され且つ前記活性剤の25%未満が使用者の表皮に移る請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項24】
前記活性剤が少なくとも1つの層中に実質的に固定され且つ前記活性剤の15%未満が使用者の表皮に移る請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項25】
前記活性剤が少なくとも1つの層中に実質的に固定され且つ前記活性剤の5%未満が使用者の表皮に移る請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項26】
前記活性剤がブチル・メトキシジベンゾイルメタン、メトキシ桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチル・ヒドロキシプロピル・アミノベンゾエート、アントラニル酸メンチル、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミン・メトキシシンナメート、アミノ安息香酸グリセリル、二酸化チタン、酸化亜鉛、パディメート、レッドペトロラタム、−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸、3,3’−(1,4−フェニレンジメチリデン)−ビス[7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−1−メタンスルホン酸]ナトリウム塩又はこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれたUV吸収化合物である請求項23、24又は25に記載の皮膚パッチ。
【請求項27】
前記可塑剤がジオール、トリオール、ポリオール、アルコールエーテル、アルコールエステル、エステル、エーテル、ヒドロキシ酸、アミド、カーボネート又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項10に記載の皮膚パッチ。
【請求項28】
前記可塑剤がトリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、ソルビトール、1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース、ヘキサンジオール、オクタンジオール又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項10に記載の皮膚パッチ。
【請求項29】
前記皮膚パッチが少なくとも200%の伸び率を有する請求項1に記載の皮膚パッチ。
【請求項30】
第1層及び第2層を含んでなる皮膚パッチであって、少なくとも1つの層が25〜99.8重量%の水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含み、そして少なくとも1つの層が0.1〜50重量%の活性剤を含み、各層中の成分の合計が100重量%に等しい皮膚パッチ。
【請求項31】
前記水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーがスルホポリエステル又はアクリル系ポリマーからなる群から選ばれる請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項32】
少なくとも1つの層がa)0.1〜25重量%の界面活性剤又はb)10重量%未満の皮膚透過増進剤又はc)20重量%以下のヒューメクタント又はd)20重量%以下の可塑剤の1つ又はそれ以上を更に含み、成分の合計が100重量%に等しい請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項33】
少なくとも1つの層が不連続である請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項34】
前記第1層が接着剤層であり且つ前記接着剤層が不連続である請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項35】
前記第2層が非粘着性層であり且つ前記非粘着性層が不連続である請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項36】
前記不連続第2層が接着剤の粘着性を妨げるか又は実質的に減少させることが知られた粒状材料を含む請求項35に記載の皮膚パッチ。
【請求項37】
前記不連続第2層がトウモロコシ、ジャガイモ、米及び小麦澱粉;マイカ;セレサイト;タルク類;色素;ココアバター、シアバター、コクムバター、マンゴバター及びサルバター;ベントナイト、フレンチグリーン、フラー土、ラスール、カオリン(ホワイト、ピンク、イエロー、レッド及びローズ)、グリーンイライト、ブルーモンモリロナイト、モロカンレッド、ムルタニミッティから選ばれたクレイ類;カルナウバワックス、蜜ろう、パラフィン、合成ワックスから選ばれたワックス;米ぬか;花;六方晶窒化ホウ素セラミック粉末;ユッカ・シジゲラ粉末;燐酸アスコルビルナトリウム;燐酸アスコルビルマグネシウム;ヒアルロン酸;ガラス球、中空ガラス球、セラミック球、シリカ球、アルミナ粒子、粉砕によって製造されたポリマー粒子;ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレン、エチレン/アクリレートコポリマー、Nylon−12、シリコーン樹脂及びポリウレタンポリマー(平均直径0.4〜14μm);エチレン/メタクリレートコポリマーの中空球(平均直径20〜32μm);非孔質シリカ、多孔質シリカ、高多孔質シリカ及び表面処理シリカ(平均直径2〜12μm);二酸化チタン(粒度が20〜300nmの範囲);酸化亜鉛(粒径が20〜500nmの範囲)、アルミナ粉末、シリカ−アルミナ粉末、水又は有機溶剤から噴霧乾燥によって製造されたポリマー−粒度0.5〜30μmの粉末、酸化マグネシウム粉末又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項36に記載の皮膚パッチ。
【請求項38】
前記第1層が前記活性剤を含む請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項39】
前記第2層が前記活性剤を含む請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項40】
前記第1層が水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含む請求項38又は39に記載の皮膚パッチ。
【請求項41】
前記第2層が水分散性又は水散逸性フィルム形成性ポリマーを含む請求項38又は39に記載の皮膚パッチ。
【請求項42】
前記第1層が−5℃〜−45℃のTgを有し且つ前記第2層が5℃より高いTgを有し、第1層のTgと第2層のTgの差が少なくとも15℃である請求項30に記載の皮膚パッチ。
【請求項43】
a.剥離可能な第1保護基材に第1層を適用し;
b.前記第1層に第2層を接合し;そして
c.前記第2層を剥離可能な第2保護基材で被覆する
工程を含んでなり、前記第1層又は第2層の少なくとも一方が活性剤が混合されたポリマーマトリックス系であり且つ少なくとも1つの層が水分散性又は水散逸性ポリマーである請求項1の皮膚パッチの製造方法。
【請求項44】
前記第1層に第2層を接合する前に前記第1層を乾燥させることを更に含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第2層がウレタンポリマーを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項46】
前記第2層がウレタンポリマーを含む請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第2層がカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートポリマーを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項48】
前記第2層がカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートポリマーを含む請求項43に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536647(P2009−536647A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509778(P2009−509778)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/011036
【国際公開番号】WO2007/133509
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】