説明

皮膚障害の治療のための、未分化胎児細胞を含む組成物

【課題】安全および有効な、創傷の型または患者集団の性質に関わらず使用し得る、創傷の治癒を増強する手段の提供。
【解決手段】コラーゲンマトリックスに組み込まれた未分化胎児細胞を含む、3次元皮膚組織同種移植片構築物であって、あらゆる方向において適用し得、それらを様々な適用に有用にし、その構築物の未分化胎児細胞は、適切な培養条件下で真皮線維芽細胞または表皮ケラチン生成細胞に分化し得るもののような、胎児皮膚細胞であり得る、構築物の皮膚の状態、障害または疾患の予防または処置のための医薬、獣医学製品または化粧品の調製における使用。または局所投与に適切なキャリアに組み込まれていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的に皮膚の病気、障害または疾患に罹患した被験体を治療するために設
計された、方法および組成物に関連する。その組成物は、コラーゲンマトリックスに組み
込まれるか、またはキャリアと組み合せた未分化胎児皮膚細胞を含む。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
創傷(すなわち、裂傷、開口部、または潰瘍)は、急性または慢性のいずれかであり得
る。急性創傷は、典型的にはほとんど組織の喪失を伴わない皮膚への鋭利な損傷である。
ほとんどの急性創傷は、創傷の端を合わせることによって閉鎖および治癒する。慢性創傷
は、完全に治癒しない、または治癒するのが遅い創傷である。慢性創傷の例は、床ずれ(
褥瘡性潰瘍)、糖尿病性皮膚潰瘍、静脈うっ血性潰瘍、熱傷損傷、および腫瘍の摘出後に
起こる欠損を含む。
【0003】
創傷の細胞形態学は、3つの区別できる領域を含む:中央創傷区域、局所虚血の勾配領
域(gradient zone)、および活発なコラーゲン合成の領域。創傷(すなわ
ち、重度の熱傷、外科的切開、裂傷および他の外傷)のより迅速な治癒の必要性にもかか
わらず、現在まで医薬品による創傷治癒の加速においては、限られた成功しか存在しなか
った。
【0004】
創傷治療の主要な目的は、創傷の閉鎖を達成することである。開放皮膚創傷は、創傷の
1つの主なカテゴリーを代表し、それは急性外科的および外傷創傷、例えば慢性潰瘍、熱
傷創傷、およびニューロパシー潰瘍、床ずれ、動脈および静脈(うっ血性)または混合動
脈−静脈潰瘍、および糖尿病性潰瘍のような慢性創傷を含む。典型的には、これらの創傷
は以下の過程によって治癒する:i)炎症、ii)線維芽細胞の増殖、iii)血管の増
殖、iv)結合組織の合成、v)上皮化、およびvi)創傷の収縮。創傷の治癒は、これ
らの構成要素が、個々にまたは全体としてのいずれかで、適切に機能しない場合に損なわ
れる。創傷治癒に影響を与え得る因子は、栄養不足、感染、医薬品(例えば細胞毒性薬剤
およびコルチコステロイド)、糖尿病、および高齢を含む。Huntら、Current
Surgical Diagnosis & Treatment(Way;Appl
eton & Lange)、86−98頁(1988)を参照のこと。
【0005】
慢性創傷を治療するために、多くの異なる製品およびプロトコールが利用可能である。
例えば、Jonesら、British Journal of Plastic Su
rgery 55:185−193、2002を参照のこと。これはその全体が本明細書
中に参考として援用される。これらは、単純な包帯(特に圧迫包帯)、フォームおよびフ
ィルム、ゲルおよびコロイド、および増殖因子のような医薬製品を含む。典型的には、乾
燥した非閉鎖包帯の使用よりも、湿った閉鎖包帯による創傷治癒が使用される。Wint
er、Nature 193:293−94(1962)を参照のこと。今日では、多く
の型の包帯が創傷治癒において日常的に使用される。これらは、フィルム(例えばポリウ
レタンフィルム)、親水コロイド(ポリウレタンフォームに結合した親水性コロイド粒子
)、ヒドロゲル(少なくとも約60%の水を含む架橋ポリマー)、フォーム(親水性また
は疎水性)、アルギン酸カルシウム(アルギン酸カルシウム由来の線維の不織布合成物)
、およびセロファン(可塑剤を含むセルロース)を含む。Kannonら、Dermat
ol.Surg.21:583−590(1995);Davies、Burns 10
:94(1983)を参照のこと。ある型の創傷(例えば、糖尿病性潰瘍、床ずれ)およ
びある患者(例えば外来性コルチコステロイドを受けている人)の創傷は、これらの創傷
包帯の使用によって、時宜を得た方式で(または全く)治癒しない。
【0006】
研究は、適切なレベルの持続する段階的圧迫の適用によって、大部分の潰瘍を治癒する
よう誘導し得ることを示した。静脈疾患を有する患者に関しては、段階的な外部圧迫の適
用が、間隙空間からの液体を血管およびリンパ区画へ戻すことにより、静脈系の遮断また
は損傷による皮膚および血管の変化を最小限にする、または逆転させるのを助け得る。通
常使用される3つの型の包帯が存在する:
I型:軽量順応伸縮性包帯:
これらの包帯は、単純な包帯保持機能を有する製品を含み、そしてそれらは運動を制限
することなく手足または関節に順応するべきである。
II型:軽度支持包帯:
これらの包帯は、浮腫の形成を防止するために、および軽度の捻挫(sprainsま
たはstrains)の管理において支持を与えるために使用される製品を含む。
III型:圧迫包帯:
これらの包帯は、圧迫の適用に依存する製品を含む。それらは、下肢の静脈障害の治療
において、浮腫を調節し、そして腫れを抑制するために、もっともよく採用される。圧迫
包帯は、前もって決定されたレベルの圧迫を産生するそれらの能力によって、4つのグル
ープに分けられた。
【0007】
IIIa型:軽度圧迫包帯は、平均的な寸法の足首に20mmHgまでの低レベルの圧
迫を提供および維持することができる。この型の製品の臨床的適応は、表面的または初期
の静脈瘤、および妊娠中に形成される静脈瘤症の管理を含む。一般的に、それらは存在す
る浮腫を制御または抑制するために、または非常に大きな手足に一様な低レベルの圧迫を
適用するために適切ではない。
【0008】
IIIb型:中程度の圧迫包帯は、平均的な寸法の足首に30mmHgの程度で圧迫を
適用するために使用される。それらは、妊娠中の静脈瘤症、中程度の重症度の静脈瘤の治
療、潰瘍の予防および治療、および軽度の浮腫の調節のために指示される。
【0009】
IIIc型:高度の圧迫包帯は、平均的な寸法の足首に40mmHgの程度で高レベル
の圧迫を適用するために使用し得る。これらの包帯の適応症は、重症の静脈瘤、血栓症後
の静脈不全の治療、および足潰瘍および平均的な周囲の手足における重度の浮腫の管理を
含む。このカテゴリーの製品は、浮腫の存在によってさらに肥大した非常に大きな手足に
対してこれらのレベルの圧迫を達成し得る必要はない。
【0010】
IIId型:超高性能圧迫包帯は、50mmHgを越える圧迫を適用することができる
。これらの包帯の力は、最も大きなおよび最も浮腫的な手足に対してさえ、長期間にわた
ってこれらの圧迫を適用および維持することが予測できるほどである。
【0011】
さらに、いくつかの医薬品様相(例えば、硫酸亜鉛、ビタミンA、CおよびD、カルシ
ウム、マグネシウム、銅および鉄の投与)も、創傷治癒を改善する試みにおいて利用され
た。しかし、非常に限られた状況を除いて、これらの薬剤による創傷治癒の促進は、ほと
んど成功しなかった。
【0012】
1980年代の中頃、Dr.Howard Greenは、ケラチン生成細胞のような
ヒト皮膚細胞を増殖させる方法を考えた。Greenら(1979)Proc.Natl
.Aced.Sci.76:5665を参照のこと。これらの方法に基づく製品であるE
picelTMは、重度の熱傷によって起こるもののような、移植(皮膚置換)を必要と
する深い創傷を治療するために使用される。しかし、EpicelTMは、失われた表皮
層を置換するのみであるので、それは皮膚の真皮層を修復するものと組み合せて最も有効
である。実際、EpicelTMは、人工皮膚ではなく、むしろ研究室において患者の熱
傷を負っていない領域から外科的に取られた皮膚細胞から、新規表皮層を「注文に応じて
増殖させる」方法である。従って、EpicelTMは、自己由来移植片として機能する
。米国特許第4,016,036および4,304,866号を参照のこと。
【0013】
無傷の皮膚がほとんど残っていない、または全く残っていない非常に重度の熱傷患者に
おいて、人工皮膚は非常に有用な材料であり、それは創傷領域を覆い、そして保護するだ
けでなく、瘢痕組織ではなく自然な皮膚の再増殖を促進する。
【0014】
多くの新規人工皮膚は、最初関連するドナー(同様の遺伝的マーカーを有する家族メン
バーのような)からの皮膚を使用した。しかし、それは移植片が拒絶されないように、患
者の免疫系を抑制するために強力な免疫抑制剤の同時投与を必要とした。この方法で患者
の免疫系を無能にすることは、患者にとってさらなる深刻な問題を引き起こし得る。代わ
りに、患者自身の熱傷を負っていない皮膚(多くの場合ほとんど熱傷を負わない頭皮由来
)が、移植片材料の供給源として通常使用される。
【0015】
しかし、そのような皮膚移植片(または死体から取った皮膚でさえ)の使用は、問題を
永久に解決しない。皮膚を回復させるある型の人工的手段の必要性も存在する。合成製品
の使用も、そのような材料は疾患を伝染させ得るウイルス、細菌および他の病原体を含ま
ないという利点を提供する。
【0016】
例えば、Johnson&Johnsonの会社であるEthicon Inc.は、
生きた構成要素を含まない、そして実際はそれ自体は置換皮膚として設計されていない製
品である、Integra(登録商標)の独占的マーケティングおよび販売権を得た。む
しろ、それは保護的カバーおよび患者自身の皮膚細胞が、熱傷によって破壊された皮膚の
下部、真皮層を「再生」し得る柔軟な足場を提供する。米国特許第5,489,304号
を参照のこと。生きた皮膚が構築されているように、Integra(登録商標)は2つ
の層から成る。本物の皮膚の下部、真皮層を「再生」するよう設計された下部層は、真皮
の繊維状パターンを模倣するウシコラーゲンおよびグリコサミノグリカンを織り合わせた
マトリックスからなる。このマトリックスを、次いで一時的な上部層、皮膚の表皮、また
は表面層を模倣する、臨床グレードの、柔軟なシリコンシートに添付する。Integr
a(登録商標)で創傷領域を覆い、そして2から4週間そこに維持し、その間に、患者自
身の細胞がマトリックス中に進み、そして新規真皮を産生する。Integra(登録商
標)の上部層を次いで除去し、そして患者自身の上皮細胞の非常に薄いシートを次いで適
用する。時間と共に、表皮層がこれらの細胞から再構築される。
【0017】
市場の別の製品であるAlloDermTMは、The WoodLands、Tex
asのLifeCell Corporationによって販売および製造されている。
それは、死体皮膚から、熱傷患者の免疫系があらゆる他の人からの移植片を拒絶する原因
となる全ての細胞構成成分を除去することによって産生される。この過程の重要な特徴は
、真皮の「自然な」3次元構造の、可能な限りの保存である。この足場に適切に近づける
ことが、本物の真皮(AlloDermTMにおけるような)または人工真皮(Inte
gra(登録商標)におけるような)由来にかかわらず、患者の残った細胞がそれら自身
を新規の機能する皮膚へ再生する能力に非常に重要である。
【0018】
Dermagraft(Advanced Tissue Sciences)は、足
場として知られる、生体適合性、化学的基盤にまいた、ヒト間質細胞(例えば新生児組織
由来の線維芽細胞)から研究室条件下で増殖させた製品である。米国特許第5,460,
939号を参照のこと。典型的には、そのような足場はポリグリコール酸から作成され、
それは外科的縫糸および外科的糊のような、多くの「再吸収」医学的材料の基礎である。
体に適用されると、足場はグリコール酸および乳酸に分解し、それは血流によって運び去
られ、そして二酸化炭素、酸素および水に代謝される。
【0019】
別の組織工学的皮膚、Organogenesisによって製造されるApligra
f(登録商標)は、皮膚の表皮および真皮層を模倣する、生きた2層の皮膚代替物である
。Apligraf(登録商標)は、生きた2つの型のヒト皮膚細胞、表皮ケラチン生成
細胞および真皮線維芽細胞で作られる。さらに、Apligraf(登録商標)は、真皮
層単独によって提供されない、さらなるサイトカインおよび増殖因子を伝達する。米国特
許第4,837,379号を参照のこと。
【0020】
上記で記載された現在の技術および適用は、全てある重要な特徴を欠く。従って、1つ
またはそれ以上の前述の問題を克服する、3次元皮膚組織同種移植片構築物を提供するこ
とが、本発明の目的である。
【0021】
必要とされるのは、安全および有効な、創傷の型または患者集団の性質に関わらず使用
し得る、創傷の治癒を増強する手段である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によって以下が提供される:
(1) コラーゲンマトリックスに組み込まれた未分化胎児細胞を含む、3次元皮膚組織同種移
植片構築物。
(2) 項目1に記載の構築物であって、前記未分化胎児細胞が、胎児皮膚細胞を含む、構築
物。
(3) 項目2に記載の構築物であって、前記胎児皮膚細胞が、適切な培養条件下で真皮線維
芽細胞または表皮ケラチン生成細胞に分化する、構築物。
(4) 項目1に記載の構築物であって、前記組み込みが、混合、化合、ピペッティング、播
種、プレーティング、または配置することによって起こる、構築物。
(5) 項目1に記載の構築物であって、前記コラーゲンマトリックスが、ウマコラーゲンを
含む、構築物。
(6) 項目1に記載の3次元皮膚組織同種移植片構築物を調製するための方法であって、以
下:
a)ドナー胎児組織から生検材料を回収する工程;
b)該胎児組織から細胞系統を発達させる工程;
c)該胎児組織を増殖させ、そして未分化胎児細胞を高濃度に増殖させて移植片を取る
細胞バンクを産生する工程;および
d)該移植片をコラーゲンマトリックスに組み込む工程、
を包含する、方法。
(7) 項目1に記載の3次元皮膚組織同種移植片構築物を調製するための方法であって、以
下:
a)未分化胎児細胞を得る工程;
b)該未分化胎児細胞を増殖させる工程;および
c)該未分化胎児細胞をコラーゲンマトリックスに組み込む工程、
を包含する、方法。
(8) 皮膚の病気、障害または疾患に罹患した被験体を処置する方法であって、該方法が、請
求項1に記載の構築物を、このような処置を必要とする被験体に適用する工程を包含する
、方法。
(9) 項目8に記載の方法であって、前記被験体が、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イヌ
、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラット、およびマウスからなる群より選択
される、方法。
(10) 項目9に記載の方法であって、前記被験体が、ウマである、方法。
(11) 項目9に記載の方法であって、前記被験体が、ヒトである、方法。
(12) 項目8に記載の方法であって、前記皮膚の病気、障害または疾患が、創傷および皮膚
の欠損からなる群より選択される、方法。
(13) 項目12に記載の方法であって、前記創傷が、急性創傷である、方法。
(14) 項目13に記載の方法であって、前記急性創傷が、軽度の切り傷、熱傷、乾燥した皮
膚、皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷、および肥厚した瘢痕からなる群よ
り選択される、方法。
(15) 項目12に記載の方法であって、前記創傷が、慢性創傷である、方法。
(16) 項目15に記載の方法であって、前記慢性創傷が、静脈潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰
瘍、動脈潰瘍および熱傷からなる群より選択される、方法。
(17) 項目12に記載の方法であって、前記皮膚の欠損が、湿疹、乾癬、放射線皮膚炎、皮
膚癌、蕁麻疹、皮斑様血管炎、重度の乾燥、および白色萎縮からなる群より選択される、
方法。
(18) 未分化胎児細胞バンクであって、以下:
a)ドナー胎児組織から生検材料を回収する工程;
b)該胎児組織を増殖させ、そして未分化胎児細胞を適切な培養条件下で高濃度に増殖
させる工程;
c)得られた培養物の組織および細胞をトリプシン処理してその懸濁を可能にする工程

d)該懸濁細胞をプールして、該培養物からほぼ均一な細胞の懸濁液を作製する工程;
e)凍結防止剤と静かに混合する工程;
f)アンプルに該細胞懸濁液のアリコートを密封する工程;および
g)該アリコートを凍結する工程、
これらによって未分化胎児細胞バンクを調製する方法によって得られ得る、未分化胎児細
胞バンク。
(19) 項目18に記載の未分化胎児細胞バンクであって、該未分化胎児細胞が、胎児皮膚細
胞である、未分化胎児細胞バンク。
(20) 項目19に記載の未分化胎児細胞バンクであって、前記未分化胎児皮膚細胞が、p6
である、未分化胎児細胞バンク。
(21) 項目18に記載の未分化胎児細胞バンクであって、前記アリコートの凍結が、−80
℃の温度に達するまで1℃/分ずつ温度を下げることによって達成される、未分化胎児細
胞バンク。
(22) 未分化胎児細胞バンクを調製する方法であって、該方法が、以下:
a)ドナー胎児組織から生検材料を回収する工程;
b)該胎児組織を増殖させ、そして未分化胎児細胞を適切な培養条件下で高濃度に増殖
させる工程;
c)得られた培養物の組織および細胞をトリプシン処理してその懸濁を可能にする工程

d)該懸濁細胞をプールして、該培養物からほぼ均一な細胞の懸濁液を作製する工程;
e)凍結防止剤と静かに混合する工程;
f)アンプルに該細胞懸濁液のアリコートを密封する工程;および
g)該アリコートを凍結する工程、
これらによって未分化胎児細胞バンクを調製する工程、
を包含する、方法。
(23) 項目22に記載の方法であって、前記アリコートの凍結が、−80℃の温度に達する
まで1℃/分ずつ温度を下げることによって、達成される、方法。
(24) キャリアおよび1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞を単独で、または1つまたはそれ
以上の胎児タンパク質と組み合せて含む、組成物。
(25) 項目24に記載の組成物であって、前記キャリアが、軟膏、ローション、クリーム、
エマルジョン、マイクロエマルション、ゲルおよび溶液からなる群より選択される、組成
物。
(26) 項目25に記載の組成物であって、前記キャリアが、クリームである、組成物。
(27) 項目26に記載の組成物であって、前記クリームが、O/W混合物を含む、組成物。
(28) 項目24に記載の組成物であって、前記キャリアが、疎水性アジュバントおよび親水
性アジュバントを含む、組成物。
(29) 項目24に記載の組成物を調製するための方法であって、以下:
a)ドナー胎児組織から生検材料を回収する工程;
b)該胎児組織から細胞系統を発達させる工程;
c)該胎児組織を増殖させ、そして未分化胎児細胞を高濃度に増殖させて細胞バンクを
作製する工程;
d)該細胞バンク中の胎児タンパク質を安定化する工程;および
e)該胎児細胞をキャリアに組み込む工程、
を包含する、方法。
(30) 項目24に記載の組成物を調製するための方法であって、以下:
a)未分化胎児細胞を得る工程;
b)該未分化胎児細胞を増殖させる工程;
c)該胎児細胞中の胎児タンパク質を安定化させる工程;および
d)該胎児細胞をキャリアに組み込む工程、
を包含する、方法。
(31) 項目24に記載の組成物を調製するための方法であって、以下:
a)ドナー胎児組織から生検材料を回収する工程;
b)該胎児組織から細胞系統を発達させる工程;
c)該胎児組織を増殖させ、そして未分化胎児細胞を高濃度に増殖させて細胞バンクを
作製する工程;および
d)該胎児細胞をキャリアに組み込む工程、
を包含する、方法。
(32) 項目24に記載の組成物を調製するための方法であって、以下:
a)未分化胎児細胞を得る工程;
b)該未分化胎児細胞を増殖させる工程;および
c)該胎児細胞をキャリアに組み込む工程、
を包含する、方法。
(33) 皮膚の病気、障害または疾患を予防または処置するための方法であって、治療的に有効
な量の項目24に記載の組成物を、被験体の皮膚の感受性の領域、または冒された領域
へ投与する工程を包含する、方法。
(34) 項目33に記載の方法であって、前記皮膚の病気、障害または疾患が、炎症性の皮膚
の病気である、方法。
(35) 項目34に記載の方法であって、前記炎症性の皮膚の病気が、にきび、しみ、瘢痕、
熱傷、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、アトピー性皮膚炎、潰瘍周辺、湿疹、放射線皮膚
炎、潰瘍、蕁麻疹、重度の乾燥、および白色萎縮からなる群より選択される、方法。
(36) 項目35に記載の方法であって、前記炎症性の皮膚の病気が、潰瘍周辺である、方法

(37) 項目35に記載の方法であって、前記炎症性の皮膚の病気が、白色萎縮である、方法

(38) 項目35に記載の方法であって、前記炎症性の皮膚の病気が、色素過剰である、方法

(39) 項目33に記載の方法であって、前記被験体が、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イ
ヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラットおよびマウスからなる群より選択
される、方法。
(40) 項目39に記載の方法であって、前記被験体が、ウマである、方法。
(41) 項目39に記載の方法であって、前記被験体が、ヒトである、方法。
(42) 皮膚の病気、障害または疾患に罹患した被験体を処置する方法であって、該方法が、コ
ラーゲンマトリックスに組み込まれた未分化胎児皮膚細胞を含む、3次元皮膚組織同種移
植片を投与する工程、ならびにキャリアおよび1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞を単
独でまたは1つまたはそれ以上の胎児タンパク質と組み合せて含む組成物を投与する工程
を包含し、その結果、該皮膚の病気、障害または疾患が、時間につれて治癒する、方法。
(43) 項目42に記載の方法であって、前記同種移植片および前記組成物が、連続的に投与
される、方法。
(44) 項目42に記載の方法であって、前記同種移植片および前記組成物が、同時に投与さ
れる、方法。
(45) 項目42に記載の方法であって、前記被験体が、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イ
ヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラットおよびマウスからなる群より選択
される、方法。
(46) 項目45に記載の方法であって、前記被験体が、ウマである、方法。
(47) 項目45に記載の方法であって、前記被験体が、ヒトである、方法。
(48) 項目42に記載の方法であって、前記皮膚の病気、障害または疾患が、軽度の切り傷
、熱傷、乾燥皮膚、皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷、肥厚性瘢痕、静脈
潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、動脈潰瘍、湿疹、乾癬、放射線皮膚炎、皮膚癌、蕁麻疹
、皮斑様血管炎、白色萎縮、にきび、しみ、瘢痕、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、アト
ピー性皮膚炎、潰瘍周辺、湿疹、放射線皮膚炎、潰瘍および蕁麻疹からなる群より選択さ
れる、方法。
(49) 項目42に記載の方法であって、前記未分化胎児細胞が、胎児皮膚細胞である、方法

(50) 項目49に記載の方法であって、前記胎児皮膚細胞が、適切な培養条件下で真皮線維
芽細胞または表皮ケラチン生成細胞に分化する、方法。
(51) 項目42に記載の方法であって、前記コラーゲンマトリックスが、ウマコラーゲンを
含む、方法。
(52) 項目42に記載の方法であって、前記キャリアが、軟膏、ローション、クリーム、エ
マルション、マイクロエマルション、ゲルおよび溶液からなる群より選択される、方法。

(発明の要旨)
1つの実施態様において、本発明は、コラーゲンマトリックスに組み込まれた未分化胎
児細胞を含む、3次元皮膚組織同種移植片構築物を開示する。本発明の構築物は、あらゆ
る方向において適用し得、それらを様々な適用に有用にする。いくつかの実施態様におい
て、その構築物の未分化胎児細胞は、適切な培養条件下で真皮線維芽細胞または表皮ケラ
チン生成細胞に分化し得るもののような、胎児皮膚細胞であり得る。様々な実施態様にお
いて、未分化胎児細胞のコラーゲンとの組み込みは、混合、化合、ピペッティング、播種
、プレーティング、または細胞をコラーゲンと共に配置することによって起こり得る。当
業者は、組み込みのあらゆる手段を採用し得ることを認識する。1つの好ましい実施態様
において、構築物のコラーゲンマトリックスは、ウマコラーゲンマトリックスである。
【0023】
別の局面において、本発明は、ドナー胎児組織から生検材料を回収する;その胎児組織
から細胞系統を発達させる;胎児組織を増殖および未分化胎児細胞を高濃度に増殖させて
移植片を取る細胞バンクを産生する;および移植片をコラーゲンマトリックスに組み込む
ことによって、3次元皮膚組織同種移植片構築物を調製する方法を提供する。
【0024】
さらに別の局面において、本発明は、未分化胎児細胞を得る;未分化胎児細胞を増殖さ
せる;および未分化胎児細胞をコラーゲンマトリックスに組み込むことによって、3次元
皮膚組織同種移植片構築物を調製する方法を提供する。
【0025】
それに加えて、本発明はまた、本発明の構築物を、そのような処置が必要な被験体に適
用することによって、皮膚の病気、障害または疾患に罹患した被験体を処置する方法を提
供する。例えば、その被験体を、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウ
シ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラット、およびマウスからなる群から選択し得る。1つの好
ましい実施態様において、被験体はウマである。別の好ましい実施態様において、被験体
はヒトである。
【0026】
皮膚の病気、障害または疾患の例としては、創傷および皮膚の欠損が挙げられるが、こ
れらに限定されない。1つの実施態様において、創傷は、軽度の切り傷、熱傷、乾燥した
皮膚、皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷、および肥厚した瘢痕からなる群
から選択される、急性創傷であり得る。別の実施態様において、創傷は、静脈潰瘍、圧迫
潰瘍、糖尿病性潰瘍、動脈潰瘍および熱傷からなる群から選択される、慢性創傷であり得
る。さらに別の実施態様において、皮膚の欠損は、湿疹、乾癬、放射線皮膚炎、皮膚癌、
蕁麻疹、皮斑様血管炎、重度の乾燥、および白色萎縮からなる群から選択され得る。
【0027】
本発明の1つの利点は、細胞バンクの作成であり、構築物に使用される細胞が常に入手
可能であるので、それは必要な時いつでもおよびどこでも即時の移植を可能にする。1つ
の局面において、ドナー胎児組織から生検材料を回収する;胎児組織を増殖および未分化
胎児細胞を適切な培養条件下で高濃度に増殖させる;できた培養の組織および細胞をトリ
プシン処理してその懸濁液を可能にする;懸濁細胞をプールして、培養から一般的に均一
な細胞の懸濁液を作成する;凍結防止剤と静かに混合する;アンプルに細胞懸濁液のアリ
コートを密封する;およびアリコートを凍結し、それによって未分化胎児細胞バンクを調
製する方法によって、未分化胎児細胞バンクを得るまたは作成することができる。1つの
実施態様において、未分化胎児細胞は、胎児皮膚細胞である。細胞バンク中の胎児皮膚細
胞は、p63であり得る。いくつかの実施態様において、アリコートの凍結は、−80
℃の温度に達するまで1℃/分ずつ温度を下げていき、そして次いで約24時間後に−1
60℃に移動させることによって達成される。
【0028】
さらに別の局面において、ドナー胎児組織から生検材料を回収する;胎児組織を増殖お
よび未分化胎児細胞を適切な培養条件下で高濃度に増殖させる;できた培養の組織および
細胞をトリプシン処理してその懸濁液を可能にする;懸濁細胞をプールして、培養から一
般的に均一な細胞の懸濁液を作成する;凍結防止剤と静かに混合する;アンプルに細胞懸
濁液のアリコートを密封する;およびアリコートを凍結し、それによって未分化胎児細胞
バンクを調製することによって、未分化胎児細胞バンクを調製し得る。1つの実施態様に
おいて、未分化胎児細胞は、胎児皮膚細胞である。細胞バンク中の胎児皮膚細胞は、p6
であり得る。別の実施態様において、アリコートの凍結は、−80℃の温度に達する
まで1℃/分ずつ温度を下げていき、そして次いで約24時間後に−160℃に移動させ
ることによって達成される。
【0029】
本発明はまた、キャリアおよび1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞を単独で、または
1つまたはそれ以上の胎児タンパク質と組み合せて含む組成物を提供する。様々な実施態
様において、キャリアは、軟膏、ローション、クリーム、エマルション、マイクロエマル
ション、ゲルおよび溶液からなるグ群から選択され得る。1つの好ましい実施態様におい
て、キャリアはクリームである。例えば、そのクリームは、水中油型混合物、または油中
水型混合物であり得る。別の実施態様において、キャリアは、疎水性アジュバントおよび
親水性アジュバントを含む。あるいは、本発明の組成物は、キャリアおよび1つまたはそ
れ以上の胎児タンパク質を単独で、または1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞と組み合
せて含み得る。当業者は、本発明の組成物へのあらゆる言及は、キャリアと組み合せた、
1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞および/または1つまたはそれ以上の安定化胎児タ
ンパク質を含むあらゆる組成物を含むことを認識する。
【0030】
この組成物を、ドナー胎児組織から生検材料を回収する;胎児組織から細胞系統を発達
させる;胎児組織を増殖および未分化胎児細胞を高濃度に増殖させて細胞バンクを作製す
る;必要に応じて細胞バンク中の胎児タンパク質を安定化する;および当該胎児細胞をキ
ャリアに組み込むことによって調製され得る。それに加えて、組成物を、未分化胎児細胞
を得る;未分化胎児細胞を増殖させる;必要に応じて胎児細胞中の胎児タンパク質を安定
化させる;および胎児細胞をキャリアに組み込むことによって調製し得る。
【0031】
本発明はまた、治療的に有効な量の本発明の組成物を、被験体の皮膚の影響されやすい
か、または影響された領域へ投与することによって、皮膚の病気、障害または疾患を予防
または治療する方法を提供する。
【0032】
治療または予防される皮膚の病気、障害または疾患は、にきび、しみ、瘢痕、熱傷、挫
傷、母斑、入れ墨、色素過剰、アトピー性皮膚炎、潰瘍周辺(peri−ulcer)、
湿疹、放射線皮膚炎、潰瘍、蕁麻疹、重度の乾燥、および白色萎縮が挙げられるがこれに
限らない、炎症性の皮膚の病気であり得る。1つの好ましい実施態様において、炎症性の
皮膚の病気は潰瘍周囲である。別の好ましい実施態様において、炎症性の皮膚の病気は白
色萎縮である。さらに別の好ましい実施態様において、炎症性の皮膚の病気は色素過剰で
ある。
【0033】
被験体を、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、
ウサギ、ラットおよびマウスからなるグループから選択し得る。1つの好ましい実施態様
において、被験体はウマである。さらに別の好ましい実施態様において、被験体はヒトで
ある。
【0034】
本発明はまた、皮膚の病気、障害または疾患が時間につれて治癒するように、コラーゲ
ンマトリックスに組み込まれた未分化胎児皮膚細胞を含む、3次元皮膚組織同種移植片を
投与することによって、およびキャリアおよび1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞を単
独でまたは1つまたはそれ以上の胎児タンパク質と組み合せて含む組成物を投与すること
によって、皮膚の病気、障害または疾患に罹患した被験体を治療する方法を提供する。
【0035】
1つの実施態様において、本発明の同種移植片および組成物を連続的に投与する、そし
て別の実施態様において、同種移植片および組成物を同時に投与する。被験体を、ヒト、
非ヒト霊長類、野生動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラットおよ
びマウスからなるグループから選択し得る。1つの好ましい実施態様において、被験体は
ウマである。さらに別の好ましい実施態様において、被験体はヒトである。
【0036】
皮膚の病気、障害または疾患を、軽度の切り傷、熱傷、乾燥皮膚、皮膚の裂け目、皮膚
裂傷、外科的創傷、事故外傷、肥厚性瘢痕、静脈潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、動脈潰
瘍、湿疹、乾癬、放射線皮膚炎、皮膚癌、蕁麻疹、皮斑様血管炎、白色萎縮、にきび、し
み、瘢痕、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、アトピー性皮膚炎、潰瘍周囲、湿疹、放射線
皮膚炎、潰瘍および蕁麻疹からなるグループから選択し得る。
【0037】
1つの実施態様において、未分化胎児細胞は、適切な培養条件下で真皮線維芽細胞また
は表皮ケラチン生成細胞に分化し得る胎児皮膚細胞のような、胎児皮膚細胞である。1つ
の好ましい実施態様において、コラーゲンマトリックスはウマコラーゲンで作られる。同
様に、キャリアを、軟膏、ローション、クリーム、エマルション、マイクロエマルション
、ゲルおよび溶液からなるグループから選択し得る。
【0038】
(本発明の詳細な説明)
組織工学および材料科学の分野は、注目すべき生物学的機能を有する新規生体材料を迅
速に生産している。これらの新規材料の機械的性質を、特定の適用のために調整し得、そ
してそれらを構成する細胞は、機能の維持、回復、または改善のための実際の組織を形成
し得る。従って、細胞の起源およびそれらの生体材料との相互作用が、最終的な治療的使
用のために非常に重要である。
【0039】
胎児皮膚および成人皮膚と胎児皮膚創傷環境および成人皮膚創傷環境との間の基本的な
違いが、瘢痕を有さない組織修復を誘導するために重要であり得る。妊娠の初期、真皮は
薄く、比較的無細胞性であり、そして少ない細胞外マトリックスが存在する。さらなる発
達の間に、真皮コラーゲンが沈着し、そして硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)が、
他の非硫酸化GAGの中からヒアルロン酸(HA)を置換する。非常に迅速な増殖および
ゆるい細胞外マトリックスが、瘢痕のない胎児皮膚修復の伝導性領域(conducti
ve territory)を提供する。
【0040】
研究は、子宮内環境が瘢痕のない胎児修復のために重要でも十分でもないようであるの
で、胎児皮膚細胞自体は、瘢痕のない組織修復を担うことを示唆する。オポッサムモデル
において示されたように、温かい、滅菌された、増殖因子の豊富な羊膜環境の外側の胎児
皮膚は、瘢痕のない迅速な治癒に非常に有効であることが示された。この有袋動物は、生
理学的および解剖学的の両方において胎児様に生まれ、そして4−5週間母親の乳首に付
いたままである(Armstrongら、Dev.Biol.169:242−260、
1995)。その子宮外位置にもかかわらず、初期の袋の子における創傷は、非常に迅速
に再上皮化し、コラーゲンを合成し、そして瘢痕なく治癒する。対照的に、より年上の袋
の子における創傷は、より遅く治癒し、そして瘢痕の形成を示す。
【0041】
同様に、免疫非応答性マウスの皮下に移植されたヒト胎児皮膚は、その発達の特徴を保
持し、そして毛包および網様コラーゲン配置の回復と共に瘢痕なく治癒する(Loren
zら、Development 114:253−259、1992)。ヒト胎児皮膚の
再生能力は、成人子宮外創傷環境によって、または成体マウス血液との接触によって阻害
されなかったので、瘢痕なしの能力は、胎児組織自体に固有のようである。
【0042】
治療的理由のために胎児細胞を使用する重要な利点は、胎児組織がプレ免疫応答性(p
reimmunoincompetent)であり、そのような細胞のレシピエントにお
いて免疫学的反応を誘発する能力の低下と関連することである。この低下した免疫応答性
は、妊娠14週より前の、後胸腺Tリンパ球の欠如と関連する(Crombleholm
eら、Am J Obstet Gynecol 164:218−230、1991;
Gabbianelliら、J Immunol.144:3354−3360、199
0)。
【0043】
胎児組織工学は、哺乳類において皮膚の病気、障害または疾患の治療に関して高い可能
性を有する。ある培養条件下での、およびある関連する生体工学的マトリックス内での胎
児皮膚の増殖の可能性を利用することによって、多数の皮膚細胞を治療的使用のために凍
結し得、そして何百万人もの患者を、単一の臓器提供から治療し得る。
【0044】
本発明の構築物および組成物は、皮膚の病気、障害または疾患の症状を修復、治療、お
よび/または予防するのに理想的である。自己移植と異なり、本発明の方法および組成物
は、ドナー部位の生検を必要とせず、それは剥離する皮膚組織をあまり有さない小さい子
供または熱傷患者のために重要である。さらに、産生するために3または4週間までかか
り得る自己移植手順と異なり、その構築物および組成物は即座に利用可能である。さらに
、これらの構築物および組成物を、即座におよび無制限の量で送達し得る。
【0045】
細胞培養とともに胎児組織を増殖すること、およびマトリックスまたは膜への結合に関
して、ほとんど研究されなかった。本明細書中で記載された方法を用いて、ストリンジェ
ントに調節された胎児皮膚細胞を有すること、およびそれらを非常に大きな細胞バンクに
拡大することが可能である(例えば、4cmの1つの臓器提供が、移植片あたり約10
cmの約2,400,000の皮膚移植片を産生し得る)。胎児皮膚細胞を使用する利
点は、1)成人細胞と比較して、紫外線A(UVA)照射に対して3倍まで、そして過酸
化水素処理に対して2倍までより抵抗性である能力;2)瘢痕なしの組織修復を誘導する
能力(発達の異なる年齢におけるタンパク質組成に関連するようである、胎児組織自体に
固有の性質(Lorenzら、Development 114:253−259、19
92));および3)それらはプレ免疫応答性(pre−immunocompeten
t)であり、そしてそのような細胞のレシピエントにおいて免疫学的反応を誘発する低下
した能力と関連するという事実、を含むがこれに限らない。胎児細胞株は、以前に組織工
学的目的のために使用も開発もされいない。
【0046】
本発明は、一般的に皮膚の病気、障害または疾患の治療のための、未分化胎児細胞およ
びコラーゲンを含む3次元皮膚組織同種移植片構築物に関連する。さらに、本発明は、1
つまたはそれ以上の未分化胎児細胞ならびに/または1つまたはそれ以上の胎児タンパク
質およびキャリアを含む組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物および構築物
を作製する方法、過程およびその使用方法を提供する。
【0047】
本明細書中で使用される用語は、特定の実施態様を説明する目的のためのみであり、そ
して本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解される。
【0048】
本明細書中および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」および「an
」および「the」は、その文脈が明らかに他に規定しなければ、複数の指示対象を含む

【0049】
「未分化」という用語は、本明細書中で、未成熟または原始的な細胞を説明するために
使用される。例えば、未分化胎児皮膚細胞は、真皮線維芽細胞および表皮ケラチン生成細
胞に分化し得るものを含む。
【0050】
「組み込まれた」または「に組み込まれた」という用語は、混合のあらゆる手段、特に
細胞をマトリックスに加えることに関連するものを説明するために使用される。その用語
は、混合、化合、ピペッティング、播種、プレーティングまたは配置を含むがこれに限ら
ない。
【0051】
「適切な培養条件」という用語は、増殖を促進する栄養素を含む、細胞を培養するため
の培地である。栄養培地は、以下のもののいずれかを、適切な組み合せおよび適切な濃度
で含み得る:等張生理食塩水、緩衝液、アミノ酸、血清または血清代替物、および他の外
来性の添加された因子。当業者は、あらゆる通常採用される培養条件を使用し得ることを
認識する。
【0052】
「コラーゲン」という用語は、親水性であり、細胞外酵素による分解に供される、ポリ
ペプチド化合物を指す。この物質はよく研究されているので、多くの重要なパラメーター
を制御し得る。コラーゲンは弱い抗原であり、それによって最低限の拒絶反応の可能性を
引き起こす。本発明の構築物、方法および組成物で使用される好ましいコラーゲンは、ウ
マコラーゲンである。
【0053】
「細胞株」という用語は、適切な新しい培地および十分な空間があれば、無期限に増殖
する、永久的に確立された細胞培養を指す。
【0054】
「細胞バンク」という用語は、ドナー胎児組織から生検を回収すること;胎児組織を増
殖および未分化胎児細胞を適切な培養条件下で高濃度に増殖させること;得られた培養物
の組織および細胞をトリプシン処理してそれらを懸濁すること;懸濁細胞をプールして、
培養物から全体的に均一な細胞の懸濁液を作製すること;凍結防止剤と穏やかに混合する
こと;アンプルに細胞懸濁液のアリコートを密封すること;およびアリコートを凍結する
こと(例えばアンプルの温度を1℃/分ずつ−80℃まで下げ、そして次いで約24時間
後に−160℃に移すことによって)を指す。この超低温バンクは、加齢が停止し、それ
によってそれらが回収された日にそれらが有していた機能および活性を保持することが可
能であるように細胞を保存する。
【0055】
「治療」(「皮膚の病気、障害または疾患を治療する」におけるような)という用語は
、(1)病気を予防すること(すなわち、病気のあらゆる臨床的症状を回避する)、(2
)病気を阻害すること(すなわち、臨床的症状の発達または進行を停止させる)、および
/または(3)病気を軽減する、修復する、または逆転させる(すなわち、臨床的症状を
退行させる)ことを含む。
【0056】
「病気」、「障害」および「疾患」という用語は、本明細書中で、本明細書中で記載さ
れたような活性薬剤の投与によって予防または治療され得る生理学的状態を指して交換可
能に使用される。皮膚の病気、障害および疾患の例は、軽度の切り傷、熱傷、乾燥皮膚、
皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷、肥厚性瘢痕、静脈潰瘍、圧迫潰瘍、糖
尿病性潰瘍、動脈潰瘍、湿疹、乾癬、放射線皮膚炎、皮膚癌、蕁麻疹、皮斑様血管炎、白
色萎縮、にきび、しみ、瘢痕、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、アトピー性皮膚炎、潰瘍
周囲、湿疹、放射線皮膚炎、潰瘍および蕁麻疹を含むがこれに限らない。
【0057】
「創傷」という用語は、様々な方法(例えば長期のベッド療養による床ずれ、外傷、切
り傷、潰瘍、熱傷等によって誘発された創傷)のいずれか1つにおいて開始され、そして
様々な特徴を有する皮膚および皮下組織への損傷を広く指す。創傷は、典型的には創傷の
深さによって、4つのグレードの1つに分類される:(i)グレードI:上皮に限定され
た創傷;(ii)グレードII:真皮に広がる創傷;(iii)グレードIII:皮下組
織に広がる創傷;および(iv)グレードIV(または全層創傷):骨が露出する創傷(
例えば大転子または仙骨のような骨圧点)。
【0058】
「急性創傷」という用語は、組織の喪失、重症の症状を伴わず、そして短い経過を有す
る、皮膚への鋭利な傷害または損傷を指す。急性創傷の例は、軽度の切り傷、熱傷、乾燥
皮膚、皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷および肥厚性瘢痕を含むがこれに
限らない。
【0059】
「慢性創傷」という用語は、約30日以内に治癒しなかった創傷を指す。慢性創傷の例
は、静脈潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、動脈潰瘍および熱傷を含むがこれに限らない。
【0060】
創傷に関して「治癒」という用語は、瘢痕形成によるような、創傷を修復する過程を指
す。
【0061】
「皮膚創傷の治癒過程を誘導または加速する」という語句は、創傷収縮の肉芽組織の形
成の誘導および/または上皮化(すなわち、上皮における新しい細胞の産生)の誘導のい
ずれかを指す。創傷治癒は、創傷領域の減少によって簡便に測定される。
【0062】
「被験体」(「被験体」の処置におけるような)という用語は、病気、障害または疾患
(本明細書中で明細に述べたような)に苦しむ、傾向がある、または罹患した哺乳類個体
を指すよう意図される。この用語は、ヒトおよび動物をどちらも含む。例えば、被験体は
、例えばヒト、非ヒト霊長類、野生動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサ
ギ、ラットまたはマウスであり得る。本明細書中で使用される場合、野生動物という用語
は、家畜化されていないあらゆる哺乳類、鳥類または魚類を含む。そのような野生動物の
例は、アナグマ、ビーバー、ライオン、トラ、クマ、タカ、およびシカを含むがこれに限
らない。
【0063】
本明細書中で使用される場合、本発明の「組成物」は、伝統的な薬剤、生理学的に適切
なキャリアおよび賦形剤を含むがこれに限らない他の化学的構成成分と共に、1つまたは
それ以上の未分化胎児細胞を含み得る。あるいは、本発明の「組成物」は、伝統的な薬剤
、生理学的に適切なキャリアおよび賦形剤を含むがこれに限らない他の化学的構成成分と
共に、1つまたはそれ以上の未分化胎児細胞および/または1つまたはそれ以上の安定化
された胎児タンパク質を含み得る。そのような構成成分は、被験体に対するタンパク質お
よび/または細胞の投与を促進するのを助ける。本発明の組成物を、当該分野で周知の処
理によって、例えば伝統的な混合、溶解、顆粒化、糖剤作製、すりつぶし、乳化、カプセ
ル封入、封入、または凍結乾燥処理によって製造し得る。
【0064】
活性成分の処方物および投与の技術は、「Remington: The Scien
ce and Practice of Pharmacy」 Lippincott
Williams & Wilkins Publishing Co.、第20版にお
いて見出し得、それは本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【0065】
活性成分の様々な投与経路が可能であるが、本発明の目的のために、局所経路が好まし
く、そして局所的キャリアによって補助される。局所的キャリアは、一般的に局所的活性
成分投与に適切なものであり、そして当該分野で公知のあらゆるそのような材料を含む。
局所的キャリアは、組成物に、例えば液体または非液体キャリア、ローション、クリーム
、ペースト、ゲル、粉末、軟膏、溶媒、液体希釈剤、点滴剤などのような、望ましい形式
を提供するように選択され、そして天然に存在するまたは合成的起源の材料から成り得る
。選択されたキャリアは、局所的処方物の活性薬剤または他の構成成分に不都合な影響を
与えるべきではなく、それは局所的処方物の全ての構成成分に関して安定である。本明細
書中で使用するために適切な局所的キャリアの例は、水、アルコールおよび他の非毒性有
機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベ
ン、ワックスなどを含む。
【0066】
軟膏は、典型的にはワセリンまたは他の石油誘導体に基づく半固体調製物である。当業
者によって認識されるような、使用される特定の軟膏基剤は、最適な薬剤伝達を提供し、
そして好ましくは他の望ましい特徴、例えば皮膚軟化なども提供するものである。他のキ
ャリアまたは媒体と同様に、軟膏基剤は不活性、安定、非刺激性および非感作性であるべ
きである。Remingtonにおいて説明されるように、軟膏基剤は、4つの種類にグ
ループ分けし得る:油性基剤;乳化可能な基剤;エマルション基剤;および水溶性基剤。
油性軟膏基剤は、例えば植物油、動物から得られた脂肪、および石油から得られた半固体
炭化水素を含む。吸収軟膏基剤としても知られる、乳化可能な基剤は、水をほとんどまた
は全く含まず、そして例えばヒドロキシステアリン硫酸エステル、無水ラノリン、および
親水性ワセリンを含む。エマルション軟膏基剤は、油中水型(W/O)エマルションまた
は水中油型(O/W)エマルションのいずれかであり、そして例えばセチルアルコール、
グリセリルモノステアレート、ラノリンおよびステアリン酸を含む。好ましい水溶性軟膏
基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコール(PEG)から調製される。Remin
gton、前出を参照のこと。
【0067】
ローションは、摩擦なしに皮膚表面に適用される調製物であり、そして典型的には活性
薬剤を含む固体粒子が水またはアルコール基剤中に存在する、液体または半液体調製物で
ある。ローションは、通常固体の懸濁液であり、そして好ましくは水中油型の液体油性エ
マルションを含む。ローションは、より流動性の組成物を適用する簡単さのために、本明
細書中において大きな体の領域を処置するために好ましい処方物である。一般的に、ロー
ション中の不溶性物質を微細に分割することが必要である。ローションは、典型的にはよ
りよい分散を引き起こすために懸濁化剤を、および活性薬剤を皮膚と接触させて局在化お
よび保持するために有用な化合物、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スナトリウムなどを含む。本発明と組み合せて使用するために特に好ましいローション処
方物は、Beiersdorf,Inc.(Norwalk、Conn.)から入手可能
な、Aquaphor(登録商標)の商標で得ることができるもののような、親水性ワセ
リンと混合したプロピレングリコールを含む。
【0068】
当該分野で公知であるように、活性薬剤を含むクリームは、粘性の液体または水中油型
または油中水型いずれかの半固体エマルションである。クリーム基剤は、水洗可能であり
、そして油相、乳化剤および水相を含む。油相は、一般的にワセリンおよびセチルアルコ
ールまたはステアリルアルコールのような脂肪アルコールから成る。水相は通常、体積で
油相を上回るがその必要はなく、そして一般的に湿潤剤を含む。Remington、前
出において記載されたような、クリーム処方物における乳化剤は、一般的に非イオン性、
陰イオン性、陽イオン性、または両性の界面活性剤である。
【0069】
マイクロエマルションは、界面活性剤分子の界面膜によって安定化された、油および水
のような、2つの混合できない液体の、熱力学的に安定な、等方性に透明な分散である(
Encyclopedia of Pharmaceutical Technolog
y(New York:Marcel Dekker、2002);第2版)。マイクロ
エマルションの調製のために、界面活性剤(乳化剤)、共界面活性剤(co−surfa
ctant)(共乳化剤(co−emulsifier))、油相および水相が必要であ
る。適切な界面活性剤は、エマルションの調製に有用なあらゆる界面活性剤、例えばクリ
ームの調製に典型的に使用される乳化剤を含む。共界面活性剤(または「共乳化剤」)は
、一般的にポリグリセロール誘導体、グリセロール誘導体および脂肪アルコールのグルー
プから選択される。好ましい乳化剤/共乳化剤の組み合せは、一般的にモノステアリン酸
グリセリルおよびステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリエチレングリコールおよびパル
ミトステアリン酸エチレングリコール;およびカプリル(caprilic)トリグリセ
リドおよびカプリントリグリセリドならびにオレイル(oleoyl)マクロゴールグリ
セリドからなるグループから選択されるが、その必要はない。水相は、水だけでなく、典
型的には緩衝液、グルコース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、好まし
くはより低い分子量のポリエチレングリコール(例えばPEG300およびPEG400
)、および/またはグリセロールなども含み得る。油相は、一般的に例えば脂肪酸エステ
ル、修飾植物油、シリコーン油、モノ−、ジ−、およびトリグリセリドの混合物、PEG
のモノ−およびジ−エステル(例えばオレイルマクロゴールグリセリド)などを含む。
【0070】
ゲル処方物は、小さい無機粒子からなる懸濁液(2相系)、またはキャリア液体中に実
質的に均一に分布した大きな有機分子(単相系)のいずれかからなる半固体系である。単
相ゲルを、例えば活性薬剤、キャリア液体およびトラガカント(2から5%で)、アルギ
ン酸ナトリウム(2−10%で)、ゼラチン(2−15%で)、メチルセルロース(3−
5%で)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(2−5%で)、カルボマー(0.3
−5%で)、またはポリビニルアルコール(10−20%で)のような適切なゲル化剤を
共に組み合せて、そして特徴的な半固体産物が産生されるまで混合することによって産生
し得る。他の適切なゲル化剤は、メチルヒドロキシセルロース、ポリオキシエチレン−ポ
リオキシプロピレン、ヒドロキシエチルセルロースおよびゼラチンを含む。ゲルは通常水
性キャリア液体を採用するが、アルコールおよび油も、キャリア液体として使用し得る。
【0071】
当業者に公知の様々な添加物も、本発明の組成物に含み得る。そのような添加物の例は
、可溶化剤、皮膚透過増強剤、乳白剤、保存剤(例えば抗酸化剤)、ゲル化剤、緩衝化剤
、界面活性剤(特に非イオン性および両性界面活性剤)、乳化剤、皮膚軟化薬、濃化剤、
安定化剤、湿潤剤、着色料、香料などを含むがこれに限らない。乳化剤、皮膚軟化薬およ
び保存剤と共に、可溶化剤および/または皮膚透過増強剤を含むことが、特に好ましい。
適切な可溶化剤の例は、以下のものを含むがこれにかぎらない:ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル(エトキシジグリコール、Transcutol(登録商標)として市
販で入手可能)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルオレイン酸エステル(S
oftcutol(登録商標)として市販で入手可能)のような親水性エーテル;ポリオ
キシ35ひまし油、ポリオキシ40硬化ひまし油などのようなポリエチレンひまし油誘導
体;ポリエチレングリコール、特にPEG300およびPEG400のような低分子量ポ
リエチレングリコール、およびPEG−8カプリル/カプリングリセリド(Labras
ol(登録商標)として市販で入手可能)のようなポリエチレングリコール誘導体;DM
SOのようなアルキルメチルスルホキシド;2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロ
リドンのようなピロリドン、およびDMA。多くの可溶化剤はまた、吸収増強剤として作
用し得る。単一の可溶化剤を処方物に組み込み得るか、または可溶化剤の混合物をその中
に組み込み得る。適切な乳化剤および共乳化剤は、限定されないが、マイクロエマルショ
ン処方物に関して記載された乳化剤および共乳化剤を含む。皮膚軟化薬は、例えばプロピ
レングリコール、グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ポリプロピレングリコール
−2(PPG−2)ミリスチルエーテルプロピオン酸エステルなどを含む。
【0072】
他の活性薬剤、例えば抗炎症薬剤、鎮痛薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗生物質、ビタミン、
抗酸化剤、およびアントラニル酸エステル、ベンゾフェノン(特にベンゾフェノン−3)
、樟脳誘導体、桂皮酸エステル(例えばメトキシ桂皮酸オクチル)、ジベンゾイルメタン
(例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン)、p−アミノ安息香酸(PABA)および
その誘導体、およびサリチル酸エステル(例えばサリチル酸オクチル)を含むがこれに限
らない、日焼け止め剤処方物によく見出される日焼け止め剤も、処方物中に含み得る。
【0073】
「有効な」または「治療的に有効な」量の組成物という用語によって、あらゆる医学的
処置に伴う妥当な利益/危険性比で望ましい効果を提供する非毒性であるが十分な量を意
味する。望ましい効果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減または予防、または生物学
的系のあらゆる他の望ましい変化であり得る。
【0074】
当業者は、本発明の3次元皮膚組織同種移植片および組成物を作製するために使用され
る未分化胎児細胞は、皮膚移植片に関しては胎児皮膚細胞、および筋肉移植片に関しては
胎児筋肉細胞、および骨移植片に関しては胎児骨細胞を含み得ることを認識する。
【0075】
1つの局面において、本発明は、コラーゲンマトリックス(例えばウマコラーゲン)に
組み込まれた未分化胎児細胞を含む、3次元皮膚組織同種移植片構築物を提供する。例え
ば、未分化胎児細胞は、適切な培養条件下で真皮線維芽細胞および表皮ケラチン生成細胞
に分化し得るもののような、胎児皮膚細胞であり得る。組み込みは、混合、化合、ピペッ
ティング、播種、プレーティング、または配置を含むがこれに限らない、当業者に公知の
あらゆる手段によって達成し得る。この構築物を、次いで皮膚の病気、障害または疾患に
罹患した被験体を処置するために使用し得る。
【0076】
培養された未分化胎児細胞の細胞バンクを作製するために、胎児組織からの生検材料を
、CHUVの倫理委員会の手順および方針に従って、妊娠中絶の直後に得る。回収したド
ナー組織は、妊娠12−16週である。胎児組織を、複数の10cm組織培養プレート
で小さい断片に分割し、そしてグルタミンを含むダルベッコMEM(DMEM)組織培養
培地中で増殖させる。次いで胎児血清をプレートに加える。細胞の増殖が進行したら、例
えば約1週間後、組織および細胞をトリプシン処理する。いくつかのプレートを次いで、
例えば液体窒素中で個々のユニットに凍結する。次いで細胞を遠心し、そして再懸濁して
培養からほぼ均一な細胞の懸濁液を産生する。
【0077】
次に、細胞を凍結防止剤(例えば、DMEM、5ml+胎児ウシ血清、4ml+ジメチ
ルスルホキシド、1ml(DMSO))と静かに混合する。細胞懸濁液を次いでアリコー
トに密封し、そして例えば液体窒素中で凍結する。1つの好ましい実施態様において、ア
リコートを−80℃の温度に達するまで1℃/分の速度で凍結し、そして次いで約24時
間後に−160℃に移動させる。均一なバンク細胞のアリコートを、次いで本発明の3次
元皮膚組織同種移植片構築物および/または組成物の産生のような、あらゆる望ましい目
的のために、または皮膚の病気、障害または疾患を処置するための薬剤を製造するのに使
用するために、細胞バンクのアンプルを開封し、内容物を解凍し、そして通常の細胞培養
培地へ移すことによって使用し得る。
【0078】
本発明の3次元皮膚組織同種移植片を、以下のように産生し得る:移植日の3から5日
前に、滅菌した小口径のピペットチップでマトリックスに小さな切り込みを入れることに
よって、ウマコラーゲンの9×12cmのシートに、細胞バンクからの胎児皮膚細胞を、
例えば約1×10細胞/cmで播種する(継代0から3の細胞を使用)。次いでしば
らく(例えば約1時間)後に、培養プレートに培地を加える。培地も、2日に1回のよう
に、定期的に交換する。
【0079】
産生される構築物は、未分化表皮ケラチン生成細胞(約10%から約13.5%)およ
び未分化真皮線維芽細胞(約90%から約86.5%)を含む。この移植片の3次元構造
のために、患者または被験体に任意の方向で移植片を適用することが非常に容易であり、
多くの皮膚の病気、障害または疾患は、典型的には当業者によって現在使用されている移
植片で覆うのが困難な体の領域に存在するので、それは有利である。
【0080】
任意の特定のメカニズムに制限されることなく、同種移植片構築物の細胞は、胎児細胞
において利用可能な増殖因子の分泌によって、存在する細胞の接着、増殖および移動に対
する促進効果を発揮し得るようである。修復された創傷は、残る瘢痕なしに治癒する傾向
があり、そして皮膚はより萎縮性でないように見える。この技術の実用的な利点は、この
技術が非侵襲性であり、従って、外科的設備を必要としないという事実を含む。これらの
処置方法は、外来様式(monor)において容易に適用され、そして細胞は、伝統的な
自己移植技術におけるような4−6週間ではなく、即座に入手可能である。最後に、これ
らの構築物を最も抵抗性の潰瘍でさえ非常に高い成功率で治療するために使用し得るので
、この技術は皮膚を「完全な状態」に修復するための急性創傷の処置に有用である。
【0081】
本発明はまた、未分化胎児細胞および/またはタンパク質およびキャリアを含む組成物
を提供する。この組成物を、にきび、しみ、瘢痕、熱傷、挫傷、母斑、入れ墨、色素沈着
の問題、潰瘍(peri−ulcer)、湿疹、放射線皮膚炎、潰瘍(ulcer)、蕁
麻疹、重度の乾燥、および白色萎縮を含むがこれらに限らない、多くの皮膚欠損を処置す
るために使用し得る。
【0082】
組成物を作製するために、胎児ドナー組織からの生検材料を得ることができ、そして細
胞系統を上記のように発達させる。例えば、胎児組織を、外科用メスで作った格子状の切
り込みによって準備した、複数の10cm組織培養プレートにおいて小さな断片に分割
し得る。グルタミンおよび10%胎児血清を含むDMEM組織培養培地をプレートに加え
る。胎児細胞は未分化状態に留まり、そして高濃度に増殖して細胞バンクを作り出し、そ
こから胎児皮膚移植片が得られる。次いで、細胞を、DMSO、DMEMおよび胎児血清
の混合物中で、必要になるまで凍結する。
【0083】
継代5−10の細胞を、約5.3×10細胞/mlの濃度で調製する。この濃度は、
皮膚欠損の型、および患者が成人かまたは子供かに依存して変化し得る。例えば、細胞の
濃度は、約5.3×10細胞/mlから約5.3×10細胞/mlの範囲であり得る
。次いで、胎児タンパク質を安定化させ、そして単独でまたは胎児細胞と組み合せてのい
ずれかで、キャリアに組み込む。
【0084】
上記の組成物を、治療的に有効な量の組成物を、被験体の皮膚の影響を受けやすいまた
は影響を受けた領域に投与することによって、皮膚の病気、障害または疾患を予防または
処置するために使用し得る。例えば、皮膚の病気、障害または疾患は、炎症性の皮膚の病
気を含むがこれに限らない。例としては、にきび、しみ、瘢痕、熱傷、挫傷、母斑、入れ
墨、色素過剰、アトピー性皮膚炎、潰瘍周辺(peri−ulcer)、湿疹、放射線皮
膚炎、潰瘍(ulcer)、蕁麻疹、重度の乾燥および白色萎縮を含むがこれに限らない
。被験体は、ヒトおよび動物の両方を含む。例えば、被験体は、例えばヒト、非ヒト霊長
類、野生動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラットまたはマウスで
あり得る。
【0085】
当業者は、あらゆる適切なキャリアおよび/または安定化剤を、本発明の組成物と共に
使用し得ることを認識する。例えば、好ましい実施形態において、キャリアは局所的クリ
ームである。
【0086】
本発明の3次元皮膚組織同種移植片構築物を、単独でまたは本発明の組成物と組み合せ
て使用し得る。例えば、同種移植片構築物および組成物を、同時にまたは連続的に投与し
得る。
【0087】
表1は、本発明の胎児細胞療法を用いて処置し得る多くの病気を列挙する。この表はま
た、処置された各病気を有する患者の数および観察された結果を詳述する。
【0088】
【表1】


以下の実施例を、本発明の好ましい実施形態をより完全に説明するために提示する。こ
れらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような、本発明の範囲を制限
することを決して意図しない。
【0089】
(実施例)
(実施例1:胎児皮膚の回収)
CHUVの倫理委員会の方針および手順に従って、妊娠中絶の直後に胎児皮膚のドナー
組織から生検材料を得た。ドナー組織は、妊娠12−16週である。
【0090】
(実施例2:胎児皮膚細胞バンクの合成)
実施例1で記載された、もとの生検材料から、500個の10cmプレートに、プレー
トあたり約10個(<0.5mm)の組織断片全体をまいた。これらの断片を、10%
の胎児ウシ血清(Hyclone)のみを添加したDMEM中で増殖させた。細胞増殖が
約1週間後まで進行した時、組織および細胞の皿をトリプシン処理した(0.25%のト
リプシン−0.1%のエチレンジアミン四酢酸[EDTA])。この時点で、490個の
プレートを、液体窒素中で各ユニットに凍結した。細胞を2000gで15分間遠心し、
そしてDMEM(5ml)+FCS(4ml)+DMSO(1ml、Fluka)の凍結
溶液中に再懸濁し、そして−1℃/分の冷却および凍結曲線の速度を達成する、Nalg
eneTM Cryo 1℃ Freezing Container’s(Nalge
ne)中で−80℃において、1mlのアリコート(〜3百万の細胞)で凍結した。24
時間後、細胞を、より長期の保存のために、液体窒素中に移した。この方式で保存した細
胞は、少なくとも10年間保存し得る。10個のプレートを、200個のプレートに増幅
し、そしてさらに凍結ストックのために2000ユニットまで増幅した。細胞培養を、9
5%空気/5%COの加湿雰囲気で、37℃で増殖させた(図1を参照のこと)。
【0091】
1−4cmの胎児皮膚の、1つの臓器提供によって、治療的使用のために最低2,4
00,000の皮膚移植片(9×12cm)を産生し得る皮膚細胞バンクを発展させるこ
とが可能である。胎児皮膚細胞を、Mycoplasmaおよび全ての細菌および真菌感
染に関して日常的に試験する。もとの組織提供に関しては、患者を表2に列挙した抗体を
用いて0および3−6ヶ月に試験した:
【0092】
【表2】


胎児組織をまた、あらゆる遺伝的および/または病理的異常に関して、病理学実験室に
おいて試験した。
【0093】
(実施例3:照射光源、曝露条件、および化学的処理)
胎児および成人皮膚細胞の、物理的および酸化ストレスに対する抵抗性を決定するため
に、ストレスの供給源としてUVA照射および過酸化水素処理を見る一連の実験を行なっ
た。
【0094】
UVASUN3000ランプ(Mutzhas、Munich、Germany)は、
簡便な照射位置で、300W/mの線量率で330から450nmの間の波長を放射す
る。ランプの出力スペクトルを、較正したOptronicモデル742分光放射計(O
ptronics Laboratories、Penn.、USA)を用いて分析し、
そして360および410nmの間にブロードなピークを示した。UVASUN3000
ランプは、赤外線フィルターおよび335nmより短い全ての波長を明確にカットするフ
ィルターを装備している。それに加えて、細胞は、UVBまたはUVC照射の通過を許さ
ないプラスチックの組織培養蓋をつけて照射された。照射の用量は、分光放射計に対して
較正した、UVA検出器ヘッドを有するInternational Light Ra
diometer、IL1700によってモニターした。
【0095】
胎児皮膚生検材料を、CHUVの倫理委員会の手順および方針に従って、妊娠中絶の直
後にドナーから得た。ドナー組織は、妊娠約12−16週であった。
【0096】
成人ドナー(SW2、24歳男性;SW12、39歳女性;GT、27歳男性)からの
皮膚試料を、インフォームドコンセントおよび医学部倫理委員会からの許可を得て、太陽
に曝露されない皮膚部位から、Lausanne University Hospit
alの皮膚病学部において得た。
【0097】
(表皮ケラチン生成細胞の培養:)
皮膚試料を、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100μg/
ml)を含むPBS中で3回、それぞれ10分間洗浄した。組織を、トリプシン/EDT
Aで〜15分間処理し、そして表皮細胞層を、解剖顕微鏡の補助を用いて真皮組織から静
かに削り取った。表皮組織を断片化し、そして2000gで15分間遠心した。次いでペ
レットを、γ−照射(2500rad)Swissマウス3T3細胞を70%のコンフル
エンスで、および以下のようなケラチン生成細胞完全培地を含む小さい組織培養フラスコ
に移した:3:1に希釈したダルベッコの最少必須培地:Hams(Flow);10%
のFCS;1%のグルタミン;0.4μg/mlのヒドロコルチゾン;10−10Mのコ
レラ毒素;5.0mg/mlのインスリン;1.2mg/mlのアデニン;2.5mg/
mlのトランスフェリン;0.14mg/mlのトリヨードチロニン;10μg/mlの
表皮増殖因子。ケラチン生成細胞を、90%の空気(ait)/10%のCOの加湿雰
囲気で、37℃で増殖させた。ヒト皮膚移植に使用する細胞を、血清を含まない培地(G
ibco、ケラチン生成細胞SFM)中で増殖させ、そして最初の12時間は、5%のF
CSを、より高い細胞接着を保証するために加えた。
【0098】
(真皮線維芽細胞の培養:)
真皮組織を、<0.5mmの断片に分割し、そして10%のFCSおよびグルタミン
を添加したDMEM中で増殖させ、そして細胞を継代0および3の間に実験に使用した。
それらを、分割する前にコンフルエンスになるまで増殖させ、そしてPBSで2回すすぎ
、そして計測した。
【0099】
細胞を、直径60または100mmのFalcon培養皿にプレートし、そして75%
コンフルエンスまで増殖させた。細胞の照射または化学的処理の直前に、増殖培地を除去
し、そして細胞の単層をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、0.14MのNaCl;2.
7mMのKCL;8.1mMのNaHPO、1.5mMのKHPO)で2回すす
いだ。UVA照射に関しては、細胞をPBSで覆い、そして25℃で照射した。照射時間
は、平均で約13から最大55分であった。過酸化水素処理に関しては、細胞を、適切な
濃度のH(0.1−2.4mM)を含むPBSで覆い、そして5%COインキュ
ベーター中で、37℃で30分間処理した。
【0100】
(生存分析:)
過酸化水素またはUVA照射処理のいずれかを受けた細胞の皿(60mm、〜75%コ
ンフルエント)を、トリプシン処理、希釈、および皿あたり200−5000細胞でプレ
ートした(60mm、処理あたり3枚の皿)。皿を、37℃で12から14日間インキュ
ベートし、その後それらをメチレンブルーで染色し、そしてコロニー(>20細胞)を解
剖顕微鏡の補助を用いて計測した。全ての実験を、層流フード照明システムおよび室内蛍
光灯を消して行なった。
【0101】
(細胞増殖の特徴および安定性:)
細胞増殖曲線を、胎児および成人ヒト皮膚線維芽細胞に関して確立した。75%コンフ
ルエンスにおけるフラスコからの細胞を、トリプシン処理し、計数した。1000細胞の
プレートを、3組確立し、そして5から20日の間の種々の時点で計測した。
【0102】
細胞(胎児および成人皮膚線維芽細胞)をまた、いくつかの条件下で、細胞ペレットと
して−20℃、−80℃で、および液体窒素を用いて、および異なる濃度のDMSOと共
に凍結した。細胞の安定性をまた、ペレット中で、またはコラーゲンマトリックスと共に
のいずれかで細胞を冷蔵することによって決定した。
【0103】
(免疫組織化学:)
5μmの厚さの固定した組織切片を、免疫組織化学のために使用した。全てのインキュ
ベーションを、他に指定しなければ、加湿室内で、暗所で行なった。
【0104】
p63の検出のために、5%の胎児ウシ血清(FCS)、7%の正常ヤギ血清(NGS
)および0.1%のTritonX100を含むPBSの溶液と、25℃で2時間インキ
ュベートすることによって、非特異的結合を阻害した。次いで、組織切片を、5%のFC
S、5%のNGSおよび0.1%のTritonX100を含むPBS中1:2000希
釈におけるp63特異的抗体(p63[3q27−29におけるp53ホモログ]Ab−
1、クローン4A4)と、30分間インキュベートした(Neomarkers、Fre
mont、Calif.、USA)。このインキュベーション(p53)の直後、組織切
片をPBS中でそれぞれ10分間3回洗浄し、そして切片を、5%のFCS、1%のNG
Sおよび0.1%のTritonX100を含むPBSの溶液中1:2000のビオチン
化ヤギ抗ウサギ抗体で、25℃で3時間処理した。組織切片を、PBS中でそれぞれ5分
間4回洗浄し、そして次いでVectastain ABC(登録商標)(Vector
、Burlingame、CA)を用いて、その会社によって指示されるように、25℃
で3時間処理した。このインキュベーションの後、組織切片をPBS中でそれぞれ10分
間3回洗浄し、そして1−2分間のインキュベーションの直前に加えた0.32μlの3
0%Hを含む0.5mg/mlの3,3’−ジアミノベンジジンで処理した。全て
の試料を、同時に処理した。p63の抗体染色は、茶色の着色によって示される。試料を
流水で5分間洗浄した。それらを、Papanicolaou(Harris’ Hem
atoxylin溶液)で対比染色し、脱水およびMerckoglas(登録商標)(
Merck、Switzerland)に載せた。
【0105】
(結果:)
(大量に得られた細胞集団:)
皮膚は、多くの他の組織と同様に、幹細胞によって産生される新しい細胞で常に補充さ
れる。上皮幹細胞の維持に極めて重要な皮膚細胞における遺伝子の1つは、p63であり
、それは皮膚の表皮層においてこれらの細胞の位置決定をするのに優れたマーカーを提供
する。少なくともマウスモデルにおいて、p63の非存在下で、四肢、頭蓋および顔面、
および上皮の発達のための再生的増殖は効率的でないことが示された(Yangら、Na
ture 398:714−718、1999)。胎児皮膚において、表皮は、妊娠12
−14週においてわずか1−2層の厚さ、そして約16週において〜2−4細胞層の厚さ
である。発達中のすべての皮膚層において、全ての表皮細胞および発達中の毛包において
強力なp63核マーキングを検出することが可能である。これらの細胞(幹細胞、p63
表皮ケラチン細胞)は、異なる細胞型を産生するその能力のために多くの注意を引いた
が、p63が上皮幹細胞集団の維持に役割を果たしているようであるが、それらがどのよ
うに機能するのか、およびなぜそれらは常に増殖し得るのかはほとんど知られていない。
真皮組織は、個々のp63細胞を含まず、そして迅速に再生し得る真皮線維芽細胞を特
徴付けるマーカーはまだ同定されていない。
【0106】
表皮ケラチン生成細胞および真皮線維芽細胞をどちらも、胎児皮膚から別々に培養した
。表皮細胞は全てp63であり(図2a)、そして純粋な細胞培養を、上皮(図2b)
および真皮組織(図2c)から得た。ケラチン生成細胞は、下にある真皮線維芽細胞と比
較した場合、酸化ストレスに対してはるかにより抵抗性である(Applegateら、
European Journal of Dermatology 7:215−21
9、1997;Applegateら、Landmarks in Photobiol
ogy、259−263頁、1998;およびApplegateら、JID 111:
159−163、1998)。これは胎児細胞に関しても観察されたので、胎児皮膚およ
び古い皮膚由来の線維芽細胞を、物理的および酸化型ストレスに対する抵抗性における違
いを特徴付けるために使用した。
【0107】
(胎児対成人皮膚線維芽細胞の細胞増殖および安定性:)
胎児皮膚線維芽細胞の細胞増殖は、成人ドナーの皮膚線維芽細胞よりも非常に高いこと
が示された。胎児皮膚断片が培養皿に置かれた1日目から、線維芽細胞がより早く成長す
るのを識別し得る、図3、胎児皮膚断片を参照のこと(黒丸(FS1)、黒四角(FS2
)、および黒三角(FS3)によって示される)。同じことが、同じ条件下で処理した成
人皮膚断片に関して、通常5−6日後に観察される、図3、成人皮膚断片を参照のこと(
白丸(GT/29)、白四角(SW2/24)および白三角(SW12/39)によって
示される)。培養が確立されたら、胎児細胞は、成人由来の細胞より非常に速い速度で増
殖を続ける(図3を参照のこと)。少数の細胞(100または1000)から始めた場合
、培養における日数の関数として細胞数を単純に分析することによって、培養の12日目
において明確な違いが存在する。これは、おそらくクローニングの効率の違いによるもの
であり、それは胎児細胞に関して約83−91%、そして成人細胞に関して10−22%
である。
【0108】
同じ様式において、単純な細胞ペレットとして3ヶ月間まで−20℃で凍結した胎児細
胞でさえ、液体窒素におけるDMSOによる通常の凍結条件下の場合と類似の成長を示し
得る。成人皮膚線維芽細胞(3つの細胞系統のうち2つ)は、保存剤としてDMSOを用
いた−80℃凍結条件において、制限された量の細胞増殖を示し得るが、−20℃では示
さない。胎児皮膚線維芽細胞は、2週間の冷蔵後でさえ、かなりの細胞増殖を示し得た。
【0109】
UVA照射後の、胎児対成人皮膚線維芽細胞の細胞生存:
包皮組織由来の新生児線維芽細胞は、酸化ストレスに対してより抵抗性である(App
legateら、JID 102:762−767、1994)。異なる妊娠齢由来の細
胞がどのように酸化ストレスにも反応するかを見ること、およびその抵抗性を成人皮膚細
胞と比較することは興味深かった。酸化ストレスとしてのUVA照射に対するその抵抗性
に関して、胎児細胞および成人細胞の間に大きな違いが存在するが、妊娠12−16週齢
の間では違いは見られなかった。UVA照射用量の関数として生存の割合を見ることによ
って、同じ継代の成人皮膚細胞系統(白丸(GT/29)、白四角(SW2/24)およ
び白三角(SW12/39)によって示される)と比較した場合に、初期の継代数におい
て試験した3つの胎児皮膚細胞系統(黒丸(FS1)、黒四角(FS2)および黒三角(
FS3)によって示される)において、非常な抵抗性が示された(図4を参照のこと)。
最も高用量のUVA照射(約50分かかる)後でさえ、約20%の胎児細胞しか死ななか
った。対照的に、30−50KJ/mの用量(ヒト皮膚に知覚できる紅斑を与える用量
)が、50%の成人皮膚細胞を殺すことができた。
【0110】
処理後の、胎児対成人皮膚線維芽細胞の細胞生存:
成人皮膚線維芽細胞の不活性化曲線は、2相性の性質であり、それは酸化剤として過酸
化水素の使用に特徴的である。しかし、これは、胎児皮膚細胞(黒丸(FS1)、黒四角
(FS2)および黒三角(FS3)によって示される)に関しては見られず、そして過酸
化水素の濃度の増加と共に細胞生存が徐々に減少する。胎児皮膚細胞は、成人皮膚細胞(
白丸(GT/29)、白四角(SW2/24)および白三角(SW12/39)によって
示される)と同じ培養条件下および継代で比較した場合に、この型の酸化ストレスに対し
て1.5倍より抵抗性である(図5を参照のこと)。
【0111】
胎児細胞は、物理的および酸化型ストレスに対して抵抗性であることが証明され、それ
がこれらの細胞に高い安定性を可能にするようである。なぜ胎児細胞が酸化ストレスに対
して非常により抵抗性であるのかは未知である。いかなる特定のメカニズムに制限される
ことなく、それらは、潜在的に損傷を与えるフリーラジカル中間体を取り除くのにより効
率的であり得る、またはおそらくそれらは、重要な細胞標的に対する酸化的損傷を処理お
よび修復するのにより効率的である可能性がある。興味深いことに、低いおよび高い継代
の胎児細胞において、2Dゲル分析によってタンパク質を見る予備的な研究において、劇
的に変化し、そして酸化ストレス機能に関係するいくつかのタンパク質が同定された。
【0112】
実施例4:3次元皮膚組織同種移植片構築物による獣医学的適用
ウマは、そのスポーツにおける使用のために、特に皮膚損傷にさらされる。ウマにおけ
る皮膚創傷治癒は、特に治療するのに長くそして困難であり、そしていくつかの興味深い
局面を有する。物質の喪失および平行する組織の損傷を考慮して、外傷創傷はめったに縫
合され得ない。それに加えて、ウマは過剰な組織肉芽形成の素因があり、それは組織修復
過程を阻害する。特に、上皮形成の阻害およびケロイド形成の促進が存在する。この過剰
な組織肉芽形成の傾向は、美学的な質に過酷な結果を有し得、そして動物の長期間の固定
を引き起こし得る。これらの因子が、動物およびその利用の金銭的価値の減少に寄与し得
る。従って、けがをした競走馬に関して、4から6ヶ月の固定が必要であることもまれで
はなく、それが今度は直接的な競争的損失を引き起こす。従って、非常に短期間で、ウマ
における創傷部位において真皮の再生を刺激し得る、組織修復産物の必要性が存在する。
【0113】
ウマの腱から作成されたコラーゲンスポンジに、胎児ウマ細胞(未分化線維芽細胞/ケ
ラチン生成細胞)をまき、そしてウマ血清の存在下で、組織培養培地中で培養した。皮膚
同種移植片構築物を産生する過程を、実施例2で開示したように行なったが、胎児ヒト細
胞のかわりに胎児ウマ細胞を使用する。2つの皮膚欠損を、本方法によって調製した3次
元皮膚組織同種移植片構築物を用いて試験した。
【0114】
患者1は、顎の深い膿瘍を有するウマであった。歯−膿瘍が口の内側から外側表面に貫
通し、潰瘍を形成していた。ウマを手術のために準備し、そして創傷をNaClで洗浄し
た。同種移植片構築物を調製し、そして図6aに示すように膿瘍に配置した。次いで同種
移植片構築物を包帯で覆い、そして図6bに示すようにその場所に縫いつけた。最初の手
術から1週間後、完全な閉鎖および膿瘍の除去が存在した(図6cを参照のこと)。
【0115】
患者2は、皮膚、筋肉から、そして骨まで達する膝の深い創傷を有するウマであった(
図7aを参照のこと)。ウマを手術のために準備し、そして創傷を洗浄した。この創傷を
治療するために、2層の移植片を使用した。1つの層が筋肉を覆い(そして未分化胎児筋
肉細胞を含んでいた)そして1つの層が皮膚を覆った(そして未分化胎児皮膚細胞を含ん
でいた)。同種移植片構築物を、創傷部位に配置し(図7b)、そして次いで包帯で覆っ
て、そしてその場所にステープルした(図7c)。手術の2日後、創傷は、表面の困難な
状況を残すのみで、骨および筋肉層両方において治癒しているようであった(図7d)。
【0116】
実施例5:3次元皮膚組織同種移植片構築物によるヒト適用
実施例2、前出において概略を述べた技術を用いて、細胞系統を作成した。患者に対す
る移植日の約3から5日前に、9×12cmのウマコラーゲンシートに、滅菌した、小さ
な口径のピペットチップでマトリックスに小さな切込みを作ることによって、1×10
細胞/cmをまいた(継代0から3の細胞を使用した)。次いで培地を1時間後に培養
プレートに加え、そして2日ごとに交換した。産生された3次元皮膚組織同種移植片は、
未分化表皮ケラチン生成細胞(10−13.5%)および未分化真皮線維芽細胞(90−
86.5%)を含んでいた。
【0117】
この研究において治療された患者は、他の伝統的な治療(コンテンション(conte
ntion)包帯、自己移植等)を用いて閉鎖しない慢性の足潰瘍を有する病歴に基づい
て選択された。各患者の評価は、Dopplerおよび動脈症病理(arteriopa
thology)の非存在下で行なわれた。ついで慢性潰瘍を、生理学的食塩水によって
洗浄し、そしてキューレットによる機械的調製を行なった。胎児細胞同種移植片構築物を
適用して創傷表面全体を覆い、続いてワセリンガーゼおよび標準的なガーゼ包帯の層を適
用した。同種移植片構築物を、1週間に一度適用し、4日後に包帯を交換した。次いで包
帯を2日ごとに交換した。
【0118】
全部で11人の患者を、21ヶ所の潰瘍に関して、胎児細胞療法で治療した。これらの
うち、15ヶ所の潰瘍が完全に閉鎖し、3ヶ所は大きさの有意な改善を示し(しかし完全
な閉鎖ではない)、そして3ヶ所は患者が実質的な改善が存在したと判断したのでフォロ
ーアップができなかった。2人の患者の詳細を、本明細書中で示す。表3は、胎児細胞療
法で治療した全ての患者をまとめる。
【0119】
患者1は、慢性関節リウマチを有する女性であった。2×4.5cmの大きさである、
抵抗性の動脈および静脈潰瘍が足首関節に存在し、それは18ヶ月間存在していた。Ap
ligraft(登録商標)による2回の移植片適用は、成功しなかった。患者は複数の
アレルギーの病歴ならびに潰瘍病変およびその周囲において重度の疼痛を示した。十分な
カバーを見つけるかなりの困難さ(全ての型の包帯に対するアレルギーのため)および数
ヶ月の創傷調製に対する不服従の後、患者は最終的に、続く胎児移植片の適用が有効に起
こり得るように、創傷におけるフィブリンバリアの除去に同意した。患者を、全部で31
の同種移植片構築物で治療した。創傷床の調製の直後、疼痛の減少および潰瘍の大きさの
継続的な減少が存在した。治療の最後における、使用したガーゼの型の小さな変化が(病
院における在庫の断裂のため)、周囲の皮膚を刺激するのに十分であった。これらの結果
を図8に示す。
【0120】
患者2は、下部左足に4ヶ所の潰瘍を有する女性であった。潰瘍は、4×2.5cm(
全部で10個の同種移植片構築物を受けた);3×2cm(全部で12個の同種移植片構
築物を受けた);3×2cm(全部で24個の同種移植片構築物を受けた);および2.
5×2cm(全部で24個の同種移植片構築物を受けた)の大きさであった。潰瘍は2年
間存在しており、そして患者は貧血、脱水、および非常に痩せていた。4つの自己移植お
よび4つのApligraft(登録商標)投与による以前の治療は、不成功であった。
本発明の胎児細胞療法による1回の治療後に、足のうっ血および疼痛の即座の改善が観察
された。2つの潰瘍において進行性および迅速な改善が見られ、それらは数週の期間で閉
鎖した。残る2つの潰瘍も改善を示したが、完全な閉鎖は可能でなかった。残った2つの
潰瘍に対して、続いて自己移植が試みられたが、成功しなかった。これらの結果を、図9
に示す。
【0121】
【表3】


実施例6:クリーム組成物によるヒト適用
未分化胎児皮膚細胞およびキャリアを含む局所組成物を、クリームの形式で調製した。
この組成物は、以下の成分を含んでいた:
【0122】
【表4】


上記の実施例2で概略を述べた技術を用いて、細胞系統を作成した。継代5−10から
の細胞を、5.3×10細胞/mlの最終濃度に調製し、そして胎児タンパク質を、1
時間に1℃ずつ−80℃の最終温度まで徐々に凍結することによって安定化した。クリー
ム組成物、水中油型混合物を、胎児タンパク質を組み込むために徐々に温めた。
【0123】
患者1は、白色萎縮と診断された女性であった。患者は持続性の足潰瘍を有していた。
本発明のクリーム組成物による2週間の治療後、図11に示すように、潰瘍は完全に閉鎖
したようであった。
【0124】
実施例7:コンビネーション療法によるヒト適用−3次元皮膚組織同種移植片およびク
リーム組成物
患者1は、両方の下部足領域における白色萎縮と診断された女性であった。右下部足の
潰瘍は、20ヶ月間存在し、そして非常に繊維性の性質であった。下部足の皮膚が全て萎
縮性であったので、3次元皮膚組織同種移植片構築物を、本発明のクリーム組成物と組み
合せて適用して、潰瘍周囲の領域全体を覆った。
【0125】
この胎児細胞療法後、うっ血および掻痒は即座に除去され、そしてもとの潰瘍は徐々に
閉鎖した。もとの潰瘍は閉鎖した場合でさえ、皮膚の不安定性のために、新しい平行する
潰瘍が形成された。よりよい創傷準備のために、自己移植を適用するつもりで、この患者
はバキュームアシスティッドクロージャ(vacuum assisted closu
re)(VAC)を1週間適用された。驚くべきことに、潰瘍および関連する軽度の潰瘍
化は、VAC後に閉鎖した。以前に、数百人の患者がVACのみで1週間治療され、そし
て創傷の閉鎖は観察されなかった。1年後のフォローアップにおいて、患者の白色萎縮は
安定であり、そして新しい潰瘍化は観察されなかった。これらの結果を図12に示す。
【0126】
患者2は、同じ足潰瘍の病歴を10年間有する女性であった。以前の自己移植および異
なる包帯療法は不成功であった。最初の胎児細胞同種移植片構築物およびクリームの適用
直後に、うっ血、疼痛、およびフィブリン産生の除去が明らかであった。この大きい、深
い、そして痛みを伴う潰瘍に関して、迅速な、前進性の閉鎖が観察された。クリームが末
梢の皮膚を安定化し、そして新しい潰瘍を予防した。1年後のフォローアップにおいて、
皮膚は依然として萎縮性であったが、瘢痕組織は存在しなかった。これらの結果を図10
に示す。
【0127】
他の実施態様
本発明の特定の実施態様の、前述の詳細な説明から、独特の方法および組成物が記載さ
れたことが明らかであるべきである。本明細書中において特定の実施態様が詳細に開示さ
れたが、これは、説明の目的のためだけに例としてなされ、そして続く添付した請求の範
囲の範囲に関して制限することを意図しない。特に、請求によって規定される本発明の意
図および範囲から逸脱することなく、様々な置換、変更、および改変が、本発明に対して
なされ得ることが、発明者によって企図される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、胎児細胞バンクの合成を示す概略図である。
【図2】図2aは、真皮線維芽細胞と共に、培養における細胞のp63表皮ケラチン生成細胞集団を示す、p63抗体で染色した胎児皮膚の免疫組織化学的分析の結果を示す顕微鏡写真である(バーは50μmに相当する)。図2bは、胎児上皮層の免疫組織化学的分析の結果を示す顕微鏡写真である。図2cは、胎児真皮層の免疫組織化学的分析の結果を示す顕微鏡写真である。
【図3】図3は、各試料に関して1000細胞から始まる、3つの個々の胎児皮膚細胞株(黒い印)および3つの成人皮膚細胞株(白い印)の、時間の関数として真皮皮膚線維芽細胞(細胞数)の細胞増殖を示すグラフである。
【図4】図4は、3つの個々の胎児皮膚細胞株(黒い印)および3つの成人皮膚細胞株(白い印)の、UVA照射への曝露の関数として真皮皮膚線維芽細胞の生存パーセントを示すグラフである。各データポイントは、3つの培養プレートからの平均クローン数を示す。
【図5】図5は、3つの個々の胎児皮膚細胞株(黒い印)および3つの成人皮膚細胞株(白い印)の、過酸化水素による処理の関数として真皮皮膚線維芽細胞の生存パーセントを示すグラフである。各データポイントは、3つの培養プレートからの平均クローン数を示す。
【図6】図6aは、潰瘍を生成する口の内側から外側表面へ貫通する歯−膿瘍の除去を伴う、ウマの顎における深い膿瘍を示す写真である。図6bは、ウマにおける創傷部位に配置した3次元皮膚組織同種移植片を示す写真である。図6cは、3次元皮膚組織同種移植片を配置した1週間後、ウマにおける創傷領域を示す写真である。この図は、膿瘍(潰瘍)の完全な閉鎖および除去を示す。
【図7−1】図7aは、皮膚および筋肉から骨まで貫通する、ウマの膝における深い創傷を示す写真である。図7bは、ウマにおける筋肉胎児細胞を含む筋肉内(内部)、および胎児皮膚細胞を含む皮膚(外部)の2層3次元同種移植片を示す写真である。
【図7−2】図7cは、ウマにおける創傷部位に配置した2層3次元同種移植片を示す写真である。図7dは、ウマに対する2層3次元同種移植片の配置から2日後の創傷領域を示す写真である。この図は、表面の状態の悪い部分のみが残っていることを示す。
【図8】図8は、足首の関節において抵抗性の混合潰瘍を有する、ポリオ関節炎を有するヒト患者を示す写真である。
【図9】図9は、下部左足に2年間存在する、4つの潰瘍を有するヒト患者を示す写真である。本発明の3次元皮膚組織同種移植片による治療後、治療約7ヶ月以内に2つの潰瘍の完全な閉鎖が見られる。
【図10】図10は、10年間同じ足潰瘍の病歴を有するヒト患者を示す写真である。最初の3次元皮膚組織同種移植の直後、うっ血、疼痛およびフィブリン産生の除去が明らかであった。1年後のフォローアップにおいて、皮膚は依然として萎縮性であるが、瘢痕組織は存在しない。
【図11】図11は、足首に潰瘍を有するヒト患者を示す写真である。本発明の組成物による約2週間の治療後、結果は潰瘍の閉鎖を示す。
【図12】図12は、両方の下部足領域に白色萎縮を有するヒト患者を示す写真である。クリーム形態の3次元皮膚組織同種移植片および組成物を適用した。結果は潰瘍の閉鎖を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠12〜16週の単一の臓器ドナーから得られた1または複数の未分化胎児皮膚細胞を含む組成物の、被験体における皮膚の状態、障害または疾患の予防または処置のための医薬、獣医学製品または化粧品の調製における使用であって、該医薬または製品が、3次元皮膚組織同種移植片構築物を形成するためのコラーゲンマトリックスに組み込まれているか、または局所投与に適切なキャリアに組み込まれており、ここで、該医薬の使用は、瘢痕形成を生じない、使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、該被験体がヒトまたはウマである、使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用であって、前記皮膚の状態、障害または疾患が、創傷、皮膚欠損症および皮膚状態類からなる群より選択される、使用。
【請求項4】
前記創傷は、急性創傷である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記急性創傷は、軽度の切り傷、熱傷、乾燥皮膚、皮膚の裂け目、皮膚裂傷、外科的創傷、事故外傷および肥厚性瘢痕からなる群より選択される、請求項4に記載の私用。
【請求項6】
前記創傷は、慢性創傷である、請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記慢性創傷が、静脈潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、動脈潰瘍、熱傷、および潰瘍周辺からなる群より選択される、請求項7に記載の使用。
【請求項8】
前記皮膚欠損症が、湿疹、乾癬、放射性皮膚炎、皮膚癌、蕁麻疹、皮斑様血管炎、重度の乾燥、白色萎縮、膣前庭炎、にきび、しみ、瘢痕、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、萎縮性皮膚炎、重度に裂けてひび割れた手、およびケロイドからなる群より選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項9】
前記皮膚状態は、炎症性皮膚状態である、請求項3に記載の使用。
【請求項10】
前記炎症性皮膚状態が、にきび、しみ、瘢痕、熱傷、挫傷、母斑、入れ墨、色素過剰、萎縮性皮膚炎、潰瘍周辺、湿疹、放射性皮膚炎、潰瘍、蕁麻疹、重度な乾燥、白色萎縮、および膣前庭炎からなる群より選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記炎症性皮膚状態は、潰瘍周辺である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記炎症性皮膚状態は、白色萎縮である、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
前記炎症性皮膚状態は、色素過剰である、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
前記炎症性皮膚状態は、膣前庭炎である、請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記胎児皮膚細胞は、約10%から約13.5%の未分化上皮ケラチノサイトおよび約90%から約86.5%の未分化皮膚繊維芽細胞を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項16】
前記胎児皮膚細胞は、ヒト胎児皮膚細胞またはウマ胎児皮膚細胞である、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
前記コラーゲンマトリックスは、ヒトコラーゲンマトリックスまたはウマコラーゲンマトリックスである、請求項1に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−291130(P2007−291130A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173522(P2007−173522)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【分割の表示】特願2003−567467(P2003−567467)の分割
【原出願日】平成15年2月11日(2003.2.11)
【出願人】(504305809)
【Fターム(参考)】