説明

皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法

【課題】
乾燥時間を大幅に短縮させることができる皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法を提供する。
【解決手段】
皮革の乾燥装置1は、過熱水蒸気と熱風によって皮革Aを乾燥する乾燥装置であり、過熱水蒸気乾燥炉3と、熱風乾燥炉5と、過熱水蒸気乾燥炉3内と熱風乾燥炉5内に連続して皮革Aを搬送する搬送手段2とからなる。過熱水蒸気乾燥炉3には、過熱水蒸気乾燥炉3内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置11が設けられている。熱風乾燥炉5には、熱風乾燥炉5内に熱風を発生させる熱風発生装置41が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準備工程、鞣し工程、再鞣し・染色・加脂工程を経て、水洗、セッティング(水絞り)を行った皮革を乾燥するための乾燥装置及びその皮革の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮革は、一般に牛などの原皮を準備工程(水漬け、石灰漬け、脱毛、フレッシング、分割)を経て、鞣し、再鞣し・染色・加脂処理を行い、水洗、セッティング後、乾燥を行い、さらに表面に塗装を行って製品とする。セッティング後の皮革においては、皮革の含水率を25〜30%程度から7〜9%程度まで減少させるが、皮革を構成するコラーゲンが熱で編成して皮革の収縮・効果が起こらないよう、皮革の温度を110℃程度以下に保持する必要がある。
この目的に使用する乾燥装置としては、従来、温風によって被乾燥体を乾燥する乾燥装置が存在した。当該乾燥装置は、温風発生装置と、ベルトコンベヤーとからなる。温風発生装置には、ベルトコンベヤー側に温風を噴出する温風噴出口が形成されている(例えば、特許文献1)。この乾燥装置は、コンベヤーによって移送される被乾燥体の上面及び下面に略同時に温風を吹き付けて乾燥させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−140294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した乾燥装置は、皮革等の内部に水分を含む被乾燥体である場合、皮革内の水分を蒸発させることができる内部温度に達するのに時間がかかるため、乾燥時間が長くかかり、作業効率が極めて悪いという問題点があった。また、上記した乾燥装置は、被乾燥体の両面を略同時に乾燥させるため、被乾燥体の上面側と下面側の両側に温風吹出装置を設けなければならず、そのため構造が複雑となり、安価に製造することができないという問題点があった。また、上記した乾燥装置は、直線状のベルトコンベヤーに被乾燥体を載置して両面を乾燥させるので、所定間隔あけて多数の温風吹出口を配置しなければならず、上記したように構造が複雑となると共に、乾燥させるのに必要な距離が必然的に長くなるので大型化し、コンパクトに製造することができないという問題点があった。
【0005】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、乾燥時間を大幅に短縮させることができる皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法を提供することを第1の目的とする。さらに、本願発明は、上記第1の目的に加え、装置本体の一方に過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を配置せしめ、皮革の一方の面を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させると共に、皮革を折り返して反転させることにより皮革の他方の面も過熱水蒸気及び熱風によって乾燥させることができ、皮革の両側に過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を配置することなく、皮革の片側に過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を配置するだけで皮革の両面を乾燥させることができ、構造が簡単で安価であり、コンパクトに製造することができる皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1記載の皮革の乾燥装置は、上記第1の目的を達成するため、過熱水蒸気と熱風によって皮革を乾燥する乾燥装置であって、過熱水蒸気乾燥炉と、熱風乾燥炉と、過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に連続して皮革を搬送する搬送手段とからなり、過熱水蒸気乾燥炉には、過熱水蒸気乾燥炉内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置が設けられ、熱風乾燥炉には、熱風乾燥炉内に熱風を発生させる熱風発生装置が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本願請求項2記載の皮革の乾燥装置は、上記第1及び第2の目的を達成するため、前記搬送手段は、第1の搬送部と、第2の搬送部と、第1の搬送部に皮革を搬送する前部搬送部と、第1の搬送部から送り出される皮革を第2の搬送部に搬送する中間搬送部と、第2の搬送部から送り出される皮革を後方に搬送する後部搬送部とからなり、第1及び第2の搬送部は、載置した皮革を折り返して反転させて移送する折返部と、この折返部に皮革を移送する前部移送部と、折返部から送り出される皮革を後方に移送する後部移送部とで構成され、前記第1の搬送部は、前記過熱水蒸気乾燥炉内に設けられ、前記第2の搬送部は、前記熱風乾燥炉内に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本願請求項3記載の皮革の乾燥装置は、上記第1及び第2の目的を達成するため、前記過熱水蒸気発生装置は、前記第1の搬送部の折返部上方に配置され、過熱水蒸気発生装置に形成された水蒸気噴出口から折返部側に過熱水蒸気を噴出し、前記熱風発生装置は、前記第2の搬送部の折返部上方に配置され、熱風発生装置に形成された熱風排出口から折返部側に熱風を排出するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本願請求項4記載の皮革の乾燥装置は、上記第1及び第2の目的を達成するため、前記前部搬送部、前記中間搬送部及び前記後部搬送部には皮革を揉みほぐすステーキング装置が配置されていることを特徴とする。
【0010】
本願請求項5記載の皮革の乾燥方法は、上記第1の目的を達成するため、皮革を過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に順に搬送して皮革を乾燥する皮革の乾燥方法であって、皮革を過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉内で乾燥する一次乾燥工程と、一次乾燥工程終了後に過熱水蒸気乾燥炉内から皮革を取り出して皮革を冷却する冷却工程と、冷却工程終了後の皮革を熱風が発生させられた熱風乾燥炉内で乾燥する二次乾燥工程とからなることを特徴とする。
【0011】
本願請求項6記載の皮革の乾燥方法は、上記第1及び第2の目的を達成するため、搬送手段によって皮革を過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に順に搬送して皮革を乾燥する皮革の乾燥方法であって、前記搬送手段は、第1の搬送部と、第2の搬送部と、第1の搬送部に皮革を搬送する前部搬送部と、第1の搬送部から送り出される皮革を第2の搬送部に搬送する中間搬送部と、第2の搬送部から送り出される皮革を後方に搬送する後部搬送部とからなり、第1及び第2の搬送部は、載置した皮革を折り返して反転させて移送する折返部と、この折返部に皮革を移送する前部移送部と、折返部から送り出される皮革を後方に移送する後部移送部とで構成され、前記第1の搬送部は、前記過熱水蒸気乾燥炉内に設けられ、前記第2の搬送部は、前記熱風乾燥炉内に設けられ、皮革を第1の搬送部によって搬送して過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉内で乾燥する一次乾燥工程と、一次乾燥工程終了後の皮革を中間搬送部によって搬送中に冷却する冷却工程と、冷却工程終了後の皮革を第2の搬送部によって搬送して熱風が発生させられた熱風乾燥炉内で乾燥する二次乾燥工程とからなることを特徴とする。
【0012】
本願請求項7記載の皮革の乾燥方法は、上記第1及び第2の目的を達成するため、過熱水蒸気乾燥炉には、過熱水蒸気乾燥炉内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置が設けられ、熱風乾燥炉には、熱風乾燥炉内に熱風を発生させる熱風発生装置が設けられ、前記過熱水蒸気発生装置は、前記第1の搬送部の折返部上方に配置され、過熱水蒸気発生装置に形成された水蒸気噴出口から折返部側に過熱水蒸気を噴出し、前記熱風発生装置は、前記第2の搬送部の折返部上方に配置され、熱風発生装置に形成された熱風排出口から折返部側に熱風を排出し、第1の搬送部の折返部において、皮革の一方の面と、折り返して反転させられた皮革の他方の面を過熱水蒸気によって乾燥し、第2の搬送部の折返部において、皮革の一方の面と、折り返して反転させられた皮革の他方の面を熱風によって乾燥することを特徴とする。
【0013】
本願請求項8記載の皮革の乾燥方法は、上記第1及び第2の目的を達成するため、前記前部搬送部、前記中間搬送部及び前記後部搬送部には皮革を揉みほぐすステーキング装置が配置され、皮革を前部のステーキング装置によって揉みほぐしてから第1の搬送部に移送し、過熱水蒸気によって乾燥させた皮革を中間のステーキング装置によって揉みほぐしてから第2の搬送部に移送し、熱風によって乾燥させた皮革を後部のステーキング装置によって揉みほぐすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、皮革を過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に順に搬送し、過熱水蒸気による一次乾燥と熱風による二次乾燥によって皮革を乾燥させるもので、過熱水蒸気乾燥炉内の過熱水蒸気によって皮革内部の温度を瞬間的に上昇させて所定の含水率まで乾燥し、次に過熱水蒸気乾燥炉内から皮革を取り出して皮革を冷却し、さらに熱風乾燥炉内の熱風によって皮革内部の温度を緩やかに上昇させて所定の含水率まで乾燥させるので、内部に水分を含む皮革の乾燥時間を大幅に短縮することができ、作業効率を向上させることができるという効果がある。
【0015】
本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、皮革を前部搬送部に載置すると、皮革が第1の搬送部に搬送され、さらに第1の搬送部から中間搬送部を介して第2の搬送部に移送され、次に後部搬送部を介して後方に移送される。第1及び第2の搬送部の折返部は、載置した皮革を折り返して反転させて移送する構成となっている。折返部に位置する皮革は、一方の面が上方を向いた状態から折り返されて反転して他方の面が上方を向く。本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気乾燥炉内に第1の搬送部が設けられ、この第1の搬送部の折返部によって皮革の過熱水蒸気乾燥時間(滞留時間)の長さを調節することができ、同様に熱風乾燥炉内に第2の搬送部が設けられ、この第2の搬送部の折返部によって皮革の熱風乾燥時間(滞留時間)を調節することができるという効果がある。
【0016】
本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気発生装置の水蒸気噴出口から過熱水蒸気が第1の搬送部の折返部側に噴出され、折返部で搬送される皮革の一方の面と、折り返されて反転させられた状態で搬送される皮革の他方の面に過熱水蒸気を当てて、皮革の両面を乾燥させることができる。また、本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、熱風発生装置の熱風排出口から熱風が第2の搬送部の折返部側に排出され、折返部で搬送される皮革の一方の面と、折り返されて反転させられた状態で搬送される皮革の他方の面に熱風を当てて、皮革の両面を乾燥させることができる。
【0017】
このように、本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を皮革の両面側に配置する必要がなく、過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を皮革の片側面側に配置すれば良いので、構造が簡単で安価に製造することができるという効果がある。また、皮革乾燥部の搬送手段を従来のように直線状ではなく折り畳んだ状態のように構成しているので、大型化せずコンパクトに設計することができ、さらに多数の過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置を配置する必要がなく、少ない過熱水蒸気発生装置及び熱風発生装置で乾燥できるので、極めて経済的であるという効果がある。
【0018】
本願発明に係る皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、前部搬送部、中間搬送部、後部搬送部にステーキング装置が配置されているので、乾燥前、乾燥後に皮革を揉みほぐし、皮革に柔軟性、弾力性を与えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明に係る皮革の乾燥装置の一実施例を示す全体側面図である。
【図2】過熱水蒸気乾燥炉(熱風乾燥炉)の一実施例を示す全体側面図である。
【図3】過熱水蒸気乾燥炉(熱風乾燥炉)の要部正面図である。
【図4】皮革の乾燥装置の乾燥工程を説明するブロック図である。
【図5】一次乾燥の条件を説明する説明図である。
【図6】皮革の乾燥装置における皮革の内部温度を示すグラフである。
【図7】一次乾燥が過熱水蒸気による場合の皮革の内部温度を説明するグラフである。
【図8】二次乾燥の条件を説明する説明図である。
【図9】二次乾燥が熱風による場合の皮革の内部温度を説明するグラフである。
【図10】二次乾燥が過熱水蒸気による場合の皮革の内部温度を説明するグラフである。
【図11】搬送手段の他の実施例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、皮革の乾燥装置1は、過熱水蒸気と熱風によって皮革Aを乾燥する乾燥装置であり、過熱水蒸気乾燥炉3と、熱風乾燥炉5と、過熱水蒸気乾燥炉3内と熱風乾燥炉5内に連続して皮革を搬送する搬送手段(コンベヤー)2とからなる。過熱水蒸気乾燥炉3には、過熱水蒸気乾燥炉3内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置11が設けられている。熱風乾燥炉5には、熱風乾燥炉5内に熱風を発生させる熱風発生装置41が設けられている。
【0021】
皮革の乾燥方法は、搬送手段(コンベヤー)2によって皮革Aを過熱水蒸気乾燥炉3内と熱風乾燥炉5内に順に搬送して皮革Aを乾燥する皮革の乾燥方法であって、皮革Aを130℃〜150℃の過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉3内に2分30秒〜10分の間滞留させて乾燥する一次乾燥工程と(図5参照)、一次乾燥工程終了後に過熱水蒸気乾燥炉3内から皮革Aを取り出して皮革Aを略常温まで冷却する冷却工程と、冷却工程終了後の皮革Aを60℃〜110℃の熱風が発生させられた熱風乾燥炉5内に7分〜20分の間滞留させて乾燥する二次乾燥工程(図8参照)とからなる。
【0022】
上記皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、皮革Aを過熱水蒸気乾燥炉3内と熱風乾燥炉5内に順に搬送し、過熱水蒸気による一次乾燥と熱風による二次乾燥によって皮革Aを乾燥させるもので、図4に示すように、過熱水蒸気乾燥炉3内の過熱水蒸気によって皮革内部の温度を瞬間的に上昇させて所定の含水率25〜30%まで乾燥し、次に過熱水蒸気乾燥炉3内から皮革Aを取り出して皮革Aを略常温まで冷却し、さらに熱風乾燥炉5内の熱風によって皮革内部の温度を緩やかに上昇させて所定の含水率7〜9%まで乾燥させるので、内部に水分を含む皮革の乾燥時間を大幅に短縮することができ、作業効率を向上させることができる。さらに皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、上記したように乾燥時間を大幅に短縮させたにもかかわらず、収縮率が小さいので厚みがほとんど変化せず、硬化せずに柔軟性、弾性、伸縮性を備えた良質な皮革を得ることができる。
【0023】
図1に示すように、前記搬送手段(コンベヤー)2は、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aと、第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bと、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aに皮革Aを搬送する前部搬送部(前部コンベヤー)19と、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aから送り出される皮革Aを第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bに搬送する中間搬送部(中間コンベヤー)26と、第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bから送り出される皮革Aを後方に搬送する後部搬送部(後部コンベヤー)20とからなる。
【0024】
図2,11に示すように、第1及び第2の搬送部(第1及び第2のコンベヤー)21A,21B、61A,61Bは、少なくとも二段重ね状態に折り返され、載置した皮革Aを折り返して反転させて移送する折返部22,62と、この折返部22,62に皮革Aを移送する前部移送部23,63と、折返部22,62から送り出される皮革Aを後方に移送する後部移送部25,65とで構成されている。前記第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aは、前記過熱水蒸気乾燥炉3内に設けられている。前記第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bは、前記熱風乾燥炉5内に設けられている。
【0025】
皮革の乾燥方法は、搬送手段(コンベヤー)2によって皮革Aを過熱水蒸気乾燥炉3内と熱風乾燥炉5内に順に搬送して皮革Aを乾燥する皮革の乾燥方法であって、皮革Aを第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aによって搬送して130℃〜150℃の過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉3内に2分30秒〜10分の間滞留させて乾燥する一次乾燥工程と(図5参照)、一次乾燥工程終了後の皮革Aを中間搬送部(中間コンベヤー)26によって搬送しながら略常温まで冷却する冷却工程と、冷却工程終了後の皮革Aを第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bによって搬送して60℃〜110℃の熱風が発生させられた熱風乾燥炉5内に7分〜20分の間滞留させて乾燥する二次乾燥工程(図8参照)とからなる。
【0026】
図1に示すように、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、皮革Aを前部搬送部(前部コンベヤー)19に載置すると、皮革Aが第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aに搬送され、さらに第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aから中間搬送部(中間コンベヤー)26を介して第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bに移送され、次に後部搬送部(後部コンベヤー)20を介して後方に移送される。
【0027】
図2に示すように、第1及び第2の搬送部(第1及び第2のコンベヤー)21A,21B、61A,61Bの折返部22,62は、少なくとも二段重ね状態に折り返された状態となって、載置した皮革Aを折り返して反転させて移送する構成となっている。折返部22,62に位置する皮革Aは、一方の面A1が上方を向いた状態から折り返されて反転して他方の面A2が上方を向く。即ち、折返部22,62に位置する皮革Aは、一段目31(第1移送部66)の後方(矢印F方向)移送時に一方の面A1が上方を向き、二段目32(第2移送部67)の前方(矢印B方向)移送時に反転して他方の面A2が上方を向く。折返部22,62の段数は、奇数段であると最終段が一段目31(第1移送部66)と同じ方向に移送することになるので、奇数段が望ましいが、偶数段であっても構わないのは勿論である。
【0028】
皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気乾燥炉3内に第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aが設けられ、この第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62の段数によって皮革Aの過熱水蒸気乾燥時間(滞留時間)の長さを調節することができる。同様に熱風乾燥炉5内に第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bが設けられ、この第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62の段数によって皮革Aの熱風乾燥時間(滞留時間)を調節することができる。
【0029】
前記過熱水蒸気発生装置11は、前記第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62上方に配置され、過熱水蒸気発生装置11に形成された水蒸気噴出口12から折返部22,62側に過熱水蒸気を噴出するように構成されている。また、前記熱風発生装置41は、前記第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62上方に配置され、熱風発生装置41に形成された熱風排出口42から折返部22,62側に熱風を排出するように構成されている。
【0030】
皮革の乾燥方法は、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62において、皮革Aの一方の面A1と、折り返して反転させられた皮革Aの他方の面A2を過熱水蒸気によって乾燥し、第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62において、皮革Aの一方の面A1と、折り返して反転させられた皮革Aの他方の面A2を熱風によって乾燥する。即ち、皮革の乾燥方法は、皮革Aを、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62の上段31(第1移送部66)において、一方の面A1を上方に向けて前部から後部(矢印F方向)に移送して過熱水蒸気によって乾燥し、次段32(第2移送部67)において、反転させて他方の面A2を上方に向けて後部から前部(矢印B方向)に移送して過熱水蒸気によって乾燥し、両面A1,A2を過熱水蒸気によって乾燥する。
【0031】
次に過熱水蒸気によって乾燥した皮革Aを、第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62の上段31(第1移送部66)において、一方の面A1を上方に向けて前部から後部(矢印F方向)に移送して熱風によって乾燥し、次段32(第2移送部67)において、反転させて他方の面A2を上方に向けて後部から前部(矢印B方向)に移送して熱風によって乾燥し、両面A1,A2を熱風によって乾燥する。
【0032】
このように、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、搬送手段(コンベヤー)2によって搬送する皮革Aを過熱水蒸気発生装置11が噴出する過熱水蒸気と熱風発生装置41が排出する熱風によって乾燥する。即ち、皮革の乾燥装置による皮革の乾燥方法は、第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62において、一方の面A1を過熱水蒸気乾燥後に反転させて他方の面A2を過熱水蒸気乾燥させて、両面A1,A2を過熱水蒸気によって乾燥し、次に、第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62において、一方の面A1を熱風乾燥後に反転させて他方の面A2を熱風乾燥させて、両面A1,A2を熱風によって乾燥する。
【0033】
皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12から過熱水蒸気が第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62側に噴出され、折返部22,62で搬送される皮革Aの一方の面A1と、折り返されて反転させられた状態で搬送される皮革Aの他方の面A2に過熱水蒸気を当てて、皮革Aの両面A1,A2を乾燥させることができる。
【0034】
皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12から過熱水蒸気が第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62側に噴出され、折返部22,62の一段目31(第1移送部66)で移送される皮革Aの一方の面A1と、折返部22,62の二段目32(第2移送部67)で移送される皮革Aの他方の面A2に過熱水蒸気を当てて、皮革Aの両面A1,A2を乾燥させることができる。また、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、熱風発生装置41の熱風排出口42から熱風が第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62側に排出され、折返部22,62で搬送される皮革Aの一方の面A1と、折り返されて反転させられた状態で搬送される皮革Aの他方の面A2に熱風を当てて、皮革の両面A1,A2を乾燥させることができる。
【0035】
即ち、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、熱風発生装置41の熱風排出口42から熱風が第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62側に排出され、折返部22,62の一段目31(第1移送部66)で移送される皮革Aの一方の面A1と、折返部22,62の二段目32(第2移送部67)で移送される皮革Aの他方の面A2に熱風を当てて、皮革Aの両面A1,A2を乾燥させることができる。
【0036】
このように、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41を皮革Aの両面A1,A2側に配置する必要がなく、過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41を皮革Aの片側面A1(又はA2)側に配置すれば良いので、構造が簡単で安価に製造することができる。また、皮革乾燥部の搬送手段(コンベヤー)を従来のように直線状ではなく折り畳んだ状態のように構成しているので、大型化せずコンパクトに設計することができ、さらに多数の過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41を配置する必要がなく、少ない過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41で乾燥できるので、極めて経済的である。
【0037】
図1に示すように、皮革の乾燥装置1は、前記前部搬送部(前部コンベヤー)19、前記中間搬送部(中間コンベヤー)26及び前記後部搬送部(後部コンベヤー)20に、皮革Aを揉みほぐすステーキング装置51、52、53が配置されている。皮革の乾燥装置1による皮革の乾燥方法は、皮革Aを前部のステーキング装置51によって揉みほぐしてから第1の搬送部(第1のコンベヤー)21A,61Aの折返部22,62に搬送し、過熱水蒸気によって乾燥された皮革Aを中間のステーキング装置52によって揉みほぐしてから第2の搬送部(第2のコンベヤー)21B,61Bの折返部22,62に搬送し、熱風によって乾燥された皮革Aを後部のステーキング装置53によって揉みほぐす。このように、皮革の乾燥装置及び皮革の乾燥方法は、前部搬送部(前部コンベヤー)19、中間搬送部(中間コンベヤー)26、後部搬送部(後部コンベヤー)20にステーキング装置51〜53が配置されているので、乾燥前、乾燥後に皮革Aを揉みほぐし、皮革Aに柔軟性、弾力性を与えることができる。
【0038】
さらに皮革の乾燥装置1について、図1に基づいて詳細に説明する。皮革の乾燥装置1は、過熱水蒸気乾燥炉3と熱風乾燥炉5を有する。過熱水蒸気乾燥炉3は、図2,3に示すように、密閉性を備え、上壁3aに過熱水蒸気発生装置11,11が取り付けられている。過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12は、過熱水蒸気乾燥炉3内に向けられており、過熱水蒸気乾燥炉3内の上部から下方に向かって過熱水蒸気を噴出するようになっている。また、熱風乾燥炉5は、図2,3に示すように、密閉性を備え、上壁5aに熱風発生装置41,41が取り付けられている。熱風発生装置41の熱風排出口42は、熱風乾燥炉5内に向けられており、熱風乾燥炉5内の上部から下方に向かって熱風を排出するようになっている。
【0039】
コンベヤー2は、前部コンベヤー19と、後部コンベヤー20と、第1及び第2のコンベヤー21A,21Bと、中間コンベヤー26とからなる。図2,3に示すように、第1及び第2のコンベヤー21A,21Bは、複数のワイヤーベルト28と、このワイヤーベルト28が巻き掛けられる複数のプーリ29a〜39aとからなる。第1及び第2のコンベヤー21A,21Bの前部移送部23は、前部プーリ29aからテンションプーリ30aを介して第1プーリ31a迄が相当する。第1及び第2のコンベヤー21A,21Bの折返部22は、第1プーリ31aから第8プーリ38a迄が相当し、第1プーリ31aから第2プーリ32a迄が一段目31を形成し、第2プーリ32aから第3プーリ33a迄が二段目32を形成し、第3プーリ33aから第4プーリ34a迄が三段目33を形成し、第4プーリ34aから第5プーリ35a迄が四段目34を形成し、第5プーリ35aから第6プーリ36a迄が五段目35を形成し、第6プーリ36aから第7プーリ37a迄が六段目36を形成し、第7プーリ37aから第8プーリ38a迄が七段目37を形成する。第1及び第2のコンベヤー21A,21Bの後部移送部25は、第8プーリ38aから後部プーリ39a迄が相当する。本実施の形態では、折返部22が七段重ね状態に折り返されているが、この実施の形態に限定されるものでないのは勿論である。プーリ29a〜39aの内のいずれか一つが駆動モータによって駆動され、複数のワイヤーベルト28が一方に移動する。
【0040】
前方の第1のコンベヤー21Aは、折返部22が過熱水蒸気乾燥炉3内に収容され、前部移送部23が過熱水蒸気乾燥炉3の前部開口3bから突出し、後部移送部25が過熱水蒸気乾燥炉3の後部開口3cから突出する。過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12は、折返部22の一段目31から七段目37に向かって過熱水蒸気を噴出する。後方の第2のコンベヤー21Bは、折返部22が熱風乾燥炉5内に収容され、前部移送部23が熱風乾燥炉5の前部開口5bから突出し、後部移送部25が熱風乾燥炉5の後部開口5cから突出する。熱風発生装置41の熱風排出口42は、折返部22の一段目31から七段目37に向かって熱風を排出する。第1,第2のコンベヤー21A,21Bは、チェーンベルト、ロープベルト等特に限定されるものではなく、両面から乾燥できるように通風性を備えていれば良い。
【0041】
中間コンベヤー26は、第1のコンベヤー21Aと第2のコンベヤー21Bの間に配置され、中間ステーキング装置52が設けられている。第1のコンベヤー21Aの前部には、前部コンベヤー19が配置され、前部ステーキング装置51が設けられている。第2のコンベヤー21Bの後部には、後部コンベヤー20が配置され、後部ステーキング装置53が設けられている。
【0042】
皮革の乾燥装置1による皮革の乾燥方法は、なめし処理が施された皮革Aを、第1のコンベヤー21Aによって移送して過熱水蒸気発生装置11が噴出する過熱水蒸気によって乾燥し、さらに第2のコンベヤー21Bによって移送して熱風発生装置41が排出する熱風によって乾燥する。駆動モータを駆動すると、前部コンベヤー19、第1のコンベヤー21A、中間コンベヤー26、第2のコンベヤー21B、後部コンベヤー20が作動する。
【0043】
第1,第2のコンベヤー21A,21Bは、駆動モータを駆動すると、プーリ29a〜39aの内のいずれか一つが回動し、前部移送部23に位置するワイヤーベルト28が後方(矢印F方向)に移動し、同様に、折返部22の一段目31に位置するワイヤーベルト28も後方(矢印F方向)に移動する。折返部22の二段目32に位置するワイヤーベルト28は前方(矢印B方向)に移動し、折返部22の三段目33に位置するワイヤーベルト28は後方(矢印F方向)に移動する。折返部22の四段目34に位置するワイヤーベルト28は前方(矢印B方向)に移動し、折返部22の五段目35に位置するワイヤーベルト28は後方(矢印F方向)に移動する。折返部22の六段目36に位置するワイヤーベルト28は前方(矢印B方向)に移動し、折返部22の七段目37に位置するワイヤーベルト28は後方(矢印F方向)に移動し、同様に、後部移送部25に位置するワイヤーベルト28も後方(矢印F方向)に移動する。
【0044】
過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41を作動させる。過熱水蒸気発生装置11を作動させると、折返部22の一段目31から七段目37に向かって過熱水蒸気が水蒸気噴出口12から噴出する。前部移送部23のワイヤーベルト28に皮革Aを載せると、皮革Aが折返部22に移送される。即ち、皮革Aは後方(矢印F方向)に移送され、過熱水蒸気乾燥炉3内に送り込まれる。
【0045】
皮革Aは、折返部22の一段目31において一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。次に、皮革Aは、折返部22の二段目32において反転して他方の面A2を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の三段目33において一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。
【0046】
次に、皮革Aは、折返部22の四段目34において反転して他方の面A2を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の五段目35において一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。次に、皮革Aは、折返部22の六段目36において反転して他方の面A2を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の七段目37において一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥され、後部移送部25のワイヤーベルト28によって過熱水蒸気乾燥炉3から中間コンベヤー26に送り出されるようになっている。
【0047】
熱風発生装置41を作動させると、折返部22の一段目31から七段目37に向かって熱風が熱風排出口42から噴出する。前部移送部23のワイヤーベルト28に皮革Aを載せると、皮革Aが折返部22に移送される。即ち、皮革Aは後方(矢印F方向)に移送され、熱風乾燥炉5内に送り込まれる。皮革Aは、折返部22の一段目31において一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥される。次に、皮革Aは、折返部22の二段目32において反転して他方の面A2を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の三段目33において一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥される。
【0048】
次に、皮革Aは、折返部22の四段目34において反転して他方の面A2を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の五段目35において一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥される。次に、皮革Aは、折返部22の六段目36において反転して他方の面A2を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、折返部22の七段目37において一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥され、後部移送部25のワイヤーベルト28によって熱風乾燥炉5から後部コンベヤー20に送り出されるようになっている。
【0049】
皮革の乾燥装置1は、前部コンベヤー19に皮革Aを載置すると、前部ステーキング装置51によって揉みほぐされてから、第1のコンベヤー21Aに運ばれ、過熱水蒸気乾燥炉3内において両面A1、A2が一次乾燥される。この一次乾燥された皮革Aは後部移送部25によって過熱水蒸気乾燥炉3内から取り出されて中間コンベヤー26に載置される。中間コンベヤー26に載置された皮革Aは、空冷により常温まで冷却されながら中間ステーキング装置52によって揉みほぐされ、第2のコンベヤー21Bに運ばれ、熱風乾燥炉5内において再び両面A1、A2が二次乾燥される。さらにこの二次乾燥された皮革Aは後部移送部25によって熱風乾燥炉5内から取り出されて後部コンベヤー20に載置され、後部ステーキング装置53によって揉みほぐされ、皮革の乾燥工程が終了する。
【0050】
第1及び第2のコンベヤー21A,21Bは、複数のワイヤーベルト28と、このワイヤーベルト28が巻き掛けられる複数のプーリ29a〜39aとからなる構成で説明したが、図11に示すように、第1及び第2のコンベヤー61A,61Bのようにメッシュベルトとローラとからなる構成にしても良い。第1及び第2のコンベヤー61A,61Bは、載置した皮革Aを折り返して反転させて移送する折返部62と、この折返部62に皮革Aを移送する前部移送部63と、折返部62から送り出される皮革Aを後方に移送する後部移送部65とで構成されている。
【0051】
折返部62は、第1移送部66、第2移送部67、第3移送部68、第4移送部69、第5移送部70が上下方向に積み重ねられるように配置して形成されている。各移送部66〜70は、一対の上段ローラ71,72と、一対の下段ローラ73,74と、ローラ71〜74に巻き掛けられるメッシュベルト75とからなる。一対の上段ローラ71,72間のメッシュベルト75が皮革Aを搬送する搬送部となる。第1移送部66は、一段目に位置し、搬送部66Aが後方(矢印F方向)に移動する。第2移送部67は、二段目に位置し、搬送部67Aが前方(矢印B方向)に移動する。第3移送部68は、三段目に位置し、搬送部68Aが後方(矢印F方向)に移動する。第4移送部69は、四段目に位置し、搬送部69Aが前方(矢印B方向)に移動する。第5移送部70は、五段目に位置し、搬送部70Aが後方(矢印F方向)に移動する。
【0052】
第1移送部66〜第4移送部69には、皮革Aを折り返して反転させるガイド手段76〜79が設けられている。ガイド手段76〜79は、一対のガイドローラ81,82と、一対のガイドローラ81,82に巻き掛けられた布ベルト83とからなる。ガイド手段76〜79は、第1移送部66〜第4移送部69の皮革Aが送られる側の上段ローラに接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83が接触するようにして配置されている。
【0053】
即ち、第1、第3の移送部66,68では、皮革Aが送られる側の上段ローラ71を挟むようにして上下にガイドーローラ81,82を設け、上段ローラ71に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83が接触している。第2、第4の移送部67,69では、皮革Aが送られる側の上段ローラ72を挟むようにして上下にガイドーローラ81,82を設け、上段ローラ72に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83が接触している。
【0054】
ガイド手段76〜79は、皮革Aを折り返して反転させるためのものであり、ガイドローラ81,82を自由回転可能状態にして、布ベルト83がメッシュベルト75との摩擦抵抗により回転させるようにしても良く、またガイドローラ82(又は81)をモータにより強制的に回転させて、布ベルト83をメッシュベルト75と同じ速度で回転させるようにしても良い。
【0055】
前部移送部63は、メッシュベルト85と複数のガイドローラ86〜88によって形成され、水平部63Aと傾斜部63Bとからなり、傾斜部63Bの上部が第1移送部66の搬送部66Aの前部上方に位置している。後部移送部65は、メッシュベルト90と一対のガイドローラ91,92によって形成され、前部が第5移送部70の搬送部70Aの後部下方に位置している。このように構成された第1のコンベヤー61Aは、過熱水蒸気乾燥炉3内に設けられ、第2のコンベヤー61Bは、熱風乾燥炉5内に設けられる。前方の第1のコンベヤー61Aは、折返部62が過熱水蒸気乾燥炉3内に収容され、前部移送部63が過熱水蒸気乾燥炉3の前部開口3bから突出し、後部移送部65が過熱水蒸気乾燥炉3の後部開口3cから突出する。過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12は、折返部62の第1移送部66から第5移送部70に向かって過熱水蒸気を噴出する。後方の第2のコンベヤー61Bは、折返部62が熱風乾燥炉5内に収容され、前部移送部63が熱風乾燥炉5の前部開口5bから突出し、後部移送部65が熱風乾燥炉5の後部開口5cから突出する。熱風発生装置41の熱風排出口42は、折返部62の第1移送部66から第5移送部70に向かって熱風を排出する。
【0056】
第1,第2のコンベヤー61A,61Bは、駆動モータを駆動すると、ローラ71〜74、86〜88、91,92が回動して、前部移送部63に位置するメッシュベルト85の上側が搬送部85Aとなって後方(矢印F方向)に移動する。第1移送部66の搬送部66Aは、後方(矢印F方向)に移動する。第2移送部67の搬送部67Aは、前方(矢印B方向)に移動する。第3移送部68の搬送部68Aは、後方(矢印F方向)に移動する。第4移送部69の搬送部69Aは、前方(矢印B方向)に移動する。第5移送部70の搬送部70Aは、後方(矢印F方向)に移動する。後部移送部65に位置するメッシュベルト90の上側が搬送部90Aとなって後方(矢印F方向)に移動する。
【0057】
過熱水蒸気発生装置11及び熱風発生装置41を作動させる。過熱水蒸気発生装置11を作動させると、折返部62の第1移送部66から第5移送部70に向かって過熱水蒸気が水蒸気噴出口12から噴出する。前部移送部63のメッシュベルト85の搬送部85Aに皮革Aを載せると、皮革Aが折返部62の第1移送部66に移送される。即ち、皮革Aは後方(矢印F方向)に移送され、過熱水蒸気乾燥炉3内に送り込まれる。
【0058】
皮革Aは、折返部62の第1移送部66の搬送部66Aにおいて一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ71に近接すると、上段ローラ71に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第2移送部67の搬送部67Aに移送される。
【0059】
皮革Aは、第2移送部67の搬送部67Aにおいて他方の面A2を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ72に近接すると、上段ローラ72に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第3移送部68の搬送部68Aに移送される。
【0060】
皮革Aは、第3移送部68の搬送部68Aにおいて一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ71に近接すると、上段ローラ71に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第4移送部69の搬送部69Aに移送される。
【0061】
皮革Aは、第4移送部69の搬送部69Aにおいて他方の面A2を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ72に近接すると、上段ローラ72に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第5移送部70の搬送部68Aに移送される。
【0062】
皮革Aは、第5移送部70の搬送部70Aにおいて一方の面A1を過熱水蒸気発生装置11の水蒸気噴出口12側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、他方の面A2が噴出する過熱水蒸気によって乾燥される。皮革Aは、後部移送部65の搬送部90Aに移送され、後部移送部65のメッシュベルト90の搬送部90Aによって過熱水蒸気乾燥炉3から中間コンベヤー26に送り出され、中間コンベアー26によって搬送されている間に常温まで空冷されるようになっている。
【0063】
熱風発生装置41を作動させると、折返部62の第1移送部66から第5移送部70に向かって熱風が熱風排出口42から噴出する。中間コンベヤー26から前部移送部63のメッシュベルト85の搬送部85Aに皮革Aが載せられると、皮革Aが折返部62の第1移送部66に移送される。即ち、皮革Aは後方(矢印F方向)に移送され、熱風乾燥炉5内に送り込まれる。皮革Aは、折返部62の第1移送部66の搬送部66Aにおいて一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ71に近接すると、上段ローラ71に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第2移送部67の搬送部67Aに移送される。
【0064】
皮革Aは、第2移送部67の搬送部67Aにおいて他方の面A2を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ72に近接すると、上段ローラ72に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第3移送部68の搬送部68Aに移送される。
【0065】
皮革Aは、第3移送部68の搬送部68Aにおいて一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ71に近接すると、上段ローラ71に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第4移送部69の搬送部69Aに移送される。
【0066】
皮革Aは、第4移送部69の搬送部69Aにおいて他方の面A2を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて前方(矢印B方向)に移送され、他方の面A2が排出する熱風によって乾燥される。皮革Aは、送られる側の上段ローラ72に近接すると、上段ローラ72に接触しているメッシュベルト75の部分と布ベルト83間に挟み込まれ、折り返されて反転し、第5移送部70の搬送部68Aに移送される。
【0067】
皮革Aは、第5移送部70の搬送部70Aにおいて一方の面A1を熱風発生装置41の熱風排出口42側に向けて後方(矢印F方向)に移送され、一方の面A1が排出する熱風によって乾燥され、後部移送部65の搬送部90Aに移送される。皮革Aは、後部移送部65のメッシュベルト90の搬送部90Aによって熱風乾燥炉5から後部コンベヤー20に送り出されるようになっている。
【0068】
なお、第1移送部66のメッシュベルト85の下側部分66Bを第2移送部67の搬送部67Aに接触できるようにして、メッシュベルト85の下側部分66Bと搬送部67Aの間で皮革Aを保持させ、第2移送部67のメッシュベルト85の下側部分67Bを第3移送部68の搬送部68Aに接触できるようにして、メッシュベルト85の下側部分67Bと搬送部68Aの間で皮革Aを保持させ、第3移送部68のメッシュベルト85の下側部分68Bを第4移送部69の搬送部69Aに接触できるようにして、メッシュベルト85の下側部分68Bと搬送部69Aの間で皮革Aを保持させ、第4移送部69のメッシュベルト85の下側部分69Bを第5移送部70の搬送部70Aに接触できるようにして、メッシュベルト85の下側部分69Bと搬送部70Aの間で皮革Aを保持させるようにしても良い。
【0069】
皮革の乾燥装置1は、前部コンベヤー19に皮革Aを載置すると、前部ステーキング装置51によって揉みほぐされてから、第1のコンベヤー21A,61Aに運ばれ、過熱水蒸気乾燥炉3内において両面A1、A2が一次乾燥される。さらに一次乾燥された皮革Aは中間コンベヤー26に載置され、中間コンベヤー26によって搬送されながら常温まで空冷により冷却される。さらに皮革Aは、中間ステーキング装置52によって揉みほぐされ、第2のコンベヤー21B,61Bに運ばれ、熱風乾燥炉5内においてさらに両面A1、A2が二次乾燥される。この過熱水蒸気と熱風によって両面A1,A2が乾燥された皮革Aは、後部コンベヤー20に載置され、後部ステーキング装置53によって揉みほぐされ、皮革の乾燥工程が終了する。
【実施例】
【0070】
上記皮革の乾燥装置1の乾燥工程は、図4に示すように、なめし処理等が施された皮革の余分な水分を、セッティングマシンにより絞り取り(セッティング)、前部ステーキング装置51により皮革を揉みほぐして、皮革に柔軟性及び弾力性を与える(ステーキング)。次に、過熱水蒸気乾燥炉3内の過熱水蒸気発生装置11により一次乾燥を行い、この乾燥した皮革を、空冷により常温まで冷却しつつ、中間ステーキング装置52により揉みほぐして柔軟性及び弾力性を与える(ステーキング)。最後に、熱風乾燥炉5内の熱風発生装置41により二次乾燥を行い、この乾燥した皮革を、バイブレーション・ステーキング装置53によりさらに揉みほぐして柔軟性及び弾力性を与えて(バイブレーション)、皮革の乾燥工程を終了する。
【0071】
皮革の乾燥装置は、セッティング工程において、皮革の含水率を45%程度にし、一次乾燥において皮革の含水率を25〜30%にし、二次乾燥において皮革の含水率を7〜9%にする。この皮革の乾燥工程に要する時間は、約20分程度であり、乾燥効率が極めて高い。
【0072】
前述した一次乾燥の条件は、図5に示すように、過熱水蒸気乾燥炉3内の温度が130〜150℃程度、過熱水蒸気乾燥炉3内の滞留時間が2分30秒〜10分程度、噴出蒸気圧力が0.1〜0.3Mpa、噴出蒸気量が500〜660kg/hである。過熱水蒸気乾燥炉3内の温度は、130℃未満だと皮革の急激な温度上昇を望むことができず、151℃以上だと乾燥時間のコントロールが難しくなるので、130〜150℃程度であることが望ましい。また、過熱水蒸気乾燥炉3内の滞留時間は、皮革の厚み、過熱水蒸気の温度、過熱水蒸気の圧力、蒸気量、過熱水蒸気の当て方により変動するのであるが、2分30秒〜10分程度である。蒸気圧力及び蒸気量は、数値が高すぎると過乾燥になり、数値が低すぎると乾燥時間を長くする必要があるので、噴出蒸気圧力が0.1〜0.3Mpa、噴出蒸気量が500〜660kg/hであることが望ましい。実際、過熱水蒸気乾燥炉3内の温度を約140℃、過熱水蒸気乾燥炉3内の滞留時間を約4分、噴出蒸気圧力を0.3Mpa、噴出蒸気量を660kg/hで行った。皮革の温度は、図6、図7に示すように、過熱水蒸気乾燥炉3内において瞬間的に100℃未満まで上昇し、4分程度で目標含水率を達成した。その際、皮革の熱収縮限界温度110℃まで達しないので、皮革自体の状態が極めて良好である。
【0073】
前述した二次乾燥の条件は、図8に示すように、熱風乾燥炉5内の温度が60℃〜110℃程度、熱風乾燥炉5内の滞留時間が7分〜20分程度である。熱風乾燥炉5内の温度は、季節等による環境条件によって変動させなければならないので、60℃〜110℃程度であることが望ましい。熱風乾燥炉5内の温度は、60℃未満だと皮革の乾燥に適した内部温度40℃に達するまでに時間がかかり、111℃以上だと皮革の熱収縮限界温度110℃を超えてしまう可能性があるので、60〜110℃程度であることが望ましい。また、熱風乾燥炉5内の滞留時間は、皮革の厚み、熱風の温度等により変動するのであり、7分〜20分程度であることが望ましい。実際、熱風乾燥炉5内の温度が約100℃程度、熱風乾燥炉5内の滞留時間を約10分程度で行った。皮革の温度は、図9に示すように、熱風乾燥炉5内において緩やかに40℃(表面温度60℃)まで上昇し、10分程度で目標含水率を達成した。なお、図6に示すように、一次乾燥と二次乾燥の間に、一次乾燥により上昇した皮革Aの内部温度を常温に戻すため、約10分程度の空冷による冷却工程を行っているが、この冷却工程は過熱水蒸気乾燥炉3から皮革Aを取り出してから熱風乾燥炉5へ搬送する中間搬送部26で行っている。
【0074】
上記皮革の乾燥装置の乾燥工程は、二次乾燥まで過熱水蒸気発生装置11により行うと、皮革の温度が、図6、図10に示すように、瞬間的に100℃まで上昇し、さらに2分程度で皮革の熱収縮限界温度110℃を超えてしまうので、温度上昇が急激で皮革が過乾燥になりやすく、そのため乾燥の調節が非常に困難である。皮革は、熱収縮限界温度110℃を超えてしまうと、皮革自体の状態が収縮して固くなり、仕様に適さない皮革に仕上がってしまうのである。また、皮革の乾燥装置1の乾燥工程は、一次乾燥も熱風発生装置41により行うと、状態が極めて良好な皮革を得ることができるが、過熱水蒸気発生装置11と異なり、100℃まで上昇することがないので、乾燥工程に要する時間が3時間程度必要となり、乾燥効率があまり良くない。このように、皮革の乾燥装置の乾燥工程は、最初に皮革を過熱水蒸気で瞬時に乾燥せしめ、次に熱風によって緩やかに乾燥することで、乾燥時間を大幅に短縮することができ、しかも、収縮率が小さく、柔軟性、弾性、伸縮性を備えた良質な皮革を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本願発明は、なめし処理が施された皮革を乾燥する乾燥装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
A 皮革
A1 一方の面
A2 他方の面
1 皮革の乾燥装置
2 搬送手段(コンベヤー)
3 過熱水蒸気乾燥炉
3a 上壁
3b 前部開口
3c 後部開口
5 熱風乾燥炉
5a 上壁
5b 前部開口
5c 後部開口
11 過熱水蒸気発生装置
12 水蒸気噴出口
19 前部搬送部(前部コンベヤー)
20 後部搬送部(後部コンベヤー)
21A 第1の搬送部(第1のコンベヤー)
21B 第2の搬送部(第2のコンベヤー)
22 折返部
23 前部移送部
25 後部移送部
26 中間搬送部(中間コンベヤー)
28 ワイヤーベルト
29a 前部プーリ
30a テンションプーリ
31 一段目(上段)
31a 第1プーリ
32 二段目(次段)
32a 第2プーリ
33 三段目
33a 第3プーリ
34 四段目
34a 第4プーリ
35 五段目
35a 第5プーリ
36 六段目
36a 第6プーリ
37 七段目
37a 第7プーリ
38a 第8プーリ
39a 後部プーリ
41 熱風発生装置
42 熱風排出口
51 前部ステーキング装置
52 中間ステーキング装置
53 後部ステーキング装置
61A 第1のコンベヤー(第1の搬送部)
61B 第2のコンベヤー(第2の搬送部)
62 折返部
63 前部移送部
63A 水平部
63B 傾斜部
65 後部移送部
66 第1移送部
66A 搬送部
66B 下側部分
67 第2移送部
67A 搬送部
67B 下側部分
68 第3移送部
68A 搬送部
68B 下側部分
69 第4移送部
69A 搬送部
69B 下側部分
70 第5移送部
70A 搬送部
71 上段ローラ
72 上段ローラ
73 下段ローラ
74 下段ローラ
75 メッシュベルト
76 ガイド手段
77 ガイド手段
78 ガイド手段
79 ガイド手段
81 ガイドローラ
82 ガイドローラ
83 布ベルト
85 メッシュベルト
85A 搬送部
86 ガイドローラ
87 ガイドローラ
88 ガイドローラ
90 メッシュベルト
90A 搬送部
91 ガイドローラ
92 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱水蒸気と熱風によって皮革を乾燥する乾燥装置であって、
過熱水蒸気乾燥炉と、熱風乾燥炉と、過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に連続して皮革を搬送する搬送手段とからなり、
過熱水蒸気乾燥炉には、過熱水蒸気乾燥炉内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置が設けられ、
熱風乾燥炉には、熱風乾燥炉内に熱風を発生させる熱風発生装置が設けられていることを特徴とする皮革の乾燥装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、第1の搬送部と、第2の搬送部と、第1の搬送部に皮革を搬送する前部搬送部と、第1の搬送部から送り出される皮革を第2の搬送部に搬送する中間搬送部と、第2の搬送部から送り出される皮革を後方に搬送する後部搬送部とからなり、
第1及び第2の搬送部は、載置した皮革を折り返して反転させて移送する折返部と、この折返部に皮革を移送する前部移送部と、折返部から送り出される皮革を後方に移送する後部移送部とで構成され、
前記第1の搬送部は、前記過熱水蒸気乾燥炉内に設けられ、
前記第2の搬送部は、前記熱風乾燥炉内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の皮革の乾燥装置。
【請求項3】
前記過熱水蒸気発生装置は、前記第1の搬送部の折返部上方に配置され、過熱水蒸気発生装置に形成された水蒸気噴出口から折返部側に過熱水蒸気を噴出し、
前記熱風発生装置は、前記第2の搬送部の折返部上方に配置され、熱風発生装置に形成された熱風排出口から折返部側に熱風を排出するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の皮革の乾燥装置。
【請求項4】
前記前部搬送部、前記中間搬送部及び前記後部搬送部には皮革を揉みほぐすステーキング装置が配置されていることを特徴とする請求項2又は3記載の皮革の乾燥装置。
【請求項5】
皮革を過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に順に搬送して皮革を乾燥する皮革の乾燥方法であって、
皮革を過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉内で乾燥する一次乾燥工程と、
一次乾燥工程終了後に過熱水蒸気乾燥炉内から皮革を取り出して皮革を冷却する冷却工程と、
冷却工程終了後の皮革を熱風が発生させられた熱風乾燥炉内で乾燥する二次乾燥工程とからなることを特徴とする皮革の乾燥方法。
【請求項6】
搬送手段によって皮革を過熱水蒸気乾燥炉内と熱風乾燥炉内に順に搬送して皮革を乾燥する皮革の乾燥方法であって、
前記搬送手段は、第1の搬送部と、第2の搬送部と、第1の搬送部に皮革を搬送する前部搬送部と、第1の搬送部から送り出される皮革を第2の搬送部に搬送する中間搬送部と、第2の搬送部から送り出される皮革を後方に搬送する後部搬送部とからなり、
第1及び第2の搬送部は、載置した皮革を折り返して反転させて移送する折返部と、この折返部に皮革を移送する前部移送部と、折返部から送り出される皮革を後方に移送する後部移送部とで構成され、
前記第1の搬送部は、前記過熱水蒸気乾燥炉内に設けられ、
前記第2の搬送部は、前記熱風乾燥炉内に設けられ、
皮革を第1の搬送部によって搬送して過熱水蒸気が発生させられた過熱水蒸気乾燥炉内で乾燥する一次乾燥工程と、
一次乾燥工程終了後の皮革を中間搬送部によって搬送中に冷却する冷却工程と、
冷却工程終了後の皮革を第2の搬送部によって搬送して熱風が発生させられた熱風乾燥炉内で乾燥する二次乾燥工程とからなることを特徴とする皮革の乾燥方法。
【請求項7】
過熱水蒸気乾燥炉には、過熱水蒸気乾燥炉内に過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置が設けられ、
熱風乾燥炉には、熱風乾燥炉内に熱風を発生させる熱風発生装置が設けられ、
前記過熱水蒸気発生装置は、前記第1の搬送部の折返部上方に配置され、過熱水蒸気発生装置に形成された水蒸気噴出口から折返部側に過熱水蒸気を噴出し、
前記熱風発生装置は、前記第2の搬送部の折返部上方に配置され、熱風発生装置に形成された熱風排出口から折返部側に熱風を排出し、
第1の搬送部の折返部において、皮革の一方の面と、折り返して反転させられた皮革の他方の面を過熱水蒸気によって乾燥し、
第2の搬送部の折返部において、皮革の一方の面と、折り返して反転させられた皮革の他方の面を熱風によって乾燥することを特徴とする請求項6記載の皮革の乾燥方法。
【請求項8】
前記前部搬送部、前記中間搬送部及び前記後部搬送部には皮革を揉みほぐすステーキング装置が配置され、皮革を前部のステーキング装置によって揉みほぐしてから第1の搬送部に移送し、過熱水蒸気によって乾燥させた皮革を中間のステーキング装置によって揉みほぐしてから第2の搬送部に移送し、熱風によって乾燥させた皮革を後部のステーキング装置によって揉みほぐすことを特徴とする請求項6又は7記載の皮革の乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−231944(P2011−231944A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100203(P2010−100203)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(591189535)ミドリホクヨー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】